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特許6996811リジッド部およびフレキシブル部を含むコンポーネントキャリアの破損に強い曲げ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】リジッド部およびフレキシブル部を含むコンポーネントキャリアの破損に強い曲げ
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/00 20060101AFI20220107BHJP
   B29C 53/04 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H05K3/00 L
B29C53/04
H05K3/00 J
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019092710
(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公開番号】P2020188187
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2019-07-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519063934
【氏名又は名称】エーティーアンドエス オーストリア テクノロジー アンド システムテクニック アクツィエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クリベック、トーマス
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-520276(JP,A)
【文献】国際公開第2018/128265(WO,A1)
【文献】特表2020-502548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/00
B29C 53/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアのフレキシブル部を曲げるための曲げ装置であって、
前記曲げ装置は、制限軌跡によって範囲が定められたもっぱらオーバーストレッチがない領域内に配置された曲げ軌跡に沿って前記フレキシブル部を曲げるために構成された曲げ機構を備え、
前記制限軌跡は、前記フレキシブル部とリジッド部との間の接点における回転軸を中心とする曲げがなくオーバーストレッチがない前記フレキシブル部の回転に対応し、
前記曲げ装置は、前記コンポーネントキャリアの2つのリジッド部の一つのそれぞれを収容するために、それぞれ構成された第1収容体および第2収容体を備え
前記曲げ機構は、空間的に変位する少なくとも2つのヒンジを含む複数ヒンジ機構を有するように構成され
前記複数ヒンジ機構は、第1角度範囲内で、かつ、第1回転中心を中心として、相互に対して前記第1収容体および前記第2収容体を回転するように構成されるとともに、第2角度範囲内で、かつ他の第2回転中心を中心として、相互に対して前記第1収容体および前記第2収容体を続いて回転するように構成される、曲げ装置。
【請求項2】
前記曲げ装置は、
記2つのリジッド部間の前記フレキシブル部を収容するための前記第1収容体及び前記第2収容体間の領域を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数ヒンジ機構は、
弓形のガイド凹部に沿って移動する少なくとも1つのガイドピンを、前記第1角度範囲内で、かつ前記第1回転中心を中心として、前記第1収容体とともに回転する連結要素内に備え、
前記連結要素は、前記第2角度範囲内で、かつ前記他の第2回転中心を中心とする前記第1収容体の後続の動きの間、静止している、請求項に記載の装置。
【請求項4】
部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアの2つのリジッド部の一つのそれぞれを収容するために、それぞれ構成された第1収容体および第2収容体と、空間的に変位する少なくとも2つのヒンジを含む複数ヒンジ機構を有するように構成された曲げ装置を用いた前記コンポーネントキャリアのフレキシブル部の曲げ方法であって、
前記方法は、
前記コンポーネントキャリアのリジッド部と前記フレキシブル部との間の接点における回転軸を中心とする曲げがなくオーバーストレッチがない前記フレキシブル部の回転の制限に対応する制限軌跡を判断する段階と、
前記制限軌跡によって範囲が定められたもっぱらオーバーストレッチがない領域内に配置された曲げ軌跡に沿って前記フレキシブル部を曲げる段階とを備え、
前記曲げ軌跡は、第1角度範囲内で、かつ、第1回転中心を中心として、相互に対して前記第1収容体および前記第2収容体を回転するように構成されるとともに、第2角度範囲内で、かつ他の第2回転中心を中心として、相互に対して前記第1収容体および前記第2収容体を続いて回転するように構成される、方法。
【請求項5】
前記曲げ軌跡の少なくとも一部分に対応する前記第1回転中心が、上向きに曲げられる予定の前記フレキシブル部の下方に配置される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1回転中心は、前記リジッド部の下方に配置される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記曲げ軌跡の他の部分に対応する前記第2回転中心が、上向きに曲げられる予定の前記フレキシブル部の上方に配置される、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2回転中心は、前記リジッド部の上方に配置される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1回転中心は、第1角度範囲内での前記フレキシブル部の曲げに対応し、
前記第2転中心は、前記第1角度範囲に続く第2角度範囲内での前記フレキシブル部の曲げに対応する、請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、曲げ中に前記フレキシブル部に加えられ応力および/またはひずみを最小化するために選択された、回転中心が徐々に移動する曲げ軌跡に沿って前記フレキシブル部を曲げる段階を備える、
請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、
ロボットによって、徐々に回転中心が移動する、前記曲げ軌跡に沿って、前記フレキシブル部を曲げる段階を備える、
請求項10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、曲げ中において、前記フレキシブル部を引っ張ることができないように、前記曲げ軌跡を調節する段階を備える、請求項11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、
少なくとも部分的に10%未満の極限ひずみを有する材料で前記フレキシブル部を形成する段階を備える、請求項12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
部分的なフレキシブルコンポーネントキャリアは、ポリイミドからなる、完全にフレキシブル部を含むリジッド-フレックスコンポーネントキャリアである、請求項12の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記コンポーネントキャリアは、FR4材料からなるセミ-フレキシブル部を有するセミ-フレックスコンポーネントキャリアである請求項12の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、
前記フレキシブル部の全体が、曲げの全プロセス中、もっぱら前記オーバーストレッチがない領域内に配置されるように、前記曲げ軌跡に沿って前記フレキシブル部を曲げる段階を備える、請求項15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアのフレキシブル部曲げるためのコンピュータプログラムであって、
1または複数のプロセッサによって実行されているとき、請求項16の何れか一項に記載の方法を実行または制御するように適用されたコンピュータプログラム。
【請求項18】
部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアのフレキシブル部を曲げるためのプログラム要素であって、
1または複数のプロセッサによって実行されているとき、請求項16の何れか一項に記載の方法を実行または制御するように適用されたプログラム要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアのフレキシブル部の曲げ方法、曲げ装置、部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアの設計方法、コンピュータ可読媒体、及びプログラム要素に関する。
