IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティドの特許一覧

特許6996935血管閉塞及び薬物送達装置、システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】血管閉塞及び薬物送達装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20220107BHJP
   A61B 17/12 20060101ALI20220107BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A61M37/00 550
A61B17/12
A61M25/06 550
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2017204715
(22)【出願日】2017-10-23
(62)【分割の表示】P 2015517402の分割
【原出願日】2013-06-12
(65)【公開番号】P2018023842
(43)【公開日】2018-02-15
【審査請求日】2017-11-21
【審判番号】
【審判請求日】2020-07-01
(31)【優先権主張番号】13/914,464
(32)【優先日】2013-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/660,615
(32)【優先日】2012-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】エドワード エイチ.カリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ビー.ダンカン
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス エス.パジェット
(72)【発明者】
【氏名】レイチェル ラッドスピナー
(72)【発明者】
【氏名】エドワード イー.ショー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ.ボネッシュ
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】井上 哲男
【審判官】平瀬 知明
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-528128(JP,A)
【文献】特表2011-530326(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0148492(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
修正された外表面と、生体吸収性管腔閉塞インプラントと、生体吸収性アンカー機構とを含む管腔閉塞装置であって、
修正された外表面は摩耗又は粗面化されてなるか、或いは外表面の少なくとも一部に対して小繊維粒子が付着されてなり;
生体吸収性管腔閉塞インプラントは、長尺状であると共に、長尺方向に対して垂直な断面が実質的に円形又は多角形の形状を有し且つ、移植ガイドへの装填時には線形状形態を有する一方、移植ガイドからされると回旋状形態に変化し;
生体吸収性アンカー機構は、生体吸収性管腔閉塞インプラントに連結されてなると共に、自己設定可能な逆刺み、ここで生体吸収性管腔閉塞インプラントが移植ガイドから解放されると、逆刺が生体吸収性内腔閉鎖型インプラントから周囲の組織内に向かって周方向に拡がるように構成される、
管腔閉塞装置。
【請求項2】
生体吸収性管腔閉塞インプラントに治療剤が含浸されてなる、請求項1に記載の管腔閉塞装置。
【請求項3】
治療剤が硬化剤である、請求項2に記載の管腔閉塞装置。
【請求項4】
管腔閉塞装置が、閉塞対象となる管腔の形状に概ね合致するように構成される、請求項1に記載の管腔閉塞装置。
【請求項5】
管腔閉塞装置が、周辺組織を管腔閉塞装置の形状に合致させるべく、その成長を促すように構成される、請求項1に記載の管腔閉塞装置。
【請求項6】
管腔閉塞インプラントに治療剤が含浸されてなり、治療剤が、痙攣薬剤、凝血促進剤、生体適合性接着剤、及び/又は、組織接着剤である、請求項5に記載の管腔閉塞装置。
【請求項7】
管腔閉塞装置を周囲の組織に対して圧迫することにより、周囲の組織の形状を管腔閉塞装置の形状に合致させ得るように構成される、請求項5に記載の管腔閉塞装置。
【請求項8】
生体吸収性管腔閉塞インプラントが中空の中心を有する、請求項1に記載の管腔閉塞装置。
【請求項9】
生体吸収性管腔閉塞インプラントが中実である、請求項1に記載の管腔閉塞装置。
【請求項10】
生体吸収性管腔閉塞インプラントが生体吸収性材料を含み、生体吸収性材料が、乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ポリグリコール酸、ポリ-L-乳酸、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシブチレート、ヒドロキシブチレートとヒドロキシバレレートとのコポリマー、乳酸とε-カプロラクトンとのコポリマー、酸化再生セルロース、又はコラーゲンである、請求項1に記載の管腔閉塞装置。
【請求項11】
生体吸収性放射線不透過性マーカーを更に含む、請求項1に記載の管腔閉塞装置。
【請求項12】
逆刺が、概ね管腔内の血流の方向に湾曲し、先端を向け、又は延在するように方向付けられてなる、請求項1に記載の管腔閉塞装置。
【請求項13】
生体吸収性管腔閉塞インプラントが浸透性である、請求項1に記載の管腔閉塞装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
本特許出願は、2012年6月15日に出願された「血管閉塞及び薬物送達装置、システム及び方法」の題名の仮出願第61/660,615号に対して優先権を主張するものであり、それは言及したことによりその全体が本明細書中に編入される。
【0002】
本開示は、閉塞及び薬物送達装置、システム及び方法に関する。そのような装置及び方法は、組織除去と、組織及び/又は血管薬物送達と、一時的及び/又は永久的な血管閉塞とに有用であり得る。
【背景技術】
【0003】
治療剤の全身投与は、例え治療すべき疾患が局部的であったとしても、全体としての身体を治療する。局所的な状態又は疾患の場合には、全身投与は望ましくないことがある、というのも、薬剤が、治療されるべき身体の一部分に有害又は望ましくない影響を与えることがあるからであり、あるいは身体の患部の治療が、全身投与によっては達成不可能な高濃度の薬剤を必要とするからである。従って、身体内の局部的部位のみに治療剤を投与することが望ましい場合がしばしば存在する。これが必要とされる場合の一般的な例としては、体腔の局所的疾患(例えば、心臓疾患及び伏在静脈不全)の症例及び閉塞又は病変が含まれる。局所的薬物送達のための幾つかの装置及び方法が知られている。
【0004】
典型的に、これらのタイプの治療では、カテーテル等の細長い部材は、端部に装着された薬物含有装置と共に血管系を通り抜ける。標的領域に到達すると、薬物含有装置は薬物を送達する。薬物含有装置の仕様及び送達方法は様々であり得るが、これらの装置が遭遇する問題は通常は同じである。
【0005】
遭遇する幾つかの問題は、体液による治療剤の希釈と、治療領域から離れる移行と、移行に起因する副作用を含む。例えば、伏在静脈不全を治療する方法において、化学的除去は、接触した組織を実際に傷つける硬化剤により標的血管を治療することを含む。その効果によって予想されるように、硬化剤は毒性が高く、従って、移行は望ましくない副作用を最小限にすることのできる範囲で回避されるべきである。血管系をとおした硬化剤の移行は、深部静脈血栓症と、肺塞栓症と、潰瘍と、偏頭痛や一過性脳虚血発作や脳血管障害等の神経性事象とに結び付けられている。更に、硬化剤は、単位当たりで高価格になり得るので、治療を実施するための使用量を最小化することも望ましい。
【0006】
上述の問題を最小化する、薬物送達装置及び治療方法を設計する能力を困難にすることは、血管の蛇行性であり、曲がりくねった狭い血管を通り抜けることと、血管の曲がりくねった部分を治療することの両者である。例えば、蛇行はしばしば、大伏在静脈(GSV)で発生して困難をもたらす可能性がある。GSVの場合において、治療部位は、例えば、30~40cm又はそれ以上の曲がりくねった静脈であり得る。
【0007】
伏在静脈硬化療法の例により理解できるように、送達速度又は有効性を改善し、希釈を最小限に抑え、及び/又は移行を最小限に抑える血管薬物送達における改善が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、伏在静脈不全等の様々な状態の治療に有用な、薬物送達及び/又は血管閉塞に関連して使用するための装置及び方法に導かれる。開示された装置は、装置の長さに沿って管腔を画定する周囲の組織に密接して、この長さに沿う周囲の組織に治療剤を塗るように使用可能である。別の言い方をすれば、治療剤を、この長さに沿う周囲の組織の少なくとも大部分に密接して塗ることができる。
【0009】
更に、開示された装置は、血管の長さに沿って血液等の流体の少なくとも一部を移動させること、従ってこの長さに沿って血管を実質的に閉塞することができる。要するに、周囲の組織へ密接すること及び血液の移動は、効果的な処置に必要な治療剤の量と、治療部位から離れるように移行する治療剤の量とを減らすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の形態によれば、薬物送達及び/又は閉塞装置及び方法は、長さ方向に沿って管腔を画定する周囲の組織への治療剤の塗布を促進する拡張可能部材及び薬物送達構成要素を具備する。幾つかの実施形態において、装置は、裏返され、それにより治療されるべき血管の長さに沿って延びるように作動可能である。所定の位置に入ると、装置は、20psi(137.9kPa)未満の圧力での拡張可能部材の加圧の際に、周囲の組織に治療剤を送達するように作動可能であり得る。薬物送達構成要素は、血管系内に設置される間の加圧前に治療剤の注入が可能であり、又は幾つかの実施形態において、薬物送達構成要素は、血管系内への装置の導入の前に、治療剤の注入又は吸収が可能である。治療剤が周囲の組織に転移されると、拡張可能部材は、圧潰され、次いで拡張可能部材及び薬物送達構成要素は引っ込められる。
【0011】
