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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】回路構成体
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/38 20060101AFI20220107BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20220107BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20220107BHJP
   H01R 4/58 20060101ALI20220107BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H01R4/38 C
H02G3/16
H05K7/06 C
H01R4/58 C
H01R13/42 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018229199
(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2020092023
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊佐治 優介
(72)【発明者】
【氏名】岡本 怜也
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏
(72)【発明者】
【氏名】竹田 仁司
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-502025(JP,A)
【文献】特開2003-125517(JP,A)
【文献】特開2009-254072(JP,A)
【文献】実開昭58-005290(JP,U)
【文献】特開2004-048862(JP,A)
【文献】特開2013-234856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/38
H02G 3/16
H05K 7/06
H01R 4/58
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置合わせ孔を有するアッパーケースと、
前記アッパーケースに配設された機器に設けられると共に貫通孔を有するバスバーと、
電線に接続されると共に、前記貫通孔を貫通するボルトが配設された端子と、
前記ボルトに螺合されることにより、前記端子との間で前記バスバーを挟み付けるナットと、
前記アッパーケースに組み付けられるロアケースと、を備え、
前記ロアケースは、前記ロアケースから上方に突出すると共に前記端子と接触することにより前記端子を前記ロアケースに対して位置合わせする端子位置合わせ部と、前記ロアケースから上方に突出すると共に前記位置合わせ孔内に挿通されるケース位置合わせ部と、を有する回路構成体。
【請求項2】
前記ナットが前記ボルトに螺合されて、前記ナットと前記端子との間に前記バスバーが挟み付けられた状態で、前記端子は前記端子位置合わせ部と離間している、請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記ロアケースは、前記ロアケースから突出する抜け止め部を有し、前記抜け止め部は、前記端子と対向する対向部を有する、請求項1または請求項2に記載の回路構成体。
【請求項4】
前記バスバーのうち前記端子と対向する面には、前記貫通孔の孔縁部にテーパ面が形成されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の回路構成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された技術は、回路構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器に設けられた第1の導電部材と、第1の導電部材に接続される第2の導電部材と、を備えた回路構成体の一例として、下記の構成が知られている。機器に設けられた第1の導電部材の上に第2の導電部材の一方の端部が重ねられた状態で、第1の導電部材と第2の導電部材とが、接続ねじとナットによって接続されている。第2の導電部材の他方の端部は、ナットが組み付けられた端子台の上に重ねられて、接続ねじとナットによって端子台に固定されている。これにより、機器と、第1の導電部材と、第2の導電部材と、端子台とが、電気的に接続されるようになっている。
【0003】
上記の回路構成体として、例えば、特開2013-234856号公報に記載のものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-234856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の技術によると、第1の導電部材と、第2の導電部材と、端子台との位置合わせに難渋するという問題があった。以下に説明する。
