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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】手術用流体の熱処理
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/44 20060101AFI20220107BHJP
   A61B 42/60 20160101ALI20220107BHJP
【FI】
A61M5/44 500
A61B42/60
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2018550374
(86)(22)【出願日】2017-03-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 US2017024183
(87)【国際公開番号】W WO2017165866
(87)【国際公開日】2017-09-28
【審査請求日】2020-03-17
(31)【優先権主張番号】62/313,249
(32)【優先日】2016-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509238306
【氏名又は名称】マイクロテック メディカル,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】ハイディ フランシス ヘンドリクス
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド リチャード ローリングス
(72)【発明者】
【氏名】ショーン コリガン
(72)【発明者】
【氏名】キース グライダー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス マテュサイティス
【審査官】上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0194324(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0197437(US,A1)
【文献】米国特許第06649040(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0247016(US,A1)
【文献】特開2012-055411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/44
A61B 42/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用流体を熱処理するためのシステムであって、前記システムは、
外科用流体を受容及び保持するように構成されたボウル(basin)と、
外科用流体が前記ボウルに追加され又は前記ボウルから除去される、及び非流体成分が前記ボウルに追加され又は前記ボウルから除去されるという少なくとも1つの指示を受信するように構成された、ユーザインターフェースと、
前記ボウルに熱的に結合され、前記ボウル内の前記外科用流体の温度を調節するように構成された熱処理デバイスと、
前記ボウル内の外科用流体の体積に関する体積情報を得るように位置付けられた体積測定デバイスと、
処置中に前記ボウル内の前記外科用流体の体積に関する体積測定情報を前記体積測定デバイスから受信し、前記ユーザインターフェースから前記少なくとも1つの指示を受信し、前記処置中に前記ボウルから除去された前記外科用流体の体積を決定するように構成されたコントローラと、を備え、
前記コントローラは、少なくとも、前記外科用流体の追加又は除去を前記非流体成分の追加又は除去と区別することによって、前記処置中に前記ボウルから除去された前記外科用流体の体積を決定するよう構成された、システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記ボウル内の前記外科用流体の体積の増加を示す体積測定情報を前記体積測定デバイスから受信し、ユーザからの入力なしに、前記外科用流体の体積の増加が前記ボウルに追加された新鮮な外科用流体であることを決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記ユーザインターフェースを介して、前記処置中に外科用流体が前記ボウルに追加されるという少なくとも1つの指示を受信することと、
