(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】アウトリガ装置
(51)【国際特許分類】
B60S 9/12 20060101AFI20220107BHJP
B66C 23/78 20060101ALI20220107BHJP
B66C 23/80 20060101ALI20220107BHJP
B66F 11/04 20060101ALI20220107BHJP
B60F 1/04 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B60S9/12
B66C23/78 E
B66C23/78 C
B66C23/80
B66F11/04
B60F1/04
(21)【出願番号】P 2018051937
(22)【出願日】2018-03-20
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津山 暢之
(72)【発明者】
【氏名】坂田 浩司
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-113478(JP,A)
【文献】登録実用新案第3066977(JP,U)
【文献】実開平07-028186(JP,U)
【文献】米国特許第04273244(US,A)
【文献】実開平02-129385(JP,U)
【文献】特開平08-142811(JP,A)
【文献】実開平02-080057(JP,U)
【文献】実開昭61-038260(JP,U)
【文献】特開2013-220860(JP,A)
【文献】実開昭58-061662(JP,U)
【文献】実開平06-039879(JP,U)
【文献】実開平03-121045(JP,U)
【文献】実開平06-045879(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 9/00 - 13/00
B66C 23/78
B66C 23/80
B66F 9/00 - 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アウトリガジャッキと、
前記第1アウトリガジャッキが先端部に設けられた第1アウトリガ内箱と、
第2アウトリガジャッキと、
前記第2アウトリガジャッキが先端部に設けられた第2アウトリガ内箱と、
第1開口端部と第2開口端部とを有する筒形の第1アウトリガ外箱と、
第3開口端部と第4開口端部とを有する筒形の第2アウトリガ外箱と、を備え、
前記第1アウトリガ外箱と前記第2アウトリガ外箱とは、それらの中心軸が水平面内で平行となるように並んで配置されており、
前記第1開口端部と前記第3開口端部とは、前記第1アウトリガ外箱および前記第2アウトリガ外箱の軸方向において同位置に配置されており、
前記第2開口端部と前記第4開口端部とは、前記第1アウトリガ外箱および前記第2アウトリガ外箱の軸方向において同位置に配置されており、
前記第1アウトリガ内箱は前記第1開口端部および前記第3開口端部のいずれか一方から、前記第1アウトリガ外箱および前記第2アウトリガ外箱のいずれか一方に選択的に挿入され、
前記第2アウトリガ内箱は前記第2開口端部および前記第4開口端部のいずれか一方から、前記第1アウトリガ外箱および前記第2アウトリガ外箱のうち前記第1アウトリガ内箱が挿入されていない方に挿入される
ことを特徴とするアウトリガ装置。
【請求項2】
前記第1開口端部、前記第2開口端部、前記第3開口端部、および前記第4開口端部は、それぞれ、天板が底板よりも外側に突出しており、その突出幅は前記第1アウトリガジャッキまたは前記第2アウトリガジャッキの幅と同一または長い
ことを特徴とする請求項1記載のアウトリガ装置。
【請求項3】
前記第1開口端部および前記第3開口端部の外周に設けられた第1補強枠と、
前記第2開口端部および前記第4開口端部の外周に設けられた第2補強枠と、を備える
ことを特徴とする請求項1または2記載のアウトリガ装置。
【請求項4】
前記第1アウトリガ外箱と前記第2アウトリガ外箱とは、それらの共通の側板を構成する隔壁板を介して接続されている
ことを特徴とする請求項1、2または3記載のアウトリガ装置。
【請求項5】
前記隔壁板の両端部には補強板が設けられている
ことを特徴とする請求項4記載のアウトリガ装置。
【請求項6】
前記第1アウトリガ内箱の前記隔壁板と対向する部分に取り付けられ、前記第1アウトリガ内箱と前記隔壁板との間に前記補強板の厚みよりも大きい隙間を確保する第1スペーサと、
前記第2アウトリガ内箱の前記隔壁板と対向する部分に取り付けられ、前記第2アウトリガ内箱と前記隔壁板との間に前記補強板の厚みよりも大きい隙間を確保する第2スペーサと、を備える
ことを特徴とする請求項5記載のアウトリガ装置。
【請求項7】
前記第1アウトリガ外箱または前記第2アウトリガ外箱に対する前記第1アウトリガ内箱のスライドを停止する第1ロック装置と、
前記第1アウトリガ外箱または前記第2アウトリガ外箱に対する前記第2アウトリガ内箱のスライドを停止する第2ロック装置と、を備え、
前記第1開口端部および前記第3開口端部のいずれも、前記第1ロック装置が取り付けられる第1ロック装置取付部を有し、
前記第2開口端部および前記第4開口端部のいずれも、前記第2ロック装置が取り付けられる第2ロック装置取付部を有する
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載のアウトリガ装置。
【請求項8】
前記第1アウトリガ内箱にピストンロッドまたはシリンダボディが連結された第1スライドシリンダと、
前記第1スライドシリンダの前記シリンダボディまたは前記ピストンロッドが連結された第1連結部材と、
前記第2アウトリガ内箱にピストンロッドまたはシリンダボディが連結された第2スライドシリンダと、
前記第2スライドシリンダの前記シリンダボディまたは前記ピストンロッドが連結された第2連結部材と、を備え、
前記第2開口端部および前記第4開口端部のいずれも、前記第1連結部材が取り付けられる第1連結部材取付部を有し、
前記第1開口端部および前記第3開口端部のいずれも、前記第2連結部材が取り付けられる第2連結部材取付部を有する
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載のアウトリガ装置。
【請求項9】
前記第2開口端部および前記第4開口端部のいずれか一方に選択的に取り付けられ、前記第2開口端部または前記第4開口端部の開口を閉塞する第1カバーと、
前記第1開口端部および前記第3開口端部のいずれか一方に選択的に取り付けられ、前記第1開口端部または前記第3開口端部の開口を閉塞する第2カバーと、を備える
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載のアウトリガ装置。
【請求項10】
前記第2開口端部および前記第4開口端部のいずれにも、前記第1アウトリガジャッキに作動油を供給する配管を通す第1配管孔が形成されており、