【背景技術】
【0002】
コンポーネントキャリア、および、そこに取り付けられた電子部品、および/または、そこに組み込まれた電子部品は、電子製品において広く使用されている。リジッド部と、フレキシブル部またはセミ-フレキシブル部と、を備えるリジッド-フレキシブルコンポーネントキャリアを採用することによって、リジッドコンポーネントキャリアおよびフレキシブルコンポーネントキャリアの両方の利点を組み合わせることができる。小型化の促進、製品の機能性の拡大、および、プリント配線基板などのコンポーネントキャリアに取り付けられる電子部品の数の増加は、より密集した電子デバイスを引き起こし、この電子デバイスには、より多くの数の電気接点が接続されなければならない。
【0003】
部分的にリジッドであり部分的にフレキシブルであるコンポーネントキャリアの曲げは、リジッド部とフレキシブル部との間で、および、部分的にリジッドであり部分的にフレキシブルであるコンポーネントキャリアのフレキシブル部内で、高い機械的負荷を引き起こすかもしれない。部分的にリジッドであり部分的にフレキシブルであるコンポーネントキャリアの曲げは、そのようなコンポーネントキャリアの寿命を制限するかもしれない。部分的にリジッドであり部分的にフレキシブルであるコンポーネントキャリアの曲げは、コンポーネントキャリアを損傷することさえある。
【発明の概要】
【0004】
厳しい条件下でさえも機械的な信頼性があり、損傷のリスクなしで曲げられる、リジッド部およびフレキシブル部を含むコンポーネントキャリアが必要かもしれない。
【0005】
本発明の例示的な実施形態によれば、部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアのフレキシブル部の曲げ方法が提供される。この方法は、コンポーネントキャリアのリジッド部とフレキシブル部との間の接点における回転軸の周囲で(または周りで)曲げがなくオーバーストレッチがないフレキシブル部の回転の制限に対応する制限軌跡を判断する段階と、制限軌跡によって範囲定められたオーバーストレッチがない領域内で排他的に配置された曲げ軌跡に沿ってフレキシブル部を曲げる段階と、を備える。
【0006】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアのフレキシブル部の曲げ方法が提供される。この方法は、曲げ中、フレキシブル部のオーバーストレッチを除外する曲げ軌跡に沿って、フレキシブル部を曲げる段階を備え、曲げ軌跡は、少なくとも2つの異なる軸方向に変位した回転中心を備える。
【0007】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアのフレキシブル部を曲げるための曲げ装置が提供される。この曲げ装置は、制限軌跡によって範囲定められたオーバーストレッチがない領域内で排他的に配置された曲げ軌跡に沿ってフレキシブル部を曲げるために構成された曲げ機構を備え、制限軌跡は、フレキシブル部とリジッド部との間の接点における回転軸の周囲で(または周りで)曲げがなくオーバーストレッチがないフレキシブル部の回転の制限に対応する。
【0008】
本発明のさらに別の例示的な実施形態によれば、部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアの設計方法が提供される。この方法は、設計されるコンポーネントキャリアのフレキシブル部およびリジッド部の材料を定義する段階と、コンポーネントキャリアの層組成を定義する段階と、フレキシブル部の曲げの最大必要曲げ角度を定義する段階と、定義された材料、層組成、及び最大必要曲げ角度に基づて、曲げ中においてオーバーストレッチによる破損を除外するフレキシブル部の許容長さを判断する段階と、を備える。
【0009】
本発明のさらに別の例示的な実施形態によれば、プログラム要素(例えばソフトウェアルーチン、ソースコードで、または、実行可能コードで)が提供される。このプログラム要素は、プロセッサ(マイクロプロセッサまたはCPUなど)によって実行されたとき、上記の特徴を有する方法を制御または実行するように適合されている。
【0010】
本発明のさらに別の例示的な実施形態によれば、コンピュータ可読媒体(例えばCD、DVD、USBスティック、SDカード、フロッピディスク、または、ハードディスク、または、他の記憶媒体)が提供される。このコンピュータ記憶媒体には、コンピュータプログラムが格納され、コンピュータプログラムが、プロセッサ(マイクロプロセッサまたはCPUなど)によって実行されたとき、上記の特徴を有する方法を制御または実行するように適合されている。
【0011】
本発明の実施形態に従って実行することができるデータ処理は、コンピュータプログラムによって、すなわちソフトウェアによって、または1または複数の専用の電子最適化回路を使用することによって、すなわちハードウェアで、またはハイブリッド形式で、すなわちソフトウェアコンポーネントおよびハードウェアコンポーネントを用いて、実現できる。
【0012】
本出願の状況下において、「コンポーネントキャリア」という用語は、特に、機械的支持および/または電気的接続性を提供するために、1または複数のコンポーネント(部品)をその上および/またはその中に収容可能な任意の支持構造を意味することができる。換言すれば、コンポーネントキャリアは、コンポーネントのための、機械的な、および/または、電子的なキャリアとして構成されてよい。特に、コンポーネントキャリアは、プリント配線基板、有機インターポーザー、およびIC(集積回路)基板などの、部分的にリジッドであり部分的にフレキシブルであるコンポーネントキャリアでもよい。コンポーネントキャリアは、上記のタイプのコンポーネントキャリアのうちの異なるものを組み合わせたハイブリッドボードでもよい。
【0013】
本出願の状況下において、「リジッド部」という用語は、特に、コンポーネントキャリアの動作中に一般的に発生する通常の力を加えるまたは発揮するとき、リジッド部は実質的に変形しないままである、コンポーネントキャリアの部分を意味することがある。換言すれば、リジッド部の形状は、コンポーネントキャリアの動作中に力を加えたときに変形しない。
【0014】
本出願の状況下において、「フレキシブル部」という用語は、特に、コンポーネントキャリアの動作中に発生する典型的な力を働かせると、フレキシブル部の変形につながる、コンポーネントキャリアの部分を意味することがある。フレキシブル部の変形は、コンポーネントキャリア全体の形状が、フレキシブル部を変形することによって大幅にそのように影響され得る程度まで可能であり得る。
【0015】
本出願の状況下において、「制限軌跡」という用語は、特に、フレキシブル部の伸張方向に沿ったオーバーストレッチがもたらされる前記回転において、他の領域からフレキシブル部の伸張方向におけるオーバーストレッチにつながらないリジッド部に対するフレキシブル部の回転(フレキシブル部の拡張内での曲げなしで)において領域を区切る線または場所を意味することができる。したがって、許容曲げ体積(フレキシブル部の曲げは、オーバーストレッチのリスクなしに実行され得る)は、禁止された曲げ体積(フレキシブル部の曲げは、オーバーストレッチをもたらし、その結果としてフレキシブル部の損傷をもたらすかもしれない)から分離され得る。例えば、制限軌跡は、円弧として形成されてもよく、対応する円の中心は、フレキシブル部とリジッド部との間の接点に対応してもよく、制限軌跡を定義するフレキシブル部の曲げがない回転との接点の周囲または周りで、制限軌跡は生じる。
【0016】
本出願の状況下において、「曲げがなくオーバーストレッチがない回転」との用語は、特に、フレキシブル部全体(特にまっすぐな)の回転を意味してもよく、これはフレキシブル部の拡張内での固有の曲げを含まない。これに対して、フレキシブル部は、(特に事実上)曲げがない回転中、全体として回転する。さらに、前記(特に仮想的)回転は、すなわち、前記回転中に(特にまっすぐな)フレキシブル部の(特に長手方向の)長さの増大なく、オーバーストレッチがない方法で生じ得る。記述的言えば、そのような曲げがなくオーバーストレッチがない回転は、接点と向かい合うフレキシブル部の端部に沿った軌跡または経路として制限軌跡を定義してもよく、接点は、前記回転中、空間的に固定されたままであり、それゆえ回転軸として提供され、回転軸は、(特に仮想)回転中変位する。
【0017】
本出願の状況下において、「回転軸」という用語は、特に、フレキシブル部とリジッド部との間の前記接点を通り抜けて延在する軸を意味してもよく、曲げがなくオーバーストレッチがない方法で回転するフレキシブル部(特に事実上)の周囲の軸を定義して、それにより、制限軌跡を定義する。
【0018】
