(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】入力装置及び入力方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20220101AFI20220107BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G06F3/0488
B60R16/02 630L
(21)【出願番号】P 2017154473
(22)【出願日】2017-08-09
【審査請求日】2020-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100146330
【氏名又は名称】本間 博行
(72)【発明者】
【氏名】青野 哲明
(72)【発明者】
【氏名】前畑 実
(72)【発明者】
【氏名】上野 義幸
【審査官】三吉 翔子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-266850(JP,A)
【文献】特開2016-018510(JP,A)
【文献】特開2014-115845(JP,A)
【文献】特開2011-070347(JP,A)
【文献】国際公開第2017/047180(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048
B60R 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作による操作面への接触を検出する検出部と、
前記検出部によって第一の接触が検出された後、前記第一の接触が解消された場合に、前記第一の接触に対応する操作の入力を行う操作入力部と、
前記第一の接触が検出された後、前記第一の接触が解消される前に、第二の接触が検出され、前記第一の接触及び前記第二の接触が閾値を超えた速度で所定の変位をした場合に、前記第一の接触が検出されたことを取り消す取消部と、
を備える入力装置。
【請求項2】
ユーザの操作による操作面への接触を検出する検出部と、
前記検出部によって第一の接触が検出された後、前記第一の接触が解消された場合に、前記第一の接触に対応する操作の入力を行う操作入力部と、
前記第一の接触が検出された後、前記第一の接触が解消される前に、第二の接触が検出され、前記第二の接触が所定の
軌跡を描く変位をした場合に、前記第一の接触が検出されたことを取り消す取消部と、
を備える入力装置。
【請求項3】
ユーザの操作による操作面への接触を検出する検出部と、
前記検出部によって第一の接触が検出された後、前記第一の接触が解消された場合に、前記第一の接触に対応する操作の入力を行う操作入力部と、
前記第一の接触が検出された後、前記第一の接触が解消される前に、第二の接触が検出され、前記第二の接触が、前記操作面
を構成する操作パネルの外周部のエッジ
形状部または角
形状部に対する接触である場合に、前記第一の接触が検出されたことを取り消す取消部と、
を備える入力装置。
【請求項4】
前記ユーザによる操作を受ける前記操作面を備え、
前記操作面が、前記検出部によって前記第一の接触が検出される接触検出領域と、前記接触検出領域の周囲に前記第一の接触が検出されない無反応領域とを有し、前記無反応領域内に、前記操作面から突出した凸形状、前記操作面に対して凹形状、又は前記凸形状と
前記凹形状を組み合わせた凹凸形状の指標部を有し、
前記検出部が、前記第一の接触が検出された後、前記無反応領域を含む前記操作面の検出領域全体において前記第二の接触を検出する、
請求項1
又は2に記載の入力装置。
【請求項5】
操作面に対するユーザの接触を検出する検出部によって第一の接触が検出された後、前記第一の接触が解消された場合に、前記第一の接触に対応する操作の入力を行うステップと、
前記第一の接触が検出された後、前記第一の接触が解消される前に、第二の接触が検出され、前記第一の接触及び前記第二の接触が閾値を超えた速度で所定の変位をした場合に、前記第一の接触が検出されたことを取り消すステップと、
をコンピュータが実行する入力方法。
【請求項6】
操作面に対するユーザの接触を検出する検出部によって第一の接触が検出された後、前記第一の接触が解消された場合に、前記第一の接触に対応する操作の入力を行うステップと、
前記第一の接触が検出された後、前記第一の接触が解消される前に、第二の接触が検出され、前記第二の接触が所定の
