(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】コンテナ用無人搬送車の非接触式充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/90 20160101AFI20220128BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20220128BHJP
B60L 53/38 20190101ALI20220128BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20220128BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20220128BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220128BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20220128BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20220128BHJP
B66C 19/00 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
H02J50/90
B60L5/00 B
B60L53/38
B60M7/00 X
G05D1/02 H
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/10
H02J50/80
B66C19/00 B
(21)【出願番号】P 2018109096
(22)【出願日】2018-06-07
【審査請求日】2020-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(72)【発明者】
【氏名】角田 憲哉
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/208546(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0367741(US,A1)
【文献】特開2015-126658(JP,A)
【文献】特開2014-142704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-13/00
B60L15/00-58/40
B60M7/00
B66C19/00-23/94
G05D1/00-1/12
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行モータ、蓄電装置および非接触により受電可能な受電部を備えた
コンテナ用無人搬送車と、
前記
コンテナ用無人搬送車と別に設けられ、前記受電部へ非接触により送電可能な送電装置と、
前記コンテナ用無人搬送車の運行を制御する運行制御装置と、を備え、
前記蓄電装置が前記送電装置から前記受電部への非接触送電により充電される
コンテナ用無人搬送車の非接触式充電システムにおいて、
走行可能であって、前記
コンテナ用無人搬送車の走行経路に設定される
荷移載位置である停車位置にて停車中の前記
コンテナ用無人搬送車に対する荷の移載を行う荷移載機を備え、
前記受電部は、前記
コンテナ用無人搬送車の側部に設けられ、
前記送電装置は、前記荷移載機に設けられ、前記受電部と対向可能な送電部を有し、
前記コンテナ用無人搬送車および前記荷移載機の少なくとも一方は、前記受電部および前記送電部の少なくとも他方に対して前記受電部および前記送電部の少なくとも一方の高さを調整する高さ調整機構を備え、
前記コンテナ用無人搬送車を制御するコントローラは、前記コンテナ用無人搬送車と前記荷移載機との距離が予め設定された距離以下になると前記蓄電装置の残容量を前記運行制御装置に伝達し、
前記運行制御装置は、前記蓄電装置の残容量に適した充電量を求め、前記荷移載機に前記充電量を指令し、
前記荷移載機は、前記
コンテナ用無人搬送車が前記荷移載機に所定の位置まで接近したとき、前記送電部の送電を開始するとともに、前記受電部による受電および前記蓄電装置への充電を可能とし、
前記コントローラは、前記受電部の前記送電部への接近により、受電発生を示す値が閾値を越えるとき、前記停車位置を決定
し、前記停車位置は、前記コンテナ用無人搬送車の現在位置よりも進行方向側に位置し、前記受電部と前記送電部とが正対する位置であり、
前記コンテナ用無人搬送車が前記停車位置に停車したとき、前記高さ調整機構は前記受電部と前記送電部とが正対するように前記受電部および前記送電部の少なくとも一方の高さを調整することを特徴とする
コンテナ用無人搬送車の非接触式充電システム。
【請求項2】
前記
コンテナ用無人搬送車は、前記停車位置が決定された後、
前記蓄電装置の残容量に応じて予め設定された走行パターンにより一定時間を走行して停車することを特徴とする請求項1記載の
コンテナ用無人搬送車の非接触式充電システム。
【請求項3】
前記受電発生を示す値は、前記受電部を流れる電流の電流値であり、
前記受電部に生じる電流値が閾値を越えるとき、前記
コンテナ用無人搬送車は、前記停車位置を決定することを特徴とする請求項1記載の
コンテナ用無人搬送車の非接触式充電システム。
【請求項4】
前記高さ調整機構は、前記コンテナ用無人搬送車に備えられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項記載の
コンテナ用無人搬送車の非接触式充電システム。
【請求項5】
前記高さ調整機構は、前記コンテナ用無人搬送車の車高を変更可能とする油圧サスペンションであることを特徴とする請求項4記載の
コンテナ用無人搬送車の非接触式充電システム。
【請求項6】
走行モータ、蓄電装置および非接触により受電可能な受電部を備えたコンテナ用無人搬送車と、
前記コンテナ用無人搬送車と別に設けられ、前記受電部へ非接触により送電可能な送電装置と、
前記コンテナ用無人搬送車の運行を制御する運行制御装置と、を備え、
前記蓄電装置が前記送電装置から前記受電部への非接触送電により充電されるコンテナ用無人搬送車の非接触式充電システムにおいて、
走行可能であって、前記コンテナ用無人搬送車の走行経路に設定される荷移載位置である停車位置にて停車中の前記コンテナ用無人搬送車に対する荷の移載を行う荷移載機を備え、
前記受電部は、前記コンテナ用無人搬送車の側部に設けられ、
前記送電装置は、前記荷移載機に設けられ、前記受電部と対向可能な送電部を有し、
前記コンテナ用無人搬送車および前記荷移載機の少なくとも一方は、前記受電部および前記送電部の少なくとも他方に対して前記受電部および前記送電部の少なくとも一方の高さを調整する高さ調整機構を備え、
前記荷移載機は、信号を発信する発信器を備え、
前記コンテナ用無人搬送車は、前記発信器の信号を受信する受信器を備え、
前記コンテナ用無人搬送車を制御するコントローラは、前記コンテナ用無人搬送車と前記荷移載機との距離が予め設定された距離以下になると前記蓄電装置の残容量を前記運行制御装置に伝達し、
前記運行制御装置は、前記蓄電装置の残容量に適した充電量を求め、前記荷移載機に前記充電量を指令し、
前記コントローラは、前記受電部の前記送電部への接近により、前記発信器と前記受信器との間の距離が閾値を下回るとき、前記停車位置を決定し、前記停車位置は、前記コンテナ用無人搬送車の現在位置よりも進行方向側に位置し、前記受電部と前記送電部とが正対する位置であり、
前記コンテナ用無人搬送車が前記停車位置に停車したとき、前記高さ調整機構は前記受電部と前記送電部とが正対するように前記受電部および前記送電部の少なくとも一方の高さを調整することを特徴とする
コンテナ用無人搬送車の非接触式充電システム。
【請求項7】
前記コンテナ用無人搬送車は、前記停車位置が決定された後、前記蓄電装置の残容量に応じて予め設定された走行パターンにより一定時間を走行して停車することを特徴とする