前記受信された体積測定情報及び前記受信された少なくとも1つの指示に基づいて、前記処置中に前記ボウルから除去された前記外科用流体の体積を決定することと、を行うように構成されている、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの指示は、ユーザが新鮮な外科用流体を前記ボウルに追加しようとしているという指示であり、前記コントローラは、ユーザからの入力なしに、前記ユーザがいつ前記新鮮な外科用流体を前記ボウルに追加し終えるかを決定するように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、少なくとも、
前記ユーザインターフェースを介して、ユーザが前記外科用流体を前記ボウルに追加する予定であるという第1の指示を受信することと、
前記ユーザインターフェースを介して受信された前記第1の指示に続いて、前記体積測定デバイスから、前記ボウルに入れられた前記外科用流体の体積に関する体積測定情報を受信することと、
タイマの期限切れ時にまたは前記ユーザインターフェースを介してのいずれかで、前記ユーザが前記外科用流体を前記ボウルに追加し終えたことを示す第2の指示を受信することと、
前記第1の指示の受信と前記第2の指示の受信との間に前記ボウルに追加された前記外科用流体の体積を決定することと、
前記処置中の測定時間に体積測定情報を前記体積測定デバイスから受信し、その情報から、前記測定時間における前記ボウル内の前記外科用流体の体積を確立することと、
前記ボウルに追加された前記外科用流体の体積と前記測定時間における前記外科用流体の体積との間の差を決定することと、によって、前記処置中に前記ボウルから除去された前記外科用流体の体積を決定するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ユーザインターフェースは、第1のユーザ入力を含み、非流体成分を前記ボウルに追加することまたは前記非流体成分を前記ボウルから除去することを選択的に行うようにユーザによって操作可能な第2のユーザ入力をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記第2のユーザ入力を介して入力された、前記処置中に前記非流体成分が前記ボウルに追加されるまたは前記ボウルから除去されるという少なくとも1つの指示を受信し、前記受信された体積測定情報及び前記第2のユーザ入力を介して前記受信された少なくとも1つの指示に基づいて、前記処置中に使用された前記外科用流体の体積を決定するようにさらに構成されており、
前記コントローラは、少なくとも、
前記ボウル内の前記外科用流体の体積に関する体積測定情報を前記体積測定デバイスから受信することと、
前記第2のユーザ入力を介して、前記ユーザが前記非流体成分を前記ボウルに追加するまたは除去する予定であるという第1の指示を受信することと、
前記第2のユーザ入力を介して、前記ユーザが前記非流体成分を前記ボウルに追加または除去し終えたという第2の指示を受信することと、
前記第2の指示を受信することに続いて、前記非流体成分を追加または除去した後の前記ボウル内の前記外科用流体の体積に関する体積測定情報を前記体積測定デバイスから受信することと、
前記第1の指示の受信と前記第2の指示の受信との間に前記体積測定デバイスによって測定された前記外科用流体の体積の変化を無視することと、によって、前記処置中に使用された前記外科用流体の体積を決定するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2のユーザ入力は、ボタン及び足で作動可能なペダルのうちの少なくとも一方を含み、前記第2のユーザ入力を介して前記第1の指示を受信することは、前記ユーザが1回目に前記第2のユーザ入力を押すことを含み、前記第2のユーザ入力を介して前記第2の指示を受信することは、前記ユーザが2回目に前記ユーザ入力を押すことを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記体積測定デバイスは、流量計、前記ボウル内の前記外科用流体の体積に基づき位置が変化する浮き、ならびに前記ボウル及びその中の任意の内容物の重量を測定するように構成された計量デバイスのうちの1つを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記熱処理デバイスはヒータを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ボウル及びその中の任意の外科用流体の前記温度を測定するように構成された温度センサをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、
温度測定情報を前記温度センサから受信することと、
