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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】雰囲気浄化方法及び雰囲気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20220107BHJP
   F24F 9/00 20060101ALI20220107BHJP
   F24F 13/28 20060101ALI20220107BHJP
   F24F 13/26 20060101ALI20220107BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20220107BHJP
【FI】
F24F7/06 L
F24F9/00 A
F24F9/00 L
F24F13/28
F24F13/26
B01D46/00 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020189892
(22)【出願日】2020-11-13
【審査請求日】2020-11-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512120801
【氏名又は名称】株式会社日本マシンサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100097548
【弁理士】
【氏名又は名称】保立 浩一
(72)【発明者】
【氏名】片桐 茂夫
(72)【発明者】
【氏名】片桐 拓弥
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-137588(JP,A)
【文献】特開2012-067941(JP,A)
【文献】特許第6808159(JP,B1)
【文献】特開平02-309146(JP,A)
【文献】特開平07-233982(JP,A)
【文献】特開2011-247480(JP,A)
【文献】特開平02-115642(JP,A)
【文献】特開2008-275266(JP,A)
【文献】特表2012-533720(JP,A)
【文献】国際公開第2020/003867(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 9/00
F24F 13/28
F24F 13/26
B01D 46/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルスを含み得るエアロゾルが屋内において吐き出される際の当該屋内の雰囲気を浄化する雰囲気浄化方法であって、
下から上への一定方向の面状の空気の流れであるエアカーテンをエアカーテン機構により屋内において鉛直な面内に形成する方法であるとともに、当該屋内において鉛直に設けられた透明な遮断壁に沿ってエアカーテンを形成する方法であり、
遮断壁は、エアカーテンの面状の流れにおける当該面に沿った方向のうちの水平方向での中央を含む領域を遮断する壁であり、
エアカーテン機構は、上流側に送風ファンを備えているか又は下流側に吸気ファンを備えており、
送風ファン又は吸気ファンにより形成されるエアカーテンの速さを0より大きく5メートル毎秒以下とする方法であり、
エアカーテン機構は、エアカーテンの下流側に排気ダクトを備えており、吐き出されたエアロゾルをエアカーテンに乗せて排気ダクトを通して屋外に排出することを特徴とする雰囲気浄化方法。
【請求項2】
ウイルスを含み得るエアロゾルが屋内において吐き出される際の当該屋内の雰囲気を浄化する雰囲気浄化方法であって、
下から上への一定方向の面状の空気の流れであるエアカーテンをエアカーテン機構により屋内において鉛直な面内に形成する方法であるとともに、当該屋内において鉛直に設けられた透明な遮断壁に沿ってエアカーテンを形成する方法であり、
遮断壁は、エアカーテンの面状の流れにおける当該面に沿った方向のうちの水平方向での中央を含む領域を遮断する壁であり、
エアカーテン機構は、エアカーテンの上流側に送風ファンを備えているか下流側に吸気ファンを備えており、
送風ファン又は吸気ファンにより形成されるエアカーテンの速さを0より大きく5メートル毎秒以下とする方法であり、
エアカーテン機構はエアカーテンの下流側に抗ウイルスHEPAフィルタを備えており、吐き出されたエアロゾルをエアカーテンに乗せて抗ウイルスHEPAフィルタを通して屋内に放出することを特徴とする雰囲気浄化方法。
【請求項3】
前記送風ファン又は前記吸気ファンによる前記エアカーテンの速さは、0.1メートル毎秒以上であることを特徴とする請求項1記載の雰囲気浄化方法。
【請求項4】
前記送風ファン又は前記吸気ファンによる前記エアカーテンの速さは、0.1メートル毎秒以上であることを特徴とする請求項2記載の雰囲気浄化方法。
【請求項5】
前記エアカーテンの厚さは、0より大きく20cm以下であることを特徴とする請求項1又は3記載の雰囲気浄化方法。
【請求項6】
前記エアカーテンの厚さは、0より大きく20cm以下であることを特徴とする請求項2又は4記載の雰囲気浄化方法。
【請求項7】
前記エアカーテンは、前記遮断壁を挟んで両側に形成されることを特徴とする請求項1、3又は5記載の雰囲気浄化方法。
【請求項8】
前記エアカーテンは、前記遮断壁を挟んで両側に形成されることを特徴とする請求項2、4又は6記載の雰囲気浄化方法。
【請求項9】
請求項1、3、5又は7記載の雰囲気浄化方法を実施する際に使用される雰囲気浄化装置であって、前記エアカーテン機構と前記遮断壁とを備えており、
前記エアカーテン機構は、上流側に送風ファンを備えているか又は下流側に吸気ファンを備えており、
前記エアカーテン機構は、形成されるエアカーテンの下流側に排気ダクトを備えており、排気ダクトは屋外に接続されていることを特徴とする雰囲気浄化装置。
【請求項10】
請求項2、4、6又は8記載の雰囲気浄化方法を実施する際に使用される雰囲気浄化装置であって、前記エアカーテン機構と前記遮断壁とを備えており、
前記エアカーテン機構は、上流側に送風ファンを備えているか又は下流側に吸気ファンを備えており、
前記エアカーテン機構は、形成されるエアカーテンの下流側に抗ウイルスHEPAフィルタを備えており、抗ウイルスHEPAフィルタの下流側は屋内雰囲気であることを特徴とする雰囲気浄化装置。
【請求項11】
前記エアカーテン機構は、前記送風ファン及び前記吸気ファンの双方は備えていないことを特徴とする請求項9記載の雰囲気浄化装置。
【請求項12】
前記エアカーテン機構は、前記送風ファン及び前記吸気ファンの双方は備えていないことを特徴とする請求項10記載の雰囲気浄化装置。
【請求項13】
前記遮断壁は、前記エアカーテン機構が形成するエアカーテンから離間する位置に設けられていることを特徴とする請求項7乃至12いずれかに記載の雰囲気浄化装置。
【請求項14】
