(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】第1パッケージとは別の滅菌バリアを有する滅菌容器と滅菌容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
A61M1/16 185
(21)【出願番号】P 2017178991
(22)【出願日】2017-09-19
【審査請求日】2020-07-29
(31)【優先権主張番号】10 2016 117 599.4
(32)【優先日】2016-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517289480
【氏名又は名称】ベー・ブラウン・アヴィトゥム・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】B. BRAUN AVITUM AG
【住所又は居所原語表記】SCHWARZENBERGER WEG 73‐79, 34212 MELSUNGEN, BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ジナ・ブルケルト
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-002466(JP,A)
【文献】特開昭63-248678(JP,A)
【文献】特開2001-149471(JP,A)
【文献】国際公開第2009/017227(WO,A1)
【文献】特開2005-095271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61J 1/00
B65D 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パッケージの密封された保持容積部に収納され、血液流入口と血液流出口とによって区切られた血液コンパートメントを備える少なくとも1つの中空ファイバフィルタモジュー
ルを有する滅菌容器であって、
前記第1パッケージ内において、複数の中空ファイバフィルタモジュールが配設され、前記第1パッケージ内における各前記中空ファイバフィルタモジュールの前記血液コンパートメントの滅菌バリアが、各前記中空ファイバフィルタモジュールの前記血液流入口と前記血液流出口とを閉じるキャップによって実現されることを特徴とする、滅菌容器。
【請求項2】
前記少なくとも1つの中空ファイバフィルタモジュールは透析器である、請求項1に記載の滅菌容器。
【請求項3】
前記キャップは、摩擦接続を介して、前記血液流入口および/又は前記血液流出口に接続されている、請求項1
又は2に記載の滅菌容器。
【請求項4】
前記第1パッケージは、当該第1パッケージに穴あきが形成されることを防止するべく、耐穴あきフィルムとして形成されている、請求項1
~3のいずれか一項に記載の滅菌容器。
【請求項5】
酸化材料のストレスを回避するべく、前記第1パッケージ又は前記保持容積部に酸素吸収剤が導入されている、請求項1~
4のいずれか一項に記載の滅菌容器。
【請求項6】
前記酸素吸収剤は、耐穴あきフィルムと一体に設けられている、請求項
5に記載の滅菌容器。
【請求項7】
前記第1パッケージが、前記酸素吸収剤による酸素吸収によって収縮すると共に当該第1パッケージの内部に配設された前記中空ファイバフィルタモジュールに対して隣接することによって、前記中空ファイバフィルタモジュールが互いに対して押圧するように固定されている、請求項
5又は
6に記載の滅菌容器。
【請求項8】
前記保持容積部において、前記中空ファイバフィルタモジュールの少なくとも一部の間に中間層が介在している、請求項1~
7のいずれか一項に記載の滅菌容器。
【請求項9】
前記第1パッケージは、堅固な容器として構成された第2パッケージによって包囲されている、請求項1~
8のいずれか一項に記載の滅菌容器。
【請求項10】
前記第2パッケージと前記第1パッケージとの間に、前記中空ファイバフィルタモジュールに対して作用する衝撃を緩衝するべく中間パッドが介在している、請求項
9に記載の滅菌容器。
【請求項11】
滅菌容
器を製造する方法であって、
複数の中空ファイバフィルタモジュールが、第1パッケージ内に配設され、
