(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】乗客コンベアのステップリンク体の取替治具および取替方法
(51)【国際特許分類】
B66B 23/12 20060101AFI20220107BHJP
B66B 23/14 20060101ALI20220107BHJP
B66B 31/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B66B23/12 Z
B66B23/14 A
B66B31/00 D
(21)【出願番号】P 2019209053
(22)【出願日】2019-11-19
【審査請求日】2020-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 英一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 充
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-165973(JP,A)
【文献】実開昭55-129279(JP,U)
【文献】特開2008-265961(JP,A)
【文献】特開2019-104586(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0119075(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00- 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップリンク体の複数のステップ軸のうちの隣接したステップ軸の両側が一対のステップリンクのそれぞれに連結され、前記複数のステップ軸の各々の両側にそれぞれ設けられた一対の案内ローラが無端状に設けられた一対の駆動レールのそれぞれに案内されることで前記複数のステップ軸が循環移動する乗客コンベアの乗降口の側において、前記一対の駆動レールのそれぞれの往路側に隣接して配置される一端部と前記乗降口の側に配置される他端部とをそれぞれ有した一対のレール体と、
前記一対の駆動レールのそれぞれと前記一対のレール体のそれぞれとの隣接部の上方に
おいて前記乗降口の側に向かうにつれて前記一対のレール体のそれぞれとの間隔が広がるようにそれぞれ設けられ、前記複数のステップ軸の各々における一対の案内ローラのそれぞれが前記一対の駆動レールのそれぞれと前記一対のレール体のそれぞれとの間で移動する際に、前記複数のステップ軸の各々における一対の案内ローラのそれぞれが前記一対の駆動レールのそれぞれと前記一対のレール体のそれぞれとの隣接部において浮き上がることを抑制する一対の押さえ体と、
を備えた乗客コンベアのステップリンク体の取替治具。
【請求項2】
前記一対のレール体は、
前記一対の駆動レールのそれぞれの往路側に隣接し、前記乗降口の側に向かうにつれてそれぞれ上昇する一対の第1レールと、
前記一対の第1レールにそれぞれ隣接し、少なくとも一部は前記乗降口の上方に配置される一対の第2レールと、
を備えた請求項1に記載の乗客コンベアのステップリンク体の取替治具。
【請求項3】
前記一対の第1レールのそれぞれと前記一対の第2レールのそれぞれとの隣接部の上方にそれぞれ設けられ、前記複数のステップ軸の各々における一対の案内ローラのそれぞれが前記一対の第1レールのそれぞれと前記一対の第2レールのそれぞれとの間で移動する際に、前記複数のステップ軸の各々における一対の案内ローラのそれぞれが前記一対の第1レールのそれぞれと前記一対の第2レールのそれぞれとの隣接部において浮き上がることを抑制する一対の抑制体、
を備えた請求項2に記載の乗客コンベアのステップリンク体の取替治具。
【請求項4】
前記乗客コンベアの長手方向に対する前記一対の第1レールのそれぞれの取り付け位置を調整し得るようにそれぞれ設けられた一対の調整体、
を備えた請求項2または請求項3に記載の乗客コンベアのステップリンク体の取替治具。
【請求項5】
前記一対の駆動レールの間の距離に合わせた長さに形成され、前記一対の第2レールに連結され、前記一対の第2レールの間の距離を前記一対の駆動レールの間の距離に維持する結合体、
を備えた請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の乗客コンベアのステップリンク体の取替治具。
