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特許6995905断続的な駆動パターンを有するAM‐EWOD装置に関し、プログラムコードを記憶する、一時的でないコンピュータ読み取り可能な媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】断続的な駆動パターンを有するAM‐EWOD装置に関し、プログラムコードを記憶する、一時的でないコンピュータ読み取り可能な媒体
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20220107BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20220107BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20220107BHJP
   G11B 7/0065 20060101ALI20220107BHJP
   G11B 7/0033 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G01N1/00 101F
G01N35/08 A
B01J19/00 B
G11B7/0065
G11B7/0033
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020036045
(22)【出願日】2020-03-03
(62)【分割の表示】P 2018045579の分割
【原出願日】2018-03-13
(65)【公開番号】P2020127937
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】15/475,410
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517144879
【氏名又は名称】シャープ ライフ サイエンス (イーユー) リミテッド
【住所又は居所原語表記】The Hayakawa Building, Edmund Halley Road, Oxford Science Park, Oxford OX4 4GB, U.K.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ローラ ファン
(72)【発明者】
【氏名】ティム ボイル
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-508224(JP,A)
【文献】特表2006-500596(JP,A)
【文献】特表2007-508584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/00
G01N 1/00
G01N 35/08
G11B 7/0033
G11B 7/0065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムコードを記憶する、一時的でないコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
上記プログラムコードは、誘電体エレクトロウェッティング(EWOD)装置上の素子アレイに格子状に配置され、駆動電圧が印加されることにより駆動する複数のアレイ素子に印加される駆動電圧を制御する処理装置上で実行されるものであり、上記誘電体エレクトロウェッティング(EWOD)装置は上記素子アレイ上の液滴に対して液滴操作を行うためのものであり、上記プログラムコードは、上記処理装置で実行されて、
上記複数のアレイ素子のそれぞれに駆動電圧を供給する回路又は装置を用いて、上記液滴を、当該液滴の測定を行い得る状態に維持するための駆動電圧を、格子状に配置された上記複数のアレイ素子の一部である、当該液滴に関連する複数のアレイ素子からなる、アレイ素子群に印加する工程を実行可能であり、
上記駆動電圧を印加する期間には、上記アレイ素子群を駆動する駆動実行期間と、当該アレイ素子群を駆動しない駆動停止期間とがあり、上記駆動停止期間はゼロではない、一時的でないコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項2】
上記プログラムコードは、上記処理装置で実行されて、
液滴の状態をセンサの動作によって検知する工程と、
上記検知された液滴の状態が、上記液滴の測定を行い得る状態から外れた状態であるかどうかを、所定の基準に従って判定する工程と、
上記液滴の状態が上記所定の基準を満たすと判定された場合は、上記アレイ素子群に駆動電圧を印加して、上記液滴の状態を上記液滴の測定を行い得る状態に戻す工程と、をさらに実行可能である、請求項1に記載の一時的でないコンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、液滴マイクロ流体装置に関し、より具体的には、アクティブマトリックス誘電体エレクトロウェッティング(AM‐EWOD)装置及び装置素子を作動させる制御方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
誘電体エレクトロウェッティング(EWOD)は、電界を印加して流体の液滴を操作する周知の技術である。アクティブマトリックスEWOD(AM‐EWOD)とは、トランジスタを含むアクティブマトリックスアレイでの、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を用いてのEWODの実装を指す。したがって、それは、ラボオンチップ技術に用いるデジタルマイクロ流体のための候補技術である。当該技術の基本的な原理の紹介については、「Digital microfluidics: is a true lab-on-a-chip possible?”, R.B. Fair, Microfluid Nanofluid (2007) 3:245-281)」を参照されたい。
【0003】
図1は、従来のEWOD装置の一部分の断面図を示す。当該装置は下層基板10を含み、その最上層は、複数のアレイ素子電極12(例えば、図1の12A及び12B)を備えるようにパターン化された導電性材料で形成される。任意のアレイ素子の電極を素子電極12と名付けてよい。極性物質(通常は、水性及び/又はイオン性でもある)を含む液滴14が、下層基板10と上層基板16との間にある面に拘束される。上記2枚の基板の間にスペーサ18によって適切な間隔を設けてよく、液滴14によって満たされていない容積を、無極性包囲流体20(例えば、オイル)で満たしてよい。下層基板10上に配置された絶縁層22が、導電性素子電極12A及び12Bを、第1疎水性コーティング24から離間させる。当該第1疎水性コーティング24上に、液滴14が、θで示される接触角26を成して存在している。疎水性コーティングは疎水性材料(一般的にはフッ素重合体だが、これに限定されない)から形成される。
【0004】
上層基板16上には、液滴14が接触しうる第2疎水性コーティング28がある。上層基板16と第2疎水性コーティング28との間には、基準電極30がある。
【0005】
接触角θは、図1に示すように定義され、固体・液体界面表面張力(γSL)、液体・無極性包囲流体界面表面張力(γLG)、及び固体・無極性包囲流体界面表面張力(γSG)間の釣り合いによって定まる。電圧が印加されていない場合、接触角θはヤングの法則を満たし、以下の式が成り立つ。
【0006】
【数1】
(式1)
動作中、EW駆動電圧と名付けた電圧(例えば、図1のV、V、及びV00)を、異なる電極に(例えば、基準電圧30、素子電圧12、12A、及び12Bそれぞれに)外部から印加してよい。それによって生じた電力が、疎水性コーティング24の疎水性を効果的に制御する。異なるEW駆動電圧(例えば、V及びV00)を異なる素子電極(例えば、12A及び12B)に印加するよう構成することにより、液滴14に2枚の基板10と16の間の平面を横に移動させることができる。
【0007】
EWOD装置の例示的な構成及び動作を以下に説明する。米国特許第6911132号(Pamula et al.,2005年6月28日発行)は、二次元的な液滴の位置及び移動を制御する二次元EWODアレイを開示している。米国特許第6565727号(Shenderov,2003年5月20日発行)は、液滴の分離、結合、及び、異なる材料からなる液滴同士の混合を含む、液滴の他の操作方法をさらに開示している。米国特許第7163612号(J. Sterling et al.,2007年1月16日発行)は、EWODアレイに対する電圧パルスの応答を制御するために、TFTに基づく薄膜電子機器を用いる方法を説明している。当該方法は、AMディスプレイ技術において用いられている回路の構成と、非常に類似した回路の構成を用いる。
【0008】
上述の米国特許第7163612号に記載された方法は、「アクティブマトリクス型の誘電体エレクトロウェッティング」(AM-EWOD)と呼ばれる。EWODアレイを制御するためにTFTに基づく薄膜電子機器を用いる利点がいくつか存在する。
【0009】
・下層基板10上に電子駆動回路を集積できる。
【0010】
・TFTに基づく薄膜電子機器は、AM-EWODへの適用に非常に適している。これらの薄膜電子機器は、安価に生産できるため、比較的広い基板領域が、比較的低いコストによって生産可能である。
【0011】
・標準的なプロセスによって生産されたTFTは、標準的なCMOSのプロセスによって生産されたトランジスタよりも、遙かに高電圧において駆動するように設計できる。EWOD技術の多くにおいては、20Vを超えるエレクトロウェッティング電圧の印加が必要とされるため、この点は重要である。
【0012】
