(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】木ネジ用アダプター
(51)【国際特許分類】
B25B 23/10 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
B25B23/10 A
(21)【出願番号】P 2021094420
(22)【出願日】2021-06-04
【審査請求日】2021-07-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】719007453
【氏名又は名称】原澤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】原澤 和彦
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-054396(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0082576(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバーとは別体からなる、木ネジ用アダプターの本体(1)は、本体胴体部(2)と、本体先端部(3)と、本体先端部突端(4)を備え、本体先端部内側(6)に木ネジ(8)のネジ部(11)の先端が本体先端部(3)より突出する、とともに本体先端部内側(6)がネジ部(11)と頭部(9)を隙間なく包み込むようにセット
出来る形態を持ち、木ネジ用アダプターの本体(1)に木ネジ(8)をセットしたものを、ドライバー軸体(13)
の、ドライバー先端(14)と木ネジ(8)の工具溝(10)が噛み合うところまで
、本体胴体部(2)を差し込むことによって、ドライバー軸体(13)と、ドライバー先端(14)と、木ネジ(8)
と、木ネジ用アダプターの本体(1)が一体化し、ドライバー軸体(13)と木ネジ(8)の回転軸が一致し、芯ブレすることなく木ネジ(8)を部材(12)に螺入する構造を特徴とする、木ネジ用アダプター。
【請求項2】
木ネジ(8)の頭部(9)の工具溝(10)にドライバー先端(14)を噛ませた、木ネジ(8)を部材(12)に螺入時に、本体先端部突端(4)の内径が、部材(12)に触れた後、部材(12)から本体先端部(3)に加わる圧力と、木ネジ(8)の頭部(9)による内側からの圧力により、本体先端部(3)が本体胴体部(2)に向けて、ドライバー軸体(13)の外径以上になるまで拡径する、とともにドライバー軸体(13)に差し込んだ本体(1)が、部材(12)からの圧力によって、ドライバー先端(14)よりドライバー軸体(13)方向に向けスライドし、木ネジ頭部(9)が、部材(12)に達したとき、本体(1)から木ネジ(8)が外れた状態になる構造を特徴とする、請求項1記載の木ネジ用アダプター。
【請求項3】
本体胴体部内側(5)は、ドライバー軸体(14)を包み込む筒状の形状をとり、本体先端部内側(6)は、木ネジ(8)の頭部(9)からネジ部(11)にかけての形状に契合したテーパー状の形態をとり、本体先端部(3)は、内側からの木ネジ(8)螺入時の頭部(9)からの圧力により拡径する構造を有し、本体先端部突端(4)は、木ネジ(8)螺入時に部材(12)と接触した際に、部材(12)との摩擦抵抗を減らす、とともに木ネジ(8)の頭部(9)が部材(12)に達する前に、木ネジ(8)の頭部(9)による本体先端部突端(4)との噛みつきをなくす形態を特徴とする、請求項1又は2記載の木ネジ用アダプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木ネジ用アダプターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
慣用の手動ドライバーや電動ドライバー等では、部材への木ネジ螺入時にビット先端と木ネジが分離しているため、芯ブレを防ぐには一方の手で木ネジを支えて作業する必要があった。ドライバー先端が磁石となっている場合も同様なことが言えた。
【0003】
この欠点を補うためには、作業初期段階でビット先端と木ネジを一体化して、木ネジを倒さず芯ブレもないように保持する構造が必要となるが、特許文献1では、ドライバー軸体に配設された内蔵弾性体に押し出されたソケット先端に、木ネジをセットしたアダプターを装着し、ドライバービットと木ネジの一体化を図り、木ネジ螺入時に、ドライバー軸体と木ネジの芯ブレを防ぐものであるが、製作コスト、使用上の使い勝手、手動アクションの回数に課題を残している。
