(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】テストパターンの抽出方法及び抽出プログラム
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20220107BHJP
G03F 1/84 20120101ALI20220107BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F1/84
(21)【出願番号】P 2018003864
(22)【出願日】2018-01-12
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】515152878
【氏名又は名称】ALITECS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】小林 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】滝川 忠宏
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特許第5414455(JP,B2)
【文献】特開2016-57534(JP,A)
【文献】特開2011-3644(JP,A)
【文献】特開2008-211076(JP,A)
【文献】特開2005-156865(JP,A)
【文献】特開2006-189724(JP,A)
【文献】米国特許第7434197(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/20-1/86、7/20-7/24、9/00-9/02
H01L 21/027、21/30
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィプロセスに関連するモデルを較正するためのテストパターン又は半導体検査装置で欠陥検査を行うためのテストパターンを抽出するテストパターンの抽出方法であって、
半導体デバイスの設計レイアウトデータを入力する工程と、
前記設計レイアウトデータに含まれるパターンを第1パターンとし、第1パターンの各々を所定量拡大するプラスサイジング処理を行う工程と、
前記プラスサイジング処理により隣接する第1パターンが相互に連結されて生成するアイランドパターンを第2パターンとし、各第2パターンの中心を特定する工程と、
前記第2パターンの中心に位置する第1パターンをテストパターンとして抽出する工程とを含むことを特徴とするテストパターンの抽出方法。
【請求項2】
前記テストパターンとして抽出する工程は、前記第1パターンが存する平面上の直交する2方向をX方向及びY方向とし、前記第2パターンの中心に対応する第1パターンの部分を起点としてX方向及びY方向に走査して第1パターンのエッジを検出する工程と、このエッジを跨ぐ線状の測定箇所をテストパターンとする工程とを有することを特徴とする請求項1記載のテストパターンの抽出方法。
【請求項3】
コンピュータにインストールすることにより、リソグラフィプロセスに関連するモデルを較正するためのテストパターン又は半導体検査装置で欠陥検査を行うためのテストパターンを抽出するテストパターンの抽出プログラムであって、
半導体デバイスの設計レイアウトデータを入力する手順と、
前記設計レイアウトデータに含まれるパターンを第1パターンとし、第1パターンの各々を所定量拡大するプラスサイジング処理を行う手順と、
前記プラスサイジング処理により隣接する第1パターンが相互に連結されて生成するアイランドパターンを第2パターンとし、各第2パターンの中心を特定する手順と、
前記第2パターンの中心に位置する第1パターンをテストパターンとして抽出する手順とをコンピュータに実行させるためのテストパターンの抽出プログラム。
【請求項4】
前記テストパターンとして抽出する手順は、前記第1パターンが存する平面上の直交する2方向をX方向及びY方向とし、前記第2パターンの中心に対応する第1パターンの部分を起点としてX方向及びY方向に走査して第1パターンのエッジを検出する手順と、このエッジを跨ぐ線状の測定箇所をテストパターンとする手順とを含む請求項3記載のテストパターンの抽出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィプロセスに関連するモデルを較正するためのテストパターン又は半導体検査装置で欠陥検査を行うためのテストパターンを抽出するテストパターンの抽出方法及び抽出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程には、レジストパターンを形成する工程がある。