前記受信された温度測定情報をメモリに記憶された温度プロファイルと比較することと、
前記受信された温度測定情報が、前記メモリに記憶された前記温度プロファイルから閾値量よりも大きく逸脱している場合、前記熱処理デバイスの動作を終了することと、を行うようにさらに構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
外科用ドレープの機械可読タグ上に含まれる情報を読み取るように構成された非接触リーダをさらに含み、前記コントローラは、
前記機械可読タグから読み取った識別情報をメモリに記憶された認証情報と比較することと、
前記識別情報が前記認証情報と一致しない場合、前記熱処理デバイスの動作を禁止することと、を行うように構成されている、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記ボウルに位置付けられ、前記ボウルに実質的に適合する外科用ドレープをさらに含み、前記外科用ドレープが、滅菌野を非滅菌野から隔離する滅菌バリアを形成する、請求項1~13に記載のシステム。
【請求項15】
前記外科用流体を保持する基部をさらに含み、前記ボウルは、前記基部によって支持され、
前記ボウルは、前記基部、及び前記基部から離れて垂直に上向きに延在する傾斜側壁を含み、前記基部及び傾斜側壁は、前記外科用流体を受容及び保持する開放頂面を有する境界が付けられた空洞を集合的に形成する、請求項1~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記ユーザインターフェースは、前記ボウルの外面に装着されており、前記ユーザインターフェースは、ユーザによって物理的、可聴的、または光学的に関与されるように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載のシステムの作動方法であって、前記作動方法は
前記コントローラによって、前記ユーザインターフェースからの、外科用流体が前記ボウルに追加され又は前記ボウルから除去される、及び非流体成分が前記ボウルに追加され又は前記ボウルから除去されるという少なくとも1つの指示を受信することと、
前記コントローラによって、少なくとも、前記外科用流体の前記ボウルへの追加又は前記ボウルからの除去を前記非流体成分の前記ボウルへの追加又は前記ボウルからの除去と区別することによって、前記ボウルから除去された前記外科用流体の体積を決定することと、
前記デバイスによって、前記ボウルから除去された前記外科用流体の体積を表示することと、を含む、作動方法。
【請求項18】
前記コントローラによって、前記ユーザインターフェースからの、前記外科用流体が前記ボウルに追加され若しくは前記ボウルから除去されたこと、又は前記非流体成分が前記ボウルに追加され若しくは前記ボウルから除去されたという少なくとも1つの指示を受信することをさらに含む、請求項17に記載の作動方法。
【請求項19】
前記システムは、前記ボウルに熱的に結合され前記ボウル内の前記外科用流体の温度を上昇させるように構成されたヒータを更に含み、前記作動方法は、前記ヒータによって、前記ボウル内の前記外科用流体の温度を調節することをさらに含、請求項17又は18に記載の作動方法。
【請求項20】
前記デバイスによって、前記処置中に前記ボウルから除去された前記外科用流体の量を表示することをさらに含む、請求項17~19のいずれか1項に記載の作動方法。
【請求項21】
前記システムは非接触リーダを更に含み、前記作動方法は、前記非接触リーダによって、外科用ドレープの機械可読タグ上に含まれる情報を読み取ることをさらに含み、前記機械可読タグは、無線周波数識別(RFID)タグ及び近距離無線通信(NFC)タグのうちの一方を含む、請求項17~20のいずれか1項に記載の作動方法。
【請求項22】
外科用流体を加熱するためのシステムであって、前記システムは、
車輪上に装着されている基部と、
前記基部によって支持され、その垂直上方にあるボウルであって、外科用流体を受容及び保持するように構成されている、ボウルと、
前記ボウルに熱的に結合され、前記ボウル内の前記外科用流体の温度を上昇させるように構成されたヒータと、
前記ボウル及びその中の任意の内容物の重量に関する重量情報を得るように位置付けられた計量デバイスと、
外科用流体が前記ボウルに追加され又は前記ボウルから除去される、及び非流体成分が前記ボウルに追加され又は前記ボウルから除去されるという少なくとも1つのユーザ指示を受信するように構成された、ユーザインターフェースと、
