IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社の特許一覧

特許6996959通信正常性確認装置、通信正常性確認方法、及びプログラム
<>
  • 特許-通信正常性確認装置、通信正常性確認方法、及びプログラム 図1
  • 特許-通信正常性確認装置、通信正常性確認方法、及びプログラム 図2
  • 特許-通信正常性確認装置、通信正常性確認方法、及びプログラム 図3
  • 特許-通信正常性確認装置、通信正常性確認方法、及びプログラム 図4
  • 特許-通信正常性確認装置、通信正常性確認方法、及びプログラム 図5
  • 特許-通信正常性確認装置、通信正常性確認方法、及びプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】通信正常性確認装置、通信正常性確認方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/00 20060101AFI20220107BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20220107BHJP
   H04W 8/02 20090101ALI20220107BHJP
【FI】
H04M3/00 E
H04M3/00 B
H04W24/08
H04W8/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017237113
(22)【出願日】2017-12-11
(65)【公開番号】P2019106600
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】畠山 博之
【審査官】西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-011020(JP,A)
【文献】特許第4283818(JP,B2)
【文献】特開2008-263304(JP,A)
【文献】特開2003-111143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/02-3/027
H03M11/00-11/26
H04B7/24-7/26
H04L12/00-12/26
12/50-12/955
H04M1/00
1/24-3/00
3/08-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04Q1/20-1/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネットワーク、第2のネットワーク、及び第3のネットワークを経由する通信の正常性を確認するための通信正常性確認装置であって、
検出可能な第1のネットワークを提供する複数のキャリアを含むリストを生成するリスト生成手段と、
前記リストに含まれる各キャリアによって提供される、それぞれの第1のネットワークについて、第1のネットワークを経由する試験を実行することにより前記通信の正常性を確認する確認手段とを備え、
前記第1のネットワークを経由する試験は、前記通信正常性確認装置から前記第1のネットワークを経由して、インターネット上の装置に対してパケットを送信することで行われる
ことを特徴とする通信正常性確認装置。
【請求項2】
前記リスト生成手段により生成される前記リストは、キャリア毎の1つ又は複数の通信方式を含み、
前記確認手段は、キャリア毎に、通信方式毎の接続試験を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信正常性確認装置。
【請求項3】
前記確認手段による試験結果を、通信可能な第1のネットワークを経由して監視装置に送信する送信手段
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信正常性確認装置。
【請求項4】
前記試験結果の送信に使用可能な第1のネットワークが存在しない場合において、前記送信手段は、使用可能な第1のネットワークが検出されるまで、前記試験結果を保持する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信正常性確認装置。
【請求項5】
前記通信正常性確認装置における通信機が認識されない場合において、当該通信機を再起動し、当該再起動後にも前記通信機が認識されない場合において、前記通信正常性確認装置を再起動するリカバリ手段
を更に備えることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の通信正常性確認装置。
【請求項6】
前記通信正常性確認装置の再起動後にも前記通信機が認識されない場合において、前記リカバリ手段は、外部装置に前記通信正常性確認装置の電源の供給停止、及び供給再開を実行させる
ことを特徴とする請求項5に記載の通信正常性確認装置。
【請求項7】
第1のネットワーク、第2のネットワーク、及び第3のネットワークを経由する通信の正常性を確認するための通信正常性確認装置であって、
