(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20220107BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20220107BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20220107BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20220107BHJP
H01L 21/265 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H01L29/78 301S
H01L29/78 301D
H01L27/088 B
H01L21/265 V
H01L21/265 R
(21)【出願番号】P 2018082685
(22)【出願日】2018-04-24
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関川 宏昭
(72)【発明者】
【氏名】森 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】石井 裕二
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-186878(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0054694(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0364598(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/8234
H01L 21/265
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の第1面にドリフト領域を形成する工程と、
前記第1面に配置される第1部分と、前記第1部分及び前記ドリフト領域を取り囲むように前記第1面に配置される第2部分とを有するボディ領域を形成する工程と、
前記ドリフト領域上に開口を有するハードマスクを前記第1面上に形成する工程と、
前記ハードマスクを用いたイオン注入で逆導電型領域を前記第1面に形成する工程と、
前記ハードマスクを用いた異方性エッチングで前記第1面に溝を形成する工程と、
前記溝に絶縁分離膜を埋め込む工程と、
前記ボディ領域に取り囲まれるように前記第1面にソース領域を形成する工程と、
前記ドリフト領域に取り囲まれるように前記第1面にドレイン領域を形成する工程とを備え、
前記イオン注入は、前記開口の前記第1部分側に位置する前記ハードマスクの第1縁部の下方にイオンが注入されるように前記第1面に対して傾斜して行われ、
前記ボディ領域及び前記逆導電型領域の導電型は、前記ソース領域、前記ドレイン領域及び前記ドリフト領域とは反対の導電型である、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記逆導電型領域を形成する工程の前に、前記開口に対して前記第1縁部と反対側に位置する前記ハードマスクの第2縁部を覆うフォトレジストを形成する工程をさらに備え、
前記逆導電型領域は、平面視において前記ドレイン領域を取り囲み、
前記ソース領域は、平面視において前記逆導電型領域を取り囲み、
前記イオン注入は、平面視において第1方向に沿って行われる第1イオン注入と、平面視において前記第1方向と直交する第2方向に沿って行われる第2イオン注入と、平面視において前記第1方向の逆方向である第3方向に沿って行われる第3イオン注入と、前記第2方向の逆方向である第4方向に沿って行われる第4イオン注入とにより行われ、
前記第1方向、前記第2方向、前記第3方向及び前記第4方向は、平面視における前記ドレイン領域の延在方向とは異なる、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記逆導電型領域を形成する工程は、溝を形成する工程の前に行われる、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記逆導電型領域を形成する工程は、前記絶縁分離膜を形成する工程の後に行われる、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記逆導電型領域を形成する工程は、前記溝を形成する工程の後であって、前記絶縁分離膜を埋め込む工程の前に行われる、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記逆導電型領域のチャネル長方向における幅は前記絶縁分離膜の深さよりも小さい、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記幅は前記深さの0.5倍以上である、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
第1面を有する半導体基板を準備する工程と、
前記第1面にドリフト領域を形成する工程と、
前記第1面に配置される第1部分と、前記第1部分及び前記ドリフト領域を取り囲むように前記第1面に配置される第2部分とを有するボディ領域を形成する工程と、
前記ドリフト領域上に開口を有するハードマスクを前記第1面上に形成する工程と、
前記ハードマスクを用いた異方性エッチングで前記第1面に溝を形成する工程と、
前記ハードマスクを用いたイオン注入で前記溝の側面及び底面に逆導電型領域を形成する工程と、
前記溝に絶縁分離膜を埋め込む工程と、
前記ボディ領域に取り囲まれるように前記第1面にソース領域を形成する工程と、
前記ドリフト領域に取り囲まれるように前記第1面にドレイン領域を形成する工程とを備え、
前記イオン注入は、前記側面及び前記底面にイオンが注入されるように前記第1面に対して傾斜して行われ、
前記ボディ領域及び前記逆導電型領域の導電型は、前記ソース領域、前記ドレイン領域及び前記ドリフト領域とは反対の導電型である、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
第1面を有する半導体基板を準備する工程と、
前記第1面に、第1ドリフト領域と、第2ドリフト領域とを形成する工程と、
前記第1面に配置される第1部分と、前記第1部分及び前記第1ドリフト領域を取り囲むように前記第1面に配置される第2部分とを有する第1ボディ領域と、前記第1面に配置される第3部分と、前記第3部分及び前記第2ドリフト領域を取り囲むように前記第1面に配置される第4部分とを有する第2ボディ領域とを形成する工程と、
