(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】画像処理装置、ジョブ実行方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220107BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H04N1/00 C
G03G21/00 386
(21)【出願番号】P 2017245840
(22)【出願日】2017-12-22
【審査請求日】2020-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086933
【氏名又は名称】久保 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125117
【氏名又は名称】坂田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】岩井 英剛
(72)【発明者】
【氏名】岡本 悠史
(72)【発明者】
【氏名】田村 敦史
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-369052(JP,A)
【文献】特開2006-237907(JP,A)
【文献】特開2017-059965(JP,A)
【文献】特開2010-041453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像をデータ化して送信するジョブを行う画像処理装置であって、
ユーザが送信先を指定するための画面を表示するディスプレイと、
前記画像のデータ化の設定値が互いに異なる複数の条件それぞれで前記ジョブを行うのに掛かる予測時間を算出する算出手段と、
前記複数の条件それぞれについて算出された前記予測時間を前記ディスプレイに表示させる表示制御手段と、
前記複数の条件のうちの選択された条件で前記ジョブを行うよう制御するジョブ実行制御手段と、を有
し、
前記算出手段は、指定された前記送信先が第1のグループに属する場合において、前記複数の条件としていずれも暗号化を行う条件を選定し、指定された前記送信先が前記第1のグループではない第2のグループに属する場合において、前記複数の条件としていずれも暗号化を行わない条件を選定し、指定された前記送信先が前記第1のグループまたは前記第2のグループに属し、かつ、第3のグループに属する場合において、前記複数の条件としてカラーの読取りを行う条件を選定する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記複数の条件それぞれの前記予測時間を、当該複数の条件のうちのいずれかを選択するための選択肢として同じ画面で表示させる、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記複数の条件は、第1の条件、前記第1の条件よりも前記ジョブを行うのに必要な時間が長い第2の条件、および前記第2の条件よりも前記ジョブを行うのに必要な時間が長い第3の条件の3つの条件を含んでおり、
前記表示制御手段は、前記複数の条件のうちの前記3つの条件それぞれの前記予測時間を、当該3つの条件のうちのいずれかを選択するための選択肢として同じ画面で表示させる、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、算出された複数の前記予測時間と、前記複数の条件のうちの選択された予測時間に対応する条件とを同じ画面で表示させる、
請求項2または3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記選択された予測時間に対応する前記条件を、それの変更を指示するための操作ボタンとして表示させる、
請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
複数の前記送信先が指定された場合において、前記表示制御手段は、当該送信先ごとに前記予測時間を表示させる、
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
原稿の画像をデータ化して送信するジョブを画像処理装置に行わせるジョブ実行方法であって、
前記画像処理装置に、
ユーザが送信先を指定するための画面をディスプレイに表示させる処理を実行させ、
前記画像のデータ化の設定値が互いに異なる複数の条件それぞれで前記ジョブを行うのに掛かる予測時間を算出する処理を実行させ、
前記複数の条件それぞれの算出された前記予測時間をディスプレイに表示させる処理を実行させ、
前記複数の条件のうちの選択された条件で前記ジョブを行わせる処理を実行させる、
前記算出する処理において、指定された前記送信先が第1のグループに属する場合に、前記複数の条件としていずれも暗号化を行う条件を選定させ、指定された前記送信先が前記第1のグループではない第2のグループに属する場合に、前記複数の条件としていずれも暗号化を行わない条件を選定させ、指定された前記送信先が前記第1のグループまたは前記第2のグループに属し、かつ、第3のグループに属する場合に、前記複数の条件としてカラーの読取りを行う条件を選定させる、
ことを特徴とするジョブ実行方法。
【請求項8】
原稿の画像をデータ化して送信するジョブを行う画像処理装置に用いられるコンピュータプログラムであって、
前記画像処理装置に、
ユーザが送信先を指定するための画面をディスプレイに表示させる処理を実行させ、
前記画像のデータ化の設定値が互いに異なる複数の条件それぞれで前記ジョブを行うのに掛かる予測時間を算出する処理を実行させ、
前記複数の条件それぞれの算出された前記予測時間をディスプレイに表示させる処理を実行させ、
前記複数の条件のうちの選択された条件で前記ジョブを行わせる処理を実行させる、
前記算出する処理において、指定された前記送信先が第1のグループに属する場合に、前記複数の条件としていずれも暗号化を行う条件を選定させ、指定された前記送信先が前記第1のグループではない第2のグループに属する場合に、前記複数の条件としていずれも暗号化を行わない条件を選定させ、指定された前記送信先が前記第1のグループまたは前記第2のグループに属し、かつ、第3のグループに属する場合に、前記複数の条件としてカラーの読取りを行う条件を選定させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
