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特許6996784ケーブルトラフのアタッチメント、アタッチメントに用いられるブラケット、及びアタッチメントが取り付けられたケーブルトラフ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ケーブルトラフのアタッチメント、アタッチメントに用いられるブラケット、及びアタッチメントが取り付けられたケーブルトラフ
(51)【国際特許分類】
   H02G 9/04 20060101AFI20220107BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H02G9/04
H02G1/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020185636
(22)【出願日】2020-11-06
【審査請求日】2020-11-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520370496
【氏名又は名称】明和通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100194467
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 健文
(72)【発明者】
【氏名】細尾 慶太郎
(72)【発明者】
【氏名】大炭 潤生
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-008405(JP,A)
【文献】特開平11-205983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 9/04
H02G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁及び一対の側壁を有するトラフ本体と、前記トラフ本体に載る蓋と、を有するケーブルトラフに取り付けられて前記ケーブルトラフの容積を増大するためのアタッチメントであって、
前記一対の側壁よりも上方に配置され、その上端面に前記蓋が載るように構成された側壁板体と、
前記側壁板体を前記側壁に対して固定するブラケットと、
を備え、
前記ブラケットは、
前記側壁板体の内面に対向する内側支持体と、
前記側壁板体の外面に対向し、前記内側支持体との間で前記側壁板体を支持する外側支持体と、
を有し、
前記外側支持体の上端部は、前記側壁板体の上端面よりも上方に突出し、かつ前記蓋の側端面に対向するように構成されている、
ケーブルトラフのアタッチメント。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記内側支持体及び前記外側支持体よりも下方に形成され、前記側壁に対して固定される取付け部を有し、
前記取付け部は、
前記側壁の内側面に対向する内側取付け体と、
前記側壁の外側面に対向し、前記内側取付け体との間で前記側壁を挟む外側取付け体と、
を含む、
請求項1記載のケーブルトラフのアタッチメント。
【請求項3】
前記外側取付け体の前記内側取付け体に対向する面は、下方向に進むに従って前記内側取付け体に近付くように前記内側取付け体に対して傾斜した押さえ面を含む、
請求項2記載のケーブルトラフのアタッチメント。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記内側支持体、前記外側支持体、前記内側取付け体及び前記外側取付け体を連結する連結部を有し、
前記連結部は、前記ケーブルトラフの長さ方向に直交しかつ水平面に沿う方向において、前記内側支持体を、前記内側取付け体よりも外側に位置させている、
請求項2又は請求項3記載のケーブルトラフのアタッチメント。
【請求項5】
前記外側取付け体は、前記内側取付け体の前記側壁との対向面に対して垂直な複数の板により構成されている、
請求項2~4のいずれか一項に記載のケーブルトラフのアタッチメント。
【請求項6】
底壁及び一対の側壁を有するトラフ本体と、前記トラフ本体に載る蓋と、を有するケーブルトラフと、
前記ケーブルトラフに取り付けられ、前記ケーブルトラフの容積を増大するためのアタッチメントと、
を備え、
前記アタッチメントは、
前記一対の側壁よりも上方に配置され、その上端面に前記蓋が載るように構成された側壁板体と、
前記側壁板体を前記側壁に対して固定するブラケットと、