【0006】
第1の導電部材と、第2の導電部材の一方の端部には、接続ねじが貫通する貫通孔が設けられている。第1の導電部材の貫通孔と、第2の導電部材の貫通孔とを整合させようとしても、第2の導電部材の下方に第1の導電部材が隠れてしまうので、第の導電部材の貫通孔を直接に視認することが困難である。仮に、第2の導電部材に設けられた貫通孔から下方を覗いたとしても、貫通孔から視認できる視野は極めて狭いので、やはり、第1の導電部材と第2の導電部材とを位置決めするのは困難である。
【0007】
同様の状況は、第2の導電部材の他方の端部と、端子台とが接続ねじとナットによって固定される部分においても生じうる。第2の導電部材の下方に隠れて端子台を直接に視認することは困難であるし、第2の導電部材の他方の端部に設けられた貫通孔から視認できる狭い視野から端子台の位置を確認することは容易ではない。
【0008】
また、第2の導電部材の他方の端部と端子台との間には、回路構成体を構成する各部品の公差の範囲内で隙間が生じる場合がある。第2の導電部材の他方の端部と端子台とは、接続ねじと、端子台に組み付けられたナットとによって固定される。このナットは端子台に固定されている。このため、第2の導電部材の他方の端部と端子台との間に隙間が生じた状態で、接続ねじをナットに螺合すると、第2の導電部材及び端子台の双方又は一方が歪むことが懸念される。この歪みにより、端子台に不具合が生じる虞がある。また、第2の導電部材が歪んだ場合には、この歪みが第1の導電部材から機器に伝達され、機器に不具合が生じる虞がある。
【0009】
上記の問題に対応するため、回路構成体を構成する各部品の寸法精度を高めることにより、第2の導電部材と端子台との位置合わせを図ることが考えられる。しかし、この方法によれば、回路構成体の製造コストが増大するので現実的でない。
【0010】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、組み付け時の位置合わせが簡略化された回路構成体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に開示された技術は、回路構成体であって、位置合わせ孔を有するアッパーケースと、前記アッパーケースに配設された機器に設けられると共に貫通孔を有するバスバーと、電線に接続されると共に、前記貫通孔を貫通するボルトが配設された端子と、前記ボルトに螺合されることにより、前記端子との間で前記バスバーを挟み付けるナットと、前記アッパーケースに組み付けられるロアケースと、を備え、前記ロアケースは、前記ロアケースから上方に突出すると共に前記端子と接触することにより前記端子を前記ロアケースに対して位置合わせする端子位置合わせ部と、前記ロアケースから上方に突出すると共に前記位置合わせ孔内に挿通されるケース位置合わせ部と、を有する。
【0012】
上記の構成によれば、端子を、端子位置合わせ部に接触させることにより、端子とロアケースとの位置合わせをすることができる。
【0013】
また、ロアケースのケース位置合わせ部を、アッパーケースの位置合わせ孔に挿通させることによりロアケースとアッパーケースとの位置合わせをすることができる。これにより、ロアケースに位置合わせされた端子のボルトと、アッパーケースに配設された機器に設けられたバスバーの貫通孔とを、容易に位置合わせすることができる。
【0014】
ボルトが貫通孔に貫通した状態で、ナットをボルトに螺合させることにより、端子とナットとが相対的に接近する。ボルトが配設された端子は電線に接続されているので、容易に移動することができる。これにより、バスバーと端子との間に隙間が生じる場合であっても、端子が移動することによって、バスバー及び端子に歪みが生じることを抑制しつつ、端子とバスバーとをボルト締結することができる。この結果、回路構成体を構成する各部品の寸法精度を高めることなく、端子とバスバーとの位置合わせを容易に行うことができる。
【0015】
本明細書に開示された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0016】
前記ナットが前記ボルトに螺合されて、前記ナットと前記端子との間に前記バスバーが挟み付けられた状態で、前記端子は前記端子位置合わせ部と離間している。
【0017】
上記の構成によれば、振動により、端子と端子位置合わせ部とが接触して異音が発生することを抑制することができる。
【0018】
前記ロアケースは、前記ロアケースから突出する抜け止め部を有し、前記抜け止め部は、前記端子と対向する対向部を有する。
【0019】
上記の構成によれば、端子がロアケースから離れる方向の力を受けた場合に、端子と対向部とが接触する。これにより、端子が、対向部が設けられた位置よりも上方に移動することが抑制されるようになっている。
