(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】プリントコントローラー、画像形成システム及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20220107BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220107BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20220107BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220107BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G06F3/12 323
G06F3/12 315
G06F3/12 329
G06F3/12 379
B41J29/38
B41J5/30 Z
G03G21/00 388
H04N1/00 C
H04N1/00 002Z
(21)【出願番号】P 2017182313
(22)【出願日】2017-09-22
【審査請求日】2020-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 浩一郎
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-207224(JP,A)
【文献】特開2016-095570(JP,A)
【文献】特開2016-030371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
B41J 5/30
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に接続される通信部と、
入力データのページ毎にラスタライズ処理に要するラスタライズ処理時間を予測するラスタライズ処理時間予測部と、
前記ページ毎の印刷情報から前記画像形成装置の生産性に関わる出力設定情報を
前記ページ毎に抽出し、前記通信部を通じて前記画像形成装置に前記出力設定情報を送信する出力設定情報抽出部と、
前記出力設定情報に基づいて前記画像形成装置によって
前記ページ毎に算出され、前記通信部を通じて前記画像形成装置から受信する前記画像形成装置の生産性情報に基づいて、前記画像形成装置のウォーミングアップ処理の終了時刻が、前記ラスタライズ処理時間の終了時刻以前となるように、前記画像形成装置が前記ウォーミングアップ処理を開始するウォーミングアップ開始時刻を算出するウォーミングアップ開始時刻算出部と、
現在時刻が前記ウォーミングアップ開始時刻になったときに、前記通信部を通じて前記画像形成装置に前記ウォーミングアップ処理の開始を通知するウォーミングアップ開始通知部と、
前記ページ毎にラスタライズ処理を行って生成した画像データを、前記通信部を通じて前記画像形成装置に送信するラスタライズ処理部と、
前記ウォーミングアップ処理が終了した後に、前記画像形成装置に印刷開始を通知する印刷開始通知部と、を備える
プリントコントローラー。
【請求項2】
前記画像形成装置の生産性情報は、ページ毎に算出された印刷処理時間と、前記ウォーミングアップ処理の発生を予測したウォーミングアップ発生予測時間と、前記ウォーミングアップ処理に要するウォーミングアップ処理予測時間を含み、
前記ウォーミングアップ開始時刻算出部は、前記ラスタライズ処理時間の終了時刻以前の前記ウォーミングアップ処理予測時間に基づいて前記ウォーミングアップ開始時刻を算出する
請求項1に記載のプリントコントローラー。
【請求項3】
前記ラスタライズ処理時間予測部は、前記通信部がクライアント端末から前記入力データとしてジョブを受信したタイミングで、前記ジョブに含まれる各ページの記述内容に基づいて、前記ラスタライズ処理時間を予測する
請求項2に記載のプリントコントローラー。
【請求項4】
前記ウォーミングアップ開始時刻算出部は、前記ラスタライズ処理時間の終了時刻から、次に前記画像形成装置にて画像形成が開始される時刻までの待機時間が最小化される前記ウォーミングアップ開始時刻を算出する
請求項1~3のいずれか一項に記載のプリントコントローラー。
【請求項5】
前記出力設定情報抽出部は、前回受信し
たジョブに含まれる前ページの前記出力設定情報と、今回受信し
たジョブに含まれるページの前記出力設定情報とが異なる場合に、
前記今回受信し
たジョブに含まれるページの前記出力設定情報を、前記通信部を通じて前記画像形成装置に送信する
請求項1~4のいずれか一項に記載のプリントコントローラー。
【請求項6】
前記前ページは、前記画像形成装置が以前に出力したページであって
、前記
前回受信したジョブの最終ページである
請求項5に記載のプリントコントローラー。
【請求項7】
前記出力設定情報には、使用される用紙、後処理の種類、トナーの使用予測量、用紙サイズ、坪量、後処理設定の少なくともいずれか一つが含まれる
請求項1~6のいずれか一項に記載のプリントコントローラー。
【請求項8】
前記ウォーミングアップ開始時刻算出部は、
さらに、前記画像形成装置が用紙に画像を形成する画像形成部の周辺における気温及び湿度、並びに前記画像形成装置の消費電力設定に基づいて、前記ウォーミングアップ開始時刻を算出する
請求項1~7のいずれか一項に記載のプリントコントローラー。
【請求項9】
プリントコントローラーと、画像形成装置と、を備え、
前記プリントコントローラーは、
前記画像形成装置に接続される第1通信部と、
入力データのページ毎にラスタライズ処理に要するラスタライズ処理時間を予測するラスタライズ処理時間予測部と、
前記ページ毎の印刷情報から画像形成装置の生産性に関わる出力設定情報を
前記ページ毎に抽出し、前記第1通信部を通じて前記画像形成装置に前記出力設定情報を送信する出力設定情報抽出部と、
前記出力設定情報に基づいて前記画像形成装置によって