前記エアカーテン機構が形成する一つのエアカーテンの下流側から延びて当該エアカーテンの上流側に流れを戻す屋内循環ダクトが設けられており、当該屋内循環ダクトは途中で分岐して分岐ダクトが設けられており、分岐ダクトには抗ウイルスHEPAフィルタが設けられていて抗ウイルスHEPAフィルタの下流側は屋内雰囲気であることを特徴とする請求項10又は12記載の雰囲気浄化装置
【請求項15】
前記送風ファンの下流側又は前記吸気ファンの上流側には、気流が前記一定方向に向くようにする整流器が設けられており、整流器は、前記送風ファンの下流側の空間又は前記吸気ファンの上流側の空間を前記一定の方向に複数の風路に区画する構造を有していることを特徴とする請求項9乃至14いずれかに記載の雰囲気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、ウイルス感染を防止するための雰囲気の浄化技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この出願が為される時点において、新型コロナウイルスの大流行が大きな社会問題となっている。特に影響を受けているのは、エアロゾル(エアゾルと表記されることもあるが、本願ではエアロゾルで統一する。)の問題が大きくなり易いフィットネスクラブ、劇場、ライブハウス、カラオケ店等の施設である。このような場所では、演じたり、歌を歌ったりする際に人がエアロゾルを発する。WHO(世界保健機関)は、最近、新型コロナウイルスにエアロゾル感染があり得ることを認めている。即ち、エアロゾル中にウイルスが含まれていると、感染のリスクが非常に高くなる。したがって、エアロゾルを介した感染を十分に防止しなければ、これらの業種、業態では、経営が厳しい状況は改善されないと見込まれる。
新型コロナウイルスを完全に撲滅するのは難しいのではないかとされており、ウイズコロナ、新しい生活様式といった考え方も広がってきている。したがって、上記以外であっても、感染防止対策を日常的に行うことが必須となってくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-79697号公報
【文献】特開2009-293862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の出願人は、上記のような昨今の状況を考慮し、換気構造や抗ウイルスHEPAフィルタを介した空気循環の構造について特許出願をしている(特願2020-067090、特願2020-075824)。これらの出願では、人が発するエアロゾルを換気扇で吸引して放出したり、HEPAフィルタを通して浄化したりしている。しかしながら、発明者らが行った実験では、単に換気扇で吸引しただけでは、エアロゾルを十分に浄化できない問題があることが判ってきた。
【0005】
発明者らは、スモーク(煙)をエアロゾルに見立てて換気扇による吸引試験を行った。そうしたところ、換気扇は空間的に広がるエアロゾルのうちの一部のみしか吸引せず、残りの多くのエアロゾルは四方八方に拡散してしまうことが判った。この原因は、市販されている換気扇は、文字通り換気が目的であるため、屋内の空間から広く空気を集めるよう設計されていることによる。換気扇は、背後(排気側)では空気の流れが直線的であるが、前方(吸引側)では広い角度から収束する流れである。即ち、吸引に指向性がない。このために一部のエアロゾルしか吸引できない状況となってしまう。
【0006】
本願の発明は、このような課題を解決するために為されたものであり、ウイルスが含まれ得る飛沫やエアロゾルを排出又は無害化できる優れた浄化方法及び浄化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この明細書において、雰囲気浄化方法の発明が開示される。 開示された発明に係る雰囲気浄化方法は、ウイルスを含み得るエアロゾルが屋内において吐き出される際の当該屋内の雰囲気を浄化する方法であって、下から上への一定方向の面状の空気の流れであるエアカーテンをエアカーテン機構により屋内において鉛直な面内に形成する方法であるとともに、当該屋内において鉛直に設けられた透明な遮断壁に沿ってエアカーテンを形成する方法である。
この方法において、遮断壁は、エアカーテンの面状の流れにおける当該面に沿った方向のうちの水平方向での中央を含む領域を遮断する壁であり、エアカーテン機構は、上流側に送風ファンを備えているか又は下流側に吸気ファンを備えており、送風ファン又は吸気ファンにより形成されるエアカーテンの速さは0より大きく5メートル毎秒以下とされる。エアカーテン機構は、エアカーテンの下流側に排気ダクトを備えており、吐き出されたエアロゾルはエアカーテンに乗せられて排気ダクトを通して屋外に排出される。
また、開示された別の発明に係る雰囲気浄化方法は、ウイルスを含み得るエアロゾルが屋内において吐き出される際の当該屋内の雰囲気を浄化する雰囲気浄化方法であって、下から上への一定方向の面状の空気の流れであるエアカーテンをエアカーテン機構により屋内において鉛直な面内に形成する方法であるとともに、当該屋内において鉛直に設けられた透明な遮断壁を挟んで両側にエアカーテンを形成する方法である。
この方法において、遮断壁は、エアカーテンの面状の流れにおける当該面に沿った方向のうちの水平方向での中央を含む領域を遮断する壁であり、エアカーテン機構は、上流側に送風ファンを備えているか又は下流側に吸気ファンを備えており、送風ファン又は吸気ファンにより形成されるエアカーテンの速さは0より大きく5メートル毎秒以下とされる。エアカーテン機構はエアカーテンの下流側に抗ウイルスHEPAフィルタを備えており、吐き出されたエアロゾルはエアカーテンに乗せられて抗ウイルスHEPAフィルタを通して屋内に放出される。
上記各雰囲気浄化方法において、送風ファン又は吸気ファンによるエアカーテンの速さは、0.1メートル毎秒以上であり得る。
上記各雰囲気浄化方法において、エアカーテンの厚さは、0より大きく20cm以下であり得る。
また、上記j各雰囲気浄化方法において、エアカーテンは、遮断壁を挟んで両側に形成され得る。
また、上記課題を解決するため、この明細書において、雰囲気浄化装置の発明が開示される。開示された発明に係る雰囲気浄化装置は、上記雰囲気浄化方法を実施する際に使用される雰囲気浄化装置である。この装置は、エアカーテン機構を備えており、エアカーテン機構は、上流側に送風ファンを備えているか又は下流側に吸気ファンを備えており、エアカーテン機構は、形成されるエアカーテンの下流側に排気ダクトを備えており、排気ダクトは屋外に接続されている。
また、上記課題を解決するため、開示された別の発明に係る雰囲気浄化装置は、上記別の発明に係る雰囲気浄化方法を実施する際に使用される雰囲気浄化装置である。この装置は、エアカーテン機構と透明な遮断壁とを備えており、エアカーテン機構は、上流側に送風ファンを備えているか又は下流側に吸気ファンを備えており、エアカーテン機構は、形成されるエアカーテンの下流側に抗ウイルスHEPAフィルタを備えており、抗ウイルスHEPAフィルタの下流側は屋内雰囲気である。