請求項6記載のコンテナ用無人搬送車の非接触式充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンテナ用無人搬送車の非接触式充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ用無人搬送車の非接触式充電システムの従来技術としては、例えば、特許文献1に開示された無人搬送車の運行制御システムが知られている。特許文献1に開示された無人搬送車の運行制御システムでは、ガントリークレーン付近にあって、コンテナの積み降ろしを行う積み降ろしスペースとしての移載エリアには、無人搬送車を非接触で充電可能な充電器 が設けられている。充電器は、走行経路の側方、すなわち走行経路に対して当該走行経路に沿う方向と直交する方向(無人搬送車の左右方向)に所定の距離だけ離れた位置に配置されている。また、充電器は、無人搬送車の走行経路に沿って所定の間隔を隔てて複数設置されている。
【0003】
充電器は、交流電力が供給される送電コイルを備えている。これに対応させて、無人搬送車は、送電コイルと対向し得る位置、詳細には無人搬送車の側部に設けられた受電コイルを備えている。かかる構成によれば、充電器の送電コイルと無人搬送車の受電コイル とが所定の距離内にて無人搬送車の左右方向に対向している状況において送電コイルに交流電力が入力されると、受電コイルは交流電力を受電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された無人搬送車の運行制御システムでは、充電器はガントリークレーン付近であるが、ガントリークレーンと離れた位置に設けられている。従って、充電器により無人搬送車の蓄電装置の充電を行うとする場合、無人搬送車は、充電器が設けられている所まで移動しなければならず、無人搬送車の稼働率の低下を招くという問題がある。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、無人搬送車の稼働率向上を図ることが可能なコンテナ用無人搬送車の非接触式充電システムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、走行モータ、蓄電装置および非接触により受電可能な受電部を備えたコンテナ用無人搬送車と、前記コンテナ用無人搬送車と別に設けられ、前記受電部へ非接触により送電可能な送電装置と、前記コンテナ用無人搬送車の運行を制御する運行制御装置と、を備え、前記蓄電装置が前記送電装置から前記受電部への非接触送電により充電されるコンテナ用無人搬送車の非接触式充電システムにおいて、走行可能であって、前記コンテナ用無人搬送車の走行経路に設定される荷移載位置である停車位置にて停車中の前記コンテナ用無人搬送車に対する荷の移載を行う荷移載機を備え、前記受電部は、前記コンテナ用無人搬送車の側部に設けられ、前記送電装置は、前記荷移載機に設けられ、前記受電部と対向可能な送電部を有し、前記コンテナ用無人搬送車および前記荷移載機の少なくとも一方は、前記受電部および前記送電部の少なくとも他方に対して前記受電部および前記送電部の少なくとも一方の高さを調整する高さ調整機構を備え、前記コンテナ用無人搬送車を制御するコントローラは、前記コンテナ用無人搬送車と前記荷移載機との距離が予め設定された距離以下になると前記蓄電装置の残容量を運行制御装置に伝達し、前記運行制御装置は、前記蓄電装置の残容量に適した充電量を求め、前記荷移載機に前記充電量を指令し、前記荷移載機は、前記コンテナ用無人搬送車が前記荷移載機に所定の位置まで接近したとき、前記送電部の送電を開始するとともに、前記受電部による受電および前記蓄電装置への充電を可能とし、前記コントローラは、前記受電部の前記送電部への接近により、受電発生を示す値が閾値を越えるとき、前記停車位置を決定し、前記停車位置は、前記コンテナ用無人搬送車の現在位置よりも進行方向側に位置し、前記受電部と前記送電部とが正対する位置であり、前記コンテナ用無人搬送車が前記停車位置に停車したとき、前記高さ調整機構は前記受電部と前記送電部とが正対するように前記受電部および前記送電部の少なくとも一方の高さを調整することを特徴とする
【0008】
本発明では、受電部がコンテナ用無人搬送車の側部に設けられ、荷移載機に設けられた送電装置の送電部は、受電部と対向可能である。コンテナ用受電部の送電部への接近により、受電発生を示す値が閾値を越えるとき、コンテナ用無人搬送車の停車位置が決定される。決定された停車位置は効率的に充電を行う最適な位置であり、停車位置が決定された後、コンテナ用無人搬送車が停車位置に停車するまで充電効率を向上させて走行時に非接触により充電することができる。そして、コンテナ用無人搬送車が停車位置に停車すると、荷の移載が行われることから、荷の移載と同時に最大効率の非接触充電を行うことができる。
また、高さ調整機構は、送電部と受電部との高さを同じ高さにするように送電部と受電部との高さを調整することができ、送電部と受電部との高さ方向の位置ずれによる充電効率の低下を防止することができる。
【0009】
また、上記のコンテナ用無人搬送車の非接触式充電システムにおいて、前記コンテナ用無人搬送車は、前記停車位置が決定された後、前記蓄電装置の残容量に応じて予め設定された走行パターンにより一定時間を走行して停車する構成としてもよい。
この場合、停車位置が決定された後、コンテナ用無人搬送車が蓄電装置の残容量に応じて予め設定された走行パターンにより一定時間を走行して停車することにより、コンテナ用無人搬送車は停車位置に正確に停車することができる。
【0010】
また、上記のコンテナ用無人搬送車の非接触式充電システムにおいて、前記受電発生を示す値は、前記受電部に生じる電流値であり、前記受電部に生じる電流値が閾値を越えるとき、前記コンテナ用無人搬送車は、前記停車位置を決定する構成としてもよい。
この場合、送電を受けた受電部に生じる電流値を用いることにより、電流値が閾値を越える受電初期のタイミングを確実に検知することができる。
【0012】
また、上記のコンテナ用無人搬送車の非接触式充電システムにおいて、前記高さ調整機構は、前記コンテナ用無人搬送車に備えられている構成としてもよい。
この場合、高さ調整機構は、コンテナ用無人搬送車に備えられているので、送電部に対する受電部の高さ方向の位置を変更することができる。
【0013】
また、上記のコンテナ用無人搬送車の非接触式充電システムにおいて、前記高さ調整機構は、前記コンテナ用無人搬送車の車高を変更可能とする油圧サスペンションである構成としてもよい。
この場合、油圧サスペンションは、コンテナ用無人搬送車の車高を変更することにより、荷搭載時の衝撃を低減するほか、送電部と受電部との高さを調整することができる。従って、高さ調整機構を別途、設ける必要がない。
【0014】
また、本発明では、走行モータ、蓄電装置および非接触により受電可能な受電部を備えたコンテナ用無人搬送車と、前記コンテナ用無人搬送車と別に設けられ、前記受電部へ非接触により送電可能な送電装置と、前記コンテナ用無人搬送車の運行を制御する運行制御装置と、を備え、前記蓄電装置が前記送電装置から前記受電部への非接触送電により充電されるコンテナ用無人搬送車の非接触式充電システムにおいて、走行可能であって、前記コンテナ用無人搬送車の走行経路に設定される荷移載位置である停車位置にて停車中の前記コンテナ用無人搬送車に対する荷の移載を行う荷移載機を備え、前記受電部は、前記コンテナ用無人搬送車の側部に設けられ、前記送電装置は、前記荷移載機に設けられ、前記受電部と対向可能な送電部を有し、前記コンテナ用無人搬送車および前記荷移載機の少なくとも一方は、前記受電部および前記送電部の少なくとも他方に対して前記受電部および前記送電部の少なくとも一方の高さを調整する高さ調整機構を備え、前記荷移載機は、信号を発信する発信器を備え、前記コンテナ用無人搬送車は、前記発信器の信号を受信する受信器を備え、前記コンテナ用無人搬送車を制御するコントローラは、前記コンテナ用無人搬送車と前記荷移載機との距離が予め設定された距離以下になると前記蓄電装置の残容量を運行制御装置に伝達し、前記運行制御装置は、前記蓄電装置の残容量に適した充電量を求め、前記荷移載機に前記充電量を指令し、前記コントローラは、前記受電部の前記送電部への接近により、前記発信器と前記受信器との間の距離が閾値を下回るとき、前記停車位置を決定し、前記停車位置は、前記コンテナ用無人搬送車の現在位置よりも進行方向側に位置し、前記受電部と前記送電部とが正対する位置であり、前記コンテナ用無人搬送車が前記停車位置に停車したとき、前記高さ調整機構は前記受電部と前記送電部とが正対するように前記受電部および前記送電部の少なくとも一方の高さを調整することを特徴とする。
【0015】