レジストパターンは、所謂リソグラフィプロセスを用いて形成される。即ち、半導体基板の表面に感光性材料であるレジストを塗布し、レジストに対してマスクパターンを露光し、現像することでレジストパターンが形成される。近年の半導体デバイスの微細化に伴い、レジストパターンを精度良く形成することが難しくなっており、光近接効果補正(OPC:Optical Proximity Correction)や超解像技術(RET:Resolution Enhancement Techniques)が適用されている。これらの光近接効果補正や超解像技術を適用するためには、リソグラフィプロセスを記述したリソグラフィモデルが用いられる。そして、テストパターンを使用してリソグラフィモデルを較正することで精度を高めている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、リソグラフィモデル較正用のテストパターンとしては、リソグラフィの影響範囲内に所定の規則性を持って配置されたパターンが用いられる。このようなテストパターンを最初から作成しようとすると、作業工数が大きい。そこで、既存の半導体デバイスの設計レイアウトデータからテストパターンを抽出することで、作業工数を小さくすることが可能である。テストパターンの抽出方法としては、設計レイアウトデータのパターンレイアウトを目視等の手作業を含む方法で確認しつつ、所定の規則性を持つ評価パターンを選び出してテストパターンとして選択する方法が一般である。然し、1つの設計レイアウトデータの中に1000万個以上の評価パターンが含まれることがあり、膨大な量の評価候補パターンを1つずつ目視等の手作業を含む方法で確認するには時間がかるため、テストパターンを効率良く抽出することが難しいという問題があった。また、設計レイアウトデータから半導体検査装置で欠陥検査を行うためのテストパターンを抽出する場合も同様に、テストパターンを効率良く抽出することが難しいという問題があった。
【0004】
一方で、半導体ウェーハやマスク上の微細なパターンの欠陥検査を行う場合、全面検査を実施して問題のある箇所を抽出する方法や、検査箇所を絞り込んで該当箇所をチェックする方法がある。全面検査を実施する場合には、検査時間が膨大になるという課題がある。検査箇所を絞り込む場合には、検査時間は短縮できるが、事前にどの場所を選択するか、意味のある場所を選択することが課題となる。他方で、欠陥検査を行うためのテストパターンとして、専用パターンを作成することも考えられるが、最初からこのような専用パターンを作成するには膨大な作業工数が必要となる。そこで、既存の半導体デバイスの設計レイアウトデータから検査装置での欠陥検査を行う意味のあるテストパターンを抽出することは有効となる。テストパターンの抽出方法としては、設計レイアウトデータのパターンレイアウトを目視等の手作業を含む方法で確認しつつ、欠陥検査を行う意味のあるパターンをテストパターンとして選択する方法が一般である。ただし、前記のとおり大量に存在するパターンの中からテストパターンを効率良く抽出することが難しいという課題がある。このため、半導体検査装置で欠陥検査をおこなうためのテストパターンを抽出する場合においても、テストパターンを効率良く抽出することが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、半導体デバイスの設計レイアウトデータからテストパターンを効率良く抽出することが可能なテストパターンの抽出方法及び抽出プログラムを提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、リソグラフィプロセスに関連するモデルを較正するためのテストパターン又は半導体検査装置で欠陥検査を行うためのテストパターンを抽出する本発明のテストパターンの抽出方法は、半導体デバイスの設計レイアウトデータを入力する工程と、前記設計レイアウトデータに含まれるパターンを第1パターンとし、第1パターンの各々を所定量拡大するプラスサイジング処理を行う工程と、前記プラスサイジング処理により隣接する第1パターンが相互に連結されて生成するアイランドパターンを第2パターンとし、各第2パターンの中心を特定する工程と、前記第2パターンの中心に位置する第1パターンをテストパターンとして抽出する工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記テストパターンとして抽出する工程は、前記第1パターンが存する平面上の直交する2方向をX方向及びY方向とし、前記第2パターンの中心に対応する第1パターンの部分を起点としてX方向及びY方向に走査して第1パターンのエッジを検出する工程と、このエッジを跨ぐ線状の測定箇所(以下「ゲージ」ともいう)をテストパターンとする工程とを有することが好ましい。
