(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】体細胞可動要素の分析のための方法、およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/68 20180101AFI20220127BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20220127BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20220127BHJP
A61K 45/00 20060101ALN20220127BHJP
A61P 43/00 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
C12Q1/68
C12Q1/6869 Z
C12N15/09 Z
A61K45/00
A61P43/00 107
(21)【出願番号】P 2016572365
(86)(22)【出願日】2015-02-27
(86)【国際出願番号】 US2015018115
(87)【国際公開番号】W WO2015131110
(87)【国際公開日】2015-09-03
【審査請求日】2018-02-26
(32)【優先日】2014-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521174222
【氏名又は名称】ジャンプコード ゲノミクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,キース
【審査官】佐久 敬
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-508082(JP,A)
【文献】Cell, 2013, Vol. 153, pp. 101-111
【文献】Cell, 2010, Vol. 141, pp. 1253-1261
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q
A61K
A61P
C12N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動要素挿入物(MEI)をモニタリングする方法であって、該方法は、
複数のMEI挿入境界を含
むゲノム配列情報を取得する工程;
複数のMEI挿入境界間の発癌遺伝子に隣接しているMEI挿入境界を同定するために複数のMEI挿入境界を調査する工程;
および発癌遺伝子に隣接しているMEI
挿入境界の量的存在率を経過観察する工程、
を含み、
観察する工程は、第1の時点で第1のサンプル中のMEI境界の量的存在率を決定する工程、および第2の時点で第2のサンプル中のMEI境界の量的存在率を決定する工程を含み、前記ゲノム配列情報を取得する工程は、PCR増幅工程を含まない
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1
のサンプルおよび前記第2
のサンプルは腫瘍組織を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
第1の核酸サンプルおよび第2の核酸サンプルを比較する方法であって、該方法は、
前記第1の核酸サンプルの複数の可動要素挿入物(MEI)境界に対するMEI境界配列を取得する工程;
前記第2の核酸サンプル中の前記複数のMEI境界の存在を分析する工程;
および、前記第2の核酸サンプルが、前記第1の核酸サンプル中に存在する、挿入配列を含むMEI境界配列を欠いている場合に、前記第1の核酸サンプルと異なるものとして前記第2の核酸サンプルを同定する工程、
を含み、前記MEI境界配列を取得する工程は、PCR増幅工程を含まない
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
前記第2の核酸サンプルが、前記第1の核酸サンプル中には存在しない、挿入配列を含むMEI境界配列を含む場合に、前記第1の核酸サンプルと異なるものとして前記第2の核酸サンプルを同定する工程を含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の核酸サンプルの複数
の可動要素挿入物(MEI)境界に対するMEI境界配列を取得する工程は、前記第1の核酸サンプルの全ゲノム配列決定を実行する工程を含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の核酸サンプルの複数
の可動要素挿入物(MEI)境界に対するMEI境界配列を取得する工程は、前記第1の核酸サンプルの前記複数のMEI境界の標的とされた配列決定を実行する工程を含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の核酸サンプル中の前記複数のMEI境界の存在を分析する工程は、前記第2の核酸サンプルの全ゲノム配列決定を実行する工程を含む、請求項
3-
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の核酸サンプル中の前記複数のMEI境界の存在を分析する工程は、前記第2の核酸サンプルの前記複数のMEI境界の標的とされた配列決定を実行する工程を含む、請求項
3-
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の核酸サンプルの前記複数のMEI境界の標的とされた配列決定を実行する工程は、前記第1の核酸サンプルの各MEI挿入部位を特異的に増殖させるプライマーを含むプライマーのパネルに、前記第2の核酸サンプルを接触させる工程を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の核酸サンプルの前記複数のMEI境界の標的とされた配列決定を実行する工程は、前記第1の核酸サンプルの各MEI挿入部位に対し特異的にアニールするプローブを含むプローブのパネルに、前記第2の核酸サンプルを接触させる工程を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
プローブのパネルは、基質に結合されたプローブが基質に結合されていないプローブに対し差分的に視覚化可能であるように蛍光体へ結合された、少なくとも1つのプローブを含む、請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2014年2月27日に出願された米国仮出願第61/945,791号の利益を主張し、その全体が参照によって本明細書に組込まれる。
【0002】
参照による組込み
この明細書において言及された全ての出版物、特許、および特許出願は、あたかも、個々の出版物、特許または特許出願それぞれが、参照によってその全体が組み入れられると特異的かつ個別的に表示されたのと同程度に、参照によって本出願に組込まれる。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施形態は、細胞増殖にタグ付けされた可動要素挿入物(MEI)を同定する方法に関し、該方法は、第1の核酸サンプルにおいて第1のMEI挿入部位で定量的にMEIレベルを測定する工程、第2の核酸サンプルにおいて第1のMEI挿入部位で定量的にMEIレベルを測定する工程、および、第1の核酸サンプル中の第1のMEI挿入部位でのMEIレベルが、第2の核酸サンプル中の第1のMEI挿入部位でのMEIレベルと実質的に異なる場合に、細胞増殖とタグ付けされたタグ付きMEIとして、第1のMEI挿入部位を同定する工程、を含む。方法のいくつかの様相において、第1核酸サンプルおよび第2の核酸サンプルは、実質的に同様の量の核酸を含む。方法のいくつかの様相において、対照核酸は、第1核酸サンプルおよび第2の核酸サンプル中に、実質的に同量で存在する。方法のいくつかの様相は、第1のMEI挿入部位に隣接する配列を識別する工程を含む。方法のいくつかの様相は、第1のMEI挿入部位に隣接する配列中の欠損に対処する際の有効性に関連する処置を選択する工程を含む。方法のいくつかの様相において、第1の核酸サンプルおよび第2の核酸サンプルは、第1の時点および第2の時点で共通の個体から取得される。方法のいくつかの様相において、第1の時点および第2の時点は、個人投与される処置によって離される。方法のいくつかの様相において、処置は癌治療を含む。方法のいくつかの様相において、第1の時点および第2の時点は少なくとも6か月間離される。方法のいくつかの様相において、第1の時点および第2の時点は少なくとも1年間離される。方法のいくつかの様相において、第1の時点および第2の時点は少なくとも2年間離される。方法のいくつかの様相において、第1の時点および第2の時点は少なくとも5年間離される。方法のいくつかの様相において、第1の核酸サンプルおよび第2の核酸サンプルは、血液から抽出される。方法のいくつかの様相において、第1の核酸サンプルおよび第2の核酸サンプルは、循環する遊離核酸を含む。方法のいくつかの様相において、第1の核酸サンプルおよび第2の核酸サンプルは、循環する遊離ゲノムDNAを含む。方法のいくつかの様相において、第1の核酸サンプルは第1の位置で個体から取得され、第2の核酸サンプルは第2の位置で個体から取得される。方法のいくつかの様相において、第1の位置は第1の癌組織を含む。方法のいくつかの様相において、第2の位置は健常組織を含む。方法のいくつかの様相において、第2の位置は第2の癌組織を含む。方法のいくつかの様相において、第2の癌組織および第1の癌組織は、共通の癌に由来する。方法のいくつかの様相は、第1の核酸サンプル中の第1のMEI挿入部位でのMEIレベル、および第2の核酸サンプル中の第1のMEI挿入部位のMEIレベルを示すレポートを生成する工程を含む。方法のいくつかの様相において、レポートは個体に提供される。方法のいくつかの様相において、レポートは健康管理の専門家に提供される。方法のいくつかの様相において、レポートは秘密に製作される。
【0004】
いくつかの実施形態は、可動要素挿入物(MEI)をモニタリングするレジメンに関し、該レジメンは、複数のMEI挿入境界を含むゲノム配列情報を個体から取得する工程、発癌遺伝子に隣接する境界を同定するために複数のMEI挿入境界を調査する工程、および発癌遺伝子に隣接しているMEI境界の量的存在率を経過観察する工程、を含む。方法のいくつかの様相において、発癌遺伝子に隣接しているMEI境界の量的存在量の経過観察は、第1の時点で第1の血液サンプルを取得する工程、第1の時点で第1の血液サンプル中のMEI境界の量的存在量を決定する工程、第2の時点で第2の血液サンプルを取得する工程、および、第2の時点で第2の血液サンプル中のMEI境界の存在量を決定する工程、を含む。方法のいくつかの様相において、発癌遺伝子に隣接しているMEI境界の量的存在量の経過観察は、第1の時点で第1の組織サンプルを取得する工程、第1の時点で第1の組織サンプル中のMEI境界の量的存在量を決定する工程、第2の時点で第2の組織サンプルを取得する工程、および第2の時点で第2の組織サンプル中のMEI境界の量的存在量を決定する工程、を含む。方法のいくつかの様相において、第1の組織サンプルおよび第2の組織サンプルは腫瘍組織を含む。方法のいくつかの様相は、発癌遺伝子中の欠損と関係する癌に対処するための処置を選択する工程を含む。方法のいくつかの様相は、MEI挿入部位の量的存在量がサンプル中で第1の時点から第2の時点への閾値を超えて増加する場合に、発癌遺伝子の欠損と関係する癌に対処するための処置を実施する工程を含む。方法のいくつかの様相において、閾値は10%の増加である。方法のいくつかの様相において、閾値は20%の増加である。方法のいくつかの様相において、閾値は30%の増加である。方法のいくつかの様相において、閾値は50%の増加である。方法のいくつかの様相は、第1の時点に先立って発癌遺伝子の欠損と関係する癌に対処するための処置の第1の投与量を投与する工程、およびMEI挿入部位の量的存在量がサンプル中において第1の時点から第2の時点への閾値より下に減少しない場合に、投与量を増加させる工程、を含む。方法のいくつかの様相において、閾値は第1の時点の量の90%である。方法のいくつかの様相において、閾値は第1の時点の量の80%である。方法のいくつかの様相において、閾値は第1の時点の量の70%である。方法のいくつかの様相において、閾値は第1の時点の量の60%である。方法のいくつかの様相において、閾値は第1の時点の量の50%である。方法のいくつかの様相において、閾値は第1の時点の量の10%である。方法のいくつかの様相において、処置は化学療法を含む。方法のいくつかの様相において、処置は放射線療法を含む。方法のいくつかの様相において、治療は、MEI挿入に隣接している配列の欠損を標的とする薬剤を含む。方法のいくつかの様相において、処置は、MEI挿入部位に隣接している配列によってエンコードされたタンパク質が関与する経路の誤調節を標的とする薬剤を含む。方法のいくつかの様相において、治療は、MEI挿入接合部に特異的に結合する核酸を含む。方法のいくつかの様相において、核酸はpiRNAを含む。方法のいくつかの様相において、核酸はsiRNAを含む。方法のいくつかの様相において、核酸はCRISPR核酸を含む。方法のいくつかの様相において、核酸は、MEI挿入境界のメチル化を導く。
【0005】
いくつかの実施形態は、発癌遺伝子に隣接するMEI境界におよび、検出要素と結合された核酸プローブを含む、癌組織のインビボの可視化用組成物に関連する。組成物のいくつかの様相において、検出要素は蛍光体を含む。組成物のいくつかの様相において、検出要素は光励起性成分を含む。組成物のいくつかの様相において、プローブは細胞膜を通過する。組成物のいくつかの様相において、プローブは細胞核膜を通過する。組成物のいくつかの様相において、プローブ螢光は、発癌遺伝子に隣接しているMEI境界を含む標的核酸配列に対するプローブ結合に依存する。組成物のいくつかの様相において、プローブは携帯型の蛍光体励起装置によって視覚化される。
【0006】
いくつかの実施形態は、ゲノムの老化をモニタリングする方法に関連し、該方法は、第1の期間で第1の核酸サンプル中のMEI挿入部位の数を定量的に測定する工程、第1の期間で第1の核酸サンプル中のMEI挿入部位の数を定量的に測定する工程、および、MEI挿入境界の増加をゲノムの老化の増加と相関させる工程を含む。方法のいくつかの様相において、MEI挿入部位の数の10%の増加は、ゲノムの老化を示す。方法のいくつかの様相において、MEI挿入部位の数の20%の増加は、ゲノムの老化を示す。方法のいくつかの様相において、MEI挿入部位の数の30%の増加は、ゲノムの老化を示す。方法のいくつかの様相において、MEI挿入部位の数の50%の増加は、ゲノムの老化を示す。方法のいくつかの様相は、ゲノムの老化が示される場合に、老化防止レジメンを推奨する工程を含む。方法のいくつかの様相において、老化防止レジメンはカロリー制限を含む。方法のいくつかの様相において、老化防止レジメンは、NTHEの投与を含む。方法のいくつかの様相において、老化防止レジメンは、DNAメチラーゼの投与を含む。方法のいくつかの様相において、老化防止レジメンは、小さな調節eRNAの投与を含む。方法のいくつかの様相において、老化防止レジメンは、逆転写酵素阻害剤の投与を含む。方法のいくつかの様相において、老化防止レジメンは、レトロウイルス阻害剤の投与を含む。方法のいくつかの様相において、老化防止レジメンは、HIV阻害剤の投与を含む。方法のいくつかの様相において、老化防止レジメンは、AZTの投与を含む。方法のいくつかの様相において、老化防止レジメンは、HBV阻害剤の投与を含む。方法のいくつかの様相において、老化防止レジメンは、リバビリンの投与を含む。方法のいくつかの様相において、老化防止レジメンは、トランスポサーゼ阻害剤の投与を含む。
【0007】
いくつかの実施形態は、第1の核酸サンプルおよび第2の核酸サンプルを比較する方法に関し、第1の核酸サンプルの複数のMEI境界に対する可動要素挿入物(MEI)の境界配列を取得する工程、第2の核酸サンプル中の複数のMEI境界の存在を分析する工程、および、第2の核酸サンプルが第1の核酸サンプル中に存在するMEI境界配列を欠く場合に、第1の核酸サンプルと異なるものとして第2の核酸サンプルを同定する工程、を含む。方法のいくつかの様相は、第2の核酸サンプルが第1の核酸サンプル中に存在しないMEI境界配列を含んでいる場合に、第1の核酸サンプルと異なるものとして第2の核酸サンプルを同定する工程を含む。方法のいくつかの様相において、第1の核酸サンプルの複数のMEI境界に対する可動要素挿入物(MEI)の境界配列を取得する工程は、第1の核酸サンプルの全ゲノム配列決定を行なう工程を含む。方法のいくつかの様相において、第1の核酸サンプルの複数のMEI境界に対する可動要素挿入物(MEI)の境界配列を取得する工程は、第1の核酸サンプルの複数のMEI境界の標的とされる配列決定を行なう工程を含む。方法のいくつかの様相において、第2の核酸サンプル中の複数のMEI境界の存在を分析する工程は、第2の核酸サンプルの全ゲノム配列決定を行なう工程を含む。方法のいくつかの様相において、第2の核酸サンプル中の複数のMEI境界の存在を分析する工程は、第2の核酸サンプルの複数のMEI境界の標的とされた配列決定とを実行する工程を含む。方法のいくつかの様相において、第2の核酸サンプルの複数のMEI境界の標的とされた配列決定を実行する工程は、第1の核酸サンプルの各MEI挿入部位を特異的に増殖させるプライマーを含むプライマーのパネルを、第2の核酸サンプルと接触させる工程を含む。方法のいくつかの様相において、第2の核酸サンプルの複数のMEI境界の標的とされた配列決定を実行する工程は、第1の核酸サンプルの各MEI挿入部位に対し特異的にアニールするプローブを含むプローブのパネルを、第2の核酸サンプルと接触させる工程を含む。方法のいくつかの様相において、プローブのパネルは、基質に結合されたプローブが、基質に結合されないプローブに比べて差分的に視覚化できるように、蛍光体への少なくとも1つに結合されたプローブを含む。方法のいくつかの様相において、第2のサンプルは法医学サンプルを含む。方法のいくつかの様相において、第2のサンプルは植物サンプルを含む。方法のいくつかの様相において、植物サンプルは植物収穫物サンプルである。方法のいくつかの様相において、第2のサンプルは生物学上危険な物質を含む。
【0008】
いくつかの実施形態は、可動要素挿入阻害剤を含む、老化に関連したゲノム劣化の遅延化に使用される組成物に関する。組成物のいくつかの様相において、組成は逆転写酵素阻害剤を含む。組成物のいくつかの様相において、組成はレトロウイルス阻害剤を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の新しい特徴は、添付された特許請求の範囲において詳細に述べられる。本発明の特徴および利点に関する十分な理解は、本発明の原理が利用される例示の実施形態を記述する下記の詳細説明と、添付の図面とを参照することにより得ることができる。
【0010】
【
図1】複合変移体を調査および/または検出するための標的配列決定の使用を図示する。
【0011】
【
図2】挿入事象の確認および/または定量のための、冗長性および標識の使用を表示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
転位因子と呼ばれる可動要素挿入物(MEI)はヒトゲノムの3分の2を構成する。古代のMEI活性の結果として進化した、何百ものヒト遺伝子がある。いくつかのMEIは、現代のALU配列を含み、ヒトゲノムにおいてまだ活性を有する。ニューロン細胞は高いMEI活性を有し、ウイルスMEIの影響は、ゲノム上の癌において広範囲に役割を有する。MEIは、バイアス無しに、ゲノムのタンパク質のコード領域および非コード領域の両方で、確率的に生じる。それらはヒト宿主転写および細胞活動に影響し、したがって、宿主遺伝子の機能を妨害するときに高度に有害である。強いネガティブセレクションが、これら有害事象の生殖系列移行に対して生じる。MEIは癌および他の遺伝障害に関連しているが、体細胞性MEIの程度および範囲は、十分に研究されてなく、文献化もされていない。新しいDNA塩基配列決定テクノロジーは、例えば、サンプル調製および分析の方法が、疾患中の活性MEIの影響を定量するために必要な感度を欠いているために、この影響を説明するために苦慮する。偏った増殖のせいで、多くのそのような方法は、MEIの活性を誤って表示する。MEIの正確な検出のための方法は、体細胞性MEIによって影響される重要遺伝子(critical gene)を決定できること、および、疾患の進行にしたがって、それらの活性を定量できることが必要である。重要遺伝子の機能の妨害を検出し定量する非侵入性試験は、細胞健康状態の汎用試験であり、成人発病性疾患のほぼ全領域に関係している。
【0013】
可動性のDNA要素は、進化および遺伝性疾患における病での主要な推進力である。可動要素は、ヒトゲノムのほぼ3分の2を含む。MEIの主要なタイプは、限定的ではなく、Alu、LINE、SVA、タイプIのレトロトランスポゾン、ERV(内在性レトロウイルス)を含み、これらは総体として、モビローム(Mobilome)と呼ばれる。
【0014】
次世代の配列決定テクノロジーは、ヒトゲノム中のMEIの分布率に関する理解を増大させた。Alu、SINEおよびSVA要素は、今日、ヒトゲノムにおいて活性を有する。MEIの特定のファミリーは、それらの挿入部位において共通配列特徴を有し、合成オリゴヌクレオチドが、これらの挿入事象の診断用配列を取り調べるために生産されることを可能にする。1000のゲノムプロジェクトの公的にアクセス可能なデータ内での、遺伝MEIおよびそれらの集団的頻度の分析は、研究個体群で発見されたMEIのほぼ全てが、希少であると考えられ、発生頻度は10%未満であることを示している。ほとんどの遺伝MEIはタンパク質をコードせず、このことは、MEIは遺伝子機能が高度に破壊されており、したがって、自然淘汰的に削除されたことを示している。特に、体細胞性MEIは、組織特異性である。例えば、AluとSVAのMEIとは、特に上皮癌における、共通の腫瘍特定事象であるが、血液または脳の癌において発見される可能性はない。これは、MEI活性に対する環境効果を示している。MEIのストレス誘発性活性のさらなる証拠は、多くの転位因子が、熱ショックTF結合部位に類似するプロモーター配列を有しているという事実からもたらされる。MEIの活性化とメチル化の減少との間には相関があり、これは、MEI活性の制御機構として提案されてきた。体細胞性MEI活性は、胚発生、腫瘍細胞株およびニューロン始原細胞においてが高いが、正常な体細胞組織中のMEI活性についてほとんど知られていない。
【0015】
HeLa細胞株は、何十年にもわたる癌研究の重要部であり、c-Myc遺伝子の上流にHPV挿入部位を有しており、それは、不特定の細胞分裂の原因であるかもしれない。
【0016】
