(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】評価装置、評価方法、及び評価プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/024 20060101AFI20220107BHJP
A61B 3/113 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A61B3/024
A61B3/113
(21)【出願番号】P 2018034850
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】箱嶋 修二
【審査官】後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-161122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示画面と、
前記表示画面を観察する被験者の注視点の位置を検出する注視点検出部と、
前記表示画面に表示又は配置される第1指標に対応する領域に特定領域を設定する領域設定部と、
前記注視点の位置の検出結果に基づいて前記注視点が前記特定領域に存在するか否かを判定する判定部と、
前記判定部において前記注視点が前記特定領域に存在すると判定された場合に、
前記被験者が前記第1指標を注視していると判断して、前記表示画面において前記第1指標とは異なる位置に第2指標を表示させる表示制御部と、
前記被験者が前記第2指標を認識したか否かを判断する演算部と、
前記演算部の判断結果に基づいて、前記被験者の視機能を評価する評価部と
を備え
、
前記表示制御部は、前記第2指標が前記表示画面に表示された後、前記判定部において前記注視点が前記特定領域に存在しないと判定された場合には、前記被験者が前記第1指標を注視していないと判断して、前記第2指標を非表示とする
評価装置。
【請求項2】
前記被験者の前記第2指標の認識状態が入力される被験者入力部を更に備え、
前記演算部は、前記被験者入力部における入力結果に基づいて前記被験者が前記第2指標を認識したか否かを判断する
請求項
1に記載の評価装置。
【請求項3】
画像を表示する表示画面を観察する被験者の注視点の位置を検出することと、
前記表示画面に表示又は配置される第1指標に対応する領域に特定領域を設定することと、
前記注視点の位置の検出結果に基づいて前記注視点が前記特定領域に存在するか否かを判定することと、
前記注視点が前記特定領域に存在すると判定された場合に、
前記被験者が前記第1指標を注視していると判断して、前記表示画面において前記第1指標とは異なる位置に第2指標を表示させることと、
前記被験者が前記第2指標を認識したか否かを判断することと、
前記第2指標を認識したか否かの判断結果に基づいて、前記被験者の視機能を評価することと
を含
み、
前記第2指標が前記表示画面に表示された後、前記注視点が前記特定領域に存在しないと判定された場合には、前記被験者が前記第1指標を注視していないと判断して、前記第2指標を非表示とする
評価方法。
【請求項4】
画像を表示する表示画面を観察する被験者の注視点の位置を検出する処理と、
前記表示画面に表示又は配置される第1指標に対応する領域に特定領域を設定する処理と、
前記注視点の位置の検出結果に基づいて前記注視点が前記特定領域に存在するか否かを判定する処理と、
前記注視点が前記特定領域に存在すると判定された場合に、
前記被験者が前記第1指標を注視していると判断して、前記表示画面において前記第1指標とは異なる位置に第2指標を表示させる処理と、
前記被験者が前記第2指標を認識したか否かを判断する処理と、
前記第2指標を認識したか否かの判断結果に基づいて、前記被験者の視機能を評価する処理と
をコンピュータに実行させ
、
前記第2指標が前記表示画面に表示された後、前記注視点が前記特定領域に存在しないと判定された場合には、前記被験者が前記第1指標を注視していないと判断して、前記第2指標を非表示とする処理をコンピュータに実行させる
評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価装置、評価方法、及び評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
網膜における周辺視野の欠損の有無を評価する評価方法として、例えば、被験者にある一点を注視させ、その周辺に提示した指標を認知可能であるか否かを調べる方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法では、被験者が指示された指標を注視しているときのみ指標を提示する構成ではない。従って、被験者が周辺視野で指標を認識できているか否かを判断することが困難であり、周辺視野の欠損の有無を精度よく評価することが困難である。そのため、より精度の高い評価を行うことが可能な技術が求められている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、より精度の高い評価を行うことが可能な評価装置、評価方法、及び評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る評価装置は、画像を表示する表示画面と、前記表示画面を観察する被験者の注視点の位置を検出する注視点検出部と、前記表示画面に表示又は配置される第1指標に対応する領域に特定領域を設定する領域設定部と、前記注視点の位置の検出結果に基づいて前記注視点が前記特定領域に存在するか否かを判定する判定部と、前記判定部において前記注視点が前記特定領域に存在すると判定された場合に、前記表示画面において前記第1指標とは異なる位置に第2指標を表示させる表示制御部と、前記被験者が前記第2指標を認識したか否かを判断する演算部と、前記演算部の判断結果に基づいて、前記被験者の視機能を評価する評価部とを備える。
【0007】
本発明に係る評価方法は、画像を表示する表示画面を観察する被験者の注視点の位置を検出することと、前記表示画面に表示又は配置される第1指標に対応する領域に特定領域を設定することと、前記注視点の位置の検出結果に基づいて前記注視点が前記特定領域に存在するか否かを判定することと、前記判定部において前記注視点が前記特定領域に存在すると判定された場合に、前記表示画面において前記第1指標とは異なる位置に第2指標を表示させることと、前記被験者が前記第2指標を認識したか否かを判断することと、前記検出部の検出結果に基づいて、前記被験者の視機能を評価することとを含む。