本発明では、受電部がコンテナ用無人搬送車の側部に設けられ、荷移載機に設けられた送電装置の送電部は、受電部と対向可能である。このため、コンテナ用無人搬送車の進行方向に対する直交方向における送電部との受電部と間隙は、コンテナ用無人搬送車が荷移載機へ向けて走行しても一定である。受信器の発信器への接近により、発信器と受信器との間の距離が閾値を下回るとき、コンテナ用無人搬送車の停車位置が決定される。決定された停車位置は効率的に充電を行う最適な位置であり、停車位置が決定された後、コンテナ用無人搬送車が停車位置に停車するまで充電効率を向上させて走行時に非接触により充電することができる。そして、コンテナ用無人搬送車が停車位置に停車すると、荷の移載が行われることから、荷の移載と同時に最大効率の非接触充電を行うことができる。
【0016】
また、上記のコンテナ用無人搬送車の非接触式充電システムにおいて、前記コンテナ用無人搬送車は、前記停車位置が決定された後、前記蓄電装置の残容量に応じて予め設定された走行パターンにより一定時間を走行して停車する構成としてもよい。
この場合、この場合、停車位置が決定された後、コンテナ用無人搬送車が蓄電装置の残容量に応じて予め設定された走行パターンにより一定時間を走行して停車することにより、コンテナ用無人搬送車は停車位置に正確に停車することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コンテナ用無人搬送車の稼働率向上を図ることが可能なコンテナ用無人搬送車の非接触式充電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1の実施形態に係る非接触式充電システムおよびコンテナ用無人搬送車が適用されたコンテナターミナルの概要図である。
【
図2】第1の実施形態に係るガントリークレーンの概要を示す正面図である。
【
図3】第1の実施形態に係るガントリークレーンの概要を示す側面図である。
【
図4】第1の実施形態に係るラバータイヤクレーンの概要を示す正面図である。
【
図5】第1の実施形態に係るラバータイヤクレーンの概要を示す側面図である。
【
図6】ガントリークレーンの送電装置とコンテナ用無人搬送車の概要を示す平面図である。
【
図7】コンテナ用無人搬送車の受電コイル側の側面図である。
【
図8】(a)はコンテナ搭載時のコンテナ用無人搬送車の正面図であり、(b)はコンテナ非搭載時のコンテナ用無人搬送車の正面図である。
【
図9】ラバータイヤクレーンの送電装置とコンテナ用無人搬送車の概要を示す平面図である。
【
図10】非接触式充電システムにおける充電のフロー図である。
【
図11】コンテナ用無人搬送車のガントリークレーンに接近時の充電過程を模式的に示す説明図である。
【
図12】受電コイルにおける受電量と時間との関係を示すグラフ図および走行速度と時間との関係を示すグラフ図である。
【
図13】第2の実施形態に係るガントリークレーンの送電装置とコンテナ用無人搬送車の概要を示す平面図である。
【
図14】第2の実施形態に係るラバータイヤクレーンの送電装置とコンテナ用無人搬送車の概要を示す平面図である。
【
図15】コンテナ用無人搬送車のガントリークレーンに接近時の充電過程を模式的に示す説明図である。
【
図16】発信器と受信器との距離の差と時間との関係を示すグラフ図および走行速度と時間との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本実施形態に係る港湾設備としてのコンテナターミナルについて図面を参照して説明する。本実施形態のコンテナターミナルでは本発明のコンテナ用無人搬送車の非接触式充電システムが適用されている。
【0022】
図1に示すように、コンテナターミナル10は、船舶としてのコンテナ船11が接岸可能な岸壁12を有する。コンテナ船11は、多数のISO規格コンテナ(以下、「コンテナ」と表記する)Cを積載可能な船体を有し、舷側と岸壁12とを対向した状態で接岸可能である。コンテナターミナル10には、接岸状態のコンテナ船11との間でコンテナCの受け渡しを行う荷移載機としてのガントリークレーン13が岸壁12に沿って配設されている。ガントリークレーン13は岸壁12に対して平行に往復走行自在である。ガントリークレーン13の構成については後述する。
【0023】
コンテナターミナル10は、コンテナCを一時保管するための領域としてのコンテナヤード14を備えている。コンテナヤード14には、コンテナCの荷役を行う荷移載機としてのラバータイヤクレーン15が備えられている。ラバータイヤクレーン15の構成については後述する。
【0024】
コンテナターミナル10は、コンテナ用無人搬送車17の走行経路16を備えている。走行経路16は、ガントリークレーン13とラバータイヤクレーン15との間にてコンテナ用無人搬送車17を一方向へ循環走行させるための経路である。コンテナターミナル10には、コンテナ用無人搬送車17の運行を制御する運行制御装置18が管制塔19に備えられている。無人搬送車としてのコンテナ用無人搬送車17の構成は後述する。運行制御装置18は、コンテナ用無人搬送車17と無線通信可能であり、コンテナ用無人搬送車17に対して走行経路16に沿って走行するように指示する。
【0025】
次に、ガントリークレーン13について説明する。ガントリークレーン13は、コンテナ船11とコンテナ用無人搬送車17との間にてコンテナCを移載する。
図2に示すように、ガントリークレーン13は海側の脚部21と陸側の脚部22を備えている。
図3に示すように、脚部22は、ガントリークレーン13を側方から見ると門型である。なお、脚部21も門型であるが、
図3では、脚部22のみが図示される。脚部21、22の下部には、岸壁12と平行に敷設された走行軌道23上を転動する車輪24が備えられている。
図3に示すように、脚部22の下部には、走行軌道23と平行な横架部材25が備えられている。脚部21の下部には、横架部材25と同様の横架部材(図示せず)が備えられている。脚部21、22の上部には一対の水平ジブ26が備えられている。水平ジブ26は水平方向に延びるように脚部21、22に取り付けられており、水平ジブ26の海側の先端部は海上に突出する。
【0026】
水平ジブ26には、水平ジブ26の長手方向に往復移動可能なトロリー27が備えられている。トロリー27には、コンテナスプレッダ28がワイヤー29により昇降可能に吊り下げられている。コンテナスプレッダ28はコンテナCを吊持して移載可能である。トロリー27は水平ジブ26の両端付近まで移動可能である。水平ジブ26の陸側の脚部22付近には動力室30が設置されている。動力室30はガントリークレーン13の各部を作動させるための駆動源等の機器が備えられており、ガントリークレーン13の各部は電力により作動される。また、動力室30にはガントリークレーン13の各機器を制御する制御部(図示せず)を備えている。なお、図示はされないが、トロリー27にはガントリークレーン13を操作するオペレータのための運転室が設けられている。
【0027】
走行経路16におけるガントリークレーン13の陸側の脚部22と対向する位置は、荷移載位置である停車位置P1である(
図1を参照)。ガントリークレーン13によりコンテナCを移載するとき、コンテナ用無人搬送車17は停車位置P1に停車する。ガントリークレーン13が走行可能であるため、停車位置P1は、ガントリークレーン13の位置に応じて移動する。
【0028】
次に、ラバータイヤクレーン15について説明する。
図4、
図5に示すように、一対の門型フレーム35を備えている。門型フレーム35は、コンテナヤード14およびコンテナ用無人搬送車17の走行経路16を跨ぐように配設されている。なお、本実施形態では、コンテナトレーラーTの走行経路36が走行経路16と平行に設定されている(
図1を参照)。コンテナトレーラーTは、コンテナヤード14に対するコンテナCの搬入出を行う。走行経路36は一方向に向けてコンテナトレーラーTを走行させるための経路である。門型フレーム35は、走行経路16を跨いている。ラバータイヤクレーン15は、コンテナ用無人搬送車17およびコンテナトレーラーTとコンテナヤード14との間にてコンテナCを移載する。
【0029】