MEIは、ヒト遺伝子における、オープンリーディングフレームの破壊、または、代替スプライス部位、代替プロモーター部位または代替polyAシグナル信号の提供によって、ヒト転写を変更することができる。2001年のヒトゲノムのドラフトによって、ヒトゲノムが、特に>100,000の翻訳タンパク質と比較して、ざっと20,000の遺伝子しかコードしていないことに、多くの人が驚いた。最新の理解は、新しいスプライス部位(例えばL1、Alu)を導入することによって、MEIを、この現象に関連づけている。ほとんどのAlu由来の遺伝子は代替的にスプライスされ、多くの代替的スプライシングは組織特異的である。大多数のヒト遺伝子は、代替的スプライス部位を利用し、遺伝子の代替的末端のMEI処理により影響を受ける。例えば、ATRN遺伝子は、イントロンにおいてL1要素を有する。代替的にスプライスされた遺伝子は、Attractinの可溶性形態をエンコードし、これは、炎症反応の一部である。この選択形態は、色素沈着とエネルギー代謝のレセプターとして働く。120を超えるレトロトランスポゾン配列が、機能的ヒト遺伝子へ進化した。新規の生殖細胞系MEI突然変異の推定発生率は、Alu、L1およびSVA要素それぞれに対し、20回中1回、100回中1回、1000回中1回の範囲である。DNAメチル化は、宿主防御機構であることが示され、メチルトランスフェラーゼ欠乏マウスは、結果的に致命的になる、高い染色体不安定性を示す。小型RNAは、MEIの活性および効果の調節機構でもある。これら小型RNAも、piRNAとsiRNAのクラスを含み、MEIに由来する。転写へのMEIの影響は、代替的スプライシング、代替的プロモーターまたは代替的polyA部位を通じて、単一座で起こり得る。広域レベルでは、転写ネットワークはMEIプロモーター活性によって制御される。胚性幹細胞は、遺伝子ネットワークのリンクを示す。ES細胞は、メチル化によって制御される遺伝子発現のネットワークを開始する、内因性レトロウイルスの長いタンデム反復のネットワークを示す。多能性状態において、ERVはメチル化によって抑制される。哺乳類の妊娠経路は、MEI活性を通じて進化した。この遺伝子ネットワークは、プロゲステロン反応におけるMER20要素によって活性化される。例えば、プロラクチンプロモーターは、MER39可動要素に由来する。胎児―母間交換用のSynctin遺伝子も、ERV遺伝子に由来する。ERVは、約300から約1200のヌクレオチドのLTRの側方に位置する。多くのMEIのサイズは、より多くの共通要素に対し、例えば約200bpから約10kbまで範囲とすることができる。
【0017】
ME走査は、ヒトゲノムにおいて最も活性的な共通MEIである、AluYb8/9要素からの遺伝MEIを同定することができる、しかしながら、その方法は、本来定量的ではない。アフリカ対ヨーロッパの個体群を見るときに、これらAlu要素は、SNPの多様性特徴を模倣する。Aluコピーは、ヒトゲノムにおけるコード遺伝子を、大幅に数で圧倒し、および、体細胞性MEI事象は、MEI活性の脱抑制が腫瘍および老化細胞で生じるにしたがい、生殖細胞系事象を大幅に数で圧倒すると推測された。これらの要素の存在率および反復性は、その時の広範なゲノム調査に、問題を提起する。シーケンス深度が大きいほど、MEIを検出する感度は高くなるが、偽陽性は、ライブラリ準備工程の間に、キメラ分子の生成から発生する可能性があり、ある要素は、PCRのような工程におけるバイアスによって、過剰出現を生じる可能性がある。
【0018】
前記実施例は、遺伝MEIの効果、それらの破壊効果、および、ネガティブセレクションを示すが、体細胞性MEIの分布率について多くが学習された。MEIのモザイク遺伝子は、ニューロン細胞において豊富である。ニューロンは、異数性とレトロトランスポジションのレベルを上昇させ、これが、ヒト脳内の機能的多様性に寄与している可能性がある。
【0019】
体細胞組織中のMEIの活性化が、老化に効果があることを示唆する証拠がある。通常の老化において、体細胞性MEI転写は活性化を始める。これらの要素の活性レトロトランスポジションが、マウス中の進行した老化で生じ、これは、細胞老化の機能として上昇したゲノム不安定性に対応する。MEIの位置および存在率は、老化速度を制御すること、および複合DNA構造体を維持することの無能力化が、組織の機能不全や器官の最終的な死滅の原因となる。これらの転位事象は、炎症のような、複数のストレス関連要因によって加速され得る。レトロトランスポジションは、ある場合、B型肝炎ウイルス(HBV)およびヒト免疫不全ウィルス(HIV)の感染に使用される医薬品のような、逆転写酵素の阻害を通じて媒介される。マウスにおける自然発生の癌は、MEI活性を増加させる。
【0020】
癌はゲノムの疾患と考えられるので、癌は、体細胞性MEI研究の最も普及している領域であり、必ずそのようで有り続けるであろう。HBV組込み事象の影響と、肝細胞癌(HCC)におけるそれらの役割とは、広範囲の全ゲノム配列(WGS)を使用して分析することができる。技術的見地から、増加したシーケンス深度は、シーケンス深度に比例した挿入事象の数を用いて確認された、より多くの体細胞性挿入事象をもたらす。肝細胞癌(HCC)腫瘍中のクローン性増殖は、同じ個体からの正常サンプルと比較して、同じ事象のより高い頻度をもたらす。平均して、DNA由来の腫瘍において、ウイルスゲノムの2つのコピーは、宿主ヒトゲノムの各1つのコピーについて見つけることができる。直接的遺伝子破壊、ウイルスプロモータ駆動性ヒト遺伝子転写、ウイルス‐ヒト転写溶融、およびDNAコピー数変移を含む、破壊的事象は、挿入部位の近くで発見される。挿入事象の確率的モデルに対する裏付けが存在し、これは、挿入がほぼランダムであり、恐らくクロマチンに巻きつけられないDNAのアクセス可能性が唯一影響することを示唆する。従来のPCR系アプローチは、増殖バイアスにより、ある種の挿入事象の分布率をしばしば過大評価する。組込みは、腫瘍および正常肝臓組織の全体にわたり広範囲であるが、機能的影響が腫瘍細胞に制限され、存在率がこれらの細胞のクローン性増殖の結果である発癌遺伝子およびがん抑制遺伝子における挿入事象の明瞭なパターンが、腫瘍内に存在する。挿入「末端」は、HBVゲノムの明瞭な領域にマッピングされ、これは、挿入部位の検出目的に使用することができる。例えば重複配列要素であるDR1とDR2部位は、HBVの線状ウイルスにおけるHBx遺伝子の末端で発見される。確率的モデルは、転写からの融合生成物が、ゲノムのいかなる場所にもマッピングすることができること、したがって、挿入ポイントにおいて、ウイルスからの共通部位と、ヒトゲノムからのバイアスがない部位が存在することを示す。
【0021】
ほとんどのHBV挿入部位は再発性ではないが、クローン性増殖を起こす腫瘍における主要挿入部位の存在率が著しく増加する。腫瘍中のほとんどの事象は、タンパク質をコードする遺伝子の近くで生じ、このことは、クロマチン中ではなく暴露されたDNAが、それを挿入に対しアクセス可能性にすることを示唆している。腫瘍内においてプロモーターとエキソンへ向かう挿入事象に対する肯定的選択が存在する。ほとんどの挿入は、中立的であり、腫瘍遺伝子センサスデータベースにおける遺伝子内へ挿入されないように見える。腫瘍中の組込み部位の数は、結果物、または、生存のような他の医学的指標に対応し得る。例えば、>3の挿入事象を有する腫瘍は、生存に対し、非常に大きな負の効果を与え得る。
【0022】
様々な癌タイプの腫瘍からのRNA-Seqデータは、宿主/ウイルス融合、特に公知の発癌性ウイルスを研究するために使用することができる。例えば、NGS RNA-Seqリードは、子宮頸癌、肝臓癌およびバーケットリンパ腫に対するそれらの影響を見るために、HPV、HBV、HCV、EBVおよびHHVの共通ウイルス株にマッピングすることができる。新規の組立てを使用して、新しいHPV株を有するネガティブな子宮頸癌腫瘍を再分析することができる。PCR分析は、HPV組込みの存在率を誤表示する可能性がある。HPVの陽性の組込みは、腫瘍タイプや含まれていた組織にかかわらず、腫瘍クラスタリングを示すことができる。ウイルスMEIは、ウイルス性発癌遺伝子の発現、または発癌遺伝子または腫瘍抑制因子の活性を感化させるための組込みによって、細胞形質転換を引き起こし得る。
【0023】
MEI検出およびその診断の含意の臨床的有用性については、目標とされた戦略は使用されなければならない。MEIは、モザイクであり、MEIのストレス誘発性活性またはウイルス誘発性MEI活性のような、環境要因のある種の形態によって引き起こされる。MEIは、ゲノムの機能領域で発見された場合の大きな悪影響と同様、進化に劇的な影響を及ぼしたことが示された。遺伝パターンはSNPのパターンをモデル化し、体細胞性MEIに対する影響は、ちょうど解明され始めたばかりの謎である。挿入部位を観察するとともに、すべての組織タイプ中のそれらの存在率を定量する能力は、おそらくは血液、または、細胞を含まない血中DNAを代用物として使用して、細胞健康を決定するための有用なツールである。診断目的と、小型RNAによる特定の個体に対する合理的な治療的介入、メチル化、または逆転写酵素の阻害と、の両方のために、これらの活性化された可動性または侵入性のゲノム要素の標的が使用され得る。個体中のこれらの要素、特に個体の疾患に対する影響を理解することは、新しい治療および診断のオプションを可能にする。例えば、癌を引き起こすMEIの事象は、発癌遺伝子または腫瘍抑制因子を攪乱する。生きている組織内の様々な手段を通じて活性化された蛍光プローブは、それらの細胞を外科手術中に抽出するために標的にするのに使用される。プローブは、可動要素と、このプローブが攪乱するヒト宿主遺伝子配列との接合部におよび、有効性を特定の接合事象のみに結びつけることによって、外科手術から抽出するためのマーカーまたはビーコンを提供する。
【0024】
MEIは、おそらく起原がヒト以外であり、時間をかけて進化し、あるいはウイルス感染によって導入される。それらの主な目的は、ウイルスの観点から見ると、生存である。感染、炎症、アルコールのような毒性、物理的圧力、潰瘍などによって誘発される細胞のストレスはすべて、細胞の生存に影響し、したがって、MEIの活性が増大する。活性化したMEIの脱調節は、単に偶然によって生じる可能性がある。次いで、活性化したMEIは、染色体を再配列するか、または細胞性転写を変化させる。これらの効果は、適度かもしれないし、破滅的であるかもしれない。1個の細胞が脱抑制されると、その結果、クローン的に膨張する。活性MEIによって破壊された遺伝子が、膨張速度を決定する。細胞増殖遺伝子または調節遺伝子が破壊されると、それらが分裂する細胞の速度が増大し、腫瘍成長を引き起こす。反対に、癌非関連遺伝子は、攪乱され、重大な細胞機構の活性化/脱活性化を起こし得る(例えばアポトーシス、壊死、増殖、細胞分裂)。例えば、アポトーシス経路が不活性である場合、細胞は分裂し続けて器官内での拡散を増加させ続け、器官機能にネガティブな影響を与え始める可能性がある。結局これは、機能低下に通じるであろう。攪乱される遺伝子は、挿入事象の数と同様に、細胞健康または疾患進行の診断の両方の指標として機能することができるであろう。いくつかの場合において、これらの細胞のうちの一部は死滅するかもしれず、また、これらの細胞からのDNAは、細胞を含まない血中DNAとして見出し得る。これらの希少事象を検出するのに十分な感受性を有し、これらの希少事象を定量するのに十分な精度を有するテクノロジーを用いて、これらの細胞を含まない分子の増加をモニタリングする工程は、分子医学の主要部になるであろう。若年時の基準線で開始する事象の数と、それらによって攪乱される遺伝子の数との両方は、すべてのヒト器官の細胞機能をカタログ化し、それらの寿命全体にわたり個体の細胞健康をモニタリングすることを可能にするであろう。これらの診断テストは、MEI攪乱によって影響を受けたほぼすべての成人発病性の疾患および障害の早期発見および予防に通じ得るであろう。脳内における増大した体細胞性活性は、癌、アルツハイマー病やパーキンソン病のような神経変性障害、または自閉症のような他の障害に通じ得るであろう。MEIは、体細胞性活性と同様に、遺伝的構成要素の両方を含んでいる。これらの関係は、これらの障害の多くの欠けている遺伝力、および、これらの要素の活性化が誘発されたストレスまたは環境について説明し得るであろう。これは、これら複合体障害に対するエレガントな説明となる可能性がある。
【0025】
MEIは、我々のDNAにおける、本当に個々のゲノムの唯一のマーカーを表わす。ほとんど同一のDNAを有する双子に対し、今日のシーケンサーを使用して絶対差を検出することは、エラー率により不可能である。反対に、MEIスペクトルを調査することは、2つの類似ではなく同一のゲノム(例えば双子)の間の、疾病を引き起こす、遺伝的差異を決定し得るであろう。さらに、MEIの本当に固有の遺伝子構造は、唯一の本当に固有の身元確認の法医学的マーカーを構成する。最も単純な実施例は、密接に関連する個体または双子の例である。MEIは、従来のSNP試験またはマイクロサテライトマーカーとの組合せで、最も酷似したゲノム配列さえ明確に除外することができた。
【0026】
個人のゲノム上で生成される配列情報の量の増加、および、その情報の公的な共有に対する意欲の増大により、ゲノム同一性の偽造に対する可能性は、確かに現実的である。PCR分析用プライマーに対するより高い結合性を有する合成DNA配列は、いくつかの場合において、パブリックドメイン、研究分野を通じて、または、遺伝子実験会社のサイバーセキュリティの不足を通じても、アクセスされた個体配列データから生成される。これらの非常に効果的なDNA配列を有する個体の血液のドーピングは、おそらく個体の健康に影響を及ぼさず、仮にそうだとしても、個体はその危険を受け止める覚悟があるかもしれない。血液がDNA鑑定のために採取されるときに、これらのより有効な分子は、個体の同一性を混同するか、または完全に遮蔽するかもしれず、あるいは、サンプルを別の個体として表示さえし得る。MEI、特に体細胞性ものとして最新の活性を有するものは、いくつかの場合において、ゲノム中のこれら体細胞性事象の位置とともに、複合的バックグラウンドでのそのような事象の量との両方を理由として、ゲノム的身元確認として使用される完全に固有の身元確認戦略を示すであろう。
【0027】
これらの法医学の目的を、農業におけるGMO収穫物の検出にも使用し得るであろう。GMO農場からの種子は、容易に近隣の農場へ広げることができるであろう。多くの農業会社が、それらの知的財産の不必要な移転の範囲を決定するために、近隣の農場におけるこれらの転位された要素を検出する。きわめて感度が高いこれらの診断マーカーを定量する方法は、それら生産物に紛れ込んだ有機体の比率を検出し定量する能力を実現するであろう。PCR方法および他のバイアスをかけた戦略は、このレベルの感度を提示しない。
【0028】
MEIは、化粧品産業にも同様に、大きな影響を及ぼすかもしれない。MEI活性化が細胞老化に関連しているので、それは、皺または脱毛の原因を研究し決定するための独特な方法を示す。MEIは遺伝され、体細胞的に活性化され、または、ウイルス誘発され得る。すべては、ゲノムおよびその機能の破壊に帰着する。攪乱される遺伝子の決定は、それらの活性を縮小または除去するための治療および化粧的関与に対する新しい標的を表わす。MEI活性の速度およびレベルのモニターは、カロリー制限のような自然な手段、または薬理学的関与の増加された投与量を通じて、関与のシグナルとなり得る。
【0029】
細胞健康をモニタリングする試験は、若年時のMEI活性の基準線から始めて、本明細書に開示されるように、すべての個体に対する頻度試験オプションである。
【0030】
本明細書での全体にわたって、開示は、理解を容易にするため、セクションに分けられる。これらの分割は、理解を容易にするためと理解されるべきであり、明細書のいくつかのセクションの互いに対する適用可能性を制限する必要はない。従って、明細書の任意の1つのセクション中の開示は、いくつかの場合において、そのセクションだけでなく、他のセクションに関連し、いくつかの場合において全体的な開示に関連する。
【0031】
体細胞のMEI検出および定量化のための方法
MEI検出のための現在の全ゲノム方法は、全ゲノム配列決定およびバイオインフォマティクス解析を含む。MEI事象は、配列の一部がヒトの基準ゲノムにマッピングし、他の部分が適切にマッピングしない、「分割リード(split-reads)」を引き起こす。メイトペアリードまたはペアエンドリード(Mate pairs or paired end reads)は、DNA分子のマッピングされていないまたはリンクされた一部の位置を固定するための、1つのリードのすべてまたは一部を使用する能力を提供している。超並列配列決定(Massively parallel sequencing)は、冗長な質問(redundant interrogation)およびより大きなサンプリングを介する信頼度の増加を可能にする。しかしながら、その増加したサンプリングには、劇的なコストの増加が伴う。より深い配列決定深度は、MEI検出に関する感度に比例する。全ゲノム配列決定(WGS)の手法は、不要なデータおよび倫理的考察と同様にコストの増加に関する問題をもたらしているが、いくつかの場合においてサンプル全体にわたるMEI挿入部位の偏りのない検出という利点を有する。いくつかの場合では、これらの方法は、中性のMEIと疾患を引き起こすMEIとの間の差を判定するのに重要である、いくつかのMEI事象を定量化する能力を阻害するであろう配列特異的な増幅バイアスを導入する。
【0032】
MEIのためのいくつかの以前の目的の方法には、一般に、半特異的なPCRの変異体を伴う。これらの方法は、以前に議論したように、いくつかの場合において配列特異的なバイアスが原因で定量的ではなく、配列増幅効率が原因で他の方法よりもいくつかのMEI位置の数を劇的に過剰に示している(over representing)。体細胞のMEI事象が、中性であり、それ故、確率的に(ランダムに)表わされるかどうか、あるいは癌でのようにクローン的に広がったかどうかを判定する方法はない。さらに、MEIの挿入末端に対する遺伝子座特異的プライマーの設計の柔軟性が限定される。配列が、増幅を引き起こさないまたは効率的増幅をほとんど引き起こさないほど十分に変異させられるかまたは異なる場合、特異的事象の数の定量化は不可能である。したがって、配列結果が元の核酸サンプル中の鋳型の量を定量的に反映することを確かなものとするために、これらの方法を使用するときには注意を払わなければならない。
【0033】
いくつかの適切な標的とした体細胞のMEI検出法は、MEIの挿入末端がしばしば反復性であるかまたは変更されるために、冗長性を提供することができる。活性な(Active)体細胞のMEIは,現代的であり、古代の不活性なMEIと比較してそれほど切断されないが、診断配列の点から変異させ得るかまたは最小限にされ得る。したがって、複数の冗長な遺伝子座特異的なプライマーは、TSRなどのMEIの挿入末端あるいはHBVの場合のHbx遺伝子の近くのDR1/2診断領域に対して設計される。MEI事象の複数の独立したサンプリングが、事象の内部確証およびより高い感度および特異性を可能にするため、これらの複数の異なる出発点も、MEIの確証を可能にする。さらに、天然の標識、または代替的な3’末端は、NGSライブラリ分子のために生成されるべきである。冗長なプライマー部位およびNGSライブラリ分子の代替的な3’末端による天然の標識の組み合わせは、DNA鋳型の独立したサンプリングを示し、これは、あらゆる局所的な挿入事象が、増幅工程の間にクローン化人工物(clonal artifacts)の除去を介して確証および定量化することができることを保証している。さらに、キメラ分子が、これらの準備工程の間に生成され得、その結果、偽陽性となり得るため、そのような方法は、準備プロセスにおけるフラグメンテーションおよび連結を回避する必要がある。
【0034】
他の定量化方法は、本明細書で熟考され、MEI部位に関して本明細書に開示される方法は、いかなる単一の定量化方法によっても制限されない。様々な方法が、代替方法、各々が示す強調する課題および利点、および各手法が本明細書に開示される方法に適用可能とするための留意点として本明細書に示される。
【0035】
本明細書における本開示の様々な実施形態は、1つ以上のMEI事象のその挿入物に隣接するゲノム配列に関連した定量化を含む。定量化は、多くの手法によって達成される。時にMEIおよびその挿入物に隣接するゲノム配列とも呼ばれる、MEIは、最初に、非標的手法で全ゲノム配列決定によって、または特異的または半特異的なPCRによって、あるいは当該技術分野で既知の他の手法によって特定される。挿入物に隣接する配列を決定するための当該技術分野で既知のTAIL-PCRまたは他の手法が、いくつかの実施形態において使用される。多くの実施形態では、全ゲノム配列決定または他の非標的手法は、挿入物に隣接する境界に対する最初のMEIマッピングに好ましい。フォローアップアッセイにおいて、全ゲノム手法が、いくつかの実施形態において使用され、一方で、特異的なMEIおよび挿が隣接した配列に対する標的アッセイは、代替的なフォローアップアッセイまたは全ゲノムアッセイと組み合わせて使用される。
【0036】
核酸サンプル中のMEI挿入物に隣接する配列接合の存在量の定量化は、多くの代替的または調整的な手法によって達成される。特異的なMEI挿入境界は、与えられたMEIおよびその挿入物に隣接する配列に及ぶ、リードの数、特有のリードの数、または個別に導き出したリードの数を、以下のいずれか1つまたはそれ以上と比較することによって定量化される:サンプル中の核酸の量;核酸サンプル中の既知の単一コピー配列にマッピングする、リードの数、または特有のリードの数、あるいは個別に導き出したリードの数、別々のMEIおよびその挿入物に隣接する配列にマッピングする、リードの数、または特有のリードの数、あるいは個別に導き出したリードの数;あるいは異なる時点で同じMEIおよびその挿入物に隣接する配列にマッピングする、リードの数、または特有のリードの数、あるいは個別に導き出したリードの数。いくつかの場合では、特異的なMEI挿入部位は、入力核酸の合計量に対するその挿入部位に及ぶ、個別のリードの数を測定することによって定量化される。いくつかの場合では、特異的なMEI挿入部位は、核酸サンプルの既知の特有の遺伝子座にマッピングする個別のリードの数に対するその挿入部位に及ぶ、個別のリードの数を測定することによって定量化される。いくつかの場合では、特異的なMEI挿入部位は、既知のコピー数のマルチコピーの遺伝子座にマッピングする個別のリードの数に対するその挿入部位に及ぶ、個別のリードの数を測定することによって定量化される。いくつかの場合では、特異的なMEI挿入部位は、第2時点のサンプルからその挿入部位に及ぶ個別のリードの数に対する第1時点のサンプルからのその挿入部位に及ぶ個別のリードの数を測定することによって定量化される。定量化できる蛍光レベルを有する蛍光プローブへのハイブリダイゼーションによる定量化などの、代替的な定量化方法は、組み合わせてまたは代替方法として熟考される。
【0037】
図2は、MEI挿入部位の定量化に使用するための複数の個別のリードの例を示す。各リードは、MEIおよび挿入物に隣接する配列を含み、5’末端、3’末端および挿入長の特有の組み合わせを有する。したがって、各リードは、特定され得、クローン的に増幅されたPCR産物ではなくむしろ、MEIおよび挿入物に隣接する配列の個別の表示となり得る。
【0038】
設計