前記ページ毎に算出され、前記第1通信部を通じて前記画像形成装置から受信する前記画像形成装置の生産性情報に基づいて、前記画像形成装置のウォーミングアップ処理の終了時刻が、前記ラスタライズ処理時間の終了時刻以前となるように、前記画像形成装置が前記ウォーミングアップ処理を開始するウォーミングアップ開始時刻を算出するウォーミングアップ開始時刻算出部と、
現在時刻が前記ウォーミングアップ開始時刻になったときに前記第1通信部を通じて前記画像形成装置に前記ウォーミングアップ処理の開始を通知するウォーミングアップ開始通知部と、
前記ページ毎にラスタライズ処理を行って生成した画像データを、前記第1通信部を通じて前記画像形成装置に送信するラスタライズ処理部と、
前記画像形成装置に印刷開始を通知する印刷開始通知部と、を有し、
前記画像形成装置は、
前記プリントコントローラーに接続される第2通信部と、
前記第2通信部を通じて前記プリントコントローラーから受信した前記出力設定情報に基づいて前記生産性情報を算出し、前記第2通信部を通じて前記プリントコントローラーに前記生産性情報を送信する生産性情報算出部と、
前記第2通信部を通じて前記プリントコントローラーから受信した前記ウォーミングアップ処理の開始の通知に基づいて前記ウォーミングアップ処理を開始するウォーミングアップ処理部と、
前記ウォーミングアップ処理が終了した後に、前記第2通信部を通じて前記プリントコントローラーから前記印刷開始が通知されたタイミングで画像を形成する画像形成部と、を有する
画像形成システム。
【請求項10】
入力データのページ毎にラスタライズ処理に要するラスタライズ処理時間を予測するラスタライズ処理時間予測部と、
前記ページ毎の印刷情報から画像形成装置の生産性に関わる出力設定情報を
前記ページ毎に抽出する出力設定情報抽出部と、
前記出力設定情報に基づいて
前記ページ毎に算出された前記画像形成装置の生産性情報に基づいて、ウォーミングアップ処理の終了時刻が、前記ラスタライズ処理時間の終了時刻以前となるように、前記ウォーミングアップ
処理を開始するウォーミングアップ開始時刻を算出するウォーミングアップ開始時刻算出部と、
現在時刻が前記ウォーミングアップ開始時刻になったときに前記ウォーミングアップ処理の開始を通知するウォーミングアップ開始通知部と、
前記ウォーミングアップ処理の開始の通知に基づいて前記ウォーミングアップ処理を開始するウォーミングアップ処理部と、
前記ページ毎にラスタライズ処理を行うラスタライズ処理部と、
前記ウォーミングアップ処理が終了した後に、印刷開始を通知する印刷開始通知部と、
前記印刷開始が通知されたタイミングで用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントコントローラー、画像形成システム及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷処理を高速化するために画像形成部による処理の高速化が求められている。また、ページ記述言語で記述された印刷データを、電子写真方式の画像形成装置で印刷可能な画像データに変換するラスタライズ処理(以下、RIP(Raster image processor)処理と呼ぶ)についても高速化が求められている。RIP処理は、主に、画像形成装置に画像データを送信するプリントコントローラーによって実施される。
【0003】
画像形成装置は、印刷を開始する前に、定着器の温度制御、駆動モーターの事前動作等のウォーミングアップ処理を必要とする。ウォーミングアップ処理の発生タイミングや処理時間は、画像形成部周辺の温度、湿度といった周辺環境にも依存する。また、画像形成装置が画像を形成する用紙の種類や、両面又は片面等の設定により画像形成処理(以下、印刷処理とも呼ぶ)にかかる印刷処理時間が変動する。さらにプリントコントローラーから画像形成装置に画像データを送信するタイミングによっても印刷処理時間が変動する。
【0004】
ここで、プリントコントローラーが特定ページをRIP処理する速度が遅いと、画像形成装置の最大印刷処理速度で印刷することができず、画像形成装置に待機時間が生じる。この待機時間が一定以上になると、上述したウォーミングアップ処理が発生する。
【0005】
そこで、特許文献1には、前のページのラスターページデータを転送してから保持部に保持されている次のページのラスターページデータを転送するまでのタイミングを遅らせることにより、サイクルダウンが生じることを防ぐ技術が開示されている。サイクルダウンとは、前のページの印刷が終了してから所定時間以上経過しても次のページの印刷を開始できない場合には、エンジン部を一旦停止させて、停止状態で次のページの印刷開始ができるようになるのを待つことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来は、プリントコントローラーによるRIP処理が終了し、画像形成装置が印刷可能な状態になった後で、画像形成装置がウォーミングアップ処理を行っていたため、画像形成装置による印刷処理の開始が遅れていた。結果的に、印刷処理の終了時刻がウォーミングアップ処理の時間だけ延びていた。
【0008】
また、適切なタイミングでウォーミングアップ処理を行うことができなければ、プリントコントローラーによるRIP処理が終了する前に、画像形成装置によるウォーミングアップ処理が終了する場合がある。この場合、RIP処理が終了した後、直ちに印刷処理を開始するには、画像形成装置のウォーミングアップ処理が終わった時点の状態を維持する必要があるため、画像形成装置が無駄な電力を消費していた。
【0009】
