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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】トルク測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
G01L3/10 301J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021562133
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2021025004
【審査請求日】2021-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2020155208
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大寺 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】小野 潤司
(72)【発明者】
【氏名】小林 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】福田 晃大
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-50828(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0232858(US,A1)
【文献】特開2015-34754(JP,A)
【文献】特開2011-145088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 3/00- 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝達するトルクに応じて透磁率が変化する磁歪効果部を有する回転軸のうち、前記磁歪効果部の周囲に配置される円環状のホルダ、前記ホルダに包埋され、かつ、前記磁歪効果部の透磁率の変化に対応して電圧を変化させる検出部、および、センサ側係合部を有する、磁歪センサと、
固定側係合部を有し、使用時も回転しない固定部材と、
を備え、
前記センサ側係合部と前記固定側係合部とのうちの一方が、軸方向に突出した凸部により構成され、かつ、前記センサ側係合部と前記固定側係合部とのうちの他方が、軸方向に凹んだ凹部により構成されており、および、
前記センサ側係合部と前記固定側係合部とを凹凸係合させることで、前記固定部材に対する前記磁歪センサの回転方向および径方向の位置ずれが防止されている、
トルク測定装置。
【請求項2】
前記磁歪センサは、前記センサ側係合部を有する、センサ側コネクタを備え、
前記固定部材は、電子回路と、前記固定側係合部を有する基板側コネクタとを備えた、基板により構成されており、および、
前記センサ側コネクタと前記基板側コネクタとを係合させることで、前記検出部と前記電子回路とが電気的に接続されている、
請求項1に記載のトルク測定装置。
【請求項3】
前記凸部と前記凹部とを非円形嵌合させている、
請求項1または2に記載のトルク測定装置。
【請求項4】
前記センサ側係合部と前記固定側係合部とを凹凸係合させることで、前記固定部材に対し前記磁歪センサを支持している、
請求項1~3のいずれかに記載のトルク測定装置。
【請求項5】
前記センサ側係合部と前記固定側係合部との凹凸係合とは別の手段により、前記固定部材に対し前記磁歪センサを支持している、
請求項1~3のいずれかに記載のトルク測定装置。
【請求項6】
前記センサ側係合部が前記凸部により構成され、かつ、前記固定側係合部が前記凹部により構成されており、
前記凸部が、前記ホルダに包埋された棒状部品の先端部により構成されている、
請求項1~5のいずれかに記載のトルク測定装置。
【請求項7】
前記センサ側係合部が前記凸部により構成され、かつ、前記固定側係合部が前記凹部により構成されており、
前記凸部が、前記ホルダを構成する合成樹脂により、該ホルダと一体に構成されている、
請求項1~5のいずれかに記載のトルク測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸が伝達しているトルクを測定するトルク測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の分野では、パワートレインすなわち動力伝達機構を構成する回転軸により伝達しているトルクを測定し、その測定結果を利用して、動力源であるエンジンや電動モータの出力制御や、変速機の変速制御を実行するシステムの開発が進んでいる。
