IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジシールの特許一覧

<>
  • 特許-カートン組立装置 図1
  • 特許-カートン組立装置 図2
  • 特許-カートン組立装置 図3
  • 特許-カートン組立装置 図4
  • 特許-カートン組立装置 図5
  • 特許-カートン組立装置 図6
  • 特許-カートン組立装置 図7
  • 特許-カートン組立装置 図8
  • 特許-カートン組立装置 図9
  • 特許-カートン組立装置 図10
  • 特許-カートン組立装置 図11
  • 特許-カートン組立装置 図12
  • 特許-カートン組立装置 図13
  • 特許-カートン組立装置 図14
  • 特許-カートン組立装置 図15
  • 特許-カートン組立装置 図16
  • 特許-カートン組立装置 図17
  • 特許-カートン組立装置 図18
  • 特許-カートン組立装置 図19
  • 特許-カートン組立装置 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】カートン組立装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/32 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
B65B43/32 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017165730
(22)【出願日】2017-08-30
(65)【公開番号】P2019043569
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】嵜田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】堀川 嗣人
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-290608(JP,A)
【文献】特開2004-238040(JP,A)
【文献】特開2002-096404(JP,A)
【文献】特表2005-534583(JP,A)
【文献】国際公開第2015/107798(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/00-43/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1側面部及び当該一対の第1側面部の幅方向両端に繋がる一対の第2側面部を有し、且つ互いに対角位置にある前記第1側面部及び前記第2側面部の一対の境界が折ら
れることにより平坦に折り畳まれたカートンを、前記一対の第1側面部及び前記一対の第2側面部が四角筒状をなすように組み立てる、カートン組立装置であって、
前記第1側面部を保持する保持部を有し、当該第1側面部が向く側に前記カートンを移動させる、保持ユニットと、
前記保持ユニットによって移動される前記カートンの前記第1側面部に対して平坦に繋がる前記第2側面部を押し起こす押し当て部を有する、押し当てユニットと、を備え、
前記押し当て部は、前記第2側面部を押しつつ、前記第2側面部との接触箇所が、前記幅方向において前記第1側面部と前記第2側面部との境界を超えて前記第1側面部に重な
る位置に到達し、
前記押し当て部と前記第2側面部との接触箇所が前記第1側面部と前記第2側面部との境界を超えた際に前記カートンに対して前記第1側面部が向く側に位置する、一対の搬送
アームをさらに備え、
前記一対の搬送アームは、前記第1側面部の幅方向に互いに離れており且つ互いに平行に延びた形状であり、
前記押し当て部と前記第2側面部とが接触し、前記第1側面部と前記第2側面部とがなす角度が、鈍角から90°を超えて鋭角になった状態の後に、前記保持部によって前記カートンが前記一対の搬送アームの間に進入することを特徴とする、カートン組立装置。
【請求項2】
前記押し当て部は、ローラを含む、請求項1に記載のカートン組立装置。
【請求項3】
前記押し当て部を支持し、且つ前記保持ユニットに対して相対動可能である可動ベースを備える、請求項1または2に記載のカートン組立装置。
【請求項4】
前記一対の搬送アームと直角であるストッパをさらに備え、