門型フレーム35は一対の脚部37を備えており、一対の脚部37の上部には、脚部37の頂部を互いに接続する横架材38が備えられている。横架材38の一方の端部は走行経路36側へ突出している。一対の門型フレーム35は、複数の連結部材39、40、41、42により互いに連結されている。脚部37の下部には、ラバータイヤを備えた複数の車輪44が備えられている。ラバータイヤクレーン15は、走行駆動源(図示せず)を備えており、走行経路16に沿って移動可能である。横架材38には、横架体の長手方向に往復移動可能なトロリー45が備えられている。トロリー45には、コンテナスプレッダ46がワイヤー47により昇降可能に吊り下げられている。コンテナスプレッダ46は、コンテナCを吊持して移載可能である。
図5に示すように、脚部37の下部にはラバータイヤクレーン15の各部を制御する制御部48が備えられている。制御部48は運行制御装置18と通信可能であり、運行制御装置18の指令を受けて各部の制御を行う。つまり、本実施形態のラバータイヤクレーン15は、運行制御装置18により遠隔操作される。
【0030】
走行経路16におけるラバータイヤクレーン15の陸側の脚部37と対向する位置は、荷移載位置である停車位置P2である(
図1を参照)。ラバータイヤクレーン15によるコンテナCの移載を行うとき、コンテナ用無人搬送車17は停車位置P2に停車する。ラバータイヤクレーン15が走行可能であるため、停車位置P2は、ラバータイヤクレーン15の位置に応じて移動する。
【0031】
次に、本実施形態のコンテナ用無人搬送車17について説明する。
図6に示すように、コンテナ用無人搬送車17の車体50には、コンテナCを搭載可能とする荷台51および車体50を支持する複数の駆動輪52が備えられている。各駆動輪52には走行モータとしての電動モータ59が備えられている。コンテナ用無人搬送車17は電動モータ59の駆動力の伝達を受けることにより走行する。
【0032】
図7に示すように、コンテナ用無人搬送車17は、駆動輪52を懸架する油圧サスペンション58を備えている。油圧サスペンション58は、復動式の油圧シリンダ58Aを備えており、油圧シリンダ58Aは図示されない油圧回路と接続されている。油圧シリンダ58Aに対する作動油の制御によって、油圧シリンダ58Aのロッドが進退され、コンテナ用無人搬送車17の車高が変更される。
図8(a)に示すように、コンテナCが荷台51に搭載されるときは、油圧サスペンション58により車高を低くし、荷台51へのコンテナ搭載時の衝撃を低減する。
図8(b)に示すように、コンテナCが荷台51から移載されたときは、油圧サスペンション58により車高を高くする。つまり、車体50は、コンテナCの荷台51への搭載によって下降して路面に対して接近し、コンテナCが移載された荷台51が空になると上昇する。
【0033】
図6に示すように、車体50には、蓄電装置53と、電力変換装置54と、コントローラ55と、通信部56とが搭載されている。蓄電装置53は電動モータ59へ電力供給を可能とするほか、各電動モータ59にて発生する回生電力を蓄電可能である。蓄電装置53は、例えば、ニッケル水素バッテリである。蓄電装置53は、車体50においてガントリークレーン13およびラバータイヤクレーン15と対向する側部57に接近させて設置されている。
【0034】
電力変換装置54はインバータ(図示せず)を備えており、蓄電装置53の直流電力を交流電力に変換して電動モータ59に供給するほか、電動モータ59にて発生する回生電力を交流電力から直流電力へ変換して蓄電装置53へ蓄電させる機能を備えている。
【0035】
コントローラ55は、電動モータ59、電力変換装置54を含むコンテナ用無人搬送車17の各部を制御する。コントローラ55は、プログラムの実行や各種の演算処理を行う演算処理部(図示せず)およびプログラムやデータを記憶する記憶部(記憶部)を備えている。通信部56は、運行制御装置18と無線通信により通信する機能を備えており、コントローラ55と接続されている。従って、運行制御装置18からの運行指令を通信部56が受けると、コントローラ55は、コンテナ用無人搬送車17が運行指令に基づいて走行経路16を走行するように各部を制御する。
【0036】
ところで、本実施形態のコンテナターミナル10では、無人搬送車の非接触式充電システム(以下、「非接触式充電システム」と表記する)が採用されている。
図2、
図3に示すように、本実施形態のガントリークレーン13の横架部材25の側部には、コンテナ用無人搬送車17へ非接触により送電可能とする送電装置60が備えられている。送電装置60は、送電部としての送電コイル61を備えている。また、ガントリークレーン13には、送風機62が走行経路16へ向けて備えられている。送風機62は、非接触の送電によるコンテナ用無人搬送車17に対する急速充電時に蓄電装置53を冷却するために備えられている。コンテナ用無人搬送車17が停車位置P1にて停止したとき、送風機62が蓄電装置53と対向するように、送風機62のガントリークレーン13における設置位置が設定されている。送電装置60および送風機62は、動力室30に設けた制御部(図示せず)と接続されており、この制御部により制御される。
【0037】
一方、
図6に示すように、コンテナ用無人搬送車17の車体50には、受電部としての受電コイル63と、受電コイル63に接続された整流器64を備えている。受電コイル63は、ガントリークレーン13に設けた送電装置60の送電コイル61から非接触により交流電力を受電可能である。整流器64は、受電コイル63が受電した交流電力を整流する。整流器64は蓄電装置53と接続されており、蓄電装置53は整流器64を通じて整流された電力を蓄電する。整流器64には、電流センサ(図示せず)が備えられており、電流センサは受電時の電流を検出する。
【0038】
コンテナ用無人搬送車17がコンテナ非搭載の状態では、受電コイル63の路面からの高さは、送電コイル61の路面からの高さとほぼ一致する。このため、コンテナ用無人搬送車17が停車位置P1にて停止したとき、受電コイル63と送電コイル61が対向する。つまり、送電コイル61は受電コイル63と対向可能である。なお、受電コイル63の路面からの高さは、油圧サスペンション58の作動により調整が可能である。つまり、本実施形態の油圧サスペンション58は、受電部に対して送電部の高さを調整する高さ調整機構に相当する。受電コイル63は、油圧サスペンション58により車高が変更されることにより、送電コイル61と対向する高さに合わせて位置決め可能である。
【0039】
このように、本実施形態の非接触式充電システムは、ガントリークレーン13に備えられた送電装置60と、コンテナ用無人搬送車17と、を備える。また、この非接触充電システムでは、
図9に示すように、ガントリークレーン13だけでなくラバータイヤクレーン15にコンテナ用無人搬送車17へ非接触により送電する送電装置70が備えられている。本実施形態の非接触による送電は、送電コイル61と受電コイル63との間を貫く磁束の強さの変化によって生じる起電力を利用した電磁誘導型の非接触による送電である。
【0040】
送電装置70は、ラバータイヤクレーン15の連結部材39の側部に備えられている。送電装置70は、送電部としての送電コイル71を備えている。また、ラバータイヤクレーン15には、送風機72が走行経路16へ向けて備えられている。送風機72は、非接触によるコンテナ用無人搬送車17に対する急速充電時に蓄電装置53を冷却するために備えられている。送電装置70および送風機72は制御部48と接続されており、制御部48により制御される。
【0041】
コンテナ用無人搬送車17が停車位置P2にて停止したとき、受電コイル63と送電コイル71が対向するように、送電コイル71のラバータイヤクレーン15における設置位置が設定されている。コンテナ用無人搬送車17が停車位置P2にて停止したときに送風機72が蓄電装置53と対向するように、送風機72のラバータイヤクレーン15における設置位置が設定されている。
【0042】
ところで、本実施形態の非接触式充電システムでは、
図10に示すフローにより、非接触式充電のための制御が行われる。
図10では、ガントリークレーン13をGCと表記し、ラバータイヤクレーン15をRTCと表記する。また、蓄電装置53の残容量をSOCと表記する。
【0043】
まず、コンテナ用無人搬送車17が、運行指令に基づいて走行し、ガントリークレーン13又はラバータイヤクレーン15に近くに到達すると、コントローラ55は蓄電装置53の残容量を運行制御装置18に伝達する(ステップS01を参照)。なお、ガントリークレーン13又はラバータイヤクレーン15の位置は、運行制御装置18からコンテナ用無人搬送車17に逐次伝達されている。したがって、コントローラ55は、ガントリークレーン13又はラバータイヤクレーン15とコンテナ用無人搬送車17との距離が予め設定された距離以下になると蓄電装置53の残容量を運行制御装置18に伝達する。