本開示の別の形態によれば、薬物送達及び/又は閉塞装置及び方法は、生体吸収性管腔閉塞インプラント(生体吸収性インプラント)部材を具備可能である。生体吸収性インプラントは、閉塞作用又は流れ停止作用を保有可能であり、また治癒を増強することにも貢献可能である。実施形態は、中空針又はカテーテル等の移植ガイドを介して、血管の管腔内又は組織空洞又は体腔内に移植されることが可能である。幾つかの実施形態において、生体吸収性インプラントは、生体吸収性インプラントの位置を調整するように、必要に応じて、延ばされ及び引っ込められることが可能である。幾つかの実施形態において、生体吸収性インプラントは固定可能であり得る。幾つかの実施形態において、生体吸収性インプラントは狭い送達外形とより広い移植外形とを有することができる。
【0012】
生体吸収性インプラントの実施形態は、治療剤を更に吸収可能である。同一又は異なる実施形態は、閉塞効果を有するように、血栓形成反応及び/又は痙攣性反応を引き起こすように形成可能である。幾つかの実施形態において、吸収は、例えば加圧可能なカプセルを用いて要求に応じて実施可能である。加圧可能なカプセル又は別の吸収方法は、送達装置に統合され得る。
【0013】
添付の図面は、本開示の一層の理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれて、本明細書の一部を構成し、記述と共に、本開示の実施形態を説明し、本開示の原理を説明するように機能する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】拡張口と注入口と通気口とを具備するハブの上面図を示す。
図1B】血管薬物送達装置の概略的斜視図を示す。
図2A】血管薬物送達装置の積層横断面図を示す。
図2B】血管薬物送達装置の積層横断面図を示す。
図2C】薬剤注入のための減圧下において及び薬物送達のための増圧下において、血管の管腔内に挿入された、血管薬物送達装置の実施形態の側面図を示す。
図2D】細長部材の管腔内に引っ込められ、その後、拡張可能部材が加圧されるにつれて外側に延びる血管薬物送達装置の実施形態の側面図を示す。
図2E】ガイドワイヤに沿って通り抜けるように形成された血管薬物送達装置の実施形態の側面図を示す。
図2F】細長部材の端部に設置された、裏返されない血管薬物送達装置の実施形態の側面図を示す。
図2G-1】薬物注入可能層で使用するのに適した、多孔質微細構造の拡大された説明図を提供する。
図2G-2】薬物注入可能層で使用するのに適した、多孔質微細構造の拡大された説明図を提供する。
図3A】閉塞装置の実施形態を示す。
図3B】事前装填された送達カプセルの実施形態の断面図を示す。
図3C-1】血管内に閉塞装置の実施形態を移植するステップを示す。
図3C-2】血管内に閉塞装置の実施形態を移植するステップを示す。
図3C-3】血管内に閉塞装置の実施形態を移植するステップを示す。
図3C-4】血管内に閉塞装置の実施形態を移植するステップを示す。
図3C-5】血管内に閉塞装置の実施形態を移植するステップを示す。
図4A-1】閉塞装置の実施形態を示す。
図4A-2】移植ガイドからの解放時の閉塞装置の実施形態を示す。
図4B-1】移植ピストン部材の実施形態の遠位端部に挿入される、閉塞装置の実施形態の近位端部を示す。
図4B-2】送達装置の実施形態の制御端部を示す。
図4C-1】切断機構を具備する送達装置の実施形態の遠位端部を示す。
図4C-2】切断機構を具備する送達装置の実施形態の遠位端部を示す。
図5A-1】ガイドワイヤを介して治療部位に送達される、生体吸収性インプラントの実施形態の第1の構成要素を示す。
図5A-2】生体吸収性インプラントの第1の構成要素内に注入された移植ガイドを示す。
図5A-3】生体吸収性インプラントの第1の構成要素内に注入された移植ガイドを示す。
図5A-4】生体吸収性インプラントの第1の構成要素に生体吸収性インプラントの第2の構成要素を注入する移植ガイドを示す。
図5A-5】生体吸収性インプラントの第1の構成要素に生体吸収性インプラントの第2の構成要素を注入する移植ガイドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
当業者は、本開示の種々の形態が、意図される機能を実行可能な任意の数の方法及び装置により実現可能であることを直ちに理解するであろう。言い換えれば、別の方法及び装置が、意図される機能を実行するために本明細書に組み込み可能である。本明細書で参照される添付図面は、全て一定の縮尺で作成されておらず、本開示の種々の形態を説明するために誇張されることがあり、この点で、図面は限定的であると解釈するべきではないことがやはり認識されるべきである。
【0016】
本開示は、様々な原理及び信念に関連して記載可能であるが、本開示は、理論により束縛されるべきではない。例えば、本開示は、血管系の文脈における閉塞及び薬物送達に関連して、本明細書において記載可能である。しかし、本開示は、任意の空間充填装置及び/又は化学物質送達装置、又は類似の構造及び/又は機能の方法に適用可能である。更に、本開示は、非血管用途、更には、非生物学的及び/又は非医療用途にさえも適用可能である。
【0017】
用語「近位」及び「遠位」は、装置又は装置構成要素に関連して本明細書中で使用される場合に、装置の操作者により近い方向及びそれからより遠く離れる方向を、それぞれ意味する。本開示は、周辺又は中央の手法に限定されるものではないため、装置の形態は解剖学的形態及びそれに対する装置位置に関連して若干変更可能であるので、用語、近位又は遠位の使用時において、装置は、狭義に解釈されるべきではない。
【0018】
用語の「管腔」又は「体腔」は、治療部位の文脈において本明細書中で使用される場合に、任意の血管管腔又は身体空洞を含む。「血管」は、本明細書中で使用される場合に、胃腸管又は卵管等の、動脈又は静脈又は任意の別の身体導管を含むことができる。
【0019】
用語の「注入する」は、本明細書中で使用される場合に、何かの上に又はそれを通して又はその間で広がることを意味しており、更に浸透すること又は充満すること又は満たすこと又は注ぐこと等を含む。同様に、用語の「注入可能な」は、本明細書中で使用される場合に、注入される能力を意味する。本明細書に記載の実施形態は、周囲の領域又は組織に治療剤を塗布する目的のために、治療剤を注入されることが可能である。
【0020】
用語の「吸収する」は、本明細書中で使用される場合に、何かを吸収すること、染み込ませること、接合すること、及び/又は塗布することを意味する。本明細書に記載の実施形態は、周囲の組織に治療剤を塗布する目的のために治療剤を吸収されることが可能である。
【0021】
用語の「浸透性」は、本明細書中で使用される場合に、材料がそれを横切る差圧を受ける場合に、膜又はフィルター材料の孔を通る流体(液体又は気体)を送る能力を意味する。浸透性は、ガーレー(Gurley)数、フレーザー(Frazier)数又は水分流動率によって特徴付けることができる。本明細書に記載される実施形態は、低い差圧で流体を送るように形成可能である。
【0022】
用語の「生体吸収可能な」又は「吸収」は、材料の少なくとも一部が、加水分解し、分解し、溶解し、吸収し、再吸収し、又はそれとは別に体内に同化する生理的プロセスを意味する。
【0023】
用語の「治療剤」又は「薬物」は、本明細書中で使用される場合に、例えば、診断又は治療処置等の任意の処置に役立つ任意の物質、あるいは治療及び/又は治癒効果を提供することに役立つ任意の物質を意味する。
【0024】
その様な薬剤は、以下のものに限定されるわけではないが、例えば、ポリドカノール(エトキシスクレロール)、テトラデシル硫酸ナトリウム(STS、Sotradecol)、エタノールアミンオレエート(ethamolin)、ナトリウムモルイン(Scleromate)、濃縮エタノール(>90%)、濃縮フェノール(~3%)、高張食塩水、高張デキストロース溶液(例えば、オメガ研究所が製造するSclerodex(登録商標))、クロメートグリセリン(Sklermo(登録商標)又はChromex(登録商標))及びグリセリン系硬化剤等の硬化剤と;例えば、ヘパリン、ヘパリン誘導体(低分子量ヘパリン、ダナパロイド及びフォンダパリヌクス)、血栓溶解剤(ウロキナーゼ等)、及びデキストロフェニルアラニン・プロリン・アルギニン、クロロメチルケトン、クマジン、クマリン及びアルガトロバン等の直接トロンビン阻害剤等の抗血栓剤と;例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン及びメサラミン、シロリムス及びエベロリムス(及び関連の類似物)等の抗炎症剤と;パクリタキセル及びその類似物等の抗腫瘍/抗増殖/反縮瞳薬剤と;例えば、ABRAXANE(登録商標)(ABRAXANEは、ABRAXIS BIOSCIENCE、LLCの商標として登録されている)、適切なシクロデキストリン(又はシクロデキストリンのような分子)と複合体を形成する、パクリタキセル、ラパマイシン及びその類似体、適切なシクロデキストリン(又はシクロデキストリンのような分子)と複合体を形成するラパマイシン(又はラパマイシン類似体)、ベータ(β)-ラパコン及びその類似体、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンギオスタチン、アンギオペプチン、平滑筋細胞増殖を遮断可能なモノクローナル抗体及びチミジンキナーゼ阻害剤等の、パクリタキセルタンパク質結合粒子と;例えば、リドカイン、ブピバカイン及びロピバカイン等の麻酔剤と;例えば、D-Phe-Pro-Arg-クロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、HSP20を模倣するAZX100細胞ペプチド(米国のキャップストーン治療社(Capstone Therapeutics Corp.))、ヘパリン、ヒルジン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗薬、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤及びチック抗血小板ペプチド等の抗凝固剤と;例えば、成長因子、転写活性化因子及び翻訳促進剤等の血管細胞成長促進剤と;例えば、成長因子阻害剤、成長因子受容体アンタゴニスト、転写抑制剤、翻訳抑制剤、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に向けられる抗体、成長因子及び細胞毒素からなる二機能性分子、抗体及び細胞毒素からなる二機能性分子等の、血管細胞成長阻害剤と;プロテインキナーゼ及びチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、チルホスチン、ゲニステイン、キノキサリン)と;プロスタサイクリン類似体と;コレステロール低下剤と;アンジオポエチンと;例えば、トリクロサン、セファロスポリン、アミノグリコシド及びニトロフラントイン等の抗菌剤と;細胞毒素剤、細胞増殖抑制剤及び細胞増殖影響因子と;血管拡張剤と;内因性血管作用のメカニズムに干渉する薬剤と;モノクローナル抗体等の白血球動員の阻害剤と;サイトカイン;ホルモン又はそれらの組み合わせと;を含む。一実施形態において、治療剤は、生体適合性接着剤又は組織接着剤を具備可能である。同様に、治療剤は、フィブリン接着剤及び/又はトロンビンの投与等の、凝血促進剤を具備可能である。一実施形態において、前記治療剤は親水性物質である。別の実施形態において、前記治療剤は疎水性物質である。別の実施形態において、前記治療剤はパクリタキセルである。