イメージリーダ、ファクシミリ機、およびこれらの機能を集約したたMFP(Multi-functional Peripheral :多機能機または複合機)などの画像処理装置は、紙文書などのいわゆる原稿に記録されている画像をデータ化して外部の装置に送信するジョブを行うことができる。
【0003】
この種の画像処理装置のユーザは、画像処理装置に原稿をセットするとともに、送信先を指定してジョブを入力する操作を行う。その際に、ユーザは、ジョブの条件として、送信先の他に幾つかの条件を指定することができる。例えば、データ化における解像度を指定することができる。
【0004】
ジョブを入力する際の煩雑な操作をなくすための先行技術として、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1には、送信先の選択に応じて、送信先に対する複数のスキャン設定(複数の項目について定めた設定値の集まり)を選択可能に表示することが開示されている。
【0005】
なお、特許文献2には、ネットワークスキャンにおいて総合的に最適な生産性を使用者に提供するために、原稿読取りモードを温度に応じて切り替える制御を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-153536号公報
【文献】特開2003-023526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ユーザは、できるだけ早く原稿の画像データを送信するジョブを完了させたい場合がある。例えば、顧客または上司から至急の送信が要求された場合、または出張に出掛ける直前に出張先での会議に必要なドキュメントを自己の携帯型コンピュータに記憶させたい場合などがある。
【0008】
しかし、ユーザがより早くジョブを完了させる上でどのような条件を指定すればよいかが分からず、操作に迷って無駄に時間を費やすことがある、という問題があった。
【0009】
また、ユーザは、急いではいないが、ジョブが完了したことをより早く知りたい、という場合が考えられる。例えば、画像データが送信相手に届き次第、画像データを用いて相手方と打合せをしたい場合がある。ジョブが完了したことは、ジョブの履歴を表示させて確認することができる。しかし、ユーザが予想した時間よりもジョブの所要時間が長いときがある。このとき、ジョブが完了するまでの間にユーザが何度も無駄に履歴を確認してしまうおそれがある。
【0010】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、ジョブの入力に際してジョブの所要時間を知りたいユーザにとって従来よりも使い勝手の良い画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一形態に係る画像処理装置は、原稿の画像をデータ化して送信するジョブを行う画像処理装置であって、ユーザが送信先を指定するための画面を表示するディスプレイと、前記画像のデータ化の設定値が互いに異なる複数の条件それぞれで前記ジョブを行うのに掛かる予測時間を算出する算出手段と、前記複数の条件それぞれについて算出された前記予測時間を前記ディスプレイに表示させる表示制御手段と、前記複数の条件のうちの選択された条件で前記ジョブを行うよう制御するジョブ実行制御手段と、を有し、前記算出手段は、指定された前記送信先が第1のグループに属する場合において、前記複数の条件としていずれも暗号化を行う条件を選定し、指定された前記送信先が前記第1のグループではない第2のグループに属する場合において、前記複数の条件としていずれも暗号化を行わない条件を選定し、指定された前記送信先が前記第1のグループまたは前記第2のグループに属し、かつ、第3のグループに属する場合において、前記複数の条件としてカラーの読取りを行う条件を選定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、ジョブの入力に際してジョブの所要時間を知りたいユーザにとって従来よりも使い勝手の良い画像処理装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の外観の例を示す図である。
【
図2】画像処理装置のハードウェア構成の概略を示す図である。
【
図3】画像処理装置の機能的構成の例を示す図である。
【
図13】画像処理装置における処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1には本発明の一実施形態に係る画像処理装置1の外観の例が、
図2には画像処理装置1のハードウェア構成の概略が、それぞれ示されている。
【0015】
画像処理装置1は、コピー機、イメージリーダ、ファクシミリ機などの機能を集約したMFP(Multi-functional Peripheral :多機能機または複合機)である。
図1に示すように、画像形成装置1は、操作パネル11、自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)12、フラットベッド型のスキャナ13、プリンタ部14、および給紙部15を備えている。さらに、
図2に示すように、主制御部10、画像処理部16、ファクシミリインタフェース17、ネットワークインタフェース18、および補助記憶装置19などを備えている。
【0016】
画像処理装置1は、通信回線3を介して外部の装置と通信することができる。通信回線3として、インターネット、イーサネット(登録商標)回線、無線LAN(Local Area Network)回線、公衆回線、または専用線などが用いられる。
【0017】
操作パネル11は、ユーザによる操作のための画面を表示するタッチパネルディスプレイ11aと、スタートキー41およびスキャンキー44などのハードキーが配置されたキー入力部11bとを有し、入力操作に応じた信号を出力する。特に、タッチパネルディスプレイ11aは、表示面内のタッチされた位置を示す信号を出力する。操作パネル11から出力される信号に応じて、主制御部10により、画像処理装置1の動作が制御される。
【0018】