前記第1開口端部および前記第3開口端部のいずれにも、前記第2アウトリガジャッキに作動油を供給する配管を通す第2配管孔が形成されている
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載のアウトリガ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウトリガ装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、作業車に搭載されるアウトリガ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動式クレーンの一種として積載型クレーンがある。積載型クレーンは汎用トラックの車両フレームに小型クレーンを積載したものである。小型クレーンにはアウトリガ装置が搭載されている。
【0003】
汎用トラックの車両フレームには、バッテリー、エアタンク、燃料タンクなどの車両機器が取り付けられている。小型クレーンのアウトリガ装置を格納すると、アウトリガジャッキが車両機器と干渉する場合がある。これを避けるために、車両機器をアウトリガジャッキと干渉しない位置に移設することが行われる。しかし、車両機器の移設作業には手間がかかるという問題がある。アウトリガジャッキと車両機器との干渉を避けるために、小型クレーンの架装位置を変更することもある。しかし、小型クレーンの架装位置を後方にずらすと、荷台スペースが狭くなるという問題がある。
【0004】
この問題を解決するためのアウトリガ構造として、ロングジャッキおよび回転格納式ジャッキ(例えば、特許文献1)が知られている。これらのアウトリガ構造であればアウトリガジャッキが車両機器の上方に格納されるため、車両機器の移設作業も小型クレーンの架装位置の変更も不要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ロングジャッキおよび回転格納式ジャッキは標準ジャッキに比べて部品点数が多く、重量が重く、製造コストが高い。また、作業員がアウトリガ装置を張出、格納する際の手順が増え、作業に時間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、より簡易な構成で車両機器との干渉を回避できるアウトリガ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明のアウトリガ装置は、第1アウトリガジャッキと、前記第1アウトリガジャッキが先端部に設けられた第1アウトリガ内箱と、第2アウトリガジャッキと、前記第2アウトリガジャッキが先端部に設けられた第2アウトリガ内箱と、第1開口端部と第2開口端部とを有する筒形の第1アウトリガ外箱と、第3開口端部と第4開口端部とを有する筒形の第2アウトリガ外箱と、を備え、前記第1アウトリガ外箱と前記第2アウトリガ外箱とは、それらの中心軸が水平面内で平行となるように並んで配置されており、前記第1開口端部と前記第3開口端部とは、前記第1アウトリガ外箱および前記第2アウトリガ外箱の軸方向において同位置に配置されており、前記第2開口端部と前記第4開口端部とは、前記第1アウトリガ外箱および前記第2アウトリガ外箱の軸方向において同位置に配置されており、前記第1アウトリガ内箱は前記第1開口端部および前記第3開口端部のいずれか一方から、前記第1アウトリガ外箱および前記第2アウトリガ外箱のいずれか一方に選択的に挿入され、前記第2アウトリガ内箱は前記第2開口端部および前記第4開口端部のいずれか一方から、前記第1アウトリガ外箱および前記第2アウトリガ外箱のうち前記第1アウトリガ内箱が挿入されていない方に挿入されることを特徴とする。
第2発明のアウトリガ装置は、第1発明において、前記第1開口端部、前記第2開口端部、前記第3開口端部、および前記第4開口端部は、それぞれ、天板が底板よりも外側に突出しており、その突出幅は前記第1アウトリガジャッキまたは前記第2アウトリガジャッキの幅と同一または長いことを特徴とする。
第3発明のアウトリガ装置は、第1または第2発明において、前記第1開口端部および前記第3開口端部の外周に設けられた第1補強枠と、前記第2開口端部および前記第4開口端部の外周に設けられた第2補強枠と、を備えることを特徴とする。
第4発明のアウトリガ装置は、第1、第2または第3発明において、前記第1アウトリガ外箱と前記第2アウトリガ外箱とは、それらの共通の側板を構成する隔壁板を介して接続されていることを特徴とする。
第5発明のアウトリガ装置は、第4発明において、前記隔壁板の両端部には補強板が設けられていることを特徴とする。
第6発明のアウトリガ装置は、第5発明において、前記第1アウトリガ内箱の前記隔壁板と対向する部分に取り付けられ、前記第1アウトリガ内箱と前記隔壁板との間に前記補強板の厚みよりも大きい隙間を確保する第1スペーサと、前記第2アウトリガ内箱の前記隔壁板と対向する部分に取り付けられ、前記第2アウトリガ内箱と前記隔壁板との間に前記補強板の厚みよりも大きい隙間を確保する第2スペーサと、を備えることを特徴とする。
第7発明のアウトリガ装置は、第1、第2、第3、第4、第5または第6発明において、前記第1アウトリガ外箱または前記第2アウトリガ外箱に対する前記第1アウトリガ内箱のスライドを停止する第1ロック装置と、前記第1アウトリガ外箱または前記第2アウトリガ外箱に対する前記第2アウトリガ内箱のスライドを停止する第2ロック装置と、を備え、前記第1開口端部および前記第3開口端部のいずれも、前記第1ロック装置が取り付けられる第1ロック装置取付部を有し、前記第2開口端部および前記第4開口端部のいずれも、前記第2ロック装置が取り付けられる第2ロック装置取付部を有することを特徴とする。
第8発明のアウトリガ装置は、第1、第2、第3、第4、第5、第6または第7発明において、前記第1アウトリガ内箱にピストンロッドまたはシリンダボディが連結された第1スライドシリンダと、前記第1スライドシリンダの前記シリンダボディまたは前記ピストンロッドが連結された第1連結部材と、前記第2アウトリガ内箱にピストンロッドまたはシリンダボディが連結された第2スライドシリンダと、前記第2スライドシリンダの前記シリンダボディまたは前記ピストンロッドが連結された第2連結部材と、を備え、前記第2開口端部および前記第4開口端部のいずれも、前記第1連結部材が取り付けられる第1連結部材取付部を有し、前記第1開口端部および前記第3開口端部のいずれも、前記第2連結部材が取り付けられる第2連結部材取付部を有することを特徴とする。
第9発明のアウトリガ装置は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8発明において、前記第2開口端部および前記第4開口端部のいずれか一方に選択的に取り付けられ、前記第2開口端部または前記第4開口端部の開口を閉塞する第1カバーと、前記第1開口端部および前記第3開口端部のいずれか一方に選択的に取り付けられ、前記第1開口端部または前記第3開口端部の開口を閉塞する第2カバーと、を備えることを特徴とする。