また、上記各雰囲気浄化装置は、エアカーテン機構が、送風ファン及び吸気ファンの双方は備えていないという構成を持ち得る。
また、上記各雰囲気浄化装置において、遮断壁は、エアカーテン機構が形成するエアカーテンから離間する位置に設けられ得る。
また、上記別の発明に係る雰囲気浄化装置は、エアカーテン機構が形成する一つのエアカーテンの下流側から延びて当該エアカーテンの上流側に流れを戻す屋内循環ダクトが設けられており、当該屋内循環ダクトは途中で分岐して分岐ダクトが設けられており、分岐ダクトには抗ウイルスHEPAフィルタが設けられていて抗ウイルスHEPAフィルタの下流側は屋内雰囲気であるという構成を持ち得る。
また、上記各雰囲気浄化装置は、送風ファンの下流側又は吸気ファンの上流側には、気流が一定方向に向くようにする整流器が設けられており、整流器は、送風ファンの下流側の空間又は吸気ファンの上流側の空間を一定の方向に長い複数の風路に区画する構造を有しているという構成を持ち得る。
【発明の効果】
【0008】
以下に説明する通り、開示された発明に係る雰囲気浄化方法又は雰囲気浄化装置によれば、人が発するエアロゾルは、エアカーテンに乗って屋外に放出されるか抗ウイルスHEPAフィルタを通して屋内に再放出される。このため、エアロゾルにウイルスが含まれていたとしても、屋内にいる他の人が感染してしまうことがなくなる。この際、エアカーテンの流速が0.1メール毎秒以下であるので、放出されたエアロゾルがエアカーテンで跳ね返されてしまうことなく十分に屋外に放出されるか又は無害化される。また、遮断壁が設けられているので、エアロゾルがエアカーテンを突き抜けた場合でも遮断壁で遮蔽される。このため、浄化作用がより高く得られる。
また、抗ウイルスHEPAフィルタを使用する場合でも、その容積が小さくて済むので、装置のコストダウンが図られる。
また、送風ファン又は吸気ファンによるエアカーテンの速さが0.1メートル毎秒以上である構成によれば、エアロゾルがエアカーテンを突き抜けてしまうことが抑制されるので、この点で浄化作用が高くなる。そして、エアカーテンの厚さを厚くする必要がないので、装置が大がかりになることもない。
また、エアカーテンの下流側に屋外につながる排気ダクトを備えている構成では、抗ウイルスHEPAフィルタを設ける必要がないので、低コストの装置が実現できる。
また、エアカーテンの下流側に抗ウイルスHEPAフィルタを備えており、抗ウイルスHEPAフィルタの下流側は屋内である構成では、屋内循環型であるので冷暖房の費用を抑えることができ、ランニングコストが安くなる。
また、エアカーテン機構が、送風ファン及び吸気ファンの双方は備えていないという構成では、装置構造がシンプルになり、またコストも安価となる。
また、遮断壁がエアカーテンから離間する位置に設けられていると、空気溜まりが形成されるので、この点でより浄化作用が高くなる。
また、複数あるエアカーテンのうちの一つのエアカーテンの下流側に屋内循環ダクトを設けて他のエアカーテンの下流側には抗ウイルスHEPAフィルタを設けたり、又は一つのエアカーテンの下流側に屋内循環ダクトを設けてそこから分岐させた分岐ダクトに抗ウイルスHEPAフィルタを設けたりした構成では、抗ウイルスHEPAフィルタの容積をさらに小さくすることができるので、この点で低コスト化が図られる。
また、送風ファンの下流側又は吸気ファンの上流側に整流器が設けられている構成では、エアカーテンの流れがより安定化するので、上記各効果がより安定して得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一の実施形態の雰囲気浄化装置の側面概略図である。
図2】第一の実施形態の雰囲気浄化装置の正面概略図である。
図3】第一の実施形態の雰囲気浄化装置の斜視概略図である。
図4】エアカーテンの速度とエアロゾルの捕集との関係について示した側面概略図である。
図5】エアカーテンの速度が高い場合のエアロゾルの跳ね返りについて確認した実験について示した図である。
図6】第二の実施形態の雰囲気浄化装置の側面概略図である。
図7】第三の実施形態の雰囲気浄化装置の側面概略図である。
図8】第四の実施形態の雰囲気浄化装置の側面概略図である。
図9】第五の実施形態の雰囲気浄化装置の側面概略図である。
図10】エアカーテンの速度をより遅くした場合の実験結果について示した図である。
図11】第六の実施形態の雰囲気浄化装置の側面概略図である。
図12】第七乃至九の各実施形態の雰囲気浄化装置の側面概略図である。
図13】第十及び第十一の各実施形態の雰囲気浄化装置の側面概略図である。
図14】第十二の実施形態の雰囲気浄化装置の側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、開示された各発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
図1図3は、第一の実施形態に係る雰囲気浄化装置の概略図であり、図1は側面概略図、図2は正面概略図、図3は斜視概略図である。図1図3に示す雰囲気浄化装置は、鉛直面内の一定方向の空気の流れであるエアカーテンによって雰囲気を遮断しつつ浄化する装置である。
以下に説明するする実施形態の雰囲気浄化装置は、雰囲気浄化方法を実施する際に使用されるものである。したがって、以下の説明は、雰囲気浄化方法の発明の実施形態の説明でもある。
【0011】
実施形態の雰囲気浄化方法及び雰囲気浄化装置の大きな特徴点の一つは、エアカーテンをエアロゾルや浮遊飛沫(以下、総称してエアロゾルという。)の捕集用に利用する点である。実施形態の雰囲気浄化方法及び雰囲気浄化装置は、エアロゾルをエアカーテンに乗せて導き、屋外に排出するか又は抗ウイルスHEPAフィルタで無害化する。従来、エアカーテンは、分煙や防虫のように、雰囲気を遮断する目的で使用されることが多く、ウイルスを含み得るエアロゾルのような有害な浮遊物を捕集する目的で使用された例はない。
【0012】
このようにエアロゾルの排出又は無害化用にエアカーテンを使用する場合に重要なことは、エアカーテンの流れの終端において流れを受け止めてそのまま屋内に散乱されないようにすること、即ち屋外に排出されるか又は抗ウイルスHEPAフィルタを経てから屋内に再放出されるようにすることが必要である。つまり、エアカーテンの流れの受け部が必要である。
従来知られているエアカーテンは、上方から空気の流れを送出するのみであり、下方においてエアカーテンの流れを受ける受け部のようなものを配置する構成は知られていない。各実施形態の雰囲気浄化装置は、エアカーテン機構がエアカーテン形成のために流れを送り出す送出部と流れを受ける受け部とを備えていて、そのような一対の部材でエアカーテンを形成している。この点がまず大きな特徴点となっている。
【0013】
エアカーテンにおける送出部と受け部の例としては、それぞれファンを使用する例が考えられる。即ち、送風ファンと吸気ファンとでエアカーテンを形成する構成である。このような構成は、本願の出願人により、特願2020-157952号として出願されており、また本願発明の一実施形態でもある。