自動原稿送り装置12は、原稿トレイ12aにセットされたシート状の原稿2をスキャナ13の流し読取り位置へ搬送する。さらに搬送を続けて排紙トレイ12bに原稿2を排出する。原稿2が複数枚である場合は、原稿トレイ12aから1枚ずつ次々に取り出して搬送する。自動原稿送り装置12は、スキャナ13のプラテンガラスを覆うカバーとして開閉可能に設けられている。
【0019】
自動原稿送り装置12には、原稿トレイ12aにセットされた原稿2の枚数を検知するためのセンサ51が設けられている。センサ51は、セットされたシート束の厚さまたは重さに応じた検出信号を出力する。この検出信号に応じて、主制御部10により、原稿2の枚数が検知される。すなわち、検出された厚さまたは重さを標準的なシート1枚当たりの平均厚さまたは平均重さで割る演算が行われ、おおよその枚数が検知される。
【0020】
スキャナ13は、自動原稿送り装置12から搬送されてきた原稿2またはユーザによりプラテンガラスの上にセットされた原稿の画像を読み取って画像データを出力する。モノクロ(グレースケール)およびフルカラーの読取りが可能である。
【0021】
スキャナ13には、自動原稿送り装置12が開いた状態において、プラテンガラスにおける原稿の有無を検出するセンサが設けられている。
【0022】
プリンタ部14は、コピージョブにおいてスキャナ13によって読み取られた画像を給紙部15から供給されたシート(記録用紙)の片面または両面に印刷する。外部のホストから入力されまたは補助記憶装置19内のボックス190から読み出されたドキュメントおよびファクス通信で受信した画像などの印刷にも用いられる。印刷の方式は、例えば電子写真式でり、モノクロおよびフルカラーの印刷が可能である。
【0023】
給紙部15は、多数枚のシートの収納が可能な複数の給紙トレイを備え、選択された給紙トレイからシートを取り出してプリンタ部14に供給する。
【0024】
主制御部10は、画像処理装置1の全体的な制御を受け持つ。主制御部10は、CPU10a、RAM10b、ROM10c、および不揮発性メモリ10dを備える。
【0025】
ROM10cまたは不揮発性メモリ10dには、画像処理装置1をコピー機、ファクシミリ機、およびイメージリーダなどとして動作させるために、自動原稿送り装置12、スキャナ13、およびプリンタ部14などを制御するためのソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアには、後に述べるスキャン送信ジョブに関わる動作を制御するスキャン送信プログラム10Pが含まれる。スキャン送信プログラム10Pまたは他の制御用のプログラムは、必要に応じてRAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。
【0026】
画像処理部16は、スキャナ13から送られてきた画像データにシェーディング補正や色収差補正といった読取り光学系の特性に関わる処理を施す。さらに、データの形式の変換、CPU10aと補助記憶装置18との間で画像データをやりとりする際の画像データの圧縮/伸張、および通信のセキュリティを高める暗号化などを行う。
【0027】
この画像処理部19と、自動原稿送り装置12と、スキャナ13とにより、紙媒体の画像を原稿2から読み取り、かつジョブにより指定される形式の送信データに変換する送信データ生成部201が構成される。
【0028】
ファクシミリインタフェース17は、外部のファクシミリ端末との間でG3などのプロトコルを用いて画像データをやりとりするためのインタフェースである。通信回線として電話回線、およびインターネットなどが用いられる。
【0029】
ネットワークインターフェース17は、パーソナルコンピュータ、サーバ、およびスマートフォンといった外部の情報処理装置との間で通信回線3を介して通信するためのインタフェースである。通信回線3として、ローカルエリアネットワーク回線(LAN回線)、およびインターネットなどが用いられる。
【0030】
なお、ファクシミリインタフェース17およびネットワークインターフェース17により、送信データ生成部201により生成される送信データを外部の装置に送信する通信部202が構成される。
【0031】
補助記憶装置19は、主制御部10から送られてくる画像データ、外部の装置から転送されてきたドキュメントのデータなどを記憶する。補助記憶装置19として、HDD(Hard Disk Drive )またはSSD(Solid State Drive )などが用いられる。
【0032】
補助記憶装置19には、ボックス機能に関わる記憶領域であるボックス190が設けられる。ボックス機能は、ユーザごとに「マイボックス」または「パーソナルボックス」などと呼ばれる記憶領域を割り当てておき、各ユーザが自分の記憶領域によって画像データなどを保存し管理するための機能である。グループごとにボックス190を設けておき、グループのメンバで共用することもできる。ボックス190は、パーソナルコンピュータにおける「フォルダ」または「ディレクトリ」に相当する。
【0033】
さて、画像処理装置1は、原稿2に記録されている画像をデータ化して送信するスキャン送信ジョブを行うことができる。スキャン送信ジョブは、通信方式または送信先(宛先)の種類により複数に分類される。すなわち、スキャン送信ジョブとして、ファックス送信、電子メール送信、ボックス190へのファイルの保存、およびサーバなどへのファイル送信がある。ファックス送信には、電話回線を用いるもの、インターネットを用いるもの、およびIPアドレスへ送信するものがある。ファイル送信は、使用するプロトコルにより分類される。プロトコルとして、SMB(Server Message Block)、FTP(File Transfer Protocol)、またはWeb-DAV(Web-based Distributed Authoring and Versioning)などがある。
【0034】
スキャン送信プログラム10Pによると、ユーザがスキャン送信ジョブを入力する操作を行う際に、ジョブの条件およびそれに応じたおおよその所要時間をユーザに提示することができる。このような条件および所要時間を提示する機能を「条件指定支援機能」と記する。以下、この条件指定支援機能を中心に画像処理装置1の構成および動作を説明する。なお、説明の便宜のため、スキャン送信ジョブにおいて、1枚または複数枚の原稿2は、自動原稿送り装置12の原稿トレイ12aにセットされるものとし、原稿2のサイズはすべて一定のサイズ、例えばA4サイズであるものとする。