【0009】
ところで、半導体デバイスの製造プロセスとしては、パターンをウェーハに焼き付けるためのリソグラフィプロセス、パターン形成されたものに対して、個々の形状を完成させるエッチングプロセス、イオン注入プロセス、ウェーハ表面を研磨する化学的機械式研磨(CMP)プロセスなどがある。これらの製造プロセスでは、それぞれに応じた物理モデルによるシミュレーションで、ウェーハ上のパターン形成がどのようにおこなわれているかを予測することができる。本発明においては、前記各第2パターンの中心を特定する工程にて、半導体製造プロセスの物理モデルの影響範囲よりも大きい第2パターンを選別し、選別した第2パターンの中心を特定することが好ましい。リソグラフィプロセスに関連するモデルを較正するためのテストパターンを抽出する場合、前記影響範囲は、NAやλによって定まるリソグラフィの影響範囲である。
【0010】
また、上記課題を解決するために、コンピュータにインストールすることにより、リソグラフィプロセスに関連するモデルを較正するためのテストパターン又は半導体検査装置で欠陥検査を行うためのテストパターンを抽出する本発明のテストパターンの抽出プログラムは、半導体デバイスの設計レイアウトデータを入力する手順と、前記設計レイアウトデータに含まれるパターンを第1パターンとし、第1パターンの各々を所定量拡大するプラスサイジング処理を行う手順と、前記プラスサイジング処理により隣接する第1パターンが相互に連結されて生成するアイランドパターンを第2パターンとし、各第2パターンの中心を特定する手順と、前記第2パターンの中心に位置する第1パターンをテストパターンとして抽出する手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
本発明において、前記テストパターンとして抽出する手順は、前記第1パターンが存する平面上の直交する2方向をX方向及びY方向とし、前記第2パターンの中心に対応する第1パターンの部分を起点としてX方向及びY方向に走査して第1パターンのエッジを検出する手順と、このエッジを跨ぐ線状の測定箇所(ゲージ)をテストパターンとする手順とを含むことが好ましい。
【0012】
前記各第2パターンの中心を特定する手順は、半導体製造プロセスの物理モデルの影響範囲よりも大きい第2パターンを選別する手順と、選別された第2パターンの中心を特定する手順とを含むことが好ましい。
【0013】
本発明によれば、プラスサイジング処理により第2パターンとすることで、この第2パターンに含まれる第1パターンは所定の規則を持って配置されたものであると判定することができる。そして、第2パターンの中心に位置する第1パターンをテストパターンとして抽出することで、当該テストパターンを中心とするリソグラフィの影響範囲内では所定の規則を持って第1パターンが配置されていると判定することができ、リソグラフィモデル較正に適したテストパターンを取得することができる。しかも、プラスサイジング処理という図形演算を用いるため、従来例の如く目視等の手作業を含む方法で確認する必要がなく、テストパターンを効率良く抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態のテストパターンの抽出方法を実施するテストパターン抽出装置の構成を示す模式図。
【
図2】本発明の実施形態のテストパターンの抽出方法のルーチンを示すフローチャート。
【
図5】本発明の変形例におけるゲージの形成方法を説明する図。
【
図6】本発明の変形例にてスクリーニング工程で除去される記述パターン及び十字パターンを説明する図。
【
図7】本発明の変形例のテストパターンの抽出方法のルーチンを示すフローチャート。
【
図8】本発明の変形例のプラスサイジング処理を説明する図。
【
図9】本発明の変形例における第1パターンを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、リソグラフィプロセスに関連するモデルを較正するためのテストパターンを抽出する場合を例として、本発明の実施の形態のテストパターンの抽出方法について説明する。
図1は、本発明の実施形態のリソグラフィモデル較正用テストパターンの抽出方法を実施するテストパターン抽出装置の構成を示す。テストパターン抽出装置Mは、制御部1、記憶媒体2、入力部3、抽出部4、出力部5及びデータベースDBを備える。記憶媒体2には、後述するルーチンのプログラムが格納され、このプログラムが制御部1により読み出されて実行されることで、本発明の実施形態のリソグラフィモデル較正用テストパターンの抽出方法が実施される。
