(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20220107BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20220107BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220107BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220107BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/00 X
G08G1/09 F
G08G1/16 A
B60W40/02
(21)【出願番号】P 2017221082
(22)【出願日】2017-11-16
【審査請求日】2020-04-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 優
(72)【発明者】
【氏名】久野 耕嗣
(72)【発明者】
【氏名】日与川 豊治
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-083430(JP,A)
【文献】国際公開第2017/093196(WO,A1)
【文献】特表2013-530867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
B60R 25/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車両制御装置であって、
停車領域と駐車領域とを含む駐車場において、前記停車領域で前記車両が停車した後、所定の指示に応じて前記車両が前記停車領域から前記駐車領域へ自動で移動して駐車する自動駐車を実現するように前記車両の走行状態を制御する走行制御部と、
前記車両の周辺の状況を撮像する車載カメラによって得られる画像データを取得する画像データ取得部と、
前記自動駐車における前記停車領域からの発進時に、前記画像データ取得部により取得される画像データに基づいて、前記停車領域の周辺において前記車両に対して異なる方向の予め決められた少なくとも2つの位置に設けられた標識に関する標識データを検出し、検出した前記標識データと、前記駐車場の地図データと、に基づいて、前記停車領域内における発進の起点となる初期位置を推定する初期位置推定部と、を備え、
前記初期位置推定部は、前記画像データに基づいて、前記停車領域の境界に前記標識として設けられた区画線と、当該停車領域の近傍に前記標識として設けられたマーカと、のうち少なくとも一方の組み合わせに関するデータを前記標識データとして検出し、検出した前記標識データと、前記地図データと、に基づいて、前記初期位置を推定
し、
前記標識のうち、少なくとも一方は前記停車領域の境界において車両の側方に設けられる区画線である、車両制御装置。
【請求項2】
前記標識のうち、一方は前記停車領域の境界において車両の側方に設けられる区画線であって、他方は前記停車領域の境界において車両の前方または後方に設けられる区画線、または、前記停車領域の近傍において車両の前方または後方に設けられるマーカである、請求項
1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
車両に搭載される車両制御装置であって、
降車領域と乗車領域と駐車領域とを含む駐車場において、前記降車領域で前記車両から乗員が降車した後、所定の指示に応じて前記車両が前記降車領域から前記駐車領域へ自動で移動して駐車する自動駐車と、当該自動駐車が完了した後、所定の呼び出しに応じて前記車両が前記駐車領域から出庫して前記乗車領域へ自動で移動して停車する自動出庫と、を含む自動バレー駐車を実現するように前記車両の走行状態を制御する走行制御部と、
前記車両の周辺の状況を撮像する車載カメラによって得られる画像データを取得する画像データ取得部と、
前記自動駐車における前記降車領域からの発進時に、前記画像データ取得部により取得される画像データに基づいて、前記降車領域の周辺において前記車両に対して異なる方向の予め決められた少なくとも2つの位置に設けられた標識に関する標識データを検出し、検出した前記標識データと、前記駐車場の地図データと、に基づいて、前記降車領域内における発進の起点となる初期位置を推定する初期位置推定部と、を備え、
前記初期位置推定部は、前記画像データに基づいて、前記降車領域の境界に前記標識として設けられた区画線と、当該降車領域の近傍に前記標識として設けられたマーカと、のうち少なくとも一方の組み合わせに関するデータを前記標識データとして検出し、検出した前記標識データと、前記地図データと、に基づいて、前記初期位置を推定
し、
前記標識のうち、少なくとも一方は前記降車領域の境界において車両の側方に設けられる区画線である、車両制御装置。
【請求項4】
前記標識のうち、一方は前記降車領域の境界において車両の側方に設けられる区画線であって、他方は前記降車領域の境界において車両の前方または後方に設けられる区画線、または、前記降車領域の近傍において車両の前方または後方に設けられるマーカである、請求項
3に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記初期位置推定部は、前記画像データに基づいて、前記車両を挟んで互いに反対側の2つの位置に設けられた前記標識に関する前記標識データを検出し、検出した前記標識データと、前記地図データと、に基づいて、前記初期位置を推定する、
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駐車場内の所定の降車領域で車両から乗員が降車した後、所定の指示に応じて車両が降車領域から空きの駐車領域へ自動で移動して駐車する自動駐車と、当該自動駐車が完了した後、所定の呼び出しに応じて車両が駐車領域から出庫して所定の乗車領域へ自動で移動して停車する自動出庫と、を含む自動バレー駐車を実現するための技術が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような所定の停車領域(降車領域)から駐車領域への自動走行を伴う自動駐車を実現するためには、自動駐車の発進の起点となる停車領域内における車両の初期位置を正確に把握することが重要となる。しかしながら、停車領域内への停車は、通常、車両の乗員などの手動によって行われるため、自動駐車の開始時に、車両が停車領域内の常に同じ初期位置に停車しているとは限らない。
