(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】表示装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20220107BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 624B
G09G3/20 642D
G09G3/20 642A
G09G3/20 621A
(21)【出願番号】P 2017051613
(22)【出願日】2017-03-16
【審査請求日】2020-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】呉 易霖
【審査官】越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0253964(US,A1)
【文献】特開2008-065200(JP,A)
【文献】特開2009-169145(JP,A)
【文献】特開2015-125366(JP,A)
【文献】特開2016-177049(JP,A)
【文献】特開2010-128183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3233
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画素と、前記第1画素に隣接する第2画素とを含み、
前記第1画素と前記第2画素とは、それぞれ、駆動トランジスタと、発光素子と、付加容量と、第2スイッチと、容量素子と、第4スイッチと、第5スイッチと、第1の電源線と、
前記第1の電源線よりも低い電圧を印加する第2の電源線と、を含み、
前記駆動トランジスタの入出力端子の一方と、前記発光
素子の一方の端子と、前記付加容量の一方の端子とは、電気的に接続され、
前記第2スイッチは、前記駆動トランジスタのゲートと接続され、
前記容量素子の一方の端子は、前記駆動トランジスタのゲートと、電気的に接続され、
前記第4スイッチの一方の端子は、前記容量素子の他方の端子と、前記発光素子の一方の端子と、前記付加容量の一方の端子と、電気的に接続され、
前記第5スイッチの他方の端子は、前記駆動トランジスタの入出力端子の他方と、電気的に接続され、
前記第5スイッチの一方の端子は、前記第1の電源線と、電気的に接続され、
前記付加容量の他方の端子と、前記発光素子の他方の端子と、前記第2の電源線とは、電気的に接続され、
前記第1画素に含まれる発光素子の一方の端子と、前記第1画素に含まれる付加容量の一方の端子と、前記第2画素に含まれる発光素子の一方の端子と、前記第2画素に含まれる付加容量の一方の端子と、を電気的に接続する第1スイッチを有する表示装置の駆動方法であって、
前記第1画素の発光素子の一方の端子及び前記第1画素の付加容量の一方の端子と、前記第2画素の発光素子の一方の端子及び前記第2画素の付加容量の一方の端子とを、第1スイッチをオン状態にすることで、電気的に接続し、
前記第1画素の駆動トランジスタのゲートに、前記第1画素の第2スイッチをオン状態とすることで、初期化電位を印加することと、前記第2画素の駆動トランジスタのゲートに、前記第2画素の第2スイッチをオン状態とすることで、初期化電位を印加することと、前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の一方に、前記第1画素の第4スイッチをオン状態とすることで、リセット電位を印加することと、前記第2画素の駆動トランジスタの入出力端子の一方に、前記第2画素の第4スイッチをオン状態とすることで、リセット電位を印加することと、を、同時に行い、
前記第1画素の第4スイッチをオフ状態とすることと、前記第2画素の第4スイッチをオフ状態とすることと、を、同時に行い、
前記第1画素の第5スイッチをオン状態とすることで、前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の他方に
前記第1の電源線から電圧を印加し、
前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の一方とゲートとの間の電位を、前記第1画素の駆動トランジスタの閾値電圧とし、
前記第1画素の第2スイッチをオフ状態とし、
前記第1画素の発光素子と,前記第2画素の発光素子を接続した状態で、
前記第1画素の駆動トランジスタのゲートに、前記第1画素の第2スイッチをオン状態とすることで、映像信号に応じた電圧を印加し、
前記第1画素の第2スイッチをオフ状態とし、
前記第1画素の発光素子及び前記第1画素の付加容量と前記第2画素の発光素子及び前記第2画素の付加容量との電気的な接続を、前記第1スイッチをオフ状態とすることで、遮断し、
前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の他方に
前記第1の電源線から電圧を印加した状態で、前記第1画素の駆動トランジスタのゲート電圧に応じた電流を前記第1画素の発光素子に与える、
ことを特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項2】
第1画素と、前記第1画素に隣接する第2画素とを含み、
前記第1画素と前記第2画素とは、それぞれ、駆動トランジスタと、発光素子と、付加容量と、第2スイッチと、容量素子と、第3スイッチと、第4スイッチと、第5スイッチと、第1の電源線と、
前記第1の電源線よりも低い電圧を印加する第2の電源線と、を含み、
前記駆動トランジスタの入出力端子の一方と、前記発光
素子の一方の端子と、前記付加容量の一方の端子とは、電気的に接続され、
前記第2スイッチは、前記駆動トランジスタのゲートと接続され、
前記容量素子の一方の端子は、前記駆動トランジスタのゲートと、電気的に接続され、
前記第3スイッチの一方の端子は、前記駆動トランジスタのゲートと、前記容量素子の一方の端子と、電気的に接続され、
前記第4スイッチの一方の端子は、前記容量素子の他方の端子と、前記発光素子の一方の端子と、前記付加容量の一方の端子と、電気的に接続され、
前記第5スイッチの他方の端子は、前記駆動トランジスタの入出力端子の他方と、電気的に接続され、
前記第5スイッチの一方の端子は、前記第1の電源線と、電気的に接続され、
前記付加容量の他方の端子と、前記発光素子の他方の端子と、前記第2の電源線とは、電気的に接続され、
前記第1画素に含まれる発光素子の一方の端子と、前記第1画素に含まれる付加容量の一方の端子と、前記第2画素に含まれる発光素子の一方の端子と、前記第2画素に含まれる付加容量の一方の端子と、を電気的に接続する第1スイッチを有する表示装置の駆動方法であって、
前記第1画素の発光素子の一方の端子及び前記第1画素の付加容量の一方の端子と、前記第2画素の発光素子の一方の端子及び前記第2画素の付加容量の一方の端子とを、第1スイッチをオン状態にすることで、電気的に接続し、
前記第1画素の駆動トランジスタのゲートに、前記第1画素の第3スイッチをオン状態とすることで、初期化電位を印加し、
前記第2画素の駆動トランジスタのゲートに、前記第2画素の第3スイッチをオン状態とすることで、初期化電位を印加し、前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の一方に、前記第1画素の第4スイッチをオン状態とすることで、リセット電位を印加し、
前記第1画素の第4スイッチをオフ状態とし、
前記第1画素の第5スイッチをオン状態とすることで、前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の他方に
前記第1の電源線から電圧を印加し、
前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の一方とゲートとの間の電位を、前記第1画素の駆動トランジスタの閾値電圧とし、
前記第1画素の第3スイッチをオフ状態とし、
前記第1画素の発光素子と,前記第2画素の発光素子を接続した状態で、
前記第1画素の駆動トランジスタのゲートに、前記第1画素の第2スイッチをオン状態とすることで、映像信号に応じた電圧を印加し、
前記第1画素の第2スイッチをオフ状態とし、
前記第1画素の発光素子及び前記第1画素の付加容量と前記第2画素の発光素子及び前記第2画素の付加容量との電気的な接続を、前記第1スイッチをオフ状態とすることで、遮断し、
前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の他方に
前記第1の電源線から電圧を印加した状態で、前記第1画素の駆動トランジスタのゲート電圧に応じた電流を前記第1画素の発光素子に与える、
ことを特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項3】
第1画素と、前記第1画素に隣接する第2画素とを含み、
前記第1画素と前記第2画素とは、それぞれ、駆動トランジスタと、発光素子と、付加容量と、第2スイッチと、容量素子と、第4スイッチと、第5スイッチと、第6スイッチと、第1の電源線と、
前記第1の電源線よりも低い電圧を印加する第2の電源線と、を含み、
前記駆動トランジスタの入出力端子の一方と、前記発光
素子の一方の端子と、前記付加容量の一方の端子とは、電気的に接続され、
前記第2スイッチは、前記駆動トランジスタのゲートと接続され、
前記容量素子の一方の端子は、前記駆動トランジスタのゲートと、電気的に接続され、
前記第4スイッチの一方の端子は、前記第5スイッチの他方の端子と、前記第6スイッチの一方の端子と、電気的に接続され、
前記第6スイッチの他方の端子は、前記駆動トランジスタの入出力端子の他方と、電気的に接続され、
前記第5スイッチの一方の端子は、前記第1の電源線と、電気的に接続され、
前記付加容量の他方の端子と、前記発光素子の他方の端子と、前記第2の電源線とは、電気的に接続され、
前記第1画素に含まれる発光素子の一方の端子と、前記第1画素に含まれる付加容量の一方の端子と、前記第2画素に含まれる発光素子の一方の端子と、前記第2画素に含まれる付加容量の一方の端子と、を電気的に接続する第1スイッチを有する表示装置の駆動方法であって、
前記第1画素の発光素子の一方の端子及び前記第1画素の付加容量の一方の端子と、前記第2画素の発光素子の一方の端子及び前記第2画素の付加容量の一方の端子とを、第1スイッチをオン状態にすることで、電気的に接続し、
前記第1画素の駆動トランジスタのゲートに、前記第1画素の第2スイッチをオン状態とすることで、初期化電位を印加することと、前記第2画素の駆動トランジスタのゲートに、前記第2画素の第2スイッチをオン状態とすることで、初期化電位を印加することと、前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の
他方に、前記第1画素の第5スイッチをオフ状態とし、前記第1画素の第4スイッチ及び第6スイッチとをオン状態とすることで、リセット電位を印加することと、を、同時に行い、
前記第1画素の第4スイッチをオフ状態とし、前記第1画素の第5スイッチをオン状態とすることで、前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の他方に
前記第1の電源線から電圧を印加し、
前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の一方とゲートとの間の電位を、前記第1画素の駆動トランジスタの閾値電圧とし、
前記第1画素の第2スイッチと、前記第2画素の第2スイッチと、を同時にオフ状態とし、
前記第1画素の発光素子と,前記第2画素の発光素子を接続した状態で、
前記第1画素の駆動トランジスタのゲートに、前記第1画素の第2スイッチをオン状態とすることで、映像信号に応じた電圧を印加し、
前記第1画素の第2スイッチをオフ状態とし、
前記第1画素の発光素子及び前記第1画素の付加容量と前記第2画素の発光素子及び前記第2画素の付加容量との電気的な接続を、前記第1スイッチをオフ状態とすることで、遮断し、
前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の他方に
前記第1の電源線から電圧を印加した状態で、前記第1画素の駆動トランジスタのゲート電圧に応じた電流を前記第1画素の発光素子に与える、
ことを特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項4】
第1画素と、前記第1画素に隣接する第2画素とを含み、
前記第1画素と前記第2画素とは、それぞれ、駆動トランジスタと、発光素子と、付加容量と、第2スイッチと、容量素子と、第3スイッチと、第4スイッチと、第5スイッチと、第6スイッチと、第1の電源線と、
前記第1の電源線よりも低い電圧を印加する第2の電源線と、を含み、
前記駆動トランジスタの入出力端子の一方と、前記発光
素子の一方の端子と、前記付加容量の一方の端子とは、電気的に接続され、
前記第2スイッチは、前記駆動トランジスタのゲートと接続され、
前記容量素子の一方の端子は、前記駆動トランジスタのゲートと、電気的に接続され、
前記第3スイッチの一方の端子は、前記駆動トランジスタのゲートと、前記容量素子の一方の端子と、電気的に接続され、
前記第4スイッチの一方の端子は、前記第5スイッチの他方の端子と、前記第6スイッチの一方の端子と、電気的に接続され、
前記第6スイッチの他方の端子は、前記駆動トランジスタの入出力端子の他方と、電気的に接続され、
前記第5スイッチの一方の端子は、前記第1の電源線と、電気的に接続され、 前記付加容量の他方の端子と、前記発光素子の他方の端子と、前記第2の電源線とは、電気的に接続され、
前記第1画素に含まれる発光素子の一方の端子と、前記第1画素に含まれる付加容量の一方の端子と、前記第2画素に含まれる発光素子の一方の端子と、前記第2画素に含まれる付加容量の一方の端子と、を電気的に接続する第1スイッチを有する表示装置の駆動方法であって、
前記第1画素の発光素子の一方の端子及び前記第1画素の付加容量の一方の端子と、前記第2画素の発光素子の一方の端子及び前記第2画素の付加容量の一方の端子とを、第1スイッチをオン状態にすることで、電気的に接続し、
前記第1画素の駆動トランジスタのゲートに、前記第1画素の第3スイッチをオン状態とすることで、初期化電位を印加し、
前記第2画素の駆動トランジスタのゲートに、前記第2画素の第3スイッチをオン状態とすることで、初期化電位を印加し、
前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の
