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  • 特許-架橋性電荷輸送材料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】架橋性電荷輸送材料
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/452 20060101AFI20220107BHJP
   C08F 16/32 20060101ALI20220107BHJP
   C08F 22/40 20060101ALI20220107BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220107BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220107BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20220107BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
C07D207/452 CSP
C08F16/32
C08F22/40
H05B33/22 B
H05B33/10
H05B33/22 D
H05B33/14 B
H01L29/28 100A
H01L29/28 250G
H01L29/28 250H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020021171
(22)【出願日】2020-02-12
(62)【分割の表示】P 2018519414の分割
【原出願日】2016-10-13
(65)【公開番号】P2020109091
(43)【公開日】2020-07-16
【審査請求日】2020-03-09
(31)【優先権主張番号】1518366.8
(32)【優先日】2015-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514285519
【氏名又は名称】ロモックス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LOMOX LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルドレッド、マシュー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャッド、ルーク ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】フォーデン、クレア
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513946(JP,A)
【文献】特開2012-168233(JP,A)
【文献】国際公開第2013/173396(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
C08F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式の化合物であって、
【化1】
式中、
Aは、フェニル基を表し、
及びBは、次の構造の独立して選択された側鎖であり、
-(Y-L-(Y-X
式中、
各出現時のY及びYは独立して、O、CO-、及びCHOから選択され、
各出現時のm及びnは独立して、1であり、
各出現時のLは、C~C14直鎖状アルキル基であり、
各出現時のXは、独立して選択された架橋性基であり、
Cは、次の構造-(Z-M-(Z-Eの側鎖であり、
ここで、架橋性基は、エチレン、ジエン、チオールおよびオキセタン架橋性基の群から選択され、
式中、
及びZは独立して、O、CO-、及びCHOから選択され、
p及びqは1であり、
Mは、C~C14直鎖状アルキル基であり、
Eは、電子輸送基を含み、
Dは、次の構造-(W-N-(W-Fの側鎖であり、
式中、
及びWは独立して、O、CO-、及びCHOから選択され、
r及びsは1であり、
Nは、C~C14直鎖状アルキル基であり、
Fは、電子輸送基を含み、
式中、基EおよびFは、それぞれ、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリジン、1,3,5-トリアジン、チアジアゾールまたは(8-ヒドロキシルキノリン)アルミニウムから選択される電子輸送モチーフを含む電子輸送基であり;
前記電子輸送基Eは、フルオレン基を含まず、
前記基E及び前記基Fの前記電子輸送モチーフは、次の式の直鎖状であり、
-(Ar-(Het-Ar-(Ar
式中、Arは、独立して選択されたフェニル基またはビフェニル基であり、
mは、0または1であり、
各出現時のHetは、共有結合、またはベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン及びチアジアゾールから選択される複素環であるが、但し、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、及びチアジアゾールから選択される少なくとも1つの複素環が存在することを条件とし、
Arは、各出現時に、共有結合、フェニル基、C~C複素環から選択され、
nは、1~6の整数であり、
Arは、i)HもしくはC~Cアルキル基、ii)任意に置換されたフェニル基、またはiii)任意に置換されたビフェニル基であり、ii)及びiii)の場合の前記任意の置換基は、C~Cアルキル基であるが、
但し、10個より多くのベンズイミダゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン基、2-フェニルピリミジン基、1,3,5-トリアジン基、及びチアジアゾール基が、前記基E及び前記基Fの各々の中に存在することはないことを条件とする、化合物。
【請求項2】
E及びFが同一である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
放射線に請求項1~2のいずれか一項に記載の化合物を曝露することにより形成される網状ポリマーであって、任意に、前記放射線が紫外線である、網状ポリマー。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物または請求項5に記載の網状ポリマーを含むデバイス。
【請求項5】
OLEDデバイス、OPVデバイス、またはOFETデバイスである、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のデバイスを作製するための方法であって、
i)好適な有機溶剤中に請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物を溶解するステップと、
ii)結果として生じた溶液を基板上に堆積させるステップと、
iii)前記溶剤を蒸発下で、任意に減圧下で除去して、膜を形成するステップと、
iv)結果として生じた膜を放射線に曝露するステップであって、任意に、前記放射線が紫外線である、曝露するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気デバイスの製造に有用な化合物をもたらす電荷輸送特性を有する新規の架橋性化合物に関する。本発明はさらに、これらの化合物を含む層を組み込む電子デバイス及びそのようなデバイスを作製するための方法に関する。本発明の化合物は、電子デバイス内で正孔及び電子を輸送する電荷輸送材料として機能し、また正孔注入層としても機能することができる。加えて、本発明の化合物が電荷輸送モチーフ及びフォトルミネッセントモチーフを含有する場合、これらの化合物は、例えば有機発光ダイオード内の界面層としての適用に有用である。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)は、エレクトロルミネッセンス性発光性材料が電流に応答して光を放射する有機材料の膜である発光ダイオードである。OLEDの発光性有機層は、2つの電気的接触層の間に挟まれている。効率を向上させるため、発光層に加えて、このOLEDデバイスは、発光層と電気的接触層との間に電荷輸送材料の層を組み込む場合がある。これらの電荷輸送層は、正孔輸送材料または電子輸送材料のいずれかを含むことができる。これらの電荷輸送材料により、電荷を担持している正孔及び電子が発光層へと移動することが可能になり、それにより、これらが容易に結合して励起子と称される束縛状態を形成する。励起子の中の電子は、発光する放射によりやがて低位のエネルギ状態に緩和し、この緩和は、OLEDデバイスの場合、可視領域で最も頻繁に起こる。
【0003】
電界効果トランジスタ(FET)は、通常、コンデンサとして動作する電子デバイスである。電界効果トランジスタは、3つの基本的な構成要素、すなわちソース、ドレイン、及びゲートを備えている。構造上、FETは、2つの平板を備え、1つの平板は、ソースコンタクト及びドレインコンタクトと呼ばれる、2つのオーミックコンタクトの間にある伝導チャネルとして機能する。他の平板は、ゲートと呼ばれるチャネルに誘導される電荷を制御する機能を果たす。チャネル中の電荷キャリアの移動は、ソースからドレインへの方向となる。したがって、これら3つの構成要素間の関係は、ゲートが、ソースからドレインへ移動するキャリアを制御することである。有機電界効果トランジスタ(OFET)は、それらのチャネルに有機半導体を使用するFETである。したがって、電荷輸送材料は、OFETのキーとなる構成要素であり、最適化された電荷輸送特性を有する材料の実現が、重要な目標である。パターニング可能な溶液相処理などの製造プロセスを改善することができる材料も重要な目標である。
【0004】
有機光起電材料及びデバイスはまた、本技術が再生可能な電力を低コストで発電する潜在力を有するため、かなり関心の高い主題でもある。有機光電池(OPV)は、伝統的な無機光起電力技術に対する可能な代替技術として多くの関心を引いてきた。OPVは、特質上、軽量でかつフレキシブルである。また、OPVは半透明であり、伝統的な、無機材料の、光起電力技術よりも製造価格の安い潜在力を有し、その理由は、OPVが最先端の印刷ツールを使って連続的な処理で製造され得るからである。OPVは、太陽電池技術の分野を大変革させる大きな潜在力を有している。
【0005】
OLED、OPV、及びOFETなどのデバイス製造での使用に好適な改善された特性を有する新しい材料の開発に、持続的なかなりの関心がある。例えば、発光器、電子輸送器、及び正孔輸送器として機能する材料は、特に関心が高い。改良されたOLEDデバイス、特に最大の光出力、最高のエネルギ効率、及び長い寿命を有するデバイスを製造しようとして何年にもわたって多くの材料が開発されてきた。加えて、さらなる注目すべき目標は、OLED、OPV、及びOFETのデバイス製造プロセスを簡略化することができる材料の実現である。材料が存在するにもかかわらず、OLED、OPV、OFET、及び他の電子デバイスの製造に対して、優れた特性の組み合わせを有する上記に定義された特性などを有する材料が依然として必要とされている。
【0006】
いくつかの反応性メソゲン(化学的に架橋してポリマーマトリックスとなり得る液晶材料)の一般式は、次式であることが知られており、
B-S-A-S-B
式中、Aは、C-9において2個のアルキル基で置換されたフルオレンを含む直鎖状芳香族分子コアを表し、Sは、柔軟性スペーサユニットを表し、Bは、メタクリレート基などの架橋基を表し、これらは、有機電子デバイスの製造に有用であり得る。これは、特に、Bが光架橋基を表す場合であり、このため、これらの材料は本質的にフォトレジストとして機能し、つまり、これらの材料の薄層は、光、とりわけUV光のパターン露光によって有用な電子構造体にパターンニングされ得る。
【0007】
WO2005/004251は、マルチフッ素化されたLED用導体材料に関する。
【0008】
WO2015/159098は、2,7-二置換9,9-フルオロアルキルフルオレン誘導体に関する。
【0009】
さらに、直鎖状芳香族分子コアAに、本来、発光性がある場合、これらの反応性メソゲン材料は、有機発光ダイオード(OLED)及び有機ダイオードレーザなどのエレクトロルミネッセンスデバイス中の活性発光層の中にパターンニングされ得る。
【0010】
B-S-A-S-B構造及び関連する構造の反応性メソゲンのようなものから最適なOLEDデバイスを構成するため、最適なデバイス性能をもたらしかつデバイス製造方法が最適化されることを可能にする、必要な正孔輸送及び電荷輸送特性を所有する架橋性材料が明らかに必要となる。また、正孔輸送特性を有する材料を使用して、OLED、OFET、及びOPV中の正孔注入層を形成することもできる。
【0011】
溶液相に基づいたデバイス作製方法が実用的であるためには、架橋性材料が、選択した溶剤、すなわちベンゼン、トルエンもしくはキシレン、またはそのハロゲン化された誘導体などの一般的な炭化水素溶剤の中で、十分な溶解性を有しなければならず、また一旦溶剤中に溶解される特性を形成する良好な膜を呈する必要がある。膜は、ある溶剤、例えば炭化水素溶剤の中で溶解される適切な材料の層であり、一旦その材料の溶液が基板に塗布され基板表面上に拡がると、この層が生じる。次いで、この溶剤の一部またはすべては、例えば堆積された層をUV放射線により曝露することによる架橋結合に先だって、蒸発により除去され得る。基板上で均一な膜厚を達成することにより、次いで基板上で架橋結合されることになる、基板上の機能材料の堆積された層の均一な分布または厚さがもたらされる。スピンコーティング法などの技術を使用して、均一な膜形成を補佐することができる。したがって膜形成特性は、再現性のあるデバイス層の製造、したがって再現性のある性能特性を有するOLED、OPV、及びOFETのための重要な考慮すべき事項である。
【0012】
また、界面層としての役割を果たすことができるルミネッセンス特性に加えて、二重正孔輸送特性または電荷輸送特性を有する架橋性材料は、OLED、OPV、及びOFETの特性をさらに向上させることができる。
【0013】
本発明の目的は、先行技術の電荷輸送材料と関連している課題を克服し、または十分に削減する、電子デバイス製造で使用するための新しい架橋性のある機能性電子材料を提供することである。また、本発明の目的は、例えばこれらの材料を特徴とするOLED、OPV、及びOFETである有機電子デバイス、ならびにそれらの製造方法を提供することである。
【発明の概要】
【0014】
本発明の第1の態様では、式(I)の化合物が提供され、
【化1】