前記カートンが前記一対の搬送アームの間に進入した後、前記カートンを前記ストッパに当接させた際に、前記保持部による前記カートンの保持が解除される、請求項1ないし3のいずれかに記載のカートン組立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートン組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平坦に折り畳まれたカートンを、四角筒状をなすように組み立てるカートン組立装置が種々に提案されている。特許文献1には、従来のカートン組立装置の一例が開示されている。同文献に開示されたカートン組立装置は、同文献の図9(a)に示すように、カートンの側面部を保持部によって保持しながら、このカートンを係止部材へと当接させる。そして、同図(b)に示すように、さらに側面部を移動させることにより、カートンを四角筒状に組み立てる構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平09-240623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献のカートン組立装置においては、隣接する側面部が折り返された部分を、係止部材に当接させる。このため、カートンの折り返し部分が凹んだり傷ついたりするおそれがある。また、カートンを組み立てる工程の開始から終了において、保持部は、図中下方に移動するのみである。このため、組み立てに伴って形状が徐々に変化するカートンに対して、十分に効率よく力を伝達できていないことが懸念される。また、カートンの組み立てにおいて、カートンが折り畳まれた状態に戻ろうとする力が発生するため、カートンを十分に四角筒状に形成することが阻害されるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、カートンの損傷を抑制しつつより効率よく組み立てることが可能なカートン組立装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供されるカートン組立装置は、一対の第1側面部及び当該一対の第1側面部の幅方向両端に繋がる一対の第2側面部を有し、且つ互いに対角位置にある前記第1側面部及び前記第2側面部の一対の境界が折られることにより平坦に折り畳まれたカートンを、前記一対の第1側面部及び前記一対の第2側面部が四角筒状をなすように組み立てる、カートン組立装置であって、前記第1側面部を保持する保持部を有し、当該第1側面部が向く側に前記カートンを移動させる、保持ユニットと、前記保持ユニットによって移動される前記カートンの前記第1側面部に対して平坦に繋がる前記第2側面部を当該第2側面部が向く側とは反対側に押しつつ、前記第1側面部の前記幅方向において前記第1側面部に近づくように移動する押し当て部を有する、押し当てユニットと、を備え、前記押し当て部は、前記第2側面部を押しつつ、前記第2側面部との接触箇所が、前記幅方向において前記第1側面部と前記第2側面部との境界を超えて前記第1側面部に重なる位置に到達し、前記押し当て部と前記第2側面部との接触箇所が前記第1側面部と前記第2側面部との境界を超えた際に前記カートンに対して前記第1側面部が向く側に位置する、一対の搬送アームをさらに備え、前記一対の搬送アームは、前記第1側面部の幅方向に互いに離れており且つ互いに平行に延びた形状であり、前記押し当て部と前記第2側面部とが接触し、前記第1側面部と前記第2側面部とがなす角度が、鈍角から90°を超えて鋭角になった状態の後に、前記保持部によって前記カートンが前記一対の搬送アームの間に進入することを特徴としている。
【0007】
このような構成によれば、前記保持ユニットの前記保持部に前記第1側面部が保持された前記カートンは、この第1側面部が向く側に移動する。そして、この第1側面部に平坦に繋がる前記第2側面部が、前記押し当て部によって押し起こされる。すなわち、前記第1側面部と前記第2側面部との境界が折り返された部分が押されることはない。このため、この折り返し部分が凹んだり傷ついたりすることを防止することができる。また、前記押し当て部によって、より効率よく前記第1側面部に対して前記第2側面部を起立した状態とすることができる。したがって、前記カートン組立装置によれば、前記カートンの損傷を抑制しつつより効率よく組み立てることができる。