【0016】
入力部3は、データベースDBに格納された半導体デバイスの設計レイアウトデータの読み出し。読み出した設計レイアウトデータを抽出部4に入力するものである。設計レイアウトデータとしては、例えば、OPCの評価用に作成された、パターン幅や間隔値を変えながら均一ピッチで作成された評価データや、フロアプラン(Floor Plan)工程、プレースメント(Placement)工程、クロック合成(Clock Synthesis)工程、配線(Route)工程といった複数の工程を経て作成される複雑な形状を持ち、複数のバリエーションで形成され且つ実際の回路動作を行うためのレイアウトを含んだ実製品の設計レイアウトデータを用いることができる。このような設計レイアウトデータは公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。データベースDBへの設計レイアウトデータの入力は、図示省略するユーザインターフェイスを用いてユーザが行ってもよく、図示省略する装置から自動的に入力されるように構成してもよい。
【0017】
抽出部4は、入力部3から入力される設計レイアウトデータから、後述する複数のステップを経てテストパターンを抽出するものである。出力部5は、抽出部4により抽出されたテストパターンを所定の出力先に出力するものである。出力先には、テストパターン(後述のゲージRg)を格納するメモリ等の記憶手段やデータベースのほか、リソグラフィモデルを較正するシミュレータ(コンピュータ)が含まれるものとする。
【0018】
次に、リソグラフィモデル較正用テストパターンの抽出方法の実施形態について、ラインアンドスペースパターンをテストパターンとして抽出する場合を例に説明する。
【0019】
図2は、リソグラフィモデル較正用テストパターンの抽出方法のルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンによれば、先ず、入力部3によりデータベースDBの設計レイアウトデータを抽出部4に入力する(ステップS1)。次に、
図3も参照して、設計レイアウトデータに含まれるパターンを第1パターン11とし、第1パターン11の各々を所定量拡大するプラスサイジング処理を行う(ステップS2)。このプラスサイジング処理により、X方向に隣接する第1パターン11の間隔d1が比較的狭いもの、即ち、隣接する第1パターン11が規則性を持って並んでいるものは、隣接する第1パターン11が相互に連結されてアイランドパターン12となる。一方、X方向に隣接する第1パターン11の間隔d2が比較的広いもの、即ち、隣接する第1パターン11が規則性を持って並んでいないものは、隣接する第1パターン11が相互に連結されず、アイランドパターンとはならない。
【0020】
上記ステップS2のプラスサイジング処理により生成したアイランドパターン12を第2パターンとし、各第2パターン12の中心C(Xc,Yc)を特定する(ステップS3)。これにより、規則性を持って並ぶ第1パターン11群の中心C(Xc,Yc)が特定される。そして、第2パターン12の中心C(Xc,Yc)に位置する第1パターン11、即ち、規則性を持って並ぶ第1パターン11群の中心C(Xc,Yc)に位置する第1パターン11をテストパターンPtとして抽出する(ステップS4)。
【0021】
ここで、上記ステップS4は、以下のサブステップS41及びS42を有することが好ましい。即ち、サブステップS41では、
図4も参照して、第1パターン11が存する平面上の直交する2方向をX方向及びY方向とし、第2パターン12の中心Cに対応する第1パターン11の部分を起点としてX方向及びY方向に走査して第1パターン11のエッジ11eを検出する。具体的には、第1パターンのポリゴンエッジとの交点を検出する。このとき、
図4に示すようにY方向にのびるラインパターン(スペースパターン)上に起点があるときは、当該ラインパターン(スペースパターン)のX方向両側のエッジが検出される。図示しないが、X方向にのびるラインパターン(スペースパターン)上に起点があるときは、当該ラインパターン(スペースパターン)のY方向両側のエッジが検出される。そして、サブステップS42では、このエッジ11eを跨ぐ線状の測定箇所(ゲージ)Rgを形成し、このラインパターン(スペース領域)のゲージRg(より具体的には、ゲージRgの両端のX座標及びY座標)をテストパターンとする。エッジ11eからゲージRg端部までのはみ出し量dpは、予め規定しておけばよい。
【0022】
最後に、上記ステップS4で抽出したテストパターンを所定の出力先に出力し(ステップS5)、本ルーチンを終了する。