AM‐EWOD装置においてさまざまな液滴操作を行うためには、液滴の性質、例えば液滴のサイズや素子アレイ上の位置を感知できることが望ましい。米国特許出願2010/0194408(Sturmer et al., 2010年8月5日公開)は、液滴アクチュエータの静電容量を検知、特に、電極における液滴の存在、部分的な存在、又は不在を判定する方法、回路、及び装置を記載している。米国特許第8653832号(Hadwen et al.,2014年2月18日発行)は、インピーダンス(静電容量)を検知する機能をAM‐EWOD装置の各アレイ素子のアレイ素子回路に含める方法を説明している。アレイに含まれる各電極に位置する液滴の存在及びサイズを判定するために、インピーダンスセンサ回路が用いられる。
【0013】
適切に検知したら、続いて液滴操作を行ってよい。例えば、液滴の位置の保持、装置を横切っての液滴の移動、1粒の液滴の複数粒の液滴への分割、異なる液滴の混合などである。これらのさまざまな操作は、AM‐EWOD装置上の要素の適当なパターンを駆動することにより行うことができる。例えば、米国特許第7569129号(Pamula et al.,2009年8月4日発行)は、素子駆動を用いて、1粒の液滴を他の液滴から分離して保持することを記載している。上記したSturmerは、静電容量検知をリアルタイムフィードバックとして用いて、液滴操作がうまくいったかどうか判定することを記載している。WO2008055256A3(Kim et al.,2008年5月8日公開)は、静電容量検知をリアルタイムフィードバックとして用いて、リザーバから散布又は分離中の液滴の容量を制御することを記載している。他にもさまざまな液滴操作を行う駆動方法が知られている。
【0014】
〔発明が解決しようとする課題〕
発明者らは、EWODまたはAM‐EWOD素子の過剰な又は長すぎる駆動によって発生した電界は、対象の液滴に対しても装置そのものの構成部品に対してもダメージを与える可能性があることを見出した。EWODプラットフォーム上で行われるプロトコルは、デリケートで駆動によって悪影響を被るかもしれない試薬を用いるかもしれない。液滴に含まれる試薬及び他の機能的化学物質へのダメージにより、当該液滴内に望ましくない泡が生じる可能性がある(例えば、液滴又はそれを囲むオイルに溶けたガスの放出による)。さらに、過剰な又は長すぎる駆動は、EWOD装置の寿命を縮めるかもしれない。これは、関与する電界が、当該装置の構成部品に有害な影響を与える可能性があるためである。例えば、絶縁層及び疎水性コーティングは、EWOD素子の長すぎる駆動に起因する電界がもたらすダメージを特に受けやすいことが判明している。
【0015】
本発明は、この問題を、EWOD素子の駆動パターンの制御の改良によって解決するものである。特に、本発明の制御システム及び関連する制御方法は、必要な液滴操作を効果的に行いつつ、EWOD素子が駆動される時間を最小にするように動作する。EWOD素子の駆動時間を最小にし、発生した電界への曝露を最小にすることで、対象の液滴又は装置の構成部品がダメージを受ける傾向が減少する。
【0016】
〔発明の概要〕
本発明は、EWOD装置、特にAM‐EWOD装置におけるアレイ素子の駆動を行う改良された制御システム及び方法に関する。上記制御システムは、関連するアレイ素子を断続的に駆動して液滴を望ましい状態に維持するアレイ素子の駆動方法を実行する。断続的な駆動パターンを採ることにより、上記制御システムはEWOD素子の駆動時間を最小にし、それにより今度は、発生した電界への曝露及びそれによって生じる対象の液滴又は装置の構成部品へのダメージを最小にする。
【0017】
例示的な実施形態では、上記制御システムは、液滴の実際のリアルタイムの性質に関わらず、関連するアレイ素子に対して、適切な駆動電圧を、特定の又は事前に設定されたデューティサイクルに従って、所定の時間、比率、及び持続時間、印加するよう動作する。他の例示的な実施形態では、EWOD又はAM‐EWOD装置は、1つ又は複数のセンサ(例えば、各アレイ素子回路内のセンサ回路)を有し、当該センサは液滴の状態に関する情報及びフィードバックを提供する。センサ回路又は他のセンサを用いる実施形態において、上記制御システムは、液滴を望ましい状態に維持する(例えば、液滴の位置を維持し、液滴がその位置から移動するのを防いだり、液滴の特定の形状又はアスペクト比を維持したり、液滴の特定のサイズを維持したり、液滴が第2の物体又は液滴と衝突するのを防ぐなど)のに介入が必要なときのみ、適切な駆動電圧を印加するよう動作する。
【0018】
本発明は、誘電体エレクトロウェッティング(EWOD)装置及び制御システムを含む改良されたマイクロ流体システム、及び関連する制御方法を提供する。上記EWOD装置は、1つ又は複数の流体の液滴を収容するよう構成された素子アレイを有し、当該素子アレイは複数のアレイ素子を含む。上記制御システムは、上記素子アレイに印加される駆動電圧を制御して上記流体の液滴に対して操作動作を行うよう構成されている。例示的な実施形態において、上記制御システムは、液滴と関連する複数のアレイ素子の部分に連続した駆動電圧を印加して、上記液滴を、所定の液滴の性質に対応する望ましい液滴の状態に維持するよう構成されている。上記連続した駆動電圧には、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分が駆動される駆動実行期間と、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分が駆動されない駆動停止期間とがあり、上記駆動停止期間はゼロではない。
【0019】
例示的な実施形態において、上記制御システムは、駆動電圧における、所定の時間、比率、及び持続時間を含む所定のデューティサイクルを有する連続した駆動電圧を、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分に印加するよう構成されてよい。例示的な実施形態において、上記マイクロ流体システムは、液滴の状態を検知するセンサをさらに備えてよい。センサに基づく制御を行うことにより、上記制御システムは、上記センサから液滴状態情報を受け取り、液滴が上記望ましい液滴の状態から外れた状態にあるかどうかを、上記液滴状態情報に基づき、所定の基準に従って判定し、上記制御システムが、上記液滴の状態が上記所定の基準を満たすと判定した場合は、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分に駆動電圧を印加して、上記液滴を上記望ましい液滴の状態に戻すよう構成されてよい。
【0020】
本発明のこれらの特徴及びさらなる特徴は、以下の記載及び添付の図面を参照することにより明らかとなるであろう。以下の記載及び図面において、本発明の特定の実施形態を、本発明の原理を用いうる方法のいくつかを示すものとして詳細に開示したが、本発明の範囲はそれらに対応するように限定されるものではないことを理解されたい。そうではなく、本発明は、本明細書に添付する請求項の精神及びタームの範囲内に該当するあらゆる変形、修正、及び均等物を含むものである。ある実施形態に関して説明され、かつ/又は示された特徴は、他の1つ又は複数の実施形態において同じかたち又は類似のかたちで用いてよく、かつ/又は、他の実施形態の特徴と組み合わせて、又は他の実施形態の特徴の代わりに、用いてよい。
【0021】
〔発明の効果〕
本発明の制御システム及び関連する制御方法は、アレイ素子の断続的な駆動を提供するよう動作して、必要な液滴操作(例えば、移動、結合、分割、分配、及び保持)を効率的に行いながら、EWOD又はAM‐EWOD素子が駆動される時間を最小にする。EWOD又はAM‐EWOD素子の駆動時間を最小にすることで、発生した電界への曝露を最小にし、それにより、対象の液滴又は装置の構成部品に対するダメージをもたらす傾向が減らされる。このように、断続的に駆動することで、アレイ素子及び関連する液滴が駆動されるデューティサイクル又は期間が制限されるという利点がある。これにより、装置の信頼性が向上し、かつ/又は、液滴内の化学的又は生物学的に弱い試薬へのダメージが防がれる。
【0022】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、従来のEWOD装置の断面図である。
【0023】
図2は、本発明の実施形態に係る、EWODに基づくマイクロ流体システムの例を示す図である。
【0024】
図3は、本発明の実施形態に係る、例示的なAM‐EWOD装置を示す概略斜視図である。
【0025】
図4は、図3の例示的なAM‐EWODのアレイ素子のいくつかの断面図である。
【0026】
図5Aは、液滴が存在する場合の、素子電極での電気負荷を示す回路図である。
【0027】
図5Bは、液滴が存在しない場合の、素子電極での電気負荷の回路図である。
【0028】
図6は、本発明の実施形態に係る、図3の例示的なAM‐EWOD装置中の薄膜電子機器の例示的な構成を示す図である。
【0029】
図7は、本発明の実施形態に係る、アレイ素子回路の例示的な構成を示す図である。
【0030】
図8は、EWOD装置中の素子アレイ上の液滴位置を維持するデューティサイクルを含む電極駆動シーケンスを示す図である。
【0031】
図9は、EWOD装置中の素子アレイ上の液滴形状を維持するデューティサイクルを含む電極駆動シーケンスを示す図である。
【0032】
図10は、EWOD装置中の素子アレイ上の液滴サイズを維持するデューティサイクルを含む電極駆動シーケンスを示す図である。
【0033】
図11は、EWOD装置中の素子アレイ上の液滴位置を維持するためのセンサに基づく介入を含む電極駆動シーケンスを示す図である。
【0034】
図12は、EWOD装置中の素子アレイ上の液滴形状を維持するためのセンサに基づく介入を含む電極駆動シーケンスを示す図である。
【0035】
