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▶ 小林 恒己の特許一覧

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  • 特許-網で覆ったコイル状物体の設置 図1
  • 特許-網で覆ったコイル状物体の設置 図2
  • 特許-網で覆ったコイル状物体の設置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】網で覆ったコイル状物体の設置
(51)【国際特許分類】
   E01C 5/02 20060101AFI20220107BHJP
   E01C 7/10 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
E01C5/02
E01C7/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019189765
(22)【出願日】2019-09-28
(65)【公開番号】P2021055503
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2020-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】500528912
【氏名又は名称】小林 恒己
(72)【発明者】
【氏名】小林 恒己
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特許第2909929(JP,B2)
【文献】特開2007-138486(JP,A)
【文献】特開2002-047605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 5/02
E01C 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
目開き4mm以上のコイル状物体を舗装体の基層上に設置し、前記コイル状物体の上に目開き4mm以上の網状物を被せた後、網状物を被せた前記コイル状物体の上および周辺に砕石または骨材を敷き均し、その上にブロックを設置してから、前記コイル状物体内にCAモルタルまたは流体状の物質を流し込み、前記コイル状物体の隙間からCAモルタルまたは流体状の物質を流出させて基層とブロック間のスペーサー組織を形成する工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
舗装断面の構造は、一般的に舗装表面から表層、モルタル層、基層、路盤、路床の構造になっている。自然石の舗装表層材ブロック(以下、ブロックという。)の下面と基層間に敷きつめられたスペーサーの砕石または骨材の空隙に流体状の物質やCAモルタルを注入する工法は公知である。
公知の代表的な工法には2種類の工法が存在する。公知の工法は、以下の▲1▼の工法と▲2▼の工法が存在する。
▲1▼工法は、砕石または骨材の上に敷き並べたブロックの目地隙間からCAモルタルや流体状物質を注入し、ブロックと基層間に敷きつめられたスペーサーの砕石または骨材の空隙部にCAモルタルや流体状物質を流し込む工法である。
▲2▼工法は、砕石または骨材の上に敷き並べてあるブロックの一部を取り除いた場所または予め空所にしておいた場所からCAモルタルや流体状の部材を流し込み、ブロックと基層間に敷きつめられたスペーサーの砕石または骨材の空隙に流体状物質やCAモルタルを流し込む工法である。
公知の何れの工法もゾル状態のCAモルタル溶液を流し込んだ場所からCAモルタル溶液の水頭圧によりCAモルタルをブロックと基層間に敷きつめられたスペーサーの砕石または骨材の空隙空間に浸透させ、CAモルタルが硬化後に交通へ解放する工法である。
CAモルタルがスペーサーの砕石あるいは骨材の空隙部分に浸透する経過時間の間にCAモルタルの状態はゾル状態からゲル状態に変化する。
CAモルタルは施工時に施工現場でアスファルト乳剤とセメントおよび水を混合して混合物として使用する。製造時に混合したセメント成分からカルシュームイオン(Ca++)が混合物の溶液中に流出する。その結果、混合物はゾル状態からゲル状態へ時間の経過と共に変化し、状態の変化に伴い粘度が上昇し、スペーサー間の砕石または骨材空間の空隙部への浸透が停止する。この浸透が停止する現象が、公知の工法の最大の欠点である。
浸透が停止すると設置したブロック下面は、CAモルタルが侵入した部分だけがブロック下面を支えることになる。CAモルタルの侵入の無いブロック下面は砕石または骨材だけの場所が発生し、CAモルタルや硬化物の存在しない場所が発生し、その分の強度の発生が無い。
本発明は、ブロックの下面の希望する場所へCAモルタルおよび流状物を水頭圧を利用して流出させることが出来る画期的な工法である。
ブロックの下面にCAモルタルの浸透をし易くするためには以下の▲1▼、▲2▼、の方法が存在する。
▲1▼の方法は、スペーサーの砕石または骨材から構成される組織の空隙率を大きくすることである。そのためには単粒度砕石を使用することである。単粒度砕石は製造コストが安い6号粒度規格の6号砕石(直径5mm~13mm)の使用が最も経済的に安価となる。その理由は、連続粒度の砕石は砕石製造時に発生する全粒度の使用ができることから未使用粒度が発生が無い。このことから製造単価は安価となる。しかし、連続粒を使用すると基層上に敷き並べた組織の骨材空隙率を15%から45%の範囲を確保することが出来ない。そのために単粒度砕石または骨材を採用する。
スペーサー組織の空隙率が15%以下なるとCAモルタルの浸透率が低下する。CAモルタルの浸透を容易にするためには、敷き並べた砕石または骨材の空隙率を15%以上にしなければならない。そのためには単粒度砕石または単粒度骨材を使用しなければならない。
▲2▼の方法は、CAモルタルの粘度を小さくすることである。粘度を小さくすることはCAモルタルの混合水の割合を大きくすることである。しかし、混合水の割合を大きくすることはCAモルタルの硬化後の物性が低下する。そのために一定以上に混合水の割合を大にすることはできない。
