(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】無人搬送車の予知保全装置及びその予知保全方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20220107BHJP
B60W 50/04 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
B60W50/04
(21)【出願番号】P 2020541531
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(86)【国際出願番号】 KR2020008454
(87)【国際公開番号】W WO2021080116
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2020-07-29
(31)【優先権主張番号】10-2020-0049534
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508369892
【氏名又は名称】湖西大学校 産学協力団
【氏名又は名称原語表記】HOSEO UNIVERSITY ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】20, hose-ro 79-gil, Baebang-eup, Asan-city, Chungnam, 31499 Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】チョン ヒウン
【審査官】田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-42708(JP,A)
【文献】特開2002-203065(JP,A)
【文献】特表2014-518580(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0011298(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W10/00-60/00
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人搬送車の予知保全装置において、
センサにより測定された無人搬送車の動作関連データを受信する収集部と、
前記動作関連データから前記無人搬送車の動作を認識し、前記動作を複数の第1機能因子に分割する分析部と、
前記複数の第1機能因子のそれぞれの状態変化に応じる前記無人搬送車への障害の発生内訳を学習して、前記複数の第1機能因子のそれぞれに対応する複数の第1故障パターンを生成する学習部と、
所定基準に基づいて前記複数の第1機能因子のうち前記無人搬送車の障害発生に影響を及ぼす第2機能因子を抽出し、前記複数の第1故障パターンのうち前記第2機能因子に対応する第2故障パターンに基づいて前記無人搬送車の故障発生時点を予測する制御部とを含む、無人搬送車の予知保全装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記複数の第1機能因子のうち2つ以上の第1機能因子を選択して前記第2機能因子として抽出することを特徴とする、請求項1に記載の無人搬送車の予知保全装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2機能因子に対応する前記第2故障パターンにより障害発生が予測される複数の時点を抽出し、現時点から最も早く到来する時点を前記故障発生時点として予測することを特徴とする、請求項2に記載の無人搬送車の予知保全装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第2機能因子相互間の相関関係を反映して、前記第2故障パターンを組み合わせて第3故障パターンを生成し、前記第3故障パターンに基づいて前記故障発生時点を予測することを特徴とする、請求項2に記載の無人搬送車の予知保全装置。
【請求項5】
前記動作関連データは、
搬送ロード、搬送時間及び通信状態のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の無人搬送車の予知保全装置。
【請求項6】
前記センサは、
それぞれ相異なる種類のデータを測定する複数のセンサを含み、
前記複数のセンサの一部は前記無人搬送車に取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載の無人搬送車の予知保全装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記複数のセンサのそれぞれに優先順位を設定し、前記優先順位に基づいて前記動作関連データを受信するよう前記収集部を制御することを特徴とする、請求項6に記載の無人搬送車の予知保全装置。
