(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】容器移送装置
(51)【国際特許分類】
B65C 9/06 20060101AFI20220107BHJP
B65C 3/14 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B65C9/06
B65C3/14
(21)【出願番号】P 2017246039
(22)【出願日】2017-12-22
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽田 繁
(72)【発明者】
【氏名】高田 久隆
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-249307(JP,A)
【文献】特開2017-186028(JP,A)
【文献】特開2013-095485(JP,A)
【文献】特開2010-036996(JP,A)
【文献】特開2006-321569(JP,A)
【文献】特開2013-177225(JP,A)
【文献】特開2014-189324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 9/06
B65C 3/14
B65G 47/24
B65G 47/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非円形の胴部外形を有する容器に筒状フィルム体が被嵌されるフィルム被嵌位置に前記容器を間欠的に移送する容器移送装置であって、
コンベヤによって順次搬送される容器を所定位置で停止させる一方で前記容器が間欠移送されるときは前記容器を解放するストッパ装置と、
前記所定位置で前記容器をクランプした状態で容器移送方向下流側へ所定ピッチずつ移送してクランプ解除する間欠移送動作を繰り返し行うことで前記容器を前記フィルム被嵌位置に移送するクランプ移送装置と、を備え、
前記クランプ移送装置は前記容器をクランプする一対のクランプ部材を含み、各クランプ部材は前記容器のクランプ時に前記容器の胴部が嵌まり込むクランプ凹部を前記容器移送方向に所定ピッチ間隔で複数有しており、各クランプ凹部の容器対向縁部には前記容器のクランプ時に前記容器の胴部外周面に当接する少なくとも2つの回転部材が設けられ
、
前記所定位置及び前記フィルム被嵌位置に移送された容器が載置されている載置面には、容器底部に対向するエア吸引孔が設けられている、容器移送装置。
【請求項2】
非円形の胴部外形を有する容器に筒状フィルム体が被嵌されるフィルム被嵌位置に前記容器を間欠的に移送する容器移送装置であって、
コンベヤによって順次搬送される容器を所定位置で停止させる一方で前記容器が間欠移送されるときは前記容器を解放するストッパ装置と、
前記所定位置で前記容器をクランプした状態で容器移送方向下流側へ所定ピッチずつ移送してクランプ解除する間欠移送動作を繰り返し行うことで前記容器を前記フィルム被嵌位置に移送するクランプ移送装置と、を備え、
前記クランプ移送装置は前記容器をクランプする一対のクランプ部材を含み、各クランプ部材は前記容器のクランプ時に前記容器の胴部が嵌まり込むクランプ凹部を前記容器移送方向に所定ピッチ間隔で複数有しており、各クランプ凹部の容器対向縁部には前記容器のクランプ時に前記容器の胴部外周面に当接する少なくとも2つの回転部材が設けられ
、
前記フィルム被嵌位置には前記容器をフィルム被嵌装置に向かって上昇移動させる昇降台が設けられ、前記昇降台の上面は前記容器の胴部の外形輪郭よりも小さく形成されており、前記昇降台は前記フィルム被嵌装置から前記容器に筒状フィルム体が被嵌されるときに上昇移動し、前記筒状フィルム体が被嵌された後に下降移動する、容器移送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の容器移送装置において、
前記2つの回転部材は、前記クランプ凹部にクランプされた前記容器の胴部中心位置を通って前記容器移送方向と直交する直線に対して対称位置に配置されている、容器移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状フィルム体を容器に被嵌するためにフィルム被嵌位置に容器を移送する容器移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、筒状の熱収縮性フィルム(ラベル)をPETボトル等の容器の周囲に被嵌するフィルム被嵌装置が知られている。フィルム被嵌装置は、シート状に折り畳まれた長尺筒状のフィルム基材を所定長さに順次に切断して筒状フィルム体を形成し、この筒状フィルム体をマンドレルの外周に沿って下方に搬送することで略円筒状に開口させる。そして、このように開口した状態で筒状フィルム体をショットローラによってマンドレルから下方に送出することで、マンドレルの下方のフィルム被嵌位置に所定ピッチで連続搬送されてくる容器の周囲に筒状フィルム体が上方から被嵌される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