【0023】
以上説明したように、本実施形態によれば、プラスサイジング処理により第2パターン(アイランドパターン)12とすることで、この第2パターン12に含まれる第1パターン11群は規則的に配列されたものであると判定することができる。但し、第2パターン12の周辺部に位置する第1パターン11は、精度良く形成することが比較的難しく、テストパターンとしては不向きである。そこで、第2パターン12の中心Cに位置する第1パターン11をテストパターンTpとして抽出することで、周囲にパターンが規則的に配置されたテストパターンTpを取得することができる。しかも、プラスサイジング処理という図形演算を用いてテストパターンTpを抽出することができるため、従来例の如く目視等の手作業を含む方法で確認する必要がなく、テストパターンを効率良く抽出することができる。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。上記実施形態においては、ラインアンドスペースをテストパターンとして抽出する場合を例に説明したが、
図5に示すように、第1パターンがドットパターン(ビアホール形成用パターン)である場合にも本発明を適用することができる。即ち、ラインアンドスペースパターンとドットパターンの双方がテストパターンとして抽出できる。ドットパターンの場合、
図5に示すように、第2パターン12の中心Cに位置する第1パターン11の部分によっては、当該部分を起点としてX方向及びY方向に走査しても第1パターン11のエッジ11eを検出することができず、ゲージRgを形成できない場合がある。この場合、当該部分に最も近い第1パターン11の中心Csを起点としてX方向及びY方向に走査すれば、第1パターン11のエッジ11eを検出することができるため、ゲージRgを確実に形成することができる。
【0025】
上記実施形態では、X方向及びY方向の双方にプラスサイジングしているが、いずれか一方にプラスサイジングしてランドパターンを形成するようにしてもよい。
【0026】
また、上記実施形態では、所定距離だけプラスサイジングすることにより、アイランドパターンを形成する場合を例に説明したが、プラスサイジングの拡大量を変えることで、連結される第1パターン11の間隔が変わるため、形成されるアイランドパターン(第2パターン)12の形状や数等を変えることができる。これにより、第2パターン12の中心Cが変わるため、異なるテストパターンPtを抽出することができる。
【0027】
また、上記実施形態では、第1パターンの全てに対してプラスサイジング処理を行う場合を例に説明したが、第1パターンには、例えば、
図6に示す「P40」のように、ラインアンドスペースパターンの周囲に配置される、ラインアンドスペースパターンの内容(ピッチや線幅)を記述したパターン(以下「記述パターン」という)が含まれる。このような記述パターンをプラスサイジング処理すると、記述パターン自体がアイランドパターンとして形成され、その中心に位置する記述パターンがテストパターンとして抽出される場合がある。また、記述パターンとラインアンドスペースパターンとを含むアイランドパターンが形成されると、アイランドパターンの中心がずれてしまうという場合がある。これら何れの場合も、好適なテストパターンを抽出することができない。そこで、
図7に示すように、プラスサイジング処理(ステップS2)の前に、スクリーニング工程を行い(ステップS10)、スクリーニング工程により選別された第1パターンに対してプラスサイジング処理を行うようにしてもよい。スクリーニング工程にて記述パターンを除く場合、数字やアルファベットを構成するX方向又はY方向に対して斜めにのびるパターン11aを含むパターン群を除くようにしてもよい。また、プラスサイジング後の図形が矩形になっていないものを除くようにしてもよい。また、スクリーニング工程で除くパターンの形状(例えば、フォトマスクの位置合わせ用の十字パターン11b)を予め登録しておき、登録された形状のパターンを除くようにしてもよいが、スクリーニングの方法はこれらに限らない。
【0028】
また、上記実施形態では、全ての第2パターンの中心を特定しているが、第2パターン形成後(プラスサイジング処理後)に第2パターンを選別する工程(ステップS11)を行ってもよい。即ち、当該ステップS11では、リソグラフィの影響領域内で規則性を持つテストパターンを抽出することを目的とするため、NAやλによって定まるリソグラフィの影響領域に対して大きすぎる(ある一定量大きく超える)サイズを有する第2パターンや、リソグラフィの影響範囲よりも小さいサイズを有する第2パターンを除くことで、リソグラフィの影響領域に対して適切な第2パターンを選別する。この選別された第2パターンに対して上記ステップS3にて行うことで、特定される第2パターンの数を効果的に減らすことができ、有利である。