前記第1ドリフト領域上に第1開口を有するとともに、前記第2ドリフト領域上に第2開口を有するハードマスクを前記第1面上に形成する工程と、
前記ハードマスクを用いた異方性エッチングで前記第1面に第1溝及び第2溝を形成する工程と、
フォトレジストを形成する工程と、
前記ハードマスク及び前記フォトレジストを用いたイオン注入で、前記第1開口の前記第1部分側に位置する前記ハードマスクの第1縁部の下方に第1逆導電型領域を形成するとともに、前記第2溝の底面及び側面に第2逆導電型領域を形成する工程と、
前記第1溝に第1絶縁分離膜を埋め込むとともに、前記第2溝に第2絶縁分離膜を埋め込む工程と、
前記第1ボディ領域に取り囲まれるように前記第1面に第1ソース領域を形成するとともに、前記第2ボディ領域に取り囲まれるように前記第1面に第2ソース領域を形成する工程と、
前記第1ドリフト領域に取り囲まれるように前記第1面に第1ドレイン領域を形成するとともに、前記第2ドリフト領域に取り囲まれるように前記第1面に第2ドレイン領域を形成する工程とを備え、
前記フォトレジストは、前記第1開口に対して前記第1縁部と反対側に位置する前記ハードマスクの第2縁部を覆うように形成され、
前記イオン注入は、前記第1縁部の下方にイオンが注入されるとともに、前記側面及び前記底面にイオンが注入されるように、前記第1面に対して傾斜して行われ、
前記第1ボディ領域、前記第2ボディ領域、前記第1逆導電型領域及び前記第2逆導電型領域の導電型は、前記第1ソース領域、前記第2ソース領域、前記第1ドレイン領域、前記第2ドレイン領域、前記第1ドリフト領域及び前記第2ドリフト領域とは反対の導電型である、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開2009-130021号公報(特許文献1)に記載の半導体装置が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の半導体装置は、基板と、ゲート酸化層と、Locos(Local oxidation of silicon)酸化層と、ゲートポリサイド電極とを有している。基板は、第1面を有している。
【0004】
基板は、n+ソース領域と、n+ドレイン領域と、p+拡散層と、p-ボディ領域と、n-ドリフト層とを有している。n+ソース領域、n+ドレイン領域及びp+拡散層は、第1面に形成されている。p-ボディ領域は、n+ソース領域を取り囲むように第1面に形成されている。n-ドリフト領域は、n+ドレイン領域及びp+拡散層を取り囲み、かつn+ソース領域との間でp-ボディ領域を挟み込むように第1面に形成されている。
【0005】
ゲート酸化層は、n+ソース領域とn-ドリフト領域とに挟み込まれているp-ボディ領域上に形成されている。Locos酸化層は、n+ドレイン領域とp+拡散層とに挟み込まれるように第1面に形成されている。ゲートポリサイド電極は、ゲート酸化層上に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の半導体装置において、p+拡散層は、例えば、フォトレジストをマスクとするイオン注入で形成することができる。しかしながら、この場合には、フォトレジストの開口がずれて形成されることにより、p+拡散層のチャネル長方向における幅が広くなってしまうおそれがある。p+拡散層のチャネル長方向における幅が広くなってしまうと、n+ソース領域、n+ドレイン領域、p-ボディ領域、n-ドリフト領域、ゲート酸化層及びゲートポリサイド電極で構成されるLDMOS(Laterally Diffused Metal Oxide Semiconductor)トランジスタのオン抵抗が上昇してしまう。
【0008】
その他の課題及び新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、ドリフト領域を形成する工程と、ボディ領域を形成する工程と、ハードマスクを形成する工程と、逆導電型領域を形成する工程と、溝を形成する工程と、溝に絶縁分離膜を埋め込む工程と、ソース領域を形成する工程と、ドレイン領域を形成する工程とを備える。
【0010】
ドリフト領域は、半導体基板の第1面に形成される。ボディ領域は、第1面に配置される第1部分と、第1部分及びドリフト領域を取り囲むように第1面に配置される第2部分とを有する。ハードマスクは、ドリフト領域上に開口を有しており、第1面上に形成される。逆導電型領域は、ハードマスクを用いたイオン注入で第1面に形成される。溝は、ハードマスクを用いた異方性エッチングで第1面に形成される。ソース領域は、ボディ領域に取り囲まれるように第1面に形成される。ドレイン領域は、ドリフト領域に取り囲まれるように第1面に形成される。
【0011】
イオン注入は、開口の第1部分側に位置するハードマスクの第1縁部の下方にイオンが注入されるように第1面に対して傾斜して行われる。ボディ領域及び逆導電型領域の導電型は、ソース領域、ドレイン領域及びドリフト領域とは反対の導電型である。
【発明の効果】
【0012】
一実施形態に係る半導体装置によると、逆導電型領域を自己整合的に形成することができるため、逆導電型領域がチャネル長方向において拡幅して形成されることを抑制することができ、ひいては、オン抵抗の上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の概略上面図である。
【
図2】入出力回路IOCにおける第1実施形態に係る半導体装置の上面図である。
【
図3】
図2のIII-IIIにおける断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程図である。
【
図5】第1イオン注入工程S1における第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図6】ハードマスク形成工程S2における第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図7】フォトレジスト形成工程S3における第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図8】第2イオン注入工程S4における第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図9】第2イオン注入工程S4における第1実施形態に係る半導体装置の上面図である。
【