【0035】
図3には画像処理装置1の機能的構成の例が、
図4には宛先入力画面4Aの例が、
図5には宛先登録テーブル6Aの例が、
図6には宛先区分テーブル6Bの例が、それぞれ示されている。
【0036】
図3に示すように、スキャン送信プログラム10Pによると、表示制御部101、ジョブ実行制御部104、原稿枚数検知部105、予測時間算出部106、およびデータ記憶部107などの機能が画像処理装置1に実現される。表示制御部101は、宛先指定受付部102と条件選択受付部103とを有する。
【0037】
ユーザは、送信したい画像を記録した原稿2を自動原稿送り装置12の原稿トレイ12aにセットする。その後にまたはその前に、操作パネル11のスキャンキー44を押してスキャン機能を選択する。
【0038】
原稿2がセットされると、原稿枚数検知部105は、原稿トレイ12aのセンサ51からの信号と予め記憶している1枚当たりの平均厚さまたは平均重さとに基づいて、上に述べた除算を行うことにより、セットされた原稿2の枚数Nを検知する。そして、検知した枚数Nを示す枚数データ6Nを予測時間算出部106に送る。原稿枚数検知部105は、原稿2の個数を検知する検知部の例である。
【0039】
他方、宛先指定受付部102は、ユーザによりスキャン機能が選択されると、
図4に示すような宛先入力画面4Aをタッチパネルディスプレイ11aに表示させる。そして、ユーザによる宛先(送信先)の入力などを受け付けるための処理を行う。
【0040】
宛先入力画面4Aにおいては、宛先表示切換えボタン列430、および予め登録されている宛先の全部または一部に対応する宛先選択ボタン440、完了ボタン461、キャンセルボタン462、およびスキャン設定ボタン463などが表示される。初期表示では、
図4の例のように、選択の頻度が高い常用グループ(Regular)の宛先選択ボタン440a,440b,440c,440d,440e,440fが表示される。各宛先選択ボタン440a~440fにおいて、ジョブの種類および登録名がボタン名として表示される。
【0041】
ユーザは、所望の宛先に対応する宛先選択ボタン(例えば440b)をタッチする。すると、宛先指定受付部102は、タッチされた宛先選択ボタン440bを他の宛先選択ボタンと区別が付くよう強調表示するとともに、表示領域410において宛先の登録情報をユーザに提示する。また、宛先の指定件数を示す数字402を更新する。
【0042】
ユーザは、2以上の宛先を指定することができる。その際、必要に応じて宛先表示切換えボタン列430のいずれかのボタンにタッチして宛先選択ボタンの表示を切り換える。
【0043】
ユーザが完了ボタン461にタッチすると、宛先指定受付部102は、それまでに指定された宛先をジョブ実行制御部104に通知する。その後に、ユーザが操作キーパネル11bのスタートキー41を押すと、ジョブ実行制御部104による制御の下で、スキャン送信ジョブの実行が開始される。ユーザがスタートキー41を押す前にキャンセルボタン462にタッチすると、それまでの宛先の指定が取り消される。
【0044】
また、ユーザは、ジョブの条件をデフォルトの条件とは異なる条件に変更することができる。その場合には、スキャン設定ボタン463をタッチする。宛先指定受付部102は、スキャン設定ボタン463がタッチされたことを条件選択受付部103に通知する。この通知には、それまでに指定された宛先を示す宛先指定データ7Aが含まれる。ジョブの条件の変更について後に詳述する。
【0045】
図3に戻って、条件選択受付部103は、スキャン設定ボタン463がタッチされたことが通知されると、宛先入力画面4Aに代えて条件選択画面5Aをタッチパネルディスプレイ20eに表示させる。そして、予測時間算出部106に対して宛先指定データ7Aを与えることにより、所要時間の算出を要求する。
【0046】
要求を受けると、予測時間算出部106は、原稿2の画像のデータ化の設定値が互いに異なる複数の条件それぞれでジョブを行うのに掛かる予測時間TJを算出する。このとき、データ記憶部107により記憶されている条件テーブル6Cから宛先に応じた複数の条件JCを選出する。また、算出の演算には、原稿枚数検知部105からの枚数データ6Nに示される枚数Nを用いる。そして、予測時間算出部106は、算出した複数の予測時間TJを条件選択受付部103に送る。
【0047】
予測時間TJを受け取ると、条件選択受付部103は、複数の条件JCそれぞれについて算出された予測時間TJを、条件選択画面5Aにおいて複数の条件JCのうちのいずれかを選択するための選択肢として、同じ画面で表示するようタッチパネルディスプレイ11aを制御する。
【0048】
また、算出された複数の予測時間TJと、複数の条件JCのうちの選択された予測時間TJに対応する条件JCとを、同じ画面で表示させる。このとき、選択された予測時間TJに対応する条件JCの設定値を、それの変更を指示するための操作ボタンとして表示させる。
【0049】
さらに、ユーザにより複数の宛先が指定された場合、すなわち宛先指定データ7Aが複数の宛先を示す場合において、条件選択受付部103は、宛先ごとに順に予測時間TJを表示させる。
【0050】
条件選択画面5Aにおいて予測時間TJの選択を確定する操作が行われると、条件選択受付部103は、その旨をジョブ実行制御部104に通知する。
【0051】
ジョブ実行制御部104は、スタートキー41が押されると、原稿2の画像をユーザが選択した条件JCでデータ化し、ユーザが指定した宛先へ送信するスキャン送信ジョブを行うよう、送信データ生成部201および通信部202を制御する。なお、宛先がボックス190である場合には、通信部202の制御に代えて、送信データ生成部201と補助記憶装置19との間のデータ転送の制御、つまり画像処理装置1内の通信の制御を行う。
【0052】
図5に示すように、宛先登録テーブル6Aにおいては、各宛先について、登録順に付与される登録番号6a、登録名6b、ジョブの種類6c、第1区分6d、第2区分6e、宛先識別子6f、および備考6gが対応付けられる。
【0053】
