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特許6996155運行情報管理装置、運行情報管理方法、及び運行情報管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】運行情報管理装置、運行情報管理方法、及び運行情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20220107BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017154948
(22)【出願日】2017-08-10
(65)【公開番号】P2019032790
(43)【公開日】2019-02-28
【審査請求日】2020-06-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 http://www.isuzu.co.jp/press/2017/5_8prs.html(掲載日:平成29年5月8日)
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】山下 晃
(72)【発明者】
【氏名】木村 圭介
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-203921(JP,A)
【文献】特開2012-118783(JP,A)
【文献】特開2012-226548(JP,A)
【文献】特開2015-022332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両それぞれの運行情報を取得する取得部と、
前記運行情報に基づいて、前記複数の車両それぞれに関連付けられたドライバーの評価を定める評価部と、
前記複数の車両のうち、同じ種別に分類された一以上の車両それぞれに関連付けられた一以上の前記ドライバーの評価に基づいて、前記種別における前記一以上のドライバーの序列を決定する決定部と、
前記決定部が決定した前記一以上のドライバーの序列を表示部に表示させる表示制御部と、
を備え
前記決定部は、前記運行情報に含まれる走行距離に基づいて当該運行情報に関連付けられた前記車両の種別を決定する運行情報管理装置。
【請求項2】
複数の車両それぞれの運行情報を取得する取得部と、
前記運行情報に基づいて、前記複数の車両それぞれに関連付けられたドライバーの評価を定める評価部と、
前記複数の車両のうち、同じ種別に分類された一以上の車両それぞれに関連付けられた一以上の前記ドライバーの評価に基づいて、前記種別における前記一以上のドライバーの序列を決定する決定部と、
前記決定部が決定した前記一以上のドライバーの序列を表示部に表示させる表示制御部と、
を備え
前記車両が備える架装物に基づいて前記車両の種別を決定する運行情報管理装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記取得部が新たな運行情報を取得した場合に、当該運行情報に示される車両の種別における前記一以上のドライバーの序列を決定する、
請求項1又は2に記載の運行情報管理装置。
【請求項4】
前記評価部は、前記運行情報に含まれる走行距離又は走行時間に基づいて、当該運行情報が評価対象であるか否かを判定し、当該運行情報が評価対象であると判定した場合に前記ドライバーの評価を定める、
請求項1から3のいずれか一項に記載の運行情報管理装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記車両の種別を示す種別設定指示を取得し、
前記決定部は、前記種別設定指示に基づいて前記車両の種別を決定する、
請求項1からのいずれか一項に記載の運行情報管理装置。
【請求項6】
コンピュータが実行する、
複数の車両それぞれの運行情報を取得するステップと、
前記運行情報に基づいて、前記複数の車両それぞれに関連付けられたドライバーの評価を定めるステップと、
前記運行情報に含まれる走行距離に基づいて当該運行情報に関連付けられた前記車両の種別を決定するステップと、
前記複数の車両のうち、同じ種別に分類された一以上の車両それぞれに関連付けられた一以上の前記ドライバーの評価に基づいて、前記種別における前記一以上のドライバーの序列を決定するステップと、
前記一以上のドライバーの序列を表示部に表示させるステップと、
を備える運行情報管理方法。
【請求項7】
車両の運行情報を記録する一以上の運行情報記録装置と、複数の前記運行情報を管理する運行情報管理装置と、ユーザ端末とを備え、