軌跡を描く変位をした場合に、前記第一の接触が検出されたことを取り消すステップと、
をコンピュータが実行する入力方法。
【請求項7】
操作面に対するユーザの接触を検出する検出部によって第一の接触が検出された後、前記第一の接触が解消された場合に、前記第一の接触に対応する操作の入力を行うステップと、
前記第一の接触が検出された後、前記第一の接触が解消される前に、第二の接触が検出され、前記第二の接触が、前記操作面
を構成する操作パネルの外周部のエッジ
形状部または角
形状部である場合に、前記第一の接触が検出されたことを取り消すステップと、
をコンピュータが実行する入力方法。
【請求項8】
前記コンピュータが、前記ユーザによる操作を受ける前記操作面を備え、
前記操作面が、前記検出部によって前記第一の接触が検出される接触検出領域と、前記接触検出領域の周囲に前記第一の接触が検出されない無反応領域とを有し、前記無反応領域内に、前記操作面から突出した凸形状、前記操作面に対して凹形状、又は前記凸形状と前記凹形状を組み合わせた凹凸形状の指標部を有し、
前記コンピュータが、前記第一の接触が検出された後、前記無反応領域を含む前記操作面の検出領域全体において前記第二の接触を検出する、
請求項5
又は6に記載の入力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置及び入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ボタンを押す操作やスイッチを切り替える操作等をディスプレイと重畳したタッチパネルや、タッチパッドに対するタッチ操作で行うようにした電子機器が広く普及している(例えば、特許文献1)。このような電子機器では、ボタンやスイッチ等の機械的な可動部品が少なくなり、故障率を低減できる、防水性を確保しやすいといった技術的なメリットのほか、外観の凹凸が少なくなり、シンプルで先進的な印象になるといった審美的なメリットを有する。
【0003】
タッチパネルやタッチパッドを用いた入力装置(以下、タッチ式の入力装置とも称す)では、ボタン等の操作対象に対して、ユーザが単に触れたことだけでなく、触れた際の操作(タッチ操作)の違い、例えば短く触れた場合(タップ又はクリックとも称す)や、短く二度触れた場合(ダブルクリック)、所定時間以上触れていた場合(長押し)などを識別し、このタッチ操作に応じた機能を実行させることができる。このため、タッチ式の入力装置では、ユーザが操作対象に触れた時点で機能を実行させるのではなく、ユーザが操作対象に触れた後、操作対象から離れた時点でタッチ操作を検出し、このタッチ操作に応じた機能を実行するものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザが操作対象から離れた時点で機能を実行する入力装置の場合、ユーザが操作対象に触れてから機能を実行するまでに僅かながら間があり、この間に間違いに気付くことがある。この場合、機能の実行前ではあるものの間違った操作対象に対応する機能が選択されたことが確定しているため、指を離した時点で望まない機能が実行されてしまう。即ち、間違いに気づいても間違った入力操作を取り消すことができないという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、操作面に触れて入力を行う際、ユーザが操作面に接触したのち、この接触に基づく操作の取り消しを可能とする技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の入力装置は、上述した課題を解決するため、
ユーザの操作による操作面への接触を検出する検出部と、
前記検出部によって第一の接触が検出された後、前記第一の接触が解消された場合に、前記第一の接触に対応する操作の入力を行う操作入力部と、
前記第一の接触が検出された後、第一の接触が解消される前に、第二の接触が検出された場合に、前記第一の接触が検出されたことを取り消す取消部と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作面に触れて入力を行う際、ユーザが操作面に接触したのち、この
