(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】照明装置を備える車両用内装部材
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/64 20170101AFI20220107BHJP
B60N 3/04 20060101ALI20220107BHJP
B60Q 3/20 20170101ALI20220107BHJP
B60Q 3/54 20170101ALI20220107BHJP
B60Q 3/217 20170101ALI20220107BHJP
B60Q 3/233 20170101ALI20220107BHJP
B60Q 3/41 20170101ALI20220107BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B60Q3/64
B60N3/04 Z
B60Q3/20
B60Q3/54
B60Q3/217
B60Q3/233
B60Q3/41
B60R13/02 Z
(21)【出願番号】P 2017208303
(22)【出願日】2017-10-27
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100167977
【氏名又は名称】大友 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】亀井 理祥
(72)【発明者】
【氏名】中野 公一郎
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-091975(JP,U)
【文献】特開2016-117417(JP,A)
【文献】特開2017-193200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/64
B60N 3/04
B60Q 3/20
B60Q 3/54
B60Q 3/217
B60Q 3/233
B60Q 3/41
B60R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する線状の導光部材と、
少なくとも一部に透光性の材料からなる光透過部を有する基材と、
前記導光部材に入光するレーザ光を発光する光源とを含む発光部を備えた車両用内装部材であって、
前記導光部材は、前記基材の光透過部に埋設され
ており、
前記基材は、基材本体と、前記光透過部を構成する光透過部材とを備え、前記光透過部材は、前記基材本体に形成された溝に嵌合され、前記導光部材は、前記光透過部材に設けられた凹部に嵌挿されている、車両用内装部材。
【請求項2】
請求項
1に記載の車両用内装部材において、前記溝の断面は、基材表面側の溝幅が、基材裏面側の溝幅より狭くなるテーパー状部を有し、前記光透過部材の外面は、前記溝の形状に対応するテーパー状部を有する、車両用内装部材。
【請求項3】
請求項
1または2に記載の車両用内装部材であって、
前記基材の表面における前記溝の開口幅をW、前記導光部材の深さをz、前記光透過部材の屈折率をn
1、前記光透過部材と前記基材本体の界面の屈折率をn
2、空気の屈折率をn
airとするとき、
前記光透過部材と、前記基材本体の界面の基材表面に対する傾斜角θが、下記の式を満足する、車両用内装部材。
【数1】
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか一項に記載の車両用内装部材であって、前記基材が可撓性を有する材料からなり、照明機能付フロア敷設部材を構成する車両用内装部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内装部材に関し、特に自動車等の車両の、照明装置を備える内装部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、例えば、自動車のフロア、ドア、ルーフ等の内装には、搭乗者の乗心地や意匠性を考慮して各種の内装部材が設置されている。近年では、これらの意匠性を向上するため、照明を組み込む試みもなされている。
【0003】
特許文献1には、電源、または光源による発光体、および自己発光体を一体化した発光編織物が装着されている自動車用装備品が記載されており、側面漏光性の光ファイバを織り込んだ発光編織物を自動車のフロアマットの縁に配した構成が示されている。
【0004】
特許文献2には、床面に敷設されるマット本体の周縁に発光部が敷設されたマット装置が開示されおり、発光部は光源から受光した光を側面から発光させる光ファイバを備え、光ファイバが蓄光して発光する畜光材を伴ってマット本体に固定される。
【0005】
床材などの内装材に光ファイバを用いて意匠性を付与することは、車両以外の分野でも検討されている。特許文献3は、建築物の内・外装材に関し、不織布製のマットまたはプラスチック製タイルと透明塩化ビニルシートとアクリル製ベース板を順次積層してなる積層体において、前記塩化ビニルシートとアクリル板の間に長手方向の表面を発光面とする光ファイバを多数並列配置し、前記マットまたはタイルに設けた切り抜き部に透明アクリル樹脂を充填・硬化させた内・外装材を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3206217号公報