【0044】
次に、運行制御装置18は、蓄電装置53の残容量に適した充電量を求め、求められた適正な充電量をガントリークレーン13又はラバータイヤクレーン15に指令する(ステップS02を参照)。次に、コンテナ用無人搬送車17の走行により、コンテナ用無人搬送車17に設けた受電コイル63が、ガントリークレーン13の送電コイル61又はラバータイヤクレーン15の送電コイル71に接近すると、受電コイル63および送電コイル61又は送電コイル71が作動可能となる(ステップS03)。受電コイル63および送電コイル61又は送電コイル71が作動可能となるタイミングは、車体50の幅方向から見て受電コイル63が送電コイル61又は送電コイル71に重畳し始めるタイミングである。受電コイル63が送電コイル61又は送電コイル71に重畳し始めることにより、受電コイル63には送電コイル61又は送電コイル71から送電による電力が発生する。受電コイル63に電力が発生することにより受電コイル63には電流が流れる。
【0045】
次に、コントローラ55は、受電コイル63を流れる電流の電流値が閾値を越えるか否かを判別する(ステップS04を参照)。電流値が閾値を越える場合には、コントローラ55は、コンテナ用無人搬送車17の停車位置P1、P2を決定する(ステップS05を参照)。この停止位置は、蓄電装置53の残容量に基づいて決定される。電流値が閾値を越えない場合は、電流値が閾値を越えるまで判別を繰り返す。なお、電流値の閾値は予め設定されており、コントローラ55に予め記憶されている。受電コイル63を流れる電流の電流値は、整流器64が備える電流センサによって検出される。
【0046】
次に、コントローラ55は各電動モータ59を制御し、コンテナ用無人搬送車17を予め設定された走行パターンにより走行させる(ステップS06を参照)。コントローラ55には、蓄電装置53の残容量に応じた走行パターンが予め記憶されている。コンテナ用無人搬送車17が予め設定された走行パターンにより走行され、受電コイル63の送電コイル61又は送電コイル71への重畳する部位が拡大するにつれて、受電コイル63にて発生する電力は増大する。また、コンテナ用無人搬送車17の走行速度は停止位置へ向かうにつれて徐々に低下する。受電コイル63を通じて得られた電力は蓄電装置53に蓄電される。
【0047】
次に、コンテナ用無人搬送車17は停車位置に停車する(ステップS07を参照)。コンテナ用無人搬送車17は停車位置に停車すると、受電コイル63は送電コイル61又は送電コイル71と正対する状態となり、受電コイル63における非接触による最大効率の受電が可能となる。
【0048】
コンテナ用無人搬送車17は停車位置に停車すると、ガントリークレーン13又はラバータイヤクレーン15によりコンテナCが移載される(ステップS08を参照)。停車中のコンテナ用無人搬送車17に対するコンテナCの移載が行われると同時に、非接触による受電を受けて蓄電装置53の蓄電が行われる。停車中のコンテナ用無人搬送車17に対するコンテナCの移載は、コンテナCの荷台51への積み込み又はコンテナCの荷台51からの積み降ろしのいずれかである。
【0049】
停車中のコンテナ用無人搬送車17に対するコンテナCの移載が完了すると、受電コイル63と、送電コイル61又は送電コイル71とを停止する(ステップS09を参照)。受電コイル63と、送電コイル61又は送電コイル71の停止により、非接触による送受電は行われなくなる。次に、コンテナ用無人搬送車17は走行を開始する(ステップS10)。コンテナ用無人搬送車17の走行開始により、一連のフローが終了する。
【0050】
図10に示すフロー図において、ステップS04にて受電コイル63の電流値が閾値を越えると判別された時点で、少なくとも送電コイル61又は送電コイル71と受電コイル63との間にて非接触による送電が開始され、受電コイル63は電力が発生する。以降、ステップS09にて、受電コイル63と、送電コイル61又は送電コイル71とを停止するまで、受電コイル63には送電コイル61又は送電コイル71から送電による電力が発生する。
【0051】
次に、本実施形態に係る非接触式充電システムによるコンテナ用無人搬送車17への非接触による充電について説明する。本実施形態では、
図1に示すように、コンテナ用無人搬送車17は、走行経路16を一方向へ向けて走行する。コンテナ用無人搬送車17は、通信部56を介して運行制御装置18と無線通信を行い、コントローラ55は運行制御装置18の指令に基づいて車体50の各部を制御して発停する。
【0052】
図11(a)に示すように、走行中のコンテナ用無人搬送車17が停車位置P1に接近すると、コントローラ55は蓄電装置53の残容量を運行制御装置18に伝達する。蓄電装置53の残容量を運行制御装置18に伝達されたタイミングをT0とする。運行制御装置18は、蓄電装置53の残容量に適した充電量を求め、求められた適正な充電量をガントリークレーン13に指令する。
【0053】
次に、コンテナ用無人搬送車17の走行によりコンテナ用無人搬送車17に設けた受電コイル63がガントリークレーン13の送電コイル61に接近すると、受電コイル63および送電コイル61が作動可能となる。ガントリークレーン13は、蓄電装置53の残容量に対して適正な電力を送電するように送電装置60を制御する。
【0054】
図11(b)に示すように、コンテナ用無人搬送車17がさらに前進すると、受電コイル63が送電コイル61に重畳し始め、受電コイル63に電力が発生する。コンテナ用無人搬送車17の前進により、受電コイル63に発生する電力は増大する。コントローラ55は、受電コイル63を流れる電流の電流値が閾値を越えたことを検知すると、コンテナ用無人搬送車17の停車位置P1を決定する。コントローラ55は、各電動モータ59を制御し、予め設定された
図12に示す走行パターンによりコンテナ用無人搬送車17を走行させる。受電コイル63の電流値が閾値を越えたことを検知した後、受電コイル63が受電した交流電力は整流器64により整流されて直流電力となり、蓄電装置53に蓄電される。
図12に示すように、電流値が閾値を越えたタイミングをT1とする。
【0055】
図11(c)に示すように、予め設定された走行パターンによりコンテナ用無人搬送車17がさらに前進すると、受電コイル63と送電コイル61とは対向面の半分程度が重畳する状態となる。従って、
図12に示すように、受電コイル63に発生する電力は増大し、蓄電装置53に蓄電される電力は増大する。また、予め設定された走行パターンによりコンテナ用無人搬送車17の走行速度は低下する。受電コイル63と送電コイル61とは対向面の半分が重畳したタイミングをT2とする。
【0056】
図11(d)に示すように、コンテナ用無人搬送車17がさらに前進して停車位置P1に停車すると、受電コイル63と送電コイル61とは完全に正対する状態となる。このとき、受電コイル63では非接触による最大効率の受電が可能となる。受電コイル63と送電コイル61とは完全に正対したタイミングをT3とする。コンテナ用無人搬送車17の停車中は、コンテナCの移載と非接触による充電が同時行われる。
【0057】
コンテナ用無人搬送車17が停車位置P1にて停止するとガントリークレーン13がコンテナCをコンテナ船11から荷台51への移載を開始する。ガントリークレーン13によるコンテナCの移載はガントリークレーン13に搭乗したオペレータ操作によって行われる。まず、オペレータは、水平ジブ26上のトロリー27をコンテナ船11の上方へ移動させ、コンテナスプレッダ28を下降させる。次に、オペレータは、下降させたコンテナスプレッダ28にコンテナCを吊持させてから上昇させ、トロリー27をコンテナ用無人搬送車17の上方へ移動させる。トロリー27がコンテナ用無人搬送車17の上方へ移動されると、オペレータは、コンテナCを吊持しているコンテナスプレッダ28を下降させてコンテナCを荷台51に載置させる。
【0058】