検出可能な第1のネットワークを提供する1つ又は複数のキャリアを含むリストを生成するリスト生成手段と、
前記リストに基づいて、第1のネットワークを経由する試験を実行することにより前記通信の正常性を確認する確認手段と、
前記通信正常性確認装置における通信機が認識されない場合において、当該通信機を再起動する処理を通信機が認識されるまで繰り返し、前記通信機を所定回数再起動しても前記通信機が認識されない場合には、ユーザの介在なしに前記通信正常性確認装置を再起動するリカバリ手段と
を備えることを特徴とする通信正常性確認装置。
【請求項8】
第1のネットワーク、第2のネットワーク、及び第3のネットワークを経由する通信の正常性を確認するための通信正常性確認装置が実行する通信正常性確認方法であって、
検出可能な第1のネットワークを提供する複数のキャリアを含むリストを生成するリスト生成ステップと、
前記リストに含まれる各キャリアによって提供される、それぞれの第1のネットワークについて、第1のネットワークを経由する試験を実行することにより前記通信の正常性を確認する確認ステップとを備え、
前記第1のネットワークを経由する試験は、前記通信正常性確認装置から前記第1のネットワークを経由して、インターネット上の装置に対してパケットを送信することで行われる
ことを特徴とする通信正常性確認方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の通信正常性確認装置における各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークにおける通信の正常性を確認するための技術に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
日本国内で契約しているスマートフォン等のモバイル端末を海外でも利用可能とする国際ローミングサービスが普及している。
【0003】
国際ローミングサービスにより、例えば、日本で契約したモバイル端末のユーザは、海外に行っても当該モバイル端末をそのまま使用して通信を行うことが可能である。
【0004】
一般に、国際ローミングサービスは、GRX(GRPS Roaming eXchange)等から構成される国際中継網と、各国のキャリア網とを網間接続装置で接続することにより実現される。なお、本明細書では「キャリア」を「通信事業者」の意味で使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許5863185号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
国際ローミングサービスを提供しているキャリアは、ユーザが海外で国際ローミングサービスを正常に利用できるかどうかを常時確認する必要がある。そのために、例えば、当該キャリアの担当者が海外(現地)にモバイル端末を持ち込み、手動で接続確認をすることが考えられる。
【0007】
しかし、海外での人手による確認は、手間とコストがかかるとともに、常に確認を継続することは困難である。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、複数のネットワークを経由する通信の正常性の確認を自動的に行うことを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示の技術によれば、 第1のネットワーク、第2のネットワーク、及び第3のネットワークを経由する通信の正常性を確認するための通信正常性確認装置であって、
検出可能な第1のネットワークを提供する複数のキャリアを含むリストを生成するリスト生成手段と、
前記リストに含まれる各キャリアによって提供される、それぞれの第1のネットワークについて、第1のネットワークを経由する試験を実行することにより前記通信の正常性を確認する確認手段とを備え、
前記第1のネットワークを経由する試験は、前記通信正常性確認装置から前記第1のネットワークを経由して、インターネット上の装置に対してパケットを送信することで行われる
ことを特徴とする通信正常性確認装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術によれば、複数のネットワークを経由する通信の正常性の確認を自動的に行うことを可能とする技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態における通信システムの構成図である。
図2】通信正常性確認装置100の構成例を示す図である。
図3】通信正常性確認装置100のハードウェア構成例を示す図である。
図4】通信正常性確認装置100の動作例を説明するためのフローチャートである。
図5】通信正常性確認装置100の動作例を説明するためのフローチャートである。
図6】通信正常性確認装置100の動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。例えば、以下の実施の形態では、国際ローミングサービスを対象としているが、本発明は国際ローミングサービスに限らずに適用可能である。例えば、本発明を1国内の複数ネットワークを接続する通信における接続確認に使用することも可能である。