MEIの各ファミリーは、MEIの挿入末端で同様の配列を有している。例えば、Alusでは、反復配列の側方に位置する7bpの診断配列が存在し得る。末端の長さは、変わり得るおよび/またはいくつかの反復配列を有し得る。ALU配列には、polyA配列の伸長部分(stretches of)も存在し得る。polyA配列は、部分的に標的とされ得る。DR1およびDR2などの、配列相同性を有する直列反復領域も、標的とされ得る。より長いリード長(例えば、MiSeq 2x350リード)、ペアエンド配列決定のためのより長い挿入物(例えば500bpの挿入物)およびddNTP取り込みによる制御可能なフラグメント長を使用して、複数のプライマーは、可動要素のDR1およびDR2の領域の各鎖に設計され得る。例えば、可動要素(例えば、Alus、LINE、SVA、ウイルスMEIなど)の各末端で1kbの領域を標的とするために、複数の重複しないプライマーは、最末端(末端反復の近く)からより複雑な配列を介してより高い特異性を提供するように設計され得る。いくつかの場合では、少なくとも約3つのプライマーは、MEIの各隣接要素に使用され得る。PCRとは異なり、鎖置換ポリメラーゼを用いる線形プライマー伸長により、複数のプライミング部位は、互いに干渉しない。要素の各ファミリーは、生成される合成配列を介する配列決定によって要素タイプをすぐに識別するのに十分な配列の不一致を有し得る。各要素ファミリー内の複数のプライマーは、自己組織化のために一緒に識別され、ビニングされ(binned)得る。いくつかの場合では、リードは、重要遺伝子に対する妨害があるかどうか判断するのに十分な確実性を有してマッピングされ得る。その後、同じMEIのための複数のプライマーは、キメラ分子から生成された非MEI配列を単に比較することによって、同じMEI破壊事象の個別の確証として使用され得る。複数のプライミング事象(例えば、MEI当たり約3乃至約10)とともに、単一プライマーの各々は、ゲノムの複数のコピーから同じ事象の複数のコピーを生成する。天然の標識および3’合成標識は、鋳型の個別のサンプリングを判定し、事象をさらに確証するために使用され得る。興味深いことに、事象の相対的な時期(age)を判定するために、同じ方法が使用され得る。より古いMEI事象は、MEI配列自体内の切断された末端または突然変異を有する傾向があり、これらの事象は、典型的に、カット・アンド・ペーストまたはコピー・アンド・ペーストの作業に必要とされる挿入配列を欠くために、不活性なものとして示される。
【0039】
本開示はまた、遺伝病においてMEIを検出するための方法を提供する。全長MEIの存在下では、MEIが体細胞性であるかまたはまだ活性であるかをさらに判定するために、データの他のソースが使用され得る。一般に、切断事象は、不活性なMEIを示し得、これは、遺伝され、大多数の分子において発見される傾向にある。他方では、(細胞老化の指標であり得る)新しい体細胞のMEI活性は、分子のほんの数パーセントで見られ、これは、極端な配列深度が必要とされる理由である。逆算によって、体細胞の活性の割合は、25の細胞分裂においておよそ1である。ヘテロ接合集団(heterozygous population)において、これは、与えられた組織または生検から50のDNA分子において約1に翻訳する。50事象における1事象について、各個々の事象に対して3つのリードを用いて、150xの配列決定深度が必要とされる。潜在的に高い異質性およびこれらの多くがシングルトン事象(singleton events)であるという事実を考慮して、平均で少なくとも1000倍の適用範囲(coverage)が、腫瘍を分析するために提供されることが可能であり、もしかすると、Alusなどの古いMEIに対する内因性の活性を分析するための適用範囲よりさらに高いかもしれない(例えば、約100万倍の適用範囲)。
【0040】
データの他のソースは、それらが撹乱する遺伝子からのものであるが、事象の数からのものでもあり、これは、事象がクローン的に増幅される場合である。例えば、HPVまたはHBVなどのウイルスは、それら自体をゲノムの多くの領域にランダムに挿入する。それは、各個々の事象にわたる一様なレベルの標準化された適用範囲につながる確率的事象である。事象が、細胞増殖遺伝子(例えば、発癌遺伝子または腫瘍抑制因子)に衝突する場合、これらの細胞タイプのクローン性増殖が観察され得る。そのため、特異的なMEI事象の数は、バックグラウンドのシングルトン(background singleton)またはダブルトンの(doubleton)体細胞事象の数と比較したときに、疾患の診断の指標として作用する。単細胞の研究については、同じ細胞における複数の事象が、腫瘍中で示されたような結果の指標となり得る。異質な腫瘍を検査することによっても、その各々が感染したが非腫瘍の細胞の集まりを有するため、別のレベルのデータが提供され得る。腫瘍を引き起こす事象に対するバックグラウンド事象の比率は、事象の各々にわたる配列決定深度の適用範囲を平均化することによって計算され得る。例えば、3倍以上の増加は、腫瘍を引き起こす事象対良性事象のカットオフ(cutoff)になるだろう。これは、処置の間の血液中の特異的な腫瘍に対するモニタリングする標的として、または疾患進行を判定するために使用され得るか、あるいは腫瘍の除去が完了したことを確かなものとするために手術中の摘出のための(事象に及ぶ)プローブとして使用される。例えば、肝細胞におけるHBV感染の場合には、線状ウイルス中のHbx遺伝子近くのDR1またはDR2の領域の挿入末端を標的とする3つの異なるプライマーが、HBV配列に対する特異的なプライマーを用いてリードのすべてを識別するために使用され得る。ゲノム中の与えられた位置からデータを生成した3つのプライマーの各々からの平均の適用範囲深さを計算し、与えられた事象の平均深さを他のランダムな挿入事象の平均深さと比較することによって、より高い平均の適用範囲事象が、クローン性増殖につながり得る主要な挿入部位として強調され得る。いくつかの例では、与えられた事象の平均深さは、他のランダムな挿入事象の平均深さの約1.2倍、約1.4倍、約1.6倍、約1.8倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍、または約100倍であり得る。3つの異なるプライマーは、より効率的な配列(例えば、より低いGC含量領域)から増幅人工物を除去するために使用され得る。天然およびランダムな合成標識は、いずれか1つの事象のクローン増幅を除去するために使用され得る。要するに、各事象を確証し、定量化するための情報の複数のソースがあり得る。
【0041】
本開示は、各々がMEI事象を表わす分子のライブラリを含む組成物を提供することができる。ライブラリは、多重フォーマットで存在し得る。
【0042】
本開示は、生殖細胞系中の世代に渡されるすべての既知の癌を引き起こすウイルスおよび/またはすべての既知の活性なALUおよびMEIに対して試験する方法をさらに提供することができる。該方法は、癌遺伝子破壊、細胞老化、各々の組織特異的なMEI事象(例えば、老化脳におけるアルツハイマー病)における重要遺伝子の破壊、および/または細胞の健康および老化に関する試験などの用途に使用され得る。
【0043】
本開示は、既知の挿入部位配列からゲノム中の未知の配列を生成する方法を提供する。未知の配列は、遺伝子の破壊を判定するために使用され得る。リードからの合成プライマー配列は、配列決定されるMEIタイプを決定するために使用され得、ゲノム配列は、破壊された遺伝子を識別するために使用され得、および天然および合成の標識は、各事象の定量を決定するために使用され得る。したがって、全体的な活性(事象の総数)と同様に事象の位置および数量はすべて、成人発症の疾患および細胞の健康における診断上または予後の判定に重要であり得る。
【0044】
挿入の領域に対するプライマー設計が、MEIの5’または3’挿入部位で既知の診断配列において生じる。20、50、100の塩基対のウィンドウに分割されて、特有のまたはいくらか特有のプライマー配列は、TM、縮重位置(degenerate positions)および反復位置を考慮に入れて設計される。プライマー設計は、挿入末端から開始する複数のプライマーが設計されるという点で冗長である。すべての既知のMEIウイルスおよび内因性のMEI配列に対して設計された単一のプライマーライブラリが、開発され、合成され、等モル比でプールされる。
【0045】
プライマーは、使用されている配列決定プラットフォームのアダプター補体(adapter compliment)に対応する5’末端で分子「尾部(tail)」を含む。随意の分子バーコードが、いくつかの場合においてサンプル多重のための合成工程に含まれる。
【0046】
プライマー伸長が、一様温度で鎖置換ポリメラーゼの使用によって、または熱的に安定なポリメラーゼの使用およびプライマー伸長反応の循環によって生じる。ポリメラーゼは、修飾塩基または水酸基を欠く3’末端を有する塩基を組み込みながら伸長する能力を有さなければならない。
【0047】
天然のdNTPとビオチン化したddNTPの組み合わせが、反応混合物において使用される。天然のdNTPに対するddNTPの比率は、伸張分子のフラグメント長を決定する。例えば、ddNTPの1%の画分を使用することで、任意の与えられた塩基で末端分子を組み込む1/100の可能性がもたらされる。典型的な結果は、1%のddNTP比率が、およそ500bpのフラグメントピーク(fragment peaks)をもたらすことを示す。これは恐らく天然のNTP対変更されたNTPの取り込みの効率性の差が原因である。
【0048】
結果として生じる分子は、5’末端での合成配列および3’末端での患者由来の配列から成るキメラ分子である。分子は、末端の、ビオチン化したヌクレオチドで終端する。
【0049】
分子は、親和性反応のゲノムバックグラウンド(genomic background)の使用によって精製される。ストレプトアビジンをコーティングした磁気ビーズが、この工程に使用される。4つのビオチン化した分子は、ストレプトアビジン分子につきビーズ上に結合し、残りのddNTP、dNTPおよび未使用のプライマーが除去される。
【0050】
第2プライマー伸長反応が、3’末端での8のヌクレオチドおよびシーケンサープラットフォーム(sequencer platform)に対応するBアダプター補体から成るランダムなプライマーの使用によって生じる。ランダムなプライミングが、分子にわたって生じるが、鎖置換ポリメラーゼの使用によって、最も遠位のランダムプライマーおよびその伸長した産物のみが、ストレプトアビジンビーズに水素結合したままとなる。B反応からのコピーされた分子は、Aプライマー全体を通って元の鎖上に流れ(run)、5’Bアダプター、8bpの合成ランダム配列、MEI挿入物のヒト宿主のゲノム配列部位、MEI遺伝子座特異的なプライマーの合成配列、および3末端でのAアダプター補体を有する一本鎖分子をもたらす。これらの分子は、ストレプトアビジン結合した分子から変性され、全長シークエンサーアダプター、およびサンプル多重が必要とされる場合に、随意の外部バーコードを組み込むためにPCR増幅される。
【0051】
このキメラリードの構造(chimeric read structure)およびその特徴は、データ分析に多くの利点を有する。プライマーの合成遺伝子座特異的な配列は、どのMEIがリードにおいて標的とされるかを判定するために使用される。同じMEI種に対して異なる伸長開始点を結果的にもたらす冗長なプライマー部位は、挿入事象の内部確証として使用され得る。これはまた、それほど効率的でないまたは不適切に設計された遺伝子座特異的なプライマーに関する脱落(drop out for)を回避する。遺伝子座特異的なプライマーは、ウイルスMEIに加えて、Alus、LINEを含む、すべての既知のMEIのために使用され得る。既知のウイルスの全領域が、低い(being low)同じサンプル中の複数のウイルスの可能性を有して単一のライブラリにおいて設計されるだろう。ウイルスプライマーの多くが、任意の与えられたサンプル中でデータを生成しない傾向にある。
【0052】
3’フラグメンテーションおよび変更された3’配列は、内部の分子標識または天然のバーコードとして作用する。2つのリードは、異なる天然の標識(3’配列)を有する場合、確実に鋳型DNAから独立したリードとなり得、クローンのエラーにはならない。
【0053】
Bアダプター反応からの合成配列のランダムな8bpも、確率的な標識として作用することができる。ランダムな3’配列とランダムな8量体からの確率的な標識の組み合わせは、リードが、独立しており、クローン的に増幅されないことをさらに保証するために併用して使用され得る。
【0054】
データ分析中に、与えられたMEIからのリードは、最初にアダプター配列を切り取られる(trimmed of)。シーケンサー・ラン(sequencer run)が多重バーコードを付けたサンプルを含んだ場合、分子バーコードが識別される。合成遺伝子座特異的なプライマーに対応する最初の5-25の塩基は、標的とされているMEI事象を判定するために識別される。その後、塩基は、マッピングおよびアセンブリに対するリードから切り取られる。残りの配列は、ヒトの基準ゲノムに対してマッピングされ、重複するリードにわたって組み立てられ、ヒトゲノム中の挿入位置に関する証拠を提供する。二重のリードは、それらの3’末端および確率的な標識に基づいて除去される。ペアエンドリードに関して、第2リードは、挿入部位に対する重複するリードを提供するために縮小されている挿入物サイズで個々にマッピングされない場合に補充される。MiSeqシステムを使用して、300bpの挿入物サイズ(ILMNクラスター生成に好ましい)で、約400-500bpの累積的な配列が、位置的マッピングのために生成される。クローンのリードがすべて除去された後、事象の位置および数は、各位置に対して定量化される。
【0055】
したがって、本明細書には、可動要素挿入(MEI)の挿入部位配列および可動要素活性に関する、方法、組成および使用の方法が開示され、例えば、それらはヒトの健康に関する。ヒトの可動要素は、DNAトランスポゾンまたはレトロトランスポゾンとして分類され得る。DNAトランスポゾンは、カット・アンド・ペースト機構によって移動する。レトロトランスポゾンは、レトロトランスポジションと呼ばれるプロセスである、RNA中間体を介するコピー・アンド・ペースト機構によって動く。
【0056】
ヒトの疾患に関係する可動要素が、当該技術分野で知られている。典型的な可動要素は、限定することなく、L1、Alu、SINE-R/VNTR/Alu(SVA)、プロセス偽遺伝子、およびヒト内在性レトロウイルス(HERV)を含む。タンパク質をコード化する遺伝子座の5’に位置するレトロトランスポジションは、代替的なプロモーターとして頻繁に機能する。例えば、キャップ分析遺伝子発現(cap analysis gene expression)およびピロシーケンスによって評価されるように、遺伝子の3’UTR(非翻訳領域)に位置するレトロトランスポゾンは、それぞれの遺伝子の発現を縮小する強い証拠を示す。レトロトランスポゾンの低メチル化は、レトロトランスポゾン自体の転写または近くの遺伝子の転写のいずれかに影響を与えると知られている。例えば、MET(肝細胞増殖因子受容体)の発癌遺伝子に関係するL1中のプロモーターのメチル化の増加は、腫瘍を有する膀胱の尿路上皮内の代替的なMET転写を引き起こすと知られている。
【0057】
同様に、多くのヒトレトロウイルスは、「可動要素」を構成し、ヒトゲノム配列に対するその影響のために本明細書で熟考される。多くのヒトレトロウイルスが、当該技術分野で知られている。レトロウイルスは、以下の2つの形態で存在すると知られている:それらの染色体DNA中の正常な遺伝要素(内在性レトロウイルス)として、およびヒトからヒトに伝搬される、水平伝搬された感染性RNAを含有するウイルス(外在性レトロウイルス、例えば、HIV、ヒトT細胞白血球ウイルス、HTLV)として。ヒトレトロウイルス挿入によるDNAへの異常な変化は、疾患の発症に関係していると知られている。ヒトDNAに挿入する典型的なヒトレトロウイルスは、限定することなく、HIV1、HIV2、HTLV1、HTLV2、およびHSRVを含む。
【0058】
本明細書には、細胞増殖にタグ付けされた可動要素挿入物(MEI)を同定する方法が開示される。いくつかの場合では、これらの方法は、第1核酸サンプル中の第1MEI挿入部位でMEIレベルを定量的に測定する工程;第2核酸サンプル中の第1MEI挿入部位でMEIレベルを定量的に測定する工程;および第1核酸サンプル中の第1MEI挿入部位でのMEIレベルが、第2核酸サンプル中の第1MEI挿入部位でのMEIレベルと実質的に異なる場合に、第1MEI挿入部位を細胞増殖にタグ付けされたMEIとして同定する工程、を含む。
【0059】
いくつかの場合では、サンプル核酸量は標準化され、一方、代替的な場合では、核酸量は、例えば、半数体ゲノムにつき単一のコピーで存在すると健康な個体において知られている核酸の1つまたは複数の核酸のレベルを測定することによって標準化される。いくつかの場合では、サンプルにいる場合、「実質的な差(differing substantially)」は、核酸存在量または核酸相対的存在量、あるいは標準化された核酸存在量が、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、または50%以上異なるサンプルのときに生じる。いくつかの場合では、「実質的な差」は、5%の差を指す。いくつかの場合では、「実質的な差」は、10%の差を指す。いくつかの場合では、「実質的な差」は、15%の差を指す。いくつかの場合では、「実質的な差」は、20%の差を指す。いくつかの場合では、「実質的な差」は、25%の差を指す。いくつかの場合では、「実質的な差」は、30%の差を指す。いくつかの場合では、「実質的な差」は、35%の差を指す。いくつかの場合では、「実質的な差」は、40%の差を指す。いくつかの場合では、「実質的な差」は、45%の差を指す。いくつかの場合では、「実質的な差」は、50%の差を指す。いくつかの場合では、「実質的な差」は、50%以上の差を指す。
【0060】
MEI挿入部位に隣接している配列が、いくつかの場合において決定される。例えば、MEI挿入物が、他のMEIに対してまたは以前の時点にわたる1つの時点で過剰増殖に関係している場合、MEI挿入部位に隣接している配列は、いくつかの場合において処置を選択するために使用される。
【0061】
例えば、MEIが隣接した配列が、既知の発癌遺伝子に相当する場合、その発癌遺伝子に関係する癌の対処に関連する処置が、そのMEIの過剰増殖を一時的にまたは空間的に実証する個人に施されるように選択される。
【0062】
癌の発症に関係する多くの遺伝子が、当該技術分野で知られている。これらの遺伝子は、限定することなく、癌促進因子(cancer drivers)、発癌遺伝子、腫瘍抑制因子および腫瘍感受性遺伝子を含む、様々な名称で知られている。これらの遺伝子の異常なDNA変化は、癌進行の一因となると知られている。改変したときに癌の促進に関係する典型的な遺伝子は、限定することなく、abl1、acvr1b、af4/hrx、akt1、akt-2、alk、alk/npm、aml1、aml1/mtg8、apc、ar、arid1a、arid1b、arid2、asxl1、atm、atrx、axin1、axl、b2m、bap1、bcl2、blc-3、bcl-6、bcor、bcr/abl、braf、brca1、brca2、card11、casp8、c-myc、cbl、cdc73、cdh1、cdkn2a、cebpa、cic、crebbp、crlf2、csf1r、ctnnb1、cyld、daxx、dbl、del/can、dnmt1、dnmt3a、e2a/pbx1、egfr、enl/hrx、ep300、erbB、erbB-2、erg/TLS、ets-1、ews/fli-、ezh2、fam123b、fbxw7、fgfr2、fgfr3、flt3、fms、fos、foxl2、fps、fubp1、gata1、gata2、gata3、gli、gna11、gnaq、gnas、gsp、her2/neu、h3f3a、hist1h3b、hnf1a、hras、hox11、hst、idh1、idh2、il-2、int-2、jak1、jak2、jak3、jun、kit、ks3、K-sam、kdm5c、kdm6a、kit、klf4、kras、lbc、lck、lmo1、lmo2、l-myc、lyl-1、lyt-10C alpha-1、ma、mdm-2、mos、map2k1、map3k1、med12、men1、met、mlh1、mll2、mll3、mpl、msh2、msh6、myd88、myb、myh11/cbfb、ncor1、neu、n-myc、nf1、nf2、nfe2l2、notch1、notch2、npm1、nras、ost、pax5、pbx1/e2a、pbrm1、pdgfra、phf6、pik3ca、pik3r1、pim-1、prad-1、ppp2r1a、prdm1、ptch1、pten、ptpn11、raf、rar/pml、rasH、rasN、rb1、rel/nrg、ret、rhom1、rehom2、ros、rnf43、runx1、ski、sis、set/can、srcret、setd2、setbp1、sf3b1、smad2、smad4、smarca4、smarcb1、smo、socs1、sox9、spop、srsf2、stag2、stk11、tal1、tal2、tan-1、tiam1、tsc2、trk、tet2、tnfaip3、traf7、tp53、tsc1、tshr、u2af1、vhl、およびwt1を含む。このリスト中の遺伝子にマッピングするMEI挿入物に隣接する配列は、例えば、いくつかの場合において、前記遺伝子にまたは前記遺伝子の遺伝子産物が関与するシグナル経路に関係する処置が、処置レジメンへの組み込みのための選択れるべきであることを示唆している。
【0063】
同様に、多くのゲノム再編成が、癌に関係するものとして識別される。癌における遺伝子再構成が、主として、DNA二本鎖切断(DSB)から生じることは当該技術分野で既知である。遺伝子再構成につながる典型的な機構は、限定することなく、合成依存性末端結合(synthesis-dependent end-joining)(SDEJ)、切断融合架橋環による姉妹染色分体融合が引き起こした遺伝子増幅、V(D)J 組み換え-活性化(RAG)タンパク質媒介性の転座、および活性化誘導シチジン脱アミノ酵素(AID)クラススイッチ組換えを含む。
【0064】
