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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】医用画像生成装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018001759
(22)【出願日】2018-01-10
(65)【公開番号】P2019118694
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155620
【弁理士】
【氏名又は名称】木曽 孝
(72)【発明者】
【氏名】太田 和志
(72)【発明者】
【氏名】川端 章裕
【審査官】後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-154154(JP,A)
【文献】特開2016-097255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を撮像した医用画像を時間的に連続して生成する医用画像生成装置であって、
生成された前記医用画像の時系列データを一時的に記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部よりも大きな記憶容量を有する第2の記憶部と、
撮影者の所定の入力操作を契機として、時間的に連続して生成される前記医用画像のうちの一を注目画像として設定する注目画像設定部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記医用画像の時系列データから前記注目画像との類似度が閾値以上の前記医用画像を抽出し、抽出した前記医用画像を前記注目画像に係るラベル情報と関連付けて前記第2の記憶部に記憶させる類似画像抽出部と、
を備える医用画像生成装置であって、
前記ラベル情報は、前記注目画像に映る前記被検体若しくは当該被検体の部位の種別、病変状態、又は症例の情報のいずれかを含む、
医用画像生成装置
【請求項2】
被検体を撮像した医用画像を時間的に連続して生成する医用画像生成装置であって、
生成された前記医用画像の時系列データを一時的に記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部よりも大きな記憶容量を有する第2の記憶部と、
撮影者の所定の入力操作を契機として、時間的に連続して生成される前記医用画像のうちの一を注目画像として設定する注目画像設定部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記医用画像の時系列データから前記注目画像との類似度が閾値以上の前記医用画像を抽出し、抽出した前記医用画像を前記注目画像に係るラベル情報と関連付けて前記第2の記憶部に記憶させる類似画像抽出部と、
を備える医用画像生成装置であって、
前記注目画像は、前記所定の入力操作の操作タイミングに生成された前記医用画像である、
医用画像生成装置。
【請求項3】
被検体を撮像した医用画像を時間的に連続して生成する医用画像生成装置であって、
生成された前記医用画像の時系列データを一時的に記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部よりも大きな記憶容量を有する第2の記憶部と、
撮影者の所定の入力操作を契機として、時間的に連続して生成される前記医用画像のうちの一を注目画像として設定する注目画像設定部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記医用画像の時系列データから前記注目画像との類似度が閾値以上の前記医用画像を抽出し、抽出した前記医用画像を前記注目画像に係るラベル情報と関連付けて前記第2の記憶部に記憶させる類似画像抽出部と、
を備える医用画像生成装置であって、
前記注目画像設定部は、自動的に、前記医用画像のうち異常部位と推定される特定領域の画像を切り出して前記注目画像として設定する、
医用画像生成装置。
【請求項4】
被検体を撮像した医用画像を時間的に連続して生成する医用画像生成装置であって、
生成された前記医用画像の時系列データを一時的に記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部よりも大きな記憶容量を有する第2の記憶部と、
撮影者の所定の入力操作を契機として、時間的に連続して生成される前記医用画像のうちの一を注目画像として設定する注目画像設定部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記医用画像の時系列データから前記注目画像との類似度が閾値以上の前記医用画像を抽出し、抽出した前記医用画像を前記注目画像に係るラベル情報と関連付けて前記第2の記憶部に記憶させる類似画像抽出部と、
を備える医用画像生成装置であって、
前記注目画像設定部は、前記撮影者の入力操作に基づいて、前記医用画像のうち一部領域を切り出して前記注目画像として設定する、
医用画像生成装置。
【請求項5】
被検体を撮像した医用画像を時間的に連続して生成する医用画像生成装置であって、
生成された前記医用画像の時系列データを一時的に記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部よりも大きな記憶容量を有する第2の記憶部と、