式中、
Aは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、またはC~Cアルキル鎖により結合された2個のフェニル基を表し、
各出現時のB及びBは、次の構造の独立して選択された側鎖であり、
-(Y-L-(Y-X
式中、
各出現時のY及びYは独立して、O、CO-、及びCHOから選択され、
各出現時のm及びnは独立して、0または1から選択され、
各出現時のLは、C~C14直鎖状アルキル基であり、
各出現時のXは、独立して選択された架橋性基であり、
Cは、次の構造の側鎖であり、
-(Z-M-(Z-E
式中、
及びZは独立して、O、CO-、及びCHOから選択され、
各出現時のp及びqは独立して、0または1から選択され、
Mは、C~C14直鎖状アルキル基であり、
Eは、電荷輸送基を含み、
Dは、次の構造の側鎖であり、
-(W-N-(W-F
式中、
及びWは独立して、O、CO-、及びCHOから選択され、
各出現時のr及びsは独立して、0または1から選択され、
Nは、C~C14直鎖状アルキル基であり、
Fは、電荷輸送基または発光基を含み、
前記電荷輸送基Eは、スピロビフルオレンアリールアミンのモチーフの一部を形成するフルオレン基以外のフルオレン基を含まない。
【0015】
一実施形態では、式Iaの化合物が提供され、Aはフェニル基またはナフチル基を表し、さらに、B、B、C、及びDは、式Iの化合物について定義された通りである。
【0016】
一実施形態では、式Ibの化合物が提供され、Aはビフェニル基を表し、さらに、B、B、C、及びDは、式Iの化合物について定義された通りである。
【0017】
一実施形態では、式Icの化合物が提供され、Aは、C~C直鎖状アルキル鎖により結合された2つのフェニル基を表し、さらに、B、B、C、及びDは、式Iの化合物について定義された通りである。
【0018】
一実施形態では、式Idの化合物が提供され、Aは、C~Cの直鎖型のアルキル鎖により結合された2つのフェニル基を表し、B及びCの置換基は、第1のフェニル基上に位置し、B及びDの置換基は、第2のフェニル基上に位置し、さらに、B、B、C、及びDは、式Iの化合物について定義された通りである。
【0019】
一実施形態では、式Ieの化合物が提供され、Aはフェニル基を表し、さらに、B、B、C、及びDは、式Iの化合物について定義された通りである。
【0020】
一実施形態では、式Ifの化合物が提供され、Aは、1,2,4,5-置換フェニル基を表し、さらに、B、B、C、及びDは、式Iの化合物について定義された通りである。
【0021】
一実施形態では、式Igの化合物が提供され、Aは、1,2,4,5-置換フェニル基を表し、基C及び基Dは、互いにパラの位置にあり、さらに、B、B、C、及びDは、式Iの化合物について定義された通りである。
【0022】
一実施形態では、式Ihの化合物が提供され、BまたはBの基Xは、いずれの場合にも、アルケン架橋基、チオール、及びオキセタンから成る群から選択され、さらに、A、C、D、ならびにB及びBの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、及び(Ig)の化合物について定義された通りである。
【0023】
一実施形態では、式Iiの化合物が提供され、BまたはBの基Xは、いずれの場合にも、電子富有または電子不足のアルケン架橋基から成る群から選択され、さらに、A、C、D、ならびにB及びBの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、及び(Ig)の化合物について定義された通りである。
【0024】
一実施形態では、式Ijの化合物が提供され、BまたはBの基Xは、いずれの場合にも、光重合性アルケン架橋基から成る群から選択され、さらに、A、C、D、ならびにB及びBの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、及び(Ig)の化合物について定義された通りである。
【0025】
一実施形態では、式Ikの化合物が提供され、BまたはBの基Xは、いずれの場合にも、直鎖状及び環状のα,β-不飽和エステル、α,β-不飽和アミド及びビニルエーテルから成る群から選択され、さらに、A、C、D、ならびにB及びBの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、及び(Ig)の化合物について定義された通りである。
【0026】
一実施形態では、式ILの化合物が提供され、BまたはBの基Xは、いずれの場合にも、メタクリレート基、エタクリレート基、マレイン酸エチル基、エチルフマラート基、N-マレイミド基、ビニルオキシ基、アルキルビニルオキシ基、マレイン酸ビニル基、ビニルフマラート基、及びN-(2-ビニルオキシマレイミド)基から成る群から選択され、さらに、A、C、D、ならびにB及びBの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、及び(Ig)の化合物について定義された通りである。
【0027】
一実施形態では、式Imの化合物が提供され、BまたはBの基Lは、いずれの場合にも、C~C10アルキル基から選択され、さらに、A、C、D、ならびにB及びBの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、及び(Ig)の化合物について定義された通りである。
【0028】
一実施形態では、式Inの化合物が提供され、BまたはBの基Lは、いずれの場合にも、C~Cアルキル基から選択され、さらに、A、C、D、ならびにB及びBの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(IL)、及び(Im)の化合物について定義された通りである。
【0029】
一実施形態では、式Ioの化合物が提供され、整数m及びnは、1であり、さらに、A、C、D、ならびにB及びBの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(IL)、(Im)、及び(In)の化合物について定義された通りである。
【0030】
一実施形態では、式Ipの化合物が提供され、B及びBの両方の中の基Yは、酸素原子であり、さらに、A、C、D、ならびにB及びBの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、及び(Io)の化合物について定義された通りである。
【0031】
一実施形態では、式Iqの化合物が提供され、B及びBの両方の中の基Yは、CO、すなわちエステル結合であり、さらに、A、C、D、ならびにB及びBの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、及び(Io)の化合物について定義された通りである。
【0032】
一実施形態では、式Irの化合物が提供され、Cの基Z及びDの基Wは、いずれの場合にも、酸素原子であり、さらに、A、B、B、D、及びCの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、及び(Iq)の化合物について定義された通りである。
【0033】
一実施形態では、式Isの化合物が提供され、Cの基Z及びDの基Wは、いずれの場合にも、CO、すなわちエステル結合であり、さらに、A、B、B、C、及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、及び(Iq)の化合物について定義された通りである。
【0034】
一実施形態では、式Itの化合物が提供され、Cの基M及びDの基Nは、それぞれ、C~C12アルキル基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、及び(Is)の化合物について定義された通りである。
【0035】
一実施形態では、式Iuの化合物が提供され、Cの基M及びDの基Nは、それぞれ、Cアルキル基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、及び(Is)の化合物について定義された通りである。
【0036】
一実施形態では、式Ivの化合物が提供され、整数p及びrは、両方とも1であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、及び(Iu)の化合物について定義された通りである。
【0037】
一実施形態では、式Iwの化合物が提供され、整数p及びrは、両方とも0であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、及び(Iu)の化合物について定義された通りである。
【0038】
一実施形態では、式Ixの化合物が提供され、整数q及びsは、両方とも1であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、及び(Iw)の化合物について定義された通りである。
【0039】
一実施形態では、式Iyの化合物が提供され、整数p及びrは、両方とも0であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、及び(Ix)の化合物について定義された通りである。
【0040】
一実施形態では、式Izの化合物が提供され、Cの基Z及びDの基Wは、酸素原子であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、及び(Iy)の化合物について定義された通りである。
【0041】
一実施形態では、式Iaaの化合物が提供され、基E及び基Fは、正孔輸送基を含み、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0042】
一実施形態では、式Iabの化合物が提供され、基E及び基Fは、正孔輸送基を含み、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0043】
一実施形態では、式Iacの化合物が提供され、基Eは正孔輸送基であり、基Fは電子輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0044】
一実施形態では、式Iadの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、トリアリールアミン正孔輸送モチーフまたはカルバゾール正孔輸送モチーフを含む正孔輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0045】
一実施形態では、式Iaeの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、トリフェニルアミンまたはスピロビフルオレンアリールアミン、3,6-カルバゾール、2,7ーカルバゾール、1,3,6,8-カルバゾールなどのトリアリールアミンを含む正孔輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0046】
一実施形態では、式Iafの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、トリフェニルアミンまたはスピロビフルオレンアリールアミン、3,6-カルバゾール、2,7-カルバゾール、1,3,6,8-カルバゾール、またはスピロビフルオレンアリールアミンなどのトリアリールアミンから選択される、1~10個、1~6個、または3~6個の正孔輸送モチーフを含有する直鎖状または分枝状の鎖を含む正孔輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0047】
一実施形態では、式Iagの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、次の一般式により表され得る正孔輸送基であり、
-(J)-(K)-P
式中、Jは、フェニル基、ベンジル基、ビフェニル基、2,2’-ビチオフェン基、縮合チオフェン基、またはチオフェンであり、tは、0または1であり、Kは、トリフェニルアミンもしくはスピロビフルオレンアリールアミンなどのトリアリールアミン、共有結合を介して鎖の隣接員に結合した3,6-カルバゾール、2,7-カルバゾールもしくは1,3,6,8-カルバゾール、フェニル基、縮合チオフェン基、またはチオフェンから選択される正孔輸送モチーフであり、uは1~10、例えば1~6または3~6の整数であり、Pは、水素、C~C直鎖状もしくは分枝状アルキル、フェニル、C~C直鎖状もしくは分枝状アルキル置換フェニル、またはC~C直鎖状もしくは分枝状アルキル置換ビフェニルから選択される連鎖停止基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0048】
一実施形態では、式Iahの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、次の一般式により表され得る正孔輸送基であり、
-(J)-(K)-P
式中、Jは、フェニル基、ベンジル基、ビフェニル基、2,2’-ビチオフェン基、縮合チオフェン基、またはチオフェンであり、tは、0または1であり、Kは、トリフェニルアミンもしくはスピロビフルオレンアリールアミンなどのトリアリールアミン、共有結合を介して鎖の隣接員に結合した3,6-カルバゾール、2,7-カルバゾールもしくは1,3,6,8-カルバゾール、フェニル基、縮合チオフェン基、またはチオフェンから選択される正孔輸送モチーフであり、uは、1~6の整数であり、Pは、水素、C~C直鎖状もしくは分枝状アルキル、フェニル、C~C直鎖状もしくは分枝状アルキル置換フェニル、またはC~C直鎖状もしくは分枝状アルキル置換ビフェニルから選択される連鎖停止基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0049】
一実施形態では、式Iaiの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、次の一般式により表され得る正孔輸送基であり、
-(J)-(K)-P
式中、Jは、フェニル基、ベンジル基、ビフェニル基、2,2’-ビチオフェン基、縮合チオフェン基、またはチオフェンであり、tは、0または1であり、Kは、トリフェニルアミンもしくはスピロビフルオレンアリールアミンなどのトリアリールアミン、共有結合を介して鎖の隣接員に結合した3,6-カルバゾール、2,7-カルバゾールもしくは1,3,6,8-カルバゾール、フェニル基、縮合チオフェン基、またはチオフェンから選択される正孔輸送モチーフであり、uは3~6の整数であり、Pは、水素、C~C直鎖状もしくは分枝状アルキル、フェニル、C~C直鎖状もしくは分枝状アルキル置換フェニル、またはC~C直鎖状もしくは分枝状アルキル置換ビフェニルから選択される連鎖停止基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0050】