【請求項8】
前記制御部は、
リアルタイムストリーミングにより前記動作関連データを受信するように前記収集部を制御し、前記動作関連データを連続的な複数のサブグループに分割して所定周期ごとに前記複数のサブグループのそれぞれを順次処理することを特徴とする、請求項1に記載の無人搬送車の予知保全装置。
【請求項9】
無人搬送車の予知保全方法において、
センサにより測定された無人搬送車の動作関連データを受信するステップと、
前記動作関連データから前記無人搬送車の動作を認識し、前記動作を複数の第1機能因子に分割するステップと、
前記複数の第1機能因子のそれぞれの状態変化に応じる前記無人搬送車への障害発生内訳を学習して、前記複数の第1機能因子のそれぞれに対応する複数の第1故障パターンを生成するステップと、
所定基準に基づいて前記複数の第1機能因子のうち前記無人搬送車の障害発生に影響を及ぼす第2機能因子を抽出するステップと、
前記複数の第1故障パターンのうち前記第2機能因子に対応する第2故障パターンに基づいて前記無人搬送車の故障発生時点を予測するステップとを含む、無人搬送車の予知保全方法。
【請求項10】
請求項9による無人搬送車の予知保全方法を行うプログラムが記録されたコンピュータにより読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送車の予知保全装置及びその予知保全方法に関し、より具体的に、無人搬送車に発生する故障や障害の発生可能時点を予め予測できる無人搬送車の予知保全装置及びその予知保全方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、スマート工場の導入傾向に従って、大型工場では製造設備又は倉庫周辺の資材移動のために無人搬送車(Automated Guided Vehicle:AGV)が使用されている。一般的に、無人搬送車は、地面下段や空中に設置されたワイヤ、地面や壁面に設置された光学又はマグネチックテープなどで実現される多様な方式のガイドラインに沿って自動走行をすることができる。
【0003】
無人搬送車は、スマート工場内で行われる様々な作業工程のうち所定作業段階の業務を分担することができる。万が一、無人搬送車に障害や故障が発生すると、順次進めなければならない作業工程が遅延して、工場運営に支障が生じる。従って、スマート工場内で動作する無人搬送車の予知保全は重要な問題である。
【0004】
しかしながら、現在、無人搬送車に故障や障害が発生する時点を予め予測し、これに備えるための無人搬送車の予知保全に関する研究や発明は存在しない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
(非特許文献1)生存分析を用いたディスプレイFABの搬送時間の予測模型(大韓産業工学会誌第40巻第3号、2014.06、283-290(8 pages))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、無人搬送車に発生する故障や障害及び発生時点を予め予測して、これに備えることができる無人搬送車の予知保全装置及びその予知保全方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明が解決しようとする課題は、無人搬送車の故障や障害の発生時点を精密に予測できる無人搬送車の予知保全装置及びその予知保全方法を提供することにある。
【0008】
さらに、本発明が解決しようとする課題は、無人搬送車の状態をリアルタイムで診断するか、故障及び障害の発生時点を迅速に予測できる無人搬送車の予知保全装置及びその予知保全方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による無人搬送車の予知保全装置によると、センサにより測定された無人搬送車の動作関連データを受信する収集部と、前記動作関連データから前記無人搬送車の動作を認識し、前記動作を複数の第1機能因子に分割する分析部と、前記複数の第1機能因子のそれぞれの状態変化に応じる前記無人搬送車への障害発生内訳を学習して、前記複数の第1機能因子のそれぞれに対応する複数の第1故障パターンを生成する学習部と、所定基準に基づいて前記複数の第1機能因子のうち前記無人搬送車の障害発生に影響を及ぼす第2機能因子を抽出し、前記複数の第1故障パターンのうち前記第2機能因子に対応する第2故障パターンに基づいて前記無人搬送車の故障発生時点を予測する制御部とを含む。
【0010】
前記無人搬送車の予知保全装置において、前記制御部は、前記複数の第1機能因子のうち2つ以上の第1機能因子を選択して前記第2機能因子として抽出することを特徴とする。
【0011】