前記運行情報記録装置は、
当該運行情報記録装置が搭載された前記車両の運行情報を記録する記録部と、
前記運行情報管理装置に前記運行情報を送信する送信部と、
を有し、
前記運行情報管理装置は、
複数の前記運行情報を取得する取得部と、
前記運行情報に基づいて、前記複数の車両それぞれに関連付けられたドライバーの評価を定める評価部と、
前記複数の車両のうち、同じ種別に分類された一以上の車両それぞれに関連付けられた一以上の前記ドライバーの評価に基づいて、前記種別における前記一以上のドライバーの序列を決定する決定部と、
前記決定部が決定した前記一以上のドライバーの序列を前記ユーザ端末に送信する送信部と、
を有し、
前記決定部は、前記運行情報に含まれる走行距離に基づいて当該運行情報に関連付けられた前記車両の種別を決定し、
前記ユーザ端末は、
前記ドライバーの序列を受信する受信部と、
受信した前記ドライバーの序列を表示する表示部と、
を有する運行情報管理システム。
【請求項8】
コンピュータが実行する、
複数の車両それぞれの運行情報を取得するステップと、
前記運行情報に基づいて、前記複数の車両それぞれに関連付けられたドライバーの評価を定めるステップと、
前記車両が備える架装物に基づいて前記車両の種別を決定するステップと、
前記複数の車両のうち、同じ種別に分類された一以上の車両それぞれに関連付けられた一以上の前記ドライバーの評価に基づいて、前記種別における前記一以上のドライバーの序列を決定するステップと、
前記一以上のドライバーの序列を表示部に表示させるステップと、
を備える運行情報管理方法。
【請求項9】
車両の運行情報を記録する一以上の運行情報記録装置と、複数の前記運行情報を管理する運行情報管理装置と、ユーザ端末とを備え、
前記運行情報記録装置は、
当該運行情報記録装置が搭載された前記車両の運行情報を記録する記録部と、
前記運行情報管理装置に前記運行情報を送信する送信部と、
を有し、
前記運行情報管理装置は、
複数の前記運行情報を取得する取得部と、
前記運行情報に基づいて、前記複数の車両それぞれに関連付けられたドライバーの評価を定める評価部と、
前記複数の車両のうち、同じ種別に分類された一以上の車両それぞれに関連付けられた一以上の前記ドライバーの評価に基づいて、前記種別における前記一以上のドライバーの序列を決定する決定部と、
前記決定部が決定した前記一以上のドライバーの序列を前記ユーザ端末に送信する送信部と、
を有し、
前記車両が備える架装物に基づいて前記車両の種別を決定し、
前記ユーザ端末は、
前記ドライバーの序列を受信する受信部と、
受信した前記ドライバーの序列を表示する表示部と、
を有する運行情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運行情報を管理する運行情報管理装置、運行情報管理方法、及び運行情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転の状況を記録するデジタルタコグラフは、主に運送業において各ドライバーの運行管理や安全指導などのために利用されている。特許文献1には、ドライバーが、自らの運転の内容を振り返り、より安全で経済的な運転を志向するために、デジタルタコグラフにおいて得られた車両データを解析して、運転の内容を安全性や燃費などの観点で評価する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-190886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術は、ドライバーが運行した車両の種別に依らずに、ドライバーの運転内容を評価している。種別の異なる車両を運転したドライバーの運転内容を画一的に評価すると、ドライバー同士の評価を正しく比較できず、ドライバーの運転技術向上意欲を下げてしまう恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ドライバーの運転技術向上意欲を高める技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の運行情報管理装置においては、複数の車両それぞれの運行情報を取得する取得部と、前記運行情報に基づいて、前記複数の車両それぞれに関連付けられたドライバーの評価を定める評価部と、前記複数の車両のうち、同じ種別に分類された一以上の車両それぞれに関連付けられた一以上の前記ドライバーの評価に基づいて、前記種別における前記一以上のドライバーの序列を決定する決定部と、前記決定部が決定した前記一以上のドライバーの序列を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【0007】