【0008】
本発明に係る評価プログラムは、画像を表示する表示画面を観察する被験者の注視点の位置を検出する処理と、前記表示画面に表示又は配置される第1指標に対応する領域に特定領域を設定する処理と、前記注視点の位置の検出結果に基づいて前記注視点が前記特定領域に存在するか否かを判定する処理と、前記判定部において前記注視点が前記特定領域に存在すると判定された場合に、前記表示画面において前記第1指標とは異なる位置に第2指標を表示させる処理と、前記被験者が前記第2指標を認識したか否かを判断する処理と、前記検出部の検出結果に基づいて、前記被験者の視機能を評価する処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より精度の高い評価を行うことが可能な評価装置、評価方法、及び評価プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る視線検出装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る視線検出装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る視線検出装置の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る角膜曲率中心の位置データの算出方法を説明するための模式図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る角膜曲率中心の位置データの算出方法を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るキャリブレーション処理の一例を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る注視点検出処理の一例を説明するための模式図である。
【
図8】
図8は、表示画面に表示させる指標の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、表示画面に表示させる指標の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る評価方法の原理を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、表示画面に第2指標の位置を変えて表示させる場合の例を示す図である。
【
図12】
図12は、表示画面に第2指標の位置を変えて表示させる場合の例を示す図である。
【
図13】
図13は、表示画面に第2指標の位置を変えて表示させる場合の例を示す図である。
【
図14】
図14は、表示画面に第2指標の位置を変えて表示させる場合の例を示す図である。
【
図15】
図15は、表示画面に指標を表示させる場合の他の例を示す図である。
【
図16】
図16は、被験者が第2指標を認識できたか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、本実施形態に係る評価方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る評価装置、評価方法、及び評価プログラムの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
以下の説明においては、三次元グローバル座標系を設定して各部の位置関係について説明する。所定面の第1軸と平行な方向をX軸方向とし、第1軸と直交する所定面の第2軸と平行な方向をY軸方向とし、第1軸及び第2軸のそれぞれと直交する第3軸と平行な方向をZ軸方向とする。所定面はXY平面を含む。
【0013】
(視線検出装置)
図1は、第1実施形態に係る視線検出装置100の一例を模式的に示す斜視図である。視線検出装置100は、被験者の視機能として、緑内障等による周辺視野の欠損の有無を評価する評価装置として用いられる。
図1に示すように、視線検出装置100は、表示装置101と、ステレオカメラ装置102と、照明装置103と、被験者入力部70とを備える。
【0014】
表示装置101は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)又は有機ELディスプレイ(organic electroluminescence display:OLED)のようなフラットパネルディスプレイを含む。本実施形態において、表示装置101は、表示画面101Sを有する。表示画面101Sは、画像を表示する。本実施形態において、表示画面101Sは、例えば被験者の視機能を評価するための第1指標及び第2指標を表示する。表示画面101Sは、XY平面と実質的に平行である。X軸方向は表示画面101Sの左右方向であり、Y軸方向は表示画面101Sの上下方向であり、Z軸方向は表示画面101Sと直交する奥行方向である。
【0015】
ステレオカメラ装置102は、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bを有する。ステレオカメラ装置102は、表示装置101の表示画面101Sよりも下方に配置される。第1カメラ102Aと第2カメラ102BとはX軸方向に配置される。第1カメラ102Aは、第2カメラ102Bよりも-X方向に配置される。第1カメラ102A及び第2カメラ102Bはそれぞれ、赤外線カメラを含み、例えば波長850[nm]の近赤外光を透過可能な光学系と、その近赤外光を受光可能な撮像素子とを有する。
【0016】
照明装置103は、第1光源103A及び第2光源103Bを有する。照明装置103は、表示装置101の表示画面101Sよりも下方に配置される。第1光源103Aと第2光源103BとはX軸方向に配置される。第1光源103Aは、第1カメラ102Aよりも-X方向に配置される。第2光源103Bは、第2カメラ102Bよりも+X方向に配置される。第1光源103A及び第2光源103Bはそれぞれ、LED(light emitting diode)光源を含み、例えば波長850[nm]の近赤外光を射出可能である。なお、第1光源103A及び第2光源103Bは、第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの間に配置されてもよい。