【0004】
また、特許文献2は、ドライバー軸体に、配設された弾性体によって押されたソケット部が木ネジを掴むユニットを周囲から締め付けることによって、ドライバービットと木ネジの一体化を図る目的は同じであっても、製作コスト、使用上の使い勝手、手動アクションの回数に課題を残している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実願昭46-27823号
【文献】米国特許出願公開2016/0082576号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
慣用の手動ドライバーや電動ドライバー等の持つ課題は、ドライバー先端と木ネジ頭部の噛み合わせ部分が横力に弱く、部材に対し、ネジを倒さず的確に螺入作業することが難しいというものであった。このため、芯ブレによりネジの倒れ込みにより、部材に傷をつけることや、ネジを支えていた指をビットの先端で突いて怪我をすることもあった。ビット先端が磁石となっている場合でも同様なことが言えた。
【0007】
本発明は、これを解決するために、ドライバー先端とネジを一体して、芯ブレやネジの倒れ込みを防止する構造を特徴とする、木ネジ用のアダプターを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
木ネジ用アダプターの本体1は、本体胴体部2と、本体先端部3と、本体先端部突端4を備え、本体先端部内側6に木ネジ8のネジ部11の先端が本体先端部3より突出する、とともに本体先端部内側6がネジ部11と頭部9を隙間なく包み込むようにセットした本体1の本体胴体部2に、ドライバー軸体13を、ドライバー先端14と木ネジ8の工具溝10が噛み合うところまで差し込むことによって、ドライバー軸体13と、ドライバー先端14と、木ネジ8を包み込むように一体化し、ドライバー軸体13と木ネジ8の回転軸が一致し、芯ブレすることなく木ネジ8を部材12に螺入する構造を特徴とする、木ネジ用アダプター。
【0009】
木ネジ8の頭部9の工具溝10にドライバー先端14を噛ませた、木ネジ8を部材12に螺入時に、本体先端部突端4の内径が、部材12に触れた後、部材12から本体先端部3に加わる圧力と、木ネジ8の頭部9による内側からの圧力により、本体先端部3が本体胴体部2に向けて、ドライバー軸体13の外径以上になるまで拡径する、とともにドライバー軸体13に差し込んだ本体1が、部材12からの圧力によって、ドライバー先端14よりドライバー軸体13方向に向けスライドし、木ネジ頭部9が、部材12に達したとき、本体1から木ネジ8が外れた状態になる構造を特徴とする、木ネジ用アダプター。
【0010】
本体胴体部内側5の内側は、ドライバー軸体14を包み込む筒状の形状をとり、本体先端部内側6は、木ネジ8の頭部9からネジ部11にかけての形状に契合したテーパー状の形態をとり、本体先端部3は、内側からの木ネジ8螺入時の頭部9からの圧力により拡径する構造を有し、本体先端部突端4は、木ネジ8螺入時に部材12と接触した際に、部材12との摩擦抵抗を減らす、とともに木ネジ8の頭部9が部材12に達する前に、木ネジ8の頭部9による本体先端部突端4との噛みつきをなくす形態を特徴とする、木ネジ用アダプター。
【発明の効果】
【0011】
本願発明の木ネジ用アダプターは、ドライバーと木ネジを一体化して保持する構造によって、芯ブレによる木ネジの倒れ込みなく、木ネジがセットされたアダプターをドライバー先端からドライバー軸体に差し込むというワンアクションで、経験の有無を問わず、部材に対する木ネジの螺入する作業を的確かつ効率的なものにすることが出来る。また、電動ドライバーおよび手回しのドライバーのいずれにも使用可能で、ドライバー軸体の形状を問わない汎用性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)本発明品本体1の斜視図である。 (b)ネジ部11の先が出た状態で、本発明品本体1に木ネジ8がセットされた斜視図である。 (c)ドライバー軸体13と、木ネジ8と、本発明品本体1の斜視図である。
【