【0005】
そこで、実施形態の課題の一つは、自動駐車の発進の起点となる車両の初期位置を正確に把握することが可能な車両制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一例としての車両制御装置は、車両に搭載される車両制御装置であって、停車領域と駐車領域とを含む駐車場において、停車領域で車両が停車した後、所定の指示に応じて車両が停車領域から駐車領域へ自動で移動して駐車する自動駐車を実現するように車両の走行状態を制御する走行制御部と、車両の周辺の状況を撮像する車載カメラによって得られる画像データを取得する画像データ取得部と、自動駐車における停車領域からの発進時に、画像データ取得部により取得される画像データに基づいて、停車領域の周辺において車両に対して異なる方向の予め決められた少なくとも2つの位置に設けられた標識に関する標識データを検出し、検出した標識データと、駐車場の地図データと、に基づいて、停車領域内における発進の起点となる初期位置を推定する初期位置推定部と、を備える。初期位置推定部は、画像データに基づいて、降車領域の境界に標識として設けられた区画線と、当該降車領域の近傍に標識として設けられたマーカと、のうち少なくとも一方の組み合わせに関するデータを標識データとして検出し、検出した標識データと、地図データと、に基づいて、初期位置を推定する。標識のうち、少なくとも一方は停車領域の境界において車両の側方に設けられる区画線である。
【0007】
上記の構成によれば、車両が停車領域に停車した際に取得される画像データから検出された標識データと、駐車場の地図データ(に含まれる正規の標識データ)と、を照合することで、自動駐車の発進の起点となる車両の初期位置を正確に把握することができる。また、駐車場内に位置が不変のものとして設けられる区画線とマーカとのうち少なくとも一方の組み合わせ(標識のうち、少なくとも一方は停車領域の境界において車両の側方に設けられる区画線)を利用して、車両の初期位置を容易に推定することができる。
【0008】
実施形態の他の一例としての車両制御装置は、車両に搭載される車両制御装置であって、降車領域と乗車領域と駐車領域とを含む駐車場において、降車領域で車両から乗員が降車した後、所定の指示に応じて車両が降車領域から駐車領域へ自動で移動して駐車する自動駐車と、当該自動駐車が完了した後、所定の呼び出しに応じて車両が駐車領域から出庫して乗車領域へ自動で移動して停車する自動出庫と、を含む自動バレー駐車を実現するように車両の走行状態を制御する走行制御部と、車両の周辺の状況を撮像する車載カメラによって得られる画像データを取得する画像データ取得部と、自動駐車における降車領域からの発進時に、画像データ取得部により取得される画像データに基づいて、降車領域の周辺において車両に対して異なる方向の予め決められた少なくとも2つの位置に設けられた標識に関する標識データを検出し、検出した標識データと、駐車場の地図データと、に基づいて、降車領域内における発進の起点となる初期位置を推定する初期位置推定部と、を備える。初期位置推定部は、画像データに基づいて、降車領域の境界に標識として設けられた区画線と、当該降車領域の近傍に標識として設けられたマーカと、のうち少なくとも一方の組み合わせに関するデータを標識データとして検出し、検出した標識データと、地図データと、に基づいて、初期位置を推定する。標識のうち、少なくとも一方は停車領域の境界において車両の側方に設けられる区画線である。
【0009】
上記の構成によれば、車両が降車領域に停車した際に取得される画像データから検出された標識データと、駐車場の地図データ(に含まれる正規の標識データ)と、を照合することで、降車領域内における発進の起点となる車両の初期位置を正確に把握することができる。また、駐車場内に位置が不変のものとして設けられる区画線とマーカとのうち少なくとも一方の組み合わせ(標識のうち、少なくとも一方は停車領域の境界において車両の側方に設けられる区画線)を利用して、車両の初期位置を容易に推定することができる。
【0010】
上述した車両制御装置において、初期位置推定部は、画像データに基づいて、車両を挟んで互いに反対側の2つの位置に設けられた標識に関する標識データを検出し、検出した標識データと、地図データと、に基づいて、初期位置を推定する。この構成によれば、車両を挟んで互いに反対側の2つの位置に設けられた標識の位置関係を考慮して、車両の初期位置を容易に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる自動バレー駐車システムにおける自動駐車の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる自動バレー駐車システムにおける自動出庫の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる管制装置のハードウェア構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかる車両制御システムのシステム構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる管制装置および車両制御装置の機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる車両制御装置の初期位置推定部により実施されうる初期位置の推定方法の一例を説明するための例示的かつ模式的な図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかる車両制御装置の初期位置推定部により実施されうる初期位置の推定方法の
図6とは異なる一例を説明するための例示的かつ模式的な図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかる車両制御装置の初期位置推定部により実施されうる初期位置の推定方法の
図6および
図7とは異なる一例を説明するための例示的かつ模式的な図である。
【
図9】
図9は、実施形態において自動駐車が実行される場合に管制装置および車両制御装置が実行する処理の流れを示した例示的かつ模式的なシーケンス図である。
【
図10】
