(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】現地調査支援装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20220107BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
(21)【出願番号】P 2017184052
(22)【出願日】2017-09-25
【審査請求日】2020-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】505398963
【氏名又は名称】西日本高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】598017790
【氏名又は名称】西日本高速道路エンジニアリング九州株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517337596
【氏名又は名称】扇精光ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】東 克徳
(72)【発明者】
【氏名】河野 裕典
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/014288(WO,A1)
【文献】特開2008-046065(JP,A)
【文献】特開2017-081685(JP,A)
【文献】特開2017-102867(JP,A)
【文献】特開2005-31490(JP,A)
【文献】三菱モービルマッピングシステム高精度GPS移動計測装置,[online],2016年03月,[令和3年3月18日検索], インターネット<URL:https://www.mitsubishielectric.co.jp/mms/pdf/mms.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の路線に対して所定間隔で設定される各距離標の座標および距離情報を記憶する記憶手段と、
現在位置の座標を取得する座標取得手段と、
前記座標取得手段により取得した現在位置の座標に基づいて、現在位置と当該現在位置に対応する地図画像とを表示する地図表示手段と、
前記記憶手段から前記道路の路線の各距離標の距離情報を取得し、前記道路の路線の各距離標間を補間した距離方向の位置および道路幅方向の位置をメッシュにより表
すとともに、道路構造物の状況を示す凡例一覧を表示した状況記録シートを表示する記録シート表示手段と、
前記記録シート表示手段により表示した状況記録シート
に表示されている凡例一覧の中から入力する凡例が選択され、メッシュのそれぞれの位置
が指定
されると、前記選択された凡例に対応する属性編集画面を表示して道路構造物の状況を入力可能にするとともに、入力された道路構造物の状況をそれぞれのメッシュの位置に対応する前記道路の路線の距離方向の位置および道路幅方向の位置に関連付けた道路構造物の状況に関する情報として前記記憶手段に記録する状況入力手段と
を含む現地調査支援装置。
【請求項2】
道路の路線に対して所定間隔で設定される各距離標の座標および距離情報を記憶する記憶手段と、
現在位置の座標を取得する座標取得手段と、
前記座標取得手段により取得した現在位置の座標に基づいて、現在位置と当該現在位置に対応する地図画像とを表示する地図表示手段と、
前記記憶手段から前記道路の路線の各距離標の距離情報を取得し、前記道路の路線の各距離標間を補間した距離方向の位置および道路幅方向の位置をメッシュにより表した状況記録シートを表示する記録シート表示手段
であり、前記座標取得手段により取得した現在位置の座標に対応する距離標の距離情報を前記記憶手段から取得して、当該現在位置に対応する状況記録シートを表示する記録シート表示手段と、
前記記録シート表示手段により表示した状況記録シートのメッシュのそれぞれの位置を指定して道路構造物の状況を入力可能にするとともに、入力された道路構造物の状況をそれぞれのメッシュの位置に対応する前記道路の路線の距離方向の位置および道路幅方向の位置に関連付けた道路構造物の状況に関する情報として前記記憶手段に記録する状況入力手段と
を含む現地調査支援装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記各距離標の距離情報に関連付けられた道路構造物に関する情報(以下、「道路構造物情報」と称す。)を記憶するものであり、