【0029】
また、上記実施形態では、X方向に間隔d1を存して配置されるラインアンドスペースパターン(以下「LSパターン」という)が1つのアイランドパターン(第2パターン)12を形成する場合を例に説明したが、
図8に示すように、X方向に間隔を存して配置されるLSパターン(以下「第1LSパターン」という)11cと、第1LSパターン11cとY方向に間隔d1aを存して配置される他のLSパターン(以下「第2LSパターン」という)11dとが1つのアイランドパターン12を形成する場合がある。この場合、第1LSパターン11cと第2LSパターン11dのY方向の長さによっては、アイランドパターン12の中心Cに位置する第1パターン11の部分が端部となり、この中心Cからリソグラフィの影響範囲Rr内で規則性を持って並ぶ第1パターン11を抽出することできないことがある。この場合、当該中心CをY方向に移動させて第1パターン11のY方向中央部分に位置させることが好ましい。これによれば、移動後の中心Caからリソグラフィの影響範囲Rr内で、規則性を持って並ぶ第1パターン11のゲージRgをテストパターンPtとして抽出することができる。
【0030】
また、
図8に示す例では、図中左側の第1パターン11のゲージRgと右側の第1パターン11のゲージRgの双方がテストパターンとして抽出されるが、第1パターン11及びゲージRgの形状は同一である。そこで、両ゲージRgが、各ゲージRgからリソグラフィの影響範囲内で同じ形状を構成する場合には、いずれか一方のゲージRgの抽出を省略してもよい。入力する設計レイアウトデータによってはテストパターンPtとして抽出されるゲージRgの数が1000万個程度になる場合もあり、このような場合に抽出するゲージRgの数を効果的に減らすことができれば、抽出したゲージを絞り込みやすくなり、有利である。
【0031】
また、上記実施形態では、リソグラフィの影響領域を所定領域としてそれより大きいサイズの第2パターン12の中心CをテストパターンPtとして特定しているが、所定領域未満の第2パターン12であっても、その中心Cを特定して、テストパターンPtを抽出することが望ましい場合がある。例えば、
図9に示すように、X方向にラインパターンの本数を5本,4本,3本,2本,1本のように変化させたラインアンドスペースパターンを等ピッチPc1で配置し、Y方向にライン幅を50nm,40nm,30nm,20nm,10nmのように変化させたラインアンドスペースパターンを等ピッチPc2で配置した、計25個(=5×5個)のラインアンドスペースパターンのレイアウトがある。このようなレイアウトは、リソグラフィプロセスへのパターン粗密の影響を得るために配置されるものであるため、図中右端に位置する1本のラインパターンもテストパターンとして抽出することが望まれる。ところが、ラインパターンの本数が少ないラインアンドスペースパターンは、プラスサイジングして得たアイランドパターン12の領域が小さくなる。また、プラスサイジングの拡大量によっては、ラインパターンの線幅が細いものでは、隣接するラインパターンが連結されずにアイランドパターン12が形成されない場合もある。そこで、ランドパターン12の面積が所定面積未満であったり、ランドパターン12が形成されない場合であっても、ラインアンドスペースパターンの規則性(X方向のピッチPc1、Y方向のピッチPc2)を抽出したテストパターンPtから予測して、残りのパターンを特定してもよい。図中左上のランドパターン12の中心Cと、その右のランドパターンの中心C1と、下のランドパターンの中心C2とが特定されれば、X方向及びY方向のピッチPc1,ピッチPc2を特定することができ、当該規則性に従い他の中心Cを夫々特定することができる。そして、上記実施形態と同様の方法により、各中心Cに位置する第1パターン11のゲージRgをテストパターンPtとして抽出することができる。
【0032】
また、上記実施形態では、リソグラフィプロセスに関連するモデルを較正するためのテストパターンを抽出する場合を例に説明したが、テストパターンはこれに限定されず、例えば、半導体検査装置で欠陥検査を行うためのテストパターン(測長パターンを含む)を抽出する場合にも本発明を適用することができる。この場合、上記実施形態で述べた「リソグラフィの影響範囲」は、「半導体製造プロセスの物理モデルの影響範囲」と読み替えればよい。
【符号の説明】
【0033】
11…第1パターン,設計レイアウトデータに含まれるパターン、12…第2パターン,アイランドパターン、Pt…テストパターン、Rg…ゲージ。