(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】シート処理装置及びこれを備える画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 45/18 20060101AFI20220127BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20220127BHJP
B42B 4/00 20060101ALI20220127BHJP
G03G 15/00 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
B65H45/18
B65H37/06
B42B4/00
G03G15/00 430
(21)【出願番号】P 2017004467
(22)【出願日】2017-01-13
【審査請求日】2020-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅之
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-236716(JP,A)
【文献】特開2012-240762(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0294695(US,A1)
【文献】実開昭55-136739(JP,U)
【文献】特開2005-154034(JP,A)
【文献】特開2012-096917(JP,A)
【文献】特開2016-060121(JP,A)
【文献】特開2009-126591(JP,A)
【文献】特開平01-127564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 45/00-47/00
B65H 37/00-37/06
B65H 41/00
B42B 2/00-9/06
B42C 1/00-33/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜した上向きの載置面を有するシート積載トレイを有し、
前記シート積載トレイの上方に位置する排出口から排出された第1のサイズのシートと排出方向の長さが第1のサイズのシートよりも長い第2のサイズのシートとを
前記載置面上に積載し、積載したシートに処理を施すシート処理装置であって、
前記載置面上に
積載され
る前記第1のサイズのシートの下端に当接して下端位置を整合させる
第1整合位置と、前記第1整合位置よりも下方に設けられ、前記第2のサイズのシートの下端に当接して下端位置を整合させる第2整合位置に移動するために、前記載置面に沿って昇降する下端規制部材と、
前記載置面上に積載された前記第1のサイズのシートの上端に当接する
当接面と、前記当接面よりも前記排出口側に配置され、前記排出口から前記シート積載トレイに排出されるシートの下端が前記載置面上に積載された前記第1のサイズのシートの上端を乗り越えるように前記シートを案内すべく、下方へ向かうにつれて前記載置面から離れるように伸びる傾斜面とを備え、前記当接面が前記第1のサイズのシートの上端に当接する押え位置と前記第1のサイズのシートの上端から離れる退避位置
に移動するために、前記載置面に沿って昇降する第1の上端押え部材と、
前記載置面上に積載されたシートに処理を施す処理部と、
前記第1の上端押え部材と、前記下端規制部材の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は
、前記第1のサイズのシートを受け入れる際は前記下端規制部材を前記
第1整合位置に位置させ、前記第1のサイズのシートに続いて前記第2のサイズのシートが前記排出口から前記シート積載トレイへ排出されるときに、
前記押え位置
にある前記第1の上端押え部材と前記第1整合位置にある前記下端規制部材との間で前記第1のサイズのシートを挟んだ状態から、前記下端規制部材が前記第2整合位置に位置するまで、前記第1のサイズのシートを挟んだ状態を維持しながら前記第1の上端押え部材と前記下端規制部材を同期させ
て移動するように制御することを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記載置面と面する側に配置され且つ互いと対向する一対の折りローラと、前記シート積載トレイを挟んで前記一対の折りローラと対向して配置される突板とを含み、前記突板が、前記一対の折りローラの間に少なくとも前記載置面上の第2のサイズのシートを押し込む作動位置と第1のサイズのシート及び第2のサイズのシートから離れる待機位置との間で移動される、請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記突板の下側面が前記一対の折りローラ側へテーパ状に先細りとなるガイド面となっている、請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、更に前記突板の動作を制御し、前記制御部は、前記突板を前記作動位置へ移動させた後に、前記第1のサイズのシートの上端を前記ガイド面に当接させるように前記下端規制部材を上昇させる、請求項3に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記第1の上端押え部材が、前記押え位置に移動したときに前記第1のサイズのシートの上端を覆うように延びるカバー部を含んでいる、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記シート処理装置は、前記第2のサイズのシートの上端に当接する押え位置と前記第2のサイズのシートの上端から離れる退避位置との間で載置面に沿って昇降する第2の上端押え部材をさらに備える、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記第2の上端押え部材が、
前記載置面上に積載された前記第2のサイズのシートの上端に当接する当接面と、前記当接面よりも前記排出口側に配置され、前記排出口から前記シート積載トレイに排出されるシートの下端が前記載置面上に積載された前記第2のサイズのシートの上端を乗り越えるように前記シートを案内すべく、下方へ向かうにつれて前記載置面から離れるように伸びる傾斜面とを備える請求項6に記載のシート処理装置。
【請求項8】
シート上に画像を形成し、画像形成されたシートを排出する画像形成装置と、
前記画像形成装置から排出される異なるサイズのシートを集積して処理を施す請求項1から請求項7の何れか一項に記載のシート処理装置と、
を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像形成装置から排出されて積載された異なるサイズのシートに処理を施すシート処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンター、ファクシミリ及びこれらの複合機器等の画像形成装置から排出されるシートの後処理として、シートに中折り処理を施して冊子を作成するシート処理装置が提供されており、冊子を作成する際に、中綴じ処理や中折り処理を施して冊子状にしたシートよりも小さいサイズのシートを冊子状にしたシートに挿入することができる後処理装置も知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、互いに逆方向に回転する折りローラ対及び直進する折り板とによって用紙を挟持して折り目を付けた後に再度広げた状態で搬送して、別の経路から搬送された折り目を付けられていない挿入紙をさらに折り目を付けた冊子状の用紙の見開き部に挟んだ後に仕上げの折り処理を施すようにした後処理装置を開示している。また、特許文献2は、上向きの傾斜した用紙トレイに排紙部から上方へ向けて印刷紙や挿入紙といった用紙を排出した後に降下させて集積して中綴じ処理や中折り処理を施す後処理装置を開示している。特許文献2に開示の後処理装置では、挿入紙を挿入した状態で冊子を仕上げることを考慮して、冊子のベースとなる印刷紙と共に挿入紙を用紙トレイに排出しようとした場合に、挿入紙の次に排出される印刷紙の下端位置が直近に排出された挿入紙の上端位置よりも上方となると、印刷紙の下端が挿入紙の上端と干渉して紙詰まり等を起こす問題に対処するために、挿入紙を排出した次に印刷紙を排出する際に印刷紙の下端を用紙トレイの最上層に積載された挿入紙の紙面上に落下させるように用紙トレイに積載された用紙を移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-152952号公報