図10】絶縁分離膜形成工程S5における第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図11】ゲート絶縁膜形成工程S6における第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図12】ゲート電極形成工程S7における第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図13】第3イオン注入工程S8における第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図14】サイドウォールスペーサ形成工程S9における第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図15】第4イオン注入工程S10における第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図16】シリサイド膜形成工程S11における第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図17】層間絶縁膜形成工程S12における第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図18】コンタクトプラグ形成工程S13における第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図19】幅Wとオン抵抗との関係を示すグラフである。
【
図20】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程図である。
【
図21】フォトレジスト形成工程S3における第2実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図22】第2イオン注入工程S4における第2実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図23】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程図である。
【
図24】フォトレジスト形成工程S3における第3実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図25】第2イオン注入工程S4における第3実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図26】第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置の断面図である。
【
図27】第2イオン注入工程S4における第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置の断面図である。
【
図28】第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置の断面図である。
【
図29】第2イオン注入工程S4における第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態の詳細を、図面を参照して説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付すものとし、重複する説明は繰り返さない。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0015】
(第1実施形態)
以下に、第1実施形態に係る半導体装置の構成を説明する。
【0016】
図1に示されるように、第1実施形態に係る半導体装置は、入出力回路IOCと、ロジック回路LOGと、電源回路PWCと、アナログ回路ANLと、ドライバ回路DRCと、プリドライバ回路PDCとを有している。但し、第1実施形態に係る半導体装置の回路構成は、これに限られるものではない。
【0017】
図2に示されるように、入出力回路IOCは、トランジスタTrを有している。トランジスタTrは、LDMOSトランジスタである。
図3に示されるように、第1実施形態に係る半導体装置は、半導体基板SUBを有している。
【0018】
半導体基板SUBは、第1面FSと、第2面SSとを有している。第1面FS及び第2面SSは、半導体基板SUBの主面を構成している。第2面SSは、第1面FSの反対面である。半導体基板SUBは、例えば単結晶のシリコン(Si)で形成されている。
【0019】
半導体基板SUBには、ソース領域SRと、ドレイン領域DRAと、逆導電型領域RCRと、ボディ領域BRと、ドリフト領域DRIと、ボディコンタクト領域BCRとが形成されている。
【0020】
逆導電型領域RCR、ボディ領域BR及びボディコンタクト領域BCRの導電型は、ソース領域SR、ドレイン領域DRA及びドリフト領域DRIとは反対の導電型である。例えば、逆導電型領域RCR、ボディ領域BR及びボディコンタクト領域BCRの導電型はn型であり、ソース領域SR、ドレイン領域DRA及びドリフト領域DRIの導電型はp型である。
【0021】
ソース領域SRは、第1面FSに形成されている。ソース領域SRは、第1部分SRaと、第2部分SRbとを有している。第1部分SRaは、第2部分SRbよりもドリフト領域DRI側に位置している。第1部分SRa中における不純物濃度は、第2部分SRb中における不純物濃度よりも低い。つまり、ソース領域SRは、LDD(Lightly Doped Diffusion)構造を有している。
【0022】
ドレイン領域DRAは、第1面FSに形成されている。逆導電型領域RCRは、ソース領域SR及びドレイン領域DRAとの間において、第1面FSに形成されている。逆導電型領域RCRは、幅Wを有している。幅Wは、チャネル長方向(ソース領域SRからドレイン領域DRAに向かう方向)における逆導電型領域RCRの幅である。ボディコンタクト領域BCRは、第1面FSに形成されている。
【0023】
ボディ領域BRは、ソース領域SR及びボディコンタクト領域BCRを取り囲むように第1面FSに形成されている。ボディ領域BRは、第1部分BRaと、第2部分BRbとを有している。第1部分BRaは、ソース領域SR及びボディコンタクト領域BCRを取り囲むように第1面FSに形成されている。第2部分BRbは、第1部分BRa及びドリフト領域DRIを取り囲むように第1面FSに形成されている。第1部分BRa中における不純物濃度は、第2部分BRb中における不純物濃度よりも高い。ドリフト領域DRIは、ドレイン領域DRA及び逆導電型領域RCRを取り囲んでいる。ボディ領域BRは、ソース領域SRとドリフト領域DRIとに挟み込まれている部分を有している。
【0024】
第1実施形態に係る半導体装置は、絶縁分離膜ISLをさらに有している。絶縁分離膜ISLは、第1面FSに形成されている。絶縁分離膜ISLは、ドレイン領域DRAと逆導電型領域RCRとに挟み込まれるように第1面FSに形成されている。絶縁分離膜ISLは、例えばシリコン酸化物(SiO2)で形成されている。