また、前記押し当て部は、前記第2側面部を押しつつ、前記第2側面部との接触箇所が、前記幅方向において前記第1側面部と前記第2側面部との境界を超えて前記第1側面部に重なる位置に到達するので、前記カートンがワンタッチ底カートンである場合、前記カートンの底面部の係止部同士をより確実に係止させることができる。また、前記カートンがワンタッチ底カートンではない場合であっても、前記第1側面部と前記第2側面部とがなす角度が、鈍角から90°を超えて鋭角とされることにより、前記カートンが平坦に折り畳まれた形状に戻ろうとする力を弱めることが可能であり、前記一対の第1側面部と前記一対の第2側面部とがより完全な四角筒状をなすことを促進することができる。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記押し当て部は、ローラを含む。このような構成によれば、前記押し当て部が前記第2側面部に押し当てられつつ移動する際に、前記押し当て部を構成する前記ローラが回転する。このため、前記押し当て部が前記第2側面部に対して擦れ合うことを抑制可能であり、前記カートンが傷つくことを回避することができる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記一対の搬送アームと直角であるストッパをさらに備え、前記カートンが前記一対の搬送アームの間に進入した後、前記カートンを前記ストッパに当接させた際に、前記保持部による前記カートンの保持が解除される。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記押し当て部を支持し、且つ前記保持ユニットに対して相対動可能である可動ベースを備える。このような構成によれば、前記保持ユニットと前記押し当てユニットとの距離を調整することが可能であり、様々なサイズや形状の前記カートンを組み立てることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カートンの損傷を抑制しつつより効率よく組み立てることができる。
【0012】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るカートン組立装置の一例を示す斜視図である。
図2】本発明に係るカートン組立装置の一例を示す平面図である。
図3】本発明に係るカートン組立装置の一例を示す正面図である。
図4】カートンの一例を示す展開図である。
図5】カートンの一例が折り畳まれた状態を示す断面図である。
図6】カートンの一例が組み立てられる状態を示す要部斜視図である。
図7】本発明に係るカートン組立装置の一例による組み立てを示す要部平面図である。
図8】本発明に係るカートン組立装置の一例による組み立てを示す要部平面図である。
図9】本発明に係るカートン組立装置の一例による組み立てを示す要部平面図である。
図10】本発明に係るカートン組立装置の一例による組み立てを示す要部平面図である。
図11】本発明に係るカートン組立装置の一例による組み立てを示す要部平面図である。
図12】本発明に係るカートン組立装置の一例による組み立てを示す要部拡大平面図である。
図13】本発明に係るカートン組立装置の一例による組み立てを示す要部平面図である。
図14】本発明に係るカートン組立装置の一例による組み立てを示す要部平面図である。
図15】本発明に係るカートン組立装置の一例による組み立てを示す要部平面図である。
図16】本発明に係るカートン組立装置の一例による組み立てを示す要部平面図である。
図17】本発明に係るカートン組立装置の一例による組み立てを示す要部平面図である。
図18】本発明に係るカートン組立装置の一例による組み立てを示す要部平面図である。
図19】カートンの他の例を示す展開図である。
図20】カートンのさらに他の例を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0015】
図1図3は、本発明に係るカートン組立装置の一例を示している。本実施形態のカートン組立装置A1は、支持台1、保持ユニット2、押し当てユニット3、モータ4、チェーンギヤ機構5、ストッパ6及び複数の搬送アーム7を備えている。カートン組立装置A1は、図4図6に示すカートン9を、折り畳まれた状態から四角筒状の状態に組み立てる装置である。
【0016】
図1は、カートン組立装置A1を示す斜視図である。図2は、カートン組立装置A1を示す平面図である。図3は、カートン組立装置A1を示す正面図である。なお、理解の便宜上、図1においては、モータ4、ストッパ6及び搬送アーム7を省略しており、図2においては、搬送アーム7を省略しており、図3においては、ストッパ6及び搬送アーム7を省略している。
【0017】
図4は、カートン組立装置A1によって組み立てられるカートンの一例を示す展開図である。同図に示されたカートン9は、一対の第1側面部91、一対の第2側面部92、一対の第1底面部93、一対の第2底面部94及び蓋部95を有する。
【0018】