前記決定部は、例えば、前記取得部が新たな運行情報を取得した場合に、当該運行情報に示される車両の種別における前記一以上のドライバーの序列を決定する。
【0008】
前記評価部は、前記運行情報に含まれる走行距離又は走行時間に基づいて、当該運行情報が評価対象であるか否かを判定し、当該運行情報が評価対象であると判定した場合に前記ドライバーの評価を定めてもよい。
【0009】
前記決定部は、前記運行情報に含まれる走行距離に基づいて当該運行情報に関連付けられた前記車両の種別を決定してもよい。また、前記決定部は、前記車両が備える架装物に基づいて前記車両の種別を決定してもよい。例えば、前記取得部は、前記車両の種別を示す種別設定指示を取得し、前記決定部は、前記種別設定指示に基づいて前記車両の種別を決定する。
【0010】
前記決定部は、例えば、前記序列を決定する時間間隔よりも長い時間間隔で前記ドライバーの運転等級を決定する。
【0011】
本発明の第2の態様の運行情報管理方法においては、コンピュータが実行する、複数の車両それぞれの運行情報を取得するステップと、前記運行情報に基づいて、前記複数の車両それぞれに関連付けられたドライバーの評価を定めるステップと、前記複数の車両のうち、同じ種別に分類された一以上の車両それぞれに関連付けられた一以上の前記ドライバーの評価に基づいて、前記種別における前記一以上のドライバーの序列を決定するステップと、前記一以上のドライバーの序列を表示部に表示させるステップと、を備える。
【0012】
本発明の第3の態様の運行情報管理システムにおいては、車両の運行情報を記録する一以上の運行情報記録装置と、複数の前記運行情報を管理する運行情報管理装置と、ユーザ端末とを備え、前記運行情報記録装置は、当該運行情報記録装置が搭載された前記車両の運行情報を記録する記録部と、前記運行情報管理装置に前記運行情報を送信する送信部と、を有し、前記運行情報管理装置は、複数の前記運行情報を取得する取得部と、前記運行情報に基づいて、前記複数の車両それぞれに関連付けられたドライバーの評価を定める評価部と、前記複数の車両のうち、同じ種別に分類された一以上の車両それぞれに関連付けられた一以上の前記ドライバーの評価に基づいて、前記種別における前記一以上のドライバーの序列を決定する決定部と、前記決定部が決定した前記一以上のドライバーの序列を前記ユーザ端末に送信する送信部と、を有し、前記ユーザ端末は、前記ドライバーの序列を受信する受信部と、受信した前記ドライバーの序列を表示する表示部と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ドライバーの運転技術向上意欲を高めるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の概要を説明するための図である。
図2】実施の形態に係る運行情報管理装置の機能構成を示す図である。
図3】ユーザの序列を表示する表示画面を模式的に示す図である。
図4】ユーザの等級を表示する表示画面を模式的に示す図である。
図5】ユーザの序列を決定する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施の形態の概要>
図1は、本発明の概要を説明するための図である。実施の形態に係る運行情報管理システムSは、車両の運行情報を記録する一以上の運行情報記録装置と、複数の運行情報を管理する運行情報管理装置1と、ユーザ端末2とを備える。以下の説明においては、運行情報管理装置1を管理する事業者Pが、複数の運送事業者(X運送、Y急便、及びZ配達)と契約していることを想定している。事業者Pは、複数の運送事業者に対して運行情報記録装置を提供する。運行情報記録装置は、複数の運送事業者それぞれが保有する複数の車両それぞれに搭載されている。
【0016】
運行情報記録装置は、搭載された車両の運行情報を運行情報管理装置1に送信する。具体的には、車両a1に搭載された運行情報記録装置は、ドライバーX1から運行開始の指示を受けると、運行情報の記録を開始する。運行情報記録装置は、ドライバーX1から運行終了の指示を受けると、運行情報の記録を停止し、ドライバーX1が車両a1を運行したときの運行情報を運行情報管理装置1に送信する。
【0017】