図13は、EWOD装置中の素子アレイ上の液滴サイズを維持するためのセンサに基づく介入を含む電極駆動シーケンスを示す図である。
【0036】
図14は、EWOD装置中の素子アレイ上の液滴の、当該EWOD装置中の第2の物体に対する位置を維持するためのセンサに基づく介入を含む電極駆動シーケンスを示す図である。
【0037】
図15A及び図15Bは、EWOD装置中の素子アレイ上の第1の液滴の、第2の移動する液滴に対する位置を維持するためのセンサに基づく介入を含む電極駆動シーケンスを示す図である。
【0038】
〔発明を実施するための形態〕
本発明の諸実施形態を、図面を参照しつつ以下に説明する。図面中、類似の参照番号は類似の構成要素を示す。図面は必ずしも原寸に比例していないことを理解されたい。
【0039】
図2は、本発明の実施形態に係る、EWODに基づくマイクロ流体システムの例を示す図である。図2の例において、測定システムはリーダ32とカートリッジ34を備える。カートリッジ34はマイクロ流体装置(例えば、EWODまたはAM‐EWOD装置36)、及び、従来と同様、当該装置への流体投入ポートと電気接続(図示せず)を有してよい。流体投入ポートは、例えばエレクトロウェッティングで制御されている投入リザーバから散布することによって、流体をAM‐EWOD装置36内に入れ当該装置内で液滴を作る機能を果たしてよい。以下でさらに詳しく述べるように、マイクロ流体装置は、投入された流体の液滴を収容するよう構成された電極アレイを備える。
【0040】
マイクロ流体システムはさらに、マイクロ流体装置の電極アレイに印加される駆動電圧を制御して流体の液滴への操作動作を行うよう構成された制御システムを有してよい。例えば、リーダ32は、制御電子機器38として構成された制御システムと、当該システムと関連する任意のアプリケーションソフトウェア及びデータを記憶する記憶装置40とを備えてよい。制御電子機器38は、AM‐EWOD装置36の制御に関するさまざまな制御動作を行うよう構成された適切な回路及び/又は処理装置(例えば、CPU、マイクロコントローラ、又はマイクロプロセッサ)を含んでよい。
【0041】
それらの機能の中で、本発明の諸特徴を実施するため、制御電子機器は、記憶装置40内に制御アプリケーションとして埋め込まれているプログラムコードを実行できる制御システム全体の一部を含んでよい。コンピュータプログラミング技術の当業者、特に電子制御装置用のアプリケーションプログラミングの当業者にとって、記憶された制御アプリケーションと関連する論理的機能を操作し実行するよう制御システムをプログラムする方法は明らかであろう。そこで、簡潔さを考慮して、具体的なプログラミングコードについての詳細は省略した。記憶装置40は、一時的でないコンピュータ読み取り可能な媒体(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去及びプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、又は他の任意の適切な媒体)として構成されてよい。また、例示的な実施形態では、コードは制御電子機器38によって実行されてよいが、そのような制御システム機能は、専用のハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせによっても、本発明の範囲を外れることなく実行できる。
【0042】
制御システムは、以下の機能のいくつか又はすべてを実行するよう構成されてよい。
【0043】
・AM‐EWOD装置36上で液滴を操作するための適切なタイミング信号を定める。
【0044】
・AM‐EWOD装置36と関連するセンサ又はセンサ回路によって測定されたセンサ情報を示す入力データを解釈する。それには、AM‐EWOD装置36上での液滴の位置、サイズ、重心、及び周囲の長さを計算することが含まれる。
【0045】
・計算されたセンサデータを用いて、AM‐EWOD装置36上の液滴を操作する適切なタイミング信号を定める。すなわち、フィードバックモードで作動する。
【0046】
・グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)の実装を提供する。当該GUIにおいて、ユーザは液滴操作(例えば、液滴を動かす)やアッセイ操作(例えば、アッセイを実行)のようなコマンドをプログラムしてよく、当該GUIはそのような操作の結果をユーザに報告してよい。
【0047】
図2の例において、液滴の性質を検知するために外部センサモジュール35が備えられている。例えば、本技術分野で知られている光学センサを、液滴の性質を検知する外部センサとして用いてよい。適切な光学センサとしては、カメラデバイス、光センサ、電荷結合素子(CCD)、及び同様の画像センサなどが挙げられる。以下でさらに詳述するように、上記の代わりに、センサを、各アレイ素子の駆動回路の一部として組み込まれた内部センサ回路として構成してもよい。そのようなセンサ回路は、アレイ素子での電気的性質、例えばインピーダンス又は静電容量を検知することで、液滴の性質を検知してもよい。
【0048】
制御システムは、マイクロ流体装置36の電極アレイに印加される駆動電圧(例えば、AM‐EWOD装置36上で液滴操作を行い、かつ、液滴を検知するのに必要な電圧及びタイミング信号)を、例えば制御電子機器38を通して、供給及び制御してよい。制御電子機器はさらに、アプリケーションソフトウェアを実行して、液滴検知用及び検知動作実行用の制御電圧を生成し出力してよい。使用中、リーダ32とカートリッジ34は、例えば接続ワイヤケーブル42によって、互いに電気的に接続されてよい。ただし、当業者に知られている、電気接続を提供するさまざまな他の方法(例えば、無線接続)を用いてもよい。
【0049】
図3は、本発明の実施形態に係る、例示的なAM‐EWOD装置36のさらなる詳細を示す概略斜視図である。AM‐EWOD装置36は下層基板44を有し、当該下層基板44の上に薄膜電子装置46が配置されている。薄膜電子装置46は、アレイ素子電極48を駆動するよう構成されている。複数のアレイ素子電極48が電極又は素子アレイ50内に配置される。当該素子アレイ50は、X個×Y個(X及びYは任意の整数)のアレイ素子を有する。任意の極性液体を含み、通常は水性である液滴52を、スペーサ56によって離間された下層基板44と上層基板54との間に入れる。ただし、多数の液滴52が存在しうる。
【0050】
図4は、図3の例示的なAM‐EWOD36のアレイ素子のいくつかの断面を示す図である。図4に示すAM‐EWOD装置の一部分において、当該装置は、断面で示されるアレイ素子電極48Aと48Bのペアを有する。上記アレイ素子電極48Aと48Bは、図3のAM‐EWOD装置36の電極又は素子アレイ50で用いられてよい。当該装置の構成は、図1に示す従来の装置の構成と類似しているが、AM‐EWOD装置36は薄膜電子装置46をさらに有している。当該薄膜電子装置46は下層基板44上に配置され、下層基板44はスペーサ56によって上層基板54から離間されている。下層基板44の最上層(これは、薄膜電子装置層46の一部と見なしてよい)は、複数のアレイ素子電極48(例えば、アレイ素子電極の具体例は、図4の48Aと48Bである)が形成されるように、パターニングされる。以下において、素子電極48というタームは、特定のアレイ電極と関連する物理的な電極構造48、及びこの物理的な構造に直接接続された電気回路のノード、の両方を指すのに用いてよい。図4に示す基準電極58は上層基板54上に配置されているが、それに代えて、基準電極は下層電極44上に配置されて面内基準電極構造を実現してもよい。以下において、基準電極58というタームは、物理的な電極構造、及びこの物理的な構造に直接接続された電気回路のノード、の両方または一方を指すのに用いてよい。
【0051】
図1の従来の構造と同様、AM‐EWOD装置36においても、液滴52によって満たされていない容積を、無極性流体60(例えば、オイル)で満たしてよい。導電素子電極48A及び48Bを第1疎水性コーティング64から離間させる絶縁層62を、下層基板44上に配置してよい。上記第1疎水性コーティング64上に、液滴52が、θで示される接触角66を成して存在している。疎水性コーティングは疎水性材料(一般的にはフッ素重合体であるが、これに限定されない)から形成される。上層基板54上には、液滴52が接触しうる第2疎水性コーティング68がある。上層基板54と第2疎水性コーティング68との間には、基準電極58がある。
【0052】
図5Aは、液滴52が存在する場合の、素子電極48と基準電極58との間の電気負荷70Aの回路図を示す。液滴52は通常、抵抗とキャパシタが並列したものとしてモデル化できる。典型的には、液滴の抵抗値は比較的低く(例えば、液滴がイオンを含んでいる場合)、液滴の静電容量は比較的高い(例えば、液滴が水性である場合、極性液体の誘電率は比較的高く、例えば~80だからである)。多くの場合、液滴の抵抗値は比較的小さく、そのため、エレクトロウェッティング用の所定の周波数では、液滴52は事実上、電気短絡回路として機能しうる。疎水性コーティング64及び68は、キャパシタとしてモデル化できる電気的特徴を有し、絶縁体62もまた、キャパシタとしてモデル化できる。素子電極48と基準電極58間のインピーダンス全体は、値が典型的には絶縁体62及び疎水性コーティング64と68の寄与により決定されるキャパシタに近似しうる。当該キャパシタの値は、典型的な層厚及び層材料の場合、ピコファラッドのオーダーでありうる。
【0053】
図5Bは、液滴が存在しない場合の、素子電極48と基準電極58との間の電気負荷70Bの回路図を示す。この場合、液滴要素は、上層基板と下層基板との間の空間を占める無極性流体60の静電容量を示すキャパシタに置き換えられる。この場合、素子電極48と基準電極58との間のインピーダンス全体は、値が無極性流体の静電容量によって決定されるキャパシタに近似しうる。当該キャパシタの値は、典型的には小さく、フェムトファラッドのオーダーである。