その後、前記第1パッケージを、密封された保持容積部を形成しつつ閉じ、
前記閉じられた保持容積部中に存在する酸素を酸素吸収剤によって吸収し、
その後、ガンマ線放射による滅菌を行い、
前記中空ファイバフィルタモジュールをパッケージ化された状態でその内部に含む前記第1パッケージを第2パッケージに導入する、製造方法。
【請求項12】
前記滅菌容器は請求項1~10のいずれか一項に記載の滅菌容器である請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記第1パッケージの前記保持容積部が、前記酸素吸収によって収縮し、これにより、当該保持容積部の内部に収納された前記中空ファイバフィルタモジュールは、前記第1パッケージに接触することによって、および/又は、前記中空ファイバフィルタモジュールの相互の接触によって、安定した位置に固定されている、請求項
11又は12に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1パッケージの密封された保持容積部に収納され、例えばルアー接続部材として構成される血液流入口と血液流出口とによって区切られた血液コンパートメントを備える少なくとも1つの中空ファイバフィルタモジュール、特に透析器を有する滅菌容器に関する。更に、本発明は、滅菌容器の製造方法、特に、本明細書に記載され添付の請求項のいずれかによる本発明の滅菌容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療製品のためのパッケージに関する要件は、多数の基準に規定されている。特に、滅菌医療製品用のパッケージは、厳しい規制を受ける。中空ファイバフィルタ、例えば透析器の場合には、基準EN ISO8637:2014「心血管インプラントと体外システム-血液透析器、血液透析ろ過器、血液フィルタおよび血液濃縮器」(EN ISO 8637:2014“Cardiovascular implants and extracorporeal systems - hemodialyzers, hemodiafilters, hemofilters and hemoconcentrators”)が特に重要であって、これに従う必要がある。パッケージ化中空ファイバフィルタモジュールの滅菌に関して、この基準は、装置の血液搬送部分を滅菌し、最終的に適切にパッケージ化しなければならないと規定している。透析器等の中空ファイバフィルタとの関係では、このことは、モジュールの血液コンパートメントは滅菌する必要があるのに対して、透析液コンパートメントにはそれよりも低い要件が課せられる、ということを意味する。
【0003】
パッケージ化中空ファイバフィルタモジュールを滅菌するために、放射線の範囲に含まれるガンマ線を使用することが一般的に知られている。ガンマ線滅菌は、パッケージ化中空ファイバフィルタモジュールと、滅菌中にこの目的のための使用されるパッケージとの両方に対する酸化材のストレス(oxidative material stress)を回避するために酸素の不在下で行われる。中空ファイバフィルタモジュール用の公知の滅菌容器においては、一度に一つのモジュールが、外部環境に対して密封された第1パッケージ内に1つの酸素吸収剤と共にパッケージ化される。前記酸素吸収剤は、前記第1パッケージ(ポリアミドとポリエチレンとから成る特殊なパッケージ)に入れられ、それによって、医療製品と前記パッケージの内部から酸素をほとんど完全に除去する。前記酸素吸収剤とパッケージ化中空ファイバフィルタモジュールとの周りで、前記第1パッケージはその内部に前記酸素吸収によってもはやほとんど酸素が存在しない保持容積部を取り囲み形成する密封エンベロープを形成する。この条件下で、ガンマ線放射による滅菌が行われる。その後、例えばロットサイズが20の、複数の第1次パッケージ化された滅菌ユニットが第2パッケージ内に収納される。これにより、前記第2パッケージは、20の密にパッケージ化された滅菌中空ファイバフィルタモジュール(透析器)を収納したものと言うことができる。前記第1パッケージは、滅菌中において滅菌されるべき容積部を規定し、従って、滅菌コンパートメントと非滅菌コンパートメントとの間のバリアである滅菌バリアを形成する。
【0004】