筒状フィルム体が容器に被嵌されるフィルム被嵌位置に容器を順次移送する方式として、容器を所定ピッチずつ間欠的に移送する方式がある。このような容器間欠移送方式では、一対のクランプ部材で容器を所定ピッチでクランプし、この状態で一対のクランプ部材を容器搬送方向上流側へ所定ピッチで前進移動させて容器をフィルム被嵌位置に移送して、容器を解放する。これにより、フィルム被嵌位置で静止状態にある容器に、フィルム被嵌装置から開口した筒状フィルム体が送出されて被嵌される。その後、筒状フィルム体が被嵌された容器は、一対のクランプ部材によって再びクランプされて、容器移送方向下流側へと移送されると共に、次の容器がフィルム被嵌位置に移送される。このような動作が繰り返されることで、容器に筒状フィルム体が順次に被嵌される。
【0005】
このように容器をクランプして所定ピッチずつ間欠移送する容器移送装置では、一対のクランプ部材にクランプ凹部がそれぞれ形成され、クランプ凹部に容器胴部が嵌まり込むことによってクランプする構成とすることがある。この場合、クランプ凹部を上面視でV字状の切り込みとして形成することがある。
【0006】
クランプ凹部がV字状の切り込みとして形成される場合、容器胴部の外周形状が円形である場合には、V字状の切り込みの縁部に2箇所で接触してクランプ位置が正確に決められる。そのため、間欠移送によって容器をフィルム被嵌位置に正確に移送することができる。また、被嵌される筒状フィルム体がラベルであって例えば商品名等の表示が付されている場合、容器胴部が円形であれば容器に対するラベルの周方向位置は規制されない。
【0007】
これに対し、容器胴部が例えば楕円等の非円形の場合には容器に対するラベルの表示の周方向位置が限定されるため、フィルム被嵌位置に移送された容器の回転位置が正確に決められた状態になっていないと、ラベルの表示位置にばらつきが生じて製品外観が悪くなる。V字状の切り込みからなるクランプ凹部で上記のような非円形の容器胴部をクランプしたとき、容器材質による容器表面のすべり性が悪い場合や容器胴部の外形状によっては、クランプ時に容器の回転位置が修正されないままフィルム被嵌位置に容器が移送されることがある。この場合、容器移送位置精度が低下するため、筒状フィルム体(ラベル)の被嵌動作が不安定な状態になることがあった。また、フィルム被嵌位置に移送された容器の回転位置もばらつくため、容器に被嵌されたラベルの表示が所望位置から周方向にずれることがあった。
【0008】
本発明の目的は、非円形断面の胴部形状を有する容器をフィルム被嵌位置に間欠的に移送するときに、容器の移送方向位置および回転位置を正確に位置決めした状態で移送することができる容器移送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る容器移送装置は、非円形の胴部外形を有する容器に筒状フィルム体が被嵌されるフィルム被嵌位置に前記容器を間欠的に移送する容器移送装置であって、コンベヤによって順次搬送される容器を所定位置で停止させる一方で前記容器が間欠移送されるときは前記容器を解放するストッパ装置と、前記所定位置で前記容器をクランプした状態で容器移送方向下流側へ所定ピッチずつ移送してクランプ解除する間欠移送動作を繰り返し行うことで前記容器を前記フィルム被嵌位置に移送するクランプ移送装置と、を備え、前記クランプ移送装置は前記容器をクランプする一対のクランプ部材を含み、各クランプ部材は前記容器のクランプ時に前記容器の胴部が嵌まり込むクランプ凹部を前記容器移送方向に所定ピッチ間隔で複数有しており、各クランプ凹部の容器対向縁部には前記容器のクランプ時に前記容器の胴部外周面に当接する少なくとも2つの回転部材が設けられ、前記所定位置及び前記フィルム被嵌位置に移送された容器が載置されている載置面には、容器底部に対向するエア吸引孔が設けられている。
【0010】
この構成によれば、クランプ凹部の容器対向縁部に2つの回転部材が設けられていることで、一対のクランプ部材によって容器がクランプされたときに回転部材が容器胴部の外周面に当接することによってクランプ凹部内で容器が回転しやすくなり、その結果、容器表面のすべり性や容器胴部の外形にかかわらず容器クランプ時の容器の回転方向位置及び移送方向位置が正確に決められる。加えて、容器の載置面に設けたエア吸引孔から容器の底部が吸引されることで、一対のクランプ部材によるクランプが解除されたときにも容器が安定して立った状態を維持できる。したがって、容器をフィルム被嵌位置で正確に位置決めした状態に移送でき、筒状フィルム体Fの被嵌動作を安定して行えるとともに、容器に対する筒状フィルム体の表示の向きも揃えられる。
【0013】
また、本発明に係る容器移送装置において、前記2つの回転部材は、前記クランプ凹部にクランプされた前記容器の胴部中心位置を通って前記容器移送方向と直交する直線に対して対称位置に配置されているのが好ましい。
【0014】
この構成によれば、クランプ凹部内において容器の胴部中心位置を通る直線の両側の対称位置で回転部材を接触させて容器をクランプすることができ、容器のクランプ状態をより安定したものにできる。
【0017】
本発明に係る他の容器移送装置は、非円形の胴部外形を有する容器に筒状フィルム体が被嵌されるフィルム被嵌位置に前記容器を間欠的に移送する容器移送装置であって、コンベヤによって順次搬送される容器を所定位置で停止させる一方で前記容器が間欠移送されるときは前記容器を解放するストッパ装置と、前記所定位置で前記容器をクランプした状態で容器移送方向下流側へ所定ピッチずつ移送してクランプ解除する間欠移送動作を繰り返し行うことで前記容器を前記フィルム被嵌位置に移送するクランプ移送装置と、を備え、前記クランプ移送装置は前記容器をクランプする一対のクランプ部材を含み、各クランプ部材は前記容器のクランプ時に前記容器の胴部が嵌まり込むクランプ凹部を前記容器移送方向に所定ピッチ間隔で複数有しており、各クランプ凹部の容器対向縁部には前記容器のクランプ時に前記容器の胴部外周面に当接する少なくとも2つの回転部材が設けられ、前記フィルム被嵌位置には前記容器をフィルム被嵌装置に向かって上昇移動させる昇降台が設けられ、前記昇降台の上面は前記容器の胴部の外形輪郭よりも小さく形成されており、前記昇降台は前記フィルム被嵌装置から前記容器に筒状フィルム体が被嵌されるときに上昇移動し、前記筒状フィルム体が被嵌された後に下降移動する。