撮影者の所定の入力操作を契機として、時間的に連続して生成される前記医用画像のうちの一を注目画像として設定する注目画像設定部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記医用画像の時系列データから前記注目画像との類似度が閾値以上の前記医用画像を抽出し、抽出した前記医用画像を前記注目画像に係るラベル情報と関連付けて前記第2の記憶部に記憶させる類似画像抽出部と、
を備える医用画像生成装置であって、
前記第2の記憶部に格納された前記医用画像の記憶容量を監視し、当該記憶容量が閾値以上になった場合、前記第2の記憶部に格納された前記医用画像の少なくとも一部をサーバ装置にデータ転送するデータ転送指令部、を更に備える、
医用画像生成装置。
【請求項6】
被検体を撮像した医用画像を時間的に連続して生成する医用画像生成装置であって、
生成された前記医用画像の時系列データを一時的に記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部よりも大きな記憶容量を有する第2の記憶部と、
撮影者の所定の入力操作を契機として、時間的に連続して生成される前記医用画像のうちの一を注目画像として設定する注目画像設定部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記医用画像の時系列データから前記注目画像との類似度が閾値以上の前記医用画像を抽出し、抽出した前記医用画像を前記注目画像に係るラベル情報と関連付けて前記第2の記憶部に記憶させる類似画像抽出部と、
を備える医用画像生成装置であって、
前記類似画像抽出部は、前記被検体の個人を特定する情報を含まないように、抽出した前記医用画像を前記第2の記憶部に記憶させる、
医用画像生成装置。
【請求項7】
超音波診断装置、血管X線撮影装置、又は、動態解析装置のいずれかに適用される、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の医用画像生成装置。
【請求項8】
学習済みの識別器を用いて、撮影中の前記医用画像の画像解析を行い、前記医用画像に関連する前記ラベル情報を出力する識別処理部、を更に備え、
前記識別器は、前記類似画像抽出部に抽出された前記医用画像を用いて機械学習が施された
請求項1乃至のいずれか一項に記載の医用画像生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医用画像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像内に映る被写体等を識別する画像認識技術として、Deep Learning等の機械学習を利用する技術が知られている。
【0003】
この種の画像認識技術においては、識別器(例えば、Convolutional Neural Network;以下、「CNN」とも称する)に対して、教師画像を用いた機械学習を施すことによって、画像データに潜在する確率分布の特徴を把握させる。学習済みの識別器は、典型的には、画像のピクセル値情報を入力するだけで、画像パターンを識別し得るようになる。
【0004】
但し、この種の画像認識技術においては、識別器の識別精度や識別率が、識別器に対して機械学習を行う際の学習データに依拠するため、学習に適した教師画像を大量に入力する必要がある。しかしながら、学習に適した教師画像を大量に準備することは、実際には困難な場合も多い。例えば、大量の動画像をすべて記憶し、その中から学習に適した画像を探し出すことは、現実的に困難且つ煩雑である。
【0005】
このような背景から、学習データを水増しする手法として、データオーギュメンテ-ション(Data Augmentation)と称される手法が用いられる場合がある(例えば、特許文献1を参照)。データオーギュメンテ-ションは、現在保有する教師画像に対して、左右反転、回転、ズーム、パン、γカーブ変換、ブライトネス/コントラスト調整、スムージング、エッジ強調、又はホワイトノイズ付加等の画像変換を行い、一枚の教師画像から複数枚の教師画像を生成する手法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2016/157499号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、データオーギュメンテ-ション法で生成した教師画像は、不自然な画像となるため、かかる画像を用いて機械学習を施した識別器の識別精度の低下も引き起こす。又、データオーギュメンテ-ション法を適用する際にも、専用のソフトを用いて各種画像処理を施したり、又は識別器に入力する形式に変換するための処理を施したりする必要があるため、煩雑な作業が必要となる。
【0008】
近年、この種の画像認識技術を医用画像の診断に適用する要請があり、より効率的に、学習データとして有用な医用画像を収集する技術が求められている。
【0009】
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたもので、効率的に、機械学習用途の学習データとして有用な医用画像の収集を可能とする医用画像生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した課題を解決する主たる本開示は、
被検体を撮像した医用画像を時間的に連続して生成する医用画像生成装置であって、
生成された前記医用画像の時系列データを一時的に記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部よりも大きな記憶容量を有する第2の記憶部と、