前記計量デバイスから、処置の過程中の前記ボウル内の前記外科用流体の重量に関する重量測定情報を受信し、前記ユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つの指示を受信し、かつ前記受信された重量測定情報及び前記受信された少なくとも1つの指示に基づき、前記ボウルから除去された外科用流体の体積を決定するように構成された、コントローラと、を備え、
前記コントローラは、少なくとも、前記外科用流体の追加又は除去を前記非流体成分の追加又は除去と区別することによって、前記処置中に前記ボウルから除去された前記外科用流体の体積を決定するよう構成された、システム。
【請求項23】
前記コントローラは、少なくとも、
前記ユーザインターフェースを介して、ユーザが前記外科用流体を前記ボウルに追加する予定であるという第1の指示を受信することと、
前記ユーザインターフェースを介して受信された前記第1の指示に続いて、前記計量デバイスから、前記ボウルに入れられた前記外科用流体の重量に関する重量測定情報を受信することと、
タイマの期限切れ時にまたは前記ユーザインターフェースを介してのいずれかで、前記ユーザが前記外科用流体を前記ボウルに追加し終えたことを示す第2の指示を受信することと、
前記第1の指示の受信と前記第2の指示の受信との間に前記ボウルに追加された前記外科用流体の重量を決定することと、
前記処置中の測定時間に重量測定情報を前記計量デバイスから受信し、その情報から、前記測定時間における前記ボウル内の前記外科用流体の重量を確立することと、
前記ボウルに追加された前記外科用流体の重量と前記測定時間における前記外科用流体の重量との間の差を決定することと、
前記外科用流体の前記決定された重量差及び密度に基づいて、除去された前記外科用流体の体積を決定することと、によって、前記処置中に使用された前記外科用流体の体積を決定するように構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記ユーザインターフェースは、第1のユーザ入力を含み、医療ツールを前記ボウルに追加することまたは前記医療ツールを前記ボウルから除去することを選択的に行うようにユーザによって関与可能な第2のユーザ入力をさらに含む、請求項22又は23に記載のシステム。
【請求項25】
前記コントローラは、少なくとも、
前記ボウル及びその中の任意の内容物の重量に関する重量測定情報を前記計量デバイスから受信することと、
前記ユーザインターフェースを介して、ユーザが医療ツールを前記ボウルに追加するまたは前記医療ツールを前記ボウルから除去する予定であるという第1の指示を受信することと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記ユーザが医療ツールを前記ボウルに追加し終えたまたは前記医療ツールを前記ボウルから除去し終えたという第2の指示を受信することと、
前記第2の指示を受信することに続いて、前記ボウル及びその中の任意の内容物の重量に関する重量測定情報を前記計量デバイスから受信することと、
前記第2の指示を受信した後に受信された前記重量測定情報を調節して、前記医療ツールを前記ボウルに追加するまたは前記医療ツールを前記ボウルから除去することによって引き起こされた重量変化を打ち消すことと、によって、前記処置中に使用された前記外科用流体の体積を決定するように構成されている、請求項22~24のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2016年3月25日出願の米国仮特許出願第62/313,249号の優先権を主張し、その全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、外科用流体を管理するシステム、より具体的には、医療処置室の外科用流体の温度を調節するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
外科用流体は、様々な異なる医療処置中に使用される。例えば、生理食塩水は、手術部位を洗浄するために手術中に使用されることが多い。生理食塩水は、血液及び他の身体物質の領域を洗い流すために手術部位に注入され、臨床医に手術されている領域のはっきりとした視界及び手術を実施するためのきれいな表面を提供することができる。別の例として、外科用流体は、身体の特定の領域に導入されるスラッシュに凍結されてもよい。スラッシュは、局所低体温療法を提供し、スラッシュが配置される身体または器官の領域を冷却することができる。これは、心停止または重度の頭部外傷のような緊急時などにおいて、身体によって必要とされる酸素化された酸素の量を一時的に低減するのに有用であり得る。
【0004】