【0054】
アレイ素子を駆動し検知するために、電気負荷70A/70B全体は、事実上、キャパシタとして機能し、その値は、任意の素子電極48に液滴52が存在するかしないかによって決まる。液滴が存在する場合、静電容量は比較的高い(典型的にはピコファラッドのオーダー)が、液滴が存在しない場合、静電容量は低い(典型的にはフェムトファラッドのオーダー)。液滴が任意の電極48を部分的に覆う場合、静電容量は、液滴52が素子電極48を覆う範囲をおおよそ表しうる。
【0055】
図6は、本発明の実施形態に係る、図3の例示的なAM‐EWOD装置36中の薄膜電子機器46の例示的な構成を示す図である。薄膜電子機器46は、下層基板44上に位置している。素子アレイ50の各アレイ素子51は、対応する素子電極48の電極電位を制御するアレイ素子回路72を含む。制御信号をアレイ素子回路72に供給するために、行ドライバ74及び列ドライバ76を統合した回路も、薄膜電子機器46に実装されている。アレイ素子回路72はまた、アレイ素子の位置における液滴の存在又は不在を検知する検知能力を有してよい。各アレイ素子におけるセンサ回路の応答及び読み出しのために、センサ行応答回路78及び列検知回路80を統合した回路を、薄膜電子機器にさらに実装してよい。
【0056】
シリアル入力のデータストリームを処理し、アレイ50中の素子電極48に必要な電圧をプログラムするのを容易にするために、シリアルインターフェース82も備えてよい。ここでさらに説明するように、電圧供給インターフェース84は、対応する供給電圧、上層基板の駆動電圧、及び、他の必要な電圧入力を供給する。サイズの大きいアレイであっても、下層基板44と外部制御電子機器、電源、及び他の任意の部品との間の多数の接続ワイヤ86は、比較的少なくて済む。任意で、シリアルデータ入力は部分的に平行化してよい。例えば、2本のデータ入力線が用いられる場合、列駆動回路76を少し変えて、第1のデータ入力線が列1から列X/2までデータを供給し、第2のデータ入力線が列(1+X/2)から列Mまでデータを供給してよい。このように、データをアレイにプログラムする速度を大きくすることができる。これは、液晶ディスプレイ駆動回路で用いられる標準的な技術である。
【0057】
一般に、薄膜電子機器46を有する例示的なAM‐EWOD装置36は、以下のように構成されてよい。AM‐EWOD装置36は、上記した基準電極58(任意で、面内基準電極であってよい)と、素子アレイ50上の複数のアレイ素子51を含む。各アレイ素子51は、アレイ素子電極48とアレイ素子回路72を含む。それに関連して、AM‐EWOD装置36は、複数のアレイ素子に印加するエレクトロウェッティング電圧を制御することにより、アレイ素子を駆動して、アレイ上の液滴を操作する方法を実行するよう構成されてよい。印加された電圧は、図2に関して説明した制御システム(制御電子機器38及び記憶装置40に記憶したアプリケーション及びデータ)の動作によって提供されてよい。各アレイ素子51のエレクトロウェッティング電圧は、アレイ素子電極48と基準電極58間の電位差によって定められる。任意のアレイ素子におけるエレクトロウェッティング電圧を制御する方法は通常、制御システムの動作により、電圧をアレイ素子電極48に供給する工程と、電圧を基準電極58に供給する工程を含む。
【0058】
図7は、本発明の実施形態に係る、各アレイ素子51中に存在するアレイ素子回路72の例示的な構成を示す図である。アレイ素子回路72は駆動回路88を有してよい。当該駆動回路88は、入力ENABLE、DATA、及びACTUATEと、素子電極48に接続された出力とを有する。アレイ素子回路72はまた、液滴センサ回路90を有してよい。当該液滴センサ回路90は、素子電極48と電気的に接続していてよい。通常、液滴センサ回路90の読み出しは、一本又は複数本の応答線(例えば、RW)によって制御されてよい。当該一本又は複数本の応答線は、アレイの同じ行の複数の素子に共通でよく、かつ、一つまたは複数の出力(例えば、OUT)を有してよく、当該一つ又は複数の出力は、アレイの列のすべての素子に共通であってよい。
【0059】
アレイ素子回路72は通常、以下の機能を実行してよい。
【0060】
(i)アレイ素子電極に電圧を供給することにより、素子電極48を選択的に駆動。したがって、アレイ素子51において存在する任意の液滴を、エレクトロウェッティング効果により駆動又は駆動停止できる。
【0061】
(ii)アレイ素子51の位置における液滴の存在又は不在を検知する。検知手段は、静電容量式でも、光学式でも、熱式でも、他の手段によるものでもよい。アレイ素子回路の一部としてインピーダンスセンサ回路を用いる静電容量式検知を用いるのが便利かつ効率的でありうる。
【0062】
インピーダンスセンサ回路を含むアレイ素子回路72の例示的な構成は、本技術分野で周知であり、例えば、背景技術の項で参照した米国特許第8653832号、及び同一出願人によるUK出願GB1500261.1に記載されている。両文献ともに、参照によって本明細書に含まれる。これらの特許文献は、液滴が(エレクトロウェッティングによって)どのように駆動されうるか、液滴が静電容量又はインピーダンス検知手段によりどのように検知されうるかについての記載を含む。通常、静電容量検知とインピーダンス検知は類似しており、アレイ中の各素子において、同時に、又はほぼ同時に、実行しうる。そのようなセンサから戻ってきた情報を(例えば、リーダ32の記憶装置40中のアプリケーションソフトウェアによって)処理することにより、上記した制御システムは、リアルタイムで、又はほとんどリアルタイムで、素子アレイ50中に存在する各液滴の位置、サイズ、重心、及び周囲の長さを測定できる。図2に関連して参照したように、センサ回路に代わる手段は、液滴の性質の検知に使用可能な外部センサ(例えば、センサ35)を備えることであり、当該外部センサの例としては、光学的センサが挙げられる。
【0063】
本発明はEWOD装置、より具体的にはAM‐EWOD装置のアレイ素子を駆動する、改良された制御システム及び制御方法に関する。当該制御システムは、アレイ素子を駆動する方法を実行する。当該方法により、関連するアレイ素子が断続的に駆動されて、液滴を望ましい状態に維持する。断続的な駆動を用いることにより、上記制御システムはAM‐EWOD素子の駆動時間を最小にし、今度はそれにより、発生した電界に対する暴露及び暴露に由来する対象液滴又は装置構成部品に対するダメージを最小にする。
【0064】
本明細書で用いる特定のタームを以下のように定義する。液滴の「状態」とは、当該液滴の任意の性質、例えば、サイズ、形状、重心位置、アスペクト比、端部の位置、装置アレイ上の位置、装置アレイ上での他の物体に対する近さなどを指しうる。「望ましい液滴の状態」とは、参照項目(例えば、装置のさまざまな構成部品(アレイ素子、入力ポート又は出力ポート、及び当該装置内の他の物理的構造)、当該装置内の他の液滴など)に対してその他の点で測定しうる液滴状態(すなわち、上記の任意の液滴の性質)を指しうる。望ましい状態とは、通常、特定の状況を参照して決定される好ましい液滴の状態のことと考えてよい。「センサ測定」とは、液滴の性質を測定する任意の手段、例えば、本技術分野で周知の、アレイ素子回路中のインピーダンスセンサ回路によって実行されるインピーダンス測定や、外部光学センサ装置(例えば、カメラ、光センサ、CCDなど)によって行われる光学的測定を指しうる。「液滴と関連するアレイ素子」とは、EWOD装置上のアレイ素子のうち、駆動された際、液滴の状態を制御できる、又は液滴の状態に影響を与えることができる、又は他のかたちで液滴を操作できる、一部のアレイ素子のことである。
【0065】
断続的な駆動は、駆動時間を最小にして液滴構成要素又は装置構成部品にダメージが与えられる傾向を減らしつつ、液滴の状態を望ましい液滴の状態に保つのに十分な時間、液滴に関連するアレイ素子を駆動することを意図している。
【0066】
装置へのダメージは、絶縁体62及び疎水性コーティング(64及び68)が高い電界に暴露されることにより生じるものであり、これは、液滴が駆動されるときに生じる状況である。特に、疎水性コーティングは一般にエレクトレット材料から形成されており、そのため、その中にまたはその界面に電荷を捕える傾向がある。捕えられた電荷は、印加された電界をスクリーニングし、液滴に印加された駆動力を減らしうる。さらに、高い電界は、絶縁体/疎水性コーティングの分極化を起こしえ、それがまた、駆動力を減らしうる。さらに、高い電界は、絶縁体/疎水性コーティングを通る欠陥経路をときおり形成することがあり、その結果、電流が流れ、電気分解が生じ、装置が故障することがある。
【0067】
液体が、電界によって変性する構成要素、例えば、タンパク質、酵素、細胞、又は核酸を含んでいる場合、電界に暴露されることにより液体がダメージを受けうる。ダメージの程度は、累積電界暴露時間の関数でありうる。
【0068】
駆動電圧が切られた場合、液滴の形状及び厚さに見られた不均一さが、当該液滴の移動又は動きを引き起こしうる。その結果、液滴の状態が、望ましい液滴の状態から外れる可能性がある。例えば、液滴のサイズ、形状、重心の位置、端部の位置、装置アレイ上の位置などは、時間が経つにつれて望ましくないかたちで変化し、それが当該液滴の目的及び用途を台無しにし、おそらく、当該液滴が非常に近接した他の液滴と接触する、又は干渉するという望ましくない結果をもたらす可能性がある。そのような逸脱が生じた場合、断続的に駆動することで液滴を現在の液滴の状態から望ましい液滴の状態に戻すことができる。以下は、液滴が時間が経つにつれて外れることがある理由の、非限定的な例である。
【0069】