本出願の状況下において、「曲げ軌跡」という用語は、特に、リジッド部に対するフレキシブル部の曲げ工程中、移動するフレキシブル部(上記の回転軸を定義するフレキシブル部とリジッド部との間の接点と向かい合う)の端部に沿う軌跡または経路を意味することができる。
【0019】
本出願の状況下において、「層組成」という用語は、特に、設計され、リジッド部およびフレキシブル部を有するコンポーネントキャリアの層構造の1または複数の特性を意味することができる。そのような層構造は、1または複数の導電層構造(例えば、銅箔などの連続する、および/または、パターン化された金属層、および/または、ビアにレーザが充満する銅などの縦方向の金属相互接続構造)、および/または、1または複数の絶縁層構造(例えば、樹脂を含み、特に、エポキシ樹脂、ガラスファイバまたはガラス球などの任意の強化粒子を含み;例えば、絶縁体は、プリプレグまたはFR4でもよい。)を備えることができる。前記層構造は、例えば、ラミネーション(すなわち、圧力および/または熱の適用)によって、接続されていてもよい。層組成は、シーケンス、種類、厚さ、組成、および/または、他の前記層構造の特性と関連してもよい。
【0020】
本出願の状況下において、「最大必要曲げ角度」という用語は、特に、コンポーネントキャリアの損傷なしで、具体的には、フレキシブル部、および/または、1または複数のリジッド部とのその接点の損傷なしで、曲げられるフレキシブル部の周囲の最大の曲げ角度を意味してよい。
【0021】
本出願の状況下において、「フレキシブル部の許容長さ」という用語は、特に、定義された材料、層組成、および、最大必要曲げ角度を考慮して、フレキシブル部の曲げ中、オーバーストレッチによる破損を回避するために、さらに、許容できる、曲げの前でのフレキシブル部の長手伸長部(特にまっすぐな)の長さを意味してもよい。
【0022】
本発明の例示的な実施形態によれば、部分的にリジッドであり部分的にフレキシブルであるコンポーネントキャリアが提供されてもよく、コンポーネントキャリアは、リジッド部およびフレキシブル部を有する。それぞれのリジッド部を有する、それらの向かい合う端部の一方または両方に接続され得る、フレキシブル部は、ありそうもなく、または、一層不可能な、曲げ中、リジッド部に接続される、フレキシブル部、および/または、その接点の損傷であって、所望されないオーバーストレッチによる損傷を提供する、曲げ軌跡の定義に従った曲げられる。これは、あらかじめ判断された制限軌跡によって範囲定められた、許容空間の体積内に全体的に存在するフレキシブル部の曲げ軌跡を確保することによって実現され得る。前記制限軌跡は、フレキシブル部の所望されないオーバーストレッチをもたらすかもしれない曲げ中において、コンポーネントキャリアのフレキシブル部によって超えられるとき、重大な線または場所である。したがって、フレキシブル部、または、リジッド部を接続するその接点の一つが、制限軌跡を通るとき、(フレキシブル部において、1または複数のクラックの形成など)破損を生じさせ得る禁止された形態に入るかもしれない。換言すれば、フレキシブル部が制限軌跡を超えて伸長し、曲げ禁止領域に伸長するときに、フレキシブル部は、(特に、フレキシブル部の材料の極限ひずみ、または、極限引張強度を超えることによって)、オーバーストレッチされるリスクに陥る。これを防止することは、曲げ中のオーバーストレッチによるフレキシブル部の損傷のリスクから信頼性高く保護することができる。フレキシブル部で部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアを曲げるとき、重要な力または機械的負荷は、具体的に、リジッド部とフレキシブル部との間の移行部に、加えられるかもしれない。したがって、従来、この移行部は、特に破損しやすい非常に高い機械的負荷の領域であるかもしれない。制限軌跡を予め判断すること、および、制限軌跡が許容される側で曲げ軌跡を確実に残存させることによって、フレキシブル部における破損、クラック形成、または、他の機械的破損のリスクを、抑制、または、完全に取り除くことができる。
【0023】
本発明の他の態様によれば、フレキシブル部およびリジッド部を有するコンポーネントキャリアの設計方法が提供され、これにより、フレキシブル部曲げ中の損傷が安全に防止されるように、フレキシブル部を設計することが可能になる。この目的のため、コンポーネントキャリアの材料、コンポーネントキャリアの層組成、組み立てられるコンポーネントキャリアのフレキシブル部の最大曲げ角度が定義される。そのようなコンポーネントキャリアの境界条件、および、所望の設計パラメータに基づいて、製造されるコンポーネントキャリアは、モデル化され、さらに、前記前提を考慮して、曲げ中のフレキシブル部の損傷(特に、損傷を引き起こすオーバーストレッチ)を回避するために許容される、フレキシブル部の長さが定義され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】その間にリジッド部およびフレキシブル部を有し、従来の方法で曲げられているコンポーネントキャリアを示す理論モデルを示す図面である。
図2】その間にリジッド部およびフレキシブル部を有し、従来の方法で曲げられているコンポーネントキャリアを示す理論モデルを示す図面である。
図3】その間にリジッド部およびフレキシブル部を有し、2つの異なる回転中心を含む本発明の例示的な実施形態に係り、曲げられているコンポーネントキャリアを示す図面である。
図4】従来のアプローチとの比較において、本発明の例示的な実施形態に係り、その間にリジッド部およびフレキシブル部を有するコンポーネントキャリアの曲げ挙動を示す図である。
図5】その間にリジッド部およびフレキシブル部を有し、3つの異なる回転中心を含む本発明の他の例示的な実施形態に係り、曲げられているコンポーネントキャリアを示す理論モデルを示す図面である。
図6】本発明の例示的な実施形態に係り、部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアのフレキシブル部を曲げるための曲げ装置の三次元図を示す。
図7】本発明の例示的な実施形態に係り、部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアの設計方法および曲げ方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、方法、曲げ装置、コンピュータ可読媒体、および、プログラム要素のさらなる例示的な実施形態について説明する。
【0026】
実施形態では、曲げ軌跡の少なくとも一部分に対応する回転中心が、上向きに曲げられる予定のフレキシブル部の下方に配置される。意外にも、(曲げ中の中心としての役目を果たす)回転中心の下向きの移動は、すなわち、前記回転中心を位置づけることは、曲げ領域からさらに離れることであり、制限軌跡の許容できる側に滞在する簡単な方法を確かにすることができ、それにより、破損を引き起こすオーバーストレッチを防止する。
【0027】
実施形態では、回転中心は、リジッド部の下方にも配置される。換言すれば、制限軌跡の一側で許容範囲内に存在する曲げ軌跡を促進するために、回転中心は、リジッド部、および、曲げられるフレキシブル部の両方よりも下方に配置されてもよい。
【0028】
実施形態では、曲げ軌跡の他の部分に対応するさらなる回転中心が、上向きに曲げられる予定のフレキシブル部の上方に配置される。曲げ軌跡を定義するために、2以上の回転中心が使用されてもよく、それぞれの回転中心は、フレキシブル部の曲げの特定の区域に対応する。上記の第1回転中心が、コンポーネントキャリア、または、それらの部分の下方に配置されたとき、制限軌跡によって範囲定められた(オーバーストレッチの保護の観点)許容曲げ量を残すことなく、第2回転中心を、コンポーネントキャリア、または、それらの部分の上方に配置することができる。コンポーネントキャリアまたはその部分の下方に一の回転中心を、上方に他の回転中心を位置づけることは、制限軌跡と共に含まれる制約に違反することなく、曲げ軌跡を定義することの柔軟性を増大させる。
【0029】
実施形態では、さらなる回転中心は、リジッド部の上方にも配置される。したがって、第2回転中心は、(曲げ工程前の形態において)コンポーネントキャリア全体の上方に配置されるかもしれない。
【0030】
既に言及したように、曲げ軌跡は、少なくとも2つの異なる回転中心を備えることができる。曲げ工程の異なる区域または段階のための異なる回転中心を用いることは、比較的自由に選択できる曲げ軌跡に沿った曲げ易さを同時に増大しながら、制限軌跡の許容側にフレキシブル部を残存させることを信頼性高く確実にするために曲げ工程を改善することができる。少なくとも3の-または3よりも大きい-異なる回転中心を使用することによって、上記の概念は、明確な適用の必要条件を、さらに、改善および適応させることができる。
【0031】