また、特許文献1に開示された技術のように、前のページのラスターページデータを転送してから次のページのラスターページデータを転送するまでに時間が空いていると、やはり画像形成装置でウォーミングアップ処理を開始しなければならない。そして、ウォーミングアップ処理が終了した後、印刷が開始されていたため、印刷処理の終了時刻を短縮することができなかった。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、ラスタライズ処理の開始から印刷終了までの全体の印刷処理時間を短くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るプリントコントローラーは、画像形成装置に接続される通信部と、入力データのページ毎にラスタライズ処理に要するラスタライズ処理時間を予測するラスタライズ処理時間予測部と、ページ毎の印刷情報から画像形成装置の生産性に関わる出力設定情報をページ毎に抽出し、通信部を通じて画像形成装置に出力設定情報を送信する出力設定情報抽出部と、出力設定情報に基づいて画像形成装置によってページ毎に算出され、通信部を通じて画像形成装置から受信する画像形成装置の生産性情報に基づいて、画像形成装置のウォーミングアップ処理の終了時刻が、ラスタライズ処理時間の終了時刻以前となるように、画像形成装置がウォーミングアップ処理を開始するウォーミングアップ開始時刻を算出するウォーミングアップ開始時刻算出部と、現在時刻がウォーミングアップ開始時刻になったときに、通信部を通じて画像形成装置にウォーミングアップ処理の開始を通知するウォーミングアップ開始通知部と、ページ毎にラスタライズ処理を行って生成した画像データを、通信部を通じて画像形成装置に送信するラスタライズ処理部と、ウォーミングアップ処理が終了した後に、画像形成装置に印刷開始を通知する印刷開始通知部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画像形成装置のウォーミングアップ処理の終了時刻が、ラスタライズ処理時間の終了時刻以前となるように算出されたウォーミングアップ開始時刻になったときに画像形成装置のウォーミングアップが開始されるため、ラスタライズ処理が終了すると直ちに画像形成装置による印刷が開始される。このため、ラスタライズ処理の開始から印刷終了までの全体の印刷処理時間を短縮することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システムの全体構成例を示す概略図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システムが備える各装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係るプリントコントローラー及び画像形成装置の内部構成例を示す機能ブロック図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る生産性に関わる出力設定情報の一例を示す説明図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態に係る生産性情報の一例を示す説明図である。
【
図6】従来のジョブ単位でのRIP処理、ウォーミングアップ処理及び印刷処理の一例を示すタイミングチャートである。
【
図7】本発明の第1の実施の形態に係るジョブ単位でのRIP処理、ウォーミングアップ処理及び印刷処理の一例を示すタイミングチャートである。
【
図8】従来のページ単位でのRIP処理、ウォーミングアップ処理及び印刷処理の一例を示すタイミングチャートである。
【
図9】本発明の第1の実施の形態に係るページ単位でのRIP処理、ウォーミングアップ処理及び印刷処理の一例を示すタイミングチャートである。
【
図10】本発明の第1の実施の形態に係るプリントコントローラーと画像形成装置との連携処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システムの全体構成例を示す概略図である。
【
図12】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の内部構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0015】
[第1の実施の形態]
始めに、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システムについて説明する。
図1は、画像形成システム10の全体構成例を示す概略図である。
【0016】
<画像形成システムの全体構成>
図1に示す画像形成システム10は、クライアント端末1、プリントコントローラー2及び画像形成装置3を備える。クライアント端末1及びプリントコントローラー2は、互いにネットワークNを介して接続されている。また、プリントコントローラー2及び画像形成装置3は、互いに有線接続されている。
【0017】
プリントコントローラー2には、クライアント端末1から投入されたジョブが入稿される。ジョブには、例えば、画像形成装置3が用紙に画像を形成するための印刷データが含まれる。また、ジョブには、ある画像をどのように用紙に割付け、画像を形成する用紙の部数を何部にするかといった印刷設定情報が含まれる。そして、プリントコントローラー2は、印刷用の画像データを画像形成装置3に送信する他、画像形成装置3に対してウォーミングアップ開始の通知、印刷開始の通知等を行う。これにより画像形成装置3は、全体の印刷処理時間を短縮可能で最適なタイミングでウォーミングアップ処理と印刷処理を行うことができる。
【0018】
<各装置のハードウェア構成>
図2は、画像形成システム10が備える各装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0019】
(クライアント端末)
クライアント端末1は、バスを介して互いに接続されたCPU(Central Processing Unit)11、揮発性記録媒体のメモリ12、及び不揮発性記録媒体の補助記憶部13を備える。また、クライアント端末1は、ユーザーインターフェイス部14(
図2では、UI部と記載する)、通信I/F15、印刷データ生成部16、ジョブ出力部17を備える。クライアント端末1には、例えばパーソナルコンピューター装置が用いられる。
【0020】
CPU11は、クライアント端末1の各部の動作の制御及び演算処理を行う中央処理装置であり、第1の実施の形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを補助記憶部13から読み出して実行する。なお、クライアント端末1は、CPU11の代わりに、MPU(Micro-Processing Unit)等の処理装置を備えてもよい。
【0021】