【0020】
前記バスバーのうち前記端子と対向する面には、前記貫通孔の孔縁部にテーパ面が形成されている。
【0021】
上記の構成によれば、ボルトの先端がテーパ面に接触することにより、ボルトが貫通孔の内方に案内されようになっている。これにより、端子とバスバーとの位置合わせを更に容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本明細書に開示された技術によれば、回路構成体について、組み付け作業時の位置合わせを簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態1に係る回路構成体を示す斜視図
図2】回路構成体を示す分解斜視図
図3】回路構成体を示す背面図
図4】回路構成体を示す平面図
図5図4におけるA-A線断面図
図6】ロアケースを示す平面図
図7】ロアケースに、電線に接続された端子を組み付ける工程を示す、図4におけるA-A線に相当する線で切断された断面図
図8】ロアケースに、電線に接続された端子が載置された状態を示す、図4におけるA-A線に相当する線で切断された断面図
図9】ロアケースに、電線に接続された端子が載置された状態を示す平面図
図10】ロアケースにアッパーケースを組み付ける工程を示す、図4におけるB-B線に相当する線で切断された断面図
図11】ロアケースにアッパーケースを組み付ける工程を示す、図4におけるC-C線に相当する線で切断された断面図
図12】ボルトが貫通孔に挿通される工程を示す、図4におけるB-B線に相当する線で切断された断面図
図13】ロアケースのフランジ載置部に、アッパーケースのフランジが載置された状態を示す、図4におけるA-A線に相当する線で切断された断面図
図14】ボルトの軸部にナットを螺合する工程を示す、図4におけるA-A線に相当する線で切断された断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術の実施形態1を図1から図14を参照しつつ説明する。本実施形態に係る回路構成体10は、電気自動車、ハイブリッド車等の車両(図示せず)に搭載されて、電源から車載電装品に電力を通電、又は断電する。以下の説明においては、Z方向を上方とし、Y方向を前方とし、X方向を左方として説明する。なお、複数の同一部材については、一部の部材に符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0025】
回路構成体10
図1及び図2に示すように、回路構成体10は、ロアケース11と、このロアケース11に上方から組み付けられるアッパーケース12と、アッパーケース12に配設されたインダクタ13(機器の一例)に設けられたバスバー14と、バスバー14に電気的に接続される端子15と、を備える。
【0026】
アッパーケース12
アッパーケース12は、金属製であって、溶接、ダイキャスト、鋳造等、公知の手法により、所定の形状に形成される。アッパーケース12を構成する金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等、公知の材料を適宜に選択できる。
【0027】
アッパーケース12は、上下方向に開口しており、上方から見て、前後方向に延びた枠状をなしている。アッパーケース12は、4つの側壁を有する。左側壁及び右側壁の、それぞれの下端縁には、左右方向について外方に突出したフランジ16が設けられている。各フランジ16の後端部寄りの位置には、フランジ16を上下方向に貫通する位置合わせ孔17が設けられている。位置合わせ孔17の断面は円形状をなしている。
【0028】
図2に示すように、アッパーケース12には、左側壁、右側壁、及び後壁を連結する台部18が設けられている。台部18は上下方向に扁平な板状をなしている。台部18の上にはインダクタ13が、ネジ止め等の公知の手法により配設されている。台部18の後端縁と、アッパーケース12の後壁との間には、バスバー14が挿通されるバスバー挿通孔43が、台部18を貫通して形成されている。
【0029】
インダクタ13は、コイル、リレー、トランス等であって、内部にコイルを含む。インダクタ13は全体として直方体形状をなしている。インダクタ13の上面には、複数(本実施形態では2つ)のバスバー14が、電気的に接続されている。
【0030】
バスバー14は、金属板材をプレス加工することにより所定の形状に形成してなる。バスバー14を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を適宜に選択できる。バスバー14は、左右方向から見てクランク状に屈曲しており、上板部19と、上板部19の後端縁から下方に延びる側板部20と、側板部20の下端縁から後方に延びる下板部21と、を有する(図2参照)。
【0031】