一実施形態では、式Iajの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリジン、1,3,5-トリアジン、チアジアゾールまたは(8-ヒドロキシルキノリン)アルミニウムから選択される電子輸送モチーフを含む電子輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0051】
一実施形態では、式Iakの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、フェニル基、またはビフェニル基を適宜介してCまたはDの他の成分に結合されるベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、チアジアゾールまたは(8-ヒドロキシルキノリン)アルミニウムから選択される電子輸送モチーフを含有する電子輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0052】
一実施形態では、式IaLの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、基Eまたは基Fのそれぞれのi)C~Cアルキル基、ii)任意に置換されたフェニル基、またはiii)任意に置換されたビフェニル基で終端するベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、チアジアゾールまたは(8-ヒドロキシルキノリン)アルミニウムを含む電子輸送モチーフを含む電子輸送基であり、当該任意の置換基は、C~Cアルキル基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0053】
一実施形態では、式Iamの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、フェニル基またはビフェニル基を適宜介してCまたはDの他の成分に結合されるベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、チアジアゾールまたは(8-ヒドロキシルキノリン)アルミニウムから選択される電子輸送モチーフを含み、かつ基Eまたは基Fのそれぞれのi)C~Cアルキル基、ii)任意に置換されたフェニル基、またはiii)任意に置換されたビフェニル基で終端する電子輸送基であり、当該任意の置換基は、C~Cアルキル基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0054】
一実施形態では、式Ianの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、フェニル結合、メチレン結合もしくはC~C複素環結合によって相互に接続されたベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、またはチアジアゾールから選択される1~10個、1~6個、または3~6個の電子輸送モチーフを含む鎖を含む電子輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0055】
一実施形態では、式Iaoの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、フェニル結合もしくはC~C複素環結合によって相互に接続されたベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、またはチアジアゾールから選択される1~10個、1~6個、または3~6個の電子輸送モチーフを含む鎖を含む電子輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0056】
一実施形態では、式Iapの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、フェニル結合もしくはC~C複素環結合によって相互に接続され、かつ共有結合、フェニル基、またはビフェニル基を適宜介してCまたはDの他の成分に結合されたベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、またはチアジアゾールから選択される1~10個、1~6個、または3~6個の電子輸送モチーフを含む鎖を含む電子輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0057】
一実施形態では、式Iaqの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、フェニル結合、またはC~C複素環結合によって相互に接続されたベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、またはチアジアゾールから選択される1~10個、1~6個、または3~6個の電子輸送モチーフを含む鎖と、それぞれ、当該基Eまたは当該基Fの終端に、i)C~Cアルキル基、ii)任意に置換されたフェニル基、またはiii)任意に置換されたビフェニル基とを含む電子輸送基であり、当該任意の置換基がC~Cアルキル基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0058】
一実施形態では、式Iarの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、フェニル結合、メチレン結合、またはC~C複素環結合によって相互に接続されたベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、またはチアジアゾールから選択される1~6個の電子輸送モチーフを含み、かつ共有結合、フェニル基、またはビフェニル基を適宜介してCまたはDの他の成分に結合される鎖を含む電子輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0059】
一実施形態では、式Iasの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、またはフェニル結合によって相互に接続されたベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、またはチアジアゾールから選択される1~6個の電子輸送モチーフを含み、かつ共有結合、フェニル基、またはビフェニル基を適宜介してCまたはDの他の成分に結合される鎖を含む電子輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0060】
一実施形態では、式Iatの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、フェニル結合、またはC~C複素環結合によって相互に接続されたベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、またはチアジアゾールから選択される1~6個の電子輸送モチーフを含み、かつ共有結合、フェニル基、またはビフェニル基を適宜介してCまたはDの他の成分に結合される鎖を含む電子輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0061】
一実施形態では、式Iauの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、フェニル結合、またはC~C複素環結合によって相互に接続されたベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、またはチアジアゾールから選択される1~6個の電子輸送モチーフを含む鎖と、それぞれ、当該基Eまたは当該基Fの終端に、i)C~Cアルキル基、ii)任意に置換されたフェニル基、またはiii)任意に置換されたビフェニル基とを含む電子輸送基であり、当該任意の置換基がC~Cアルキル基であり、各鎖は、フェニル基、またはビフェニル基を介してCまたはDの他の成分に適宜結合され、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0062】
一実施形態では、式Iavの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、フェニル結合、またはC~C複素環結合によって相互に接続されたベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、またはチアジアゾールから選択される3~6個の電子輸送モチーフを含む鎖を含む電子輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0063】
一実施形態では、式Iawの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、フェニル結合、またはC~C複素環結合によって相互に接続されるベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、またはチアジアゾールから選択される3~6個の電子輸送モチーフを含む鎖を含む電子輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0064】
一実施形態では、式Iaxの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、フェニル結合、またはC~C複素環結合によって相互に接続されたベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、またはチアジアゾールから選択される3~6個の電子輸送モチーフを含み、かつ共有結合、フェニル基、またはビフェニル基を適宜介してCまたはDの他の成分に結合される鎖を含む電子輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0065】
一実施形態では、式Iayの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、フェニル結合、またはC~C複素環結合により相互に接続されたベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、またはチアジアゾールから選択される3~6個の電子輸送モチーフを含み、かつ共有結合、フェニル基、またはビフェニル基を適宜介してCまたはDの他の成分に結合される鎖と、それぞれ、当該基Eまたは当該基Fの終端に、i)C~Cアルキル基、ii)任意に置換されたフェニル基、またはiii)任意に置換されたビフェニル基とを含む電子輸送基であり、当該任意の置換基は、C~Cアルキル基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0066】
一実施形態では、式Iazの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、チアジアゾール、または(8-ヒドロキシルキノリン)アルミニウムから選択される電子輸送モチーフである電子輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0067】
一実施形態では、式Ibaの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、フェニル基、またはビフェニル基を適宜介してCまたはDの他の成分に結合されたベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、チアジアゾール、または(8-ヒドロキシルキノリン)アルミニウムから選択される電子輸送モチーフを含む電子輸送基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0068】
一実施形態では、式Ibbの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、i)C~Cアルキル基、ii)任意に置換されたフェニル基、またはiii)任意に置換されたビフェニル基で終端するベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、チアジアゾール、または(8-ヒドロキシルキノリン)アルミニウムから選択される電子輸送モチーフを含む電子輸送基であり、当該任意の置換基は、C~Cアルキル基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0069】
一実施形態では、式Ibcの化合物が提供され、基E及び/または基Fが、共有結合、フェニル基、またはビフェニル基を適宜介してCまたはDの他の成分に結合されるベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、チアジアゾール、または(8-ヒドロキシルキノリン)アルミニウムから選択される電子輸送モチーフを含み、かつi)C~Cアルキル基、ii)任意に置換されたフェニル基、またはiii)任意に置換されたビフェニル基で終端する電子輸送基であり、当該任意の置換基は、C~Cアルキル基であり、さらに、A、B、B、ならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、及び(Iz)の化合物について定義された通りである。
【0070】
一実施形態では、式(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、または(Iai)の化合物が提供され、基E及び基Fは正孔輸送基である。
【0071】
一実施形態では、式(Iaj)、(Iak)、(Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、または(Ibc)の化合物が提供され、基E及び基Fは正孔輸送基である。
【0072】
一実施形態では、式(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、または(Iai)の化合物が提供され、基Fは発光基である。
【0073】