【0025】
本開示に関連して有用な治療剤は、以下のものに限定されないが、ナノスフェア、ミクロスフェア、ナノ粒子、マイクロ粒子、微結晶、封入複合体、乳濁液、ゲル、発泡体、クリーム、懸濁液及び溶液、又はそれらの任意の組み合わせを含む様々な物理的形態で組織に送達可能である。一実施形態において、薬剤は、可溶化形態で組織に送達される。別の実施形態において、薬剤は、ゲル状で組織に送達される。
【0026】
本開示は、伏在静脈不全等の様々な状態の治療に有用な薬物送達及び/又は血管閉塞に関連して使用するための装置及び方法に導かれる。開示された装置は、装置の長さに沿って管腔を画定する周囲の組織に密接して、装置の長さに沿う周囲の組織に治療剤を塗るように使用可能であり得る。例えば、治療剤を、この長さに沿う周囲の組織の少なくとも大部分に密接して塗ることができる。
【0027】
更に、開示の装置は、血管の長さに沿って、血液等の流体の少なくとも一部を移動させること、従ってこの長さに沿って血管を実質的に閉塞することが可能である。効果において、周囲の組織に密接すること及び血液の移動は、効果的な処置に必要な治療剤の量と、治療部位から離れるように移行する治療剤の量とを減らすことができる。
【0028】
本開示の一形態によれば、薬物送達及び/又は閉塞装置及び方法は、長さ方向に沿って管腔を画定する周囲の組織への治療剤の塗布を促進する拡張可能部材及び薬物送達構成要素を具備する。幾つかの実施形態において、装置は、裏返り、それにより治療されるべき血管の長さに沿って延びるように作動可能である。一旦所定の位置に入ると、装置は、拡張可能部材への20psi(137.9kPa)未満の圧力での加圧の際に、周囲の組織に治療剤を送達するように作動可能であり得る。血管系内に設置される間の加圧前に、薬物送達構成要素は、治療剤の注入が可能であり、又は幾つかの実施形態において、薬物送達構成要素は、血管系への装置の導入の前に治療剤の注入又は吸収が可能である。治療剤が周囲の組織に転移されると、拡張可能部材は、圧潰され、次いで、拡張可能部材及び薬物送達構成要素は引っ込められる。
【0029】
本開示の別の形態によれば、薬物送達及び/又は閉塞装置及び方法は、生体吸収性管腔閉塞性インプラント(生体吸収性インプラント)部材を具備可能である。生体吸収性インプラントは、閉塞作用又は流れ停止作用を保有可能であり、また治癒を増強することにも貢献可能である。実施形態は、血管の管腔内に又は組織又は体腔内に、中空針又はカテーテル等の移植ガイドを介して移植可能である。幾つかの実施形態において、生体吸収性インプラントは、生体吸収性インプラントの位置を調整するために、必要に応じて延ばされ及び引っ込められることが可能である。幾つかの実施形態において、生体吸収性インプラントは固定可能であり得る。幾つかの実施形態において、生体吸収性インプラントは、狭い送達外形とより広い移植外形とを有することができる。
【0030】
生体吸収性インプラントの実施形態は、治療剤を更に吸収可能である。同一又は異なる実施形態は、閉塞効果を有するように、血栓形成反応及び/又は痙攣性反応を引き起こすように形成可能である。幾つかの実施形態において、吸収は、例えば、加圧可能なカプセルを用いて、必要に応じて実施可能である。加圧可能なカプセル又は別の吸収性方法は、送達装置に統合可能である。
【0031】
図1A及び1Bを参照すると、様々な実施形態において、血管薬物送達装置100は、内側拡張可能部材110と外側薬物送達構成要素120とを具備可能であり、内側及び外側は、装置100が拡張構造形にあるときの相対的な位置を意味する。その様な構造形において、薬物送達構成要素120は、拡張可能部材110の長さの少なくとも一部の周りを囲むか又はその周りに設置可能である。
【0032】
薬物送達構成要素120は、該構成要素から、管腔を画定する周囲の組織へ治療剤を転移させるのに適した、任意の構造的な構成要素である。薬物送達構成要素120は、装置100の長さに沿う周囲の組織に密接して設置されるように、及びこの長さに沿う周囲の組織への治療剤の塗布を可能にするように形成される。実施形態において、薬物送達構成要素120は、この長さに沿う周囲の組織の少なくとも大部分に治療剤を、密接して転移させることが可能である。幾つかの実施形態において、薬物送達構成要素120は、治療剤が吸収されること又は注入されることが可能である。
【0033】
拡張可能部材110は、装置の長さに沿う周囲の組織に密接するように拡張するのに適した、任意の構造構成要素又は材料である。例えば、拡張可能部材110は、バルーン等の膨張可能な装置とすることができ、その場合、膨張媒体は、生理食塩水、造影剤又は任意の別の流動性材料等の流体であり得る。
【0034】
拡張可能部材110は、細長部材130の遠位端部に設置可能である。細長部材130は、血管系を通り抜けるのに適し、更に遠位端部と近位端部とそこを貫く少なくとも一つの管腔とを有するのに適した任意の構造構成要素である。例えば、細長部材130は、一つのカテーテル又は複数のカテーテルを具備可能である。別の実施形態において、細長部材130は、例えば、皮下注射針等の針を具備可能である。細長部材130は、剛性又は可撓性であり得る。
【0035】
実施形態において、細長部材130は、本明細書で使用される場合に、拡張可能部材を拡張、膨張及び/又は裏返す目的で、拡張可能な管腔を具備する。細長部材130はまた、流体を薬物送達構成要素120に注入する目的及び薬物送達構成要素120に空気を通す目的で注入管腔も具備可能である。細長部材は、薬物送達構成要素120内の空気を一掃すること及び薬物送達構成要素120が注入された時を臨床医に示すために有用であり得る通気管腔を更に具備可能である。細長部材130は、曲がりくねった血管系を通り抜けるように屈曲可能に形成可能であり、また捩じれを最小化又は排除するように形成可能である。細長部材130は、膨張媒体の通過を可能にするのに十分な大きさの内径を具備可能である。細長部材130は、任意の医療グレードの材料を具備可能である。細長部材130は、ポリマー材料又は金属材料又はそれらの組み合わせを具備可能である。例えば、細長部材130は、螺旋状又は編組ニチノール補強材を有するポリマーフィルムチューブを具備可能である。
【0036】
細長部材130を構成するために使用される典型的な材料は以下のものを含むことができ、以下のものとは、ポリメチルメタクリレート(PMMA又はアクリル)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、変性ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、セルロースアセテートブチレート(CAB)を含む、非結晶質コモディティ熱可塑性プラスチックと;ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE又はLLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)を含む、半結晶性コモディティプラスチックと;ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、変性ポリフェニレンオキサイド(Mod PPO)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(Mod PPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む、非結晶質エンジニアリング熱可塑性プラスチックと;ポリアミド(PA又はナイロン)、ポリオキシメチレン(POM又はアセタール)、ポリエチレンテレフタレート(PET、熱可塑性ポリエステル)、ポリブチレンテレフタレート(PBT、熱可塑性ポリエステル)、超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)を含む、半結晶性エンジニアリング熱可塑性プラスチックと;ポリイミド(PI、イミド化プラスチック)、ポリアミドイミド(PAI、イミド化プラスチック)、ポリベンゾイミダゾール(PBI、イミド化プラスチック)を含む、高性能熱可塑性プラスチックと;ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリールスルホン(PAS)を含む、非結晶質高性能熱可塑性プラスチックと;ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む、半結晶性高性能熱可塑性プラスチックと;更に、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレン、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)を含む、半結晶性高性能熱可塑性フッ素ポリマー;等の一般的に知られている材料である。別の一般的に公知の医療グレードの材料は、エラストマー有機ケイ素ポリマー、ポリエーテルブロックアミド又は熱可塑性コポリエーテル(PEBAX)、及びステンレス鋼、ニッケル/チタン合金等の金属を含む。
【0037】
細長部材130の近位端部においてハブ140がそれに結合可能である。ハブ140は、拡張可能部材110内への拡張媒体の導入を促進するのに適した任意の構造構成要素を具備可能である。例えば、ハブ140は、膨張管腔を介して拡張可能部材110と流体連通する拡張口141を具備可能である。加えて、幾つかの注入可能な実施形態において、ハブ140は、薬物送達構成要素120の注入及び/又は通気を促進するように更に形成され得る。例えば、ハブ140は、注入管腔を介して薬物送達構成要素120と流体連通する注入口142と、通気管腔を介して薬物送達構成要素120と流体連通する通気口143とを具備可能である。
【0038】