他方に、前記第1画素の第5スイッチをオフ状態とし、前記第1画素の第4スイッチ及び第6スイッチとをオン状態とすることで、リセット電位を印加し、
前記第1画素の第4スイッチをオフ状態とし、前記第1画素の第5スイッチをオン状態とすることで、前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の他方に
前記第1の電源線から電圧を印加し、
前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の一方とゲートとの間の電位を、前記第1画素の駆動トランジスタの閾値電圧とし、
前記第1画素の第3スイッチをオフ状態とし、
前記第1画素の発光素子と,前記第2画素の発光素子を接続した状態で、
前記第1画素の駆動トランジスタのゲートに、前記第1画素の第2スイッチをオン状態とすることで、映像信号に応じた電圧を印加し、
前記第1画素の第2スイッチをオフ状態とし、
前記第1画素の発光素子及び前記第1画素の付加容量と前記第2画素の発光素子及び前記第2画素の付加容量との電気的な接続を、前記第1スイッチをオフ状態とすることで、遮断し、
前記第1画素の駆動トランジスタの入出力端子の他方に
前記第1の電源線から電圧を印加した状態で、前記第1画素の駆動トランジスタのゲート電圧に応じた電流を前記第1画素の発光素子に与える、
ことを特徴とする表示装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置および表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence)表示装置(以下、EL表示装置と記す)は、基板上に形成された複数の画素内の各々に複数のトランジスタ、容量素子及び有機発光素子(以下、発光素子と記す)で構成されている。各画素は、画素を制御する信号により駆動される。各画素が有するトランジスタの駆動を信号により制御することで、発光素子に供給される電流値(以下、発光電流と記す)が制御され、表示装置は映像を表示することができる。近年、映像をきめ細かく表示する要求が高まっている。すなわち、表示装置の高精細化への要求が高まっている。高精細化の実現には、画素のサイズを小さくする必要があるが、EL表示装置において、例えば、RGBの三原色に対応するカラーフィルタ、及び白色発光素子を用いることで、カラー表示が可能となり、RGB各色の塗り分けの必要がなく、位置精度も気にする必要がないことから、高精細な表示装置を提供することができる。また、発光素子の発光層を画素毎に塗り分けて形成する表示装置においても、画素サイズの縮小化が可能となるように、高精細に発光層の有機材料を塗布、配置する技術が開発されている。更に、表示装置の駆動方法も表示装置の高精細化へ適応することが求められている。
【0003】
例えば、特許文献1は、2つのトランジスタ、2つの容量素子、および1つの発光素子を備える画素回路、それを含有する表示装置、及び駆動方法が開示されている。特許文献2は、3つのトランジスタ、3つの容量素子、および1つの発光素子を備える画素回路、それを含有する表示装置、及び駆動方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-12281号公報
【文献】特開2014-85384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
EL表示装置は、特許文献1及び特許文献2に示すように、画素は複数のトランジスタや容量素子が必要である。EL表示装置は高精細化が期待できるが、一方で、EL表示装置の高精細化においては、画素のサイズが小さくなり、各素子のサイズの縮小が余儀なくされる。よって、1つの画素が備える容量素子のサイズも小さくなり、その容量素子の容量値も小さくなる。即ち、1つの画素が蓄えることが可能な保持容量の最大値が小さくなる。その結果、発光素子へ供給することが可能な発光電流の最大値が小さくなり、ダイナミックレンジの低下を引き起こし、画質が低下する可能性がある。
【0006】
このような課題に鑑み、本発明の一実施形態は、発光電流が大きく、高いダイナミックレンジを有する表示装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、表示装置である。第1画素電極と共通電極とを有する第1発光素子と、入出力端子を有し且つ前記入出力端子の一方が前記第1画素電極へ接続する駆動トランジスタと、を備える第1画素と、前記第1画素と隣接し、第2画素電極と前記共通電極とを有する第2発光素子を備える第2画素と、を有し、前記第1画素電極と前記第2画素電極とは、第1スイッチを介して接続される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な斜視図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な平面図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の回路図。
【
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャート。
【
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャート。
【
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の状態を期間ごとに示す模式的な図。
【
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャート。
【
図8】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の状態を期間ごとに示す模式的な図。
【
図9】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の回路図。
【
図10】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャート。
【
図11】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の回路図。
【
図12】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャート。
【
図13】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の回路図。
【
図14】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャート。
【
図15】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。さらに、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にa、bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。なお、各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0010】
本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、断面視においては、第1基板に対して第2基板が配置される側を「上」又は「上方」といい、その逆を「下」又は「下方」として説明する。
【0011】
本明細書において説明される第1基板は、少なくとも平面状の一主面を有し、この一主面上に絶縁層、半導体層及び導電層の各層、あるいはトランジスタ及び表示素子等の各素子が設けられる。以下の説明では、断面視において、第1基板の一主面を基準とし、第1基板に対して「上」、「上層」、「上方」又は「上面」として説明する場合には、特に断りのない限り、第1基板の一主面を基準にして述べるものとする。
【0012】
本発明の表示装置について説明する。一般的に、EL表示装置は、基板上に形成された複数の画素の各々が、駆動トランジスタ、容量素子、発光素子、及び発光素子に含まれる付加容量等で構成されている。発光素子に含まれる付加容量とは、例えばダイオード特性を有する発光素子自体が容量成分も有している場合を含む。各画素は、駆動トランジスタの駆動を信号により制御することで、発光素子に発光電流を供給し、発光素子が発光することで、表示装置は映像を表示することができる。すなわち、発光素子は、発光電流の大きさにより、明るくなったり、暗くなったりすることができる。発光電流の大きさは、駆動トランジスタが発光素子へ流す電流の電流量に依存する。詳述すれば、駆動トランジスタを流れる電流の電流量に相当した電荷が上述の容量素子と付加容量とに貯められ、発光電流の大きさは、その貯められた電荷の量に依存する。容量素子や付加容量が有する容量値が大きくなれば、容量素子や付加容量へ印加する電圧を大きくすることなく、発光素子へ供給することが可能な発光電流の最大値を大きくすることができる。本発明の表示装置は、1つの画素において、その画素が有する容量値よりも、換言すればその画素が備える容量素子や付加容量の容量値よりも大きな容量値を確保することで、発光素子に供給することが可能な発光電流の最大値を大きくすることができる。また、発光電流の最大値が大きくなるので、画素のダイナミックレンジを広くすることができる。具体的には、表示装置が有する複数の画素において、第1画素の発光素子が発光する前に、第1画素の駆動トランジスタに電気的に接続された発光素子と発光素子に含まれる付加容量と、第1画素に隣接する第2画素が有する発光素子と発光素子に含まれる付加容量とを、第1画素の容量制御トランジスタにより電気的に接続する。そして、駆動トランジスタを電源線と電気的に接続し、第1画素の駆動トランジスタに第1画素の映像信号を与えることで、第1画素の駆動トランジスタに電流を流し、流れた電流値に相当する電荷をそれぞれの付加容量に貯める。これにより、第1画素の映像信号に基づいて貯めることが可能な電荷の最大値を、従来と比較して、隣接する画素の付加容量も電荷の保持に用いる分、大きくすることができる。即ち、第1画素が備える発光素子へ、大きな発光電流を流すことができる。よって、本発明の表示装置は、画素が発光する際の大きな発光電流を確保すること、ダイナミックレンジが広い画素を有する表示装置を提供することができる。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態では、本発明の一実施形態に係る表示装置の構成、及び駆動方法を説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置100の模式的な斜視図である。
【0015】
表示装置100は、第1基板102、シール材111及び第2基板104を含む。第1基板102の第1面は、表示領域106、走査信号線駆動回路118、映像信号線駆動回路(ドライバIC)120、制御回路122、複数の端子電極116を有する端子領域114を含む。表示装置100は、第2基板104を設けない構造でもよい。例えば、第1基板102の表示領域106が位置する側に、保護フィルムを貼り合せる構造や、円偏光板を貼り合せる構造にしてもよい。
【0016】
表示領域106は複数の画素108を有する。複数の画素108は、一方向及び一方向に交差する方向に沿って配列される。画素108の配列数は任意である。例えば、行方向にn個、列方向にm個の画素108が配列される。nとmはそれぞれ2以上の自然数である。
【0017】
複数の端子電極116には、映像信号、走査信号線駆動回路118及び映像信号線駆動回路120の動作を制御するタイミング信号などを出力する機器や電源などと表示装置100とを接続する配線基板(図示せず)が接続される。配線基板は、例えばフレキシブルプリント回路基板(Flexible printed circuits、FPC)である。複数の端子電極116の内、配線基板の端子と直に接する部分は、外部に露出している。
【0018】
複数の画素108の各々は複数のサブ画素を設けることができる。例えば、1つの画素は3つのサブ画素を設け、その3つのサブ画素は、赤色(R)に対応する表示素子を備えるサブ画素と、緑色(G)に対応する表示素子を備えるサブ画素と、青色(B)に対応する表示素子を備えるサブ画素とからなる。3つのサブ画素それぞれに、例えば256段階である多段階の電圧あるいは電流を供給することで、換言すれば256階調の映像信号を入力することで、フルカラーの表示装置を提供することができる。1つサブ画素の事を、単に画素と呼ぶこともある。また、1つの画素が1つの表示素子を備える構造とし、白黒表示、あるいは白と黒の階調表示が可能な表示装置を提供することもできる。また、複数の画素108の配列には制限がなく、ストライプ配列やデルタ配列などを採用することができる。なお、本発明の一実施形態に係る表示装置100では、画素108に設けられる表示素子が発光素子である例を説明する。
【0019】
図2は、発明の一実施形態に係る表示装置100の模式的な平面図である。表示装置100は、アクティブマトリクス型のEL表示装置である。各画素108は発光素子を有する。制御回路122に、
図1に示した複数の端子電極116を介して、映像信号、回路の動作を制御するタイミング信号、電源などが供給される。制御回路122は、各信号や電源電圧などを、走査信号線駆動回路118や映像信号線駆動回路(ドライバIC)120に供給する。制御回路122は、制御回路122が有する論理回路(図示せず)や電圧生成回路(図示せず)を用いて、各信号や電源電圧などから新たな信号や電源電圧を生成し、走査信号線駆動回路118や映像信号線駆動回路(ドライバIC)120に供給してもよい。制御回路122が配置される位置は、
図1に示す第1基板102上に限定されない。例えば、制御回路122は、端子電極116に接続された配線基板上に位置してもよい。
【0020】
査信号線駆動回路118や映像信号線駆動回路(ドライバIC)120は、制御回路から供給された各信号や電源電圧を用いて、画素108が有する発光素子を駆動し、発光素子を発光させることで、表示領域106に映像を表示する役割を果たす。
【0021】
走査線駆動回路118は、表示領域106内に構成されるn行目に位置する複数の画素108に対し、共通に、走査信号線SG(n)を介して走査信号を、制御線RG(n)を介して制御信号を、発光制御信号線BG(n)を介して発光制御信号を、容量制御信号線EG(n)を介して容量制御信号を供給するように構成される。
【0022】