撮影者の所定の入力操作を契機として、時間的に連続して生成される前記医用画像のうちの一を注目画像として設定する注目画像設定部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記医用画像の時系列データから前記注目画像との類似度が閾値以上の前記医用画像を抽出し、抽出した前記医用画像を前記注目画像に係るラベル情報と関連付けて前記第2の記憶部に記憶させる類似画像抽出部と、
を備える医用画像生成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る医用画像生成装置によれば、効率的に、機械学習用途の学習データとして有用な医用画像の収集が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る超音波診断装置の外観を示す図
図2】第1の実施形態に係る超音波診断装置の機能ブロックの一例を示す図
図3】第1の実施形態に係る超音波診断装置の注目画像設定部及び類似画像抽出部に係る詳細構成を示す図
図4】第1の実施形態に係る超音波診断装置の表示部が表示する表示画面の一例を示す図
図5】注目画像設定部の構成の変形例を示す図
図6】第1の実施形態に係る超音波診断装置の動作の一例を示すフローチャート
図7】第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示す図
図8】第3の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示す図
図9】第3の実施形態に係る超音波診断装置の表示部が表示する表示画面の一例を示す図
図10】第3の実施形態に係る識別器の構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
以下、図1図2を参照して、本実施形態に係る医用画像生成装置の構成の一例について説明する。
【0015】
尚、以下では、本発明の医用画像生成装置のより好適な適用対象の一例として、超音波診断装置について説明する。但し、本発明の医用画像生成装置は、例えば、血管X線撮影装置、又は、動態解析装置等にも適用することができる。
【0016】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置Uの外観を示す図である。図2は、本実施形態に係る超音波診断装置Uの機能ブロックの一例を示す図である。
【0017】
本実施形態に係る超音波診断装置U(以下、「医用画像生成装置U」とも称する)は、制御部1、撮像部2、画像処理部3、表示部4、シネメモリ部5、操作入力部6、記憶部7、及び、通信部8を備えている(図2を参照)。
【0018】
本実施形態に係る超音波診断装置Uは、例えば、医用画像としてカラードプラ画像を生成する態様について説明する。カラードプラ画像は、生体内の断層像をグレースケールで表現したBモード画像(Brightness Mode Imaging)に重ねて、血流や心筋壁等の体組織の動きを色で表現したカラー画像(Color Flow Imaging)を表示することで生成される。
【0019】
撮像部2は、被検体の検査対象部位を撮像して、医用画像(ここでは、超音波画像)を生成するためのフレーム単位となる二次元データを生成する。
【0020】
撮像部2は、複数の振動子によって構成される超音波探触子を備え、当該超音波探触子から、被検体内に対して超音波ビームを送信する。そして、当該超音波探触子は、この被検体内で反射した超音波エコーを受信し、受信信号を生成する。
【0021】
撮像部2は、Bモード画像を生成する際には、当該超音波エコーによって生成された受信信号の信号強度の時間的変化をラインメモリに蓄積する。そして、撮像部2は、超音波探触子の複数の振動子を走査(スキャン)して、超音波ビームを送受信させる方向を切り替え、各走査位置での当該受信信号をラインメモリに順次蓄積させることでフレーム単位となる二次元データを生成する。Bモード画像は、当該二次元データに係る受信信号の信号強度を輝度値に変換することによって生成される。
【0022】
撮像部2は、カラー画像を生成する際には、連続して送信したパルス状の超音波ビームの、同じ深さ位置からの超音波エコーを検出する。そして、撮像部2は、当該連続する超音波エコーの位相差に基づいて、当該深さ位置に存在する血流の速度、パワー、分散を算出して血流信号を生成する。撮像部2は、Bモード画像と同様に、超音波探触子を走査(スキャン)して、超音波ビームを送受信させる方向を切り替えることで、各走査位置での血流信号をラインメモリに順次蓄積し、フレーム単位となる二次元データを生成する。カラー画像は、当該二次元データに係る血流信号の速度、パワー、分散をRGB値に変換することによって生成される。
【0023】
画像処理部3は、撮像部2からフレーム単位となる二次元データを取得して、表示部4に表示する医用画像を生成する。具体的には、画像処理部3は、上記したとおり、受信信号の信号強度に係る二次元データからBモード画像を生成し、血流信号の速度、パワー、分散に係る二次元データからカラー画像を生成する。そして、画像処理部3は、Bモード画像上に動きのあるカラー画像を重畳することによって、カラードプラ画像を生成する。
【0024】
又、画像処理部3は、このようにして生成した医用画像に対して、座標変換処理を施したり、データ補間処理を施したりして、表示部4に表示可能な画像データに変換して、順次、シネメモリ部5に記憶させる。
【0025】
表示部4は、LCDや又はCRTディスプレイ等である。表示部4は、画像処理部3によって画像処理が施された医用画像を表示画面上に表示する(図3を参照して後述する)。尚、表示部4には、シネメモリ部5に記憶された医用画像が、画像処理部3を介して表示される。