【0003】
従来、回転軸が伝達しているトルクを測定するための手段として、磁歪式のトルク測定装置が知られている。磁歪式のトルク測定装置では、たとえば特開昭59-61730号公報に記載されているように、回転軸の外周面に磁歪材が固定され、かつ、磁歪材の近傍に磁歪材の透磁率の変化を検出するための磁歪センサが配置される。回転軸にトルクが加わり、磁歪材に弾性的な捩れ変形が生じると、逆磁歪効果に基づいて磁歪材に透磁率の変化が生じる。これにより、磁歪センサの出力信号が、磁歪材の透磁率の変化に対応して変化するため、回転軸が伝達しているトルクを測定することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭59-61730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の磁歪式のトルク測定装置では、磁歪材の近傍に配置された磁歪センサが、使用時にも回転しない固定部材に対する回転方向および径方向の位置ずれを起こすと、測定されるトルクに誤差が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、使用時にも回転しない固定部材に対する磁歪センサの回転方向および径方向の位置ずれを防止できる構造のトルク測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様のトルク測定装置は、磁歪センサと、固定部材とを備える。
【0008】
前記磁歪センサは、伝達するトルクに応じて透磁率が変化する磁歪効果部を有する回転軸のうち、前記磁歪効果部の周囲に配置される円環状のホルダ、前記ホルダに包埋され、かつ、前記磁歪効果部の透磁率の変化に対応して電圧を変化させる検出部、および、センサ側係合部を有する。
【0009】
前記固定部材は、固定側係合部を有し、使用時も回転しない。
【0010】
前記センサ側係合部と前記固定側係合部とのうちの一方が、軸方向に突出した凸部により構成され、かつ、前記センサ側係合部と前記固定側係合部とのうちの他方が、軸方向に凹んだ凹部により構成されており、前記センサ側係合部と前記固定側係合部とを凹凸係合させることで、前記固定部材に対する前記磁歪センサの回転方向および径方向の位置ずれが防止されている。
【0011】
本発明の一態様のトルク測定装置では、前記磁歪センサは、前記センサ側係合部を有するセンサ側コネクタを備える。
【0012】
前記固定部材は、電子回路と、前記固定側係合部を有する基板側コネクタと、を備えた基板により構成されている。
【0013】
前記センサ側コネクタと前記基板側コネクタとを係合させることで、前記検出部と前記電子回路が電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、使用時にも回転しない固定部材に対する磁歪センサの回転方向および径方向の位置ずれを防止できる構造のトルク測定装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態の第1例のトルク測定装置を模式的に示す断面図である。
図2図2は、第1例のトルク測定装置を模式的に示す分解斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態の第2例のトルク測定装置を模式的に示す断面図である。
図4図4は、第2例のトルク測定装置を模式的に示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1例]
本発明の実施の形態の第1例について、図1および図2を用いて説明する。
【0017】
本例のトルク測定装置1は、回転軸2により伝達しているトルクを測定する装置であり、各種の機械装置に組み込まれて使用される。本例のトルク測定装置1が組み込まれる機械装置の具体例としては、自動車のパワートレインを構成する機械装置、たとえば、オートマチックトランスミッション(AT)、ベルト式無段変速機、トロイダル型無段変速機、オートマチックマニュアルトランスミッション(AMT)、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)などの車側の制御で変速を行うトランスミッション、および、トランスファー、マニュアルトランスミッション(MT)などが挙げられる。なお、対象となる車両の駆動方式、すなわち、FF、FR、MR、RR、4WDなどの方式は、特に問わない。本例のトルク測定装置1が組み込まれる機械装置の具体例として、さらに、風車、鉄道車両、鉄鋼の圧延機などを構成する、減速機や増速機なども挙げられる。
【0018】
本例のトルク測定装置1は、磁歪センサ4と、使用時にも回転しない固定部材とを備える。