一実施形態では、式(Iaj)、(Iak)、(Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、または(Ibc)の化合物が提供され、基Fは発光基である。
【0074】
一実施形態では、式(Ibd)の化合物が提供され、基Fが、次の構造の基FLを含む発光基であり、
【化2】
式中、各FL部分のR基は、同一であり、直鎖状または分枝状アキラルC~C14アルキル、C~C14ハロアルキル、C~C14フルオロアルキル、C~C14アルケニル基であり、任意に、式中、1、2、3、4、または5個のCH基は、アセタール、ケタール、過酸化物、またはビニルエーテルがそのR基の中に存在しないことを条件として、酸素により置換され、さらに、A、B、BならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip),(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、(Iz)、(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、(Iai)、(Iaj)、(Iak) (Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap),(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、または(Ibc)の化合物について定義された通りである。
【0075】
一実施形態では、式(Ibe)の化合物が提供され、基Fは、次の構造の基FLを含む発光基であり、
【化3】
式中、各FL部分のR基は、同一であり、直鎖状または分枝状アキラルC~C14アルキルから成る群から選択され、さらに、A、B、BならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip),(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、(Iz)、(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、(Iai)、(Iaj)、(Iak) (Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap),(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、または(Ibc)の化合物について定義された通りである。
【0076】
一実施形態では、式(Ibf)の化合物が提供され、基Fは、次の構造の発光基であり、
-Ar-(FL-Ar-Q
この発光基は、1~8個のFL基を含み、式中、式の左側のダッシュ記号は、基Fの他の成分との接続部位を示し、
式中、各出現時のAr及びArは独立して、Ar及び結合から成る群から選択され、
【0077】
Arは、1個の芳香族、複素環式芳香族化合物もしくはFL部分、または2、3、4もしくは5個の芳香族、複素環式芳香族化合物、及び/または単一結合により相互に接続されているFL部分を含むジラジカルであり、
nは、1~8の整数であり、
Qは、水素、C~C14アルキル基、C~C14ハロアルキル基、またはC~C14フルオロアルキル基であり、
FLは、次の構造のフルオレン部分であり、
【化4】
C-2及びC-7で共有結合を通じてその鎖に組み込まれ、
各FL部分のR基は、同一であり、直鎖状または分枝状アキラルC~C14アルキル、C~C14ハロアルキル基、C~C14フルオロアルキル基、C~C14アルケニル基から成る群から選択され、任意に、式中、1、2、3、4、または5個のCH基は、酸素により置換され、但しアセタール、ケタール、過酸化物、またはビニルエーテルがR基の中に存在しないことを条件とし、
さらに、A、B、BならびにC及びDの他の成分は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、(Iz)、(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、(Iai)、(Iaj)、(Iak) (Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、または(Ibc)の化合物について定義された通りである。
【0078】
一実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、(Iz)、(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、(Iai)、(Iaj)、(Iak) (Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、(Ibc)、(Ibd)、(Ibe)、または(Ibf)の複数のモノマーを架橋することにより形成される網状ポリマーが提供される。
【0079】
一実施形態では、OLEDデバイスの製造に使用される、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、(Iz)、(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、(Iai)、(Iaj)、(Iak) (Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、(Ibc)、(Ibd)、(Ibe)、または(Ibf)の構造を有する化合物が提供される。
【0080】
一実施形態では、OFETデバイスの製造に使用される、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、(Iz)、(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、(Iai)、(Iaj)、(Iak) (Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、(Ibc)、(Ibd)、(Ibe)、または(Ibf)の構造を有する化合物が提供される。
【0081】
一実施形態では、OPVデバイスの製造に使用される、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、(Iz)、(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、(Iai)、(Iaj)、(Iak) (Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、(Ibc)、(Ibd)、(Ibe)、または(Ibf)の構造を有する化合物が提供される。
【0082】
一実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、(Iz)、(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、(Iai)、(Iaj)、(Iak) (Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、(Ibc)、(Ibd)、(Ibe)もしくは(Ibf)の化合物、またはそれらの架橋誘導体を含むOLEDデバイスが提供される。
【0083】
一実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、(Iz)、(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、(Iai)、(Iaj)、(Iak) (Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、(Ibc)、(Ibd)、(Ibe)もしくは(Ibf)の化合物、またはそれらの架橋誘導体を含むOFETデバイスが提供される。
【0084】
一実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、(Iz)、(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、(Iai)、(Iaj)、(Iak) (Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、(Ibc)、(Ibd)、(Ibe)もしくは(Ibf)の化合物、またはそれらの架橋誘導体を含むOPVデバイスが提供される。
【0085】
一実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、(Iz)、(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、(Iai)、(Iaj)、(Iak) (Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、(Ibc)、(Ibd)、(Ibe)もしくは(Ibf)の化合物、またはそれらの架橋誘導体を含有する電荷輸送層を含有するデバイスが提供される。
【0086】
一実施形態では、式(Iaa)の化合物またはそれらの架橋誘導体を含有する正孔注入層を含有するデバイスが提供される。
【0087】
一実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、(Iz)、(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、(Iai)、(Iaj)、(Iak) (Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、(Ibc)、(Ibd)、(Ibe)もしくは(Ibf)の化合物、またはそれらの架橋誘導体を含有する電荷輸送層を含有する光起電力デバイスまたは薄膜トランジスタが提供される。
【0088】
一実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、(Iz)、(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、(Iai)、(Iaj)、(Iak) (Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、(Ibc)、(Ibd)、(Ibe)、または(Ibf)の化合物を含む膜を、放射線に曝露することにより形成される(または取得可能である)ポリマーマトリクスを含有するデバイスであって、任意に、放射線が紫外線である、デバイスが提供される。
【0089】
一実施形態では、以下のステップ、
i)式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、(Iz)、(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、(Iai)、(Iaj)、(Iak) (Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、(Ibc)、(Ibd)、(Ibe)、または(Ibf)の化合物を好適な有機溶剤中で溶解するステップと、
ii)結果として生じた溶液を基板上に堆積させるステップと、
iii)溶剤を蒸発下で、任意に、減圧下で除去して、膜を形成するステップと、
iv)結果として生じた膜を放射線に曝露するステップであって、任意に、前記放射線が紫外線である、曝露するステップと、を含む、デバイスを作製するための方法が提供される。
【0090】
一実施形態では、以下のステップは、
i)式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、(Iz)、(Iad)、(Iae)、(Iaf)、(Iag)、(Iah)、(Iai)、(Iaj)、(Iak) (Iam)、(Ian)、(Iao)、(Iap)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iat)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(Iax)、(Iay)、(Iaz)、(Iba)、(Ibb)、(Ibc)、(Ibd)、(Ibe)、または(Ibf)の化合物を好適な有機溶剤中で溶解するステップと、
ii)結果として生じた溶液を基板上に堆積させるステップと、
iii)溶剤を蒸発下で、任意に、減圧下で除去して、膜を形成するステップと、
iv)その膜を最高150℃の温度で加熱することによりアニールするステップと、
iv)結果として生じた膜を放射線に曝露するステップであって、任意に、放射線が紫外線である、曝露するステップと、を含む、デバイスを作製するための方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
図1】本発明における電流電圧データである。
【発明を実施するための形態】
【0092】
本発明の1つの態様によれば、次の式の化合物が提供され、
【化5】
式中、
Aは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、またはC~Cアルキル鎖により結合された2個のフェニル基を表し、
出現時のB及びBは独立して、選択される次の構造の側鎖であり、
-(Y-L-(Y-X
式中、
出現時のY及びYは独立して、O、CO-、及びCHOから選択され、
出現時のm及びnは独立して、0または1から選択され、
出現時のLは、C~C14直鎖状アルキル基であり、
出現時のXは独立して、選択される架橋基であり、
Cは、次の構造の側鎖であり、
-(Z-M-(Z-E
式中、
及びZは独立して、O、CO-、及びCHOから選択され、
出現時のp及びqは独立して、0または1から選択され、
Mは、C~C14直鎖状アルキル基であり、
Eは、電荷輸送基を含み、
Dは、次の構造の側鎖であり、
-(W-N-(W-F
式中、
及びWは独立して、O、CO-、及びCHOから選択され、
出現時のr及びsは独立して、0または1から選択され、
Nは、C~C14直鎖状アルキル基であり、
Fは、電荷輸送基または発光基を含み、
当該電荷輸送基Eは、スピロビフルオレンアリールアミンのモチーフの一部を形成するフルオレン基以外のものを含まない。
【0093】
したがって、本発明の化合物は、次の種類の構造を含み、基B及びBは、架橋基で終端する側鎖または腕であり、基Cは、電荷輸送特性を有する側鎖であり、基Dは、電荷輸送特性を有する側鎖または発光特性を有する側鎖である。
【化6】
【0094】