ガントリークレーン13によるコンテナCの移載とともに、送電装置60の送電コイル61から受電コイル63への非接触の送電が行われ、受電コイル63を介して蓄電装置53への充電が行われる。つまり、ガントリークレーン13によるコンテナCの移載中に送電装置60による蓄電装置53の非接触充電が行われる。送電装置60による蓄電装置53の非接触充電は急速充電であるため、蓄電装置53は温度上昇するが、蓄電装置53の非接触による充電中は送風機62が作動し、蓄電装置53は送風機62による送風を受けて冷却される。このため、蓄電装置53の急速充電による温度上昇が抑制され、蓄電装置53の温度上昇による劣化が抑制される。
【0059】
荷台51へのコンテナCの搭載が完了すると、コンテナ用無人搬送車17は走行を開始する。荷台51へのコンテナCの搭載が完了は、例えば、車体50に荷重検出センサ(図示せず)を設け、荷重検出センサの信号によってコントローラ55が検知してもよい。また、荷台51へのコンテナCの搭載が完了すると、運行制御装置18を通じて送電装置60に対して送電停止の指令が伝達される。送電装置60による送電が送電停止の指令に基づいて停止されて蓄電装置53への充電が終了するとともに、送風機62の作動が停止される。荷台51にコンテナCが搭載され、非接触充電を終えたコンテナ用無人搬送車17は、コンテナヤード14へ向けて走行する。
【0060】
図12に示すように、非接触により受電コイル63が受電する受電量は、タイミングT1~T3の間に増大し、タイミングT3では最大となる。送電コイル61と受電コイル63との高さ方向の位置ずれが無い場合(
図12に示す線A)、高さ方向の位置ずれが存在する場合(
図12に示す線B、C)と比較してタイミングT3における受電量は多い。送電コイル61と受電コイル63との高さ方向の位置ずれの有無に関わらず、タイミングT3にて受電量は最大となる。コントローラ55には、蓄電装置53の残容量に応じた走行パターンが記憶されており、
図12に示す走行速度と時間との関係を示すグラフが走行パターンに相当する。コントローラ55は、走行パターンにてコンテナ用無人搬送車17が走行するように電動モータ59の回転数を制御する。
【0061】
次に、走行中のコンテナ用無人搬送車17が停車位置P2に接近すると、コントローラ55は蓄電装置53の残容量を運行制御装置18に伝達する。蓄電装置53の残容量を運行制御装置18に伝達されたタイミングをT0(便宜上、符号は共通とする)とする。運行制御装置18は、蓄電装置53の残容量に適した充電量を求め、求められた適正な充電量をラバータイヤクレーン15に指令する。
【0062】
次に、コンテナ用無人搬送車17の走行によりコンテナ用無人搬送車17に設けた受電コイル63がラバータイヤクレーン15の送電コイル71に接近すると、受電コイル63および送電コイル71が作動可能となる。ラバータイヤクレーン15は、蓄電装置53の残容量に対して適正な電力を送電するように送電装置60を制御する。
【0063】
コンテナ用無人搬送車17がさらに前進すると、受電コイル63が送電コイル71に重畳し始め、受電コイル63に電力が発生する。コンテナ用無人搬送車17の前進により、受電コイル63に発生する電力は増大する。コントローラ55は、受電コイル63を流れる電流の電流値が閾値を越えたことを検知すると、コンテナ用無人搬送車17の停車位置P2を決定する。コントローラ55は、各電動モータ59を制御し、予め設定された走行パターンによりコンテナ用無人搬送車17を走行させる。受電コイル63の電流値が閾値を越えたことを検知した後、受電コイル63が受電した交流電力は整流器64により整流されて直流電力となり、蓄電装置53に蓄電される。電流値が閾値を越えたタイミングをT1(便宜上、符号は共通とする)とする(
図12を参照)。
【0064】
予め設定された走行パターンによりコンテナ用無人搬送車17がさらに前進すると、受電コイル63と送電コイル71とは対向面の半分程度が重畳する状態となる。従って、受電コイル63に発生する電力は増大し、蓄電装置53に蓄電される電力は増大する。また、予め設定された走行パターンによりコンテナ用無人搬送車17の走行速度は低下する。受電コイル63と送電コイル71とは対向面の半分が重畳したタイミングをT2(便宜上、符号は共通とする)とする。
【0065】
コンテナ用無人搬送車17がさらに前進して停車位置P2に停車すると、受電コイル63と送電コイル71とは完全に正対する状態となる。このとき、受電コイル63では非接触による最大効率の受電が可能となる。受電コイル63と送電コイル71とは完全に正対したタイミングをT3(便宜上、符号は共通とする)とする。コンテナ用無人搬送車17の停車中は、コンテナCの移載と非接触による充電が同時行われる。
【0066】
コンテナ用無人搬送車17が停車位置P2にて停車すると、ラバータイヤクレーン15がコンテナCを荷台51からコンテナヤード14への移載を開始する。ラバータイヤクレーン15によるコンテナCの移載は運行制御装置18の指令に基づいて行われる。まず、横架材38上のトロリー45がコンテナ用無人搬送車17の上方へ移動され、続いてコンテナスプレッダ46が下降される。下降されたコンテナスプレッダ46が荷台51のコンテナCを吊持すると上昇され、トロリー45がコンテナヤード14の上方へ移動させる。トロリー45がコンテナヤード14の上方へ移動すると、コンテナスプレッダ46が下降してコンテナCはコンテナヤード14に載置される。
【0067】
ラバータイヤクレーン15によるコンテナCの移載とともに、送電装置70の非接触による受電コイル63に対する送電が行われ、車体50に搭載された蓄電装置53への充電が行われる。つまり、ラバータイヤクレーン15によるコンテナCの移載中に送電装置70による蓄電装置53の非接触充電が行われる。送電装置70による蓄電装置53の非接触充電は急速充電であるため、蓄電装置53は温度上昇するが、蓄電装置53の非接触による充電中は送風機72が作動し、蓄電装置53は送風機72による送風を受けて冷却される。このため、蓄電装置53の温度上昇が抑制され、蓄電装置53の温度上昇による劣化が抑制される。
【0068】
コンテナヤード14へのコンテナCの移載が完了すると、コンテナ用無人搬送車17は走行を開始する。コンテナヤード14へのコンテナCの移載の完了は、例えば、運行制御装置18によりコントローラ55へ伝達されてもよい。送電装置70および送風機72は、コンテナヤード14へのコンテナCの移載完了の時点でラバータイヤクレーン15に設けた制御部48により送電停止と送風停止の指令を受ける。このため、送電装置70による送電が停止されて蓄電装置53への充電が終了するとともに、送風機72の作動が停止される。コンテナヤード14にコンテナCが移載され、非接触充電を終えたコンテナ用無人搬送車17は、ガントリークレーン13へ向けて走行する。
【0069】
図12に示すように、非接触により受電コイル63が受電する受電量は、タイミングT1~T3の間に増大し、タイミングT3では最大となる。送電コイル71と受電コイル63との高さ方向の位置ずれが無い場合(
図12に示す線A)、高さ方向の位置ずれが存在する場合(
図12に示す線B、C)と比較してタイミングT3における受電量は多い。送電コイル71と受電コイル63との高さ方向の位置ずれの有無に関わらず、タイミングT3にて受電量は最大となる。コントローラ55には、蓄電装置53の残容量に応じた走行パターンが記憶されており、
図12に示す走行速度と時間との関係を示すグラフが走行パターンに相当する。コントローラ55は、走行パターンにてコンテナ用無人搬送車17が走行するように電動モータ59の回転数を制御する。
【0070】
本実施形態は、以下の作用効果を奏する。
(1)受電コイル63がコンテナ用無人搬送車17の側部に設けられ、ガントリークレーン13(ラバータイヤクレーン15)に設けられた送電装置60(70)の送電コイル61(71)は、受電コイル63と対向可能である。このため、コンテナ用無人搬送車17の進行方向に対する直交方向における送電コイル61(71)との受電コイル63と間隙は、コンテナ用無人搬送車17がガントリークレーン13(ラバータイヤクレーン15)へ向けて走行しても一定である。受電コイル63の送電コイル61(71)への接近により、受電発生を示す値が閾値を越えるとき、コンテナ用無人搬送車17の停車位置P1(P2)が決定される。決定された停車位置P1(P2)は効率的に充電を行う最適な位置であり、停車位置P1(P2)が決定された後、コンテナ用無人搬送車17が停車位置P1(P2)に停車するまで充電効率を向上させて走行時に非接触により充電することができる。そして、コンテナ用無人搬送車17が停車位置P1(P2)に停車すると、コンテナCの移載が行われることから、コンテナCの移載と同時に最大効率の非接触充電を行うことができる。
