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特許6996463シリンダヘッドカバー及びシリンダヘッドカバーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】シリンダヘッドカバー及びシリンダヘッドカバーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F02F 7/00 20060101AFI20220107BHJP
   F01M 13/04 20060101ALI20220107BHJP
   F01M 13/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
F02F7/00 L
F01M13/04 E
F01M13/00 K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018176978
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2020045881
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 卓央
【審査官】菅野 京一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-145916(JP,U)
【文献】特開2015-048752(JP,A)
【文献】特開2015-113763(JP,A)
【文献】実開平06-094707(JP,U)
【文献】特開平03-172524(JP,A)
【文献】中国実用新案第202520396(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 7/00
F01M 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関内にて発生したブローバイガスを前記内燃機関から吸気経路に流すブローバイガス還流システムにおけるシリンダヘッドカバーであって、
前記シリンダヘッドカバーは、樹脂または金属の型成形品であって前記内燃機関のシリンダヘッドを覆うように設けられてブローバイガスが集められる本体部と、前記本体部の側方に突出するように設けられてブローバイガスを前記吸気経路に向けて吐出する側方突出部と、を有しており、
前記側方突出部と前記吸気経路とは配管にて接続され、
前記本体部は、集められたブローバイガスを前記側方突出部まで導くとともに所定の経路断面積を有する本体部内ガス経路を有しており、
前記本体部内ガス経路から前記側方突出部の出口までのブローバイガスが流れる経路であるカバー内ガス経路において、経路の断面積が最小となる経路断面積最小部は、前記側方突出部ではなく前記本体部内ガス経路に設けられており、
前記本体部における前記経路断面積最小部の位置よりも下流側となる前記本体部内ガス経路の位置に、前記本体部内ガス経路内の圧力を検出する圧力検出手段を前記本体部の外側から取り付けるための孔部、または前記圧力検出手段を前記本体部の外側から接続するための突出分岐路、が形成されており、
前記本体部と、前記側方突出部と、前記孔部または前記突出分岐路は、一体成形品とされている、
シリンダヘッドカバー。
【請求項2】
請求項1に記載のシリンダヘッドカバーであって、
前記孔部が形成されている場合、前記内燃機関に前記シリンダヘッドカバーを取り付けた際に前記孔部は、前記シリンダヘッドとは反対の側に配置されて、前記シリンダヘッドとは反対の側に開口するように形成されており、
前記突出分岐路が形成されている場合、前記内燃機関に前記シリンダヘッドカバーを取り付けた際に前記突出分岐路は、前記シリンダヘッドとは反対の側に配置されて、前記シリンダヘッドとは反対の側に突出するように形成されている、
シリンダヘッドカバー。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシリンダヘッドカバーであって、
前記本体部内ガス経路は、迷路状に経路が形成されたラビリンス経路部と、前記ラビリンス経路部の終端から前記側方突出部までを接続する接続経路部と、を有しており、
前記経路断面積最小部と、前記孔部または前記突出分岐路と、が前記接続経路部に設けられている、
シリンダヘッドカバー。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のシリンダヘッドカバーであって、
前記内燃機関に前記シリンダヘッドカバーを取り付けた際の前記シリンダヘッドカバーにおける前記シリンダヘッドの側から前記シリンダヘッドとは反対の側に向かう方向の高さをシリンダヘッドカバー高さとした場合、
前記経路断面積最小部は、前記シリンダヘッドカバー高さが周囲の前記シリンダヘッドカバー高さよりも低くなっている前記シリンダヘッドカバーの個所に設けられている、
シリンダヘッドカバー。
【請求項5】
内燃機関内にて発生したブローバイガスを前記内燃機関から吸気経路に流すブローバイガス還流システムにおけるシリンダヘッドカバーの製造方法であって、
前記シリンダヘッドカバーは、樹脂または金属の型成形品であり、前記内燃機関のシリンダヘッドを覆うように設けられてブローバイガスが集められる本体部と、前記本体部の側方に突出するように設けられてブローバイガスを前記吸気経路に向けて吐出する側方突出部と、を有し、
前記本体部に、集められたブローバイガスを前記側方突出部まで導くとともに所定の経路断面積を有する本体部内ガス経路を設定し、
前記本体部内ガス経路から前記側方突出部の出口までのブローバイガスが流れる経路であるカバー内ガス経路において、経路の断面積が最小となる経路断面積最小部を、前記側方突出部ではなく前記本体部内ガス経路に設定し、