図10は、実施形態において自動出庫が実行される場合に管制装置および車両制御装置が実行する処理の流れを示した例示的かつ模式的なシーケンス図である。
【
図11】
図11は、実施形態において初期位置の推定が実行される場合に車両制御装置が実行する処理の流れを示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0016】
まず、
図1および
図2を参照して、実施形態にかかる自動バレー駐車システムの概略について説明する。ここで、自動バレー駐車システムとは、たとえば白線などといった所定の区画線Lで区画された1以上の駐車領域Rを有する駐車場Pにおいて、以下に説明するような自動駐車および自動出庫を含む自動バレー駐車を実現するためのシステムである。
【0017】
図1は、実施形態にかかる自動バレー駐車システムにおける自動駐車の一例を示した例示的かつ模式的な図であり、
図2は、実施形態にかかる自動バレー駐車システムにおける自動出庫の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【0018】
図1および
図2に示されるように、自動バレー駐車においては、駐車場P内の所定の降車領域P1で車両Vから乗員Xが降車した後、所定の指示に応じて車両Vが降車領域P1から空きの駐車領域Rへ自動で移動して駐車する自動駐車(
図1の矢印C1参照)と、当該自動駐車が完了した後、所定の呼び出しに応じて車両Vが駐車領域Rから出庫して所定の乗車領域P2へ自動で移動して停車する自動出庫(
図2の矢印C2参照)と、が実行される。なお、所定の指示および所定の呼び出しは、乗員Xによる端末装置Tの操作によって実現される。
【0019】
また、
図1および
図2に示されるように、自動バレー駐車システムは、駐車場Pに設けられた管制装置101と、車両Vに搭載された車両制御システム102と、を有している。管制装置101と車両制御システム102とは、無線通信によって互いに通信可能に構成されている。
【0020】
ここで、管制装置101は、駐車場P内の状況を撮像する1以上の監視カメラ103から得られる画像データや、駐車場P内に設けられる各種のセンサ(不図示)などから出力されるデータを受け取ることで駐車場P内の状況を監視し、監視結果に基づいて、駐車領域Rを管理するように構成されている。以下では、駐車場P内の状況を監視するために管制装置101が受け取る情報を総称してセンサデータと記載することがある。
【0021】
なお、実施形態において、駐車場Pにおける降車領域P1、乗車領域P2、および駐車領域Rの数や配置などは、
図1および
図2に示された例に制限されるものではない。実施形態の技術は、
図1および
図2に示された駐車場Pとは異なる様々な構成の駐車場に適用可能である。
【0022】
次に、
図3および
図4を参照して、実施形態にかかる管制装置101および車両制御システム102の構成について説明する。なお、
図3および
図4に示される構成は、あくまで一例であり、実施形態にかかる管制装置101および車両制御システム102の構成は、種々に設定(変更)可能である。
【0023】
まず、
図3を参照して、実施形態にかかる管制装置101のハードウェア構成について説明する。
【0024】
図3は、実施形態にかかる管制装置101のハードウェア構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図3に示されるように、実施形態にかかる管制装置101は、PC(Personal Computer)などといった一般的な情報処理装置と同様のコンピュータ資源を有している。
【0025】
図3に示される例において、管制装置101は、CPU(Central Processing Unit)301と、ROM(Read Only Memory)302と、RAM(Random Access Memory)303と、通信インターフェース(I/F)304と、入出力インターフェース(I/F)305と、SSD(Solid State Drive)306と、を有している。これらのハードウェアは、データバス350を介して互いに接続されている。
【0026】
CPU301は、管制装置101を統括的に制御するハードウェアプロセッサである。CPU301は、ROM302などに記憶された各種の制御プログラム(コンピュータプログラム)を読み出し、当該各種の制御プログラムに規定されたインストラクションにしたがって各種の機能を実現する。
【0027】
ROM302は、上述した各種の制御プログラムの実行に必要なパラメータなどを記憶する不揮発性の主記憶装置である。
【0028】
RAM303は、CPU301の作業領域を提供する揮発性の主記憶装置である。
【0029】
通信インターフェース304は、管制装置101と外部装置との間の通信を実現するインターフェースである。たとえば、通信インターフェース304は、管制装置101と車両V(車両制御システム102)との間の無線通信による信号の送受信を実現する。
【0030】
入出力インターフェース305は、管制装置101と外部装置との接続を実現するインターフェースである。外部装置としては、たとえば、管制装置101のオペレータが使用する入出力デバイスなどが考えられる。
【0031】
SSD306は、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。なお、実施形態にかかる管制装置101においては、補助記憶装置として、SSD306に替えて(またはSSD306に加えて)、HDD(Hard Disk Drive)が設けられてもよい。
【0032】
次に、
図4を参照して、実施形態にかかる車両制御システム102のシステム構成について説明する。
【0033】
図4は、実施形態にかかる車両制御システム102のシステム構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図4に示されるように、車両制御システム102は、制動システム401と、加速システム402と、操舵システム403と、変速システム404と、障害物センサ405と、走行状態センサ406と、通信インターフェース(I/F)407と、車載カメラ408と、モニタ装置409と、車両制御装置410と、車載ネットワーク450と、を有している。
【0034】
制動システム401は、車両Vの減速を制御する。制動システム401は、制動部401aと、制動制御部401bと、制動部センサ401cと、を有している。