【文献】特開2016-117427号公報
【文献】登録実用新案第2600387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
車両用の内装部材では、各部の曲面形状に対応して変形しうる可撓性(または可塑性)が求められる。その上、搭乗者の体が接触する部分、例えば繰り返し足で踏まれるフロアなどでは、圧迫に対する耐圧性も求められる。特許文献1は光ファイバを含む編織物をフロアマットの外周に配する構成を開示しており、特許文献2もマットの周縁に光ファイバをかがりつけた構成を開示しているが、このような構成では、マットの柔軟性は保持されるものの、足で踏まれた場合などに発光部の保護が十分であるとはいえず、マットの面上の任意の箇所で意匠性にすぐれた照明効果を得ることは難しい。さらに、縫製や接着によってマットに光ファイバを固定した場合、フロアマットを洗浄する際に簡単につけはずしをすることができない。特許文献3が記載する内装材は、アクリルを基材とし、切り抜き部にアクリル樹脂を充填するという構成から、自動車のフロアマットなどに使用し得る可撓性は期待できない。また光ファイバを束状として用いていることから線状の発光体としての特性を意匠上利用することは考慮されていない。
【0008】
特許文献1は光源としてLEDを記載している。特許文献3は光源に関する具体的な記載はないが図示されているものは電球である。特許文献2は、光源の選択肢にレーザ光も記載しているものの、実施形態の説明はLEDに基づいて行っており、光源は、電球、冷陰極管等であってもよいと記載している。LEDや電球などの、光を発散する光源を用いた場合、光ファイバなどの細径の導光体において、長距離まで導光することは難しい。
【0009】
上記の現況に鑑み、本発明は、可撓性を有する細径(例えば、導光部位の直径0.9mm未満)の導光部材を用いて(例えば1m以上の)長い距離を導光し得るとともに、導光体を屈曲させて得られる所望の発光パターンを安定して保持できる発光部(照明部)を備える照明装置付の車両用内装部材を提供することを目的とする。さらに本発明は、車両の内部構造に追随し得る可撓性を有するとともに、耐圧迫性にも優れた照明機能付の内装部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の構成は、
可撓性を有する線状の導光部材と、
少なくとも一部に透光性の材料からなる光透過部を有する基材と、
前記導光部材に入光するレーザ光を発光する光源とを含む発光部を備えた車両内装部材であって、
前記導光部材は、前記基材の光透過部に埋設されている、車両用内装部材である。
【0011】
上記構成の内装部材によれば、発光部において可撓性を有する導光部材を所望の形状に安定して保持し、任意のライン状の発光パターンを形成し、内装部材に意匠性を備えた照明装置としての機能を付与することができる。また光源がレーザ光を発光するものであるので、導光体が細径の場合でも、長尺の導光体の終端まで発光させることができる。
【0012】
上記車両用内装部材において、前記導光部材は、導光部の直径が1mm未満の光拡散性光ファイバであってもよい。
【0013】
上記構成の車両用内装部材によれば、発光部では、直径1mm未満の光ファイバを曲率半径(R)10mm以下に曲げた状態で安定的に保持でき、長尺の光ファイバを用いて複数の発光ラインからなる発光パターンを実現することができる。
【0014】
上記構成の車両用内装部材において、前記基材は、基材本体と、前記光透過部を構成する光透過部材とを備え、前記光透過部は、前記基材本体に形成された溝に嵌合され、前記導光部材は、前記光透過部に設けられた凹部に嵌挿されている、車両用内装部材であってもよい。
【0015】
上記構成の車両用内装部材によれば、基材本体と光透過部とを別部材とし、溝パターンの加工により、任意の発光パターンを得ることができる。また、導光部材の組み付けも容易である。
【0016】
上記構成の車両用内装部材において、前記溝の断面は、基材表面側の溝幅が、基材裏面側の溝幅より狭くなるテーパー状部を有し、前記光透過部の外面は、前記溝の形状に対応するテーパー状部を有するものであってもよい。また、光透過部の凹部もテーパー状の断面を有するものであってもよい。
【0017】
上記構成により、基材本体に光透過部を設置する際や、光透過部に導光体を設置する際に、簡便かつ正確に位置決めを行うことができる。
【0018】
上記車両用内装部材において、前記基材の表面側における前記溝の開口幅をW、前記導光部材の深さをz、前記光透過部材の屈折率をn
1、前記光透過部材と前記基材本体の界面の屈折率をn
2、空気の屈折率をn
airとするとき、
前記光透過部材と、前記基材本体の界面の基材表面に対する傾斜角θが、下記の式を満足するものであってもよい。
【数1】
【0019】
