(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】家具
(51)【国際特許分類】
D06F 39/00 20200101AFI20220107BHJP
【FI】
D06F39/00 K
(21)【出願番号】P 2018241657
(22)【出願日】2018-12-25
【審査請求日】2019-10-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500560129
【氏名又は名称】株式会社ニトリホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】特許業務法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山枡 孝郷
(72)【発明者】
【氏名】朱 文川
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-003910(JP,U)
【文献】登録実用新案第3166211(JP,U)
【文献】特開平09-328204(JP,A)
【文献】特開2000-314414(JP,A)
【文献】特開2014-004673(JP,A)
【文献】実開平06-049403(JP,U)
【文献】特開2010-275071(JP,A)
【文献】米国特許第5501054(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/00
D06F 57/08
A47G 29/00-29/08
A47B 3/00-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹又は木に由来する素材により形成される対の枠部材と、
前記対の枠部材を互いに対して回転可能に連結する支軸部と、
前記対の枠部材の一方に形成される有底形状の案内溝部と、
前記対の枠部材の他方に設けられ、前記案内溝部に嵌まるピン部とを備え、
前記案内溝部及び前記ピン部は、前記ピン部が前記案内溝部の端部に当接することで前記対の枠部材の互いに対する回転が規制されるように、形成され、
前記枠部材は、矩形又はコの字状の形態であり、設置状態で床面に平行に延在する上辺部と、設置状態で前記上辺部の両端から床面に向けて延在する各脚部を有し、
前記案内溝部及び前記ピン部は、前記脚部のそれぞれの中央部に設けられ、
前記支軸部は、
ネジ山を有し、前記対の枠部材の一方に形成された有底形状のネジ穴に固着する固定具と、
前記対の枠部材の他方に設けられ、前記固定具が回転可能に貫通する貫通穴とを含み、
前記対の枠部材の一方は、前記対の枠部材の他方よりも前記上辺部が短く、前記対の枠部材の他方よりも内側に位置し、
前記対の枠部材のうちの、内側に位置する方の枠部材に、前記ネジ穴が形成されかつ前記案内溝部が形成され、外側に位置する方の枠部材に、前記貫通穴が形成されかつ前記ピン部が設けられ、
内側に位置する方の前記枠部材の前記脚部は、前記脚部の延在方向に沿った方向に木目を有し、かつ、前記案内溝部の位置を含め、前記脚部の延在方向について前記案内溝部よりも前記上辺部に近い部位から前記案内溝部よりも前記床面に近い部位の間で、前記脚部の延在方向と直交する平面における断面形状が同一形状に形成され、
前記案内溝部は、内側に位置する方の前記枠部材の前記脚部の延在方向について前記支軸部と重ならない位置において前記木目と交差する方向に形成される、家具。
【請求項2】
前記ピン部の位置は、前記ネジ穴の中心を通って前記脚部の延在方向に延在する中心線に対して、内側に位置する方の前記枠部材の回転方向で開き側にオフセットする、請求項1に記載の家具。
【請求項3】
内側に位置する方の前記枠部材の前記脚部の幅方向に沿った前記案内溝部の長さは、内側に位置する方の前記枠部材の前記脚部の全幅に対して5/8~7/8である、請求項1又は2に記載の家具。
【請求項4】
内側に位置する方の前記枠部材の前記脚部は、前記案内溝部の位置を含め、前記脚部の延在方向について前記案内溝部よりも前記上辺部に近い部位から前記案内溝部よりも前記床面に近い部位の間で、前記支軸部の軸方向から視て、同一の幅で直線状に形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯物収容袋などの袋体を懸架可能な家具に関する。
【背景技術】
【0002】
袋体を懸架可能な家具が知られている。例えば、特許文献1には、コの字型骨格部材(枠部材)の中央部を袋支持部とし、該袋支持部から直角に曲折した両側を脚部とし、対向する2つのコの字型骨格部材を各脚部の中央付近に設けた回動部(支軸部)で重ね合わせて軸支することによって開閉可能に形成された骨組み(家具)が開示されている。また、特許文献1の骨組みは、設置状態において2つのコの字型骨格部材の互いに対する回転を規制する架け渡し部材を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、この種の家具は、対の枠部材が金属パイプなどの金属素材で形成され、金属素材特有の性質を利用した構造が採用されるのが、一般的である。このような金属素材を用いる構造の場合、持ち運びには重く、その使用に際して、金属自体が有する比較的高い剛性に起因して柔軟性にかけるという問題があった。
【0005】