映像信号線駆動回路120は、表示領域106内に構成されるm列目に位置する複数の画素108に対し、共通に、映像信号線SL(m)を介して映像信号と初期化信号を時分割で供給するように構成される。以下、映像信号の電位をVsig(m)、初期化信号の電位をViniと記す。Viniは初期化電位と呼んでもよい。映像信号は、表示領域106で表示される映像データに従って決定され、後述する補正方法によってその電位Vsig(m)が調整される。一方、初期化信号の電位Viniは固定電位とすることができる。データ線駆動回路120はさらに、m列目に位置する複数の画素に対し、
図3に示すバイアス線VLを介して、バイアス信号を与えるように構成される。バイアス信号の電位をVrstと記す。なお、バイアス信号の電位Vrstが固定電位である例を示すが、バイアス信号の電位は時間により変動してもよい。
【0023】
データ線駆動回路120はさらに、高電位電源配線PVDDを介して各画素108に高電位と低電位を供給するよう構成される。高電位電源配線PVDDから供給される高電位をVDD_H、低電位をVDD_Lと記す。
図2には示していないが、表示領域106内には、複数の画素108に対して共通に設けられ、低電位電源配線PVSSに接続される共通電極が配置されており、データ線駆動回路120はこの共通電極に対して固定電位VSSを供給するよう構成される。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態に係る画素108が備える画素回路
図300である。
図3に示す画素回路
図300には、表示領域106内に配列されるn行m列、及びn+1行m列の、2つの画素108を示している。
図3に示す2つの画素108は、それぞれ1つの発光素子OLEDを備えている。よって、
図3に示す2つの画素108は、隣接する2つのサブ画素であるとしてもよい。
【0025】
図3に示すように、画素108は、容量制御トランジスタECT(第1スイッチ)、選択トランジスタSST(第2スイッチ)駆動トランジスタDRT、選択トランジスタSST(第3スイッチ)、初期化トランジスタRST(第4スイッチ)、発光制御トランジスタBCT(第5スイッチ)、容量素子Cs、発光素子OLED、付加容量Celを含む。これらのトランジスタはいずれも、ゲートと、第1の端子及び第2の端子からなる一対の端子(入出力端子、ソース電極とドレイン電極)を有し、容量素子Csは一対の端子(第1の端子、第2の端子)を有し、付加容量Celは一対の端子(第1の端子、第2の端子)を有する。上述の一対の端子は、一対の電極ともいう。なお、
図2では、付加容量Celを発光素子OLEDと並列に設ける例を示しているが、これに限定されない。付加容量Celは、発光素子OLEDの寄生容量であってもよいし、発光素子OLEDと並列に設けられた容量素子と発光素子OLEDの寄生容量とを含んでいてもよい。
【0026】
駆動トランジスタDRTは、入力された映像信号を基に、発光素子OLEDに電流を流し、発光素子OLEDを、或いは画素108を発光させる役割を有する。選択トランジスタSSTは、駆動トランジスタDRTに映像信号や初期化信号を供給する役割を有する。初期化トランジスタRSTは、駆動トランジスタDRT、発光素子OLED、付加容量Celなどにバイアス信号を供給し、各画素108が備える回路の初期化をする役割を有する。発光制御トランジスタBCTは、駆動トランジスタDRTと高電位電源配線PVDDとの接続、非接続を制御する。即ち、発光制御トランジスタBCTは、発光素子OLEDの発光、非発光を制御する役割を有する。容量制御トランジスタECTは、当該画素、例えばn行m列に位置する画素108が有する発光素子OLED及び付加容量Celと、当該画素に隣接する画素、例えばn+1行m列に位置する画素108が有する発光素子OLED及び付加容量Celとを、電気的に接続し、容量値を増やし、当該画素の発光素子に供給可能な電流量の最大値を大きくする役割を有する。容量素子Csは、駆動トランジスタDRTの閾値に相当する電位を確保する役割や、画素108が発光するために駆動トランジスタDRTのゲートに入力する電位を維持する、即ち入力された映像信号を、詳述すれば入力された映像信号の階調レベルを保持するための役割を有する。発光素子OLEDは、ダイオード特性を有し、画素電極と、上述の共通電極と、画素電極と共通電極との間に位置する発光層(EL層、有機層)と、を含む。付加容量Celは、発光素子OLEDが含む容量である。付加容量Celと容量素子Csとで入力された映像信号を保持してもよい。
【0027】
選択トランジスタSSTのゲートは、走査信号線SG(n)と電気的に接続され、第1の端子は映像信号線SL(m)と電気的に接続され、第2の端子は駆動トランジスタDRTのゲートと容量素子Csの第1の端子に電気的に接続される。駆動トランジスタDRTの第1の端子は、発光制御トランジスタBCTの第2の端子に電気的に接続され、第2の端子は、発光素子OLEDの入力端子(或いは画素電極)、初期化トランジスタRSTの第2の端子、及び保持容量Csの第2の端子に電気的に接続される。発光制御トランジスタBCTのゲートは、発光制御信号線BG(n)に電気的に接続され、第1の端子は高電位電源配線PVDDに電気的に接続される。付加容量Celの第1の端子は駆動トランジスタDRTの第2の端子に、付加容量Celの第2の端子は低電位電源配線PVSSに電気的に接続される。発光素子OLEDの出力端子(或いは共通電極)は、低電位電源配線PVSSに電気的に接続される。低電位電源配線PVSSには固定電位VSSが印加されている。固定電位VSSは低電位VDD_Lよりも低い固定電位であればよく、例えば接地電位とすることができる。初期化トランジスタRSTの第1の端子はバイアス線VLと、ゲートは制御線RG(n)と電気的に接続される。容量制御トランジスタECTのゲートは、容量制御信号線EG(n)と電気的に接続され、第1の端子は容量素子Csの第2の端子、発光素子OLEDの入力端子、付加容量Celの第1の端子、初期化トランジスタRSTの第2の端子、及び駆動トランジスタDRTの第2の端子に電気的に接続される。また、容量制御トランジスタECTの第2の端子は、n+1行の容量制御トランジスタECTの第1の端子、n+1行の容量素子Csの第2の端子、n+1行の発光素子OLEDの入力端子、n+1行の付加容量Celの第1の端子、n+1行の初期化トランジスタRSTの第2の端子、及びn+1行の駆動トランジスタDRTの第2の端子に電気的に接続される。なお、ここでは、
図3に示す2つの画素108のうち、n行m列の画素を説明するが、n+1行m列の画素の構成は、n行m列の画素と同じで、nをn+1で置き換えればよい。
【0028】
図3に示す各トランジスタは、チャネル領域にシリコンやゲルマニウムなどの14族元素、あるいは半導体特性を示す酸化物を有することができる。酸化物としては、例えばインジウム―ガリウム酸化物(IGO)やインジウム―ガリウム―亜鉛(IGZO)など、13族元素を含む酸化物が挙げられる。本実施形態では、これらのトランジスタはいずれもnチャネル型の電界効果トランジスタとして記述するが、これらの一部やすべてをpチャネル型の電界効果トランジスタとしてもよい。さらにこれらのトランジスタのチャネル領域は、単結晶、多結晶、微結晶、あるいはアモルファスから選択される種々のモルフォロジーを有することができる。たとえば、比較的低温でアモルファスシリコンを溶融、再結晶化して得られる低温ポリシリコン(LTPS)を有することもできる。
【0029】
図4は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャートであり、
図3に示した各信号の時間変化を示す。以下、
図4及び
図3を参照し、n行m列の画素の駆動方法を説明する。なお、
図4は、n+1行m列の画素のタイミングチャートも示しているが、基本動作はn行m列の画素と同じである。また、以下では各トランジスタの活性化状態をハイレベルに対応付けて説明するが、ハイレベルとローレベルのいずれを活性化状態と呼ぶかについては、信号ごとに任意である。なお、本明細書において、活性化状態または活性化とは、トランジスタのソースとドレインが導通した状態、ソースとドレイン間に電流が流れる状態、トランジスタがオンの状態のことをいう。また、本明細書において、非活性化状態または非活性化とは、トランジスタのソースとドレインが非導通な状態、ソースとドレイン間に電流が流れない状態、トランジスタがオフの状態のことをいう。
【0030】
本発明の一実施形態に係る表示装置の駆動方法では、n行m列の画素は、1つの水平期間(水平走査期間)内で3つの動作が含まれる。これらは順に、リセット動作、閾値補正(閾値電圧ばらつき補正)動作、電流補正(移動度ばらつき補正)及び書き込み動作である。これら動作の後、その1つの水平期間に続く複数の水平期間に亘って、発光素子OLEDの発光が行われる。これらの動作に対応する期間をそれぞれ、リセット期間Prst、閾値補正期間Pcom、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrt、発光期間Pemiと呼ぶ。なお、各水平期間は1H、2H、3H、4H、5H、6H、7Hで示している。
【0031】
リセット動作を説明する。なお、リセット動作に先立ち、例えばリセット動作を行う水平期間(
図4の2H)の1つ前の水平期間(
図4の1H)に、走査信号線SG(n)からn行m列の選択トランジスタSSTのゲートにハイレベルを供給し、
図3に示すノードA(n)に初期化信号の電位Viniを書きこむ動作と、制御線RG(n)からn行m列の初期化トランジスタRSTのゲートにハイレベルを供給し、
図3に示すノードB(n)にバイアス信号の電位Vrstを書き込む動作を行ってもよい。また、Vrstはリセット電位と呼んでもよい。これら2つの動作を両方行ってもよいし、これら2つの動作の何れか1つを行ってもよい。この時、1HにおけるViniと1HにおけるVsig(d)とは同じであってもよい。
【0032】
リセット期間Prstでは、はじめに、発光制御信号線BG(n)からn行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートにローレベルを供給し、発光制御信号線BG(n+1)からn+1行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートにローレベルを供給し、両方の発光制御トランジスタBCTともオフにする。この時、n行m列の画素と、n+1行m列の画素は、暗状態である。続いて、走査信号線SG(n)からn行m列の選択トランジスタSSTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n行m列の選択トランジスタSSTがオンになり、
図3に示すノードA(n)にViniが書きこまれる。また、制御線RG(n)からn行m列の初期化トランジスタRSTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n行m列の初期化トランジスタRSTがオンになり、
図3に示すノードB(n)にVrstが書き込まれる。リセット期間Prstにおいて、容量制御信号線EG(n)からn行m列の容量制御トランジスタECTのゲートへ供給する信号はハイレベルであり、n行m列の容量制御トランジスタECTがオンであり、
図3に示すノードB(n)とノードB(n+1)が導通し、ノードB(n+1)にVrstが書き込まれる。走査信号線SG(n+1)からn+1行m列の選択トランジスタSSTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n+1行m列の選択トランジスタSSTがオンになり、
図3に示すA(n+1)にViniが書きこまれる。なお、この時、n+1行m列の初期化トランジスタRSTはオンでもオフでもよい。即ち、制御線RG(n+1)の信号は、ハイレベルでもローレベルでもよい。また、ノードA(n)にViniが書き込まれることと、ノードA(n+1)にViniが書き込まれることと、ノードB(n)にVrstが書き込まれることとは、同時に行われてもよい。
【0033】
このように、リセット期間Prstでは、n行m列のノードA(n)とn+1行m列のノードA(n+1)の電位をViniにし、n行m列のノードB(n)とn+1行m列のノードB(n+1)の電位をVrstにする。つまり、n行m列の容量素子の第1の端子と第2の端子間の電位と、n+1行m列の各々の容量素子の第1の端子と第2の端子間の電位とを、同じにする。すなわち、n行m列の駆動トランジスタDRTのゲートと第2端子間の電位と、n+1行m列の駆動トランジスタDRTのゲートと第2端子間の電位を初期化することができる。
【0034】
続いて、閾値補正動作を説明する。リセット期間Prstに続く閾値補正期間Pcomでは、制御線RG(n)からn行m列の初期化トランジスタRSTのゲートへ供給する信号をハイレベルからローレベルにし、初期化トランジスタRSTがオフになる。n行m列の選択トランジスタSSTとn+1行m列の選択トランジスタSSTは、共に、オン状態を維持し、ノードA(n)とノードA(n+1)の電位はViniを保っている。n行m列の容量制御トランジスタECTは、オン状態を維持し、ノードB(n)とノードB(n+1)の電位はVrstを保っている。発光制御信号線BG(n)からn行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n行m列の発光制御トランジスタBCTがオンになる。n行m列の発光制御トランジスタBCTがオンになると、発光制御トランジスタBCTを介して高電位電源配線PVDDからVDD_Hがn行m列の駆動トランジスタDRTへ供給される。これによりn行m列の駆動トランジスタDRTに電流が流れ、ノードB(n)の電位はVrstから高電位側へシフトする。ノードA(n)とノードB(n)の電位差が、n行m列の駆動トランジスタDRTの閾値電圧Vthnと同じになったとき、すなわち、ノードB(n)の電位がVini-Vthnになったとき、n行m列の駆動トランジスタDRTに電流が流れなくなる。この時、ノードB(n+1)の電位は、ノードB(n)の電位と同じVini-Vthnとなる。よって、n行m列の容量素子Csの第1の端子と第2の端子間と、n+1行m列の各々の容量素子Csの第1の端子と第2の端子間には、n行m列の駆動トランジスタDRTの閾値電圧Vthnが保持されたことになる。
【0035】