メモリ12は、主記憶部であり、メモリ12には演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。メモリ12には、RAM(Random Access Memory)等が適用される。
【0022】
補助記憶部13は、メモリ12の補助的な役割を担う記憶部であり、通常長時間データを保存することが可能な仕組みを有する。補助記憶部13には、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等が用いられる。この補助記憶部13には、OS(Operating System)及び各種のパラメータの他に、クライアント端末1を機能させるためのプログラムが記録されている。このように補助記憶部13は、クライアント端末1にて実行される各種のプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0023】
ユーザーインターフェイス部14は、例えば、ユーザーが操作入力が可能なキーボード、マウス等、ユーザーが画面を確認可能な液晶ディスプレイ装置等によって構成されている。ユーザーは、ユーザーインターフェイス部14を通じて、ジョブの実行を指示したり、ジョブの実行結果を確認したりすることが可能である。
【0024】
通信I/F(Interface)15は、例えばNIC(Network Interface Card)等が用いられ、LAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して各装置間で各種のデータを送受信することが可能な構成とされている。
【0025】
印刷データ生成部16は、ユーザーによるユーザーインターフェイス部14を通じた操作に基づいて、文書作成又は画像作成アプリケーションにより、画像形成システム10にて印刷される画像の印刷データを生成する。
【0026】
ジョブ出力部17は、印刷設定情報及び印刷データを含むジョブを生成し、プリントコントローラー2へ出力する。印刷設定情報には、ページ割付け等の情報が含まれる。
【0027】
(コントローラー)
プリントコントローラー2は、バスを介して互いに接続されたCPU21、揮発性記録媒体のメモリ22、及び不揮発性記録媒体の補助記憶部23、及び通信I/F24を備える。上述したようにプリントコントローラー2は、クライアント端末1から受信したジョブに基づいてRIP処理を行って生成した画像データを画像形成装置3に送信する。
【0028】
CPU21は、プリントコントローラー2の各部の動作の制御及び演算処理を行う中央処理装置であり、第1の実施の形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを補助記憶部23から読み出して実行する。なお、プリントコントローラー2は、CPU21の代わりに、MPU等の処理装置を備えてもよい。
【0029】
メモリ22は、主記憶部であり、メモリ22には演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。メモリ22には、RAM等が適用される。
【0030】
補助記憶部23は、メモリ22の補助的な役割を担う記憶部であり、通常長時間データを保存することが可能な仕組みを有する。補助記憶部23には、HDD、SSD、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等が用いられる。この補助記憶部23には、OS及び各種のパラメータの他に、プリントコントローラー2を機能させるためのプログラムが記録されている。このように補助記憶部23は、プリントコントローラー2にて実行される各種のプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0031】
通信I/F24は、例えばNIC等が用いられ、LAN等のネットワークNを介して各装置間で各種のデータを送受信することが可能な構成とされている。
【0032】
(画像形成装置)
画像形成装置3は、プリントコントローラー2から受信した画像データを使い、ジョブの印刷設定に合わせて用紙に画像を形成して出力する(以下「印刷処理」と呼ぶ)。画像形成装置3は、複数種類の機能(印刷機能、複写機能、スキャン機能等)を備えた複合機(MFP:Multi Function Peripheral)でもよい。画像形成装置3は、CPU31、メモリ32、補助記憶部33、通信I/F34、及び操作表示部35を備える。
【0033】
CPU31は、画像形成装置3の各部の動作の制御及び演算処理を行う中央処理装置であり、第1の実施の形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを補助記憶部33から読み出して実行する。なお、画像形成装置3は、CPU31の代わりに、MPU等の処理装置を備えてもよい。
【0034】
メモリ32は、主記憶部であり、メモリ32には演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。メモリ32には、RAM等が適用される。
【0035】
補助記憶部33は、メモリ32の補助的な役割を担う記憶部であり、通常長時間データを保存することが可能な仕組みを有する。補助記憶部33には、HDD、SSD、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等が用いられる。この補助記憶部33には、OS及び各種のパラメータの他に、画像形成装置3を機能させるためのプログラムが記録されている。このように補助記憶部33は、画像形成装置3にて実行される各種のプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0036】
通信I/F34は、例えばNIC等が用いられ、ネットワークNを介して各装置間で各種のデータを送受信することが可能な構成とされている。
【0037】
操作表示部35は、表示部であるフラットパネルディスプレイに、操作部であるタッチパネルが積層して構成される。操作表示部35は、ユーザーから入力される操作の内容に応じた操作信号を生成して、生成した操作信号をCPU31に供給する。また操作表示部35は、CPU31の処理結果を表示する。