【0017】
照明装置103は、検出光である近赤外光を射出して、被験者の眼球111を照明する。ステレオカメラ装置102は、第1光源103Aから射出された検出光が眼球111に照射されたときに第2カメラ102Bで眼球111を撮影し、第2光源103Bから射出された検出光が眼球111に照射されたときに第1カメラ102Aで眼球111を撮影する。
【0018】
第1カメラ102A及び第2カメラ102Bの少なくとも一方からフレーム同期信号が出力される。第1光源103A及び第2光源103Bは、フレーム同期信号に基づいて検出光を射出する。第1カメラ102Aは、第2光源103Bから射出された検出光が眼球111に照射されたときに、眼球111の画像データを取得する。第2カメラ102Bは、第1光源103Aから射出された検出光が眼球111に照射されたときに、眼球111の画像データを取得する。
【0019】
眼球111に検出光が照射されると、その検出光の一部は瞳孔112で反射し、その瞳孔112からの光がステレオカメラ装置102に入射する。また、眼球111に検出光が照射されると、角膜の虚像である角膜反射像113が眼球111に形成され、その角膜反射像113からの光がステレオカメラ装置102に入射する。
【0020】
第1カメラ102A及び第2カメラ102Bと第1光源103A及び第2光源103Bとの相対位置が適切に設定されることにより、瞳孔112からステレオカメラ装置102に入射する光の強度は低くなり、角膜反射像113からステレオカメラ装置102に入射する光の強度は高くなる。すなわち、ステレオカメラ装置102で取得される瞳孔112の画像は低輝度となり、角膜反射像113の画像は高輝度となる。ステレオカメラ装置102は、取得される画像の輝度に基づいて、瞳孔112の位置及び角膜反射像113の位置を検出することができる。
【0021】
図2は、本実施形態に係る視線検出装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、視線検出装置100は、表示装置101と、ステレオカメラ装置102と、照明装置103と、コンピュータシステム20と、入出力インターフェース装置30と、駆動回路40と、出力装置50と、入力装置60と、被験者入力部70とを備える。
【0022】
コンピュータシステム20と、駆動回路40と、出力装置50と、入力装置60と、被験者入力部70とは、入出力インターフェース装置30を介してデータ通信する。コンピュータシステム20は、演算処理装置20A及び記憶装置20Bを含む。演算処理装置20Aは、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを含む。記憶装置20Bは、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)のようなメモリ又はストレージを含む。演算処理装置20Aは、記憶装置20Bに記憶されているコンピュータプログラム20Cに従って演算処理を実施する。
【0023】
駆動回路40は、駆動信号を生成して、表示装置101、ステレオカメラ装置102、及び照明装置103に出力する。また、駆動回路40は、ステレオカメラ装置102で取得された眼球111の画像データを、入出力インターフェース装置30を介してコンピュータシステム20に供給する。
【0024】
出力装置50は、フラットパネルディスプレイのような表示装置を含む。なお、出力装置50は、印刷装置を含んでもよい。入力装置60は、操作されることにより入力データを生成する。入力装置60は、コンピュータシステム用のキーボード又はマウスを含む。なお、入力装置60が表示装置である出力装置50の表示画面に設けられたタッチセンサを含んでもよい。被験者入力部70は、被験者が後述する指標(第2指標M2)を認識できたか否かを入力する。被験者入力部70としては、例えばボタン式スイッチ等が用いられる。この構成では、例えば第2指標M2を認識できたと被験者が判断する場合、被験者にボタンを押してもらうことで、入力信号がコンピュータシステム20に送信される。
【0025】
本実施形態においては、表示装置101とコンピュータシステム20とは別々の装置である。なお、表示装置101とコンピュータシステム20とが一体でもよい。例えば視線検出装置100がタブレット型パーソナルコンピュータを含む場合、そのタブレット型パーソナルコンピュータに、コンピュータシステム20、入出力インターフェース装置30、駆動回路40、及び表示装置101が搭載されてもよい。
【0026】
図3は、本実施形態に係る視線検出装置100の一例を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、入出力インターフェース装置30は、入出力部302を有する。駆動回路40は、表示装置101を駆動するための駆動信号を生成して表示装置101に出力する表示装置駆動部402と、第1カメラ102Aを駆動するための駆動信号を生成して第1カメラ102Aに出力する第1カメラ入出力部404Aと、第2カメラ102Bを駆動するための駆動信号を生成して第2カメラ102Bに出力する第2カメラ入出力部404Bと、第1光源103A及び第2光源103Bを駆動するための駆動信号を生成して第1光源103A及び第2光源103Bに出力する光源駆動部406とを有する。また、第1カメラ入出力部404Aは、第1カメラ102Aで取得された眼球111の画像データを、入出力部302を介してコンピュータシステム20に供給する。第2カメラ入出力部404Bは、第2カメラ102Bで取得された眼球111の画像データを、入出力部302を介してコンピュータシステム20に供給する。
【0027】
コンピュータシステム20は、視線検出装置100を制御する。コンピュータシステム20は、表示制御部202と、光源制御部204と、画像データ取得部206と、入力データ取得部208と、位置検出部210と、曲率中心算出部212と、注視点検出部214と、領域設定部216と、判定部218と、演算部220と、記憶部222と、評価部224と、出力制御部226とを有する。コンピュータシステム20の機能は、演算処理装置20A及び記憶装置20Bによって発揮される。
【0028】