【0025】
より具体的には、絶縁分離膜ISLは、ドレイン領域DRAと逆導電型領域RCRとに挟み込まれるように第1面FSに形成された溝TRに埋め込まれている。溝TRは、第1面FSから第2面SSに向かって延在している。絶縁分離膜ISLは、深さDを有している。深さDは、絶縁分離膜ISLの底面と第1面FSとの間の距離である。幅Wは、深さDよりも小さいことが好ましい(深さDの1.0倍未満であることが好ましい)。また、幅Wは、深さDの0.5倍以上であることが好ましい。
【0026】
第1実施形態に係る半導体装置は、ゲート絶縁膜GOをさらに有している。ゲート絶縁膜GOは、第1面FS上に形成されている。より具体的には、ソース領域SRとドリフト領域DRIとに挟み込まれているボディ領域BR上に形成されている。ゲート絶縁膜GOは、例えばシリコン酸化物で形成されている。
【0027】
第1実施形態に係る半導体装置は、ゲート電極GEをさらに有している。ゲート電極GEは、ゲート絶縁膜GO上に形成されている。すなわち、ゲート電極GEは、ゲート絶縁膜GOで絶縁されながら、ソース領域SRとドリフト領域DRIとに挟み込まれているボディ領域BRと対向している。ゲート電極GEは、絶縁分離膜ISL上に達するように延在していてもよい。ゲート電極GEは、例えば不純物がドープされた多結晶のシリコンで形成されている。
【0028】
トランジスタTrは、ソース領域SR、ドレイン領域DRA、ボディ領域BR、ドリフト領域DRI、ゲート絶縁膜GO及びゲート電極GEで構成されている。
【0029】
図2に示されるように、ドレイン領域DRAは、平面視において(第1面FSに直交する方向から見て)、方向DR1に沿って延在している。絶縁分離膜ISLは、平面視において、ドレイン領域DRAを取り囲んでいる。逆導電型領域RCRは、平面視において、ドレイン領域DRA及び絶縁分離膜ISLを取り囲んでいる。ドリフト領域DRIは、平面視において、ドレイン領域DRA、絶縁分離膜ISL及び逆導電型領域RCRを取り囲んでいる。また、ソース領域SRは、平面視において、ドレイン領域DRA、絶縁分離膜ISL、逆導電型領域RCR及びドリフト領域DRIを取り囲んでいる。
【0030】
図3に示されるように、第1実施形態に係る半導体装置は、サイドウォールスペーサSWSをさらに有している。サイドウォールスペーサSWSは、ゲート電極GEの側面に形成されている。サイドウォールスペーサSWSは、第1部分SRa上に位置している。サイドウォールスペーサSWSは、例えばシリコン窒化物で形成されている。
【0031】
第1実施形態に係る半導体装置は、シリサイド膜SILをさらに有している。シリサイド膜SILは、ソース領域SR上、ドレイン領域DRA上、ボディコンタクト領域BCR上及びゲート電極GE上に形成されている。シリサイド膜SILは、例えばコバルト(Co)、チタン(Ti)等とシリコンとの化合物で形成されている。
【0032】
第1実施形態に係る半導体装置は、層間絶縁膜ILDと、複数のコンタクトプラグCPと、複数の配線WLとをさらに有している。層間絶縁膜ILDは、トランジスタTrを覆うように第1面FS上に形成されている。層間絶縁膜ILDは、例えばシリコン酸化物で形成されている。
【0033】
複数のコンタクトプラグCPは、層間絶縁膜ILD中に形成されている。複数のコンタクトプラグCPは、それぞれ、シリサイド膜SILを介してソース領域SR、ドレイン領域DRA、ボディコンタクト領域BCR及びゲート電極GEに電気的に接続されている。コンタクトプラグCPは、例えばタングステン(W)で形成されている。なお、図示されていないが、コンタクトプラグCPと層間絶縁膜ILDとの間には、チタン、窒化チタン(TiN)等のバリアメタルが形成されていてもよい。
【0034】
複数の配線WLは、層間絶縁膜ILD上に形成されている。複数の配線WLは、それぞれ、複数のコンタクトプラグCPに電気的に接続されている。配線WLは、例えばアルミニウム(Al)、アルミニウム合金等で形成されている。
【0035】
上記においては、配線層の数が1である場合の例を示した。しかしながら、第1実施形態に係る半導体装置は、より多数の配線層を有していてもよい。
【0036】
以下に、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
図4に示されるように、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1イオン注入工程S1と、ハードマスク形成工程S2と、フォトレジスト形成工程S3と、第2イオン注入工程S4と、絶縁分離膜形成工程S5とを有している。第1実施形態に係る半導体装置の製造方法は、さらに、ゲート絶縁膜形成工程S6と、ゲート電極形成工程S7と、第3イオン注入工程S8と、サイドウォールスペーサ形成工程S9と、第4イオン注入工程S10と、シリサイド膜形成工程S11とを有している。
【0037】
第1実施形態に係る半導体装置の製造方法は、さらに、層間絶縁膜形成工程S12と、コンタクトプラグ形成工程S13と、配線形成工程S14とを有している。
【0038】
図5に示されるように、第1イオン注入工程S1においては、ボディ領域BR、ドリフト領域DRIが形成される。ボディ領域BR及びドリフト領域DRIは、例えばイオン注入で形成されている。
【0039】
ハードマスク形成工程S2においては、
図6に示されるように、ハードマスクHMが形成される。ハードマスクHMは、第1面FS上に形成される。ハードマスクHMと第1面FSとの間には、絶縁膜DLが形成される。
【0040】
ハードマスクHMは、開口OPを有している。開口OPは、ドリフト領域DRI上に形成されている。ハードマスクHMは、縁部OPaと、縁部OPbとを有している。縁部OPaは、開口OPの第1部分BRa側に位置する。縁部OPbは、開口OPに対して、縁部OPaとは反対側に位置する。
【0041】
絶縁膜DLは、例えば熱酸化で形成される。ハードマスクHMの形成においては、第1に、ハードマスクHMを構成する材料が、CVD(Chemical Vapor Deposition)で形成される。第2に、成膜されたハードマスクHMを構成する材料が、フォトリソグラフィ及びエッチングを用いてパターンニングされる。
【0042】
フォトレジスト形成工程S3においては、
図7に示されるように、フォトレジストPRが形成される。フォトレジストPRは、縁部OPbを覆うように形成されている。フォトレジストPRは、フォトレジストPRを構成する感光性有機材料を塗布するとともに、塗布されたフォトレジストPRを構成する感光性有機材料を露光・現像することで形成される。
【0043】
第2イオン注入工程S4においては、