体内への導入前に外科用流体の温度を制御することは、安全かつ効果的な医療処置を確実にするのに役立つのに有用であり得る。例えば、外科用スラッシュの場合、外科用流体は、スラッシュを提供するのに十分であるが、外科用スラッシュが器官を損傷する温度に達するほど低くはない温度に冷却され得る。別の例として、液体洗浄の場合、外科用流体は、患者の体内に導入される前に室温よりも高く加熱されてもよい。
【0005】
麻酔された患者は、体温を調節することができない。これは、体温を調節する脳の部分が麻酔によって停止するためである。外科用洗浄流体が患者に導入される前に加熱されない場合、外科用流体は、患者の中核体温を冷却し得る。より長い時間がかかるか、またはより大量の洗浄流体を伴う処置については、累積的冷却効果は、意図しない低体温のリスクを増加させる可能性がある。この理由のため、外科用流体は、流体を患者に導入する前にほぼ患者の標準体温(華氏98.6度)の温度に加熱されてもよい。これは、意図しない低体温のリスクを最小限に抑えるのに役立ち得る。
【0006】
外科用流体が患者に導入される前に加熱または冷却されるかどうかに関わらず、処置中に外科用流体を担当している看護師または他の臨床医は、患者に導入される流体の量を監視し得る。典型的には、外科用流体は、標準サイズのボトル内に予め包装され、臨床医は、患者に導入される流体の量を決定するために処置中に使用されるボトルの数を監視し得る。臨床医は、使用される流体の量を監視して、過剰な流体が患者に導入されていないこと、及び/または比例量の流体が吸引デバイスを使用して患者から引き出されることを確実にし得る。
【発明の概要】
【0007】
一般的に、本開示は、手術環境において物質の量を監視及び/または決定し、任意にそのような物質の温度を調節するためのデバイス、システム、及び技術に関する。いくつかの構成において、デバイスは、医療処置中に使用される外科用流体を受容し、流体を哺乳動物患者に導入するのに好適な温度に加熱し、かつ処置中にデバイスから除去された流体の堆積を能動的に追跡するように設計されている。デバイスは、任意の好適な体積測定デバイスを使用して、デバイスから導入及び/または除去される流体の体積を追跡してもよい。例えば、体積測定デバイスは、流体の重量を測定し、次いで流体のプログラムされた密度に基づき体積を決定することによって、ボウル(basin)内の流体の高さを測定することによって、充填入口及び/もしくは分注出口を通して分注される流体の体積を測定することによって、またはさらに他の体積測定配置によって実装されてもよい。重量を測定するように構成された場合、デバイスは、患者から抽出された試験片などの手術環境における物体を計量するための便利な計量装置を提供し得る。これらの計量用途のために、デバイスは、温度調整機能を含んでもよく、または含まなくてもよい。
【0008】
いくつかの例では、システムは、外科用流体を受容及び保持するボウルを含む外科用流体加温器として構成されている。ボウルは、キャスター車輪上に装着された可動基部などの基部上に支持されて、システムが1つの位置から別の位置に容易に動くことを可能にする。システムは、ボウルに熱的に結合され、ボウル内に配置された外科用液体を目標温度に加熱するように構成されたヒータを含む。加えて、システムは、体積測定デバイスを含む。体積測定デバイスは、ボウルに追加される外科用流体の体積に関する体積情報を得るように位置付けられている。例えば、異なる用途において、体積測定デバイスは、ボウル及びその中の内容物の重量を測定することによって体積を直接測定するロードセル、ボウル内の外科用流体のレベルに基づき上昇及び下降する浮き、またはボウル内の外科用流体の体積を測定する他のセンサを使用して実装されてもよい。いずれの構成においても、システムはまた、処置中に使用される外科用流体の体積を表示するディスプレイを含むことができる。ディスプレイは、流体がボウルから除去され、患者に導入されるときに実質的にリアルタイムで更新し、臨床医が臨床的な判断を行うためのタイムリーかつ正確な情報を提供し得る。
【0009】
実際、ボウルが処置中に再充填され得、かつ/または非流体成分が処置中に周期的に追加され、ボウルから引き出され得るため、外科用流体加温器ボウルから引き出される全体積の外科用流体を監視することは困難であり得る。例えば、臨床医は、滅菌aseptoゴム球注射器及び/または滅菌目盛付計量容器をボウル内に配置し、次いで、処置中にこれらのツールを使用して、ボウルから患者に流体を移してもよい。ボウル内の外科用流体の見掛け体積は、ツールがボウル内にあるか、またはボウルの外にあるかに応じて増減する。
【0010】