を有し、
前記ブラケットは、
前記側壁板体の内面に対向する内側支持体と、
前記側壁板体の外面に対向し、前記内側支持体との間で前記側壁板体を支持する外側支持体と、
を含み、
前記外側支持体の上端部は、前記側壁板体の上端面よりも上方に突出し、かつ前記蓋の側端面に対向している、
アタッチメントが取り付けられたケーブルトラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルトラフのアタッチメント、アタッチメントに用いられるブラケット、及びアタッチメントが取り付けられたケーブルトラフに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のケーブルトラフが記載されている。特許文献1記載の配線用トラフは、両側壁の上端部に、H形鋼からなる連結アダプターが取り付けられている。連結アダプターは、下側に逆凹状をなす下側嵌め込み部と、上側に凹状をなす上側嵌め込み部と、を有する。下側嵌め込み部に対し、配線用トラフの両側壁が嵌め込まれることで、連結アダプターは配線用トラフに取り付けられる。上側嵌め込み部には、側壁用部材が嵌め込まれ、側壁用部材と既設の配線用トラフの側壁とを面一になるように一体化させる。これによって、特許文献1記載の配線用トラフでは、両側壁を上方に延長し、容量を増大することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3720124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トラフ蓋は幅方向の両端部に窪みが形成され、幅方向の中央部が下方向に隆起している。この隆起部が、連結アダプターの間に入り込むことで、配線用トラフの本体に対して、トラフ蓋の位置が決められる。
【0005】
しかし、特許文献1記載の連結アダプターでは、トラフ蓋の隆起部の位置を確認しながら、隆起部を連結アダプターの間に入れるのが手間であるうえに、隆起部が連結アダプターに載り上げ易くて、本体に対して蓋がずれやすい、という問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、ケーブルトラフのトラフ本体に対し、蓋を適切な位置に設置し易く、蓋がずれにくいケーブルトラフのアタッチメント、アタッチメントに用いられるブラケット、アタッチメントが取り付けられたケーブルトラフを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様のケーブルトラフのアタッチメントは、底壁及び一対の側壁を有するトラフ本体と、前記トラフ本体に載る蓋と、を有するケーブルトラフに取り付けられて前記ケーブルトラフの容積を増大するためのアタッチメントであって、前記一対の側壁よりも上方に配置され、その上端面に前記蓋が載るように構成された側壁板体と、前記側壁板体を前記側壁に対して固定するブラケットと、を備え、前記ブラケットは、前記側壁板体の内面に対向する内側支持体と、前記側壁板体の外面に対向し、前記内側支持体との間で前記側壁板体を支持する外側支持体と、を有し、前記外側支持体の上端部は、前記側壁板体の上端面よりも上方に突出し、かつ前記蓋の側端面に対向するように構成されている。
【0008】
本発明に係る一態様のブラケットは、一対の側壁を有するケーブルトラフの容積を増大するためのアタッチメントに用いられ、前記側壁よりも上方に配置される側壁板体を、前記側壁に対して取り付けるブラケットであって、前記側壁板体の内面に対向する内側支持体と、前記側壁板体の外面に対向し、前記内側支持体との間で前記側壁板体を支持する外側支持体と、を備え、前記外側支持体の上端は、前記内側支持体の上端よりも上方に位置している。
【0009】
本発明に係る一態様のケーブルトラフは、底壁及び一対の側壁を有するトラフ本体と、前記トラフ本体に載る蓋と、を有するケーブルトラフと、前記ケーブルトラフに取り付けられ、前記ケーブルトラフの容積を増大するためのアタッチメントと、を備え、前記アタッチメントは、前記一対の側壁よりも上方に配置され、その上端面に前記蓋が載るように構成された側壁板体と、前記側壁板体を前記側壁に対して固定するブラケットと、を有し、前記ブラケットは、前記側壁板体の内面に対向する内側支持体と、前記側壁板体の外面に対向し、前記内側支持体との間で前記側壁板体を支持する外側支持体と、を含み、前記外側支持体の上端部は、前記側壁板体の上端面よりも上方に突出し、かつ前記蓋の側端面に対向している。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る上記態様のケーブルトラフのアタッチメント、アタッチメントに用いられるブラケット、アタッチメントが取り付けられたケーブルトラフは、ケーブルトラフのトラフ本体に対し、蓋を適切な位置に設置し易く、蓋がずれにくい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るアタッチメントが取り付けられたケーブルトラフの斜視図である。