【文献】特開2011-111254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような後処理装置では、シートに一度折り目を付けた後に開いて、別経路で搬送されてきた挿入紙を挿入した後に、仕上げの中折り処理を施すため、折り目を付けた用紙を広げる機構、仕上げ折り機構、折り目を付けた用紙を搬送する経路、未折りの挿入紙を搬送する経路が必要になり、装置が大型化してしまうという問題点がある。また、特許文献2に記載のような後処理装置では、印刷紙と挿入紙の搬送経路は共通しており、折り目を付けた用紙を広げる機構なども必要ないが、排紙部から用紙を上方へ排出した後に用紙トレイ上を下降させる構成となっているため、排紙部より上方に少なくとも最大サイズの用紙の長さ分のスペースを確保したり、用紙トレイ上の用紙を移動させる際にシートの上端を逃がすためのスペースを確保する必要があるため、特に印刷紙と挿入紙とのサイズが大きく異なる場合に、装置が大型化してしまうという問題を依然として生じ得る。
【0006】
よって、本発明の目的は、コンパクトな構成で、シート載置トレイ上に排出されるシートの端部が干渉することなくシートを積載させることができるシート処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的に鑑み、本発明は、第1の態様として、傾斜した上向きの載置面を有するシート積載トレイを有し、前記シート積載トレイの上方に位置する排出口から排出された第1のサイズのシートと排出方向の長さが第1のサイズのシートよりも長い第2のサイズのシートとを前記載置面上に積載し、積載したシートに処理を施すシート処理装置であって、前記載置面上に積載される前記第1のサイズのシートの下端に当接して下端位置を整合させる第1整合位置と、前記第1整合位置よりも下方に設けられ、前記第2のサイズのシートの下端に当接して下端位置を整合させる第2整合位置に移動するために、前記載置面に沿って昇降する下端規制部材と、前記載置面上に積載された前記第1のサイズのシートの上端に当接する当接面と、前記当接面よりも前記排出口側に配置され、前記排出口から前記シート積載トレイに排出されるシートの下端が前記載置面上に積載された前記第1のサイズのシートの上端を乗り越えるように前記シートを案内すべく、下方へ向かうにつれて前記載置面から離れるように伸びる傾斜面とを備え、前記当接面が前記第1のサイズのシートの上端に当接する押え位置と前記第1のサイズのシートの上端から離れる退避位置に移動するために、前記載置面に沿って昇降する第1の上端押え部材と、前記載置面上に積載されたシートに処理を施す処理部と、前記第1の上端押え部材と、前記下端規制部材の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1のサイズのシートを受け入れる際は前記下端規制部材を前記第1整合位置に位置させ、前記第1のサイズのシートに続いて前記第2のサイズのシートが前記排出口から前記シート積載トレイへ排出されるときに、前記押え位置にある前記第1の上端押え部材と前記第1整合位置にある前記下端規制部材との間で前記第1のサイズのシートを挟んだ状態から、前記下端規制部材が前記第2整合位置に位置するまで、前記第1のサイズのシートを挟んだ状態を維持しながら前記第1の上端押え部材と前記下端規制部材を同期させて移動するように制御することを特徴とするシート処理装置を提供する。
【0008】
上記シート処理装置では、排出口から排出されるシートは載置面に沿って下降して下端規制部材に当接するので、サイズにかかわらず載置面上の上下方向の位置を整合させた状態で、処理部による処理を施すことができる。また、載置面上に載置された第1のサイズのシートの下端が下端規制部材に当接した状態で、第1の上端押え部材が押え位置に移動して載置面上に載置された第1のサイズのシートの上端に当接させることにより、第1のサイズのシートが下端規制部材に押し付けられるので、載置面上に積載された第1のサイズのシートの搬送方向(載置面に沿った上下方向)の位置をより確実に整合させることができる。さらに、第1の上端押え部材は、排出口側に下方へ向かうにつれて載置面から離れるように延びる傾斜面を有するので、第1の上端押え部材が第1のサイズのシートの上端に当接した状態となっていれば、シート積載トレイ上に積載された第1のサイズのシートの上端よりも上方から後続のシートが排出されても、排出されたシートは、載置面に沿って降下しながら第1の上端押え部材の傾斜面に沿って案内されてシート積載トレイに積載された第1のサイズのシートの上端を乗り越えることができ、排出されたシートの下端(排出方向先頭側の端部)が積載されている第1のサイズのシートの上端と干渉することを防止することができる。
【0010】
一つの実施形態として、前記処理部は、前記載置面と面する側に配置され且つ互いと対向する一対の折りローラと、前記シート積載トレイを挟んで前記一対の折りローラと対向して配置される突板とを含み、前記突板が、前記一対の折りローラの間に少なくとも前記載置面上の第2のサイズのシートを押し込む作動位置と第1のサイズのシート及び第2のサイズのシートから離れる待機位置との間で移動されるようにすることができる。このような構成により、処理部は積載されたシートに中折り処理を施すことが可能となる。この場合、前記突板の下側面が前記一対の折りローラ側へテーパ状に先細りとなるガイド面となっていることが好ましく、前記下端規制部材が載置面に沿って昇降可能となっており、前記制御部は、前記突板を前記作動位置へ移動させた後に、前記第1のサイズのシートの上端を前記ガイド面に当接させるように前記下端規制部材を上昇させるようになっていることがさらに好ましい。このように、突板により第2のサイズのシートを一対の折りローラの間に押し込んだ後に、下端規制部材を上昇させて第1のサイズのシートをガイド面に押し付ければ、第1のサイズのシートの上端が一対の折りローラの間に案内される。
【0011】
前記第1の上端押え部材が、前記押え位置に移動したときに前記第1のサイズのシートの上端を覆うように延びるカバー部を含んでいるようにしてもよい。
【0012】
また、前記シート処理装置は、前記第2のサイズのシートの上端に当接する押え位置と前記第2のサイズのシートの上端から離れる退避位置との間で載置面に沿って昇降する第2の上端押え部材をさらに備えることが好ましい。この場合、前記第2の上端押え部材が、下方へ向かうにつれて前記載置面から離れるように延びる傾斜面を前記排出口側に有することがさらに好ましい。
【0013】
さらに、本発明は、第2の態様として、シート上に画像を形成し、画像形成されたシートを排出する画像形成装置と、前記画像形成装置から排出されるシートを集積して処理を施す上述のシート処理装置とを備える画像形成システムを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、排出口がシート載置トレイ上に積載されるシートの上端よりも上方に設けられていても、傾斜面を有した第1の上端規制部材により、排出されたシートが第1のサイズのシートの上端を乗り越えるようにさせることができる。したがって、シート積載トレイ上に積載されるシートのサイズに応じてシートの上端が排出口の位置よりも上方に位置するようにシート積載トレイの載置面上におけるシートの位置を移動させる必要なしに、排出されたシートの下端(排出方向先頭側の端部)がシート積載トレイに積載された第1のサイズのシートの上端と干渉することを防止することができる。また、排紙口からシート積載トレイへ向けて下方にシートを排出するので、排出口よりも上方に最大サイズのシートの移動を許容するための付加的なスペースを排出口よりも上方に確保する必要がない。よって、排出口から排出されるシートの下端とシート積載トレイ上に積載されるシートの上端との干渉を防ぎつつ、装置の大型化を抑制することができ、シート処理装置をコンパクト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る画像形成システムの全体構成の説明図である。
【
図2】
図1に示されている画像形成システムにおけるシート処理装置の全体構成の説明図である。
【
図3】
図2に示されているシート処理装置の一部を拡大して示す説明図である。
【
図4】
図2に示されているシート処理装置に組み込まれたシート折り装置を詳細に示す説明図である。
【
図5】
図4のシート折り装置の中折りユニットの要部拡大図であり、突板が待機位置に配置されている状態を示している。
【
図6】
図4のシート折り装置の中折りユニットの要部拡大図であり、突板がシートを一対の折りローラの間に押し込む作動位置に移動されている状態を示している。
【
図7】
図4のシート折り装置の第1の上端押え部材を拡大して示す拡大図である。
【
図8】
図4のシート折り装置の第2の上端押え部材を拡大して示す拡大図である。
【
図9】
図1に示されている画像形成システムの制御装置の構成を示す説明図である。
【
図10】
図4のシート折り装置における処理過程を示す概略説明図であり、(a)から(e)はシート積載トレイに搬入されたスモールサイズシートを予め定められた位置及び姿勢に整合して集積する過程を示している。
【
図11】
図4のシート折り装置における処理過程を示す概略説明図であり、(f)から(i)はシート積載トレイ上に集積されたスモールサイズシート上にさらにラージサイズシートを予め定められた位置及び姿勢に整合して積載する過程を示している。
【
図12】
図4のシート折り装置における処理過程を示す概略説明図であり、(j)から(m)はシート積載トレイ上に積載されたシートに中折り処理を施す過程を示している。