実施形態において、図2A~2Fを参照すると、血管薬物送達装置200が、拡張可能部材210と薬物送達構成要素220とを具備可能である。薬物送達構成要素220は、内側拡張可能部材210の周りを囲み、周りに設置され及び/又は取り付け可能である。薬物送達構成要素220は、拡張可能部材210を圧力約3~約20psi(約20.7~約137.9kPa)未満の圧力へ加圧したときに、治療剤を送達するように形成可能である。薬物送達構成要素220は、治療剤を注入されるように形成可能であり、更に通気口を介して通気されるように形成可能である。幾つかの実施形態において、装置200は、所定の位置へ裏返るように形成可能である。
【0039】
拡張可能部材210は、任意の膨張可能な装置を具備可能である。拡張可能部材210は、拡張し更に治療部位において管腔を実質的に占めるのに適した任意の形状であり得る。拡張可能部材210は、概ね従順な材料及び/又は曲げ可能な材料であることが可能であって、長さに沿って血管管腔を実質的に占めることを促進し、更に例えば周囲圧力より約1psi(6.9kPa)~10psi(68.9kPa)高い圧力の低圧力で裏返し及び拡張を可能にする。実施形態において、拡張可能部材210は実質的に管形状を有することができる。
【0040】
更に、様々な実施形態において、拡張可能部材は、半径方向に従順であることも可能であり、それにより装置200が直径の範囲内で拡張することを可能にする。更に、拡張可能部材は、全長にわたって半径方向に従順であり得る。大伏在静脈の場合にしばしばあるように、先細り状の管腔の全長を治療する場合に、装置200は、直径がその全長にわたって約5mm、約10mm又は約15mmで変化する管腔を治療可能である。例えば、装置200は、約10mmの直径から約5mmの直径に先細りする管腔を治療可能である。
【0041】
幾つかの実施形態において、拡張可能部材210は、液密性又は不浸透性であり得る。このように、拡張可能部材210の管腔は薬物注入可能層と流体連通していない。別の実施形態において、拡張可能部材210は、浸透性であることができ、及び/又は流体がその外側表面に染み出すことを可能にするように形成可能である。流体染み出し能力は、例えば、治療剤を溶媒和又は希釈することにより、治療剤の転移を促進することができる。
【0042】
幾つかの実施形態において、拡張可能部材210は、バルーンを具備可能である。バルーンの形成は、公知の押出成形、吹き込み成形及び別の成形技術を使用して、任意の従来の方法で実施可能である。典型的に、プロセス内の3つの主要ステップは、管状のプリフォームの押出成形ステップと、バルーンの成形ステップと、バルーンの焼き鈍しステップとを含む。使用されるバルーン材料にもよるが、プリフォームは、それが吹き込まれる前に、軸方向に延伸され得る。バルーン形成のための技術は、レヴィ(LEVY)への米国特許第4,490,421号、レヴィへのRE32,983号、レヴィへのRE33,561号、及びワン(Wang)等への第5,348,538号に記載されており、それらは言及したことによりその全体が本明細書中に編入される。
【0043】
バルーンは、当業者に知られた様々な接合技術により細長部材230に取り付け可能である。例は、溶剤接合、熱接着剤接合、及び熱収縮又は熱シールを含むがこれらに限定されない。接合技術の選択は、拡張可能要素及び管状体が準備される材料に依存する。ワン(Wang)への米国特許第7,048,713号を参照されたい。それは言及したことによりその全体が本明細書中に編入される。
【0044】
本開示によれば、バルーンは、所望の物理的特性を有する当業者に公知の任意の材料を用いて形成可能である。一般的に使用される材料は、熱可塑性エラストマーポリマー、非エラストマーポリマー、及び熱硬化性樹脂を含む。
【0045】
裏返すように形成された様々な実施形態において、薄く強く且つ不浸透性のバージョンのPTFE膜は有用である、というものPTFE膜が、低い摩擦係数を有し、強く、非常に柔軟であり、且つ装置200が裏返されながらそれ自体の上で回転することを可能にするからである。PTFE製の拡張可能部材は半径方向に従順でもあり得る。
【0046】
適切な材料の例は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルブロックアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテル、シリコーン、ポリカーボネート、スチレン系ポリマー、それらのコポリマー、及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されるものではない。これらのクラスの幾つかは、熱硬化性樹脂及び熱可塑性ポリマーの両方として入手可能である。例えば、ワン等への米国特許第5,500,181号を参照されたい。それは言及したことによりその全体が本明細書中に編入される。本明細書において使用されるように、用語「コポリマー(共重合体)」は、例えば2、3、4、5等々の二つ以上のモノマーから形成される任意のポリマーを意味するように使用されるべきである。
【0047】
有用なポリアミドは、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン9、ナイロン6/9、ナイロン6/6を含むが、これらに限定されない。そのような材料の使用は、ピンチュク(Pinchuk)等への米国特許第4,906,244号に記載されている。例えば、それは言及したことによりその全体が本明細書中に編入される。そのような材料の幾つかのコポリマーの例は、ペンシルベニア州フィラデルフィアでエルフアトケム(Elf Atochem)北米からPEBAX(登録商標)の商品名で入手できる、ポリエーテル - ブロック - アミドを含む。別の適切なコポリマーは、ポリエーテルエステルアミド(ポリエーテルエステルアミド)であり、使用のため入手可能な材料としては、本明細書に記載するには、広範で余りにも多数あり、当業者には知られている。
【0048】
適切なポリエステル・コポリマーは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステルエーテル及びポリエステルエラストマーコポリマーを含み、例えば、デラウェア州ウィルミントンのデュポン(DuPont)からHYTREL(登録商標)の商品名で入手可能なもの等がある。
【0049】
ブタジエン、イソプレン、エチレン/ブチレン、エチレン/プロペン等から形成される、スチレン末端ブロック及び中間ブロックを有する、コポリマー等の、ブロックコポリマーエラストマーは、本明細書において使用可能である。別のスチレン系ブロックコポリマーは、アクリロニトリル-スチレン及びアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンブロックコポリマーを含む。また、ブロックコポリマーにおいて、ブロックコポリマーがポリエステル又はポリアミドのハードセグメントとポリエーテルのソフトセグメントで形成される、特定のブロックコポリマー熱可塑性エラストマーもまた、本明細書中で使用可能である。ポリエステル/ポリエーテルブロックコポリマーの具体例は、DSMエンジニアリングプラスチックス(DSM Engineering Plastics)から入手可能なARNITEL(登録商標)EM740、及び既に上述した、デュポン・ド・ヌムール&カンパニー(DuPont de Nemours & Co,)から入手可能なHYTREL(登録商標)ポリマー等のポリ(ブチレンテレフタレート)-ブロック-ポリ(テトラメチレンオキシド)ポリマーである。
【0050】
バルーン形成に使用可能な適切な材料は更に、例えば、ワン(Wang)等への米国特許第6406457号、第6284333号、第6171,278号、第6146356号、第5951941号、第5830182号、第5556383号、ソガード(Sogard)等への第5447497号、ワン等への第5403340号、第5348538号、及び第5330428号に記載されており、それらの全ては言及したことによりその全体が本明細書中に編入される。
【0051】
上記の材料は、例示的な目的のためだけとして意図されており、本開示の範囲を限定するものとしては意図されない。使用可能な適切なポリマー材料は、広範であり、本明細書に記載されるには余りにも多数あり、また当業者には知られている。
【0052】
様々な実施形態において、血管薬物送達装置200は、内側拡張可能部材210と、外側薬物送達構成要素220とを具備可能であり、薬物送達装置200は、拡張可能部材210の外面に設置された、薬物注入可能層221を具備する。薬物注入可能層221は、注入管腔222を介して注入され得る。特定の実施形態によれば、治療剤は、薬物送達構成要素220が治療のために所定の位置に入るまで、薬物送達装置200内に存在しない。所定の位置に入ると、次に治療剤が薬物送達構成要素220内に注入され得る。更に、薬物送達構成要素220は、外側障壁225を具備可能である。外側障壁225は、注入可能層221の周りを囲むか、周りに設置されるか、又は取り付けられていて、拡張可能部材210が再拡張するまで、治療薬の巨視的な転移を防止する。外側障壁225は、以下で更に詳細に説明される。
【0053】
様々な実施形態において、薬物送達構成要素220は、単位面積当たりの放出される治療剤の量をカスタマイズするように形成可能である。例えば、注入量及び/又は染み込み能力は、注入可能層221の厚み及び/又は膨張性を変化させることにより、及び/又は所望の染み込み特性を有する注入可能層221の材料を選択することにより、変化させることが可能である。このようにして、治療剤の放出量を調整することが可能である。有効であるが最小量の治療剤を利用するように調整することにより、価格と同様に、望ましくない副次的効果を減少することができるかもしれない。
【0054】
実施形態において、図2Aを参照すると、注入可能層221は、注入可能層221の大部分又は実質的な部分の全体にわたる治療剤の分布を容易にする任意の材料又は構造的形態を具備可能である。例えば、注入可能層221は、毛細管作用で液体を吸い上げる材料、多孔質壁又は多孔質層、及び/又は流体の流れに十分に低い抵抗を提供する材料を具備可能である。更に、注入可能層は、曲がりくねった血管系を越えて延びる場合に、その注入可能層が捩じれないように十分な圧潰抵抗性のある材料を具備可能である。実施形態において、注入可能層221は、ブランカ(Branca)等による「ポリテトラフルオロエチレンの強力な、空気浸透性膜」との題名の米国特許第5814405号に記載されるような、多ノードの、低密度又は開放性のPTFEの気孔膜を具備可能であり、それは言及したことによりその全体が本明細書中に編入される。図2G-1及び図2G-2は、薬物注入可能層221における使用に適する多孔質微細構造を(2倍率のスケールで)示す。別の適切な材料は、連続気泡ポリウレタン発泡体、連続気泡シリコーン発泡体、連続気泡フルオロポリマー、又は注入を可能にする極小の若しくは大きな溝を具備する任意の別の柔軟な材料を具備可能である。