表示制御部202は、被験者の視機能を評価するための第1指標及び第2指標を表示画面101Sに表示する。第1指標は、被験者に注視させる指標である。第2指標は、表示画面101Sの第1指標とは異なる位置に表示させる指標である。表示制御部202は、第2指標を複数の異なる位置に表示させることが可能である。なお、表示制御部202は、第1指標に相当する指標が表示画面101S上に別途配置される場合には、第1指標の表示を省略することができる。第2指標は、被験者が第1指標を注視した状態で網膜の周辺視野において認識できたか否かを判定するための指標である。表示制御部202は、後述する判定部218において注視点が特定領域に存在すると判定された場合に、表示画面において第1指標とは異なる位置に第2指標を表示させる。また、表示制御部202は、後述する判定部218において注視点が特定領域に存在しないと判定された場合に、表示画面において第2指標を非表示とする。
【0029】
光源制御部204は、光源駆動部406を制御して、第1光源103A及び第2光源103Bの作動状態を制御する。光源制御部204は、第1光源103Aと第2光源103Bとが異なるタイミングで検出光を射出するように第1光源103A及び第2光源103Bを制御する。
【0030】
画像データ取得部206は、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bを含むステレオカメラ装置102によって取得された被験者の眼球111の画像データを、入出力部302を介してステレオカメラ装置102から取得する。
【0031】
入力データ取得部208は、入力装置60が操作されることにより生成された入力データを、入出力部302を介して入力装置60から取得する。
【0032】
位置検出部210は、画像データ取得部206で取得された眼球111の画像データに基づいて、瞳孔中心の位置データを検出する。また、位置検出部210は、画像データ取得部206で取得された眼球111の画像データに基づいて、角膜反射中心の位置データを検出する。瞳孔中心は、瞳孔112の中心である。角膜反射中心は、角膜反射像113の中心である。位置検出部210は、被験者の左右それぞれの眼球111について、瞳孔中心の位置データ及び角膜反射中心の位置データを検出する。
【0033】
曲率中心算出部212は、画像データ取得部206で取得された眼球111の画像データに基づいて、眼球111の角膜曲率中心の位置データを算出する。
【0034】
注視点検出部214は、画像データ取得部206で取得された眼球111の画像データに基づいて、被験者の注視点の位置データを検出する。本実施形態において、注視点の位置データとは、三次元グローバル座標系で規定される被験者の視線ベクトルと表示装置101の表示画面101Sとの交点の位置データをいう。注視点検出部214は、眼球111の画像データから取得された瞳孔中心の位置データ及び角膜曲率中心の位置データに基づいて、被験者の左右それぞれの眼球111の視線ベクトルを検出する。視線ベクトルが検出された後、注視点検出部214は、視線ベクトルと表示画面101Sとの交点を示す注視点の位置データを検出する。
【0035】
領域設定部216は、表示装置101の表示画面101Sのうち第1指標が表示又は配置される部分に特定領域を設定する。
【0036】
判定部218は、特定領域が表示画面101Sに設定される場合に、注視点の位置の検出結果である位置データに基づいて、注視点が特定領域に存在するか否かを判定し、判定データを出力する。判定部218は、例えば一定時間毎に注視点が特定領域に存在するか否かを判定する。一定時間としては、例えば第1カメラ102A及び第2カメラ102Bから出力されるフレーム同期信号の周期(例えば50[msec]毎)とすることができる。
【0037】
演算部220は、表示画面101Sに第1指標が表示されてからの経過時間を検出するタイマを有する。演算部220は、被験者が第2指標を認識したか否かを判断する。演算部220は、被験者入力部70からの入力結果に基づいて、被験者が第2指標を認識したか否かを判断する。本実施形態において、演算部220は、被験者入力部70からの入力結果を検出した場合、被験者が第2指標を認識したと判断する。また、演算部220は、被験者入力部70からの入力を検出しなかった場合、被験者が第2指標を認識しなかったと判断する。演算部220は、判断結果を出力する。
【0038】
評価部224は、被験者の視機能を評価し、評価データを求める。評価データは、演算部220の判断結果に基づいて被験者の視機能を評価するデータである。
【0039】
記憶部222は、表示画面101Sに表示させる画像の画像データ、判定部218により出力された判定データ、評価部224から出力された評価データを記憶する。表示画面101Sに表示させる画像は、静止画及び動画を含む。記憶部222は、複数の画像データを記憶する。記憶部222は、画像の表示開始及び表示終了のタイミングを示すデータを記憶する。また、記憶部222は、表示画面101Sに表示させる第2指標の位置に関するデータを記憶する。第2指標の位置に関するデータは、例えば網膜の視野に対応させて記憶されてもよい。また、記憶部222は、第2指標を認識できたか否かについての演算部220の判断結果を、第2指標の位置ごとに対応して記憶する。
【0040】
記憶部222は、画像を表示する表示画面を観察する被験者の注視点の位置を検出する処理と、表示画面に表示又は配置される第1指標に対応する領域に特定領域を設定する処理と、注視点の位置の検出結果に基づいて注視点が特定領域に存在するか否かを判定する処理と、判定部において注視点が特定領域に存在すると判定された場合に、表示画面において第1指標とは異なる位置に第2指標を表示させる処理と、被験者が第2指標を認識したか否かを判断する処理と、検出部の検出結果に基づいて、被験者の視機能を評価する処理とをコンピュータに実行させる評価プログラムを記憶する。
【0041】
出力制御部226は、表示装置101及び出力装置50の少なくとも一方にデータを出力する。
【0042】
次に、本実施形態に係る曲率中心算出部212の処理の概要について説明する。曲率中心算出部212は、眼球111の画像データに基づいて、眼球111の角膜曲率中心の位置データを算出する。
図4及び
図5は、本実施形態に係る角膜曲率中心110の位置データの算出方法を説明するための模式図である。
図4は、1つの光源103Cで眼球111が照明される例を示す。