【0018】
この構成によれば、容器胴部よりも小さい昇降台に載置された容器をフィルム被嵌装置に接近させた状態でフィルム被嵌動作を行うので、容器表面や筒状フィルム体の内面のすべり性が良くない場合でも筒状フィルム体が容器に浅く被嵌された状態になるのを抑制できる。また、容器表面や筒状フィルム体の内面のすべり性が良い場合には、容器に被嵌された筒状フィルム体は容器胴部を通過して昇降台の上端部周囲に被った状態になるが、フィルム被嵌後に昇降台が下降移動することで容器が下降し、これにより筒状フィルム体の下端位置が容器の下端部に一致した状態に被嵌されることになる。これらのことから、容器に対する筒状フィルム体の高さ位置を揃えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る容器移送装置によれば、非円形断面の胴部形状を有する容器をフィルム被嵌位置に間欠的に移送するときに、容器の移送方向位置および回転位置を正確に位置決めした状態で移送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態である容器移送装置を上方から見た平面図である。
【
図2】
図1の容器移送装置において移送される容器の例を示す(a)正面図、(b)側面図、及び(c)上面図である。
【
図4】容器の胴部外周にローラが接触する状態を示す拡大平面図である。
【
図5】ローラに接触して容器の回転方向位置が修正される様子を示す図である。
【
図6】(a)~(d)は、楕円状の胴部外形を有する容器が短手方向に沿って移送される場合において、2つのローラが胴部に接触する角度位置を変更した状態をそれぞれ示す図である。
【
図7】(a)~(g)は、楕円状の胴部外形を有する容器が長手方向に沿って移送される場合において、2つのローラが容器胴部に接触する角度位置を変更した状態をそれぞれ示す図である。
【
図8】(a)~(g)は、略正方形状の胴部外形を有する容器が対角方向に沿って移送される場合において、2つのローラが容器胴部に接触する角度位置を変更した状態をそれぞれ示す図である。
【
図9】(a)~(g)は、略六角形状の胴部外形を有する容器が一側面を容器移送方向に向いた状態で移送される場合において、2つのローラが容器胴部に接触する角度位置を変更した状態をそれぞれ示す図である。
【
図10】(a)~(d)は一対のクランプ部材の動作を示す図である。
【
図12】一対のクランプ部材が上側クランプ部及び下側クランプ部を備える例を示す図である。
【
図13】第2実施形態の容器移送装置を示す、
図11と同様の断面図である。
【
図14】(a)は容器に筒状フィルム体が所望位置(正常位置)に被嵌された状態を示す図であり、(b)は筒状フィルム体が容器の上部に被嵌された浅被り状態で被嵌された様子を示す図である。
【
図15】(a)は容器に被嵌された筒状フィルム体が載置面で跳ね返る様子を示す図であり、(b)は跳ね返った筒状フィルム体が容器の上部に被嵌された浅被り状態になった様子を示す図である。
【
図16】(a)~(c)は第2実施形態の容器移送装置において容器に筒状フィルム体が被嵌される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの構成を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態である容器移送装置10を上方から見た平面図である。
図1では、筒状フィルム体を容器Cに被嵌するためのフィルム被嵌装置の図示が省略されている。
図2は、
図1の容器移送装置10において移送される容器Cの例を示す(a)正面図、(b)側面図、及び(c)上面図である。
【0023】
容器移送装置10は、上流側コンベヤ12によって搬送されてきた容器Cをフィルム被嵌位置αに間欠的に移送する機能を有する。上流側コンベヤ12は、容器移送装置10に対して、矢印Aで示す容器移送方向の上流側に設置される。上流側コンベヤ12は、例えば、無端状のベルトコンベヤによって構成され、連続的に駆動されることで容器Cを搬送することができる。
【0024】
上流側コンベヤ12は、容器移送装置10内に設定されるフィルム被嵌位置αに向かって直線状に延びている。フィルム被嵌位置αは、フィルム被嵌装置70(
図11参照)によって、容器Cに筒状フィルム体Fが被嵌される位置である。
【0025】
容器移送装置10の容器移送方向Aの下流側には、下流側コンベヤ13が設置されている。下流側コンベヤ13は、容器移送装置10から送り出されたフィルム被嵌済みの容器Cを受け取って容器移送方向Aの下流側に搬送する。下流側コンベヤ13は、上流側コンベヤ12の延長線上に沿って直線状に延びている。下流側コンベヤ13は、例えば、無端状のベルトコンベヤによって構成される。
【0026】
容器移送装置10は、平面視で長方形状をなす基台11を備える。基台11上であって、上流側コンベヤ12の上方には、一対のゲート部材14が設置されている。各ゲート部材14は、平面視でL字状をなすレバー16の一端にそれぞれ連結されている。各レバー16は、基台11上に立設された回動軸17を中心に回動可能に軸支されている。また、各レバー16の他端は、ボールジョイント18を介してエアシリンダ19の駆動軸にそれぞれ連結されている。