典型的な遺伝子再構成は、限定することなく、ACSL3/ETV1、ACTB/GLI1、AFF3/BCL2、AGTRAP/BRAF、AHRR/NCOA2、AKAP9/BRAF、ALK/PTPN3、ANKRD28/NUP98、ARHGAP6/PRCC、ASPSCR1/TFE3、ATIC/ALK、BACH2/BCL2L1、BCL11B/TCR、BCL2/Ig、BCOR/RARA、BCR/ABL1、BCR/FGFR1、BCR/JAK2、BCR/PDGFRA、BIRC3/MALT1、BRD3/C15orf55、BRWD3/ARHGAP2、BRWD3/ARHGAP20、C11orf95/MKL2、C15orf21/ETV1、C15orf55/BRD4、C6orf204/PDGFRB、CACNA2D4/WDR43、CANT1/ETV4、CAPRIN1/PDGFRB、CARS/ALK、CBFB/MYH11、CCDC6/PDGFRB、CCDC6/RET、CCDC88C/PDGFRB、CCND1/FSTL3、CD44/SLC1A2、CD74/ROS1、CDH11/USP6、CDK5RAP2/PDGFRA、CDK6/MLL、CEP110/FGFR1、CHCHD7/PLAG1、CHIC2/ETV6、CIC/DUX4、CLTC/ALK、CLTC/TFE3、CNBP/USP6、CNTRL/KIT、COL1A1/PDGFB、COL1A1/USP6、COL1A2/PLAG1、COL6A3/CSF1、CREB3L2/PPARG、CRTC1/MAML2、DGKB/MIPOL1、EML1/ABL1、EML4/ALK、EPC1/PHF1、ERC1/PDGFRB、ESRP1/RAF1、ETV6/ABL1、ETV6/ABL2、ETV6/ACSL6、ETV6/ARNT、ETV6/BAZ2A、ETV6/CDX2、ETV6/FGFR3、ETV6/FLT3、ETV6/GOT1、ETV6/ITPR2、ETV6/JAK2、ETV6/LYN、ETV6/MDS2、ETV6/MECOM、ETV6/NKAIN2、ETV6/NTRK3、ETV6/PDGFRA、ETV6/PDGFRB、ETV6/PER1、ETV6/PRDM16、ETV6/RUNX1、ETV6/SYK、EWSR1/ATF1、EWSR1/CREB1、EWSR1/DDIT3、EWSR1/ERG、EWSR1/ETV1、EWSR1/ETV4、EWSR1/FEV、EWSR1/FLI1、EWSR1/NFATC2、EWSR1/NR4A3、EWSR1/PATZ1、EWSR1/PBX1、EWSR1/POU5F1、EWSR1/SMARCA5、EWSR1/SP3、EWSR1/WT1、EWSR1/ZNF444、EXOC2/IGH、FCHSD1/BRAF、FGFR1OP/FGFR1、FGFR1OP/FGFR1、FGFR1OP2/FGFR1、FIP1L1/PDGFRA、FIP1L1/RARA、FOXO1/PAX3、FOXP1/ABL1、FUS/ATF1、FUS/CREB3L1、FUS/CREB3L2、FUS/DDIT3、FUS/ERG、FUS/FEV、FZD6/SDC2、GAPDH/BCL6、GIT2/PDGFRB、GOLGA4/PDGFRB、GOLGA5/RET、GOPC/ROS1、HAS2/PLAG1、HELIOS/BCL11B、ERVK-17/ETV1、HIP1/PDGFRB、HIST1H4I/BCL6、HMGA1/LAMA4、HMGA2/CCNB1IP1、HMGA2/COG5、HMGA2/COX6C、HMGA2/FHIT、HMGA2/LPP、HMGA2/NFIB、HMGA2/RAD51L1、HMGA2/WIF1、HMGN2P46/ETV1、HNRNPA2B1/ETV1、HOOK3/RET、HPR/MRPS10、HSP90AA1/BCL6、HSP90AB1/BCL6、IKZF1/BCL6、IL2/DEXI、IL2/TNFRSF17、IL21R/BCL6、INPP5D/ABL1、ITK/SYK、Ig/BCL11B、Ig/BCL3、Ig/BCL6、Ig/BCL7A、Ig/CCND1、Ig/CCND3、Ig/CDKN2A、Ig/FCGR2B、Ig/FCRL4、Ig/FOXP1、Ig/IL3、Ig/KDSR、Ig/LHX4、Ig/LHX4、Ig/MUC1、Ig/MYC、Ig/PAFAH1B2、Ig/WHSC1、Ig/WWOX、JAZF1/PHF1、JAZF1/SUZ12、KIAA1549/BRAF、KIF5B/ALK、KIF5B/PDGFRA、KIF5B/RET、KLK2/ETV4、KTN1/RET、LCK/TCR、LCP1/BCL6、LEO1/SLC12A1、LIFR/PLAG1、LRRFIP1/FGFR1、LYL1/TCR、MALAT1/ACAT2、MALAT1/TFEB、MALT1/MAP4、MEF2D/DAZAP1、MIR142/MYC、MLL/ABI1、MLL/ABI2、MLL/ACACA、MLL/AFF1、MLL/AFF3、MLL/AFF4、MLL/ARHGAP26、MLL/ARHGEF12、MLL/CASC5、MLL/CASP8AP2、MLL/CBL、MLL/CREBBP、MLL/DAB2IP、MLL/EEFSEC、MLL/ELL、MLL/EP300、MLL/EPS15、MLL/FLNA、MLL/FOXO3、MLL/GAS7、MLL/GMPS、MLL/GPHN、MLL/KIAA0284、MLL/KIAA1524、MLL/LASP1、MLL/LPP、MLL/MAML2、MLL/MAPRE1、MLL/MLLT1、MLL/MLLT10、MLL/MLLT11、MLL/MLLT3、MLL/MLLT4、MLL/MLLT6、MLL/MYO1F、MLL/NCKIPSD、MLL/NEBL、MLL/PICALM、MLL/PDS5A、MLL/SACM1L、MLL/SEPT11、MLL/SEPT2、MLL/SEPT5、MLL/SEPT6、MLL/SEPT9、MLL/SH3GL1、MLL/SORBS2、MLL/TET1、MLL/ZFYVE19、MN1/ETV6、MSI2/HOXA9、MSN/ALK、MYB/GATA1、MYB/NFIB、MYC/Ig、MYC/ZBTB5、MYH9/ALK、MYO18A/FGFR1、MYST3/ASXL2、MYST3/CREBBP、MYST3/NCOA2、MYST3/NCOA3、MYST4/CREBBP、NAV2/TCF7L1、NCOA4/RET、NDE1/PDGFRB、NDRG1/ERG、NDRG1/ERG、NFKB2/INA、NFKB2/TBXAS1、NIN/PDGFRB、NONO/TFE3、NOTCH1/TCR、NPM1/ALK、NPM1/MLF1、NPM1/RARA、NSD1/ANKRD28、NUMA1/RARA、NUP214/ABL1、NUP214/DEK、NUP98/ADD3、NUP98/CCDC28A、NUP98/DDX10、NUP98/HHEX、NUP98/HMGB3、NUP98/HOXA11、NUP98/HOXA13、NUP98/HOXA9、NUP98/HOXC11、NUP98/HOXC13、NUP98/HOXD11、NUP98/HOXD13、NUP98/IQCG、NUP98/KDM5A、NUP98/LNP1、NUP98/MLL、NUP98/NSD1、NUP98/PRRX1、NUP98/PRRX2、NUP98/PSIP1、NUP98/RAP1GDS1、NUP98/SETBP1、NUP98/TOP1、NUP98/WHSC1L1、OMD/USP6、P2RY8/CRLF2、PAX3/NCOA1、PAX3/NCOA2、PAX5/AUTS2、PAX5/BRD1、PAX5/C20orf112、PAX5/DACH1、PAX5/ELN、PAX5/ETV6、PAX5/FOXP1、PAX5/HIPK1、PAX5/JAK2、PAX5/PML、PAX5/POM121、PAX5/SLCO1B3、PAX5/ZNF521、PAX8/PPARG、PCM1/JAK2、PCM1/RET、PDE4DIP/PDGFRB、PEX5/LPL、PICALM/MLLT10、PIM1/BCL6、PML/RARA、POU2AF1/BCL6、PPP2R2A/CHEK2、PRKAR1A/RARA、PRKAR1A/RET、PRKG2/PDGFRB、PVRL2/TCR、RABEP1/PDGFRB、RANBP17/TCR、RANBP2/ALK、RBM15/MKL1、RBM6/CSF1R、RCSD1/ABL1、RNF213/ALK、RPN1/MECOM、RUNX1/AFF3、RUNX1/CBFA2T3、RUNX1/CLCA2、RUNX1/LPXN、RUNX1/MACROD1、RUNX1/RUNX1T1、RUNX1/SH3D19、RUNX1/TRPS1、RUNX1/USP42、RUNX1/YTHDF2、RUNX1/ZNF687、RYK/ATP5O、SEC31A/ALK、SEC31A/JAK2、SENP6/NKAIN2、SET/NUP214、SFPQ/ABL1、SFPQ/TFE3、SFRS3/BCL6、SLC34A2/ROS1、SLC45A3/BRAF、SLC45A3/ELK4、SLC45A3/ERG、SLC45A3/ETV1、SLC45A3/FLI1、SNX2/ABL1、SPECC1/PDGFRB、SPTBN1/FLT3、SQSTM1/ALK、SRGAP3/RAF1、SS18/SSX1、SS18/SSX2、SS18/SSX4、SS18L1/SSX1、SSBP2/JAK2、STAT5B/RARA、STRN/PDGFRA、TAF15/NR4A3、TAF15/ZNF384、TAL1/RHOA、TAL1/TCR、TCEA1/PLAG1、TCF12/NR4A3、TCF3/HLF、TCF3/NOP2、TCF3/PBX1、TCF3/TFPT、TCF3/ZNF384、TCR/LMO1、TCR/LMO2、TCR/MTCP1NB、TFG/ALK、TFG/NR4A3、TFG/NTRK1、TFRC/BCL6、THRAP3/USP6、TLX1/TCR、TMPRSS2/ERG、TMPRSS2/ERG、TMPRSS2/ETV1、TMPRSS2/ETV4、TMPRSS2/ETV5、TP53BP1/PDGFRB、TPM3/PDGFRB、TPM4/ALK、TPR/NTRK1、TRIM24/FGFR1、TRIM27/RET、TRIM33/RET、TRIP11/PDGFRB、VTI1A/TCF7L2、WDR48/PDGFRB、WWTR1/CAMTA1、ZBTB16/RARA、ZMIZ1/ABL1、ZMYM2/FGFR1、RUNX1/KIAA1549L、YAP1/TFE3、GTF2I/NCOA2、EWS/FLI1、SLC44A1/PRKCA、NAB2/STAT6、CUX1/AGR3、FGFR3/BAIAP2L1、FGFR3/TACC3、FGFR3/TACC3、およびNABP1/RARA、を含む。したがって、癌遺伝子再配列に関係する遺伝子に相当するMEI挿入物に隣接する配列は、再配列に関係する処置が、個体に対する処置レジメンに効果的となることを暗示している。
【0065】
いくつかの場合では、ゲノム分析から得られた情報に基づいて、抗癌剤が投与される。化学療法の抗癌剤の例としては、ベンダムスチン、クロラムブチル、クロルメチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、プレドニムスチン、トロホスファミドのような、ナイトロジェンマスタード;ブスルファン、マンノスルファン、トレオスルファンのような、スルホン酸アルキル;カルボコン、チオテパ、トリアジクオンのような、エチレンイミン;カルムスチン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、ストレプトゾシンのような、ニトロソ尿素;エトグルシドのような、エポキシド;ダカルバジン、ミトブロニトール、ピポブロマン、テモゾロミドのような、他のアルキル化剤;メトトレザト、ペメトレキセド(permetrexed)、プララトレキサート、ラルチトレキセドのような、葉酸アナログ;クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ネララビン、チオグアニンのような、プリンアナログ;アザシチジン、カペシタビン、カルモフール、シタラビン、デシタビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフールのような、ピリミジンアナログ;ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビンのような、ビンカアルカロイド;エトポシド、テニポシドのような、ポドフィロトキシン誘導体;デメコルチンのような、コルヒチン誘導体;ドセタセル、パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメクスのような、タキサン;トラベクテジンのような、他の植物アルカロイドおよび天然物;ダクチノマイシンのような、アクチノマイシン;アクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ピラルビシン、バルルビシン、ゾルビシン(zorubincin)のような、アントラサイクリン(Antracyclines);ブレオマイシン、イクサベピロン、マイトマイシン、プリカマイシンのような、他の細胞毒性抗生物質;カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチンのような、白金化合物;プロカルバジンのような、メチルヒドラジン;アミノレブリン酸、エファプロキシラル、アミノレブリン酸メチル、ポルフィマーナトリウム、テモポルフィンのような、感作物質;ダサチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ(pazonanib)、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムスのような、プロテインキナーゼ阻害剤;アリトレチノイン、アルトレタミン、アムサクリン(amzacrine)、アナグレリド、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、ベキサロテン、ボルテゾミブ、セレコキシブ、デニロイキンジフチトクス、エストラムスチン、ヒドロキシカルバミド、イリノテカン、ロニダミン、マソプロコール、ミルテホシン(miltefosein)、ミトグアゾン、ミトタン、オブリメルセン、ペグアスパルガーゼ、ペントスタチン、ロミデプシン、シチマジーンセラデノベック、チアゾフリン、トポテカン、トレチノイン、ボリノスタットのような、他の抗腫瘍薬;ジエチルスチルベノール(diethylstilbenol)、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、リン酸ポリエストラジオールのような、エストロゲン;ゲストノロン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロールのような、プロゲストゲン;ブセレリン、ゴセレリン、リュープロレリン、トリプトレリンのような、性腺刺激ホルモン放出ホルモンアナログ;フルベストラント、タモキシフェン、トレミフェンのような、抗エストロゲン;ビカルタミド、フルタミド、ニルタミドのような、抗アンドロゲン;アミノグルテチミド、アナストロゾール、エキセメスタン、ホルメスタン、レトロゾール、ボロゾールのような、酵素阻害剤;アバレリックス、デガレリクスのような、他のホルモン拮抗薬;ヒスタミン二塩酸塩、ミファムルチド、ピドチモド、プレリキサホル、ロキニメックス、チモペンチンのような、免疫賦活薬;エベロリムス、グスペリムス、レフルノミド、ミコフェノール酸、シロリムスのような、免疫抑制薬;シクロスポリン、タクロリムスのような、カルシニューリン阻害剤;アザチオプリン、レナリドマイド、メトトレザト、サリドマイドのような、他の免疫抑制薬;およびヨーベングアン(iobenguane)のような放射性医薬品が挙げられる。
【0066】
いくつかの実施形態では、抗癌剤は、毒素、例えば、ジフテリア毒素である。特定の実施形態では、生体適合性ヒドロゲルポリマーを形成するために、生体適合性ヒドロゲルポリマーには、治療上有効な量の1つ以上の毒素が充填される。毒素の例としては、ジフテリア毒素、ボツリヌス毒素、細胞溶解素、溶血素(例えば、α溶血毒またはStaphyllococcus aureusのα溶血素)、コレラ毒素、百日咳毒素、志賀毒素のような、エキソトキシン;大腸菌からの耐熱性エンテロトキシン;クラーレ;αコブラトキシン;ベロ毒素-1;およびBordetella pertussisからのアデニル酸シクラーゼ(AC)毒素、が挙げられる。
【0067】
いくつかの場合では、処置は、MEI挿入物に隣接する連続した配列を含む核酸配列の分解を特異的に標的とする組成物の投与を含む。
【0068】
上に議論されるように、遺伝子または遺伝子産物、あるいはMEI挿入物に隣接する配列によって標識化される遺伝子産物に関連する経路に関係する処置を選択するためにMEI境界を使用することに加えて、MEI挿入境界配列は、いくつかの場合において、MEIおよび挿入物に隣接する配列に及ぶ配列を直接標的とする、核酸を標的とする医薬品の開発に使用される。MEIおよび挿入物に隣接する境界配列に及ぶ核酸配列を含む多くの組成物が、本明細書で熟考される。いくつかの場合では、そのような組成物の共通の態様は、それらがMEI末端(edge)配列および挿入物に隣接するゲノム配列の両方に及ぶ配列に特異的であり、MEI配列あるいは挿入物に隣接する配列のいずれかを分離して標的とするのには十分に長くない、核酸要素を含むということである。
【0069】
すなわち、ここの多くのケースにおいて企図され開示された組成物は、挿入物に隣接する配列が無い状態ではMEIに結合せず、隣接したMEIがない状態では挿入物に隣接する配列に結合しない;むしろ、本明細書に開示された組成物は、MEIおよび隣接したゲノムの配列の両方を含む配列に特異的に結合する核酸成分を含む。したがって、そのような組成物を用いる処置上、例えば実質的に過剰であるとして本明細書で開示された時間か空間の分析で同定したものなどの、本明細書で開示されているようなMEI挿入物に隣接する配列に対応する核酸だけが、組成物によって標的とされ、一方、挿入物に隣接する配列を含むがMEI配列を含まない他のMEIおよび挿入されていない対立遺伝子は組成物によって結合されない。一部の場合においては、組成物の核酸構成要素は3、4、5、6、7、8、9、10、または10を超える塩基のMEI配列、および3、4、5、6、7、8、9、10または10を超える挿入物に隣接する配列塩基を含み、それにより、組成物とMEIの間のみ、または組成物および挿入物に隣接する配列の間のみの結合エネルギーでは、結合を安全にするには不十分である。
【0070】
本明細書に開示されるような組成物は、例えば、MEIおよび挿入物に隣接する配列を含む標的配列のエンドヌクレアーゼ的切断を導く部分と組み合わせて、前述した特性を有するガイド核酸を含む。
【0071】
一部の実施形態において、ガイド核酸分子はガイドRNA分子である。場合によっては、ガイドRNA分子または他のガイド核酸分子は、例えばCas9タンパク質などエンドヌクレアーゼ活性を有するタンパク質の補充により、それが結合したDNA分子の内部ヌクレオチド鎖切断を導く。とりわけジンクフィンガー・ヌクレアーゼ(ZFN)、エフェクター・ヌクレアーゼおよびClustered Regulatory Interspaced Short Palincromic Repeat/CasベースのRNAにガイドされたDNAヌクレアーゼ(CRISPR/Cas9)のような転写活性因子は、本明細書に開示されているいくつかの実施形態と互換性を有する。
【0072】
ガイドRNA分子または他のガイド核酸分子は、配列決定から取り除かれることになっている標的配列(標的配列領域内の非標的配列)と塩基対を為す配列を含む。いくつかの実施形態では、塩基対合は完全であるが、その一方でいくつかの実施形態では、塩基対合は部分的か、非標的配列と対になる塩基と対になっていない塩基を含む。
【0073】
ガイドRNA分子または他のガイド核酸分子は、「ヘアピン」構造を形成する領域または複数の領域を含む場合がある。そのような領域または複数の領域は、パリンドローム配列を部分的にまたは完全に含み、その領域の5’および3’の末端は互いにハイブリタイズし、二本鎖「ステム」(stem)構造を形成する場合があり、これはいくつかの実施形態では、二本鎖ループ中の一本鎖の各々を互いにつなぎとめる非回帰性のループにキャップされる。
【0074】
いくつかの実施形態では、ガイドRNA分子または他のガイド核酸分子は、tracrRNAステムループ(stem loop)などのステムループを含む。tracrRNAステムループなどのステムループはCas9DNAエンドヌクレアーゼなどの核酸エンドヌクレアーゼと複合体を形成する、または結合する場合がある。代替的に、ステムループはCas9以外のエンドヌクレアーゼ、または、例えば塩基切除酵素、メチルトランスフェラーゼ、または1つ以上のDNAポリメラーゼ酵素に干渉する他の核酸を修飾する活性がある酵素などの、エンドヌクレアーゼ以外の核酸修飾酵素と複合体を形成し得る。
【0075】
tracrRNA/CRISPR/エンドヌクレアーゼ系は、細胞が既知の配列であるウイルスにより繰り返される感染に対する耐性を獲得することによって、ユーバクテリアおよび古細菌の原核生物中の適応性のある免疫系であるとして確認された。例として、Deltcheva E, Chylinski K, Sharma CM, Gonzales K, (2011) “CRISPR RNA maturation by trans-encoded small RNA and host factor RNase III”Nature 471 (7340):602-7.doi:10.1038/nature09886.PMC 3070239.PMID 21455174;Terns MP, Terns RM (2011) “CRISPR-based adaptive immune systems” Curr Opin Microbiol 14 (3):321-7.doi:10.1016/j.mib.2011.03.005.PMC 3119747.PMID 21531607;Jinek M, Chylinski K, Fonfara I, Hauer M, Doudna JA, Charpentier E (2012) “A Programmable Dual-RNA-Guided DNA Endonuclease in Adaptive Bacterial Immunity” Science 337 (6096):816-21.doi:10.1126/science.1225829.PMID 22745249;and Brouns SJ (2012) “A Swiss army knife of immunity” Science 337 (6096):808-9.doi:10.1126/science.1227253.PMID 22904002.を参照。この系は真核細胞中の標的遺伝子突然変異誘発を導くのに適している。例えば、Wenzhi Jiang, Huanbin Zhou, Honghao Bi, Michael Fromm, Bing Yang, and Donald P. Weeks (2013) “Demonstration of CRISPR/Cas9/sgRNA-mediated targeted gene modification in Arabidopsis, tobacco, sorghum and rice” Nucleic Acids Res. Nov 2013 ;41(20):e188, Published online Aug 31, 2013. doi:10.1093/nar/gkt780、およびその中にある参考文献を参照。
【0076】
本明細書で企図されるように、Cas9エンドヌクレアーゼなどのDNAエンドヌクレアーゼに配列特異性を提供するためにいくつかの実施形態でガイドRNA分子または他のガイド核酸分子を使用する。これらの実施形態では、ガイドRNA分子または他のガイド核酸分子は、例えばCas9(いくつかの実施形態では代替物または付加物として他のエンドヌクレアーゼを考慮する)などのエンドヌクレアーゼに結合する、またはエンドヌクレアーゼによって結合されるヘアピン構造を含み、さらにガイドRNA分子または他のガイド核酸分子は、配列決定ライブラリまたは配列決定反応から取り除かれることになっている配列に結合するまたは特異的に結合する、または排他的に結合する認識配列を含む。ガイドRNA分子または他のガイド核酸分子中の認識配列の長さは、配列除去工程で望ましい特異性の程度に応じて変わることがある。上に議論されたように、核酸特異性は、RNA分子または他のガイド核酸分子がMEI挿入物に隣接する配列結合に特異的に結合するが、MEIにも挿入物に隣接する配列単独にも結合しないという必要条件により多くの場合指定されている。サンプル中に頻繁に生じる配列、または差次的に豊富な配列(ATに富んだゲノムサンプル中のATの存在量、またはGCに富んだゲノムサンプル中のGCの存在量)を含む短い認識配列は、おそらく多くの部位を同定し、したがって、エンドヌクレアーゼ活性、基部切除、メチル化、または少なくとも1つのDNAポリメラーゼ活性に干渉する他の活性などの頻繁な核酸修飾を導く。サンプル中に稀に生じる配列、または比率的に少ない塩基の組み合わせ(ATに富んだゲノムサンプル中のGCの存在量、またはGCに富んだゲノムサンプル中のATの存在量)を含む長い認識配列は、おそらく少ない部位を同定し、したがって、エンドヌクレアーゼ活性、基部切除、メチル化、または少なくとも1つのDNAポリメラーゼ活性に干渉する他の活性などの稀に生じる核酸修飾を導く。従って、本明細書に開示されるように、いくつかの実施形態では、単一のMEI挿入物に隣接する配列を特異的に標的とするために、認識配列の長さに対する修飾を介して配列反応からの配列移動の頻度を調整する場合がある。