図2図2は、同上のアタッチメントが取り付けられたケーブルトラフの分解斜視図である。
図3図3は、同上のアタッチメントが取り付けられたケーブルトラフの断面図である。
図4図4は、変形例1に係るアタッチメントが取り付けられたケーブルトラフの断面図である。
図5図5は、変形例1のさらなる変形例に係るアタッチメントが取り付けられたケーブルトラフの断面図である。
図6図6は、変形例2に係るアタッチメントが取り付けられたケーブルトラフの断面図である。
図7図7は、変形例3に係るアタッチメントが取り付けられたケーブルトラフの側面図である。
図8図8は、更なる変形例に係るアタッチメントが取り付けられたケーブルトラフの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
(1)全体
【0013】
本実施形態に係るケーブルトラフ1のアタッチメント4は、図1に示すように、ケーブルトラフ1に取り付けられることで、内部のスペースを拡大し、ケーブルトラフ1の容量を増大することができる。
【0014】
ケーブルトラフ1は、内部にケーブルを収容し、ケーブルを保護する。ケーブルトラフ1に収容されるケーブルとしては、例えば、通信、信号、送電等に用いられるケーブルが挙げられるが、特に制限はない。ケーブルトラフ1を構成する材料としては、例えば、プレキャスト鉄筋コンクリート、陶磁器、セラミック、FRP、合成樹脂等が挙げられるが、特に制限はない。ケーブルトラフ1は、図2に示すように、トラフ本体2と、蓋3と、を備える。
【0015】
以下、説明の便宜上、図1に示すように、ケーブルトラフ1の長手方向を「長さ方向」とし、長さ方向に直交しかつ水平面に沿う方向を「幅方向」とし、長さ方向及び幅方向に直交する方向を「上下方向」として定義する。ただし、これらの方向の定義は、ケーブルトラフ1の使用態様を特定するものではない。
【0016】
トラフ本体2は、図2に示すように、ケーブル等の収納物の収納部を有する部分であり、ケーブルトラフ1の主体を構成する。トラフ本体2は、底壁21と、一対の側壁22と、を備える。トラフ本体2は、長さ方向に延びており、一様な断面形状に形成されている。底壁21は、幅方向及び長さ方向に延びる最下部の板である。一対の側壁22は、底壁21の幅方向の両端部から上方向に突出している。底壁21と一対の側壁22とは、一体に形成されており、断面略U字状に形成されている。一対の側壁22の上端面同士の間には、開口面が形成されている。トラフ本体2の内部には、開口面を通して、ケーブルが収納される。
【0017】
蓋3は、トラフ本体2の開口面を開閉可能に閉じる。蓋3は、板状に形成されている。蓋3の幅方向の寸法(以下「幅寸法」という)は、トラフ本体2の幅方向の一方の外側面から他方の外側面に至る寸法に形成されている。蓋3の幅方向の両端部には、各側壁22が入る窪み部31が形成されている。窪み部31の奥面は、側壁22の上端面に載る。窪み部31の内側面は、側壁22の内側面に対向する。
(2)アタッチメント
【0018】
アタッチメント4は、ケーブルトラフ1の容量を増大するための付属物である。アタッチメント4は、ケーブルトラフ1に取り付けられた状態で、ケーブルトラフ1と共に設置されてもよいし、既設のケーブルトラフ1に対して、後付け的に取り付けられてもよい。アタッチメント4は、図2に示すように、複数の側壁板体5と、複数のブラケット6と、を備える。
(2.1)側壁板体
【0019】
側壁板体5は、ケーブルトラフ1の側壁22を上方向に延長する部材である。側壁板体5は、図3に示すように、側壁22よりも上方に配置されるように構成されており、側壁板体5の上端面には蓋3が載る。ここでいう「側壁22よりも上方に配置される」とは、側壁板体5の少なくとも一部が側壁22よりも上方に位置していればよく、例えば、側壁板体5が側壁22に対して幅方向の外側にずれて、側壁板体5の下端部が、側壁22の上端よりも下方に位置していてもよい。本実施形態に係る側壁板体5は、図3に示すように、側壁22と蓋3との間に配置されており、側壁板体5全体が側壁22の上方に配置されている。