本開示に従ったいくつかのシステムにおいて、新しい流体がボウルに追加されているかどうか、ツールがボウルから追加または除去されているかどうかなどをシステムに通知するために、臨床医が相互作用することができるユーザインターフェースが提供される。例えば、ユーザインターフェースは、ツールがボウルから追加または除去されることをシステムに通知するために、ユーザが押すことができる、コンソールまたはタッチスクリーンディスプレイ上のボタンまたは他の機構(例えば、フットペダル)などのユーザが操作可能な入力を含んでもよい。ユーザインターフェースは、追加の外科用流体がボウルに追加されることをシステムに通知するために、ユーザが押すことができる、別個のユーザが操作可能な入力を含んでもよい。加えて、またはあるいは、システムは、ユーザからの可聴入力もしくはコマンドを受信するユーザインターフェース、及び/または外科用流体もしくはツールがボウルから追加もしくは除去されるときを決定するためのユーザの挙動もしくはコマンドを検出する光検出器を含んでもよい。
【0011】
動作中、システムと関連するコントローラは、体積測定デバイスからのフィードバックに基づき、ボウル内の流体の体積を監視することができる。コントローラは、流体の体積の低減を追跡し、それらの低減を患者から除去され、かつ患者に導入される流体によるものと見なすことができる。コントローラが、新鮮な流体がボウルに追加されることをユーザインターフェースを介して通知されたとき、コントローラは、ボウル内の流体の測定された体積の対応する変化が、ボウルから戻されている、ボウルから前に引き出された流体ではなく、ボウルに追加されている新しい流体と関連することを識別することができる。コントローラが、新鮮な流体がボウルに追加されることをユーザインターフェースを介して通知されなかった場合でさえ、コントローラがボウル内の流体の体積の増加(例えば、ボウルに戻されているツールまたは流体と典型的に関連する大きさを超えた)を検出した場合、コントローラは、体積の増加を追加されている新鮮な流体として指定し得る。システムがまたボウル内及び外のツールをチェックするように構成されている用途において、コントローラは、ツールがボウルから追加または除去されることをユーザインターフェースを介して通知されてもよい。そのように通知されたとき、コントローラは、ボウル内の測定された流体の体積の対応する変化を、外科用流体ではなくツールのボウルへの追加またはボウルからの除去と関連するものとして無視することができる。
【0012】
システムが、重量の変化を検出することによってボウルから除去された流体の体積を監視する用途において、システムは、ボウルが1つ以上のロードセルに対して動くことを可能にする浮遊ボウル構成で設計されてもよい。ボウルは、ボウル内に配置された内容物の重量が変動すると、制限された移動範囲にわたって地面に対して上向き及び下向きに動き得る。いくつかの構成において、ボウルは、ボウルとロードセル(複数可)との間に形成された空気間隙を有する1つ以上のロードセルに対して押す装着板に装着されている。この空気間隙は、物質が完全になくてもよいか、またはボウル自体よりも少ない熱伝導率の物質で充填されてもよいが、ボウルをロードセル(複数可)から熱的に分離するのに役立ち得る。動作中、ボウル及びその中の内容物が加熱されると同時に、ボウル及び内容物の重量がロードセル(複数可)によって測定される。ボウルとロードセル(複数可)との間の空気間隙を作ることは、ボウル及び内容物が加熱されるときにロードセルが加熱される程度を最小限に抑えるのに役立ち得る。これは、温度が上昇するロードセル(複数可)によって引き起こされた計量の不正確さを低減または排除するのに役立ち得る。
【0013】
ロードセル(複数可)に対するボウルの特定の構成とは無関係に、システムがボウル内の物質の量を測定し、かつ物質を加熱するように構成されている用途において、システムは、量及び温度測定を使用して加熱を制御し得る。例えば、システムは、システムからボウル内の物質の量に関する、またボウル内の物質の測定された温度に関する情報を受信してもよい。システムが、ボウル内の物質の量が比較的小さい(例えば、閾値未満)と判定した場合、システムは、ボウル内の物質の量がより大きいとシステムが判定した場合とは異なる加熱速度を提供するように、ヒータを制御してもよい。システムは、物質が測定された目標温度に達するまで、ボウル内の物質を加熱するようにヒータを制御することができる。いくつかの例では、システムは、ボウル内の物質が目標温度に近づく(例えば、目標温度の閾値範囲内に入る)と、ヒータが熱を送達する速度を調整及び低減する。ボウル内の物質の量及び/または物質の測定された温度に基づき加熱速度を制御することは、物質が周囲温度から加熱されるときの起動時などに、物質の過熱を防止するのに有用であり得る。
【0014】