【0077】
ガイドRNA分子または他のガイド核酸分子は本明細書における開示と一致する多くの方法を通じて合成され得る。多量のガイドRNA分子または他のガイド核酸分子を製造するために標準の合成技術を使用する場合がある。二本鎖DNA分子はRNA分子、または他のガイド核酸分子部位特異的結合配列、Cas9タンパク質およびT7プロモーター部位に対応したガイドRNA分子または他のガイド核酸分子を含む。いくつかの場合において、二本鎖DNA分子は約100bp未満の長さになり得る。Cas9タンパク質のための標的RNA配列およびガイドRNA配列を含むことが可能である一本鎖RNA分子を生成するために、T7ポリメラーゼを使用することが出来る。
【0078】
本明細書に開示される組成物は、挿入物に隣接する配列内の遺伝子の発現抑制を導く前述のようなMEI挿入物に隣接する配列の結合特性を有するガイド核酸を含み、その結果、短縮されているか、そうでなければ変異させられている遺伝子産物の対立遺伝子、挿入物に隣接する配列、例えば腫瘍形成性の遺伝子産物、細胞周期調節、細胞増殖調節または細胞分裂調節の欠損を引き起こす遺伝子産物が、ガイド核酸による結合の後に発現停止される。場合によっては、ガイド核酸がsiRNA部分、piRNA部分または遺伝子産物の遺伝子発現抑制(silencing)、転写の調節または転写後の調節に関与する他の核酸部分を含む。
【0079】
siRNAおよびpiRNAは遺伝子抑制に関連する小型RNA分子である。有機体の中へのdsRNAの導入は、遺伝子発現の特異的な干渉を引き起こす場合がある。RNA干渉(RNAi)として既知であるこの現象は、植物、無脊椎動物および哺乳動物の細胞における細胞機構による分解のためのmRNAの特異的な標的化に起因する。当該技術分野で既知である代表的なRNAi技術は、限定されないが、siRNA、shRNAおよびpiRNAを含む。RNAi機構類の構成要素は、標的遺伝子(siRNAまたはshRNAのいずれか)、Dicer、タンパク質Argonauteファミリー(特にAgo-2)、Drosha、RISC、TRBPおよびPACTを標的とするdsRNAを含む。小型干渉RNA(siRNA)は通常、標的mRNAの相補的結合に依存する配列に特異的な方法によってRNAiを活性化して、mRNAの分解に至る2nt3’末端オーバーハングを備えたdsRNAとして認識される。shRNAは通常siRNAに処理され、さらに標的mRNAの相補的結合に依存する配列に特異的なやり方でmRNAの分解をもたらすループ構造を含む短いヘアピンのRNA(shRNA)として認識される。Droshaは通常、核の中のpri-miRNAsおよびshRNAsを処理するRNaseIII酵素として認識される。Dicerは通常、dsRNAsを20-25bp siRNAに処理して、3’末端で2ntオーバーハングを残すRNaseIII酵素として認識される。Dicer1がmiRNA処理にとって重要である一方、DrosophilaDicer2は長いdsRNAsを開裂する。RISCは通常Argonauteタンパク質および関連するsiRNAから成る、最小のRNA誘導型抑制複合体(RISC)として認識される。それはまた、PACT、TRBPおよびDicerを含む場合がある。RISCの正確な組成物は依然として記載されたことがないということに留意すべきである。TRBPは通常DicerによるdsRNA開裂のために必要であり、RISCに至る通路として認識される。タンパク質R(PKR)-活性化タンパク質(PACT)は一般にdsRNA分裂のためのDicerおよびTRBPに関連付けられるものとして認識される。単鎖のsiRNAと共に、タンパク質のargonauteファミリーは集合してRISCを形成し、miRNAsとsiRNAsを含む21-35ntRNA、およびその関連する標的mRNAを結合し、その後にエンドヌクレアーゼの機能を介してそれらを開裂する。
【0080】
しばしば短い干渉RNAまたは抑制RNAとして知られている小型干渉RNA(siRNA)は、二本鎖RNA分子の種類であり、一般的に20-25の長さである塩基対である。siRNAは、RNA干渉(RNAi)経路においてもっとも重要なものであり、それは相補的なヌクレオチド配列を備えた特異的な遺伝子の発現に干渉する。siRNAは、転写の後にmRNAを分解させることにより機能し、結果として翻訳を生じさせない。siRNAは、さらにRNAi関連の経路で、例えば、抗ウイルス性メカニズムとして、またはゲノムの染色質構造を形作る際に作用する。
【0081】
siRNAsまたはshRNAsのどちらかを選ぶ場合、考慮するべき重要な要素は処置の長さである。siRNAsは細胞で一時的に発現する一方、shRNAsはウイルスを媒介とした形質導入によって安定して統合可能である。siRNA設計のためのガイドラインは次のものを含む:(1)非特異的な抑制を避けるために19-29ntの間のsiRNA配列を一般に推奨する(2)標的とする部位はAAジヌクレオチドを含む、および(3)3’dUdUまたはdTdTジヌクレオチドオーバーハングを有するsiRNAsは有効性を増強する。一般に、siRNA配列には35から55%の間のG/C含有量がなければならない。
【0082】
異なる細胞型は核酸の導入に対して異なる感受性を有するので、RNAiの送達のためのプロトコルは細胞型に依存する。トランスフェクション、エレクトロポレーションおよび特定のウイルスの伝達方法は一時的である。
【0083】
最も一般的な核酸送達方法には、トランスフェクションとエレクトロポレーションがある。トランスフェクションは、細胞膜を通過することを可能にする担体分子を有する核酸の複合体の形成と関係する。トランスフェクション方法は脂質トランスフェクションを含み、脂質トランスフェクションでは、正電荷を持つ頭部基を有する長い疎水性の鎖があるカチオン性脂質は負電荷をもつsiRNAと相互に作用し、脂質二重層によってそれを囲み、それはその後細胞によって取り込まれる;カチオン性ポリマーに基づいたナノ粒子は、毒性を縮小しつつ効率を高め、さらに修飾されたsiRNAsの送達を可能にする;脂質または細胞を貫通するペプチド(CPP)接合は、疎水性の部位(例えばコレステロール)またはカチオンのCCP(例えばtransportinまたはpentatratin)によって標的細胞への送達を促進するsiRNAの接合と関係する。
【0084】
エレクトロポレーション方法において、負電荷を持つ頭部基を有するリン脂質分子から構成される細胞膜に電界を加える。電気的パルスはリン脂質を新しく順応させ、細胞膜で孔を生成し、siRNAsの侵入を可能にする。一般にトランスフェクトが困難な細胞にエレクトロポレーションを使用する。しかしながら、各細胞または組織のタイプのために特定の設定(電圧、パルスの数およびパルスの長さ)を最適化しなければならない。
【0085】
RNAi介入は、癌、神経系疾患、ウイルス感染症、黄斑変性、糖尿病性網膜症およびC型肝炎、その他の障害を標的とした治癒的価値を持つ事が知られている。
【0086】
トランスポゾンを抑制することはトランスポゾンを標的とする転写の遺伝子抑制の形式である。転写の遺伝子抑制は、DNAのその領域の転写を防ぐヒストン修飾の生成物である。トランスポゾンを転写によって抑制することはゲノムの維持に重大である。トランスポゾンの「ジャンプ」はゲノムの不安定性を引き起こし、非常に有害な突然変異を引き起こす場合がある。転位因子挿入は、血友病、重症複合免疫不全および癌に対する素因を含む多くの疾病に関連付けられてきた。したがって、トランスポゾンを抑制することはトランスポゾン変異が進行し、かつ次世代に継代される事を止めるために生殖細胞系列において極めて重大である。
【0087】
最大の種類の小型RNAである、Piwiと相互に作用するRNA(piRNA)は、26から31ヌクレオチドの間の長さであり、Argonauteタンパク質ファミリー(遺伝子抑制タンパク質)からのpiwiタンパク質との相互作用によって機能する。PIWIタンパク質に結合したpiRNAsは、トランスポゾンを発現停止させるために転写後の転写破壊を用いることが当該技術分野で知られている。ほとんどのpiRNAsは、発現停止したトランスポゾンから転写されたmRNAにアンチセンスであり、一般的にPiwiとオーベルジーヌ(Aub)のタンパク質と関連する一方で、有意鎖のpiRNAsは代わりにArgonaute 3(Ago3)と関連する傾向がある。「ピンポン」増幅と呼ばれるサイクルは、センスおよびアンチセンスpiRNAsの間で進行し、成熟したpiRNAsを生み出すために広範囲なトリミングおよび処理を含む。この工程は生殖細胞系列中のほとんどのpiRNAsの生成の原因であり、さらに生殖細胞系列の発達におけるpiRNAsの起源について説明する事が可能である。Piwi-piRNA複合体は、CpGメチル化をトランスポゾン領域の上流または内部で増大させることにより、および/またはトランスポゾン領域周辺の染色質修飾により、または直接トランスポゾンの転写を分解することにより、トランスポゾン発現を抑制する。
【0088】
代替的にまたは組み合わせで、処置は、場合によっては、細胞増殖、細胞周期または細胞増殖経路の誤調節に関連する癌の対処に関連して選択され、これに対してMEIと関連する遺伝子が関与するメンバーをコード化する。例えば、TSC2遺伝子座などTOR(ラパマイシンシグナル伝達の標的)の陰性の調節因子の中のMEIは、成長調節阻害剤による処置を示唆する一方で、網膜芽細胞腫腫瘍抑圧遺伝子Rbをコード化する遺伝子座のMEIは、細胞周期進行に関連する処置を示唆する。
【0089】
場合によっては、個体の中の位置、または個体の中の共通のサンプルソースからの時間にわたってMEIレベルが比較される。
【0090】
場合によっては、血液は、単独で、または代替的なモニタリング手法と組み合わせて、MEIレベルの進行中の一時的なモニタリングで使用される遊離した循環核酸などの分析用の核酸のソースとして使用される。代替的にまたは組み合わせで、いくつかの実施形態では、循環遊離DNAまたは他のソースからの他のDNAが使用される。
【0091】
遊離ヌクレインを抽出する方法が当該技術分野で既知である。核酸が細胞の内部にある場合、抽出のための手順は一般に、細胞溶解(化学的、物理的方法-サンプルの混合、粉砕、または超音波処理により、通常は達成される)、細胞溶解においても機能する洗浄剤または界面活性剤を加えることによる膜脂質の除去、プロテアーゼを加えることによる随意のタンパク質の除去、さらにRNaseを加えることによる、随意のRNAの除去(DNAが望ましい標的である時に行われる)を含む。DNAを精製する方法は、当該技術分野で既知である。典型的なDNA精製法は、限定されないが、エタノール沈澱、フェノール-クロロホルム抽出、およびミニカラム精製を含む。氷冷エタノールまたはイソプロパノールを使用して、エタノール沈澱を行うことが可能である。DNAがこれらのアルコールにおいて不溶性であるので、それは遠心分離上にペレット剤を与えることで、凝集する。通常は酢酸ナトリウムを加えることにより、イオン強度の増加によりDNAの沈澱反応が向上する。フェノール・クロロホルム抽出は、サンプル中のタンパク質を変性させる。サンプルの遠心分離の後に、変性タンパク質は有機相の中にとどまり、その一方で核酸を含んでいる水相は溶液からフェノール残留物を取り除くクロロホルムと混じり合う。ミニカラム精製において、核酸は、緩衝液のpHおよび塩含有量に依存する固体相(シリカまたは他のもの)に結合し、その後に溶出される。
【0092】
抽出のための核酸を循環させる典型的な形式は、限定されないが、DNA、RNA、mRNA、オリゴヌクレオソーム(oligonucleosomal)、ミトコンドリア、単鎖、後成的に修飾されたもの、二重鎖構造、円形、プラスミド、コスミド、酵母人工染色体、特異的なDNA塩基配列を含む人工か人造のDNA、例えば相補的DNAのようなRNAサンプルから逆転写されたDNA、および、それらの組み合わせを含む。核酸の抽出のための典型的な生物学的なソースは、限定されないが、全血、漿液、血漿、臍帯血、絨毛膜絨毛、羊水、脳脊髄液、髄液、洗浄液(例えば、気管支肺胞、胃、腹膜、送管、耳、関節鏡)生検サンプル、尿、糞便、たん、唾液、鼻、粘液、前立腺流体、精液、リンパ液、胆汁、涙、汗、母乳、乳汁、胚細胞および胎児の細胞を含む。生体サンプルは核酸を含んでいるあらゆる組織または流体であり得る。典型的な生体サンプルは、限定されないが、パラフィン、埋め込まれた組織、冷凍の組織、外科的な細針吸引、皮膚の細胞、筋肉、肺、頭部および頚部、食道、腎臓、膵臓、口、咽喉、咽頭、喉頭、食道、顔(facia)、脳、前立腺、胸、子宮内膜、小腸、血球、肝臓、精巣、子房、子宮、頸部、結腸、胃、脾臓、リンパ節、骨髄または腎臓を含む。流体サンプルは気管支毛、気管支洗浄液、気管支洗浄物、末梢血リンパ球、リンパ液、腹水、漿液、胸水、唾液、脳脊髄液、涙液、食道の洗浄液、および膀胱洗浄液と尿などの便通または尿の標本を含む。
【0093】
上に議論される、または当該技術分野で既知である核酸サンプルソースは一時的な単一または複数の間隔で得られ、およびMEI挿入の境界量の量的事前評価のために核酸が得られる。時間点は、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、1年、2年、3年、4年、5年、10年または10年以上など、日、週、月または年によって分けられる。
【0094】
いくつかの場合に、時間点は、腫瘍または他のガン組織の切除、あるいは腫瘍またはガン組織の除去を目的とした化学療法または放射線療法など処置の実行など、処置レジメンの部分的または完全な実行によって分けられる。いくつかの場合に、上に開示されるような処置レジメンおよび組成物は、処置レジメンの一時的な分析に使用するために企図される。
【0095】
したがって、例えば、MEIのレベルの減少が効果を示し、MEIの相対的なレベルで上昇率の減少が効果を示し、または、安定したレベルのMEI挿入境界の相対量の安定化が効果を示す介入の効果をモニタリングするため、過剰増殖性の細胞に関連したMEIのためのMEIレベルの定量化が用いられる。
【0096】
サンプルの時間的分離よりも空間の分離が本明細書に企図される。したがって、場合によっては、腫瘍または癌活性に表現型的に関連しない第1の領域、あるいは組織からサンプルを採取し、癌の活性または前癌性の活性の疑いをかけられたか、腫瘍または癌であると観察された別の領域または組織から第2のサンプルを採取した。
【0097】
場合によっては、腫瘍の増殖、成長、細胞分裂、または転移に関連する細胞が、良性の、休止した、または老化した腫瘍組織に関係している細胞から分離されるように、休止した、および、有糸分裂が活性なまたは増殖的に活性な領域などの癌または腫瘍の内部の複数の領域からサンプルを採取した。
【0098】
場合によっては、例えば、内部と端の細胞集団を別個に抽出するように腫瘍組織を空間的に区別する。代替的にまたは組み合わせで、表面の特性またはバイオマーカーで腫瘍細胞を分類する。
【0099】
細胞分類のためのいくつかの方法が当該技術分野で知られている。典型的な種類の細胞分類は、限定されないが、蛍光性の活性化された細胞分類(FACS)、磁気細胞選択および単細胞分類を含む。単細胞分類は、細胞内と細胞外の特性に基づいた細胞の異種混合の混合物を分類する方法を提供する。FACSは、細胞の異種混合物を分類するために、形態学を含まない細胞内と細胞外の特性の定量的測定を提供するためにフローサイトメトリーを利用する。磁気細胞分類は、細胞外の特性、典型的には細胞表面タンパク質(すなわち抗原)に基づいた細胞の異種混合の混合物を濃縮する方法を提供する。磁気活性化された細胞分類(MACS)は、標識化細胞が磁気カラムを通過するカラムベースの分離技術である。SEPシステムは、磁界の内部で標識化細胞のチューブを配置するカラムを用いない細胞分離技術を提供する。陰性として選択された細胞が液体の懸濁液にある間、陽性として選択された細胞をチューブで保持する。細胞分類の方法は、細胞を分類するために癌バイオマーカーに特異的に結合する薬剤(例えば抗体)を分類する工程を含む。
【0100】
典型的な癌バイオマーカーは、限定されないが、CCR10、CD9、CD13、CD15、CD24、CD26、CD29、CD32、CD46、CD49a、CD49b、CD49c、CD49f、CD51、CD54、CD55、CD56、CD58、CD63、CD66a、CD66c、CD66e、CD71、CD73、CD81、CD82、CD91、CD98、CD99、CD102、CD104、CD105、CD108、CD111、CD117、CD118、CD130、CD131、CD133、CD136、CD141、CD146、CD147、CD148、CD151、CD155、CD157、CD164、CD166、CD167a、CD172a、CD177、CD186、CD196、CD221、CD230、CD234、CD244、CD245、CD262、CD265、CD273、CD275、CD295、CD298、CD299、CD317、CD318、CD324、CD340、BMPR-1B、カドヘリン-11、c-Met、クラウディン-3(DLL-1)、DLL-3、Eph-B2、Eph-B4、FOLR1、Frizzled-3、Glut-1、Glut-2、Glypican 5、HLA-A/B/C、HLA-A2、HER3、IL-15R、IL-20Ra、jagged-2、インテグリン-a8、インテグリンa9b1、インテグリンb5、LAG-3、ロイコトリエン-B4R、Lox-1、LDL-R、MCSP、量体、ネクチン-4、ノッチ2、NPC、PD-L2、プレキシン-B1、セマフォリン4B、ソマトスタチン-R2、TROP-2、ULBP2、インテグリンaVb9およびVEGFR2を含む。単細胞の分類およびFACSの場合には、バイオマーカーが細胞内または細胞外であり得る。
【0101】
第2のサンプルにおいて差次的に過剰なMEI挿入接合を同定するためにサンプルに渡ってMEIレベルを比較する。本明細書で議論されるように、差次的に豊富なMEI挿入結合は、場合によっては、他のサンプルではなく1つのサンプル中で10%、20%、30%、40%、50%、70%、100%、2x、2.5x、3x、3.5x、4x、5x、または5xを超えて豊富である。
【0102】
上に議論されるような処置選択を導くために推定上健常でない組織に差次的に存在すると同定されたMEI挿入物境界が使用される。相対的なレベルの減少、または相対的なレベルの安定化、または相対的なレベルの増加率の減少が、処置効果を示す疾病進行または処置効果をモニタリングするために、推定上健常でない組織に差次的に存在すると同定されたMEI挿入物境界が使用される。
【0103】
場合によっては、腫瘍または癌または、健常であると推定される組織に由来する、サンプル中のMEI挿入部位の相対的存在量の増加は、サンプルが由来する組織が、潜在的に、前癌性か癌であるリスクを示すように、同定された腫瘍または癌の部位を超える癌細胞または前癌細胞の拡張をモニタリングするために、過剰増殖性の細胞活性に関係するMEI挿入物に隣接する配列を用いる。
【0104】
いくつかの実施形態では、MEIの定量的配列分析の結果を詳述する報告書が提供される。その報告書は、例えば、経時的な、処置レジメンに関連する、または1つの組織または領域が別の組織に対する相対的な形式で、MEI相対存在量レベルに関連する情報を含む。いくつかの場合に、報告書は、MEI挿入部位、または過剰増殖性の細胞に関連した部位に隣接している配列の同一性により通知される処置の推奨を伴う。様々な実施形態において、そのような処置推奨は、化学療法、放射線療法、組織切除またはそれらの組み合わせを伴う。場合によっては、処置は、MEI挿入部位に関連する崩壊した遺伝子の生成物を標的とし、一方、ある実施形態では、処置は崩壊した遺伝子の生成物が関与する経路の一部の誤調節を標的とする。例えば、MEI挿入によって示されるように陰性の調節遺伝子が崩壊すれば、処置は、MEI挿入物の崩壊の結果としてアップレギュレートすると予想される、下流のシグナル伝達構成要素を標的とする場合がある。
【0105】
場合によっては、個人にその報告書を提供する一方、場合によっては、医療専門家に報告書を提供している。場合によっては、報告書は秘密裏に提供され、その結果公に提供されず、サンプルを提供する個人または個人と関連する医療従事者にのみ秘密裏に提供され、あるいは秘密裏に医療専門家に提供される。
【0106】
多くの方法はMEI挿入物に隣接する配列の定量化のために利用可能である。全体のゲノム配列決定を通じてMEI配列など反復の要素をどのように定量的に分析するかの概念の例は、以下の通りである。
【0107】
場合によっては、サンプル中の核酸配列存在量として本明細書で得られた配列情報を使用する。本明細書に開示されるように、または当該技術分野で既知であるように、ライブラリを生成し配列する。固有のタグ付けされた読み取りだけを含むように複製の読み取りを除外する。ゲノムの配列に、独自に読み取られた配列をマッピングする。標的部位にマッピングする独自なライブラリ配列の読み取りの数を数えて、それを用いてサンプルでその配列の存在量を表わす。いくつかの実施形態では、固有のタグ付けされた配列はサンプル配列の単一の部位に対する各マップを読み取る。場合によっては、固有のタグ付けされた配列の読み取りは、トランスポゾン挿入部位または反復の要素を有する部位などのゲノムの全体の複数の部位へマッピングされる。従って、場合によっては、トランスクリプトーム「遺伝子座」または転写物にマッピングされるライブラリ分子の数は、ライブラリが生成されるサンプル中の転写物の蓄積のレベルに相当する。反復性の要素にマッピングされるライブラリ分子の数は、ゲノムの一定の独自な領域へマッピングされるライブラリ分子の数に対する、サンプル中の反復性の要素の相対存在量を示す。所定のMEI挿入接合にマッピングされる配列読み取りを使用して、所定のサンプル中の挿入接合を定量化する。したがって、MEI挿入境界におよぶ読み取りの数の比較によって、当業者は、例えばサンプルの健常な半数性のゲノム中の単一のコピーであると知られている配列などサンプル中の他の配列に関連するその挿入境界を定量化する。
【0108】
したがって、ライブラリ中の核酸分子配列の発生頻度がライブラリを生成するサンプル中の核酸分子配列の存在量に対応するので、サンプル中の核酸分子配列の相対存在量を定量化することは、独自にタグ付けされたライブラリフラグメントを含む配列ライブラリを生成すること、およびライブラリ上の核酸分子配列のマッピングすることによって達成される。いくつかの場合、ライブラリ中の核酸分子配列の出現頻度は、ライブラリ中の第2の核酸分子配列の出現頻度に関連して評価され、前記第2の核酸配列は、トランスクリプトーム中の既知の数量の遺伝子座または転写物、あるいはゲノムサンプルのゲノム当たりの既知のコピー数に対応する。
【0109】
核酸サンプル中の核酸配列定量化のためのより詳細なプロトコルを以下に提供する。しかしながら、本明細書に開示された方法は、核酸サンプル中の核酸配列定量化のどんな単一の方法にも制限されていないことを強調する。
【0110】
ゲノム中のあらゆる可能な位置から次世代シーケンシング(NGS)ライブラリを生成することは、ゲノムDNA(gDNA)鋳型を、gDNAの側方に位置するプラットフォーム特異的な配列決定アダプターを有する適切なサイズのライブラリ分子に変換するための、偏りがない手法を必要とする。以下の図式:5’-adapter sequence-NNNNNNNN-3’によって例証されるように、配列決定アダプター尾部を備えたランダムのプライマーを使用して実行し得る。