前記本体部における前記経路断面積最小部の位置よりも下流側となる前記本体部内ガス経路の位置に、前記本体部内ガス経路内の圧力を検出する圧力検出手段を前記本体部の外側から取り付けるための孔部、または前記圧力検出手段を前記本体部の外側から接続するための突出分岐路、を設定し、
前記本体部と、前記孔部または突出分岐路とを、少なくとも一方が本体型抜き方向に沿って移動可能な一方型と他方型の少なくとも一方にて形成し、
前記側方突出部を、前記側方突出部の軸線方向であって前記本体型抜き方向とは異なる方向である側方型抜き方向に移動可能な側方型にて形成することで、前記本体部と、前記孔部または前記突出分岐路と、前記側方突出部と、を一体成形する、
シリンダヘッドカバーの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のシリンダヘッドカバーの製造方法であって、
前記本体型抜き方向を上方向に設定し、
前記一方型を前記他方型の上方に配置し、
前記孔部または前記突出分岐路を、前記一方型にて形成する、
シリンダヘッドカバーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のシリンダヘッドカバー、及び当該シリンダヘッドカバーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の内部ではブローバイガスが発生しており、当該ブローバイガスを吸気経路に流すブローバイガス還流システムが構成されている。ブローバイガスは、燃料を含んだガスであるため、環境上の観点から、大気中に放出するべきではないため、一旦、内燃機関のシリンダヘッドカバーに集め、配管を介してシリンダヘッドカバーから吸気経路へ流し、内燃機関で燃焼させている。内燃機関の運転時の吸気経路では負圧が発生しているので、当該負圧にてブローバイガスをシリンダヘッドカバーから吸気経路に吸引している。
【0003】
図9に、従来のシリンダヘッドカバー170の例を示す。なお、図中にX軸、Y軸、Z軸が記載されている場合、X軸とY軸とZ軸は互いに直交しており、Z軸方向は鉛直上向き方向を示し、X軸方向とY軸方向は水平方向を示している。またY軸方向はシリンダヘッドカバーの長手方向を示している。シリンダヘッドカバー170は、樹脂等の型成形品であり、本体部171、側方突出部172、ラビリンス経路部173、接続経路部174、突出分岐路180A等を有している。本体部171は、内燃機関のシリンダヘッドを覆うように設けられ、内燃機関内で発生したブローバイガスを集め、集めたブローバイガスをラビリンス経路部173と接続経路部174を経由させて側方突出部172へと導く。ラビリンス経路部173は、所定の経路断面積を有して迷路状とされたブローバイガスの流れる経路であり、ブローバイガス中の油分等を分離する。接続経路部174は、所定の経路断面積を有してラビリンス経路部173の出口部と側方突出部172の入口部とを接続している。側方突出部172は、筒状の形状を有して本体部171の側方から突出しており、シリンダヘッドカバー170からのブローバイガスを吸気経路に導くための配管182が接続されている。なお、側方突出部172は、無理抜き製法にて作られている。
【0004】
なお、シリンダヘッドカバー170の側方突出部172と吸気経路とに接続された配管182に、割れ、亀裂、脱落等が発生した場合、ブローバイガスが大気中に漏れるので、当該配管182の割れ、亀裂、脱落等を検出する必要がある。前記配管182の割れ、亀裂、脱落等の検出には、配管182の上流側の圧力が利用されている。具体的には、シリンダヘッドカバー170からのブローバイガスの出口に相当する側方突出部172に、圧力検出手段の検出用配管を接続するための突出分岐路180Aを設け、当該突出分岐路を介して側方突出部172内の圧力を検出することで、配管182の割れ、亀裂、脱落等の発生を検出している。
【0005】
また特許文献1には、上記のラビリンス経路部に相当するPCVルームを有するシリンダヘッドカバーが記載されている。特許文献1に記載のシリンダヘッドカバーでは、自身から吐出されるブローバイガスを吸気経路へ導く配管が、PCVルームの出口部に接続されており、PCVルームには、PCVルーム内の圧力を検出する圧力センサが接続されている。
【0006】
また特許文献2には、上記のラビリンス経路部に相当する油分分離機がシリンダヘッドカバーとは別体とされたブローバイガス還流装置が記載されている。特許文献2に記載のシリンダヘッドカバーでは、別体とされた油分分離機がシリンダヘッドカバーの外部に固定され、シリンダヘッドカバーと油分分離機は上流側配管にて接続され、油分分離機と吸気経路は下流側配管にて接続されている。また、油分分離機における下流側配管との接続部である分離機出口配管には、圧力検出器に接続するための分岐配管が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平3-172524号公報
【文献】特開2015-121195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図9に示す従来のシリンダヘッドカバーを製造する場合、一般的には、図10及び図11に示すように、下方型JL(金型等)と上方型JU(金型等)にて本体部171を形成し、側方型JS(金型等)にて側方突出部172を形成する。この場合、側方型JSの型抜き方向である側方型抜き方向DXは、筒状の側方突出部172の突出方向であり、図10及び図11の場合では、側方型抜き方向DXはX軸方向にほぼ平行となる。また下方型JLと上方型JUの型抜き方向である本体型抜き方向DZは上下方向であり、図10及び図11の場合では、本体型抜き方向DZはZ軸方向にほぼ平行となる。また、下方型JL、上方型JU、側方型JSにて一体成形されたシリンダヘッドカバー170は、図9に示す突出分岐路180Aと、ラビリンス経路部173と、を有していない。ラビリンス経路部173は迷路状の複雑な形状であるので、シリンダヘッドカバー170とは別体で組み立てられて、一体成形されたシリンダヘッドカバー170に取り付けられている(図12)。また突出分岐路180Aの突出方向は、図10及び図11に示す側方型抜き方向DXと平行ではないので、側方型JSにて側方突出部172と突出分岐路180Aとを一体成形することができないため、別体とされている。このため、側方型JSでは突出分岐路180Aを有していない側方突出部172を形成しなければならず、本体部171と側方突出部172を一体成形品として形成した後、側方突出部172に突出分岐路180Aを溶着またはネジ止め等している(図12)。