一方、図1図3に示す第一の実施形態では、後述するエアカーテンの低速化と装置構造の簡略化のため、ファンは一方の側のみに設けられている。ファンが配置される側は、送出側、受け側のどちらでも良いか、以下の各実施形態では、受け側となっており、吸気ファン2が使用されている。送出側には、特にファンは使用されていない。
【0014】
より具体的に説明すると、図1図3に示すように、第一の実施形態では、鉛直な面にエアカーテンを形成するエアカーテン機構1が設けられている。この実施形態では、エアカーテンFは鉛直な下から上への面状の流れである。このため、上側に吸気ファン2が配置されている。下側には、送風口形成部3が設けられている。送風口形成部3が形成する送風口30は、吸気ファン2の直下の位置である。
尚、エアカーテン機構1が形成するエアカーテンFは、鉛直面内での一定方向の空気の流れが当該一定方向に垂直な方向であって鉛直面に沿った方向に分布している空気の流れである。説明の都合上、当該一定方向に垂直な方向であって鉛直面に沿った方向を、以下、分布方向という。この実施形態では、空気の流れは鉛直方向であるので、分布方向は水平方向である。
【0015】
図2及び図3に示すように、吸気ファン2は、分布方向に複数設けられ一列に並べられている。吸気ファン2は、この実施形態では軸流ファンである。吸気ファン2の数は、エアカーテンFを形成する流域の幅(分布方向の幅)に応じて決められ、例えば2~6個程度である。吸気ファン2の背後(下流側)には、排気ダクト21が接続されている。排気ダクト21は、排気口を通して屋外につながっている。
送風口形成部3は、この実施形態では吸気ダクト31の終端部となっている。送風口形成部3が形成する送風口30は、分布方向に長いスリット状である。スリットの幅(分布方向に垂直な方向の幅)は、この方向の吸気ファン2の幅よりも狭い。尚、吸気ダクト31は、屋外に露出した吸気口につながっている。
尚、図2及び図3に示すように、排気ダクトは、吸気ファン2に接続された端部がハの字状に広がった断面形状である。吸気ダクト31も、送風口形成部3につながる部分が逆ハの字状に広がった断面形状となっている。
【0016】
このような実施形態の雰囲気浄化装置の大きな特徴点は、エアカーテン機構1が、5メートル毎秒以下の遅い速度のエアカーテンFを形成する点である。この点は、発明者が行った研究の結果に基づいている。以下、この点について説明する。
前述したように、新型コロナウイルスのようなある種のウイルスは、エアロゾル感染があり得ある。このため、雰囲気に浮遊するウイルスを確実に捕集し、屋外に排出したり又は無害化したりすることが重要である。浮遊するウイルスは、マイクロ飛沫と呼ばれる粒子の小さい飛沫に含まれている場合もある。
【0017】
このようなエアロゾルを効果的に捕集するには、上記のように鉛直な面に沿ってエアカーテンを形成するのが効果的である。エアカーテンによると、面状の流れであるので、飛沫やエアロゾルが分散してしまうことがなく、流れに乗って屋外に排出されたり又はフィルタによって無害化されたりし易くなる。
しかしながら、発明者の研究によると、単にエアカーテンを形成しただけでは十分ではなく、その速度を遅くすることが重要であることが判ってきた。この点を示したのが図4である。図4は、エアカーテンの速度とエアロゾルの捕集との関係について示した側面概略図である。図4の例では、吸気ファン2と送風ファン4とでエアカーテンFを形成している。
【0018】
エアロゾルは、人がしゃべったり大きく息を吐いたりする際に出てくるから、通常、水平方向に進む。したがって、図4に示すように、エアロゾルEは、大まかにはエアカーテンFに垂直に衝突する状態となる。この場合、通常のエアカーテンと同程度の速度にすると、速度が速すぎるので、図4に示すようにエアロゾルEはエアカーテンFに衝突して跳ね返り、手前側(人の側)に戻ってしまう。
【0019】
図5は、上記の点を確認した実験について示した図である。図5(1)には、実験装置の概略図、図5(2)は実験の結果を示したグラムである。
この実験では、図5(1)に示すように、一対のファン2,4でエアカーテン機構1を構成した。この例では、下側が送風ファン4であり、上側が吸気ファン2である。吸気ファン2の上側(下流側)にHEPA(High-Efficiency Particulate Air)フィルタ53を配置し、浄化装置とした。そして、エアカーテン機構1が作るエアカーテンFの一方の側にスモーク噴射機51を設置し、実験装置が設置された屋内に煙センサー52を設置した。スモーク噴射機51から噴射される煙の速度は、最大で0.8メートル毎秒程度、平均で0.4メートル毎秒程度である。これは、人が口からエアロゾルを吐く際の速度と同程度である。また、煙センサー52は、スモーク噴射機51の噴射口から1メートル以上離れた屋内の数カ所に分散させて設けられている。
【0020】
このような実験装置を用い、スモーク噴射機51から噴射される煙がHEPAフィルタ53で捕集される状況を調査した。この際、送風ファン4及び吸気ファン2の供給電圧を変えてエアカーテン機構1によるエアカーテンFの流速を変え、流速によって煙の捕集状況がどのように変わるかを調べた。尚、スモーク噴射機51からの煙は、エアロゾルの代わりとして用いていることは言うまでもない。
【0021】
図5(2)の横軸は流速、縦軸は煙センサー52の検出値(濃度)の最大値である。流速は、エアカーテンFの流路の一部に風速計を設置して計測した。また、各煙センサー52はピークホールド(最大値を保持)するよう設定してあり、全煙センサー52のうちで最大値が最も大きかったものの値をプロットしている。
図5(2)に示すように、エアカーテンの流速が5メートル毎秒程度までは、屋内の煙の最大能度は20~40ppm程度で推移している。しかしながら、流速が5メートル毎秒を越えると、急速に最大濃度が上昇し、60ppm以上となっている。この結果は、流速が遅い場合には、漂う煙がエアカーテンFに乗ってHEPAフィルタに達して捕集されるが、流速が5メートル毎秒以上のように速くなると、エアカーテンFに乗り切れずに跳ね返されてしまうことを示している。つまり、エアカーテンFが煙をHEPAフィルタ7に導くようにするには、流速を遅くしておく必要がある、ということである。
【0022】
従来、エアカーテンは雰囲気を遮断する目的でしか使用されていないので、このような事情は何ら知られていない。即ち、分煙や冷暖房の補助といった従来の用途のエアカーテンは、雰囲気を遮断し、一方の側の雰囲気が他方の側に拡散することを防止することしか考慮していないので、跳ね返りという現象は何ら問題とはならない。一方、この発明では、エアカーテンを雰囲気の遮断に用いつつも、エアロゾルを導いていく誘導手段として使用するので、跳ね返りが問題となる。
【0023】
実施形態の雰囲気浄化装置は、上記のような実験で得られた知見に基づき、5メートル毎秒以下の低い流速でエアカーテンを形成するエアカーテン機構1が採用されている。