【0026】
シネメモリ部5(本発明の第1の記憶部に相当)は、例えば、直前数分間に取得された複数の医用画像(複数のフレーム画像)を動画再生可能なように一時的に記憶する。
【0027】
操作入力部6は、各種スイッチ、機能ボタン、トラックボール、マウス、又はキーボード等であり、撮影者によって入力操作がなされた際に、操作信号を制御部1に出力する。
【0028】
記憶部7(本発明の第2の記憶部に相当)は、例えば、フラッシュメモリや又はHDD等により構成された制御部1の外部記憶装置である。記憶部7は、後述する学習データとして抽出された画像データを保存する記憶領域も有している。
【0029】
通信部8は、LANカード等により構成され、スイッチングハブを介して通信ネットワークNに接続された端末装置等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0030】
制御部1は、超音波診断装置Uの各部の動作を統括制御する。制御部1は、例えば、撮像動作制御部11、注目画像設定部12、及び類似画像抽出部13を備えている。
【0031】
撮像動作制御部11は、撮像部2の動作を制御する。
【0032】
注目画像設定部12は、操作入力部6に対する撮影者の所定の入力操作を契機として、当該操作タイミングに生成された医用画像を注目画像として設定する。
【0033】
類似画像抽出部13は、シネメモリ部5に記憶された複数の医用画像から注目画像との類似度が閾値以上の医用画像を抽出し、機械学習用途の学習データとして記憶部7に記憶させる。
【0034】
尚、制御部1は、主たるコンポーネントとして、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入力ポート、及び出力ポート等を備えたコンピュータである。制御部1が有する機能は、例えば、CPUがROMやRAMに格納された制御プログラムや各種データを参照することによって実現される。但し、当該機能は、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア回路、又はこれらの組み合わせによっても実現できることは勿論である。
【0035】
[医用画像生成装置における画像保存機能]
以下、図3図5を参照して、本実施形態に係る超音波診断装置Uにおける画像保存機能について説明する。
【0036】
本実施形態に係る超音波診断装置Uは、効率的に、有用な学習データを収集するため、操作入力部6からの所定の操作(ここでは、画像保存操作とする)を契機として、注目画像設定部12及び類似画像抽出部13によって自動的に画像データを保存する機能を有している。
【0037】
図3は、本実施形態に係る超音波診断装置Uの注目画像設定部12及び類似画像抽出部13に係る詳細構成を示す図である。
【0038】
図3の矢印は、制御部1の各機能ブロックにおけるデータの流れを表している。尚、超音波診断装置Uが撮像動作を実行している際、シネメモリ部5には、画像処理部3から医用画像(ここでは、超音波画像)が時間的に連続して入力され、当該シネメモリ部5において一定時間分の医用画像(例えば、数百フレーム分)が一時的に記憶される。シネメモリ部5は、典型的には、一定時間分の医用画像を時系列データとして記憶しており、自身の記憶容量を超えた分の医用画像については、過去分から順次消去するように構成されている。
【0039】
図4は、超音波診断装置Uの表示部4が表示する表示画面(ここでは、超音波画像)の一例を示す図である。
【0040】
撮影者は、例えば、図4の表示画面を見ながら、撮像部2で撮像する被検体の部位の位置を移動させる、又は、操作入力部6で当該医用画像を保存する操作を行う。
【0041】
図4の表示画面において、R1領域には、撮像部2が撮像した医用画像が、動画形式でリアルタイムに表示される。表示画面のR2領域には、医用画像を学習データとして保存する際に、当該学習データに対して付与する付与ラベル(ここでは、「撮影対象の部位種別」及び「撮影対象の状態」に係るラベルが設定されている)が表示されている。表示画面のR3領域には、被検体の個人を特定する識別情報が表示されている。
【0042】
以下、図3に示す各部の構成について説明する。
【0043】
注目画像設定部12は、操作入力部6からの画像保存操作を受け付ける。そして、注目画像設定部12は、医用画像が時間的に連続して生成されている際に、画像保存操作を契機として、当該画像保存操作がなされた操作タイミングに生成された1フレーム分の医用画像(例えば、図4のR1領域)を、シネメモリ部5から取得して、当該注目画像を第1のフレームバッファ13cに設定する。
【0044】
ここで、「注目画像」とは、撮影者が注目する対象の医用画像であり、即ち学習データとして取り込む医用画像の基準画像である。一般的に、超音波診断装置Uを用いた診断(例えば、甲状腺診断)においては、撮影者が撮像部2の超音波探触子をあてて医用画像を取り込みながら、リアルタイムで観察を行い、診断に必要と思われる領域(例えば、異常陰影候補又は正常候補)が現れたときに画像保存操作やフリーズ操作を行って、そのタイミングの医用画像を画面上に保持して詳細に観察を行っている。即ち、画像保存操作やフリーズ操作が行われたタイミングに表示されていた医用画像は、撮影者が診断に適した注目すべき画像であると判断した画像であると考えられる。換言すると、識別器が識別すべき対象の医用画像であると言える。
【0045】