【0055】
注入可能層221において使用される一つ又は複数の材料は、注入可能層221の疎水性又は親水性特性を変化させるように表面処理されることも可能である。その様な処理は、注入されるべき治療剤に基づいて変化し得る。実施形態において、ePTFEを具備する注入可能層221は、その層221をより親水性にするように、ポリビニルアルコール(PVA)で覆われることが可能である。
【0056】
様々な実施形態において、図2Bを参照すると、注入可能層221は、拡張可能部材210を囲む間隙空間の少なくとも一部を画定するフィルム状スリーブを具備可能であり、その様な間隙空間は、治療剤で少なくとも部分的に充填される領域である。治療剤の分配を促進するために、注入可能層221は、注入路の輪郭を描く少なくとも一つの縫い目224又は複数の縫い目224を具備可能である。実施形態において、縫い目224は螺旋状であり得る。別の実施形態において、薬剤注入可能層は実質的に平行な状態で配置された複数の縫い目224を具備可能である。
【0057】
再度図2A及び図2Bの両方を参照すると、注入するために、装置200は、膨張口を介して注入可能層221に治療剤を輸送する注入管腔222を具備可能である。分配を確実にし且つ促進するために、薬物送達構成要素220は、やはり注入可能層221に流体連通する通気管腔223を更に具備可能である。
【0058】
注入管腔222及び通気管腔223は、注入可能層221上の任意の位置において注入可能層221と流体連通可能である。実施形態において、注入管腔222が近位端部で流体連通して、通気管腔223が遠位端部で流体連通しているが、その逆も可能である。実施形態はまた、注入路の第1端部において流体連通する注入管腔222と、注入路の第2端部で流体連通する通気管腔223と、を具備可能である。
【0059】
実施形態において、注入は、拡張可能部材210の拡張前又は後に行われることが可能である。拡張可能部材210が最小限の又は無視可能な圧力にある間における注入が、注入可能層221全体にわたる治療剤の分配の度合いを高めることができる。注入されると、拡張可能部材210が、管腔を占めて治療剤の転移を促進するように、拡張可能である。
【0060】
更に、上記参照されたように、薬物送達構成要素220は、外側障壁225を具備可能である。外側障壁225は、薬物送達構成要素220が周囲の組織に接近するか又は密接するまで、注入された治療剤の転移を部分的又は実質的に阻止し得る。幾つかの実施形態において、薬物送達構成要素220は、拡張可能部材210が加圧されて所定の圧力閾値を超えると、外側障壁225を横切って治療剤を移送するように形成可能である。拡張可能部材210が加圧されて拡張される(図2Cに示されるように)につれて、注入可能層221は、拡張可能部材210と血管壁99との間で圧縮されて、血管壁99への治療剤の転移を引き起こす。
【0061】
圧力閾値は、管腔の周囲圧力よりもわずか約0.5psi(3.4kPa)から約20psi(137.9kPa)高い値であり得る。(周囲圧力は管腔内の常圧であることが可能である。あるいは、圧縮が処置の前及び/又は処置中に周囲の組織に加えられるはずである別の実施形態では、周囲圧力は圧縮を受けた管腔内の圧力であり得る)。例えば、外側障壁225は、任意のフィルム又は膜材料を具備可能であり、前記材料は、約15psi(103.4kPa)、約5psi(34.5kPa)又は約3psi(20.7kPa)未満の圧力で、静脈内に治療剤の巨視的転移を許容せず、及び閾値圧力より高い圧力でそのような転移を許容する。実施形態において、外側障壁225は、例えばPTFEフィルム等のフルオロポリマーフィルムを具備可能である。別の適切なフィルム材料は、ポリウレタン、ポリエステル、PEBAX及び別のナイロン、PVC、PVDF、ポリエチレン、及び/又は医療用途に使用される別の生体適合性ポリマーを含む。
【0062】
別の又は同じ実施形態において、外側障壁225は、外側障壁225の微細構造の浸透性を変化させる半径方向の拡張中に、治療剤を転移するように形成可能である。実施形態において、外側障壁225材料は、延伸フルオロポリマー(例えば、ePTFE)若しくはポリエチレンのようなフィブリル化構造、(例えば、織布若しくは編組又は不織布の繊維マット、マイクロファイバー、若しくはナノファイバーのような)繊維構造、又は処理工程中に生成された孔(レーザーであけられたか又はドリル加工された孔又は発泡体又は微多孔性膜等のような)を有するフィルムを具備可能である。別の実施形態において、材料は、ePTFEにおけるような小繊維により相互接続されたノード間の微細孔を具備する。別の実施形態において、材料は、バシノ(Bacino)への米国特許第5476589号に記載されているように、本質的にノードの無いePTFEに微細孔を具備しており、前記特許文献は、言及したことによりその全体が本明細書中に編入される。
【0063】
外側障壁225は、その外表面において、織り目、突起、窪み、溝、被覆、及び粒子等で修正されることが可能である。それらは、治療剤が送達される(か又はされた)組織の修正、開示のシステムの配置の制御、及び直接的流体転移等の種々の目的を果たすことができる。別の実施形態において、外側障壁225は、放射線不透過性マーカーを含むか又はそれでマーク可能であり、あるいはその全体が放射線不透過性であるように形成可能である。血管薬物送達装置200を正しく追跡し設置するために、臨床医は、そのような放射線不透過性の指標を使用可能である。
【0064】
治療剤の送達を更に制御するために、外側障壁225は、治療処置を通して治療剤に対して不浸透性を維持する部分又は領域を具備可能である。例えば、不浸透性の端部キャップ(単数又は複数)を有することは、薬剤の望ましくない移行を更に緩和可能である。外側障壁225の領域は、ポリウレタン、シリコーン樹脂、又は外側障壁225を不浸透性にする任意の他の材料を適用場所に塗装するか又は吸収させることにより不浸透性にされ得る。
【0065】
幾つかの実施形態において、図2Dを参照すると、血管薬物送達装置200は、裏返しにより血管の管腔を通して延び且つ引っ込むことが可能な内側拡張可能部材210及び外側薬物送達構成要素220を具備可能である。裏返しは、拡張可能部材210及び薬物送達構成要素220が、例えば伏在静脈等の200cm以上の長さに沿って曲がりくねった管腔でさえも、管腔を通して延びてそれを実質的に占めることを可能にする。拡張可能部材210及び薬物送達構成要素220は、積層状管状部材を共に形成可能であり、その場合、拡張可能部材210は基盤層であり、薬物送達構成要素220は拡張可能部材210の少なくとも一部分を覆う表面層である。積層状管状部材の近位端部は、細長部材230の遠位端部に設置可能である。延ばされた形態で、薬物送達構成要素220は拡張可能部材210の外表面の周りに配置され、両者は、細長部材230の端部から延びる。初期位置において、拡張可能部材210及び薬物送達構成要素220は、圧潰されているか、又は細長部材230の周りで縦方向に圧縮されているか、又は細長部材230の管腔内に引っ込められている(図2Cに示されるように)。拡張可能部材210の加圧中に、拡張可能部材210及び薬物送達構成要素220は、裏返ること、及び/又は血管の管腔等を通って延びることが可能である。幾つかの実施形態において、図2Dを参照すると、積層状管状部材の遠位端部は、密封可能であって、案内されない管腔内に延びることが可能である。別の実施形態において、図2Eを参照すると、積層状管状部材の遠位端部は、細長部材230の管腔に対して滑動可能な第2の細長部材235の遠位端部に結合され得る。この実施形態は、ガイドワイヤにより提供される経路に沿って延びることを促進し得る。
【0066】
拡張可能部材210及び薬物送達構成要素220が所望の位置に入ると、構成要素の位置は、更なる伸長を防ぐように固定されることが可能である。固定を容易にするために、装置200は、長さ固定機構、即ち、所望の位置に到達した場合に装置200の更なる伸長を防止するための機構、を更に具備可能である。例えば、長さ固定機構は、拡張可能部材210の遠位端部に結合されるチューブ、ガイドワイヤ、フィラメント又は糸等の拘束装置250を具備可能である。拘束装置250は、拡張可能部材210の遠位端部から装置200の近位端部に滑動可能に延びることが可能である。幾つかの実施形態において、拘束装置250は、膨張管腔を通して延びることができる。治療処置の間に、装置が治療領域に沿って設置されると、拘束装置250の近位端部は固定されることが可能であり、それにより、拡張可能部材210及び薬物送達構成要素220の長さは固定されることが可能である。別の長さ固定機構が、薬物送達構成要素220及び/又は拡張可能部材210の近位端部を細長部材230に固定するクランプ又はファスナー等を具備可能であり、それにより更なる伸長が阻止される。
【0067】
治療剤が周囲の組織に送達されたなら、拡張可能部材210及び薬物送達構成要素220は、圧潰され、次いで引っ込められることが可能である。引き込みを容易にするために、拘束装置250が引っ張られること、及び拡張可能部材210及び薬物送達構成要素220が拡張可能部材210の管腔内に裏返って、最終的に細長部材230の管腔内に裏返ることが可能である。任意選択的に、拘束装置250は、引っ込むために再度裏返る間に、捩じられて引っ張られることができる。引き込みの他の方法は、細長部材230の近位端部の近位方向に単純に引っ張ること又は捩じり引っ張ることを含むことができる。実施形態において、拡張可能部材210及び薬物送達構成要素220の引き込みは、治療された組織の外部からの操作(例えば、手動圧縮)と併せて実施可能である。
【0068】
別の形態において、図2Fを参照すると、血管薬物送達装置200は、細長部材230の遠位部に設置された内側拡張可能部材210と外側薬物送達構成要素220とを具備可能である。細長部材230は、治療されるべき管腔の長さを通して延びる。所定の位置に入ると、薬物送達構成要素220が注入されること、及び拡張可能部材210が加圧されることが可能である。
【0069】
別の実施形態によれば、送達方法が、血管内に薬物送達装置200を挿入するステップと、治療部位の直ぐ前の場所に進めるステップと、拡張可能部材210内の圧力を増大することにより拡張可能部材210及び薬物送達構成要素220を裏返すステップとを含み得る。圧力は、拡張可能部材210内に膨張媒体を注入することにより増大できる。裏返し中に、薬物送達構成要素220と拡張可能部材210との従順な層状で管状の組み合わせは、最も抵抗の少ない経路に沿って進み、それによりどんなに小さな側枝も回避する。