前記無人搬送車の予知保全装置において、前記制御部は、前記第2機能因子に対応する第2故障パターンにより障害発生が予測される複数の時点を抽出し、現時点から最も早く到来する時点を前記故障発生時点として予測することを特徴とする。
【0012】
前記無人搬送車の予知保全装置において、前記制御部は、前記第2機能因子相互間の相関関係を反映して、前記第2故障パターンを組み合わせて第3故障パターンを生成し、前記第3故障パターンに基づいて前記故障発生時点を予測することを特徴とする。
【0013】
前記無人搬送車の予知保全装置において、前記動作関連データは、搬送ロード、搬送時間及び通信状態のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0014】
前記無人搬送車の予知保全装置において、前記センサは、それぞれ相異なる種類のデータを測定する複数のセンサを含み、前記複数のセンサのうち一部は前記無人搬送車に取り付けられることを特徴とする。
【0015】
前記無人搬送車の予知保全装置において、前記制御部は、前記複数のセンサのそれぞれに優先順位を設定し、前記優先順位に基づいて前記動作関連データを受信するように前記収集部を制御することを特徴とする。
【0016】
前記無人搬送車の予知保全装置において、前記制御部は、リアルタイムストリーミングにより前記動作関連データを受信するように前記収集部を制御し、前記動作関連データを連続的な複数のサブグループに分割して所定周期ごとに前記複数のサブグループのそれぞれを順次処理することを特徴とする。
【0017】
本発明の他の実施形態による無人搬送車の予知保全方法によれば、センサにより測定された無人搬送車の動作関連データを受信するステップと、前記動作関連データから前記無人搬送車の動作を認識し、前記動作を複数の第1機能因子に分割するステップと、前記複数の第1機能因子のそれぞれの状態変化に応じる前記無人搬送車への障害発生内訳を学習して、前記複数の第1機能因子のそれぞれに対応する複数の第1故障パターンを生成するステップと、所定基準に基づいて前記複数の第1機能因子のうち前記無人搬送車の障害発生に影響を及ぼす第2機能因子を抽出するステップと、前記複数の第1故障パターンのうち前記第2機能因子に対応する第2故障パターンに基づいて前記無人搬送車の故障発生時点を予測するステップとを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態によれば、無人搬送車に発生する故障や障害及び発生時点を予め予測することによりこれに備えることができ、無人搬送車の故障による工程遅延を防止することができる。
【0019】
また、本発明の実施形態によれば、無人搬送車の故障や障害の発生時点を精密に予測することができる。
【0020】
さらに、本発明の実施形態によれば、無人搬送車の状態をリアルタイムで診断するか、故障及び障害の発生時点を迅速に予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明による無人搬送車の予知保全装置を含むスマート工場の内部を示す図である。
【0022】
【
図2】本発明による無人搬送車の予知保全装置の構成を示すブロック図である。
【0023】
【
図3a】本発明による無人搬送車の予知保全装置が行うデータ分析方法を説明するための図である。
【
図3b】本発明による無人搬送車の予知保全装置が行うデータ分析方法を説明するための図である。
【0024】
【
図4a】本発明による無人搬送車の予知保全装置が行う学習方法を説明するための図である。
【
図4b】本発明による無人搬送車の予知保全装置が行う学習方法を説明するための図である。
【0025】
【
図5】本発明による無人搬送車の予知保全装置がセンサに対応して故障パターンを生成する一例を説明するための図である。
【0026】
【
図6】本発明による無人搬送車の予知保全装置が故障パターンを生成する他の例を説明するための図である。
【0027】
【
図7】本発明による無人搬送車の予知保全装置がリアルタイムストリーミングによりデータを処理する方法を説明するための図である。
【0028】
【
図8】本発明による無人搬送車の予知保全過程を示す図である。
【0029】
【
図9】本発明の実施形態による無人搬送車の予知保全を行うコンピューティング装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかしながら、本発明は、種々の相異なる形態で実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。また、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体を通して類似した部分に対しては類似した図面の符号を付している。
【0031】
本明細書において、同一の構成要素に関する重複した説明は省略する。
【0032】