【0035】
制動部401aは、たとえば、ブレーキペダルなどを含んだ、車両Vを減速させるための装置である。
【0036】
制動制御部401bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECU(Electronic Control Unit)である。制動制御部401bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、制動部401aを作動させることで、車両Vの減速度合を制御する。
【0037】
制動部センサ401cは、制動部401aの状態を検出するための装置である。たとえば、制動部401aがブレーキペダルを含む場合、制動部センサ401cは、制動部401aの状態として、ブレーキペダルの位置または当該ブレーキペダルに作用している圧力を検出する。制動部センサ401cは、検出した制動部401aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
【0038】
加速システム402は、車両Vの加速を制御する。加速システム402は、加速部402aと、加速制御部402bと、加速部センサ402cと、を有している。
【0039】
加速部402aは、たとえば、アクセルペダルなどを含んだ、車両Vを加速させるための装置である。
【0040】
加速制御部402bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。加速制御部402bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、加速部402aを作動させることで、車両Vの加速度合を制御する。
【0041】
加速部センサ402cは、加速部402aの状態を検出するための装置である。たとえば、加速部402aがアクセルペダルを含む場合、加速部センサ402cは、アクセルペダルの位置または当該アクセルペダルに作用している圧力を検出する。加速部センサ402cは、検出した加速部402aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
【0042】
操舵システム403は、車両Vの進行方向を制御する。操舵システム403は、操舵部403aと、操舵制御部403bと、操舵部センサ403cと、を有している。
【0043】
操舵部403aは、たとえば、ステアリングホイールやハンドルなどを含んだ、車両Vの転舵輪を転舵させる装置である。
【0044】
操舵制御部403bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。操舵制御部403bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、操舵部403aを作動させることで、車両Vの進行方向を制御する。
【0045】
操舵部センサ403cは、操舵部403aの状態を検出するための装置である。たとえば、操舵部403aがステアリングホイールを含む場合、操舵部センサ403cは、ステアリングホイールの位置または当該ステアリングホイールの回転角度を検出する。なお、操舵部403aがハンドルを含む場合、操舵部センサ403cは、ハンドルの位置または当該ハンドルに作用している圧力を検出してもよい。操舵部センサ403cは、検出した操舵部403aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
【0046】
変速システム404は、車両Vの変速比を制御する。変速システム404は、変速部404aと、変速制御部404bと、変速部センサ404cと、を有している。
【0047】
変速部404aは、たとえば、シフトレバーなどを含んだ、車両Vの変速比を変更するための装置である。
【0048】
変速制御部404bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。変速制御部404bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、変速部404aを作動させることで、車両Vの変速比を制御する。
【0049】
変速部センサ404cは、変速部404aの状態を検出するための装置である。たとえば、変速部404aがシフトレバーを含む場合、変速部センサ404cは、シフトレバーの位置または当該シフトレバーに作用している圧力を検出する。変速部センサ404cは、検出した変速部404aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
【0050】
障害物センサ405は、車両Vの周囲に存在しうる障害物に関する情報を検出するための装置である。障害物センサ405は、たとえば、障害物までの距離を検出するソナーなどといった測距センサを含んでいる。障害物センサ405は、検出した情報を車載ネットワーク450に出力する。
【0051】
走行状態センサ406は、車両Vの走行状態を検出するための装置である。走行状態センサ406は、たとえば、車両Vの車輪速を検出する車輪速センサや、車両Vの前後方向または左右方向の加速度を検出する加速度センサや、車両Vの旋回速度(角速度)を検出するジャイロセンサなどを含んでいる。走行状態センサ406は、検出した走行状態を車載ネットワーク450に出力する。
【0052】
通信インターフェース407は、車両制御システム102と外部装置との間の通信を実現するインターフェースである。たとえば、通信インターフェース407は、車両制御システム102と管制装置101との間の無線通信による信号の送受信や、車両制御システム102と端末装置Tとの間の無線通信による信号の送受信などを実現する。
【0053】
車載カメラ408は、車両Vの周辺の状況を撮像するための装置である。たとえば、車載カメラ408は、車両Vの前方、後方、および側方(左右両方)の路面を含む領域を撮像するように複数設けられる。車載カメラ408によって得られた画像データは、車両Vの周辺の状況の監視(障害物の検出も含む)に使用される。車載カメラ408は、得られた画像データを車両制御装置410に出力する。なお、以下では、車載カメラ408から得られる画像データと、車両制御システム102に設けられる上述した各種のセンサから得られるデータと、を総称してセンサデータと記載することがある。
【0054】