本開示に従った熱処理システムは、体積測定及び追跡機能に加えて、またはその代わりに様々な他の特徴を有することができる。例えば、システムは、使い捨てドレープを受容するように構成されたボウルを含んでもよい。ドレープは、ボウルの形状に適合し、ボウルの側面から垂れ下がるスカートを有してもよい。ボウル内のドレープの設置は、ボウル内の滅菌外科用流体ならびに/またはボウル及びその中に収容されたドレープ内のツールの後続の導入のための滅菌野を確立することができる。
【0015】
ボウルに配置されたドレープが好適であり、システムと適合すること、例えば、劣化することなくシステムによって生成される熱的条件に耐えることができることを確実にするために、温度管理システムは、非接触リーダを含んでもよい。非接触リーダは、非接触タグを含む対応する使い捨てドレープと共に機能するように意図されたシステムの一部として実装され得る。動作中、臨床医がボウル内にドレープを配置したとき、非接触リーダは、ドレープ上の対応するタグを検索する信号を発することができる。システムがドレープ上の非接触タグから識別情報を読み取り、ドレープが使用に関して承認されていることを確認した場合、システムは、動作を進めることができる。一方で、システムが、ドレープが非接触タグを有しないか、またはタグ上の識別情報が承認されていないと判定した場合、システムは、さらなる動作を禁止し得る。一例では、非接触リーダ及び対応するタグは、近距離無線通信(NFC)テクノロジーを使用して実装され得る。本開示に従ったシステムは、本明細書に記載されるように、追加のまたは異なる特徴を有することができる。
【0016】
一例では、ボウルと、熱処理デバイスと、体積測定デバイスと、コントローラとを含む、外科用流体を熱処理するためのシステムが記載される。ボウルは、外科用流体を受容及び保持するように構成されている。熱処理デバイスは、ボウルに熱的に結合され、ボウル内の外科用流体の温度を調節するように構成されている。体積測定デバイスは、ボウル内の外科用流体の体積に関する体積情報を得るように位置付けられている。その例によると、コントローラは、体積測定デバイスから、処置中のボウル内の外科用流体の体積に関する体積測定情報を受信するように構成されている。コントローラは、処置中にボウルから除去される外科用流体の体積を決定するようにさらに構成されている。
【0017】
別の例では、外科用流体を熱処理するためのデバイス上にユーザインターフェースに関与し、それにより、外科用流体がデバイスに追加されることをデバイスに通知することを含む方法が記載される。方法は、外科用流体をデバイスのボウルに追加し、デバイスのユーザインターフェースに関与し、それにより、外科用流体がデバイスに追加されたことをデバイスに通知することをさらに含む。方法は、ボウルから外科用流体を除去し、ボウルから除去された外科用流体の体積をデバイスによって表示することを伴う。
【0018】
別の例では、外科用流体を加熱するためのシステムが記載される。システムは、車輪上に装着された基部と、基部によって支持され、その上方に垂直に上昇するボウルとを含み、ボウルは、外科用流体を受容及び保持するように構成されている。システムはまた、ボウルに熱的に結合され、ボウル内の外科用流体の温度を上昇させるように構成されたヒータと、ボウル及びその任意の内容物の重量に関する重量情報を得るために位置付けられた計量デバイスとを含む。システムは、外科用流体がボウルに追加されるというユーザ指示を受信するように構成されたユーザインターフェースをさらに含む。コントローラは、重量測定デバイスから、処置中のボウル内の外科用流体の重量に関する重量測定情報を受信し、ユーザインターフェースを介して、処置中に医療用ツールがボウルから追加または除去されるという少なくとも1つの指示を受信し、かつ受信された重量測定情報及び受信された少なくとも1つの指示に基づき、処置中に使用される外科用流体の体積を決定するように構成されている。
【0019】
別の例では、流体収容容器と、熱処理デバイスと、装着板と、重量測定デバイスとを含む熱処理システムが記載される。流体収容容器は、物質を受容及び保持するように構成された基部と少なくとも1つの側壁とを有する。熱処理デバイスは、流体収容容器に熱的に結合され、流体収容容器内の物質の温度を調節するように構成されている。装着板は、第1の面と、第1の面と反対側の第2の面とを有する。装着板は、流体収容容器に取り付けられ、装着板の第1の面と流体収容容器の基部との間に空気間隙が形成されている。流体収容容器及びその中の任意の内容物の重量を測定するように構成された重量測定デバイスは、装着板の第2の面上に位置付けられている。
【0020】