また、本明細書において、ある構成要素が他の構成要素に「連結」されているとか「接続」されていると言及されたときは、その他の構成要素に直接的に連結されているか又は接続されていることもあるが、中間に他の構成要素が存在する可能性もあると理解されるべきであろう。反面、本明細書において、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」されているとか「直接接続」されていると言及されたときは、中間に他の構成要素が存在しないと理解されるべきであろう。
【0033】
また、本明細書に使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられるものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0034】
また、本明細書において、単数の表現は、文脈上明白に異なる意味を有しない限り、複数の表現を含んでもよい。
【0035】
また、本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためのものに過ぎず、1つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0036】
また、本明細書において、「及び/又は」という用語は、複数の記載項目の組み合わせ又は複数の記載項目のいずれかの項目を含む。本明細書において、「A又はB」は、「A」、「B」又は「AとBの両方」を含む。
【0037】
また、本明細書において、本発明の要旨を曖昧にする可能性のある公知機能及び構成に関する詳細な説明は省略される。
【0038】
図1は、本発明による無人搬送車の予知保全装置を含むスマート工場の内部を示す図である。
【0039】
スマート工場の内部には複数の無人搬送車111、112、113が走行しながら作業を行う。ここで、無人搬送車(Automatic Guided Vehicle:AGV)は、運転者なしに自動で動く産業用車両を示す。AGVは、製造施設や流通センターなどにおいて資材を自動で移動させる代表的なソリューションであって、反復的な材料移動を効率的に代替することができる。
【0040】
複数のセンサ121、122、123、124、125、126は、無人搬送車111、112、113の動作関連データ及びスマート工場内部の環境情報を測定する。このために、複数のセンサ121、122、123、124、125、126は、カメラ、イメージセンサ、ライダセンサ、レーダーセンサ、速度センサ、加速度センサ、角速度センサ、ジャイロセンサ、距離センサ、深さセンサ、温度センサ、湿度センサなどを含む様々なセンサで実現される。
【0041】
複数のセンサ121、122、123、124、125、126は、それぞれ相異なる種類のデータを測定することができる。
【0042】
複数のセンサ121、122、123、124、125、126のうち一部121、122、123は複数の無人搬送車111、112、113に対応して取り付けられ、他の一部124、125、126はスマート工場内部の所定位置に配置されてもよい。
【0043】
本発明による無人搬送車の予知保全装置200は、AGVに対する予知保全を行う。予知保全は、それぞれの設備の状態を定量的に把握して設備の異常状態や将来発生し得る事態を予め予想し、適切に維持及び保守する作業である。
【0044】
このために、無人搬送車の予知保全装置200は、複数のセンサ121、122、123、124、125、126により測定された無人搬送車111、112、113の動作関連データをリアルタイムで収集して分析及び学習し、これに基づいて予知保全を行う。
【0045】
遠隔サーバ130は、複数の無人搬送車111、112、113及び複数のセンサ121、122、123、124、125、126の動作を遠隔で制御することができる。このために、遠隔サーバ130は、データの送受信のために有無線通信を行う通信モデム、遠隔から制御命令を送信するかデータを分析する制御ソフトウェア、データの入力又は出力を担当する入出力インタフェースなどを含んで構成されてもよい。
【0046】
管理者端末140は、外部から無人搬送車111、112、113の動作状態やスマート工場内部の運営状態をモニタし、関連した制御命令を送信する。この場合、管理者端末140は、移動端末やラップトップなどを含む様々な形態のユーザ端末で実現できる。
【0047】
図2は、本発明による無人搬送車の予知保全装置の構成を示すブロック図である。
【0048】
本発明による無人搬送車の予知保全装置200は、収集部210、分析部220、学習部230及び制御部240を含んで構成される。
【0049】
収集部210は、センサにより測定された無人搬送車の動作関連データを受信する。
【0050】