接触に基づく操作の取り消しを可能とする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る入力装置を備えたシステムの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、入力装置が実行する入力方法の説明図である。
【
図6】
図6は、操作面に対して操作部位が接触した場合でも第一の接触として検出しない無反応領域を操作面内に配置した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0011】
〈装置構成〉
図1は、本実施形態に係る入力装置を備えたシステムの構成を示すブロック図、
図2は、入力装置の正面図、
図3は、パネルユニットの断面図である。
【0012】
本システム100は、パネルユニット10、制御部20、機能部30を備えている。パネルユニット10及び制御部20は、機能部30に対してユーザによる操作の情報を入力する入力装置12を構成している。パネルユニット10は、ユーザの指等の操作部位による操作を受ける操作パネル11と、操作パネル上の操作領域に対する操作を検出するタッチパネル(検出部)14と、操作パネル11の中央付近に重畳して配置されたディスプレイ15とを有している。即ち、ディスプレイ15の周囲にタッチパネル14が、設けられている。なお、タッチパネル14は、ディスプレイ15の周囲に限らず、操作パネル11の全面に重畳して配置され、中央付近においてディスプレイ15とも重畳した構成であってもよい。また、本例のパネルユニット10は、ディスプレイ15を含む構成としたが、ディスプレイ15は必須の構成ではなく、ディスプレイ15を省略してもよい。例えば、ディスプレイ15とパネルユニット10を別体に構成し、パネルユニット10が操作パネル11とタッチパネル14を備える構成、所謂タッチパッドとして構成されてもよい。また、本実施形態において、ユーザの操作部位とは、操作面に接触して操作を行う部位であり、典型的には指である。以下、操作部位を単に指とも称すが、指に限定されるものではなく、掌や肘等、指以外の部位であってもよい。また、操作部位は、操作面に対する接触を検出部で検出可能なものであれば、手袋をした指やタッチペンなど、ユーザの身体以外のものが介在するものであっても良い。
【0013】
本例の操作パネル11は、透明な略平板状の部材であり、ユーザ側に配置される表面を操作面101とし、操作部位の接触による操作(以下、タッチ操作とも称す)を受ける。また、操作面101の少なくとも一部の領域は、スライド操作部110,120,130やタッチ操作部191~196といった特定の機能を実行させるための操作対象として定められている。タッチ操作部191~196は、音源の選択やチャネルの変更等の機能が割り当てられたボタンを模した操作対象、スライド操作部110,120は、音量の調整や選局等の機能が割り当てられた直線状の操作対象、スライド操作部130は、円形に指をスライドさせることによって操作量を調整するダイヤル型の操作対象である。
【0014】
操作対象が設定されている領域には、印刷や凹凸加工が施され、ユーザが各操作対象を認識できるようになっている。例えば、スライド操作部110,120,130であれば、スライド操作が可能な範囲や方向が示され、タッチ操作部191~196であればタッ
チ操作可能な範囲やタッチ操作を行った場合の機能の名称等が示されている。
【0015】
タッチパネル14は、ユーザの指が操作面に接触した際の静電容量の変化に基づいて、接触位置を求める静電容量方式のタッチパネルである。例えば、
図2では、操作面(平面)内に直交する二つの軸(X軸,Y軸)を有する座標系を定め、接触位置をこの座標系における座標(以下、位置情報とも称す)として求める。なお、タッチパネル14は、静電容量方式に限らず、抵抗膜方式や、超音波表面弾性波方式、光学方式であってもよい。
【0016】
ディスプレイ15は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示手段であり、タッチパネル14で検出した操作に応じた制御信号を機能部30へ入力した結果等の映像信号を機能部30から受信して表示する。
【0017】
制御部20は、タッチパネル14による検出結果(位置情報)に基づいて、ユーザによるタッチ操作を検出し、タッチ操作に応じた制御信号を生成して機能部30へ入力する。
【0018】