前記記録シート表示手段は、前記記憶手段から取得した前記道路の路線の各距離標の距離情報に対応する道路構造物情報を前記記憶手段から取得し、当該距離標の距離情報に基づいて前記メッシュ上に前記道路構造物情報を表示するものである
請求項1または2に記載の現地調査支援装置。
【請求項4】
前記記録シート表示手段は、前記道路の路線の距離方向を上下方向として前記状況記録シートを表示するものである請求項1記載の現地調査支援装置。
【請求項5】
前記記録シート表示手段は、前記道路の路線の進行方向を上方向として前記状況記録シートを表示するものである請求項1記載の現地調査支援装置。
【請求項6】
道路の路線に対して所定間隔で設定される各距離標の座標および距離情報を記憶する記憶手段と、
現在位置の座標を取得する座標取得手段と、
前記座標取得手段により取得した現在位置の座標に基づいて、現在位置と当該現在位置に対応する地図画像とを表示する地図表示手段と、
前記記憶手段から前記道路の路線の各距離標の距離情報を取得し、前記道路の路線の各距離標間を補間した距離方向の位置および道路幅方向の位置をメッシュにより表した状況記録シートを表示する記録シート表示手段と、
前記記録シート表示手段により表示した状況記録シートのメッシュのそれぞれの位置を指定して道路構造物の状況を入力可能にするとともに、入力された道路構造物の状況をそれぞれのメッシュの位置に対応する前記道路の路線の距離方向の位置および道路幅方向の位置に関連付けた道路構造物の状況に関する情報として前記記憶手段に記録する状況入力手段と
を含
み、
前記地図表示手段および前記記録シート表示手段は、前記座標取得手段により取得した現在位置の座標に連動して前記地図画像および前記状況記録シートを表示更新するものである現地調査支援装置。
【請求項7】
前記地図表示手段および前記記録シート表示手段は、前記座標取得手段により取得した現在位置の座標に連動して前記地図画像および前記状況記録シートを表示更新するものである請求項
2から5のいずれか1項に記載の現地調査支援装置。
【請求項8】
道路の路線に対して所定間隔で設定される各距離標の座標および距離情報を記憶する記憶手段と、
現在位置の座標を取得する座標取得手段と、
前記座標取得手段により取得した現在位置の座標に基づいて、現在位置と当該現在位置に対応する地図画像とを表示する地図表示手段と、
前記記憶手段から前記道路の路線の各距離標の距離情報を取得し、前記道路の路線の各距離標間を補間した距離方向の位置および道路幅方向の位置をメッシュにより表
すとともに、道路構造物の状況を示す凡例一覧を表示した状況記録シートを表示する記録シート表示手段と、
前記記録シート表示手段により表示した状況記録シート
に表示されている凡例一覧の中から入力する凡例が選択され、メッシュのそれぞれの位置
が指定
されると、前記選択された凡例に対応する属性編集画面を表示して道路構造物の状況を入力可能にするとともに、入力された道路構造物の状況をそれぞれのメッシュの位置に対応する前記道路の路線の距離方向の位置および道路幅方向の位置に関連付けた道路構造物の状況に関する情報として前記記憶手段に記録する状況入力手段と
してコンピュータを機能させるための現地調査支援プログラム。
【請求項9】
道路の路線に対して所定間隔で設定される各距離標の座標および距離情報を記憶する記憶手段と、
現在位置の座標を取得する座標取得手段と、
前記座標取得手段により取得した現在位置の座標に基づいて、現在位置と当該現在位置に対応する地図画像とを表示する地図表示手段と、
前記記憶手段から前記道路の路線の各距離標の距離情報を取得し、前記道路の路線の各距離標間を補間した距離方向の位置および道路幅方向の位置をメッシュにより表した状況記録シートを表示する記録シート表示手段
であり、前記座標取得手段により取得した現在位置の座標に対応する距離標の距離情報を前記記憶手段から取得して、当該現在位置に対応する状況記録シートを表示する記録シート表示手段と、
前記記録シート表示手段により表示した状況記録シートのメッシュのそれぞれの位置を指定して道路構造物の状況を入力可能にするとともに、入力された道路構造物の状況をそれぞれのメッシュの位置に対応する前記道路の路線の距離方向の位置および道路幅方向の位置に関連付けた道路構造物の状況に関する情報として前記記憶手段に記録する状況入力手段と