【0009】
配管182(図9参照)の割れ、亀裂、脱落等を検出するために配管182内の圧力を精度良く検出するには、側方突出部172内の圧力を検出する必要があると考えられていたため、突出分岐路180Aは側方突出部172に設ける必要があると考えられていた。しかし、上述したように側方型JS(図10図11参照)を用いて側方突出部172を形成した場合、側方突出部172と突出分岐路180Aとを一体成形することができないため、突出分岐路180Aを別体として溶着またはネジ止め等しなければならず、部品点数及び製造工程が増加していた。突出分岐路180Aは単純な形状であり、側方突出部172または本体部171と一体成形することで、部品点数及び製造工程を低減することが望まれている。
【0010】
また特許文献1に記載されているシリンダヘッドカバーには、PCVルーム内の圧力を検出する圧力センサが設けられている。しかし、シリンダヘッドカバーと吸気経路を接続する配管の割れ、亀裂、脱落等を検出するための圧力検出手段に関する記載は見受けられず、当該配管の割れ、亀裂、脱落等を検出するための圧力検出手段が設けられていない。
【0011】
また特許文献2に記載されているシリンダヘッドカバーでは、油分分離機における分離機出口配管に接続された圧力検出器にて下流側配管の割れ、亀裂、脱落等を検出することはできるが、上流側配管の割れ、亀裂、脱落等を検出することはできない。また、油分分離機を別体で設けているため、シリンダヘッドカバーと吸気経路を接続する配管が、上流側配管と下流側配管に分かれて部品点数が増加している。
【0012】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、ブローバイガス還流システムにおけるシリンダヘッドカバーにおいて、シリンダヘッドカバーと吸気経路とを接続するブローバイガス還流用の配管の割れ、亀裂、脱落等を適切に検出することが可能であり、かつ、部品点数と製造工程をより低減することができるシリンダヘッドカバー及びシリンダヘッドカバーの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、内燃機関内にて発生したブローバイガスを前記内燃機関から吸気経路に流すブローバイガス還流システムにおけるシリンダヘッドカバーであって、前記シリンダヘッドカバーは、樹脂または金属の型成形品であって前記内燃機関のシリンダヘッドを覆うように設けられてブローバイガスが集められる本体部と、前記本体部の側方に突出するように設けられてブローバイガスを前記吸気経路に向けて吐出する側方突出部と、を有しており、前記側方突出部と前記吸気経路とは配管にて接続され、前記本体部は、集められたブローバイガスを前記側方突出部まで導くとともに所定の経路断面積を有する本体部内ガス経路を有しており、前記本体部内ガス経路から前記側方突出部の出口までのブローバイガスが流れる経路であるカバー内ガス経路において、経路の断面積が最小となる経路断面積最小部は、前記側方突出部ではなく前記本体部内ガス経路に設けられており、前記本体部における前記経路断面積最小部の位置よりも下流側となる前記本体部内ガス経路の位置に、前記本体部内ガス経路内の圧力を検出する圧力検出手段を前記本体部の外側から取り付けるための孔部、または前記圧力検出手段を前記本体部の外側から接続するための突出分岐路、が形成されており、前記本体部と、前記側方突出部と、前記孔部または前記突出分岐路は、一体成形品とされている、シリンダヘッドカバーである。
【0014】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係るシリンダヘッドカバーであって、前記孔部が形成されている場合、前記内燃機関に前記シリンダヘッドカバーを取り付けた際に前記孔部は、前記シリンダヘッドとは反対の側に配置されて、前記シリンダヘッドとは反対の側に開口するように形成されており、前記突出分岐路が形成されている場合、前記内燃機関に前記シリンダヘッドカバーを取り付けた際に前記突出分岐路は、前記シリンダヘッドとは反対の側に配置されて、前記シリンダヘッドとは反対の側に突出するように形成されている、シリンダヘッドカバーである。
【0015】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係るシリンダヘッドカバーであって、前記本体部内ガス経路は、迷路状に経路が形成されたラビリンス経路部と、前記ラビリンス経路部の終端から前記側方突出部までを接続する接続経路部と、を有しており、前記経路断面積最小部と、前記孔部または前記突出分岐路と、が前記接続経路部に設けられている、シリンダヘッドカバーである。
【0016】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明~第3の発明のいずれか1つに係るシリンダヘッドカバーであって、前記内燃機関に前記シリンダヘッドカバーを取り付けた際の前記シリンダヘッドカバーにおける前記シリンダヘッドの側から前記シリンダヘッドとは反対の側に向かう方向の高さをシリンダヘッドカバー高さとした場合、前記経路断面積最小部は、前記シリンダヘッドカバー高さが周囲の前記シリンダヘッドカバー高さよりも低くなっている前記シリンダヘッドカバーの個所に設けられている、シリンダヘッドカバーである。