【
図13】
図4のシート折り装置におけるスモールサイズシートの集積処理の手順を示すフローチャートである。
【
図14】
図4のシート折り装置におけるラージサイズシートの集積処理の手順を示すフローチャートである。
【
図15】
図4のシート折り装置における中折り処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明によるシート処理装置及びこれを備える画像形成システムの実施の形態を説明する。なお、添付図面では、同一又は類似の構成要素には、同様の参照符号を付して表すこととする。
【0017】
図1は、本発明によるシート束処理装置を備えた画像形成システムを示している。
図1に示されている画像形成システムは、画像形成装置Aと、シート処理装置Bとを含んで構成され、シート処理装置Bにはユニットとしてシート折り装置Cが組み込まれており、画像形成装置Aによって画像形成されたシートを、シート処理装置Bで部揃え集積し、集積されたシート束に針綴じ、中折りなどの後処理を施して、下流側の第1のスタックトレイ21又は第2のスタックトレイ22に収納する。以下、画像形成装置A、シート処理装置Bについて詳細に説明する。
【0018】
[画像形成装置]
画像形成装置Aは、
図1に示されているように、ハウジング1内に、給紙部2と画像形成部3とを備えており、給紙部2からシートを画像形成部3へ送り、画像形成部3でシート上に画像を形成した後、本体排紙口4からシートを搬出する。
【0019】
給紙部2は、図示されている実施形態では、複数のカセット2a,2bを含んでおり、各カセット2a,2bには、予め選定された異なる規格サイズのシートを収納可能になっている。また、手差しトレ2xが設けられており、使用者が使用目的に応じたシートを挿入できるように構成されている。このような構成の給紙部2から、後述するコントロールパネル15を用いて指定されたサイズ、紙質(コーティング紙、普通紙など)、厚さのシートが画像形成部3に給送される。
【0020】
画像形成部3は、給紙部2から送られたシートに画像を形成するように構成されていればよく、種々の画像形成機構が採用可能である。図示されている実施形態では、画像形成部3として、静電式画像形成機構が示されている。しかしながら、画像形成部3は、図示される静電式画像形成機構に限定されるものではなく、インクジェット式画像形成機構、オフセット式画像形成機構などを採用することも可能である。
【0021】
図1に示されているように、画像形成部3には、発光器(レーザヘッドなど)5と、感光ドラム6と、現像器7と、転写チャージャ8と、定着器9とが設けられており、感光ドラム6の表面に発光器5で潜像(静止画像)を形成し、現像器7でトナーインクを付着するようになっている。感光ドラム6上に付着されたたインク画像(トナーインク)は、給紙部2から送られたシートに転写チャージャ8で画像転写され、画像転写されたシートは、定着器9で定着された後に、排紙経路10へ送られる。
【0022】
画像形成部3には、循環経路11と本体スイッチバック経路12がさらに設けられている。循環経路11及び本体スイッチバック経路12は、両面印刷を行うための経路であり、定着器9から排出された表面側に画像を定着させたシートを、本体スイッチバック経路12を介して裏表反転させた後、循環経路11により再び画像形成部3に搬送して、シートの裏面側に印刷することにより、両面印刷が行われる。このように両面印刷されたシートは、本体スイッチバック経路12で再び裏表反転された後に本体排紙口4から排出される。
【0023】
このように構成された画像形成装置Aの上部には、原稿画像を読み取る画像読取ユニット13が設けられており、画像読取ユニット13のさらに上部に、原稿給送ユニット14が搭載されている。画像読取ユニット13は、透明ガラスで形成されたプラテン13aと、読取キャリッジ13bと、光電変換素子13cとを備え、プラテン13a上に載置された原稿シートの画像を読取キャリッジ13bで走査して読み取り、光電変換素子13cにより電気信号に変換される。また、原稿給送ユニット14は、給紙トレイ14aを含み、給紙トレイ14a上に載置された原稿シートを一枚ずつ分離して画像読取ユニット13のプラテン13aに自動的に給送するように構成されている。
【0024】
画像形成装置Aには、コントロールパネル15と、画像データ記憶部16と、バッファメモリ17とがさらに設けられており、コントロールパネル15を用いて、例えばシートサイズ、カラー印刷・モノクロ印刷、プリント部数、片面印刷・両面印刷、拡大・縮小印刷などの画像形成条件を後述する本体制御部61に設定できるようになっている。また、画像データ記憶部16には、画像読取ユニット13によって読み取られて光電変換素子13cによって変換された電気信号が画像データとして記憶される。画像データ記憶部16には、例えばネットワークを通じて転送された画像データを記憶することもできる。画像データ記憶部16に記憶された画像データは、バッファメモリ17に転送され、バッファメモリ17から順次に発光器5に移送される。
【0025】
なお、コントロールパネル15からは、画像形成条件に加えて、シート処理条件も入力指定することができる。シート処理条件としては、例えば「プリントアウトモード」「綴じ仕上げモード」「シート束折り仕上げモード」等が設定される。これらのシート処理条件については後述する。
【0026】
[シート処理装置]
画像形成装置Aに連結されたシート処理装置Bは、
図2に全体構成を、
図3及び
図4に内部構造を示すように、装置ハウジング20と、第1の排紙トレイ21と、第2の排紙トレイ22とを備え、画像形成装置Aの本体排紙口4から排出された画像形成済みのシートを受け取り、(1)本体排紙口4から排出されたシートを、シート処理を施すことなく第1の排紙トレイ21に収納する(「プリントアウトモード」)か、(2)本体排紙口4から排出されたシートを束状に部揃えして綴じ処理を施した後、第1の排紙トレイ21に収納する(「綴じ仕上げモード」)か、又は(3)本体排紙口4から排出されたシートを束状に部揃えした後、冊子状に折り畳んで第2の排紙トレイ22に収納する(「シート束折り仕上げモード」)ように構成されている。
【0027】
シート処理装置Bの装置ハウジング20の内部には、搬入口23と排紙口24との間に略水平方向に略直線状に延びるシート搬入経路P1が設けられている。シート搬入経路P1の搬入口23は、
図1に示されているように、画像形成装置Aの本体排紙口4に連なるように配置され、本体排紙口4から排出されたシートをシート搬入経路P1を介してシート処理装置B内に搬入できるようになっている。さらに、装置ハウジング20の内部には、シート搬入経路P1から分岐しシートを反転方向に移送する第1のスイッチバック搬送路SP1及び第2のスイッチバック搬送路SP2が設けられており、第1のスイッチバック搬送路SP1はシート搬入経路P1よりも下流側(装置後端部側)に配置され、第2のスイッチバック搬送路SP2は第1のスイッチバック搬送路SP1よりも上流側に配置されている。シート搬入経路P1の排紙口24から延びる第1のスイッチバック搬送路SP2の下流側には、排紙口24と段差を隔てた下方に処理トレイ30が配置され、その下流側に第1の排紙トレイ21が連接されている。また、第2のスイッチバック搬送路SP2の下流側には、折り装置Cが配置され、その下流側に第2の排紙トレイ22が連接されている。
【0028】
[シート搬入経路]
シート搬入経路P1には、搬入口23から受け取ったシートを排紙口24へ向けて搬送する搬入ローラ25と、搬入経路P1の出口端に設けられ搬送されてきたシートを排紙口24から排紙させる排紙ローラ26とが設けられており、これらのローラは正逆転可能な駆動モータ(図示せず)によって駆動されるようになっている。また、シート搬入経路P1の搬入口23及び排紙口24の近傍には、それぞれ、シートの先端及び/又は後端を検出する入口センサS1及び出口センサS2が設けられている。搬入ローラ25は、
図1に示されているように、シート搬入経路P1に沿って複数の箇所に設けてもよい。
【0029】
シート搬入経路P1には、
図3に詳細に示されているように、第2のスイッチバック搬送路SP2にシートを案内する経路切換片27と、第2のスイッチバック搬送路SP2に至るシートを一時的に滞留保持するバッファガイド28とがさらに設けられており、ソレノイドなどの作動手段(図示せず)によって駆動されるようになっている。また、シート搬入経路P1上には、シートにスタンプ(捺印手段)、パンチ(穿孔手段)などの後処理を施す後処理ユニット29が設けられている。図示されている実施形態では、後処理ユニット29は、装置仕様に応じて装置ハウジング20に着脱可能なようにシート搬入経路P1の搬入口23の近傍に配置されている。
【0030】
[第1のスイッチバック搬送路]
シート搬入経路P1の下流側に設けられた第1のスイッチバック搬送路SP1は次のように構成されている。シート搬入経路P1には、その出口端に、排紙ローラ26と排紙口24が設けられ、排紙口24の下流側には、排紙口24と段差を隔てた下方に処理トレイ30が設けられている。処理トレイ30は、排紙口24から排出された複数のシートを積載支持するトレイによって構成されている。