制御部20は、例えばCPUやメモリを備えたマイクロコンピュータである。メモリは、主記憶装置と補助記憶装置とを含んでもよい。主記憶装置は、CPUの作業領域,プログラムやデータの記憶領域,通信データのバッファ領域として使用される。主記憶装置は、例えば、Random Access Memory(RAM),或いはRAMとRead Only Memory(ROM)との組み合わせで形成される。メモリには、オペレーティングシステムやファームウェアといったプログラムがインストールされている。
【0019】
CPUは、MPU(Micro Processor Unit)、マイクロプロセッサ、プロセッサ、処理装置とも呼ばれる。CPUは、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPUがマルチコア構成を有していても良い。上記各部の少なくとも一部の処理は、CPU以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われても良い。また、上記各部の少なくとも一部の処理は、集積回路(IC)、その他のデジタル回路であっても良い。また、上記各部の少なくとも一部にアナログ回路が含まれても良い。集積回路は、LSI,Application Specific Integrated Circuit(ASIC),プログ
ラマブルロジックデバイス(PLD)を含む。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。上記各部は、プロセッサと集積回路との組み合わせであっても
良い。組み合わせは、例えば、MCU(Micro Controller Unit),SoC(System-on-a-chip),システムLSI,チップセットなどと呼ばれる。
【0020】
CPUは、メモリに記憶されたプログラムを主記憶装置にロードし、当該プログラムに記述された処理を実行することで、操作入力部201や取消部202の機能を果たす。
【0021】
操作入力部201は、タッチパネル14によって第一の接触が検出された後、当該第一の接触が解消された場合に、第一の接触に対応する操作の入力を行う。例えば、ユーザが操作面101に指で触れ、この指を操作面101から離した時に、操作の入力を行う。
【0022】
取消部202は、第一の接触が検出された後、第一の接触が解消される前に、第二の接触が検出された場合に、第一の接触が検出されたことを取り消す。また、取消部202は、第一の接触及び第二の接触が所定の変位をした場合に、取消操作が行われたものと認識し、前記第一の接触が検出されたことを取り消す。第一の接触及び第二の接触の変位とは、接触した状態から接触していない状態に変化した場合や、接触位置の変化など、第一の接触及び第二の接触についてのタッチパネル14による検出結果の変化である。
【0023】
例えば、ユーザが操作面101上の操作対象に指で触れ(第一の接触)、ここで操作対象を間違えたことに気付いた場合、最初の指を離す前に他の指で操作面101に触れ(第二の接触)、この二本の指で所定の操作を行った場合に、最初の指で触れたことを無かったことにし、間違って触れた操作対象の機能を実行させないようにすることができる。なお、取消部202は、第一の接触及び第二の接触の2点に限らず、第二の接触が所定の変位をした場合に、前記第一の接触が検出されたことを取り消してもよい。
【0024】
機能部30は、入力装置12から入力される制御信号に応じて制御対象の制御を実行する装置であり、例えば、音楽やラジオを再生するオーディオ機能である。また、本例のシステム100は、オーディオ機能に加えて、目的地までの経路の算出や、経路の表示といったナビゲーション機能と、動画の再生やテレビ放送の表示を行うビジュアル機能とを実行する機能部30を一体的に備えた電子機器(AVN機)であってもよい。また、これに限らず、機能部30は、エアコンや、ドライブレコーダ、サイドミラーの角度調整、前照灯の照射位置(高さ)の調整等の機能を実行するものであっても良い。
【0025】
〈入力方法〉
次に、入力装置12が、検出したタッチ操作に基づく制御信号を機能部へ入力する入力方法について説明する。
図4は、入力装置12が実行する入力方法の説明図である。入力装置12は、処理の開始指示を受けた場合や車両の電気系統がONとなった場合に、
図4の処理を開始する。
【0026】
先ず、入力装置12は、操作面101に対する第一の接触を検出したか否かを判定し(ステップS10)、否定判定であれば(ステップS10、No)、