一対の第1側面部91及び一対の第2側面部92は、互いの幅方向両端が繋がっている。なお、図示された例においては、つぎしろ97が反対側の第2側面部92に接合される。組み立て前のカートン9は、図5に示すように、第1側面部91と幅方向一方側に位置する第2側面部92とが平坦に繋がり、互いに対角位置にある第1側面部91及び第2側面部92の一対の境界が折られている。これにより、組み立て前のカートン9は、平坦に折り畳まれている。
【0019】
また、図示されたカートン9は、いわゆるワンタッチ底カートンと称される構造であり、一対の第1底面部93の各々が、係止部931及び貼付部932を有する。一対の第1底面部93の係止部931は、図6に示すように、カートン9が組み立てられる際に、互いに係合することにより、カートン9の底部分の剛性を高める部位である。貼付部932は、平坦に折り畳まれる前に予め第2底面部94に接合される部位である。
【0020】
蓋部95は、組み立てが完了したカートン9に、瓶等の内容物を収容した後に、カートン9を封鎖するためのものである。蓋部95には、封鎖をより確実に行うためのフラップ951が設けられている。また、蓋部95の両側に相当する部分には、一対のサイドフラップ96が設けられている。
【0021】
なお、カートン9は、ワンタッチ底カートンに限定されず、図19及び図20に示すように、後述する例のように、カートン組立装置A1による組み立ての後に、別作業によって底部分が形成される構成であってもよい。たとえば、図19に示す例においては、カートン9は、底部分を構成する部位として、第1底面部93及び一対の第2底面部94を有する。カートン組立装置A1による組み立てによって一対の第1側面部91及び一対の第2側面部92が四角筒状に形成された後に、一対の第2底面部94と一対の第2側面部92との境界を折り、次いで第1底面部93と第1側面部91との境界を折るとともに、フラップ第1底面部933を挿入することにより、底部分が形成される。また、図20に示す例においては、カートン9は、底部分を構成する部位として、第1底面部93、一対の第2底面部94およびフラップ98を有する。また、本例においては、カートン9は、蓋部95に対向する位置にフラップ99を有している。カートン組立装置A1による組み立てによって一対の第1側面部91及び一対の第2側面部92が四角筒状に形成された後に、一対の第2底面部94及びフラップ98と一対の第2側面部92及び第1側面部91との境界を折り、次いで第1底面部93と第1側面部91との境界を折るとともに、第1側面部91を固定するための例えば接着処理を行う。これにより、本例における底部分が形成される。
【0022】
支持台1は、保持ユニット2及び押し当てユニット3等を支持するものである。支持台1の具体的構成は特に限定されず、保持ユニット2及び押し当てユニット3等が適切に機能を発揮しうる構成であればよい。
【0023】
本実施形態においては、支持台1は、固定ベース11及び可動ベース12からなる。固定ベース11は、カートン組立装置A1の設置場所に対して載置される等により固定状態とされるベースである。可動ベース12は、固定ベース11に対して図2及び図3における図中左右方向に移動可能とされている。本実施形態においては、固定ベース11が保持ユニット2を支持しており、可動ベース12が押し当てユニット3を支持している。
【0024】
可動ベース12には、複数の長孔121が形成されている。長孔121は、図2における図中左右方向を長手方向とする形状の貫通孔である。固定ベース11には、複数のピン111が設けられている。ピン111は、上方に突出しており、可動ベース12の長孔121に収容されている。固定ベース11に対して可動ベース12を移動させる際には、ピン111と長孔121とが係合し、可動ベース12の移動をガイドする。また、本実施形態においては、支持台1には、調整ロッド13が設けられている。調整ロッド13は、図2における図中左右方向に延びており、左右方向に延びる軸線回りに回転させられることにより、可動ベース12を固定ベース11に対して図中左右方向に移動させるためのものである。
【0025】
保持ユニット2は、カートン9の第1側面部91を保持しつつ、保持した第1側面部91が向く側にカートン9を移動させるユニットである。本実施形態においては、保持ユニット2は、保持部21、保持アーム22、リンクアーム23、中間支持部24、周回アーム25、遊星ギア26及び環状ギア27によって構成されている。なお、図7は、保持ユニット2及び押し当てユニット3を含む部分を示す要部拡大平面図である。保持ユニット2の構成は、特に限定されず、本実施形態のようなリンク機構を用いた構成のほか、たとえば産業用ロボットを用いて構成されていてもよい。