上記車両用内装部材は、前記基材が可撓性の材料からなり、車両フロア敷設部材を構成するものであってもよい。
【0020】
上記構成の照明装置付車両用内装部材は、可撓性および耐衝撃圧性を備えるので、搭乗者の足で頻繁に踏まれるフロア敷設部材として使用した場合にも、導光体の破損を防止でき、導光体からの発光パターンにより敷設部材に高い意匠性を付与することができる。
【0021】
上記フロア敷設部材を構成する車両用内装部材は、さらに布帛製のフロア敷設部材本体を備え、前記発光部が、前記フロア敷設部材本体に着脱自在に取り付けられているものであってもよい。
【0022】
上記構成の車両用内装部材によれば、フロア敷設部材本体と発光部(照明装置)を着脱可能に取り付けることにより、フロア敷設部材本体を洗浄する際に取り外すことができ、フロア敷設部材本体と別々に交換することもできる。
【0023】
上記の車両用内装部材において、フロア敷設部材本体がパイル織物からなり、前記発光部が面ファスナを介して、前記フロア敷設部材本体に取り付けられていてもよい。
【0024】
上記車両用内装部材によれば、フロア敷設部材本体に対し、発光部を簡便に着脱することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の内装部材によれば、可撓性を有する導光部材を所望の形状に安定して保持することができる。その際、光ファイバ等の細径の導光部材と、レーザ光源を用い、長い総延長の線状発光を実現することができ任意のライン状の発光パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の車両用内装部材の一実施形態にかかるフロア敷設部材を示す概略平面図である。
【
図2】
図1の内装部材において、枠IIで示す部分の拡大図である。
【
図3】
図2の線III-IIIで示す、内装部材の発光部の断面図である。
【
図4】
図1の内装部材における発光部を裏面から見た概略平面図である。
【
図5】
図1の内装部材の組み付け工程を示す概略図である。
【
図6】
図3に示す発光部断面の好ましい条件を説明するための図である。
【
図7】本発明の車両用内装部材の一実施形態にかかるフロア敷設部材の変形例を示す図である。
【
図8】
図7のb)に示す、フロア敷設部材における、導光部材の配線を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の構成について説明する。なお、各図面は、発明の構成を説明するための概念図であり、実際の寸法比を表すものではない。異なる図において、対応する構成には、同一の符号を附して詳しい説明を省略する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態にかかる、照明装置を備える車両用内装部材の一実施形態としての車両用フロア敷設部材1を示す概略平面図である。内装部材(フロア敷設部材)1は、フロア敷設部材本体(フロアマット)2と、発光部3とを備えている。発光部3の基材4は、基材本体40と、光透過部材42とを備えている。
図2は、
図1で枠IIで示す部分の拡大図である。ここで示すように、光透過部材42の下には、可撓性を有する線状の導光部材(光ファイバ)6が埋設されている。必須の構成ではないが、本実施形態では、発光部3に配置された光源を保護する目的を兼ねて、硬質のプレート部材5が配置されている。このプレート部材5は、例えば、車両のエンブレムやネーム表示用のプレートとしても兼用できる。
【0029】
図3は、
図2の線III-IIIに沿った概略断面図である。基材本体40には、基材表面側に開口部41aを有する溝41が形成されており、その内面は、上部(表面側)テーパー面41bと、下部(裏面側)テーパー面41cと、両テーパー面41b、41cをつなぐ、ステップ面41dから構成されており、溝幅は、裏面側から表面側に向けて狭くなっている。ステップ面41dは、基材本体40の表面とほぼ平行な面である。光透過部材42は、この溝41に嵌合されており、溝41の形状に対応して、頂面42aと、上部テーパー面42bと、下部テーパー面42cと、両テーパー面42b、42cをつなぐステップ面42dとを有する。また光透過部材42には、その底面42eから内部へ向けてテーパー状に凹入する凹部42fが設けられており、凹部42fには、導光部材(光ファイバ)6が嵌挿されている。凹部42fには、さらに封止部材43が底面42eの側から挿入され、導光部材6を光透過部材42の中に固定している。なお、本実施形態では、二段のテーパー状の溝断面が示されているが、テーパー面が一段のみであってもよく、三段以上にわかれていてもよい。
【0030】
図4は発光部3を裏面側から見た概略平面図である。溝41は、基材本体40にライン状のパターンを形成している。溝41は、基材本体40の表面で開口している部位(開口溝部410)では、
図3に示す断面構造を取るが、表面に開口のない部位(連結溝部411)では、