このように、閾値補正期間Pcomでは、n行m列の容量素子Csの第1の端子と第2の端子間と、n+1行m列の各々の容量素子Csの第1の端子と第2の端子間に、n行m列の駆動トランジスタDRTの閾値電圧Vthnを保持することができる。この容量素子Csに閾値電圧Vthnを保持した状態から、後述する書き込み動作を行う。よって、複数の画素108の各々に位置する駆動トランジスタDRTの各々の閾値電圧にばらつきがあったとしても、複数の画素108の各々が備える発光素子OLEDが発行する際に、閾値電圧のばらつきを取り除くことができる。
【0036】
続いて、電流補正及び書き込み動作を説明する。はじめに、閾値補正期間Pcomと電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtの間の動作を説明する。走査信号線SG(n)からn行m列の選択トランジスタSSTのゲートへ供給する信号をハイレベルからローレベルにし、n行m列の選択トランジスタSSTがオフになる。また、走査信号線SG(n+1)からn+1行m列の選択トランジスタSSTのゲートへ供給する信号もハイレベルからローレベルにし、n+1行m列の選択トランジスタSSTもオフにする。n行m列の容量制御トランジスタECTは、オン状態を維持している。このとき、ノードB(n)とノードB(n+1)の電位はVini-Vthnを保っている。n行m列の発光制御トランジスタBCTは、オン状態を維持している。初期化トランジスタRSTはオフ状態を維持している。
【0037】
次に、電流補正及び書き込み動作を説明する。電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtでは、n行m列の容量制御トランジスタECTは、オン状態を維持している。電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtが始まる時点では、ノードB(n)とノードB(n+1)の電位はVini-Vthnを保っている。n行m列の発光制御トランジスタBCTは、オン状態を維持している。初期化トランジスタRSTはオフ状態を維持している。ここで、走査信号線SG(n)からn行m列の選択トランジスタSSTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n行m列の選択トランジスタSSTがオンになる。選択トランジスタSSTの第1の端子に電気的に接続された映像信号線SL(m)から、Vsig(m)が供給され、ノードA(n)の電位はViniからVsig(m)になる。すなわち、ノードA(n)にVsig(m)が、書き込まれる。n行m列の駆動トランジスタDRTのゲート電圧もVsig(m)になるので、駆動トランジスタDRTがオンになり、駆動トランジスタDRTに電流が流れる。なお、n行m列及びn+1行m列の発光素子OLEDの入力端子と、n行m列及びn+1行m列の付加容量Celの第1の端子はノードB(n)に電気的に接続されている。ノードA(n)にVsig(m)が書き込まれた直後では、ノードB(n)の電位は、即ち発光素子OLEDの入力端子の電位(ここでは、発光素子OLEDのアノード電圧)は、発光素子OLEDの閾値電圧よりも小さく、発光素子OLEDへは電流が流れない。或いは、発光素子OLEDは発光しない。付加容量Celに電流が流れ、付加容量Celが充電される。
図3、
図4に示す本実施形態では、n行m列の付加容量Celとn+1行m列の付加容量Celとが充電される。付加容量Celの充電により、n行m列の駆動トランジスタDRTの第2の端子の電圧、即ちノードB(n)の電位が上昇する。駆動トランジスタDRTの移動度μが大きいほど、ここでのノードB(n)の電位上昇も大きくなる。上昇したノードB(n)とB(n+1)の電位は、n行m列の画素が有する容量素子Csを介した容量結合により、以下の式(1)で表される。以降の式において、A(n)はノードA(n)の電位を、B(n)はノードB(n)の電位を表す。
【0038】
【0039】
この時、n行m列の駆動トランジスタDRTのゲートと第2の端子との電位差(ゲートソース間電圧)、すなわちノードA(n)とノードB(n)との電位差は、以下の式(2)で表される。
【0040】
【0041】
電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtが終了した時点で、n行m列の容量素子Csには、式(2)に示される電圧が保持される。また、n行m列の駆動トランジスタDRTの第1の端子から第2の端子に流れる電流Idは、以下の式(3)で表される。ここで、βはn行m列の駆動トランジスタDRTの利得係数である。
【0042】
【0043】
式(3)に式(2)を代入して、整理すると式(4)となる。式(4)が示す通り、駆動トランジスタDRTの第1の端子から第2の端子に流れる電流Idは、駆動トランジスタDRTの閾値に依存しない。また、駆動トランジスタDRTの移動度μの大きさに依存するノードB(n)の電位上昇分だけ、後述する発光期間Pemiの前に予めノードA(n)とノードB(n)との電位差が小さくなるので、複数の画素108の各々に位置する駆動トランジスタDRTの各々の移動度μにばらつきがあったとしても、複数の画素108の各々が備える発光素子OLEDが発行する際に、移動度μのばらつきを取り除くことができる。
【0044】
【0045】
このように、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtでは、映像信号の書き込みを行い、駆動トランジスタDRTの電流を補正することができる。
【0046】
また、容量制御トランジスタECTにより、n行m列及びn+1行m列の発光素子OLEDの入力端子と、n行m列及びn+1行m列の付加容量Celの第1の端子が電気的に接続されることで、n行m列の画素108に入力された映像信号を保持する際に、n+1行m列の付加容量Celも寄与することができる。換言すれば、n行m列の画素108に映像信号を書き込む際に、隣接する画素の付加容量を、ここではn+1行m列の画素108の付加容量Celを、共用することができる。その結果、容量制御トランジスタECTを配置して隣接する画素の付加容量を共用しない場合と比べ、実施形態は、式(2)に示すようにノードA(n)とノードB(n)電位差を、即ち駆動トランジスタDRTのゲートソース間電圧を、大きくすることができ、高いダイナミックレンジを実現することができる。
【0047】
なお、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtにおいて、電流補正動作を行わずに、映像信号を書き込む場合は、発光制御信号線BG(n)からn行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートへ供給する信号をローレベルにし、n行m列の発光制御トランジスタBCTをオフにする。
【0048】
最後に、発光期間Pemiの動作を説明する。発光期間Pemiでは、n行m列の発光制御トランジスタBCTは、オン状態を維持している。初期化トランジスタRSTはオフ状態を維持している。容量制御信号線EG(n)からn行m列の容量制御トランジスタECTのゲートへ供給する信号をハイレベルからローレベルにし、n行m列の容量制御トランジスタECTがオフになる。ノードB(n)とノードB(n+1)は、容量制御トランジスタECTがオフになることによって分離される。走査信号線SG(n)からn行m列の選択トランジスタSSTのゲートへ供給する信号をハイレベルからローレベルにし、n行m列の選択トランジスタSSTがオフになる。これにより、容量素子Csに保持された電圧に基づきn行m列の駆動トランジスタDRTが発光素子OLEDへ電流を供給する。よって、n行m列の発光素子OLEDの発光が開始される。この時の発光電流は、式(4)で表される。
【0049】
容量制御トランジスタECTがない場合は、容量値がn行m列の付加容量Celしかないため、発光電流が小さい。本発明においては、容量制御トランジスタECTにより、n行m列及びn+1行m列の付加容量Celの第1の端子が電気的に接続されることで、n+1行m列の付加容量Celを共用している。よって、従来と比較して、n行m列の画素108に映像信号が入力される際に、当該画素108が用いる容量がn+1行m列の画素108が備える付加容量Celを共用する分、大きくなる。換言すれば、式(2)、式(4)の分数部分が、容量制御トランジスタECTがない場合においてはCel/Cs+Celとなるが、本発明においては式(2)、式(4)に示す通り2Cel/Cs+2Celとなる。従って、発光素子OLEDに流れる発光電流を、発光素子OLEDへ流せる発光電流の最大値を、大きくすることができる。
【0050】
なお、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtにおいて、電流補正動作を行わずに、映像信号を書き込む場合は、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtの終了後に、発光制御信号線BG(n)からn行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n行m列の発光制御トランジスタBCTをオンにする。その後、上述の発光期間Pemiの駆動方法にしたがい、n行m列の発光素子が発光を開始すればよい。
【0051】
図5は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャートである。
図4のタイミングチャートに、n+2行m列、及びn+3行m列のタイミングチャートを追加している。各水平期間は1H、2H、3H、4H、5H、6H、7Hで示している。上述した、リセット期間Prst、閾値補正期間Pcom、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrt、及び発光期間Pemiの動作を、
図5に示すn行m列からn+3行m列、更にそれ以降の行へ、順次繰り返すことで、表示装置が有する発光素子の電流を大きくすることができ、高いダイナミックレンジを実現することができる。
【0052】
図6は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の状態を水平期間ごとに示した模式図である。
図5のタイミングチャートに示した、n行m列からn+3行m列と、それに続くn+4行m列からn+6行m列の、各水平期間の動作状態を示している。各水平期間は1H、2H、3H、4H、5H、6Hで示している。図中の、期間Prst~Pwrtは、上述のリセット期間Prst、閾値補正期間Pcom、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtを行っている期間を示す。図中の期間Cshrは、1つ前の行の容量制御トランジスタECTにより、1つ前の行の画素が備える容量素子Csと付加容量Celに、自分の画素が備える付加容量Celが電気的に接続された状態の期間を示している。換言すれば、隣接する画素で容量を共用している状態を示している。例えば、H2の期間は、n+2行m列目の画素の付加容量Celは、n+1行m列目の画素が備える容量素子Csと付加容量Celとに電気的に接続された状態である。このように、1つの画素は、その画素が備える付加容量Celが1つ前の行の画素が備える容量素子Csと付加容量Celに電気的に接続される期間Cshr、リセット期間Prst、閾値補正期間Pcom、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrt、及び発光期間Pemiを繰り返すことで、表示装置が有する発光素子の電流を大きくすることができ、高いダイナミックレンジを実現することができる。また、期間Cshrより前の水平期間は、1つ前のフレーム期間における発光期間Pemiであってもよい。
【0053】
以上のように、容量制御トランジスタECTを設け、n行m列の発光素子OLEDの入力端子及び付加容量Celの第1の端子と、n+1行m列の発光素子OLEDの入力端子及び付加容量Celの第1の端子とが、電気的に接続されることで、大きな容量を確保することができる。よって、発光素子の電流を大きくすることができ、高いダイナミックレンジを実現することができる。高精細化に伴い画素サイズが小さくなると、画素が備える容量(容量素子Cs、付加容量Cel)も小さくなる。これにより、容量が保持する電圧が小さくなり、発光素子へ流すことが可能な電流の最大値も小さくなる。本実施形態においては、n行m列の画素108が備える容量素子Cs及び付加容量Celと、n+1行m列の画素108が備える付加容量Celとが共用されるので、発光素子OLEDへ流すことが可能な電流の最大値が小さくなることを防止できる。即ち、発光素子OLEDへ十分な量の電流を流すことが可能である。
【0054】
したがって、小さな画素サイズを有する表示装置においても、発光素子が発光するための大きな電流を供給することができ、表示装置の輝度の低下を抑えることができる。また、画素の駆動における高いダイナミックレンジを実現することができるため、表示装置は高階調な表示ができる。したがって、上述した表示装置および駆動方法により、表示品位が高い高精細な表示装置を提供することができる。
【0055】
(第2実施形態)
本実施形態では、本発明の一実施形態に係る表示装置のほかの構成、及び駆動方法を説明する。第2実施形態における画素回路は、
図3の画素回路
図300が示す画素回路と同様である。第2実施形態においては、n行m列の画素108が備える容量制御トランジスタECTと、n+1行m列の画素108が備える容量制御トランジスタECTとを同時にオンにすることで、n行m列からn+3行m列の画素108が備える付加容量Celを共用し、さらに大きな発光電流を確保すること、さらに高いダイナミックレンジを実現すること、を説明する。なお、第1実施形態と同様の構成に関しては説明を省略することがある。
【0056】
図7は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する、n行m列からn+3行m列の画素108のタイミングチャートを示す。各水平期間は1H、2H、3H、4H、5H、6H、7Hで示している。
【0057】