図8に示されるように、逆導電型領域RCRが形成される。逆導電型領域RCRは、ハードマスクHMをマスクとするイオン注入で形成される。第2イオン注入工程S4におけるイオン注入は、イオンが縁部OPaの下方に入り込むように第1面FSに対して傾斜して行われる。なお、縁部OPbがフォトレジストPRで覆われていることにより、縁部OPbの下方には、イオンが入り込まない。第2イオン注入工程S4が行われた後には、フォトレジストPRは除去される。
【0044】
第2イオン注入工程S4におけるイオン注入は、
図9に示されるように、第1イオン注入II1と、第2イオン注入II2と、第3イオン注入II3と、第4イオン注入II4とにより行われてもよい。第1イオン注入II1は、平面視において、第1方向に沿って行われる。第2イオン注入II2は、平面視において、第2方向に沿って行われる。第3イオン注入II3は、平面視において、第3方向に沿って行われる。第4イオン注入II4は、平面視において、第4方向に沿って行われる。
【0045】
第1方向と第2方向とは、互いに直交している。第3方向は、第1方向の反対方向である。第4方向は、第2方向の反対方向である。第1方向、第2方向、第3方向及び第4方向は、方向DR1(平面視におけるドレイン領域DRAの延在方向)と異なることが好ましい。
【0046】
絶縁分離膜形成工程S5においては、
図10に示されるように、絶縁分離膜ISLが形成される。絶縁分離膜形成工程S5は、溝形成工程S51と、埋め込み工程S52とを有している。溝形成工程S51においては、溝TRの形成が行われる。溝TRは、ハードマスクHMをマスクとしてRIE(Reactive Ion Etching)等の異方性エッチングを行うことにより形成される。これにより、不要な逆導電型領域RCRの部分は除去されることになる。
【0047】
埋め込み工程S52においては、絶縁分離膜ISLを構成する材料が溝TRに埋め込まれる。具体的には、第1に、絶縁分離膜ISLを構成する材料が、CVD等で溝TRに充填される。第2に、溝TRに充填された絶縁分離膜ISLを構成する材料が、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等で平坦化される。第3に、絶縁分離膜ISLを構成する材料に対してウェットエッチングを行うことにより、絶縁分離膜ISLの段差調整が行われる。なお、絶縁分離膜ISLの形成が終了した後は、ハードマスクHM及び絶縁膜DLは、エッチング等で除去される。
【0048】
ゲート絶縁膜形成工程S6においては、
図11に示されるように、ゲート絶縁膜GOが形成される。ゲート絶縁膜GOの形成は、例えば熱酸化により行われる。
【0049】
ゲート電極形成工程S7においては、
図12に示されるように、ゲート電極GEが形成される。ゲート電極GEの形成においては、第1に、ゲート電極GEを構成する材料が、CVD等で成膜される。第2に、成膜されたゲート電極GEを構成する材料が、フォトリソグラフィ及びエッチングでパターンニングされる。
【0050】
第3イオン注入工程S8においては、
図13に示されるように、第1部分SRaが形成される。第1部分SRaの形成は、イオン注入で行われる。サイドウォールスペーサ形成工程S9においては、
図14に示されるように、サイドウォールスペーサSWSが形成される。サイドウォールスペーサSWSの形成は、サイドウォールスペーサSWSを構成する材料をCVD等で成膜するとともに、成膜されたサイドウォールスペーサSWSを構成する材料をエッチバックすることで形成される。
【0051】
第4イオン注入工程S10においては、
図15に示されるように、第2部分SRb、ドレイン領域DRA及びボディコンタクト領域BCRが形成される。第2部分SRb、ドレイン領域DRA及びボディコンタクト領域BCRの形成は、イオン注入で行われる。
【0052】
シリサイド膜形成工程S11においては、
図16に示されるように、シリサイド膜SILが形成される、シリサイド膜SILの形成においては、第1に、コバルト、チタン等が第1面FS上に成膜される。第2に、成膜されたコバルト、チタン等に対する熱処理が行われる。これにより、成膜されたコバルト、チタン等とシリコンとが反応し、シリサイド化が進行する。第3に、シリコンと未反応のコバルト、チタン等がエッチング等で除去される。
【0053】
層間絶縁膜形成工程S12においては、
図17に示されるように、層間絶縁膜ILDが形成される。層間絶縁膜ILDは、層間絶縁膜ILDを構成する材料をCVD等で成膜するとともに、成膜された層間絶縁膜ILDを構成する材料をCMP等で平坦化することで形成される。
【0054】
コンタクトプラグ形成工程S13においては、
図18に示されるように、コンタクトプラグCPが形成される。コンタクトプラグCPの形成においては、第1に、層間絶縁膜ILD中にコンタクトホールが形成される。第2に、コンタクトホール中に、コンタクトプラグCPを構成する材料がCVD等で埋め込まれる。第3に、コンタクトホールからはみ出したコンタクトプラグCPを構成する材料が、CMP等で除去される。
【0055】
配線形成工程S14においては、配線WLが形成される。配線WLは、配線WLを構成する材料をスパッタリング等で成膜するとともに、成膜された配線WLを構成する材料をフォトリソグラフィ及びエッチングでパターンニングして形成される。以上により、
図2及び
図3に示される第1実施形態に係る半導体装置の構造が形成される。なお、上記においては、配線層の数が1である場合について説明したが、配線層の数が複数である場合には、層間絶縁膜ILDを形成する工程、ビアプラグを形成する工程及び配線を形成する工程が順次繰り返される。
【0056】
以下に、第1実施形態に係る半導体装置及び第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の効果を説明する。
【0057】
第1実施形態に係る半導体装置は、上記のとおり、逆導電型領域RCRを有している。逆導電型領域RCRは、ドリフト領域DRIとのpn接合により空乏層を形成している。この空乏層により、ゲート絶縁膜GO直下に位置する半導体基板SUB中での電界が緩和され、発生したホットキャリアがゲート絶縁膜GOに向かって加速されにくくなる。そのため、第1実施形態に係る半導体装置によると、ホットキャリア注入によるゲート絶縁膜GOの劣化が抑制され、ひいては、半導体装置の信頼性が向上する。
【0058】
逆導電型領域RCRがフォトレジストをマスクとするイオン注入で形成される場合、フォトレジストの開口幅のばらつきに起因して、幅Wにばらつきが生じるおそれがある。第1実施形態に係る半導体装置においては、
図19に示されるように、幅Wが大きくなるほど、オン抵抗が上昇する。
【0059】