図3に示す光透過部材42の凹部42fと同様に、基材本体40の表面に達しない断面構造をとる。長尺の導光部材(光ファイバ)6は、この溝41に沿って配置され、溝中に設置された光透過部材42と封止部材43に保持されている。導光部材6の終端には、発光効率を向上するため、終端器(反射器:図示せず)を設置してもよい。導光部材6の基端は、レーザダイオードなどのレーザ光源7に連結され、光源7から発したレーザ光が端面から入光されるように配置されている。レーザ光源7はハーネス8を介して、外部電源(図示せず)と接続される。
【0031】
図5は、フロア敷設部材本体2への発光部3の組み付けを示す概略図である。発光部3は、上記の状態でフロア敷設部材本体2に組み付けてもよいが、図示するように、裏面にバッキング部材9を接合してもよい。基材本体40またはバッキング部材9の裏面には、面ファスナ10を接合することにより、面ファスナ10を介して、発光部3は、フロア敷設部材本体2(例えば、パイル織物からなるフロアマット)に着脱自在に取り付けられる。この構成により、フロア敷設部材本体2は、発光部3とは別個に洗浄または交換することができる。
【0032】
図6は
図3に示す断面構造上部の条件を説明するための図である。溝41の開口部41aの幅をW、導光部材の深さ(光透過部材42頂面42aから、導光部材6の上面までの距離)をz、光透過部材42と、基材本体40の界面(上部テーパー面41a、42b)の基材表面に対する傾斜角をθとするとき、W、z、θを適切な範囲に調整することにより、導光部材5からの直接光L
Dだけではなく、基材本体40と、光透過部材42の界面で反射した光L
Rも利用することができ、搭乗者が照明を視認し得る範囲を広げることができる。
【0033】
具体的には、界面で反射した光が、光透過部材の表面で全反射せずに透過する際の反射光LRが、基材表面に対する垂線に対してなす角度の最大値(限界視野角)をβ、直接光LDが同じ垂線に対してなす角度の最大値(限界視野角)をαとすると、β>αとなる条件で、照明の視認範囲を広げることができるが、その条件は次式で表すことができる。
【0034】
【0035】
ここで、n1は光透過部材42の屈折率、n2は光透過部材41と基材本体40の界面の屈折率、nairは空気中の屈折率である。
【0036】
なお、一般的な透明樹脂の材質を考慮すると、n1は1.40~1.65程度(透明ウレタンの場合1.49)であり、基材本体40にも光透過部材42と同様の材料を(着色して)用いることができる。nairおよびn2は、1.0とすればよい。深さzは、例えば足踏みによる導光部材6の破損を防止するためには、2.5mm以上であることが好ましい。なお光透過部材42を溝41に装着するためには、θは90°未満であることが好ましい。
なお特に限定するものではないが、基材表面側における溝の開口幅Wは、導光部材の直径Dの0.5~5.0倍であってもよい。
【0037】
(導光部材)
本発明においては、導光部材としては、光ファイバなどの可撓性を有する細径の導光部材を用いることが好ましい。導光部材は、導光部分のみからなる光ファイバであってもよいが、一または複数のファイバからなる導光用の芯線と、保護用の被覆材からなる光ファイバであってもよい。例えば、導光部分となるガラスファイバ製の芯線と、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂性の被覆材からなる光ファイバを使用してもよい。光ファイバは、欠陥および/または散乱粒子などにより、側方への光拡散性が向上したもの(光拡散性ファイバ)であってもよい。また、光ファイバの被覆材中には、蛍光体が分散されていてもよい。上述のような光ファイバとしては、市販の物を用いることができる。光ファイバの使用により、被覆部分を含めても直径3mm未満、さらには1mm未満(例えば、0.9mm)、導光部位の直径が、例えば0.9mm未満の導光部材(光ファイバ)を用い、細い線状発光を得ることができる。使用する導光部材の長さは特に限定されないが、本発明では細径の光ファイバとレーザ光源の併用により、長尺の導光が可能となり、具体的には、1m以上、さらには3m以上、さらには5m以上の長さとすることも可能であり、例えば、0.1~10m、1~10m、3~5m、5~10m程度の範囲の長さから適宜選択することができる。上記の導光部材には、市販の物を使用することができ、一例としてコーニング社からFibranceとの登録商標名で販売されている導光部材を用いてもよい。
【0038】
(光源)
光源としては、指向性にすぐれたレーザ光源が使用される。レーザ光源に特に限定はないが、光源のサイズ小型化が可能であり、価格が低く、安定な出力が得られ、消費電力も低い等の理由で、レーザダイオード(LD)を用いることが好ましい。一個のレーザ光源による単色のレーザ光を用いてもよいが、例えば、赤色、緑色、青色の三色のレーザ光から適宜選択される、二色、または三色のレーザ光を用いた混合光とすることにより、所望の色合いのレーザ光を形成して使用してもよい。
図4に示す実施形態では、レーザ光源7を発光部の裏面側に配置しているが、レーザダイオード等の光源を外部に配置し、レーザ光源から光を伝送する光伝送用の導光体(光伝送用ファイバ)を光源として用いて、これと導光体を接続してもとよい。