図5は、第1光源103A及び第2光源103Bで眼球111が照明される例を示す。
【0043】
まず、
図4に示す例について説明する。光源103Cは、第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの間に配置される。瞳孔中心112Cは、瞳孔112の中心である。角膜反射中心113Cは、角膜反射像113の中心である。
図4において、瞳孔中心112Cは、眼球111が1つの光源103Cで照明されたときの瞳孔中心を示す。角膜反射中心113Cは、眼球111が1つの光源103Cで照明されたときの角膜反射中心を示す。角膜反射中心113Cは、光源103Cと角膜曲率中心110とを結ぶ直線上に存在する。角膜反射中心113Cは、角膜表面と角膜曲率中心110との中間点に位置付けられる。角膜曲率半径109は、角膜表面と角膜曲率中心110との距離である。角膜反射中心113Cの位置データは、ステレオカメラ装置102によって検出される。角膜曲率中心110は、光源103Cと角膜反射中心113Cとを結ぶ直線上に存在する。曲率中心算出部212は、その直線上において角膜反射中心113Cからの距離が所定値となる位置データを、角膜曲率中心110の位置データとして算出する。所定値は、一般的な角膜の曲率半径値などから事前に定められた値であり、記憶部222に記憶されている。
【0044】
次に、
図5に示す例について説明する。本実施形態においては、第1カメラ102A及び第2光源103Bと、第2カメラ102B及び第1光源103Aとは、第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの中間位置を通る直線に対して左右対称の位置に配置される。第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの中間位置に仮想光源103Vが存在するとみなすことができる。角膜反射中心121は、第2カメラ102Bで眼球111を撮影した画像における角膜反射中心を示す。角膜反射中心122は、第1カメラ102Aで眼球111を撮影した画像における角膜反射中心を示す。角膜反射中心124は、仮想光源103Vに対応する角膜反射中心を示す。角膜反射中心124の位置データは、ステレオカメラ装置102で取得された角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データに基づいて算出される。ステレオカメラ装置102は、ステレオカメラ装置102に規定される三次元ローカル座標系において角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データを検出する。ステレオカメラ装置102について、事前にステレオ較正法によるカメラ較正が実施され、ステレオカメラ装置102の三次元ローカル座標系を三次元グローバル座標系に変換する変換パラメータが算出される。その変換パラメータは、記憶部222に記憶されている。曲率中心算出部212は、ステレオカメラ装置102で取得された角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データを、変換パラメータを使って、三次元グローバル座標系における位置データに変換する。曲率中心算出部212は、三次元グローバル座標系で規定される角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データに基づいて、三次元グローバル座標系における角膜反射中心124の位置データを算出する。角膜曲率中心110は、仮想光源103Vと角膜反射中心124とを結ぶ直線123上に存在する。曲率中心算出部212は、直線123上において角膜反射中心124からの距離が所定値となる位置データを、角膜曲率中心110の位置データとして算出する。所定値は、一般的な角膜の曲率半径値などから事前に定められた値であり、記憶部222に記憶されている。
【0045】
このように、光源が2つある場合でも、光源が1つである場合の方法と同様の方法で、角膜曲率中心110が算出される。
【0046】
角膜曲率半径109は、角膜表面と角膜曲率中心110との距離である。したがって、角膜表面の位置データ及び角膜曲率中心110の位置データが算出されることにより、角膜曲率半径109が算出される。
【0047】
次に、本実施形態に係る視線検出方法の一例について説明する。
図6は、本実施形態に係るキャリブレーション処理の一例を説明するための模式図である。キャリブレーション処理では、被験者に注視させるため、目標位置130が設定される。目標位置130は、三次元グローバル座標系において規定される。本実施形態において、目標位置130は、例えば表示装置101の表示画面101Sの中央位置に設定される。なお、目標位置130は、表示画面101Sの端部位置に設定されてもよい。出力制御部226は、設定された目標位置130に目標画像を表示させる。直線131は、仮想光源103Vと角膜反射中心113Cとを結ぶ直線である。直線132は、目標位置130と瞳孔中心112Cとを結ぶ直線である。角膜曲率中心110は、直線131と直線132との交点である。曲率中心算出部212は、仮想光源103Vの位置データと、目標位置130の位置データと、瞳孔中心112Cの位置データと、角膜反射中心113Cの位置データとに基づいて、角膜曲率中心110の位置データを算出することができる。
【0048】
次に、注視点検出処理について説明する。注視点検出処理は、キャリブレーション処理の後に実施される。注視点検出部214は、眼111の画像データに基づいて、被験者の視線ベクトル及び注視点の位置データを算出する。
図7は、本実施形態に係る注視点検出処理の一例を説明するための模式図である。