そこで、1つの側面では、本発明は、互いに回転可能な対の枠部材を金属とは異なる素材により形成しつつ、対の枠部材の互いに対する回転を簡易な構成で確実に規制できる家具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、
金属とは異なる素材により形成される対の枠部材と、
前記対の枠部材を互いに対して回転可能に連結する支軸部と、
前記対の枠部材の一方に形成される案内溝部と、
前記対の枠部材の他方に設けられ、前記案内溝部に嵌まるピン部とを備え、
前記案内溝部及び前記ピン部は、前記ピン部が前記案内溝部の端部に当接することで前記対の枠部材の互いに対する回転が規制されるように、形成される、家具が提供される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、本発明によれば、互いに回転可能な対の枠部材を金属とは異なる素材により形成しつつ、対の枠部材の互いに対する回転を簡易な構成で確実に規制できる家具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る家具の設置姿勢を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る家具の支軸部及び回転規制部を示す要部側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る家具の支軸部及び回転規制部を示す枠部材の内側から見た要部分解斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る家具の支軸部及び回転規制部を示す枠部材の外側から見た要部分解斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る家具の内側枠部材の脚部外側面を示す要部側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る家具の外側枠部材の脚部内側面を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施形態について詳細に説明する。なお、添付図面では、見易さのために、複数存在する同一属性の部位には、一部のみしか参照符号が付されていない場合がある。
【0010】
[家具]
図1~
図6に示すように、本発明の一実施形態に係る家具1は、洗濯物収容袋などの袋体2を懸架可能な家具であり、竹又は木に由来する素材により形成される対の枠部材3、4と、対の枠部材3、4を互いに対して回転可能に連結する支軸部5と、対の枠部材3、4の互いに対する回転を規制する回転規制部6と、を備える。
【0011】
家具1は、対の枠部材3、4の互いに対する回転操作によって、設置姿勢と収納姿勢とに姿勢を切り換えることができる。設置姿勢は、
図1に示すように、対の枠部材3、4が互いに開き方向に回転した姿勢であり、対の枠部材3、4の下端部で自立しつつ、対の枠部材3、4の上端部間で袋体2を懸架することができる。また。収納姿勢は、図示を省くが、対の枠部材3、4が閉じ方向に回転して重なり合った姿勢であり、コンパクトに収納することができる。
【0012】
[枠部材]
対の枠部材3、4は、矩形の形態であり、設置状態で床面に平行に延在する上辺部31、41と、設置状態で上辺部31、41の両端から床面に向けて延在する各脚部32、42と、設置状態で床面に沿って延在し、両端が各脚部32、42の下端に連結される下辺部33、43と、を有する。各脚部32、42は、支軸部5の軸方向で互いに接触する態様又は非常に僅かな隙間だけ離間する態様で、互いに対して位置する。なお、対の枠部材3、4は、下辺部33、43を有していないコの字状の形態であってもよい。
【0013】
対の枠部材3、4の一方である内側枠部材3は、対の枠部材3、4の他方である外側枠部材4よりも上辺部31が短くなっており、少なくとも外側枠部材4よりも脚部32が内側に位置している。
【0014】
[支軸部]
図2~
図6に示すように、支軸部5は、対の枠部材3、4の脚部32、42のそれぞれの中央部に設けられる。具体的に説明すると、支軸部5は、内側枠部材3の外側面に形成される有底のネジ穴51と、外側枠部材4に形成される貫通穴52と、ネジ山を有し、外側枠部材4の外側から貫通穴52を介して内側枠部材3のネジ穴51に固着される固定具である固定ネジ53とを備えており、固定ネジ53が貫通穴52を回転可能に貫通することにより、対の枠部材3、4が固定ネジ53を支点として互いに回転可能となっている。
【0015】
なお、貫通穴52は、固定ネジ53の軸部よりもわずかに大きい内径を有し、固定ネジ53のフランジ部が当接する座部52a(
図4参照)を有してよい。このような座部52aにより、固定ネジ53の締め込み量を規定できる。
【0016】
なお、本実施形態のネジ穴51は、内側枠部材3に埋め込まれる埋込ナット54により形成されるが、ネジ穴51は、内側枠部材3に直接形成してもよい。また、ネジ穴51を外側枠部材4に形成し、貫通穴52を内側枠部材3に形成してもよい。
【0017】
[回転規制部]
図3~