ここで、動作関連データは、スマート工場内で無人搬送車が行う多様な動作に関連した全ての種類のデータを含む。例えば、動作関連データは、対象物品の搬送ロード、搬送時間、負荷率、装備とのスケジューリングなどのための通信状態、AGV走行速度、AGV駆動回路の温度、その他にAGVの現状を確認できる全ての種類のデータを含んでもよい。
【0051】
収集部210は、センサが測定した動作関連データをセンサから直接受信するか、遠隔サーバから受信する。このために、収集部210は、センサ又は遠隔サーバと様々な種類の有無線通信を行うことができる。
【0052】
分析部220は、動作関連データから無人搬送車の動作を認識し、前記動作を複数の第1機能因子に分割する。
【0053】
分析部220により認識される無人搬送車の動作は、少なくとも1つ以上であり得る。
【0054】
第1機能因子は動作を構成する動作要素として定義されてもよい。この場合、動作要素は、動作を時系列的に分割して構成するか、動作を空間的に分割して構成する。
【0055】
学習部230は、複数の第1機能因子のそれぞれの状態変化に応じる無人搬送車への障害発生内訳を学習して、複数の第1機能因子のそれぞれに対応する複数の第1故障パターンを生成する。ここで、障害発生内訳は、障害や故障の発生有無、種類、故障発生時点、故障の程度、障害発生部分などを含んでもよい。
【0056】
具体的に、複数の第1機能因子のそれぞれの状態変化に応じて無人搬送車への障害発生内訳は変わる可能性がある。すなわち、機能因子の種類や動作状態に応じて障害発生の有無や障害発生時点などが変わる可能性がある。従って、学習部230は、これに対する多様なデータを学習することにより、各機能因子に応じた故障パターンを生成する。故障パターンは、時間の経過による故障発生率を表示する曲線グラフである。
【0057】
学習部230は、無人搬送車が正常状態である場合及び障害発生状態である場合、それぞれに対するビッグデータを収集し、ビッグデータを学習して正常状態及び障害発生状態に対する基準値を設定する。
【0058】
一方、学習部230は、マシンラーニング、ディープラーニングなどを含む多様な形態の人工知能による学習を行う。ここで、マシンラーニングは、指導学習、非指導学習及び強化学習に分類される。指導学習は、入力と正解の関係を示したデータを学習データとして入力してその関係を再現するように特徴を抽出してモデルを生成する。非指導学習は、何の説明もない学習データを入力して抽出した特徴のパターンから類似したグループを探し出し、それぞれのモデルを生成する。強化学習は、推論結果に対して評価(補償)を行うことによりどのような結果を希望するかを提示してその結果を最もよく再現できるモデルを生成する。
【0059】
制御部240は、所定基準に基づいて複数の第1機能因子のうち無人搬送車の障害発生に影響を及ぼす第2機能因子を抽出する。ここで、第2機能因子は複数の第1機能因子のうち選択された所定の第1機能因子であって、動作を構成する動作要素に該当する。例えば、第1機能因子が[積載]、[支持]、[経路探索]及び[走行]である場合、第2機能因子はこのうち抽出された[支持]であり得る。
【0060】
この場合、制御部240は、実施形態に応じて所定基準を異なるように設定することができる。前述したように、所定基準に基づいて第2機能因子が抽出される。従って、制御部240は、所定基準を変更することにより、希望する機能因子に基づいて障害や故障に対する予知保全を行うことができる。
【0061】
制御部240は、複数の第1故障パターンのうち第2機能因子に対応する第2故障パターンに基づいて無人搬送車の故障発生時点を予測することができる。
【0062】
ここで、第2故障パターンは、複数の第1故障パターンのうち選択された所定の第1故障パターンであって、時間経過による故障発生率を表示する曲線のグラフであり得る。
【0063】
一実施形態によれば、制御部240は、複数の第1機能因子のうち2つ以上の第1機能因子を選択して第2機能因子として抽出する。この場合、制御部240は、第2機能因子に対応する第2故障パターンにより障害発生が予測される複数の時点を抽出し、現時点で最も早く到来する時点を故障発生時点として予測する。
【0064】
他の実施形態によれば、制御部240は、第2機能因子相互間の相関関係を反映して、第2故障パターンを組み合わせて第3故障パターンを生成し、第3故障パターンに基づいて故障発生時点を予測する。
【0065】
また他の実施形態によれば、制御部240は、複数のセンサのそれぞれに優先順位を設定し、前記優先順位に基づいて動作関連データを受信するように収集部210を制御する。
【0066】
一方、制御部240は、リアルタイムストリーミング方式によりデータを処理する。一実施形態によれば、リアルタイムストリーミング方式はスパークストリーミングであり得る。具体的には、制御部240は、リアルタイムストリーミングにより動作関連データを受信するように収集部210を制御し、前記の動作関連データを連続的な複数のサブグループに分割して所定周期ごとに前記複数のサブグループのそれぞれを順次処理する。