してコンピュータを機能させるための現地調査支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路や一般道路等の道路における路面、法面、橋梁、トンネル、カルバートや付属物等の道路構造物の現地調査支援装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路や一般道路等の道路における路面、法面、橋梁、トンネル、カルバートや付属物等の道路構造物を常に安全な状態で機能保持することを目的として、各構造物の詳細な点検を行い、その点検結果を基に以上箇所の原因推定や補修計画検討等が行われている。点検に当たっては、各種図面や帳票等を用いて現地調査が行われ、道路構造物の維持管理のための情報として蓄積される。
【0003】
また、道路構造物の点検情報を管理するシステムとして、例えば特許文献1には、道路構造物の2次元展開基図上の2つの基準点を指定するとともに、当該少なくとも2つの基準点に対応する道路上の既知の位置情報を入力し、指定された少なくとも2つの基準点と、入力された既知の道路上の位置情報とに基づいて、2次元展開基図の表示画面における2次元座標軸を設定し、道路構造物を点検した際に、表示画面上で、道路構造物を点検した箇所に対応する2次元展開基図上の点検箇所を指定するとともに、点検内容を示す情報を点検項目ごとに入力し、指定された点検箇所に対応する表示画面上の2次元座標位置に対応づけて、点検時期を示す情報および点検項目ごとの点検内容を示す情報をデータベースに記憶し、表示画面上で、点検項目および/または点検時期が指定されると、当該指定された点検項目および/または点検時期に対応する点検が行われた点検箇所をデータベースから読み出して、2次元展開基図上に点検箇所として表示する道路建造物の点検情報管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記点検情報管理システムでは、点検作業者が、道路構造物のある点検箇所を点検した際に、通信端末装置の表示画面上で、その点検箇所に対応する2次元展開基図上の点検箇所を指定する処理を行い、その点検箇所に関連する点検内容を示す情報を点検項目ごとに入力する処理を行うことが可能となるが、その前準備として、作業者が、道路構造物の2次元展開基図上の2つの基準点を指定する処理を行うとともに、これら2つの基準点に対応する道路上の既知の位置情報(例えば既知のKP(キロ・ポスト)の位置情報)を入力する処理を行う必要がある。
【0006】
すなわち、上記点検情報管理システムでは、これらの指定処理および入力処理によって、指定された2つの基準点と、入力された既知の道路上の位置情報とに基づいて、2次元展開基図の表示画面上における2次元座標軸が設定され、点検した区間の2次元展開図上の任意の箇所を通信端末装置の表示画面上で表示したり、指定して特定したりすることが可能となるのであり、点検箇所ごとにその都度行う必要がある。
【0007】
そこで、本発明においては、作業者が現地調査を行う際、事前に調査箇所に対応する基準点の指定や位置情報の入力を行う必要がなく、現地調査結果を容易に入力することが可能な現地調査支援装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の現地調査支援装置は、道路の路線に対して所定間隔で設定される各距離標の座標および距離情報を記憶する記憶手段と、現在位置の座標を取得する座標取得手段と、座標取得手段により取得した現在位置の座標に基づいて、現在位置と当該現在位置に対応する地図画像とを表示する地図表示手段と、記憶手段から道路の路線の各距離標の距離情報を取得し、道路の路線の各距離標間を補間した距離方向の位置および道路幅方向の位置をメッシュにより表した状況記録シートを表示する記録シート表示手段と、記録シート表示手段により表示した状況記録シートのメッシュのそれぞれの位置を指定して道路構造物の状況を入力可能にするとともに、入力された道路構造物の状況をそれぞれのメッシュの位置に対応する道路の距離の距離方向の位置および道路幅方向の位置に関連付けた道路構造物の状況に関する情報として前記記憶手段に記録する状況入力手段とを含むものである。
【0009】