【0026】
保持部21は、カートン9の第1側面部91を保持する部分である。本実施形態においては、保持部21は、吸引によって第1側面部91を保持する。保持アーム22は、保持部21を支持する棒状部材である。本実施形態においては、保持アーム22には、保持部21に通じる吸引孔が形成されていてもよい。この場合、保持アーム22には、図示しない吸引用のホース(図示略)が接続される。このホースは、図示しないポンプ等の吸引源に接続されている。
【0027】
リンクアーム23は、保持アーム22を支持している。本実施形態においては、保持アーム22とリンクアーム23とは、互いになす角度が固定されており、たとえば略直角とされている。中間支持部24は、リンクアーム23を固定ベース11に対して支持するものである。本実施形態においては、中間支持部24は、リンクアーム23の長手方向におけるスライドと、平面視における回転とを許容するように、リンクアーム23を支持している。
【0028】
周回アーム25は、リンクアーム23の端部に対して回転可能に取り付けられている。また、周回アーム25は、遊星ギア26に対して固定されており、遊星ギア26に対する回転及び移動が阻止されている。遊星ギア26は、環状ギア27に螺合した自転をしつつ、環状ギア27に沿って公転するギヤである。この遊星ギア26の自転及び公転に伴って周回アーム25も自転及び公転する。遊星ギア26は、モータ4の駆動力によって回転させられる。環状ギア27は、内面に複数の歯が形成されたギヤであり、固定ベース11に固定されている。本実施形態においては、後述の組立工程において、遊星ギア26が、図7における時計回りに自転し、これにより反時計回りに公転する。
【0029】
押し当てユニット3は、保持ユニット2によって保持された第1側面部91に平坦に繋がる第2側面部92を押し起こすことにより、カートン9が四角筒状になることを促すユニットである。本実施形態においては、押し当てユニット3は、押し当て部31、屈曲アーム32、連結アーム33、スイングアーム34及びカムホイール35によって構成されている。なお、押し当てユニット3の構成は、特に限定されず、本実施形態のようなカムクランク機構を用いた構成のほか、たとえば産業用ロボットを用いて構成されていてもよい。
【0030】
押し当て部31は、保持ユニット2の保持部21によって保持された第1側面部91に平坦に繋がる第2側面部92に押し当てられることにより、この第2側面部92を押し起こす部位である。押し当て部31は、第2側面部92を適切に押し起こすことが可能であれば、その具体的構成は特に限定されない。本実施形態においては、押し当て部31は、ローラによって構成されている。
【0031】
屈曲アーム32は、押し当て部31が取り付けられたアームであり、軸323によって可動ベース12に回転可能に支持されている。本実施形態においては、屈曲アーム32は、第1部321および第2部322を有する。第1部321と第2部322とは、軸323において互いに固定されている。第1部321の先端には、押し当て部31が取り付けられている。第2部322には、長孔322aが形成されている。
【0032】
連結アーム33は、屈曲アーム32とスイングアーム34とを連結する部位である。連結アーム33は、ピン331を有する。ピン331は、屈曲アーム32の第2部322の長孔322aに収容されている。このため、屈曲アーム32の第2部322と連結アーム33とは、長孔322a内をピン331が移動する範囲において互いに回転及び移動が可能とされている。また、連結アーム33は、スイングアーム34の先端に回転可能に支持されている。
【0033】
スイングアーム34は、軸342によって可動ベース12に回転可能に支持されている。このため、スイングアーム34は、軸342を中心として揺動可能である。スイングアーム34には、ローラ341が設けられている。ローラ341は、スイングアーム34の中央付近に設けられている。
【0034】
カムホイール35は、外周形状が、押し当て部31を所定の軌道で動作させるための形状とされており、モータ4の駆動力によって回転する。カムホイール35の外周は、スイングアーム34のローラ341に当接している。なお、スイングアーム34は、たとえば図示しないばねによってローラ341が常にカムホイール35の外周に当接するように付勢されている。
【0035】
モータ4は、保持ユニット2及び押し当てユニット3を動作させるための駆動源である。本実施形態においては、1つのモータ4によって保持ユニット2及び押し当てユニット3が動作している。なお、本実施形態とは異なり、保持ユニット2及び押し当てユニット3のそれぞれに専用のモータ4を設けてもよい。また、モータ4に代えて、エアシリンダ等の機器を駆動源として採用してもよい。