【0111】
一定のゲノムのための偏りを最小化するために、所望のゲノム中の可変含有量を説明するためにセミランダム(semi-random)の様式でプライマーの「ランダム」部分を合成してもよい。一定のゲノム(例えばヒトゲノム)を100bpウィンドウの可変のGC含有量に分解することが可能である。理想的には、プライマーは、1%から100%GCまでのゲノム中のGC含有量のウィンドウに対して命じられた代表的な「ランダム性」を含めるために合成され、各GC%でゲノムの含有量に対して相対的な比率で合成され、蓄積されることになる。
【0112】
ランダムのプライミングにより、ゲノムの各塩基は、シーケンサーの読み取りの開始位置として表され得る。ゲノム中のあらゆる塩基で各ライブラリ分子を終了するために、ランダムのプライマーからの重合を終了させる、ランダムな/偏りのない手法が必要である。これを行うために、4つの天然のヌクレオチドの各々の固定比率から3’-OH群が欠けているジデオキシドヌクレオチドの固定比率を含むddNTPsのカクテルを使用してもよい。ddNTP対dNTPの比率は、所定の任意の塩基位置での終了の可能性を決定することが可能である。例えば、1%のddNTPカクテル(99%のdNTP)は、ランダムのプライマーから伸長する分子の99%が最初の塩基を過ぎて重合する見込みを与えることになる。この同じ実施例は、50bpのN50(分子の50%はN塩基より長くなる)を与える。相対的なddNTP割合が減少するにつれ、N50挿入物のサイズは増大する。したがって、ある条件の下で、0.8のddNTP%は62.5の挿入物の中央値サイズ(N50)、および198.5のアダプターとランダムのプライマーを含む完全長のライブラリ分子の比較可能なN50をもたらし、0.4のddNTP%は125の挿入物の中央値サイズ(N50)、および261のアダプターとランダムのプライマーを含む短縮していないライブラリ分子のうちの比較可能なN50をもたらし、0.2のddNTP%は挿入物の中央値サイズ(N50)、および386のアダプターとランダムのプライマーを含む短縮していないライブラリ分子のうちの比較可能なN50をもたらし、0.1のddNTP%は、500の挿入物の中央値サイズ、および636のアダプターとランダムのプライマーを含む短縮していないライブラリ分子の比較可能なN50をもたらし、0.05のddNTP%は1000の挿入物の中央値サイズ、および1136のアダプターとランダムのプライマーを含む短縮していないライブラリ分子の比較可能なN50をもたらす。ATまたはGCの区間など複雑さの低い領域については、そのゲノムの位置のddNTPの有効な濃度は半分に減少することになり、1%のddNTPカクテルを有するこのような複雑さの低い遺伝子座の中で生じるプライマー伸長反応のための100ヌクレオチドのN50を与える。(8つのヌクレオチドすべての間でポリメラーゼ取り込みの効率差の説明となるものではない)。
【0113】
反応中のddNTP%を調節することで、重合された分子の範囲および多様性を調節することができる。フラグメントの長さおよびアデニン・チロシン・バイアスに対するddNTP濃度の影響を
図11に示す。収率に対するddNTP濃度の影響を
図12に示す。0.4%のddNTPでは、300-1000bp(モル)からのモル濃度は27.5である;0.2%のddNTPでは、300-1000bp(モル)からのモル濃度は16.1である;0.1%のddNTPでは、300-1000bp(モル)からのモル濃度は5.8である;および、0.05%のddNTPでは、300-1000bp(モル)からのモル濃度は4.9である。
図13は、サイズによって選択された分子のための読み取り位置を示す。
【0114】
追加の段階は、gDNA鋳型、ならびにプライマーおよび超過NTPなどランダムの超過反応物からアダプター標識を付けた分子を単離することであり得る。これはビオチン化されたddNTPsの使用を通じて行うことが可能である。この単離を達成するためにストレプロアビジンでコーティングされた磁気ビーズが使用され得る。
【0115】
ddNTP/ビオチン取り込みと同様に鎖置換の能力を持っている酵素にポリメラーゼの選択を制限することができる。SEQUENASEおよびTHERMOSEQUENASE(Affymetrix,Santa Clara,CA)は2つのそのような酵素である。低い入力量がサンプル資源の不足または強制的な希釈により必要な場合、ddNTPsを組み込む能力が欠けた高進行性のポリメラーゼであるSEQUENASEおよびPhi29などの、酵素カクテルの使用を通じて収率を改良するために反応を最適化してもよい。Phi29酵素は反応中のSEQUENASEにより処理するための鋳型量を増大するだろう。反応の期間の最適化により鋳型の収率および多様性も増加させる場合がある。
【0116】
そのような順番に配列を行った反応の生成物は、以下の図式:5’-ADAPTER-NNNNNNNN-GENOMIC INSERT-ddNTP/biotinのように表わされる。
【0117】
現在市販されているシーケンサーは、gDNA挿入物が2つのアダプター配列の側方に位置する事を必要とする。第2のランダムのプライミング反応を通じて第2のアダプターを加えてもよい。磁気ビーズから分離した生成物は、次の図式:5・f-Adapter2-NNNNNNNN-3’によって実証されるように、別のアダプターを備えたランダムのプライマーを使用して、第2のランダムのプライミング反応のための鋳型として使用可能である。移動させられた生成物を、別のアダプターを備えたランダムのプライマーを使用する第2のランダムのプライミング反応のための鋳型として使用することが可能である。
【0118】
第2のアダプター追加のための酵素は、ddNTPを組込む能力を必要としない場合がある。鎖置換は要求され得る。許容可能な酵素はSEQUENASE、THERMOSEQUENASE、Phi29、Bst DNAポリメラーゼ、およびTaq DNAポリメラーゼを含む。プライマーのランダムの部分はビーズ境界鋳型に結合し、鋳型分子の末端まで伸長することが可能である。鋳型の3’末端へ最も接近して結合するプライマーは、下流で結合したプライマーを移動させることが可能であり、それによって第1と第2のアダプターとともに、単一のビーズが結合した鋳型の単一のコピーを生成する。このコピーは磁気ビーズに水素結合した状態で存続可能である。ビーズ洗浄によって超過プライマー、NTP、酵素および移動させた生成物を除去することが可能である。結果として生じる生成物は熱変性して(この鋳型をビーズから解放して)、アダプターに相補的なプライマーを用いたPCRを介して配列されるか、増幅することが可能である。これによって作成された生成物は、3’から5’の配向に描かれる以下の図式:3’-adapter1-NNNNNNNN-gDNAinsert-NNNNNNNN-adapter2-5’に示される。
【0119】
NGS配列決定における決定的な誤差モードはライブラリ調製における誤差のクローン増幅である。PCRを用いないプロトコルについては、これは大した問題ではないが、どんな低い入力プロトコルも、増幅がシーケンサー上でロードするのに十分なライブラリを得ることを要求する。増幅プロセスで導入された誤差は、シーケンサー中で現われることがある。こうした誤差の標準的な減少は分析から重複を取り除くことである。しかしながら、十分な配列決定能力がサンプルに与えられると、重複の読み取り(同じ開始および終了位置で読み取る)が自然に生じることがある。したがって、こうした読み取りを取り除くと、分析の適用範囲と正確さを損なうことになる。分析の際に合成のランダムなプライマーを使用することで、クローンの人工産物対低頻度の突然変異の正確な測定が可能となる。PCR複製は両端部に同じランダムなプライマー配列を有することもあり、一方で、ディープ配列決定の適用範囲による複製は様々なランダムなプライマー配列を有することもある。合成配列が常に各読み取りの同じ位置にあるため、この情報は容易に分析で得ることができる。
【0120】
合成化学(QiagenおよびION Torrentなど)による無限の配列決定では、ホモポリマーの長い区間の配列を決定することは難しい。これは、本明細書に記載されたホモポリマー全域で各塩基での終結により達成された複雑なライブラリ生成によって緩和されることがある。
【0121】
これに応じて、上記の開示と一致して、第1の鎖のオリゴヌクレオチドライブラリが生成される。ランダムなライブラリを生成するために、最初の回の合成オリゴの母集団が合成される。第1の鎖のオリゴヌクレオチドは各々、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30量体、あるいはそれ以上のオリゴマーといったランダムなオリゴマー配列の5’の位置にある配列アダプターを含み、その後に鋳型の一定方向への伸長が生じる3’OHが続く。場合によっては、配列アダプターは可変の識別子配列(identifier sequence)を含むように構成される。代替的な場合において、配列アダプターは不変である。配列アダプターは、場合によっては、増幅による標準的なプライマーにより指示された配列付加を介するなどして、Aアダプターのような配列決定アダプターの後の追加のためのプライマー結合部位として使用される。
【0122】
場合によっては、オリゴヌクレオチドの母集団は、与えられたランダムなオリゴマー塩基配列(ランダムな5、6、7、8、9、あるいは10量体など)のあらゆる起こり得る組み合わせが第1の鎖のオリゴヌクレオチド母集団で表わされるように、合成される。他の場合では、とりわけ長いランダムオリゴマーが選択されるとき(小さなオリゴマーの場合でも往々にしてあるが)、与えられたランダムなオリゴマー塩基配列のあらゆる起こり得る組み合わせ未満しか存在しない。
【0123】
場合によっては、ランダムなオリゴマーの塩基は、均等な割合で核酸塩基の偏りのないランダムな分布を表す。ある場合には、各塩基は、所定の位置で、あるいはランダムなオリゴマー母集団中で凝集して等しく生じる可能性がある。しかしながら、他の場合では、アニーリングとその後の第1の鎖の合成の効率を上げるために、母集団は、特定の塩基または塩基対を表す偏りのあるものを有する、ランダムなオリゴマー(ランダムな8量体など)に対する偏りを含むように合成される。例えば、ヒトゲノムは真のランダムな塩基存在量から予想されるような50%のGC組成物ではなく、約40%のGC割合を有すること分かる。例えば、
図10を参照。場合によっては、ランダムなオリゴマー分布は、第1の鎖の合成ライブラリ中のランダムなオリゴマー配列(8量体の配列など)の全体的な分布が、標的ゲノム、標的遺伝子座、標的遺伝子ファミリー、標的ゲノム要素(例えば、エキソン、イントロン、またはプロモーター配列など)の平均のような偏った標的平均の分布を、あるいはいくつかの実施形態ではヒトゲノム全体と一致させるために反映するように、偏りを持たせる。
【0124】
第1の鎖のオリゴライブラリ、または第1の鎖のオリゴヌクレオチドライブラリの90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、または10%未満を表すオリゴヌクレオチドライブラリのサブセットを、デオキシリボ核酸またはリボ核酸のような核酸を含むサンプルに接触させる。DNAまたはRNAのような核酸は広範囲の量で提供されてもよい。場合によっては、ゲノムDNAサンプルは、1ng、2ng、3ng、4ng、5ng、6ng、7ng、8ng、9ng、10ng、11ng、12ng、13ng、14ng、15ng、16ng、17ng、18ng、19ng、20ng、21ng、22ng、23ng、24ng、25ng、26ng、27ng、28ng、29ng、30ng、31ng、32ng、33ng、34ng、35ng、36ng、37ng、38ng、39ng、40ng、41ng、42ng、43ng、44ng、45ng、46ng、47ng、48ng、49ng、50ng、51ng、52ng、53ng、54ng、55ng、56ng、57ng、58ng、59ng、60ng、61ng、62ng、63ng、64ng、65ng、66ng、67ng、68ng、69ng、70ng、71ng、72ng、73ng、74ng、75ng、76ng、77ng、78ng、79ng、80ng、81ng、82ng、83ng、84ng、85ng、86ng、87ng、88ng、89ng、90ng、91ng、92ng、93ng、94ng、95ng、96ng、97ng、98ng、99ng、または100ng、あるいは上記の一覧によって定義される範囲外の値などの量またはそのおよその量で提供される。以下に見られるように、下流の熱サイクルの数は、開始鋳型の量が増加するにつれて減少する。場合によっては、RNAサンプルは、わずか1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100の細胞、または100を超える細胞の細胞集団から抽出されたRNAから提供される。
【0125】
さらに、DNAポリメラーゼ活性と一致する試薬を含むポリメラーゼ緩衝液が混合物に加えられる。多くのポリメラーゼは本明細書の開示に一致している。場合によっては、典型的なポリメラーゼは、鎖置換活性、ddNTP取り込み活性を所有し、ビオチン標識ddNTPなどのビオチン標識ヌクレオチドを取り込むことができる。典型的なポリメラーゼはSequenaseであり、その一方で、典型的な逆転写酵素はHIV逆転写酵素である。
【0126】
さらに、dATP、dTTP、dCTP、およびdGTPを含む母集団、および場合によってはddATP、ddTTP、ddCTP、およびddGTPのようなddNTPの母集団を含むヌクレオチドの母集団が混合物に加えられる。場合によっては、ddATP単独、ddTTP単独、ddCTP単独、およびddGTP単独などの単一の種のddNTPだけが、dNTPの母集団に加えられる。場合によっては、ddATPとddTTP、またはddCTPとddGTPなどのddNTP対が加えられる。
【0127】
場合によっては、組成物に加えられたddATP、ddTTP、ddCTP、およびddGTPなどのddNTPの母集団は、ビオチンでタグ付けしたddATP、ビオチンでタグ付けしたddTTP、ビオチンでタグ付けしたddCTP、およびビオチンでタグ付けしたddGTPなどの少なくとも1つのビオチンでタグ付けしたddNTPを含む。
【0128】
dNTP/ddNTP比率の範囲は本明細書の開示に一致している。99.9%/0.1%、99.5%/0.5%、99%/1%、98%/2%の比率および代替的な比率は、本明細書の開示と一致している。場合によっては、99%のデオキシNTP対1%のジデオキシNTPの相対的な比率が選択される。
【0129】
混合物は、場合によっては、95°C、96°C、97°C、98°C、または99°Cなどの融解温度以上で、あるいはそれ以上の高温で加熱することにより、変性する。多くの場合、100°Cよりも下の変性温度が典型的である。
【0130】
その後、混合物を、例えば、30秒、1分、2分、または2分を超えて氷上で、あるいは、30秒、1分、2分、または2分を超えて4°Cで、あるいは第1鎖合成オリゴヌクレオチドとゲノムDNAサンプルまたはRNAサンプルなどの核酸サンプルとの間の逆相補的塩基対合を可能にするのに十分な代替的冷却温度で冷やす。場合によっては、第1鎖合成オリゴヌクレオチドの一部またはすべては、そのランダムなオリゴ(ランダム8量体など)と、互いに結合するゲノムDNA配列、cDNA配列、またはRNA配列などの核酸サンプルとの間の完全な逆相補性を実証する。場合によっては、いくつかのオリゴヌクレオチドは、オリゴのランダムなオリゴマー(ランダム8量体など)に不完全に逆相補的であるゲノム領域に結合する。完全な逆相補性との塩基対合の失敗は、場合によっては、ランダムなライブラリ調製プロセスの後の工程には有害ではない。
【0131】
ポリメラーゼは代替的な実施形態における任意の変性工程の前または後に加えられる。混合物は、最適なポリメラーゼ活性などのポリメラーゼ活性と一致する温度に加熱され(例えば、20°C、21°C、22°C、23°C、24°C、25°C、26°C、27°C、28°C、29°C、30°C、31°C、32°C、33°C、34°C、35°C、36°C、37°C、38°C、39°C、40°C、41°C、42°C、または、場合によっては、より大きな数、またはこの範囲内の数未満で)、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45分、または45分を超える時間などの、第1の鎖のライブラリを合成するのに十分な期間、培養される。場合によっては、反応は10分ごとなどの培養中の時点で撹拌される。
【0132】
伸長は第1の鎖の合成オリゴヌクレオチドの3’OHから進行して、その結果として、各アニールされたオリゴの3’末端で取り込まれている各アニールされたオリゴのアニーリング部位の鋳型に対して逆相補的な配列がもたらされる。伸長はビオチン標識ddNTP分子が取り込まれるまで続き、その時点で伸長は終了する。dNTPとビオチン-ddNTPが99%/1%の比率で提供される場合、伸長が生じる第1の鎖のオリゴの50%は、ビオチン-ddNTP分子の取り込みの前の50を超える塩基の伸長を実証するものである。他のパラメータが同時に変えられない複数の場合では、ddNTPの割合が減少し、伸長生成物の少なくとも50%の長さを表わすN50が増加する。
【0133】
培養期間の終了時、反応は例えば5分間98°Cでの熱失活によって止められる。代替的に、不活性化は、別の温度で、あるいはキレート剤またはdNTPaseの追加によって達成されてもよい。
【0134】
上に言及されるように、場合によっては、取り込まれたddNTPはビオチンタグなどによりタグ付けされる。ジニトロフェニルなどのビオチンの代替物が場合によっては企図される。ddNTPに結合されるとともに少なくとも1つの核酸ポリメラーゼによって発生期の核酸分子に取り込まれることができる任意の親和性タグも本明細書の開示と一致している。同様に、例えば、ddNTP結合部分によって核酸分子のddNTP末端に送達可能な任意の親和性タグも本明細書の開示に一致している。場合によっては、親和性タグはビオチン-ddNTPである。
【0135】
場合によっては、タグ結合剤は、タグビオチンの場合はアビジンまたはストレプトアビジンなどの本明細書で提供されるようなタグ付けされた第1の鎖核酸分子と結合するように提供される。特定の場合では、ストレプトアビジンは、ストレプトアビジンと任意の結合パートナーが磁気スタンド上などの磁場に配置することで単離可能となるように、磁気ビーズと結合させる。
【0136】
タグ付けされた第1の鎖のライブラリは、ビオチンでタグ付けしたddNTP核酸末端に対して、タグ結合剤、例えば、ストレプトアビジンを使用して単離される。場合によっては、ビーズ/サンプル混合物は22Cで培養され、30分間にわたって10分のインターバルで撹拌される。その後、混合物を磁気スタンド上に置き、ビーズを固定して、上澄みを取り除く。チューブを撹拌し、磁気スタンド上に置く。ビーズを200uLのTE緩衝液で3回洗浄する。代替的なタグ結合剤の組み合わせと代替的なプロトコルは、本明細書の開示に一致している。
【0137】
場合によっては、第1の鎖分子は、例えば、ゲル電気泳動のようなサイズ選択と、その後の所望のサイズの核酸の精製によって、タグ付けとは無関係に精製される。場合によっては、10-100、10-150、10-200、1-300、10-350、10-400、10-500、10-600、10-700、10-800、10-900、または10-1000の塩基のサイズ範囲のフラグメントが単離される。
【0138】
上記のように精製される第1の鎖ライブラリ鋳型は反応緩衝液へ再導入される。例えば、鋳型は場合によってはその精製タグから分離され、ストレプトアビジンタグから溶出され、dNTPを含む核酸合成緩衝液中に再懸濁される。場合によっては、鋳型はその精製タグに付いたままであり、洗浄され、反応緩衝液中に再懸濁される。NaOH洗浄剤は、場合によっては、キャリーオーバー配列(carryover sequence))を取り除き、かつ第1の鎖のライブラリ生成物の自己折り畳みを減らすために、以下の第1の鎖のライブラリ生成に含まれる。
【0139】
ライブラリの第2の鎖分子は以下のように合成される。第2のプローブライブラリが追加され、これは第2の鎖のプライマーの母集団を含む。場合によっては、各第2の鎖プライマーは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30量体などのランダムなオリゴマー配列、あるいは、それよりも大きなオリゴマー(例えば、8量体)を含み、その後、鋳型の一定方向への伸長が生じる3’OHを含む。場合によっては、配列アダプターは可変の識別子配列(identifier sequence)を含むように構成される。代替的な場合において、配列アダプターは不変である。配列アダプターは、場合によっては、増幅による標準的なプライマーにより指示された配列付加を介するなどして、Bアダプターのような配列決定アダプターの後の追加のためのプライマー結合部位として使用される。
【0140】
場合によっては、オリゴヌクレオチドの母集団は、与えられたランダムなオリゴマー塩基配列(ランダムな8量体など)のあらゆる起こり得る組み合わせが第2の鎖のオリゴヌクレオチド母集団で表わされるように、合成される。他の場合では、とりわけ長いランダムオリゴマーが選択されるとき(小さなオリゴマーの場合でも往々にしてあるが)、与えられたランダムなオリゴマー塩基配列のあらゆる起こり得る組み合わせ未満しか存在しない。
【0141】
場合によっては、ランダムなオリゴマーの塩基は、均等な割合での核酸塩基の偏りのないランダムな分布を表す。ある場合には、各塩基は、所定の位置で、あるいはランダムなオリゴマー母集団中で凝集して等しく生じる可能性がある。しかしながら、他の場合では、アニーリングとその後の第2の鎖の合成の効率を改善するために、母集団は特定の塩基または塩基対を表す偏りのあるものを有する、ランダムなオリゴマー(ランダムな8量体など)に対する偏りを含むように合成される。例えば、ヒトゲノムは真のランダムな塩基存在量から予想されるような50%のGC組成物ではなく、約40%のGC割合を有すること分かる。例えば、
図10を参照。場合によっては、ランダムなオリゴマー分布は、第2の鎖の合成ライブラリ中のランダムなオリゴマー配列(8量体の配列など)の全体的な分布が、標的ゲノム、標的遺伝子座、標的遺伝子ファミリー、標的ゲノム要素(例えば、エキソン、イントロン、またはプロモーター配列など)の平均のような偏った標的平均の分布を、あるいはいくつかの実施形態ではヒトゲノム全体と一致させるために反映するように、偏りを持たせる。
【0142】
混合物を3分間98°Cに加熱する。混合物を2分間氷の上で冷やして、第2の鎖の合成オリゴヌクレオチドと第1の鎖のライブラリとの間の逆相帆的な塩基対合を可能にする。複数のオリゴヌクレオチドは、そのランダムな8量体と各々が結合する第1の鎖の配列との間で完全な逆相補性を実証することが分かっている。複数のオリゴヌクレオチドは、オリゴのランダムな8量体に不完全に逆相補的であるゲノム領域に結合することも観察されている。完全な逆相補性との塩基対合の失敗は、ランダムなライブラリ調製プロセスの後の工程には有害ではない。
【0143】
組成物を室温まで加熱して30分間継続する。少量の入力DNAを含むサンプルについては、この時限を延長することができる。