【0013】
また、下記の実施の形態では、日本("国内"と称する)のキャリアが、日本と日本以外の国("海外"と称する)との間の国際ローミングサービスを提供することを想定しているが、本発明の適用対象となる国際ローミングサービスにおける提供者(キャリア)及び国はどのようなものであってもよく、特定のものに限定されない。
【0014】
(システム全体構成)
図1に、本発明の実施の形態に係る通信システムの全体の構成図を示す。図1に示すように、当該通信システムには、国際中継網300、国内キャリア網400、海外キャリア網A~Bが含まれる。国際中継網300と国内キャリア網400との間は、網間接続装置200により接続される。網間接続装置200は、例えば、国際ローミングサービスを提供し、本発明に係る通信正常性確認を行うキャリアにより提供される。また、国際中継網300と海外キャリア網A~Cのそれぞれが接続される。
【0015】
国内キャリア網400は、例えば、国内のモバイルキャリアが提供する網である。海外キャリア網A~Cはそれぞれ、海外のある国におけるモバイルキャリアが提供する網である。
【0016】
国内キャリア網400に接続されるインターネット500には、監視装置600が接続され、当該監視装置600は、通信正常性確認装置100から、海外キャリア網経由で正常性確認結果の報告を受信する。
【0017】
通信正常性確認装置100は、海外の拠点に設置される装置である。図1では、代表として、海外キャリア網A~Cが提供されている国の拠点に通信正常性確認装置100が設置されることが示されている。実際には、例えば、複数国に設置され、各国において複数拠点に設置される。
【0018】
図1に示した構成において、通信正常性確認装置100は、電波受信可能なキャリア毎、通信方式(GSM(登録商標)、3G、LTE、5G等)毎に、定期的に接続試験を実施し、試験結果を監視装置600に通知する。接続試験は、例えば、インターネット500に備えられる所定のサーバ宛てにPingを実施することで行われる。ただし、これは一例に過ぎない。
【0019】
また、通信正常性確認装置100は、通信部(後述するモバイル通信機)についての死活確認を定期的に行っており、問題がある場合には、再起動等により自律的、自動的に問題を解消する機能を備えている。
【0020】
本実施の形態に係る通信システムにおいては、現地に設置される通信正常性確認装置100が自律的に試験を実施し、結果を遠隔地に所在する監視者に通知することとしているので、網側からのあるいは遠隔地からの通信正常性確認装置100の制御は行われない。
【0021】
(通信正常性確認装置100の構成例)
通信正常性確認装置100は、本実施の形態に係る国際ローミングサービスを利用可能なモバイル端末の機能と、通信正常性確認を行う機能とを含む。
【0022】
図2に、通信正常性確認装置100の構成の一例を示す。図2において、モバイル通信機120は、接続部122により物理的に通信正常性確認装置100に接続されるものである。ただし、モバイル通信機120は、通信正常性確認装置100に内蔵されていてもよい。いずれの場合も、通信正常性確認装置100は、通信正常性確認装置100が使用される場合において、モバイル通信機120を含む。
【0023】
なお、モバイル通信機自体が、本実施の形態に係る通信正常性確認装置100の機能を含んでもよい。その場合、当該モバイル通信機を通信正常性確認装置100と称することができる。
【0024】
本実施の形態におけるモバイル通信機120は、USB(登録商標)型のモバイル端末であり、通信正常性確認装置100はPC(パーソナルコンピュータ)であり、接続部122はUSB(登録商標)のインタフェースであることを想定しているが、このような想定は一例に過ぎない。
【0025】
モバイル通信機120は、監視部111からの制御に基づいて、キャリア毎及び通信方式毎に接続試験等を実行する通信部121を含む。
【0026】
図2に示すように、通信正常性確認装置100は、監視部111、監視部動作制御部112、スケジューラ113を含む。本実施の形態では、監視部111、監視部動作制御部112、スケジューラ113はそれぞれプログラムで実現されることから、監視部111、監視部動作制御部112、スケジューラ113は、OS(オペレーティングシステム)110上で動作することが図示されている。ただし、これは一例であり、監視部111、監視部動作制御部112、スケジューラ113が、OSとは独立した機能部であってもよい。
【0027】
監視部動作制御部112は、例えば、プログラムである監視部111を動作させるインタプリタ等である。スケジューラ113は、定期的に監視部111を起動し、通信正常性確認動作を実行させる。
【0028】