モニタ装置409は、車両Vの車室内のダッシュボードなどに設けられる。モニタ装置409は、表示部409aと、音声出力部409bと、操作入力部409cと、を有している。
【0055】
表示部409aは、車両制御装置410の指示に応じて画像を表示するための装置である。表示部409aは、たとえば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescent Display)などによって構成される。
【0056】
音声出力部409bは、車両制御装置410の指示に応じて音声を出力するための装置である。音声出力部409bは、たとえば、スピーカによって構成される。
【0057】
操作入力部409cは、車両V内の乗員の入力を受け付けるための装置である。操作入力部409cは、たとえば、表示部409aの表示画面に設けられるタッチパネルや、物理的な操作スイッチなどによって構成される。操作入力部409cは、受け付けた入力を車載ネットワーク450に出力する。
【0058】
車両制御装置410は、車両制御システム102を統括的に制御するための装置である。車両制御装置410は、CPU410aや、ROM410b、RAM410cなどといったコンピュータ資源を有したECUである。
【0059】
より具体的に、車両制御装置410は、CPU410aと、ROM410bと、RAM410cと、SSD410dと、表示制御部410eと、音声制御部410fと、を有している。
【0060】
CPU410aは、車両制御装置410を統括的に制御するハードウェアプロセッサである。CPU410aは、ROM410bなどに記憶された各種の制御プログラム(コンピュータプログラム)を読み出し、当該各種の制御プログラムに規定されたインストラクションにしたがって各種の機能を実現する。
【0061】
ROM410bは、上述した各種の制御プログラムの実行に必要なパラメータなどを記憶する不揮発性の主記憶装置である。
【0062】
RAM410cは、CPU410aの作業領域を提供する揮発性の主記憶装置である。
【0063】
SSD410dは、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。なお、実施形態にかかる車両制御装置410においては、補助記憶装置として、SSD410dに替えて(またはSSD410dに加えて)、HDDが設けられてもよい。
【0064】
表示制御部410eは、車両制御装置410で実行される各種の処理のうち、主として、車載カメラ408から得られた画像データに対する画像処理や、モニタ装置409の表示部409aに出力する画像データの生成などを司る。
【0065】
音声制御部410fは、車両制御装置410で実行される各種の処理のうち、主として、モニタ装置409の音声出力部409bに出力する音声データの生成などを司る。
【0066】
車載ネットワーク450は、制動システム401と、加速システム402と、操舵システム403と、変速システム404と、障害物センサ405と、走行状態センサ406と、通信インターフェース407と、モニタ装置409の操作入力部409cと、車両制御装置410と、を通信可能に接続する。
【0067】
ところで、上記のような所定の停車領域(降車領域P1)から駐車領域Rへの自動走行を伴う自動駐車を実現するためには、自動駐車の発進の起点となる降車領域P1内の初期位置を正確に把握することが重要となる。しかしながら、降車領域P1内への停車は、通常、車両Vの乗員Xなどの手動によって行われるため、自動駐車の開始時に、車両Vが降車領域P1内の常に同じ初期位置に停車しているとは限らない。
【0068】
そこで、実施形態では、車両制御装置410に以下のような機能を持たせることで、自動駐車の発進の起点となる(降車領域P1内における)初期位置を正確に把握することを実現する。
【0069】
図5は、実施形態にかかる管制装置101および車両制御装置410の機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。この
図5に示される機能は、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現される。つまり、
図5に示される例において、管制装置101の機能は、CPU301がROM302などに記憶された所定の制御プログラムを読み出して実行した結果として実現され、車両制御装置410の機能は、CPU410aがROM410bなどに記憶された所定の制御プログラムを読み出して実行した結果として実現される。なお、実施形態では、
図5に示される管制装置101および車両制御装置410の一部または全部が専用のハードウェア(回路)のみによって実現されてもよい。
【0070】
図5に示されるように、実施形態にかかる管制装置101は、機能的構成として、通信制御部511と、センサデータ取得部512と、駐車場データ管理部513と、誘導経路生成部514と、を有している。
【0071】
通信制御部511は、車両制御装置410との間で実行される無線通信を制御する。たとえば、通信制御部511は、車両制御装置410との間で所定のデータを送受信することで車両制御装置410の認証を行ったり、自動駐車および自動出庫が完了した際に車両制御装置410から出力される所定の完了通知を受信したり、後述する駐車場Pの地図データや誘導経路などを必要に応じて車両制御装置410に送信したりする。
【0072】
センサデータ取得部512は、駐車場P内に設けられる監視カメラ103や各種のセンサ(不図示)などから上述したセンサデータを取得する。センサデータ取得部512により取得されるセンサデータ(特に監視カメラ103から得られる画像データ)は、たとえば、駐車領域Rの空き状況の把握などに使用することが可能である。
【0073】
駐車場データ管理部513は、駐車場Pに関するデータ(情報)を管理する。たとえば、駐車場データ管理部513は、駐車場Pの地図データや、駐車領域Rの空き状況などを管理する。たとえば、駐車場データ管理部513は、自動駐車が行われる際、空いている駐車領域Rの中から1つの駐車領域Rを選択し、選択した1つの駐車領域Rを、自動駐車における車両Vの到達目標である目標駐車領域として指定する。また、駐車場データ管理部513は、自動駐車が完了した後に車両Vが再び移動して駐車領域Rが変更された場合、センサデータ取得部512から取得されるセンサデータに基づいて、変更後の駐車領域Rを特定する。
【0074】