【請求項6】
前記一対の第2レールのそれぞれに隣接し、前記乗降口の床面と前記一対の第2レールのそれぞれとをつなぐ一対のスロープ体と、
前記一対の第2レールのそれぞれが前記一対のスロープ体のそれぞれに隣接した状態で前記乗降口の床面から浮き上がるように前記一対の第2レールのそれぞれを下方から支持する一対の支持体と、
を備えた請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の乗客コンベアのステップリンク体の取替治具。
【請求項7】
ステップリンク体の複数のステップ軸のうちの隣接したステップ軸の両側が一対のステップリンクのそれぞれに連結され、前記複数のステップ軸の各々の両側にそれぞれ設けられた一対の案内ローラが無端状に設けられた一対の駆動レールのそれぞれに案内されることで前記複数のステップ軸が循環移動する乗客コンベアの乗降口の側において、前記一対の駆動レールのそれぞれの往路側に取付治具の一対のレール体の一側のそれぞれを隣接して配置させ、前記一対のレール体の他側のそれぞれを前記乗降口の側に配置させ、前記取付治具の一対の押さえ体のそれぞれを前記一対の駆動レールのそれぞれと前記一対のレール体のそれぞれとの隣接部の上方に
おいて前記乗降口の側に向かうにつれて前記一対のレール体のそれぞれとの間隔が広がるように配置させる取替治具配置工程と、
前記取替治具配置工程の後、前記乗降口の側においていずれかの一対のステップリンクによる隣接したステップ軸の連結を解除することで前記複数のステップ軸の連鎖を形成するステップ軸連鎖形成工程と、
前記ステップ軸連鎖形成工程の後、前記複数のステップ軸の連鎖の一側から前記複数のステップ軸の各々における一対の案内ローラを前記一対の駆動レールのそれぞれの往路側から前記一対のレール体のそれぞれに沿って前記乗降口の側に引き出すステップリンク引出工程と、
を備えた乗客コンベアのステップリンク体の取替方法。
【請求項8】
前記ステップリンク引出工程の後、新たな複数のステップ軸の連鎖に対して前記新たな複数のステップ軸の各々における一対の案内ローラを前記乗降口の側から前記一対のレール体のそれぞれに沿って前記一対の駆動レールのそれぞれの往路側に押し入れるステップリンク押入工程、
前記ステップリンク押入工程の後、前記新たな複数のステップ軸の連鎖の一端のステップ軸と他端のステップ軸とを新たな一対のステップリンクで連結するステップ軸連結工程と、
を備えた請求項7に記載の乗客コンベアのステップリンク体の取替方法。
【請求項9】
ステップリンク体の複数のステップ軸のうちの隣接したステップ軸の両側が一対のステップリンクのそれぞれに連結され、前記複数のステップ軸の各々の両側にそれぞれ設けられた一対の案内ローラが無端状に設けられた一対の駆動レールのそれぞれに案内されることで前記複数のステップ軸が循環移動する乗客コンベアの乗降口の側において、前記一対の駆動レールのそれぞれの往路側に取付治具の一対のレール体の一側のそれぞれを隣接して配置させ、前記一対のレール体の他側のそれぞれを前記乗降口の側に配置させ、前記取付治具の一対の押さえ体のそれぞれを前記一対の駆動レールのそれぞれと前記一対のレール体のそれぞれとの隣接部の上方に
おいて前記乗降口の側に向かうにつれて前記一対のレール体のそれぞれとの間隔が広がるように配置させる取替治具配置工程と、
前記取替治具配置工程の後、前記乗降口の側においていずれかの一対のステップリンクによる隣接したステップ軸の連結を解除することで前記複数のステップ軸の連鎖を形成するステップ軸連鎖形成工程と、
前記ステップ軸連鎖形成工程の後、前記複数のステップ軸の連鎖の一側から前記複数のステップ軸の各々における一対の案内ローラを前記一対の駆動レールのそれぞれの往路側から前記一対のレール体のそれぞれに沿って前記乗降口の側に引き出し、前記複数のステップ軸の連鎖の一部を一対のステップリンクのそれぞれによる他部との連結から解除し、前記複数のステップ軸の連鎖の他部に新たなステップリンクにより新たな複数のステップ軸の連鎖の一部を連結し、前記新たな複数のステップ軸の連鎖の一部に対して新たな複数のステップ軸の各々における一対の案内ローラを前記乗降口の側から前記一対のレール体のそれぞれに沿って前記一対の駆動レールのそれぞれの往路側に押し入れることを繰り返すことで、前記複数のステップ軸の連鎖の一部を前記新たな複数のステップ軸の連鎖の一部に順々に取り替え、前記複数のステップ軸の連鎖の全てが前記新たな複数のステップ軸の連鎖の全てに入れ替わった状態において、前記新たな複数のステップ軸の連鎖の一端のステップ軸と他端のステップ軸とを新たな一対のステップリンクで連結するステップリンク取替工程と、