【0039】
(光透過部材)
光透過部を構成する光透過部材は、透明な可撓性樹脂からなることが好ましい。例えば、透明なウレタン樹脂を使用することができるが、その他のエラストマー系、シリコーン系の透明樹脂(例えば、透明シリコーン樹脂)を使用してもよい。
【0040】
(基材)
基材本体を構成する材料は特に限定されず、用途によっては硬質の樹脂を用いてもよいが、フロア敷設部材等の可撓性を要する内装部材に用いる場合は、基材本体も可撓性樹脂であることが好ましい。例えば、着色したウレタン樹脂を用いてもよく、その他のエラストマー系、シリコーン系樹脂を着色して用いてもよい。また、封止部材も、基材本体と同様の材料を用いることができる。用途に応じて、基材本体を硬質の材料からなるものとする場合、金属を用いてもよく、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの樹脂を用いてもよい。光源を保護するプレート部材も、同様の材料から形成できる。
【0041】
(車両用内装部材)
本発明の内装部材をフロア敷設部材として使用する場合において、図示した実施形態には限定されず、種々の変更が可能である。例えば、
図4では、レーザ光源が発光部3の裏面側に配置され、プレート部材5で保護されているが、光源をフロア敷設部材の外部に配置する場合には、プレート部材5は省略してもよい。上記の実施形態では、布帛製のフロア敷設部材本体に発光部を設置する構成について説明したが、可撓性の樹脂からなる基材をフロア敷設部材の形状に加工してもよい。フロア敷設部材の輪郭形状は、使用される位置や、車種などに応じて変更される。
【0042】
発光部の配置や発光パターンも任意に変更できる。例えば、
図7において、a)に示す内装部材1では、発光部3がフロア敷設部材1の中央付近に配置されている。b)に示す内装部材1では、基材本体40がフロア敷設部材としての機能を有し、光透過部材42中で、導光部材を交差配置することにより、編目状の発光パターンを形成している。
【0043】
図8は、
図7b)に示す発光パターンの形成法を説明するための図であり、説明のため、光透過部材42の幅は強調されおり、ライン状に配置された個々の光透過部材42(以下ラインと呼ぶ)を区別するため、符号l
1~l
11が付されている。導光部材に配置は部分的に矢印付の破線で示されており、矢印の向きは導光部材6の基端から終端に向かう方向(レーザ光が導光される方向)を示している。光源7に連結された導光部材6は、まず、図の右端のライン(ライン状に配置された光透過部材42)l
1に配線される。ラインl
1を出た導光部材は、屈曲して隣接するラインl
2に入線し、右端のラインl
1から左端のl
6まで配線される。ラインl
6を出た導光部材は、ラインl
7に入線し、同様に、l
7からl
8、l
9、l
10を経てラインl
11まで配線される。ここで、ラインl
7~l
11においては、導光部材6を配置する凹部43の(裏面42e側からの)深さを、ラインl
1~l
6における凹部43の深さより小さく(浅く)してもよく、かつ/または、ラインが交差する位置(例えば、ラインl
7~l
11に切欠きを設けてもよい。このようにして、一本の長尺の導光部材を用いて、編目状の発光パターンを形成できる。同様に一筆書きの要領で、各種の発光パターンを形成することが可能である。
【0044】
上記の実施形態では、本発明の車両用内装部材の一例として、発光部を備える、フロア敷設部材について説明したが、本発明の内装部材の用途はフロア敷設部材に限定されず、ドアパネルやルーフパネル、あるいは座席の背面などに適用してもよい。あるいはバスや電車などの大型車両の床材などに応用することも可能である。この場合、本発明の内装部材は、自動車等の車両用の照明機能付部材として好適に用いることができ、各種車両内装部材に発光部を組み合わせることにより、照明機能を備えた内装部材を提供することができる。本発明によれば、細径の導光部材を利用して、薄い部位から発光させることができ、また、必要に応じ、光伝送部材を用いることにより発光部位を光源から離れた位置に配置することができるため、照明用の電気回路や電気配線を配置し難い位置の部材も発光させることができるので、多様な車両部品に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の照明機能付内装部材によれば、可撓性を有する細径かつ長尺の導光部材を用い、任意の形状の線状発光を呈する照明機能を備えた内装部材を提供することができる。このような内装部材は、自動車等の車両の内装の意匠性を高めることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 内装部材(フロア敷設部材)
2 フロア敷設部材本体
3 発光部
4 基材
5 プレート部材
6 導光部材
7 レーザ光源
40 基材本体
41 溝
41a 開口部
41b、41c テーパー状部
42 光透過部材
42b、42c テーパー状部
9 バッキング部材
10 面ファスナ
D 導光部材直径
W 溝幅
z 導光部材深さ
θ 界面傾斜角