誘導経路生成部514は、自動駐車および自動出庫が行われる際に車両制御装置410に指示する誘導経路を生成する。より具体的に、誘導経路生成部514は、自動駐車が行われる際においては、降車領域P1から目標駐車領域へ至る概略的な経路を誘導経路として生成し、自動出庫が行われる際においては、目標駐車領域(自動駐車後に車両Vが移動している場合には車両Vが現在駐車している駐車領域R)から乗車領域P2へ至る概略的な経路を誘導経路として生成する。
【0075】
一方、
図5に示されるように、実施形態にかかる車両制御装置410は、機能的構成として、通信制御部521と、センサデータ取得部522と、走行制御部523と、初期位置推定部524と、を有している。
【0076】
通信制御部521は、管制装置101との間で実行される無線通信を制御する。たとえば、通信制御部521は、管制装置101との間で所定のデータを送受信することで車両制御装置410の認証を行ったり、自動駐車および自動出庫が完了した際に所定の完了通知を管制装置101に送信したり、駐車場Pの地図データや誘導経路などを必要に応じて管制装置101から受信したりする。
【0077】
センサデータ取得部522は、車載カメラ408によって得られる画像データを取得する画像データ取得部の一例であり、当該画像データと、車両制御システム102に設けられる各種のセンサから出力されるデータと、を含むセンサデータを取得する。センサデータ取得部522により取得されるセンサデータは、たとえば、管制装置101から受信された誘導経路を基にした実際の走行経路(駐車経路および出庫経路を含む)の生成や、当該走行経路に沿って実際に走行する際に必要となる各種のパラメータ(車速や舵角、進行方向など)の設定など、次の走行制御部523により実行される車両Vの各種の走行制御に利用することが可能である。
【0078】
走行制御部523は、制動システム401や加速システム402、操舵システム403、変速システム404などを制御することで、降車領域P1からの発進制御や、降車領域P1から駐車領域Rへの走行制御(駐車制御を含む)、駐車領域Rから乗車領域P2への走行制御(出庫制御を含む)、乗車領域P2への停車制御などといった、自動駐車および自動出庫を実現するための各種の走行制御を実行するように、車両Vの走行状態を制御する。
【0079】
初期位置推定部524は、自動駐車における降車領域P1からの発進時に、当該降車領域P1における発進の起点となる車両Vの初期位置を推定する。この初期位置の推定には、車載カメラ408によって得られた画像データが用いられる。
【0080】
すなわち、初期位置推定部524は、自動駐車における降車領域P1からの発進時に、センサデータ取得部522により取得される画像データに基づいて、降車領域P1の周辺において車両Vに対して異なる方向の予め決められた少なくとも2つの位置に設けられた標識に関する標識データを検出し、検出した標識データと、駐車場Pの地図データと、に基づいて、初期位置を推定する。
【0081】
たとえば、初期位置推定部524は、以下に説明するように、車載カメラ408によって得られる画像データに基づいて、車両Vに対して互いに反対側に(車両Vを挟んで対称的な位置に)設けられた複数の標識に関する標識データを検出し、検出した標識データと、駐車場Pの地図データと、を照合することで、降車領域P1内における車両Vの現在位置を特定し、特定した現在位置を初期位置として推定する。
【0082】
図6は、実施形態にかかる車両制御装置410の初期位置推定部524により実施されうる初期位置の推定方法の一例を説明するための例示的かつ模式的な図である。なお、
図6に示される例では、降車領域P1の境界Bの近傍の位置であって、車両Vの前方および後方の位置に、標識としてのマーカMが1つずつ設けられている。なお、マーカMの形状は、
図6に示される例に制限されるものではない。
【0083】
図6に示されるように、車両Vが降車領域P1に位置している場合、車両Vの前端部(たとえばフロントバンパー)に設けられる車載カメラ408の撮像範囲と、車両Vの後端部(たとえばリヤバンパー)に設けられる車載カメラ408の撮像範囲とには、マーカMがそれぞれ1つずつ入っている。したがって、初期位置推定部524は、車両Vの前端部および後端部に設けられる車載カメラ408によって得られる画像データに対して画像認識処理を実行し、標識データとして、車両Vの前後に設けられる2つのマーカMの位置関係などを検出する。
【0084】
ここで、2つのマーカMは、駐車場P内で位置が不変のものとして存在しているため、管制装置101で管理される駐車場Pの地図データには、2つのマーカMの位置関係などに関する正規の標識データが含まれる。したがって、初期位置推定部524は、管制装置101から駐車場Pの地図データを取得し、取得した地図データと、上記の画像データから検出された標識データと、を照合することで、降車領域P1内における車両Vの(向きを含む)詳細な現在位置を特定し、特定した現在位置を初期位置として推定することが可能である。
【0085】
なお、
図6に示される例では、車両Vの前方と後方とにそれぞれ1つずつマーカMが設けられた構成が例示されている。しかしながら、実施形態では、車両Vの前方と後方とにそれぞれ2つ以上ずつマーカMが設けられていてもよい。また、実施形態では、車両Vの前方に設けられるマーカMと、車両Vの後方に設けられるマーカMと、の個数が異なっていてもよい。
【0086】
また、実施形態では、マーカMの検出に、車両Vの前端部および後端部に設けられる車載カメラ408のみならず、車両Vの側部(たとえばサイドミラー)に設けられる車載カメラ408が用いられてもよい。
【0087】
さらに、実施形態では、以下に説明するように、初期位置の推定に用いる標識としてマーカM以外の標識が用いられ、当該標識が、車両Vの左側方と右側方とに設けられていてもよい。
【0088】
図7は、実施形態にかかる車両制御装置410の初期位置推定部524により実施されうる初期位置の推定方法の
図6とは異なる一例を説明するための例示的かつ模式的な図である。
図7に示される例では、標識として、降車領域P1の境界Bに設けられる区画線L0が用いられ、当該区画線L0が、車両Vの左側方と右側方とにそれぞれ1つずつ設けられている。なお、区画線L0の形状は、
図7に示される例に制限されるものではない。
【0089】