また、本発明の現地調査支援プログラムは、コンピュータを、道路の路線に対して所定間隔で設定される各距離標の座標および距離情報を記憶する記憶手段と、現在位置の座標を取得する座標取得手段と、座標取得手段により取得した現在位置の座標に基づいて、現在位置と当該現在位置に対応する地図画像とを表示する地図表示手段と、記憶手段から道路の路線の各距離標の距離情報を取得し、道路の路線の各距離標間を補間した距離方向の位置および道路幅方向の位置をメッシュにより表した状況記録シートを表示する記録シート表示手段と、記録シート表示手段により表示した状況記録シートのメッシュのそれぞれの位置を指定して道路構造物の状況を入力可能にするとともに、入力された道路構造物の状況をそれぞれのメッシュの位置に対応する道路の距離の距離方向の位置および道路幅方向の位置に関連付けた道路構造物の状況に関する情報として前記記憶手段に記録する状況入力手段として機能させるためのものである。
【0010】
上記本発明の現地調査支援装置または上記本発明の現地調査支援プログラムを実行したコンピュータによれば、現在位置の座標に基づいて、現在位置に対応する地図画像と現在位置とが表示されるとともに、道路の路線の各距離標間を補間した距離方向の位置および道路幅方向の位置をメッシュにより表された状況記録シートが表示される。そして、表示された状況記録シートのメッシュのそれぞれの位置を指定して道路構造物の状況を入力すると、その入力された道路構造物の状況がそれぞれのメッシュの位置に対応する道路の路線の距離方向の位置および道路幅方向の位置に関連付けられた道路構造物の状況に関する情報として記録される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現在位置の座標に基づいて、現在位置に対応する地図画像と現在位置とが表示されるとともに、道路の路線の各距離標間を補間した距離方向の位置および道路幅方向の位置をメッシュにより表された状況記録シートが表示され、状況記録シートのメッシュのそれぞれの位置を指定して道路構造物の状況を入力すると、入力された道路構造物の状況がそれぞれのメッシュの位置に対応する道路の路線の距離方向の位置および道路幅方向の位置に関連付けられた道路構造物の状況に関する情報として記録されるので、作業者が現地調査を行う際、事前に調査箇所に対応する基準点の指定や位置情報の入力を行う必要がなく、現地調査結果を容易に入力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態における現地調査支援装置の外観図である。
【
図2】
図1の現地調査支援装置のブロック図である。
【
図5】タッチパネル上に地図画像および状況記録シートが表示された例を示す図である。
【
図7】道路構造物の状況としてのポンピング(面)の入力例を示す図である。
【
図8】道路構造物の状況としての縦クラックの入力例を示す図である。
【
図9】道路構造物の状況としての定点打点の入力例を示す図である。
【
図10】道路構造物の状況としての写真の入力例を示す図である。
【
図11】撮影された写真の取り込み例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の実施の形態における現地調査支援装置の外観図、
図2は
図1の現地調査支援装置のブロック図、
図3は路線情報の説明図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施の形態における現地調査支援装置1は、タッチパネル2を備えたコンピュータ3により構成されている。タッチパネル2は、表示装置と、表示装置の画面上をタッチすることにより操作を行う入力装置とを兼ね備えたものである。現地調査支援装置1は、コンピュータ3上で現地調査支援プログラムを実行することにより実現される。
【0015】
現地調査支援装置1は、
図2に示すように、各種情報を記憶する記憶手段10と、現在位置の座標を取得する座標取得手段11と、地図画像を表示する地図表示手段12と、状況記録シートを表示する記録シート表示手段13と、道路構造物の状況を入力可能にする状況入力手段14とを含む。
【0016】
記憶手段10には、路線情報として、道路の路線に対して所定間隔で設定される各距離標の座標および距離(各距離標が示す距離(キロ・ポスト(以下、「KP」と称することもある。)))情報を含む情報が記憶される。
図3に示すように、道路の路線は、車線ごとにその中心線について、各距離標の座標(X座標・Y座標(経緯度))、各距離標が示す距離(KP)、上下線区分や路線名等の路線情報が設定されており、これらの路線情報が記憶手段10に記憶される。なお、距離標は、一般に道路端に一定間隔で設置され、道路の起点からの距離(KP)を表示した標識(道路の付属物)をいうが、ここでは実際の距離標の設置の有無に関わらず、道路の起点(基準となる点)からの距離(KP)により示される位置をいうものとする。