図4の処理を終了する。
【0027】
一方、ステップS10にて肯定判定の場合(ステップS10、Yes)、入力装置12は、当該接触位置の位置情報を取得し、メモリに記憶する(ステップS20)。
【0028】
次に、入力装置12は、第二の接触を検出したか否かを判定する(ステップS30)。例えば、第一の接触と別の箇所で接触があった場合、即ち操作面101に対して複数箇所の接触があった場合に第二の接触があったと判定する。
【0029】
ステップS30において否定判定であれば(ステップS30,No)、入力装置12は、第一の接触が解消されたか否かを判定する(ステップS40)。ここで否定判定であれば(ステップS40,No)、入力装置12は、
図4の処理を終了する。なお、本実施形態において第一の接触が解消されたとは、第一の接触に係るタッチ操作が完了したことである。この第一の接触が解消されたことの判定は、単に接触部位が操作面101から離れたことだけでなく、タッチパネル14による検出結果が所定条件を満たした場合に肯定判定するものでも良い。例えば、タッチ操作として、ダブルクリックやシングルクリックが行われる場合、第一の接触を検出した後、当該接触が検出されなくなってから所定時間(例えば0.5秒)以上経過した場合に第一の接触が解消されたと判定する。即ち、ダブルクリックのように、一瞬操作面101から操作部位を離しても所定時間以内に次の接触を行う場合には、この二度目の接触を含めた一連の操作を第一の接触として検出する。また、これに限らず、第一の接触を検出した後、当該接触が検出されなくなってから所定時間(例えば0.3秒)以内に次の接触を検出した場合にダブルクリックが行われたものとして、この二度目の接触を第一の接触に含めてもよい。更に、第一の接触を検出してから所定時間以上接触が継続された後、当該接触が検出されなくなった場合(長押しされた場合)には、ダブルクリックの可能性がないため、当該接触が検出されなくなった後、直ちに第一の接触が解消されたと判定してもよい。
【0030】
ステップS40において肯定判定であれば、入力装置12は、ステップS20で取得した位置情報に基づき、第一の接触が行われた操作対象を特定し、対応する操作を示す制御信号を機能部30に対して入力する(ステップS50)。例えば、位置情報に基づいて特定した操作対象が、
図2に示すタッチ操作部191~196の何れかであった場合、この特定したタッチ操作部191~196と対応する操作が行われたことを示す制御信号を機能部30へ入力して当該タッチ操作部191~196に割り当てられた機能を実行させる。また、第一の接触が行われた操作対象がスライド操作部110,120,130であった場合には、対応する操作と共に、その操作方向(スライド方向)や操作量(スライド量)を示す制御信号を機能部30へ入力する。ステップS50の入力後、入力装置12は、ステップS20でメモリに記憶したデータを初期化し(ステップS60)、第一の接触が検出されていない状態に戻して
図4の処理を終了する。
【0031】
一方、ステップS30において第二の接触を検出したと判定した場合(ステップS30,Yes)、入力装置12は、当該接触位置の位置情報を取得し、メモリに記憶する(ステップS70)。また、入力装置12は、タッチパネル14で検出した第一の接触と第二の接触について所定の取消操作が行われたか否かを判定する(ステップS80)。なお、取消操作の詳細については後述する。
【0032】
入力装置12は、ステップS80において否定判定であれば(ステップS80,No)、
図4の処理を終了し、肯定判定であれば(ステップS80,Yes)、ステップS20でメモリに記憶したデータを初期化し(ステップS90)、第一の接触が行われたことを取り消して、
図4の処理を終了する。なお、
図4の処理は、入力装置12を停止させる指示を受けるまで、或は車両の電気系統がOFFとなるまで所定の周期で繰り返し実行される。
【0033】
これにより例えば、ユーザが操作面101上の操作対象に指でタッチ(第一の接触)した時に、タッチする操作対象を間違えたことに気付いた場合、別の指で操作面101にタッチし(第二の接触)、長押しする等の取消操作を行うことで、間違った操作対象に対するタッチ(第一の接触)を無かったことにできる。
【0034】
図4において、第一の接触を検出した場合(ステップS10,Yes)、この第一の接触が解消されるまで