ジョブの種類6cは、通信方式または送信先の種類による分類であり、ファックス送信(FAX)、電子メール送信(E-mail)、ボックス190への保存(Box)、SMBによるファイル送信(SMB)などがある。
【0054】
第1区分6dは、データのセキュリティの観点で宛先を2分する区分である。
図6の宛先区分テーブル6Bの通り、宛先は、第1区分6dにより、データの暗号化を必須とする第1のグループ6d1である「社外」と、暗号化を必須としない第2のグループ6d2である「社内」とに分かれる。
【0055】
また、第2区分6eは、画像のカラー品質の観点で宛先を2分する区分である。第2区分6eにより、宛先は、フルカラーの読取りを必須とする第3のグループ6e1である「特別」と、フルカラーの読取りを必須としない第4のグループ6e2である「一般」とに分かれる。
【0056】
本実施形態においては、このように第1区分6dおよび第2区分6eは、互いに独立に宛先を2分するので、各宛先は、「社外」または「社内」に属し、かつ、「特別」または「一般」に属する。
【0057】
宛先識別子6fは、電話番号、メールアドレス、URL(Uniform Resource Locator)など、宛先を一意に特定する情報である。備考6gは、必要に応じて適宜に記録される宛先に関する情報である。
【0058】
【0059】
条件テーブル6Cは、第1区分6dおよび第2区分6eの両方により区別される4つのサブグループ8a,8b,8c,8dそれぞれについて、ユーザが指定可能な条件JCを示すテーブルである。
【0060】
本実施形態において、条件JCの項目(設定項目)6hは、「解像度」、「カラー」、および「暗号化」の3つとされている。ユーザは、これらの項目6hそれぞれの設定値をそれぞれの選択肢の中から選択することができる。選択の操作を省略することもできる。選択の操作を省略する場合には、ジョブの種類に応じたデフォルトの設定値が自動的に選択される。
【0061】
画像の読取りに関わる「解像度」の設定値の選択肢は、200dpi、300dpi、および600dpiである。解像度が大きいほど、自動原稿送り装置12による原稿2の搬送を遅くするので、読取りに時間が掛かる。
【0062】
データ量に関わる「カラー」の設定値の選択肢は、モノクロ、およびフルカラーである。フルカラーの場合には、モノクロと比べてデータ量が多いので、画像処理部16による処理および通信部202などによるデータ送信に時間が掛かる。
【0063】
データ処理に関わる「暗号化」の設定値の選択肢は、無し、および有りである。有りの場合は暗号化処理が加わるので、無しの場合よりもジョブの所要時間が長くなる。
【0064】
条件JCは、このような3つの項目6hの設定値の組合せである。解像度、カラー、および暗号化それぞれの設定値が3個、2個、および2個なので、3×2×2組の組合せ、つまり12個(12通り)の条件JCがある。
【0065】
ところで、条件テーブル6Cにおいては、このような複数の条件JCが、スキャン送信ジョブを行うのに掛かる時間の長短を考慮して定められた複数のコースに振り分けられている。複数のコースとして、「急ぎコース」、「やや急ぎコース#1」、「やや急ぎコース#2」、「通常コース#1」、「通常コース#2」、および「じっくりコース」の6つが定められている。
【0066】
急ぎコースは、6つのコースの中で最も時間が掛からないコースである。それは、解像度の設定値が最小値(200dpi)とされ、カラーの設定値がモノクロとされるからである。
【0067】
じっくりコースは、最も時間が掛かるコースである。それは、解像度の設定値が最大値(600dpi)とされ、カラーの設定値がフルカラーとされているからである。
【0068】
通常コース#1は、急ぎコースよりも時間が掛かるがじっくりコースほどの時間は掛からないコースである。通常コース#1については、解像度の設定値が中間値(300dpi)とされ、カラーの設定値がフルカラーとされている。
【0069】
やや急ぎコース#1およびやや急ぎコース#2は、急ぎコースよりも時間が掛かるが通常コース#1ほどの時間は掛からないコースである。なお、やや急ぎコース#1の方がやや急ぎコース#2よりも時間が掛からない場合もあるし、逆に時間が掛かる場合もある。それは、解像度については、急ぎコース#1の200dpiが急ぎコース#2の300dpiよりも時間短縮の上で有利だが、カラーの設定値については、急ぎコース#2のモノクロが急ぎコース#1のフルカラーよりも時間短縮の上で有利だからである。
【0070】
通常コース#2は、やや急ぎコース#1およびやや急ぎコース#2よりも時間が掛かるがじっくりコースほどの時間は掛からないコースである。通常コース#2の方が通常コース#1よりも時間が掛かる場合もあるし、逆に時間が掛からない場合もある。それは、やや急ぎコース#1とやや急ぎコース#2との場合と同様の理由による。
【0071】
条件テーブル6Cにおいて、サブグループ8aおよびサブグループ8c、つまり第2区分が「一般」である宛先については、6つのコースそれぞれに1つずつ条件JCが定められている。
【0072】
これに対して、サブグループ8bおよびサブグループ8d、つまり第2区分が「特別」である宛先については、6つのコースのうち、急ぎコース、通常コース#1、およびじっくりコースの3つのコースそれぞれに1つずつ条件JCが定められている。やや急ぎコース#1、やや急ぎコース#2、および通常コース#2に条件JCが定められていないのは、これらのサブグループ8b,8dについて、カラーの設定値がフルカラーに限定されているからである。図中の「*」は、図に示される設定値に限定されていることを表わす。
【0073】
サブグループ8bには、暗号化の設定値を無しとした条件JCが定められ、サブグループ8dには、暗号化の設定値を有りとした条件JCが定められる。カラーの設定値をフルカラーに限定することにより、サブグループ8bおよびサブグループ8dのそれぞれに対して割り当て可能な条件JCは、急ぎコース、通常コース#1、およびじっくりコースに対応する3つとなる。
【0074】
図8には条件選択画面5Aの例が、
図9には単位所要時間テーブル6Dの例が、それぞれ示されている。
【0075】
図8(A)~(C)に示される条件選択画面5Aa,5Ab,5Acは、3つの時間選択ボタン511,512,513、OKボタン515、設定変更ボタン516、宛先表示領域518、および条件表示領域519などを有している。