【0070】
薬物送達構成要素220が、所望の治療部位に沿って延びると、拡張可能部材210内の圧力を下げ、例えば最小限又は無視可能な圧力まで圧力を下げ、拘束装置250の近位端部を固定する。拘束装置250を固定することは、装置200の長さを「固定する」だろう。即ち、その後の加圧中において更なる裏返しを許容しない。
【0071】
さらなるステップは、治療剤を薬物注入可能層221内に注入することを含み得る。治療剤の注入中に、薬剤は、薬物注入可能層221に閉じ込められた任意の空気を追い出すことができ、この空気は、通気管腔223を通して放出可能で、ハブに設置された通気口から流出可能である。治療剤の液適が通気口から流出すると、臨床医は、薬物注入可能層221が実質的に注入されたか又は満杯であることを確認することができる。通気口から流出した治療剤の所定の量を観察したなら、注入口及び通気口は閉鎖されることが可能である。
【0072】
別のステップは、拡張可能部材210内の圧力を増大することを含み得る。拡張可能部材210内の圧力を増大することは、薬物注入可能層221及び外側障壁225に圧力を加えるだろう。圧力閾値が超えられると、外側障壁225は、治療剤の経壁灌流を可能にすることを開始するだろう。このようにして、薬剤が周囲の組織に直接的に送達され得る。
【0073】
追加のステップは、装置200が細長部材230内へ裏返ることを可能にする量で、拡張可能部材210内の圧力を僅かに低下させることと、拘束装置250に張力を加えることとを含み得る。拘束装置250に加えられた張力は、装置200を強制的にそれ自身内で裏返して戻し、更に最終的に細長部材230内へ戻す。装置200が再度裏返される、即ち引っ込められるにつれて、拡張可能部材210内の膨張媒体は、固定されない拡張口から外にゆっくり強制的に押し出される。
【0074】
更なるステップが、上記のステップを繰り返すことを必要とし得る、というのも、拡張可能部材210及び薬物送達構成要素220が完全に引っ込められると、細長部材230を再配置して、処置を繰り返すことができるからである。治療が完了すると、細長部材230を血管系から除去可能である。
【0075】
上記の送達方法において、周囲の組織に対する圧縮は、治療処置前、治療処置中及び/又は治療処置後に加えることができると予想される。管腔の容積を減少させる圧縮を、管腔の長さを横切って加えることができる。例えば、伏在静脈治療等の腕又は脚を含む治療処置の場合において、圧縮靴下等を利用可能である。更に、組織は、治療の有効性を評価するために、例えば超音波等の非侵襲性映像法により監視され得る。
【0076】
本開示の別の形態において、閉塞装置が、任意選択的に治療剤を吸収可能な生体吸収性管腔閉塞インプラントを具備する。生体吸収性管腔閉塞インプラント(やはり、本明細書において「生体吸収性インプラント」と呼ばれる)は、閉塞効果を有する生体吸収性材料で製作されたインプラントを具備する。幾つかの実施形態において、生体吸収性インプラントは、閉塞されるべき管腔又は体腔の幅に概ね等しい幅又は横断面を占めるように拡張できる。同じ又は異なる実施形態において、生体吸収性材料又は治療剤の選択に基づいて、生体吸収性インプラントは、閉塞を形成するための血栓形成反応、及び/又はインプラントの周りで周囲の組織の収縮又は圧潰を引き起こすことにより閉塞を形成する痙攣性反応を引き起こすことができる。閉塞効果を促進するために、管腔の容積を圧潰及び/又は減少させるための、周囲の組織の周りでの手動圧縮技術を利用することができる。幾つかの実施形態において、生体吸収性インプラントは、管腔の長さに沿って延び、及び/又は管腔の形状に一致する長さを有する。
【0077】
生体吸収性管腔閉塞インプラントは、伏在静脈不全、内漏洩、弁周囲漏洩、動脈管開存、卵円孔開存、大動脈解離、成長性動脈瘤、胃食道逆流及び肥満(胃食道接合部又は幽門を縮小することにより)、腫瘍、又は局所薬物送達及び/若しくは閉塞性又は痙攣性効果が望まれる任意の疾患又は状態の治療に有用であり得る。幾つかの実施形態は、卵管結紮又は精管切除に対する代替として使用可能であり、更に痙攣性反応を引き起こす実施形態もまた美容のしわ減少用途に有用であり得る。
【0078】
本明細書中の実施形態は、細胞播種等の細胞ベースの治療における使用に適合可能である。実施形態は、細胞を吸収し、更に栄養素及び/又は別の治療剤を更に吸収できる。
【0079】
本明細書中に記載の別の実施形態は、生体吸収性インプラント及び送達装置を具備するシステム又はキットを含む。幾つかの実施形態において、送達装置は、送達経路を提供することによって移植部位への生体吸収性インプラント又は生体吸収性インプラント構成要素の送達を容易にする移植ガイドを具備する。別の実施形態において、送達装置は、移植ガイド及び移動部材を具備しており、そこでは、移動部材は、移植ガイドにより画定された、送達経路に沿って生体吸収性インプラントの移動を促進する。移動部材の実施形態は、注射、移植ピストン部材、又は送達経路に沿って生体吸収性インプラントの移動を促進する任意の別の装置を含む。
【0080】
本明細書に記載される、生体吸収性の管腔閉塞インプラントは、管腔内への導入に適した任意の形状を具備可能である。例えば、内腔の閉塞において、生体吸収性インプラントは、例えば、球形、卵形、円筒形、楕円形又は角錐台形状、又はそれらの組み合わせ、及び/又は前述のものの繰り返し等の、実質的に円形又は多角形の断面を有する、任意の空間充填部材を具備可能である。生体吸収性インプラントは、実質的に開放する構造又は中空の中心を有することができるか、あるいは代りに、それは実質的に中実であり得る。更に、幾つかの実施形態において、生体吸収性インプラントは、実質的に細長い寸法を具備可能、即ち、幅又は高さよりも大きい長さを有することができる。生体吸収性インプラントは、浸透性に製作されること、及び/又は生体吸収性導管内にも形作られることが可能であり、前記生体吸収性導管を通して治療剤が注入可能である。
【0081】
実施形態において、生体吸収性インプラントは、閉塞されるべき管腔の寸法に概ね一致するように形成可能である。同一又は異なる実施形態において、生体吸収性インプラントは、例えば、痙攣薬剤、凝血促進剤、及び/又は生体適合性接着剤/組織接着剤等の治療剤の使用によって、並びに手動圧縮によって、周囲の組織が生体吸収性インプラントの寸法に一致することを促進し得る。
【0082】
本明細書に記載の生体吸収性管腔閉塞インプラントは、任意選択的に、治療剤を吸収又は注入可能であり、及び/又は改善された又は追加の生物活性反応を有するように修正された外面を具備可能である。実施形態において、表面を修正することは、生体吸収性インプラントの表面積を増大するどんな修正も含み得る。幾つかの実施形態において、表面修正は、生体吸収性インプラントにより引き起される血栓形成反応を増強可能である。一つの修正は、生体吸収性インプラントの表面の少なくとも一部に小繊維粒子を付着させることを含んでおり、少なくとも部分的にフロック加工表面を生成する。これらの小繊維粒子も生体吸収性であり得る。別の修正は、摩耗されたか又は粗くされた表面を含み得る。
【0083】
本明細書において参照される、生体吸収性要素、即ち、生体吸収性管腔閉塞インプラント、アンカー機構、放射線不透過性マーカー、閉塞材料及び閉塞性部材は、一つ又は複数の生体吸収性材料を具備する。本明細書において使用される生体吸収性材料は、生体吸収可能な任意の材料を具備する。その様な材料は、生物学的吸収の所望の速度を達成するために所望の比率で調整される乳酸及びグリコール酸(PLA/ PGA)のコポリマーを含む。別の潜在的に有用な生体吸収性材料は、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ-L-乳酸(PLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシブチレート、ヒドロキシ酪酸とヒドロキシバレレートのコポリマー、乳酸とε-カプロラクトンのコポリマー、酸化再生セルロース、及びコラーゲンの様々な形態を含む。最も好適な材料は、ポリグリコリド:トリメチレンカーボネートトリブロックコポリマー(PGA:TMC)、例えば、ビラン(Biran)等による「止血特性を有する高度に多孔質の自己凝集ウェブ材料」の題名の米国特許第7659219号に記載の不織生体吸収性ウェブ材料であり、前記特許文献は、ここで言及したことによりその全体が本明細書中に編入される。この材料は、生体吸収性縫合糸としての使用の歴史を持っており、それは、ケーシー(Casey)等への米国特許第4429080号により詳細に記載されており、前記特許文献は、言及したことによりその全体が本明細書中に編入される。これ又は任意の別の選択されたコポリマー又はポリマーの混合物の割合は、所望の吸収速度を達成するように調整可能である。多孔性形態を含む別の潜在的に有用な生体吸収性非自己材料は、ローゼンクラフト(Rosencraft)等への米国特許第4243775号、第4300565号、ジャレット(Jarrett)等への第5080665号、バローズ(Barrows)等への第5502092号、ライト(Light)等への第5514181号、ミナト(Minato)等への第5559621、及びチュ(Chu)等へのPCT出願WO90/00060号により記載されており、前記特許文献の全ては言及したことによりそれらの全体が本明細書中に編入される。
【0084】
本明細書において参照される移植ガイドは、管腔を有する任意の管状部材又は中空針を具備可能であり、前記管腔の中を閉塞装置が通されて管腔内に移植される。幾つかの実施形態において、移植ガイドは、血管の湾曲又は蛇行した部分に沿って延びるか又は前記部分を通り抜けるのに十分な可撓性を有し得る。別の実施形態において、移植ガイドは、血管の湾曲又は蛇行した部分に沿って延びる必要はなく、従って、可撓性は必要がない。
【0085】
本明細書中に記載の生体吸収性インプラントの実施形態は、非侵襲的映像化技術(例えば、超音波映像法)により、所定の位置で生体吸収性インプラントの監視を促進するように、生体吸収性放射線不透過性マーカーを更に具備可能である。例えば、マーカーは、インプラントの近位及び/又は遠位端部に設置可能である。実施形態において、マーカーは、装置が血管接合部に適切に配置されることを確実にするのに有用であるかもしれない。
【0086】