かかる観点から、注目画像設定部12は、撮影者の操作入力部6への所定の操作(典型的には、画像保存操作)を契機として、当該操作タイミングに生成された医用画像を注目画像として設定する。そして、当該注目画像が、後述する類似画像抽出部13が類似判定する際の基準画像となる。尚、「注目画像」として設定する医用画像は、医用画像が撮像部2で撮影されてから撮影者が操作入力部6に所定の操作を行うまでのタイムラグ等を考慮した適宜のタイミングの医用画像であることは勿論である。
【0046】
又、注目画像設定部12は、学習データとして保存する注目画像に対してラベル情報を付すため、注目画像を設定する際、学習データとして保存する際又は事前に、記憶部7にラベル情報を設定する。注目画像設定部12は、例えば、撮影者が予め設定したラベル情報(例えば、図4の「撮影対象の部位種別」(例えば、甲状腺)及び「撮影対象の状態」(例えば、悪性腫瘍)に係るラベル)を記憶部7に設定し、ラベル情報と保存対象の医用画像(即ち、類似度判定部13aから転送される医用画像)とを関連付けた状態で記憶部7に記憶させる。
【0047】
ここで、「ラベル情報」とは、注目画像の種別を示す任意のラベルであり、典型的には、撮像対象の被検体の部位の種別、病変状態、又は症例の情報等である。又、「ラベル情報」としては、超音波診断装置Uにおける表示機能として既設の診断補助情報(例えば、アノテーション情報(診断部位を示す情報)、ボディマーク情報(被検体に対する超音波プローブの当接位置を示す情報)、診断部位/プリセット情報(検査中か準備中かを示す情報)、計測条件、計測項目、計測結果、又は撮影者のコメント)等が含まれていてもよい。
【0048】
類似画像抽出部13は、シネメモリ部5に一時的に記憶された医用画像の時系列データから、注目画像設定部12に設定された注目画像と類似する医用画像を抽出して、当該医用画像を記憶部7に記憶させる。
【0049】
類似画像抽出部13は、類似度判定部13a、判定対象設定部13b、第1のフレームバッファ13c、及び、第2のフレームバッファ13dを含んで構成される。
【0050】
第1のフレームバッファ13cには、例えば、注目画像設定部12により、1フレームの注目画像が設定される。一方、第2のフレームバッファ13dには、例えば、判定対象設定部13bにより、シネメモリ部5に一時的に記憶された医用画像のうち、1フレームの判定対象の医用画像が、順次、設定される。
【0051】
類似度判定部13aは、第1のフレームバッファ13cに設定された注目画像と、第2のフレームバッファ13dに設定された判定対象の医用画像と、を比較して、注目画像と判定対象の医用画像との類似度を算出する。そして、類似度判定部13aは、当該類似度が閾値以上の場合には、第2のフレームバッファ13dに設定された判定対象の医用画像を記憶部7に対してデータ転送し、当該類似度が閾値未満の場合には、記憶部7に対するデータ転送を行うことなく破棄する。これにより、記憶部7には、シネメモリ部5に一時的に記憶された医用画像のうち、注目画像に類似する医用画像が選択的に記憶される。
【0052】
類似度判定部13aは、上記類似度判定を行った後、判定対象設定部13bに対して、フレームポインタを1つ進める指示を出力する。判定対象設定部13bは、類似度判定部13aからの指示を受信するに応じて、シネメモリ部5から、次の判定対象の医用画像を取得して、第2のフレームバッファ13dに対して設定する。そして、判定対象設定部13bは、例えば、シネメモリ部5に一時的に記憶された医用画像のすべての取得が完了するに応じて、処理を終了する。尚、類似度判定部13aは、例えば、最後に、第1のフレームバッファ13cに設定された注目画像を記憶部7に対して送信し、処理を終了する。
【0053】
このようにして生成された学習データは、記憶部7において、医用画像D1、ラベル情報D2、及び、類似度判定部13aで基準とした注目画像(図示せず)のセットとして記憶される。尚、この際、記憶部7には、被検体の個人を特定する情報(例えば、患者ID)を含まないように記憶されるのが望ましい。
【0054】
類似度判定部13aにおける類似度の算出手法は、例えば、公知のCAD(Computer-Aided Diagnosis)技術、公知の類似画像検索技術等の手法(典型的には、テンプレートマッチング)を用いて行うことができる。
【0055】
CAD技術を用いた類似度の判定は、例えば、以下のようにして行う。
【0056】
まず、医用画像内における異常の疑いのある領域の特定を行う。異常の疑いのある領域は、例えば、医用画像において、エッジ検出及び領域分割を行い、次いで、各領域について、面積、平均濃度、重心の位置、周辺との濃度差、及び縦横比等の特徴量を算出し、当該特徴量と予め定められた閾値とを比較することによって、特定される。
【0057】
次いで、異常の疑いがあるとして特定した領域について、辺縁の形状、内部の不均一性、縦横比、病変辺縁の形状等の特徴量を算出し、4次の要素からなるベクトルを設定する。
【0058】
次いで、注目画像と判定対象の医用画像それぞれについて、4次の要素からなるベクトルに基づくマハラノビス距離を算出する。
【0059】
CAD技術を用いた類似度の判定においては、このようにして算出したマハラノビス距離の近接度合いを、注目画像と判定対象の医用画像の類似度の基準とする。
【0060】
尚、類似度判定部13aにおける類似度の判定手法は、任意であって、類似判定項目(例えば、陰影の形状、陰影の大きさ、陰影の方向、濃淡パターンの特性等)の一又は複数についてのみ、類似度を算出し、類似しているか否かを判定してもよい。又、注目画像と判定対象の医用画像の全画像領域を対象として、類似度の判定を行ってもよいし、一部領域のみを対象として類似度の判定を行ってもよい。
【0061】