図4の処理が繰り返し実行されて、ステップS20で接触位置の位置情報が繰り返し取得され、この位置情報の変化によって操作軌跡が求められる。例えばスライド操作部110,120,130に対する操作の場合、この操作軌跡の方向や量が、制御信号のスライド方向やスライド量として機能部30へ入力される。また、第二の接触が検出された場合(ステップS30,Yes)、取消操作が行われたと判定されるまで、ステップS60で接触位置の位置情報が繰り返し取得され、この位置情報の変化(操作軌跡)に基づいて取消操作が行われたか否かが判定される。
【0035】
図5は、取消操作の例を示す図である。
図5(A)は、取消操作として、第一の接触を行った指71と第二の接触を行った指72とを共に下方向へ移動させた例を示している。なお、図中の矢印は、第一の接触と第二の接触の操作軌跡を示している。即ち、ステップS20で取得した位置情報とステップS60で取得した位置情報に基づく操作軌跡が共に下方向へ移動したものであった場合に、入力装置12は、取消操作が行われたと判定する(ステップS70,Yes)。なお、
図5(A)では、第一の接触と第二の接触が下方向へ移動した場合に取消操作が行われたと判定したが、この移動方向(操作方向)は下方向に限定されるものではなく、上方向や操作パネル11の外方向などの所定方向であってもよい。
【0036】
図5(B)は、取消操作として、第一の接触を行った指71と第二の接触を行った指7
2とを共にフリックさせた例を示している。即ち、ステップS20で取得した位置情報とステップS60で取得した位置情報に基づく操作軌跡が共に移動した後に操作面101から離れたものであった場合に、入力装置12は、取消操作が行われたと判定する(ステップS70,Yes)。なお、入力装置12は、所定方向へフリックされた場合に取消操作が行われたと判定しても良いし、フリックの方向を定めず、どの方向にフリックされた場合でも取消操作が行われたと判定してもよい。また、フリックの速度が閾値を越えた場合、即ち高い速度でフリックを行った場合に取消操作が行われたと判定してもよい。
【0037】
図5(C)は、取消操作として、第一の接触を行った指71と第二の接触を行った指72とを共にレ点を描くように移動させた例を示している。即ち、ステップS20で取得した位置情報とステップS60で取得した位置情報に基づく操作軌跡が共に移動した後、方向を変えて移動して操作面101から離れ、このときの操作軌跡がレの字状であった場合に、入力装置12は、取消操作が行われたと判定する(ステップS70,Yes)。
【0038】
図5(D)は、取消操作として、第一の接触を行った指71と第二の接触を行った指72とを共に丸印を描くように移動させた例を示している。即ち、ステップS20で取得した位置情報とステップS60で取得した位置情報に基づく操作軌跡が共に湾曲して移動し、ほぼ同じ位置に戻って操作面101から離れたものであった場合に、入力装置12は、取消操作が行われたと判定する(ステップS70,Yes)。なお、この場合の操作軌跡は、厳密に円形でなくてもよい。
【0039】
なお、
図5(A)~
図5(D)では、第一の接触を行った指71と第二の接触を行った指72とを共に移動させる例を示したが、これに限らず、第一の接触を行った指71を動かさずに、第二の接触を行った指72のみで、所定方向へ移動する、フリックする、レ点を描く、丸印を描くといった操作が行われた場合に、取消操作が行われたと判定する構成であってもよい。
【0040】
図5(E)は、取消操作として、第二の接触を行った指72でダブルクリックをした例を示している。即ち、ステップS60で取得した位置情報に基づく操作軌跡が所定距離以上移動せずに短く二度接触した後に操作面101から離れたものであった場合に、入力装置12は、取消操作が行われたと判定する(ステップS70,Yes)。この場合の取消操作は、第一の接触を行った指71を動かさずに、第二の接触を行った指72のみでダブルクリックをするものであっても、指71と指72で共にダブルクリックをするものであってもよい。
【0041】
図5(F)は、取消操作として、第二の接触を行った指72で特定の領域(取消領域)に触れた例を示している。即ち、ステップS60で取得した位置情報が取消領域内であった場合に、入力装置12は、取消操作が行われたと判定する(ステップS70,Yes)。ここで、取消領域とは、第一の接触を取り消すために予め設定された領域であり、例えば、操作パネル11(操作面101)の四隅やエッジなどであり、