一実施形態において、図3Aを参照すると、閉塞装置300は、生体吸収性管腔閉塞インプラント360を具備しており、前記生体吸収性管腔閉塞インプラントは、それに結合されたアンカー機構365を有する。アンカー機構365は、所定の位置で、生体吸収性インプラント360の位置を保持するのに適した任意の装置である。例えば、永久閉塞を生成する目的のために血管内に移植される場合に、血流が、生体吸収性インプラント360を押しのけてはならない。アンカー機構365は、逆刺、縫合糸製のひも366又はステント等を具備可能である。アンカー機構365は、インプラント360の近位又は遠位端部において、又はインプラント360上の任意の別の適切な位置においてインプラントに結合可能である。
【0087】
一実施形態において、閉塞装置300は、生体吸収性の縫合糸製のひも366に確実に結合された生体吸収性管腔閉塞インプラント360を具備する。縫合糸製のひも366は、インプラント360から、縫合糸製のひも366が固定可能な点に、例えば、皮膚表面への挿入経路等を介して延びるのに十分な任意の長さであり得る。縫合糸製のひも366の第一端部は、生体吸収性インプラント360の近位又は遠位端部、又はインプラント360の任意の別の適切な位置において、生体吸収性インプラント360に確実に結合され得る。縫合糸製のひも366が皮膚の表面から出る実施形態において、縫合糸製のひも366は、結び目を作られるか、又はテープ止めされるか又は皮膚の表面と同一平面で切断されることができる。
【0088】
別の実施形態において、閉塞装置300は、少なくとも一つの生体吸収性逆刺、フック又はステント(集合的には、「逆刺」と呼ぶ)に結合された生体吸収性管腔閉塞インプラント360を具備する。逆刺は、移植部位から自然に除去されることを困難にするように組織を貫通可能な任意の構造構成要素であり得る。実施形態において、インプラント360が所定の位置に挿入又は注入される際に、逆刺がインプラント360から離れて且つ周囲の組織内に半径方向に延びるように、逆刺は自己設定可能である。逆刺は、インプラントの近位又は遠位端部、又はインプラント360上の任意の別の適切な位置においてインプラント360に結合可能である。実施形態において、逆刺の少なくとも一部は、周囲の組織との係合を促進するように、概ね血流の方向に湾曲するか、向くか、又は延びることができる。
【0089】
図B及び図3C-1~3C-5を参照すると、生体吸収性管腔閉塞インプラント360は、カプセル370内に事前装填可能である。事前装填装置カプセル370は、注射器382及び移植ガイド380に接続するように設計可能である。注射器382の使用により、カプセル370及び注射器382は、吐出流体(例えば、生理食塩水又は治療剤溶液等)で充填可能である。移植ガイド380(及び任意選択的に、超音波装置)の使用により、通路が、例えば血管の管腔等の移植部位に確立される。移植ガイド380が所定の位置に入ると、カプセル370及び注射器382が移植ガイド380に接続される。注射器382のプランジャはその後、閉塞装置300を移植して所定の位置に固定するように、押圧され得る。
【0090】
様々な実施形態において、事前装填装置カプセル370は、上述したような少なくとも一つの閉塞装置300が送達のために方向付けられる少なくとも一つの送達室372を画定するハウジング371を具備する。送達室372は、閉塞装置300を排出のための所定の位置に収納する適切な寸法のハウジング371内の任意の通過空洞又は区画室である。室372は、通過のための入口端部376と出口端部375とを有する。
【0091】
移植ガイド380及び注射器382を接続するために、ハウジング371は、各端部375、376の周りに、ルアー(Luer)先細管継手のような接続部373、374を具備する。例えば、ハウジング371は、移植ガイド380に接続するために、出口端部375の周りに雄テーパ管継手を具備可能である。入口端部376の周りに、ハウジング371は、注射器382に接続するために雌テーパ管継手を具備可能である。装置カプセル370は更に、殺菌された送達室372及び閉塞装置300を維持するように衛生的に密封可能である。キャップ又はシールが、接続部373、374上に取り付け可能であって、使用時に除去又は破壊され得る。
【0092】
様々な実施形態において、事前装填装置カプセル370は、少なくとも一つの治療剤を含む吸収流体を受容するように形成可能である。このようにして、そこに含まれる閉塞装置300は、移植前の時点において治療剤を吸収可能である。実施形態において、送達カプセル370は、圧力吸収口を具備可能であり、また正の圧力に耐えるように形成され得る。送達室372は、吸収流体、液体及び/又は気体で充填されて、正の圧力下に保持され得る。
【0093】
別の実施形態において、事前装填装置カプセル370は、例えば、ラチェット装置の支援により回転するように形成された複数の送達室372を具備可能である。各送達室372は、上述したような閉塞装置300を装填される。その様な実施形態は、単一の処置で、複数の閉塞装置300を移植する方法の合理化を支援可能である。例えば、血管の長さを閉塞する際に、複数の装置が、図3C-5に示すように、端と端とをつないで整列するように移植され得る。別の実施形態において、事前装填装置カプセル370は、複数の閉塞装置300を同時に吸収する目的で、圧力吸収口を具備可能である。
【0094】
別の実施形態によれば、移植キットが、(i)上記のような閉塞装置300が通過可能な管腔を有する移植ガイド380と;(ii)上記の事前装填装置カプセル370と;(iii)室372から移植ガイド380の管腔を介して遠位先端から外へ少なくとも一つの閉塞装置300の排出を容易にする少なくとも一つの注射器と;を具備可能である。実施形態において、移植ガイド380の遠位端部は、斜め切断先端を具備可能であり、及び/又は閉塞装置300の設置を容易にするように実質的に円弧状外形を有することができる。注射器382は、手動で操作されるか又は自動で操作され得る。
【0095】
別の実施形態によれば、送達方法が以下のステップを含み得る。任意の特定の順序において、臨床医は、注射器382を事前装填装置カプセル370に接続して、移植ガイド380を血管の管腔に挿入することができる(図3C-1)。移植ガイド380の位置決めは、超音波装置を用いて案内され得る。移植ガイド380が所定の位置に定められると、事前装填装置カプセル370が移植ガイド380に取り付けられる(図3C-2)。生体吸収性インプラント360はその後、注射器382のプランジャ(図3C-3)の押圧によって移植ガイド380を通って排出され得る。アンカー機構365がその後展開される(図3C-1)。
【0096】
アンカー機構365が縫合糸製のひも366を具備する実施形態において、縫合糸製のひも366は、移植ガイド380の管腔内に残るので、移植ガイド380の引き込みの際に、縫合糸製のひも366は、皮膚表面への挿入経路に沿って延びる。縫合糸製のひも366はその後、皮膚と同一平面になるように切断され、テープで貼り付けられ、及び/又は結び目を作られることができる。
【0097】
移植ガイドは引き抜き可能であり、また上述したステップは、複数の閉塞装置300を移植するように隣接位置において繰り返されることが可能である(図3C-5)。
【0098】
別の実施形態において、図4A-1及び4A-2及び図4B-1~4B-2を参照すると、閉塞装置400は、生体吸収性管腔閉塞インプラント装置460を具備しており、前記生体吸収性管腔閉塞インプラント装置460は、移植ガイド480内に装填されたとき実質的に順応する形態461を有し、更に移植ガイド480から解放されたとき回旋状形態462を有する。回旋状形態462は、コイル状又は螺旋状の形態、起伏形態、及び/又は曲げ、捩じれ又は渦巻き状形態のよりランダムな形態を含み得る。
【0099】
本開示の別の実施形態によれば、図4A-1~4A-2及び図4B-1~4B-2を参照すると、閉塞装置及び送達装置システムは、伸縮自在の移植ピストン部材496を囲む、移植ガイド480と;移植ガイド480内に装填されたとき実質的に順応する形態461を有し、更に移植ガイド480から解放されたとき回旋状形態462を有する生体吸収性管腔閉塞インプラント装置460と;を具備しており、そこでは、生体吸収性管腔閉塞インプラント装置460は、移植ピストン部材496に解放可能に結合可能である。
【0100】
移植ピストン部材496は、移植ガイド480の管腔を通過し且つ閉塞装置400に解放可能に結合された細長い構成要素を具備可能である。実施形態において、移植ピストン部材496は、外管497の管腔内に及びそれに沿って設置される移動可能な内側芯498を有する外管497を具備する。移植ピストン部材496は、一定の距離で移動可能な内側芯498上を延びる外管497により凹状遠位端部を有する。この距離又はそれの一部に沿って、外管497は、閉塞装置400の上に、ぴったりと嵌合するように寸法決めされる。外管497はまた、移植ガイド480を通って滑動可能に伸縮するように寸法決めされる。このように、閉塞装置400は、移植ガイド480内に装填可能であり、その後、それは、閉塞装置400が解放されるまで、引っ込められ及び延ばされることが可能である。
【0101】
解放するために、移動可能な内側芯498は、それ(内側芯)が外管497の遠位端部に少なくとも同一平面状態になるように、外管497の管腔内において滑動して延びるように作動可能である。このように、閉塞装置400は、外管497の管腔から外に強制的に出されて、移植ピストン部材496から解放される。
【0102】
別の実施形態によれば、閉塞装置400を移植ガイド480に装填する方法は、閉塞装置400の近位端部を移植ピストン部材496の遠位端部内に挿入するステップと、移植ピストン部材496及び閉塞装置400を移植ガイド480の管腔内に引き込むステップとを含む。
【0103】
別の実施形態によれば、送達方法が以下のステップを含み得る。先ず、移植ガイド480が管腔内に挿入される。一旦所定位置に入ると、閉塞装置400が移植ガイド480から解放されて回旋状形態462を獲得するように、移植ピストン部材496が選択的に伸長され得る。必要に応じて、閉塞装置400は、移植ピストン部材496を引き込むことによって移植ガイド480の管腔内に再度引っ込められることが可能である。閉塞装置400の伸長及び引き込みのステップは、閉塞装置400が所望の移植位置に入るまで繰り返し可能である。適切な位置に入ると、閉塞装置400は、移植ピストン部材496を作動させることにより解放可能である。例えば、移植ピストン部材496を作動させることは、外管497の管腔に沿って移動可能な内側芯498を滑動及び伸長させることを含み得る。
【0104】
実施形態において、図4C-1~4C-2を参照すると、閉塞装置及び送達システムは、移植ガイド480と、作動可能な切断機構484と、ガイド480内に装填されると順応する形態461を有し且つガイド480から解放されると回旋状形態462を有する生体吸収性インプラント460とを具備しており、そこでは、生体吸収性インプラント460は、選択的に伸長され及び引っ込められることが可能であり、次いで、生体吸収性インプラント360の十分な長さが移植された後に、切断機構484により選択的に切断可能である。同様に、実施形態において、閉塞装置及び送達システムは、ガイド480と、切断機構484と、カスタマイズされた長さを有する生体吸収性インプラント460とを具備する。