【0038】
図3は、プリントコントローラー2及び画像形成装置3の内部構成例を示す機能ブロック図である。
図3において、クライアント端末1の内部構成例は記載を省略する。
【0039】
(コントローラー)
プリントコントローラー2は、RIP処理時間予測部2a、出力設定情報抽出部2b、ウォーミングアップ開始時刻算出部2c、ウォーミングアップ開始通知部2d、RIP処理部2e、印刷開始通知部2f、通信部2gを備える。
【0040】
RIP処理時間予測部2a(ラスタライズ処理時間予測部の一例)は、クライアント端末1により送信され、通信部2gにより受信されたジョブ(入力データの一例)のページ毎にページの記述内容に基づいて、RIP処理に要するRIP処理時間を予測する。予測されたRIP処理時間は、後述する
図7と
図9にてRIP予測時間として表される。
【0041】
出力設定情報抽出部2bは、ジョブに含まれるページ毎の印刷情報から画像形成装置3の生産性に関わる出力設定情報を抽出する。出力設定情報には、例えば、使用される用紙、後処理の種類、トナーの使用予測量、用紙サイズ、坪量、後処理設定の少なくともいずれか一つが含まれる。この出力設定情報は、画像形成装置3が生産性情報を算出するために用いられる。このため、出力設定情報抽出部2bは、通信部2gを通じて画像形成装置3に出力設定情報を送信する。
【0042】
また、出力設定情報抽出部2bは、前回受信したジョブに含まれる前ページの出力設定情報と、今回受信したジョブに含まれるページの出力設定情報とが異なる場合に、今回受信したジョブに含まれるページの出力設定情報を、通信部2gを通じて画像形成装置3に送信する。前ページとは、画像形成装置3が以前に出力したページであって、以前のジョブの最終ページである。前回受信したジョブに含まれる前ページの出力設定情報と、今回受信したジョブに含まれるページの出力設定情報とが同じであれば、今回受信したジョブに含まれるページの出力設定情報は送信しない。
【0043】
ウォーミングアップ開始時刻算出部2cは、画像形成装置3がウォーミングアップを開始するウォーミングアップ開始時刻を算出する。ウォーミングアップ開始時刻は、画像形成装置3の生産性情報に基づいて、画像形成装置3のウォーミングアップ処理の終了時刻が、RIP処理時間の終了時刻以前となるように算出される。ウォーミングアップ開始時刻算出部2cは、ウォーミングアップ開始時刻を算出する際に、画像形成装置3内に設けられた画像形成部3bの周辺における気温及び湿度、並びに画像形成装置3の消費電力設定を考慮する。
【0044】
ここで、画像形成装置3の生産性情報は、通信部2gを通じて画像形成装置3から受信される情報である。そして、生産性情報は、ページ毎に算出された印刷処理時間と、ウォーミングアップ処理が発生する時間を予測したウォーミングアップ発生予測時間と、ウォーミングアップ処理に要するウォーミングアップ処理予測時間を含む。印刷処理時間は、ページ毎に印刷処理にかかる時間である。ウォーミングアップ発生予測時間は、前ページの印刷処理が終了した後、画像形成装置3が待機状態となり、画像形成部3bの周辺における気温及び湿度が変わった場合において、再びページを印刷する際に、ウォーミングアップ処理が必要となるまでの時間を予測したものである。ウォーミングアップ処理予測時間は、ウォーミングアップ処理に必要な時間を予測したものである。
【0045】
そして、ウォーミングアップ開始時刻算出部2cは、RIP処理時間の終了時刻以前のウォーミングアップ処理予測時間に基づいてウォーミングアップ開始時刻を算出する。ウォーミングアップ処理は、RIP処理時間の終了時刻以前にRIP処理と並行して行われるため、前ページの印刷処理が終了した後における画像形成装置3の待機時間が最小化される。
【0046】
ウォーミングアップ開始通知部2dは、現在時刻がウォーミングアップ開始時刻になったときに、通信部2gを通じて画像形成装置3にウォーミングアップ処理の開始を指示する。現在時刻は、プリントコントローラー2にて管理される時刻である。
【0047】
RIP処理部2e(ラスタライズ処理部の一例)は、ジョブの印刷設定情報に基づいて印刷設定を反映した印刷データを画像形成装置3で識別できる言語(PDL:Page Description Language)に変換するRIP処理を行う。画像形成装置3で識別できる言語としては、PDLの他に、PCLやPostScript等がある。このRIP処理は、ジョブに含まれるページ毎に行われる。そして、RIP処理部2eは、RIP処理を行うことにより、印刷データから画像データを生成する。このRIP処理部2eは、ページ毎にRIP処理を行って生成した画像データを、通信部2gを通じて画像形成装置3に送信する。
【0048】
印刷開始通知部2fは、ウォーミングアップ処理が終了した後に、画像形成装置3に印刷開始を通知する。印刷開始の通知は、ウォーミングアップ開始時刻算出部2cが求めた画像形成装置3のウォーミングアップ処理の終了時刻に基づいて、画像形成装置3のウォーミングアップ処理が終了したタイミングで行われる。
【0049】
通信部2g(第1通信部の一例)は、画像形成装置3に接続されており、クライアント端末1からジョブを受信し、このジョブをRIP処理時間予測部2aに出力する。また、通信部2gは、出力設定情報抽出部2bがジョブから抽出した画像形成装置3の生産性に関する出力設定情報を画像形成装置3に送信する。また、通信部2gは、画像形成装置3によって算出された生産性情報を受信する。
【0050】
(画像形成装置)
画像形成装置3は、ウォーミングアップ処理部3a、画像形成部3b、生産性情報算出部3c、通信部3dを備える。
【0051】
ウォーミングアップ処理部3aは、通信部3dを通じてプリントコントローラー2から受信したウォーミングアップ処理の開始の通知に基づいてウォーミングアップ処理を開始する。
【0052】
画像形成部3bは、プリントコントローラー2から送信された画像データに基づいて用紙に画像を形成する。画像形成部3bが画像を形成するタイミングは、ウォーミングアップ処理が終了した後に、通信部3dを通じてプリントコントローラー2から印刷開始が通知されたタイミングである。