を備えた乗客コンベアのステップリンク体の取替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗客コンベアのステップリンク体の取替治具および取替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、乗客コンベアのステップリンク体の取替治具を開示する。当該取替治具によれば、ステップリンク体の取替時間を短縮し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の取替治具に対してステップリンク体が沿わない場合もある。この場合、ステップリンク体を円滑に移動させることができない。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされた。この発明の目的は、ステップリンク体の取替時において、ステップリンク体を円滑に移動させることができる乗客コンベアのステップリンク体の取替治具および取替方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る乗客コンベアのステップリンク体の取替治具は、ステップリンク体の複数のステップ軸のうちの隣接したステップ軸の両側が一対のステップリンクのそれぞれに連結され、前記複数のステップ軸の各々の両側にそれぞれ設けられた一対の案内ローラが無端状に設けられた一対の駆動レールのそれぞれに案内されることで前記複数のステップ軸が循環移動する乗客コンベアの乗降口の側において、前記一対の駆動レールのそれぞれの往路側に隣接して配置される一端部と前記乗降口の側に配置される他端部とをそれぞれ有した一対のレール体と、前記一対の駆動レールのそれぞれと前記一対のレール体のそれぞれとの隣接部の上方において前記乗降口の側に向かうにつれて前記一対のレール体のそれぞれとの間隔が広がるようにそれぞれ設けられ、前記複数のステップ軸の各々における一対の案内ローラのそれぞれが前記一対の駆動レールのそれぞれと前記一対のレール体のそれぞれとの間で移動する際に、前記複数のステップ軸の各々における一対の案内ローラのそれぞれが前記一対の駆動レールのそれぞれと前記一対のレール体のそれぞれとの隣接部において浮き上がることを抑制する一対の押さえ体と、を備えた。
【0007】
この発明に係る乗客コンベアのステップリンク体の取替方法は、ステップリンク体の複数のステップ軸のうちの隣接したステップ軸の両側が一対のステップリンクのそれぞれに連結され、前記複数のステップ軸の各々の両側にそれぞれ設けられた一対の案内ローラが無端状に設けられた一対の駆動レールのそれぞれに案内されることで前記複数のステップ軸が循環移動する乗客コンベアの乗降口の側において、前記一対の駆動レールのそれぞれの往路側に取付治具の一対のレール体の一側のそれぞれを隣接して配置させ、前記一対のレール体の他側のそれぞれを前記乗降口の側に配置させ、前記取付治具の一対の押さえ体のそれぞれを前記一対の駆動レールのそれぞれと前記一対のレール体のそれぞれとの隣接部の上方において前記乗降口の側に向かうにつれて前記一対のレール体のそれぞれとの間隔が広がるように配置させる取替治具配置工程と、前記取替治具配置工程の後、前記乗降口の側においていずれかの一対のステップリンクによる隣接したステップ軸の連結を解除することで前記複数のステップ軸の連鎖を形成するステップ軸連鎖形成工程と、前記ステップ軸連鎖形成工程の後、前記複数のステップ軸の連鎖の一側から前記複数のステップ軸の各々における一対の案内ローラを前記一対の駆動レールのそれぞれの往路側から前記一対のレール体のそれぞれに沿って前記乗降口の側に引き出すステップリンク引出工程と、を備えた。
【0008】