基C及び基Dが、両方とも電荷輸送特性を有する側鎖である場合、それらの基は、正孔輸送基または電子輸送基とすることができる。いくつかの好ましい場合では、基C及び基Dは、両方とも正孔輸送基であり、他の好ましい場合では、基C及び基Dは、両方とも電子輸送基である。いくつかの好ましい場合では、基C及び基Dは、異なり、これらの例では、それらの材料は、中間層材料として使用する場合に特に好適である。中間層材料は、電荷輸送基と発光基との組み合わせなどの基に対して異なる電気的特性を付与する側鎖を有する。このため、これらの中間層材料は、例えば当技術分野で既知の材料と比較して切り替え電圧が低減されたデバイスを可能にする隣接層と相補的な関係となるように選ばれることができる。低減された切り替え電圧は、OLEDデバイスの発光層への正孔または電子の送出の促進に由来し得る。一般的に、低減された切り替え電圧は、より高い効率及び/または改善されたデバイス寿命を有するデバイスをもたらす。
【0095】
本発明に基づく化合物の1つの特別な利点は、それらの化合物が溶液処理に好適であることである。このため、本発明に基づく化合物は、好適な有機溶剤中に溶解され、膜を形成するための基板上に堆積し得る。本発明に基づく化合物の比較的大きな分子量により、良好な膜形成特性をもたらし、このことはさらに、製造される膜厚を予測することを可能にする。このため、本発明に基づく化合物は、溶液処理に十分に適合し、再現可能な方法でデバイスをもたらす。さらに、本発明に基づく化合物は、架橋性を有する。このため、ひとたび表面上に膜として堆積されると、この化合物は、例えばUV光などの放射線に曝露することによって架橋され、無視できるまたは少なくとも大幅に減少された溶解度を有するポリマーマトリックスを形成し、これにより、過剰な架橋された材料、全く架橋されない材料がその表面から洗い落とされるのを可能にする。UV光などの放射線に曝露されて架橋することができる化合物はまた、堆積された層の部分を放射線からマスキングし同時に他の部分をその放射線に曝露することによって、パターンニングされた方法で架橋されることもできる。放射線に曝露して架橋される架橋基を有する本発明の化合物は、都合の良いことに、比較的直接的な方法で高度に規定された各構造のデバイスの製造を可能にする。
【0096】
その結果、本発明は、これらの構成要素であるそれぞれの基の性質として、より十分に理解することができ、それらの機能のさらなる詳細が本明細書に提供される。
【0097】
(基A)
基Aは、架橋基B及びBで終端する側鎖または腕、ならびに他の特性(例えば、電荷輸送特性または発光特性)を有する基C及び基Dが上部に構成されている不活性中心ユニットである。基Aは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、またはC~Cアルキル鎖により結合された2つのフェニル基から選択される。
【0098】
基Aが、C~Cアルキル鎖により結合された2つのフェニル基を含む場合には、そのC~Cアルキル鎖は、分枝されまたは直鎖状となり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルから選択され得、一般的には直鎖状アルキル基が好ましい。また、各フェニル基も、C、D、B、及びBから選択される2つの基により置換されることが好ましい。さらに、好ましい例では、一方のフェニル環は、架橋側鎖B及び基Cと置換され、他方のフェニル環は、架橋側鎖B及び基Dと置換される。
【0099】
基Aが、フェニル基である場合には、1,2,4,5-置換が好ましい。さらに、基Aが、1,2,4,5-置換フェニル基である場合には、基C及び基Dは、互いにパラの位置関係にあることが好ましい。
【0100】
基Aが、ナフチル基、またはビフェニル基である場合、各成分の芳香環は、C、D、B、及びBから選択される2つの基により置換されることが好ましい。場合によっては、一方の芳香環は、架橋側鎖B及び基Cと置換され、他方の芳香環は、架橋側鎖B及び基Dと置換される。
【0101】
(基B及び基B
出現時のB及びBは独立して、選択される次の構造の側鎖であり、
-(Y-L-(Y-X
式中、
出現時のY及びYは独立して、O、CO-、及びCHOから選択され、
出現時のm及びnは独立して、0または1から選択され、
出現時のLは、C~C14直鎖状アルキル基であり、
出現時のXは独立して、選択される架橋基である。
【0102】
これらの基は、十分な長さの側鎖であり、このことにより、それらの終端に位置した架橋基Xが、放射線、好ましくはUV光などのポリマーマトリックスを形成させる開始剤に曝露された状態で、隣接構造の架橋基と架橋することを可能にする。
【0103】
基Y及び基Yは、任意であり、合成の都合のため組み込まれることができる。この基Lは、直鎖状アルキル基であるリンカー基である。いくつかの好ましい場合では、Lは、C~C10直鎖状アルキル基である。いくつかの好ましい場合では、Lは、C~C直鎖状アルキル基、例えばブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルである。
【0104】
(架橋基X)
したがって、本発明の化合物は、架橋基を含み、架橋される場合、網状ポリマーを形成する。この理由は、好ましい架橋基が2つの他の架橋基と反応し、連鎖反応及びポリマーマトリックスをもたらすからである。
【0105】
好ましい態様では、架橋基は、エチレン、ジエン、チオール、及びオキセタン架橋基の群から選択される。エチレン架橋基は、炭素-炭素二重結合を含む架橋基である。好ましい態様では、すべての架橋基は独立して、エチレン架橋基を表す。好まれているエチレン架橋基には、電子富有エチレン架橋基及び電子不足エチレン架橋基が含まれる。
【0106】
好ましい態様では、架橋基は、放射線に曝露した状態で架橋反応を受ける。好ましい態様では、架橋基は、紫外(UV)光に曝露した状態で架橋反応を受ける。
【0107】
好ましい架橋基の例は、直鎖状及び環状α,β-不飽和エステル、α,β-不飽和アミド、ビニルエーテル、及び非共役ジエン架橋基である。したがって、好まれている架橋基には、メタクリレート基、エタクリレート基、マレイン酸エチル基、エチルフマラート基、N-マレイミド基、ビニルオキシ基、アルキルビニルオキシ基、マレイン酸ビニル基、ビニルフマラート基、N-(2-ビニルオキシマレイミド)基、1,4-ペンタジエン-3-イル基、及び1,4-シクロヘキサジエニル基が含まれる。
【0108】
好ましい態様では、架橋基は、電子富有エチレン架橋基である。電子富有エチレン架橋基は、1つ以上の電子供与基で置換されたエチレン基を含有する。この電子供与基は、O、N、またはSなどのヘテロ原子を含むことができる。好ましい態様では、電子富有架橋基は、ビニルオキシ基である。他の電子供与基置換架橋基は、プロペン-1-イルオキシ基、及びブテン-1-イルオキシ基などの1ーアルケニルエーテル、シクロヘキセン-1-イルオキシ基、及びシクロペンテン-1-イルオキシ基などの環状ビニルエーテル、2-ノルボルネン-2-イルオキシ基などの二環式ビニルエーテルである。
【0109】
好ましい態様では、この架橋基は、電子不足エチレン架橋基である。電子不足エチレン架橋基は、1つ以上の電子求引基で置換されるエチレン基を含有する。この電子求引基は、カルボニル基を含んでもよく、また例えば、エステルまたはアミドであってもよい。好ましい態様では、電子不足架橋基は、モノアルキルマレエート基、モノアリルフマラート基、モノアリルフマラート基、またはマレイミド基を含む。電子不足架橋基の他の例は、4,4,4-トリフルオロクロトネート基、Z-4,4,4-トリフルオロブテノエート基、3-トリフルオロメチル-4,4,4-トリフルオロクロトネート基、Z-及びE-3-シアノアクリレート、Z-及びE-3-シアノメタクリレート、モノアルキルシクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート、ならびにモノアルキルシクロペンテン-1,2-ジカルボキシレートである。
【0110】
(基C)
本発明の化合物は、次の構造を有する基Cで置換され、
-(Z-M-(Z-E
式中、
及びZは独立して、O、CO-、及びCHOから選択され、
出現時のp及びqは独立して、0または1から選択され、
Mは、C~C14直鎖状アルキル基であり、
Eは、電荷輸送基を含み、
当該電荷輸送基Eは、スピロビフルオレンアリールアミンのモチーフの一部を形成するフルオレン基以外のものを含まない。
【0111】
この構造では独立して、O、CO-、及びCHOから選択されるZ及びZは、合成の都合のため組み込まれてもよい基であるが、それらの基は、常に存在するとは限らない。
【0112】
基Mは、C~C14直鎖状アルキル基から選択されるリンカー基である。いくつかの好ましい場合では、Mは、C~C12直鎖状アルキル基である。いくつかの好ましい場合では、Mは、C~C直鎖状アルキル基である。いくつかの好ましい場合では、Mは、C~C直鎖状アルキル基、例えばブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、またはオクチル基である。いくつかの例では、Mは、ヘキシル基である。
【0113】
基Eは、本明細書でさらに記述されるように、電荷輸送基である。
【0114】
(電荷輸送基)
本発明に基づく電荷輸送基は、電子デバイスを通じて正孔または電子を輸送する機能を付与する基である。したがって、これらの基は、2つの部類、i)正孔輸送材料、及びii)電子輸送材料に分けられる。
【0115】
(正孔輸送材料)
正孔輸送特性を有する材料及び正孔輸送特性を付与する化学基は、当技術分野ではよく知られている。正孔輸送特性を付与し、また本明細書で正孔輸送モチーフとして言及される基には、トリアリールアミン、すなわち置換トリフェニルアミン及びスピロビフルオレンアリールアミン、ならびにカルバゾールが含まれる。カルバゾールの好ましい例は、任意に、中央の窒素上で置換され、さらに炭素3-及び6-、すなわち3,6-カルバゾール上で置換され、炭素2-及び7-、すなわち2,7カルバゾール上で置換され、また炭素1-、3-、6-、及び8-、すなわち1,3,6,8-カルバゾール上で置換される。
【0116】
それぞれの正孔輸送モチーフは、追加の正孔輸送モチーフにつなぎ合わされ、直鎖状または分枝状の鎖を形成することができ、この鎖は、それぞれの正孔輸送モチーフに対して強化された正孔輸送特性を有する。また、これらの鎖は、それらが、その構造の分子量全体を増加させ、このことが都合よく膜形成特性を改善するために、好まれる。鎖の中のそれぞれの正孔輸送モチーフ同士の間の接続は、通常、共有結合、フェニル基、縮合チオフェン基、またはチオフェン基である。それぞれの正孔輸送モチーフを結合するのに好適な縮合チオフェン基には、ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェン、ベンゾチオフェン、及びチエノ[3,2-b]チオフェンが含まれる。これらの縮合チオフェン基の中で、チエノ[3,2-b]チオフェンが好ましい。また、窒素原子を通じてカルバゾールユニットを他の正孔輸送モチーフに結合させること、例えばパラジウム触媒によるアミノ化反応を使用することによって、芳香族ハロゲン化合物、一般的には臭化物、ヨウ化物もしくは塩化物、または炭素窒素結合を形成するトリフラートもしくはメシラートなどの代替脱離基に結合させることも可能である。これらの正孔輸送モチーフの鎖は、直鎖状または分枝状とすることができ、また同一種類の正孔輸送モチーフ、例えば2~10個のトリアリールアミンモチーフ、または2~10個のカルバゾールモチーフ及びトリアリールアミンの組み合わせを含む鎖から構成され得る。正孔輸送モチーフまたはそれぞれの正孔輸送モチーフの鎖全体は、任意に、芳香族基を介して、例えばフェニル基、ベンジル基、ビフェニル基、2,2-ビチオフェン基、チオフェン基、または縮合チオフェン基を介して、CまたはDの他の成分に結合され得る。正孔輸送モチーフ、または正孔輸送モチーフの鎖をCまたはDの他の成分に結合するのに好適な縮合チオフェン基には、ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェン、ベンゾチオフェン、及びチエノ[3,2-b]チオフェンが含まれる。これらの縮合チオフェン基の中で、チエノ[3,2-b]チオフェンが好ましい。
【0117】
置換される任意のカルバゾールの窒素に対する要件は存在しないが、この窒素基は、アルキル基で置換され得る。カルバゾールの窒素原子上のアルキル置換基、例えばC~C10アルキル置換基を使用して架橋性材料全体の溶解度を微調整することができ、また同じくこれを使用して膜形成特性をさらに改善することができる。
【化7】
【0118】
正孔輸送基の典型的な構造は、以下に示される。CまたはD側鎖中の隣接成分の結合部位は、波状の結合として示されている。基Rは、それぞれ、水素原子、直鎖状または分枝状のアキラルC~C10アルキル、またはC~C10ハロアルキルから選択され、任意に、1、2、または3個のCH基は、酸素に置換され、但しアセタール、ケタール、または過酸化物がそのR基の中に存在しないことを条件とする。基Rは、共有結合、酸素を表す。
【化8】
【0119】
これらの正孔輸送側鎖は、当業者によく知られている標準的な方法で調製され得る。文献(例えば、March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions, Mechanisms, and Structure, Pub Wiley-Blackwell;7th Edition edition (17 May 2013),ISBN-10:0470462590を参照)で開示されている利用可能な方法は、所望の構造にアクセスするのに即座に適用され得る。保護基は、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,Pub Wiley-Blackwell;5th Edition edition(23 Dec. 2014),ISBN-10:1118057481に記載されているように、適宜使用され得る。例として、パラジウム触媒によるアミノ化反応は、以下に示すように、ジフェニルアミン前駆体からトリアリールアミン正孔輸送モチーフの構成に使用され得る。
【化9】
【0120】
正孔輸送モチーフを含有するカルバゾールは、同じパラジウム触媒によるアミノ化化学を利用することにより構成され得る。当業者であれば、芳香族アミノ化反応の技術領域が利用可能であり、等しく応用され得ることを理解するであろう。例えば、銅触媒によるアミノ化のアプローチを使用して、トリアリールアミン及び置換カルバゾールを形成することができる。
【化10】
【0121】