【0020】
側壁板体5は、図2に示すように、上下方向に平行な幅、ケーブルトラフ1の幅方向に平行な厚さ、及びケーブルトラフ1の長さ方向に平行な長さを有する板状に形成されている。側壁板体5の長さ寸法は、トラフ本体2の長さ寸法と同じ寸法に形成されてもよいし、トラフ本体2の長さ寸法とは異なる寸法に形成されてもよい。各側壁板体5の厚さは、図3に示すように、トラフ本体2の側壁22の厚さと略同じ寸法に形成されているが、側壁板体5の厚さ寸法は、側壁22の厚さ寸法よりも厚くてもよいし、薄くてもよい。
【0021】
側壁板体5の断面形状は、例えば、中空形状、中実形状、略矩形状、略H形状、略コ字状等に形成されてもよいが、本実施形態では、断面略C字状に形成されている。側壁板体5は、上リップ51、上板52、側板53、下板54及び下リップ55を備える。側壁板体5は、例えば、レーザによって金属板をカットしたうえで、曲げ加工を施すことによって形成されている。金属板としては、特に制限はなく、例えば、鋼板、スチール、アルミニウム合金、ステンレス合金、チタン等が挙げられる。ただし、側壁板体5としては、金属板に限らず、例えば、合成樹脂、カーボン、木、FRP(Fiber Reinforced Plastics)、セラミック等で構成されてもよい。
【0022】
側板53は、側壁板体5の外面を構成する。側板53は、上下方向に延びている。上板52は、側板53の上端からトラフ本体2の幅方向の内側に向かって突出している。上板52の上面には、蓋3の窪み部31の奥面が対向し、蓋3が載る。上リップ51は、上板52の内側の端から下方向に突出している。下板54は、側板53の下端からトラフ本体2の幅方向の内側に向かって突出している。下板54の下面は、側壁22の上端面に対向する。下リップ55は、下板54の内側の端から上方向に突出している。
【0023】
このように、本実施形態に係る側壁板体5は、上リップ51及び下リップ55を有することで、リブ効果によって高い剛性が得られる。そのうえ、上リップ51及び下リップ55との間が空いているため、ケーブル等の収納物を側板53近傍にまで収容することができ、ケーブルトラフ1の容量をより大きくすることができる。
(2.2)ブラケット
【0024】
ブラケット6は、側壁板体5を、ケーブルトラフ1の側壁22に対して固定する。複数のブラケット6は、図1に示すように、トラフ本体2の長さ方向に間隔をおいて取り付けられ、一の側壁板体5に対して、少なくとも二つのブラケット6が用いられる。
【0025】
ブラケット6の材質は、特に制限はなく、例えば、金属、合成樹脂、カーボン、FRP、セラミック、木等が挙げられるが、本実施形態では、金属が用いられる。金属としては、特に制限はなく、例えば、鋼板、スチール、アルミニウム合金、ステンレス合金、チタン等が挙げられる。ブラケット6は、図3に示すように、側壁板体5を保持する保持部7と、側壁22に取り付けられる取付け部8と、連結部9と、を備える。
【0026】
連結部9は、保持部7と取付け部8とを連結する部分であり、ここではトラフ本体2の幅方向及び長さ方向に延びた水平な平板状に形成されている。連結部9は、トラフ本体2の側壁22の上端面に載る。また、連結部9は、側壁板体5の下板54に対向し、側壁板体5が載る。連結部9の厚さ寸法は、保持部7の厚さ寸法(後述の内側支持体71及び外側支持体72の各々の厚さ寸法)よりも薄く形成されていることが好ましく、例えば、3mm以下であり、より好ましくは2.3mm以下である。これによって、トラフ本体2の側壁22の上端面に側壁板体5を載せた際に、側壁22と側壁板体5との間の隙間を極力小さくすることができる。連結部9に載った状態の側壁板体5は、保持部7によって保持される。
【0027】
保持部7は、側壁板体5を厚さ方向に挟むことで、側壁板体5を保持する。保持部7は、内側支持体71と、外側支持体72と、を備える。
【0028】
内側支持体71は、側壁板体5の内面(ここでは下リップ55及び上リップ51の一面)に対向する。内側支持体71は、平板状に形成されており、連結部9の幅方向の内側の端から上方向に沿って突出している。内側支持体71の上端は、側壁板体5の上リップ51に対向しており、上リップ51を内側から支持している。
【0029】