バスバー14の上板部19は、インダクタ13の上面に重ねられた状態で、インダクタ13に、ネジ止め、溶接、半田付け等の公知の手法により接続されている。バスバー14の側板部20は、インダクタ13の後壁に沿って下方に延びている。バスバー14の下板部21には、上下方向に貫通する貫通孔22が設けられている。下板部21の下面には、貫通孔22の孔縁部に、下方に向かうに従って拡径するテーパ面23が形成されている(図10参照)。
【0032】
端子15
図2に示すように、電線24の前端部には端子15が接続されている。また、図3に示すように、電線24は、金属製の芯線25と、芯線25の外周を覆う絶縁被覆26と、を有する。芯線25を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を適宜に選択できる。絶縁被覆26は、絶縁性の合成樹脂からなる。
【0033】
図7に示すように、端子15は、絶縁被覆26の外側から絶縁被覆26に巻き付くように圧着するインシュレーションバレル27と、インシュレーションバレル27の前方に連なって芯線25の外側から芯線25に巻き付くように圧着するワイヤーバレル28と、ワイヤーバレル28の前方に細長く延びた板状をなす板部29と、板部29の前端部寄りの位置に配設されたボルト30と、を有する。板部29は、前端部が丸められたタブ状をなしている。
【0034】
ボルト30は、上下方向に延びる軸部31と、軸部31の下端部に設けられて、板部29に対して、溶接、圧入等の公知の手法により組み付けられる固定部32と、を有する。軸部31は上下方向に延びる丸棒状又は円柱形状をなしている。軸部31の外周にはねじ山が形成されている。固定部32は、軸部31よりも径大に形成されている。
【0035】
本実施形態に係るボルト30は、板部29に形成されたボルト貫通孔に下方から軸部31を挿入し、ボルト貫通孔の孔縁部と、固定部32とを、溶接することにより、端子15に固定されている。
【0036】
ナット33
図3及び図5に示すように、ボルト30の軸部31には、ナット33が螺合されるようになっている。軸部31にナット33が螺合されることにより、ナット33と板部29とが相対的に接近するようになっている。
【0037】
ロアケース11
ロアケース11は、絶縁性の合成樹脂を射出成型することにより形成される。ロアケース11は、全体として、上下方向に扁平な形状をなしている。ロアケース11の上面には、左右両端部寄りの位置に、アッパーケース12のフランジ16が上方から載置されるフランジ載置部34が設けられている。各フランジ載置部34の左右方向の幅寸法は、フランジ16の左右方向の幅寸法よりも大きく設定されている。
【0038】
図6に示すように、フランジ載置部34の前端部寄りの位置には、上方に突出するケース位置合わせ部35が形成されている。ケース位置合わせ部35は上下方向に細長く延びた円柱形状をなしている。ケース位置合わせ部35の外形寸法は、フランジ16に設けられた位置合わせ孔17の内径寸法と、同じか、又は小さく設定されている。
【0039】
ロアケース11の左右方向の中央付近には、前後方向に延びると共にフランジ載置部34よりも下方に窪んだ形状をなす、複数(本実施形態では2つ)の電線載置部36が、左右方向に並んで設けられている。電線載置部36は、ロアケース11の前端部からやや後方の位置から、後方に延びて形成されている。なお、電線載置部36の前端部寄りの領域においては、電線24に接続された端子15の板部29も配されるようになっている。
【0040】
電線載置部36の前方の位置には、電線24の端末に接続された端子15の板部29が載置可能な端子載置部37が設けられている。端子載置部37は、上下方向に延びると共に、肉抜きが施された円筒形状をなしている。端子載置部37の左右方向についての幅寸法は、端子15の板部29の左右方向についての幅寸法と、同じか、又はやや大きく設定されている。図6に示すように、端子載置部37の中央位置と、ケース位置合わせ部35とは、左右方向について略一列に並んで配されている。
【0041】
端子載置部37の前方には、前壁38(端子位置合わせ部の一例)が上下方向に延びて形成されている。前壁38の左右方向についての幅寸法は、端子載置部37の左右方向についての幅寸法よりもやや大きく設定されている。前壁38の左端部には、後方に延びる左壁39(端子位置合わせ部の一例)が設けられている。前壁38の右端部には、後方に延びる右壁40(端子位置合わせ部の一例)が設けられている。左壁39及び右壁40の後端部は、端子載置部37の前後方向についての中央部分まで延びている。上方から見て、前壁38と左壁39と右壁40とは、門形状をなしている。
【0042】
端子載置部37の後方の位置であって、電線載置部36の前端部寄りの位置には、電線載置部36の底壁から上方に突出する一対の抜け止め部41が形成されている。一対の抜け止め部41は左右方向について並んで形成されている。一対の抜け止め部41の左右方向についての間隔は、端子15の板部29の左右方向についての幅寸法と同じか、又はやや大きく設定されている。一対の抜け止め部41は、上下方向に延びる板状をなしており、左右方向について弾性変形可能に形成されている。