【0071】
(2)コンテナ用無人搬送車17は、停車位置P1(P2)が決定された後、予め設定された走行パターンにより一定時間を走行して停車するため、コンテナ用無人搬送車17は停車位置P1(P2)に正確に停車することができる。
【0072】
(3)受電発生を示す値は、受電コイル63に生じる電流値であり、受電コイル63に生じる電流値が閾値を越えるとき、コントローラ55は、停車位置P1(P2)を決定する。このため、送電を受けた受電コイル63に生じる電流値を用いることにより、電流値が閾値を越える受電初期のタイミングを確実に検知することができる。
【0073】
(4)高さ調整機構としての油圧サスペンション58は、送電コイル61(71)と受電コイル63との高さを同じ高さにするように送電コイル61(71)と受電コイル63との高さを調整することができる。その結果、送電コイル61(71)と受電コイル63との高さ方向の位置ずれによる充電効率の低下を防止することができる。
【0074】
(5)高さ調整機構としての油圧サスペンション58は、コンテナ用無人搬送車17に備えられているため、送電コイル61(71)に対する受電コイル63の高さ方向の位置を変更することができる。
【0075】
(6)高さ調整機構がコンテナ用無人搬送車17の車高を変更可能とする油圧サスペンション58である。油圧サスペンション58は、コンテナ用無人搬送車17の車高を変更することにより、荷台51へのコンテナ搭載時の衝撃を低減するほか、送電コイル61(71)と受電コイル63との高さを調整することができる。従って、高さ調整機構を別途、設ける必要がない。
【0076】
(7)停車位置P1(P2)が決定された後、コンテナ用無人搬送車17が予め設定された走行パターンにより一定時間を走行して停車することにより、コンテナ用無人搬送車17は停車位置P1(P2)に正確に停車することができる。
【0077】
(8)コンテナ用無人搬送車17が停車位置P1(P2)に停車するまで充電効率を向上させて走行時に非接触により充電することができる。そして、コンテナ用無人搬送車17が停車位置P1(P2)に停車すると、コンテナCの移載が行われることから、コンテナCの移載と同時に最大効率の非接触充電を行うことができる。
【0078】
(9)蓄電装置53の残容量に適した充電量に相当する電力が受電コイル63に発生するので、蓄電装置53が過度の蓄電を行うことはない。また、送電装置60を制御することにより、蓄電装置53の充電に必要な送電量を変更することも可能である。
【0079】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る非接触式充電システムおよび無人搬送車について説明する。本実施形態では、荷移載機に発信器が備えられ、無人搬送車に受信器が設けられている。そして、発信器と受信器との間の距離が閾値を下回るとき、停車位置を決定する点で第1の実施形態と異なる。本実施形態では、第1の実施形態と同じ構成については第1の実施形態の説明を援用し、共通の符号を用いる。
【0080】
図13に示すように、荷移載機としてのガントリークレーン80の陸側の脚部22の下部には、走行経路16を走行するコンテナ用無人搬送車17へ停車位置P1の位置を発信する発信器81を備えている。また、
図14に示すように、ラバータイヤクレーン82の陸側の連結部
材39には、走行経路16を走行するコンテナ用無人搬送車17へ停車位置P2の位置を発信する発信器83を備えている。発信器83はガントリークレーン80が備える発信器81と同一構成である。
【0081】
図13、
図14に示すように、コンテナ用無人搬送車85は、発信器81、83の信号を受信可能な受信器86を備えている。受信器86はコントローラ55と接続されており、受信した発信器31、49の信号はコントローラ55へ伝達される。コントローラ55は、受信器86から伝達される信号に基づいてコンテナ用無人搬送車17の停車位置P1、P2に対する位置決めを行うように各部を制御する。具体的には、コントローラ55は、例えば、発信器81の信号に基づく停車位置P1とコンテナ用無人搬送車17の現在位置とを比較し、現在位置と停車位置P1との差異に応じて電動モータ59を制御する。また、コンテナ用無人搬送車85は、高さセンサ(図示せず)を備えている。高さセンサは、受電コイル63の送電コイル61(71)に対する高さ方向の位置ずれを検出するセンサであり、コントローラ55と接続されている。
【0082】
図15(a)に示すように、走行中のコンテナ用無人搬送車85が停車位置P1に接近すると、コントローラ55は蓄電装置53の残容量を運行制御装置18に伝達する。蓄電装置53の残容量を運行制御装置18に伝達されたタイミングをt0とする。運行制御装置18は、蓄電装置53の残容量に適した充電量を求め、求められた適正な充電量をガントリークレーン13に伝達する。
【0083】
次に、コンテナ用無人搬送車85の走行によりコンテナ用無人搬送車85に設けた受信器86がガントリークレーン80の発信器81に接近すると、受電コイル63および送電コイル61が作動可能となる。ガントリークレーン80は、蓄電装置53の残容量に対して適正な電力を送電するように送電装置60を制御する。
【0084】
図15(b)に示すように、コンテナ用無人搬送車17がさらに前進すると、発信器81と受信器86との間の距離が小さくなり、受電コイル63が送電コイル61に重畳し始め、受電コイル63に電力が発生する。コンテナ用無人搬送車85の前進により、受電コイル63に発生する電力は増大する。コントローラ55は、発信器81と受信器86との間の距離が閾値を下回ることを検知すると、コンテナ用無人搬送車85の停車位置P1を決定する。コントローラ55は、各電動モータ59を制御し、予め設定された
図16に示す走行パターンによりコンテナ用無人搬送車85を走行させる。発信器81と受信器86との間の距離が閾値を下回ることを検知した後、受電コイル63が受電した交流電力は整流器64により整流されて直流電力となり、蓄電装置53に蓄電される。
図16に示すように、発信器81と受信器86との間の距離が閾値を下回るタイミングをt1とする。
【0085】
図15(c)に示すように、予め設定された走行パターンによりコンテナ用無人搬送車85がさらに前進すると、受電コイル63と送電コイル61とは対向面の半分程度が重畳する状態となる。従って、
図12に示すように、受電コイル63に発生する電力は増大し、蓄電装置53に蓄電される電力は増大する。また、予め設定された走行パターンによりコンテナ用無人搬送車85の走行速度は低下する。受電コイル63と送電コイル61とは対向面の半分が重畳したタイミングをt2とする。
【0086】
図15(d)に示すように、コンテナ用無人搬送車85がさらに前進して停車位置P1に停車すると、受電コイル63と送電コイル61とは完全に正対する状態となる。また、受信器86は発信器81と対向し、走行方向の距離は0となる。このとき、受電コイル63では非接触による最大効率の受電が可能となる。受電コイル63と送電コイル61とは完全に正対したタイミングをt3とする。コンテナ用無人搬送車85の停車中は、コンテナCの移載と非接触による充電が同時行われる。
【0087】
コンテナ用無人搬送車85が停車位置P1にて停止するとガントリークレーン80がコンテナCをコンテナ船11から荷台51への移載を開始する。ガントリークレーン80によるコンテナCの移載はガントリークレーン13に搭乗したオペレータ操作によって行われる。
【0088】
ガントリークレーン80によるコンテナCの移載とともに、送電装置60の送電コイル61から受電コイル63への非接触の送電が行われ、受電コイル63を介して蓄電装置53への充電が行われる。つまり、ガントリークレーン80によるコンテナCの移載中に送電装置60による蓄電装置53の非接触充電が行われる。送電装置60による蓄電装置53の非接触充電は急速充電であるが、蓄電装置53は送風機62による送風を受けて冷却される。
【0089】
荷台51へのコンテナCの搭載が完了すると、コンテナ用無人搬送車85は走行を開始する。荷台51にコンテナCが搭載され、非接触充電を終えたコンテナ用無人搬送車85は、コンテナヤード14へ向けて走行する。
【0090】