図7に示されるように、車両Vが降車領域P1に位置している場合、車両Vの左側および右側の側部(たとえばサイドミラー)に設けられる車載カメラ408の撮像範囲には、車両Vの前後方向に沿って延びる区画線L0がそれぞれ1つずつ入っている。したがって、初期位置推定部524は、車両Vの側部に設けられる車載カメラ408から得られる画像データに対して画像認識処理を実行することで、2つの区画線L0の位置関係や当該区画線L0が延びる方向などを含む標識データを検出し、検出した標識データと地図データとを照合することで、初期位置を推定する。
【0090】
なお、実施形態では、
図6に示されたマーカMと、
図7に示された区画線L0と、の両方が降車領域P1の周辺に設けられている場合、車両Vの初期位置の推定に、マーカMと区画線L0との両方が併用されてもよい。
【0091】
また、
図6および
図7に示される例では、初期位置の推定に、車両Vを挟んで対称的な位置に設けられた同一の複数の標識(マーカMおよび区画線L0)を用いる構成を例示した。しかしながら、実施形態では、車両Vを挟んで互いに反対側の位置に設けられた同一の標識に限らず、以下に説明するような、車両Vに対して互いに異なる(非対称的な)位置に設けられた互いに異なる複数の標識の組み合わせを、初期位置の推定に用いることができる。
【0092】
図8は、実施形態にかかる車両制御装置410の初期位置推定部524により実施されうる初期位置の推定方法の
図6および
図7とは異なる一例を説明するための例示的かつ模式的な図である。
図8に示される例では、標識として、区画線L0とマーカMとの組み合わせが用いられ、当該区画線L0とマーカMとが車両Vに対して互いに異なる方向の位置に設けられている。より具体的に、
図8に示される例では、区画線L0は、車両Vの左側方に設けられており、マーカMは、車両Vの前方に設けられている。
【0093】
図8に示されるように、車両Vが降車領域P1に位置している場合、車両Vの前端部(たとえばフロントバンパー)に設けられる車載カメラ408の撮像範囲には、マーカMが入っており、車両Vの左側の側部(たとえばサイドミラー)に設けられる車載カメラ408の撮像範囲には、区画線L0が入っている。したがって、初期位置推定部524は、車両Vの前端部と左側の側部とに設けられる車載カメラ408から得られる画像データに対して画像認識処理を実行することで、区画線L0およびマーカMの位置関係や区画線L0が延びる方向などを含む標識データを検出し、検出した標識データと地図データとを照合することで、初期位置を推定する。
【0094】
次に、
図9~
図11を参照して、実施形態にかかる自動バレー駐車システムで実行される処理について説明する。
【0095】
図9は、実施形態において自動駐車が実行される場合に管制装置101および車両制御装置410が実行する処理の流れを示した例示的かつ模式的なシーケンス図である。この
図9に示される処理シーケンスは、乗員Xが降車領域P1で端末装置Tを操作することで自動駐車のトリガとなる所定の指示を行った場合に開始する。
【0096】
図9に示される処理シーケンスでは、まず、S901において、管制装置101と車両制御装置410とが通信を確立する。このS901においては、識別情報(ID)の送受信による認証や、管制装置101の監視下での自動走行を実現するための運行権限の譲受などが実行される。
【0097】
S901で通信が確立すると、管制装置101は、S902において、駐車場Pの地図データを車両制御装置410に送信する。
【0098】
そして、管制装置101は、S903において、駐車領域Rの空きを確認し、空いている1つの駐車領域Rを、車両Vに与える目標駐車領域として指定する。
【0099】
そして、管制装置101は、S904において、降車領域P1からS903で指定した目標駐車領域への(概略的な)誘導経路を生成する。
【0100】
そして、管制装置101は、S905において、S904で生成された誘導経路を車両制御装置410に送信する。
【0101】
一方、車両制御装置410は、S902で管制装置101から送信された地図データを受信した後のS906において、降車領域P1内における初期位置を推定する。初期位置とは、降車領域P1からの発進の起点となる、降車領域P1内における車両Vの現在位置である。このS906において実行される処理の流れについては、後で別の図面を参照しながら説明するため、ここではこれ以上の説明を省略する。なお、
図8に示される例では、S906の処理がS905の処理の前に実行されているが、S906の処理は、S905の処理の後に実行されてもよい。
【0102】
S906で初期位置を推定し、かつ、S905で管制装置101から送信された誘導経路を受信すると、車両制御装置410は、S907において、実際の自動駐車の際に辿るべき、誘導経路よりも精度の高い走行経路を生成する。
【0103】
そして、車両制御装置410は、S908において、降車領域P1からの発進制御を実行する。
【0104】
そして、車両制御装置410は、S909において、S907で生成された走行経路に沿った走行制御を実行する。
【0105】
そして、車両制御装置410は、S910において、目標駐車領域への駐車制御を実行する。
【0106】
そして、S910における駐車制御が完了すると、車両制御装置410は、S911において、駐車完了の通知を管制装置101に送信する。
【0107】
以上のようにして、自動バレー駐車における自動駐車が実現される。
【0108】
図10は、実施形態において自動出庫が実行される場合に管制装置101および車両制御装置410が実行する処理の流れを示した例示的かつ模式的なシーケンス図である。この
図10に示される処理シーケンスは、乗員Xが乗車領域P2で端末装置Tを操作することで自動出庫のトリガとなる所定の呼び出しを行った場合に開始する。
【0109】
図10に示される処理シーケンスでは、まず、S1001において、管制装置101と車両制御装置410とが通信を確立する。このS1001においては、上述した
図9のS901と同様に、識別情報(ID)の送受信による認証や、管制装置101の監視下での自動走行を実現するための運行権限の譲受などが実行される。
【0110】
S1001で通信が確立すると、管制装置101は、S1002において、駐車場Pの地図データを車両制御装置410に送信する。
【0111】
そして、管制装置101は、S1003において、通信相手の車両制御装置410を搭載した車両Vが現在位置している駐車領域Rを確認する。実施形態では、このS1003の処理が、監視カメラ103によって得られる画像データなどに基づいて実行される。