この発明に係る乗客コンベアのステップリンク体の取替方法は、ステップリンク体の複数のステップ軸のうちの隣接したステップ軸の両側が一対のステップリンクのそれぞれに連結され、前記複数のステップ軸の各々の両側にそれぞれ設けられた一対の案内ローラが無端状に設けられた一対の駆動レールのそれぞれに案内されることで前記複数のステップ軸が循環移動する乗客コンベアの乗降口の側において、前記一対の駆動レールのそれぞれの往路側に取付治具の一対のレール体の一側のそれぞれを隣接して配置させ、前記一対のレール体の他側のそれぞれを前記乗降口の側に配置させ、前記取付治具の一対の押さえ体のそれぞれを前記一対の駆動レールのそれぞれと前記一対のレール体のそれぞれとの隣接部の上方において前記乗降口の側に向かうにつれて前記一対のレール体のそれぞれとの間隔が広がるように配置させる取替治具配置工程と、前記取替治具配置工程の後、前記乗降口の側においていずれかの一対のステップリンクによる隣接したステップ軸の連結を解除することで前記複数のステップ軸の連鎖を形成するステップ軸連鎖形成工程と、前記ステップ軸連鎖形成工程の後、前記複数のステップ軸の連鎖の一側から前記複数のステップ軸の各々における一対の案内ローラを前記一対の駆動レールのそれぞれの往路側から前記一対のレール体のそれぞれに沿って前記乗降口の側に引き出し、前記複数のステップ軸の連鎖の一部を一対のステップリンクのそれぞれによる他部との連結から解除し、前記複数のステップ軸の連鎖の他部に新たなステップリンクにより新たな複数のステップ軸の連鎖の一部を連結し、前記新たな複数のステップ軸の連鎖の一部に対して新たな複数のステップ軸の各々における一対の案内ローラを前記乗降口の側から前記一対のレール体のそれぞれに沿って前記一対の駆動レールのそれぞれの往路側に押し入れることを繰り返すことで、前記複数のステップ軸の連鎖の一部を前記新たな複数のステップ軸の連鎖の一部に順々に取り替え、前記複数のステップ軸の連鎖の全てが前記新たな複数のステップ軸の連鎖の全てに入れ替わった状態において、前記新たな複数のステップ軸の連鎖の一端のステップ軸と他端のステップ軸とを新たな一対のステップリンクで連結するステップリンク取替工程と、を備えた。
【発明の効果】
【0009】
これらの発明によれば、一対の押さえ体のそれぞれは、複数のステップ軸の各々における一対の案内ローラのそれぞれが一対の駆動レールのそれぞれと一対のレール体のそれぞれとの隣接部において浮き上がることを抑制する。このため、ステップリンク体の取替時において、ステップリンク体を円滑に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具が適用される乗客コンベアの構成図である。
【
図2】実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具の斜視図である。
【
図3】実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具の組立方法を説明するための斜視図である。
【
図4】実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具の組立方法を説明するための斜視図である。
【
図5】実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具の組立方法を説明するための斜視図である。
【
図6】実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具の組立方法を説明するための斜視図である。
【
図7】実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具の組立方法を説明するための斜視図である。
【
図8】実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具の組立方法を説明するための斜視図である。
【
図9】実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具の組立方法を説明するための斜視図である。
【
図10】実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具の組立方法を説明するための斜視図である。
【
図11】実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具の組立方法を説明するための斜視図である。
【