実施形態において、第1角度範囲を超えたフレキシブル部の曲げに対応する第1回転中心、および、直接接続された第2回転中心は、第1角度範囲に続く第2角度範囲を超えたフレキシブル部の曲げに対応することができる。3つの回転中心が実施されたとき、第3回転中心の周囲の曲げは、第3角度範囲などを超えたフレキシブル部の曲げに対応することができる。
【0032】
実施形態において、第1角度範囲および第2角度範囲の合計は、180度である。これは、例えば、2つのリジッド部が同一平面に存在する最初の構成から、2つのリジッド部が2つの平行かつ縦方向に変位した平面に存在する最後の構成まで、2つのリジッド部を接続するフレキシブル部の曲げに対応する。しかしながら、他の実施形態と同様に、その他の合計の曲げ角度(例えば90度)が、他の実施形態と同様に実施できる。
【0033】
実施形態では、方法は、回転中心が徐々にまたは継続的に移動することに伴う曲げ軌跡に沿ってフレキシブル部を曲げることを含む。例えば、曲げ中に、フレキシブル部、および/または、フレキシブル部とリジッド部との間の接点に加えられる、応力および/またはひずみを最小化するために、例えば、そのような(固定よりもむしろ)浮かぶ回転中心は、曲げ過程のさらなる改善のために使用できる。そのような好ましい実施形態によれば、1つ、2つ、または、3つの異なる相互に間隔をあけた回転中心が実施されているだけでなく、より多くの複数の浮いている回転中心を接続する所望の調節可能な曲線も実施できる。固定された数の相互に間隔をあけた回転中心を提供することよりはむしろ、回転中心軌跡に沿って移動する回転中心の移動を継続的にまたは徐々に調節することによって、曲げ工程は、1または複数の追加の基準(例えば、曲げ中のフレキシブル部の引っ張りの防止または限界、曲げ中の不連続性の回避、曲げの曲率の制限などに関する基準)を満たすように最適化され得る。
【0034】
実施形態において、方法は、具体的には上記の特徴を有する手動可能な曲げ装置によって曲げ軌跡に沿ってフレキシブル部を曲げる段階を含む。そのような曲げ装置は(例えば、図6図23とを比較する)、制限軌跡によって範囲定められた許容曲げ量に準じた曲げ軌跡に沿って自動的に曲げを実行するために、ユーザ(または、モータなどのドライブユニットによって代替的に支援された)によって単に操作できるように構成されることができる。
【0035】
代替的な実施形態において、方法は、ロボットによって、曲げ軌跡に沿ってフレキシブル部を曲げることを含む。特に、徐々に移動しまたは浮遊する回転中心が実施される実施形態において、ロボット操作システムは、機械的に(例えば、弓形の溝に対応してピンを走らせることによって)定義された曲げ軌跡を有するユーザ操作曲げ装置よりも適切かもしれない。
【0036】
実施形態において、方法は、曲げ中において、フレキシブル部の引っ張ることができないように、曲げ軌跡を調節する段階を備える。換言すれば、曲げ軌跡は、曲げ工程中において、フレキシブル部の長手伸長部が、力がない状態と比較して、延長、または、引き伸ばされないように定義されることができる。
【0037】
実施形態において、方法は、10%未満の極限ひずみを有する材料の少なくとも一部分を含むフレキシブル部を形成する段階を備える。極限ひずみは、特に、5%未満でもよく、より具体的には、3%未満でもよい。極限ひずみは、その初期の長さと関連し、破損後の本体の残余の伸びを示すことができる。例えば、FR4は、約2%の極限ひずみを含むことができる。そのような小さい値の極限ひずみをを考慮して、対応する材料は、特に、比較的小さい程度のオーバーストレッチですでに破損を生じる傾向がある。したがって、そのような材料の曲げ軌跡が、制限軌跡を超える禁止領域内まで延長されないことを確実にする上記の概念を適用することは、特に、そのような種類の材料に非常に適している。
【0038】
例えば、部分的に、フレキシブルコンポーネントキャリアは、十分なフレキシブル部を含み、例えば(例えば、約70%の極限ひずみを有する)ポリイミドからなる。そのような実施形態において、フレキシブル部の材料は、1または複数の隣接するリジット部の材料と異なってもよく、フレキシブル部の材料は、高い弾性または柔軟性を有するように具体的に選択されてもよい。そのような高度の弾性のあるまたは高度の柔軟性があるフレキシブル部は、通常、オーバーストレッチにより破損を生じすることはあまりないが、それにもかかわらず、あらゆる材料損傷を有利に防止する制限軌跡を含む制約を順守することを確実にする。
【0039】
他の例において、コンポーネントキャリアは、例えばFR4材料からなるセミ-フレキシブル部を有するセミ-フレックスコンポーネントキャリアでもよい。そのような構成において、例えば、リジッド部に接続された部分よりも局所的に小さい厚さを有するだけかもしれないが、セミ-フレキシブル部は、1または複数の隣接するリジット部と同じような材料でもよい。そのような構成において、フレキシブル部は、フレキシブル部のより柔軟性がある材料よりもむしろ、厚さが薄くされたことに、単に起因する。そのようなフレキシブル部の誘電体材料の通常の非常に小さな極限歪を考慮して、曲げ中に禁止された形態を超えない制限軌跡を確実にすることは、曲げ中にフレキシブル部における機械的な損傷を防止するための最大限の利点である。
【0040】
実施形態において、方法は、フレキシブル部全体(特にフレキシブル部に接続された1つまたは2つのリジッド部との接点を含む)が、曲げ工程の全プロセス中に、オーバーストレッチがない領域内で排他的に配置されるように、曲げ軌跡に沿ってフレキシブル部を曲げる段階を備える。この手段を用いて、折り畳みまたは曲げ中に、オーバーストレッチされ引き伸ばされて引き起こされた損傷から、フレキシブル部全体(特に、硬い材質との接点を含む)が信頼性高く保護されることが保証され得る。
【0041】
実施形態において、装置は、コンポーネントキャリアの2つのリジッド部を収容するための第1収容体および第2収容体(特に、プレートまたはフレーム)を備え、2つのリジッド間のフレキシブル部を収容するための2つのプレート間のヒンジ(特に、複数のヒンジで連結された)領域を備える。換言すれば、収容体のそれぞれは、リジッド部間のフレキシブル部で曲げられるコンポーネントキャリアのプレート形状の対応するリジッド部を収容するのに役立つ。制限軌跡に関する制約に従う曲げ軌跡に沿ってフレキシブル部の中間を曲げることによって、相互の2つのプレートを折り畳むことが保証され得るので、そのような構成は、破損に強い方法において、ユーザによって、直感で理解でき、操作され得る。
【0042】
実施形態において、曲げ機構は、複数ヒンジ機構を備えるように構成される。より具体的には、曲げ機構は、2または3以上の回転軸、または、さらに、浮遊するまたは段階的な回転軸の上記の対策に従う、2または3以上のヒンジ、または、さらに、浮遊するまたは段階的なヒンジを備えていてもよい。
【0043】
実施形態において、複数ヒンジ機構は、第1角度範囲を超え、かつ、第1ヒンジを用いた第1回転中心の周囲の第2収容体に対して第1収容体を回転させるように構成され、第2ヒンジ用いた他の第2の回転中心の周囲で第2角度範囲を超えて、第2収容体に対して第1収容体を続いて回転させるように構成される。少なくとも1つのさらなる回転中心が含まれるとき、第2角度範囲に続き、前記少なくとも1つのさらなる回転中心を用いた少なくとも1つの第3角度範囲が実施されてもよい。これは、曲げ装置に応じて構成された第3ヒンジの設備を含んでもよい。
【0044】
実施形態において、複数ヒンジ機構は、第1角度範囲を超えて第1回転中心の周囲で、例えば第1収容体と一緒に回転する連結要素(ホイールまたは連結レバーなど)、湾曲した、または、弓形のガイド凹部(溝など)に沿って移動する少なくとも1つのガイドピンを備える。もし、前記連結要素が存在する場合、連結要素は、第2角度範囲を超えて第2回転中心の周囲で、第1収容体の後続の動きの間、動いていない。そのような実施形態において、湾曲しまたは弓形のガイド凹部はそのような方法で湾曲してもよい。また、ガイド凹部は、弓形のガイドピンの前記複数区域内でのピンの動きが、対応する角度範囲を超えた異なる回転中心の周囲での回転に従うことを確実にする2つの不連続的な湾曲領域とともに、提供されてもよい。記述的言えば、連結要素は、上記の方法において、ターン点およびスロットリンクを定義してもよく、前記少なくとも1つのピンを収容してもよい。
【0045】
当業者は、前記第1収容体プレートおよび前記第2収容体の動き特性を理解する。当業者は、特に、前記少なくとも1つのガイドピンの、および、前記湾曲または弓形のガイドピンの、および前記任意の連結要素の動きを理解し、他の実施形態において、これらの動きは逆でもよい(特に逆運動の観点において)ことを理解する。例えば、第1収容体は、第2収容体が動いていないままの間、動かされてもよく、または、第1収容体は、第2収容体が動いている間、動かないままでよい。
【0046】