4Hの電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtにおいて、容量制御信号線EG(n)からn行m列の容量制御トランジスタECTのゲートにハイレベルの信号が供給され、n行m列の容量制御トランジスタECTはオンになる。容量制御信号線EG(n+1)からn+1行m列の容量制御トランジスタECTのゲートにハイレベルの信号が供給され、n+1行m列の容量制御トランジスタECTはオンになる。容量制御信号線EG(n+2)からn+2行m列の容量制御トランジスタECTのゲートにハイレベルの信号が供給され、n+2行m列の容量制御トランジスタECTはオンになる。容量制御信号線EG(n+3)からn+3行m列の容量制御トランジスタECTのゲートにハイレベルの信号が供給され、n+3行m列の容量制御トランジスタECTはオンになる。したがって、n行m列の容量素子Csの第2の端子、付加容量Celの第1の端子、及び発光素子OLEDの入力端子と、n+1行m列の付加容量Celの第1の端子と、n+2行m列の付加容量Celの第1の端子と、n+3行m列の付加容量Celの第1の端子と、は電気的に接続される。よって、n行m列の駆動トランジスタDRTのゲートと第2の端子との電位差(ゲートソース間電圧)、すなわちノードA(n)とノードB(n)との電位差は、以下の式(5)で表される。
【0058】
【0059】
また、n行m列の駆動トランジスタDRTの第1の端子から第2の端子に流れる電流Idは、以下の式(6)で表される。ここで、βはn行m列の駆動トランジスタDRTの利得係数である。駆動トランジスタDRTの第1の端子から第2の端子に流れる電流Idは、駆動トランジスタDRTの閾値に依存しない。
【0060】
【0061】
このように、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtでは、映像信号の書き込みを行い、駆動トランジスタDRTの電流を補正することができる。
【0062】
また、容量制御トランジスタECTにより、n行m列からn+3行m列の発光素子OLEDの入力端子と、n行m列からn+3行m列の付加容量Celの第1の端子が電気的に接続されることで、n行m列の画素108に映像信号を書き込む際に、n+1行m列からn+3行m列の画素108が備える付加容量Celを共用することができる。その結果、式(5)に示すように、駆動トランジスタDRTのゲートソース間電圧を、第1実施形態と比較してさらに大きくすることができ、さらに高いダイナミックレンジを実現することができる。
【0063】
5Hの発光期間Pemiの動作を説明する。発光期間Pemiでは、n行m列の発光制御トランジスタBCTは、オン状態を維持している。初期化トランジスタRSTはオフ状態を維持している。容量制御信号線EG(n)からn行m列の容量制御トランジスタECTのゲートへ供給する信号をハイレベルからローレベルにし、n行m列の容量制御トランジスタECTがオフになる。ノードB(n)とノードB(n+1)からノードB(n+3)は、容量制御トランジスタECTがオフになることによって分離される。走査信号線SG(n)からn行m列の選択トランジスタSSTのゲートへ供給する信号をハイレベルからローレベルにし、n行m列の選択トランジスタSSTがオフになる。これにより、容量素子Csに保持された電圧に基づきn行m列の駆動トランジスタDRTが発光素子OLEDへ電流を供給する。よって、n行m列の発光素子が発光を開始される。この時の発光電流は、式(6)で表される。
【0064】
容量制御トランジスタECTがない場合は、容量値がn行m列の付加容量Celしかないため、発光電流が小さい。第2実施形態においては、n行m列の画素108に映像信号が入力される際に、当該画素108が用いる容量がn+1行m列からn+3行m列の画素108が備える付加容量Celを共用する分、大きくなる。従って、発光素子OLEDに流れる発光電流を、発光素子OLEDへ流せる発光電流の最大値を、大きくすることができる。
【0065】
なお、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtにおいて、電流補正動作を行わずに、映像信号を書き込む場合は、第1実施形態と同様に、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtの終了後に、n行m列の発光制御トランジスタBCTをオンにし、n行m列の発光素子が発光を開始すればよい。
【0066】
図8は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の状態を水平期間ごとに示した模式図である。
図7のタイミングチャートに示した、n行m列、n+1行m列、n+2行m列、及びn+3行m列と、それに続くn+4行m列からn+6行m列の、各水平期間の動作状態を示している。各水平期間は1H、2H、3H、4H、5H、6Hで示している。図中の、期間Prst~Pwrtは、上述のリセット期間Prst、閾値補正期間Pcom、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtを行っている期間を示す。図中の期間Cshrは、容量制御トランジスタECTにより、隣接する画素で、例えばn行m列からn+3行m列の画素108で、付加容量Celを共用している状態を示している。例えば、n+2行m列目の画素は、H3の期間では、リセット動作、閾値補正動作、電流補正および書き込み動作を行っている状態である。H3の期間では、n+2行m列の容量素子Cs及び付加容量Celと、n+3行m列の付加容量Celと、n+4行m列の付加容量Celと、n+5行m列の付加容量Celと、が共用されている。したがって、表示装置が有する発光素子OLEDの電流をさらに大きくすることができ、さらに高いダイナミックレンジを実現することができる。
【0067】
以上の説明においては、n行m列、n+1行m列、n+2行m列、及びn+3行m列の4つの画素が有する容量制御トランジスタECTにより、それぞれの画素が備える付加容量Celが電気的に接続される例を示したが、n行m列、n+1行m列、n+2行m列の3つの画素が有する容量制御トランジスタECTにより、それぞれの画素が備える付加容量Celが電気的に接続されてもよい。この場合、駆動トランジスタDRTのノードA(n)とノードB(n)との電位差は、先に示した式(5)と式(6)において、4Celが3Celになる。また、k行分の画素において、それぞれの画素が備える付加容量Celが電気的に接続されてもよい。この場合、駆動トランジスタDRTのノードA(n)とノードB(n)との電位差は、先に示した式(5)と式(6)において、4CelがkCelになる。
【0068】
以上のように、容量制御トランジスタECTを設け、n行m列からn+3行m列の発光素子OLEDの入力端子と、n行m列からn+3行m列の付加容量Celの第1の端子が電気的に接続されることで、さらに大きな容量を確保することができる。よって、発光素子の電流をさらに大きくすることができ、さらに高いダイナミックレンジを実現することができる。したがって、小さな画素サイズを有する表示装置においても、発光素子が発光するための大きな電流を供給することができ、表示装置の輝度の低下を抑えることができる。また、画素の駆動における高いダイナミックレンジを実現することができるため、表示装置は高階調な表示を実現することができる。したがって、上述した表示装置および駆動方法により、表示品位が高い高精細な表示装置を提供することができる。
【0069】
(第3実施形態)
本実施形態では、本発明の一実施形態に係る表示装置のほかの構成、及び駆動方法を説明する。第1実施形態で示した画素回路と比較して、本実施形態では初期化信号入力トランジスタISTをさらに含んでいる。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成に関しては説明を省略することがある。
【0070】
図9は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素108が備える画素回路
図400である。画素回路
図400には、表示領域106内に配列されるn行m列、及びn+1行m列の、2つの画素108を示している。
【0071】
図9に示すように、画素108は、
図3で示した画素回路
図300に、初期化信号入力トランジスタISTをさらに含んだ構成を示している。
図3の説明と同様に、各トランジスタはいずれも、ゲートと一対の端子(第1の端子、第2の端子)を有し、容量素子Csは一対の端子(第1の端子、第2の端子)を有し、付加容量Celは一対の端子(第1の端子、第2の端子)を有する。なお、付加容量Celは、別途設ける例を示しているが、寄生容量であってもよいし、寄生容量を含んでいてもよい。
【0072】
図3から変更された構成について説明する。変更以外の構成は
図3と同様である。初期化信号入力トランジスタISTのゲートは、初期化信号制御線IG(n)と電気的に接続され、第1の端子は初期化信号線SL2(m)と電気的に接続され、第2の端子は駆動トランジスタDRTのゲート、選択トランジスタSST第2の端子と容量素子Csの第1の端子に電気的に接続される。
図3に示す画素回路
図300では、初期化信号の電位Viniが映像信号線SL(m)から画素108へ(選択トランジスタSSTへ)入力されているが、
図9に示す画素回路
図400では、Viniが初期化信号線SL2(m)から初期化信号入力トランジスタISTへ入力されている。なお、ここでは、画素回路400が有する画素108のうち、n行m列の画素を説明した。n+1行m列の画素の構成は、n行m列の画素と同じで、nをn+1で置き換えればよい。
【0073】
図10は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャートであり、
図9に示した各信号の時間変化を示す。以下、
図10及び
図9を参照し、n行m列の画素の駆動方法を説明する。なお、
図10は、n+1行m列の画素のタイミングチャートも示しているが、基本動作はn行m列の画素と同じである。
【0074】
本発明の一実施形態に係る表示装置の駆動方法でも、第1実施形態と同様に、リセット期間Prst、閾値補正期間Pcom、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrt、発光期間Pemiのそれぞれで、リセット動作、閾値補正動作、電流補正及び書き込み動作、発光がそれぞれ行われる。
【0075】
リセット動作を説明する。なお、リセット動作に先立ち、初期化信号線IG(n)からn行m列の初期化信号入力トランジスタISTのゲートにハイレベルを供給して初期化信号入力トランジスタISTをオンにし、
図9に示すノードA(n)にViniを書きこむ動作と、制御線RG(n)からn行m列の初期化トランジスタRSTのゲートにハイレベルを供給して初期化トランジスタRSTをオンにし、
図9に示すノードB(n)にVrstを書き込む動作を行ってもよい。これら2つの動作を両方行ってもよいし、これら2つの動作の何れか1つを行ってもよい。この時、1HにおけるViniと1HにおけるVsig(d)とは同じであってもよい。
【0076】
リセット期間Prstでは、はじめに、発光制御信号線BG(n)からn行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートにローレベルを供給し、発光制御信号線BG(n+1)からn+1行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートにローレベルを供給し、両方のトランジスタともオフにする。この時、n行m列の画素と、n+1行m列の画素は、暗状態である。初期化信号制御線IG(n)からn行m列の初期化信号入力トランジスタISTのゲートにハイレベルの信号が供給され、n行m列の初期化信号入力トランジスタISTがオンになる。また、初期化信号制御線IG(n+1)からn+1行m列の初期化信号入力トランジスタISTのゲートにハイレベルの信号が供給され、n+1行m列の初期化信号入力トランジスタISTがオンになる。これにより
図9に示すノードA(n)及びA(n+1)にViniが書きこまれる。n行m列の選択トランジスタSSTのゲートへは、走査信号線SG(n)からローレベルの信号が供給され、n行m列の選択トランジスタSSTはオフである。n+1行m列の選択トランジスタSSTのゲートへは、走査信号線SG(n+1)からローレベルの信号が供給され、n+1行m列の選択トランジスタSSTは非活性化されている。オフである。制御線RG(n)からn行m列の初期化トランジスタRSTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n行m列の初期化トランジスタRSTがオンになり、
図9に示すノードB(n)にVrstが書き込まれる。ここで、容量制御信号線EG(n)からn行m列の容量制御トランジスタECTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n行m列の容量制御トランジスタECTがオンになり、
図9に示すノードB(n+1)にVrstが書き込まれる。なお、この時、n+1行m列の初期化トランジスタRSTはオンであってもオフであってもよい。また、ノードA(n)にViniが書き込まれることと、ノードA(n+1)にViniが書き込まれることと、ノードB(n)にVrstが書き込まれることとは、同時に行われてもよい。
【0077】
図3で示した画素回路
図300において、選択トランジスタSSTが担っていた、n行m列のノードA(n)とn+1行m列のノードA(n+1)の電位をViniにする動作を、
図9で示した画素回路
図400では、初期化信号入力トランジスタISTが担うようにした。選択トランジスタSSTは、映像信号を駆動トランジスタDRTのゲートに書き込む動作を担い、初期化信号入力トランジスタISTが上述の動作を担うことで、書き込み動作の時間と初期化信号入力動作の時間とを十分に確保できたり、画素の駆動を安定化させたりすることができる。
【0078】
続いて、閾値補正動作を説明する。リセット動作に続き、制御線RG(n)からn行m列の初期化トランジスタRSTのゲートへ供給する信号をハイレベルからローレベルにし、初期化トランジスタRSTがオフになる。n行m列の選択トランジスタSSTとn+1行m列の選択トランジスタSSTは、共に、オフ状態を維持している。n行m列及びn+1行m列の初期化信号入力トランジスタISTは、共に、オン状態を維持している。ノードA(n)とノードA(n+1)の電位はViniを保っている。n行m列の容量制御トランジスタECTは、オン状態を維持し、ノードB(n)とノードB(n+1)の電位はVrstを保っている。発光制御信号線BG(n)からn行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートにハイレベルの信号を供給し、n行m列の発光制御トランジスタBCTがオンになる。n行m列の発光制御トランジスタBCTがオンになると、発光制御トランジスタBCTを介して高電位電源配線PVDDからVDD_Hがn行m列の駆動トランジスタDRTへ供給される。これによりn行m列の駆動トランジスタDRTに電流が流れ、ノードB(n)の電位はVrstから高電位側へシフトする。ノードA(n)とノードB(n)の電位差が、n行m列の駆動トランジスタDRTの閾値電圧Vthnと同じになったとき、すなわち、ノードB(n)の電位がVini-Vthnになったとき、n行m列の駆動トランジスタDRTに電流が流れなくなる。この時、ノードB(n+1)の電位は、ノードB(n)の電位と同じVini-Vthnとなる。よって、n行m列の容量素子Csの第1の端子と第2の端子間と、n+1行m列の各々の容量素子Csの第1の端子と第2の端子間には、n行m列の駆動トランジスタDRTの閾値電圧Vthnが記憶保持されたことになる。