従来技術による上述した概念には大きな課題がある。一方において、滅菌前及び滅菌中において、滅菌される容積部を無酸素状態にしなければならない。他方において、滅菌パッケージ化後、最終使用までの容器の搬送と保存(通常は、最大3年間)中、前記中空ファイバフィルタモジュールの滅菌状態を守らなければならない。上述した公知の滅菌容器では、不適切な輸送および/又は保存によって、例えば、その内部に前記フィルタモジュールを含む第1パッケージが第2パッケージ内において互いに擦れて、繊細な第1パッケージに小さな穴があく可能性があるという欠点がある。滅菌前に第1パッケージに穴があくことによって、外部からパッケージ内に酸素が拡散して滅菌中に存在することになるかもしれない。このように、材料が酸化によってストレスを受けうる。滅菌後に穴があいた場合は、第1パッケージの、従って、フィルタモジュールの透析液コンパートメントの、保持容積部内で非滅菌状態が発生するかもしれない。公知のパッケージ化概念のもう一つの欠点は、第1パッケージにパッケージ化された個々のフィルタモジュールに対して常に追加の酸素吸収材を添加しなければならないことである。
【0005】
たとえば、フィルタモジュールの形状に適合する強力な特殊フィルム、或いは、市場において入手可能な代替フィルムから形成される深絞りパッケージによる他のパッケージ化コンセプトも知られている。滅菌が同様にガンマ線の放射によって行われる別の公知の解決構成は、タイトなアルミニウムコーティングされたパッケージを利用するものである。これらのコンセプトの欠陥は、高コストと高い生産費用にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術に基づき、本発明の基礎となる課題は、上に挙げた欠点を取り除くこと、特に、それによって、不適切な輸送および保管によって滅菌バリアに穴があくリスクを低減し、それによって、たとえ、不適切な輸送および/又は不適切な保管の場合であっても、製品の滅菌状態を確保することが可能な、技術コンセプトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に依れば、この課題は、第1パッケージの密封保持容積部に収納され、血液流入口と血液流出口とによって区切られた血液コンパートメントを備える、例えば透析器である少なくとも1つの中空ファイバフィルタモジュールを有する滅菌容器によって達成される。本発明が優れている点は、前記第1パッケージ内において、複数の中空ファイバフィルタモジュールが配設され、前記第1パッケージ内の各前記中空ファイバフィルタモジュールの前記血液コンパートメントの滅菌バリアが、各前記中空ファイバフィルタモジュールの前記血液流入口と前記血液流出口を閉じる保護キャップ等のキャップによって実現されることにある。方法に関しては、前記課題は、特に、添付の請求項のいずれか又は本明細書による、滅菌容器を製造する方法によって達成され、ここで、複数の中空ファイバフィルタモジュール、特に、透析器が、第1パッケージ内に配設され、その後、前記第1パッケージを、その閉じられた保持容積部中に存在する酸素を酸素吸収剤によって吸収しながら、密封保持容積部を形成しつつ閉じ、その後ガンマ線放射による滅菌を行い、前記中空ファイバフィルタモジュールをパッケージ化された状態でその内部に含む前記第1パッケージを第2パッケージに導入する。
【0008】
本発明が特に有利な点は、そのそれぞれが血液コンパートメントと透析液コンパートメントを含む複数の中空ファイバフィルタモジュール/透析器を有する前記第1パッケージが滅菌バリアと同等ではないことにある。従って、本発明に依れば、前記滅菌バリアは、二つの血液接続部、即ち、共に好ましくは、ルアー接続部として構成される前記血液流入口と血液流出口、をカバーする前記保護キャップによってのみ形成される。前記保護キャップは穴あきに対して頑丈で、これが容器の使用寿命に亘って容器の滅菌性に対して好影響を与える。更に、この構成の結果、滅菌状態に維持すべきコンパートメントの容積が従来よりもはるかに小さくなり、そのことは時間と利益率の観点から滅菌の効率性を高めることに役立つ。本発明に依れば、複数の透析器が、これら透析器を外気に対して密封状態に封止する単一の第1パッケージによって包囲されることから複数の利点が生じる。なぜならば、単一の第1パッケージがその内部に複数の透析器を収納すると、これら複数の透析器間に存在する第1パッケージの部分が実質的に無くなり、それによって、滅菌容器内にパッケージ化された複数の透析器間の互いの移動による穴あきが大幅に防止されるか、あるいは、少なくとも従来技術に対して低減される。更に、本発明によって形成される前記第1パッケージの表面は、同数のフィルタモジュールに関して、従来技術による複数の第1パッケージの表面よりも確実に小さい。