図7において、注視点165は、一般的な曲率半径値を用いて算出された角膜曲率中心から求めた注視点を示す。注視点166は、キャリブレーション処理で求められた距離126を用いて算出された角膜曲率中心から求めた注視点を示す。瞳孔中心112Cは、キャリブレーション処理において算出された瞳孔中心を示し、角膜反射中心113Cは、キャリブレーション処理において算出された角膜反射中心を示す。直線173は、仮想光源103Vと角膜反射中心113Cとを結ぶ直線である。角膜曲率中心110は、一般的な曲率半径値から算出した角膜曲率中心の位置である。距離126は、キャリブレーション処理により算出した瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離である。角膜曲率中心110Hは、距離126を用いて角膜曲率中心110を補正した補正後の角膜曲率中心の位置を示す。角膜曲率中心110Hは、角膜曲率中心110が直線173上に存在すること、及び瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離が距離126であることから求められる。これにより、一般的な曲率半径値を用いる場合に算出される視線177は、視線178に補正される。また、表示装置101の表示画面101S上の注視点は、注視点165から注視点166に補正される。
【0049】
[評価方法]
次に、本実施形態に係る評価方法について説明する。本実施形態に係る評価方法では、上記の視線検出装置100を用いることにより、被験者の視機能として、緑内障等による周辺視野の欠損の有無を評価する。
【0050】
図8及び
図9は、表示画面101Sに表示させる指標の一例を示す図である。
図8に示すように、表示制御部202は、表示画面101Sの例えば中央部に、第1指標M1を表示させる。第1指標M1は、被験者に注視させるための指標である。
図8に示す第1指標M1は、例えば円形であるが、これに限定されず、他の形状であってもよい。
【0051】
また、
図8では、表示画面101Sにおいて、例えば計測後に結果表示される注視点の一例を示しているが、当該注視点Pは、実際には表示画面101Sには表示されない。以降の各図において示される注視点Pについても同様である。注視点の位置データの検出は、例えば第1カメラ102A及び第2カメラ102Bから出力されるフレーム同期信号の周期で(例えば50[msec]毎に)実施される。第1カメラ102A及び第2カメラ102Bは、同期して撮像する。
【0052】
表示画面101Sに第1指標M1が表示される場合、領域設定部216は、第1指標M1に対応する特定領域Aを設定する。例えば、
図8に示す場合、領域設定部216は、第1指標M1を囲う矩形領域に特定領域Aを設定する。なお、特定領域Aの形状については、矩形に限定されず、円形、楕円形、多角形等、他の形状であってもよい。
【0053】
表示画面101Sに第1指標M1が表示され、かつ特定領域Aが設定される場合、判定部218は、被験者の注視点Pが特定領域Aに存在するか否かをそれぞれ判定し、判定データを出力する。
図8に示す場合、注視点Pが特定領域Aの外側に存在するため、判定部218は、注視点Pが特定領域Aに存在しない旨の判定データを出力する。
【0054】
一方、例えば
図9に示すように、注視点Pが移動して特定領域Aの内側に入った場合等のように、注視点Pが特定領域Aに存在する場合、判定部218は、注視点Pが特定領域Aに存在する旨の判定データを出力する。
【0055】
注視点Pが特定領域Aに存在する旨の判定データが判定部218から出力された場合、表示制御部202は、
図9に示すように、表示画面101Sのうち第1指標M1とは異なる位置に第2指標M2を表示させる。また、被験者の注視点Pが特定領域Aに存在しない旨の判定データが判定部218から出力された場合、表示制御部202は、第2指標M2を非表示にする。このように、被験者が確実に第1指標M1を注視している場合にのみ第2指標M2を表示することにより、確実性が高い評価を行うことが可能となる。
【0056】
本実施形態では、表示画面101Sに表示される第1指標M1を被験者に注視させ、その状態のまま第1指標M1とは異なる位置に第2指標M2を表示し、被験者が周辺視野により第2指標M2を認識できたか否かを判断することにより、被験者の視機能として、周辺視野の欠損の有無を評価する。
【0057】
図10は、本実施形態に係る評価方法の原理を模式的に示す図である。
図10に示すように、被験者の注視点Pが第1指標M1に存在する場合、第1指標M1の像が映るのは網膜114の視野中心115である。このとき、第2指標M2の像が映るのは、網膜114の周辺視野116である。つまり、被験者は、第2指標M2を周辺視野116で見ていることになる。したがって、第1指標M1を注視した状態で第2指標M2を認識できない被験者は、網膜114の周辺視野116に欠損があると評価することができる。
【0058】
例えば、被験者が第1指標M1を注視した状態で第2指標M2を認識できた場合には、被験者に被験者入力部70のボタンを押してもらうようにする。これにより、演算部220は、被験者入力部70からの入力信号を検出した場合、被験者が第2指標M2を認識できたと判断する。また、演算部220は、被験者入力部70からの入力信号を検出しない場合、被験者が第2指標M2を認識できなかったと判断する。
【0059】
このような検査を、第2指標M2の表示位置を変えて複数回行う。
図11から
図14は、表示画面101Sに第2指標M2の位置を変えて表示させる場合の例を示す図である。上記の
図9では第1指標M1の右下に第2指標M2を表示させたが、
図11では、第2指標M2を第1指標M1の右上に表示させている。また、
図12では、第2指標M2を第1指標M1の左上に表示させている。また、
図13では、第2指標M2を第1指標M1の左下に表示させている。なお、
図11から
図13に示す第2指標M2の位置は一例であり、他の位置に表示してもよい。
【0060】
このように、第2指標M2の位置を変えて表示させ、被験者に第2指標M2を認識できるか否かを確認してもらうことで、網膜114の周辺視野116における欠損の有無を効率的に評価することができる。
【0061】
このとき、例えば被験者が第2指標M2を視野中心で認識しようとして、注視点Pを第2指標M2の方向に移動させる場合が想定される。また、被験者が第2指標M2を認識できない場合に視野の位置を変えて認識しようとして注視点Pを移動させる場合も考えられる。このように被験者が注視点Pを移動させると、正確な評価を行うことが困難となる。
【0062】
そこで、判定部218は、第2指標M2が表示された後も継続して被験者の注視点Pが特定領域Aに存在するか否かを判定する。そして、
図14に示すように、例えば第2指標M2の表示が行われた後、被験者の注視点Pが特定領域Aに存在しないと判定した場合、表示制御部202は、第2指標M2を非表示にする。このように、被験者が確実に第1指標M1を注視している場合にのみ第2指標M2を表示することにより、確実性が高い評価を行うことが可能となる。
