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特許6995994飛行機ガスタービンエンジンの着氷防止システムの制御方法
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  • 特許-飛行機ガスタービンエンジンの着氷防止システムの制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】飛行機ガスタービンエンジンの着氷防止システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/047 20060101AFI20220107BHJP
   B64D 15/04 20060101ALI20220107BHJP
   B64D 15/20 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
F02C7/047
B64D15/04
B64D15/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020526496
(86)(22)【出願日】2018-10-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 RU2018000642
(87)【国際公開番号】W WO2019098881
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】2017139379
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】520121315
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー“ユナイテッド エンジン コーポレーション”(ジェイエスシー“ユーイーシー”)
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】サジェンコフ,アレクセイ ニコラヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】サヴェンコフ,ユリ セミョーノヴィチ
【審査官】小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第3034813(EP,A1)
【文献】特開2013-209917(JP,A)
【文献】特開2013-193735(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0257033(US,A1)
【文献】特開2007-327489(JP,A)
【文献】特表2016-512862(JP,A)
【文献】特開2015-054593(JP,A)
【文献】特開2013-256286(JP,A)
【文献】実開昭64-053429(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0245749(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0277443(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0225975(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0002774(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0065669(US,A1)
【文献】米国特許第4852343(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/047
B64D 15/00-15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行機用ガスタービンエンジン空気取り入れ口の着氷防止システムの制御方法は
行機システムから、ハウジングに設置されたガスタービンエンジンの電子制御装置への、着氷データ伝送ステップと、
ガスタービンエンジン圧縮機からの加熱空気排出口の生成ステップと、
もし、飛行機の上記着氷データが利用できる場合、上記電子制御装置による、上記圧縮機から上記ガスタービンエンジン空気取り入れ口への加熱空気を確保する、スライド弁開度の制御信号の供給ステップと、を含み、
上記飛行機システムから上記エンジン電子制御装置への上記データ伝送の有用性は追加で監視されることと、
上記ガスタービンエンジン空気取り入れ口に設置された変換器を使用して、エンジン吸気口温度Tengine inletを計測することと、
計測された上記エンジン吸気温度Tengine inletは、設定された限界値Tlimiting valueと比較されることと、
上記飛行機システムからのデータ伝送の失敗が検出され、かつ現在のTengine inletがTlimiting valueより小さい場合、加熱空気は上記圧縮機から上記ガスタービンエンジン空気取り入れ口へ供給されることと、を特徴とする制御方法。
【請求項2】
設定された上記限界値Tlimiting valueは10℃と等しいことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
上記エンジン吸気口温度Tengine inletを計測することと、
計測された上記エンジン吸気口温度T engine inlet を設定された上記限界値Tlimiting valueと比較することと、
上記飛行機システムからの上記データ伝送監視することとは、上記エンジン電子制御装置において実行されることを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項4】