運行情報は、車両の運行内容を示す情報である。車両の運行内容を示す情報は、例えば、走行速度、走行時間、アイドリング時間、走行時間に対して所定のギヤ段で走行した時間の比率、シフトアップを行ったときの回転数、ブレーキの使い方、急加速の回数と強度、走行速度のばらつきの大きさ(ムラ運転)、速度超過の有無、急減速の回数と強度、長時間運転の有無などを含む。また、運行情報は、これに限らず、車両を識別するための識別情報、車両の種別を示す情報、又は車両の状態を示す情報を含んでいてもよい。
【0018】
運行情報管理装置1は、複数の車両それぞれの運行情報を取得する。運行情報管理装置1は、運行情報を取得すると、当該運行情報に関連付けられた車両を運行したドライバーの評価を定める。例えば、運行情報管理装置1は、車両a1に搭載された運行情報記録装置から取得した運行情報に基づいて、ドライバーX1の運行内容に対する評価を定める。
【0019】
運行情報管理装置1は、契約した事業者が保有する複数の車両それぞれを、例えば車両の大きさ、運行形態などに応じて、所定の種別(以下、セグメントと言うことがある)に分類する。運行情報管理装置1は、例えば、大型車両であり貨物の長距離輸送を行う、X運送の車両a1及びa2と、Y急便の車両a3と、Z配達の車両a4とを同じ種別(例えば「大型長距離」)に分類する。運行情報管理装置1は、小型車両であり近距離の配送を行うY急便の車両b1を、大型長距離と異なる種別(例えば「小型配送」)に分類する。また、運行情報管理装置1は、中型車両であり貨物の近距離の配送を行うY急便の車両c1と、Z配達の車両c2とを同じ種別(例えば「中型域内」)に分類する。
【0020】
運行情報管理装置1は、同じ種別に分類された複数の車両それぞれに関連付けられた複数のドライバーの評価に基づいて、同じ種別内におけるドライバーの序列を決定する。例えば、運行情報管理装置1は、同じ種別(「大型長距離」)に分類された、車両a1に関連付けられたドライバーX1、車両a2に関連付けられたドライバーX2、車両a3に関連付けられたドライバーY1、及び車両a4に関連付けられたドライバーZ1の序列を決定する。
【0021】
同様に、運行情報管理装置1は、同じ種別(「中型近距離」)に分類された、車両c1に関連付けられたドライバーY3、及び車両c2に関連付けられたドライバーZ2の序列を決定する。同様に、運行情報管理装置1は、同じ種別(「小型配送」)に分類された、車両b1に関連付けられたドライバーY2の序列を決定する。
【0022】
運行情報管理装置1は、決定したドライバーの序列を、ユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、例えばドライバー又はドライバーを雇用する事業者が使用するコンピュータである。例えば、運行情報管理装置1は、ドライバーX1が所有するユーザ端末2aに、種別「大型長距離」内におけるドライバーX1の序列を送信する。また、運行情報管理装置1は、決定したドライバーの序列を、ドライバーを雇用する事業者が保有するユーザ端末2に送信してもよい。例えば、運行情報管理装置1は、ドライバーY3を雇用するY急便が保有するユーザ端末2cに、種別「小型近距離」内におけるドライバーY3の序列を送信する。
【0023】
以上説明したように、運行情報管理装置1は、同じ種別内における複数のドライバーの序列を決定する。このようにすることで、車両を運行するドライバーは、同じ種別の車両を運行するドライバー内での序列を知ることができるので、運行情報管理装置1は、ドライバーの運転技術向上の意欲を高めることができる。
【0024】
また、運行情報管理装置1は、ドライバーの評価に基づいてドライバーの運転等級を決定する。例えば、運行情報管理装置1は、ドライバーX1に関連付けられた複数の運行情報により定まるドライバーの評価に基づいて、ドライバーX1の運転等級を決定する。運行情報管理装置1は、現在の運転等級と、現在の運転等級より上位の運転等級との差異を示す等級向上目標値を決定する。運行情報管理装置1は、現在の運転等級と、等級向上目標値とをドライバーX1のユーザ端末2aに送信する。また、運行情報管理装置1は、ドライバーを雇用する事業者の端末にドライバーX1の現在の運転等級と、等級向上目標値とを送信してもよい。
【0025】
このようにすることで、ドライバーは、自分の運転技術がどの程度のものなのかを把握することができ、かつ等級向上目標値を知ることができるので、運行情報管理装置1は、ドライバーの運転技術向上の意欲を高めることができる。
【0026】
<運行情報管理装置1の機能構成>
図2は、実施の形態に係る運行情報管理装置1の機能構成を示す図である。運行情報管理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。通信部11は、通信回線を用いて他の装置と通信するための通信モジュールである。通信回線は、例えばインターネットである。