【0027】
各ゲート部材14は、エアシリンダ19が非作動状態のとき、実線で示す位置にある。この位置では、一対のゲート部材14の各先端部が上流側コンベヤ12の上方にそれぞれ位置している。したがって、上流側コンベヤ12によって容器移送装置10に搬送されてきた容器Cは、一対のゲート部材14によって停止させられて、数珠つなぎに隣接した状態になる。この状態で、上流側コンベヤ12は連続駆動されているため、上流側コンベヤ12は容器Cの底面に対して滑りながら移動している。
【0028】
一対のゲート部材14は、後述する一対のクランプ部材の動作と同期してエアシリンダ19が駆動されることによって一点鎖線で示す位置に一旦回動された後、再び実線位置に戻るように動作する。これにより、数珠つなぎで並んだ容器Cのうち先頭(すなわち容器移送方向Aの最下流側)に位置する1つの容器Cが解放される。その結果、この解放された容器Cは、上流側コンベヤ12によって下流側へ搬送される。一対のゲート部材14は、このような回動動作を所定間隔で繰り返すことで、容器Cは数珠つなぎの容器列から1つずつ分離されて上流側コンベヤ12によって容器移送装置10へ向けて搬送される。
【0029】
なお、本実施形態では、一対のゲート部材14を設けて数珠つなぎに並んだ容器列から容器Cを1つずつ分離しながら下流側へ搬送するものとして説明するが、これに限定されるものではない。例えば、上流側コンベヤ12によって容器Cが一定の間隔を置いた状態で容器移送装置10へ搬送されてもよい。この場合、一対のゲート部材14及びこれを駆動するための機構16~19を省略することができる。
【0030】
本実施形態の容器移送装置10によって移送される容器Cは、
図2(a)-(c)に示すように、内容物を収容する胴部C1と、キャップC2とを有する。キャップC2は、胴部C1の上部からくびれて細くなった首部の上端部に形成される開口を開閉可能に閉じている。本実施形態では、容器Cは、非円形断面の胴部形状を有する。より詳しくは、容器Cの胴部C1は、
図2(c)に示すように、略楕円形の外周形状を有する。また、容器Cの底面中央には、胴部C1の内側に向かって凸状をなす窪み部C3が形成されている。なお、以下では、容器Cの胴部C1に関し、長径方向を「長手方向」といい、短径方向を「短手方向」ということがある。
【0031】
再び
図1を参照すると、本実施形態の容器移送装置10は、基台11上に設置されたストッパ装置20及びクランプ移送装置30を備える。
【0032】
ストッパ装置20は、上流側コンベヤ12の端部の上方に配置された一対のストッパ部材20a,20bを含んで構成される。各ストッパ部材20a,20bは、例えば、樹脂部材によって構成される。各ストッパ部材20a,20bは、上流側コンベヤ12の上方位置から退避した実線位置と、上流側コンベヤの上方位置に突き出した破線位置との間で進退移動するようになっている。このようなストッパ部材20a,20bの進退動作は、例えば、カム機構、エアシリンダなどの駆動機構によって実現できる。
【0033】
本実施形態では、略楕円形の胴部外周形状を有する容器Cが上流側コンベヤ12及び容器移送装置10で短手方向に沿って移送される例が示される。したがって、このような容器Cの胴部外周形状に対応して、各ストッパ部材20a,20bは、先端部の側縁が容器移送方向Aの上流側(
図1中の左側)に面する曲線状に形成されている。これにより、各ストッパ部材20a,20bが前進して先端部が容器Cの上部に当接したとき、容器Cの胴部C1の外周面に沿って接触し、容器Cを安定した状態で停止させることができる。
【0034】
一対のゲート部材14によって容器列から分離して搬送されてきた容器Cが一対のストッパ部材20a,20bの間に到達する直前に、一対のストッパ部材20a,20bが互いに接近する方向へ破線位置まで前進移動する。これにより、容器Cは、連続駆動される上流側コンベヤ12に対してスリップした状態となって、一対のストッパ部材20a,20bにより停止させられる。この容器停止位置が、後述する一対のクランプ部材32a,32bで最初にクランプされる所定位置βとなる。また、一対のストッパ部材20a,20bは、後述するクランプ移送装置30によって容器Cが所定位置βから移送されるとき、後退移動して容器Cを解放する。
【0035】
クランプ移送装置30は、載置台31と、一対のクランプ部材32a,32bとを含む。載置台31は、一対のクランプ部材32a,32bによって上流側コンベヤ12上の所定位置βから移送されてきた容器Cを上面に載置する部材である。載置台31は、基台11上に設置されている。
【0036】
一対のクランプ部材32a,32bは、載置台31の上方であって、上流側コンベヤ12と下流側コンベヤ13との間の領域を挟んだ両側に対向して配置されている。
【0037】
図3は、一対のクランプ部材32a,32bを示す平面図である。
図3に示すように、一対のクランプ部材32a,32bにおいて互いに対向する各端縁部には、略三角状のクランプ凹部34a,34b,34cがそれぞれ形成されている。一対のクランプ部材32a,32bの構成は同じであるため、以下ではクランプ部材32aを例に説明をする。
【0038】
クランプ部材32aのクランプ凹部34a,34b,34cは、容器Cの間欠移送ピッチに相当する所定ピッチpだけ離れてそれぞれ形成されている。容器移送方向Aに関して最上流側(