1.上層基板54と下層基板44間の間隔(例えば、スペーサ56によって制御される)が、液滴の横の広がりにおいて不均一であることがある。不均一な間隔は、液滴の横の広がりにおいてラプラス圧(拘束面によって部分的に定まる、液滴の内圧)の違いをもたらしうる。これが横力を生じさせ、装置のうち、基板間の間隔がより大きい部分へと液滴を移動させる。
【0070】
2.疎水性コーティング64及び68のいずれかがわずかに不均一で、液滴の横の広がりにおいて異なる疎水性を有していると、液滴がひとりでに動いたり形状を変えたりして疎水性がより低い領域を覆うことがある。
【0071】
3.液滴を平面視した際の輪郭が円形でない場合、時間が経つにつれて当該液滴が緩んでより円形の形状になることがある。
【0072】
4.装置全体が水平でない面で動作する場合、液滴は時間が経つにつれて重力の影響により流動することがある。
【0073】
一般に、本発明の原理によると、EWOD装置中の液滴に関連するアレイ素子の駆動シーケンスは、駆動実行期間の駆動停止期間に対する比率が無限ではない、すなわち、駆動停止期間がゼロではなく、駆動シーケンスの少なくとも一部分において駆動電圧が印加されないことが好ましい。この点で、発明者らは、液滴の状態の変化は時間の経過に伴って極めて徐々に生じがちである(装置及び/又は液滴の均一性が高い場合は、生じないことすらある)ということに気が付いた。したがって、駆動電圧が印加されない駆動停止期間は、液滴と関連するアレイ素子に駆動電圧が印加される駆動実行期間よりずっと長くできる。以下に記す図面は、本発明の原理に係るさまざまな制御方法に係る、液滴と関連するアレイ素子のさまざまな駆動シーケンスを示す。
【0074】
本発明は、誘電体エレクトロウェッティング(EWOD)装置及び制御システムを含む改良されたマイクロ流体システム、及び関連する制御方法を提供する。EWOD装置は、1つ又は複数の液滴を収容するよう構成された素子アレイを含み、当該素子アレイは複数のアレイ素子を含む。上記制御システムは、素子アレイに印加される駆動電圧を制御して、液滴に対する操作動作を実行するよう構成されている。例示的な実施形態では、上記制御システムは、液滴と関連するアレイ素子の一部分に連続した駆動電圧を印加して、所定の液滴の性質に対応する望ましい液滴の状態に液滴を保つよう構成されている。上記連続した駆動電圧は、液滴と関連するアレイ素子の一部分が駆動される駆動実行期間と、当該液滴と関連するアレイ素子の一部分が駆動されない駆動停止期間とを含み、駆動停止期間はゼロではない。例示的な実施形態では、上記制御システムは、所定のデューティサイクルを含む連続した駆動電圧を印加するよう構成されてよく、かつ/又は、駆動電圧はセンサに基づく介入に従って印加されてよい。
【0075】
図8から図15は、EWOD装置中の液滴と関連するアレイ素子の電極駆動シーケンスを示す図である。当該シーケンスは、EWOD装置において液滴の望ましい状態を維持又は確立するために行われる。全体として、これらの図は、上記した素子アレイ50と交換可能な素子アレイ100を示す。図面の利便性のため、EWOD装置のさらなる詳細はこれらの図面では省略しているが、素子アレイ100を用いるEWOD装置は、図2から図7に関連して上記のように構成してよい。したがって、素子アレイ100が含む複数のアレイ素子102はそれぞれがアレイ素子51と交換可能であり、したがってそれぞれが、例えば電極48及び58と、対応するアレイ素子回路72とを含む。当該アレイ素子回路72は、液滴センサ回路90(例えば、インピーダンス又は静電容量検知回路)を含んでよい。上に定義したように、液滴と関連するアレイ素子とは、EWOD装置上にあるアレイ素子のうち、駆動された際に液滴の状態を制御できる、又は液滴の状態に影響を与えることができる、又はそれ以外のかたちで液滴を操作できるアレイ素子の一部分を指す。図8から図15の例において、アレイ素子102aは液滴104と関連するものとして示され、残りのアレイ素子102bは、アレイのうち、アレイ素子が液滴104と関連しない領域にある。すなわち、アレイ素子102bは液滴の状態を制御する又は液滴の状態に影響を与えることに関与しない。
【0076】
例示的な実施形態において、制御システムは、適切な駆動電圧を印加して、液滴と関連するアレイ素子の電極駆動シーケンスを、所定の時間、比率、及び持続時間、規定の又は事前に設定されたデューティサイクルに従って、液滴の状態を構成する実際のリアルタイムの性質に関係なく、実行する。全体として、所定のデューティサイクルを、駆動実行期間の駆動停止期間に対する比率が無限でないように、すなわち、また、駆動停止期間がゼロではなく、デューティサイクルの少なくとも一部において駆動電圧が印加されないように、構成してよい。上記したように、液滴の状態の変化は時間の経過に伴って極めて徐々に生じることがあり、このため、駆動停止期間を駆動実行期間よりずっと長くすることができる。この判断に基づき、適切なデューティサイクルを、約10%の駆動実行/90%の駆動停止として特徴づけてよい。すなわち、駆動実行期間の駆動停止期間に対する比率は1:10以下である。そのようなパラメータの場合、適切なデューティサイクルの例は、駆動電圧を、液滴と関連するアレイ素子の電極に対して、5.0秒毎に0.5秒、印加することでよい。他の適当なデューティサイクルを、特定の状況又は用途に適するように用いてもよい。
【0077】
他の状況では、液滴の状態変化は、時間の経過に伴ってより急速に生じることがあり、そのため、駆動停止期間を、駆動実行期間よりもさほど大きくしないようにする必要がある。例えば、液滴をEWOD装置に入れる間、そのサイズはかなり急速に変化し、望ましい液滴の状態(例えば、望ましい液滴重心位置又は液滴アスペクト比が挙げられるが、これらに限定されない)を維持するために、適切なデューティサイクルを、駆動実行期間の駆動停止期間に対する比率が1:2以上として特徴づけてよい。そのようなパラメータの場合、適切なデューティサイクルの例は、駆動電圧を、液滴と関連するアレイ素子の電極に対して、1.5秒毎に0.5秒、印加することでよい。ここでもまた、特定の状況又は用途に適した任意の適当なデューティサイクルを用いてもよい。
【0078】
図8から図10は、電極駆動シーケンスを示す図である。当該電極駆動シーケンスは、EWOD装置中の関連する素子アレイ上の液滴の望ましい状態を維持する所定のデューティサイクルを含む。図8の例において、素子アレイ100上の液滴の位置を維持するために、所定のデューティサイクルを含む電極駆動シーケンスが加えられる。図8中の駆動シーケンスの各ステップを、それぞれA、B、C、Dと名付ける。さらに、図8の例において、液滴104と関連するアレイ素子102aは9つある。これらを駆動して、アレイ100上における液滴104の現在の位置を維持することができる。液滴と関連する素子の数及び位置は、任意の特定の状況に適するように変えられることがわかるであろう。残りの素子102bは、アレイのうち、液滴104と関連しない領域にある。すなわち、液滴102bは、液滴の現在の位置を維持することには関与せず、そのため、駆動シーケンスA~D全体で駆動されないままである。
【0079】
図8の駆動シーケンスは、駆動停止期間であるシーケンスステップA及びCと、駆動実行期間であるシーケンスステップB及びDとを交互に行うデューティサイクルを示す。図8に示すように、駆動停止期間中、液滴104はアレイ100上の特定の位置にある。液滴104がこの位置を維持するようにするため、制御システムは定期的に、当該液滴と関連するアレイ素子102aの部分に駆動電圧を印加する。駆動時、電界は上記液滴をアレイ素子電極に引き寄せる。シーケンスステップB及びDに示すように、液滴104の境界は、電界によって引き寄せられ、駆動されたアレイ素子の境界に相応する。駆動電圧が解除されると、液滴104は、例えばシーケンスステップBからステップCへの移行に示されるように、非駆動状態に戻る。
【0080】
所定のデューティサイクルに従って断続的に駆動を加えることにより、液滴104は、全体として、その望ましい状態を維持し、シーケンスステップAの初期位置から実質的に動かない。ここでもまた、液滴の状態変化は時間の経過に伴って極めて徐々に生じるので、駆動停止期間は、駆動実行期間に比べてかなり長くてよい(例えば、駆動実行期間の駆動停止期間に対する比率は、1:10以下である)。
【0081】
図9は、電極駆動シーケンスが、液滴の望ましい形状又はアスペクト比を維持するための所定のデューティサイクルを含む変形例である。図9の駆動シーケンスの各ステップは、同様に、それぞれA、B、C、Dと名付けられる。さらに、図9の例において、液滴104と関連するアレイ素子102aは、シーケンスステップAに示す望ましい状態にある当該液滴104が長方形状又は卵形状であるために、32個ある。アレイ素子102aを駆動して、アレイ100上の液滴104のそのような形状及びアスペクト比を維持することができる。したがって、図9の駆動シーケンスは、駆動停止期間であるシーケンスステップA及びCと、駆動実行期間であるシーケンスステップB及びDとを交互に行うデューティサイクルを示す。駆動停止期間中、液滴104は、アレイ100上で望ましい卵形状及び長方形状を維持する。液滴104がこの形状を維持するようにするため、制御システムは定期的に、駆動電圧を、当該液滴と関連するアレイ素子102aの部分に印加する。駆動時、電界が液滴をアレイ素子電極に引き寄せる。シーケンスステップB及びDに示すように、液滴104の境界は、電界によって引き寄せられ、駆動されたアレイ素子の境界に相応する。駆動電圧が解除されると、液滴104は、例えばシーケンスステップBからステップCへの移行に示されるように、非駆動状態に戻る。図8と同様、図9のシーケンスでも、類似のデューティサイクルを用いてよい。
【0082】