第10発明のアウトリガ装置は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8または第9発明において、前記第2開口端部および前記第4開口端部のいずれにも、前記第1アウトリガジャッキに作動油を供給する配管を通す第1配管孔が形成されており、前記第1開口端部および前記第3開口端部のいずれにも、前記第2アウトリガジャッキに作動油を供給する配管を通す第2配管孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、アウトリガ内箱を挿入するアウトリガ外箱を選択することでアウトリガジャッキの前後位置を変更でき、アウトリガジャッキと車両機器との干渉を回避できる。
第2発明によれば、アウトリガ内箱をいずれのアウトリガ外箱に挿入したとしても、アウトリガジャッキをアウトリガ外箱の先端より内側に引き込むことができる。
第3発明によれば、アウトリガ内箱をいずれのアウトリガ外箱に挿入したとしても、アウトリガ内箱から作用する力に対して開口端部に必要な強度を維持できる。
第4発明によれば、第1アウトリガ外箱および第2アウトリガ外箱の側板が共通の隔壁板で構成されているので、アウトリガ装置を軽量化できる。
第5発明によれば、隔壁板が補強されているので、アウトリガ内箱から作用する力に対して隔壁板に必要な強度を維持できる。
第6発明によれば、アウトリガ内箱と隔壁板との間に隙間が確保されるので、アウトリガ内箱を引き込む際に、アウトリガ内箱の基端部が補強板に引っ掛かることを防止できる。
第7発明によれば、ロック装置をアウトリガ内箱が挿入された方のアウトリガ外箱に取り付けることができる。
第8発明によれば、連結部材をアウトリガ内箱が挿入された方のアウトリガ外箱に取り付けることができる。
第9発明によれば、アウトリガ外箱の開口のうちアウトリガ内箱が挿入されていない方を閉塞できるので、作業員にとって安全である。
第10発明によれば、作動油をアウトリガ内箱が挿入された方のアウトリガ外箱の内部に引き込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るアウトリガ装置の正面図である。
【
図4】
図1のアウトリガ装置において、アウトリガ内箱の挿入先を変更した場合の平面図である。
【
図6】
図1におけるVI-VI線矢視端面図である。ただし、アウトリガ内箱は省略している。
【
図7】
図2におけるVII-VII線矢視断面図である。ただし、アウトリガ内箱は省略している。
【
図10】
図1のアウトリガ装置の一部破断平面図である。
【
図12】第1開口端部近傍の一部破断拡大正面図である。
【
図13】第2開口端部近傍の一部破断拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の一実施形態に係るアウトリガ装置は作業車に搭載される。作業車としてはアウトリガ装置が必要なものであれば特に限定されないが、移動式クレーン、高所作業車、軌陸車などが挙げられる。移動式クレーンとしてはオールテレーンクレーン、ラフテレーンクレーン、トラッククレーン、積載型クレーンなどが挙げられる。以下、積載型クレーンの場合を例に説明する。
【0012】
(積載型クレーン)
図14に示すように、積載型クレーンCRは、汎用トラック110の運転室111と荷台112との間の車両フレーム113に小型クレーン120が積載されたものである。
【0013】
小型クレーン120は、車両フレーム113上に固定されたベース121と、ベース121に対して旋回可能に設けられたポスト122と、ポスト122の上端部に起伏可能に設けられたブーム123とを備えている。
【0014】
ポスト122にはウインチが内蔵されている。このウインチから延ばしたワイヤロープをブーム123の先端部に導いて、滑車を介してフック124に掛け回すことにより、フック124をブーム123の先端部から吊り下げている。
【0015】
ブーム123の伸縮、起伏、旋回と、フック124の巻上げ、巻下げとを組み合わせることで、フック124に吊り下げられた吊荷を立体空間内で移動できる。
【0016】
小型クレーン120は油圧回路により油圧駆動される。この油圧回路を操作するためのレバー群125がベース121の左右両側に設けられている。作業員はレバー群125を用いて小型クレーン120を操作できる。
【0017】
油圧回路を電気的に制御する制御装置126が一方のレバー群125の近くに設けられている。制御装置126は遠隔操作端末127と双方向に無線通信または有線通信可能となっている。遠隔操作端末127には各種のスイッチ、レバーなどの入力部と、液晶パネルなどの表示器とが搭載されている。作業員が遠隔操作端末127の入力部を操作すると、遠隔操作端末127は制御装置126に操作信号を発する。制御装置126はその操作信号に基づいて油圧回路を制御して小型クレーン120を動作させる。このようにして、作業員は遠隔操作端末127を用いて小型クレーン120を遠隔操作できる。
【0018】
小型クレーン120はアウトリガ装置1を備えている。アウトリガ装置1も前記油圧回路により油圧駆動される。クレーン作業開始前にアウトリガ装置1を張り出すことで、クレーン作業中の積載型クレーンCRの安定が確保される。積載型クレーンCRを移動させる場合には、アウトリガ装置1を格納する。
【0019】
汎用トラック110の車両フレーム113にはバッテリー、エアタンク、燃料タンクなどの車両機器114が取り付けられている。アウトリガ装置1を格納した際には、ジャッキシリンダが車両機器114と干渉しないことが求められる。
【0020】
(アウトリガ装置)
つぎに、本実施形態のアウトリガ装置1を説明する。
(1)基本構成
図1および
図2に示すように、アウトリガ装置1は第1アウトリガジャッキ10Aと、第1アウトリガジャッキ10Aが先端部に設けられた第1アウトリガ内箱20Aとを備えている。また、アウトリガ装置1は第2アウトリガジャッキ10Bと、第2アウトリガジャッキ10Bが先端部に設けられた第2アウトリガ内箱20Bとを備えている。
【0021】
第1アウトリガジャッキ10Aは油圧シリンダで構成される。第1アウトリガジャッキ10Aは「標準ジャッキ」と称されるタイプのものである。「標準ジャッキ」とは、アウトリガ装置1を格納した状態においても、張り出した状態においても、第1アウトリガジャッキ10Aの全体が第1アウトリガ内箱20Aの天板21の上面より下方に配置される構成のものを意味する。
【0022】
第1アウトリガ内箱20Aは断面が略矩形の梁部材である。第1アウトリガ内箱20Aの両端部のうち第1アウトリガジャッキ10Aが設けられた方を先端部と称し、他方を基端部と称する。
【0023】
第2アウトリガジャッキ10Bは基本的に第1アウトリガジャッキ10Aと同一構成の部材である。また、第2アウトリガ内箱20Bは基本的に第1アウトリガ内箱20Aと同一構成の部材である。すなわち、第2アウトリガジャッキ10Bは油圧シリンダで構成され、「標準ジャッキ」と称されるタイプのものである。また、第2アウトリガ内箱20Bは断面が略矩形の梁部材である。