図5は、注目画像設定部12の構成の変形例を示す図である。
【0062】
図5では、医用画像のうちの一部の特定領域R1aのみが注目画像に設定された状態を表している。類似度判定部13aにて類似判定を行う際、例えば、撮影者が注目する特定の領域又は特定の部位のみを類似判定の対象とした方が、より精度の高い類似判定を行うことが可能である。
【0063】
変形例に係る注目画像設定部12は、かかる観点から、医用画像のうちの一部の特定領域R1aのみを注目画像として設定している。
【0064】
注目画像設定部12は、撮影者が操作入力部6に対して所定の操作を行った際、例えば、公知のCAD技術を用いた異常部位抽出によって、設定対象の医用画像のうちから、撮影者が注目する異常部位等に係る注目領域を推定し、設定対象の医用画像から注目領域R1aのみを切り出して注目画像として設定する。これによって、撮影者の操作を要することなく、自動的に特定領域R1aを設定し、類似度判定部13aによる精度の高い類似判定に資することが可能となる。
【0065】
他方、注目画像設定部12は、例えば、撮影者が操作を行って、医用画像のうちから特定領域R1aを切り出して、注目画像として設定してもよい。これによって、公知の異常部位判定方法によって自動的に切り出せないような部位を特定領域R1aとして設定することが可能となる。
【0066】
尚、注目画像設定部12が設定する注目画像は、上記の他、撮影者によって所定の操作がなされたタイミングの前後の数フレームを平均化したもの等が用いられてもよい。
【0067】
[医用画像生成装置における動作フロー]
図6は、本実施形態に係る超音波診断装置Uの動作の一例を示すフローチャートである。尚、図6のフローチャートは、例えば、学習データを取得する際に、制御部1(注目画像設定部12、類似画像抽出部13)がコンピュータプログラムに従って実行する処理である。
【0068】
ステップS1において、制御部1は、撮影者が操作入力部6に所定の操作(例えば、静止画像保存操作)がなされたか否かを判定する。
【0069】
ステップS2において、制御部1(注目画像設定部12)は、当該操作を契機として、シネメモリ部5から、当該操作タイミングに対応する1フレームの医用画像を取得して、第1のフレームバッファ13cに対して注目画像を設定する。
【0070】
尚、このステップS2において、制御部1(注目画像設定部12)は、記憶部7に対して、ラベル情報を設定し、当該記憶部7において、ラベル情報と医用画像とが関連付けて記憶されるようにする。
【0071】
ステップS3において、制御部1(判定対象設定部13b)は、シネメモリ部5に対して、判定対象の医用画像があるか否かを問い合わせ、判定対象の医用画像がない場合(S3:NO)、ステップS8に処理を進める。判定対象の医用画像がある場合(S3:YES)、シネメモリ部5から当該医用画像を取得する。
【0072】
尚、このステップS3において、制御部1(判定対象設定部13b)は、S3~S7の処理ループに入った最初の処理時には、シネメモリ部5に対して、先頭フレームの医用画像を要求する。
【0073】
ステップS4において、制御部1(判定対象設定部13b)は、シネメモリ部5から取得した1フレームの医用画像を第2のフレームバッファ13dに設定する。
【0074】
ステップS5において、制御部1(類似度判定部13a)は、第1のフレームバッファ13cの注目画像、及び、第2のフレームバッファ13dの判定対象の医用画像を取得する。
【0075】
ステップS6において、制御部1(類似度判定部13a)は、注目画像と判定対象の医用画像の間の類似度を算出し、類似度が閾値以上か否かを判定する。
【0076】
尚、このステップS6において、制御部1(類似度判定部13a)は、類似度が閾値以上と判定した場合(S6:YES)、ステップS7に処理を進める。一方、類似度が閾値未満と判定した場合(S6:NO)、ステップS3の処理に戻って、シネメモリ部5のフレームポインタを1つ進め、シネメモリ部5に対して判定対象の医用画像があるか否かを再度問い合わせる。
【0077】
ステップS7において、制御部1(類似度判定部13a)は、ステップS6において類似度が閾値以上と判定された医用画像を記憶部7(例えば、専用の画像ストレージ領域)に保存する。
【0078】
ステップS7の後、制御部1(類似度判定部13a、判定対象設定部13b)は、ステップS3に戻って、シネメモリ部5のフレームポインタを1つ進め、シネメモリ部5に対して判定対象の医用画像があるか否かを再度問い合わせる。
【0079】
制御部1(類似度判定部13a、判定対象設定部13b)は、フレームポインタが最後尾になるまで、ステップS3~S7の処理を繰り返す。
【0080】
ステップS8において、制御部1(類似度判定部13a、判定対象設定部13b)は、第1のフレームバッファ13cに設定された注目画像を、記憶部7(例えば、専用の画像ストレージ領域)に保存する。
【0081】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る医用画像生成装置U(超音波診断装置U)によれば、注目画像設定部12において、撮影者の所定の入力操作(例えば、画像保存操作)を契機として、時間的に連続して生成される医用画像のうちから一の注目画像を設定し、類似画像抽出部13において、シネメモリ部5に記憶された複数の医用画像から注目画像との類似度が閾値以上の医用画像を抽出し、機械学習用途の学習データとして記憶部7に記憶させる。
【0082】