【0144】
第1の鎖の合成オリゴヌクレオチドの3’OHからの伸長が観察され、その結果として、各アニールされたオリゴの3’末端で取り込まれている各アニールされたオリゴのアニーリング部位の鋳型に対して逆相補的な配列がもたらされる。伸長は、第1の鎖の鋳型の5’末端に到達するまで継続する。第1の鎖の鋳型の3’末端から離れてアニーリングされる第2の鎖のオリゴは、その3’末端から伸長するが、第1の鎖の鋳型の3’末端に向かってさらにアニーリングされるオリゴにより準備刺激された伸長反応によって第1の鎖から移動する。
【0145】
これに応じて、二本鎖ライブラリ分子は以下の2つの特徴的な鎖を含んで合成される:1)5’末端から、Aアダプター、ランダム8量体配列、および約1-100のヌクレオチド上の標的配列を有し、ビオチンでタグ付けしたddNTPで終了する第1の鎖、ならびに、2)5’末端から、Bアダプター、第2のランダム8量体配列、サンプルに由来する標的配列、第1の鎖のランダムな8量体に逆相補的な第1のランダムな8量体、および、第1のAアダプターに逆相補的な配列を有する第2の鎖。
【0146】
場合によっては、磁気ストレプトアビジンビーズを用いて、ビオチンでタグ付けした二本鎖ライブラリ分子を分離する。磁気ストレプトアビジンビーズは、例えば、結合緩衝液中で提供され、混合され、磁気スタンド上に置かれる。その後、結合緩衝液は、25uL、50uL、75uL、100uL、125uL、150uL、175uL、200uL、225uL、250uL、275uL、300uL、350uL、400uL、450uL、または500uLの容量に交換されてもよく、プロセスは繰り返される。その後、上澄みを取り除き、ビーズを5uL、10uL、12uL、14uL、16uL、18uL、20uL、22uL、24uL、26uL、28uL、30uL、31uL、32uL、33uL、34uL、35uL、36uL、37uL、38uL、39uL、40uL、41uL、42uL、43uL、44uL、45uL、46uL、47uL、48uL、49uL 50uL、52uL 54uL、56uL、58uL、または60uLの結合緩衝液に再懸濁してもよい。
【0147】
場合によっては、その後、ビオチンでタグ付けした二本鎖ライブラリ分子を再懸濁されたビーズに加える。場合によっては、ビーズ/サンプル混合物を22Cで培養され、30分間にわたって10分のインターバルで撹拌する。その後、混合物を磁気スタンド上に置き、ビーズを固定して、上澄みを取り除く。チューブを撹拌し、磁気スタンド上に置く。ビーズを200uLのTE緩衝液で3回洗浄する。場合によっては、これにより、2つの特徴的な鎖を含むストレプトアビジンにより精製された二本鎖ライブラリ分子の母集団が生じる:1)5’末端から、Aアダプター、ランダムオリゴマー(8量体など)配列、および約1-100のヌクレオチド上の標的配列を有し、ビオチンでタグ付けしたddNTPで終了する第1の鎖、ならびに、2)5’末端から、Bアダプター、第2のランダムオリゴマー(8量体など)配列、サンプルに由来する標的配列、第1の鎖のランダムオリゴマー(8量体など)に逆相補的な第1のランダムオリゴマー(8量体など)配列、および、第1のAアダプターに逆相補的な配列を有する第2の鎖。代替的なタグ結合剤の組み合わせと代替的なプロトコルは、本明細書の開示に一致している。
【0148】
二本鎖ライブラリ分子の母集団に結合した磁気ストレプトアビジンは、その後、例えば、ヌクレアーゼを含まない水の量で再懸濁される。この量は、10uL、12uL、14uL、16uL、18uL、20uL、22uL、24uL、26uL、28uL、30uL、32uL、34uL、36uL、37uL、38uL、39uL、40uL、41uL、42uL、43uL、44uL、45uL、46uL、47uL、48uL、50uL、52uL、54uL、56uL、58uL、または60uLのヌクレアーゼを含まない水であってもよい。アダプターAプライマーの量とアダプターBプライマーの量は、再懸濁されたビーズに加えられる。アダプターAプライマーの量とアダプターBプライマーの量は、同じであっても、異なってよい。アダプターAプライマーの量とアダプターBプライマーの量は、独立して、1uL、2uL、3uL、4uL、5uL、6uL、7uL、8uL、9uL、または10uLであってもよい。場合によっては、アダプターAプライマーは、プライマーの3’末端で二本鎖鋳型の第1のアダプターと同一の配列を含み、本明細書に記載されるような合成反応による配列決定に必要な配列をさらに含む。他の場合では、アダプターAプライマーは、プライマーの3’末端で二本鎖鋳型の第1のアダプターの配列を含む、1つの塩基対ミスマッチ、2つの塩基対ミスマッチ、3つの塩基対ミスマッチ、4つの塩基対ミスマッチ、5つの塩基対ミスマッチ、6つの塩基対ミスマッチ、7つの塩基対ミスマッチ、8つの塩基対ミスマッチ、9つの塩基対ミスマッチ、または10の塩基対ミスマッチを有する。場合によっては、アダプターBプライマーは、プライマーの3’末端で二本鎖鋳型の第2の鎖の第2のアダプターと同一の配列を含み、本明細書に記載されるような合成反応による配列決定に必要な配列をさらに含む。他の場合では、アダプターBプライマーは、プライマーの3’末端で二本鎖鋳型の第2の鎖の第2のアダプターの配列を含む、1つの塩基対ミスマッチ、2つの塩基対ミスマッチ、3つの塩基対ミスマッチ、4つの塩基対ミスマッチ、5つの塩基対ミスマッチ、6つの塩基対ミスマッチ、7つの塩基対ミスマッチ、8つの塩基対ミスマッチ、9つの塩基対ミスマッチ、または10の塩基対ミスマッチを有する。
【0149】
2xPCRマスターミックスは、ビーズとプライマーの混合物に、10uL、15uL、20uL、25uL、30uL、35uL、40uL、45uL、50uL、55uL、60uL、65uL、70uL、75uL、80uL、85uL、90uL、95uL、または100uLの量で加えられる。場合によっては、この混合物は以下のように熱サイクル:約2分間約98°C;その後の、約98°Cで約20秒間、約60°Cで約30秒間、および、約72°Cで約30秒間の約6回のサイクルに晒され;上記の約6回のサイクル後、反応は約5分間約72°Cで維持され、その後、4°Cで保存される。熱サイクル条件の最適化は、鋳型入力を低くしてサンプル用のPCRサイクルの数を増加させるなどして、本開示によって予見される。場合によっては、増幅はPCRなしで行われる。一例において、鋳型核酸は完全長の配列決定アダプターを含むプライマーと共に使用され、第1の鎖の合成と第2の鎖の合成はその後のサイズ選択により行われる。これは二量化を回避するためのヘアピンの使用を必要とすることもあれば、必要としないこともある。
【0150】
場合によっては、それによって生じる配列決定ライブラリは以下の特性を有することが確認されている。それぞれの二本鎖分子は、順に、合成による配列決定に十分なアダプターA配列、最初のランダムなオリゴマー配列(8量体など)、未知の長さであるが1-100の範囲の塩基の可能性が高い標的部位、第2のランダムオリゴマー(8量体)配列、および本明細書で開示されるような合成による配列決定に十分なBアダプター配列を含む。
【0151】
場合によっては、ライブラリ構成要素は以下の特性を有することが確認されている。各分子は、ライブラリの他の分子の第1の分子タグ(8量体など)とは無関係の第1の分子タグ(8量体など)を含む。各分子は元々のサンプル配列に対応する標的配列を含む。標的配列の出発点、標的配列の長さ、およびそれぞれの所定の分子の標的配列の終点は、ライブライ内のそれぞれの他の分子の出発点、長さ、および終点とは無関係である。各分子は、ライブラリの他の分子の第2の分子タグ(8量体など)とは無関係の第2の分子タグ(8量体)を含む。
【0152】
場合によっては、ライブラリは凝集して以下の特性を有すると観察される。実質的にすべてのサンプル配列が複数の重複分子によってライブラリ内で表される。熱サイクルによるAとBのアダプターの最終的な追加の前の、実質的にすべてのライブラリ分子(まれな事象を除く)は特有のものであり、その第1の分子タグ(8量体など)配列、標的配列の出発点、標的配列、標的配列の長さ、標的配列の終点、および第2の分子タグ(8量体など)配列に関して、互いに異なる。
【0153】
本明細書で生成されるような配列ライブラリは、そのAアダプターとBアダプターと適合する合成により配列に晒され、配列結果が評価される。独立して、元々のサンプルの第2のアリコートは、タグ付けしていない鋳型の実質的なPCRベースの増幅を含む標準的なPCRベースのライブラリタグ付けを用いて、配列決定のために調製される。ライブラリは配列決定され、結果が比較される。
【0154】
MEIに対応する配列は従来の配列ライブラリ配列決定結果で同定されることが確認されている。MEモノマー単位は複数の挿入物に隣接する境界配列に隣接していることが確認されており、このことはそれがサンプル中の複数のコピー中に存在することを示唆している。
【0155】
配列の読み取りが5’タグ、3’タグ、ならびに、各ライブラリ・メンバーの中のサンプル配列の固有の出発点、終点、および長さにより固有にタグ付けされるため、配列の読み取りは固有のライブラリ分子に対応する群へ容易に分類される。配列読み取りの数よりもむしろ配列読み取りの母集団で表される固有のライブラリ分子の数を数えることによって、当業者は、配列決定に晒す核酸サンプル中に所定のMEI挿入物に隣接する配列を有する分子の絶対数または相対数の定量的測定値を得ることができる。
【0156】
代替的な定量化手法を利用することができ、本明細書に開示される方法は定量化の一つの方法には限定されない。例えば、定量PCRは、場合によっては、サンプルまたは複数のサンプル中のMEI挿入物に隣接する配列レベルを決定するために使用される。
【0157】
一般に、定量PCRは、特定の波長の光のビームを各サンプルに照射し、励起したフルオロフォアによって放たれた螢光を検知する能力を備えたサーマルサイクラーにおいて実行される。サーマルサイクラーはサンプルを急速に加熱および冷却することもでき、それによって、核酸とDNAポリメラーゼの物理化学的性質を利用する。PCRプロセスは25-40回繰り返される一連の温度変化からなる。こうしたサイクルは通常3つの段階からなる:1番目の段階は、約95°Cで、二本鎖核酸の融解を可能にし;2番目の段階は、約50-60°Cの温度で、プライマーのDNA鋳型との結合を可能にし;3番目の段階は、68-72°Cの間で、DNAポリメラーゼによって実行される重合を促す。フラグメントの大きさが小さいため、最後の工程はこのタイプのPCRでは通常省略される。なぜなら酵素はアライメント段階と変性段階の変化のあいだにその数を増加させることができるからである。加えて、複数のサーマルサイクラーは、非特異的な染料が使用されるときにプライマーの2量体の存在によって引き起こされるノイズを減らすために、例えば、80°Cの温度で、各サイクルに対してわずか数秒だけ続く別の短い温度相を加える。各サイクルに使用される温度とタイミングは、以下のような多種多様なパラメータに依存する:DNAを合成するために用いられる酵素、反応における二価イオンとdNTPの濃度、およびプライマーの結合温度。
【0158】
定量PCR(qPCR)の場合、DNA結合染料は、PCR中の二本鎖(ds)DNAに結合して、染料の蛍光発光を引き起こす。PCRの間のDNA生成物の増加は蛍光強度の増大をもたらし、各サイクルで測定され、したがってDNA濃度の定量化を可能にする。定量PCRはプローブ配列を含むDNAのみを検知するために蛍光性のリポータープローブをさらに含むこともあり、これは特異性を増加させ、非特異的なDNA増幅のある状態でも定量化を可能にする。
【0159】
qPCRを使用する定量化の方法は相対的な定量化と絶対的な定量化を含む。絶対的な定量化は、検量線を使用するDNA基準と比較して、標的DNA分子の正確な数を与えるものである。相対的な定量化は、標的遺伝子の発現の倍数差を決定するために、内部基準遺伝子に基づく。定量化は、相補的DNA(mRNAの逆転写によって生成されるcDNA)として解釈されるmRNAの発現レベルの変化として表現される。
【0160】
終点PCR(従来のPCR)とは異なり、リアルタイムPCRにより、螢光を測定することで増幅プロセスの任意の時点で所望の生成物の定量化が可能となる。定量PCRによるDNA定量化の一般に使用される方法は、対数目盛上のサイクル数に対する螢光のプロットに依存する。DNAベースの螢光の検出用の閾値はバックグラウンドよりも若干上に設定される。螢光が閾値を越えるサイクル数は閾値サイクル(Ct)または定量化サイクル(Cq)と呼ばれる。
【0161】
市販の定量PCR組成物、キット、および方法は利用可能であり、これらの使用はMEI挿入物の隣接する配列定量化に関連して本明細書で開示されるいくつかの方法と一致している。
【0162】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、一般的な体細胞ゲノムの健康を経時的にモニタリングすることに関する。一般的なゲノムの健康は、本明細書に開示されるように、場合によっては挿入部位とは無関係に、独立したMEI事象の存在率によって反映されるような体細胞ゲノムの「健康」状態に関する。したがって、場合によっては、方法はMEI事象の総数を時間的または空間的に分析することに関する。場合によっては、各挿入の事象が関連する挿入部位の遺伝子に有害な危険を伝えるため、MEI事象の数の増大は「総ゲノムの健康」の減少を示唆する。MEI事象の総数は、場合によっては、癌、老化、細胞活性の喪失、または細胞活性の減少のリスクに相関する。
【0163】
総MEI事象は、例えば、本明細書または他のところに開示されるような定量的な全体のゲノム配列決定を用いて決定される。代替的に、または組み合わせて、個々の可動要素は、最大で既知の可動要素の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または約100%、または100%を含む複数の可動要素が最初の時点または最初の組織中でその存在量に応じて定量化されるように、例えば、当該技術分野で知られているように、Q-PCR、または蛍光インサイツ-ハイブリダイゼーション手法を用いて、単一の可動要素に特異的なプライマー、プローブ、またはプライマーとプローブを用いて、あるいは、プライマー、プローブ、またはプライマーとプローブのパネルを用いて分析される。
【0164】
とりわけサンプルが組織から、または青年期または成人早期などのゲノムの健康が高いと予想される最初の時期に得られる場合、この定量化は場合によってはゲノムの健康の基準線として使用される。
【0165】
第2のサンプルは、最初の時点後の1年未満、1年、2年、3年、4年、5年、10年、または10年を超える時点などの第2の時点で得られる。総MEIレベルが測定され、最初の時点のレベル、または一般に患者のゲノムの健康に客観的に関連しているレベルと比較される。
【0166】
MEI事象の総数が、第1のまたは以前のサンプルよりもむしろ第2のサンプル中で10%、20%、30%、40%、50%、70%、100%、2x、2.5x、3x、3.5x、4x、5x、または5xを超えて豊富に増える場合、サンプル中の核酸は「老化している(senscent)」か、ゲノムの健全状態が悪いと判断される。多くの処置選択肢は健全状態の悪いゲノム中に体細胞核酸サンプルを有すると測定された個体に利用可能である。場合によっては、カロリー制限が選択される。場合によっては、NSAIDSが処置レジメンの一部として推奨される。NSAIDSの一部のリストは以下を含む:アスピリン、セレコキシブ(Celebrex)、ジクロフェナク(Cambia、Cataflam、Voltaren-XR、Zipsor、Zorvolex)、ジフルニサル、エトドラク、イブプロフェン(Motrin、Advil)、インドメタシン(Indocin)、ケトプロフェン、ケトロラク、ナブメトン、ナプロキセン(Aleve、Anaprox、Naprelan、Naprosyn)、オキサプロジン(Daypro)、ピロキシカム(フェルデン)、サルサレート、スリンダク、およびトルメチン。他のNSAIDSが企図され、本明細書の開示に一致している。
【0167】
可動要素活性は場合によっては、レトロトランスポザーゼ(retrotransposase)活性と抑圧的なゲノムメチル化の欠損に関連している。したがって、場合によっては、処置レジメンは逆転写酵素阻害薬の投与を含む。場合によっては、処置は、レトロトランスポザーゼ阻害剤の投与を含む。場合によっては、処置は、レトロウイルスの阻害剤の投与を含む。処置方法はゲノムの分析から得られた情報に基づいて施されてもよい。遺伝的異常のための処置レジメンは当該技術分野で知られている。レトロウイルス疾患を処置するために投与される典型的な阻害剤は、限定されないが、ヌクレオシドアナログ、プロテアーゼ阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、ヌクレオチド遅延型転写酵素阻害剤(NtRTIs)、混合阻害剤または侵入阻害剤、およびインテグラーゼ阻害剤を含む。典型的なNRTIとしては、ジドブジン(レトロビル)、ラミブジン(エピビル)、ジダノシン(ヴァイデックス)、ザルシタビン(ハイビッド)、スタブジン(ゼリット)、およびアバカビル(ザイアジェン)が挙げられる。典型的なプロテアーゼインヒビターとしては、サキナビル(インビラーゼ)、リトナビル(ノービア)、インジナビル(クリキシバン)、ネルフィナビル(ビラセプト)、アンプレナビル(Agenerase)、ロピナビル、アタザナビル(Reyataz)、およびチプラナビル(Aptivus)が挙げられる。典型的な非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)としては、ネビラピン(ビラミューン)、デラビルジン(レスクリプター)、エファビレンツ(Sustiva)、およびエトラビリン(Intelence)が挙げられる。典型的なNtRTIsとしてはテノホビル(Viread)が挙げられる。典型的な混合阻害剤または侵入阻害剤はマラビロクとエンフビルチドを含む。典型的なインテグラーゼ阻害剤はラルテグラビル(Isentress)を含んでいる。代替的に、または上記の列挙した処置の任意の組み合わせと組み合わせて、メチルトランスフェラーゼまたはDNAメチル化促進組成物は個体に投与される。HBVを処置するための典型的な阻害剤としては、限定されないが、インターフェロンアルファ(IFN-α)、PEG-IFN-α、エンテカビル、およびテノホビルが挙げられる。
【0168】
いくつかの場合、処置は、MEI存在量の増加に対するその効果について経時的にモニタリングされる。例えば、第3のサンプルは、本明細書に開示される処置レジメンなどの処置レジメンの開始後の時点で得られ、例えば、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月の時点、最初の時点の1年未満の後、1、2、3、4、5、10年後、または10年よりも後に得られる。総MEIレベルが測定され、初期の時点のレベル、または通常は患者のゲノム健常と客観的に関連するレベル、または処置レジメンの開始前に判定されたレベルと比較され、或いは、以前のMEI存在量の測定値と比較される。予めの挿入のレベルのMEIの凝集量の安定性以下のMEI存在量の増加率の減少を結果としてもたらす処置レジメンは、持続され、場合によっては、層MEIレベルの進行中のモニタリングを伴う。合計の総MEIレベルの増加に影響を与えない処置レジメンが交換され、補足され、或いは、投薬レジメンは、MEIレベルの増加がおそらく正に影響を受けるように修飾または増大される。
【0169】
いくつかの場合、このアッセイは、経時的に特異的な増加を実証する特異的なMEI挿入物に隣接する部位のモニタリングと、或いは、本明細書に列挙される発癌遺伝子などの既知のまたは疑われた発癌遺伝子、または本明細書に列挙されるゲノム再編成などの発癌遺伝子活性に関連したゲノム再編成を含む事象を識別するためにMEIに隣接する境界のモニタリングと、或いはその両方と組み合わせて実行され、その結果、現在または将来の癌または腫瘍活性に関連していると特に疑われているMEI挿入事象は、例えば本明細書に開示される組成物と方法を使用して、早期に識別され、対処される。
【0170】
細胞の健常のために、試験は若年齢で行われ、挿入事象の無細胞DNAについて血液においてモニタリングされる。同じ挿入事象の増加は、この事象のクローン拡張を表わし、定量化され得、疾患進行に関連し得る。試験は、細胞健常または疾患の進行を判定するために、MEI挿入物のための組織特異的試験と、エキソームまたは全ゲノム配列決定を含む生殖細胞変異体分析と、またはメチル化或いは定量RNA分析と組み合わせて使用されてもよい。
【0171】
加えて、本明細書に開示のいくつかの実施形態は、癌または腫瘍細胞の集まりにおけるものなどの過剰増殖に関連する、MEI挿入物に関係した境界などの、MEI挿入物境界を持つ組織の可視化に関係する。いくつかの場合、オリゴヌクレオチドプローブが使用され、それは、MEI挿入物に隣接する連続配列を含む核酸配列へ特異的にアニールするヌクレオチド配列を含み、その結果、アニール後、プローブは、例えば癌または腫瘍組織の成功的な切除のために分析を行う医師に検出可能となる。
【0172】
MEI挿入物境界配列は、MEIと挿入物に隣接する配列に及ぶ配列を直接可視化する、核酸を標的とするプローブを成長させるためにいくつかの場合に使用される。MEIと挿入隣接境界に及ぶ核酸配列を含む多くの組成物が、本明細書で考慮される。いくつかの場合、そのような組成物の通常の態様は、MEI末端配列と挿入物隣接するゲノム配列の両方に及ぶ配列に特異的であり、且つ分離時にMEI配列または挿入物に隣接する配列の何れかを標的とするほど十分に長くない、核酸成分を含むということである。
【0173】
即ち、本明細書の多くの場合において考慮され且つ開示された組成物は、挿入物に隣接する配列の不在下でMEIに結合せず、隣接するMEIの不在下で挿入物に隣接する配列に結合しない。むしろ、本明細書に開示された組成物は、MEIおよび隣接するゲノム配列の両方を含む配列に特異的に結合する核酸成分を含む。故に、そのような組成物による処置後、例えば上記に開示されるように時間的または空間的なアッセイにおいて実質的に過剰に表わされると本明細書に開示されるように識別されたものなど、MEI挿入物に隣接する配列に対応する核酸のみが、組成物により可視化され、一方で他のMEI、および挿入物に隣接する配列を含むがMEI配列を含まない未挿入の対立遺伝子は、組成物により結合されない。いくつかの場合に、組成物の核酸成分は、MEI配列の3、4、5、6、7、8、9、10、または10より多くの塩基、並びに挿入物に隣接する配列の3、4、5、6、7、8、9、10、または10より多くの塩基を含み、それにより、組成物とMEI単独との間、または組成物と挿入物に隣接する配列単独との間の結合エネルギーは、結合を確実にするには不十分である。
【0174】
また、いくつかの実施形態において核酸に、蛍光団または他の視認可能な部分が結合される。いくつかの場合、核酸が基質に結合される場合に限り、その部分が可視化される。例えば、プローブは、いくつかの場合に蛍光団および消光剤(quenching agent)を含み、その結果、標的MEI挿入物に隣接する部位への結合が存在しない状態で、消光部分は蛍光団を妨げるが、標的MEI挿入部位への結合が存在する状態で、消光剤は、蛍光団が励起剤による励起後に発光することができるように蛍光団から立体的に取り除かれる。
【0175】