【0027】
記憶部12は、例えば、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)である。記憶部12は、制御部13を機能させるための各種のプログラムを格納する。制御部13は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部13は、記憶部12に記憶されているプログラムを実行することによって、取得部131、評価部132、決定部133、及び表示制御部134の機能を実現する。
【0028】
取得部131は、通信部11を介して複数の車両それぞれの運行情報を取得する。取得部131は、例えば、車両の状態が後述の運転操作基準閾値を超過している場合に、運転操作基準閾値を超過した量を示す運行情報を運行情報記録装置から取得する。取得部131は、取得した運行情報を評価部132に通知する。
【0029】
また、取得部131は、通信部11を介して、事業者P又は運送事業者から、車両の種別を示す種別設定指示を取得してもよい。また、取得部131は、取得した種別設定指示を決定部133に通知してもよい。
【0030】
評価部132は、運行情報に基づいて、複数の車両それぞれに関連付けられたドライバーの評価を定める。例えば、評価部132は、運行情報に含まれる走行距離又は走行時間に基づいて、当該運行情報が評価対象であるか否かを判定し、当該運行情報が評価対象であると判定した場合にドライバーの評価を定める。具体的には、評価部132は、運行情報に含まれる走行距離が所定の運行距離以上、又は走行時間が所定の運行時間以上である場合、当該運行情報が評価対象であると判定する。所定の運行距離又は所定の運行時間は、運行情報管理装置1を管理する事業者が適宜定めればよいが、運行情報管理装置1を管理する事業者と契約した事業者が、契約した事業者が管理する車両ごとに適宜定めるようにしてもよい。
【0031】
評価部132は、例えば、運行情報に含まれる走行中の車両の状態に基づいてドライバーの評価を定める。走行中の車両の状態は、例えば、車両の速度、エンジンの回転、アイドリング回数又はアイドリング時間、急発進の強度及び回数、急減速の強度及び回数であるが、これに限らない。具体的には、評価部132は、エンジンの回転数を、予め定められた運転操作基準閾値と比較した結果に基づいて点数を定めることにより、ドライバーの評価を定める。評価部132は、例えば、車両の速度が運転操作基準閾値を超過している場合、超過状況として、超過速度又は超過速度に対応する評価値を決定する。評価部132は、他の項目についても同様にして点数を定めることによりドライバーの評価を定める。
【0032】
評価部132は、過去の運行情報に基づいて、運転操作の評価点を決定する際の閾値として用いられる運転操作基準閾値を決定してもよい。例えば、評価部132は、新たに取得した運行情報より前に取得された運行情報に基づいて運転操作基準閾値を決定する。この場合、評価部132は、運転操作基準閾値を運行情報記録装置に送信する。
【0033】
決定部133は、複数の車両のうち、同じ種別に分類された一以上の車両それぞれに関連付けられた一以上のドライバーの評価に基づいて、同じ種別における一以上のドライバーの序列を決定する。例えば、決定部133は、取得部131が新たな運行情報を取得した場合に、当該運行情報に示される車両の種別における一以上のドライバーの序列を決定する。以下、決定部133がドライバーの序列を決定する処理について具体的に説明する。決定部133は、車両a1と同じ種別「大型長距離」に分類された車両a1、a2、a3、及びa4それぞれに関連付けられた複数のドライバーの評価に基づいて、同じ種別「大型長距離」における複数のドライバーの序列を決定する。より具体的には、決定部133は、複数のドライバーの評価の高い順にドライバーの序列を決定する。
【0034】
決定部133は、例えば、取得部131が取得した運行情報が、評価対象の運行情報であると評価部132が判定した場合にドライバーの序列を決定する。このようにすることで、決定部133は、車両が例外的な運行をした場合にはドライバーの序列を決定しないので、ドライバーは、通常の運行に基づいた序列を確認することができる。
【0035】