監視部111は、通信正常性確認動作の全般を実行する。例えば、監視部111は、キャリア毎、通信方式毎の通信接続、試験、切断を行って、その結果を試験結果としてモバイル通信機120により送信する。また、監視部111は、モバイル通信機120に対する再起動要求(より詳細には、無効化及び有効化の要求)を発出し、モバイル通信機120を再起動することができる。また、監視部111は、通信正常性確認装置100自身(つまりOS)に対する再起動要求を発出し、通信正常性確認装置100を再起動することができる。更に、監視部111は、後述する電源供給制御装置130(外部装置の例)に対して電源供給制御信号を送信することで、通信正常性確認装置100の電源のON/OFFを行うことができる。監視部111による具体的な処理内容については、フローチャートを参照して後述する。
【0029】
また、通信正常性確認装置100は、電源ユニット123を含む。電源ユニット123は、電源ケーブルにより電源を供給する電源供給装置130に接続される。電源供給装置130は、電源制御部131を含み、当該電源制御部131は、例えばLANにより、ポート124を経由して通信正常性確認装置100に接続される。電源制御部131は、通信正常性確認装置100から受信する電源供給制御信号に基づいて、通信正常性確認装置100の電源のON/OFFを行うことが可能である。
【0030】
(ハードウェア構成例)
上述した通信正常性確認装置100は例えば、コンピュータに、本実施の形態で説明する処理内容を記述したプログラムを実行させることにより実現可能である。すなわち、通信正常性確認装置100は、コンピュータに内蔵されるCPUやメモリ等のハードウェア資源を用いて、通信正常性確認装置100で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(可搬メモリ等)に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メール等、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0031】
図3は、本実施の形態における上記コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。図3のコンピュータは、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置150、補助記憶装置152、メモリ装置153、CPU154、インターフェース装置155、表示装置156、及び入力装置157等を有する。
【0032】
通信正常性確認装置100での処理を実現するプログラムは、例えば、CD-ROM又はメモリカード等の記録媒体151によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体151がドライブ装置150にセットされると、プログラムが記録媒体151からドライブ装置150を介して補助記憶装置152にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体151より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置152は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0033】
メモリ装置153は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置152からプログラムを読み出して格納する。CPU154は、メモリ装置153に格納されたプログラムに従って当該装置に係る機能を実現する。インターフェース装置155は、ネットワークに接続するためのインターフェースとして用いられる。インターフェース装置155は、例えば、モバイル通信機120を含む。
【0034】
表示装置156はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置157はキーボード及びマウス、ボタン、又はタッチパネル等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。なお、本実施の形態では、通信正常性確認装置100を自動で運用することが可能なので、表示装置156及び入力装置157を備えないこととしてもよい。
【0035】
(通信正常性確認装置100の動作例)
次に、図4図6のフローチャートを参照して、通信正常性確認装置100の動作例を説明する。下記の動作は主に監視部111により実行される。図中の"S"は"ステップ"の略である。下記の動作は、例えば、スケジューラ113により、一定時間間隔で監視部111が起動されることで、監視部111により定期的に実行される。
【0036】
<モバイルキャリアリスト更新(生成)処理>
S101において、監視部110は、記憶手段(メモリ等)に格納しているモバイルキャリアリスト更新日時を取得する。モバイルキャリアリストとは、接続確認を行う対象となるキャリア名、及びキャリア毎の通信方式のリストである。図4に示す処理はモバイルキャリアリストの更新処理を示している。図4は、既にモバイルキャリアリストがあり、それを更新することを示している。モバイルキャリアリストが無い状態から開始するのであれば、図4に示す処理はモバイルキャリアリストの生成処理に相当する。なお、「生成」を「更新」を含む意味で使用してもよい。