図10は、電極駆動シーケンスが、液滴の望ましいサイズを維持するための所定のデューティサイクルを含む変形例である。図10における駆動シーケンスの各ステップは、同様に、それぞれAからFと名付けられる。さらに、図10の例において、シーケンスステップAに示す液滴104の望ましいサイズを維持するために駆動されうる、当該液滴104に関連するアレイ素子102aは9つある。アレイ素子102aを駆動して、アレイ100上の液滴104のそのようなサイズを維持することができる。したがって、図10の駆動シーケンスは、駆動停止期間であるシーケンスステップA及びBとD及びEと、駆動実行期間であるシーケンスステップC及びFとを交互に行うデューティサイクルを示す。図8及び9と同様、図10のシーケンスでも、類似のデューティサイクルを用いてよい。
【0083】
図10の例は、駆動停止期間中に液滴物質の移動が当該液滴の状態を望ましい状態から変化させる可能性を示す。この特定の液滴サイズの例では、ステップA及びBに渡る駆動停止期間中、液滴が広がり、サイズが変わって、当該液滴がステップBで覆うアレイ100の方が、ステップAの望ましい状態で覆うアレイ100よりも広くなる。駆動時、電界が液滴を駆動されたアレイ素子電極に引き寄せる。シーケンスステップCに示すように、液滴104の境界は、電界によって引き寄せられ、駆動されたアレイ素子の境界に相応する。駆動電圧が解除されると、液滴104は、例えばシーケンスステップCからステップDへの移行に示されるように、非駆動状態に戻る。この例においては、シーケンスステップDとEに渡る駆動停止期間中、液滴の移動は実際には生じない。しかし、駆動は所定の又は事前に設定されたデューティサイクルに従って生じるので、上記所定のデューティサイクルが当該液滴のリアルタイムの状態とは無関係である限り、たとえ液滴の状態が変化していなくても、電極102aはシーケンスステップFで駆動される。移動はまた、液滴の状態を、位置の点で望ましい状態(図8)、又は形状の点で望ましい状態(図9)、又は他の液滴の性質において望ましい状態から変化させうるが、デューティサイクルに従った駆動により、液滴は、当該液滴の望ましい状態に対応する状態に戻る。
【0084】
例示的な実施形態では、制御システムは、任意の数の所定の又は事前に設定されたデューティサイクルを、制御アプリケーションの一部として、実行可能なプログラムコードとして記憶し実行してよい。例えば、制御アプリケーションは、装置の異なる動作モードに対応する任意の数のデューティサイクル用の実行可能なプログラムコードを含んでよい。当該実行可能なプログラムコードは、記憶装置40中に記憶され、制御電子機器38(図2参照)のプロセッサデバイスによって実行されてよい。特定のデューティサイクルの開始は、ユーザが、制御電子機器のインターフェースデバイスを介して選択することによって開始してもよく、又は、制御アプリケーションの一部として自動的に選択してもよい。さらに、素子アレイの異なる部分に異なるデューティサイクルを適用する制御アプリケーションを実行してもよい。
【0085】
他の例示的な実施形態において、AM‐EWOD装置は、1つ又は複数のセンサ、例えば各アレイ素子内のセンサ回路90、又は複数の外部センサ35を有し、それらが液滴の状態についての情報及びフィードバックを提供する。センサ回路又は他のセンサを用いる実施形態において、センサによって集められたデータに基づいて、液滴を望ましい状態に維持する(例えば、液滴の位置を維持し、液滴が所定位置から流動しないようにする、特定の液滴形状を維持する、特定の液滴サイズを維持する、など)ために介入が必要なときのみ、制御システムが動作して適切な駆動電圧を印加する。例えば、制御システムは、液滴の状態が望ましい状態から所定の量又は他の所定の基準だけ外れたと判定すると、当該液滴と関連するアレイ素子に駆動電圧を印加して、当該液滴を当該望ましい状態に戻してよい。
【0086】
したがって、本発明の例示的な実施形態では、マイクロ流体システムは、液滴の状態を検知するセンサをさらに備えてよい。制御システムは、上記センサから液滴状態情報を受け取り、当該液滴状態情報に基づいて、所定の基準に従って、液滴が望ましい液滴の状態から外れた状態にあるかどうかを判定し、上記制御システムが上記液滴の状態は上記所定の基準を満たすと判定した場合、上記液滴と関連するアレイ素子の部分に駆動電圧を印加して、上記液滴を上記望ましい液滴の状態に戻すよう構成されてよい。
【0087】
図11から図15は、EWOD装置中の関連する素子アレイ上の液滴の望ましい状態を維持するための、センサに基づく介入を含む、電極駆動シーケンスを示す図である。図11の例において、素子アレイ100上の液滴の位置を維持するため、センサに基づく介入を含む電極駆動シーケンスを適用する。図11の駆動シーケンスの各ステップは、それぞれAからEと名付けられる。さらに、図11の例において、液滴104に関連するアレイ素子102aは9つあり、これらを駆動して、アレイ100上の液滴104の現在の位置を維持することができる。ここでもまた、液滴と関連する素子の数及び位置は、任意の特定の状況に適するように変えることができる。残りの液滴102bは、アレイのうち、液滴104と関連しない領域にある。すなわち、液滴102bは、液滴の現在の位置を維持することには関与せず、したがって、駆動シーケンスAからEの全体において、駆動されないままでいる。
【0088】
図11に示すように、シーケンスステップAは、液滴104がアレイ100上の特定の位置にある駆動停止期間である。シーケンスステップBにおいて、液滴はシーケンスステップAの望ましい状態位置から流動する。液滴の位置は、液滴が望ましい位置から所定の量又は他の所定の基準だけ外れるまでセンサによって追跡しうる。図11の例では、液滴の位置はさらに移動し、シーケンスステップCにおいては液滴104は望ましい位置から所定の量だけ逸脱している。したがって、シーケンスステップCにおいて、制御システムは、上記液滴と関連するアレイ素子102aの部分に駆動電圧を印加する。駆動時、電界が上記液滴をアレイ素子電極へと引き寄せ、シーケンスステップDに示されるように、液滴104は電界に引き寄せられて駆動されたアレイ素子の境界に相応になる。その結果、液滴104は望ましい状態の位置に引き戻され、シーケンスステップEに示されるように駆動電圧が解除されると、液滴104は、シーケンスステップAに対応した、望ましい位置に戻って、非駆動状態に戻る。
【0089】
センサ情報に従って断続的な駆動を加えることにより、液滴104はおおむねその望ましい状態を維持し、シーケンスステップAの初期位置からの所定基準を超える逸脱はすべて除かれる。ここでもまた、液滴の状態変化は時間の経過に伴って極めて徐々に生じるので、駆動停止期間は駆動実行期間よりずっと長くてよい。さらに、センサに基づく駆動を用いることにより、液滴を望ましい状態(図11の例の望ましい位置)に戻すのに必要なだけ駆動電圧を印加する限り、駆動停止期間は最小となる。任意の適した望ましい状態に関連する性質に対して、類似の駆動制御を加えてよい。それについて、以下の追加図面の例を参照して説明する。
【0090】
図12は、電極駆動シーケンスが、液滴の望ましい形状又はアスペクト比を維持するためのセンサに基づく介入を含む、変形例である。図12の駆動シーケンスの各ステップは、同様に、それぞれAからEと名付けられる。シーケンスステップAは、液滴104がアレイ100上で特定の形状及びアスペクト比を有する駆動停止期間である。さらに、図12の例において、シーケンスステップAに示す望ましい状態にある液滴104が長方形状又は卵形状を有するため、液滴104と関連するアレイ素子102aは32個ある。シーケンスステップBにおいて、液滴はシーケンスステップAの望ましい状態の形状から外れ、押し延ばされてより円形になる。液滴の形状とアスペクト比は、液滴がシーケンスステップAの望ましい形状から所定の量又は他の所定の基準だけ外れるまで、センサによって追跡しうる。したがって、シーケンスステップCにおいて、制御システムは、液滴と関連するアレイ素子102aの部分に駆動電圧を印加する。駆動時、電界が液滴をアレイ素子電極へ引き寄せ、シーケンスステップDに示すように、液滴104は電界によって引き寄せられて、駆動されたアレイ素子の境界に相応する。その結果、液滴104は望ましい状態の形状及びアスペクト比へと引き戻され、シーケンスステップEに示すように駆動電圧が解除されると、液滴104は、シーケンスステップAに対応する望ましい形状及びアスペクト比を有する、非駆動状態に戻る。
【0091】
図13は、電極駆動シーケンスが、液滴の望ましいサイズを維持するためのセンサに基づく介入を含む、変形例である。図13の駆動シーケンスの各ステップは、同様に、それぞれAからEと名付けられる。シーケンスステップAは、液滴104がアレイ100上で特定のサイズを有する駆動停止期間である。シーケンスステップBにおいて、液滴はシーケンスステップAの望ましい状態のサイズから外れ、広がってより大きな円形になる。液滴のサイズは、液滴が望ましいサイズから所定の量又は他の所定の基準だけ外れるまで、センサによって追跡しうる。図13の例において、液滴のサイズはさらに外れ、シーケンスステップCにおいて、液滴104は望ましいサイズから所定の量だけ外れている。したがって、シーケンスステップCにおいて、制御システムは、液滴と関連するアレイ素子102aの部分に駆動電圧を印加する。駆動時、電界が液滴をアレイ素子電極へ引き寄せ、シーケンスステップDに示すように、液滴104は電界によって引き寄せられて、駆動されたアレイ素子の境界に相応する。その結果、液滴104は望ましい状態のサイズへと引き戻され、シーケンスステップEに示すように駆動電圧が解除されると、液滴104は、シーケンスステップAに対応する望ましいサイズを有する非駆動状態に戻る。
【0092】