【0067】
スパークストリーミングについては、
図7に関する説明において後述する。
【0068】
図3aと
図3bは、本発明による無人搬送車の予知保全装置が行うデータ分析方法を説明するための図である。
【0069】
具体的に、
図3aには無人搬送車の予知保全装置200の分析部220の詳細構成が示されている。分析部220は、センサにより測定された無人搬送車の動作関連データを分析する。このために、分析部220は、動作認識モジュール310と機能因子分割モジュール320を含んで構成される。
【0070】
動作認識モジュール310は、動作関連データから無人搬送車の動作を認識する。具体的に、動作認識モジュール310は、複数の動作関連データで構成されるデータ集合から共通目的を抽出し、抽出された共通目的に基づいて無人搬送車の動作を認識する。例えば、搬送ロード、搬送時間、装置とのスケジューリングなどで構成されるデータ集合から搬送という共通目的を抽出し、それに基づいて搬送という動作を認識することができる。
【0071】
機能因子分割モジュール320は動作を複数の第1機能因子に分割する。
【0072】
一実施形態によれば、機能因子分割モジュール320は、動作を時系列的に分割することにより、動作を複数の第1機能因子に分割する。例えば、搬送は時系列的に[積載]、[支持]、[経路探索]、[走行]が順次行われる。従って、機能因子分割モジュール320は、搬送動作を、[積載]、[支持]、[経路探索]及び[走行]の4つの第1機能因子に分割することができる。
【0073】
他の実施形態によれば、機能因子分割モジュール320は、動作を空間的に分割することにより、動作を複数の第1機能因子に分割する。例えば、搬送動作を詳細に分析すると、送信端においては物品の[積載]が行われ、送信端と受信端の間では[支持]が行われる。従って、機能因子分割モジュール320は、搬送動作を、[積載]、[支持]の2つの第1機能因子に分割することができる。
【0074】
図3bは、動作及び複数の第1機能因子を順次抽出する一例を示す。複数の動作関連データ330は、搬送ロード、搬送時間、通信状態及び移動経路に関するデータを含む。この場合、複数の動作関連データ330から無人搬送車の動作を[搬送]340と認識する。
【0075】
[搬送]340動作を時系列的に分割して、複数の第1機能因子350に分割する。これにより、[搬送]340動作を[積載]、[支持]、[経路探索]及び[走行]の4つの第1機能因子に分割することができる。
【0076】
図4aと
図4bは、本発明による無人搬送車の予知保全装置が行う学習方法を説明するための図である。
【0077】
図4aには、無人搬送車の予知保全装置200の学習部230の詳細構成が示されている。学習部230は、学習を行って故障パターンを生成する。このために、学習部230は、障害発生内訳学習モジュール410と故障パターン生成モジュール420を含んで構成される。
【0078】
障害発生内訳学習モジュール410は、複数の第1機能因子のそれぞれの状態変化に応じる無人搬送車への障害発生内訳を学習することができる。この場合、障害発生内訳学習モジュール410は、複数の第1機能因子のそれぞれの状態変化に応じて変化する障害発生の有無と障害発生時点及び障害発生の程度などのデータを学習することができる。例えば、第1機能因子が積載であると仮定するとき、物品の積載量に応じて変化する障害発生の有無及び障害発生の時点を学習することができる。
【0079】
故障パターン生成モジュール420は、複数の第1機能因子のそれぞれに対応する複数の第1故障パターンを生成する。
【0080】
具体的に、故障パターン生成モジュール420は、障害発生内訳学習モジュール410の学習結果に基づいて、時間経過による故障発生率を計算する。
【0081】
故障パターン生成モジュール420は、時間経過による故障発生率を曲線グラフで表示することにより第1故障パターンを生成する。この場合、故障パターン生成モジュール420は、複数の第1機能因子のそれぞれに対応して、複数の第1故障パターンを生成する。
【0082】
【0083】
複数の第1故障パターンは複数の第1機能因子のそれぞれに対応し、曲線グラフの形態で表示される。
図4bを参照すると、[積載]に対応する故障パターン430、[支持]に対応する故障パターン440、[経路探索]に対応する故障パターン450及び[走行]に対応する故障パターン460がそれぞれ示されている。
【0084】
これを参照すると、機能因子に応じて故障発生率、故障発生時点、故障発生の程度が全て異なることが分かる。
【0085】
図5は、本発明による無人搬送車の予知保全装置がセンサに対応して故障パターンを生成する一例を説明するための図である。
【0086】