【0037】
S102において、監視部111は、キャリア検出タイムアウト値を過去の値に設定する。キャリア検出タイムアウト値とは、キャリア検出処理において、電波受信可能な海外キャリア網を検出(これを"キャリア検出"と呼ぶ)できるまでに待つ時間である。過去の値とは、前回の更新(生成)処理時において、キャリア検出のためのコマンド送出から、キャリア検出ができた時点までの時間である。なお、過去の値がない場合には、予め定めた値(例:15分)を使用する。なお、15分とすることは一例に過ぎず、この値が15分以外の値であってもよい。
【0038】
S103において、監視部111は、リトライ回数を初期化する(0にする)。リトライ回数とは、キャリア検出がタイムアウトして、再度コマンドを発出してキャリア検出を行う回数のことである。
【0039】
S104において、監視部111は、S101で取得したモバイルキャリアリストの更新日時と、現在の日時とに基づいて、モバイルキャリアリストが5日以内に更新されたものか否かを判断する。なお、閾値である「5日」は一例に過ぎない。また、当該閾値の単位は「日」に限られるわけではなく、時間、分、秒、その他の単位でも構わない。S104の判断がYesの場合には図5の処理(接続試験処理)に進む。S104の判断がNoの場合には、S105に進む。
【0040】
S105において、監視部111は、通信部121にコマンドを送出することにより、通信部121に、接続できる(所定強度異常の電波を受信する)キャリアの網及び通信方式を検索させる。なお、このキャリア検索自体は既存技術である。例えば、通信部121は、当該検索に成功した場合、電波を受信できたキャリア名、及びキャリア毎の通信方式を取得し、これらの情報を監視部111に通知する。検索に成功しない場合、タイムアウトの時間まで、成功するまで待つ。
【0041】
S106において、監視部111は、キャリア検索においてタイムアウトになったか否かを判断する。タイムアウトにならない場合(S106のNo)、S110に進む。
【0042】
タイムアウトになった場合(S106のYes)、S107に進み、監視部111は、リトライ回数をカウントアップする。S108において、監視部111は、リトライ回数がNになったかどうかを判断する。なお、Nは1以上の整数であり、例えば、4である。ただし、Nを4とすることは一例に過ぎない。
【0043】
S108の判断がYesであれば図6のリカバリ処理に移る。S108の判断がNoであれば、タイムアウト値に3分を追加し、S105に戻り、再度キャリア検索を行う。再度のキャリア検索においては、前回よりもタイムアウト値が増加しているので、キャリア検索に成功しなければ、より長い時間待つことになる。なお、「3分」は一例に過ぎない。
【0044】
S106でNoであった場合(キャリア検索に成功した場合)におけるS110では、監視部111は、キャリア検索に成功するまでの時間(つまり、コマンド発出からモバイルキャリアリスト取得までの時間)をメモリ等の記憶手段に保持する。この値は、S102で使用される過去の値に相当する。
【0045】
S111において、監視部111は、モバイルキャリアリストのファイルを更新する。なお、事前にモバイルキャリアリストのファイルが無い状態であれば、モバイルキャリアリストのファイルを生成する。一例として、モバイルキャリアリストは、(キャリア名,通信方式)のリストである。例えば、キャリアAとキャリアBが存在し、キャリアAがGSM(登録商標)とLTEを提供し、キャリアBが、3G、LTE、及び5Gを提供する場合に、これらがキャリア検索で検知できたとする。この場合、モバイルキャリアリストは、{(キャリアA,GSM(登録商標)),(キャリアA,LTE),(キャリアB,3G),(キャリアB,LTE),(キャリアB,5G)}のようなリストになる。S111の後、図5に示す接続試験処理に移行する。
【0046】
なお、モバイル通信機120が、海外キャリア網の電波を検出できたとしても、国内・海外キャリア間での国際ローミングサービス提供契約がなければ、当該海外キャリア網での通信をできない場合がある。国内・海外キャリア間での国際ローミングサービスが提供されているか否かについては、国内キャリアのWebサイト等に開示されている。そこで、例えば、通信正常性確認装置100は、当該Webサイトに定期的にアクセスし、国内・海外キャリア間での国際ローミングサービスの提供契約情報をチェックし、国内・海外キャリア間での国際ローミングサービスが提供されている海外キャリア網を対象として、モバイルキャリアリストの生成/更新を行うこととしてもよい。
【0047】
<接続試験処理>
S201において、監視部111は、モバイルキャリアリストの最初のエントリ(例:キャリアA,GSM(登録商標))を取得する。
【0048】