【0017】
次に、本発明の第5の発明は、内燃機関内にて発生したブローバイガスを前記内燃機関から吸気経路に流すブローバイガス還流システムにおけるシリンダヘッドカバーの製造方法であって、前記シリンダヘッドカバーは、樹脂または金属の型成形品であり、前記内燃機関のシリンダヘッドを覆うように設けられてブローバイガスが集められる本体部と、前記本体部の側方に突出するように設けられてブローバイガスを前記吸気経路に向けて吐出する側方突出部と、を有し、前記本体部に、集められたブローバイガスを前記側方突出部まで導くとともに所定の経路断面積を有する本体部内ガス経路を設定し、前記本体部内ガス経路から前記側方突出部の出口までのブローバイガスが流れる経路であるカバー内ガス経路において、経路の断面積が最小となる経路断面積最小部を、前記側方突出部ではなく前記本体部内ガス経路に設定し、前記本体部における前記経路断面積最小部の位置よりも下流側となる前記本体部内ガス経路の位置に、前記本体部内ガス経路内の圧力を検出する圧力検出手段を前記本体部の外側から取り付けるための孔部、または前記圧力検出手段を前記本体部の外側から接続するための突出分岐路、を設定し、前記本体部と、前記孔部または突出分岐路とを、少なくとも一方が本体型抜き方向に沿って移動可能な一方型と他方型の少なくとも一方にて形成し、前記側方突出部を、前記側方突出部の軸線方向であって前記本体型抜き方向とは異なる方向である側方型抜き方向に移動可能な側方型にて形成することで、前記本体部と、前記孔部または前記突出分岐路と、前記側方突出部と、を一体成形する、シリンダヘッドカバーの製造方法である。
【0018】
次に、本発明の第6の発明は、上記第5の発明に係るシリンダヘッドカバーの製造方法であって、前記本体型抜き方向を上方向に設定し、前記一方型を前記他方型の上方に配置し、前記孔部または前記突出分岐路を、前記一方型にて形成する、シリンダヘッドカバーの製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
シリンダヘッドカバー内のブローバイガスを吸気経路に導くブローバイガス還流用の配管の一方端はシリンダヘッドカバーの側方突出部に接続され、他方端は吸気経路に接続されている。当該配管の割れ、亀裂、脱落等を、圧力で検出するためには、当該配管の入口部となる側方突出部内の圧力を検出する必要があると考えられていた。しかし、種々の実験やシミュレーション等によって、シリンダヘッドカバーの本体部内から側方突出部の出口までのブローバイガスが流れる経路中において、経路断面積が最小となる個所の下流で圧力を検出すれば、前記配管の割れ、亀裂、脱落等を検出可能であることがわかった。
【0020】
第1の発明では、経路断面積最小部を、側方突出部ではなく本体部内ガス経路に設けている。これにより、ブローバイガス還流用の配管の割れ、亀裂、脱落等を適切に検出することを可能とする圧力検出手段を取り付ける孔部または当該圧力検出手段を接続するための突出分岐路を、本体部における経路断面積最小部の位置よりも下流側となる本体部内ガス経路に設けることができる。そして、本体部を作る型によって本体部と突出分岐路(または孔部)を同時に成形することで、部品点数と製造工程を低減することができる。
【0021】
第2の発明では、孔部の配置位置及び開口方向を適切な位置及び方向とすることで、または、突出分岐路の配置位置及び突出方向を適切な位置及び方向とすることで、本体部と、孔部または突出分岐路と、をより一体成形しやすい構造とすることができる。
【0022】
第3の発明では、経路断面積最小部と、孔部または突出分岐路を、側方突出部を除いたブローバイガスの経路中(シリンダヘッドカバー内の経路中)において、ブローバイガス還流用の配管に対して、より近い位置に設定する。これにより、ブローバイガス還流用の配管の割れ、亀裂、脱落等を検出するための圧力を、より精度よく、より応答性よく検出することができる。
【0023】
第4の発明によれば、経路断面積最小部の近傍の下流側に突出分岐路を設けた場合、シリンダヘッドカバー高さが必要以上に高くなることを抑制することが可能である。また、経路断面積最小部の近傍の下流側に孔部を設けた場合、孔部に取り付けられた圧力検出手段の突出高さを含むシリンダヘッドカバー高さが必要以上に高くなることを抑制することが可能である。従って、車両へのシリンダヘッドカバーの搭載性をより向上(省スペース化)させることができる。
【0024】
第5の発明では、経路断面積最小部を、側方突出部ではなく本体部内ガス経路に設けている。これにより、ブローバイガス還流用の配管の割れ、亀裂、脱落等を適切に検出することを可能とする圧力検出手段を取り付ける孔部または当該圧力検出手段を接続するための突出分岐路を、本体部における経路断面積最小部の位置よりも下流側となる本体部内ガス経路に設けることができる。そして、一方型と他方型と側方型にて、本体部と、孔部または突出分岐路と、側方突出部と、を適切に一体成形することができる。これにより、部品点数と製造工程を低減することができる。
【0025】
第6の発明によれば、本体部と、孔部または突出分岐路と、を適切かつ容易に一体成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】内燃機関のシステム全体の概略構成の例を説明する図である。
図2】シリンダヘッドカバーの外観の例を説明する斜視図である。
図3】シリンダヘッドカバーの平面図である。
図4】シリンダヘッドカバーの側面図である。
図5図4における突出分岐路を孔部に変更したシリンダヘッドカバーの側面図である。
図6図4におけるVI-VI断面図である。
図7】シリンダヘッドカバーを一体成形する際の、一方型と他方型と側方型の型抜き方向等を説明する斜視図である。
図8図7の平面図である。
図9】従来のシリンダヘッドカバーの外観の例を説明する斜視図である。