【0031】
処理トレイ30には、
図3に示されているように、処理トレイ30上でシートを搬送するための搬送機構として、処理トレイ30の上方に配置される正逆転ローラ31と、処理トレイ30上で正逆転ローラ31と協働する従動ローラ32と、掻き込み回転体33とが設けられている。
【0032】
正逆転ローラ31と従動ローラ32とは、処理トレイ30の搬出方向前端部(第1のスタックトレイ21側の端部)付近に設けられている。正逆転ローラ31は、処理トレイ30の上方に配置されており、処理トレイ30上の最上のシートと接する作動位置(
図3に実線で示されている位置)と処理トレイ30上の最上のシートから離間する待機位置(
図3に二点鎖線で示されている位置)との間で昇降自在となるように構成されている。また、正逆転ローラ31と従動ローラ32は、正逆転ローラ31が作動位置に下降したときに、正逆転ローラ31のローラ体と従動ローラ32のローラ体とがシートを搬送可能に上下から挟み込むように配置されている。
【0033】
このように構成された正逆転ローラ31は、処理トレイ30上にシートを進入させる際には、処理トレイ30から離間した受け入れ位置(例えば待機位置)に移動し、排紙口24から排出されたシートの進行方向後端が処理トレイ30上に到達すると、作動位置に下降して処理トレイ30上の最上のシートの上面に当接した状態で
図3中の反時計回りに回転するように制御される。
【0034】
掻き込み回転体33は、図示されている実施形態では、二つのプーリの間に掛け渡された無端ベルトで構成され、一方のプーリが下側の排紙ローラ26の駆動軸26xと共に回転するようになっており、他方のプーリが駆動軸26xと同軸のプーリの中心軸線を中心に処理トレイ30上に垂下するように搖動自在に軸支されている。掻き込み回転体33は、処置トレイ30上に積載されているシート束の最上位置のシートの上に搬送されてくる新たなシートの上面に係合し、当該シートの先端を押圧しながら図中反時計回りに回転して、シートを後述する規制部材34に当接するまで送り込む。これにより、処理トレイ30上を規制部材34まで搬送する間に生じ得るシートのカールやスキューを解消させることができる。掻き込み回転体33は、ベルトに限定されるものではなく、パドル部材やローラなどによって構成してもよい。
【0035】
処理トレイ30の排紙方向後端部(
図3中の右側の端部)には、排紙方向のシートの端部の位置を規制する規制部材34と、綴じ装置35が配置されている。ここで、処理トレイ30における排紙方向とは、処理トレイ30から第1の排紙トレイ21へ向けてシートを排出する方向を意味する。本実施形態では、綴じ装置35は端面綴じステープラで構成され、処理トレイ30上に集積されたシート束の排紙方向後端(
図3中の右側の端部)の1箇所又は複数箇所にステープル綴じを行う。しかしながら、綴じ装置35はステープルを用いた綴じ処理を行うステープラや端面綴じに限定されるものではない。例えば、圧着綴じを行う綴じ装置によって綴じ装置35を構成してもよい。また、本実施形態では、規制部材34は、シート束を把持するグリップ爪34aとシート後端を当接させて規制する規制面34bとを含んでおり、綴じ処理を施されたシート束を処理トレイ30の下流側に配置された第1の排紙トレイ21に搬出する機能を果たせるように、処理トレイ30に沿って排紙方向に往復動可能に構成されている。なお、規制部材34は、駆動アーム36に連結されており、排紙モータMによって駆動アーム36を搖動することによって処理トレイ30に沿って排紙方向に規制部材34を往復動させることができるようになっている。
【0036】
また、処理トレイ30には、処理トレイ30上に集積されたシートの幅方向(排紙方向と垂直な方向)を整合する一対のサイド整合板37が設けられており、サイド整合板37は、センター基準でシートを整合するように左右方向(
図3中の前後方向)に対抗して配置され、シート中央に接近及び離間できるように構成されている。
【0037】
このように構成された第1のスイッチバック搬送経路SP1では、排紙口24から排出されたシートが、処理トレイ30上を第1の排紙トレイ21へ向かって移動し、シートの進行方向後端が排紙口24から排出されて処理トレイ30上に到達した後に、
図3中で反時計回りに回転する正逆転ローラ31により、第1のスタックトレイ21へ向かう方向(すなわち排紙方向)と逆方向(以下、「搬入方向」とも記載する。)に規制部材34へ向かってスイッチバック搬送される。このとき、掻き込み回転体33は、正逆転ローラ31と協働して、シートを処理トレイ30に沿って規制部材34に当接するまで送り込む。処理トレイ30上に送り込まれたシートは、「綴じ仕上げモード」のときには排紙口24からのシートを処理トレイ30上で部揃えして、部揃えされたシート束を綴じ装置35で後端縁の1箇所又は複数個所をステープル綴じする。なお、「プリントアウトモード」のときには、排紙口24からのシートをスイッチバック搬送することなく、処理トレイ30に沿って送られたシートを正逆転ローラ31と従動ローラ32との間に挟んで第1の排紙トレイ21に搬出する。
【0038】
[第2のスイッチバック搬送路及びシート折り装置]
シート搬入経路P1から分岐された第2のスイッチバック搬送路SP2は、
図1に示されているように、略鉛直方向に延びており、第2のスイッチバック搬送路SP2の下流側には、第2のスイッチバック搬送路SP2から送られるシートを部揃え集積して中綴じ処理や中折り処理を施すシート折り装置Cが設けられている。シート折り装置Cは、
図4に詳細に示されているように、集積ガイド38と、集積ガイド38に集積されたシートに中綴じ処理を施す中綴じユニット39と、集積ガイド38に集積されたシートに中折り処理を施す中折りユニット40とを備える。集積ガイド38は、上向きのくの字形の傾斜面である載置面38dを有したシート積載トレイ38aと、スイッチバック経路38bと、出口ガイド部38cとを含んでいる。第2のスイッチバック搬送路SP2の出口端には、排出ローラ41と、排出口42とが設けられ、排出口42の下流側には、排出口42と段差を隔てた下方にシート積載トレイ38aが配置されている。また、スイッチバック経路38bはシート積載トレイ38aの上端側に連接されている。シート積載トレイ38aは、最大サイズのシートを収容可能な長さ寸法を有するように形成されており、排出口40から排出されたシートを載置面38d上に順次積載できるように構成されている。
【0039】
このような構成の第2のスイッチバック搬送路SP2及び集積ガイド38により、排出口40から排出されたシートは、集積ガイド38のシート積載トレイ38aの載置面38d上に順次積載される。
【0040】
シート積載トレイ38aには、綴じ位置Xと、折り位置Yとが設定されており、シートに処理を施す処理部として、綴じ位置Xには中綴じユニット39が配置され、折り位置Yには中折りユニット40が配置されている。中綴じユニット39は、綴じ処理を行うことができれば、任意のものを使用することができ、中綴じユニット39として、例えばステープルを用いて綴じ処理を行うステープル綴じ装置を使用することができる。このような中綴じユニット39は公知であるので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0041】
中折りユニット40は、折りローラ43aと折りローラ43bとからなる一対の折りローラ43と、シート積載トレイ38aを挟んで一対の折りローラ43と対向して配置される突板44と、一対の折りローラ43の下流側に配置された排紙ローラ対45とを含んでいる。一対の折りローラ43は、シート積載トレイ38aに積載されたシートと折りローラ43a,43bの表面が接することのない位置に配置されており、図示されている実施形態では、一対の折りローラ43は、一方の折りローラ43aが装置ハウジング20に搖動可能に支持され他方の折りローラ43bへ向けて付勢され、一対の折りローラ43a,43bの間にシート束が挟み込まれたときに、シートを押圧しつつシート束の厚みに応じて互いと接近離間できるようになっている。また、突板44は、その先端を一対の折りローラ43の圧接部に向けて突板キャリア46に担持されており、積載トレイ38a上のシートの面に対して概略垂直な方向に移動可能となっている。突板キャリア46は、図示されていないキャリア駆動機構によりシート積載トレイ38aに対して接近及び離反する向きに駆動される。これにより、突板44は、
図5に示されているように先端がシート積載トレイ38aから突出せず載置面38d上に積載されたシートから離れている待機位置と、
図6に示されているように先端で載置面38d上に積載されたシートを一対の折りローラ43の間に押し込む作動位置との間で移動することができる。また、突板44において、作動位置に移動されたときに載置面38から突出される部分の下側面には、先端へ向けて(すなわち一対の折りローラ43へ向けて)テーパ状に先細りとなるように傾斜したガイド面44aが形成されている。これにより、突板64のガイド面44aにスモールサイズのシートの上端が当接して押し付けられたときにスモールサイズのシートの上端が一対の折りローラ43の間に円滑に案内されるようになる。