これによって、医用画像生成装置Uの利用態様の特徴(即ち、医師等の撮影者が医用画像を取り込みながらリアルタイムで観察を行う)を活かし、効率的に、機械学習用途の学習データとして有用な医用画像を収集することができる。換言すると、これによって、識別器に対して精度の高い機械学習を施すことが可能となり、医用画像を高精度に識別し得る識別器を構成することができる。換言すると、これによって、従来技術に係るデータオーギュメンテ-ション等の処理を行うことなく、機械学習の学習データとして好適な態様の医用画像を大量に収集することができる。
【0083】
又、本実施形態に係る医用画像生成装置Uによれば、抽出する医用画像について適切なラベル情報を付与することができるため、機械学習の学習データとして好適に用いることができる。
【0084】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態の超音波診断装置Uの構成の一例を示す図である。
【0085】
本実施形態に係る超音波診断装置Uは、更に、データ転送指令部14を備える点で、第1の実施形態に係る超音波診断装置Uと相違する。尚、第1の実施形態と共通する構成については、説明を省略する(以下、他の実施形態についても同様)。
【0086】
上記第1の実施形態では、超音波診断装置Uが、学習データとして生成した医用画像を記憶部7に自動的に蓄積していく態様を示した。しかしながら、学習データの蓄積は、撮影者が意識することなく行われるため、学習データが記憶部7の記憶領域を圧迫するおそれがある。
【0087】
本実施形態に係る超音波診断装置Uは、かかる観点から、データ転送指令部14にて、記憶部7に格納された医用画像の記憶容量を監視し、当該記憶容量が閾値を超えた場合には、自動的に、学習データ(即ち、医用画像)を所定のサーバ装置200(例えば、識別器の機械学習用に準備されたサーバ装置)に転送すると共に、当該学習データを記憶部7から削除する。
【0088】
データ転送指令部14は、所定タイミング(例えば、超音波診断装置Uの起動時)で、学習データに付されたフラグ等に基づいて、記憶部7に記憶された学習データの記憶容量を確認する。そして、データ転送指令部14は、記憶部7に記憶された学習データの記憶容量が閾値を超えた場合、予め設定された転送先のサーバ装置200に対して、通信部8を用いて、データ転送を行う。
【0089】
以上のように、本実施形態に係る超音波診断装置Uによれば、撮影者が意識することなく蓄積される学習データが、記憶部7の記憶領域を圧迫する事態を抑制することができる。又、これによって、記憶部7の記憶容量が圧迫され、医用画像に係る学習データが収集不可の状態となることを防止することができる。
【0090】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係る超音波診断装置Uの構成の一例を示す図である。図9は、第3の実施形態に係る超音波診断装置Uの表示部4が表示する表示画面の一例を示す図である。
【0091】
本実施形態に係る超音波診断装置Uは、更に、識別処理部15を備える点で、第1の実施形態に係る超音波診断装置Uと相違する。
【0092】
識別処理部15は、学習装置300から取得した学習済みの識別器のモデルデータM(例えば、識別器の構造データ及び学習済みのパラメータデータ等を表す。以下、「識別器M」と略称する)を利用して、医用画像を撮影している際に、リアルタイムに、当該医用画像に対して識別処理を施す。そして、識別器Mが医用画像を識別した結果(即ち、ラベル情報)は、表示部4が表示する表示画面に表示される。
【0093】
図9の識別結果表示領域R4には、識別器Mが識別した医用画像のラベル情報が表示されている。尚、図9のラベル情報は、撮影対象が「部位種別X」に該当し、撮影対象の状態が「病変種別Z」に該当するとして表示している。
【0094】
識別器Mは、例えば、第1の実施形態で生成した医用画像の学習データを用いて、学習装置300において機械学習が施されている。
【0095】
図10は、識別器Mの構成の一例を示す図である。図10に示す識別器Mは、CNNと称される識別器である。
【0096】
CNNは、例えば、特徴抽出部Naと識別部Nbとを有し、特徴抽出部Naが、入力される画像から画像特徴を抽出する処理を施し、識別部Nbが、当該画像特徴から画像に係る識別結果を出力する。
【0097】
特徴抽出部Naは、複数の特徴量抽出層Na1、Na2・・・が階層的に接続されて構成される。各特徴量抽出層Na1、Na2・・・は、それぞれ、畳み込み層(Convolution layer)、活性化層(Activation layer)及びプーリング層(Pooling layer)を備える。
【0098】
第1層目の特徴量抽出層Na1は、入力される画像を、ラスタスキャンにより所定サイズ毎に走査する。そして、特徴量抽出層Na1は、走査したデータに対して、畳み込み層、活性化層及びプーリング層によって特徴量抽出処理を施すことにより、入力画像に含まれる特徴量を抽出する。第1層目の特徴量抽出層Na1は、例えば、水平方向に延びる線状の特徴量や斜め方向に延びる線状の特徴量等の比較的シンプルな単独の特徴量を抽出する。
【0099】
第2層目の特徴量抽出層Na2は、前階層の特徴量抽出層Na1から入力される画像(特徴マップとも称される)を、例えば、ラスタスキャンにより所定サイズ毎に走査する。そして、特徴量抽出層Na2は、走査したデータに対して、同様に、畳み込み層、活性化層及びプーリング層による特徴量抽出処理を施すことにより、入力画像に含まれる特徴量を抽出する。尚、第2層目の特徴量抽出層Na2は、第1層目の特徴量抽出層Na1が抽出した複数の特徴量の位置関係などを考慮しながら統合させることで、より高次元の複合的な特徴量を抽出する。