【0079】
このように、閾値補正期間Pcomでは、n行m列の容量素子Csの第1の端子と第2の端子間と、n+1行m列の各々の容量素子Csの第1の端子と第2の端子間に、n行m列の駆動トランジスタDRTの閾値電圧Vthnを保持することができる。よって、第1実施形態での説明と同様に、駆動トランジスタDRTの閾値を補正することができる。
【0080】
続いて、電流補正及び書き込み動作を説明する。はじめに、閾値補正期間Pcomと電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtの間の動作を説明する。n行m列の選択トランジスタSSTとn+1行m列の選択トランジスタSSTは、共に、オフ状態を維持している。n+1行m列の初期化信号入力トランジスタISTはオン状態を維持している。初期化信号制御線IG(n)からn行m列の初期化信号入力トランジスタISTのゲートへ供給する信号をハイレベルからローレベルにし、n行m列の初期化信号入力トランジスタISTがオフになる。n行m列の発光制御トランジスタBCTは、オン状態を維持している。初期化トランジスタRSTはオフ状態を維持している。
【0081】
次に、電流補正及び書き込み動作を説明する。電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtでは、n+1行m列の初期化信号入力トランジスタISTはオン状態を維持している。n行m列の初期化信号入力トランジスタISTはオフ状態を維持している。それ以外の駆動方法は
図4と同じである。n+1行m列の初期化信号入力トランジスタISTがオン状態を維持しているので、n行m列の画素108へ映像信号を書き込む書き込み期間Pwrtでは、n+1行m列の画素108が備える容量素子Csの第1の端子へ初期化信号が入力されている。よって、n行m列の画素108へ入力された映像信号を保持する際に、n+1行m列の付加容量Celだけでなくn+1行m列の容量素子Csも、n行m列付加容量Cel及び容量素子Csと共用することが可能となる。ノードB(n)とノードB(n+1)の電位は、以下の式(7)で表される。また、n行m列の駆動トランジスタDRTのゲートと第2の端子との電位差(ゲートソース間電圧)、すなわち、ノードA(n)とノードB(n)電位差は、以下の式(8)で表される。さらに、n行m列の駆動トランジスタDRTの第1の端子から第2の端子に流れる電流Idは、以下の式(9)で表され、駆動トランジスタDRTの閾値に依存しない。また、第1実施形態での説明と同様に、複数の画素108の各々に位置する駆動トランジスタDRTの各々の移動度μにばらつきがあったとしても、複数の画素108の各々が備える発光素子OLEDが発行する際に、移動度μのばらつきを取り除くことができる。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
このように、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtでは、映像信号の書き込みを行い、駆動トランジスタDRTの電流を補正することができる。
【0086】
なお、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtにおいて、電流補正動作を行わずに、映像信号を書き込む場合は、発光制御信号線BG(n)からn行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートへ供給する信号をローレベルにし、n行m列の発光制御トランジスタBCTをオフにする。
【0087】
最後に、発光期間Pemiの動作を説明する。発光期間Pemiでは、n行m列の発光制御トランジスタBCTは、オン状態を維持している。初期化トランジスタRSTはオフ状態を維持している。n+1行m列の初期化信号入力トランジスタISTはオン状態を維持している。n行m列の初期化信号入力トランジスタISTはオフ状態を維持している。容量制御信号線EG(n)からn行m列の容量制御トランジスタECTのゲートへ供給する信号をハイレベルからローレベルにし、n行m列の容量制御トランジスタECTがオフになる。ノードB(n)とノードB(n+1)は、容量制御トランジスタECTがオフになることによって、分離される。走査信号線SG(n)からn行m列の選択トランジスタSSTのゲートへ供給する信号をハイレベルからローレベルにし、n行m列の選択トランジスタSSTがオフになる。これにより、容量素子Csに保持された電圧に基づきn行m列の駆動トランジスタDRTが発光素子OLEDへ電流を供給する。よって、n行m列の発光素子OLEDの発光が開始される。この時の発光電流は、先に示した式(4)で表される。
【0088】
以上のように、
図9で示した画素回路
図400において、初期化信号入力トランジスタISTを設けることで、初期化信号入力トランジスタISTがリセット動作における初期化を担い、選択トランジスタSSTが書き込みを行う。初期化信号入力トランジスタISTと選択トランジスタSSTは、互いに独立に制御できるので、書き込み動作と初期化動作を明確にすることができる。よって、書き込み動作の時間と初期化信号入力動作の時間とを十分に確保できたり、画素の駆動を安定化させたりすることができる。また、容量制御トランジスタECTが設けられているので、発光素子の電流を大きくすることができ、高いダイナミックレンジを実現することもできる。初期化が明確に行われることで、駆動トランジスタの閾値補正と電流補正を高精度に行うことができる。したがって、上述した表示装置および駆動方法により、表示品位が高い高精細な表示装置を提供することができる。
【0089】
(第4実施形態)
本実施形態では、本発明の一実施形態に係る表示装置のほかの構成、及び駆動方法を説明する。第1実施形態で示した画素の回路と比較して、初期化トランジスタRSTが電気的に接続される位置を変更し、電流補正トランジスタCCT(第6スイッチ)をさらに含んだ画素回路を用いた表示装置を説明する。なお、第1実施形態乃至第3実施形態と同様の構成に関しては説明を省略することがある。
【0090】
図11は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素回路
図500である。画素回路
図500には、表示領域106内に配列されるn行m列、及びn+1行m列の、2つの画素108を示している。
【0091】
図11に示すように、画素回路
図500は、
図3で示した画素回路
図300と比較して、初期化トランジスタRSTの電気的に接続される位置を変更し、電流補正トランジスタCCTをさらに含んだ構成を示している。
図3の説明と同様に、各トランジスタはいずれも、ゲートと一対の端子(第1の端子、第2の端子)を有し、容量素子Csは一対の端子(第1の端子、第2の端子)を有し、付加容量Celは一対の端子(第1の端子、第2の端子)を有する。なお、付加容量Celは、別途設ける例を示しているが、寄生容量であってもよいし、寄生容量を含んでいてもよい。
【0092】
選択トランジスタSSTのゲートは、走査信号線SG(n)と電気的に接続され、第1の端子は映像信号線SL(m)と電気的に接続され、第2の端子は駆動トランジスタDRTのゲートと容量素子Csの第1の端子に電気的に接続される。駆動トランジスタDRTの第1の端子は、電流補正トランジスタCCTの第2の端子に電気的に接続され、第2の端子は発光素子OLEDの入力端子、及び容量素子Csの第2の端子に電気的に接続される。電流補正トランジスタCCTのゲートは電流補正信号線CG(n)と電気的に接続され、第1の端子は発光制御トランジスタBCTの第2の端子と、初期化トランジスタRSTの第2の端子に電気的に接続される。発光制御トランジスタBCTのゲートは、発光制御信号線BG(n)に電気的に接続され、第1の端子は高電位電源配線PVDDに電気的に接続される。初期化トランジスタRSTの第1の端子はバイアス線VLと、ゲートは制御線RG(n)と電気的に接続される。付加容量Celの第1の端子は駆動トランジスタDRTの第2の端子と、付加容量Celの第2の端子は低電位電源配線PVSSに電気的に接続される。発光素子OLEDの出力端子(或いは共通電極)は、低電位電源配線PVSSに電気的に接続される。低電位電源配線PVSSに印加される固定電位VSSは低電位VDD_Lよりも低い固定電位であればよく、例えば接地電位とすることができる。容量制御トランジスタECTのゲートは、容量制御信号線EG(n)と電気的に接続され、第1の端子は容量素子Csの第2の端子、発光素子OLEDの入力端子、付加容量Celの第1の端子、及び駆動トランジスタDRTの第2の端子に電気的に接続される。また、容量制御トランジスタECTの第2の端子は、n+1行の容量制御トランジスタECTの第1の端子、n+1行の容量素子Csの第2の端子、n+1行の発光素子OLEDの入力端子、n+1行の付加容量Celの第1の端子、n+1行の初期化トランジスタRSTの第2の端子、及びn+1行の駆動トランジスタDRTの第2の端子に電気的に接続される。なお、ここでは、
図11に示す2つの画素108のうち、n行m列の画素を説明した。n+1行m列の画素の構成は、n行m列の画素と同じで、nをn+1で置き換えればよい。
【0093】
図12は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャートであり、
図11に示した各信号の時間変化を示す。以下、
図12及び
図11を参照し、n行m列の画素の駆動方法を説明する。なお、
図12は、n+1行m列の画素のタイミングチャートも示しているが、基本動作はn行m列の画素と同じである。
【0094】
本発明の一実施形態に係る表示装置の駆動方法でも、第1実施形態と同様に、リセット期間Prst、閾値補正期間Pcom、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrt、発光期間Pemiのそれぞれで、リセット動作、閾値補正動作、電流補正及び書き込み動作、発光がそれぞれ行われる。
【0095】
リセット動作を説明する。なお、リセット動作に先立ち、走査信号線SG(n)からn行m列の選択トランジスタSSTのゲートにハイレベルを供給し、
図11に示すノードA(n)にViniを書きこむ動作を行ってもよい。発光制御信号線BG(n)からn行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートにハイレベルを供給し、発光制御信号線BG(n+1)からn+1行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートにハイレベルを供給し、両方のトランジスタともオンにしてもよい。これら2つの動作を両方行ってもよいし、これら2つの動作の何れか1つを行ってもよい。この時、1HにおけるViniと1HにおけるVsig(d)とは同じであってもよい。
【0096】
リセット期間Prstでは、はじめに、電流補正信号線CG(n)からn行m列の電流補正トランジスタCCTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n行m列の電流補正トランジスタCCTがオンになる。次に、発光制御信号線BG(n)からn行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートにローレベルを供給し、発光制御信号線BG(n+1)からn+1行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートにローレベルを供給し、両方のトランジスタともオフにする。この時、n行m列の画素と、n+1行m列の画素は、暗状態である。続いて、走査信号線SG(n)からn行m列の選択トランジスタSSTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n行m列の選択トランジスタSSTがオンになり、
図11に示すノードA(n)にViniが書きこまれる。また、制御線RG(n)からn行m列の初期化トランジスタRSTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n行m列の初期化トランジスタRSTがオンになり、
図11に示すノードB(n)に電流補正トランジスタCCTを介してVrstが書き込まれる。ここで、容量制御信号線EG(n)からn行m列の容量制御トランジスタECTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n行m列の容量制御トランジスタECTがオンになり、
図11に示すノードB(n)とノードB(n+1)が導通し、ノードB(n+1)にVrstが書き込まれる。走査信号線SG(n+1)からn+1行m列の選択トランジスタSSTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n+1行m列の選択トランジスタSSTがオンになり、
図11に示すA(n+1)にViniが書きこまれる。なお、この時、n+1行m列の初期化トランジスタRSTはオンであってもオフであってもよい。また、ノードA(n)にViniが書き込まれることと、ノードA(n+1)にViniが書き込まれることと、ノードB(n)にVrstが書き込まれることとは、同時に行われてもよい。
【0097】
このように、リセット期間Prstでは、n行m列のノードA(n)とn+1行m列のノードA(n+1)の電位をViniにし、n行m列のノードB(n)とn+1行m列のノードB(n+1)の電位をVrstにする。つまり、n行m列の容量素子の第1の端子と第2の端子間の電位と、n+1行m列の各々の容量素子の第1の端子と第2の端子間の電位とを、同じにする。すなわち、n行m列の駆動トランジスタDRTのゲートと第2端子間の電位と、n+1行m列の駆動トランジスタDRTのゲートと第2端子間の電位を初期化することができる。