実施形態において、コンポーネントキャリアの設計方法は、設計されたコンポーネントキャリアを製造する段階と、上記のように、設計された部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアのフレキシブル部の曲げ方法を続いて実行する段階と、を備える。したがって、フレキシブル部の許容長さ、および、そこから対応する曲げ手順の実行を、正しく定義することは、統合され得る。
【0047】
実施形態において、フレキシブル部の許容長さは、欠陥を引き起こすオーバーストレッチがないフレキシブル部の最大許容長さに対応する。換言すれば、判断された許容長さは、曲げ中の機械的な損傷の防止がまだ保証されるためのフレキシブル部の可能な最大長さでもよい。したがって、フレキシブル部の最大許容長さを超えることは、フレキシブル部の破損につながるかもしれない。
【0048】
例えば、設計されおよび/または曲げられたコンポーネントキャリアは、コンポーネントキャリアに取り付けされた、および/または、組み込まれた1または複数の部品の表面を備えることができる。少なくとも1つのコンポーネント(部品)は、非導電インレイ、(金属インレイなど、好ましくは、銅またはアルミニウムを含む)導電インレイ、伝熱ユニット(例えばヒートパイプ)、光ガイド要素(例えば光導波路または光導体接続)、電子部品、またはそれらの組み合わせからなるグループから選択することができる。例えば、コンポーネントは、アクティブ電子部品、パッシブ電子部品、電子チップ、ストレージデバイス(例えば、DRAMまたはデータメモリ)、フィルタ、集積回路、信号処理部品、電力管理部品、光電子接点要素、電圧コンバーター(例えばDC/DCコンバーターまたはAC/DCコンバーター)、暗号部品、トランスミッタ、および/または、レシーバ、電気機械変換器、センサ、アクチュエータ、微小電気機械システム(MEMS)、マイクロプロセッサ、キャパシタ、抵抗、インダクタンス、電池、スイッチ、カメラ、アンテナ、論理チップ、光ガイド、および、エネルギ獲得ユニットとすることができる。しかしながら、他のコンポーネントが、コンポーネントキャリアに組み込まれてもよい。例えば、磁性素子は、コンポーネントとして用いられ得る。そのような磁性素子は、永久磁石素子(強磁性素子、反強磁性素子、またはフェリ磁性素子など。例えばフェライトベース構造)であってよく、または常磁性素子であってよい。しかしながら、コンポーネントは、例えばボードインボード構成の、さらなるコンポーネントキャリアであってもよい。1または複数のコンポーネントは、コンポーネントキャリアに設けられた表面でもよく、および/または、それらの内部に組み込まれてもよい。さらに、上記の他のコンポーネントもまた、コンポーネントとして使用できる。
【0049】
実施形態において、コンポーネントキャリアは、少なくとも1つの絶縁層構造、および、少なくとも1つの導電層構造の積層体を備える。例えば、コンポーネントキャリアは、特に、機械的圧力が適用されることによって形成された、熱エネルギーによって望ましくサポートされた、上記の絶縁層構造、および、導電層構造の積層板でもよい。言及された積層体は、さらなるコンポーネントのための大きな取り付け表面を提供可能であり、それにもかかわらず非常に薄くコンパクトであることが可能な、プレート形状のコンポーネントキャリアを提供してよい。用語"層構造"は、連続層、パターニング層、または共通の平面内にある複数の非連続的な島を、特に意味してよい。
【0050】
実施形態において、コンポーネントキャリアは、プレート形状である。これは、コンパクトな設計に寄与し、それにもかかわらず、コンポーネントキャリアはそこにコンポーネントを取り付けるための大きな土台を提供する。さらに、特に、組み込まれた電子部品を例として、裸のダイは、その小さな厚さのおかげで、プリント配線基板などの薄いプレートに組み込まれるのが好都合である。
【0051】
実施形態において、コンポーネントキャリアは、プリント配線基板および基板(特にIC基板)からなるグループの一つとして構成される。
【0052】
本出願の状況下において、「プリント配線基板」(PCB)という用語は、例えば、圧力が適用されることによって、所望の熱エネルギの供給によって伴う、いくつかの絶縁層構造を有するいくつかの導電層構造の積層板によって形成されたコンポーネントキャリア(プレート形状でもよく(すなわち、平面的な)、3次元湾曲(例えば、3Dプリンティングを用いて製造されたとき)、または、他の形状を有してもよく)を、特に意味してもよい。PCB技術のために好ましい材料として、導電層構造は銅からなり、一方、絶縁層構造は、樹脂および/またはガラスファイバ、いわゆるプリプレグまたはFR4材料を備えてよい。さまざまな導電層構造は、スルーホールを形成することによって、または、ラミネートを通り抜けて他の種類の相互接続(特に、0度と90度との間の角度で、好ましくは表面に垂直で)を形成することによって、所望の方法で互いに接続され得る。さまざま導電層構造は、例えば、レーザー穴加工によって、または、機械的な穴加工によって、および、それにより、スルーホール接続としてビアを形成する(特に銅)導電材料がこれらの穴を満たすことによって、ラミネートを通り抜けて、所望の方法で相互に接続される。プリント配線基板に組み込まれてよい1または複数のコンポーネントは別として、プリント配線基板は、通常、プレート形状のプリント配線基板の向かい合う表面の一方または両方にある、1または複数のコンポーネントを収容するように構成される。それらは、半田付けによってそれぞれの主面に接続されてよい。PCBの誘電体部分は、(ガラスファイバなどの)強化用ファイバを含む樹脂から成ってよい。
【0053】
本出願の状況下において、「基板」という用語は、特に、そこに取り付けられたコンポーネント(特に電子部品)と実質的にと同じサイズを有する小さいコンポーネントキャリアを意味してもよい。より具体的には、基板は、電気接続部または電気ネットワークのためのキャリア、および、プリント配線基板(PCB)と同等のコンポーネントキャリアであり、しかしながら、横方向に、および/または縦方向に配置された接続部の密度が著しく高いものとして理解され得る。横方向接続部は、例えば導電性通路であり、一方、縦方向接続部は、例えば穿孔穴であってよい。これらの横方向および/または縦方向接続部は、基板内に配置される。また、収納されたコンポーネントまたは収納されないコンポーネント(露出ダイなど)、特にICチップの、プリント配線基板または中間プリント配線基板との電気的な、および/または機械的な接続を提供するように用いられ得る。したがって、「基板」という用語はIC基板も含む。基板の誘電体部分は、(ガラス球などの)強化用球を含む樹脂から成ってよい。
【0054】
実施形態において、少なくとも1つの絶縁層構造の誘電体材料は、樹脂(強化または非強化樹脂、例えば、エポキシ樹脂またはビスマレイミドトリアジン樹脂、より具体的には、FR-4またはFR-5など)、シアン酸エステル、ポリフェニレン誘導体、ガラス(特に、ガラスファイバ、多層ガラス、ガラス状材料)、プリプレグ材料、ポリイミド、ポリアミド、液晶性ポリマー(LCP)、エポキシ系ビルドアップフィルム、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))、セラミック、および、金属酸化物からなるグループの中の少なくとも1つを備える。例えばガラス(多層ガラス)からなる、ウェブ、ファイバ、または球などの強化型材料が、同様に用いられてよい。プリプレグまたはFR4が通常好ましいが、他の材料も同様に用いられてよい。高周波の用途のために、ポリテトラフルオロエチレン、液晶性ポリマー、および/またはシアン酸エステル樹脂などの高周波材料が、絶縁層構造としてコンポーネントキャリアに実装されてよい。
【0055】
実施形態において、導電層構造の少なくとも1つの導電材料は、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、金、パラジウム、または、タングステンからなるグループの中の少なくとも1つを備える。通常、銅が好ましいが、他の材料またはそれらのさまざまなコーティングがされた材料も同様に可能であり、特に、グラフェンなどの既出の導電材料によってコーティングされることも可能である。
【0056】
実施形態において、コンポーネントキャリアは、ラミネートタイプの本体である。そのような実施形態において、半製品またはコンポーネントキャリアは、所望に応じて熱を伴って、押しつけ圧力が適用され、一緒に積層され接続された複数の層構造の複合物である。
【0057】
本発明の上記で定義された態様およびさらなる態様は、以下に記載される実施形態の例から明らかであり、これらの実施形態の例を参照して説明される。
【0058】
図1は、その間にリジッド部およびフレキシブル部を有し、従来の方法で曲げられているコンポーネントキャリアを示す理論モデルを示す。
【0059】
図2は、その間にリジッド部およびフレキシブル部を有し、従来の方法で曲げられているコンポーネントキャリアを示す理論モデルを示す。
【0060】