外側支持体72は、側壁板体5の外面(ここでは、側板53の一面)に対向する。外側支持体72は、平板状に形成されており、連結部9の幅方向の外側の端から上方向に沿って突出している。外側支持体72の上端は、内側支持体71の上端よりも上方に位置している。これにより、外側支持体72の上端部は、ケーブルトラフ1の蓋3の側端面に対向する。本発明では、外側支持体72の上端は、蓋3の上端面から非突出であることが好ましく、より好ましくは、蓋3の上下方向(厚さ方向)の略中央に位置する。外側支持体72の上端が、蓋3の上下方向の略中央に位置すると、外側支持体72の上端が蓋3のアール面にかからず、蓋3の上角のアール面と外側支持体72との間に他の物が入り込むのを防ぐことができる。ただし、本発明では、外側支持体72は、蓋3の上端面よりも上方に突出してもよい。
【0030】
このように、アタッチメント4が取り付けられたケーブルトラフ1は、複数の外側支持体72によって、蓋3の幅方向の両側への移動を制限することができるため、蓋3がトラフ本体2に対して、幅方向にずれるのを防ぐことができる。
【0031】
側壁板体5は、外側支持体72と内側支持体71との間で挟まれる。これによって、側壁板体5は上下方向に沿って自立し、ケーブルトラフ1の幅方向の内側と外側とに側壁板体5が倒れるのを防ぐことができる。ここでいう「外側支持体72と内側支持体71との間で挟まれる」とは、側壁板体5が倒れることを制限した状態で配置されていればよく、外側支持体72と内側支持体71との間に、側壁板体5が圧入されることまでは必要ない。例えば、外側支持体72と内側支持体71との間の寸法が、側壁板体5の厚さ寸法に対して、略同じであってもよいが、若干大きく形成されてもよい。
【0032】
取付け部8は、トラフ本体2の側壁22を厚さ方向に挟むことで、側壁22に対して固定される。取付け部8は、連結部9よりも下方に形成されており、すなわち、保持部7よりも下方に形成されている。取付け部8は、内側取付け体81と、外側取付け体82と、を備える。
【0033】
内側取付け体81は、トラフ本体2の側壁22の内側面に対向する。内側取付け体81は、平板状に形成されており、連結部9の幅方向の内側の端から下方向に沿って突出している。内側取付け体81の内面は、内側支持体71の内面と面一であり、特に本実施形態では、一体に連続している。したがって、内側取付け体81と内側支持体71との間に、ケーブル等の収納物が引っ掛かるのを防ぐことができる。
【0034】
外側取付け体82は、トラフ本体2の側壁22の外側面に対向する面を持つ。ここでは、外側取付け体82は、トラフ本体2の長さ方向に延びた板体により構成されている。外側取付け体82は、連結部9の幅方向の外側の端から下方向に沿って突出している。外側取付け体82と内側取付け体81との間には、トラフ本体2の側壁22が挟まれ、これによって、ブラケット6は自立する。
【0035】
側壁22は、外側取付け体82と内側取付け体81とで挟まれており、外側取付け体82と内側取付け体81との間に圧入されている。圧入する方法としては、外側取付け体82と内側取付け体81との間の寸法を、側壁22の厚さ寸法と略同じにして嵌め合わせてよいが、ここでは、外側取付け体82の一部に形成された押さえ面821によって、圧入を実現している。なお「圧入」とは、外側取付け体82と内側取付け体81との間の最も狭い部分の対向間の寸法が、側壁22の厚さ寸法と略同じ構造において、外側取付け体82と内側取付け体81との間に側壁22を嵌め込むことを意味する。したがって、ブラケット6が側壁22に対して多少ガタつきがあっても、「圧入」の範疇である。
【0036】
外側取付け体82における内側取付け体81に対向する面(これを「外側取付け体82の内面」という場合がある)は、押さえ面821と、導入面822と、を有する。押さえ面821は、少なくとも一部で側壁22を押す面である。押さえ面821は、下方向に進むに従って内側取付け体81に近付くように、内側取付け体81に対して傾斜している。押さえ面821は、弾性変形可能に形成されており、自然状態(つまり、外力が加わっていない状態)では、押さえ面821の下端と内側取付け体81との間の寸法は、側壁22の厚さ寸法よりも小さく形成されている。
【0037】
導入面822は、押さえ面821の下端に接続されている。導入面822は、下方向に進むに従って内側取付け体81から離れるように、内側取付け体81に対して傾斜している。これによって、外側取付け体82と内側取付け体81との間に、側壁22を差し入れやすくすることができる。また、押さえ面821及び導入面822が、内側取付け体81に形成されるとケーブル等の収納物に干渉しやすいが、外側取付け体82に形成されているため、収納物に干渉するのを防ぐことができる。