【0019】
磁歪センサ4は、伝達するトルクに応じて透磁率が変化する磁歪効果部を有する回転軸2のうち、前記磁歪効果部の周囲に配置される円環状のホルダ5と、ホルダ5に包埋され、かつ、前記磁歪効果部の透磁率の変化に対応して電圧を変化させる検出部と、センサ側係合部とを有する。
【0020】
前記固定部材は、固定側係合部を有し、使用時も回転しない。
【0021】
前記センサ側係合部と前記固定側係合部とのうちの一方が、軸方向に突出した凸部により構成され、かつ、前記センサ側係合部と前記固定側係合部とのうちの他方が、軸方向に凹んだ凹部により構成されている。
【0022】
前記センサ側係合部と前記固定側係合部とを凹凸係合させることで、前記固定部材に対する磁歪センサ4の回転方向および径方向の位置ずれが防止されている。
【0023】
以下、対象となる回転軸2、および、トルク測定装置1について、より具体的に説明する。特に断らない限り、トルク測定装置1に関して、軸方向は、ホルダ5の軸方向、すなわち、図1および図2における左右方向である。また、軸方向一方側は、図1および図2における右側であり、軸方向他方側は、図1および図2における左側である。
【0024】
本例では、回転軸2は、使用時にも回転しない不図示のケースに対し、不図示の転がり軸受により回転可能に支持されており、伝達するトルクに応じて透磁率が変化する磁歪効果部を有する。
【0025】
回転軸2は、軸方向中間部に、図1に示された中間軸部3を有する。中間軸部3の外周面は、円筒面により構成されている。本例では、回転軸2を磁性金属により構成することで、回転軸2の中間軸部3を磁歪効果部として機能させている。回転軸2を構成する磁性金属としては、たとえば、JISに規定されている、SCr420、SCM420などの浸炭鋼、S45Cなどの炭素鋼といった、各種磁性鋼を用いることができる。
【0026】
回転軸2にトルクが加わり、中間軸部3に捩れ変形が生じると、中間軸部3にトルクに応じた応力、すなわち、軸方向に対して+45゜方向の引っ張り応力、および、軸方向に対して-45゜方向の圧縮応力が作用する。これに伴い、逆磁歪効果によって、中間軸部3の各方向の透磁率が変化する。
【0027】
本発明を実施する場合に、中間軸部3の外周面のうち、磁歪センサ4の検出部であるコイル6を対向させる部分に、ショットピーニング処理を施すことによって圧縮加工硬化層を形成し、該部分の機械的特性および磁気的特性を改善することもできる。このようにすれば、磁歪センサ4によるトルク測定の感度およびヒステリシスを改善することができる。
【0028】
本発明を実施する場合に、中間軸部3自体を磁歪効果部として機能させずに、中間軸部3の外周面に、磁歪効果部として機能する、中間軸部3とは別体の磁歪材を固定することもできる。この場合、円環状に構成された磁歪材を中間軸部3に外嵌固定したり、めっきなどの被膜やフィルム状の磁歪材を中間軸部3の外周面に固定したりすることができる。
【0029】
本例のトルク測定装置1は、磁歪センサ4と、使用時にも回転しない前記固定部材を構成する基板9とを備える。
【0030】
磁歪センサ4は、ホルダ5と、検出部であるコイル6と、バックヨーク7とを備える。
【0031】
ホルダ5は、合成樹脂により構成されており、円筒形状を有する。ホルダ5は、回転軸2の中間軸部3の周囲に配置されるホルダ本体18と、ホルダ本体18の軸方向一方側の側面の円周方向1箇所位置から軸方向一方側に向けて突出し、センサ側係合部を構成する凸部8とを備える。本例では、凸部8は、軸方向他方側の端部である基端部をホルダ本体18に包埋された棒状部品の軸方向一方側の端部である先端部により構成されている。ただし、本発明を実施する場合に、凸部は、ホルダを構成する合成樹脂により、円筒状のホルダ本体と一体に構成することもできる。本例では、凸部8は、軸方向から見て矩形の端面形状を有する。
【0032】
コイル6は、全体を円筒状に構成されている。コイル6は、ホルダ5に包埋され、かつ、ホルダ5と同軸に配置されている。使用時には、コイル6に交流電圧を印加することで、コイル6の周囲に交流磁場を発生させる。
【0033】
バックヨーク7は、コイル6により発生する磁束の磁路となる部材であって、軟鋼などの磁性材により、全体を円筒状に構成されている。バックヨーク7は、コイル6に外嵌するように配置され、かつ、ホルダ5に包埋されている。
【0034】
本例では、基板9は、全体を中空円板状に構成されている。基板9は、磁歪センサ4の軸方向一方側に隣り合う位置に、磁歪センサ4のホルダ5と同軸に配置されている。また、この状態で、基板9は、回転軸2の中間軸部3の周囲に配置され、かつ、前記ケースにねじ止めなどにより支持固定されている。基板9は、不図示の電子回路と、凹部10とを備える。本発明を実施する場合に、基板の形状は、本例のような中空円板状に限らず、中実円板状や矩形板状などの各種の形状を採用することができる。ただし、いずれの形状を採用する場合でも、基板は、回転軸と干渉しないように配置される。