図14は、図11と同様、電極駆動シーケンスが、液滴の望ましい位置を維持するためのセンサに基づく介入を含む、他の変形例を示す。図14の駆動シーケンスの各ステップは、同様に、それぞれAからEと名付けられる。この特定の例において、液滴104も第2の物体と近接して位置している。当該第2の物体は、その位置が知られており、それとの衝突が望ましくない物体である。図14の特定の例において、上記第2の物体は、第2の液滴106であり、その位置は、任意の適当なセンサ(例えば、インピーダンスセンサ回路又は適当な外部センサ)によって検知してよい。しかし、上記第2の物体は、他の液滴以外の物体、例えば、装置内の物理的な障害物(例えば、装置の壁又はスペーサ)でもよい。
【0093】
図14の例に示すように、シーケンスステップAは、第1の液滴104が、アレイ100上で、第2の物体(例えば、第2の液滴)106から適当な間隔を置いて特定の位置にある、駆動停止期間である。シーケンスステップBにおいて、第1の液滴104は、シーケンスステップAの望ましい状態位置から移動している。液滴の位置は、第1の液滴104が望ましい位置から所定の量又は他の所定の基準だけ外れるまで、センサによって追跡しうる。この例において、上記所定の基準とは、第2の物体(例えば、第2の液滴106)に対する近さの閾値であってよく、これは衝突の可能性を示しうる。図14の例において、第1の液滴の位置はさらに移動し、シーケンスステップCにおいて、第2の液滴106に対する近さである所定の基準に照らして第1の液滴104が望ましい位置から外れるに至る。したがって、シーケンスステップCにおいて、制御システムは、第1の液滴104に関連するアレイ素子102aの部分に駆動電圧を印加する。駆動時、電界が第1の液滴をアレイ素子電極へ引き寄せ、シーケンスステップDに示すように、第1の液滴104は電界によって引き寄せられて、駆動されたアレイ素子の境界に相応する。その結果、第1の液滴104は望ましい状態の位置へと引き戻され、シーケンスステップEに示すように駆動電圧が解除されると、第1の液滴104は、シーケンスステップAに対応する、第2の液滴106から適当な間隔を置いた望ましい位置での非駆動状態に戻る。
【0094】
図15A及び15Bは、電極駆動シーケンスが、液滴の望ましい位置を維持するためのセンサに基づく介入を含む、他の変形例を示し、当該変形例は、第2の液滴106がアレイ100を横切って、小図中の矢印で示される方向に動かされること以外は、図14と同様である。上記したように、第2の液滴106の位置も、任意の適当なセンサ(例えば、インピーダンスセンサ回路又は適当な外部センサ)によって検知されてよく、第2の液滴106の移動は、本技術分野で周知の、第2の液滴106を移動させることに関連した、アレイ素子102cの他の部分の連続的な駆動により達成されてよい。2つの液滴の衝突は望ましくない。そのような衝突を避けるための、図15A及び15Bの駆動シーケンスの各ステップを、シーケンスステップAからEと同様に示す。
【0095】
図15A及び15Bの例に示すように、シーケンスステップAは、第1の液滴104が、アレイ100上で、矢印で示される移動中の第2の液滴106の進路から適当な間隔を置いていない特定の位置にある駆動停止期間である。そのような位置では、移動中の第2の液滴106と衝突する可能性がある。上記してきた実施形態と同様、液滴の位置がセンサによって追跡されて、当該液滴の位置が望ましい位置と所定の量又は他の所定の基準だけ異なるかどうか判定されてよい。この例において、所定の基準とは、移動中の第2の液滴106の進路に対する近さの閾値であってよく、これは衝突の可能性を示しうる。この例において、移動中の第2の液滴106の進路を考慮すると、シーケンスステップAの液滴の状態は、たとえそのような位置がそれまでは望ましい状態だったとしても、望ましくない状態だと見なしうる。したがって、シーケンスステップBにおいて、制御システムは、第1の液滴104に関連するアレイ素子102aの部分に駆動電圧を印加する。駆動時、電界が第1の液滴をアレイ素子電極へ引き寄せ、シーケンスステップCに示すように、第1の液滴104は電界によって引き寄せられて、駆動されたアレイ素子の境界に相応する。その結果、第1の液滴104は、移動中の液滴106の進路から適当な間隔を置いた望ましい状態の位置へと引き寄せられる。この駆動は、第2の液滴106が第1の液滴104を通り過ぎる際、シーケンスステップDに示すように維持され、それによって衝突を避けてよい。シーケンスステップEに示すように駆動電圧が解除されると、第1の液滴104は、第2の液滴106から適当な間隔を置いた現在の望ましい位置で、非駆動状態に戻る。または、第2の液滴106が第1の液滴104を通り過ぎたあと、制御システムがアレイ素子の一部分に適当な駆動電圧を印加して、液滴をシーケンスステップAの初期位置に戻してもよい。
【0096】
したがって、本発明の制御システム及び関連する制御方法は、アレイ素子の断続的な駆動を提供するよう動作して、必要な液滴操作を効率的に行いながら、EWOD又はAM‐EWOD素子が駆動される時間を最小にする。アレイ素子の駆動時間を最小にすることで、発生した電界への曝露を最小にし、それにより、対象の液滴又は装置の構成部品に対するダメージをもたらす傾向が減らされる。このように、断続的に駆動することで、アレイ素子及び関連する液滴が駆動される期間が制限されるという利点がある。これにより、装置の信頼性が向上し、かつ/又は、液滴内の化学的又は生物学的に弱い試薬へのダメージが防がれる。
【0097】
センサに基づく介入を液滴の状態に対して行っているので、より最適化された駆動期間が実現され、そのため、センサを用いるEWODシステムでは、センサに基づく介入が好ましい。しかし、センサの存在が、すべてのEWOD用途又は技術において有益又は適しているわけではない。例えば、センサは通常、パッシブEWOD装置では用いられないし、EWOD装置の中には、画素サイズが小さすぎて、効果的なセンサ回路又は他のセンサを組み込めないものがある。センサを用いないそのようなEWOD装置の場合は、事前に設定した又は所定のデューティサイクルによる断続的な駆動が好都合である。
【0098】
したがって、本発明の一態様は、1つ又は複数の流体の液滴を収容するよう構成された素子アレイを有し、当該素子アレイは複数のアレイ素子を含む、誘電体エレクトロウェッティング(EWOD)装置と、上記素子アレイに印加される駆動電圧を制御して上記流体の液滴に対して操作動作を行うよう構成された制御システムと、を備える、改良されたマイクロ流体システムである。例示的な実施形態では、上記制御システムは、液滴と関連する複数のアレイ素子の部分に連続した駆動電圧を印加して、上記液滴を、所定の液滴の性質に対応する望ましい液滴の状態に維持するよう構成されている。上記連続した駆動電圧には、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分が駆動される駆動実行期間と、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分が駆動されない駆動停止期間とがあり、上記駆動停止期間はゼロではない。上記マイクロ流体システムは、以下の諸特徴のうち1つ又は複数を、個々に又は組み合わせて有してよい。
【0099】
上記マイクロ流体システムの例示的な実施形態において、上記制御システムは、駆動電圧における、所定の時間、比率、及び持続時間を含む所定のデューティサイクルを有する連続した駆動電圧を、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分に印加するよう構成されている。
【0100】
上記マイクロ流体システムの例示的な実施形態において、上記デューティサイクルの上記駆動停止期間は、上記デューティサイクルの上記駆動実行期間より長い。
【0101】
上記マイクロ流体システムの例示的な実施形態において、上記デューティサイクルの上記駆動実行期間の、上記デューティサイクルの上記駆動停止期間に対する比は、1:10以下である。
【0102】
上記マイクロ流体システムの例示的な実施形態において、上記マイクロ流体システムは、液滴の状態を検知するセンサをさらに備え、上記制御システムは、上記センサから液滴状態情報を受け取り、液滴が上記望ましい液滴の状態から外れた状態にあるかどうかを、上記液滴状態情報に基づき、所定の基準に従って判定し、上記制御システムが、上記液滴の状態が上記所定の基準を満たすと判定した場合は、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分に駆動電圧を印加して、上記液滴を上記望ましい液滴の状態に戻すよう構成されている。
【0103】
上記マイクロ流体システムの例示的な実施形態において、上記センサは、1つ又は複数のアレイ素子に組み込まれたセンサ回路を有する。
【0104】
上記マイクロ流体システムの例示的な実施形態において、上記望ましい液滴の状態の上記所定の液滴の性質は、上記素子アレイ上の液滴の位置、液滴の形状又はアスペクト比、液滴のサイズ、上記素子アレイ上での上記液滴の第2の物体又は第2の液滴に対する近さ、及び、上記アレイに沿って移動する第2の液滴の進路に対する上記液滴の近さ、のうち少なくとも1つに基づく。
【0105】
本発明の他の態様は、誘電体エレクトロウェッティング(EWOD)装置上の素子アレイの複数のアレイ素子に印加される駆動電圧を制御する、関連する制御方法である。例示的な実施形態において、上記制御方法は、上記素子アレイ上に1つ又は複数の流体の液滴を収容する工程と、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分に連続した駆動電圧を印加して、上記液滴を、所定の液滴の性質に対応する望ましい液滴の状態に維持する工程と、を含み、上記連続した駆動電圧には、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分が駆動される駆動実行期間と、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分が駆動されない駆動停止期間とがあり、上記駆動停止期間はゼロではない。上記マイクロ流体システムは、以下の諸特徴のうち1つ又は複数を、個々に又は組み合わせて有してよい。