【0024】
第1アウトリガジャッキ10Aと第1アウトリガ内箱20Aとからなる第1部材と、第2アウトリガジャッキ10Bと第2アウトリガ内箱20Bとからなる第2部材とは、基本的に同一構成の部材であり、それらを区別して使用する必要はない。「第1」、「第2」は説明の便宜のために付した番号である。第1部材と第2部材とを互いに置き換えて使用してもよい。
【0025】
アウトリガ装置1は第1アウトリガ外箱30Aと、第2アウトリガ外箱30Bとを備えている。第1アウトリガ外箱30Aは断面が略矩形の筒形の部材であり、両端が開口している。以下、説明の便宜のため、第1アウトリガ外箱30Aの一方の端部を第1開口端部31と称し、他方の端部を第2開口端部32と称する。
【0026】
第2アウトリガ外箱30Bは断面が略矩形の筒形の部材であり、両端が開口している。以下、説明の便宜のため、第2アウトリガ外箱30Bの一方の端部を第3開口端部33と称し、他方の端部を第4開口端部34と称する。
【0027】
なお、「開口端部」との用語は、アウトリガ外箱30A、30Bの開口を含み、アウトリガ外箱30A、30Bの開口端から中央に向かって所定領域の部分を意味する。
【0028】
第1アウトリガ外箱30Aおよび第2アウトリガ外箱30Bは、それぞれ略水平に配置されている。また、第1アウトリガ外箱30Aと第2アウトリガ外箱30Bとは、それらの中心軸が水平面内で平行となるように並んで配置されている。アウトリガ装置1を作業車に搭載した状態では、第1アウトリガ外箱30Aと第2アウトリガ外箱30Bとは作業車を基準として前後に並んで配置される。なお、第1アウトリガ外箱30Aが前側に配置され、第2アウトリガ外箱30Bが後側に配置される。
【0029】
第1アウトリガ外箱30Aと第2アウトリガ外箱30Bとは同一の長さを有しており、両端が揃うように配置されている。そして、第1開口端部31と第3開口端部33とは第1アウトリガ外箱30Aおよび第2アウトリガ外箱30Bの軸方向(
図2における左右方向)において同位置に配置されている。また、第2開口端部32と第4開口端部34とは第1アウトリガ外箱30Aおよび第2アウトリガ外箱30Bの軸方向(
図2における左右方向)において同位置に配置されている。アウトリガ装置1を作業車に搭載した状態では、第1開口端部31と第3開口端部33とは作業車の左側に配置され、第2開口端部32と第4開口端部34とは作業車の右側に配置される。
【0030】
第1アウトリガ外箱30Aおよび第2アウトリガ外箱30Bの中央部には小型クレーン120のベース121が設けられている。なお、ベース121は第2アウトリガ外箱30B側に偏心して設けられている。
【0031】
(2)隔壁板
図6に示すように、第1アウトリガ外箱30Aおよび第2アウトリガ外箱30Bは第1板材41と第2板材42と隔壁板43とから形成されている。第1板材41は断面がC字形となるように屈曲した板材である。第1板材41は第1アウトリガ外箱30Aの天板35、底板36、および前側(
図6における左側)の側板37を構成する。第2板材42は断面が逆C字形となるように屈曲した板材である。第2板材42は第2アウトリガ外箱30Bの天板35、底板36、および後側(
図6における右側)の側板37を構成する。
【0032】
第1板材41と第2板材42とはそれらの開口部を対向させ、それらの間に隔壁板43を挟んで配置されている。そして、第1板材41の上下縁と隔壁板43の上下縁とがそれぞれ溶接され、第2板材42の上下縁と隔壁板43の上下縁とがそれぞれ溶接されている。これにより、第1板材41と第2板材42と隔壁板43とが一体化し、第1アウトリガ外箱30Aおよび第2アウトリガ外箱30Bが形成されている。
【0033】
隔壁板43は第1アウトリガ外箱30Aの後側(
図6における右側)の側板を構成するとともに、第2アウトリガ外箱30Bの前側(
図6における左側)の側板を構成している。換言すれば、第1アウトリガ外箱30Aと第2アウトリガ外箱30Bとは、それらの共通の側板を構成する隔壁板43を介して接続されている。
【0034】
このように、第1アウトリガ外箱30Aおよび第2アウトリガ外箱30Bの側板が共通の隔壁板43で構成されているので、第1アウトリガ外箱30Aおよび第2アウトリガ外箱30Bのそれぞれに別部材の側板を設ける場合に比べて板材の枚数を少なくできる。その結果、アウトリガ装置1を軽量化できる。しかも、第1アウトリガ外箱30Aと第2アウトリガ外箱30Bとが一体化しているので、それらの剛性を高めることができる。
【0035】
(3)アウトリガ装置の組み立て
図1および
図2に示すように、第1アウトリガ外箱30Aおよび第2アウトリガ外箱30Bの形状は実質的に左右対称である。また、第1アウトリガ外箱30Aと第2アウトリガ外箱30Bとはそれらの接触面を境として実質的に対称な形状である。そして、いずれの開口端部31、32、33、34からもアウトリガ内箱20A、20Bを挿入できる。
【0036】
具体的には、第1アウトリガ内箱20Aは第1開口端部31および第3開口端部33のいずれにも挿入できる。すなわち、第1アウトリガ内箱20Aは第1アウトリガ外箱30Aおよび第2アウトリガ外箱30Bのいずれにも挿入できる。
【0037】
アウトリガ装置1の組み立ての際には、第1アウトリガ内箱20Aは第1開口端部31および第3開口端部33のいずれか一方から、第1アウトリガ外箱30Aおよび第2アウトリガ外箱30Bのいずれか一方に選択的に挿入される。すなわち、
図2に示すように、第1アウトリガ内箱20Aを第1開口端部31から第1アウトリガ外箱30Aに挿入してもよい。
図4に示すように、第1アウトリガ内箱20Aを第3開口端部33から第2アウトリガ外箱30Bに挿入してもよい。
【0038】
同様に、第2アウトリガ内箱20Bは第2開口端部32および第4開口端部34のいずれにも挿入できる。すなわち、第2アウトリガ内箱20Bは第1アウトリガ外箱30Aおよび第2アウトリガ外箱30Bのいずれにも挿入できる。
【0039】
アウトリガ装置1の組み立ての際には、第2アウトリガ内箱20Bは第2開口端部32および第4開口端部34のいずれか一方から、第1アウトリガ外箱30Aおよび第2アウトリガ外箱30Bのいずれか一方に選択的に挿入される。ただし、第1アウトリガ内箱20Aと第2アウトリガ内箱20Bとは互いに別のアウトリガ外箱30A、30Bに挿入される。すなわち、第2アウトリガ内箱20Bは第1アウトリガ外箱30Aおよび第2アウトリガ外箱30Bのうち第1アウトリガ内箱20Aが挿入されていない方に挿入される。
【0040】
図2に示すように、第1アウトリガ内箱20Aを第1アウトリガ外箱30Aに挿入した場合には、第2アウトリガ内箱20Bは第4開口端部34から第2アウトリガ外箱30Bに挿入する。
図4に示すように、第1アウトリガ内箱20Aを第2アウトリガ外箱30Bに挿入した場合には、第2アウトリガ内箱20Bは第2開口端部32から第1アウトリガ外箱30Aに挿入する。
【0041】