【0100】
第2層目以降の特徴量抽出層(図10では、説明の便宜として、特徴量抽出層Naを2階層のみを示す)は、第2層目の特徴量抽出層Na2と同様の処理を実行する。そして、最終層の特徴量抽出層の出力(複数の特徴マップのマップ内の各値)が、識別部Nbに対して入力される。
【0101】
識別部Nbは、例えば、複数の全結合層(Fully Connected)が階層的に接続された多層パーセプトロンによって構成される。
【0102】
識別部Nbの入力側の全結合層は、特徴抽出部Naから取得した複数の特徴マップのマップ内の各値に全結合し、その各値に対して重み係数を異ならせながら積和演算を行って出力する。識別部Nbの次階層の全結合層は、前階層の全結合層の各素子が出力する値に全結合し、その各値に対して重み係数を異ならせながら積和演算を行う。そして、識別部Nbの最後段には、正常度を出力する出力素子が設けられる。
【0103】
本実施形態に係る識別器Mは、医用画像D1を入力とし(図10のinput)、当該医用画像D1の画像特徴に応じたラベル情報D2を出力する(図10のoutput)ように構成される。尚、本実施形態に係る識別器Mは、入力された医用画像D1の画像特徴に応じて、ラベル情報D2を出力する。
【0104】
尚、学習装置300が学習処理を行う際のアルゴリズムは、公知の手法であってよい。識別器MとしてCNNを用いる場合であれば、学習装置300は、例えば、公知の誤差逆伝播法を用いて、識別器Mに対して学習処理を施し、ネットワークパラメータ(重み係数、バイアス等)を最適化する。
【0105】
超音波診断装置Uは、学習装置300によって学習処理が施された識別器Mのモデルデータ(例えば、構造データ及び学習済みのネットワークパラメータ)を取得して、当該識別器を用いた画像解析(例えば、識別器の順伝搬処理)を行うプログラムと共に、自身の保有する記憶装置(図示せず)に格納する。
【0106】
識別処理部20は、このようにして設定された学習済みの識別器Mを用いて、生成される医用画像からラベル情報として最適な種別を識別する。即ち、識別処理部20は、医用画像を入力し、当該識別器Mの順伝播処理によって当該医用画像の画像解析を行って、例えば、クラス該当度が最大の種別を、ラベル情報(例えば、図9のように、撮影対象が「部位種別X」に該当し、撮影対象の状態が「病変種別Z」に該当する)として出力する。
【0107】
以上のように、本実施形態に係る医用画像生成装置U(超音波診断装置U)によれば、精度の高い学習データによって学習処理を施した識別器Mを用いて、リアルタイムに、医用画像に対して識別処理を実行することが可能である。これによって、医用画像生成装置U(超音波診断装置U)を用いて被検体の診断を行っている際に、リアルタイムに、表示部4に上記ラベル情報を表示したり、上記ラベル情報に応じたアラームを発する等、有用な診断補助機能を実現することが可能となる。
【0108】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限らず、種々に変形態様が考えられる。
【0109】
上記実施形態では、学習データを適用する識別器Mの一例として、CNNを示した。但し、識別器Mは、CNNに限らず、任意の識別器が用いられてよい。識別器Mとしては、例えば、SVM(Support Vector Machine)識別器、ベイズ識別器、又は、回帰木等が用いられてもよい。又は、これらが複数組み合わされて構成されてもよい。
【0110】
又、上記実施形態では、注目画像設定部12の一例として、静止画像を保存する操作を契機として、当該操作タイミングに生成された医用画像を注目画像として設定する態様を示した。しかしながら、注目画像設定部12が基準とする撮影者の操作は、フリーズ操作や又は動作保存操作等、撮影者が注目している医用画像に対して行う操作であれば、任意の操作であってよい。
【0111】
又、上記実施形態では、類似画像抽出部13の一例として、シネメモリ部5に一時的に記憶されている医用画像の全部を類似判定の対象とする構成を示した。しかしながら、類似画像抽出部13が類似判定の対象とする医用画像は、例えば、撮影者が操作入力部6に対して所定の操作を行った操作タイミングを基点としてその前及び/又は後の予め定められた時間範囲内に取得された医用画像のみであってもよい。類似画像抽出部13は、例えば、操作タイミングを起点とした前後の1秒~10秒を類似判定の対象としてもよい。
【0112】
又、上記実施形態では、医用画像生成装置Uの制御部1の構成の一例として、一のコンピュータによって実現されるものとして記載したが、複数のコンピュータによって実現されてもよいのは勿論である。
【0113】
又、上記実施形態では、医用画像生成装置Uの構成の一例を種々に示した。但し、各実施形態で示した態様を種々に組み合わせたものを用いてもよいのは勿論である。
【0114】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本開示に係る医用画像生成装置によれば、効率的に、機械学習用途の学習データとして有用な医用画像の収集が可能である。
【符号の説明】
【0116】
U 医用画像生成装置
1 制御部
11 撮像動作制御部
12 注目画像設定部
13 類似画像抽出部
14 データ転送指令部
15 識別処理部
2 撮像部
3 画像処理部
4 表示部
5 シネメモリ部
6 操作入力部
7 記憶部
8 通信部
200 サーバ装置
300 学習装置
M 識別器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10