図10】従来のシリンダヘッドカバーを一体成形する際の、一方型と他方型と側方型の型抜き方向等を説明する斜視図である。
図11図10の平面図である。
図12】一体成形した従来のシリンダヘッドカバー(突出分岐路とラビリンス経路部が別体とされたシリンダヘッドカバー)に、突出分岐路とラビリンス経路部を取り付ける例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
●[内燃機関10のシステム全体の概略構成の例(図1)]
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。まず図1を用いて、内燃機関10のシステム全体の概略構成の例について説明する。本実施の形態の説明では、内燃機関の例として、車両に搭載された内燃機関10(例えばディーゼルエンジン)を用いて説明する。
【0028】
以下、システム全体について、吸気側から排気側に向かって順に説明する。吸気管11Aの流入側には、エアクリーナ(図示省略)、吸気流量検出手段21(例えば、吸気流量センサ)が設けられている。吸気流量検出手段21は、内燃機関10が吸入した空気の流量に応じた検出信号を制御装置50に出力する。また吸気流量検出手段21には、吸気温度検出手段28A(例えば、吸気温度センサ)が設けられている。吸気温度検出手段28Aは、吸気流量検出手段21を通過する吸気の温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0029】
吸気管11Aの流出側はコンプレッサ35の流入側に接続され、コンプレッサ35の流出側は吸気管11Bの流入側に接続されている。ターボ過給機30は、コンプレッサインペラ35Aを有するコンプレッサ35と、タービンインペラ36Aを有するタービン36とを備えている。コンプレッサインペラ35Aは、排気ガスによって回転駆動されるタービンインペラ36Aにて回転駆動され、吸気管11Aから流入された吸気を吸気管11Bに圧送することで過給する。
【0030】
コンプレッサ35の上流側となる吸気管11Aには、コンプレッサ上流圧力検出手段24Aが設けられている。コンプレッサ上流圧力検出手段24Aは、例えば圧力センサであり、コンプレッサ35の上流側となる吸気管11A内の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。コンプレッサ35の下流側となる吸気管11B(吸気管11Bにおけるコンプレッサ35とインタークーラ16との間の位置)には、コンプレッサ下流圧力検出手段24Bが設けられている。コンプレッサ下流圧力検出手段24Bは、例えば圧力センサであり、コンプレッサ35の下流側となる吸気管11B内の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0031】
吸気管11Bには、上流側にインタークーラ16が配置され、インタークーラ16よりも下流側にスロットル装置47が配置されている。インタークーラ16は、コンプレッサ下流圧力検出手段24Bよりも下流側に配置されており、コンプレッサ35にて過給された吸気の温度を下げる。インタークーラ16とスロットル装置47との間には、吸気温度検出手段28B(例えば、吸気温度センサ)が設けられている。吸気温度検出手段28Bは、インタークーラ16にて温度が低下された吸気の温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0032】
スロットル装置47は、制御装置50からの制御信号に基づいて吸気管11Bの開度を調整するスロットルバルブを駆動し、吸気流量を調整可能である。制御装置50は、スロットル開度検出手段47S(例えば、スロットル開度センサ)からの検出信号と目標スロットル開度に基づいて、スロットル装置47に制御信号を出力して吸気管11Bに設けられたスロットルバルブの開度を調整可能である。制御装置50は、アクセルペダル踏込量検出手段25からの検出信号に基づいて検出したアクセルペダルの踏込量と内燃機関10の運転状態とに基づいて目標スロットル開度を求める。
【0033】
アクセルペダル踏込量検出手段25は、例えばアクセルペダル踏込角度センサであり、アクセルペダルに設けられている。制御装置50は、アクセルペダル踏込量検出手段25からの検出信号に基づいて、運転者によるアクセルペダルの踏込量を検出することが可能である。
【0034】
吸気管11Bにおけるスロットル装置47よりも下流側には、圧力検出手段24Cが設けられており、EGR配管13の流出側が接続されている。そして吸気管11Bの流出側は吸気マニホルド11Cの流入側に接続されており、吸気マニホルド11Cの流出側は内燃機関10の流入側に接続されている。圧力検出手段24Cは、例えば圧力センサであり、吸気マニホルド11Cに流入する直前の吸気の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。またEGR配管13の流出側(吸気管11Bとの接続部)からは、EGR配管13の流入側(排気管12Bとの接続部)から流入してきたEGRガスが、吸気管11B内に吐出される。なおEGR配管13にて形成されるEGRガスが流れる経路は、EGR経路に相当している。
【0035】
内燃機関10は複数のシリンダ45A~45Dを有しており、インジェクタ43A~43Dが、それぞれのシリンダに設けられている。インジェクタ43A~43Dには、コモンレール41と燃料配管42A~42Dを介して燃料が供給されており、インジェクタ43A~43Dは、制御装置50からの制御信号によって駆動され、それぞれのシリンダ45A~45D内に燃料を噴射する。
【0036】