決定部133は、運行情報が示す車両の運行内容に基づいて、当該運行情報に関連付けられた車両の種別を決定してもよい。例えば、決定部133は、運行情報に含まれる走行距離に基づいて当該運行情報に関連付けられた車両の種別を決定する。具体的には、決定部133は、所定の期間に取得した同一車両の複数の運行情報に含まれる走行距離の積算値に応じて車両の種別を決定する。決定部133は、例えば、積算値が所定の積算距離以上である場合、車両の種別を「長距離」と決定する。決定部133は、所定の期間に取得した同一車両の複数の運行情報に含まれる走行距離の積算値が所定の積算距離未満である場合、車両の種別を「近距離」と決定する。
【0036】
また、決定部133は、運行情報に含まれる走行時間と車両の速度とに基づいて、当該運行情報に関連付けられた車両の種別を決定してもよい。例えば、決定部133は、車両の速度が所定の高速走行速度以上である時間が所定の高速走行時間以上である場合、車両の種別を「高速輸送」と決定する。高速走行速度は、運行情報管理装置1を管理する事業者が適宜設定すればよいが、例えば高速道路の法定最低速度であり、具体的には時速50kmである。また、高速走行時間は、運行情報管理装置1を管理する事業者が適宜設定すればよいが、運行情報管理装置1を管理する事業者と契約した事業者が管理する車両ごとに適宜定めるようにしてもよい。また、高速走行時間は、運行情報に含まれる車両が運行している時間である運行時間に基づいて定めてもよい。
【0037】
決定部133は、車両が備える架装物に基づいて車両の種別を決定してもよい。例えば、決定部133は、架装物の重さが変化したときに、車両の種別を架装物の重さに応じた種別に決定する。例えば、決定部133は、車両が備える架装物が変更された場合に、変更後の架装物の種類に応じた種別に決定する。
【0038】
決定部133は、取得部131が種別設定指示を取得した場合、種別設定指示に基づいて車両の種別を決定してもよい。例えば、決定部133は、種別設定指示が示す車両の種別が「長距離」であれば、車両の種別を「長距離」と決定する。このようにすることで、決定部133は、例えば、「近距離」の種別の車両に搭載されていた運行情報記録装置が、搭載されている車両から取り外されて「長距離」の種別に分類されるべき車両に取り付けられた場合に、適切な車両の種別を決定することができる。また、車両が備える架装物が変更された場合に、事業者P又は運送事業者が、変更後の架装物に適した種別に設定することが可能になる。
【0039】
決定部133は、例えば、ドライバーの評価に基づいてドライバーの運転等級を決定する。具体的には、決定部133は、ドライバーに関連付けられた複数の運行情報により定まるドライバーの評価に基づいて、ドライバーの運転等級を決定する。より具体的には、決定部133は、所定の等級評価期間の間に取得された複数の運行情報に基づいて評価部132が定めた同一のドライバーの複数の評価の積算値に応じた運転等級を決定する。所定の等級評価期間は、ドライバーの運転技術を評価できるようになる期間であり、例えば1ヶ月であるが、運行情報管理装置1を管理する事業者と契約した事業者が適宜定められるようにしてもよい。
【0040】
決定部133は、序列を決定する時間間隔よりも長い時間間隔でドライバーの運転等級を決定してもよい。例えば、決定部133は、取得部131が新たな運行情報を取得した場合に当該運行情報に関連付けられたドライバーの序列を決定し、取得部131が同一のドライバーに関連付けられた運行情報を複数回取得した場合に当該ドライバーの運転等級を決定する。また、決定部133は、例えば、運転等級を決定したドライバーの現在の運転等級と、ドライバーの現在の運転等級より上位の運転等級との差異を示す等級向上目標値を決定する。
【0041】
表示制御部134は、決定部133が決定した一以上のドライバーの序列を、通信部11を介して、ユーザ端末2の表示部に表示させる。また、表示制御部134は、決定部133が決定したドライバーの運転等級、又は等級向上目標値をユーザ端末2に表示させてもよい。このようにすることで、車両を運転するドライバーは、同じ種別に分類された他のドライバーとの序列を比較することができるので、運行情報管理装置1は、ドライバーの運転技術向上の意欲を高めることができる。
【0042】
また、ドライバーを雇用する事業者は、雇用しているドライバーの序列を確認することができるので、ドライバーに対して運転技術の改善指導を行うことができる。また、事業者は、自社で雇用しているドライバーを、同じ種別に分類された複数の他社のドライバーと比較することができるので、他社のドライバーのレベルを考慮した改善目標を設定することができる。
【0043】