【0036】
チェーンギヤ機構5は、モータ4の駆動力を保持ユニット2の遊星ギア26と押し当てユニット3のカムホイール35とのそれぞれに伝達するための機構である。チェーンギヤ機構5は、モータ4に連結されたシャフト、当該シャフトの回転を伝達するギヤ、当該ギヤに掛け回されたチェーン、等が必要に応じて複数個用いられた機構である。
【0037】
ストッパ6は、四角形状に組み立てられたカートン9が、保持ユニット2から離脱することを補助するものである。本実施形態においては、ストッパ6は、保持ユニット2の保持部21や保持アーム22と高さ方向において異なる高さに設けられており、これらとの干渉が回避されている。
【0038】
複数の搬送アーム7は、ストッパ6において保持ユニット2から離脱したカートン9を、図7における図中右方に搬送するためのものである。本実施形態においては、隣り合う搬送アーム7の間にカートン9を挟んだ状態で、このカートン9が搬送される。なお、組み立てられたカートン9を搬送する機構は特に限定されず、保持ユニット2及び押し当てユニット3による組立動作を適切に行いつつ、カートン9を搬送可能な構成であればよい。
【0039】
次に、カートン組立装置A1によるカートン9の組立工程について、図7図18を参照しつつ、以下に説明する。なお、これらの図においては説明の便宜上、平面視において手前側に向かう方向を方向Fとし、奥側に向かう方向を方向Bと定義する。また、平面視において、右方を方向Rとし、左方を方向Lと定義する。
【0040】
図7は、あるカートン9の組立工程の初期状態を示している。同図に示す状態においては、遊星ギア26が、その軌道上において最も方向F側に位置している。この状態の遊星ギア26及びカムホイール35の角度を、180°(時計回りが正方向)と定義する。供給位置αは、折り畳まれたカートン9が供給される位置である。カートン9の供給手法は特に限定されず、複数の折り畳まれたカートン9が並べられていてもよいし、図示しない搬送機構によって折り畳まれたカートン9が順次搬送される構成であってもよい。同図においては、折り畳まれたカートン9を便宜上1つの直線で示している。カートン9の方向L側には、方向Bを向く第1側面部91が位置しており、方向R側には、方向Bを向く第2側面部92が位置している。これらの第1側面部91と第2側面部92とは、互いに平坦に繋がっている。同図においては、保持ユニット2の保持部21が、供給位置αのカートン9の第1側面部91を吸引によって保持している。また、この状態においては、押し当てユニット3の押し当て部31は、第2側面部92に未だ当接していない。
【0041】
図8は、遊星ギア26が170°、カムホイール35が190°の位置にそれぞれ回転した状態を示している。遊星ギア26の回転に伴い、周回アーム25が10°回転している。これにより、リンクアーム23が、若干傾きつつ方向Bに移動している。また、保持アーム22が、若干傾きつつ方向Bに移動している。これにより、保持部21に保持されたカートン9が、若干傾いた姿勢で、保持部21に保持された第1側面部91が向く側である方向Bに移動している。カムホイール35の外周のうちローラ341が当接している部分は、同一半径の円の一部である。このため、スイングアーム34、連結アーム33、屈曲アーム32及び押し当て部31は、動作していない。
【0042】
図9は、遊星ギア26が140°、カムホイール35が220°の位置にそれぞれ回転した状態を示している。遊星ギア26の回転に伴い、周回アーム25、リンクアーム23及び保持アーム22がさらに傾きつつ方向Bに移動している。これにより、カートン9が方向Bに移動している。また、カムホイール35の外周のうちローラ341が当接している部分は、同一半径の円の部分から内方に凹んだ部分となっている。これにより、スイングアーム34は、方向Fに若干揺動している。また、連結アーム33が方向Fに若干移動し、屈曲アーム32が時計回りに若干回転している。そして、押し当て部31が第2側面部92に当接している。
【0043】
図10は、遊星ギア26が125°、カムホイール35が235°の位置にそれぞれ回転した状態を示している。カートン9は、さらに方向Bに移動している。スイングアーム34がさらに方向Fに揺動することから、屈曲アーム32が時計回りにさらに回転している。これにより、押し当て部31は、第2側面部92を、この第2側面部92が向く側とは反対側である方向Fに押している。また、押し当て部31は、第1側面部91の幅方向Wにおいて、第1側面部91に近づく側に移動している。この結果、第2側面部92が押し当て部31によって押し起こされ、第2側面部92が第1側面部91に対して起立した状態とされつつある。