【0042】
なお、折り位置Yには、集積ガイド38と連なるように、出口ガイド部38cが設けられており、出口ガイド部38は、
図5及び
図6に示されているように、シート積載トレイ38aに積載されたシートの束を徐々に屈曲させるように狭窄した対向ガイド片によって構成されている。
【0043】
[シート積載トレイ]
シート積載トレイ38aには、下端規制部材47と、シート積載トレイ38aに沿って下端規制部材47よりも上方に配置される第1の上端押え部材48と、シート積載トレイ38aに沿って第1の上端押え部材48よりも上方に配置される第2の上端押え部材49と、シート積載トレイ38aの幅方向(
図4における前後方向)の両側に配置されるサイド整合部材50とが載置面38dから突出して設けられている。
【0044】
下端規制部材47は、
図4に詳細に示されているように、断面略コの字形状のチャネル部材によって構成されており、その内側に、シートの下端を当接させる規制面47aを有している。また、下端規制部材47は、下端規制部材駆動機構51によってシート積載トレイ38a(詳細にはその載置面38d)に沿って昇降され、待機位置、ラージサイズシート受け入れ位置、スモールサイズシート受け入れ位置に移動できるようになっている。図示されている実施形態では、下端規制部材駆動機構51は、下端規制部材47の移動範囲の上端及び下端付近に配置された一対のプーリと、両プーリに巻き掛けられた伝動ベルトとによって構成されており、下端規制部材47は、伝動ベルト上に固定され、駆動手段によって駆動側のプーリを回転させることによって昇降し、シート積載トレイ38a上でシートを移動できるようになっている。しかしながら、下端規制部材駆動機構51は、下端規制部材47をシート積載トレイ38aに沿って昇降させることができれば限定されるものではなく、他の駆動機構を用いることも可能である。
【0045】
このように構成された下端規制部材47は、排出口42から排出されてシート積載トレイ38に沿って下降するシートの下端を規制面47aに当接させて停止させることによりシートの下端の位置を規制すると共に、シート積載トレイ38aに沿って昇降して載置面43d上でシートを移動させる機能を果たす。
【0046】
第1の上端押え部材48は、
図7に詳細に示されているように、概略コの字形状のチャネル部材から構成されており、内側に形成されたスモールサイズシートの上端を当接させるための当接面48aと、スモールサイズのシートの上端を当接面48aに当接させたときにスモールサイズのシートの上端を覆うように延びるカバー部48bと、排出口42側に形成され且つ載置面38dに沿って下方へ向かうにつれて載置面38dから離れるように傾斜して延びる傾斜面48cと、載置面38d上に積載されるシートの上面を押圧するようにカバー部48bの先端に取り付けられているシート状の可撓性のシート押圧部材48dとを有している。
【0047】
また、第1の上端押え部材48は、第1の上端押え部材駆動機構52によってシート積載トレイ38a(詳細にはその載置面38d)に沿って昇降され、載置面38d上に積載されるシートの上端から離反する退避位置と載置面38d上に積載されるシートの上端に当接する押え位置との間で移動できるようになっている。図示されている実施形態では、第1の上端押え部材駆動機構52は、第1の押え部材48の移動範囲の上端及び下端付近に配置された一対のプーリと、両プーリに巻き掛けられた伝動ベルトとによって構成されており、第1の押え部材48は、伝動ベルト上に固定され、駆動手段によって駆動側のプーリを回転させることによって昇降し、載置面38d上に積載されるシートの上端に対して当接及び離反できるようになっている。しかしながら、第1の上端押え部材駆動機構52は、第1の上端押え部材48をシート積載トレイ38aに沿って昇降させることができれば限定されるものではなく、他の駆動機構を用いることも可能である。
【0048】
このように構成された第1の上端押え部材48は、第1のサイズ(以下、スモールサイズと記載する。)のシートの上端に当接してスモールサイズのシートの下端を下端規制部材47の規制面47aに押し付けることにより載置面38dに沿ったスモールサイズのシートの搬送方向(すなわち上下方向)の位置を整合させると共に、後続のシートの下端が載置面38d上に積載されているシートの上端に衝突することを回避させる機能を果たす。
【0049】
第2の上端押え部材49は、
図8に詳細に示されているように、第1の上端押え部材48と同様に、概略コの字形状のチャネル部材から構成されており、内側に形成されたラージサイズシートの上端を当接させるための当接面49aと、ラージサイズのシートの上端を当接面49aに当接させたときにラージサイズのシートの上端を覆うように延びるカバー部49bと、排出口42側に形成され且つ載置面38dに沿って下方へ向かうにつれて載置面38dから離れるように傾斜して延びる傾斜面49cと、載置面38d上に積載されるシートの上面を押圧するようにカバー部49bの先端に取り付けられているシート状の可撓性のシート押圧部材49dとを有している。
【0050】
また、第2の上端押え部材48は、第2の上端押え部材駆動機構53によってシート積載トレイ38a(詳細にはその載置面38d)に沿って昇降され、載置面38d上に積載されるシートの上端から離反する退避位置と載置面38d上に積載されるシートの上端に当接する押え位置との間で移動できるようになっている。図示されている実施形態では、第2の上端押え部材駆動機構53は、第2の押え部材49の移動範囲の上端及び下端付近に配置された一対のプーリと、両プーリに巻き掛けられた伝動ベルトとによって構成されており、第2の押え部材49は伝動ベルト上に固定され、駆動手段によって駆動側のプーリを回転させることによって、第2の上端押え部材49を昇降し、載置面38d上に積載されるシートの上端に対して当接及び離反できるようになっている。しかしながら、第2の上端押え部材駆動機構53は、第2の上端押え部材49をシート積載トレイ38aに沿って昇降させることができれば限定されるものではなく、他の駆動機構を用いることも可能である。
【0051】
このように構成された第2の上端押え部材49は、第1のサイズより大きい第2のサイズ(以下、ラージサイズと記載する。)のシートの上端に当接してラージサイズのシートの下端を下端規制部材47の規制面47aに押し付けることにより載置面38dに沿ったラージサイズのシートの搬送方向(すなわち上下方向)の位置を整合させると共に、後続のシートの下端が載置面38d上に積載されているシートの上端に衝突することを回避させる機能を果たす。
【0052】
サイド整合部材50は、シート積載トレイ38aの幅方向に対向して配置されて、図示されていない駆動機構によりシート載置トレイ38aの幅方向に往復動ができるように構成されている。本実施形態では、シート積載トレイ38aのシート幅方向の中央位置(折りローラ対及び突板の中央位置)を中折り処理の中央基準位置に設定している。サイド整合部材50は、初期状態において、それぞれ、シート幅方向に中央基準位置から等距離に設定された初期位置に配置されており、シート積載トレイ38aにシートが搬入されると、駆動機構により、初期位置から、シート積載トレイ38aに搬入されるシートの幅寸法に対応して所定の同じ距離だけ移動され、シートの幅方向中央位置を中央基準位置に一致するようにシートを整合させる。シートの幅方向の位置を整合させた後、サイド整合部材50は、再び初期位置に戻される。
【0053】
このように構成されたサイド整合部材50は、排出口42から排出されてシート積載トレイ38aに搬入されるシートの幅方向(搬入方向と垂直な方向)の両側部に当接させて幅方向の位置を整合させる機能を果たす。
【0054】
シート積載トレイ38aに搬入されるシートが複数枚の場合、上述したように、最初のシートの幅方向の位置を整合させ、サイド整合部材50を初期位置に戻した後、次のシートを搬入させる。次のシートにも、上述したサイド整合部材50によるシートの幅方向整合動作を繰り返して実行し、最初のシート及び次のシートの側縁を揃えて重ね合わせる。このように新しくシートが搬入される毎にシートの幅方向整合動作を繰り返すことによって、シート積載トレイ38a内で複数のシートを所定の幅方向位置に整合させて集積することができる。なお、シート積載トレイ38aに排出されて後処理を施されるシートの寸法は、シートに施す後処理に関する情報と共に、画像形成装置Aの本体制御部61からシート処理装置Bの後述する後処理制御部62に予め送信される。
【0055】
[制御装置]
次に、
図9を参照して、上述した画像形成システムの制御装置60の構成を説明する。
画像形成システムの制御装置60は、画像形成装置Aを制御する制御部(以下「本体制御部」と記載する。)61と、シート束処理装置Bを制御する制御部(以下「後処理制御部」と記載する。)62とを備えている。
【0056】