【0038】
図1に示すように、トラフ本体2の一対の側壁22に対して、複数のブラケット6を取り付け、図3に示すように、ブラケット6の内側支持体71と外側支持体72との間に側壁板体5を差し込む。すると、側壁22が上方向に延長するため、対向する側壁板体5の間にもケーブル等の収納物を配置することができ、容積が増大する。このとき、外側支持体72の上端部は、図3に示すように、内側支持体71の上端よりも上方に位置しており、すなわち側壁板体5の上端面よりも上方に位置している。このため、側壁板体5の上端面に蓋3を載せても、蓋3が幅方向にずれるのを防ぐことができる。また、外側支持体72が側壁板体5の上端面から突出しているため、作業者は、蓋3を設置する適切な位置が分かり易く、作業性がよい。
<変形例>
【0039】
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を説明する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
(1)変形例1
【0040】
上記実施形態に係るブラケット6は、取付け部8のすぐ上に保持部7が位置したが、変形例1に係るブラケット6は、図4に示すように、保持部7は、取付け部8のすぐ上の位置から幅方向の外側にずれている。なお、実施形態と共通する構成については、符号を付して、重複する説明は省略する。
【0041】
連結部9は、トラフ本体2の側壁22に対して、幅方向の外側に突き出ている。外側支持体72は、連結部9の幅方向の外側の端から上方向に突出しているが、トラフ本体2の側壁22よりも幅方向の外側に位置している。内側支持体71は、内側取付け体81に対して幅方向の外側に位置しており、トラフ本体2の側壁22の上方に位置している。
【0042】
外側取付け体82は、連結部9の幅方向の中央部分から下方向に沿って突出している。外側取付け体82は、連結部9に固定された取付け片83につながっており、取付け片83を介して連結部9に接続されている。取付け片83と連結部9との接続は、例えば、溶接、ねじ止め、ピン留め、カシメ等によって実現される。
【0043】
このように、アタッチメント4が取り付けられたケーブルトラフ1では、連結部9がトラフ本体2の幅方向の外側に突き出て、内側支持体71が、内側取付け体81に対して幅方向の外側に位置している。このため、収納部が、トラフ本体2の上方だけでなく幅方向にも拡大する。したがって、変形例1に係るアタッチメント4によれば、実施形態に係るアタッチメント4よりも、容積を増大させることが可能である。
【0044】
本変形例では、内側支持体71は、トラフ本体2の側壁22の上方に位置したが、図5に示すように、内側支持体71は、側壁22の上方に対し、幅方向の外側に位置してもよい。また、トラフ本体2の一方の側壁22に対して、実施形態に係るブラケット6を取り付け、他方の側壁22に対して、変形例1に係るブラケット6を取り付けてもよい。これによれば、ケーブルトラフ1の設置場所の環境に応じて、アタッチメント4を取り付けることができる。
(2)変形例2
【0045】
上記実施形態に係るブラケット6では、外側取付け体82は、トラフ本体2の長さ方向に沿った板体によって構成されたが、本変形例では、図6に示すように、内側取付け体81の側壁22との対向面に対して垂直な複数の板により構成されている。外側取付け体82は、当該複数の板の端面と、内側取付け体81との間に、トラフ本体2の側壁22を挟む。
【0046】
板の内側の端面は、下方向に進むに従って、内側取付け体81に近付くように鉛直面(又は内側取付け体81)に対して傾斜している。複数の板は、トラフ本体2の長さ方向に間隔をおいて配置されている。複数の板の上端は、連結部9に接続されている。
【0047】
これによれば、例えば、図6に示すように、連結部9がトラフ本体2の幅方向の外側に突き出る場合にも、効果的に側壁板体5を支持することができると共に、蓋3を適切に支持することができる。
(3)変形例3
【0048】
上記実施形態に係るアタッチメント4は、側壁板体5が長さ方向に同一高さに形成されたが、図7に示すように、長さ方向に沿って高さが異なってもよい。図7に示すように、長さ方向の一端は、実施形態1の側壁板体5の高さと同じ高さである。一方、長さ方向の他端は、一端の高さよりも低く、蓋3の端が側壁22に近接するような高さに設定される。
【0049】