図3は、ドライバーの序列を表示する表示画面を模式的に示す図である。項目31は、車両の種別を表示する部分である。表示制御部134は、項目31において、車両の種別が「大型単車長距離カーゴ部門」であることを表示させている。項目32は、種別内のドライバーの序列を表示する。表示制御部134は、項目32において、車両の種別「大型単車長距離カーゴ部門」において、ドライバーの序列が「79位」であることを表示させている。項目33は、横軸を日付、縦軸を序列とするグラフを表示する。表示制御部134は、項目33において、ドライバーの序列の時間変化を表示させている。
【0044】
このように、表示制御部134がドライバーの序列を表示部に表示させることにより、ドライバーは自分の運転の順位を知ることができるので、運転技術向上の意欲を高めることができる。また、運行情報管理装置1を管理する事業者と契約した事業者は、他の事業者のドライバーを含めたドライバーの序列を知ることができるので、会社として改善の余地があるのかどうかを検討することができる。
【0045】
表示制御部134は、決定部133が決定したドライバーの運転等級を表示部に表示させてもよい。図4は、ドライバーの等級を表示する表示画面を模式的に示す図である。項目41は、ひとつ上の等級に求められる点数との差異をアイコンで表示する部分である。表示制御部134は、ひとつ上の等級に求められる点数との差異が少ないほど、和やかな表情を示すアイコンを表示させる。表示制御部134は、ひとつ上の等級に求められる点数との差異が多いほど、厳しい表情のアイコンを表示させる。
【0046】
項目42は、ドライバーの現在の運転等級を表示する部分である。表示制御部134は、項目42において、ドライバーの現在の運転等級である「A」を表示させている。項目43は、現在のドライバーの評価の点数と、ひとつ上の等級に求められる評価の点数とを表示する部分である。表示制御部134は、項目43において、現在のドライバーの評価の点数「94点」と、ひとつ上の等級に求められる評価の点数「99点」とを表示させている。項目44は、運転等級の更新期間を表示する部分である。表示制御部134は、項目44において、運転等級が月に1回更新されることを表示させている。このように、表示制御部134がドライバーの等級を表示部に表示させることにより、ドライバーは自分の運転等級を知ることができるので、運転技術向上の意欲を高めることができる。
【0047】
図5は、ドライバーの序列を決定する処理のフローチャートである。以下、図5を参照しながらドライバーの序列を決定する処理の流れを説明する。まず、取得部131が車両の運行情報を取得する(ステップS1)。評価部132は、取得部131が取得した運行情報が評価対象か否かを判定する(ステップS2)。
【0048】
評価部132は、取得部131が取得した運行情報が評価対象ではないと判定すると(ステップS2でNo)、取得部131が評価対象となる運行情報を取得するまで待機する。評価部132は、取得部131が取得した運行情報が評価対象であると判定すると(ステップS2でYes)、運行情報に基づいてドライバーの評価を定める(ステップS3)。決定部133は、ドライバーの評価に基づいてドライバーの序列を決定する(ステップS4)。表示制御部134は、例えば、ドライバーを雇用する事業者の端末の表示部にドライバーの序列を表示させる(ステップS5)。
【0049】
[実施の形態に係る運行情報管理装置1の効果]
以上説明したように、運行情報管理装置1の決定部133が運行情報に基づいてドライバーの評価を定め、表示制御部134がドライバーの評価に基づいて同じ種別における一以上のドライバーの序列を決定する。このようにすることで、車両を運転するドライバーは、自分の運転技術がどの程度のものなのか知ることができるので、ドライバーの運転技術向上の意欲を高めることができる。また、運送事業者が雇用するドライバーを監督する運行管理者は、ドライバーの評価に基づいてドライバーの指導を行うことができるので、運行情報管理装置1は、運行管理者のドライバー運転指導業務を低減することができる。
【0050】
また、表示制御部134は、取得部131が新たな運行情報を取得した場合に、ドライバーの序列を決定するので、ドライバーは、自分の序列が低くても短期間に序列を高めることができる。そのため、運行情報管理装置1は、序列が下がることによるドライバーの運転技術向上意欲の低下を抑制することができる。
【0051】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0052】
1・・・運行情報管理装置
11・・・通信部
12・・・記憶部
13・・・制御部
131・・・取得部
132・・・評価部
133・・・決定部
134・・・表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5