【0112】
そして、管制装置101は、S1004において、S1003で確認された駐車領域Rから乗車領域P2への(概略的な)誘導経路を生成する。
【0113】
そして、管制装置101は、S1005において、S1004で生成された誘導経路を車両制御装置410に送信する。
【0114】
一方、車両制御装置410は、S1002で管制装置101から送信された地図データを受信した後のS1006において、車両Vが現在位置している駐車領域R内における出庫位置を推定する。出庫位置とは、駐車領域Rからの出庫の起点となる、駐車領域R内における車両Vの現在位置である。出庫位置の推定には、上述した初期位置の推定と同様の手法(画像認識処理によって画像データから検出された所定の標識データを地図データと照合する手法)が用いられうる。なお、
図10に示される例では、S1006の処理がS1005の処理の前に実行されているが、S1006の処理は、S1005の処理の後に実行されてもよい。
【0115】
S1006で出庫位置を推定し、かつ、S1005で管制装置101から送信された誘導経路を受信すると、車両制御装置410は、S1007において、実際の自動出庫の際に辿るべき、誘導経路よりも精度の高い走行経路を生成する。
【0116】
そして、車両制御装置410は、S1008において、駐車領域Rからの出庫制御を実行する。
【0117】
そして、車両制御装置410は、S1009において、S1007で生成された走行経路に沿った走行制御を実行する。
【0118】
そして、車両制御装置410は、S1010において、乗車領域P2への停車制御を実行する。
【0119】
そして、S1010における停車制御が完了すると、車両制御装置410は、S1011において、出庫完了の通知を管制装置101に送信する。
【0120】
以上のようにして、自動バレー駐車における自動出庫が実現される。
【0121】
図11は、実施形態において初期位置の推定が実行される場合に車両制御装置410が実行する処理の流れを示した例示的かつ模式的なフローチャートである。この
図11に示される処理フローは、上述した
図9のS906において実行されうる。
【0122】
図11に示される処理フローでは、まず、S1101において、車両制御装置410は、車載カメラ408から画像データを取得する。
【0123】
そして、S1102において、車両制御装置410は、S1101で取得された画像データから、降車領域P1の周辺の予め決められた位置に設けられた標識(たとえば
図6に示されたマーカMや
図7に示された区画線L0など)に関する標識データを、画像認識処理によって検出する。
【0124】
そして、S1103において、車両制御装置410は、S1102で検出された標識データと、駐車場Pの地図データと、を照合し、照合結果に基づいて、降車領域P1内における車両Vの現在位置を特定し、特定した現在位置を初期位置として推定する。
【0125】
以上説明したように、実施形態にかかる車両制御装置410は、降車領域P1と乗車領域P2と駐車領域Rとを含む駐車場Pにおいて、降車領域P1で車両Vから乗員Xが降車した後、所定の指示に応じて車両Vが降車領域P1から駐車領域Rへ自動で移動して駐車する自動駐車と、当該自動駐車が完了した後、所定の呼び出しに応じて車両Vが駐車領域Rから出庫して乗車領域P2へ自動で移動して停車する自動出庫と、を含む自動バレー駐車を実現するように車両Vの走行状態を制御する走行制御部523を有している。また、車両制御装置410は、車両Vの周辺の状況を撮像する車載カメラ408によって得られる画像データを取得する画像データ取得部としてのセンサデータ取得部522と、自動駐車における降車領域P1からの発進時に、センサデータ取得部522により取得される画像データに基づいて、降車領域P1の周辺において車両Vに対して異なる方向における予め決められた少なくとも2つの位置に設けられた標識に関する標識データを検出し、検出した標識データと、駐車場Pの地図データと、に基づいて、降車領域P1内における発進の起点となる初期位置を推定する初期位置推定部524と、を有している。
【0126】
実施形態によれば、上記の構成に基づいて、車両Vが降車領域P1に停車した際に取得される画像データから検出された標識データと、駐車場Pの地図データ(に含まれる正規の標識データ)と、を照合することで、降車領域P1内における発進の起点となる車両Vの初期位置を正確に把握することができる。
【0127】
なお、実施形態において、初期位置推定部524は、画像データに基づいて、車両Vを挟んで互いに反対側の2つの位置に設けられた標識に関する標識データを検出し、検出した標識データと、地図データと、に基づいて、初期位置を推定しうる。この構成によれば、車両Vを挟んで互いに反対側の2つの位置に設けられた標識の位置関係を考慮して、車両Vの初期位置を容易に推定することができる。
【0128】
また、実施形態において、初期位置推定部524は、画像データに基づいて、降車領域P1の境界Bに標識として設けられた区画線L0と、当該降車領域P1の近傍に標識として設けられたマーカMと、のうち少なくとも一方の組み合わせに関するデータを標識データとして検出し、検出した標識データと、地図データと、に基づいて、初期位置を推定しうる。この構成によれば、駐車場P内に位置が不変のものとして設けられる区画線L0とマーカMとのうち少なくとも一方の組み合わせを利用して、車両Vの初期位置を容易に推定することができる。
【0129】
なお、上述した実施形態では、本発明の技術が自動バレー駐車システムに適用される場合を例示した。しかしながら、本発明の技術は、停車領域と駐車領域とを含む駐車場において、停車領域に停車した車両が所定の指示に応じて駐車領域へ自動で移動して駐車する自動駐車が実現される駐車システムであれば、自動バレー駐車システム以外の駐車システムにも適用可能である。
【0130】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0131】
101 管制装置
408 車載カメラ
410 車両制御装置
522 センサデータ取得部(画像データ取得部)
523 走行制御部
524 初期位置推定部
L0 区画線(標識)
M マーカ(標識)
P 駐車場
P1 降車領域
P2 乗車領域
R 駐車領域
V 車両
X 乗員