図3中の左側)に位置するクランプ凹部34aは、上流側コンベヤ12上においてストッパ装置20によって所定位置βに停止させられた容器Cをクランプする部分である。容器移送方向Aに関して中間に位置するクランプ凹部34bは、所定位置βから所定ピッチpだけ離れた載置台31上の中間位置γにある容器Cをクランプする部分である。容器移送方向Aに関して最下流側(
図3中の右側)に位置するクランプ凹部34cは、中間位置γから所定ピッチpだけ離れたフィルム被嵌位置にある容器Cをクランプする部分である。
【0039】
クランプ部材32aは、横長長方形状のクランプ本体35を含む。クランプ本体35は、例えば、樹脂の板材によって構成される。クランプ本体35の縁部には、3つの切り欠き部35a,35b,35cが所定ピッチpで形成されている。このうち、容器移送方向Aに関し、上流側及び中間に位置する2つの切り欠き部35a,35bは略半円状に形成され、下流側に位置する切り欠き部35cはV字状に形成されている。このV字状の切り欠き部35cが上記クランプ凹部34cを形成している。
【0040】
クランプ本体35の2つの切り欠き部35a,35bには、取付板41がねじ止め等によって固定されている。取付板41は、各切り欠き部35a,35bに対応する位置でクランプ本体35の上面及び下面にそれぞれ取り付けられている。取付板41には、V字状の切り込み溝41aが形成されている。この切り込み溝41aが上記クランプ凹部34a,34bを構成する。
【0041】
また、取付板41には、2つのローラ(回転部材)43が回転可能に取り付けられている。ローラ43は、
図4に示すように、扁平円柱状のローラ部43aと、このローラ部43aの上下に突出する軸部43bとを有し、これらの軸部43bが取付板41の貫通孔にそれぞれ挿入されていることでローラ43が回転可能に支持されている。また、
図3に示すように、ローラ部43aの外周面の一部が取付板41の切り込み溝41aから突出している。このようにローラ43が配置されていることで、クランプ凹部34a,34bに容器Cの胴部C1が嵌まり込んだとき、ローラ部43aの外周面が胴部C1に表面に接触して回転するようになっている。なお、本実施形態では、クランプ凹部34a,34bに設けられた回転部材をローラ43で構成した例について説明したが、これに限定されるものではなく、取付板41に回転可能に支持されたボール状の部材で回転部材が構成されてもよい。また、ローラ等の回転部材は、1つのクランプ凹部に3つ以上設けられてもよい。
【0042】
図5は、ローラ43に接触して容器Cの回転方向位置が修正される様子を示す図である。一対のクランプ部材32a,32bによって容器Cがクランプされるとき、
図5に示すように、クランプ凹部34a,34bにおいては、ローラ43のローラ部43aの外周面が容器Cの胴部C1の表面に接触する。これにより、クランプ前には容器移送方向Aから短手方向がずれた回転位置にあった容器C(
図5において破線、一点鎖線で示す)がローラ43に接触した状態でクランプされることによって回転位置が修正され、胴部C1の短手方向が容器移送方向Aに沿った回転位置(
図5において実線で示す)となる。換言すれば、容器Cの胴部C1の長手方向が、容器移送方向Aに対して直交した向きとなる。その結果、一対のクランプ部材32a,32bによって所定位置βから中間位置γを介してフィルム被嵌位置αに間欠移送される容器Cの移送方向位置及び回転方向位置を正確に決めることができる。
【0043】
ここで、2つのローラ43は、クランプ凹部にクランプされた容器Cの胴部中心位置O1を通って容器移送方向Aと直交する直線Xに対して対称位置に配置されている。このように配置することで、クランプ凹部34a,34b内において容器Cの胴部中心位置O1を通る直線Xの両側の対称位置でローラ43を接触させて容器Cの胴部C1をクランプすることができ、容器Cのクランプ状態をより安定したものにできる。
【0044】
また、
図5に示すように、2つのローラ43の回転中心O2と容器胴部中心位置O1とをそれぞれ結んだ2本の直線がなす角度θは、容器Cの胴部外形状や移送される向き等によって適宜変更される得るものである。
【0045】
図6(a)~(d)は、本実施形態におけるように、楕円状の胴部断面を有する容器Cが短手方向に沿って移送される場合において、2つのローラ43が胴部C1に接触する角度位置を変更した状態をそれぞれ示す図である。上記角度θは、例えば、80°~50°に設定するのが好ましく、70°~60°に設定するのがより好ましい。このような角度範囲に設定することで、2つのローラ43による容器Cの回転位置修正機能をより良好に実行することができる。
【0046】
図7(a)~(g)は、楕円状の胴部外形を有する容器が長手方向に沿って移送される場合において、2つのローラが容器胴部に接触する角度位置を変更した状態をそれぞれ示す図である。本実施形態とは異なり、楕円状の胴部外形を有する容器Cが長手方向に沿って容器移送方向Aに移送される場合、上記角度θは、
図7(a)~(g)に示すように、120°~60°の範囲に設定するのが好ましく、110°~70°の範囲がより好ましく、100°~80°の範囲がさらに好ましい。このような角度範囲に設定することで、2つのローラ43による容器Cの回転位置修正機能をより良好に実行することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、非円形の胴部外形の例として楕円形のものについて説明するが、これに限定されるものではなく、他の形状の胴部外形を有する容器にも適用可能である。