以上のように、アウトリガ内箱20A、20Bを挿入するアウトリガ外箱30A、30Bを選択することでアウトリガジャッキ10A、10Bの前後位置を変更できる。例えば、
図2に示すように、第1アウトリガ内箱20Aを第1アウトリガ外箱30Aに挿入すれば、第1アウトリガジャッキ10Aは作業車の前方に寄って配置される。そうすると、第1アウトリガジャッキ10Aの後方に車両機器114を設置するスペースを確保できる。このようにして、アウトリガジャッキ10A、10Bと車両機器114との干渉を回避できる。
【0042】
アウトリガジャッキ10A、10Bと車両機器114との干渉を回避できることから、車両機器114の移設が不要となり、移設作業の手間を省くことができる。また、小型クレーン120の架装位置を後方にずらす必要がなくなり、荷台スペースを確保できる。
【0043】
しかも、アウトリガジャッキ10A、10Bは「標準ジャッキ」であり、ロングジャッキおよび回転格納式ジャッキに比べて簡易な構成である。そのため、部品点数を少なくし、軽量化できるとともに、製造コストを低減できる。また、作業員がアウトリガ装置1を張出、格納する際の手順が単純であり、作業に時間がかからない。
【0044】
(4)張出、格納
図1において実線はアウトリガ装置1を張り出した状態を示している。アウトリガ装置1を張り出した状態とは、アウトリガ内箱20A、20Bをアウトリガ外箱30A、30Bから引き出し、アウトリガジャッキ10A、10Bを伸長してピストンロッド先端部に設けられたフロート11を地面Gに接触させた状態である。以下、フロート11を地面Gに接触させることを、単に「接地」という。アウトリガジャッキ10A、10Bを接地させると、積載型クレーンCRの重量の一部がアウトリガ装置1にかかり、これにより積載型クレーンCRが支持される。
【0045】
図1において二点鎖線はアウトリガ装置1を格納した状態を示している。アウトリガ装置1を格納した状態とは、アウトリガジャッキ10A、10Bを全縮し、アウトリガ内箱20A、20Bをアウトリガ外箱30A、30Bに引き込んだ状態である。
【0046】
図5に第1開口端部31の拡大正面図を示す。第1開口端部31を構成する天板35は底板36よりも外側(第1アウトリガ外箱30Aの端側)に突出している。天板35の底板36に対する突出幅は第1アウトリガジャッキ10Aの幅と同一であるか、それより長く設定されている。側板37の端縁は天板35の端縁と底板36の端縁とを結ぶように傾斜している。そして、第1開口端部31は斜め下向きに開口している。
【0047】
このような構成であるから、第1アウトリガ内箱20Aを引き込むと、第1アウトリガジャッキ10Aの頭部を第1開口端部31の内部に挿入できる。したがって、アウトリガ装置1の格納時には、第1アウトリガジャッキ10Aを第1アウトリガ外箱30Aの先端より内側に引き込むことができる。
【0048】
第2開口端部32、第3開口端部33、および第4開口端部34も第1開口端部31と基本的に同様の構成である。すなわち、これら開口端部32、33、34は、それぞれ、天板35が底板36よりも外側に突出している。天板35の突出幅は第1アウトリガジャッキ10Aまたは第2アウトリガジャッキ10Bの幅と同一か、それより長く設定されている。
【0049】
したがって、アウトリガ内箱20A、20Bをいずれのアウトリガ外箱30A、30Bに挿入したとしても、アウトリガジャッキ10A、10Bをアウトリガ外箱30A、30Bの先端より内側に引き込むことができる。
【0050】
アウトリガ装置1を格納すると、アウトリガジャッキ10A、10Bはアウトリガ外箱30A、30Bの先端より内側に引き込まれる。したがって、格納状態ではアウトリガジャッキ10A、10Bが作業車の車幅からはみ出すことがなく、積載型クレーンCRの走行の邪魔にならない。
【0051】
また、天板35が外側に突出している分、アウトリガ外箱30A、30Bが長くなっている。そのため、アウトリガジャッキ10A、10Bの張出幅を長くでき、側方安定性能を高めることができる。
【0052】
(5)補強枠
アウトリガジャッキ10A、10Bを接地させると、アウトリガジャッキ10A、10Bに対地反力がかかる。対地反力によりアウトリガ内箱20A、20Bにモーメントが生じる。そうすると、アウトリガ内箱20A、20Bの天板21から開口端部31、32、33、34に力が作用する。
【0053】
アウトリガ内箱20A、20Bから作用する力に対する強度を確保するため、開口端部31、32、33、34には補強枠50A、50Bが設けられている。例えば、第1開口端部31の外周には第1補強枠50Aが設けられている。
【0054】
図3に示すように、第1補強枠50Aは第1開口端部31および第3開口端部33の外周に設けられている。換言すれば、2つの開口端部31、33をまとめてその外周を囲うようにフランジ状の第1補強枠50Aが設けられている。
【0055】
具体的には、第1補強枠50Aは上枠51と下枠52と一対の横枠53、53とからなる。上枠51は第1開口端部31の天板35と第3開口端部33の天板35とに架け渡されている。下枠52は第1開口端部31の底板36と第3開口端部33の底板36とに架け渡されている。一方の横枠53は第1開口端部31の側板37に設けられている(
図5参照)。他方の横枠53は第3開口端部33の側板37に設けられている。
【0056】
一方、
図2に示すように、第2開口端部32および第4開口端部34の外周には第2補強枠50Bが設けられている。第2補強枠50Bは基本的に第1補強枠50Aと同様の構成であり、上枠51と下枠52と一対の横枠53、53とからなる。
【0057】
このように、いずれの開口端部31、32、33、34にも補強枠50A、50Bが設けられている。そのため、アウトリガ内箱20A、20Bをいずれのアウトリガ外箱30A、30Bに挿入したとしても、アウトリガ内箱20A、20Bから作用する力に対して開口端部31、32、33、34に必要な強度を維持できる。
【0058】
(6)補強板
図7に示すように、隔壁板43の両端部には補強板44が設けられている。隔壁板43の表面に補強板44が面接触して貼り付けられている。補強板44は隔壁板43の第1アウトリガ外箱30A側および第2アウトリガ外箱30B側の両方に設けられている。すなわち、隔壁板43の両端部両面に合計4つの補強板44が設けられている。
【0059】
アウトリガジャッキ10A、10Bを接地させると、アウトリガ内箱20A、20Bからの力が隔壁板43にも作用する。補強板44により隔壁板43が補強されているので、アウトリガ内箱20A、20Bから作用する力に対して隔壁板43に必要な強度を維持できる。
【0060】
しかも、隔壁板43の両端部両面に合計4つの補強板44が設けられている。そのため、アウトリガ内箱20A、20Bをいずれのアウトリガ外箱30A、30Bに挿入したとしても、アウトリガ内箱20A、20Bから作用する力に対して隔壁板43に必要な強度を維持できる。
【0061】
(7)スペーサ
図8に第1アウトリガ内箱20Aの正面図を示す。