ひとたびこれらの正孔輸送モチーフが入念に作製されると、これらは、O-アルキル化(例えば、ウィリアムソンエーテル合成)、エステル化(例えば、酸触媒作用下でのもしくはDCC、EDCIなどの触媒を使用することによる、または酸塩化物からの)などの標準的な化学により、またはアルキル化反応、例えば求核試薬を用いたハロゲン化アリールなどのパラジウム触媒による反応を使用することにより、C及びD鎖の他の成分に結合され得る。
【0122】
基C及び基D中に正孔輸送モチーフを組み込んでいる本発明の化合物は、正孔注入層ならびに正孔輸送層としてを使用され得る。
【0123】
(電子輸送材料)
電子輸送特性を有する材料及び電子輸送特性を付与する化学基は、当技術分野ではよく知られている。電子輸送特性を付与し、また本明細書で電子輸送モチーフとして言及される基には、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、及びチアジアゾール、ならびに本明細書で(8-ヒドロキシルキノリン)アルミニウム基として言及された8-ヒドロキシルキノリンとアルミニウムとの間の錯体を含む複素環基が含まれる。
【化11】
【0124】
複素環ベースの電子輸送モチーフ、すなわち少なくとも1つのベンズイミダゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン基、2-フェニルピリミジン基、1,3,5-トリアジン基、及びチアジアゾール基、または1つの鎖の中に一緒に結合されたこれらの多数の基を含有する複素環ベースの電子輸送モチーフの場合には、これらの基は、通常、1つ以上のアリール基、特にフェニル基及びビフェニル基で置換され、任意に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基もしくはオクチル基などの直鎖状の、または可能な場所では分枝状の鎖のC~Cアルキル基を伴っているフェニル基及びビフェニル基で置換される。
【0125】
それぞれの電子輸送モチーフは、共有結合を介して直接接続されるか、またはフェニル基もしくはC~C複素環基を介して接続される。本明細書中で及び本明細書全体を通じて使用される用語であるC~C複素環及びC~C複素環基は、窒素、硫黄、及び酸素から選択される環中の他の原子と一緒に少なくとも1つの炭素原子を含有する5員芳香族複素環基及び6員芳香族複素環基を意味する。5員芳香族C~C複素環の例としては、テトラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピロール、フラン、及びチオフェンが含まれる。6員芳香族C~C複素環の例としては、ピリジン、ピリミジン、及びトリアジンが含まれる。好ましい芳香族C~C複素環は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個~3個のヘテロ原子を含有する。
【0126】
電子輸送モチーフまたはそれぞれの電子輸送モチーフの鎖全体は、共有結合、フェニル基、またはビフェニル基を介して、CまたはDの他の成分に結合され得る。
【0127】
電子輸送モチーフまたはそれぞれの電子輸送モチーフの鎖全体は、C~Cアルキル基、任意にC~Cアルキル基で置換されたフェニル基、または任意にC~Cアルキル基で置換されたビフェニル基で終端することができる。
【0128】
したがって、本発明の化合物は、電子輸送モチーフが次の一般式である例を含み、
-(Ar-(Het-Ar-(Ar
式中、Arは独立して、選択されたフェニル基またはビフェニル基であり、
mは、0または1であり、
各出現時のHetは、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、及びチアジアゾールから選択される少なくとも1つの複素環が存在することを条件として、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、及びチアジアゾールから選択される共有結合または複素環を意味し、
Arは、各存在で、共有結合、フェニル基、C~C複素環から選択され、
nは、1~10の整数であり、
Arは、i)HまたはC~Cアルキル基、ii)任意に置換されたフェニル基、またはiii)任意に置換されたビフェニル基であり、ii)及びiii)の各場合の前記任意に置換された基は、C~Cアルキル基であり、
但し、10個より多くのベンズイミダゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン基、2-フェニルピリミジン基、1,3,5-トリアジン基、及びチアジアゾール基が、前記基E及び前記基Fの各々の中に存在することはないことを条件とする。
【0129】
Arの定義中のqは、好ましくは1である。
【0130】
本発明は、同様に、鎖が分枝されている、例えば次の例を包含し、
【化12】
式中、Arは独立して、選択されたフェニル基またはビフェニル基であり、
mは、1であり、
各出現時のHetは、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、及びチアジアゾールから選択される少なくとも1つの複素環が存在することを条件として、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、及びチアジアゾールから選択される共有結合または複素環を意味し、
Arは、各出現時で、共有結合、フェニル基、C~C複素環から選択され、
n及びpは、1~9の整数で、n+pは、2~10であり、
Arは、いずれの場合にも、i)HまたはC~Cアルキル基、ii)任意に置換されたフェニル基、またはiii)任意に置換されたビフェニル基であり、ii)及びiii)の各場合の前記任意に置換された基は、C~Cアルキル基であり、
但し、10個より多くのベンズイミダゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン基、2-フェニルピリミジン基、1,3,5-トリアジン基、及びチアジアゾール基が、前記基E及び前記基Fの各々の中に存在することはないことを条件とする。
【0131】
本発明は、同様に、次の一般構造の電子輸送モチーフを有する化合物を含み、
【化13】
式中、Arは独立して、選択されたフェニル基またはビフェニル基であり、
mは、0または1であり、
各出現時のHetは、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、及びチアジアゾールから選択される少なくとも1つの複素環が存在することを条件として、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリミジン、1,3,5-トリアジン、及びチアジアゾールから選択される共有結合または複素環を意味し、
Arは、各出現時で、共有結合、フェニル基、C~C複素環から選択され、
n及びpは、1~8の整数であり、n+p+qは、3~10であり、nは、1以上であり、
Arは、いずれの場合にも、i)HまたはC~Cアルキル基、ii)任意に置換されたフェニル基、またはiii)任意に置換されたビフェニル基であり、ii)及びiii)の各場合の前記任意に置換された基は、C~Cアルキル基であり、
但し、10個より多くのベンズイミダゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン基、2-フェニルピリミジン基、1,3,5-トリアジン基、及びチアジアゾール基が、前記基E及び前記基Fの各々の中に存在することはないことを条件とする。
【0132】
当業者によって理解されているように、電子輸送特性の備えは、その構造中のこれらの電子輸送モチーフの正確な幾何学的配置ではなく、多数の電子輸送モチーフの存在により付与される。それにもかかわらず、電子輸送モチーフ中での電荷の非局在化の拡大を可能にするように、基は、高度に共役され、好ましくは完全に共役されていることが望ましい。よって、望ましい複素環は、好ましくは、共有結合により、フェニル基により、またはC~C複素環基により結合される必要がある。
【0133】
それぞれの電子輸送モチーフは、追加の電子輸送モチーフにつなぎ合わされ、それぞれの電子輸送モチーフに対して強化された電子輸送特性を有する鎖を形成することができる。このような鎖では、複素環、すなわちベンズイミダゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン基、2-フェニルピリミジン基、1,3,5-トリアジン基、及びチアジアゾール基は、直接、すなわち共有結合により結合され得、またはそれらの基は、フェニル基もしくはC~C複素環結合により接続され得る。このような電子輸送モチーフの鎖は、それらが、その構造の分子量全体を増加させ、またこのことが都合よく膜形成特性を改善するため、一般的に好まれる。
【0134】
いくつかの好ましい場合では、鎖の中のそれぞれの電子輸送モチーフは、共有結合またはフェニル結合により接続される。いくつかの好ましい場合では、鎖の中のそれぞれの電子輸送モチーフは、共有結合、フェニル結合、またはC~C複素環結合により接続される。これらの電子輸送モチーフの鎖は、直鎖状または分枝状とすることができ、また同一種類の電子輸送モチーフ、例えばベンズイミダゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン基、2-フェニルピリミジン基、1,3,5-トリアジン基、及びチアジアゾールの各モチーフから選択される2~10個の複素環ユニット、またはベンズイミダゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン基、2-フェニルピリミジン基、1,3,5-トリアジン基、及びチアジアゾールの各モチーフから選択される2~10個の複素環ユニットの組み合わせを含む鎖から構成され得る。全体的な鎖またはそれぞれのモチーフは、任意に芳香族基を介して、例えばフェニル、ビフェニル、またはナフチルを介してCまたはDの他の成分に結合され得る。置換される任意のベンズイミダゾールのN-1の窒素に対する要件は存在しないが、この窒素基は、アルキル基で置換され得る。ベンズイミダゾールの窒素原子上のアルキル置換基を使用して架橋性材料全体の溶解度を微調整することができ、また同じくこれを使用して膜形成特性をさらに改善することができる。別の方法として、ベンズイミダゾールは、例えばN-1及びC-2において結合されるさらなる置換基と一緒に分枝する位置として都合のよいものとすることができる。
【0135】
本発明に基づくいくつかの典型的な化合物が、以下に提供される。1つの例として、電子輸送特性を有する本発明の化合物は、側鎖C及びDの中にオキサジアゾール、オキサジアゾール、ベンズイミダゾール、及び(8-ヒドロキシルキノリン)アルミニウムの各モチーフを特徴とする。
【化14】
【0136】
本発明に基づく電子輸送基は、当業者によく知られている伝統的な合成技術により作製され得る。単純な例では、基E及び基Fは、以下の図式に示されているように、ウィリアムソンエーテル合成を介してC及びDの他の成分を伴っているコアに結合され得る。
【化15】
【0137】
C基及び/またはD基に組み込むための典型的な機能ユニット(電子トランスポータ)である3,5-ビス(1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェノールが、以下の図式に示すように、調製され得る。
【化16】
【0138】
C基及び/またはD基に組み込むためのさらなる典型的な機能ユニット(電子トランスポータ)である4’-(5-(4-(tert-ブチル)フェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-オールが、以下の図式に示すように、調製され得る。
【化17】
【0139】
C基及び/またはD基に組み込むためのさらなる典型的な機能ユニット(電子トランスポータ)である4’-(5-(4-(tert-ブチル)フェニル)-4-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-オールが、以下の図式に示すように、調製され得る。
【化18】
【0140】
基E及び基Fを有する電子輸送モチーフのさらなる例は、以下に示される。
【化19】
【0141】
(基D)
Dは、次の構造の側鎖であり、
-(W-N-(W-F
式中、
及びWは独立して、O、CO-、及びCHOから選択され、
出現時のr及びsは独立して、0または1から選択され、
Nは、C~C14直鎖状アルキル基であり、
Fは、電荷輸送基または発光基を含む。
【0142】
Fが電荷輸送基を含む場合、基D及びその構成成分は、上述したように、基C及びその構成成分に対応する。
【0143】
発光基を含む基Dを有する化合物は、OLEDの発光層と隣接電荷輸送層との間の界面層として使用するために、特に有利である。この理由は、電荷輸送及び発光特性の混合により、発光層への電子及び正孔の効率的な輸送が可能となり、このことが、放射の始動に必要な電圧を有利に低減させることができるからである。その電圧低減が、相補的な発光材料を有する本発明のD基材料の好ましい混合から確信されているこの特性の結果、本発明の材料を使用して、低減された「動作オン」電圧を有するデバイスを提供することができる。デバイスを動作オンさせ、そして発光を維持するのに必要な電圧を低減することは、OLEDの重要な決定要因であるため、改善されたOLEDデバイスの寿命は、本発明の材料の使用によって獲得され得る。
【0144】
Cが電荷輸送であり、Dが発光であるこれらのハイブリッド材料の利点は、以下を含み、i)これらの材料は、不足電荷輸送特性のみを有する蛍光色素分子の電荷注入/輸送特性を制御/調整する機能を提供するが、このハイブリッド構造アーキテクチャ内部で改善され得、ii)良好な正孔注入/輸送特性、ただし不足電子注入/輸送特性を有する蛍光色素分子は、効率的な電子受容/輸送部分をその構造の中へ組み込むことによって改善され得、iii)良好な電子注入/輸送特性、ただし不足正孔注入/輸送特性を有する蛍光色素分子は、効率的な正孔受容/輸送部分をその構造の中へ組み込むことによって改善され得、iv)各特性を付与する基が電子的に互いに分離されている単一分子の中の電荷輸送特性及び発光特性(すなわち、単一分子の中で電子的に分離している(非共役の)蛍光色素分子部分及び電荷輸送部分)を組み合わせる潜在力は、相分離となる傾向のあり得る2成分系(発光材料に添加されている1つ電荷輸送材料)にわたって有利であり得る。相分離は、OLEDデバイス性能に対して害になる可能性があり、例えばこれらは、増加した動作オン電圧を使用する必要性が生じる可能性があり、またこのことは、これに呼応してデバイス寿命について妥協する可能性がある。さらに、デバイス製造に関する以前記述されたすべての利点は、依然として適用可能である。このため、これらのハイブリッド材料を使った溶液相処理が可能であり、それらの材料は、合理的に高い分子量及び溶解度の組み合わせの結果として、良好な膜形成特性を有する。パターニングされた構造体は、マスキング技術を組み合わせ、UV光などの放射線を介した架橋始動を介して形成され得る。