前述したように、第一の実施形態の雰囲気遮断装置におけるエアカーテン機構1は、吸気ファン2は排気ダクト21を介して屋外につながっており、吸気ファン2の下方には、屋外につながる吸気ダクト31の終端である送風口形成部3が位置している。このような第一の実施形態の構成では、吸気ファン2により屋外の雰囲気を吸引して屋外に排出しているので、基本的には、屋外の気圧より屋内は少し低い気圧となる。従って、屋外に通じている送風口形成部3は、屋内の他の箇所より少し高い圧力となる。吸気ファン2とは別に、屋内に屋外から空気を取り込むファンがあり、これが大きな風量のファンであると上記前提が成立しない場合もあるが、そのような大きな風量のファンは無く、屋内は屋外よりも少し低い圧力であるとする。
【0024】
吸気ファン2が動作すると、周囲の雰囲気を吸い込んで排出するが、この際、下方に、少し高い圧力となる送風口形成部3が設けられているので、送風口形成部3の送風口30から上方の吸気ファン2に向けてスムーズな気流、即ちエアカーテンFが形成される。図1及び図2から解るように、送風口形成部3は分布方向に長く、吸気ファン2も分布方向に複数並べて設けられている。従って、エアカーテンFは、分布方向に広がった状態で下から上に流れる。
このような構成によると、5メートル毎秒以下の遅い流れのエアカーテンFを安定して形成することが可能で、人が発するエアロゾルEを十分に排出することができる。
【0025】
図1には、このような実施形態の使用例も併せて示されている。即ち、実施形態の雰囲気浄化装置は、フィットネスクラブに設置された例である。フィットネスクラブでは、運動をする利用者の口からはエアロゾルEが盛んに放出される。ランニングマシーンのような有酸素系のトレーニングマシンを利用する者の場合、これは顕著である。
実施形態では、これを考慮してトレーニングマシンの正面にエアカーテンが形成されるよう雰囲気浄化装置を設置している。正面とは、トレーニングマシンを利用中の者にとっての前側である。
【0026】
利用者の口からはエアロゾルEが盛んに放出されるが、エアロゾルEはエアカーテンFに乗って吸気ファン2で吸気され、排気ダクト21から屋外に放出される。このため、利用者が万が一ウイルス感染症を罹患していても、他の利用者にうつしてしまうことが抑制される。尚、フィットネスクラブのある建物が通りに面している場合、排気ダクトは、通りに面していない壁面の排気口に接続されることが好ましい。
【0027】
次に、第二の実施形態の雰囲気浄化装置について説明する。図6は、第二の実施形態の雰囲気浄化装置の側面概略図である。
図6に示す第二の実施形態の装置も、鉛直な面内にエアカーテンを形成するエアカーテ機構を備えている。第二の実施形態の装置は、第一の実施形態と異なり、屋内循環型となっている。
この実施形態では、雰囲気浄化装置が設置される部屋(以下、設置室)に隣接して加圧室6が設けられている。加圧室6は気密な部屋であり、設置室に対して少し高い気圧となる部屋である。そして、吸気ダクト31に接続された排気ダクト21は加圧室6につながっており、送風口形成部3は吸気ダクト31で加圧室6につながっている。
【0028】
また、排気ダクト21内には、抗ウイルスHEPAフィルタ7が配置されている。抗ウイルスHEPAフィルタ7の位置は、吸気ファン2の下流側であればどの位置でも良く、また吸気フィルタの前側(上流側)に取り付けられていても良い。尚、吸気ファン2に接近していると抗ウイルスHEPAフィルタ7の性能が十分に発揮できないので、少し離して配置し、バッファ空間を設けると良い。
【0029】
この実施形態においても、吸気ファン2の動作によりエアカーテンFが形成される。この際、吸気ファン2の送風圧力により加圧室6の内部が設置室に比べて気圧が少し上がる。このため、送風口30の所も少し圧力が高くなり、5メートル毎秒以下のゆっくりとしたエアカーテンFが形成される。このため、第一の実施形態と同様、エアロゾルEは、エアカーテンFに跳ね返らずに吸気ファン2によって十分に吸引される。
【0030】
この実施形態では、エアロゾルEは、抗ウイルスHEPAフィルタ7の作用により無害化される。そして、屋内循環型であるので、冷暖房に要するランニングコストを低減させることができる。図5に示す第一の実施形態の場合、室外から空気を取り込んでエアカーテンFを形成し、エアカーテンFの流れは排気ダクト21で排出されるので、冬季や夏季に暖房、冷房を行う場合、エネルギー効率が悪く、光熱費が高くなる欠点がある。第二の実施形態ではこのような問題はない。
【0031】
次に、第三の実施形態の雰囲気浄化装置について説明する。図7は、第三の実施形態の雰囲気浄化装置の側面概略図である。
図7に示す第三の実施形態の装置も、第二の実施形態と同様、屋内循環型となっている。第三の実施形態では、吸気ファン2の下流側には屋内循環ダクト61が接続されており、送風口形成部3は屋内循環ダクト61の終端部となっている。
同様に、吸気ファン2の下流側には、抗ウイルスHEPAフィルタ7が配置されている。この実施形態においても、吸気ファン2の動作によりエアカーテンFが形成される。この際、吸気ファン2の送風圧力により屋内循環ダクト61の内部が屋内の他所の箇所に比べて気圧が少し上がる。このため、送風口30の所も少し圧力が高くなり、5メートル毎秒以下のゆっくりとしたエアカーテンFが形成される。このため、第一の実施形態と同様、エアロゾルEは、エアカーテンFに跳ね返らずに吸引ファンによって十分に吸引される。そして、屋内循環型であるので、冬季や夏季におけるランニングコストの上昇が抑えられる。
【0032】
次に、第四の実施形態の雰囲気浄化装置について説明する。図8は、第四の実施形態の雰囲気浄化装置の概略図である。
第四の実施形態の雰囲気浄化装置も、第二第三の実施形態と同じく、抗ウイルスHEPAフィルタ7を備えた屋内循環型となっている。図8に示すように、第四の実施形態では、屋内循環ダクト61が分離型となっている。即ち、屋内循環ダクト61は、吸気ファン2に接続された上流部611と、送風口形成部3につながる下流部612とに分離している。
【0033】
上流部611は、側面視では90度の角度で二度屈曲し、放出端が下方に向いている。放出端は、図8に示すように狭められており、狭い流路となっている。このため、吸気ファン2が吸い込んだ空気は、放出端から高い風速で噴射される。
下流部612も、側面視では90度の角度で二度屈曲し、流入端が上方に向いている。流入端は、上流部611の放出端の直下の位置である。図8に示すように、流入端は放出端よりも断面積が大きいな即ち広い流路となっている。
【0034】
第四の実施形態においても、吸気ファン2が動作することによりエアカーテンFが形成される。この際、屋内循環ダクト61の上流部611では気流が圧縮されて放出端から下方に噴射され、この流れは流入端から下流部612に流入する。そして、下流部612で再度圧縮されて送風口30から再度噴射されてエアカーテンFを再度形成する。
第四の実施形態においても、エアカーテンFの流速を5メートル毎秒以下の遅い速度で安定して形成することが可能で、エアロゾルEを抗ウイルスHEPAフィルタ7に十分に指向させることができ、迅速に雰囲気を浄化することができる。そして、第四の実施形態では、屋内循環ダクト61が上下に分離しているので、開放感があって視認性に優れている。