【0035】
本例では、前記電子回路は、コイル6の電圧を利用して回転軸2が伝達しているトルクを算出するトルク検出回路を含む。
【0036】
凹部10は、基板9のうち、凸部8と軸方向に整合する箇所に備えられており、軸方向他方側に開口している。すなわち、凹部10は、軸方向一方側に凹むように構成されている。また、本例では、凹部10は、軸方向から見て、矩形の開口形状を有する。
【0037】
本例では、ホルダ5の凸部8を基板9の凹部10に差し込むことで、凸部8と凹部10とを凹凸係合させている。これにより、基板9に対し磁歪センサ4が、回転方向および径方向の位置ずれを防止した状態で支持される。すなわち、本例では、凸部8がセンサ側係合部を構成し、かつ、凹部10が固定側係合部を構成する。
【0038】
本例では、凸部8が矩形の端面形状を有し、凹部10が矩形の開口形状を有する。すなわち、凸部8と凹部10とを非円形嵌合させている。これにより、磁歪センサ4と基板9とが、凸部8と凹部10との係合部を中心として相対回転することを防止されている。
【0039】
本発明を実施する場合、凸部の端面形状と凹部の開口形状とは、矩形に限らず、矩形以外の多角形や、長円形などの、各種の非円形状とすることができる。また、凸部の端面形状と凹部の開口形状は、円形とすることもできる。
【0040】
また、本発明を実施する場合に、センサ側係合部を、軸方向に凹んだ凹部により構成し、かつ、固定側係合部を、軸方向に突出した凸部により構成することもできる。
【0041】
コイル6と基板9の電子回路とは、不図示の可撓性を有する配線やコネクタなどを用いて電気的に接続されている。
【0042】
回転軸2にトルクが加わることで中間軸部3に捩れ変形が生じ、中間軸部3の各方向の透磁率がそれぞれ変化すると、磁歪センサ4を構成するコイル6の内側を通過する磁束が変化することにより、コイル6のインダクタンスが変化することに基づいて、コイル6の電圧が変化する。このため、コイル6の電圧を利用して、回転軸2が伝達しているトルクを測定することができる。本例では、基板9の電子回路が、コイル6の電圧を利用して回転軸2が伝達しているトルクを算出する。
【0043】
本発明を実施する場合、磁歪センサの検出部として、コイルのほか、ホール素子などの磁気検出素子を用いることもできる。
【0044】
本例では、磁歪センサ4の凸部8を、基板9の凹部10に差し込むことにより、凸部8と凹部10とを凹凸係合させるだけで、磁歪センサ4を基板9に対し、回転方向および径方向の位置ずれを防止した状態で支持することができる。すなわち、本例によれば、磁歪センサ4を基板9に対し、回転方向および径方向の位置ずれを防止した状態で支持できる構造を、凸部8と凹部10とを凹凸係合させるだけの簡易な構成で実現することができる。
【0045】
本例では、凸部8と凹部10とが非円形嵌合することにより、磁歪センサ4と基板9とが、凸部8と凹部10との接続部を中心として相対回転することを防止されている。これにより、中間軸部3と磁歪センサ4との適切な位置関係が維持されるため、トルクの測定精度も維持される。
【0046】
本例では、ホルダ5の凸部8と基板9の凹部10とを凹凸係合させることにより、基板9に対する磁歪センサ4の回転方向および径方向の位置ずれを防止するだけでなく、基板9に対して磁歪センサ4を支持する構成を採用している。ただし、本発明を実施する場合に、ホルダ5の凸部8と基板9の凹部10とを凹凸係合させることにより、基板9に対する磁歪センサ4の回転方向および径方向の位置ずれを防止する一方で、磁歪センサ4を、基板9またはケースなど、使用時にも回転しない固定部分に対し、ねじ止めや嵌合などの他の手段により支持する構成を採用することもできる。たとえば、ケースの内周面にホルダ本体18を内嵌することにより、該ケースに対して磁歪センサ4を支持する構成を採用することもできる。この場合、凸部8と凹部10との凹凸係合によって、磁歪センサ4の回転方向および径方向の位置ずれを防止できるため、ホルダ本体18と前記ケースの内周面との嵌合部により、磁歪センサ4の回転方向および径方向の位置ずれを防止する必要がない。したがって、前記ケースの内周面の形状精度を、磁歪センサ4を回転方向および径方向の位置ずれを防止できる強度で嵌合できる程度まで高くする必要がなく、トルク測定装置1の製造コストを低減することができる。
【0047】
[第2例]
本発明の実施の形態の第2例について、図3および図4を用いて説明する。
【0048】