【0044】
図11及び図12は、遊星ギア26が110°、カムホイール35が250°の位置に回転した状態を示している。カートン9は、さらに方向Bに移動している。また、カムホイール35の外周のうちスイングアーム34のローラ341が当接する部分は、カムホイール35の回転中心からの距離がより小さくなっている。このため、スイングアーム34がさらに方向Fに揺動することから、屈曲アーム32が時計回りにさらに回転している。これにより、押し当て部31が第2側面部92をさらに押し込んでおり、同図においては、第1側面部91と第2側面部92とがなす角度が、鈍角から90°に到達しさらに鋭角になっている。すなわち、図12に示すように、押し当て部31と第2側面部92との接触点Pが、第1側面部91の幅方向Wにおいて第1側面部91と第2側面部92との境界を超えて第1側面部91と重なる位置に到達している。言い換えると、接触点Pを通り幅方向W(第1側面部91)と直角である直線Lが、第1側面部91と交差している。カートン9がワンタッチ底カートンである場合、第1側面部91と第2側面部92とがなす角度が90°以下となると、図4及び図6に示す一対の第1底面部93の係止部931同士が互いに係止する。これにより、一対の第1底面部93及び一対の第2底面部94によって、カートン9の底部が形成される。
【0045】
図13は、遊星ギア26が80°、カムホイール35が280°の位置にそれぞれ回転した状態を示している。カートン9がさらに方向Bに移動し、一対の搬送アーム7の間に進入しつつある。また、カムホイール35の外周のうちスイングアーム34のローラ341が当接する部分は、回転中心からの距離が大きくなっている。このため、スイングアーム34が方向Bに揺動し、屈曲アーム32が反時計回りに回転している。これにより、押し当て部31がカートン9の第2側面部92から離れていく。
【0046】
図14は、遊星ギア26が50°、カムホイール35が310°の位置にそれぞれ回転した状態を示している。カートン9が、さらに方向Bに移動し、その殆どが一対の搬送アーム7の間に進入している。また、カムホイール35の外周のうちスイングアーム34のローラ341が当接する部分は、同一半径の円形部分に復帰している。このため、スイングアーム34がさらに方向Bに揺動し、押し当て部31が第2側面部92から完全に離れている。
【0047】
図15は、遊星ギア26が20°、カムホイール35が340°の位置にそれぞれ回転した状態を示している。図14から図15に至る過程において、カートン9がストッパ6に当接している。この際に、保持ユニット2の保持部21からの吸引が停止し、保持部21によるカートン9の保持が解除されている。ストッパ6に当接したカートン9は、四角筒状に組み立てられた状態で、排出位置βに位置している。図15においては、保持部21がさらに方向Bに移動し、カートン9の第1側面部91から完全に離れている。一方、カムホイール35の回転によってスイングアーム34は揺動していないため、押し当て部31は停止している。
【0048】
図16は、遊星ギア26が320°、カムホイール35が40°の位置にそれぞれ回転した状態を示している。保持部21がカートン9から方向Bに大きく離れている。押し当て部31は、停止した状態が保たれている。カートン9を挟んだ一対の搬送アーム7は、カートン9を排出位置βから方向Rに搬送している。なお、一対の搬送アーム7の駆動方法は特に限定されず、たとえば、モータ等によって周回駆動されるベルトに取り付けられた構成であってもよいし、エアシリンダ等によって往復動する構成であってもよい。また、カートン9の搬出方法や搬出方向は、特に限定されない。
【0049】
図17は、遊星ギア26が260°、カムホイール35が100°の位置にそれぞれ回転した状態を示している。リンクアーム23が方向Fへと復帰し始めており、保持部21が方向Fに移動している。一対の搬送アーム7に挟まれたカートン9は、さらに方向Rへと搬送されている。図18は、遊星ギア26が200°、カムホイール35が160°の位置にそれぞれ回転した状態を示している。リンクアーム23、保持アーム22及び保持部21がさらに方向Fに移動している。この状態から遊星ギア26及びカムホイール35がさらに20°回転すると、図7に示す状態に復帰する。この後は、供給位置αにおいて新たなカートン9を保持し、上述した組立工程を繰り返すことにより、複数のカートン9を連続的に組み立てられ、順次搬送される。