図2】(a)ネジ部11の先が出た状態で、木ネジ8をセットした本発明品本体1を、ドライバー軸体13にセットした斜視図である。 (b)本発明品本体1にセットされた木ネジ8が、本体先端部3の拡径構造の1つである切れ込み7を押し開き、本体先端部3を拡径している状態の斜視図である。
【
図3】(a)ドライバー軸体13と、木ネジ8と、本発明品本体1の断面図である。 (b)木ネジ8がセットされた本発明品本体1を、ドライバー軸体13に差し込み、ネジ部11が部材12に螺入し始めたときの断面図である。 (c)本ドライバー軸体13に差し込んだ、発明品本体1にセットされた木ネジ8を、部材12に螺入していったとき、木ネジ頭部9が本体先端部3の拡径構造の1つである切れ込み7を押し開き、本体先端部3を拡径している断面図である。
【
図4】(a)ドライバー軸体13と、アダプター15と、木ネジ8と、本発明品本体1の斜視図である。 (b)木ネジ8がセットされた本発明品本体1を、ドライバー軸体13に差し込んだときの断面図である (c)木ネジ8がセットされた本発明品本体1を、アダプター15を介して、ドライバー軸体13に差し込んだときの断面図である
【発明を実施するための形態】
【0013】
本体胴体部2の内側は、ドライバー軸体13の形状が、円柱、または六角柱等何れの場合であっても適合可能な円筒状の形態をとり、本体1を回転させることにより、木ネジ8の頭部9の工具溝10に、ドライバー先端14を噛み合わせることの出来る、とともに部材12への木ネジ8螺入時に、部材12からの圧力により、ドライバー軸体13の上方にスライドを可能にするため、ドライバー軸体13の最大径より大きい内径を持つ形態をとる。
【0014】
ただし、前記の木ネジ8とは、鍋ネジまたは皿ネジを指し、部材12とは、木材、集成材、合板、石膏ボード、合成樹脂等の素材を指す。
【0015】
又、前記の螺入時とは、木ネジ8のネジ部11が、部材9にねじ込まれつつある状態を指す。
【0016】
本体先端部3は、本体先端部内側6は、木ネジ8の頭部9からネジ部11にかけて保持するテーパー状の形態をとり、本体先端部3の内側には突起がなく、部材12に触れる本体先端3は、部材12に木ネジ8を螺入時に、部材12との摩擦を軽減する、丸みを持った形態をとる。
【0017】
本体先端部3は、木ネジ本体8を部材12への螺入時に、本体先端部突端4が、部材12に触れた後、部材12からの圧力と、木ネジ8の頭部9の内側から本体先端部3押し開く圧力により、体先端部3が拡径する構造を備えるとしたが、同圧力によって、先端部3が、複数の切れ込み7によって拡張、または瓦解する構造、または本体先端部3の長さが縮みながら内径が開いていく構造を指す。
【0018】
尚、本体1と、本体胴体部2と、本体先端部3と、本体先端部突端4を構成する素材は、合成樹脂、紙、木材、集成材等とする。
【0019】
本体胴体部2の内側の直径が、ドライバー軸体13の最大径を越える場合は、ドライバー軸体13と本体1との間に、筒状のアダプター15を装着する形態をとる。
【0020】
尚、ドライバー軸体12の最大径とは、木ネジ用アダプターの形態が円筒の場合はその直径、ドライバー軸体12が角柱の場合はその外接円の直径をさす。
【0021】
ドライバー先端14が、木ネジ8の頭部9の工具溝10を噛み、本体先端部3がネジ頭部9と木ネジ8を保持し、本体胴体部2がドライバー軸体13を内包することで、木ネジ8とドライバー軸体13とが一体化する形態をとる。
【0022】
尚、本発明の木ネジ用アダプターは、木ネジ8のサイズおよび形態に応じて、幾つかのサイズを持つ形態をとる。
【符号の説明】
【0023】
1 本体
2 本体胴体部
3 本体先端部
4 本体先端部突端
5 本体胴体部内側
6 本体先端部内側
7 切れ込み
8 木ネジ
9 頭部
10 工具溝
11 ネジ部
12 部材
13 ドライバー軸体
14 ドライバー先端
15 アダプター
【要約】 (修正有)
【課題】大きな木ネジから小さな木ネジまで、誰にでも的確に木ネジを倒さず芯ブレなく部材に螺入することができる木ネジ用アダプターを提供する。
【解決手段】本発明は、ネジをセットした木ネジ用アダプターの本体1を、ドライバー先端14に装着して使用するもので、ドライバー軸体13と木ネジ本体8の一体化を保持でき、部材に木ネジ本体8を芯ブレなく螺入することが可能になるとともに部材への木ネジ螺入時、または螺入後に、木ネジ用アダプターの本体1が木ネジから外れる構造を持つ。
【選択図】
図1