無人搬送車の動作関連データを測定するセンサは複数であり得る。この場合、複数のセンサのそれぞれは相異なる種類のデータを測定することができる。
【0087】
無人搬送車の予知保全装置200は、複数のセンサのそれぞれに対応して故障パターンを生成することができる。この場合、それぞれのセンサから収集された動作関連データに基づいて故障パターンを生成する。
【0088】
図5を参照すると、第1センサに対応する故障パターン510、第2センサに対応する故障パターン520、第3センサに対応する故障パターン530が生成されている。それぞれの故障パターン510、520、530において、曲線の傾き、故障程度、故障発生時点などは全て異なる。この場合、無人搬送車の予知保全装置200は、複数の故障パターン510、520、530を総合的に考慮して、故障発生時点を予測することができる。
図5の場合、故障発生時点は時間t
1及び時間t
2と予測される。
【0089】
図6は、本発明による無人搬送車の予知保全装置が故障パターンを生成する他の例を説明するための図である。
【0090】
無人搬送車の予知保全装置200は、第2機能因子相互間の相関関係を反映して、第2故障パターンを組み合わせて第3故障パターンを生成し、第3故障パターンに基づいて故障発生時点を予測する。
【0091】
第1機能因子は互いに影響を及ぼすことがあり、これにより故障や障害の発生時点又は発生程度が変わることもある。例えば、積載量が増えるほど走行を行う車輪の老朽化が早くなって無人搬送車の故障発生時点が早くなる。すなわち、「積載」と「走行」は故障発生時点を加速させる相関関係を有する。
【0092】
従って、機能因子の相関関係を反映した故障パターンを生成し、これに基づいて故障発生時点を予測する場合、2つ以上の機能因子が互いに影響を及ぼす場合にも、故障発生時点を正確に予測することができる。
【0093】
図6に示すように、2つの第1故障パターン610、620を組み合わせて第3故障パターン630を生成することができる。2つの第1故障パターン610、620において故障発生時点はそれぞれ時間t
1及び時間t
2と予測されるが、組み合わされた第3故障パターン630によると、故障発生時点が時間t
3と予測される。このように、2つの機能因子が互いに影響を及ぼすようになって、故障発生時点は変わることになる。
【0094】
図7は、本発明による無人搬送車の予知保全装置がリアルタイムストリーミングによりデータを処理する方法を説明するための図である。
【0095】
無人搬送車の予知保全装置200は、リアルタイムストリーミングによりデータ収集、ディープラーニング活用分析及び予知保全などを行う。一実施形態によれば、無人搬送車の予知保全装置200は、スパークストリーミングを使用してリアルタイムでデータを受信して処理及び分析する。
【0096】
スパークストリーミングは、離散ストリーム(Discretized stream:DStream)と呼ばれる論理的概念に基づく。離散ストリーム(DStream)は時間別に到着したデータの連続的な集まりとして定義される。
【0097】
ストリーミング処理はデータの小さいバッチ単位上で各バッチ処理の連続的な流れとみなされ、スパークストリーミングは多様な入力ソースからデータを受信してこれらを小さいグループに束ねる。新しいバッチは決まった時間間隔ごとに生成される。
【0098】
図7に示すように、複数の無人搬送車からリアルタイムでデータストリームを受信する。データストリームは、AGVデータ1、AGVデータ2、AGVデータ3などを含む。
【0099】
制御部240は、スパークストリーミングを使用して入力されたデータストリームをバッチ単位に分割する。この場合、バッチ単位のそれぞれをリアルタイムで処理し、処理結果に基づいてAGV予知保全を行う。
【0100】
図8は、本発明による無人搬送車の予知保全過程を示す図である。
【0101】
センサから無人搬送車の動作関連データを受信する(S801)。
【0102】
無人搬送車の予知保全装置200は、センサにより測定された無人搬送車の動作関連データを受信する。ここで、動作関連データは、搬送時間、負荷率、装備との通信状態、AGV走行速度、AGV駆動回路の温度など、その他にAGVの現在状態を確認できる全ての種類のデータを含んでもよい。
【0103】
動作関連データから無人搬送車の動作を認識する(S802)。
【0104】
無人搬送車の予知保全装置200は、複数の動作関連データで構成されるデータ集合から共通目的を抽出し、抽出された共通目的に基づいて無人搬送車の動作を認識する。
【0105】
認識された動作を複数の第1機能因子に分割する(S803)。
【0106】
第1機能因子は動作を構成する動作要素として定義される。この場合、動作要素は、動作を時系列的に分割して構成するか、動作を空間的に分割して構成する。
【0107】
複数の第1機能因子のそれぞれの状態変化に応じる無人搬送車への障害発生内訳を学習する(S804)。