内燃機関10内で発生したブローバイガスを内燃機関10から吸気経路(吸気管11A)に流すブローバイガス還流システムは、シリンダヘッドカバー70と配管82にて構成されている。内燃機関10のシリンダヘッドには、シリンダヘッドを覆うようにシリンダヘッドカバー70が取り付けられており(図2参照)、シリンダヘッドカバー70には、ブローバイガスを吐出する側方突出部72(図2参照)が設けられている。そしてシリンダヘッドカバー70の側方突出部72と吸気管11A(吸気経路に相当)は、ブローバイガス還流用の配管82にて接続されている。内燃機関10内で発生したブローバイガスは、シリンダヘッドカバー70内に集められ、側方突出部72及び配管82を介して吸気管11A(吸気経路に相当)に導かれる。吸気管11Aは、コンプレッサ35の上流側であるので、内燃機関10の運転時には負圧が発生しており、当該負圧にて配管82内のブローバイガスを吸引し、吸引されたブローバイガスは内燃機関10内で燃焼される。また、シリンダヘッドカバー70には、配管82の割れ、亀裂、脱落等を検出するための圧力検出手段81が接続されている、または取り付けられている。圧力検出手段81は、例えば圧力センサであり、配管82内の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0037】
内燃機関10には、回転検出手段22、クーラント温度検出手段28C等が設けられている。回転検出手段22は、例えば回転センサであり、内燃機関10のクランクシャフトの回転数(すなわち、エンジン回転数)に応じた検出信号を制御装置50に出力する。クーラント温度検出手段28Cは、例えば温度センサであり、内燃機関10内に循環されている冷却用クーラントの温度を検出し、検出した温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0038】
内燃機関10の排気側には排気マニホルド12Aの流入側が接続され、排気マニホルド12Aの流出側には排気管12Bの流入側が接続されている。排気管12Bの流出側はタービン36の流入側に接続され、タービン36の流出側は排気管12Cの流入側に接続されている。
【0039】
排気管12Bには、EGR配管13の流入側が接続されている。EGR配管13は、排気管12Bと吸気管11Bとを連通し、排気管12B(排気経路に相当)の排気ガスの一部を吸気管11B(吸気経路に相当)に還流させることが可能である。またEGR配管13には、EGRクーラ15、EGR弁14が設けられている。
【0040】
EGR弁14(EGRバルブ)は、EGR配管13におけるEGRクーラ15の下流側に設けられている。そしてEGR弁14は、制御装置50からの制御信号に基づいて、EGR配管13の開度を調整することで、EGR配管13内を流れるEGRガスの流量を調整する。
【0041】
EGRクーラ15は、EGR配管13に設けられている。EGRクーラ15は、いわゆる熱交換器であり、冷却用のクーラントが供給され、流入されたEGRガスを冷却して吐出する。
【0042】
排気管12Bには、排気温度検出手段29が設けられている。排気温度検出手段29は、例えば排気温度センサであり、排気温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0043】
排気管12Bの流出側はタービン36の流入側に接続され、タービン36の流出側は排気管12Cの流入側に接続されている。タービン36には、タービンインペラ36Aへ導く排気ガスの流速を制御可能な可変ノズル33が設けられており、可変ノズル33は、ノズル駆動手段31によって開度が調整される。制御装置50は、ノズル開度検出手段32(例えば、ノズル開度センサ)からの検出信号と目標ノズル開度に基づいて、ノズル駆動手段31に制御信号を出力して可変ノズル33の開度を調整可能である。
【0044】
タービン36の上流側となる排気管12Bには、タービン上流圧力検出手段26Aが設けられている。タービン上流圧力検出手段26Aは、例えば圧力センサであり、タービン36の上流側となる排気管12B内の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。タービン36の下流側となる排気管12Cには、タービン下流圧力検出手段26Bが設けられている。タービン下流圧力検出手段26Bは、例えば圧力センサであり、タービン36の下流側となる排気管12C内の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0045】
排気管12Cの流出側には排気浄化装置61が接続されている。例えば内燃機関10がディーゼルエンジンの場合、排気浄化装置61には、酸化触媒、微粒子捕集フィルタ、選択式還元触媒等が含まれている。
【0046】
制御装置50は、少なくとも、制御手段51(CPU)、記憶手段53を有している。制御装置50(制御手段51)は、図1に示す検出手段やアクチュエータに限定されず、上記の検出手段を含めた各種の検出手段からの検出信号に基づいて内燃機関10の運転状態を検出し、上記のインジェクタ43A~43DやEGR弁14、ノズル駆動手段31、スロットル装置47を含めた各種のアクチュエータを制御する。記憶手段53は、例えばFlash-ROM等の記憶装置であり、内燃機関の制御や自己診断等を実行するためのプログラムやデータ等が記憶されている。
【0047】
大気圧検出手段23は、例えば大気圧センサであり、制御装置50に設けられている。大気圧検出手段23は、制御装置50の周囲の大気圧に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0048】
車速検出手段27は、例えば車両速度検出センサであり、車両の車輪等に設けられている。車速検出手段27は、車両の車輪の回転速度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0049】
●[シリンダヘッドカバー70の外観と構造(図2図6)]