【0009】
本発明の有利な実施例は従属請求項にクレームされており、それらについて以下に詳述する。
【0010】
好適には、前記閉じキャップ/保護キャップ/キャップは、前記血液流入口と前記血液流出口とに対して、摩擦接続によって、非ポジティブ接続/摩擦ロック/接続、される。各開口部がルアー開口部、特にルアー接続部、として構成される場合、ルアーロックによって、力はめを容易かつ確実に実現することができる。前記非ポジティブ接続に対する代替構成として、前記閉じキャップの主としてポジティブな取り付けが有利である。この点に関して、クリッピング(挟持)、クリンピング(圧着)、又はマウンティング(装着)が適切である。
【0011】
別の有利な実施例において、前記第1パッケージは、前記第1パッケージに対する穴あきを防止するべく、耐穴あきフィルムとして構成される。このようなフィルムは、例えば、第1パッケージ用に従来技術において使用される一般的なフィルムと比較して、延性において優れている。本発明の一実施例に依れば、前記第1パッケージは、フレキシブルフィルムによっても形成される。そのフレキシビリティにより、それはその内部にパッケージ化されたフィルタモジュールの形状に適切に適合することができる。前記フィルムは、パッケージを少なくとも滅菌中に、無酸素状態にするためのものである。好ましくは、更に、それは極めて長期、例えば、三年間、に亘って密封され、それにより、パッケージは、そのような長期に亘っても無酸素状態とされる。滅菌後において、それでも極めて長い期間中に、酸素が前記フィルムを通して移動する場合も、無酸素状態は一旦滅菌された製品の品質に対して劣化作用を与えないので、滅菌性が前記保護キャップによって確保される限り不都合は生じない。
【0012】
酸化材料のストレスを回避するために前記パッケージ又は前記保持容積部に酸素吸収剤が導入されるやいなや、滅菌が確実に実行され、その終了時には、不要な微生物が除去される。本発明に依れば、第1パッケージが複数の透析器を収納するので、個々のフィルタモジュールに対して別々の酸素吸収剤を提供しなければならない代わりに、複数のフィルタモジュールに対して一つの酸素吸収剤を使用するだけでよい。これによって、滅菌容器の製造中における取り扱いと製造作業が容易になる。
【0013】
その代わり、又は、それに加えて、前記酸素吸収剤を前記耐穴あきフィルムに一体化することができ、これにより、前記パッケージは、酸素吸収フィルムによって形成することができる。十分に大きな容積を有する適当に大きな酸素吸収剤又はフィルムを使用することによって、非常にタイトなパッケージを製造することができ、これによって、透析器間の衝撃接触が劇的に低減される。即ち、大気中の酸素が除去され、パッケージが収縮して透析器を強く圧縮する。
【0014】
前記酸素吸収剤による酸素吸収によって前記第1パッケージが収縮すること、特に、この第1パッケージが収縮することによって、その内部に配設された前記中空ファイバフィルタモジュール/透析器の近傍に位置しこれらが互いに対して押圧するように固定されることから別の利点が生じる。このように、シュリンクフィルムを使用する場合と類似して、第1パッケージ内にパッケージ化されたフィルタモジュールが互いに対して、又、第1パッケージに対して隣接して、パッケージ結合物(compound)内の各モジュールが比較的安定した位置を有する比較的強固なパッケージ化容器が作り出される。従って、前記フィルタモジュールの互いに対する、又、前記第1パッケージに対する、相互変位を大幅に回避することが可能となる。これにより、滅菌バリアの穴あきが引き続き回避されながら、第1パッケージの穴あきの可能性が更に低減される。本発明による方法に依れば、前記第1パッケージの保持容積部が、酸素吸収によって減少する。これによって、その内部に収納された中空ファイバフィルタモジュールが第1パッケージとの接触、および/又は、それら同士の相互接触によって安定した位置に固定されるようにする、ということができる。