【0063】
なお、表示制御部202は、第1指標M1を表示画面101Sの中央部に表示させる場合に限定されず、他の位置に表示させてもよい。
図15は、表示画面101Sに指標を表示させる場合の他の例を示す図である。
図15に示すように、表示制御部202は、例えば第1指標M1を表示画面101Sの端部(図では左端)に寄せて表示させてもよい。このように第1指標M1を表示画面101Sの端部に寄せて表示させることにより、中央部に表示させる場合に比べて、表示画面101Sにおいて第1指標M1の右側の領域を広く確保することができる。このため、例えば第2指標M2を表示画面101Sの反対側の端(図では右端)に表示させることで、網膜114の周辺視野116に欠損があるか否かを広い範囲で評価することができる。表示制御部202は、表示画面101Sのどの位置に第1指標M1を表示させてもよい。
【0064】
図16は、被験者が第2指標M2を認識できたか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。
図16に示すように、注視点検出部214は、被験者の注視点Pを検出する(ステップS101)。被験者の注視点Pが検出された後、表示制御部202は、表示画面101Sに第1指標M1を表示する(ステップS102)。ステップS102において、表示制御部202は、表示画面101Sのどの位置に第1指標M1を表示させてもよい。また、領域設定部216は、表示画面101Sに第1指標M1が表示された場合、第1指標M1に応じた特定領域Aを設定する。
【0065】
表示画面101Sに第1指標M1が表示された場合、演算部220は、タイマの計測時間をリセットする(ステップS103)。その後、注視点検出部214は、被験者の注視点Pを取得する(ステップS104)。そして、判定部218は、取得した被験者の注視点Pが特定領域Aに存在するか否かを判定する(ステップS105)。
【0066】
判定部218により注視点Pが特定領域Aに存在すると判定された場合(ステップS105のYes)、表示制御部202は、表示画面101Sのうち第1指標M1とは異なる位置に第2指標M2を表示させる(ステップS106)。また、判定部218により被験者の注視点Pが特定領域Aに存在しないと判定された場合(ステップS105のNo)、表示制御部202は、第2指標M2を非表示にする(ステップS107)。
【0067】
演算部220は、被験者入力部70からの入力信号の確認を開始する(ステップS108)。その後、演算部220は、タイマの計測時間が所定時間を経過しているか否かを判定する(ステップS109)。演算部220は、所定時間を経過していないと判定した場合(ステップS109のNo)、ステップS104に戻って処理を行わせる。
【0068】
また、演算部220は、所定時間を経過していると判定した場合(ステップS109のYes)、被験者が第2指標M2を認識したか否かを判断する(ステップS110)。ステップS110の判断は、被験者入力部70からの入力信号の有無に基づいて行う。例えば、被験者入力部70からの入力信号が検出された場合、被験者が第2指標M2を認識したと判断する。また、被験者入力部70からの入力信号が検出されなかった場合、被験者が第2指標M2を認識しなかったと判断する。
【0069】
演算部220は、被験者が第2指標M2を認識したと判断した場合(ステップS110のYes)、検査結果が正常である旨を出力する。一方、演算部220は、被験者が第2指標M2を認識しなかったと判断した場合(ステップS110のNo)、検査結果が異常である旨を出力する。
【0070】
図17は、本実施形態に係る評価方法の一例を示すフローチャートである。
図17に示す例では、
図9、
図11、
図12及び
図13に示す4つの位置に第2指標M2を表示させた場合について説明する。以下、
図9に示す第2指標M2の位置を第1位置、
図11に示す第2指標M2の位置を第2位置、
図12に示す第2指標M2の位置を第3位置、
図13に示す第2指標M2の位置を第4位置として説明する。
【0071】
図17に示すように、まず、第2指標M2を第1位置に示す場合について、
図16に示す処理を行うことで、被験者が第2指標M2を認識できたか否かの検査を行う(ステップS201)。その後、評価部224は、演算部220から出力された検査結果が正常であるか否かの判定を行う(ステップS202)。
【0072】
評価部224は、演算部220からの出力結果が正常である場合(ステップS202のYes)、次のステップに移る。評価部224は、演算部220からの出力結果が異常である場合(ステップS202のNo)、第1位置に視野欠損があると判断して、判断結果を記憶部222に記憶し(ステップS203)、次のステップに移る。
【0073】
ステップS202又はステップS203の後、第2指標M2を第2位置に示す場合について、
図16に示す処理を行うことで、被験者が第2指標M2を認識できたか否かの検査を行う(ステップS204)。その後、評価部224は、演算部220から出力された検査結果が正常であるか否かの判定を行う(ステップS205)。
【0074】
評価部224は、演算部220からの出力結果が正常である場合(ステップS205のYes)、次のステップに移る。評価部224は、演算部220からの出力結果が異常である場合(ステップS205のNo)、第2位置に視野欠損があると判断して、判断結果を記憶部222に記憶し(ステップS206)、次のステップに移る。
【0075】
ステップS205又はステップS206の後、第2指標M2を第3位置に示す場合について、
図16に示す処理を行うことで、被験者が第2指標M2を認識できたか否かの検査を行う(ステップS207)。その後、評価部224は、演算部220から出力された検査結果が正常であるか否かの判定を行う(ステップS208)。
【0076】
評価部224は、演算部220からの出力結果が正常である場合(ステップS208のYes)、次のステップに移る。評価部224は、演算部220からの出力結果が異常である場合(ステップS208のNo)、第3位置に視野欠損があると判断して、判断結果を記憶部222に記憶し(ステップS209)、次のステップに移る。
【0077】
ステップS208又はステップS209の後、第2指標M2を第4位置に示す場合について、