【0035】
次に、第五の実施形態の雰囲気浄化装置について説明する。図9は、第五の実施形態の雰囲気浄化装置の概略図である。
第五の実施形態の雰囲気浄化装置も、第二乃至第四の実施形態と同じく、抗ウイルスHEPAフィルタ7を備えた屋内循環型となっている。
【0036】
第二乃至第四の実施形態では、吸気ファン2に対向した送風口30において少し圧力が高くなるようにして吸気ファン2との協働によりエアカーテンFを形成したが、第五の実施形態では、暖められた空気の上昇気流を利用する構成となっている。即ち、図9に示すように、第五の実施形態では、吸気ファン2の直下の位置に、上昇流形成部32を設置している。上昇流形成部32は、上下に長い狭い空間を形成して対向した一対のヒーター板321で構成されている。ヒーター板321の両端は端板で閉じられており、分布方向に細長い長方形の断面形状の角筒状を成している。ヒーター板321としては、例えばセラミックヒーターが使用できる。ヒーター板321で暖められた対向空間の空気は上昇し、吸気ファン2による吸引と相まってエアカーテンFが形成される。この場合も、吸気ファン2の動作量を制御することで5メートル毎秒以下の遅いエアカーテンFを安定的に形成することができる。尚、上昇流形成部32のヒーター板321は、屋内を暖める作用もあるから、第五の実施形態の装置は冬季において好適に使用される。
尚、吸気ファン2や抗ウイルスHEPAフィルタ7はユニット化され、不図示の吊り下げ具で天井から吊される。また、上昇流形成部32は、不図示の脚部を備えており、床から少し高い位置に配置されている。
【0037】
上記のように、エアカーテンの速度を5メートル毎秒以下とすることで、エアロゾルの跳ね返りがなく、迅速に屋外に放出したり又は抗ウイルスHEPAフィルタにより無害化したりすることができる。他方、エアカーテンFの速度があまりにも遅すぎると、高速で吐き出された飛沫の突き抜けの問題が生じる。以下、この点について説明する。
【0038】
図10は、エアカーテンの速度をより遅くした場合の実験結果について示した図である。実験に用いられた装置は、図5(1)に示すものと同様である。上下のファン2,4の動作量を少しずつ弱くしながら煙の最大濃度の測定を行った。図5(2)と同様、図10の横軸はエアカーテンの風速、縦軸は最大濃度である。スモーク噴射機51からの煙の噴射速度は、図5に示す場合と同様で、最大1メートル毎秒程度である。
【0039】
図10に示すように、エアカーテンの速度が0.1メートル毎秒程度までは、最大濃度は10~30ppm程度であり、噴射された煙はHEPAファイル53によって十分に捕集されていることが判る。しかしながら、0.1メートル毎秒よりさらに速度が低下すると、最大濃度は急激に上昇し、0.05メートル毎秒より低くなると、100ppmを越えてくる。これは、煙の流れがエアカーテンを突き抜けて反対側に拡散してしまったことによる。煙の流れを可視化して撮影した実験でも、煙の流れがエアカーテンを突き抜ける様子が視認されている。
【0040】
上記の結果は、人が吐く飛沫やエアロゾルの概ね0.8メートル毎秒程度の最大速度の場合、エアカーテンの流速が0.1メートル毎秒未満であると、突き抜けが生じて排出又は捕集効果が顕著に低下してしまうことを示している。とはいえ、0.1メートル毎秒未満の極めて遅い速度であっても、エアカーテンの厚さを厚くすれば、突き抜けを防止できることが判っている。エアカーテンの厚さとは、エアカーテンが延びる鉛直な面に対して垂直な水平方向の幅(奥行き)である。上記の各実験では、エアカーテンの厚さは15~20cm程度である。これを例えば倍増して30~40cm程度の厚さでエアカーテンを形成するようにすれば、0.1メートル毎秒未満でも突き抜けを防止することは可能である。しかしながら、かなり場所を取る大がかりな装置になってしまい、装置のコストも高くなる。つまり、0.1メートル毎秒以上の速度にしておくと、装置のコンパクト化、低コスト化が実現できるということになる。
【0041】
尚、上述したエアカーテン速度の低速化は、屋内循環型で抗ウイルスHEPAフィルタを使用する場合に特に効果的である。抗ウイルスHEPAフィルタのようなHEPAフィルタは非常に高性能のフィルタであり、一般的に高価である。この場合、フィルタの使用量(容積)は、通過させる流体の流速に応じたものとなる。流速が高ければ、必要な濾過能力を確保するために流路長を長く取る必要があり、従って大きなフィルタ容積が必要になる。抗ウイルスHEPAフィルタの価格は、容積(サイズ)に応じたものとなるから、エアカーテンの速度が低くなると、容積も小さくて済み、コストも大きく低減できる。装置全体に示す抗ウイルスHEPAフィルタのコストは特に大きく、この部分のコスト低減の意義は非常に大きい。
【0042】
次に、第六の実施形態について説明する。図11は、第六の実施形態の雰囲気浄化装置の側面概略図である。
第六の実施形態では、エアカーテン機構1は、一対のファン、即ち吸気ファン2と送風ファン4とを備えた機構となっている。図11に示す例でも、上側が吸気ファン2であり、下側が送風ファン4である。したがって、エアカーテンFは、下から上への鉛直な流れである。
吸気ファン2は、例えば20cm角サイズの軸流ファンであり、分布方向(紙面垂直方向)に3~6個並べて配置されている。
送風ファン4は、吸気ファン2より小さいサイズのもので、例えば15cm角程度の軸流ファンであり、分布方向に4~8個程度並べて配置されている。
【0043】
この実施形態においても、一対のファン2,4は、エアカーテンFの速度が5メートル毎秒以下となるように制御される。
そして、図11に示すように、第六の実施形態では、一対のファン2,4との間を橋渡すようにして遮断壁8が設けられている。遮断壁8は、エアカーテンFの背後即ちエアロゾルEを吐く人がいる側とは反対側に位置している。遮断壁8の分布方向の幅は、エアカーテンFの幅と同程度かそれよりも少し広い。遮断壁8は、板状の硬いものでも良いし、シート状の柔らかいものでも良い。例えば、透明なビニールシートを遮断壁8として使用し得る。
【0044】
図11には、二つの異なるタイプが示されており、図11(1)は遮断壁8とエアカーテンFが接触しているタイプ、図11(2)は遮断壁8とエアカーテンFが離間しているタイプである。いずれのタイプにおいても、遮断壁8が設けられているので、エアカーテンFの速度を遅くしてもエアロゾルEの突き抜けはなく、好適である。この場合、「速度を遅くする」とは、0.1メートル毎秒未満の速度の場合もあり得る。即ち、エアカーテンFの速度を0.1メートル毎秒未満にした場合、エアカーテンFの厚さを厚くしても良いが、第六の実施形態のように遮断壁8を設けておくと、エアカーテンFの厚さを厚くする必要はなく、装置の大型化が避けられる。
【0045】