図12】実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具の組立方法を説明するための斜視図である。
【
図13】実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具の組立方法を説明するための斜視図である。
【
図14】実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具の組立方法を説明するための斜視図である。
【
図15】実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具を用いたステップリンク体の取替方法を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0012】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具が適用される乗客コンベアの構成図である。
【0013】
図1の乗客コンベアは、中間駆動式のエスカレーターである。乗客コンベアにおいて、主枠1は、建築物の上方階の床面と下方階との間に架け渡される。一対の欄干装置2の一方は、主枠1の一側の上方に設けられる。一対の欄干装置2の他方は、主枠1の他側の上方に設けられる。一対の移動手摺3の一方は、一対の欄干装置2の一方に設けられる。一対の移動手摺3の他方は、一対の欄干装置2の他方に設けられる。
【0014】
下部機械室4は、主枠1の内部において下方階の側の端部に形成される。下部機械室4の上方は、下部乗降口5となる。上部機械室6は、主枠1の内部において上方階の側の端部に形成される。上部機械室6の上方は、上部乗降口7となる。
【0015】
一対の駆動レール8の一方は、主枠1の内部の一側において無端状に設けられる。一対の駆動レール8の他方は、主枠1の内部の他側において無端状に設けられる。
【0016】
ステップリンク体9は、一対の駆動レール8に沿って無端状に設けられる。ステップリンク体9において、複数のステップ軸10は、一対の駆動レール8に沿って並んで配置される。複数のステップ軸10の各々は、一対の案内ローラ11を備える。一対の案内ローラ11の一方は、一対の駆動レール8の一方に案内される。一対の案内ローラ11の他方は、一対の駆動レール8の他方に案内される。複数のステップリンク12のうち、一対のステップリンク12の一方は、複数のステップ軸10のうちの隣接したステップ軸10の一側を連結する。一対のステップリンク12の他方は、複数のステップ軸10のうちの隣接したステップ軸10の他側を連結する。
【0017】
複数のステップ13の各々は、複数のステップ軸10に取り付けられる。
【0018】
駆動装置14は、乗客コンベアの長手方向の中央において主枠1の内部に設けられる。駆動装置14は、多数のステップリンク12を乗客コンベアの長手方向に順々に移動させる。複数のステップ軸10は、多数のステップリンク12の移動に追従して一対の駆動レール8に沿って循環移動する。複数のステップ13は、複数のステップ軸10に追従して循環移動する。この際、一対の移動手摺3は、複数のステップ13に同期して循環移動する。
【0019】
次に、
図2を用いて、ステップリンク体9の取替治具を説明する。
図2は実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具の斜視図である。
【0020】
取替治具は、
図2においては図示されないステップリンク体9を取り替える際に利用される。
図2に示されるように、取替治具は、一対のレール体15と一対の調整体16と一対の抑制体17と一対のスロープ体18と一対の支持体19と一対のジョイント体20と結合体21と一対の押さえ体22とを備える。
【0021】
一対のレール体15の各々は、一対の第1レール15aの各々と一対の第2レール15bの各々とを備える。
【0022】
一対の第1レール15aの一方は、長手方向を乗客コンベアの長手方向に合わせて一対の駆動レール8の一方の往路側に隣接する。一対の第1レール15aの一方は、下部乗降口5の側に向かうにつれて上昇する。一対の第1レール15aの他方は、長手方向を乗客コンベアの長手方向に合わせて一対の駆動レール8の他方の往路側に隣接する。一対の第1レール15aの他方は、下部乗降口5の側に向かうにつれて上昇する。