【0050】
次に、カートン組立装置A1の作用について説明する。
【0051】
本実施形態によれば、図9及び図10に示すように、保持ユニット2の保持部21に第1側面部91が保持されたカートン9は、この第1側面部91が向く側である方向Bに移動する。そして、この第1側面部91に平坦に繋がる第2側面部92が、押し当て部31によって押し起こされる。より具体的には、この第2側面部92は、押し当て部31によってこの第2側面部92が向く側と反対側である方向Fに押される。これにより、第2側面部92が第1側面部91に対して起立した状態に起こされる。本実施形態においては、第1側面部91と第2側面部92との境界が折り返された部分が押されることはない。このため、この折り返し部分が凹んだり傷ついたりすることを防止することができる。また、押し当て部31は、第2側面部92を方向Fに押しつつ、第1側面部91の幅方向Wにおいて第1側面部91に近づくように方向Lに移動する。これにより、第2側面部92を単に方向Fにのみ押した場合と比べて、より効率よく第1側面部91に対して第2側面部92を起立した状態とすることができる。したがって、カートン組立装置A1によれば、カートン9の損傷を抑制しつつより効率よく組み立てることができる。
【0052】
また、本実施形態においては、押し当て部31がローラを含んでいる。これにより、押し当て部31が第2側面部92に押し当てられつつ移動する際に、押し当て部31を構成するローラが回転する。このため、押し当て部31が第2側面部92に対して擦れ合うことを抑制可能であり、カートン9が傷つくことを回避することができる。
【0053】
また、本実施形態においては、図12に示すように、押し当て部31と第2側面部92との接触点Pが、第1側面部91の幅方向Wにおいて第1側面部91と第2側面部92との境界を超えて第1側面部91と重なる位置に到達している。これにより、カートン9がワンタッチ底カートンである場合、図4及び図6に示す一対の第1底面部93の係止部931同士をより確実に係止させることができる。また、カートン9がワンタッチ底カートンではない場合であっても、第1側面部91と第2側面部92とがなす角度が、鈍角から90°を超えて鋭角とされることにより、第1側面部91が平坦に折り畳まれた形状に戻ろうとする力を弱めることが可能であり、一対の第1側面部91と一対の第2側面部92とがより完全な四角筒状をなすことを促進することができる。
【0054】
本実施形態においては、可動ベース12が固定ベース11に対して移動調整可能とされている。固定ベース11には保持ユニット2が固定されており、可動ベース12には押し当てユニット3が固定されている。これにより、保持ユニット2と押し当てユニット3との距離を調整することが可能であり、様々なサイズや形状のカートン9を組み立てることができる。また、本実施形態においては、リンクアーム23によって保持アーム22が固定される箇所や、第1部321と第2部322とがなす角度等を適宜調整可能であり、様々なサイズや形状のカートン9により細やかに対応することができる。
【0055】
本発明に係るカートン組立装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るカートン組立装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0056】
A1 :カートン組立装置
1 :支持台
2 :保持ユニット
3 :押し当てユニット
4 :モータ
5 :チェーンギヤ機構
6 :ストッパ
7 :搬送アーム
9 :カートン
11 :固定ベース
12 :可動ベース
13 :調整ロッド
21 :保持部
22 :保持アーム
23 :リンクアーム
24 :中間支持部
25 :周回アーム
26 :遊星ギア
27 :環状ギア
31 :押し当て部
32 :屈曲アーム
33 :連結アーム
34 :スイングアーム
35 :カムホイール
91 :第1側面部
92 :第2側面部
93 :第1底面部
94 :第2底面部
95 :蓋部
96 :サイドフラップ
111 :ピン
121 :長孔
321 :第1部
322 :第2部
322a :長孔
323 :軸
331 :ピン
341 :ローラ
342 :軸
931 :係止部
932 :貼付部
951 :フラップ
B :幅方向
P :接触点
F,B,R,L:方向
α :供給位置
β :排出位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20