【0048】
例えば、
図8(a)~(g)は、略正方形状の胴部断面を有する容器Cが対角方向に沿って移送される場合において、2つのローラが容器胴部に接触する角度位置を変更した状態をそれぞれ示す図である。この場合、
図8(a)~(g)に示すように、2つのローラ43は胴部外形の1つの角部を挟んだ両側で容器Cに接触し、上記角度θは、120°~60°の範囲に設定するのが好ましく、110°~70°の範囲がより好ましく、100°~80°の範囲がさらに好ましい。このような角度範囲に設定することで、2つのローラ43による容器Cの回転位置修正機能をより良好に実行することができる。
【0049】
また、
図9(a)~(g)に示すように、略六角形状の胴部断面を有する容器Cが一側面を容器移送方向に向いた状態で移送される場合において、2つのローラが容器胴部に接触する角度位置を変更した状態をそれぞれ示す図である。この場合、
図9(a)~(g)に示すように、2つのローラ43は胴部外形の1つの角部を挟んだ両側で容器Cに接触し、上記角度θは100°~40°の範囲に設定するのが好ましく、90°~50°の範囲がより好ましく、80°~60°の範囲がさらに好ましい。このような角度範囲に設定することで、2つのローラ43による容器Cの回転位置修正機能をより良好に実行することができる。
【0050】
再び
図1を参照すると、一対のクランプ部材32a,32bには、2つのスライド部材36がそれぞれ取り付けられている。スライド部材36は、クランプ部材32a,32bにおいてクランプ凹部34a,34b,34cとは反対側の側面に固定されている。各スライド部材36は、基台11上に容器移送方向Aと直交する方向にスライド移動可能に設置されたガイド部材38のガイド溝39に係合している。各ガイド溝39は、容器移送方向Aに沿って延びている。
【0051】
ガイド部材38の下面には、図示しないボールジョイントを介してロッド40の一端が連結されている。ロッド40の他端は、ボールジョイント42を介してレバー44の先端部に連結されている。レバー44の基端部は、基台11上に突出した回動軸46に固定されている。これにより、図示しないカム機構等の駆動手段によって回動軸が所定の角度範囲で回動されるとレバー42が揺動し、その結果、ロッド40で連結された一対のクランプ部材32a,32bが互いに接近する方向(矢印D1)またはその反対方向(矢印D2)に進退動作する。このように一対のクランプ部材32a,32bが進退動作することで、容器Cがクランプ凹部34a,34b,34cにおいて把持(クランプ)または解放(クランプ解除)されるようになっている。
【0052】
また、
図1に示すように、一対のクランプ部材32a,32bは、容器移送方向Aの上流側端部(
図1中の右側)に延出部48をそれぞれ有する。各延出部48には、カム溝を有するカム部50が設けられている。カム部50のカム溝には、例えば、ベアリング等からなるカムフォロワ52が嵌り込んで配置されている。カムフォロワ52は、レバー54の端部に回転可能に軸支されている。そして、レバー54の基端部は、基台11上に突出した回動軸56に固定されている。
【0053】
このように構成されることで、回動軸56が図示しないカム機構等の駆動手段によって所定の角度範囲で回動されると、レバー54が揺動する。レバー54の先端部が容器移送方向Aの上流側へ向かって回動すると、各クランプ部材32a,32bはカムフォロワ52、カム部50及び延出部48を介して引っ張られる。その結果、クランプ部材32a,32bは、スライド部材36が係合したガイド溝39で直線状にガイドされながら、容器搬送方向下流側(矢印A1方向)に移動し、他方、レバー54が反対方向に回動すると容器搬送方向上流側(矢印A2方向)に移動する。
【0054】
上記のように構成されるクランプ移送装置30では、容器Cの間欠移送が次のようにして行われる。
図10(a)~(d)は一対のクランプ部材32a,32bの動作を示す図である。なお、
図10(a)の上方には、上流側コンベヤ12上で容器Cがストッパ装置20によって停止されるとともに一対のクランプ部材32a,32bでクランプされる所定位置βと、中間位置γと、フィルム被嵌位置αとがそれぞれ示される。これらの位置α,β,γは、
図10(a)~(d)において共通である。
【0055】
図10(a)に示すように、3つの容器Cが所定ピッチpで離れて並んでいる。この状態で、
図10(b)に示すように、一対のクランプ部材32a,32bが矢印D1方向に前進移動する。これにより、3つの容器Cが各クランプ部材32a,32bのクランプ凹部34a,34b,34cで把持される。
【0056】
この状態で、一対のクランプ部材32a,32bは、
図10(c)に示すように、所定ピッチpだけ矢印A1方向、すなわち容器移送方向Aの上流側へ移動する。そして、
図10(d)に示すように一対のクランプ部材32a,32bが互いに離れるように矢印D2方向に移動することで、3つの容器Cが解放される。このとき、
図10(a)に示す容器位置と対比すると、3つの容器Cは容器移送方向上流側(矢印A方向)にそれぞれ所定ピッチpだけ移送されている。
【0057】
その後、一対のクランプ部材32a,32bは、
図10(d)に示すように、矢印A2方向に移動して
図10(a)に示す位置に戻る。これにより、次に間欠移送動作の準備が整う。このように一対のクランプ部材32a,32bが繰返し動作することで、フィルム被嵌位置αに容器Cを順次に間欠移送することができる。