【0145】
(発光モチーフ)
基Dが発光基である場合には、そのときは当技術分野で周知の好適ないかなるモチーフを選択されてもよい。1つの特に好ましい種類の発光モチーフが、PCT/GB2015/051164に記載されているものである。このようなモチーフがどのように合成され得るかの詳細が、本明細書に提供される。
【0146】
例えば、発光基Fは、次の構造の基FLを含む発光基とすることができ、
【化20】
式中、各FL部分のR基は、同一であり、かつ直鎖状または分枝状アキラルC~C14アルキル基、C~C14ハロアルキル基、C~C14フルオロアルキル基、C~C14アルケニル基から成る群から選択され、任意に、式中、1、2、3、4、または5個のCH基は酸素によって置換されるが、但し、アセタール、ケタール、過酸化物、またはビニルエーテルがいずれもそのR基の中に存在しないことを条件とする。
【0147】
関連した例では、基Fは、次の構造の発光基であり、
-Ar-(FL-Ar-Q
この発光基は、1~8個のFL基を含み、式中、左側のダッシュ記号は、基Fの他の成分との接続部位を示し、
式中、出現時のAr及びArは独立して、Ar及び結合から成る群から選択され、
Arは、1個の芳香族、複素環式芳香族化合物もしくはFL部分、または2、3、4もしくは5個の芳香族、複素環式芳香族化合物、及び/または単一結合により相互に接続されるFL部分を含むジラジカルであり、
nは、1~8の整数であり、
Qは、水素、C~C14アルキル基、C~C14ハロアルキル基、またはC~C14フルオロアルキル基であり、
FLは、次の構造のフルオレン部分であり、
【化21】
C-2及びC-7で共有結合を介してその鎖に組み込まれ、
各FL部分のR基は、同一であり、直鎖状または分枝状アキラルC~C14アルキル、C~C14ハロアルキル基、C~C14フルオロアルキル基、C~C14アルケニル基から成る群から選択され、任意に、式中、1、2、3、4、または5個のCH基は、酸素によって置換されるが、但し、アセタール、ケタール、過酸化物、またはビニルエーテルがいずれも前記R基の中に存在しないことを条件とする。
【0148】
(材料特性)
本発明の材料は、それらの電荷輸送に特に有効である。そのように、本明細書に記載される材料は、電子デバイス、例えば有機発光ダイオード、有機電界効果トランジスタ及び光起電デバイスの製造において有効である。
【0149】
本発明のオリゴマー材料の1つの有利な特性は、それらが一般的な有機溶剤の中に溶けることである。本発明の化合物が溶解する代表的な炭化水素には、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン、またはクロロベンゼンなどのそれらのハロゲン化誘導体が含まれる。この溶解性は、オリゴマーの溶解特性が、例えば比較的不溶であるか全く溶解不能のポリマー材料に対するデバイス製造の観点から際立った利点をもたらすので、重要である。さらに詳細には、これらのオリゴマー材料を使用して、溶液処理方法を介してデバイスを製造することができる。概要を述べると、これは、まず材料を溶解し、この溶液を基板に塗布し、次いで蒸発させて基板上に塗膜を生成する。ひとたびこの材料が膜として堆積されると、その材料は、そのままで重合することができる。この重合は、放射線、例えば紫外線に曝露することにより開始され得、これにより1個の分子の架橋基が隣接分子中の架橋基と架橋することが可能になり、網状ポリマーを形成する。堆積された膜の複数の領域は、開始している放射線からマスクされ得、非架橋材料区域と同時に重合を受ける放射線曝露区域をもたらす。所望の曝露されない区域の場合には、非架橋材料は、洗い流され得、モノマーの溶解度に比して無視できるほどのまたは小さい溶解度を有する架橋材料のために、パターニングされた構造の架橋材料を後に残す。溶液堆積及び重合の反復サイクル、ならびに必要ならば洗浄を使用して、複雑な構成を有する構造体を生成することができる。
【0150】
順次堆積された重合構造体は、並列方式または積層方式で組み立てられることができる。1つの例では、並列方式での、赤、緑、及び青の発光材料の連続した堆積及び重合を使用して、カラー表示器用画素を生成することができる。別の例では、赤、緑、及び青の発光材料のスタックを使用して、白色光源を提供することができる。別の例では、2つ以上の発光構造体をスタック中に配列して、カラー光源を提供することができる。
【0151】
隣接層が、相異なる最高被占分子軌道または最低空分子軌道(HOMO及びLUMO)エネルギ準位、ならびに相異なる電荷キャリア移動度を有する多層デバイスを安価にかつ経済的に生産する能力は、プラスチックエレクトロニクスにおいて一般的な有用性である。例えば、p-n接合の等価物は、本発明の材料及び処理を使って形成され得、これらの等価物は、ダイオード、トランジスタ、及び光起電デバイスの用途を見出すことができる。フォトリソグラフィ技術によりパターニングされた本発明の材料の性向により、製造される実質的に任意の大きさ及び記述のプラスチック電子デバイスの大規模なアレイを可能にする。
【0152】
本発明の材料の混合を使用するさらに別の利点は、イオンのまたは遊離基の開始と対照をなす光開始の電子ドナー/アクセプタの相互作用が重合を開始するのに使用される混合材料の使用を可能にすることである。これは、結果として、メタクリレートベース系におけるよりも(保管期限の観点から)さらにより安定となることが可能である。これらの混合物では、その材料のうちの少なくとも1つは、電子富有架橋基で置換され、同時に少なくとも1つの他の成分材料は、電子不足架橋基で置換される。その材料に紫外線を当てると、いくつかの分子上の電子不足架橋基を電子的に励起された状態に活性化する。次いで、この励起された状態の電子不足架橋基は、共重合架橋反応を開始する他の分子上の電子富有(電子ドナー)架橋基から電子を取り去る。この光重合モードの説明は、例えば「Photoinitiated radical polymerization of vinyl ether-maleate systems」、Polymer 38、(9)pp.2229-37(1997)、及び「Co-Polymerization of Maleimides and Vinyl Ethers: A Structural Study」、Macromolecules 1998、(31)pp.5681-89の中で見出され得る。
【0153】
電子不足架橋基には、マレイミド、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、及び他の不飽和エステルが含まれる。電子ドナー基には、ビニルエーテル、プロピルエーテル、及び他の同様なアルケニルエーテルが含まれる。これらと同様な混合物は、それぞれの成分が優れた保存可能期間と一緒に熱的にかつ光化学的に安定であるという点で有利である。しかしながら、それらの材料が組み合わされると、その混合物は、高い光化学感度を有し、架橋に対して比較的少ないUV吸収線量しか必要としない。
【0154】
本発明の材料からデバイスを作製するための典型的な処理は、典型的には、i)好適な有機溶剤中に本発明の化合物を溶解するステップと、ii)結果として生じた溶液を基板上に堆積させるステップと、iii)溶剤を蒸発下で、任意に、減圧下で除去して、膜を形成するステップと、iv)結果として生じた膜を放射線に曝露するステップであって、任意に、放射線が紫外線である、曝露するステップと、を含む。任意に、この処理は、40℃~150℃の温度で加熱することによりその膜をアニールするステップを含むことができる。任意に、この処理は、放射線に曝露することに先立って部分的にその膜をマスキングすることを含むことができ、それにより、放射線に曝露された膜の部分のみのパターニングされた架橋を可能にする。
【実施例
【0155】
(合成例)
本発明の化合物は、当業者によく知られている有機合成の一般的な技術により合成され得る。これらの化合物がどのように合成され得るかの例示的な例が、以下に示される。理解されているように、これらの材料の性質により、モジュール的接近法が適用されるように合成することが可能となる。各成分A、B、C、及びDは、その材料の電子的特性、膜形成特性、及び溶解度特性を微調整するように加減され得る。以下に提供される例は、単なる一例にすぎず、また本発明の範囲を決して限定しない。
【0156】
【化22】
化合物1の合成:Pd(dba)(0.16グラム、0.18ミリモル)及びBINAP(0.33グラム、0.53ミリモル)を乾燥トルエン5ミリリットル中に混合し、アルゴン雰囲気下で20分間攪拌した。その後、1,4-ジブロモべンゼン(1.7グラム、7.1ミリモル)、ビス(4-t-ブチルフェニル)アミン(2.0グラム、7.1ミリモル)、ナトリウムt-ブトキシド(0.96グラム、10ミリモル)、及び乾燥トルエン(25ミリリットル)を添加し、その混合物を90℃で18時間攪拌した。その混合物を室温まで冷却した後、水(100ミリリットル)で希釈し、その各層を分離した。次いで、この水層をジエチルエーテル(3×50ミリリットル)で抽出し、組み合わされた有機物を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、そして減圧下で蒸発乾固した。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン中5%~7.5%のジクロロメタン)により精製し、白色固体(1.8グラム、4.1ミリモル、58%)としてその生成物をもたらした。H NMR(400MHz,CDCl)、δ=1.31(18H,s,CH)、6.91-6.93(2H,m,Ar-H)、6.98-7.01(4H,m,Ar-H)、7.24-7.27(4H,m,Ar-H)、7.28-7.30(2H,m,Ar-H)。
【0157】
【化23】
化合物2の合成:Pd(PPh(0.47グラム、0.40ミリモル)を、化合物1(1.8グラム、4.0ミリモル)、及び脱気ジオキサン(20ミリリットル)中の4-ヒドロキシフェニルボロン酸(0.83グラム、6.1ミリモル)、及び脱気水(5ミリリットル)中のNaCO(2.1グラム、20ミリモル)の攪拌された溶液に添加した。その反応混合物を、環流させながら16時間攪拌した。その後、この混合物を室温まで冷却し、次いで減圧下で溶剤を除去した。その残留物をジクロロメタン(50ミリリットル)中に再び溶解し、1MのNaOH水溶液(3×50ミリリットル)で洗浄し、次に1MのHCl(2×50ミリリットル)で洗浄した。次いで、この有機層を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、そして減圧下で蒸発乾固した。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン中10%のエチルアセテート)により精製し、赤色/茶色固体(0.75グラム、1.7ミリモル、41%)としてその生成物をもたらした。H NMR(400MHz,CDCl)、δ=1.32(18H,s,CH)、6.87-6.89(2H,br d,J=8.5Hz,Ar-H)、7.04-7.06(4H,br d,J=8.7Hz,Ar-H)、7.09-7.11(2H,br d,J=8.5Hz,Ar-H)、7.25-7.27(4H,br d,J=8.5Hz,Ar-H)、7.38-7.40(2H,br d,J=8.7Hz,Ar-H)、7.43-7.45(2H,br d,J=8.5Hz,Ar-H)。
【0158】
【化24】
化合物3の合成:乾燥DMF(25ミリリットル)中のジエチル-2,5-ジ(ブロモヘキシル)オキシテレフタレート(0.45グラム、0.78ミリモル)、化合物2(0.74グラム、1.7ミリモル)及びCsCO(1.5グラム、4.7ミリモル)の混合物をアルゴン雰囲気下で90℃まで加熱し、16時間の間攪拌した。その後、溶剤を減圧下で除去し、その残留物をジクロロメタン(50ミリリットル)中に溶解した。次いで、懸濁液をろ過し、そのろ液を減圧下で蒸発乾固した。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィ(ジクロロメタン中40%のヘキサン)により精製し、白色固体(0.83グラム、0.63ミリモル、80%)としてその生成物を得た。H NMR(400MHz,CDCl)、δ=1.32(36H,s,CH)、1.38(6H,t,J=7.1Hz,CH)、1.56-1.57(8H,m,CH)、1.80-1.88(8H,m,CH)、3.98-4.04(8H,m,CH)、4.37(4H,q,J=7.1Hz,CH)、6.94(4H,br d,J=8.8Hz,Ar-H)、7.05(8H,br d,J=8.7Hz,Ar-H)、7.10(4H,br d,J=8.7Hz,Ar-H)、7.26(8H,br d,J=8.7Hz,Ar-H)、7.35(2H,s,Ar-H)、7.40(4H,br d,J=8.7Hz,Ar-H)、7.47(4H,br d,J=8.8Hz,Ar-H)。
【0159】
【化25】
化合物4の合成:NaOH水溶液(1M、10ミリリットル)を、テトラヒドロフラン(20ミリリットル)中の化合物3(0.83グラム、0.63ミリモル)の撹拌溶液に添加し、60℃で2日間撹拌した。完了すると、その溶液を、2M HCLで酸性にし、次いでジクロロメタン(3×50ミリリットル)でその生成物を抽出した。組み合わされた有機物質を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、そしてその溶剤を減圧下で除去した。これにより、純白でない固体(0.77グラム、0.61ミリモル、97%)としてその生成物を得た。H NMR(400MHz,CDCl)、δ=1.32(36H,s,CH)、1.58-1.60(8H,m,CH)、1.82-1.86(4H,m,CH)、1.94-2.01(4H,m,CH)、4.01(4H,t,J=6.2Hz,CH)、4.32(4H,t,J=6.5Hz,CH)、6.93(4H,br d,J=8.7Hz,Ar-H)、7.05(8H,br d,J=8.5Hz,Ar-H)、7.10(4H,br d,J=8.5Hz,Ar-H)、7.26(8H,br d,J=8.5Hz,Ar-H)、7.40(4H,br d,J=8.5Hz,Ar-H)、7.47(4H,br d,J=8.7Hz,Ar-H)、7.9(2H,s,Ar-H);MS(MALDI+):m/z [M]に対する計算値=1260.7、実測値1260.5。