【0043】
一対の抜け止め部41の先端には、それぞれ、左右方向について内方に突出する対向部42が形成されている。対向部42は、端子載置部37に端子15が載置された状態で、端子15の板部29と対向するようになっている。
【0044】
実施形態の組み付け工程
続いて、本実施形態に係る回路構成体10の組み付け工程の一例について説明する。回路構成体10の組み付け工程は、以下の記載に限定されてない。
【0045】
端子15の板部29に、公知の溶接手法によりボルト30の固定部32を溶接する。電線24の絶縁被覆26を皮剥ぎして芯線25を露出される。露出した芯線25に端子15のワイヤーバレル28を圧着すると共に、絶縁被覆26にインシュレーションバレル27を圧着する。
【0046】
アルミニウム合金をダイキャスト成型することによりアッパーケース12を形成する。アッパーケース12の台部18にインダクタ13を取り付ける。インダクタ13にバスバー14を固定する。
【0047】
図7に示すように、上方から(矢線Dで示す方向から)、ロアケース11の端子載置部37に端子15の板部29を、ボルト30が上方を向くように載置すると共に、電線載置部36に電線24を載置する。このとき、板部29の前端部が、前壁38に後方から接触するようにして、端子15を端子載置部37に配置する(図8及び図9参照)。このように、ボルト30にナット33が螺合される前の状態においては、端子15の板部29は端子載置部37に載置され、電線24は電線載置部36に載置される。
【0048】
板部29と、ロアケース11の左壁39及び右壁40とは、離間していてもよいし、接触していてもよい。更に、端子15の板部29の前端部を前壁38に後方から接触するようにして端子15を端子載置部37に載置した後に、電線24が屈曲することにより、板部29が前壁38から離間してもよい。端子15の板部29が、前壁38、左壁39、及び右壁40に囲まれた空間内に配されることにより、端子15がロアケース11に対して位置合わせされる。
【0049】
ロアケース11に対して、上方から、アッパーケース12を接近させる。図10に示すように、ロアケース11のケース位置合わせ部35と、アッパーケース12の位置合わせ孔17とを整合させる。ケース位置合わせ部35と位置合わせ孔17とが整合した状態で、アッパーケース12を更にロアケース11に接近させる。
【0050】
更に、アッパーケース12を下方に移動させると、ボルト30の先端が、バスバー14の貫通孔22の孔縁部に形成されたテーパ面23に下方から当接する。すると、ボルト30がテーパ面23に案内されることにより、端子15がバスバー14に対して相対的に移動し、端子15のボルト30と、バスバー14の貫通孔22とが整合した配置となる(図12参照)。
【0051】
更に、アッパーケース12をロアケース11に接近させて、アッパーケース12のフランジ16を、ロアケース11のフランジ載置部34に載置する(図13参照)。フランジ16がフランジ載置部34に載置された状態において、バスバー14と、端子15の板部29とは、上下方向について離間している。
【0052】
図14に示すように、ボルト30の軸部31先端にナット33を螺合させる。ナット33をトルクレンチ等により回転させることにより、ボルト30に固定された板部29が上昇し、端子載置部37から板部29が離間する。所定の締結力によりナット33とボルト30とを締結することにより、ナット33と板部29との間にバスバー14が挟み付けられた状態になる(図5参照)。これにより、バスバー14と端子15とが電気的に接続される。ナット33と、端子15の板部29との間にバスバー14が挟み付けられた状態では、端子15の板部29は、端子載置部37から離間している。また、端子15の板部29の側縁は、前壁38の上端部、左壁39の上端部、及び右壁40の上端部よりも上方に位置するようになっている。これにより、ナット33と、端子15の板部29との間にバスバー14が挟み付けられた状態では、端子15の板部29は、前壁38、左壁39、及び右壁40と離間している。以上により、回路構成体10が完成する。
【0053】
本実施形態の作用効果。
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態に係る回路構成体10は、位置合わせ孔17を有するアッパーケース12と、アッパーケース12に配設されたインダクタ13に設けられると共に貫通孔22を有するバスバー14と、電線24に接続されると共に、貫通孔22を貫通するボルト30が配設された端子15と、ボルト30に螺合されることにより、端子15との間でバスバー14を挟み付けるナット33と、アッパーケース12に組み付けられるロアケース11と、を備え、ロアケース11は、ロアケース11から上方に突出すると共に端子15と接触することにより端子15をロアケース11に対して位置合わせする前壁38、左壁39及び右壁40と、ロアケース11から上方に突出すると共に位置合わせ孔17内に挿通されるケース位置合わせ部35と、を有する。