【0023】
一対の第2レール15bの一方は、長手方向を乗客コンベアの長手方向に合わせて一対の第1レール15aの一方に隣接する。一対の第2レール15bの一方は、長手方向を水平方向とする。一対の第2レール15bの一方の少なくとも一部は、下部乗降口5の上方に配置される。一対の第2レール15bの他方は、長手方向を乗客コンベアの長手方向に合わせて一対の第1レール15aの他方に隣接する。一対の第2レール15bの他方は、長手方向を水平方向とする。一対の第2レール15bの他方の少なくとも一部は、下部乗降口5の上方に配置される。
【0024】
一対の調整体16の一方は、一対の第2レール15bの一方の下方に設けられる。一対の調整体16の一方は、一対の第2レール15bの一方を下方から支持する。一対の調整体16の他方は、一対の第2レール15bの他方の下方に設けられる。一対の調整体16の他方は、一対の第2レール15bの他方を下方から支持する。
【0025】
一対の抑制体17の一方は、一対の第1レール15aの一方と一対の第2レール15bの一方との隣接部の上方に設けられる。例えば、一対の抑制体17の一方は、一対の第1レール15aの一方における一対の第2レール15bの一方の側の端部に連結される。一対の抑制体17の他方は、一対の第1レール15aの他方と一対の第2レール15bの他方との隣接部の上方に設けられる。例えば、一対の抑制体17の他方は、一対の第1レール15aの他方における一対の第2レール15bの他方の側の端部に連結される。
【0026】
一対のスロープ体18の一方は、一対の第2レール15bの一方に隣接する。一対のスロープ体18の一方は、長手方向を乗客コンベアの長手方向に合わせて下部乗降口5の床面と一対の第2レール15bの一方とを滑らかにつなぐ。一対のスロープ体18の他方は、一対の第2レール15bの他方に隣接する。一対のスロープ体18の他方は、長手方向を乗客コンベアの長手方向に合わせて下部乗降口5の床面と一対の第1レール15aの他方とを滑らかにつなぐ。
【0027】
一対の支持体19の各々は、一対の第1レールサポート19aの各々と一対の第2レールサポート19bの各々とを備える。
【0028】
一対の第1レールサポート19aの一方は、一対の第2レール15bの一方における中央の下方に連結される。一対の第1レールサポート19aの他方は、一対の第2レール15bの他方における中央の下方に連結される。
【0029】
一対の第2レールサポート19bの一方は、一対の第2レール15bの一方と一対のスロープ体18の一方との隣接部の下方に連結される。一対の第2レールサポート19bの一方は、一対の第2レール15bの一方と一対のスロープ体18の他方との隣接部の下方に連結される。
【0030】
一対のジョイント体20の一方は、一対の第1レール15aの一方と一対の第2レール15bの一方との隣接部を連結する。一対のジョイント体20の他方は、一対の第1レール15aの他方と一対の第2レール15bの他方との隣接部を連結する。
【0031】
結合体21は、一対の駆動レール8の間の距離に合わせた長さに形成される。結合体21は、一対の第2レール15bの間に設けられる。結合体21の一側は、一対の第1サポートの一方に連結される。結合体21の他側は、一対の第1サポートの他方に連結される。
【0032】
一対の押さえ体22の一方は、一対の駆動レール8の一方と一対の第2レール15bの一方との隣接部の上方に設けられる。一対の押さえ体22の他方は、一対の駆動レール8の他方と一対の第2レール15bの他方との隣接部の上方に設けられる。
【0033】
次に、
図3から
図14を用いて、取替治具の組立方法を説明する。
図3から
図14は実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具の組立方法を説明するための斜視図である。
【0034】
図3に示されるように、下部乗降口5の側において、図示されないランディングプレートが取り外される。その結果、下部機械室4の側において、一対の駆動レール8が露出する。
【0035】
その後、
図4に示されるように、プラスチックの板体23が下部乗降口5の床面に敷かれる。
【0036】
その後、
図5に示されるように、下部機械室4の側において、下部反転装置の図示されない一対の押さえが取り外される。この際、トラスエンドの側の複数のねじ類Aは、後で流用される。