図5(F)の例では、指71でタッチ操作部196に触れ、指72で操作パネル11のエッジに触れた例を示している。また、取消領域は、操作対象の操作面101内に配置した取消ボタン等を示す領域であってもよい。
【0042】
これにより、第二の接触を行った後にフリックやダブルクリック等の特定の移動操作を行う必要がなく、取消領域内で第二の接触を行うだけで容易に第一の接触を取り消すことができる。また、操作パネル11の四隅やエッジなど、ユーザが触り易い領域を取消領域として定めておくことで、例えば運転中のユーザが操作パネル11を注視せずに第一の接触を取り消すことができる。
【0043】
図5(G)は、取消操作として、第一の接触を行った指71を操作面101から離さずに特定の領域(取消領域)に移動させて第二の接触を行った例を示している。
図5(A)~
図5(F)の例では、第一の接触を行った指71とは別の指72で第一の接触とは異なる位置を触れたことを第二の接触としたが、これに限らず
図5(G)では、第一の接触を行った指71を移動させて第二の接触を行っている。例えば、入力装置12は、第一の接触を検出した後(ステップS10,Yes)、第一の接触が解消していないと判定した状態(ステップS40,No)で
図4の処理を繰り返し、ステップS20で取得した位置情報が指71の移動に伴って変化して、取消領域内となった場合に、第二の接触が行われたと判定する(ステップS30,Yes)。また、取消領域内で第二の接触が行われたことから、ステップS70で取消操作が行われたと判定する。なお、
図5(G)では、タッチ操作部196に触れた指71を操作パネル11の角(取消領域)に移動させた例を示している。
【0044】
〈検出領域の一例〉
図6は、操作面101に対して操作部位が接触した場合でも第一の接触として検出しない無反応領域を操作面101内に配置した例を示す図である。
図6の例では、斜線状の網掛けを付したタッチ操作部191~196及びスライド操作部110,120,130が第一の接触を検出する領域であり、その周囲の白抜きの領域が無反応領域である。
【0045】
複数のボタンが配列された入力装置において、ユーザが所望のボタンを押す操作を行う場合、従来の機械的なボタンを採用した入力装置では、先ずボタンに軽く触れて所望のボタンであることを触覚で確認してから、当該ボタンを押し込むといった操作を行うことができる。これに対し、タッチ式の入力装置では、操作面に触れるだけで何らかの入力が開始されてしまうので、ユーザは操作面から指を浮かせた状態で所望のボタンを選ばなければならない。特に、静電容量式や光学式のタッチパネルを採用した入力装置では、操作面に指を近づけただけで反応することがあり、操作面から十分に指を離す必要がある。このように指を浮かせた不安定な状態でボタンを選ぶと、押すボタンを選んだ後、実際に押す際に間違って異なるボタンを押してしまうことがある。特に、車両に搭載されたオーディオ等の操作を行うような場合、ユーザ(運転者)が操作面を注視することが難しいことや振動の影響等によって、入力操作を誤ることがあった。
【0046】
そこで、本実施形態では、操作面101内に無反応領域を配置し、ユーザがこの無反応領域に触れて、手指を安定させた状態でボタン等の操作対象を選ぶことができるようにしている。このように無反応領域を設けたことにより、ユーザが先ず無反応領域に触れて体勢を整えてから所望のボタンにタッチすることができ、確実に操作を行うことができる。
【0047】
なお、無反応領域は、
図6の例に限定されるものではなく、タッチパネル14の検出範囲内であって、操作対象以外の領域であれば任意に設定できる。例えば、無反応領域は、各操作対象の少なくとも一部と隣接して設けられることが望ましく、特に複数の操作対象が配列されている場合には、この操作対象の間に設けられることが望ましいこれによりユーザが、複数の操作対象の何れをタッチすればよいか迷った場合でも無効領域に指を置いて体勢を整えることができ、落ち着いて操作することができる。
【0048】
また、無効領域は、操作面101の外周(エッジ)や四隅であってもよい。このようにユーザが認識しやすい位置を無効領域として定めることで、例えば運転中のユーザが操作パネル11を注視しなくても無効領域に手指を置くことができ、操作性が向上する。
【0049】
更に、