また、エアカーテンFの速度が0.1メートル毎秒以上の場合であっても、遮断壁8は有効である。咳やくしゃみをした場合、エアロゾルEが勢いよく飛び出す場合があり、0.1メートル毎秒以上の速度のエアカーテンであっても突き抜けてしまう場合があり得る。このような特に高速のエアロゾルEを排出したり又は無害化したりしようとすると、エアカーテンもそれに応じて高速にすることが考えられるが、そのようにすると、中速の通常のエアロゾルの排出や無害化ができなくなる。遮断壁8があれば、5メートル毎秒以下の低い速度であってもこのような問題はない。
尚、図11(2)に示すタイプの場合、エアカーテンFを突き抜けたエアロゾルEは、エアカーテンFと遮断壁8との間の空間(空気溜まり)80に閉じ込められたような状態となり、その状態でエアロゾルE等は少しずつエアカーテンFに乗って吸気ファン2に達する。
また、図11(1)(2)は、抗ウイルスHEPAフィルタ7を使用した屋内循環型であるが、遮断壁8は、屋外放出型についても適用が可能である。
【0046】
次に、第七乃至九の各実施形態の雰囲気浄化装置について説明する。図12は、第七乃至九の各実施形態の雰囲気浄化装置の側面概略図である。これらの実施形態の雰囲気浄化装置は、エアカーテンの両側に吐息を吐く人がいることを想定した実施形態となっている。
図11に示す第六の実施形態では、エアカーテンの一方の側のみにエアロゾルEを吐く人がいることが前提となっている。しかしながら、人と人とが対面して話をしている場合等、エアカーテンの両側に人がいて、相互にエアロゾルを遮断して捕集しなければならない場合がある。第七乃至第九の実施形態の装置は、この点を考慮したものとなっている。
【0047】
エアカーテンの両側に人がいて相互にエアロゾルを遮断して排出又は無害化する場合も、基本的には同様であり、5メートル毎秒以下の遅いエアカーテンを形成してエアロゾルをエアカーテンに乗せて排出又は無害化する。この場合、咳やくしゃみ等により勢いよく飛び出たエアロゾルがある場合、エアカーテンを突き抜けてしまい易い。
【0048】
この点を考慮し、第七乃至第九の実施形態では、エアカーテンを多層構造にしている。より具体的に説明すると、図12(1)に示す第七の実施形態では、奥行き方向でみた場合、一つの吸気ファン2に対して二つの小さな送風ファン4を設け、エアカーテンFが二層に形成されるようにしている。二つのエアカーテンFは、鉛直な面に沿った下から上への流れである。そして、二つのエアカーテンFは接触せずに離間して形成されるようにしている。
下側の送風ファン4は、分布方向(紙面垂直方向)では複数設けられているので、二列に並べられて複数の送風ファン4が設けられている。列の内部では、送風ファン4が詰めて設けられているが、列同士では、図12(1)に示すように、少し離間して配置されている。このため、二つのエアカーテンFが離間して形成される。
【0049】
このように二層のエアカーテンFが間を空けて形成されるようにすると、間の空間が空気溜まりとなり、遅く且つ薄いエアカーテンFであってもエアロゾルEを十分に排出又は無害化できる。即ち、一方の側にいる人が咳やくしゃみをしてエアロゾルEが勢いよく飛び出たとする。このエアロゾルEは、その人から見て手前側のエアカーテンFを突き抜けるが、間の空間を進む過程で少し減速し、遅くなった状態で奥側のエアカーテンFに達する。つまり、手前側のエアカーテンFを突き抜ける際にかなり減速し、間の空間でさらに減速するので、奥側のエアカーテンFに達する際には勢いは十分に弱まった状態となる。このため、奥側のエアカーテンFに乗って排出又は無害化される。
【0050】
図12(1)では、抗ウイルスHEPAフィルタ7を備えた屋内循環型となっているが、排気ダクト21及び吸気ダクト31を備えた屋外排出型であっても同様の構造を採用し得る。尚、抗ウイルスHEPAフィルタ7を備えた屋内循環型の場合、抗ウイルスHEPAフィルタ7を、二つのエアカーテンFの位置に対応して分離して配置すると好適である。これは、抗ウイルスHEPAフィルタ7の容積を小さくして低コスト化を図るためである。
【0051】
図12(2)の第八の実施形態では、さらに間の空間に遮断壁8を設けている。遮断壁8は、透明な例えばビニール製のシートである。この遮断壁8は、人の口から勢いよく直線的に飛び出すエアロゾルを遮蔽する目的なので、吸気ファン2と送風ファン4との間の空間を完全に仕切る必要はなく、対面する人の顔の高さの領域を仕切れば良い。このため、遮断壁8は、吸気ファン2を固定したホルダーから吊り下げた状態で宙づり型となっている。遮断壁8は、50~70cm程度の高さで、上端が対面する人の頭より少し高い位置、下端が胸の高さの位置ぐらいになるように吊り下げられる。
第八の実施形態によれば、二層構造のエアカーテンFの間に遮断壁8があるので、勢いよく飛び出すエアロゾルEを排出又は無害化する効果がさらに高くなる。この実施形態についても、図12(2)では屋内循環型であるが、屋外排出側であっても良い。
【0052】
また、図12(3)に示す第九の実施形態では、エアカーテン機構1が三層構造のエアカーテンFを形成する機構となっている。即ち、図12(3)にように、奥行き方向において、1個の吸気ファン2に対して3個の送風ファン4が設けられている。分布方向では複数であるので、送風ファン4は3列に設けられていることになる。列同士では少し離して配置されており、従って、三層のエアカーテンFの間には空間(空気溜まり)が形成されるようになっている。
【0053】
第九の実施形態では、構造的には大がかりになるが、勢いよい飛び出すエアロゾルEをより確実に無害化できるようになる。第九の実施形態では、エアカーテンFが三層であるので、抗ウイルスHEPAフィルタも三つに分離して配置すると、容積が小さくなってコストダウンが図れるので好適である。また、同様に、屋外排出型であっても適用が可能である。
尚、第九の実施形態において、中央のエアカーテンFを両外側のエアカーテンFよりも高速にするとより効果的である。外側のエアカーテンFは、エアロゾルのE跳ね返りがないように低速にする必要があるが、中央のエアカーテンFは、いずれかの外側のエアカーテンFを突き抜けてきた高速のエアロゾルEの捕集用であるから、それに応じて速度を高くする。このようにすると、低速のエアロゾルEは外側で捕集され、高速のエアロゾルEは中央で捕集されることになり、より効果が高められる。
【0054】
抗ウイルスHEPAフィルタ7を使用した屋内循環型の装置において、エアカーテンの流れの部分から屋内に分流してしまう流れが無いことを考慮すると、抗ウイルスHEPAフィルタの容積をより小さくしてさらにコストダウンが図れる構成が想到される。図13は、このような考えに基づく第十及び第十一の各実施形態の雰囲気浄化装置の側面概略図である。図13(1)は第十の実施形態、図13(2)は第十一の実施形態を示している。
【0055】
図13(1)に示す第十の実施形態は、図12(3)の第九の実施形態を変形した実施形態となっている。即ち、第十の実施形態では、吸気ファン2が送風ファン4と同じサイズのものであり、三列設けられて三層のエアカーテンFを形成するようになっている。そして、中央のエアカーテンFを形成する吸気ファン2の列に対しては、屋内循環ダクト61が取り付けられている。一列で4~8個程度の吸気ファン2が設けられているので、屋内循環ダクト61は、端部がハの字状に広がった断面形状であり、下流側で狭まって断面円形又は方形のダクトとなっている。