【0037】
その後、
図6に示されるように、一対の第1レールサポート19aの各々と一対の第2レールサポート19bの各々とがねじ類Bにより一対の第1レール15aの各々に連結される。
【0038】
その後、
図7に示されるように、一対のスロープ体18の各々がねじ類Cにより一対の第2レールサポート19bの各々に連結される。その結果、一対の水平レール組立24が形成される。
【0039】
その後、
図8に示されるように、一対の水平レール組立24が板体23の上に仮に置かれる。
【0040】
その後、
図9に示されるように、一対のボルトDの各々と一対のナットEの各々とが一対の既設床板支持梁ブラケットの各々に仮に取り付けられる。
【0041】
その後、
図10に示されるように、一対の調整体16の各々が一対のボルトDの各々と一対のナットEの各々とにより一対の既設床板支持梁ブラケットの各々に仮に固定される。
【0042】
その後、
図11に示されるように、一対のジョイント体20の各々が一対のボルトFの各々により一対の第1レール15aの各々と第2レール15bとの隣接部に連結される。
【0043】
その後、
図12に示されるように、結合体21がボルトにより一対の第1レールサポート19aに取り付けられる。
【0044】
その後、
図13に示されるように、結合体21の取り付け位置が調整されることで、一対の第2レール15bの間の距離が調整される。
【0045】
その後、
図14に示されるように、一対の押さえ体22の各々がねじ類Aにより一対の下部反転装置のブラケットの各々に固定される。
【0046】
次に、
図15を用いて、ステップリンク体9の取替方法を説明する。
図15は実施の形態1における乗客コンベアのステップリンク体の取替治具を用いたステップリンク体9の取替方法を説明するための斜視図である。
【0047】
ステップリンク体9の取替時においては、取付治具配置工程とステップ軸連鎖形成工程とステップリンク引出工程とステップリンク押入工程とステップ軸連結工程とが行われる。
【0048】
取付治具配置工程において、
図3から
図14に示された通りに、取付治具が配置される。
【0049】
その後、ステップ軸連鎖形成工程において、一対の駆動レール8の往路側でいずれかの一対のステップリンク12による隣接したステップ軸10の連結が解除される。その結果、複数のステップ軸10の連鎖が形成される。
【0050】
その後、ステップリンク引出工程において、複数のステップ軸10の連鎖が一側から複数のステップ軸10の各々における一対の案内ローラ11を一対の駆動レール8のそれぞれの往路側から一対の第1レール15aのそれぞれと一対の第2レール15bのそれぞれと一対のスロープ体18とに沿って下部乗降口5の側に引き出される。
【0051】
この際、
図15に示されるように、一対の押さえ体22のそれぞれは、複数のステップ軸10の各々における一対の案内ローラ11のそれぞれが一対の駆動レール8のそれぞれと一対のレール体15のそれぞれとの隣接部において浮き上がることを抑制する。一対の抑制体17のそれぞれは、複数のステップ軸10の各々における一対の案内ローラ11のそれぞれが一対の第1レール15aのそれぞれと一対の第2レール15bのそれぞれとの隣接部において浮き上がることを抑制する。
【0052】
その後、ステップリンク押入工程において、新たな複数のステップ軸10の連鎖に対して、新たな複数のステップ軸10の各々における一対の案内ローラ11が下部乗降口5の側から一対のスロープ体18と一対の第2レール15bのそれぞれと一対の第1レール15aのそれぞれとに沿って一対の駆動レール8のそれぞれの往路側に押し入れられる。この際、新たな複数のステップ軸10の連鎖の端部は、駆動装置14の位置までチェーンブロック等で引き上げられる。その後、新たな複数のステップ軸10の連鎖は、駆動装置14により移動されることで、新たな複数のステップ軸10の連鎖のすべてが一対の駆動レール8に沿って配置される。
【0053】
その後、ステップ軸連結工程において、新たな複数のステップ軸10の連鎖の一端のステップ軸10と他端のステップ軸10とが新たな一対のステップリンク12で連結される。
【0054】