図6の例では、タッチ操作部193とタッチ操作部194の間の無反応領域に、操作面101から突出した凸形状の指標部75を形成している。これにより、ユーザが先ず無反応領域の指標部75に触れ、この指標部75との位置関係に基づいて所望のボタン
にタッチすることができ、確実に操作を行うことができる。例えば、タッチ操作部193にタッチするのであれば、指標部75の左隣りのボタン、タッチ操作部195にタッチするのであれば、指標部75の右側2つ目のボタン等のように、指標部75との位置関係(相対位置)から各操作対象の位置を把握し、所望の操作対象にタッチ操作することができる。なお、指標部75は、ユーザが触覚によって認識できるように、指標部75以外の操作面101と異なる形状であればよく、例えば、操作面101に対して凹形状であっても、凹凸が組み合わされた形状であってもよい。
【0050】
図6の例において、無反応領域は、第一の接触を検出しない領域であり、
図4のステップS30で検出する第二の接触や、ステップS60で検出する位置情報については、無反応領域に拘らずタッチパネル14の検出領域全体で検出する。これにより第一の接触を検出する範囲を限定して、手指を置く場所を確保しつつ、第二の接触や取消操作については検出範囲を限定せず、第一の接触を取り消す操作を確実に行えるようにしている。
【0051】
〈実施形態の作用効果〉
本実施形態では、入力装置12が、ユーザの操作による操作面101への接触を検出するタッチパネル(検出部)14と、前記検出部によって第一の接触が検出された後、前記第一の接触が解消された場合に、前記第一の接触に対応する操作の入力を行う操作入力部201と、前記第一の接触が検出された後、第一の接触が解消される前に、第二の接触が検出された場合に、前記第一の接触が検出されたことを取り消す取消部202とを備える。
【0052】
この構成により、入力装置12は、第一の接触を検出した場合であっても、第二の接触を検出した場合には、第一の接触を取り消すことができるので、ユーザが間違った操作対象にタッチ(第一の接触)したことに気付いた場合、第二の接触を行って、間違ったタッチを取り消すことができる。このため間違った操作対象に対応する機能を実行させることなく、正しい操作をやり直すことができる。
【0053】
また、本実施形態の入力装置12は、前記ユーザの操作によって、前記第一の接触及び前記第二の接触が所定の変位をした場合に、前記第一の接触が検出されたことを取り消す。
【0054】
この構成により、ユーザが二本の指でスライド、フリック、円を描く等、所定の取消動作を行った場合に、入力装置12が、この取消操作を認識し、第一の接触を取り消すことができる。従ってユーザが取消動作を行ったときのみ、適切に第一の接触を取り消すことができる。
【0055】
本実施形態の入力装置12は、前記ユーザの操作によって、前記第二の接触が所定の変位をした場合に、前記第一の接触が検出されたことを取り消す。
【0056】
この構成により、ユーザが最初に間違った操作対象に触れた指を止めたまま、二本目の指でダブルクリック、スライド、フリック、円を描く等、所定の取消動作を行った場合に、入力装置12が、この取消操作を認識し、第一の接触を取り消すことができる。
【0057】
本実施形態の入力装置12は、第二の接触が、操作面101の特定の領域(取消領域)になされる接触であった場合に第一の接触が検出されたことを取り消す。
【0058】
この構成により、ユーザは、第二の接触を行った後にフリックやダブルクリック等の特定の移動操作を行うのではなく、特定の域内で第二の接触を行うだけで容易に第一の接触を取り消すことができる。
【0059】
また、本実施形態の入力装置12おいて、前記特定の領域は、前記操作面101のエッジまたは角である。
【0060】
この構成により、操作面101のエッジや角といったユーザが触り易い領域で第二の接触が行われた場合に、入力装置12が第一の接触を取り消すので、ユーザは、操作面101を注視せずに第一の接触を取り消すことができる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 パネルユニット
11 操作パネル
12 入力装置
14 タッチパネル
15 ディスプレイ
20 制御部
30 機能部
100 システム
101 操作面
110,120,130 スライド操作部
191~196 タッチ操作部
201 操作入力部
202 取消部