【0108】
ここで、障害発生内訳は、障害又は故障の発生有無、種類、故障発生時点、故障程度、障害発生部分などを含んでもよい。
【0109】
複数の第1機能因子のそれぞれの状態変化に応じて無人搬送車への障害発生内訳は変わることがある。すなわち、機能因子の種類や動作状態に応じて障害発生の有無や障害発生時点などが変わることがある。従って、障害発生内訳に対する多様なデータを学習することにより、各機能因子による故障パターンを生成することになる。故障パターンは、時間の経過による故障発生率を表示する曲線グラフである。
【0110】
複数の第1機能因子のそれぞれに対応する複数の第1故障パターンを生成する(S805)。
【0111】
複数の第1機能因子のうち無人搬送車の障害発生に影響を及ぼす第2機能因子を抽出する(S806)。
【0112】
無人搬送車の予知保全装置200は、所定基準に基づいて複数の第1機能因子のうち無人搬送車の障害発生に影響を及ぼす第2機能因子を抽出する。
【0113】
この場合、無人搬送車の予知保全装置200は、実施形態によって所定基準を異なるように設定をすることができる。所定基準を変更することにより、希望する機能因子を基準に障害や故障に対する予知保全を行うことができる。
【0114】
複数の第1故障パターンのうち第2機能因子に対応する第2故障パターンに基づいて無人搬送車の故障発生時点を予測する(S807)。
【0115】
この場合、無人搬送車の予知保全装置200は、現状を診断し、維持保守などの予知保全を行うことができる。
【0116】
図9は、本発明の実施形態による無人搬送車の予知保全を行うコンピューティング装置を示す図である。
【0117】
図9のコンピューティング装置TN100は、本明細書に記述された装置であり得る。
【0118】
図9の実施形態において、コンピューティング装置TN100は少なくとも1つのプロセッサTN110、送受信装置TN120、及びメモリTN130を含む。また、コンピューティング装置TN100は、格納装置TN140、入力インタフェース装置TN150、出力インタフェース装置TN160などをさらに含んでもよい。コンピューティング装置TN100に含まれた構成要素はバス(bus)TN170により接続されて互いに通信を行う。
【0119】
プロセッサTN110は、メモリTN130及び格納装置TN140のうち少なくとも1つに格納されたプログラム命令(program command)を実行することができる。プロセッサTN110は、中央処理装置(CPU:central processing unit)、グラフィック処理装置(GPU:graphics processing unit)、又は本発明の実施形態による方法が行われる専用のプロセッサを意味し得る。プロセッサTN110は、本発明の実施形態に関連して記述された手順、機能、及び方法などを実現するよう構成される。プロセッサTN110は、コンピューティング装置TN100の各構成要素を制御することができる。
【0120】
メモリTN130及び格納装置TN140のそれぞれはプロセッサTN110の動作と関連した多様な情報を格納する。メモリTN130及び格納装置TN140のそれぞれは、揮発性格納媒体及び非揮発性格納媒体のうち少なくとも1つで構成される。例えば、メモリTN130は読み出し専用メモリ(ROM:read only memory)及びランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)のうち少なくとも1つで構成されてもよい。
【0121】
送受信装置TN120は、有線信号又は無線信号を送信又は受信する。送受信装置TN120はネットワークに接続されて通信を行う。
【0122】
一方、本発明の実施形態は、これまで説明した装置及び/又は方法によってのみ実現されるものではなく、本発明の実施形態の構成に対応する機能を実現するプログラム又はそのプログラムが記録された記録媒体により実現されてもよく、このような実現は、前述した実施形態の記載から本発明に属する技術分野の通常の技術者であれば容易に実現できるものである。
【0123】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、請求の範囲において定義している本発明の基本概念を用いた通常の技術者の様々な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0124】
111、112、113:無人搬送車
121、122、123、124、125、126:センサ
130:遠隔サーバ
140:管理者端末
200:無人搬送車の予知保全装置
210:収集部
220:分析部
230:学習部
240:制御部
310:動作認識モジュール
320:機能因子分割モジュール
410:障害発生内訳学習モジュール
420:故障パターン生成モジュール