図9に第1アウトリガ内箱20Aの背面図を示す。第1アウトリガ内箱20Aは天板21、底板22、および前後一対の側板23、23から構成されている。
【0062】
第1アウトリガ内箱20Aの基端部には背面側の側板23に第1スペーサ60Aが取り付けられている。第1スペーサ60Aは基板61と、基板61に立設した円柱部62とからなる。
【0063】
側板23には第1スペーサ60Aを取り付けるためのスペーサ取付部63が形成されている。スペーサ取付部63は円柱部62が通される挿通孔63aと、基板61を固定するボルト用のボルト孔63bとからなる。
【0064】
第1スペーサ60Aはつぎの手順でスペーサ取付部63に取り付けられる。円柱部62を第1アウトリガ内箱20Aの内側から挿通孔63aに通す。基板61は側板23の内面に当接する。基板61を通したボルトをボルト孔63bに締結する。これにより、第1スペーサ60Aが側板23に固定される。
【0065】
スペーサ取付部63は正面側の側板23(
図8参照)および背面側の側板23(
図9参照)の両方に形成されている。したがって、第1スペーサ60Aは正面側の側板23にも背面側の側板23にも取り付けることができる。
【0066】
第1スペーサ60Aは第1アウトリガ内箱20Aの隔壁板43と対向する部分に取り付けられる。すなわち、第1アウトリガ内箱20Aを前側の第1アウトリガ外箱30Aに挿入する場合には、第1スペーサ60Aは第1アウトリガ内箱20Aの背面側の側板23に取り付けられる。逆に、第1アウトリガ内箱20Aを後側の第2アウトリガ外箱30Bに挿入する場合には、第1スペーサ60Aは第1アウトリガ内箱20Aの正面側の側板23に取り付けられる。
【0067】
同様に、第2アウトリガ内箱20Bの側板23には第2スペーサ60Bが取り付けられている(
図10参照)。第2スペーサ60Bは基本的に第1スペーサ60Aと同一構成の部材である。第2アウトリガ内箱20Bの前後の側板23、23の両方にスペーサ取付部63が形成されている。
【0068】
第2スペーサ60Bは第2アウトリガ内箱20Bの隔壁板43と対向する部分に取り付けられる。すなわち、第2アウトリガ内箱20Bを前側の第1アウトリガ外箱30Aに挿入する場合には、第2スペーサ60Bは第2アウトリガ内箱20Bの背面側の側板23に取り付けられる。逆に、第2アウトリガ内箱20Bを後側の第2アウトリガ外箱30Bに挿入する場合には、第2スペーサ60Bは第2アウトリガ内箱20Bの正面側の側板23に取り付けられる。
【0069】
図10に示すように、第1スペーサ60Aは第1アウトリガ内箱20Aの側板23から隔壁板43に向かって突出している。第1スペーサ60Aが隔壁板43と当接することにより、第1アウトリガ内箱20Aと隔壁板43との間に隙間が確保される。
【0070】
同様に、第2スペーサ60Bは第2アウトリガ内箱20Bの側板23から隔壁板43に向かって突出している。第2スペーサ60Bが隔壁板43と当接することにより、第2アウトリガ内箱20Bと隔壁板43との間に隙間が確保される。
【0071】
前述のごとく、隔壁板43の両端部には補強板44が設けられている。隔壁板43の表面には補強板44の厚み分の段差が生じている。アウトリガ内箱20A、20Bを引き込む際に、アウトリガ内箱20A、20Bの基端部が前後方向に変位すると、基端部が補強板44の端に引っ掛かる恐れがある。
【0072】
これに対して、スペーサ60A、60Bを取り付けておけば、アウトリガ内箱20A、20Bと隔壁板43との間に補強板44の厚みよりも大きい隙間を確保できる。そのため、アウトリガ内箱20A、20Bを引き込む際に、アウトリガ内箱20A、20Bの基端部が補強板44に引っ掛かることを防止できる。
【0073】
(8)ロック装置
図1に示すように、アウトリガ装置1はアウトリガ外箱30A、30Bに対するアウトリガ内箱20A、20Bのスライドを停止するロック装置70A、70Bを備えている。
【0074】
図12に示すように、第1ロック装置70Aはロックピン71を有している。ロックピン71は基板72に対して突出、引込可能となっている。また、第1ロック装置70Aはロックピン71の突出、引込を操作するレバー73を有している。
【0075】
第1ロック装置70Aは第1アウトリガ外箱30Aの底板36に取り付けられている。ロックピン71は底板36に形成された挿通孔74aに通されており、その先端部が第1アウトリガ外箱30Aの内部に配置されている。
【0076】
第1アウトリガ内箱20Aの底板22にはロック孔24が形成されている。ロックピン71を突出させロックピン71をロック孔24に挿入すると、第1アウトリガ内箱20Aが第1アウトリガ外箱30Aに対してスライドしないように固定される。ロックピン71を引き込むとロックピン71がロック孔24から抜かれ、第1アウトリガ内箱20Aが第1アウトリガ外箱30Aに対してスライド可能となる。
【0077】
通常、第1アウトリガ内箱20Aの底板22には複数のロック孔24が形成される。例えば、ロック孔24は第1アウトリガ内箱20Aの先端部、基端部、それらの中間位置に形成される。第1アウトリガ内箱20Aを第1アウトリガ外箱30Aの内部に最大限引き込んだ場合には、ロックピン71を先端部のロック孔24に挿入することで、その状態を維持できる。第1アウトリガ内箱20Aを最大限張り出した場合には、ロックピン71を基端部のロック孔24に挿入することで、その状態を維持できる。第1アウトリガ内箱20Aを途中まで張り出した場合には、ロックピン71を中間位置のロック孔24に挿入することで、その状態を維持できる。このように、複数のロック孔24を設ければ、第1アウトリガ内箱20Aを種々の張出幅で張り出した状態で維持できる。
【0078】
図11に示すように、第2ロック装置70Bは基本的に第1ロック装置70Aと同一構成または鏡像対称の構成の部材である。第2ロック装置70Bは第2アウトリガ外箱30Bの底板36に取り付けられている。第2アウトリガ内箱20Bの底板22にもロック孔24が形成されている。第2ロック装置70Bのロックピン71を突出させ第2アウトリガ内箱20Bのロック孔24に挿入すると、第2アウトリガ内箱20Bが第2アウトリガ外箱30Bに対してスライドしないように固定される。ロックピン71を引き込むと第2アウトリガ内箱20Bが第2アウトリガ外箱30Bに対してスライド可能となる。
【0079】
アウトリガ外箱30A、30Bの底板36には第1ロック装置70Aを取り付けるための第1ロック装置取付部74Aが形成されている。第1ロック装置取付部74Aは第1ロック装置70Aのロックピン71が通される挿通孔74aと、基板72を固定するボルト用のボルト孔を有する台座74bとからなる。
【0080】
第1ロック装置取付部74Aは第1開口端部31および第3開口端部33のいずれにも形成されている。したがって、第1ロック装置70Aは第1アウトリガ外箱30Aにも第2アウトリガ外箱30Bにも取り付けることができる。
【0081】