本実施の形態では、モバイル通信機120の死活確認のために、監視部111は、通信部121にコマンドを送る等により、モバイル通信機120を無効化(deactivate)してから有効化(activate)を行い、その後に、モバイル通信機120が認識されるかどうかを確認する処理(再起動処理と称してもよい)を行うことができる。その処理のリトライ回数を「無効―>有効リトライ回数」と表記している。S202では、無効―>有効リトライ回数を初期化する(0にする)。
【0049】
監視部111は、モバイル通信機120を有効化し(S203)、無効―>有効リトライ回数をカウントアップし(S204)、モバイル通信機120が認識されたかどうかを確認する(S205)。「モバイル通信機120が認識された」を、「モバイル通信機120が正常に動作することを確認できた」と言い換えてもよい。
【0050】
S205の確認結果がNoの場合(認識されない場合)、S206に進み、リトライ回数がMに達していれば(S206のYes)、図6のリカバリ処理に進む。なお、Mは1以上の整数であり、例えば、4である。ただし、Mを4とすることは一例に過ぎない。リトライ回数が4に達していない場合(S206のNo)、モバイル通信機120を無効化して(S207)、S203に戻り、S203からの処理を再度行う。
【0051】
S205における確認結果がYesの場合のS210において、監視部111は、モバイル通信機120により、該当キャリア(現エントリのキャリア、通信方式)の網への接続を実行する。
【0052】
S211において、監視部111は、現在の日時、接続するキャリア名、通信方式、電波強度、接続可否をレポートファイルに書き込む。なお、レポートファイルが事前に存在しない場合には、レポートファイルを生成して書き込む。ここでは、接続可であるとして、S212に進む。なお、接続が不可の場合には、その旨がレポートファイルに書き込まれ、以下のPingは実行されない。
【0053】
S212において、監視部111は、Pingを実行する。これにより、Pingのパケットがモバイル通信機120から送出され、通信経路の通信状態に問題がなければ、あて先のサーバに届き、応答が返される。これにより、疎通確認、遅延時間測定を行うことができる。Pingの実行は複数回行われる。
【0054】
S213において、監視部111は、Pingを実行することで得られたPing成功率(応答ありの回数÷Ping実行回数)、及びRTT(ラウンドトリップ時間(遅延時間に相当))をレポートファイルへ書き込む。
【0055】
S214において、監視部111は、モバイルキャリアリストにおける全エントリの処理が終了したかどうかを判断し、Noの場合(まだ未処理のエントリがある場合)、S215に進み、モバイル通信機120の無効化を行って、次のエントリの処理に進む。
【0056】
全エントリの処理が終了した場合(S214のYes)、S216に進み、監視部111は、モバイル通信機120が接続可能な海外キャリア網を用いて、レポートファイルを監視装置600に送信し、S217においてモバイル通信機120の無効化し、処理を終了する。なお、レポートファイルの送信は、APIで行ってもよいし、メールで行ってもよい。
【0057】
なお、いずれの海外キャリア網も通信不能になり、レポートファイルの送信に使用可能な海外キャリア網が存在しない場合には、レポートファイルの送信に使用可能な海外キャリア網が検出されるまでレポートファイルを記憶手段に保持しておき、使用可能な海外キャリア網が検出された場合に、当該海外キャリア網に接続してレポートファイルを送信する。
【0058】
<リカバリ処理>
次に、リカバリ処理の手順を図6を参照して説明する。
【0059】
S301において、監視部111は、リセット回数を初期化する(0にする)。リセット回数とは、モバイル通信機120の再起動(無効化->有効化)を行う回数である。続いて、S302において、監視部111は、無効―>有効間隔を30秒に設定する。なお、30秒とすることは一例に過ぎない。無効―>有効間隔とは、無効化されたモバイル通信機120を有効化した後、モバイル通信機120が認識されるまで待つ時間である。また、無効―>有効間隔は、モバイル通信機120を無効化した後、有効化を行うまでの時間でもある。
【0060】
S303において、監視部111は、モバイル通信機120を無効化し(S303)、上記間隔の時間だけ待つ(S304)。
【0061】
監視部111は、モバイル通信機120を有効化し(S305)、「無効―>有効間隔」の時間が経過するまでにモバイル通信機120を認識できれば(S306のYes)、リカバリ処理を終了し、元の処理に戻る。
【0062】
監視部111は、「無効―>有効間隔」の時間が経過するまでにモバイル通信機120を認識できなければ(S306のNo)、リセット回数をカウントアップし、「無効―>有効間隔」の値を、現在の値から30秒増加させる(S307)。なお30秒は一例に過ぎない。
【0063】
S308において、監視部111は、リセット回数がK以下かどうかを判断する。なお、Kは1以上の整数であり、例えば、4である。ただし、Kを4とすることは一例に過ぎない。S308がYesの場合、S303に戻り、S303からの処理を再度実行する。
【0064】