【0098】
続いて、閾値補正動作を説明する。リセット期間Prstに続く閾値補正期間Pcomでは、制御線RG(n)からn行m列の初期化トランジスタRSTのゲートへ供給する信号をハイレベルからローレベルにし、初期化トランジスタRSTがオフになる。n行m列の選択トランジスタSSTとn+1行m列の選択トランジスタSSTは、共に、オン状態を維持し、ノードA(n)とノードA(n+1)の電位はViniを保っている。n行m列の容量制御トランジスタECTは、オン状態を維持し、ノードB(n)とノードB(n+1)の電位はVrstを保っている。n行m列の電流補正トランジスタCCTはオン状態を維持している。発光制御信号線BG(n)からn行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートにハイレベルを供給し、n行m列の発光制御トランジスタBCTがオンになる。n行m列の発光制御トランジスタBCTがオンになると、発光制御トランジスタBCTを介して高電位電源配線PVDDからVDD_Hがn行m列の駆動トランジスタDRTへ供給される。これによりn行m列の駆動トランジスタDRTに電流が流れ、ノードB(n)の電位はVrstから高電位側へシフトする。ノードA(n)とノードB(n)の電位差が、n行m列の駆動トランジスタDRTの閾値電圧Vthnと同じになったとき、すなわち、ノードB(n)の電位がVini-Vthnになったとき、n行m列の駆動トランジスタDRTに電流が流れなくなる。この時、ノードB(n+1)の電位は、ノードB(n)と同じVini-Vthnとなる。よって、n行m列の容量素子の第1の端子と第2の端子間と、n+1行m列の各々の容量素子の第1の端子と第2の端子間には、n行m列の駆動トランジスタDRTの閾値電圧Vthnが保持されたことになる。
【0099】
このように、閾値補正期間Pcomでは、n行m列の容量素子Csの第1の端子と第2の端子間と、n+1行m列の各々の容量素子Csの第1の端子と第2の端子間に、n行m列の駆動トランジスタDRTの閾値電圧Vthnを保持することができる。よって、第1実施形態での説明と同様に、駆動トランジスタDRTの閾値を補正することができる。
【0100】
続いて、電流補正及び書き込み動作を説明する。はじめに、閾値補正期間Pcomと電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtの間の動作を説明する。走査信号線SG(n)からn行m列の選択トランジスタSSTのゲートへ供給する信号をハイレベルからローレベルにし、n行m列の選択トランジスタSSTがオフになる。また、走査信号線SG(n+1)からn+1行m列の選択トランジスタSSTのゲートへ供給する信号もハイレベルからローレベルにし、n+1行m列の選択トランジスタSSTもオフになる。n行m列の容量制御トランジスタECTは、オン状態を維持している。このとき、ノードB(n)とノードB(n+1)の電位はVini-Vthnを保っている。n行m列の発光制御トランジスタBCTは、オン状態を維持している。初期化トランジスタRSTはオフ状態を維持している。n行m列の電流補正トランジスタCCTはオン状態を維持している。
【0101】
次に、電流補正及び書き込み動作を説明する。電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtでは、n行m列の電流補正トランジスタCCTはオン状態を維持している。それ以外の駆動方法は
図4と同じである。また、
図9と同様に、n行m列の画素108へ映像信号を書き込む書き込み期間Pwrtでは、n+1行m列の画素108が備える容量素子Csの第1の端子へ初期化信号が入力されている。よって、n行m列の画素108へ入力された映像信号を保持する際に、n+1行m列の容量素子Csも用いることが可能となる。ノードB(n)とノードB(n+1)の電位は、先に示した式(7)で表される。また、n行m列の駆動トランジスタDRTのゲートと第2の端子との電位差(ゲートソース間電圧)、すなわち、ノードA(n)とノードB(n)電位差は、先に示した式(8)で表される。さらに、n行m列の駆動トランジスタDRTの第1の端子から第2の端子に流れる電流Idは、先に示した式(9)で表され、駆動トランジスタDRTの閾値に依存しない。また、第1実施形態での説明と同様に、複数の画素108の各々に位置する駆動トランジスタDRTの各々の移動度μにばらつきがあったとしても、複数の画素108の各々が備える発光素子OLEDが発行する際に、移動度μのばらつきを取り除くことができる。
【0102】
このように、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtでは、映像信号の書き込みを行い、駆動トランジスタDRTの電流を補正することができる。
【0103】
最後に、発光期間Pemiの動作を説明する。発光期間Pemiでは、n行m列の電流補正トランジスタCCTはオン状態を維持している。それ以外の駆動方法は
図4と同じである。ノードB(n)とノードB(n+1)は、容量制御トランジスタECTがオフになることによって、分離される。その後n行m列の発光素子OLEDの発光が開始される。この時の発光電流は、先に示した式(4)で表される。
【0104】
図11で示した画素回路
図500では、
図3で示した画素回路
図300と比較して、初期化トランジスタRSTが電気的に接続される位置を変更し、電流補正トランジスタCCTを追加している。電流補正トランジスタCCTを追加することで、発光制御トランジスタBCTから供給されるPVDDからの電位または電流を駆動トランジスタDRTに供給するか否かを選択することができる。すなわち、発光制御トランジスタBCTは、一方向に交差する方向に隣接するサブ画素で共有することができる。例えば、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)を表示する3つのサブ画素で1つの画素を表す場合は、それぞれの映像信号は同じタイミングで送られてくるため、3つのサブ画素で1つの発光制御トランジスタBCTを共有することができる。すなわち、1画素あたりのトランジスタの数を少なくすることができ、画素レイアウトを縮小することができる。また、画素面積が同じ場合は、画素レイアウトの自由度が向上するので、保持容量や付加容量を大きくすることができる。よって、流すことが可能な発光電流の最大値を大きくすることができ、ダイナミックレンジも広く取ることができるので、高階調で、高輝度な、高精細表示装置を提供することができる。なお、
図11では、1つの画素で1つの発光制御トランジスタBCTを設けた例を示したが、上述の通り、同じ行の隣接する複数の画素で1つの発光制御トランジスタBCTを共有してもよい。さらに、時分割により、2つ以上の複数の画素の映像信号が同時に送られてくる場合は、2つ以上の複数の画素で1つの発光制御トランジスタBCTを共有してもよい。例えば、6つのサブ画素で1つの発光制御トランジスタBCTを共有してもよい。
【0105】
さらに、
図11で示した画素回路
図500では、初期化トランジスタRSTの第2端子が、発光制御トランジスタBCTと電流補正トランジスタCCTとの間に接続している。よって、電流補正トランジスタCCTは、発光制御トランジスタBCTからの電位または電流を駆動トランジスタDRTに供給するか否かを選択することと、閾値補正を行うこと、を独立に制御することができる。よって、発光や、閾値補正、電流補正を高精度に行うことができる。また、初期化トランジスタRSTは、一方向に隣接する画素で共有することができるので、1画素あたりのトランジスタの数を少なくすることができ、画素レイアウトを縮小することができる。なお、
図11では、初期化トランジスタRSTは1つの画素に1つ設けた例を示しているが、上述の通り、1列に1つの初期化トランジスタRSTとしてもよい。
【0106】
さらに、容量制御トランジスタECTが設けられているので、流すことが可能な発光電流の最大値を大きくすることができ、高いダイナミックレンジを実現できる。したがって、上述した表示装置および駆動方法により、表示品位が高い高精細な表示装置を提供することができる。
【0107】
(第5実施形態)
本実施形態では、本発明の一実施形態に係る表示装置のほかの構成、及び駆動方法を説明する。
図11に示す第4実施形態の画素回路
図500と比較して、初期化信号入力トランジスタISTをさらに含んだ画素回路を用いた表示装置を説明する。なお、第1実施形態乃至第4実施形態と同様の構成に関しては説明を省略することがある。
【0108】
図13は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素回路
図600である。画素回路
図600には、表示領域106内に配列されるn行m列、及びn+1行m列の、2つの画素108を示している。
【0109】
図13に示すように、画素回路
図600は、
図11で示した画素回路
図500と比較して、初期化信号入力トランジスタISTをさらに含んだ構成を示している。
図11の説明と同様に、各トランジスタはいずれも、ゲートと一対の端子(第1の端子、第2の端子)を有し、容量素子Csは一対の端子(第1の端子、第2の端子)を有し、付加容量Celは一対の端子(第1の端子、第2の端子)を有する。なお、付加容量Celは、別途設ける例を示しているが、寄生容量であってもよいし、寄生容量を含んでいてもよい。
【0110】
図11から変更された構成について説明する。変更以外の構成は
図11と同様である。初期化信号入力トランジスタISTのゲートは、初期化信号制御線SG(n)と電気的に接続され、第1の端子は初期化信号線SL2(m)と電気的に接続され、第2の端子は駆動トランジスタDRTのゲート、選択トランジスタSST第2の端子と容量素子Csの第1の端子に電気的に接続される。
図9に示す画素回路
図400と同様に、
図13に示す画素回路
図600では、Viniが初期化信号線SL2(m)から初期化信号入力トランジスタISTへ入力されている。なお、ここでは、画素回路600が有する画素108のうち、n行m列の画素を説明した。n+1行m列の画素の構成は、n行m列の画素と同じで、nをn+1で置き換えればよい。
【0111】
図14は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャートであり、
図13に示した各信号の時間変化を示す。以下、
図14及び
図13を参照し、n行m列の画素の駆動方法を説明する。なお、
図14は、n+1行m列の画素のタイミングチャートも示しているが、基本動作はn行m列の画素と同じである。
【0112】
本発明の一実施形態に係る表示装置の駆動方法でも、第1実施形態と同様に、リセット期間Prst、閾値補正期間Pcom、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrt、発光期間Pemiのそれぞれで、リセット動作、閾値補正動作、電流補正及び書き込み動作、発光がそれぞれ行われる。
【0113】
リセット動作を説明する。なお、リセット動作に先立ち、初期化信号制御線IG(n)からn行m列の初期化信号入力トランジスタISTのゲートにハイレベルを供給して初期化信号入力トランジスタISTをオンにし、
図13に示すノードA(n)にViniを書きこむ動作を行ってもよい。発光制御信号線BG(n)からn行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートにハイレベルを供給し、発光制御信号線BG(n+1)からn+1行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートにハイレベルを供給し、両方のトランジスタともオンにしてもよい。これら2つの動作を両方行ってもよいし、これら2つの動作の何れか1つを行ってもよい。この時、1HにおけるViniと1HにおけるVsig(d)とは同じであってもよい。
【0114】
リセット期間Prstでは、はじめに、電流補正信号線CG(n)からn行m列の電流補正トランジスタCCTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n行m列の電流補正トランジスタCCTがオンになる。走査信号線SG(n)からn行m列の選択トランジスタSSTのゲートにローレベルの信号が供給され、n行m列の選択トランジスタSSTがオフになる。また、走査信号線SG(n+1)からn+1行m列の選択トランジスタSSTのゲートにローレベルの信号が供給され、n+1行m列の選択トランジスタSSTがオフになる。初期化信号制御線IG(n)からn行m列の初期化信号入力トランジスタISTのゲートにハイレベルの信号が供給され、n行m列の初期化信号入力トランジスタISTがオンになり、
図13に示すノードA(n)にViniが書きこまれる。また、初期化信号制御線IG(n+1)からn+1行m列の初期化信号入力トランジスタISTのゲートにハイレベルの信号が供給され、n+1行m列の初期化信号入力トランジスタISTがオンになり、A(n+1)にViniが書きこまれる。次に、発光制御信号線BG(n)からn行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートにローレベルを供給し、発光制御信号線BG(n+1)からn+1行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートにローレベルを供給し、両方のトランジスタともオフにする。この時、n行m列の画素と、n+1行m列の画素は、暗状態である。また、制御線RG(n)からn行m列の初期化トランジスタRSTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n行m列の初期化トランジスタRSTがオンになり、
図13に示すノードB(n)にVrstが書き込まれる。ここで、容量制御信号線EG(n)からn行m列の容量制御トランジスタECTのゲートへ供給する信号をローレベルからハイレベルにし、n行m列の容量制御トランジスタECTがオンになり、
図13に示すノードB(n)とノードB(n+1)が導通し、ノードB(n+1)にVrstが書き込まれる。なお、この時、n+1行m列の初期化トランジスタRSTはオンであってもオフであってもよい。また、ノードA(n)にViniが書き込まれることと、ノードA(n+1)にViniが書き込まれることと、ノードB(n)にVrstが書き込まれることとは、同時に行われてもよい。