図16に示すように、発信器81と受信器86との間の距離は、タイミングt1~t3の間に減少し、タイミングt3では最小となる。送電コイル61と受電コイル63との高さ方向の位置ずれが無い場合(
図16に示す線D)、高さ方向の位置ずれが存在する場合(
図16に示す線E、F)と比較してタイミングt3における発信器81と受信器86との間の距離の差は小さい。送電コイル61と受電コイル63との高さ方向の位置ずれの有無に関わらず、タイミングt3にて発信器81と受信器86との間の距離は最小となる。コントローラ55には、蓄電装置53の残容量に応じた走行パターンが記憶されており、
図16に示す走行速度と時間との関係を示すグラフが走行パターンに相当する。コントローラ55は、走行パターンにてコンテナ用無人搬送車85が走行するように電動モータ59の回転数を制御する。
【0091】
次に、走行中のコンテナ用無人搬送車85が停車位置P2に接近すると、コントローラ55は蓄電装置53の残容量を運行制御装置18に伝達する。蓄電装置53の残容量を運行制御装置18に伝達されたタイミングをt0(便宜上、符号は共通とする)とする。運行制御装置18は、蓄電装置53の残容量に適した充電量を求め、求められた適正な充電量をラバータイヤクレーン82に伝達する。
【0092】
次に、コンテナ用無人搬送車85の走行によりコンテナ用無人搬送車85に設けた受電コイル63がラバータイヤクレーン82の送電コイル71に接近すると、受電コイル63および送電コイル71が作動可能となる。ラバータイヤクレーン82は、蓄電装置53の残容量に対して適正な電力を送電するように送電装置60を制御する。
【0093】
コンテナ用無人搬送車85がさらに前進すると、発信器83と受信器86との間の距離が小さくなり、受電コイル63が送電コイル71に重畳し始め、受電コイル63に電力が発生する。コンテナ用無人搬送車85の前進により、受電コイル63に発生する電力は増大する。コントローラ55は、発信器83と受信器86との間の距離が閾値を下回ることを検知すると、コンテナ用無人搬送車85の停車位置P2を決定する。コントローラ55は、各電動モータ59を制御し、予め設定された走行パターンによりコンテナ用無人搬送車85を走行させる。発信器83と受信器86との間の距離が閾値を下回ることを検知した後、受電コイル63が受電した交流電力は整流器64により整流されて直流電力となり、蓄電装置53に蓄電される。発信器83と受信器86との間の距離が閾値を下回るタイミングをt1(便宜上、符号は共通とする)とする(
図16を参照)。
【0094】
予め設定された走行パターンによりコンテナ用無人搬送車85がさらに前進すると、受電コイル63と送電コイル71とは対向面の半分程度が重畳する状態となる。従って、受電コイル63に発生する電力は増大し、蓄電装置53に蓄電される電力は増大する。また、予め設定された走行パターンによりコンテナ用無人搬送車85の走行速度は低下する。受電コイル63と送電コイル71とは対向面の半分が重畳したタイミングをt2(便宜上、符号は共通とする)とする。
【0095】
コンテナ用無人搬送車85がさらに前進して停車位置P2に停車すると、受電コイル63と送電コイル71とは完全に正対する状態となる。このとき、受電コイル63では非接触による最大効率の受電が可能となる。受電コイル63と送電コイル71とは完全に正対したタイミングをt3(便宜上、符号は共通とする)とする。コンテナ用無人搬送車85の停車中は、コンテナCの移載と非接触による充電が同時行われる。
【0096】
コンテナ用無人搬送車85が停車位置P2にて停止すると、ラバータイヤクレーン82がコンテナCを荷台51からコンテナヤード14への移載を開始する。ラバータイヤクレーン82によるコンテナCの移載は運行制御装置18の指令に基づいて行われる。
【0097】
ラバータイヤクレーン82によるコンテナCの移載とともに、送電装置70の非接触による受電コイル63に対する送電が行われ、車体50に搭載された蓄電装置53への充電が行われる。つまり、ラバータイヤクレーン82によるコンテナCの移載中に送電装置70による蓄電装置53の非接触充電が行われる。送電装置70による蓄電装置53の非接触充電は急速充電であるが、蓄電装置53は送風機72による送風を受けて冷却される。
【0098】
コンテナヤード14へのコンテナCの移載が完了すると、コンテナ用無人搬送車85は走行を開始する。コンテナヤード14にコンテナCが移載され、非接触充電を終えたコンテナ用無人搬送車85は、ガントリークレーン80へ向けて走行する。
【0099】
図16に示すように、発信器83と受信器86との間の距離は、タイミングt1~t3の間に減少し、タイミングt3では最小となる。送電コイル71と受電コイル63との高さ方向の位置ずれが無い場合(
図16に示す線D)、高さ方向の位置ずれが存在する場合(
図16に示す線E、F)と比較してタイミングt3における発信器81と受信器86との間の距離の差は小さい。送電コイル71と受電コイル63との高さ方向の位置ずれの有無に関わらず、タイミングt3にて発信器83と受信器86との間の距離は最小となる。コントローラ55には、蓄電装置53の残容量に応じた走行パターンが記憶されており、
図16に示す走行速度と時間との関係を示すグラフが走行パターンに相当する。コントローラ55は、走行パターンにてコンテナ用無人搬送車85が走行するように電動モータ59の回転数を制御する。
【0100】
本実施形態によれば、第1の実施形態の作用効果(2)、(4)~(7)と同等の作用効果を奏する。また、受信器86の発信器81(83)への接近により、発信器81と受信器86との間の距離が閾値を下回るとき、コンテナ用無人搬送車85の停車位置P1(P2)が決定される。決定された停車位置P1(P2)は効率的に充電可能な最適な位置であり、停車位置P1(P2)が決定された後、コンテナ用無人搬送車85が停車位置P1(P2)に停車するまで充電効率を向上させて走行時に非接触により充電することができる。そして、コンテナ用無人搬送車85が停車位置P1(P2)に停車すると、コンテナCの移載が行われることから、コンテナCの移載と同時に最大効率の非接触充電を行うことができる。
【0101】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
【0102】
○ 上記の実施形態では、停車位置P1にてコンテナCをコンテナ船11からコンテナ用無人搬送車17(85)へ移載するとしたが、この限りではない。停車位置P1では荷台51に搭載されたコンテナCをコンテナ用無人搬送車17(85)からコンテナ船11へ移載してもよい。また、上記の実施形態では、停車位置P2にてコンテナCをコンテナ用無人搬送車17(85)からコンテナヤード14へ移載するとしたが、この限りではない。停車位置P2では、コンテナヤード14からコンテナ用無人搬送車17へコンテナCを移載してもよい。
○ 上記の実施形態では、荷の移載時に限って非接触による送電により蓄電装置を充電するとしたがその限りではない。停車位置への停止前であって受電部が送電装置と対向し始めるときから送電装置を作動させてもよい。また、荷の移載後にコンテナ用無人搬送車が走行し始め、受電部が送電装置から離れるまでの間において送電装置を作動させてもよい。この場合、荷の移載の前後で蓄電装置に対する充電が行われるので、より効率的に非接触送電による充電が可能となる。
○ 上記の実施形態では、コンテナの移載と同時に行われる蓄電装置の充電は急速充電としたが、急速充電以外の通常の充電としてもよい。
○ 上記の実施形態では、高さ調整機構として油圧サスペンションを用いたがこのかぎりではない。少なくとも、送電部および受電部の少なくとも一方の高さを調節することが可能でれば、特に手段は限定されない。
【符号の説明】
【0103】
10 コンテナターミナル
13、80 ガントリークレーン
14 コンテナヤード
15、82 ラバータイヤクレーン
16 走行経路
17、85 コンテナ用無人搬送車
18 運行制御装置
25 横架部材
31、49、81、83 発信器
48 制御部
51 荷台
52 駆動輪
53 蓄電装置
54 電力変換装置
55 コントローラ
57 側部
58 油圧サスペンション
59 電動モータ
60、70 送電装置
61、71 送電コイル
62、72 送風機
63 受電コイル
64 整流器
86 受信器
C コンテナ
P1、P2 停車位置(荷移載位置)
T コンテナトレーラー