公知の工法を用いてCAモルタルをブロックの下面に流し込んだ場合のCAモルタル硬化後の物性を確保するためにはCAモルタルの浸透距離は、200mm~300mmである。浸透距離を律則する因子は多々存在するが、CAモルタル製造時のモルタルの粘度、スペーサーの砕石あるいは骨材を敷き詰めた時のスペーサー組織の空隙率が最も大きく影響する。
CAモルタルまたは流動状物体を注入し、硬化後、開放して安全な舗装強度を確保するためにはCAモルタルの浸透距離は注入した場所から200mm~300mm離れた場所までである。
一方、表面積の大きいブロックを使用したいときは従来の工法では、ブロックの下面の端部から下面の中心部に向かって200mm~300mmまでが侵入硬化物の強度を確保出来る距離の限界である。
CAモルタルは、施工現場でアスファルト乳剤とセメントと水を混合し、混合物は直ちにブロックの下へ流し込む工法を採用する。直ちに流し込む理由は、直ちに注入しなければCAモルタルの粘度が上昇し、CAモルタルの浸透距離を確保できないからである。そのためにCAモルタル硬化後の物性を確保できるCAモルタル構成物の混合割合は決まってくる。その結果は、CAモルタルを浸透させる範囲は注入場所から200mm~300mm離れた場所までである。
公知の工法は、施工現場でブロック下面へ向けてCAモルタルが浸透する間の時間の経過と共にCAモルタルの粘度は上昇し、浸透が停止する現象が最大の欠点である。このことがCAモルタル舗装の普及を阻害している。
公知の工法では、ブロックの表面縁部から相対する辺までの長さが一定距離より長いとブロック下面の端から一定距離までしかCAモルタルが浸透せず、ブロックを支えるCAモルタルが存在しない場所が発生する。その結果、舗装ブロックの強度の出現を十分発揮できない。
公知のいずれの工法でもCAモルタルの硬化後の物性を十分確保できる範囲は、CAモルタルの浸透範囲まである。それは舗装表層材ブロックの端部からCAモルタルが浸透するまでの距離である。
公知の工法では、ブロックの端部周囲の下面の縁から200mm~300mm離れてしまうとCAモルタルの到達しない場所が発生し、ブロックをCAモルタルおよび流動状物質で底面と側面の5面で支えることが出来ない。そのため強度を確保するためには使用サイズが限定されてしまう。
CAモルタルの侵入距離を侵入場所から200mm~300mmの理由は、空隙率を大きくすれば、また混合水の割合を大にすれば侵入距離は大きなり、小さくすれば侵入距離も小さくなるからである。
本発明は、ブロックの表面積サイズが如何に大きくてもブロック端部からブロック表面下の必要とする場所まで空洞のコイル状部材を設置することで、空洞部を流れるCAモルタルまたは流状物質が骨材の空隙部へ行きわたり、そこから砕石もしくは骨材部の空隙組織にCAモルタルが浸透することによりCAモルタルの存在しない場所が発生しない画期的な発明である。
本発明の利用方法は、基層上にCAモルタルまたは流動状物資が流れる空洞箇所の作成方法とその使用方法である。
本発明の特許請求の範囲1は、目開きが4mm以上あるコイル状の筒を基層上に設置し、それを覆うように砕石または骨材を敷き均す。その上にブロックを設置してからCAモルタルまたは流状物質をコイル状の筒の開放部の隙間から解放された空隙部から流し込み、スペーサーの砕石または骨材の空隙部分にCAモルタルまたは流状物質を充填することを目的とした工法である。筒のサイズを変える事で大判のブロックでもCAモルタルまたは流状物質をブロックの下面まで行き渡らせることができる。
コイルの設置形状を直線形状、先端をT字形状、L字形状、途中を十文字形状、百足(百足)形状にすることで1本のコイルで多くの方向へ能率的にCAモルタルまたは流状物質を流出させることが出来る。
コイルの目開きを4mm以上にした理由は、スペーサー部に敷き均す骨材の単粒度粒度分布が6号砕石の粒度規格は5mm~13mmであるため、実際に使用する砕石の5mm以下の粒度部分は少ないため、5mm粒をコイル内に入れないようにコイルの目開きを4mmとしたものである。また目開きを4mm以下にするとCAモルタルまたは流状物質の流出率が著しく低下するためである。
本発明の特許請求の範囲2は、基層上に設置されたコイルの目開きが4mm以上あることであるが、コイルの目開きが大きくなると砕石または骨材を敷均し中に砕石または骨材がコイルの中に落ち込むことでCAモルタルまたは流状物質の流出率が低下する。この低下率を防ぐためにコイルに目開き4mm以上の網の袋をあらかじめ被せておくことである。この袋状の網を被せたコイル状の筒を基層上に設置してから砕石または骨材を敷均し、その上にブロックを設置し、その後にCAモルタルまたは流状物質を流し込む工法である。
本発明の請求範囲3は、基層上に設置されたコイルの目開きが4mm以上あることであるが、コイルの目開きが大きくなると砕石または骨材を敷均し中に砕石または骨材がコイルの中に落ち込むことでCAモルタルまたは流状物質の流出率が低下する。この低下率を防ぐためにコイルを基層上に設置した後で、目開き4mm以上の網を被せる。その網の上または周囲に砕石または骨材を敷均し、その上にブロックを設置し、その後にCAモルタルまたは流状物質を流し込む工法である。
【図面の簡単な説明】
図1図1は、目開きが4mm以上を有するコイルである。数1は、目開き幅が4mm以上を有するコイルである。数2は、コイルの目開き幅が4mm以上を示している。
図2図2は、基層上に設置するコイルを覆う網である。数3は、基層上に設置するコイルを覆う網である。数4は、この網の目開き幅を示している。
図3図3は、基層上に設置した目開き幅が4mm以上を有するコイルを目開き幅が4mm以上ある網で覆った状態で、その周囲に砕石または骨材を敷き均し、その上にブロックを設置した状態の断面図である。 数5は、コイルである。数6は、網である。数7は、砕石または骨材である。数8は、基層である。数9は、スペーサーの砕石または骨材を敷き均した上に設置したブロックである。
図1
図2
図3