【0115】
このように、リセット期間Prstでは、n行m列のノードA(n)とn+1行m列のノードA(n+1)の電位をViniにし、n行m列のノードB(n)とn+1行m列のノードB(n+1)の電位をVrstにする。つまり、n行m列の容量素子の第1の端子と第2の端子間の電位と、n+1行m列の各々の容量素子の第1の端子と第2の端子間の電位とを、同じにする。すなわち、n行m列の駆動トランジスタDRTのゲートと第2端子間の電位と、n+1行m列の駆動トランジスタDRTのゲートと第2端子間の電位を初期化することができる。
【0116】
続いて、閾値補正動作を説明する。リセット期間Prstに続く閾値補正期間Pcomでは、制御線RG(n)からn行m列の初期化トランジスタRSTのゲートへ供給する信号をハイレベルからローレベルにし、初期化トランジスタRSTがオフになる。n行m列の選択トランジスタSSTとn+1行m列の選択トランジスタSSTは、共に、オフ状態を維持している。n行m列及びn+1行m列の初期化信号入力トランジスタISTは、共に、オン状態を維持し、ノードA(n)とノードA(n+1)の電位はViniを保っている。n行m列の容量制御トランジスタECTは、オン状態を維持し、ノードB(n)とノードB(n+1)の電位はVrstを保っている。n行m列の電流補正トランジスタCCTはオン状態を維持している。発光制御信号線BG(n)からn行m列の発光制御トランジスタBCTのゲートにハイレベルを供給し、n行m列の発光制御トランジスタBCTがオンになる。n行m列の発光制御トランジスタBCTがオンになると、発光制御トランジスタBCTを介して高電位電源配線PVDDからVDD_Hがn行m列の駆動トランジスタDRTへ供給される。これによりn行m列の駆動トランジスタDRTに電流が流れ、ノードB(n)の電位はVrstから高電位側へシフトする。ノードA(n)とノードB(n)の電位差が、n行m列の駆動トランジスタDRTの閾値電圧Vthnと同じになったとき、すなわち、ノードB(n)の電位がVini-Vthnになったとき、n行m列の駆動トランジスタDRTに電流が流れなくなる。この時、ノードB(n+1)の電位は、ノードB(n)と同じVini-Vthnとなる。よって、n行m列の容量素子の第1の端子と第2の端子間と、n+1行m列の各々の容量素子の第1の端子と第2の端子間には、n行m列の駆動トランジスタDRTの閾値電圧Vthnが保持されたことになる。
【0117】
このように、閾値補正期間Pcomでは、n行m列の容量素子Csの第1の端子と第2の端子間と、n+1行m列の各々の容量素子Csの第1の端子と第2の端子間に、n行m列の駆動トランジスタDRTの閾値電圧Vthnを保持することができる。よって、第1実施形態での説明と同様に、駆動トランジスタDRTの閾値を補正することができる。
【0118】
続いて、電流補正及び書き込み動作を説明する。はじめに、閾値補正期間Pcomと電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtの間の動作を説明する。n行m列の選択トランジスタSSTとn+1行m列の選択トランジスタSSTは、共に、オフ状態を維持している。n+1行m列の初期化信号入力トランジスタISTはオン状態を維持している。初期化信号制御線IG(n)からn行m列の初期化信号入力トランジスタISTのゲートへ供給する信号をハイレベルからローレベルにし、n行m列の初期化信号入力トランジスタISTがオフになる。n行m列の発光制御トランジスタBCTは、オン状態を維持している。n+1行m列の発光制御トランジスタBCTは、オン状態を維持している。初期化トランジスタRSTはオフ状態を維持している。n行m列の容量制御トランジスタECTは、オン状態を維持している。このとき、ノードB(n)とノードB(n+1)の電位はVini-Vthnを保っている。n行m列の電流補正トランジスタCCTはオン状態を維持している。
【0119】
次に、電流補正及び書き込み動作を説明する。電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtでは、n行m列の電流補正トランジスタCCTはオン状態を維持している。それ以外の駆動方法は
図12と同じである。n行m列の画素が有する容量素子Csを介した、容量結合により、ノードB(n)とノードB(n+1)の電位は、先に示した式(1)で表される。また、n行m列の駆動トランジスタDRTのゲートと第2の端子との電位差(ゲートソース間電圧)、すなわち、ノードA(n)とノードB(n)電位差は、先に示した式(2)で表される。さらに、n行m列の駆動トランジスタDRTの第1の端子から第2の端子に流れる電流Idは、先に示した式(4)で表され、駆動トランジスタDRTの閾値に依存しない。また、第1実施形態での説明と同様に、複数の画素108の各々に位置する駆動トランジスタDRTの各々の移動度μにばらつきがあったとしても、複数の画素108の各々が備える発光素子OLEDが発行する際に、移動度μのばらつきを取り除くことができる。
【0120】
このように、電流補正及び書き込み期間Pccom+Pwrtでは、映像信号の書き込みを行い、駆動トランジスタDRTの電流を補正することができる。
【0121】
最後に、発光期間Pemiの動作を説明する。発光期間Pemiでは、n行m列の電流補正トランジスタCCTはオン状態を維持している。n+1行m列の初期化信号入力トランジスタISTはオン状態を維持している。n行m列の初期化信号入力トランジスタISTはオフ状態を維持している。それ以外の駆動方法は
図12と同じである。ノードB(n)とノードB(n+1)は、容量制御トランジスタECTがオフになることによって、分離される。その後n行m列の発光素子OLEDの発光が開始される。この時の発光電流は、先に示した式(4)で表される。
【0122】
図13で示した画素回路
図600では、
図11で示した画素回路
図500と比較して、初期化信号入力トランジスタISTを追加している。初期化信号入力トランジスタISTと選択トランジスタSSTは、互いに独立に制御できるので、書き込み動作と初期化動作を明確にすることができる。また、容量制御トランジスタECTが設けられているので、流すことが可能な発光電流の最大値を大きくすることができ、高いダイナミックレンジを実現できる。初期化が明確に行われることで、駆動トランジスタの閾値補正と電流補正が高精度で行うことができる。したがって、上述した表示装置および駆動方法により、表示品位が高い高精細な表示装置を提供することができる。
【0123】
また、
図13では、1つの画素で1つの発光制御トランジスタBCTを設けた例を示したが、同じ行の隣接する複数の画素で1つの発光制御トランジスタBCTを共有してもよい。例えば、同じ行の隣接する3つのサブ画素で1つの発光制御トランジスタBCTを共有してもよい。さらに、
図13では、初期化トランジスタRSTは1つの画素に1つ設けた例を示しているが、1列に1つの初期化トランジスタRSTとしてもよい。トランジスタを共有することで、1画素あたりのトランジスタの数を少なくすることができ、画素レイアウトを縮小することができる。また、画素面積が同じ場合は、保持容量や付加容量を大きくすることができるため、流すことが可能な発光電流の最大値を大きくすることができ、ダイナミックレンジも広く取ることができる。したがって、高階調で、高輝度な、高精細表示装置を提供することができる。
【0124】
(第6実施形態)
本実施形態では、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素108の断面構造(成膜構造)を説明する。
【0125】
図15は、表示装置100が有する画素108の模式的な断面図である。詳述すれば、
図15は、画素108に含まれる容量素子Cs、駆動トランジスタDRT、付加容量Cel、および発光素子OLEDの模式的な断面構造(成膜構造)を示している。
【0126】
表示装置100は、基板102の上に、任意の構成である下地膜140を介して駆動トランジスタDRTと容量素子Csを有している。下地膜140は、例えば窒化シリコンや、酸化シリコンや、窒化シリコンと酸化シリコンとの積層で形成される。駆動トランジスタDRTは、半導体膜162、ゲート絶縁膜164、ゲート電極166、ソース/ドレイン電極168を有している。半導体膜162のうちゲート電極166と重なる領域がチャネル領域であり、このチャネル領域を一対のソース/ドレイン領域が挟持する。ソース/ドレイン電極168は、層間膜152、ゲート絶縁膜164に設けられる開口部を介してソース/ドレイン領域と電気的に接続される。半導体膜162は保持容量の電極172の下まで延びている。容量素子Csは、半導体膜162、保持容量の電極172、及びこれらに挟まれるゲート絶縁膜164によって形成される。容量素子Csを形成する構成要素は、上記に限定されない。例えば、保持容量の電極172と発光素子OLEDの画素電極とを絶縁膜を介して対向させ、容量素子Csを形成してもよい。
【0127】
駆動トランジスタDRTや容量素子Csの上には、これらに起因する凹凸を吸収し、平坦な表面を与える第1平坦化膜158が設けられる。第1平坦化膜158には、ソース/ドレイン電極168に達する開口190が設けられている。開口190にて、ソース/ドレイン電極168と発光素子OLEDの画素電極(後述する第1の電極182)とが電気的に接続している。
【0128】
第1平坦化膜158上には、付加容量電極192が設けられる。この付加容量電極192、及び第1平坦化膜158を覆うように容量絶縁膜194が形成される。付加容量電極192は、容量絶縁膜194とその上に形成される発光素子OLEDの第1の電極182とともに付加容量Celを形成し、発光素子OLEDの発光のばらつきの低減に寄与する。付加容量Celを形成する構成要素は、上記に限定されない。例えば、付加容量Celは、発光素子OLEDの寄生容量であってもよい。
【0129】
発光素子OLEDは第1の電極182(画素電極ともいう)、第2の電極186(共通電極ともいう)、及びこれらの間に設けられるEL層184(有機層ともいう)によって構成される。第1の電極182の上には、第1の電極182の一部を露出すると共に、第1の電極182の周辺部を覆う第2平坦化膜178(バンク、隔壁ともいう)が設けられている。第2平坦化膜178は、
図1に示す表示領域106の全面に亘って、複数の複数の画素(或いはサブ画素)の境界部に位置している。すなわち、第2平坦化膜178は、複数の画素(或いはサブ画素)を区画している。EL層184は、第1の電極182と第2平坦化膜178を覆うように形成され、その上に第2の電極186が設けられる。第2の電極186は複数の画素に跨って位置している。第1の電極182と第2の電極186からキャリア(電子、ホール)がEL層184へ注入され、EL層184内でキャリアの再結合が生じる。これによってEL層184中に含まれる有機化合物の励起状態が形成され、この励起状態が基底状態へ緩和する際に放出されるエネルギーが発光として利用される。したがって、EL層184と第1の電極182とが接している領域が発光領域である。
【0130】
図15ではEL層184は3つの層(184a、184b、184c)を有する。
図15において、184aがホール輸送層であり、184bが発光層であり、184cが電子輸送層である。ホール輸送層184a及び電子輸送層184cは、複数の画素に跨って位置している。EL層184の層構造は上記に限定されず、四つ以上の層が積層されていてもよい。EL層184は、例えばホール注入層や電子注入層を更に有してもよい。
【0131】
発光素子OLED上には、発光素子OLEDを保護するための封止膜200(パッシベーション膜、保護膜ともいう)を設けてもよい。例えば、
図15に示すように、封止膜200は、有機化合物を含む有機膜204を無機化合物を含む2つの無機膜(第1の無機膜202、第2の無機膜206)で挟持する構造としてもよい。
【0132】
封止膜200上には、充填材111を介して第2基板104が設けられる。第2基板104により、封止膜200やそれより下に設けられる各素子が保護される。充填材111と第2基板104とは省略されてもよい。第2基板104の替わりに、封止膜200上に可撓性のフィルム(保護フィルム)や円偏光板を貼り付ける構造にしてもよい。
【0133】
画素108を以上のような構成とし、第1乃至第5実施形態で説明した画素回路を備えることで、ダイナミックレンジが広く、発光電流を大きな高精細な表示装置を提供することができる。なお、画素108の構造は、
図15に示した構造に限定されるものではない。例えば容量素子Csを、
図15に示した位置とは異なる位置に設けることもできる。
【0134】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0135】
本明細書においては、開示例として主に有機エレクトロルミネッセンス表示装置を例示したが、画素が保持容量を有するその他の表示装置においても適用が可能である。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能である。
【0136】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0137】
100・・・表示装置、102・・・第1基板、104・・・第2基板、106・・・画素領域、108・・・画素、111・・・充填材、114・・・端子領域、116・・・端子電極、118・・・走査信号線駆動回路、120・・・映像信号線駆動回路、122・・・制御回路、140・・・下地膜、152・・・層間膜、158・・・第1平坦化膜、162・・・半導体層、164・・・ゲート絶縁膜、166・・・ゲート電極、168・・・ソース/ドレイン電極、172・・・保持容量の電極、178・・・第2平坦化膜、182・・・第1の電極、184、184a、184b、184c・・・EL層、186・・・第2の電極、190・・・開口、192・・・付加容量電極、194・・・容量絶縁膜、200・・・封止膜、202・・・第1の無機膜、204・・・有機膜、206・・・第2の無機膜、300、400、500、600・・・2つの画素を含む画素回路図、SST・・・選択トランジスタ、DRT・・・駆動トランジスタ、BCT・・・発光制御トランジスタ、RST・・・初期化トランジスタ、ECT・・・容量制御トランジスタ、IST・・・初期化信号入力トランジスタ、CCT・・・電流補正トランジスタ、Cel・・・付加容量、Cs・・・容量素子、OLED・・・発光素子