第1実施形態に係る半導体装置において、逆導電型領域RCRは、絶縁分離膜ISLと同一のマスク(ハードマスクHM)を用いて自己整合的に形成することができるため、幅Wを精度よく制御することができる。したがって、第1実施形態に係る半導体装置及び第1実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、半導体装置の信頼性を向上させつつ、オン抵抗の上昇を抑制することができる。
【0060】
第1実施形態に係る半導体装置の製造方法において、第2イオン注入工程S4が第1イオン注入II1~第4イオン注入II4により行われ、かつ第1方向~第4方向が、方向DR1(平面視におけるドレイン領域DRAの延在方向)と異なる場合、逆導電型領域RCRに対する重畳的なイオン注入が行われにくくなるため、逆導電型領域RCRの不純物濃度を均一化することができる。
【0061】
図19に示されるように、幅Wが深さDよりも大きくなると、オン抵抗の上昇が顕著になる。第1実施形態に係る半導体装置及び第1実施形態に係る半導体装置の製造方法において、幅Wが深さDよりも小さい場合、オン抵抗の上昇を抑制することができる。幅Wが過度に小さい場合、逆導電型領域RCRによる電界緩和効果が乏しくなる。第1実施形態に係る半導体装置及び第1実施形態に係る半導体装置の製造方法において、幅Wが深さDの0.5倍以上である場合には、オン抵抗の上昇を抑制しつつ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0062】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体装置の構成は、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同一であるため、説明は省略する。
【0063】
以下に、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。以下においては、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0064】
図20に示されるように、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様に、第1イオン注入工程S1と、ハードマスク形成工程S2と、フォトレジスト形成工程S3と、第2イオン注入工程S4と、絶縁分離膜形成工程S5とを有している。第2実施形態に係る半導体装置の製造方法は、さらに、ゲート絶縁膜形成工程S6と、ゲート電極形成工程S7と、第3イオン注入工程S8と、サイドウォールスペーサ形成工程S9と、第4イオン注入工程S10と、シリサイド膜形成工程S11とを有している。
【0065】
また、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様に、層間絶縁膜形成工程S12と、コンタクトプラグ形成工程S13と、配線形成工程S14とを有している。
【0066】
しかしながら、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、フォトレジスト形成工程S3、第2イオン注入工程S4及び絶縁分離膜形成工程S5の順序が、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と異なっている。
【0067】
第2実施形態に係る半導体装置の製造方法において、絶縁分離膜形成工程S5は、
図21及び
図22に示されるように、ハードマスク形成工程S2の後であって、フォトレジスト形成工程S3及び第2イオン注入工程S4の前に行われる。
【0068】
以下に、第2実施形態に係る半導体装置及び第2実施形態に係る半導体装置の製造方法の効果を説明する。以下においては、第1実施形態に係る半導体装置及び第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の効果と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0069】
第1実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、第2イオン注入工程S4が絶縁分離膜形成工程S5の後に行われる。そのため、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、ハードマスクHMのエッチングが完了した時点で、エッチング装置から半導体装置を一旦搬出し、洗浄等を行う必要がある。
【0070】
他方で、第2実施形態に係る半導体装置においては、絶縁分離膜形成工程S5がハードマスク形成工程S2の直後に行われる。そのため、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、ハードマスクHMのエッチングが完了した時点で半導体装置をエッチング装置から一旦搬出して洗浄等を行う必要がなく、エッチングガスを切り替えてそのまま溝TRを形成するためのエッチングを継続することができる。このように、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、製造工程を簡略化することができる。
【0071】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る半導体装置の構成は、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同一であるため、説明は省略する。
【0072】
図23に示されるように、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様に、第1イオン注入工程S1と、ハードマスク形成工程S2と、フォトレジスト形成工程S3と、第2イオン注入工程S4と、絶縁分離膜形成工程S5とを有している。第3実施形態に係る半導体装置の製造方法は、さらに、ゲート絶縁膜形成工程S6と、ゲート電極形成工程S7と、第3イオン注入工程S8と、サイドウォールスペーサ形成工程S9と、第4イオン注入工程S10と、シリサイド膜形成工程S11とを有している。
【0073】
また、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様に、層間絶縁膜形成工程S12と、コンタクトプラグ形成工程S13と、配線形成工程S14とを有している。
【0074】
しかしながら、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、フォトレジスト形成工程S3、第2イオン注入工程S4及び絶縁分離膜形成工程S5の順序が、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と異なっている。