【0160】
【化26】
化合物5の合成:N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.10グラム、0.50ミリモル)を、0℃でジクロロメタン(7ミリリットル)中の化合物4(0.25グラム、0.20ミリモル)及び4-ジメチルアミノピリジン(2.4ミリグラム、0.02ミリモル)の撹拌溶液に添加した。次いで、この混合物をアルゴン雰囲気下、0℃で撹拌し、その後、乾燥ジクロロメタン(3ミリリットル)中の1,4-ブタンジオールビニルエーテル(0.09グラム、0.79ミリモル)を添加し、その反応混合物は、室温まで温めることができ、アルゴン雰囲気下で18時間の間撹拌しながら放置した。その後、その溶液を、ジクロロメタン(60ミリリットル)で希釈し、次いで飽和NaHCO(2×50ミリリットル)及び水(50ミリリットル)で洗浄した。次いで、この有機層を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、そしてその溶剤を減圧下で除去した。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン中10%のエチルアセテート)により精製した。これにより、白色固体(0.10グラム、0.069ミリモル、35%)としてその所望の生成物を得た。H NMR(400MHz,CDCl)、δ=1.32(36H,s,CH)、1.53-1.57(8H,m,CH)、1.80-1.89(16H,m,CH)、3.73(4H,t,J=6.0Hz,CH)、3.97-4.04(10H,m,CH & =CH)、4.16(2H,dd,J=14.4,2.0Hz,=CH)、4.34(4H,t,J=6.2Hz,CH)、6.46(2H,dd,J=14.4,6.8Hz,=CH)、6.94(4H,br d,J=8.8Hz,Ar-H)、7.05(8H,br d,J=8.5Hz,Ar-H)、7.10(4H,br d,J=8.7Hz,Ar-H)、7.26(8H,br d,J=8.5Hz,Ar-H)、7.35(2H,s,Ar-H)、7.40(4H,br d,J=8.7Hz,Ar-H)、7.47(4H,br d,J=8.8Hz,Ar-H);MS(MALDI+):m/z [M+H]に対する計算値=1457.8、実測値1457.7。
【0161】
【化27】
N-デカノール-マレイミドの合成;乾燥DMF(10ミリリットル)中の10-ブロモ-1-デカノール(2.94グラム、12.4ミリモル)を、アルゴン雰囲気下で、エンド/エキソフラン保護マレイミド(2.05グラム、12.4ミリモル)、及び乾燥DMF(40ミリリットル)中のKCO(1.72グラム、12.4ミリモル)の混合物の撹拌懸濁液に添加した。次いで、その反応混合物を、50℃で、アルゴン雰囲気下で16時間の間撹拌した(反応は、一晩で暗い赤色に変化した)。その後、その反応混合物を水(200ミリリットル)に注ぎ、エチルアセテート(3×100ミリリットル)で抽出した。組み合わされた有機物質を水(200ミリリットル)及び塩水(2×100ミリリットル)で洗浄した。次いで、この有機層を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、そしてその溶剤を減圧下で除去した。油性残留物をヘキサン雰囲気下で補助超音波処理を使って砕き、次いで上澄み液を別の容器へ静かに移した。この処理を2回繰り返し、あらゆる未反応ブロモ-デカノールを除去した。次いで、油性残留物をジエチルエーテル中に溶解し、そしてろ過した。このろ液を減圧下で蒸発させて、無色の油としてその生成物を得て、その油は、室温で一晩静置させた状態で固化した(2.32グラム、7.2ミリモル、58%)。
【0162】
エンド/エキソN-デカノール-フラン保護マレイミド(1.15グラム、3.6ミリモル)の混合物を、トルエン(20ミリリットル)中に環流するように加熱し、環流させながら18時間の間攪拌した。その後、溶剤を減圧下で除去し、この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン中30~50%のエチルアセテート)により精製した。これにより、白色固体(0.52グラム、2.1ミリモル、58%)としてその生成物を得た。H NMR(400MHz,CDCl)、δ=1.22-1.35(12H,m,CH)、1.54-1.61(4H,m,CH)、3.48-3.52(2H,m,CH)、3.63(2H,t,J=6.6Hz,CH)、6.68(2H,s,=CH)。
【0163】
【化28】
化合物6の合成:N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.10、0.50ミリモル)を、0℃で、乾燥ジクロロメタン(7ミリリットル)中の化合物4(0.25グラム、0.20ミリモル)及び4-ジメチルアミノピリジン(4.8ミリグラム、0.04ミリモル)の撹拌溶液に添加した。次いで、この混合物を、アルゴン雰囲気下、0℃で1時間の間撹拌し、その後、乾燥ジクロロメタン(3ミリリットル)中のN-デカノール-マレイミド(0.13グラム、0.50ミリモル)を添加し、その反応混合物を室温まで温めることができ、アルゴン雰囲気下で18時間の間撹拌しながら放置した。次いで、その溶液を、ジクロロメタン(60ミリリットル)で希釈し、次いで飽和NaHCO(2×50ミリリットル)及び水(50ミリリットル)で洗浄した。次いで、この有機物層を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、そしてその溶剤を減圧下で除去した。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン中20%のエチルアセテート)により精製し、黄色固体(20ミリグラム、0.012ミリモル、6%)としてその生成物を得た。H NMR(400MHz,CDCl)、δ=1.24-1.29(24H,m,CH)、1.32(36H,s,CH)、1.53-1.58(10H,m,CH)、1.71-1.87(14H,m,CH)、3.47-3.50(4H,m,CH)、3.98-4.04(8H,m,CH)、4.29(4H,t,J=6.7Hz,CH)、6.65(4H,s,=CH)、6.94(4H,br d,J=8.8Hz,Ar-H)、7.05(8H,br d,J=8.7Hz,Ar-H)、7.10(4H,br d,J=8.6Hz,Ar-H)、7.26(8H,br d,J=8.7Hz,Ar-H)、7.35(2H,s,Ar-H)、7.40(4H,br d,J=8.6Hz,Ar-H)、7.48(4H,br d,J=8.8Hz,Ar-H);MS(MALDI+):m/z [M+H]に対する計算値=1732.0、実測値1731.9。
【0164】
(架橋正孔オンリーデバイス)
単一キャリアの特性を実証するため、上述された手順に基づいて合成された架橋性正孔輸送材料5(ビニルエーテル架橋剤)及び6(マレイミド架橋剤)を使って正孔オンリーデバイスを作製した。このデバイスの構造は、ITO/PEDOT:PSS(50nm)/正孔輸送材料(65nm)/Auであった。その金陰極の高い仕事関数により、有機層への電子注入が存在しないことを保証しており、その結果デバイスを通る電流は、正孔のみの輸送によるものである。
【0165】
この正孔輸送層は、マレイミド架橋剤ユニット6を有する正孔輸送材料及びビニルエーテル架橋剤ユニット5を有する正孔輸送材料を1対1の比で混ぜ合わせた混合物から構成された。
【0166】
溶液処理可能なPEDOT:PSS及び正孔輸送層は、スピンコーティング法によりパターニングされる前のガラス/ITO基板の上に堆積された。20ミリグラム/ミリリットルのトルエン溶液から、2500rpmで60秒間スピンコーティングにより、厚さ75nmの薄膜をもたらした。
【0167】
スピンコーティングの後、正孔輸送材料5及び6の堆積された膜は、280~450nmの広帯域発光を有するメタルハライドランプ(Dymax BlueWave 200)に、5W/cmのパワー密度でアルゴン雰囲気中20秒間曝露され、その材料を架橋した。架橋した後、このデバイスは、いかなる非架橋材料を除去するため、トルエンを使ってスピン洗浄され、正孔輸送材料の不溶性65nm膜を残した。その金陰極は、その後、熱蒸発により堆積された。
【0168】
図1は、この単純な正孔オンリーデバイスの電流電圧データを示し、比較のため、正孔輸送材料が、ポリ(9-ビニルカルバゾール)(PVK)である場合の正孔オンリーデバイスのデータを併せて示している。PVKの線は、より低いところから開始し、右側でより高いところで終了している。PVKは、OLEDデバイスの簿剤として一般的に使用されている正孔輸送特性を有する市販ポリマーである。この正孔輸送材料を通じて測定される電流は、デバイス構成の結果として、有機層を通じた正孔の輸送のみによるものであり、低い電圧における比較可能なPVKデバイスを通じた電流を超えている。このことは、これらの材料の架橋が、結果として、OLEDデバイスの正孔輸送材料としての適用に好適な不溶性の膜となっていることを示している。
【0169】
ここで、本発明の好ましい態様は、以下にさらに記載されるであろう。以前の態様のすべての構成要素が以下の態様に同様に適用するが、簡潔にするためいくつかのラベル付けが適用されている。
【0170】
次の式の化合物が提供され、
【化29】
式中、
Aは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、またはC~Cアルキル鎖により結合された2個のフェニル基を表し、
各出現時のB及びBは独立して、次の構造であり、-(G-L-(G-X
Cは、構造-(G-M-(G-Eであり、
Dは、構造-(G-M-(G-Fであり、
式中、
各出現時のG及びGは独立して、-O-、-C(O)O-、及びCHO-から選択され、
各出現時のm及びnは独立して、0または1から選択され、
各出現時のLは、C~C14直鎖状アルキル基であり、
各出現時のMは、C~C14直鎖状アルキル基であり、
各出現時のXは独立して、選択される架橋基であり、
Eは、電荷輸送基を含み、
Fは、電荷輸送基または発光基を含み、
当該電荷輸送基Eは、スピロビフルオレンアリールアミンのモチーフの一部を形成するフルオレン基以外のフルオレン基を含まない。
【0171】
好ましくは、Aは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基である。好ましくは、Aは、1、2、4、5個の置換フェニル基であり、互いにパラの位置にあるC基及びD基を有する。
【0172】
好ましくは、Xは独立して、アルケン架橋基、チオール、及びオキセタンから成る群から選択される。最も好ましいXは独立して、メタクリレート基、エタクリレート基、マレイン酸エチル基、エチルフマラート基、N-マレイミド基、ビニルオキシ基、アルキルビニルオキシ基、マレイン酸ビニル基、ビニルフマラート基、N-(2-ビニルオキシマレイミド)基、1,4-ペンタジエン-3-イル基、及び1,4-シクロヘキサジエニル基から選択される。
【0173】
Eは、電荷輸送基、すなわち正孔輸送基または電子輸送基のいずれかかである。正孔輸送基は、その材料を通じた正孔の流れを可能にする任意の材料であり、電子輸送基は、その材料を通じた電子の流れを可能にする任意の材料である。電子輸送材料は、通常、電子不足芳香族基/部分を含み、正孔輸送材料は、通常、電子富有芳香族基/部分を含む。このような用語は、当技術分野ではよく知られており、当業者であれば、このような官能性を化合物に影響を与える好適な部分を容易に特定するであろう。例えば、US9112157は、正孔輸送官能性の範囲について記載しており、WO2006/127315は、電子輸送材料について記載している。
【0174】
同様に、Fは、電荷輸送基であってもよく、その場合、Fは独立して、そのような構造について本明細書に開示される同じ構造から選択され得るか、またはFは、発光基であってもよい。E及びFが両方とも電荷輸送基である場合、好ましくは、それらは全く同一であってもよい。好ましくは、Fは発光基であり、Eは電荷輸送基である。
【0175】
Fに対する好ましい発光基は、次の構造であり、
【化30】
式中、Rは同一であり、直鎖状または分枝状アキラルC~C14アルキル、C~C14ハロアルキル基(好ましくは、フルオロアルキル基)、C~Cアルケニル基から成る群から選択され、任意に、式中、1、2、3、4、または5個のCH基は、酸素により置換され、但しアセタール、ケタール、過酸化物、またはビニルエーテルがそのR基の中に存在することはないことを条件とし、
式中、F基は、C2またはC7炭素においてD構造に接続される。
【0176】
E及びFに対する好ましい正孔輸送基は独立して、トリフェニルアミンもしくはスピロビフルオレンアリールアミン、3,6-カルバゾール、2,7ーカルバゾール、または1,3,6,8-カルバゾールなどのトリアリールアミンを含む群から選択される。
【0177】
E及びFに対する好ましい電子輸送基は独立して、1個以上のベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリジン、1,3,5-トリアジン、チアジアゾール、または(8-ヒドロキシルキノリン)アルミニウムを含む群から選択される。好ましくは、E及びFは、1~6個のベンズイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、2-フェニルピリジン、1,3,5-トリアジン、チアジアゾール、または(8-ヒドロキシルキノリン)アルミニウムを含む群から選択される。
【0178】
上記の化合物は、放射線、好ましくは紫外線にその化合物を曝露することにより網状ポリマーに形成されてもよい。また、この化合物またはポリマーは、OLEDデバイス、OPVデバイス、またはOFETデバイスなどのデバイスに組み込まれてもよい。
【0179】
このようなデバイスは、
i)好適な有機溶剤中に本明細書に記載される化合物を溶解することと、
ii)結果として生じた溶液を基板上に堆積させることと、
iii)溶剤を蒸発下で、任意に、減圧下で除去して、膜を形成することと、
iv)結果として生じた膜を放射線に曝露することであって、任意に、放射線が紫外線である、曝露することと、を含む方法を使用して、これらの化合物から作製されてもよい。
図1