図16に示す処理を行うことで、被験者が第2指標M2を認識できたか否かの検査を行う(ステップS210)。その後、評価部224は、演算部220から出力された検査結果が正常であるか否かの判定を行う(ステップS211)。
【0078】
評価部224は、演算部220からの出力結果が正常である場合(ステップS211のYes)、次のステップに移る。評価部224は、演算部220からの出力結果が異常である場合(ステップS211のNo)、第4位置に視野欠損があると判断して、判断結果を記憶部222に記憶し(ステップS212)、次のステップに移る。
【0079】
ステップS211又はステップS212の後、評価部224は、検査結果が全て正常か否かの判定を行う(ステップS213)。評価部224は、検査結果が全て正常であると判定した場合(ステップS213のYes)、視野欠損が無かった旨の評価を行う(ステップS214)。また、検査結果の少なくとも1つが異常であると判定した場合(ステップS213のNo)、被験者には視野欠損があった旨の評価を行う(ステップS215)。ステップS215において、評価部224は、記憶部222に記憶された内容に基づいて、どの位置に視野欠損があったかを併せて評価してもよい。
【0080】
以上のように、本実施形態に係る視線検出装置100は、画像を表示する表示画面101Sと、表示画面101Sを観察する被験者の注視点Pの位置を検出する注視点検出部214と、表示画面101Sに表示される第1指標M1に対応する領域に特定領域Aを設定する領域設定部216と、注視点Pの位置の検出結果に基づいて注視点Pが特定領域Aに存在するか否かを判定する判定部218と、判定部218において注視点Pが特定領域Aに存在すると判定された場合に、表示画面101Sにおいて第1指標M1とは異なる位置に第2指標M2を表示させる表示制御部202と、被験者が第2指標M2を認識したか否かを判断する演算部220と、演算部220の判断結果に基づいて、被験者の視機能を評価する評価部224とを備える。
【0081】
本実施形態に係る評価方法は、画像を表示する表示画面101Sを観察する被験者の注視点Pの位置を検出することと、表示画面101Sに表示される第1指標M1に対応する領域に特定領域Aを設定することと、注視点Pの位置の検出結果に基づいて注視点Pが特定領域Aに存在するか否かを判定することと、判定部218において注視点Pが特定領域Aに存在すると判定された場合に、表示画面101Sにおいて第1指標M1とは異なる位置に第2指標M2を表示させることと、被験者が第2指標M2を認識したか否かを判断することと、演算部220の判断結果に基づいて、被験者の視機能を評価することとを含む。
【0082】
本実施形態に係る評価プログラムは、画像を表示する表示画面101Sを観察する被験者の注視点Pの位置を検出する処理と、表示画面101Sに表示される第1指標M1に対応する領域に特定領域Aを設定する処理と、注視点Pの位置の検出結果に基づいて注視点Pが特定領域Aに存在するか否かを判定する処理と、判定部218において注視点Pが特定領域Aに存在すると判定された場合に、表示画面101Sにおいて第1指標M1とは異なる位置に第2指標M2を表示させる処理と、被験者が第2指標M2を認識したか否かを判断することと、演算部220の判断結果に基づいて、被験者の視機能を評価する処理とをコンピュータに実行させる。
【0083】
これらの構成によれば、判定部218において注視点Pが特定領域Aに存在すると判定された場合に、表示画面101Sにおいて第1指標M1とは異なる位置に第2指標M2が表示されるため、被験者が確実に第1指標M1を注視している場合にのみ第2指標M2を表示することができる。これにより、精度が高い評価を行うことが可能となる。
【0084】
また、本実施形態に係る視線検出装置100において、表示制御部202は、第2指標M2が表示画面101Sに表示された後、判定部218において注視点Pが特定領域Aに存在しないと判定された場合には、第2指標M2を非表示とする。これにより、被験者が確実に第1指標M1を注視している場合にのみ第2指標M2を表示することにより、確実性が高い評価を行うことが可能となる。
【0085】
また、本実施形態に係る視線検出装置100は、被験者の第2指標M2の認識状態が入力される被験者入力部70を更に備え、演算部220は、被験者入力部70における入力結果に基づいて被験者が第2指標M2を認識したか否かを判断する。これにより、精度が高い評価を容易に行うことが可能となる。
【0086】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、表示画面101Sに第1指標M1を表示させる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第1指標M1は、表示画面101Sの所定位置に配置させておいてもよい。
【0087】
また、上記実施形態において、表示制御部202は、第2指標M2が表示画面101Sに表示された後、判定部218において注視点Pが特定領域Aに存在しないと判定された場合には、第2指標M2を非表示としたが、これに限定されない。例えば、評価部224は、表示画面101Sに第2指標M2が表示された後、判定部218において注視点Pが特定領域Aに存在しないと判定された場合には、第2指標M2を表示させたままとし、視機能の評価を無効としてもよい。これにより、確実性が高い評価を行うことが可能となる。なお、表示画面101Sに第2指標M2が表示された後、判定部218において注視点Pが特定領域Aに存在しないと判定された場合、例えば表示制御部202は、被験者に注意を喚起するための表示を行ってもよい。また、例えば音声、振動、光信号等を出力する出力装置が設けられる場合、出力制御部226は、被験者に注意を喚起するための上記の表示に加えて又は上記の表示に代えて、音声、振動、光信号等を出力装置から出力させてもよい。
【符号の説明】
【0088】
A…特定領域、M1…第1指標、M2…第2指標、P…注視点、20…コンピュータシステム、30…入出力インターフェース装置、70…被験者入力部、100…視線検出装置、101…表示装置、101S…表示画面、111…眼球、114…網膜、115…視野中心、116…周辺視野、202…表示制御部、214…注視点検出部、216…領域設定部、218…判定部、220…演算部、222…記憶部、224…評価部