次に図2図6を用いて、シリンダヘッドカバー70の外観と構造等について説明する。図2に示すように、シリンダヘッドカバー70は、本体部71と、側方突出部72とを有しており、本体部71と側方突出部72は、樹脂または金属で形成された型成形品である。なお図2図6中において点線で示す符号(180A)は、比較を容易にするために、従来のシリンダヘッドカバーにおける突出分岐路の位置を示しており、本実施の形態における突出分岐路80Aの位置を示すものではない。
【0050】
本体部71は、図2に示すように、内燃機関10のシリンダヘッドを覆うように設けられている。そして本体部71の内部には、内燃機関10内にて発生したブローバイガスが集められている。また、本体部71は、図4に示すように、所定の経路断面積を有して迷路状にブローバイガスの流れる経路が形成されたラビリンス経路部73と、所定の経路断面積を有してラビリンス経路部73の終端から側方突出部72までを接続する接続経路部74と、を有している。ラビリンス経路部73と接続経路部74にて本体部内ガス経路75が構成れており、本体部内ガス経路75と側方突出部72にてカバー内ガス経路が構成されている。本体部内ガス経路75は、本体部71内に収容されており、本体部71内に集められたブローバイガスを側方突出部72まで導く。そして接続経路部74には、カバー内ガス経路において経路の断面積が最小となる経路断面積最小部70Aが設けられている。なお、ラビリンス経路部73は、迷路状の経路とされていることで、通過したブローバイガスから油分等を分離する。
【0051】
側方突出部72は、図2及び図3に示すように、本体部71の側方に突出するように設けられて筒状の形状を有している。そして側方突出部72は、本体部71内に集められたブローバイガスを、図1に示すように、配管82を介して吸気経路(吸気管11A)に向けて吐出する。側方突出部72と吸気経路(吸気管11A)は、ブローバイガス還流用の配管82にて接続されている(図1参照)。なお、側方突出部72は、無理抜き製法にて作られている。
【0052】
前述したように、図2に示す配管82の割れ、亀裂、脱落等を、圧力で検出するためには、当該配管82の入口部となる側方突出部72内の圧力を検出する必要があると考えられていた。しかし、種々の実験やシミュレーション等によって、本体部71内から側方突出部72の出口までのブローバイガスが流れる経路中において、経路断面積が最小となる個所の下流で圧力を検出すれば、配管82の割れ、亀裂、脱落等を検出可能であることがわかった。
【0053】
従来のシリンダヘッドカバーでは、図6に示す符号170Aの個所が、経路断面積最小部となっていた。符号170Aの個所は、側方突出部72の入口部であり、型成形時における抜き勾配の関係より、側方突出部72内の経路において入口部が経路断面積最小部となっていた。このため、符号170Aの個所よりも下流側に(すなわち、側方突出部72に)圧力検出手段を取り付けるための孔部、または、圧力検出手段の検出用配管を接続するための突出分岐路を設けなければならなかった。なお、従来のシリンダヘッドカバーでは、本体部内の経路中に、符号170Aの個所よりも断面積が小さくなる個所が無かった。
【0054】
そこで本実施の形態にて説明するシリンダヘッドカバー70では、図3図5に示すように、本体部内ガス経路75(ラビリンス経路部73+接続経路部74)から側方突出部72の出口までのブローバイガスが流れる経路であるカバー内ガス経路において、経路の断面積が最小となる経路断面積最小部70Aを、側方突出部72ではなく本体部内ガス経路75に設けている。そして本体部71における経路断面積最小部70Aの位置よりも下流側となる本体部内ガス経路75の位置に、本体部内ガス経路75に連通する孔部80B(図5参照)または突出分岐路80A(図4参照)が設けられている。
【0055】
さらに、図3及び図4に示すように、経路断面積最小部70Aの位置及び突出分岐路80A(または孔部80B)の位置を、本体部内ガス経路75(ラビリンス経路部73+接続経路部74)における接続経路部74に設定すると、より好ましい。接続経路部74は、ラビリンス経路部73よりも配管82により近いので、配管82内の圧力の変化に対する応答性がよい。
【0056】
図5に示すように、孔部80Bを設けた場合、当該孔部80Bに圧力検出手段81(図1参照)が、本体部71の外側から挿通されて取り付けられる。本体部71に孔部80Bが形成されている場合、内燃機関にシリンダヘッドカバー70を取り付けた際に孔部80Bは、シリンダヘッドとは反対の側に配置されて、シリンダヘッドとは反対の側に開口するように形成されている。これにより、後述するように、一体成形時の本体型抜き方向DZ(図7参照)と孔部80Bの開口方向とを一致させることができるので、本体部71と孔部80Bを容易に一体成形することができる。
【0057】
図4に示すように、突出分岐路80Aを設けた場合、当該突出分岐路80Aに、圧力検出手段81の検出用配管が、本体部71の外側から接続される。本体部71に突出分岐路80Aが形成されている場合、内燃機関にシリンダヘッドカバー70を取り付けた際に突出分岐路80Aは、シリンダヘッドとは反対の側に配置されて、シリンダヘッドとは反対の側に突出するように形成されている。これにより、後述するように、一体成形時の本体型抜き方向DZ(図7参照)と突出分岐路80Aの突出方向とを一致させることができるので、本体部71と突出分岐路80Aを容易に一体成形することができる。
【0058】
また、内燃機関にシリンダヘッドカバーを取り付けた際のシリンダヘッドカバーにおけるシリンダヘッドの側からシリンダヘッドとは反対の側に向かう方向(図4図5の例ではZ軸方向)の高さをシリンダヘッドカバー高さとする。この場合、経路断面積最小部70Aは、シリンダヘッドカバー高さが周囲のシリンダヘッドカバー高さよりも低くなっているシリンダヘッドカバーの個所に設けられている。経路断面積最小部の近傍の下流側に突出分岐路80Aを設けた場合、シリンダヘッドカバー高さが必要以上に高くなることを抑制することが可能である。また、経路断面積最小部の近傍の下流側に孔部80Bを設けた場合、孔部80Bに取り付けられた圧力検出手段の突出高さを含むシリンダヘッドカバー高さが必要以上に高くなることを抑制することが可能である。従って、車両へのシリンダヘッドカバーの搭載性をより向上(省スペース化)させることができる。以降、本実施の形態の説明では、孔部80Bではなく突出分岐路80Aを設ける例にて説明する。