【0053】
生産性情報算出部3cは、通信部3dを通じてプリントコントローラー2から受信した出力設定情報に基づいて、生産性情報を算出し、通信部3dを通じてプリントコントローラー2に生産性情報を送信する。
【0054】
通信部3d(第2通信部の一例)は、プリントコントローラー2から送信された出力設定情報を受信し、生産性情報算出部3cに出力設定情報を出力する。また、通信部3dは、生産性情報算出部3cにより算出された生産性情報をプリントコントローラー2に送信する。また、通信部3dプリントコントローラー2から送信された画像データを受信する。
【0055】
図4は、出力設定情報の一例を示す説明図である。出力設定情報は、ページ、用紙サイズ、坪量、用紙種類、後処理、トナー使用予測量の各項目により構成される。
【0056】
ページ項目には、ページ数が格納される。ただし、ページ項目には、同じ出力設定情報を持つ複数のページ数が格納されてもよい。
用紙サイズ項目には、画像形成装置3により画像が形成される用紙の用紙サイズが格納される。
坪量項目には、用紙の坪量が格納される。
用紙種類項目には、例えば、普通紙又はコート紙といった用紙種類が格納される。
【0057】
後処理項目には、例えば、片面印刷又は両面印刷のいずれかを表す後処理の内容が格納される。
トナー使用予測量項目には、用紙に画像を形成するときに使用されるトナーの使用量を予測したトナー使用予測量が格納される。例えば、CMYKのトナー毎にトナー使用予測量が格納される。
なお、出力設定情報には、上述した情報以外にも、画像形成装置3の印刷速度を含めてもよい。
【0058】
図5は、生産性情報の一例を示す説明図である。生産性情報は、ページ、印刷処理時間、ウォーミングアップ発生予測時間、ウォーミングアップ処理予測時間の各項目により構成される。
【0059】
印刷処理時間項目には、1ページごとにかかる印刷処理時間が格納される。
ウォーミングアップ発生予測時間項目には、画像形成装置3による印刷処理が終了した後、再びウォーミングアップ処理が必要となる一定時間がウォーミングアップ発生予測時間として格納される。画像形成装置3が印刷処理を終了した後、待機する時間がウォーミングアップ発生予測時間を超えた場合には、再びウォーミングアップ処理が行われる。
ウォーミングアップ処理予測時間項目には、ウォーミングアップ処理部3aがウォーミングアップ処理にかかる予測時間が1ページごとに格納される。
【0060】
次に、従来のウォーミングアップ処理と、第1の実施の形態に係るウォーミングアップ処理との違いについて、
図6~
図9を参照して説明する。
【0061】
始めに、
図6と
図7を参照して、ジョブ単位でのウォーミングアップ処理について説明する。
図6は、従来のジョブ単位でのRIP処理、ウォーミングアップ処理及び印刷処理の一例を示すタイミングチャートである。
【0062】
従来の画像形成システムでは、プリントコントローラーによりジョブ単位でRIP処理が行われた後、プリントコントローラーから画像形成装置に対して印刷開始が通知される。印刷開始が通知された画像形成装置は、ウォーミングアップ処理を開始する。そして、画像形成装置は、十分なウォーミングアップ処理を行った後、プリントコントローラーから受信した画像データに基づいて印刷処理を開始する。
【0063】
このように従来は、RIP処理が終わった後、ウォーミングアップ処理が行われ、ウォーミングアップ処理が終わった後、印刷処理が行われていた。すなわち、従来の画像形成装置は、プリントコントローラーから印刷開始通知を受信しても、ウォーミングアップ処理が終了するまで印刷処理を開始できなかった。
【0064】
図7は、第1の実施の形態に係るジョブ単位でのRIP処理、ウォーミングアップ処理及び印刷処理の一例を示すタイミングチャートである。図中にて、ウォーミングアップをWUとも記載する。
【0065】
第1の実施の形態に係る画像形成装置3のウォーミングアップ処理部3aは、プリントコントローラー2でのRIP処理の終了時刻と、ウォーミングアップ処理の終了時刻が同じになるようにウォーミングアップ処理を早めに開始する。このため、RIP処理時間予測部2aによるRIP処理時間の予測と、ウォーミングアップ開始時刻算出部2cによるウォーミングアップ開始時刻の算出が必要となる。
【0066】
そこで、RIP処理時間予測部2aは、RIP処理部2eによるRIP処理にかかるRIP予測時間を算出する。次に、ウォーミングアップ開始時刻算出部2cは、画像形成装置3から受信した生産性情報に基づいて、ウォーミングアップ処理予測時間を算出する。そして、ウォーミングアップ開始時刻算出部2cは、ウォーミングアップ処理予測時間に基づいて、ウォーミングアップ処理の終了時刻が、ラスタライズ処理時間の終了時刻以前となるようにウォーミングアップ開始時刻を算出する。
【0067】
現在時刻がウォーミングアップ開始時刻になると、ウォーミングアップ開始通知部2dから画像形成装置3にウォーミングアップ開始が通知され、画像形成装置3にてウォーミングアップが開始される。その後、ウォーミングアップ処理が終了するタイミングで、印刷開始通知部2fから画像形成装置3に印刷開始が通知される。印刷開始が通知された画像形成装置3では、印刷を開始し、所定の印刷処理時間を経た後、印刷を終了する。
【0068】
このように画像形成装置3では、プリントコントローラー2のRIP処理が終了する前にウォーミングアップ処理を開始するため、印刷処理の開始をRIP処理の終了直後とすることができる。これにより、画像形成システム10全体の処理時間は、従来の画像形成システム全体の処理時間と比べて大きく短縮することができる。
【0069】
次に、
図8と
図9を参照して、ページ単位でのウォーミングアップ処理について説明する。
図8は、従来のページ単位でのRIP処理、ウォーミングアップ処理及び印刷処理の一例を示すタイミングチャートである。
【0070】
従来の画像形成システムでは、プリントコントローラーによる1ページ目のRIP処理が終了した後、画像形成装置3によるウォーミングアップ処理が開始され、ウォーミングアップ処理が終了した後、印刷処理が開始される。2ページ目、3ページ目は、いずれもウォーミングアップ処理無しで印刷処理が開始できる状態であるため、1ページ目に続けて印刷処理が行われる。