【0076】
時間選択ボタン511,512,513は、6つのコースのうち表示対象に定められた急ぎコース、通常コース#1、およびじっくりコースに順に対応し、それぞれに上述の予測時間算出部106により算出された予測時間TJがボタン名として表示される。
【0077】
予測時間TJの算出に際して、
図9に示す単位所要時間テーブル6Dが参照される。単位所要時間テーブル6Dは、ジョブの種類ごとに設けられ、上述の12個の条件JCそれぞれでジョブを実行したときの原稿1枚当たりの平均的な所要時間である単位所要時間Tm1~Tm12を示す。
【0078】
単位所要時間Tm1~Tm24は、ジョブの種類ごとに、複数枚のテストシートを原稿2として各条件JCでスキャン送信ジョブを実行させ、ジョブを完了するのに掛かる時間を計測することによって求めることができる。
【0079】
例えば、単位所要時間Tm1は、次のように求めることができる。複数の原稿2から画像を200dpiでかつフルカラーで読み取って暗号化をすることなくボックス190に格納させ、原稿2の搬送の開始からデータの格納の完了までに掛かる時間を計測する。そして、計測した時間を原稿2の枚数Nで割った値を、単位所要時間Tm1として算出する。
【0080】
なお、単位所要時間テーブル6Dは、データ記憶部107などに記憶させておけばよい。
【0081】
予測時間算出部106は、ユーザにより指定された宛先に対応する単位所要時間テーブル6Dに示される単位所要時間Tm1~Tm24のうちの、表示対象の3つのコースそれぞれの条件JCに対応する単位所要時間Tmを選出する。そして、例えば枚数Nを変数として含む次の算出式を用いて予測時間TJを算出する。
【0082】
TJ=Tm×N
すなわち、選出した単位所要時間Tmと枚数データ6Nに示される枚数Nとの積を、予測時間TJとして算出する。
【0083】
例えば、通常コース#1について、条件JCの各項目の設定値が「300dpi」、「フルカラー」、「(暗号化)無し」であって、枚数Nが「3」である場合は、単位所要時間Tm2と「3」との積が、予測時間TJとして算出される。
【0084】
図8の例では、3つのコースについて算出された3分、5分、および7分の予測時間TJが表示されている。
【0085】
宛先表示領域518には、ユーザが指定した宛先の登録名が表示される。
図8の例において、宛先は、
図5の宛先登録テーブル6Aにおいて、登録番号6aを「0042」とし登録名を「myBox_0001」として登録されたものである。
【0086】
条件表示領域519には、3つのコース(急ぎコース、通常コース#1、およびじっくりコース)のうちの、選択された1つのコースに対応する条件JCが表示される。詳しくは、条件JCの各項目の現在の設定値が、操作ボタン521,522,531,532,541のボタン名として表示される。
【0087】
条件選択受付部103は、宛先が指定された後に最初に条件選択画面5Aを表示させるとき、ユーザの指示を受けることなく、3つのコースのうちの例えば通常コース#1を自動的に選択し、通常コース#1の条件JCを表示させる。
図8の例においては、宛先の第1区分6dは「社内」で第2区分6eは「一般」である(
図5参照)。つまり、
図7の条件テーブル6Cにおけるサブグループ8aに属する。したがって、最初の表示では、
図8(A)に示すように、サブグループ8aに割り当てられ、かつ通常コース#1に対応する条件JCを表わす「300dpi」、「フルカラー」、「(暗号化)無し」が操作ボタン522,531,541のボタン名として表示される。このとき、通常コース#1に対応する時間選択ボタン512は、強調表示により他の2つの時間選択ボタン511,513と区別される。
【0088】
図8(A)の条件選択画面5Aaが表示された状態において、ユーザがOKボタン515をタッチすると、条件JCの選択の終了が入力されたことになる。この場合は、通常コース#1の条件JCでジョブが行われる。
【0089】
また、条件選択画面5Aaが表示された状態で、ユーザは、5分よりも早くジョブを完了させたいときには、3分と表示されている時間選択ボタン511をタッチする。すると、条件選択画面5Aaに代わって
図8(B)に示す条件選択画面5Abが表示される。条件選択画面5Abでは、急ぎコースに対応する条件JCを表わす「200dpi」、「モノクロ」、「(暗号化)無し」が操作ボタン521,532,541のボタン名として表示される。
【0090】
ユーザは、表示された条件JCを確認し、この条件JCでジョブを行ってよいと判断した場合は、OKボタン515をタッチする。すなわち、条件JCの選択の終了を入力する。この場合、急ぎコースの条件JCでジョブが行われる。
【0091】
条件選択画面5Aaまたは条件選択画面5Abが表示され状態において、7分と表示されている時間選択ボタン511をユーザがタッチすると、条件選択画面5Aa,5Abに代わって
図8(C)に示す条件選択画面5Acが表示される。
【0092】
条件選択画面5Acでは、じっくりコースに対応する条件JCを表わす「600dpi」、「フルカラー」、「(暗号化)無し」が操作ボタン523,531,541のボタン名として表示される。ユーザは、OKボタン515をタッチしてじっくりコースの条件JCでジョブを行わせてもよいし、時間選択ボタン511をタッチして条件選択画面5Abを表示させてもよいし、時間選択ボタン512をタッチして条件選択画面5Aaを表示させてもよい。
【0093】
【0094】
図10の例では、2つの宛先が指定されている。これらの宛先は、同じサブグループ、例えばサブグループ8aに属する。つまり、同じ条件JCでジョブを行わせることが可能である。しかし、ジョブの種類が異なる。一方の種類は、画像処理装置1の内部の宛先に送信する「Box」であり、他方の宛先の種類は、画像処理装置1の外部の宛先に送信する「SMB」である。
【0095】
ジョブの種類が異なることから、条件JCが同じであって、予測時間TJが異なることがある。
【0096】
すなわち、
図10(A)に示すように、「Box」の場合における条件選択画面5Abでは、急ぎコース、通常コース#1、およびじっくりコースについて、3分、5分、および7分の予測時間TJが表示されている。
【0097】
これに対して、