【0059】
●[シリンダヘッドカバー70の製造方法(図7図8)]
次に図7図8を用いて、シリンダヘッドカバー70の製造方法について説明する。シリンダヘッドカバー70の本体部71と、突出分岐路80A(または孔部80B)と、側方突出部72は、樹脂または金属の型成形品であって一体成形品とされている。
【0060】
図7及び図8に示すように、本体部71と突出分岐路80Aは、少なくとも一方が本体型抜き方向DZ(図7参照、この場合、Z軸方向)に沿って移動可能な一方型KU(金型等)と他方型KL(金型等)の少なくとも一方にて形成される。突出分岐路80A(または孔部80B)は、一方型KUまたは他方型KLにて形成され、突出方向(または開口方向)が本体型抜き方向DZに沿うように形成される。例えば、本体型抜き方向DZを上方向に設定し、一方型KUを他方型KLの上方に配置した場合、突出分岐路80A(または孔部80B)は、一方型KUにて形成される。これにより、本体部71と突出分岐路80A(または孔部80B)を、容易に一体成形することができるとともに、本体部71を作る型である一方型KU及び他方型KLにて本体部71と突出分岐路80A(または孔部80B)を同時に成形することができる。従って、部品点数と製造工程を低減することができる。
【0061】
また、図7及び図8に示すように、側方突出部72は、筒状の側方突出部72の軸線方向であって本体型抜き方向DZとは異なる方向である側方型抜き方向DX(図7図8参照、この場合、X軸方向)に沿って移動可能な側方型KS(金型等)にて無理抜き製法で形成される。なお、側方突出部72は、本体部71と一体成形される。従って、本体部71と突出分岐路80A(または孔部80B)と側方突出部72は、一体成形される。これにより、本体部71及び側方突出部72を一体成形した後、突出分岐路80A(または孔部80B)を、後工程で溶接等する(孔部の場合は孔あけする)必要が無く、部品点数と製造工程を低減することができる。
【0062】
本発明のシリンダヘッドカバー70、シリンダヘッドカバーの製造方法は、本実施の形態で説明した構成、構造、製造方法等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えばターボ過給機30が省略されていてもよい。
【0063】
また、本発明のシリンダヘッドカバー及びシリンダヘッドカバーの製造方法は、ディーゼルエンジンに限定されず、ガソリンエンジン等、種々の内燃機関に適用することが可能である。
【0064】
また本実施の形態の説明では、シリンダヘッドとは反対の側に孔部80Bを開口した例を説明したが(図5参照)、孔部80Bの開口方向を側方突出部72の延びる方向と同じ方向にしてもよい。同様に、本実施の形態の説明では、シリンダヘッドとは反対の側に突出分岐路80Aを配置した例を説明したが(図4参照)、突出分岐路80Aの突出方向を側方突出部72の延びる方向と同じ方向にしてもよい。
【0065】
また本実施の形態の説明では、経路断面積最小部70A及び突出分岐路80A(または孔部80B)を接続経路部74に設けた例を説明したが(図4図5参照)、経路断面積最小部70A及び突出分岐路80A(または孔部80B)をラビリンス経路部73に設けてもよい。
【0066】
また本実施の形態の説明では、シリンダヘッドカバー高さが、周囲のシリンダヘッドカバー高さよりも低くなっているシリンダヘッドカバーの個所に経路断面積最小部を設けた例を説明したが(図4図5参照)、周囲のシリンダヘッドカバー高さと同等以上の高さのシリンダヘッドカバーの個所に経路断面積最小部を設けるようにしてもよい。
【0067】
また本実施の形態の説明では、本体型抜き方向DZを上方向に設定し、一方型KUを他方型KLの上方に配置した例を説明したが、本体型抜き方向DZを略水平方向に設定し、一方型KUを他方型KLの側方に配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 内燃機関
11A、11B 吸気管
11C 吸気マニホルド
12A 排気マニホルド
12B、12C 排気管
13 EGR配管
14 EGR弁
15 EGRクーラ
21 吸気流量検出手段
22 回転検出手段
23 大気圧検出手段
24A コンプレッサ上流圧力検出手段
24B コンプレッサ下流圧力検出手段
24C 圧力検出手段
25 アクセルペダル踏込量検出手段
26A タービン上流圧力検出手段
26B タービン下流圧力検出手段
27 車速検出手段
28A、28B 吸気温度検出手段
28C クーラント温度検出手段
29 排気温度検出手段
30 ターボ過給機
31 ノズル駆動手段
32 ノズル開度検出手段
33 可変ノズル
35 コンプレッサ
35A コンプレッサインペラ
36 タービン
36A タービンインペラ
41 コモンレール
43A~43D インジェクタ
45A~45D シリンダ
47 スロットル装置
47S スロットル開度検出手段
50 制御装置
51 制御手段
53 記憶手段
61 排気浄化装置
70 シリンダヘッドカバー
70A 経路断面積最小部
71 本体部
72 側方突出部
73 ラビリンス経路部
74 接続経路部
75 本体部内ガス経路
80A 突出分岐路
80B 孔部
81 圧力検出手段
82 (ブローバイガス還流用)配管
DX 側方型抜き方向
DZ 本体型抜き方向
KU 一方型
KL 他方型
KS 側方型

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12