上記飛行機システムから上記電子制御装置への上記データは、バイポーラシーケンシャルコードインタフェースに従って、コード通信線を介して伝送されること、を特徴とする請求項3に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は航空機用ガスタービンエンジンの制御方法、特に、航空機用ガスタービンエンジンの吸気口(空気取り入れ口)の着氷防止システムの制御方法に関する。
【0002】
気温が低く、湿度が高い大気圏内を、飛行機が飛行する場合には、飛行機の表面やその動力装置に氷が着氷する場合がある。氷の着氷は、重量を増加させるだけではなく、飛行機の空気力学を実質的に損なう。さらに、航空機用ガスタービンエンジンの吸気口および/または圧縮機の着氷は効率の低下および圧縮機の運転安定性の余裕度の低下をもたらし、氷が破損した場合には、そのブレードの故障を引き起こす可能性がある。そのため、現在の飛行機及び航空機用ガスタービンエンジンは、熱着氷防止システムを幅広く使用している。
【0003】
タービンジェットエンジンナセルの空気取り入れ口から氷を除去する電気着氷防止システムの制御方法(特許RU 2501717、IPC B64D 15/12、2013年12月20日発行)。類似物として取り上げた該方法の本質は、航空機中央制御ユニットからの外部の飛行状況(外部飛行条件)の入手可能なデータの取得、得られた飛行状況に相当する熱制御モデルの生成、および選択した熱制御モデルに基づく抵抗加熱素子への必要な電力の供給を含む。
【0004】
プロトタイプの欠点は、電気加熱システムの複雑さと、抵抗素子及び電気通信回線のトラブルシューティングを含む、長い保守労働時間とである。更に、採用された熱モデルに基づく着氷防止システムの作動効率は、高い信頼性と堅牢性を前提としているが、外部飛行条件パラメータの変換器の故障又は飛行機中央制御ユニットからのデータ伝送システムの潜在的故障がある場合に、必ずしも提供されない。
【0005】
飛行機用ガスタービンエンジンの空気取り入れ口の着氷防止システムの制御方法は、プロトタイプとして使用されている(特許EP 3034813、IPC F01D21/00、F02C7/047が2016年6月22日に発行)が知られている。
【0006】
上述した方法では、飛行機着氷が示され、多数の温度変換器のデータに依存して、飛行機システムからガスタービンエンジンの電子制御装置への飛行機着氷のデータ伝送、および圧縮機からガスタービンエンジンの空気取り入れ口への加熱空気の供給を確保するスライド弁の開度の制御信号を電子制御装置は供給する。
【0007】
公知方法の欠点は、空気取り入れ口の温度状態を監視するための、多数の追加の温度変換器に関する、複雑さ、過剰なコストおよび運転費である。
【0008】
請求項にかかる発明の技術的課題は、飛行機着氷データ伝送の不具合時における、着氷状態のガスタービンエンジンの信頼性の向上である。
【0009】
飛行機用ガスタービンエンジン空気取り入れ口の着氷防止システムの制御方法は、飛行機の着氷を記録するステップと、飛行機システムからハウジングに設置されたガスタービンエンジンの電子制御装置への着氷データ伝送ステップと、ガスタービンエンジン圧縮機からの加熱空気排出路の形成ステップと、もし、飛行機の着氷データが利用できるならば、電子制御装置は、上記圧縮機からガスタービンエンジンの空気取り入れ口への加熱空気の供給を確保する、スライド弁の開度の制御信号を供給するステップとを含み、本発明によると更に、飛行機システムからエンジン電子制御装置への、データ伝送の有用性は監視されており、エンジン吸気口温度Tengine inletは、ガスタービンエンジンの空気取り入れ口に設置された変換器により計測され、上記空気取り入れ口で上記計測された空気温度Tengine inletは、設定された限界値Tlimiting valueと比較され、飛行機システムからのデータ伝送が検出され、かつ現在のTengine inletがTlimiting valueより小さい場合、加熱空気は圧縮機から上記ガスタービンエンジン空気取り入れ口へ供給されることにより、技術的成果が達成される。
【0010】
また、本発明によれば、設定された限界値Tlimiting valueは10℃と等しい。
【0011】
更に、本発明によれば、エンジン電子制御装置において、エンジン吸気口温度Tengine inletを計測し、計測されたエンジン吸気口温度Tengine inletを限界値Tlimiting valueと比較し、飛行機システムからのデータ伝送システムの有用性を監視する。
【0012】
更に、本発明によれば、飛行機システムから上記電子制御装置への上記データは、バイポーラシーケンシャルコードインタフェースに従って、コード通信線を介して伝送される。
【0013】
提案した本発明では、プロトタイプと対比して、飛行機システムからエンジン電子制御装置へのデータ伝送の有用性は監視される点が異なり、エンジン吸気温度Tengine inletはガスタービンエンジンの空気取り入れ口に設置された変換器によって計測される点が異なり、計測されたエンジン吸気温度Tengine inletは設定された限界値Tlimiting valueと比較される点が異なり、飛行機システムからのデータ伝送の検出、かつ現在のTengine inletがTlimiting valueより小さい場合に、加熱空気は圧縮機からガスタービンエンジン空気取り入れ口へ供給される点が異なり、これは、エンジン電子制御装置において、エンジン吸気温度の計測結果のためにエンジンが着氷し、かつ、飛行機システムによる飛行機のデータ伝送の失敗の場合に、エンジン着氷防止システムの動作を可能にする。
【0014】
また、プロトタイプと異なり、設定された限界値Tlimiting valueは10℃と等しいことにより、圧縮機のブレードおよびナセルが氷結を起こす可能性を除去できる。
【0015】