図3は、その間にリジッド部およびフレキシブル部を有し、2つの異なる回転中心を含む本発明の例示的な実施形態に係り、曲げられているコンポーネントキャリアを示す。
【0061】
図4は、従来のアプローチとの比較において、本発明の例示的な実施形態に係り、その間にリジッド部およびフレキシブル部を有するコンポーネントキャリアの曲げ挙動を示す。
【0062】
図5は、その間にリジッド部およびフレキシブル部を有し、3つの異なる回転中心を含む本発明の他の例示的な実施形態に係り、曲げられているコンポーネントキャリアを示す理論モデルを示す。
【0063】
図6は、本発明の例示的な実施形態に係り、部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアのフレキシブル部を曲げるための曲げ装置の三次元図を示す。
【0064】
図7は、本発明の例示的な実施形態に係り、部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアの設計方法および曲げ方法を示すフローチャートである。
【0065】
図面に示されているものは、概略的なものである。異なる図面において、類似または同一の要素が同じ参照符号で提供される。
【0066】
図面を参照するして、例示的な実施形態をさらに詳細に説明する前に、開発された本発明の例示的な実施形態に基づいて、いくつかの基本的な考察が要約される。
【0067】
本発明の例示的な実施形態によれば、フレキシブル部、および、1または複数のリジット部の両方を有するコンポーネントキャリアのフレキシブル部の曲げは、フレキシブル部の曲げ軌跡が、曲げ中におけるフレキシブル部のオーバーストレッチの重大エリアに入らないことを確実にすることによって、フレキシブル部の曲げ中の機械的な損傷のリスクなしで実行できる。この目的のために、制限軌跡は、オーバーストレッチのリスクなしで曲げ中にフレキシブル部が配置され得る範囲内の許容体積と、破損を引き起こすオーバーストレッチのリスクへの突入なしで曲げ中にフレキシブル部が配置されないかもしれない範囲内の禁止体積との限界または境界を定義することを判定する。対応する曲げ装置は、好ましくは複数ヒンジ曲げ用治具を含み、対応する曲げ工程を実行するように構成された本発明の他の例示的な実施形態にしたがって提供される。シミュレーションによって、制限軌跡にしたがって含まれる制約に対する順守違反は、曲げ中の製品破損に対して責任があることが示される。例えば、2つのヒンジを含む曲げ用治具は、フレキシブル部のオーバーストレッチによって引き起こされた損傷のリスクを克服することを可能とするかもしれない。
【0068】
特に、リジッド-フレックスコンポーネントキャリア技術は、ポリイミド(PI)などの柔軟性が高い材料ではなく、局所的に厚さが減少されたところだけを除き、FR4材料などのより硬い材料からなるヒンジ領域で曲げるための、ヒンジ領域を有するコンポーネントキャリア(プリント配線基板など、PCB)を製造することが必要である。FR4は、大幅に低い曲げ性能(特に、しばしば70%よりも大きいひずみ限界を有するポリイミドと比較して、約2%の極限ひずみを有する)を示す。したがって、曲げ中のオーバーストレッチ体制への重大な移行を定義する制限軌跡の順守、および、このような曲げメカニズムは、曲げられたコンポーネントキャリアの機械的な完全性を確実にするために、結局、重大となることが分かる。
【0069】
他の実施形態において、コンポーネントキャリアは、例えば、曲げ中のオーバーストレッチによる、破損を防止するためのフレキシブル部の許容長さと一緒に設計される。そのように設計されたコンポーネントキャリアは、上記のように、続いて、曲げることができる。
【0070】
オーバーストレッチは、特に、曲げを防止することができるので、重要であると考えられる。フレキシブル部が引っ張られたとき、それは、その長さに沿って実質的にまっすぐなままである。しかしながら、変形は、局所的に集中したところだけに発生し、材料において引っ張りの許容量を超えることを考慮すると曲げ破壊につながるかもしれない。その結果、オーバーストレッチは、多くの場合、間接的に、曲げ破壊の原因となり得る。
【0071】
図1は、2つのリジッド部202、および、2つのリジッド部202間に配置され曲げられるフレキシブル部204を有する、従来のコンポーネントキャリア200をモデル化した結果を示す。曲げ中にリジッド部202の一つを固定するための固定フレームは、参照番号206と一緒に示される。
【0072】
リジッド-フレックスプリント配線基板として具現化された従来の曲がったコンポーネントキャリア200は、曲げ領域において損傷する。示されたモデルでは、折り畳み半径は、おおよそ4mmであり、折り畳み角度は180度である。折り畳み手順中、クラックは、特に、コンポーネントキャリア200の特定の部分208で生じる。特に、部分208では、過度の局所的なひずみは、コンポーネントキャリア200の対応する部分が回転に従う間、発生する。部分208において、ひずみレベルは、60%まで上昇することが可能である。モデルは、さらに示され、曲げ工程中、まず、フレキシブル部204は、引っ張られ、折り曲げ工程の非常に遅い段階だけ(例えば、90度を大幅に上回る曲げ角度)で、フレキシブル部204は曲がり始まる。
【0073】
したがって、曲げ破壊が発生する従来の根本原因の分析は、折り曲げ工程において、フレキシブル部204は大きなセグメントを超える張力下で、単独のジグヒンジの位置が固定されることに起因する結果、提供される。これは、曲げ工程の重要な部分にわたって抑制されるフレキシブル部204で、曲げが発生する。結果として、フレキシブル部204は、かなりの方法で引っ張られたままである。その結果として、高い局所的な変形は、フレックス/リジッド接続で、すなわち、フレキシブル部204とリジッド部202との間の接点で、(特に、顕著な方法で、折り曲げ工程中に、動くリジッド部202との接点で、部分208参照)生じるかもしれない。この高い変形は、過度のひずみを生じる。したがって、破損を生じさせるひずみは、許容ひずみを超えることに起因して、FR4材料に生じ得る。
【0074】
図2は、その間にリジッド部202およびフレキシブル部204を有し、一つのヒンジ曲げ概略図を有し従来の方法で曲げられているコンポーネントキャリア200を図示する理論モデルを示す。換言すれば、曲げは、単独の曲げ中心212を囲む単独の円弧のような形状の曲げ軌跡210に沿って、実行される。オーバーストレッチの観点で、重大な制限を定義する(本発明の例示的な実施形態によって示されるように)制限軌跡214は、このため、最初の約90度の折り曲げ工程中、曲げ軌跡210によって超えられる。制限軌跡214は、フレキシブル部204の長さLに起因する制限に対応する。曲げ軌跡210は、目標A´に向かう角部Aの移動曲線に対応する。角部Aは、フレキシブル部204とリジッド部202との間の接点(参照、部分208)の右側に配置される。示されるように、角部Aは、曲げ軌跡210に沿って、制限軌跡214に対応し許容される制限を超えて進む。これは、上記の従来の曲げスキームにおいて、フレキシブル部204のオーバーストレッチを引き起こす。
【0075】
図1および図2を参照して記述された従来の曲げ特性の認識および分析を考慮して、曲げ中において、部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリアの機械的な損傷を回避する曲げスキームは、以下に記述されるように、本発明の例示的な実施形態に従って開発される。
【0076】
図3は、2つのリジッド部108間にフレキシブル部102を有し、本発明の例示的な実施形態に係り、曲げられているコンポーネントキャリア100を図示する理論モデルを示す。例えば、コンポーネントキャリア100は、FR4材料からなるセミ-フレキシブル部102を有するセミ-フレックスコンポーネントキャリア100である。したがって、フレキシブル部102は、フレキシブル部102およびリジッド部108の材料は同じであり、局所的に厚さが薄くされるだけによるリジッド部108とは異なることができる。FR4材料が約2%の小さな極限ひずみを有するという事実に鑑み、曲げ中のフレキシブル部102の損傷のリスクは、オーバーストレッチの場合に、非常に高い。
【0077】
図示され改善された曲げ工程は、既に、2つの異なる回転点または回転中心112、114(2つの異なるヒンジに対応して)と一緒に、移動曲線または曲げ軌跡110は、-曲げ中、移動するフレキシブル部102とリジッド部108との間の接点105に関する角部Aに沿って移動する-制限軌跡104によって定義された制限内に滞在するという認識に基づいている。この手段を用いて、折り曲げ工程中、フレキシブル部102のオーバーストレッチは、信頼性高く防止されることができ、(特に、図3の右側で、フレキシブル部102とリジッド部108との間の接点での、例えば、クラック形成である)オーバーストレッチによる破損は、回避され得る。これは、以下、さらに詳細に記述される。