【0017】
また、記憶手段10には、路面、法面、橋梁、トンネル、カルバートや付属物等の道路構造物情報が記憶される。道路構造物情報は、各距離標の距離情報に関連付けられた道路構造物に関する管理コード、名称、上下線区分、車線や路線名等の情報である。
【0018】
座標取得手段11は、現在位置の座標(経緯度)をGNSS(グローバル・ナビゲーション・サテライト・システム/全球測位衛星システム)等の衛星測位システムにより取得するものである。
【0019】
地図表示手段12は、座標取得手段11により取得した現在位置の座標に基づいて、
図5に示すように、現在位置に対応する地図画像50を表示するとともに、この地図画像50上に現在位置を示すマーク51を表示するものである。
【0020】
記録シート表示手段13は、記憶手段10から道路の路線の各距離標の距離情報を取得し、道路の路線の各距離標間を補間した距離方向の位置および道路幅方向の位置をメッシュにより表した状況記録シート60を地図画像50に並べて表示するものである。このとき、記録シート表示手段13は、道路の路線の距離方向を上下方向として状況記録シート60を表示する。なお、本実施形態においては、記録シート表示手段13は、道路の路線の進行方向を常に上方向として状況記録シート60を表示する。
【0021】
また、記録シート表示手段13は、GNSS連動モードにおいては、座標取得手段11により取得した現在位置の座標に対応する距離標の距離情報を記憶手段10から取得して、当該現在位置に対応する状況記録シート60を表示する。このGNSS連動モードにおいては、地図表示手段12および記録シート表示手段13は、座標取得手段11により取得した現在位置の座標に連動して地図画像50および状況記録シート60を表示更新する。
【0022】
また、記録シート表示手段13は、記憶手段10から取得した道路の路線の各距離標の距離情報に対応する道路構造物情報を記憶手段10から取得し、当該距離標の距離情報に基づいてメッシュ上に道路構造物情報を表示する。
【0023】
状況入力手段14は、記録シート表示手段13により表示した状況記録シート60のメッシュのそれぞれの位置を指定して道路構造物の状況を入力可能にするとともに、入力された道路構造物の状況をそれぞれのメッシュの位置に対応する道路の路線の距離方向の位置および道路幅方向の位置に関連付けた道路構造物の状況に関する情報として記憶手段10に記憶するものである。
【0024】
次に、上記構成の現地調査支援装置1の動作について詳細に説明する。なお、現地調査支援装置1の記憶手段10には、路線情報および道路構造物情報が予め記憶されているものとする。
【0025】
まず、
図4に示すように、作業者が抽出条件40を入力し、「検索」ボタン41をタップ(指定)すると、抽出条件40に合致する検索結果一覧42が表示される。この検索結果一覧42から編集対象(調査対象)の作業工区の「シート」ボタン43をタップすると、
図5に示すように記録シート表示手段13によって状況記録シート60が地図画像50に並べて表示される。
【0026】
状況記録シート60は、道路の路線の各距離標間を所定間隔で補間した距離方向の位置および道路幅方向の位置をメッシュにより表したものであり、道路の路線の進行方向が常に上方向として表示される。
図5の例では、距離方向の1メッシュが0.001km、道路幅方向の1メッシュが道路幅の1/5となっている。また、メッシュの左側には、所定間隔でKP情報62が表示される。さらに、状況記録シート60上には、
図6に示すように、距離標の距離情報に基づいて道路構造物情報(図示例ではメッシュを塗りつぶして「現川橋」の文字)が表示される。
【0027】
なお、GNSS連動モードにおいては、座標取得手段11により取得された現在位置の座標に対応する地図画像50が表示されるとともに、この地図画像50上に現在位置がマーク51により表示される。このとき、状況記録シート60上にも現在位置がマーク61により表示される。この現在位置のマーク61は、
図3に示すように現在位置(GNSSの位置)の近傍の路線情報の距離標の位置関係から計算され、対応するメッシュの位置に表示される。また、GNSS連動モードにおいては、現在位置の座標に連動して地図画像50および状況記録シート60がスクロールするが、GNSS連動モードでない場合には、状況記録シート60をドラッグすることで上下にスクロールさせることが可能となっている。