【0058】
続いて、
図11を参照して、上記構成からなる本実施形態の容器移送装置10によって容器Cがフィルム被嵌位置αへ移送される動作を説明する。
図11は、
図1中のB-B断面図である。
【0059】
図10を参照して上述したように、ストッパ装置20によって所定位置βで停止された容器Cは、一対のクランプ部材32a,32bで把持されて所定ピッチpずつ間欠的に移送される。より詳しくは、
図11に示すように、容器Cはまず上流側コンベヤ12上の所定位置βから載置台31上の中間位置γに所定ピッチpだけ移送される。
【0060】
載置台31において、所定位置β及びフィルム被嵌位置αに移送された容器Cが載置されている載置面(または上面)には、容器Cの底部に対向するエア吸引孔60が設けられていることが好ましい。エア吸引孔60は、エア通路61及びチューブ62を介してエア吸引源(例えば、ポンプ等)63に接続されている。これにより、容器移送装置10によって中間位置γ及びフィルム被嵌位置αにおいてエア吸引孔60により容器Cの底部が吸引されて窪み部C3(
図2参照)内が減圧されることで、一対のクランプ部材32a,32bによるクランプが解除されたときにも容器Cが安定して立った状態を維持できる。
【0061】
その後、一対のクランプ部材32a,32bによる次の間欠移送動作によって、中間位置γにある容器Cは、載置台31上を所定ピッチpだけ移送され、フィルム被嵌位置αにおいてクランプ解除される。そして、フィルム被嵌位置αにおいて、フィルム被嵌装置70のマンドレル72の下端部から、開口状態にある筒状フィルム体Fがショットローラ74によって下方に送り出される。これにより、フィルム被嵌位置αにある容器Cの周囲に筒状フィルム体Fが被嵌される。
【0062】
このように筒状フィルム体Fが被嵌された容器Cは、クランプ部材32a,32bの次の移送動作によって、フィルム被嵌位置αから容器移送方向Aの上流側に所定ピッチpだけ移送される。このとき、筒状フィルム体Fが被嵌された容器Cは、載置台31から下流側コンベヤ13上に乗り移る。これにより、連続駆動されている下流側コンベヤ13によって、筒状フィルム体Fが被嵌された容器Cが下流側(矢印A方向)へ搬送される。そして、容器Cは下流側コンベヤ13によって加熱装置(図示せず)内を搬送されることで筒状フィルム体Fが加熱される。その結果、熱収縮性フィルムからなる筒状フィルム体Fが収縮して、容器Cの周囲に密着した状態に装着される。
【0063】
上述したように本実施形態の容器移送装置10によれば、一対のクランプ部材32a,32bのクランプ凹部34a,34bの縁部に2つのローラ43が設けられていることで、一対のクランプ部材32a,32bによって容器Cがクランプされたときにローラ43が容器Cの胴部C1の外周面に当接することによってクランプ凹部34a,34b内で容器Cが回転しやすくなる。その結果、容器表面のすべり性や容器胴部の外形にかかわらず容器クランプ時の容器Cの回転方向位置及び移送方向位置が正確に決められる。したがって、容器Cをフィルム被嵌位置αで正確に位置決めした状態に移送でき、筒状フィルム体Fの被嵌動作を安定して行えるとともに、容器Cに対する筒状フィルム体Fの表示の向きも揃えられる。
【0064】
図12は、一対のクランプ部材32a,32bが上側クランプ部33a及び下側クランプ部33bを備える例を示す図である。
図12に示すように、一対のクランプ部材32a,32bは、上側クランプ部33aと下側クランプ部33bとを備え、各クランプ部33a,33bに上側クランプ凹部34a1と下側クランプ凹部34a2とが設けられてもよい。このことは、他のクランプ凹部34b,34cについても同様である。この場合、上側クランプ凹部34a1及び下側クランプ凹部34a2の両方に、ローラ43を設けることが好ましい。このようにクランプ凹部34a,34b,34cを上側クランプ凹部34a1及び下側クランプ凹部34a2によって構成することで、一対のクランプ部材32a,32bで容器Cの胴部C1の上側と下側をクランプした状態で移送することができ、特に背が高い容器Cをより安定して移送することができる。
【0065】
次に、
図13等を参照して、第2実施形態の容器移送装置10Aについて説明する。
図13は、第2実施形態の容器移送装置10Aを示す、
図11と同様の断面図である。以下では、上述した第1実施形態の容器移送装置10と相違する点についてのみ説明し、同一の構成には同一の符号を付して援用により重複説明を省略する。
【0066】
図13に示すように、載置台31においてフィルム被嵌位置αには、容器Cをフィルム被嵌装置70に向かって上昇移動させる昇降台80が設けられている。昇降台80は、例えば、モータ82等を駆動源として上下移動可能に構成され、フィルム被嵌装置70のマンドレル72から容器Cに筒状フィルム体Fが被嵌されるときに上昇移動し、筒状フィルム体Fが被嵌された後に下降移動する。また、昇降台80の上面は、容器Cが間欠移動されるときには載置台31の上面と同じ高さ位置(または面一)に下降している。さらに、昇降台80の上面は、容器Cの胴部C1の外形輪郭よりも小さく形成されている。昇降台80の上面には、エア吸引孔60が開口して形成されている。なお、他の構成は、上述した容器移送装置10と同様である。
【0067】
図14(a)は容器Cに筒状フィルム体Fが所望位置(正常位置)に被嵌された状態を示す図であり、
図14(b)は筒状フィルム体Fが容器Cの上部に被嵌された浅被り状態で被嵌された様子を示す図である。また、