【0075】
第3実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、溝形成工程S51は、
図24に示されるように、ハードマスク形成工程S2の後であって、フォトレジスト形成工程S3及び第2イオン注入工程S4の前に行われる。埋め込み工程S52は、
図25に示されるように、フォトレジスト形成工程S3及び第2イオン注入工程S4の後に行われる。
【0076】
なお、
図25に示されるように、フォトレジスト形成工程S3において、フォトレジストPRは、逆導電型領域RCRが縁部OPaの下方にある領域以外に形成されないようにするために、縁部OPb側から縁部OPa側に向かって延在している。なお、フォトレジストPRの縁部OPa側への延在量は、第2イオン注入工程S4におけるイオン注入の角度に応じて適宜決定される。
【0077】
以下に、第3実施形態に係る半導体装置及び第3実施形態に係る半導体装置の製造方法の効果を説明する。以下においては、第1実施形態に係る半導体装置及び第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の効果と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0078】
上記のとおり、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、ハードマスクHMのエッチングが完了した時点で、エッチング装置から半導体装置を一旦搬出し、洗浄等を行う必要がある。
【0079】
他方で、第3実施形態に係る半導体装置においては、溝形成工程S51がハードマスク形成工程S2の直後に行われる。そのため、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、ハードマスクHMのエッチングが完了した時点で半導体装置をエッチング装置から一旦搬出して洗浄等を行う必要がなく、エッチングガスを切り替えてそのまま溝TRを形成するためのエッチングを継続することができる。このように、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、製造工程を簡略化することができる。
【0080】
<第3実施形態の第1変形例>
以下に、第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置の構成を説明する。以下においては、第3実施形態に係る半導体装置の構成と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0081】
図26に示されるように、第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置は、半導体基板SUBと、絶縁分離膜ISLと、ゲート絶縁膜GOと、ゲート電極GEと、サイドウォールスペーサSWSと、シリサイド膜SILと、層間絶縁膜ILDと、コンタクトプラグCPと、配線WLとを有している。
【0082】
半導体基板SUBは、第1面FSを有している。半導体基板SUBには、ソース領域SRと、ドレイン領域DRAと、逆導電型領域RCRと、ボディコンタクト領域BCRと、ボディ領域BRと、ドリフト領域DRIとが形成されている。これらの点に関して、第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置は、第3実施形態に係る半導体装置の構成と共通している。
【0083】
しかしながら、第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置の構成は、逆導電型領域RCRの位置に関して、第3実施形態に係る半導体装置の構成と異なっている。第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置において、逆導電型領域RCRは、絶縁分離膜ISLを取り囲むように第1面FSに形成されている。
【0084】
以下に、第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法を説明する。以下においては、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0085】
第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法と同一である。但し、
図27に示されるように、フォトレジスト形成工程S3において、フォトレジストPRは、縁部OPa及び縁部OPbを覆わないように形成されている。これにより、第2イオン注入工程S4におけるイオン注入は、溝TRの両側面及び底面に対して行われる。
【0086】
以下に、第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置及び第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法の効果を説明する。以下においては、第3実施形態に係る半導体装置及びその製造方法の効果と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0087】
第3実施形態に係る半導体装置においては、絶縁分離膜ISLとドリフト領域DRIとの界面における界面準位によって導電キャリアがトラップされることにより、オン抵抗が上昇してしまう場合がある。第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置においては、逆導電型領域RCRが絶縁分離膜ISLを取り囲むように形成されているため、上記のような導電キャリアが界面準位でトラップされることによるオン抵抗の上昇を抑制することができる。第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法によると、上記のような機能を果たす逆導電型領域RCRを、自己整合的に精度よく形成することができる。
【0088】
<第3実施形態の第2変形例>
以下に、第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置の構成を説明する。以下においては、第3実施形態に係る半導体装置の構成と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0089】
図28に示されるように、第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置は、半導体基板SUBと、絶縁分離膜ISLと、ゲート絶縁膜GOと、ゲート電極GEと、サイドウォールスペーサSWSと、シリサイド膜SILと、層間絶縁膜ILDと、コンタクトプラグCPと、配線WLとを有している。