【0056】
屋内循環ダクト61は、図13(1)に示すように、下側の送風ファン4の列のうち中央の列に対して接続されている。下側においても、屋内循環ダクト61は逆ハの字状に広がり、4~8個程度から成る送風ファン4の列に接続されている。
三層のエアカーテンのうち、外側のエアカーテンについては、第十の実施形態と同様、吸気ファン2の下流側に抗ウイルスHEPAフィルタ7が設けられており、抗ウイルスHEPAフィルタ7の下流側は、屋内放出となっている。
【0057】
このような第十の実施形態の雰囲気浄化装置において、両外側の二つのエアカーテンFについては、上記各実施形態の同様に機能する。即ち、放出されたエアロゾルEを抗ウイルスHEPAフィルタ7に導いて無害化する。中央のエアカーテンFについては、第九の実施形態と同様、勢いよく飛び出していずれかの外側のエアカーテンFを突き抜けたエアロゾルEを排出するものの、このエアロゾルEは、屋内循環ダクト61を通って再び中央のエアカーテンFに乗った状態となる。即ち、屋内循環ダクト61で循環する。つまり、中央のエアカーテンFは、外側のエアカーテンFで挟まれており、そこから屋内に分流する流れというは実質的に存在しないので、中央のエアカーテンFで捕集されたエアロゾルEは、そのまま循環させても問題はない。このため、この部分での抗ウイルスHEPAフィルタ7の使用を無くし、コストダウンを図っている。
【0058】
さらに、図13(2)に示す第十一の実施形態では、単層のエアカーテンFについて屋内循環ダクト61を設けている。図13(2)に示すように、吸気ファン2の背後(下流側)に屋内循環ダクト61が接続されて延びている。屋内循環ダクト61の終端は送風ファン4に接続されている。そして、屋内循環ダクト61の途中には分岐ダクト62が設けられて分岐しており、分岐ダクト62の終端に抗ウイルスHEPAフィルタ7が取り付けられている。
第十一の実施形態も、送風ファン4及び吸気ファン2で形成したエアカーテンFは、安定した流れであり、そこから分流してしまう流れは実質的にはないという考えに基づいている。つまり、人の口から放出されたエアロゾルEがいったんエアカーテンFに乗ると、屋内循環ダクト61で循環するのみであり、分流して屋内に再放出されることはないという考えに基づいている。
【0059】
とはいえ、装置の稼働が継続すると、循環する気流におけるエアロゾル(捕集されたエアロゾル)の濃度が高くなり、ウイルスの濃度も高くなると考えられるので、一部を分岐させて抗ウイルスHEPAフィルタ7で無害化する。どの程度の割合で分岐させるかは、エアロゾルEに含まれるウイルスの量によるが、初期又は中程度までのウイルス感染者を前提とすると、分岐させて抗ウイルスHEPAフィルタ7を通す割合は全体の50%未満で良く、例えば10~30%程度で良い。
このような第十一の実施形態においても、抗ウイルスHEPAフィルタ7の容積を小さくすることができるので、コストダウンが図られる。
【0060】
次に、第十二の実施形態の雰囲気浄化装置について説明する。図14は、第十二の実施形態の雰囲気浄化装置の側面概略図である。
第十二の実施形態においても、対向する送風ファン4及び吸気ファン2によりエアカーテンが形成され、エアロゾルEが抗ウイルスHEPAフィルタ7により無害化される。第十二の実施形態では、エアカーテンFの流れをより安定化させるため、整流器9が配置されている。図14の例では、整流器9は、送風ファン4の前側(下流側)に配置されている。
【0061】
整流器9は、送風ファン4からの気流が鉛直面に沿って同一の方向に向くようにする部材である。整流器9は、送風ファン4の前方の空間を複数の風路に区画する構造を有している。この実施形態では、断面直角格子状で鉛直方向に長い風路に区画する構造のものが整流器9として使用されている。この他、風路の断面形状は円形であっても良く、多角形状(蜂の巣状)であっても良い。
第十二の実施形態の雰囲気浄化装置によれば、エアカーテンFの方向性が安定化するので、上記各効果がより高められる。図14の例では、送風ファン4の前側に整流器9が設けられていたが、吸気ファン2の前側(上流側)に配置されていてもよく、双方に配置されていてもよい。
【0062】
上述した説明では、雰囲気浄化装置の設置例としてフィットネスクラブを挙げたが、各実施形態の雰囲気浄化装置は、種々の場所に設置されて雰囲気浄化の機能を発揮し得る。例えば、飲食店の客席に設置され、客同士の間を仕切るようにエアカーテンを形成して雰囲気を浄化する使用例が考えられる。また、カラオケ店やライブハウスにおいて、ステージと客席とを仕切るようにエアカーテンを形成して雰囲気を浄化する使用例も考えられる。
【0063】
さらに、オフィスにおいても、打ち合わせテーブル上に雰囲気遮断装置を設置して相対して会話をしている者同士をエアカーテンで遮断して雰囲気を浄化したり、受付カウンターに設置して訪問客と受付係との間にエアカーテンを設置して雰囲気を浄化したりといった使用例も考えられる。また、病院において、感染エリアと非感染エリアとを区画する位置にエアカーテンを形成し、雰囲気を浄化する使用例も好適である。
【0064】
また、各実施形態において、エアカーテンは下から上への流れであったが、これは本願発明において必須ではなく、上から下への流れであっても良い。また、鉛直な面に沿って形成される限り、横方向(水平方向)や斜めの方向の流れであっても良い。
尚、吸気ファン2や送風ファン4として軸流ファンを用いたが、クロスフローファンのようなリニアフローファンを用いてもよい。
また、送風ファン4に代えて、コンプレッサを使用することも可能である。分布方向に長いスリットを有するチューブにコンプレッサを接続し、5メートル毎秒以下の弱い速度でエアカーテンが形成されるようにする。スリットは、吸気ファン2に対向した状態とする。コンプレッサのみによって風速が十分に得られる場合、吸気位置にはスリット状の流入口が形成されるのみでファンが配置されない場合もある。
【符号の説明】
【0065】
1 エアカーテン機構
2 吸気ファン
3 送風口形成部
30 送風口
4 送風ファン
61 屋内循環ダクト
7 抗ウイルスHEPAフィルタ
8 遮断壁
9 整流器
【要約】
【課題】 ウイルスが含まれ得る飛沫やエアロゾルを十分に排出又は無害化できる優れた浄化方法及び浄化装置を提供する。
【解決手段】 吸気ファン2を備えたエアカーテン機構1は鉛直な面に沿ってエアカーテンEを形成し、吐き出されたウイルスを含み得るエアロゾルEはエアカーテンFに導かれて屋外に排出されるか抗ウイルスHEPAフィルタ7で無害化される。エアカーテンFの速度は5メートル毎秒以下であるので、エアロゾルEの跳ね返りが防止される。
【選択図】 図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14