第1ロック装置70Aは第1アウトリガ内箱20Aが挿入された方のアウトリガ外箱30A、30Bに取り付けられる。すなわち、第1アウトリガ内箱20Aを第1アウトリガ外箱30Aに挿入する場合には、第1ロック装置70Aは第1アウトリガ外箱30Aに取り付けられる。そうすると、第1ロック装置70Aにより第1アウトリガ外箱30Aに対する第1アウトリガ内箱20Aのスライドを停止できる。
【0082】
逆に、第1アウトリガ内箱20Aを第2アウトリガ外箱30Bに挿入する場合には、第1ロック装置70Aは第2アウトリガ外箱30Bに取り付けられる。そうすると、第1ロック装置70Aにより第2アウトリガ外箱30Bに対する第1アウトリガ内箱20Aのスライドを停止できる。
【0083】
また、アウトリガ外箱30A、30Bの底板36には第2ロック装置70Bを取り付けるための第2ロック装置取付部74Bが形成されている。第2ロック装置取付部74Bは第2ロック装置70Bのロックピン71が通される挿通孔74aと、基板72を固定するボルト用のボルト孔を有する台座74bとからなる。
【0084】
第2ロック装置取付部74Bは第2開口端部32および第4開口端部34のいずれにも形成されている。したがって、第2ロック装置70Bは第1アウトリガ外箱30Aにも第2アウトリガ外箱30Bにも取り付けることができる。
【0085】
第2ロック装置70Bは第2アウトリガ内箱20Bが挿入された方のアウトリガ外箱30A、30Bに取り付けられる。すなわち、第2アウトリガ内箱20Bを第1アウトリガ外箱30Aに挿入する場合には、第2ロック装置70Bは第1アウトリガ外箱30Aに取り付けられる。そうすると、第2ロック装置70Bにより第1アウトリガ外箱30Aに対する第2アウトリガ内箱20Bのスライドを停止できる。
【0086】
逆に、第2アウトリガ内箱20Bを第2アウトリガ外箱30Bに挿入する場合には、第2ロック装置70Bは第2アウトリガ外箱30Bに取り付けられる。そうすると、第2ロック装置70Bにより第2アウトリガ外箱30Bに対する第2アウトリガ内箱20Bのスライドを停止できる。
【0087】
なお、ロック装置70A、70Bは両方のレバー73、73を同一方向に向けて取り付けることが好ましい。具体的には、レバー群125が設置される方向にレバー73、73を向けることが好ましい。例えば、レバー群125が後側に設置される場合には、レバー73を後側に向けることが好ましい。
【0088】
そうすれば、作業員がレバー群125を操作してアウトリガ装置1を張出、格納する際に、同じ立ち位置でロック装置70A、70Bを操作できる。そのため、アウトリガ装置1の張出、格納作業が容易となる。
【0089】
(9)連結部材
図13に示すように、第1アウトリガ内箱20Aは第1スライドシリンダ25Aを有している。第1スライドシリンダ25Aは第1アウトリガ内箱20Aの内部に格納されている。第1スライドシリンダ25Aは油圧シリンダであり、第1アウトリガ内箱20Aの張出、引込に用いられる。
【0090】
第1スライドシリンダ25Aのピストンロッド先端部は第1アウトリガ内箱20A(例えば側板23、23)に連結されている。第1スライドシリンダ25Aを構成するシリンダボディのキャップ側端部にはトラニオン26が設けられている。トラニオン26は第1アウトリガ内箱20Aの基端部より外側に露出している。トラニオン26は第1連結部材80Aにより支持されている。すなわち、第1スライドシリンダ25Aのシリンダボディは第1連結部材80Aに連結されている。
【0091】
第1連結部材80Aは第1アウトリガ外箱30Aに取り付けられている。したがって、第1スライドシリンダ25Aを伸縮させることで、第1アウトリガ内箱20Aを第1アウトリガ外箱30Aに対してスライドさせることができる。これにより、第1アウトリガ内箱20Aの張出、引込が行われる。
【0092】
なお、第1スライドシリンダ25Aのシリンダボディを第1アウトリガ内箱20Aに連結してもよい。この場合、第1スライドシリンダ25Aのピストンロッド先端部にトラニオン26が設けられ、第1連結部材80Aに連結される。
【0093】
第1連結部材80Aはトラニオン26を支持する支持部81と、支持部81が固定された枠部82とを有する。枠部82は全体としてL字形であり、水平部82aと鉛直部82bとからなる。水平部82aの先端部は鈎形となっている。鉛直部82bの上端には締結板83が設けられている。
【0094】
第1アウトリガ外箱30Aの底板36の端縁には切欠84aが形成されている。補強枠50A、50Bを構成する下枠52の上部には溝84bが形成されている。補強枠50A、50Bを構成する上枠51の内側の面にはボルト孔84cが形成されている。これら切欠84a、溝84b、およびボルト孔84cにより、第1連結部材80Aを取り付けるための第1連結部材取付部84Aが構成されている。
【0095】
第1連結部材80Aはつぎの手順で第1連結部材取付部84Aに取り付けられる。水平部82aの先端部を底板36の切欠84aおよび下枠52の溝84bに挿入し、鈎部を下枠52に引っ掛ける。締結板83を上枠51の内側の面に当接させる。締結板83に形成された孔に通されたボルトを上枠51のボルト孔84cに締結する。これにより、第1連結部材80Aが第1アウトリガ外箱30Aに固定される。
【0096】
図10に示すように、第2アウトリガ内箱20Bは第2スライドシリンダ25Bを有している。第2スライドシリンダ25Bのピストンロッド先端部は第2アウトリガ内箱20Bに連結されている。第2スライドシリンダ25Bを構成するシリンダボディのキャップ側端部にはトラニオン26が設けられている。トラニオン26は第2連結部材80Bにより支持されている。すなわち、第2スライドシリンダ25Bのシリンダボディは第2連結部材80Bに連結されている。
【0097】
なお、第2スライドシリンダ25Bのシリンダボディを第2アウトリガ内箱20Bに連結してもよい。この場合、第2スライドシリンダ25Bのピストンロッド先端部にトラニオン26が設けられ、第2連結部材80Bに連結される。
【0098】
第2連結部材80Bは基本的に第1連結部材80Aと同一構成の部材である。第2連結部材80Bは第2連結部材取付部84Bに取り付けられる。第2連結部材取付部84Bは基本的に第1連結部材取付部84Aと同一構成である。
【0099】
第1連結部材取付部84Aは第2開口端部32および第4開口端部34のいずれにも形成されている。したがって、第1連結部材80Aは第1アウトリガ外箱30Aにも第2アウトリガ外箱30Bにも取り付けることができる。
【0100】
第1連結部材80Aは第1アウトリガ内箱20Aが挿入された方のアウトリガ外箱30A、30Bに取り付けられる。すなわち、第1アウトリガ内箱20Aを第1アウトリガ外箱30Aに挿入する場合には、第1連結部材80Aは第1アウトリガ外箱30Aに取り付けられる。逆に、第1アウトリガ内箱20Aを第2アウトリガ外箱30Bに挿入する場合には、第1連結部材80Aは第2アウトリガ外箱30Bに取り付けられる。
【0101】
また、第2連結部材取付部84Bは第1開口端部31および第3開口端部33のいずれにも形成されている。したがって、第2連結部材80Bは第1アウトリガ外箱30Aにも第2アウトリガ外箱30Bにも取り付けることができる。