【0028】
そして、作業者は、この状況記録シート60の左側に表示されている凡例一覧70の中から入力する凡例を選択し、状況記録シート60のメッシュのそれぞれの位置を指定して道路構造物の状況を入力することが可能となっている。
【0029】
例えば、凡例一覧70の中から「ポンピング(面)」を選択(タップ)した後、
図7に示すように、状況記録シート60のメッシュからポンピングが発生している位置の始点63をタップし、そのままドラッグして終点64でタップを離すことにより、始点63および終点64を指定すると、舗装路面状況(面)の属性編集画面80が表示される。この属性編集画面80に属性項目を入力し、「保存」ボタン81をタップすると、入力された道路構造物の状況(ポンピング(面))が、始点63および終点64により指定された矩形の位置に対応する道路の路線の距離方向の位置および道路幅方向の位置に関連付けられた道路構造物の状況に関する情報として記憶手段10に記憶される。
【0030】
また、凡例一覧70の中から「縦クラック(軌跡部)」を選択(タップ)した後、
図8に示すように、状況記録シート60上で縦クラックの軌跡を示す線65を構成する各構成点の地点を順番にタップしていき、終点をダブルタップすることにより、縦クラックの軌跡を示す線65を指定すると、舗装路面状況(線)の属性編集画面82が表示される。この属性編集画面82に属性項目を入力し、「保存」ボタン83をタップすると、入力された道路構造物の状況(縦クラック)が、線65の位置に対応する道路の路線の距離方向の位置および道路幅方向の位置に関連付けられた道路構造物の状況に関する情報として記憶手段10に記憶される。
【0031】
また、凡例一覧70の中から「定点打点」、「追加打点」または「状況写真」を選択(タップ)した後、
図9に示すように、状況記録シート60上で定点打点、追加打点または状況写真を配置する位置66をタップすることにより指定すると、舗装構造評価位置の属性編集画面84が表示される。この属性編集画面84に属性項目や写真を入力し、「保存」ボタン85をタップすると、入力された道路構造物の状況が、指定された位置66に対応する道路の路線の距離方向の位置および道路幅方向の位置に関連付けられた道路構造物の状況に関する情報として記憶手段10に記憶される。
【0032】
なお、定点打点を設置する位置は、予め道路構造物情報として記憶手段10に記憶されており、状況記録シート60のメッシュ上の対応する位置に四角のボックス67(
図8参照。)として表示されている。また、追加打点番号は、「追加打点」を入力したときに自動的に付番される。また、写真を入力する際には、「カメラ」ボタン86をタップすると、
図10に示すようにカメラアプリ90が立ち上がるので、撮影箇所を確認して「シャッター」ボタン91をタップして撮影する。撮影された写真は、
図11に示すように属性編集画面84の写真欄87に取り込まれる。
【0033】
以上のように、本実施形態における現地調査支援装置1によれば、現在位置の座標に基づいて、現在位置に対応する地図画像50と現在位置のマーク51とが表示されるとともに、道路の路線の各距離標間を補間した距離方向の位置および道路幅方向の位置をメッシュにより表された状況記録シート60が表示され、状況記録シート60のメッシュのそれぞれの位置を指定して道路構造物の状況を入力すると、入力された道路構造物の状況がそれぞれのメッシュの位置に対応する道路の路線の距離方向の位置および道路幅方向の位置に関連付けられた道路構造物の状況に関する情報として記録されるので、作業者が現地調査を行う際、事前に調査箇所に対応する基準点の指定や位置情報の入力を行う必要がなく、現地調査結果を容易に入力することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、高速道路や一般道路等の道路における路面、法面、橋梁、トンネル、カルバートや付属物等の道路構造物の現地調査支援装置およびプログラムとして有用であり、特に、作業者が現地調査を行う際、事前に調査箇所に対応する基準点の指定や位置情報の入力を行う必要がなく、現地調査結果を容易に入力することが可能な現地調査支援装置およびプログラムとして好適である。
【符号の説明】
【0035】
1 現地調査支援装置
2 タッチパネル
3 コンピュータ
10 記憶手段
11 座標取得手段
12 地図表示手段
13 記録シート表示手段
14 状況入力手段
50 地図画像
51 現在位置を示すマーク
60 状況記録シート