図10(B)に示すように、「SMB」の場合における条件選択画面5Adでは、急ぎコース、通常コース#1、およびじっくりコースについて、6分、8分、および10分の予測時間TJが表示されている。
【0098】
図11の例は、条件選択画面5Aにおいて、ユーザが条件JCの各項目の設定値を個々に変更する例である。
図11において、宛先は、サブグループ8cに属するものとする。
【0099】
図11(A)に示す条件選択画面5Aeでは、急ぎコース、通常コース#1、およびじっくりコースについて、7分、9分、および11分の予測時間TJが表示されている。また、急ぎコースに対応する条件JCを表わす「200dpi」、「モノクロ」、および「(暗号化)有り」が操作ボタン521,532,542のボタン名として表示されている。ただし、サブグループ8aに属する宛先については、暗号化の設定値が「有り」に限定されているので、操作ボタン542は、設定値の変更が不可であることを表わすよう表示される。例えばグレーアウトとされる。
【0100】
ユーザは、操作ボタン521,532をタッチすることにより、解像度またはカラーの設定値の変更を指示することができる。操作ボタン521,532をタッチするごとに、ボタン名はロータリー形式で切り替わる。すなわち、解像度については、200dpi→300dpi→600dpi→200dpiと切り替わる。カラーについては、モノクロ→フルカラー→モノクロと切り替わる。なお、暗号化についても変更可能な場合は、有り→無し→有りと切り替わる。
【0101】
ユーザが操作ボタン521,532にタッチすると、
図11(B)に示す条件選択画面5Afのように、時間選択ボタン511のボタン名、つまり急ぎコースについて算出された予測時間TJの表示が消える。これは、設定値を変更しても予測時間TJは変わらないとユーザが誤解するのを防ぐための表示制御による。
【0102】
条件表示領域519に元の設定値と異なる設定値が表示された状態において、ユーザが設定変更ボタン516にタッチすると、その状態の設定値からなる条件JCに対応する予測時間TJが算出される。そして、
図11(C)に示す条件選択画面5Agのように、算出された予測時間TJ(例えば8分)が時間選択ボタン511のボタン名として表示される。
【0103】
条件選択画面5Agでは、ユーザが設定値を変更した結果として、時間選択ボタン511に対応する条件JCは、やや急ぎコース#2の条件と同じになっている。条件表示領域519には、その旨を知らせるメッセージ561が表示される。
【0104】
図12の例では、4つの予測時間TJが、4つの条件JCのうちのいずれかを選択するための選択肢として同じ画面で表される。
【0105】
図7に示した条件テーブル6Cにおいて、サブグループ8b,8dそれぞれに割り当てられた条件JCは3つであるが、サブグループ8a,8cそれぞれに割り当てられた条件JCは6つである。
【0106】
そこで、サブグループ8b,8dについては、上に述べた
図8、
図10、および
図12の例と同様に時間選択ボタンの個数を3とし、サブグループ8a,8cについては、時間選択ボタンの個数を4、5、または6とすることができる。
図12の例では、4とされている。
【0107】
図12(A)または(B)に示す条件選択画面5Ah,5Aiは、4つの時間選択ボタン551,552,553,554、OKボタン515、設定変更ボタン516、宛先表示領域518、および条件表示領域519などを有している。
【0108】
時間選択ボタン551,552,553,554は、急ぎコース、通常コース#1、通常コース#2、およびじっくりコースに対応し、それぞれに上述の予測時間算出部106により算出された予測時間TJがボタン名として表示される。図示の例では、4つのコースそれぞれの予測時間TJは、3分、5分、5分、および7分である。この例のように複数のコースの予測時間TJが同じになる場合がある。
【0109】
条件表示領域519には、4つのコース(急ぎコース、通常コース#1、およびじっくりコース)のうちの、選択された1つのコースに対応する条件JCが表示される。すなわち、
図12(A)の条件選択画面5Ahでは、通常コース#1の条件JCの設定値である「300dpi」、「フルカラー」、「(暗号化)無し」が操作ボタン522,531,541のボタン名として表示される。また、
図12(A)の条件選択画面5Aiでは、通常コース#2の条件JCの設定値である「600dpi」、「モノクロ」、「(暗号化)無し」が操作ボタン523,532,541のボタン名として表示される。
【0110】
図13には画像処理装置1における処理の流れが、
図14には条件制限処理の流れが、
図15には条件表示処理の流れが、
図16には条件変更処理の流れが、それぞれ示されている。
【0111】
図13に示すように、画像処理装置1は、セットされた原稿2の枚数Nを取得し(#601)、宛先入力画面4Aを表示してユーザによる宛先(送信先)の入力を受け付ける(#602)。そして、ユーザにより入力された1つまたは複数の宛先について条件JCを制限する条件制限処理を行う(#603)。
【0112】
予め表示対象に定められた3つ、4つ、またはそれ以上のコースごとに、各コースの条件JCでスキャン送信ジョブを行うのに掛かる予測時間TJを算出する(#604)。続けて、算出した複数の予測時間TJを選択ボタンのボタン名とすることにより、複数の条件JCのうちのいずれかを選択するための選択肢として同じ画面で一同に表示する(#605)。そして、選択された予測時間TJに対応する条件JCを複数の予測時間TJと同じ画面で一同に表示する条件表示処理を行う(#606)。
【0113】
選択された予測時間TJに対応する条件JCを表示している状態で、OKボタン515の操作がない場合は(#607でNO) 、条件JCの設定値を変更する条件変更処理を行う(#609)。
【0114】
OKボタン515の操作があった場合は(#607でYES) 、表示している条件JCを確定する。すなわち、ジョブの実行に際して適用する条件に設定する(#608)。複数の宛先が指定されており、かつ条件JCを確定していない宛先がある場合は(#610でYES) 、ステップ#603に戻ってステップ#603~#609の処理を繰り返す。
【0115】
条件JCを確定していない宛先がない場合は(#610でNO) 、ユーザによるスタート指示の入力を待ってジョブを実行する(#611、#612)。