図6に示すように、回転規制部6は、対の枠部材3、4の脚部32、42のそれぞれの中央部に設けられる。具体的に説明すると、回転規制部6は、内側枠部材3の脚部32の外側面に形成される有底の案内溝部61と、外側枠部材4の脚部42の内側面に設けられ、案内溝部61に嵌まるピン部62とを備える。ピン部62は、金属等により形成され、外側枠部材4に固定される。案内溝部61及びピン部62は、ピン部62が案内溝部61の端部に当接することで対の枠部材3、4の互いに対する回転を規制する。
【0018】
つまり、案内溝部61は、対の枠部材3、4の回転中心である固定ネジ53を中心とする円弧形状の長穴、又は円弧状の長穴範囲を含む直線状の長穴であり、前述した設置姿勢では、案内溝部61の一端部にピン部62が当接することで対の枠部材3、4の開き方向の回転が規制され、前述した収納姿勢では、案内溝部61の他端部にピン部62が当接することで対の枠部材3、4の閉じ方向の回転が規制される。
【0019】
このような家具1によれば、互いに回転可能な対の枠部材3、4を竹又は木に由来する素材により形成しつつ、対の枠部材3、4の互いに対する回転を簡易な構成で確実に規制することができる。また、回転規制部6は、対の枠部材3、4の脚部32、42のそれぞれの中央部、つまり、支軸部5の近傍に設けられるので、案内溝部61の長さを抑制しつつ、対の枠部材3、4の必要な開き角度を確保できる。
【0020】
また、ピン部62の位置は、
図3及び
図6に示すように、ネジ穴51、貫通穴52の中心を通って脚部42の延在方向に延在する中心線CLに対して、内側枠部材3の回転方向で開き側にオフセットするように外側枠部材4の脚部42の内側面に設けられている。このようにすると、対の枠部材3、4の幅寸法(回転方向の幅寸法)を抑制しつつ、対の枠部材3、4の必要な開き角度を確保できる。
【0021】
例えば、本実施形態では、対の枠部材3、4が閉じた状態(重なる状態)では、ピン部62は、案内溝部61の一方側の端部に当接し、対の枠部材3、4が最も開いた状態(全開状態)では、ピン部62は、案内溝部61の他方側の端部に当接する。
【0022】
このように、本実施形態によれば、対の枠部材3、4を、竹又は木に由来する素材により形成することで、金属製の場合に比べて、家具1の軽量化を図り、可搬性を高めることができる。また、ナチュラル嗜好のユーザにも受け入れられやすい商品とすることができる。また、金属製の場合に比べて柔軟性(可撓性)が高く、組付け性(例えばピン部62を等も向上する。
【0023】
ところで、内側枠部材3の脚部32の幅方向に沿った案内溝部61の長さ(すなわち案内溝部61内におけるピン部62の摺動ストローク)は、家具1の必要な開度(対の枠部材3、4間の開き角度)に応じて決まる。すなわち、内側枠部材3の脚部32の幅方向に沿った案内溝部61の長さは、必要な開度が大きくなるほど、長くなる。
【0024】
この点、内側枠部材3の脚部32は、案内溝部61が形成される箇所及び当該箇所の近傍だけ広幅にしてもよいが、好ましくは、意匠性の観点から、幅が一定の形態である。他方、可搬性の向上や軽量化等を図るために、案内溝部61の幅に対して脚部32の幅を近づけると、ピン部62からの力(脚部32の幅方向の力)によって案内溝部61が破損等する強度上の問題が生じうる。このような強度上の問題は、内側枠部材3が金属とは異なる材料(木や竹)で形成されている場合に特に顕著となる。
このため、本実施形態では、内側枠部材3の脚部32の幅方向に沿った案内溝部61の長さは、好ましくは、内側枠部材3の脚部32の全幅に対して5/8~7/8程度である。これにより、脚部32の強度を維持しつつ、必要な開度(対の枠部材3、4間の開き角度)を確保できる。なお、案内溝部61は、内側枠部材3の脚部32の幅方向に沿って直線状に形成されているが、円弧状に形成されてもよい。
【0025】
また、案内溝部61は、好ましくは、内側枠部材3の脚部32の木目に交差する方向に形成される。具体的には、内側枠部材3の脚部32は、好ましくは、脚部32の延在方向に沿った方向に木目を有する。これにより、ピン部62からの力(脚部32の幅方向の力)によって案内溝部61が破損等する可能性を効果的に低減できる。
【0026】
また、本実施形態の家具1では、内側枠部材3に、ネジ穴51及び案内溝部61が形成され、外側枠部材4に、貫通穴52が形成されかつピン部62が設けられるので、外側枠部材4の強度不足を回避できる。つまり、外側枠部材4は、貫通穴52によって強度が低下するため、さらに案内溝部61を形成すると、強度不足になる可能性があるが、強度の低下がないピン部62を設けることで、外側枠部材4の強度不足を回避することが可能になる。また、内側枠部材3に形成されるネジ穴51及び案内溝部61はいずれも有底形状であるため、内側枠部材3の強度不足も回避できる。
【0027】
なお、前述したように、ネジ穴51を外側枠部材4に形成し、貫通穴52を内側枠部材3に形成する場合は、外側枠部材4に案内溝部61を形成し、内側枠部材3にピン部62を設けることが好ましい。
【0028】
以上、各実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施形態の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 家具
2 袋体
3 内側枠部材
31 上辺部
32 脚部
33 下辺部
4 外側枠部材
41 上辺部
42 脚部
43 下辺部
5 支軸部
51 ネジ穴
52 貫通穴
53 固定ネジ
54 埋込ナット
6 回転規制部
61 案内溝部
62 ピン部