本体制御部61は、画像形成制御部63と、給紙制御部64と、入力部としてのコントロールパネル15とを備えており、コントロールパネル15から「画像形成モード」と「後処理モード」の設定を行うことができる。画像形成モードでは、プリントアウト部数、シートサイズ、シート紙質、カラー印刷・モノクロ印刷、両面印刷・片面印刷、拡大印刷・縮小印刷、その他の画像形成条件を設定することができる。本体制御部61は、設定された画像形成条件に応じて画像形成制御部63及び給紙制御部64を制御して、所定のシートに画像形成した後、本体排紙口4からシートを順次排出させる。また、後処理モードでは、例えば、「プリントアウトモード」、「綴じ仕上げモード」、「シート束折り仕上げモード」などのシート処理条件を設定することができる。また、「シート束折り仕上げモード」を設定するときには、挿入シートの有り・無しも選択できるようになっている。本体制御部61は、後処理制御部62に、後処理の仕上げモードや綴じモード(1箇所綴じか2箇所以上の複数綴じか)などの後処理モード情報、シート部数、シートサイズ及び画像形成するシートの紙厚の情報などのデータを転送すると共に、画像形成の終了毎にジョブ終了信号を後処理制御部62に転送する。
【0057】
後処理制御部62は、ROM65とRAM66に接続された制御CPUによって構成されており、指定された後処理モードに応じて、ROM65に記憶された制御プログラムとRAM66に記憶された制御データとに基づいて、シート処理装置Bを動作させる。このため、後処理制御部62には、シート処理装置Bに搭載された各モータの起動、停止及び正逆回転の制御を行うように、シート搬入経路P1の搬入ローラ25や排紙ローラ26、処理トレイ30にシートを集積するための正逆転ローラ31、処理トレイ30の規制部材34、処理トレイ30の綴じ装置35、シート折り装置Cの中綴じユニット39、第2のスイッチバック搬送路SP2の排出ローラ41、シート折り装置Cの中折りユニット40の突板キャリア46、一対の折りローラ43、排紙ローラ対45、サイド整合部材50の駆動機構、下端規制部材駆動機構51、第1の上端押え部材駆動機構52、第2の押え部材駆動機構53などの各モータの駆動回路が接続されている。また、シート搬入経路P1に配置された入口センサS1及び出口センサS2からの検知信号を受信するように構成されている。各後処理モードでは、後処理制御部62は、次のような処理動作を実行させるようにシート処理装置Bの制御を行う。
【0058】
[プリントアウトモード]
プリントアウトモードでは、画像形成装置Aは、一連の文書を例えば第1ページから第nページまで順番に画像形成し、本体排紙口4から順次搬出する。シート処理装置Bは、画像形成装置Aから搬出されたシートの先端が搬入口23に到達したことを入口センサS1によって検出すると、バッファガイド28を
図3に二点鎖線で示されている上方の位置へ退避させ且つ経路切換片27を
図3に実線で示されている下方の位置へ移動させてシートをシート搬入経路P1に送ると共に、搬入ローラ25及び排紙ローラ26を回転駆動させて、シート搬入経路P1に沿ってシートを排紙ローラ26に導く。排紙口24付近に設けられた排紙センサS2によってシートの後端が検出されると、シートの先端が処理トレイ30の従動ローラ32の位置(すなわち作動位置の正逆転ローラ31の位置)に到達する見込み時間の経過後、正逆転ローラ31が上方の待機位置(
図3に二点鎖線で示されている状態)から処理トレイ30上のシートと接する作動位置(
図3に実線で示されている状態)に下降され、正逆転ローラ31が
図3における時計回りに回転される。これにより、処理トレイ30上に進入したシートは、第1の排紙トレイ21へ向けて搬出され、第1の排紙トレイ21上に収納される。同様にして、後続するシートが第1の排紙トレイ21へ向けて順次搬出され、第1の排紙トレイ21上に堆積、収納される。
【0059】
このように、プリントアウトモードでは、画像形成装置Aによって画像形成されたシートは、シート処理装置Bのシート搬入経路P1を経て、第1の排紙トレイ21に収納され、順に上方に積載収納されることとなる。プリントアウトモードでは、シートは、前述の第1のスイッチバック搬送路SP1及び第2のスイッチバック搬送路SP2には導かれない。
【0060】
[綴じ仕上げモード]
綴じ仕上げモードでは、シート処理装置Bは画像形成装置Aから搬出されたシートを束状に部揃えした後に、綴じ処理を施して仕上げる。詳細には、画像形成装置Aが、プリントアウトモードの場合と同様に、一連の文書を第1ページから第nページまで順番に画像形成して、本体排紙口4から順次搬出する。シート処理装置Bは、画像形成装置Aから搬出されたシートの進行方向の先端が搬入口23に到達したことを入口センサS1によって検出すると、バッファガイド28を
図3に二点鎖線で示されている上方の位置へ退避させ且つ経路切換片27を
図3に実線で示されている下方の位置へ移動させてシートをシート搬入経路P1に送ると共に、搬入ローラ25及び排紙ローラ26を回転駆動させて、シート搬入経路P1に沿って排紙ローラ26に導く。また、シートの進行方向先端が搬入口23に到達したことが検出されると、処理トレイ30へのシートの搬入を妨げないようにセンター基準位置から十分に離れたシート受け入れ位置にサイド整合板37を移動させると共に、正逆転ローラ31を待機位置(
図3で二点鎖線で示されている状態)へ移動させる。
【0061】
次に、排紙口24付近に設けられた排紙センサS2によってシートの進行方向の後端が排紙ローラ26を通過したことを検出すると、後処理制御部62は、シートの進行方向の先端が処理トレイ30の従動ローラ32の位置(すなわち作動位置の正逆転ローラ31の位置)に到達する見込み時間の経過後、正逆転ローラ31を上方の待機位置から処理トレイ30上のシートと接する作動位置(
図3に実線で示されている状態)へ下降させ、
図3中の時計回りに正逆転ローラ31を回転させ、さらにシートの進行方向後端が処理トレイ30上に搬入される見込み時間の経過後、
図3中の反時計回りに正逆転ローラ31を所定量回転させて処理トレイ30上で規制部材34へ向けてシートを送り込む。このとき、掻き込み回転耐33も
図3中の反時計回りに回転させられ、シートの進行方向前端が規制部材34に当接するまで、シートが搬送される。このようにして排紙口24から排出されたシートは、第1のスイッチバック搬送路SP1に沿って処理トレイ30上にスイッチバック搬送される。
【0062】
処理トレイ30へのシートの搬入がシートの規制部材34への当接によって停止すると、後処理制御部62は、正逆転ローラ31を待機位置へ上昇させて停止させ、受け入れ位置から、シートを幅方向の両側から挟み込むように、センター基準へ向けてサイド整合板37を移動させる。サイド整合板37は、それぞれの規制面をシート幅方向の両側の側辺(すなわち幅方向に面する二つの側辺)に当接させ、両規制面の離隔距離がシートの幅寸法と一致する位置まで移動させられる。これにより、各シートは、その幅方向の中心が処理トレイ30のセンター基準に一致するように整合される。一つのシート束として綴じられる所定枚数のシートが処理トレイ30上に整合されて集積されるまで、同様の動作が繰り返される。
【0063】
所定枚数のシートが処理トレイ30上に整合されて集積されると、後処理制御部62は、サイド整合板37と規制部材34を駆動して、シートを集積させたシート束を綴じ処理位置へ移動させる。シート束が綴じ処理位置に位置決めされると、後処理制御部62は、コマンド信号を発信して、綴じ装置35を駆動させ、綴じ処理を実行させる。綴じ処理が完了すると、後処理制御部62は、正逆転ローラ31と規制部材34を駆動して綴じ処理を施されたシート束を処理トレイ30から第1の排紙トレイ21へ搬出させる。
【0064】
[シート束折り仕上げモード]
シート束折り仕上げモードでは、シート処理装置Bは、画像形成装置Aから搬出されたシートを束状に部揃えした後、冊子状に仕上げる。また、他のシートよりもサイズの小さい挿入シートを挿入することもできる。詳細には、画像形成装置Aが、プリントアウトモードの場合と同様に、一連の文書を第1ページから第nページまで順番に画像形成して、本体排紙口4から順次搬出する。シート処理装置Bは、画像形成装置Aから搬出されたシートの先端が搬入口23に到達したことを入口センサS1によって検出すると、バッファガイド28を
図3に二点鎖線で示されている上方の位置へ退避させ且つ経路切換片27を
図3に実線で示されている下方の位置へ移動させてシートをシート搬送経路P1に送ると共に、搬入ローラ25及び排紙ローラ26を回転駆動させて、シート搬入経路P1に沿って排紙ローラ26に導く。次に、後処理制御部62は、入口センサS1によってシートの進行方向後端を検出した時に発せられる信号を基準にして、シートの進行方向後端が経路切換片27を通過したタイミングで、排紙ローラ26の回転を停止させると同時に経路切換片27を
図3に実線で示されている位置から
図3に二点鎖線で示されている位置へ上方に旋回させた後、排紙ローラ26を
図3における反時計回りに逆回転させる。これにより、シート搬入経路P1に進入したシートは、搬送方向を反転され、経路切換片27によって第2のスイッチバック搬送路SP2に導かれ、シート折り装置Cの集積ガイド38に案内される。
【0065】