【0071】
4ページ目は、1~3ページ目に比べてRIP処理の時間が長い。このため、画像形成装置が3ページ目の印刷を終了した後、一時的に画像形成装置が待機状態となる。そして、画像形成装置が待機状態のまま一定時間(ウォーミングアップ発生予測時間)を超過すると、画像形成装置内にある定着器の温度が変化する等により、画像形成装置では、再度ウォーミングアップ処理の実行が必要となる。このため、プリントコントローラーによる4ページ目のRIP処理が終了した後、画像形成装置では再度ウォーミングアップ処理が実行される。そして、ウォーミングアップ処理が終了した後、4ページ目以降のページの印刷処理が行われる。
【0072】
図9は、第1の実施の形態に係るページ単位でのRIP処理、ウォーミングアップ処理及び印刷処理の一例を示すタイミングチャートである。
【0073】
第1の実施の形態に係る画像形成システム10では、1ページ目のRIP処理終了予測時刻までに画像形成装置3がウォーミングアップ処理を終了できないので、プリントコントローラー2によるRIP処理の開始と同時に、画像形成装置3がウォーミングアップ処理を開始する。これにより画像形成装置3は、ウォーミングアップ処理による印刷処理の開始までの待機時間を最小化することができる。そして、ウォーミングアップ処理が終了すると直ちに1ページ目の印刷処理が開始される。このため、画像形成装置3は、従来の画像形成装置と比べて、1ページ目の印刷終了時間を短縮することができるため、利用者が従来よりも早く印刷物を取得可能となる。
【0074】
2ページ目、3ページ目についても、1ページ目と同様に処理が行われる。1~3ページ目のラスタライズ処理はほぼ同じ時間である。そして、画像形成装置3は、前ページの印刷処理が終了すると2ページ目、3ページ目の印刷を直ちに開始することができる。
【0075】
また、4ページ目以降の処理においても、画像形成装置3は、3ページ目までの印刷終了時間、4ページ目のRIP処理予測時間、ウォーミングアップ発生予測時間に基づいて、ウォーミングアップ処理の実行要否を判断する。そして、ウォーミングアップ開始時刻算出部2cがウォーミングアップ処理の実行を必要と判断した場合、ウォーミングアップ処理の開始時間を算出する。
【0076】
この結果、1ページ目と同様に、4ページ目のRIP処理が行われている間に、画像形成装置3のウォーミングアップ処理を先行して実行することが可能となる。このため、4ページ目のRIP処理の終了時刻と、ウォーミングアップ処理の終了時刻が同じとなる。その後、画像形成装置3は、1~3ページ目と同様に、4~6ページ目の印刷処理を行う。このため、画像形成装置3は、従来の画像形成装置と比べて4ページ目以降の印刷処理が終了するまでの時間を短縮することができる。
【0077】
図10は、プリントコントローラー2と画像形成装置3との連携処理の一例を示すフローチャートである。
【0078】
始めに、プリントコントローラー2の通信部2gは、クライアント端末1から送信されたジョブを受信する(S1)。次に、出力設定情報抽出部2bは、ジョブから各ページのRIP予測時間を算出し、かつ生産性情報の算出に関わる出力設定情報(用紙、後処理、トナー使用予測量等)を抽出する(S2)。
【0079】
次に、出力設定情報抽出部2bは、前ページの情報がないか、又は前ページの出力設定情報から今回のページの出力設定情報が変わったか否かを判定する(S3)。前ページの情報がないか、又は前ページの出力設定情報から今回のページの出力設定情報が変わった場合(S3のYES)、通信部2gは、今回のページの出力設定情報を画像形成装置3に送信する(S4)。
【0080】
画像形成装置3の通信部3dがプリントコントローラー2から生産性情報の算出に関わる出力設定情報を受信すると、生産性情報算出部3cは、生産性情報を算出する(S21)。生産性情報は、印刷処予測理時間、ウォーミングアップ発生予測時間、ウォーミングアップ処理予測時間である。そして、通信部3dは、画像形成装置3に生産性情報を送信する。
【0081】
ステップS3にて今回のページの出力設定情報が、前ページの出力設定情報と変わっていない場合(S3のNO)、又は、ステップS21にて画像形成装置3から送信された生産性情報を通信部2gが受信した場合、ウォーミングアップ開始時刻算出部2cがウォーミングアップ開始時刻を算出する(S5)。ウォーミングアップ開始時刻は、画像形成装置3から受信した生産性情報と、ステップS2にて算出されたRIP予測時間に基づいて算出される。
【0082】
ウォーミングアップ処理の実行が必要な場合は、前述のウォーミングアップ開始時刻になった際にウォーミングアップ処理を開始する。このため、ウォーミングアップ開始通知部2dは、現在時刻が、ウォーミングアップ開始時刻になったか否かを判定する(S6)。現在時刻が、ウォーミングアップ開始時刻になった場合(S6のYES)、ウォーミングアップ開始通知部2dは、画像形成装置3にウォーミングアップ開始を通知する(S7)。
【0083】
現在時刻が、ウォーミングアップ開始時刻にならない場合(S6のNO)、ステップS8に移る。現在時刻が、ウォーミングアップ開始時刻にならないとは、既にウォーミングアップ処理が行われており、ウォーミングアップ開始時刻が算出されていない場合である。
【0084】
画像形成装置3のウォーミングアップ処理部3aは、ウォーミングアップ開始通知に従ってウォーミングアップを開始する(S22)。そして、画像形成装置3からプリントコントローラー2に対して、ウォーミングアップ処理を行っていることが通知される。これによりプリントコントローラー2は、画像形成装置3でウォーミングアップ処理が行われていることが分かる。
【0085】
現在時刻が、ウォーミングアップ開始時刻にならない場合(S6のNO)、又は、ステップS22にてウォーミングアップ処理が開始された後、RIP処理部2eは、ジョブに基づいてRIP処理を行う(S8)。プリントコントローラー2のRIP処理は、画像形成装置3のウォーミングアップ処理と並行して行われる。このRIP処理は、RIP処理時間予測部2aにより予測されたRIP予測時間とほぼ同じRIP処理時間で行われる。