【0078】
図3の説明は、フレキシブル部102の左側及び右側の2つのリジッド部108に関して、部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリア100のフレキシブル部102の曲げ方法に対応する。
【0079】
曲げが実行される前に、制限軌跡104は、コンポーネントキャリア100の左リジッド部108およびフレキシブル部102間で、図3の左側で、面間で、回転軸106の周囲での、フレキシブル部102の曲げがなく、オーバーストレッチがない、回転の制限として、判断される(または、既に、あらかじめ判断され、または、知られている)。記述的言えば、フレキシブル部102の、曲げがなく、オーバーストレッチがない、実質的な回転は、フレキシブル部102がまっすぐであり一定の長さのままである間ずっと、回転軸106の周囲でのフレキシブル部102の実質的な回転に対応する。回転軸106は、図3の紙面に垂直である。 制限軌跡104は、すなわち、中心として回転軸106に対応する、リジッド-フレキシブル-接点を有し、曲げる前に、まっすぐなフレキシブル部102の長さ、l、に等しい半径を有する円の部分として、円弧のような形状である。制限軌跡104は、許容曲げ領域150(図3による制限軌跡104の左側)を曲げ禁止領域152(図3による制限軌跡104の右側)から分離する。許容曲げ領域150において、フレキシブル部102の曲げは、フレキシブル部102のオーバーストレッチを引き起こさない。しかしながら、曲げ中に、フレキシブル部102が曲げ禁止領域152に存在するとき、フレキシブル部102は、オーバーストレッチされ、損傷(例えば、クラックの形成)されるかもしれない。したがって、曲げ工程は、フレキシブル部102が、曲げ禁止領域152内で、制限軌跡104を通過することなく、いつも全体的に許容曲げ領域150内にとどまることを、確実に実行することができる。したがって、示された曲げ軌跡110は、曲げ中において、フレキシブル部102のオーバーストレッチができないように構成される。
【0080】
制限軌跡104が判断された後、フレキシブル部102は、どんな時にも、曲げ禁止領域152に移行することなく、制限軌跡104によって区切られ、オーバーストレッチがない、許容曲げ領域150内に、排他的に配置された曲げ軌跡110に沿ってげ、曲げられ得る。示されるように、フレキシブル部102の曲げは、図3の右側で、曲げ領域102とリジッド部108との間の接点105が、許容曲げ領域150内に排他的に配置されて、曲げ軌跡110に沿って進行するために、実行される。
【0081】
有利であるが、必ずしもそうではなく、曲げ軌跡110は、2つの異なる曲げ中心112,114を用いた2段階の曲げに対応する。より具体的には、第1曲げ段階に対応する第1回転中心112は、上向きに曲げられる予定のフレキシブル部102の下方に配置され、リジッド部108の下方に配置され、すなわち、コンポーネントキャリア100全体の下方に配置される。コンポーネントキャリア100のよりも狭い主面は、曲げ前に垂直レベル107に配置されてもよい。第1回転中心112の周囲での曲げに対応する曲げ軌跡110の第1部分は、図3の右側で、フレキシブル部102とリジッド部108との間の接点105と、第1回転中心112との間の距離に対応する半径を有し、中心として第1回転中心112を有する円に対応する円弧である。 さらに、他の第2の回転中心114は、曲げ軌跡110の第1部分に直接接続された曲げ軌跡110の第2部分に対応して提供される。示されるように、第2回転中心114は、上向きに曲げられる予定のフレキシブル部102の上方、および、リジッド部108の上方に配置され、すなわち、曲げられるコンポーネントキャリア100の完全に上方、したがって、垂直レベル107の上方に配置される。第2回転中心114の周囲での曲げに対応する曲げ軌跡110の第2部分は、第1回転中心112の周囲での曲げの完了後、図3の右側で、フレキシブル部102とリジッド部108との間の接点と、第2回転中心114との間の距離に対応する半径を有し、中心として第2回転中心114を有する、さらなる円に対応する、さらなる円弧である。
【0082】
図3に示されるように、第1回転中心112を囲む回転は、第1角度範囲α(実施例では32.8度)を超えるフレキシブル部102の曲げに対応する。それに対応して、第2回転中心114を囲む回転は、第1角度範囲αに続く第2角度範囲β(実施例では147.2度)を超えるフレキシブル部102の曲げに対応する。したがって、第1角度範囲αおよび第2角度範囲βの合計は、180度の角度を囲むフレキシブル部102の曲げによって、相互のリジッド部108の曲げに対応する実施形態に示されるように、180度である。
【0083】
2つの異なる回転中心112,114に対応する、2つの異なるジグヒンジの提供に起因して、フレキシブル部102は、大いに、フレキシブル部102のオーバーストレッチなしで、曲げ工程中、フレキシブル部102の破損に強い曲げの折り曲げ工程中、張力下に存在することが防止される。
【0084】
例えば、曲げ軌跡110に沿ってフレキシブル部102を曲げる、上記の曲げ工程は、例えば、図6に示されるものであり、手動で操作可能な曲げ装置120によって実行されてもよい。 代替的に、図3に示されるように、ロボットによって実行される曲げ軌跡110も可能である。
【0085】
図3(および図5)に示される二重の矢印は、曲げ中に損傷から保護されるコンポーネントキャリア100を設計するために調整してもよい、設計可能なパラメータを示す。
【0086】
図4は、従来のアプローチとの比較において、本発明の例示的な実施形態に係り、その間に2つのリジッド部108およびフレキシブル部102を有するコンポーネントキャリア100の曲げ挙動を図示すダイヤグラム195である。
【0087】
ダイヤグラム195は、横軸166を有し、これに沿って曲げ手順の経過に対応する時間が示される。ダイヤグラム195の縦座標168に沿って、結果として生じるひずみが示される。第1曲線170は、図1および図2に対応する従来のアプローチを示す。第2曲線172および第3曲線174は、図3の実施形態に関係し、参照番号176、178と一緒に図4に示された2つの異なる位置でのひずみを示す。曲線172は位置176に対応し、一方、曲線174は位置178に対応する。したがって、ダイヤグラム195は、フレキシブル部102で作用するひずみが、本発明の例示的な実施形態による曲げ手順によって、大幅に減少され得ることを示す。
【0088】
また、図4は、詳細180として、リジッド部108の可能な構造を示す。しかしながら、フレキシブル部102の構造は、それに応じて、薄くすることができる。示されたように、コンポーネントキャリア100は、導電層構造160(例えば、銅箔などの連続する、および/または、パターン化された金属層、および/または、ビアにレーザが満たされた銅などの縦方向の金属相互接続構造)のラミネートされた積層体として構成されることができ、および、絶縁層構造162(例えば、樹脂を含み、特に、エポキシ樹脂、ガラスファイバまたはガラス球などの任意の強化粒子を含み;例えば、絶縁体は、プリプレグまたはFR4でもよい。)
【0089】
図5は、その間にリジッド部108およびフレキシブル部102を有し、本発明の例示的な実施形態に係り、曲げられているコンポーネントキャリア100を図示する理論モデルを示す。
【0090】
図5の実施形態は、図5によれば、曲げ軌跡110が(2よりはむしろ)3つの異なる回転中心112、114、115を備えるという点において、図3の実施形態と異なる。その結果、(2よりはむしろ)3つの曲げヒンジを実施することによって、曲げ中のフレキシブル部102の破損保護の観点において、さらに良い結果を得ることができる。図5によれば、曲げ中心112、114、115のうちの2つ(114,115)は、上方にあり、第3の曲げ中心(112)は、曲げ前において、コンポーネントキャリア100の下方に配置される。角度α(示された実施形態では32.8°)、β(示された実施形態では39.8°)、γ(示された実施形態では109.5°)による3つの異なる角度範囲は、3つの曲げ中心112、114、115に対応して示される。
【0091】
したがって、曲げ特性は、1または複数のさらなる曲げ中心を追加することによって、改善され得る。上記の変更は、有利な方法でさらに拡張できる。すなわち、方法は、曲げ中のフレキシブル部102に加えられる応力およびひずみを、さらに減少させ、または、一層、最小化するために選択され得る回転中心を徐々に動かして、曲げ軌跡110に沿ってフレキシブル部102を曲げる段階を備えることが可能である。その結果、例えば、折り畳み運動をさらに最大限に活用するために、無数の回転中心を有するフローティングヒンジを実施することが可能である。例えば、回転中心が徐々に移動する曲げ軌跡110に沿ってフレキシブル部102を曲げることは、容易にプログラミングされ得る、そのような、複合折り畳み軌跡として、ロボットによって、有利に実行できる。