同様にして、後続のシートが第2のスイッチバック搬送路SP2を経て集積ガイド38上に部揃えされる。後処理制御部52は、ジョブ終了信号を受け取ると、シートを綴じ位置Xに位置決めして中綴じユニット39を動作させ、シート束の中央の複数箇所(例えば2箇所)にステープル綴じ処理を施した後、シート中央を折り位置Yに位置決めして、中折りユニット40によって中折り処理を施し、冊子状に折り曲げられたシート束を第2の排紙トレイ22に搬出させるように制御する。
【0066】
ここで、
図10から
図15を参照して、シート束折り仕上げモードにおいて、挿入シート有りが選択された場合のシート折り装置Cにおけるシートの集積動作及び中折り動作の制御について詳細に説明する。
【0067】
画像形成システムでは、シート束折り仕上げモードで挿入シート有りが選択されると、挿入シートであるショートサイズシートが集積ガイド38のシート積載トレイ38a上に積載された後に、ラージサイズシートがシート積載トレイ38a上に積載されたショートサイズシートの上に重ねて配置される。また、シート積載トレイ38a上では、下端規制部材47を、シート積載トレイ38aの最下部の待機位置、待機位置よりも上方のラージサイズシート受け入れ位置、ラージサイズシート受け入れ位置に位置決めでき、第1の上端押え部材48を、ショートサイズのシートの上端に当接する押え位置、押え位置よりも上方に位置する退避位置に位置決めでき、第2の上端押え部材49を、第1の上端押え部材48よりも上方に位置し且つラージサイズのシートの上端に当接する押え位置、押え位置よりも上方に位置する退避位置に位置決めできるようになっている。また、サイド整合部材50は、シート積載トレイ38aへのシートの搬入を妨げないように、搬入されるシートの幅よりも互いから離れたシート受け入れ位置と、規制面をラージサイズのシートの幅方向(搬送方向と垂直な方向)の側辺に当接させてラージサイズシートの中心がシート積載トレイ38aのセンター基準に一致するようにラージサイズシートの幅方向位置を整合させるラージサイズシート整合位置、規制面をスモールサイズのシートの幅方向(搬送方向と垂直な方向)の側辺に当接させてスモールサイズシートの中心がシート積載トレイ38aのセンター基準に一致するようにスモールサイズシートの幅方向位置を整合させるスモールサイズシート整合位置に位置決めされ得るようになっている。
【0068】
ステップSt1で挿入シート有りが選択されると、後処理制御部62は、シート積載トレイ38aの最下部の待機位置(
図10(a)参照)からスモールサイズシート受け入れ位置(
図10(b)参照)へ下端規制部材47を移動させる(ステップSt2)。また、本体制御部61から後処理制御部62に伝送されたシートサイズ情報に基づいて、第1の上端押え部材48は、退避位置に移動され、サイド整合部材50は、シート受け入れ位置に移動される。下端規制部材47がスモールサイズシート受け入れ位置に移動されると、
図10(b)に示されているように、第2のスイッチバック搬送路SP2を経て排出口42から集積ガイド38(詳細には、そのシート積載トレイ38a)へ排出ローラ41によってスモールサイズシートが排出される(ステップSt3)。
【0069】
排出されたスモールサイズシートがスモールサイズシート受け入れ位置の下端規制部材47に到達する見込み時間だけシート積載トレイ38aの載置面38dに沿って搬送されて、スモールサイズシートの下端が下端規制部材47に到達すると(ステップSt4)、後処理制御部62は、
図10(c)に示されているように、第1の上端押え部材48を載置面48dに沿って退避位置から押え位置へ移動させ、第1の上端押え部材48の当接面48aをスモールサイズシートの上端に当接させる(ステップSt5)。これにより、スモールサイズシートが下端規制部材47に押し付けられ、載置面38d上における搬送方向(すなわち上下方向)の位置が整合される。同時に、サイド整合部材50は、その規制面の離隔距離がスモールサイズシートの幅寸法と一致するスモールサイズシート整合位置に移動され、サイド整合部材50の規制面をスモールサイズシートの幅方向の側辺に当接させる。これにより、スモールサイズシートは、そ幅方向の中心がシート積載トレイ38aのセンター基準に一致するように整合される。
【0070】
ステップSt6において、後続のスモールサイズシートがあるときには、シート搬入の妨げにならないように、サイド整合部材50がシート受け入れ位置に移動され、第2のスイッチバック搬送路SP2を経て排出口42からシート積載トレイ38aへ排出ローラ41によって後続のスモールサイズシートが排出される(ステップSt7)。このとき、第1の上端押え部材48は押え位置に配置されており、シート積載トレイ38a上に載置されたスモールサイズシートの上端に当接面48aを当接させ、シート積載トレイ38a上に載置されたスモールサイズシートの上端をカバー部48bで覆った状態を維持されている。
【0071】
図10(d)に示されているように、ステップSt8において後続のスモールサイズシートの下端(搬送方向の先端)が第1の上端押え部材48を通過する見込み時間だけシートが搬送されると、後処理制御部62は、
図10(e)に示されているように、ステップSt9で第1の上端押え部材48を押え位置から退避位置に移動させ、ステップSt10で後続のスモールサイズシートの下端が下端規制部材47に到達した後に、第1の上端押え部材48を再び押え位置に移動させる(ステップSt11)。同時に、サイド整合部材50は、その規制面の離隔距離がスモールサイズシートの幅寸法と一致するスモールサイズシート整合位置に移動され、サイド整合部材50の規制面をスモールサイズシートの幅方向の側辺に当接させる。このようなステップSt7からステップSt11のような動作が後続のスモールサイズシートがなくなるまで繰り返される。
【0072】
後続のスモールサイズシートの下端がシート積載トレイ38a上に載置されたスモールサイズシートの上端の位置に到達する際には、第1の上端押え部材48の当接面48aが載置されたスモールサイズシートの上端に当接して、カバー部48bがスモールサイズシートの上端を覆っているので、後続のスモールサイズシートの下端が傾斜面48cに沿って移動し、シート積載トレイ38a上に載置されたスモールサイズシートの上端を乗り越えて通過することができる。したがって、後続のスモールサイズシートの下端がシート積載トレイ38a上に載置されたスモールサイズシートの上端に干渉することを回避させることができ、シート積載トレイ38a上に載置されたスモールサイズシートの上端と後続のスモールサイズシートの下端との干渉による紙詰まりやシートの順番の入れ替わりを防ぐことができる。また、後続のスモールサイズシートの下端が下端規制部材47に到達した後に、第1の上端押え部材48が退避位置に移動された後に再び押え位置に移動されると共に、サイド整合部材50がシート受け入れ位置からスモールサイズシート整合位置に移動されるので、シート積載トレイ38a上に積載されたスモールサイズシートは、搬送方向の位置と幅方向の位置を整合されて部揃えされる。
【0073】
後続のスモールサイズシートがなくなると、続いて、シート搬入の妨げにならないように、サイド整合部材50がシート受け入れ位置に移動され、
図11(f)に示されているように、第2のスイッチバック搬送路SP2を経てラージサイズシートが排出口42から集積ガイド38のシート積載トレイ38aへ排出ローラ41によって排出される(ステップSt12)。このとき、第1の上端押え部材48は押え位置に配置され、シート積載トレイ38a上に積載されたスモールサイズシートの上端に当接面48aを当接させ、シート積載トレイ38a上に載置されたスモールサイズシートの上端をカバー部48bで覆った状態を維持されている。また、本体制御部61から後処理制御部62に伝達されたシートサイズ情報に基づいて、第2の上端押え部材49は退避位置に移動され、サイド整合部材50は、シート受け入れ位置に移動される。
【0074】
排出されたラージサイズシートがスモールサイズ受け入れ位置の下端規制部材47に到達する見込み時間だけ搬送されると(ステップSt13)、後処理制御部62は、
図11(g)に示されているように、排出ローラ41による排出口42からのラージサイズシートの排出を継続しながら、下端規制部材47がラージサイズシート受け入れ位置に到達するまで、下端規制部材47及び第1の上端押え部材48をシート積載トレイ38aの載置面38dに沿って下降させ(ステップS14)、ラージサイズシートが排出口42を完全に通過できるようにする(ステップSt15)。下端規制部材47がラージサイズシート受け入れ位置に到達すると、後処理制御部62は、
図11(h)に示されているように、第2の上端押え部材49を載置面48dに沿って退避位置から押え位置へ移動させ、第2の上端押え部材49の当接面49aをラージサイズシートの上端に当接させる(ステップSt16)。これにより、ラージサイズシートは、下端規制部材47に押し付けられ、載置面38d上における搬送方向(すなわち上下方向)の位置が整合される。同時に、サイド整合部材50は、その規制面の離隔距離がラージサイズシートの幅寸法と一致するラージサイズシート整合位置に移動され、サイド整合部材50の規制面をラージサイズシートの幅方向の側辺に当接させる。これにより、ラージサイズシートは、そ幅方向の中心がシート積載トレイ38aのセンター基準に一致するように整合される。