さらに、プロトタイプと異なり、エンジン電子制御装置において、エンジン吸気温度Tengine inletと設定された限界値Tlimiting valueとを比較し、飛行機システムからのデータ伝送のためのシステムの有用性は監視される。これは、コード通信線に不良がある場合、追加の計測システムと変換器なしに、自動制御装置に含まれる標準的な手段を用いて、可能性のあるエンジン着氷の診断を可能にする。
【0016】
さらに、プロトタイプと異なり、飛行機システムから電子制御装置へのデータは、バイポーラシーケンシャルコードインタフェースに従って、コード通信線を介して伝送される。
【0017】
図面は、請求の方法を実施する装置の構造概略図を示す。
【0018】
ユニット1は飛行機の着氷を検出(診断)し、ユニット1の出力部からの着氷の存在の出力信号はユニット2の入力部へ供給される。
【0019】
例えば、着氷中に変化するセンサの共振周波数の計測結果に基づいた機械的指標、または、電気熱、超音波、静電容量、光学、などの様々な着氷指標は、着氷検出ユニットで使用されてもよい。
【0020】
ユニット2は一般的な飛行機器制御システム(以降、GAECS)であり、制御、警告、並びに、エンジン電子制御装置-ユニット4への着氷情報の受信および着氷データの伝送を含む、飛行機システムの工学的状態の監視を確保する。
【0021】
一般的に、GAECSは一般的な飛行機機器の工学的状態の制御および監視(飛行および地上)のために設計される。また、油圧システム、酸素システム、着陸装置の展開および格納、燃料システム、推進動力ユニット、補助動力ユニット、翼着氷防止システム、防火システムなどの飛行機システムの状態で必要な情報を、GAECSはインタフェース接続された機器および乗務員に提供する。
【0022】
素子3は、ユニット2からユニット4の入力部への着氷データ伝送を確保する電気通信回線である。上記データは、バイポーラシーケンシャルコードとして送信される。
【0023】
ユニット4はエンジン電子制御装置、例えば、FADECタイプである。これは、ガスタービンエンジンの全ての動作モードの制御を確保する、特別な目的の電子デジタルコンピュータである。
【0024】
他の機能に加えて、エンジン電子制御装置もまた、ユニット5を使用してエンジン吸気温度Tengine inletを計測し、計測したエンジン吸気口温度Tengine inletは設定された限界値Tlimiting valueと比較され、着氷データ伝送の有用性は監視される。飛行機システムからデータ伝送を検出し、かつ、現在のTengine inletがTlimiting valueより小さい場合に、圧縮機から加熱空気を供給するため、関連する制御信号が生成される。
【0025】
ユニット5はエンジン吸気温度変換器(トランスデューサ)である。該変換器はエンジン吸気口の通気路内に設置され、エンジン電子制御装置(ユニット4)とインタフェース接続する基本的な情報変換器の標準セットの構成部品である。
【0026】
この装置は次のように動作する。
【0027】
着氷状態での飛行機の飛行では、関連する着氷信号は、ユニット1の出力部で生成され、飛行機機器の制御システムの入力部、すなわちユニット2の入力部に供給される。その結果、着氷情報は、エンジン電子制御装置の入力部に、バイポーラシーケンシャルコードインタフェースとして、コード通信線を介して供給される。
【0028】
着氷信号を受信した場合、エンジン電子制御装置は自動的に、圧縮機からガスタービンエンジン空気取り入れ口への複数のパイプラインを介した加熱空気の供給を確保(動作)する制御信号を生成する。加熱効果は除氷をもたらす。
【0029】
例えば、通信回線3が断線したなどで、着氷データの伝送が失敗した場合、電子制御装置はただちにこの失敗を検出し、エンジン吸気口温度Tengine inletを計測し、計測されたエンジン吸気口温度Tengine inletを設定された限界値Tlimiting valueと比較する。飛行機システムからのデータ伝送を検出し、かつ現在のTengine inletがTlimiting valueより小さい場合、加熱空気は圧縮機からガスタービンエンジン空気取り入れ口に供給される。したがって、着氷データ伝送のための飛行機システムの不具合時において、着氷状態(条件)におけるガスタービンの確実な動作が確保される。
【0030】
適用可能と期待されるガスタービンエンジンとして、フィールドベンチテストは請求の範囲の方法の機能的有用性を完全に確認した。
【0031】
請求項に記載の方法を実施するための方法は、インタフェース、検出器、アクチュエータおよびエンジンを備えた特別な目的のリアルタイムデジタルコンピュータ並びに飛行機システムとして、期待されたエンジン電子制御装置である。上記エンジン電子制御装置は、飛行機システムからの暗号化された100kbpsで32bit単位の64パケットの受信能力を確保している。
【0032】
また、上記期待されたエンジン電子制御装置は、コックピットからのコマンドにて、強制的に空気取り入れ口着氷防止システムを手動起動させる機能を提供する。
【0033】
上記エンジン吸気温度は、環境空気温度によって決まる金属のオーム抵抗の特性変化を動作原理とした、測温抵抗体を用いて計測される。しかし、一般的な異なる動作原理をもつ変換器を用いてもよい。
【0034】
吸気口加熱用空気は、期待されたエンジンの、高圧圧縮機の中間段階から取った。
【0035】
GAECS動作としてふるまう装置は、サービステストベンチ機器であった。
【0036】
したがって、上記特徴に特徴づけられる提案した発明の実施は、請求の範囲にかかる発明の公知な特徴と関連することで、エンジン電子制御装置におけるエンジン吸気温度計測器によって、飛行機とエンジンの着氷データ伝送システムの不良における、着氷状態でのガスタービンエンジンの動作信頼性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】請求の方法を実施する装置の構造概略図を示す。
図1