【0116】
図14に示すように条件制限処理においては、宛先の第1区分6dが「社外」である場合に(#701でYES) 、暗号化の設定値を「有り」に限定する(#702)。第1区分6dが「社外」でない場合は(#701でNO) 、暗号化の設定値を限定しない。つまり、ユーザによる設定値の変更を許可する。
【0117】
また、宛先の第2区分6eが「特別」である場合に(#703でYES) 、カラーの設定値を「フルカラー」に限定する(#702)。第2区分6eが「特別」でない場合は(#703でNO) 、カラーの設定値を限定しない。
【0118】
図15に示すように条件表示処理においては、まず、解像度の設定値を表示する操作ボタン521~523の表示形態を、設定値の変更可を表わす通常形態に設定する(#801)。
【0119】
カラーの設定値が「フルカラー」に限定されている場合は(#802でYES) 、カラーの設定値を表示する操作ボタン531,532の表示形態を設定値の変更不可を表わす操作無効形態(例えばグレーアウト)に設定する(#804)。カラーの設定値が「フルカラー」に限定されていない場合は(#802でNO) 、操作ボタン531,532の表示形態を通常形態に設定する(#803)。
【0120】
暗号化の設定値が「有り」に限定されている場合は(#805でYES) 、暗号化の設定値を表示する操作ボタン541,542の表示形態を操作無効形態に設定する(#807)。暗号化の設定値がに限定されていない場合は(#805でNO) 、操作ボタン541,542の表示形態を通常形態に設定する(#806)。
【0121】
その後、選択された予測時間TJに対応するコースの条件JCを、設定した表示形態で操作ボタン521~523,531,532,541,542のボタン名として表示する#609)。
【0122】
図16に示すように条件変更処理においては、変更可の項目に対応する通常形態の操作ボタンの操作がない場合は(#901でNO) 、直ちに
図13のフローに戻る。
【0123】
通常形態の操作ボタンの操作があった場合は(#901でYES) 、当該コースの予測時間TJの表示を消去し(#902)、当該項目の設定値を変更する(#903)。その後に設定変更ボタン516の操作があれば(#904でYES) 、当該コースの予測時間TJを算出し直す(#905)。
【0124】
以上の実施形態によると、複数のコースの予測時間TJを表示するので、スキャン送信ジョブの入力に際してジョブの所要時間を知りたいユーザにとっての画像処理装置1の使い勝手を従来よりも高めることができる。
【0125】
選択可能な複数の条件JCのうち、最も所要時間の短い急ぎコースの予測時間TJとともにその条件JCを選択可能に表示するので、急いでいるユーザが最速の条件JCを指定しようとして操作に迷うことが少なくなる。
【0126】
上に述べた実施形態によると、急ぎコースの条件、それよりもジョブの所要時間が長い通常コースの条件、および、さらに所要時間が長いじっくりコースの条件それぞれに対応する予測時間TJがこれらの条件のいずれかを選択するための選択肢として表示される。これにより、ユーザは各条件でのおおよその所要時間を知った上でジョブの条件を選択することができる。
【0127】
上に述べた実施形態において、データ化して送信する画像の個数を特定する方法として、ユーザが原稿2の枚数Nを入力する手法を採用してもよい。原稿2の両面を読み取る場合には、原稿2の厚さまたは重さの検出値、またはユーザによる入力値に基づいて特定した原稿2の枚数Nの2倍を画像の個数として予測時間TJの算出に反映させればよい。
【0128】
自動原稿送り装置12に原稿2がセットされず、代わりにスキャナ13のプラテンガラスに原稿2が載置されたことを検出した場合は、原稿2の枚数Nを「1」として予測時間TJの算出すればよい。
【0129】
上に述べた実施形態においては、原稿2のサイズを一定としたが、一定とせずにサイズに応じた予測時間TJを算出するようにしてもよい。例えば、想定される複数のサイズそれぞれについて単位所要時間テーブル6Dを設けておき、センサにより検出したサイズまたはユーザにより入力されたサイズに最も近いサイズの単位所要時間テーブル6Dを用いて予測時間TJを算出すればよい。
【0130】
上に述べた実施形態においては、複数の予測時間TJとともに選択されたいずれか1つ予測時間TJに対応する条件JCを表示したが、これに限らない。ディスプレイの表示面に十分なスペースがある場合には、複数の予測時間TJとともに、これらの予測時間TJそれぞれに対応する複数の条件を同じ画面で一同に表示してもよい。
【0131】
なお、同じ画面で表示するに当たって、ディスプレイの表示面に十分なスペースがあれば同時に表示するのがよいが、同時に表示できない場合には、スクロールして表示し、または表示面へのタッチなどで切り替えて表示するなどして一同に表示すればよい。
【0132】
宛先が属するグループに依存する選択可能な複数の条件JCのすべてについて予測時間TJを算出して一同に表示してもよい。例えば、宛先がサブグループ8aに属する場合は、暗号化の有りの場合を含めて12個の条件JCが対応するので、12個の予測時間TJと12個の条件JCとを一同に表示する。宛先がサブグループ8cに属する場合は、6個の予測時間TJと6個の条件JCとを一同に表示する。
【0133】
その他、画像処理装置1の全体または各部の構成、処理の内容、順序、またはタイミング、条件テーブル6cおよび他のテーブルの内容、条件選択画面5Aのレイアウト、予測時間TJの算出式などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0134】
1 画像処理装置
2 原稿
6d 第1区分(第1のグループ、第2のグループ)
6d1 第1のグループ
6d2 第2のグループ
6e1 第3のグループ
8a,8c サブグループ(第1のグループ、第2のグループ)
8b,8d サブグループ(第3のグループ)
11a タッチパネルディスプレイ(ディスプレイ)
103 条件選択受付部(表示制御手段)
104 ジョブ実行制御部(ジョブ実行制御手段)
105 原稿枚数検知部(検知部)
106 予測時間算出部(算出手段)
521,522,523,531,532,541,542 操作ボタン
JC 条件
TJ 予測時間