【0015】
本発明の別実施例は、前記中空ファイバフィルタモジュールの少なくとも一部の間の前記保持容積部において、中間層、例えば、段ボール紙、フィルム、気泡、フォームパッドとして構成されるものが介在している。このような中間層は、前記フィルタモジュールの互いに対する移動を抑制、少なくとも制限、することができる。従って、それらは、パッケージ化されたフィルタモジュールの保護のみならず、第1パッケージの保護のためにも作用することができる。これにより、フィルタモジュールの移動による穴あきを回避することができる。前記中間層は、互いに対して平行に、或いは、互いに交差するように、配置することができる。
【0016】
別の実施例に依れば、前記第1パッケージは、硬いレセプタクルとして構成される、特に、ボール紙箱、によって形成される、第2パッケージによって包囲することができる。木材、プラスチック、金属、等の異なる材料を使用することも本発明の範囲に含まれる。
【0017】
前記第2パッケージと前記第1パッケージとの間には、前記透析器に対する衝撃を緩衝するために、例えば、段ボール紙、フィルム、気泡、フォームパッド、として構成される、中間層を配置することができる。衝撃とは別に、前記中間層によって、外部から滅菌容器に作用する可能性のある振動が滅菌バリア或いは前記第1パッケージに対して作用しなくなる。前記第1パッケージ内の透析器の配置は、前記第2パッケージにおいて縦配置又は水平配置とすることができる。このことは、前記第2パッケージは、その上方、又はその側方から充填することができる、ということを意味する。
【0018】
本発明による方法に関して、一実施例の特徴は、その内部に前記中空ファイバフィルタモジュール/透析器がパッケージ化された前記第1パッケージを前記第2パッケージ内に導入した後に、滅菌が行われることにある。このようにすることで、滅菌中において、第1パッケージの特に適切な保護が達成される。
【0019】
尚、本発明は、透析器に関するすべての規制に適合しながら、滅菌までに、複数の中空ファイバフィルタモジュール、特に透析器の非常にタイトなパッケージを作るために酸素吸収材が使用される別のパッケージ化コンセプト、を提供するものである、ということができる。第1オプションにおいては、追加の酸素吸収剤を含むフィルムが使用される。第2オプションにおいては、酸素吸収剤が組み込まれた特殊なフィルムが使用される。これら両オプションを組み合わせることも可能である。本発明に依れば、一般的なパッケージ化用フィルムと比較して、非常に厚みが大きい耐穴あき性のフィルムを前記第1パッケージ化のために使用することができる。追加のフレキシブルな中間層を使用することも可能であり、これらによって邪魔な衝撃作用が更に低減される。
【0020】
本発明に依れば、特に、以下の利点と改善をもたらすことができる。
【0021】
滅菌コンパートメントが小さく、頑丈な保護キャップによって、滅菌とその維持が容易となる。
【0022】
第1パッケージの穴あきを防止するためのリスク最小化手段が提供される。
【0023】
滅菌バリアの破損を防ぐためのリスク最小化手段が提供される。
【0024】
フィルタモジュールの不適切な輸送の場合に、患者にとってのリスクが回避される。
【0025】
酸素吸収剤を含む第1パッケージが、各フィルタモジュール/各透析器用ではなく、第1パッケージ内にパッケージ化された複数、例えば、20のアイテムに対して設けられるので、公知のコンセプトよりも安価である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下、本発明を、添付の図面に図示されている例示的非限定的実施例による詳細に説明する。
【
図1】保護キャップによってそれぞれ閉じられた血液流入口と血液流出口とを有する透析器を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明よる滅菌容器1の一部を図示している。この部分は、透析器2と二つの保護キャップ14とから成る。一方のキャップ14は、血液流入口9に取り付けられ、他方のキャップ14は血液流出口10に取り付けられている。これら血液流入口9と血液流出口10は、前記透析器2の二つの反対側端部において当該透析器2の長手方向に沿って延出する状態で設けられている。