【0086】
次に、RIP処理部2eによりRIP処理が終了したか否かが判定される(S9)。RIP処理部2eによるRIP処理が終了していなければ(S9のNO)、再びステップS6に戻ってウォーミングアップ開始時刻になったか否かが判定され、以降の処理が行われる。
【0087】
一方、RIP処理部2eによるRIP処理が終了すれば(S9のYES)、通信部2gから画像形成装置3に対して画像データが送信され、かつ、印刷開始通知部2fから画像形成装置3に対して印刷開始が通知される(S10)。
【0088】
画像形成装置3は、プリントコントローラー2から画像データを受信し、印刷開始が通知されると、画像形成部3bによる画像形成、すなわち印刷処理を開始する(S23)。そして、印刷処理が終了すると、画像形成装置3は、プリントコントローラー2に印刷処理の終了を通知する。
【0089】
プリントコントローラー2は、クライアント端末1から受信したジョブに含まれる全てのページに対する処理(「全処理」と呼ぶ)を終了したか否かを判定する(S11)。全処理を終了していない、すなわち未処理のページが含まれる場合(S11のNO)、再びステップS2に戻ってウォーミングアップ開始時刻になったか否かが判定される。一方、全処理を終了した、すなわちジョブに未処理のページが含まれない場合(S11のYES)、本連携処理を終了する。
【0090】
以上説明した第1の実施の形態に係る画像形成システム10では、画像形成装置3が印刷開始前の最適なタイミングでウォーミングアップ処理を開始する。ここで、プリントコントローラー2から出力設定情報を画像形成装置3に送信し、それに基づいた印刷処理時間と、ウォーミングアップ処理に関わる予測時間を入手する。そして、各画像のRIP予測時間と併せてウォーミングアップ処理時間開始時間を算出する。これにより画像形成装置3は、印刷開始前に適切なタイミング(RIP終了からプリント開始までの待機時間を最小化する)でウォーミングアップ処理を実行することにより効率的な印刷パフォーマンスと電力消費を実現する。
【0091】
また、画像形成装置3は、RIP処理が終わったページ順に印刷処理を開始することができる。このため、全てのページのRIP処理が終了するまで待たなくても、印刷されたページを排紙することが可能となる。これによりユーザーのできる限り早く印刷物を取得したいという要望に応えることができる。
【0092】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システムについて説明する。第2の実施の形態に係る画像形成システムでは、画像形成装置が第1の実施の形態に係るプリントコントローラー2の機能を有する。
図11は、画像形成システム10Aの全体構成例を示す概略図である。
【0093】
<画像形成システムの全体構成> 画像形成システム10Aは、クライアント端末1及び画像形成装置3Aを備える。クライアント端末1及び画像形成装置3Aは、ネットワークNを介して接続されている。そして、画像形成装置3Aには、クライアント端末1から投入されたジョブが直接入稿される。画像形成装置3Aは、ジョブに基づいてRIP処理等を行って印刷用の画像データを作成した後、最適なタイミングで印刷開始を行うことが可能である。
【0094】
図12は、画像形成装置3Aの内部構成例を示す機能ブロック図である。
図12において、クライアント端末1の内部構成例の記載を省略する。
【0095】
画像形成装置3Aは、第1の実施の形態に係る画像形成装置3のウォーミングアップ処理部3a、画像形成部3b、生産性情報算出部3c、通信部3dを備える。さらに、画像形成装置3Aは、RIP処理時間予測部3e、出力設定情報抽出部3f、ウォーミングアップ開始時刻算出部3g、ウォーミングアップ開始通知部3h、RIP処理部3i、印刷開始通知部3jを備える。
【0096】
通信部3dは、クライアント端末1からジョブを受信する。
RIP処理時間予測部3eは、ジョブに含まれるページ毎にRIP処理に要するRIP処理時間を予測する。
出力設定情報抽出部3fは、ページ毎の印刷情報から画像形成装置3Aの生産性に関わる出力設定情報を抽出する。
ウォーミングアップ開始時刻算出部3gは、出力設定情報に基づいて算出された画像形成装置3Aの生産性情報に基づいて、ウォーミングアップ処理の終了時刻が、RIP処理時間の終了時刻以前となるように、ウォーミングアップを開始するウォーミングアップ開始時刻を算出する。
【0097】
ウォーミングアップ開始通知部3hは、現在時刻がウォーミングアップ開始時刻になったときにウォーミングアップ処理の開始を通知する。
ウォーミングアップ処理部3aは、ウォーミングアップ処理の開始の通知に基づいてウォーミングアップ処理を開始する。
RIP処理部3iは、ページ毎にRIP処理を行い印刷データから画像データを生成する。
印刷開始通知部3jは、ウォーミングアップ処理が終了した後に、印刷開始を通知する。
そして、画像形成部3bは、印刷開始が通知されたタイミングで用紙に画像を形成する。
【0098】
以上説明した第2の実施の形態に係る画像形成システム10Aでは、画像形成装置3Aが、第1の実施の形態に係るプリントコントローラー2の機能を有している。このため、画像形成装置3Aは、プリントコントローラー2との間でデータの送受信にかかる時間がなくなる。この結果、ウォーミングアップ開始の通知が行われると直ちにウォーミングアップ処理を開始することができる。また、印刷開始の通知が行われると直ちに印刷処理を開始することができる。
【0099】
なお、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…クライアント端末、2…プリントコントローラー、2a…RIP処理時間予測部、2b…出力設定情報抽出部、2c…ウォーミングアップ開始時刻算出部、2d…ウォーミングアップ開始通知部、2e…RIP処理部、2f…印刷開始通知部、2g…通信部、3…画像形成装置、3a…ウォーミングアップ処理部、3b…画像形成部、3c…生産性情報算出部、3d…通信部