図15(a)は容器Cに被嵌された筒状フィルム体Fが載置面で跳ね返る様子を示す図であり、
図15(b)は跳ね返った筒状フィルム体Fが容器Cの上部に被嵌された浅被り状態になった様子を示す図である。
【0068】
容器Cの胴部C1の外形と筒状フィルム体Fの周囲長との余裕代が小さい場合、容器表面のすべり性によっては筒状フィルム体Fの被嵌高さ位置が不安定になり得る。容器表面のすべり性は、例えば、容器成型時の離型剤、容器材料の経時劣化、静電気、温度、結露などによって大きく変化することがある。容器表面のすべり性が良好な場合、
図14(a)に示すように、容器Cに被嵌された筒状フィルム体Fは、容器Cの載置されている載置面31aにフィルム下端が到達した位置で停止して、所望の被嵌高さ位置となる。これに対し、容器表面のすべり性がわるい場合には、
図14(b)に示すように、筒状フィルム体Fが容器Cの上部で止まってしまい、浅被り状態になることがある。
【0069】
また、容器表面のすべり性が良過ぎる場合には、
図15(a)に示すように、容器Cに被嵌された筒状フィルム体Fが載置面31aで跳ね返って浮き上がることで、
図15(b)に示すように容器Cの上部に被嵌された浅被り状態となることがあった。
【0070】
図16(a)~(c)は、第2実施形態の容器移送装置10Aにおいて容器に筒状フィルム体が被嵌される様子を示す図である。
【0071】
本実施形態の容器移送装置10Aでは、
図16(a)に示すように、フィルム被嵌位置αにおいて容器Cに筒状フィルム体Fを被嵌する直前に、昇降台80を上昇移動させて容器Cをフィルム被嵌装置70のマンドレル72(
図13参照)に接近させ、この状態で略円筒状に開口した筒状フィルム体Fを被嵌する。このとき、容器Cはエア吸引孔60によってエア吸引されていることで昇降台80の上面に起立した状態に安定して維持される。
【0072】
この状態で、フィルム被嵌装置70から容器Cに向かって放出された筒状フィルム体Fは、
図16(b)に示すように、容器Cの底部を通過して昇降台80の上端部周囲に被った状態になる。これは、昇降台80の上面の大きさが容器Cの胴部C1の外形よりも小さく形成されていることによる。
【0073】
そして、
図16(c)に示すように、昇降台80が元の位置(すなわち載置面と同じ高さ位置)まで下降すると、下端が載置面31aに当接している筒状フィルム体Fの内側において容器Cが下降する。その結果、筒状フィルム体Fは、その下端が容器Cの底面に一致した所望の被嵌高さ位置になる。
【0074】
このように本実施形態の容器移送装置10Aによれば、容器胴部C1よりも小さい昇降台80に載置された容器Cをフィルム被嵌装置70に接近させた状態でフィルム被嵌動作を行うので、容器表面や筒状フィルム体Fの内面のすべり性が良くない場合でも筒状フィルム体Fが容器Cに浅く被嵌された状態になるのを抑制できる。また、容器表面や筒状フィルム体の内面のすべり性が良い場合には、容器に被嵌された筒状フィルム体は容器胴部を通過して昇降台80の上端部周囲に被った状態になるが、フィルム被嵌後に昇降台80が下降移動することで容器Cが下降し、これにより筒状フィルム体Fの下端位置が容器Cの下端部に一致した状態に被嵌されることになる。これらのことから、容器Cに対する筒状フィルム体Fの被嵌高さ位置を揃えることができる。
【0075】
なお、本発明は上述した実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項及びその均等な範囲において種々の変更や改良が可能である。
【0076】
例えば、上記では、クランプ移送装置30によって容器Cが所定位置β、中間位置γ、フィルム被嵌位置αの順に、所定ピッチpずつ移送される場合について説明したが、これに限定されるものでない。例えば、中間位置γを省略して、所定位置βとフィルム被嵌位置αとが所定ピッチpだけ離れて設けられてもよい。この場合、一対のクランプ部材32a,32bは、クランプ凹部34bの形成が不要となって容器移送方向Aの長さを短くすることができる。
【0077】
また、上記において筒状フィルム体Fが容器Cの胴部周囲に被嵌される例について説明したが、これに限定されるものではない。筒状フィルム体は、容器Cの上端部にあるキャップC2の周囲に被嵌されるキャップシールであってもよい。
【符号の説明】
【0078】
10,10A 容器移送装置、11 基台、12 上流側コンベヤ、13 下流側コンベヤ、14 ゲート部材、16,42,44,54 レバー、17,46,56 回動軸、18,42 ボールジョイント、19 エアシリンダ、20 ストッパ装置、20a,20b ストッパ部材、30 クランプ移送装置、31 載置台、31a 載置面、32a,32b クランプ部材、33a 上側クランプ部、33b 下側クランプ部、34a,34b,34c クランプ凹部、34a1 上側クランプ凹部、34a2 下側クランプ凹部、35 クランプ本体、35a,35b,35c 切り欠き部、36 スライド部材、38 ガイド部材、39 ガイド溝、40 ロッド、41 取付板、41a 切り込み溝、43 ローラ(回転部材)、43a ローラ部、43b 軸部、48 延出部、50 カム部、52 カムフォロワ、60 エア吸引孔、61 エア通路、62 チューブ、63 エア吸引源、70 フィルム被嵌装置、72 マンドレル、74 ショットローラ、80 昇降台、82 モータ、A 容器移送方向、C 容器、C1 胴部、C2 キャップ、C3 窪み部、F 筒状フィルム体、p 所定ピッチ、α フィルム被嵌位置、β 所定位置、γ 中間位置。