【0102】
第2連結部材80Bは第2アウトリガ内箱20Bが挿入された方のアウトリガ外箱30A、30Bに取り付けられる。すなわち、第2アウトリガ内箱20Bを第1アウトリガ外箱30Aに挿入する場合には、第2連結部材80Bは第1アウトリガ外箱30Aに取り付けられる。逆に、第1アウトリガ内箱20Aを第2アウトリガ外箱30Bに挿入する場合には、第2連結部材80Bは第2アウトリガ外箱30Bに取り付けられる。
【0103】
(10)カバー
図13に示すように、第1連結部材80Aには第1カバー90Aが取り付けられる。第1カバー90Aはアウトリガ外箱30A、30Bの開口を閉塞する形状を有している(
図1参照)。
【0104】
第1カバー90Aは第1連結部材80Aとともに、第2開口端部32および第4開口端部34のいずれか一方に選択的に取り付けられる。すなわち、第1アウトリガ内箱20Aを第1アウトリガ外箱30Aに挿入する場合には、第1カバー90Aは第1アウトリガ外箱30Aに取り付けられる。そうすると、第1カバー90Aにより第2開口端部32の開口が閉塞される。
【0105】
逆に、第1アウトリガ内箱20Aを第2アウトリガ外箱30Bに挿入する場合には、第1カバー90Aは第2アウトリガ外箱30Bに取り付けられる。そうすると、第1カバー90Aにより第4開口端部34の開口が閉塞される。
【0106】
図11に示すように、第2連結部材80Bには第2カバー90Bが取り付けられる。第2カバー90Bは基本的に第1カバー90Aと同一構成の部材である。
【0107】
第2カバー90Bは第2連結部材80Bとともに、第1開口端部31および第3開口端部33のいずれか一方に選択的に取り付けられる。すなわち、第2アウトリガ内箱20Bを第1アウトリガ外箱30Aに挿入する場合には、第2カバー90Bは第1アウトリガ外箱30Aに取り付けられる。そうすると、第2カバー90Bにより第1開口端部31の開口が閉塞される。
【0108】
逆に、第2アウトリガ内箱20Bを第2アウトリガ外箱30Bに挿入する場合には、第2カバー90Bは第2アウトリガ外箱30Bに取り付けられる。そうすると、第2カバー90Bにより第3開口端部33の開口が閉塞される。
【0109】
カバー90A、90Bを取り付けることにより、アウトリガ外箱30A、30Bの開口のうちアウトリガ内箱20A、20Bが挿入されていない方を閉塞できる。そのため、スライドシリンダ25A、25Bなどの機構部が外部に露出しないので、作業員にとって安全である。
【0110】
なお、カバー90A、90Bを取り外せば、作業員がアウトリガ外箱30A、30Bの内部にアクセスできる。そのため、アウトリガ内箱20A、20Bとアウトリガ外箱30A、30Bとの摺動部分への給脂作業など、メンテナンスを容易に行える。
【0111】
(11)配管
図2に示すように、第2開口端部32および第4開口端部34のいずれにも、天板35に第1配管孔38Aが形成されている。一方の第1配管孔38Aには第1配管27Aが通されている。第1配管27Aは第1アウトリガジャッキ10Aおよび第1スライドシリンダ25Aに作動油を供給するための配管である。第1配管27Aは第1アウトリガ内箱20Aの基端部に接続されている(
図13参照)。
【0112】
第1アウトリガジャッキ10Aおよび第1スライドシリンダ25Aを油圧駆動するには、外部に設置された油圧源からの作動油をアウトリガ装置1の内部に引き込む必要がある。第1配管27Aを第1配管孔38Aに通すことで、作動油をアウトリガ外箱30A、30Bの内部に引き込むことができる。
【0113】
第1配管27Aは第1アウトリガ内箱20Aが挿入された方のアウトリガ外箱30A、30Bに形成された第1配管孔38Aに通される。すなわち、第1アウトリガ内箱20Aを第1アウトリガ外箱30Aに挿入する場合には、第1配管27Aは第1アウトリガ外箱30Aの第1配管孔38Aに通される。逆に、第1アウトリガ内箱20Aを第2アウトリガ外箱30Bに挿入する場合には、第1配管27Aは第2アウトリガ外箱30Bの第1配管孔38Aに通される。これにより、作動油を第1アウトリガ内箱20Aが挿入された方のアウトリガ外箱30A、30Bの内部に引き込むことができる。
【0114】
また、第1開口端部31および第3開口端部33のいずれにも、天板35に第2配管孔38Bが形成されている。一方の第2配管孔38Bには第2配管27Bが通されている。第2配管27Bは第2アウトリガジャッキ10Bおよび第2スライドシリンダ25Bに作動油を供給するための配管である。
【0115】
第2配管27Bは第2アウトリガ内箱20Bが挿入された方のアウトリガ外箱30A、30Bに形成された第2配管孔38Bに通される。すなわち、第2アウトリガ内箱20Bを第1アウトリガ外箱30Aに挿入する場合には、第2配管27Bは第1アウトリガ外箱30Aの第2配管孔38Bに通される。逆に、第2アウトリガ内箱20Bを第2アウトリガ外箱30Bに挿入する場合には、第2配管27Bは第2アウトリガ外箱30Bの第2配管孔38Bに通される。これにより、作動油を第2アウトリガ内箱20Bが挿入された方のアウトリガ外箱30A、30Bの内部に引き込むことができる。
【0116】
なお、配管27A、27Bと油圧源側の配管とは急速継手で接続することが好ましい。アウトリガ装置1の組み立ての際に、配管27A、27Bを油圧源側の配管と分離すれば、アウトリガ内箱20A、20Bをアウトリガ外箱30A、30Bに挿入しやすい。
【0117】
また、配管27A、27Bが通されない方の配管孔38A、38Bをカバー部材で閉塞することが好ましい。配管孔38A、38Bは補強枠50A、50Bを構成する上枠51の近くに配置されることから、カバー部材の取り付けには上枠51に形成されたボルト孔84cを利用できる。
【0118】
〔その他の実施形態〕
前記実施形態のアウトリガ装置1は、アウトリガ内箱20A、20Bの張出、引込を油圧シリンダ(スライドシリンダ25A、25B)で行なう構成である。、これに代えて、アウトリガ内箱20A、20Bを手動で張出、引込する構成としてもよい。
【0119】
この場合、アウトリガ内箱20A、20Bにスライドシリンダ25A、25Bを設ける必要はない。また、連結部材80A、80Bを取り付ける必要はない。カバー90A、90Bは他の部材を介してアウトリガ外箱30A、30Bに取り付けてもよいし、カバー90A、90Bを直接アウトリガ外箱30A、30Bに取り付ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 アウトリガ装置
10A 第1アウトリガジャッキ
10B 第2アウトリガジャッキ
20A 第1アウトリガ内箱
20B 第2アウトリガ内箱
30A 第1アウトリガ外箱
30B 第2アウトリガ外箱
31 第1開口端部
32 第2開口端部
33 第3開口端部
34 第4開口端部
60A 第1スペーサ
60B 第2スペーサ
70A 第1ロック装置
70B 第2ロック装置
80A 第1連結部材
80B 第2連結部材
90A 第1カバー
90B 第2カバー