【0105】
生体吸収性インプラント460を切断するために、切断機構484は、移植ガイド380の遠位端部に設置される刃485と、刃485から延びる作動構成要素とを具備可能である。刃485は、切れ刃が移植ガイド480の管腔の中心に向くように配向され得る。作動されると、刃485は、移植ガイド480の管腔を横切って移動し、また任意選択的にそれ自身を再設定可能である。刃485は、生体吸収性インプラント460を切断するのに適切な硬さの任意の材料を具備可能である。刃485は、硬質ポリマー又は金属構成要素であり得る。刃485は、ニチノール等の形状記憶材料を具備可能である。
【0106】
実施形態において、図4C-1~4C-2を参照すると、閉塞装置及び送達システムは、移植ガイド480と、作動可能な切断機構484と、ガイド480に装填されると順応する形態461を有し更にガイド480から解放されると回旋状形態462を有する生体吸収性インプラント460とを具備しており、そこでは、生体吸収性インプラント460は、選択的に伸長され及び引っ込められることが可能であり、次いで、生体吸収性インプラント360の十分な長さが移植された後に、切断機構484により選択的に切断可能である。同様に、実施形態において、閉塞装置及び送達システムは、ガイド480と、切断機構484と、カスタマイズ可能な長さを有する生体吸収性インプラント460とを具備する。
【0107】
生体吸収性インプラント460を切断するために、切断機構484は、移植ガイド380の遠位端部に設置された刃485と、前記刃485から延びる作動構成要素とを具備可能である。刃485は、切れ刃が移植ガイド480の管腔の中心に向くように配向され得る。作動されると、刃485は、移植ガイド480の管腔を横切って移動し、また任意選択的にそれ自身を再設定可能である。刃485は、生体吸収性インプラント460を切断するのに適切な硬さの任意の材料を具備可能である。刃485は、硬質ポリマー又は金属構成要素であり得る。刃485は、ニチノール等の形状記憶材料を具備可能である。
【0108】
別の実施形態によれば、送達方法は、移植ガイド480の管腔を介して閉塞装置400を延ばす及び/又は引っ込めるステップと、作動可能な切断機構484により閉塞装置400を選択的に切断するステップとを含む。
【0109】
実施形態において、図5A-1~5A-5を参照すると、閉塞装置500は、二構成要素生体吸収性管腔閉塞インプラント装置560を具備可能であり、そこでは、第1構成要素は、管腔又は空洞を画定する閉塞部材590を具備し、更に第2構成要素は、閉塞材料592を具備する。別の実施形態は、ガイドワイヤ594及び移植ガイド580も具備可能であり、そこでは、閉塞部材590は、ガイドワイヤ594の遠位端部の周りに取り付けられる。移植ガイド580は、閉塞部材510の管腔又は空洞内へガイドワイヤ594上を滑るように形成可能であり、ガイドワイヤ594の引き込み後に、ガイド580は、その中に閉塞材料592を注入可能である。例えば、閉塞部材590は、遠位端部において閉鎖されていて且つその拡張されていない状態において、移植ガイド580の遠位端部の周りに設置されるか又はそれを囲むような寸法のスリーブであり得る。
【0110】
実施形態において、閉塞材料592が管腔内に注入されるにつれて、閉塞部材510は、血管の内腔又は別の周囲の空き空間を占め且つ概略順応するように膨張又は拡張可能である。例えば、閉塞部材590は、閉塞材料592の導入の際に拡張可能な襞付き又は編物形態を有することができる。別の実施形態において、閉塞部材590は、閉塞材料592の導入の際に伸長及び/又は拡張する可撓性材料を具備可能である。
【0111】
別の実施形態において、閉塞部材590は、移植ガイド580又はガイドワイヤ594の周囲に取り付けられたか又は設置された場合に、閉塞部材590が実質的に直線状であることを可能にする、細長く順応性があり且つ回旋状の形態を具備可能であるが、しかし、それ590が移植ガイド580から解放されたとき、それ590は、空間充填閉塞効果を有する回旋状形態を有する。
【0112】
同一又は異なる実施形態において、閉塞部材590は膨張性ではなく、むしろ、生体吸収性インプラント500は、手動圧縮と同様に、例えば、痙攣剤、凝血促進剤、及び/又は生体適合性糊/組織接着剤等の、閉塞材料592に吸収又は注入された治療剤の使用によって、充填された閉塞部材(590及び592)の寸法に周囲の組織が一致することを促進する。
【0113】
本明細書に記載の別の生体吸収性インプラントと同様に、閉塞材料592は、治療剤を任意選択的に吸収可能である。閉塞部材590は、その外側表面への治療剤の転移を可能にするために十分に多孔性又は浸透性のある材料を具備可能である。
【0114】
閉塞材料592は、閉塞部材590を充填するのに適した任意の生体吸収性材料を具備可能である。実施形態において、閉塞材料592は、注入可能な材料、即ち、移植ガイド580の管腔を通って移動するのに適した材料を具備可能である。例えば、閉塞材料592は、不織性ウェブ材料、繊維の房、複数の小さな球状粒子、又は乳濁液を含み得る液体、小粒子固体材料及び/又はかさばりを有する材料等の流動可能な材料を具備可能である。好適な実施形態において、閉塞材料592は、PGAとしても知られるポリ(グリコライド)で作られた不織性の生体吸収性ウェブ材料と、ビラン(Biran)等の「止血特性を有する高度に多孔質の自己凝集性ウェブ材料」の題名による米国特許第7659219号に記載され、TMCとしても知られる、ポリ(トリメチレンカーボネート)とを具備可能であり、前記特許文献は言及したことによりその全体が本明細書中に編入される。
【0115】
閉塞部材590は、管腔又は空洞を画定し且つ血管管腔又は体腔を占め且つそれに概ね順応するように拡張可能な任意の薄肉構造構成要素に形成された生体吸収性材料を具備する。閉塞部材590は、閉塞材料592の通過を許容しない生体吸収性フィルム又は織布を具備可能である。閉塞部材590は、周囲の空間に概ね一致することを促進するような膨張性且つ順応性のフィルム又は織布を具備可能である。
【0116】
閉塞部材590は、所望の管腔又は体腔を閉塞するのに適した任意の形状であり得る。上述したように、閉塞部材590は、拡張可能なスリーブを具備可能である。拡張可能なスリーブは、近位端部及び遠位端部とそれらを貫通する管腔とを有する略管形状を具備する。遠位端部は、閉塞材料592が注入される際に、閉塞材料592を含むように、恒久的に閉鎖され得る。移植ガイド580は、閉塞材料592を送達するために、近位端部をを通って挿入され得る。
【0117】
閉塞材料592が閉塞部材590から漏れないように閉塞部材590を閉じるために、移植ガイド580が引き抜かれると、閉塞部材590は、ガイド580の引き抜き時に近位端部を少なくとも実質的に閉じるために、自己密封性であるか、又は閉鎖具を具備可能である。閉鎖具は、閉塞部材590の近位端部を閉鎖する、任意の機構又は形態を具備可能である。例えば、閉鎖具は、移植ガイド580の引き込み時に、閉塞部材590の近位端部を圧潰して閉じる弾性バンドのような、閉塞部材590の自己圧潰部分を具備可能である。別の閉鎖具の実施形態は、巾着縫合糸又はクリップ等を具備可能である。
【0118】
閉塞材料592が治療剤と共に注入される実施形態において、治療剤の転移は、閉塞部材590の特定の部分のみを介して浸透するように制限されることが必要であるかもしれない。従って、閉塞部材590は、少なくとも初期吸収段階中に治療剤に対して不浸透性を維持する部分又は領域を具備可能である。例えば、閉塞部材590上に不浸透性の一つ又は複数の端部キャップを有することは、治療薬の望ましくない移行を緩和し得る。閉塞部材590の領域は、乳酸及びグリコール酸(PLA/ PGA)のコポリマー等の、生体吸収性の封止剤で塗装することにより、あるいは、より低い浸透性を作成するように、これらの領域内において微細構造又は厚さを変えることにより、不浸透性に作られ得る。
【0119】
別の実施形態によれば、閉塞装置500を送達する方法は、ガイドワイヤ594上の閉塞部材590を血管内に延ばすステップと;ガイドワイヤ594の上で且つ閉塞部材590の管腔内へ移植ガイド580を渡すステップと;閉塞材料592を閉塞部材590の管腔内に注入するステップと;を含み得る。移植ガイド580は、それが閉塞材料592を注入する際に、引き込み可能である。一旦移植ガイド580が完全に引っ込められると、閉塞部材590は、移植ガイド580が通過進入した閉塞部材590の開口部の周囲で圧潰可能である。圧潰は、閉鎖具により促進可能である。
【0120】
生体吸収性インプラントは、閉塞効果を提供することに関連して説明されたが、インプラントは、血栓溶解作用を引き起こすように修正可能であり、また血栓溶解反応が望まれる組織又は血管系内に挿入され得る。
【0121】
様々な修正及び変更が、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく本開示において実施可能であることは、当業者には明らかであろう。従って、本開示は、本開示の修正及び変更を包含すること、及び前提として、それらが、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に含まれることが意図される。
【0122】
同様に、多くの特徴及び利点は、装置及び/又は方法の構造と機能の詳細と共に、様々な代替案を含んで先の説明に記載されている。本開示は、例示を意図するに過ぎず、従って、網羅的であることを意図するものではない。種々の修正が、特に、部分の構造、材料、要素、構成要素、形状、大きさ及び配置の項目において、組み合わせを含み、本開示の原理の範囲内において、添付の特許請求の範囲が表現される、用語の広範で一般的な意味により示される最大の範囲まで実施され得ることは当業者には明らかであろう。これらの種々の修正が、添付の特許請求の精神及び範囲から逸脱しない範囲で、その中に包含されることが意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G-1】
図2G-2】
図3A
図3B
図3C-1】
図3C-2】
図3C-3】
図3C-4】
図3C-5】
図4A-1】
図4A-2】
図4B-1】
図4B-2】
図4C-1】
図4C-2】
図5A-1】
図5A-2】
図5A-3】
図5A-4】
図5A-5】