プローブはいくつかの場合、癌組織の完全切除を分析するために使用される。組織は切除され、プローブに接触させられる。癌組織は、例えば蛍光団の励起スペクトルと適合可能な電磁エネルギーの波長に供された後、切除された組織における蛍光の存在により確認される。非癌組織は、蛍光団の励起スペクトルと適合可能な電磁エネルギーの波長に供された後、蛍光の不在により識別される。多くの励起装置は、手術室環境において容易に使用される携帯型の励起装置などとして、当該技術分野で既知である。
【0176】
蛍光団および他の色素の化学的に反応性の誘導体が標識化分子のレポーターとして使用され得ることは、当該技術分野で既知である。制限のない典型的なDNA結合レポーターは:SeTau-380-NHS、ヒドロキシクマリン、アミノクマリン、メトキシクマリン、Cascade Blue、Pacific Blue、Pacific Orange、SeTau-405-NHS、SeTau-405-マレイミド、Lucifer yellow、SeTau-425-NHS、NBD、R-フィコエリスリン(PE)、Seta-PerCP-680、PE-Cy5接合体、PE-Cy7接合体、Red 613、PerCP、TruRed、FluorX、フルオレセイン、BODIPY-FL、Cy2、Cy3、Seta-555-NHS、Seta-555-アジド、Seta-555-DBCO、Seta-R-PE-670、Cy3B、Seta-580-NHS、Cy3.5、SeTau-647-NHS、Cy5、Seta-APC-780、Cy5.5、Seta-680-NHS、Cy7、TRITC、X-ローダミン、Lissamine Rhodamine B、Texas Red、Allophycocyanin(APC)、APC-Cy7接合体、およびSeta-780-NHSを含む。
【0177】
蛍光団と他のレポーターは、DNAを結合するプローブに結合するために使用され得る。そのようなプローブは、定量PCRの特異性を増加させるように設計されると、当該技術分野で知られている。例えば、TaqManプローブの原則は、相補的な標的配列および蛍光団に基づく検出に対するハイブリダイゼーション中に二重標識プローブを開裂するために、Taqポリメラーゼの5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性に依存する。結果として生じる蛍光シグナルは、PCRの指数段階中に生成物の蓄積の定量的測定を可能にする。
【0178】
TaqManプローブは、オリゴヌクレオチドプローブの5’-末端に共有結合される蛍光団、および3’-末端の消光物質(quencher)から成る。異なる化学的性質を持つ付加的なプローブは当該技術分野で既知であり、限定されないが、6-カルボキシフルオレセインまたはテトラクロロフルオレセイン、および消光物質(例えば、テトラメチルローダミン)を含む。消光物質分子は、FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)を介してサーモサイクラーの光源により励起された時に、蛍光団により発光された蛍光を消す。蛍光団と消光物質が近接している限り、消光は蛍光シグナルを阻害する。
【0179】
いくつかの場合、プローブは、組織核DNAへのアクセスが促進されるように、細胞膜、核膜、または細胞膜と隔膜の両方にわたるプローブの転位を配向する部分を含む。
【0180】
加えて、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、MEI挿入物に隣接する配列の特性を第2のサンプルまたは既知の参照特性と比較することにより、ヒトサンプル、他の動物サンプル、植物サンプル、またはバイオハザードサンプルなどの生物サンプルの識別に関係する。特性が判定されるサンプルは、例えば全ゲノム配列決定または他の適切な方法によりMEI挿入物に隣接する配列の判定のプロセスに供され、その個々のMEI挿入物に隣接する特性が判定される。いくつかの場合、プライマーパネル、プローブパネル、またはプライマーパネルとプローブパネルは、サンプルのMEI挿入物に隣接する配列の特性が全ゲノム配列決定に依存することなく他のサンプルにおいて検出されるように、成長される。
【0181】
未知の起源からのサンプルが得られ、MEI挿入物に隣接する特性が成長されたサンプルとして同じ種および表現型の中から得られる。いくつかの場合、サンプルは遺伝子組み換え作物などの作物のものであり、作物の生殖系列の起原に関していくつかの疑問が存在する。同じ種の、且つ同じトランスジェニック耐性を持つ市販の遺伝子導入植物の特性が得られ、未知の起源のサンプルのMEI挿入に隣接する特性と比較される。サンプルおよび参照のMEI挿入物に隣接する配列を比較することにより、サンプルと参照が最近の共通の保存物(common stock)に由来するかどうかが判定される。
【0182】
代替的な実施形態において、MEI挿入物に隣接する特性は、例えば、炭疽、エルシニア・ペストリス、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、または他の武器化自在な(weaponizable)生体物質などのバイオハザード材料といった、法医学的サンプルの起源を判定するために使用される。
【0183】
いくつか実施形態において、第1または参照の核酸サンプルとは異なるものとしての第2の核酸サンプルの識別は、前記第2の核酸サンプルが第1の核酸サンプルに存在するMEI境界配列を欠いているかどうかを判定することを含む。
【0184】
いくつか実施形態において、前記第1の核酸サンプルとは異なるものとしての前記第2の核酸サンプルの識別は、前記第2の核酸サンプルが前記第1の核酸サンプルに存在しないMEI境界配列を含むかどうかを判定することを含む。
【0185】
境界配列は、代替的な実施形態において、標的とされた配列により、または全ゲノム配列決定により、或いはその両方により判定される。いくつかの場合、サンプルは、上記で議論されたプローブなどのプローブ、またはプローブのパネルと接触させられ、そしてサンプルの識別は、プローブ分子との接触後、プローブ励起時のサンプルの蛍光を個々に、連続して、または組み合わせて評価することにより、いくつかの場合において達成される。
【0186】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され且つ記載されている一方で、このような実施形態が、ほんの一例として提供されることは当業者に明白であろう。多数の変形、変化、および置換は、本発明から逸脱することなく、当業者によって現在想到される。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用されるかもしれないことを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内の方法および構成は、それによって包含されることが、意図される。
【実施例】
【0187】
<実施例1:時間的なMEIのモニタリング>
個体の核酸サンプルを全ゲノムの定量的配列決定にさらす。MEI挿入部位は、2つの半数体ゲノムのコピーにつき1回の頻度で生じると識別され、それは、MEI挿入物を生成する事象が、個体の体細胞ではなく個体の先祖生殖系列において恐らく生じたことを示す。
【0188】
MEI挿入部位は、2つの半数体ゲノムのコピーにつき1回未満の頻度で生じると識別され、それは、個体の体細胞全てではないがいくつかにおいて事象が生じたことを示す。MEI挿入部位を試験し、いくつかのMEI挿入部位が、機能の損失が細胞周期調節、細胞増殖調節、または細胞分裂調節における欠点に関連付けられた遺伝子を恐らく妨害していたことを判定する。
【0189】
MEI挿入部位の存在量を経時的にモニタリングする。2年後、実施例1の個体の核酸サンプルを、個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析する。
【0190】
MEI挿入部位を識別する。第1のMEI挿入部位が、以前の全ゲノム配列決定の過程(effort)において観察された頻度に匹敵する頻度で生じることを観察する。MEI挿入物境界は、それ自体、細胞周期調節、細胞増殖調節、または細胞分裂調節の欠点に関連付けられないと結論付けられる。
【0191】
第2のMEI挿入部位が、以前の全ゲノム配列決定の過程において観察された頻度より10倍高い頻度で生じることを観察する。MEI挿入物境界は、それ自体、細胞周期調節、細胞増殖調節、または細胞分裂調節の欠点に関連すると結論付けられる。癌または調節下にある細胞増殖の欠点を探すために、個体を更なる観察にさらして、腫瘍または他の細胞の欠点がMEI挿入物境界に対応するかどうか判定するために観察からDNAを得ることができる。
【0192】
推定上の癌組織を識別する。推定上の癌組織の核酸サンプルを全ゲノムの定量的配列決定にさらす。第2のMEI挿入部位の発生は、本来の全ゲノムのMEI調査における頻度の100倍である頻度で生じると見出される。
【0193】
<実施例2:時間的なMEIのモニタリング>
実施例1の個体の核酸サンプルを、個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析し、相対的且つ絶対的なMEI挿入部位の頻度を判定する。
【0194】
推定上の癌腫瘍組織を個体から切除する。手順に従い、実施例1の個体の第2の核酸サンプルを、個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析し、相対的且つ絶対的なMEI挿入部位の頻度を判定する。第2のMEI挿入部位の頻度は、本来の全ゲノムMEI調査における頻度に戻ったことが観察される。
【0195】
<実施例3:時間的なMEIのモニタリング>
実施例1と2の個体の核酸サンプルを、推定上の癌腫瘍組織の切除の2年後に個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析し、相対的且つ絶対的なMEI挿入部位の頻度を判定する。第2のMEI挿入部位の頻度は、本来の全ゲノムMEI調査における頻度に留まることが観察される。
【0196】
実施例1と2の個体の核酸サンプルを、推定上の癌腫瘍組織の切除の4年後に個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析し、相対的且つ絶対的なMEI挿入部位の頻度を判定する。第2のMEI挿入部位の頻度は、本来の全ゲノムMEI調査における頻度の5倍であることが観察される。
【0197】
癌または調節下にある細胞増殖の欠点を探すために、個体を更なる観察にさらして、腫瘍または他の細胞の欠点がMEI挿入物境界に対応するかどうか判定するために観察からDNAを得ることができる。
【0198】
推定上の癌組織を識別する。推定上の癌組織の核酸サンプルを全ゲノムの定量的配列決定にさらす。第2のMEI挿入部位の発生は、本来の全ゲノムのMEI調査における頻度の100倍である頻度で生じると見出される。
【0199】
推定上の癌腫瘍組織を個体から切除する。手順に従い、第の核酸サンプルを個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析し、相対的且つ絶対的なMEI挿入部位の頻度を判定する。第2のMEI挿入部位の頻度は、本来の全ゲノムMEI調査における頻度に戻ったことが観察される。
【0200】
<実施例4.空間的なMEIのモニタリング>
腫瘍に悩む個体の表現型的に健常な組織の第1の核酸サンプルを、全ゲノムの定量的配列決定にさらす。MEI挿入部位は、2つの半数体ゲノムのコピーにつき1回未満の頻度で生じると識別され、それは、個体の体細胞全てではないがいくつかにおいて事象が生じたことを示す。MEI挿入部位を試験し、いくつかのMEI挿入部位が、機能の損失が細胞周期調節、細胞増殖調節、または細胞分裂調節における欠点に関連付けられた遺伝子を妨害していたことを判定する。
【0201】
腫瘍に悩む個体の腫瘍組織の第2の核酸サンプルを、全ゲノムの定量的配列決定にさらす。MEI挿入部位は、2つの半数体ゲノムのコピーにつき1回未満の頻度で生じると識別され、それは、個体の腫瘍細胞全てではないがいくつかにおいて事象が生じたことを示す。MEI挿入部位を試験し、いくつかのMEI挿入部位が、機能の損失が細胞周期調節、細胞増殖調節、または細胞分裂調節における欠点に関連付けられた遺伝子を妨害していたことを判定する。
【0202】
挿入部位の相対的且つ絶対的な存在量を試験する。いくつかのMEI挿入部位は、個々の表現型的に健常なものに由来する核酸サンプルに見出されたものに匹敵する、相対的且つ絶対的な頻度で生じることが観察される。このような部位は、細胞周期調節、細胞増殖調節、または細胞分裂調節の欠点に関係しないことが結論付けられる。
【0203】
腫瘍組織核酸サンプルに特有のMEI部位を識別する。いくつかの腫瘍特異的MEI挿入部位は、腫瘍組織核酸サンプルにおいて低存在量で生じる。このようなMEI挿入は腫瘍活性に関連していないことが結論付けられる。
【0204】
いくつかのMEI挿入部位が、腫瘍組織核酸サンプル全体にわたり見出される。このようなMEI挿入部位は、細胞周期調節、細胞増殖調節、または細胞分裂調節の欠点の兆候に必須であることが結論付けられる。しかし、非腫瘍核酸サンプルにおけるそれらの比較的大量の存在は、腫瘍活性に関連する細胞周期調節、細胞増殖調節、または細胞分裂調節の欠点の存在を自身で示さないということを示す。
【0205】
いくつかのMEI挿入部位は、腫瘍組織核酸サンプル全体にわたって非常に高い頻度で見出され、非腫瘍核酸サンプルにおいては非常に低い頻度で見出される。このようなMEI挿入部位は、腫瘍活性に関連した細胞周期調節、細胞増殖調節、または細胞分裂調節の欠点の兆候を示すことが結論付けられる。
【0206】
<実施例5.特異的なMEI挿入物境界の標的化>
実施例2-3のMEI挿入物境界を、医薬介入のソースとして使用する。MEI挿入物配列と挿入物に隣接するゲノム配列とを含む核酸分子を成長させる。この分子を、CRISPR核酸標的化複合体に包装し、該CRISPR核酸標的化複合体は、MEI挿入物配列および挿入に隣接するゲノムの配列に隣接する核酸を開裂するためにエンドヌクレアーゼを特異的に配向し、且つ他のMEI挿入部位を開裂しないものである。
【0207】
<実施例6.推定上の癌組織に関連付けられる、MEI挿入物境界を持つ細胞を枯渇させる治療的介入>
実施例1と2の個体の核酸サンプルを、推定上の癌腫瘍組織の切除の2年後に個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析し、相対的且つ絶対的なMEI挿入部位の頻度を判定する。第2のMEI挿入部位の頻度は、本来の全ゲノムMEI調査における頻度に留まることが観察される。
【0208】
実施例1と2の個体の核酸サンプルを、推定上の癌腫瘍組織の切除の4年後に個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析し、相対的且つ絶対的なMEI挿入部位の頻度を判定する。第2のMEI挿入部位の頻度は、本来の全ゲノムMEI調査における頻度の5倍であることが観察される。
【0209】
癌または調節下にある細胞増殖の欠点を探すために、個体を更なる観察にさらして、腫瘍または他の細胞の欠点がMEI挿入物境界に対応するかどうか判定するために観察からDNAを得ることができる。
【0210】
推定上の癌組織を識別する。推定上の癌組織の核酸サンプルを全ゲノムの定量的配列決定にさらす。第2のMEI挿入部位の発生は、本来の全ゲノムのMEI調査における頻度の100倍である頻度で生じると見出される。
【0211】
実施例5のMEI挿入物境界の標的化薬物を含む処置レジメンにより個体を処置する。推定上の癌組織は、特異的な細胞死を受けると観察される。
【0212】
手順に従い、核酸サンプルを個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析し、相対的且つ絶対的なMEI挿入部位の頻度を判定する。第2のMEI挿入部位の頻度は、本来の全ゲノムMEI調査における頻度に戻ったことが観察される。
【0213】
<実施例7.推定上の癌組織に関連付けられる、MEI挿入物境界を持つ細胞を枯渇させる治療的介入>
実施例1と2の個体の核酸サンプルを、推定上の癌腫瘍組織の切除の2年後に個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析し、相対的且つ絶対的なMEI挿入部位の頻度を判定する。第2のMEI挿入部位の頻度は、本来の全ゲノムMEI調査における頻度に留まることが観察される。
【0214】
実施例1と2の個体の核酸サンプルを、推定上の癌腫瘍組織の切除の4年後に個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析し、相対的且つ絶対的なMEI挿入部位の頻度を判定する。第2のMEI挿入部位の頻度は、本来の全ゲノムMEI調査における頻度の5倍であることが観察される。
【0215】
癌または調節下にある細胞増殖の欠点を探すために、個体を更なる観察にさらして、腫瘍または他の細胞の欠点がMEI挿入物境界に対応するかどうか判定するために観察からDNAを得ることができる。
【0216】
推定上の癌組織を識別しない。
【0217】
実施例5の医薬を標的とするMEI挿入物境界を含む処置レジメンにより個体を処置する。
【0218】
手順に従い、核酸サンプルを個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析し、相対的且つ絶対的なMEI挿入部位の頻度を判定する。第2のMEI挿入部位の頻度は、本来の全ゲノムMEI調査における頻度に戻ったことが観察される。
【0219】
<実施例8.年齢に特異的なゲノムの老化現象のモニタリング>
個体の核酸サンプルを全ゲノムの定量的配列決定にさらす。MEI挿入部位は、2つの半数体ゲノムのコピーにつき1回の頻度で生じると識別され、それは、MEI挿入物を生成する事象が、個体の体細胞ではなく個体の先祖生殖系列において恐らく生じたことを示す。
【0220】
MEI挿入部位は、2つの半数体ゲノムのコピーにつき1回未満の頻度で生じると識別され、それは、個体の体細胞全てではないがいくつかにおいて事象が生じたことを示す。MEI挿入部位を試験し、いくつかのMEI挿入部位が、機能の損失が細胞周期調節、細胞増殖調節、または細胞分裂調節における欠点に関連付けられた遺伝子を妨害していたことを判定する。
【0221】
MEI挿入部位の存在量を経時的にモニタリングする。5年後、個体の核酸サンプルを個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析する。
【0222】
MEI挿入部位は、初期の全ゲノムの定量的配列決定に従い観察されるものに匹敵する相対的頻度および相対存在量で生じると観察される。
【0223】
10年後、個体の核酸サンプルを個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析する。
【0224】
MEI挿入部位は、初期の全ゲノムの定量的配列決定に従い観察されるものに匹敵する相対存在量で生じると観察される。しかし、新規のMEI挿入事象が生じて、挿入部位の総数を2倍に上昇させたと観察される。
【0225】
カロリー制限を含む老化防止レジメンを推奨する。
【0226】
15年後、個体の核酸サンプルを個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析する。
【0227】
MEI挿入部位は、10年で観察されるものに匹敵する相対存在量で生じると観察され、それは、MEI挿入部位の頻度の増加が継続しなかったことを示す。
【0228】
<実施例9.年齢に特異的なゲノムの老化現象のモニタリング>
個体の核酸サンプルを全ゲノムの定量的配列決定にさらす。MEI挿入部位は、2つの半数体ゲノムのコピーにつき1回の頻度で生じると識別され、それは、MEI挿入物を生成する事象が、個体の体細胞ではなく個体の先祖生殖系列において恐らく生じたことを示す。
【0229】
MEI挿入部位は、2つの半数体ゲノムのコピーにつき1回未満の頻度で生じると識別され、それは、個体の体細胞全てではないがいくつかにおいて事象が生じたことを示す。MEI挿入部位を試験し、いくつかのMEI挿入部位が、機能の損失が細胞周期調節、細胞増殖調節、または細胞分裂調節における欠点に関連付けられた遺伝子を妨害していたことを判定する。
【0230】
MEI挿入部位の存在量を経時的にモニタリングする。5年後、個体の核酸サンプルを個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析する。
【0231】
MEI挿入部位は、初期の全ゲノムの定量的配列決定に従い観察されるものに匹敵する相対的頻度および相対存在量で生じると観察される。
【0232】
10年後、個体の核酸サンプルを個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析する。
【0233】
MEI挿入部位は、初期の全ゲノムの定量的配列決定に従い観察されるものに匹敵する相対存在量で生じると観察される。しかし、新規のMEI挿入事象が生じて、挿入部位の総数を2倍に上昇させたと観察される。
【0234】
逆転写酵素阻害剤による処置を含む老化防止レジメンが続く。
【0235】
15年後、個体の核酸サンプルを個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析する。
【0236】
MEI挿入部位は、10年で観察されるものに匹敵する相対存在量で生じると観察され、それは、MEI挿入部位の頻度の増加が継続しなかったことを示す。
【0237】
<実施例10.年齢に特異的なゲノムの老化現象のモニタリング>
個体の核酸サンプルを全ゲノムの定量的配列決定にさらす。MEI挿入部位は、2つの半数体ゲノムのコピーにつき1回の頻度で生じると識別され、それは、MEI挿入物を生成する事象が、個体の体細胞ではなく個体の先祖生殖系列において恐らく生じたことを示す。
【0238】
MEI挿入部位は、2つの半数体ゲノムのコピーにつき1回未満の頻度で生じると識別され、それは、個体の体細胞全てではないがいくつかにおいて事象が生じたことを示す。MEI挿入部位を試験し、いくつかのMEI挿入部位が、機能の損失が細胞周期調節、細胞増殖調節、または細胞分裂調節における欠点に関連付けられた遺伝子を妨害していたことを判定する。
【0239】
MEI挿入部位の存在量を経時的にモニタリングする。5年後、個体の核酸サンプルを個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析する。
【0240】
MEI挿入部位は、初期の全ゲノムの定量的配列決定に従い観察されるものに匹敵する相対的頻度および相対存在量で生じると観察される。
【0241】
10年後、個体の核酸サンプルを個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析する。
【0242】
MEI挿入部位は、初期の全ゲノムの定量的配列決定に従い観察されるものに匹敵する相対存在量で生じると観察される。しかし、新規のMEI挿入事象が生じて、挿入部位の総数を2倍に上昇させたと観察される。
【0243】
レトロウイルス阻害剤による処置を含む老化防止レジメンが続く。
【0244】
15年後、個体の核酸サンプルを個体の血液から得る。個体の血液の核酸を分析する。
【0245】
MEI挿入部位は、10年で観察されるものに匹敵する相対存在量で生じると観察され、それは、MEI挿入部位の頻度の増加が継続しなかったことを示す。