【0054】
上記の構成によれば、端子15を、前壁38、左壁39及び右壁40のいずれか一つに接触させるようにしてロアケース11に載置することにより、端子15とロアケース11との位置合わせをすることができる。このとき、端子15がロアケース11に載置された後においては、端子15の前端部が前壁38、左壁39及び右壁40に囲まれた空間内に位置することにより、端子15とロアケース11との位置合わせがなされるようになっている。
【0055】
また、ロアケース11のケース位置合わせ部35を、アッパーケース12の位置合わせ孔17に挿通させることによりロアケース11とアッパーケース12との位置合わせをすることができる。これにより、ロアケース11に位置合わせされた端子15のボルト30と、アッパーケース12に配設されたインダクタ13に設けられたバスバー14の貫通孔22とを、容易に位置合わせすることができる。
【0056】
ボルト30が貫通孔22に貫通した状態で、ナット33をボルト30に螺合させることにより、端子15とナット33とが相対的に接近する。ボルト30が配設された端子15は電線24に接続されているので、容易に移動することができる。これにより、バスバー14と端子15との間に隙間が生じる場合であっても、端子15が移動することによって、バスバー14及び端子15に歪みが生じることを抑制しつつ、端子15とバスバー14とをボルト締結することができる。この結果、回路構成体10を構成する各部品の寸法精度を高めることなく、端子15とバスバー14との位置合わせを容易に行うことができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、ナット33がボルト30に螺合された状態で、端子15は前壁38、左壁39、及び右壁40と離間している。
【0058】
上記の構成によれば、振動により、端子15と、前壁38、左壁39、及び右壁40とが接触して異音が発生することを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、ロアケース11は、ロアケース11から突出する抜け止め部41を有し、抜け止め部41は、端子15と対向する対向部42を有する。
【0060】
上記の構成によれば、端子15がロアケース11から離れる方向の力を受けた場合に、端子15と対向部42とが接触する。これにより、端子15が、対向部42が設けられた位置よりも上方に移動することが抑制されるようになっている。
【0061】
また、本実施形態によれば、バスバー14のうち端子15と対向する面には、貫通孔22の孔縁部にテーパ面23が形成されている。
【0062】
上記の構成によれば、ボルト30の先端がテーパ面23に接触することにより、ボルト30が貫通孔22の内方に案内されようになっている。これにより、端子15とバスバー14との位置合わせを更に容易に行うことができる。
【0063】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。
【0064】
(1)本実施形態においては、アッパーケース12は概ね枠状をなしていたが、これに限られず、例えば下方に開口する箱状をなしていてもよく、アッパーケース12の形状は任意である。
【0065】
(2)機器は、インダクタ13に限定されず、半導体スイッチング素子、コンデンサ等、任意の電子部品としてもよい。
【0066】
(3)前壁38、左壁39、及び右壁40は、ナット33をボルト30に締結した後も、端子15と接触していてもよい。
【0067】
(4)バスバー14に設けられたテーパ面23は省略してもよい。
【0068】
(5)電線24は裸電線でもよい。
【0069】
(6)本実施形態では、ケース位置合わせ部35は、合成樹脂を射出成型することによりロアケース11と一体に形成される構成としたが、これに限られず、金属製のケース位置合わせ部35をインサート成形することによりロアケース11を形成してもよい。
【0070】
(7)電線24の断面形状は、円形状に限られず、長円形状、長方形状等、任意の形状を採用することができる。
【0071】
(8)端子15の個数、バスバー14の個数は、1つでもよく、また、3つ以上の複数でもよい。
【符号の説明】
【0072】
10:回路構成体
11:ロアケース
12:アッパーケース
13:インダクタ(機器の一例)
14:バスバー
15:端子
17:位置合わせ孔
22:貫通孔
23:テーパ面
24:電線
30:ボルト
33:ナット
35:ケース位置合わせ部
38:前壁(端子位置合わせ部の一例)
39:左壁(端子位置合わせ部の一例)
40:右壁(端子位置合わせ部の一例)
41:抜け止め部
42:対向部
図1
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