S308がNoの場合(リセット回数がKを超えた場合)、通信正常性確認装置100の再起動の回数がH以下であれば(S309のYes)、監視部111は、OSに命令することで、通信正常性確認装置100の再起動を行う(S310)。なお、Hは1以上の整数であり、例えば、4である。ただし、Hを4とすることは一例に過ぎない。装置と監視部111の起動待ち(S311)の後、S302に戻り、S302からの処理を再度実行する。
【0065】
通信正常性確認装置100の再起動の回数がHを超えた場合(S309のNo)、監視部111は、電源供給制御装置130に対し、電源OFF/ON制御の要求を送信する(S312)。電源供給制御装置130により、通信正常性確認装置100の電源OFF及びONが実行される(S313)。電源OFF/ONの回数がL以下であれば(S314のYes)、起動の後、S302に戻り、S302からの処理を再度実行する。なお、Lは1以上の整数であり、例えば、4である。ただし、Lを4とすることは一例に過ぎない。電源OFF/ONの回数がLを超えた場合、処理を終了する。
【0066】
なお、リカバリ処理において、より具体的には、モバイル通信機120の再起動に関しては、監視部111からコマンドでOSへ再起動の指示を出し、OSの機能で再起動が実行される。
【0067】
通信正常性確認装置100の再起動に関し、監視部111からOSへ再起動の指示を出し、OSの機能で再起動が実行される。
【0068】
また、通信正常性確認装置100の電源OFF/ONに関し、監視部111から電源供給制御装置130へ電源供給停止/再開の指示を出し、電源供給制御装置130の機能で電源供給停止/再開が実行される。
【0069】
(実施の形態の効果等)
従来技術では、国際ローミングサービスの正常性確認を行う場合において、人手による操作が必要であり、大きな手間がかかっていたが、本実施の形態では、現地拠点に通信正常性確認装置100を設置することで、自動的に正常性確認を行うことが可能となり、手間及びコストを大幅に削減することが可能となる。
【0070】
(実施の形態のまとめ)
本実施の形態により、第1のネットワーク、第2のネットワーク、及び第3のネットワークを経由する通信の正常性を確認するための通信正常性確認装置であって、検出可能な第1のネットワークを提供する1つ又は複数のキャリアを含むリストを生成するリスト生成手段と、前記リストに基づいて、第1のネットワークを経由する試験を実行することにより前記通信の正常性を確認する確認手段とを備えることを特徴とする通信正常性確認装置が提供される。
【0071】
前記リスト生成手段により生成される前記リストは、例えばキャリア毎の1つ又は複数の通信方式を含み、前記確認手段は、キャリア毎に、通信方式毎の接続試験を実行する。
【0072】
通信正常性確認装置は、前記確認手段による試験結果を、通信可能な第1のネットワークを経由して監視装置に送信する送信手段を更に備えてもよい。
【0073】
また、前記試験結果の送信に使用可能な第1のネットワークが存在しない場合において、前記送信手段は、使用可能な第1のネットワークが検出されるまで、前記試験結果を保持することとしてもよい。
【0074】
また、通信正常性確認装置は、当該通信正常性確認装置における通信機が認識されない場合において、当該通信機を再起動し、当該再起動後にも前記通信機が認識されない場合において、前記通信正常性確認装置を再起動するリカバリ手段を更に備えてもよい。
【0075】
前記通信正常性確認装置の再起動後にも前記通信機が認識されない場合において、前記リカバリ手段は、外部装置に前記通信正常性確認装置の電源の供給停止、及び供給再開を実行させることとしてもよい。
【0076】
実施の形態における監視部111は、上記のリスト生成手段、確認手段、送信手段、及びリカバリ手段の例である。また、実施の形態における海外キャリア網、国際中継網、国内キャリア網はそれぞれ、第1のネットワーク、第2のネットワーク、第3のネットワークの例である。ただし、これは一例に過ぎず、第1のネットワーク、第2のネットワーク、第3のネットワークはそれぞれどのようなネットワークであってもよい。例えば、第1のネットワーク、第2のネットワーク、第3のネットワークはそれぞれ、ある国の国内におけるアクセス網、中継網、アクセス網であってもよい。
【0077】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
100 通信正常性確認装置
110 OS
111 監視部
112 監視部動作制御部
113 スケジューラ
120 モバイル通信機
121 通信部
122 接続部
123 電源ユニット
124 ポート
130 電源供給制御装置
131 電源制御部
150 ドライブ装置
151 記録媒体
152 補助記憶装置
153 メモリ装置
154 CPU
155 インターフェース装置
156 表示装置
157 入力装置
A、B、C 海外キャリア網
300 国際中継網
200 網間接続装置
400 国内キャリア網
500 インターネット
600 監視装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6