【0090】
半導体基板SUBは、第1面FSを有している。半導体基板SUBには、ソース領域SRと、ドレイン領域DRAと、逆導電型領域RCRと、ボディコンタクト領域BCRと、ボディ領域BRと、ドリフト領域DRIとが形成されている。これらの点に関して、第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置は、第3実施形態に係る半導体装置の構成と共通している。
【0091】
しかしながら、第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置の構成は、逆導電型領域RCRの位置に関して、第3実施形態に係る半導体装置の構成と異なっている。第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置において、逆導電型領域RCRは、ドレイン領域DRA側に位置する絶縁分離膜ISLの側面及びドレイン領域DRA側に位置する絶縁分離膜ISLの側面に連なる絶縁分離膜ISLの底面の一部を覆うように形成されている。
【0092】
以下に、第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法を説明する。以下においては、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0093】
第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法と同一である。但し、
図29に示されるように、フォトレジスト形成工程S3において、フォトレジストPRは、縁部OPbを覆わないように形成されている。しかしながら、フォトレジスト形成工程S3において、フォトレジストPRは、縁部OPaを覆うように形成されている。これにより、第2イオン注入工程S4におけるイオン注入は、溝TRのドレイン領域DRA側の側面及び溝TRのドレイン領域DRA側の側面に連なる溝TRの底面の一部に対して行われる。
【0094】
以下に、第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置及び第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法の効果を説明する。以下においては、第3実施形態に係る半導体装置及びその製造方法の効果と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0095】
第3実施形態に係る半導体装置においては、絶縁分離膜ISLとドリフト領域DRIとの界面における界面準位によって導電キャリアがトラップされることにより、オン抵抗が上昇してしまう場合がある。第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置においては、ドレイン領域DRA側に位置する絶縁分離膜ISLの側面及びドレイン領域DRA側に位置する絶縁分離膜ISLの側面に連なる絶縁分離膜ISLの底面の一部を覆うように形成されているため、上記のような導電キャリアが界面準位でトラップされることによるオン抵抗の上昇を抑制することができる。第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法によると、上記のような機能を果たす逆導電型領域RCRを、自己整合的に精度よく形成することができる。
【0096】
なお、上記においては、1つの半導体装置に1種類のLDMOSトランジスタ(第3実施形態に係る半導体装置のLDMOSトランジスタ、第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置のLDMOSトランジスタ及び第3実施形態の第2変形例に係るLDMOSトランジスタのいずれか)が形成される例を示した。しかしながら、1つの半導体装置に、第3実施形態に係る半導体装置のLDMOSトランジスタ、第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置のLDMOSトランジスタ及び第3実施形態の第2変形例に係るLDMOSトランジスタから選択される2種類以上のLDMOSトランジスタが形成されてもよい。
【0097】
この場合には、異なる種類のLDMOSトランジスタ毎に、フォトレジストPRの形状を適宜変化させればよい。すなわち、第3実施形態に係る半導体装置のLDMOSトランジスタが形成される箇所には、
図25に示されるような形状のフォトレジストPRが形成されればよい。第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置のLDMOSトランジスタが形成される箇所には、
図27に示されるような形状のフォトレジストPRが形成されればよい。第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置のLDMOSトランジスタが形成される箇所には、
図29に示されるような形状のフォトレジストPRが形成されればよい。
【0098】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0099】
ANL アナログ回路、BCR ボディコンタクト領域、BR ボディ領域、BRa 第1部分、BRb 第2部分、CP コンタクトプラグ、D 深さ、DL 絶縁膜、DR1 方向、DRA ドレイン領域、DRC ドライバ回路、DRI ドリフト領域、FS 第1面、GE ゲート電極、GO ゲート絶縁膜、HM ハードマスク、II1 第1イオン注入、II2 第2イオン注入、II3 第3イオン注入、II4 第4イオン注入、ILD 層間絶縁膜、IOC 入出力回路、ISL 絶縁分離膜、LOG ロジック回路、OP 開口、OPa,OPb 縁部、PDC プリドライバ回路、PR フォトレジスト、PWC 電源回路、RCR 逆導電型領域、S1 第1イオン注入工程、S2 ハードマスク形成工程、S3 フォトレジスト形成工程、S4 第2イオン注入工程、S5 絶縁分離膜形成工程、S6 ゲート絶縁膜形成工程、S7 ゲート電極形成工程、S8 第3イオン注入工程、S9 サイドウォールスペーサ形成工程、S10 第4イオン注入工程、S11 シリサイド膜形成工程、S12 層間絶縁膜形成工程、S13 コンタクトプラグ形成工程、S14 配線形成工程、S51 溝形成工程、S52 工程、SIL シリサイド膜、SR ソース領域、SRa 第1部分、SRb 第2部分、SS 第2面、SUB 半導体基板、SWS サイドウォールスペーサ、TR 溝、Tr トランジスタ、W 幅、WL 配線。