本例のトルク測定装置1aでは、磁歪センサ4aは、センサ側コネクタ11を備える。センサ側コネクタ11は、オスコネクタであって、ホルダ5のホルダ本体18の軸方向一方側の側面の円周方向1箇所から軸方向一方側に向けて突出する凸部8aを有する。凸部8aは、軸方向から見て矩形の端面形状を有する。センサ側コネクタ11は、不図示の配線を介してコイル6に導通している。
【0049】
本例では、固定部材である基板9aは、基板側コネクタ12を備える。基板側コネクタ12は、メスコネクタであって、基板9aのうち、センサ側コネクタ11と軸方向に整合する箇所に備えられており、軸方向一方側に凹む凹部10aを有する。本例では、凹部10aは、矩形の開口形状を有する。基板側コネクタ12は、基板9aの電子回路に導通している。なお、図示の例では、基板側コネクタ12は、基板9aのうちで基板側コネクタ12の周囲に存在する部分よりも軸方向他方側に突出していないが、本発明を実施する場合には、基板側コネクタを、基板のうちで基板側コネクタの周囲に存在する部分よりも軸方向他方側に突出させることもできる。
【0050】
本例では、センサ側コネクタ11の凸部8aを、基板側コネクタ12の凹部10aに差し込むことにより、凸部8aと凹部10aとを凹凸係合させることで、センサ側コネクタ11と基板側コネクタ12とが係合、すなわち接続されている。これにより、磁歪センサ4aが基板9aに対して、回転方向および径方向の位置ずれを防止した状態で支持され、かつ、コイル6と基板9aの電子回路とが電気的に接続している。
【0051】
本例によれば、磁歪センサ4が基板9に対して、回転方向および径方向の位置ずれを防止した状態で支持され、かつ、コイル6と基板9aとが電気的に接続されている構造を、センサ側コネクタ11と基板側コネクタ12とを接続するだけの簡易な構成で実現することができる。
【0052】
本例では、センサ側コネクタ11の凸部8aの端面形状および基板側コネクタ12の凹部10aの開口形状は、非円形である矩形であるため、センサ側コネクタ11と基板側コネクタ12とを接続した状態で、磁歪センサ4aと基板9aとが、センサ側コネクタ11と基板側コネクタ12との接続部を中心として相対回転することを防止することができる。
【0053】
本発明を実施する場合に、センサ側コネクタの凸部の端面形状と基板側コネクタの凹部の開口形状は、矩形に限らず、矩形以外の多角形や、長円形などの、各種の非円形状とすることができる。また、センサ側コネクタの凸部の端面形状と基板側コネクタの凹部の開口形状は、円形とすることもできる。
【0054】
本発明を実施する場合に、センサ側コネクタをメスコネクタにより構成し、かつ、基板側コネクタをオスコネクタにより構成することもできる。
【0055】
本例の構造では、センサ側コネクタ11と基板側コネクタ12とを接続することによって、基板9aに対する磁歪センサ4aの回転方向および径方向の位置ずれを防止できるだけでなく、コイル6と基板9aの電子回路とを電気的に接続することができる。このため、コイル6と基板9aの電子回路とを電気的に接続するための配線などを、別途設置する必要がない。したがって、その分、トルク測定装置1aの部品点数を少なく抑えることができる。この結果、トルク測定装置1aの製造コストを抑えることができる。
【0056】
第2例のその他の構成および作用効果は、第1例と同様である。
【0057】
上述した各実施の形態の構造は、矛盾が生じない範囲で、適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
1、1a トルク測定装置
2 回転軸
3 中間軸部
4、4a 磁歪センサ
5 ホルダ
6 コイル
7 バックヨーク
8、8a 凸部
9、9a 基板
10、10a 凹部
11 センサ側コネクタ
12 基板側コネクタ
18 ホルダ本体
【要約】
【課題】使用時にも回転しない固定部材に対する磁歪センサの回転方向および径方向の位置ずれを防止できる構造のトルク測定装置を提供する。
【解決手段】トルク測定装置1は、磁歪センサ4と、固定部材9とを備える。磁歪センサ4は、磁歪効果部3を有する回転軸2のうち、磁歪効果部3の周囲に配置される円環状のホルダ5と、ホルダ5に包埋され、かつ、磁歪効果部3の透磁率の変化に対応して電圧を変化させる検出部6と、センサ側係合部8とを有する。固定部材9は、固定側係合部10を有し、使用時も回転しない。センサ側係合部8と固定側係合部10の一方が凸部からなり、他方が凹部からなる。センサ側係合部8と固定側係合部10とを凹凸係合させることで、基板9に対する磁歪センサ4の回転方向および径方向の位置ずれが防止されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4