変形例3に係るアタッチメント4が取り付けられたケーブルトラフ1によれば、例えば、実施形態に係るアタッチメント4が取り付けられたケーブルトラフ1と、アタッチメント4が取り付けられない従来のケーブルトラフ1と、をスムーズにつなぐことができる。
(4)その他の変形例
【0050】
以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0051】
図8に示すように、外側支持体72には、開口窓721が形成されてもよい。開口窓721は外側支持体72を貫通する。開口窓721は、側壁板体5と蓋3との間に対応して形成される。開口窓721が形成されることで、開口窓721を通して、蓋3と側壁板体5との位置関係を確認することができる。これは、例えば、側壁板体5と蓋3とに罫書きを形成し、罫書き同士を合わせる必要がある場合に効果的である。
【0052】
上記実施形態に係るブラケット6及び側壁板体5は、曲げ加工に限らず、例えば、鍛造、鋳造、押出、射出成形、注型成形等により形成されてもよい。
【0053】
上記実施形態及び変形例では、連結部9は平板状に形成されたが、本発明では連結部9の形状は特に制限はない。例えば、トラフ本体2の上端に対して、幅方向の外側でかつ下方の位置にある側壁板体5の下端を支持するような段状に形成されてもよい。
【0054】
本明細書にて、「略平行」、又は「略直交」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数度程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0055】
また、本明細書において「前端部」及び「前端」などのように、「…部」の有無で区別した表現が用いられている。例えば、「前端部」とは、「前端」を含む一定の範囲を持つ部分を意味する。他の「…部」を伴った表現についても同様である。
(3)まとめ
【0056】
以上説明したように、第1の態様に係るケーブルトラフ1のアタッチメント4は、底壁21及び一対の側壁22を有するトラフ本体2と、トラフ本体2に載る蓋3と、を有するケーブルトラフ1に取り付けられてケーブルトラフ1の容積を増大するためのアタッチメント4である。アタッチメント4は、一対の側壁22よりも上方に配置され、その上端面に蓋3が載るように構成された側壁板体5と、側壁板体5を側壁22に対して固定するブラケット6と、を備える。ブラケット6は、側壁板体5の内面に対向する内側支持体71と、側壁板体5の外面に対向し、内側支持体71との間で側壁板体5を支持する外側支持体72と、を有する。外側支持体72の上端部は、側壁板体5の上端面よりも上方に突出し、かつ蓋3の側端面に対向するように構成されている。
【0057】
この態様によれば、対向する側壁板体5の間にもケーブル等の収納物を配置することができ、ケーブルトラフ1の容量を増大させることができる。このとき、外側支持体72の上端部は、側壁板体5の上端面よりも上方に位置しているため、側壁板体5の上端面に蓋3を載せても、蓋3が幅方向にずれるのを防ぐことができる。また、作業者は、側壁板体5の上端から突出する外側支持体72の間に蓋3を配置すればよく、作業性がよい。したがって、この態様によれば、トラフ本体2に対し、蓋3を適切な位置に設置し易く、また蓋3がずれにくい。
【0058】
第2の態様に係るケーブルトラフ1のアタッチメント4では、第1の態様において、ブラケット6は、内側支持体71及び外側支持体72よりも下方に形成され、側壁22に対して固定される取付け部8を有する。取付け部8は、側壁22の内側面に対向する内側取付け体81と、側壁22の外側面に対向し、内側取付け体81との間で側壁22を挟む外側取付け体82と、を含む。
【0059】
この態様によれば、ブラケット6の内側取付け体81と外側取付け体82との間に、トラフ本体2の側壁22を差し込むだけで、ブラケット6を容易に取り付けることができるうえに、既設のトラフ本体2に対してブラケット6を容易に取り付けることができ、作業性の高いアタッチメント4とすることができる。
【0060】
第3の態様に係るケーブルトラフ1のアタッチメント4では、第2の態様において、外側取付け体82の内側取付け体81に対向する面は、下方向に進むに従って内側取付け体81に近付くように内側取付け体81に対して傾斜した押さえ面821を含む。
【0061】
この態様によれば、トラフ本体2に対して、ブラケット6を容易にかつ強固に取り付けることができる。
【0062】