【0075】
排出口42から排出されるラージサイズシートの下端がスモールサイズシート受け入れ位置の下端規制部材47に到達するまで第1の上端押え部材48は、シート積載トレイ38a上に積載されたスモールサイズシートの上端に当接面48aを当接させ、シート積載トレイ38a上に載置されたスモールサイズシートの上端をカバー部48bで覆った状態を維持しているので、排出口42から排出されるラージサイズシートの下端がシート積載トレイ38a上に積載されたスモールサイズシートの上端の位置に到達すると、第1の上端押え48の傾斜面48cに沿って移動して、シート積載トレイ38aに積載されたスモールサイズシートの上端を乗り越えて通過することができる。したがって、ラージサイズシートの下端がシート積載トレイ38a上に積載されたスモールサイズシートの上端に干渉することを回避でき、シート積載トレイ38a上に載置されたスモールサイズシートの上端とラージサイズシートの下端との干渉による紙詰まりやシートの順番の入れ替わりを防ぐことができる。
【0076】
ステップSt17において、後続のラージサイズシートがあるときには、シート搬入の妨げにならないように、サイド整合部材50がシート受け入れ位置に移動され、第2のスイッチバック経路SP2を経て排出口42からシート積載トレイ38aへ排出ローラ41によって後続のラージサイズシートが排出される(ステップSt18)。このとき、第2の上端押え部材49は押え位置に配置されており、シート積載トレイ38a上に載置されたラージサイズシートの上端に当接面49aを当接させ、シート積載トレイ38a上に積載されたラージサイズシートの上端をカバー部49bで覆った状態を維持されている。
【0077】
ステップSt19において後続のラージサイズシートの下端(搬送方向の先端)が下端規制部材47に到達する見込み時間だけシートが搬送されると、後処理制御装置62は、第2の上端押え部材49を押え位置から退避位置へ移動させ(ステップSt20)、その後、第2の上端押え部材49を退避位置から押え位置へ再び移動させる(ステップSt21)。同時に、サイド整合部材50は、その規制面の離隔距離がラージサイズシートの幅寸法と一致するラージサイズシート整合位置に移動され、サイド整合部材50の規制面をラージサイズシートの幅方向の側辺に当接させる。このようなステップSt18からステップSt21のような動作が後続のラージサイズシートがなくなるまで繰り返される。
【0078】
後続のラージサイズシートの下端がシート積載トレイ38a上に積載されたラージサイズシートの上端の位置に到達する際には、第2の上端押え部材49の当接面49aが積載されたラージサイズシートの上端に当接して、カバー部49bがラージサイズシートの上端を覆っているので、後続のラージサイズシートの下端が傾斜面49cに沿って移動し、シート積載トレイ38a上に積載されたラージサイズシートの上端を乗り越えて通過することができる。したがって、後続のラージサイズシートの下端がシート積載トレイ38a上に積載されたラージサイズシートの上端に干渉することを回避させることができ、シート積載トレイ38a上に載置されたラージサイズシートの上端と後続のラージサイズシートの下端との干渉による紙詰まりやシートの順番の入れ替わりを防ぐことができる。また、後続のラージサイズシートの下端が下端規制部材47に到達した後に、第2の上端押え部材49が退避位置に移動することで、後続のラージサイズシートの上端がシート積載トレイ38a上に積載されたラージサイズシートの上端に重ねられ、その後に第2の上端押え部材49が押え位置に移動されると共に、サイド整合部材50がラージサイズシート整合位置に移動されるので、シート積載トレイ38a上に積載されたラージサイズシートは、搬送方向の位置と幅方向の位置を整合されて部揃えされる。
【0079】
後続のラージサイズシートがなくなると、後処理制御部62は、
図11(i)に示されているように、第1の上端押え部材48及び第2の上端押え部材49を押え位置から退避位置へ移動させる(ステップSt22)。中綴じ処理を行う場合には、下端規制部材47の移動によりシート積載トレイ38a上に積載されたラージサイズシートの搬送方向の中心を綴じ位置Xまで移動させ、中綴じユニット39によってシートに中綴じを施す。このとき、スイッチバック経路38bが設けられていれば、ラージサイズシートの上端部をスイッチバック経路38bへ逃がすことができる。しかしながら、ラージサイズシートを綴じ位置Xまで移動させたときにラージサイズシートの上端が排出口42よりも下方に位置するようになっているのであれば、スイッチバック経路38bを設けなくてもよい。中綴じ処理の後に又は中綴じ処理を行わずに中折り処理を行う場合には、下端規制部材47の移動によりシート積載トレイ38a上に積載されたラージサイズシートの搬送方向の中心を折り位置Yまで移動させ、中折りユニット40によってラージサイズシートに中折り処理を施す。
【0080】
詳細には、中折り処理の際、まず、後処理制御部62は、
図12(j)に示されているように、突板44を待機位置から作動位置へ向かって移動させ、シート積載トレイ38a上に積載されたラージサイズシートを突板44の先端で一対の折りローラ43の間に押し込む(ステップSt23)。このとき、第1の上端押え部材48は退避位置に移動されているので、突板44の移動を妨げない。次に、後処理制御部62は、ラージサイズシートの折り位置が一対の折りローラ43の間に到達する見込み時間だけ経過したら、突板44の移動を一旦停止させ(ステップSt24)、
図12(k)に示されているように、シート積載トレイ38aの載置面38dに沿って下端規制部材47を上昇させる(ステップSt25)。これにより、スモールサイズシートの上端がラージサイズシートの折り目位置(搬送方向の中心)以下である場合(すなわち、スモールサイズシートの搬送方向の長さがラージサイズシートの搬送方向の長さの半分以下である場合)には、下端規制部材47の上昇によりシート積載トレイ38a上に積載されたスモールサイズシートの上端が突板44のガイド面に押し付けられて、ガイド面に沿ってラージサイズシートの折り目位置へ向けて案内される(ステップSt26)。その後、ステップSt27で一対の折りローラ43の間へ向けての突板44の移動が再開されると共に、ステップSt28で、上側の折りローラ43aを
図6中の時計回り方向に且つ下側の折りローラ43bを
図6中の反時計回り方向に回転されるように一対の折りローラ43の回転が開始され、一対の折りローラ43でシートを所定量搬送したら、突板44の移動を停止させて待機位置へ移動させる(ステップSt29)。これにより、一対の折りローラ43の間にラージサイズシートを折り目位置で折り畳んだ状態で挟み込み、折り畳まれたラージサイズシートの間に挿入紙としてスモールサイズシートが挿入された状態で、一対の折りローラ43のニップ位置でラージサイズシートの中折りが行われる。折られたシートは、一対の折りローラ43のニップ位置を通過して排紙ローラ対45に引き渡され、第2の排紙トレイ22へ排出される(ステップSt30)。また、下端規制部材47は、待機位置へ戻される(ステップSt31)。
【0081】
このように、本発明によるシート処理装置Bでは、シート積載トレイ38a上に異なるサイズのシートを積載し、ラージサイズシートの間にスモールサイズのシートを挿入して中折り処理を行う場合でも、先にシート積載トレイ38a上に積載されたシートの上端を排出口42よりも上方まで移動させることなく、排出されたシートの下端がシート積載手御礼38a上に積載されたシートの上端と干渉することを防止することができる。また、排出口42よりも下方に設けられたシート積載トレイ38へ向けて下方にシートを排出するので、排出口42から上方にシートを排出する場合のように、排出口42によりも上方に排出口42から排出される最大サイズのシートを逃がすためのスペースを確保する必要がなく、装置をコンパクト化することが可能となる。
【0082】
以上、図示されている実施形態を参照して、本発明によるシート処理装置及びこれを備える画像形成システムを説明したが、本発明は図示されている実施形態に限定されるものではない。図示されている実施形態では、下端規制部材、第1の上端押え部材及び第2の上端押え部材の駆動機構として、ベルト駆動機構を採用しているが、下端規制部材、第1の上端押え部材及び第2の上端押え部材を往復動させることができれば、他の駆動機構を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0083】
A 画像形成装置
B シート処理装置
C シート折り装置
38 集積ガイド
38a シート積載トレイ
38d 載置面
39 中綴じユニット
40 中折りユニット
42 排出口
43 一対の折りローラ
44 突板
44a ガイド面
47 下端規制部材
47a 規制面
48 第1の上端押え部材
48a 当接面
48b カバー部
48c 傾斜面
49 第2の上端押え部材
49a 当接面
49b カバー部
49c 傾斜面
60 制御装置
61 本体制御部
62 後処理制御部