以上で説明した実施の形態1によれば、一対の押さえ体22のそれぞれは、複数のステップ軸10の各々における一対の案内ローラ11のそれぞれが一対の駆動レール8のそれぞれと一対のレール体15のそれぞれとの隣接部において浮き上がることを抑制する。このため、ステップリンク体9の取替時において、ステップリンク体9を円滑に移動させることができる。
【0055】
また、一対のレール体15のそれぞれは、一対の第1レール15aのそれぞれと一対の第2レール15bのそれぞれとに分割される。このため、取替治具を容易に組み立てることができる。
【0056】
また、一対の抑制体17のそれぞれは、複数のステップ軸10の各々における一対の案内ローラ11のそれぞれが一対の第1レール15aのそれぞれと一対の第2レール15bのそれぞれとの隣接部において浮き上がることを抑制する。このため、ステップリンク体9の取替時において、ステップリンク体9を円滑に移動させることができる。
【0057】
また、一対の調整体16は、乗客コンベアの長手方向に対する一対の第1レール15aのそれぞれの取り付け位置を調整する。このため、様々な種類の乗客コンベアに対して取替治具を適用することができる。
【0058】
また、結合体21は、一対の第2レール15bの間の距離を一対の駆動レール8の間の距離に維持する。このため、ステップリンク体9の取替時において、ステップリンク体9を円滑に移動させることができる。
【0059】
また、一対の支持体19のそれぞれは、一対の第2レール15bのそれぞれが乗降口の床面から浮き上がるように一対の第2レール15bのそれぞれを下方から支持する。このため、一対の案内ローラ11のそれぞれが一対の第2レール15bのそれぞれに案内される際に、一対のステップリンク12のそれぞれが下部乗降口5の床面に接触することを抑制できる。
【0060】
なお、ステップ軸連鎖形成工程の後、ステップリンク取替工程を行ってもよい。ステップリンク取替工程においては、複数のステップ軸10の連鎖が少しずつ取り替えられる。
【0061】
具体的には、まず、複数のステップ軸10の連鎖の一側が複数のステップ軸10の各々における一対の案内ローラ11を一対の駆動レール8のそれぞれの往路側から一対の第1レール15aのそれぞれと一対の第2レール15bのそれぞれと一対のスロープ体18のそれぞれとに沿って下部乗降口5の側に引き出される。その後、複数のステップ軸10の連鎖の一部が一対のステップリンク12のそれぞれによる他部との連結から解除される。その後、複数のステップ軸10の連鎖の他の部分に新たなステップリンク12により新たな複数のステップ軸10の連鎖の一部が連結される。その後、新たな複数のステップ軸10の連鎖の一部に対して新たな複数のステップ軸10の各々における一対の案内ローラ11を下部乗降口5の側から一対のスロープ体18のそれぞれと一対の第2レール15bのそれぞれと一対の第1レール15aのそれぞれとに沿って一対の駆動レール8のそれぞれの往路側に押し入れる。これらの作業が繰り返されることで、複数のステップ軸10の連鎖の一部が新たな複数のステップ軸10の連鎖の一部に順々に取り替えられる。その後、複数のステップ軸10の連鎖の全てが新たな複数のステップ軸10の連鎖の全てに入れ替わった状態において、新たな複数のステップ軸10の連鎖の一端のステップ軸10と他端のステップ軸10とを新たな一対のステップリンク12で連結される。この場合も、ステップリンク体9を容易に取り替えることができる。
【0062】
また、実施の形態1の取替治具を上部乗降口7の側での作業に適用してもよい。この場合も、ステップリンク体9を容易に取り替えることができる。
【0063】
また、実施の形態1の取替治具を動く歩道に適用してもよい。この場合も、ステップリンク体9を容易に取り替えることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 主枠、 2 欄干装置、 3 移動手摺、 4 下部機械室、 5 下部乗降口、 6 上部機械室、 7 上部乗降口、 8 駆動レール、 9 ステップリンク体、 10 ステップ軸、 11 案内ローラ、 12 ステップリンク、 13 ステップ、 14 駆動装置、 15 レール体、 15a 第1レール、 15b 第2レール、 16 調整体、 17 抑制体、 18 スロープ体、 19 支持体、 19a 第1レールサポート、 19b 第2レールサポート、 20 ジョイント体、 21 結合体、 22 押さえ体、 23 板体、 24 水平レール組立