【0092】
図6は、本発明の例示的な実施形態に係り、部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリア100のフレキシブル部102を曲げるための曲げ装置120の三次元図を図示する。示れた曲げ装置120は、図3に示されたもののように、曲げ軌跡110に従う曲げを実行することができる。しかしながら、当業者は、曲げ装置120の対応する適合物は、図5による曲げ軌跡110に従う曲げを遂行も実行できることを理解するだろう。
【0093】
示された曲げ装置120は、図4に示されたタイプのコンポーネントキャリア100の平面的な第1リジッド部108を収容するための平面的なプレート形状の第1収容体124を備える。さらに、曲げ装置120は、前記コンポーネントキャリア100の平面的な第2リジッド部108を収容するための平面的なプレート形状の第2収容体126を備える。例えば、リジッド部108の一方または両方は、曲げ中、それぞれの収容体124、126に(例えば、クランプ、または、ねじによって)一時的に固定されることができる。2つのプレート124、126間の領域は、2つのリジッド部108間に、曲げ可能なフレキシブル部102を収容できる。
【0094】
示されるように、曲げ装置120は、互いに対して収容体124、126(これらと共に、曲げ装置120に取り付けられたコンポーネントキャリア100のリジッド部108を有する)を回転させるための曲げ機構122を備える。ある動作モードにおいて、収容体126が静止している間、収容体124は動かされる。他の動作モードにおいて、収容体124が静止している間、収容体126は動かされる。
【0095】
より具体的には、曲げ機構122は、制限軌跡104によって範囲定められたオーバーストレッチがない領域150内に排他的に配置された曲げ軌跡110(図3と比較)に沿ってリジッド部108のそれぞれ1つとフレキシブル部102と間の接点の周囲で、または、接点を囲んで、フレキシブル部102を曲げために構成されている。再び、図3を参照すると、制限軌跡104は、接点で、回転軸106の周囲での曲げがなくオーバーストレッチがない、フレキシブル部102の回転に対応することが思い出される。
【0096】
図3に示されたもののような2段階曲げ手順を実行するために、図6の曲げ機構122は、2ヒンジ機構128して構成される。前記2ヒンジ機構128は、第1回転中心112の周囲で、第1角度範囲αを超えて、第2収容体126に対して第1収容体124を回転させるように構成されている。さらに、前記2ヒンジ機構128は、(すなわち、第1角度範囲αの周囲での回転が完了した後に)、他の第2の回転中心114の周囲で、第2角度範囲βを超えて、第2収容体126に対して、第1収容体124を、続いて回転させるように構成されている。これらの角度範囲α,β、および対応する回転中心110、112(再び図3と比較して)を定義するために、2ヒンジ機構128は、弓形の溝、または、ガイド凹部132のそれぞれに沿って、動くガイドピン130を備える。それぞれの弓形のガイド凹部132は、角度範囲α,β、および対応する回転中心110、112に従う曲げを実行するように、形成および配置されてされている。弓形のガイド凹部132は、回転ホイールとして(または、代替的に連結レバーとして)、具現化することができる連結要素134のそれぞれにおいて、スルーホールまたはブラインドホールとして形成することができる。曲げ始めにおいて、連結要素134は、第1角度範囲αを超えて、第1回転中心112の周囲で、第1プレート124に沿って搬送され、第1プレート124と一緒に回転する。それぞれのガイドピン130がガイド凹部132内の対応する位置に到達したとき、連結要素134の回転が停止される。その結果として、連結要素134は、第2角度範囲βを超えて、第2回転中心114の周囲で第1プレート124の後続の動きの間、静止したままである。第2段階の曲げの間、空間的に固定されたままであり、第1段階の曲げの間、ピン130とともに回転する連結要素134の特性は、協働する部材の相互の摩擦特性をそれに応じて設定することによって調整することができる。
【0097】
収容体124、126の最後の位置が到達したとき(すなわち、例えば180°の合計の角度α+βの周囲での回転の完了後)、コンポーネントキャリア100のフレキシブル部102は、オーバーストレッチなしで、したがって、損傷のリスクなしで、曲げられる。その後、曲げられたコンポーネントキャリア100は、さらなる処理のため(例えば、図示しない、電子デバイスの組立体のため)、曲げ装置120から外され得る。
【0098】
曲げ装置120は、例えば、ハンドル193,182を用いて、ユーザによって容易に操作できる。
【0099】
代替的には、同様に、図6に概略的に明示されているように、上記の曲げ工程は、プロセッサ116などの制御ユニットの制御のもとで実行できる。そのようなプロセッサ116は、例えば、上記のような、曲げ手順を実行するための曲げ装置120を駆動するためモータである、ドライブユニット186をそれに応じて操作できる。任意に、ユーザーインターフェース184は、例えば、最大曲げ角度を定義するため、フレキシブル部102の長さを入力するためなどの制御コマンドを有するプロセッサ116を、ユーザに提供可能であることが予測できる。
【0100】
図7は、本発明の例示的な実施形態に係り、部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリア100(図3または図5に示されたもののように)の設計方法を示すフローチャート190である。例えば、前記方法は、1または複数のプロセッサ(図6に示されたプロセッサ116など)によって、制御されて実行され得る。
【0101】
ブロック192から分かるように、材料、層組成、および、設計されたコンポーネントキャリア100のフレキシブル部102とリジッド部108との間の最大必要曲げ角度が定義される。例えば、材料の観点では、導電層構造160は銅からなり、絶縁層構造162はFR4からなることが定義され得る。層構造160、162の層組成、厚さ、順番、および数に関する事項が、(例えば、図4の詳細180に示される方法で)定義され得る。最大曲げ角度の観点では、例えば、2つのリジッド部108は、相互に180°(図3と同様に)まで折り畳まれることが定義される。
【0102】
ブロック194によって明示されるように、フレキシブル部102の許容長さl(図3と比較して)は、曲げ中の破損のリスクを含まないで、判断され得る。この判断は、ブロック192と比較して、あらかじめ定義された材料、層組成、および最大必要曲げ角度に基づいて実行され得る。好ましくは、フレキシブル部102の許容長さlは、オーバーストレッチによる破損がない、フレキシブル部102の最大許容長さに対応する。この判断は、折り畳み工程中、または、曲げ中、コンポーネントキャリア100に加えられる、応力、ひずみ、および他の力をモデル化することによって実行され得る。
【0103】
続いて、ブロック196の形式で示されるように、方法は、定義された材料、層組成、および許容長さを有する設計されたコンポーネントキャリア100を製造する段階を備える。
【0104】
その後、設計および製造された、部分的にフレキシブルであり部分的にリジッドであるコンポーネントキャリア100のフレキシブル部102の曲げが遂行され得る。ブロック197によって示されるように、これは、設計および製造されたコンポーネントキャリア100のリジッド部108の一つとフレキシブル部102との間の接点で、回転軸106の周囲の、曲げがなくオーバーストレッチがない、フレキシブル部102の回転の制限に対応する制限軌跡104を判断することを含むことができる。
【0105】
その後、ブロック198によって示されるように、フレキシブル部102は、制限軌跡104によって範囲定められた、オーバーストレッチがない領域150内に、排他的に配置された曲げ軌跡110に沿って、曲げられ得る。
【0106】
ブロック197、198によって概略的に示された手順は、例えば、図3を参照して上述したように、実行され得る。
【0107】
「備える(「comprising」)」との用語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、「1つの(「a」または「an」)」は、複数を排除するものではないことに留意されたい。異なる実施形態に関連して説明される要素も、組み合わされてよい。
【0108】
請求項中の参照符号は請求項の範囲を限定するものとして解釈されてはならないことにも留意されたい。
【0109】
本発明の実施は、図面に示されかつ上記された好ましい実施形態に限定されない。その代わりに、基本的に異なる実施形態の場合でも、示された解決策および本発明による原理を使用する多数の変形形態が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7