【0028】
二つの開口部9,10の間には、血液コンパートメント8が形成されている。血液コンパートメント8は、両保護キャップ14によって滅菌状態で封止されている。透析対象媒体、好ましくは、血液は、ルアー接続部として構成される血液流入口9を介して血液コンパートメント8に供給され、当該媒体は、血液流出口10を介して血液コンパートメントから出る。向流の原理(counter flow principle)で、透析液が透析液流入口12を介して透析液コンパートメント11に供給され、透析液流出口13を介して透析液コンパートメント11から取り出される。
【0029】
両血液開口部9,10は、透析器2の長手方向に沿って配置されているのに対し、透析液開口部12,13はそれに対して傾斜して配置されている。
【0030】
保護キャップ14と開口部9,10との間の力はめは、好ましくは、ルアーロックによって構成される。
【0031】
図2および
図3は、段ボール箱5(第2パッケージ5)が、上方から充填されることを考慮に入れた本発明のコンセプトを示している。透析器2は、いわば、互いに隣接状態に配置されている。
図4および
図5の実施例において、前記透析器2は、中間層6を形成する予め形成されたフレキシブルパディングネット(ワインのパッケージに類似)に入れられている。即ち、それらは、直立に配置されている。隣接する透析器2に対する境界層が全方向に形成されている。滅菌バリアは、上述の血液コンパートメント8と第1パッケージ3によって形成される保持容積部15との間に保護キャップ14によって実現されている。
【0032】
図2~5は、更に、第1パッケージ3内に、複数の透析器2が収納されていることを図示している。この図示のケースにおいて、一つの第1パッケージ3が、それぞれが5つの透析器2を含む4つの列に配置された20の透析器2を含んでいる。
【0033】
図2及び
図3により示された実施形態にかかる第1パッケージ3は、フレキシブルなフィルムにより形成されており、こういったフィルムは、例えば、ポリアミド及び/又はポリエチレンにより作られている。前記実施形態では、酸素吸収剤4が、各第1パッケージ3において提供且つ配置されており、一例としては、一つの単一の酸素吸収剤4は、20のフィルタモジュール2のために設けられている。前記4列の透析器2のそれぞれの列の間に、中間層6又は中間底部6が配置されている。更に、第1パッケージ3と第2パッケージ5との間には、空気又はフォームパッドとして構成された中間パッド7が配設され、これは、第2パッケージ5から第1パッケージ3へと伝達される衝撃、揺れ、又は振動を防止又は少なくとも抑制する。
【0034】
図3および
図5に示される実施形態にかかる第1パッケージ3は、それ自身は公知の酸素吸収特性を有するフレキシブルフィルムから形成されている。特に、前記フィルムは、食品産業において既に使用されてきた酸素吸収フィルムである。前記4列の透析器2の間には、中間層6又は中間底部6のクロス形状又はマトリクス形状のネットが、透析器2のそれぞれの相互接触状態が抑制されるように配置されている。更に、第1パッケージ3と第2パッケージ5との間には、空気又はフォームパッド7として構成された中間パッド7が配設され、これは、第2パッケージ5から第1パッケージ3へと伝達される衝撃、揺れ、又は振動を防止又は少なくとも抑制する。
【0035】
本発明に依れば、前記滅菌バリアが保護キャップ14によって実現されているので、第2パッケージ5内においてすべての透析器2に対して一つの酸素吸収剤4が使用される。本発明に依れば、第2パッケージ5内の透析器2の数は、第1パッケージ3内の透析器2の数に対応する。
【符号の説明】
【0036】
1 滅菌容器
2 透析器
3 第1パッケージ
4 酸素吸収剤
5 第2パッケージ、段ボール箱
6 中間層、中間底部
7 中間パッド
8 血液コンパートメント
9 血液流入口
10 血液流出口
11 透析液コンパートメント
12 透析液流入口
13 透析液流出口
14 保護キャップ
15 保持容積部