第4の態様に係るケーブルトラフ1のアタッチメント4では、第2又は第3の態様において、ブラケット6は、内側支持体71、外側支持体72、内側取付け体81及び外側取付け体82を連結する連結部9を有する。連結部9は、ケーブルトラフ1の長さ方向に直交しかつ水平面に沿う方向において、内側支持体71を、内側取付け体81よりも外側に位置させる。
【0063】
この態様によれば、トラフ本体2の収容部を、高さ方向だけでなく幅方向にも拡大することができ、容量をより増大させることができる。
【0064】
第5の態様に係るケーブルトラフ1のアタッチメント4では、第2~4のいずれか1つの態様において、外側取付け体82は、内側取付け体81の側壁22との対向面に対して垂直な複数の板により構成されている。
【0065】
この態様によれば、トラフ本体2に対して、ブラケット6を容易にかつ強固に取り付けることができるうえに、内側支持体71及び外側支持体72に加わる側壁板体5及び蓋3からの荷重を効果的に支えることができる。
【0066】
第6の態様に係るブラケット6は、一対の側壁22を有するケーブルトラフ1の容積を増大するためのアタッチメント4に用いられ、側壁22よりも上方に配置される側壁板体5を、側壁22に対して取り付けるブラケット6である。ブラケット6は、側壁板体5の内面に対向する内側支持体71と、側壁板体5の外面に対向し、内側支持体71との間で側壁板体5を支持する外側支持体72と、を備える。外側支持体72の上端は、内側支持体71の上端よりも上方に位置している。
【0067】
この態様によれば、内側支持体71と外側支持体72との間に側壁板体5を配置すれば、対向する側壁板体5の間にもケーブル等の収納物を配置することができ、ケーブルトラフ1の容積が増大する。このとき、外側支持体72の上端部は、側壁板体5の上端面よりも上方に位置しているため、側壁板体5の上端面に蓋3を載せても、蓋3が幅方向にずれるのを防ぐことができる。したがって、この態様によれば、トラフ本体2に対し、蓋3を適切な位置に設置し易くでき、また蓋3がずれにくい。
【0068】
第7の態様に係るアタッチメント4が取り付けられたケーブルトラフ1は、底壁21及び一対の側壁22を有するトラフ本体2と、トラフ本体2に載る蓋3と、を有するケーブルトラフ1と、ケーブルトラフ1に取り付けられ、ケーブルトラフ1の容積を増大するためのアタッチメント4と、を備える。アタッチメント4は、一対の側壁22よりも上方に配置され、その上端面に蓋3が載るように構成された側壁板体5と、側壁板体5を側壁22に対して固定するブラケット6と、を有する。ブラケット6は、側壁板体5の内面に対向する内側支持体71と、側壁板体5の外面に対向し、内側支持体71との間で側壁板体5を支持する外側支持体72と、を含む。外側支持体72の上端部は、側壁板体5の上端面よりも上方に突出し、かつ蓋3の側端面に対向している。
【0069】
この態様によれば、対向する側壁板体5の間にもケーブル等の収納物を配置することができ、ケーブルトラフ1の容積が増大する。このとき、外側支持体72の上端部は、側壁板体5の上端面よりも上方に位置しているため、側壁板体5の上端面に蓋3を載せても、蓋3が幅方向にずれるのを防ぐことができる。したがって、この態様によれば、トラフ本体2に対し、蓋3を適切な位置に設置し易く、また蓋3がずれにくい。
【符号の説明】
【0070】
1 ケーブルトラフ
2 トラフ本体
21 底壁
22 側壁
3 蓋
4 アタッチメント
5 側壁板体
6 ブラケット
71 内側支持体
72 外側支持体
8 取付け部
81 内側取付け体
82 外側取付け体
821 押さえ面
9 連結部
【要約】
【課題】ケーブルトラフのトラフ本体に対し、蓋を適切な位置に設置し易く、蓋がずれにくいケーブルトラフのアタッチメント、アタッチメントに用いられるブラケット、アタッチメントが取り付けられたケーブルトラフを提供する。
【解決手段】アタッチメント4は、トラフ本体2と、トラフ本体2に載る蓋3と、を有するケーブルトラフ1に取り付けられる。アタッチメント4は、一対の側壁22よりも上方に配置され、その上端面に蓋3が載るように構成された側壁板体5と、側壁板体5を側壁22に対して固定するブラケット6と、を備える。ブラケット6は、側壁板体5の内面に対向する内側支持体71と、側壁板体5の外面に対向し、内側支持体71との間で側壁板体5を支持する外側支持体72と、を有する。外側支持体72の上端部は、側壁板体5の上端面よりも上方に突出し、かつ蓋3の側端面に対向するように構成されている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8