【0106】
上記制御方法の例示的な実施形態において、連続した駆動電圧を印加する工程は、駆動電圧における、所定の時間、比率、及び持続時間を含む所定のデューティサイクルに従って、駆動電圧を、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分に印加する工程を含む。
【0107】
上記制御方法の例示的な実施形態において、上記デューティサイクルの上記駆動停止期間は、上記デューティサイクルの上記駆動実行期間より長い。
【0108】
上記制御方法の例示的な実施形態において、上記デューティサイクルの上記駆動実行期間の、上記デューティサイクルの上記駆動停止期間に対する比は、1:10以下である。
【0109】
上記制御方法の例示的な実施形態において、上記デューティサイクルは、駆動電圧を、液滴と関連する上記複数のアレイ素子に、5.0秒毎に0.5秒間、印加する。
【0110】
上記制御方法の例示的な実施形態において、上記制御方法は、液滴の状態をセンサで検知する工程と上記検知された液滴の状態が、上記望ましい液滴の状態から外れた状態であるかどうかを、所定の基準に従って判定する工程と、上記液滴の状態が上記所定の基準を満たすと判定された場合は、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分に駆動電圧を印加して、上記液滴の状態を上記望ましい液滴の状態に戻す工程と、をさらに含む。
【0111】
上記制御方法の例示的な実施形態において、液滴の状態を上記センサで検知する工程は、上記素子アレイ上の液滴の位置を検知する工程を含み、上記制御方法は、上記検知された液滴の状態が、上記液滴の位置が望ましい液滴の状態の位置から外れた状態であるかどうかを、上記所定の基準に従って判定する工程と、上記液滴の状態が上記所定の基準を満たすと判定された場合は、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分に駆動電圧を印加して、上記液滴の状態を上記望ましい液滴の状態の位置に戻す工程と、をさらに含む。
【0112】
上記制御方法の例示的な実施形態において、上記所定の基準は、上記素子アレイ上で、上記液滴が、第2の物体に対して事前に設定された近さの範囲内の位置にあるかどうかを含む。
【0113】
上記制御方法の例示的な実施形態において、上記所定の基準は、上記素子アレイ上で、上記液滴が、移動中の第2の液滴の進路に対して事前に設定された近さの範囲内の位置にあるかどうかを含む。
【0114】
上記制御方法の例示的な実施形態において、液滴の状態を上記センサで検知する工程は、液滴の形状又はアスペクト比を検知する工程を含み、上記制御方法は、上記検知された液滴の状態が、上記液滴の形状又はアスペクト比が望ましい液滴の状態の形状又はアスペクト比から外れた状態であるかどうかを、所定の基準に従って判定する工程と、上記液滴の状態が上記所定の基準を満たすと判定された場合は、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分に駆動電圧を印加して、上記液滴の状態を上記望ましい液滴の状態の形状又はアスペクト比に戻す工程と、をさらに含む。
【0115】
上記制御方法の例示的な実施形態において、液滴の状態を上記センサで検知する工程は、液滴のサイズを検知する工程を含み、上記制御方法は、上記検知された液滴の状態が、上記液滴のサイズが望ましい液滴の状態のサイズから外れた状態であるかどうかを、所定の基準に従って判定する工程と、上記液滴の状態が上記所定の基準を満たすと判定された場合は、上記液滴と関連する複数のアレイ素子の部分に駆動電圧を印加して、上記液滴の状態を上記望ましい液滴の状態のサイズに戻す工程と、をさらに含む。
【0116】
本発明の他の態様は、プログラムコードを記憶する、一時的でないコンピュータ読み取り可能な媒体であって、上記プログラムコードは、誘電体エレクトロウェッティング(EWOD)装置の素子アレイの複数のアレイ素子に印加される駆動電圧を制御する処理装置上で実行されるものであり、上記誘電体エレクトロウェッティング(EWOD)装置は上記素子アレイ上の液滴に対して液滴操作を行うためのものである。上記プログラムコードは、上記処理装置で実行されて、上記制御方法の各ステップを実行可能である。
【0117】
特定の実施形態を参照しつつ本発明を示し、記載してきたが、本明細書及び添付の図面を読み理解するならば、当業者は均等の代替例及び修正例に思い至ることができるであろう。特に、上に記載した要素(構成部品、アセンブリ、装置、組成など)によって実行されるさまざまな機能に関して、そのような要素を説明するために用いられたターム(「手段」への言及を含む)は、特段の断りがない限り、説明された要素の特定の機能を実行する(すなわち、機能的に均等である)任意の要素に対応することが意図されており、それは、本発明の本明細書中の例示的な実施形態における機能を実行する開示された構造に構造的に均等でない場合も含まれる。さらに、本発明の特定の特徴は、上記の説明において、いくつかの実施形態のうちただ1つ又は複数に関連して説明されたが、そのような特徴は、任意の又は特定の用途に望ましく好都合であるように、他の実施形態の他の特徴の1つ又は複数と組み合わせてよい。
【0118】
〔産業上の利用可能性〕
記載された実施形態を用いて、改良されたAM‐EWOD装置を提供することができる。当該AM-EWOD装置は、ラボオンチップシステムの一部を成すことができる。そのような装置は、化学的、生化学的、又は生理学的物質を操作し、反応させ、検知するのに用いることができる。用途としては、健康管理診断検査、物質検査、化学的又は生化学的材料合成、プロテオミクス、ライフサイエンス及び法科学における検査ツールが挙げられる。
【0119】
〔符号の説明〕
10 下層基板
12/12A、12B 素子電極
14 液滴
16 上層基板
18 スペーサ
20 無極性包囲流体
22 絶縁層
24 第1疎水性コーティング
26 接触角
28 第2疎水性コーティング
30 基準電極
32 リーダ
34 カートリッジ
35 外部センサモジュール
36 EWOD又はAM‐EWOD装置
38 制御電子装置
40 記憶装置
42 接続ワイヤケーブル
44 下層基板
46 薄膜電子装置
48/48A/48B 素子電極
50 電極素子アレイ
51 アレイ素子
52 液滴
54 上層基板
56 スペーサ
58 基準電極
60 無極性流体
62 絶縁層
64 第1疎水性コーティング
66 接触角
68 第2疎水性コーティング
70A 電気負荷(液滴が存在する場合)
70B 電気負荷(液滴が存在しない場合)
72 アレイ素子回路
74 行ドライバ
76 列ドライバ
78 センサ行応答回路
80 列検知回路
82 シリアルインターフェース
84 電圧供給インターフェース
86 多数の接続ワイヤ
88 駆動回路
90 センサ回路
100 素子アレイ
102 個々のアレイ素子
102a 液滴と関連するアレイ素子
102b 液滴と関連しないアレイ素子
102c 第2の液滴と関連するアレイ素子
104 液滴
106 第2の液滴
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1】従来のEWOD装置の断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る、EWODに基づくマイクロ流体システムの例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る、例示的なAM‐EWOD装置を示す概略斜視図である。
図4図3の例示的なAM‐EWODのアレイ素子のいくつかの断面図である。
図5図5Aは、液滴が存在する場合の、素子電極での電気負荷を示す回路図である。図5Bは、液滴が存在しない場合の、素子電極での電気負荷の回路図である。
図6】本発明の実施形態に係る、図3の例示的なAM‐EWOD装置中の薄膜電子機器の例示的な構成を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る、アレイ素子回路の例示的な構成を示す図である。
図8】EWOD装置中の素子アレイ上の液滴位置を維持するデューティサイクルを含む電極駆動シーケンスを示す図である。
図9】EWOD装置中の素子アレイ上の液滴形状を維持するデューティサイクルを含む電極駆動シーケンスを示す図である。
図10】EWOD装置中の素子アレイ上の液滴サイズを維持するデューティサイクルを含む電極駆動シーケンスを示す図である。
図11】EWOD装置中の素子アレイ上の液滴位置を維持するためのセンサに基づく介入を含む電極駆動シーケンスを示す図である。
図12】EWOD装置中の素子アレイ上の液滴形状を維持するためのセンサに基づく介入を含む電極駆動シーケンスを示す図である。
図13】EWOD装置中の素子アレイ上の液滴サイズを維持するためのセンサに基づく介入を含む電極駆動シーケンスを示す図である。
図14】EWOD装置中の素子アレイ上の液滴の、当該EWOD装置中の第2の物体に対する位置を維持するためのセンサに基づく介入を含む電極駆動シーケンスを示す図である。
図15A】EWOD装置中の素子アレイ上の第1の液滴の、第2の移動する液滴に対する位置を維持するためのセンサに基づく介入を含む電極駆動シーケンスを示す図である。
図15B】EWOD装置中の素子アレイ上の第1の液滴の、第2の移動する液滴に対する位置を維持するためのセンサに基づく介入を含む電極駆動シーケンスを示す図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B