さらなる例では、熱処理システムが記載される。熱処理システムは、加熱される物質を受容及び保持するように構成されたボウルと、ボウルに熱的に結合され、ボウル内の加熱される物質の温度を調節するように構成された熱処理デバイスと、ボウル及びその中の任意の内容物の重量を測定するように位置付けられた重量測定デバイスと、ユーザインターフェースと、コントローラとを含む。コントローラは、ユーザインターフェース、熱処理デバイス、及び重量測定デバイスと通信している。その例は、コントローラが、ユーザインターフェースを介して、ボウル内の任意の内容物が加熱される目標温度を受信し、重量測定デバイスから、ボウル及びその中の任意の内容物の重量に関する重量測定情報を受信し、かつ温度センサから、ボウル内の任意の内容物の測定された温度に関する温度測定情報を受信するように構成されていることを明記する。コントローラは、重量測定デバイスから受信された重量測定情報及び温度センサから受信された温度測定情報に基づき、ボウル及びその中の任意の内容物を加熱するように熱処理デバイスを制御して、ボウル内の任意の内容物を目標温度に加熱するようにさらに構成されている。
【0021】
追加の例では、基部と、基部によって支持された収容容器とを含む重量測定デバイスが記載される。収容容器は、計量される物質を受容及び保持するように構成されている。収容容器は、基部と、基部から垂直に上向きに離れて延在する傾斜側壁とを含み、基部及び傾斜側壁は、計量される物質を受容及び保持する開放頂面を有する境界が付けられた空洞を集合的に形成する。デバイスはまた、収容容器及びその中の任意の内容物の重量に関する重量情報を得るために位置付けられた計量デバイスと、ユーザインターフェースと、コントローラとを含む。コントローラは、重量測定デバイスから、収容容器及びその中の計量される物質に関する重量測定情報を受信し、かつ計量される物質の重量をユーザインターフェース上に表示するように構成されている。
【0022】
1つ以上の例の詳細が、添付の図面及び以下の説明に記載される。他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】それぞれ、外科用流体を熱処理するための例示的なシステムの斜視図、側面図、及び上面図である。
図2】それぞれ、外科用流体を熱処理するための例示的なシステムの斜視図、側面図、及び上面図である。
図3】それぞれ、外科用流体を熱処理するための例示的なシステムの斜視図、側面図、及び上面図である。
【0024】
図4A図1に示されるA~A断面線に沿った図1~3の例示的なシステムの断面図である。
【0025】
図4B】高さ調節機構の例示的な構成を例示する目的でボウルが除去されて示される、図1の例示的なシステムの斜視上面図である。
【0026】
図5図1~3のシステムと共に使用され得る例示的なドレープの図である。
【0027】
図6図1~3の例示的なシステムで使用され得る構成要素を示す機能ブロック図である。
【0028】
図7】医療処置中に熱処理デバイスから除去された外科用流体の量を監視するために使用され得る例示的な技術のフローチャートである。
【0029】
図8A図1~3の例示的なシステム上に使用され得る例示的なユーザインターフェースである。
【0030】
図8B図1~3の例示的なシステムに使用され得る例示的なディスプレイである。
【0031】
図9A図1~3の例示的なシステム上で使用され得る例示的なボトルポケット構成を示す。
図9B図1~3の例示的なシステム上で使用され得る例示的なボトルポケット構成を示す。
【0032】
図10】例示的な温度センサ配置を示す図1の例示的なシステムの上面図である。
【0033】
図11図1~3の例示的なシステムで加熱されている流体に送達される熱エネルギーの量を制御するための例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【0034】
図12】構成要素の例示的な配置を示す、図1上で示されるA~A断面線に沿った分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
一般的に、本開示は、手術環境において物質の量を監視及び/または決定し、任意にそのような物質の温度を調節するためのデバイス、システム、及び技術に関する。いくつかの例では、システムは、医療処置中に流体を利用する前に外科用流体を熱処理するために構成されている。外科用流体は、温度を周囲温度よりも高く上昇させるか、または温度を周囲温度未満に下げるために、システム内で温度調整されてもよい。システムはまた、外科用流体が処置中に使用される準備ができるまで、周囲温度に対して上げられた温度または下げられた温度で外科用流体を維持することができる。使用中、外科用流体は、システムから引き出され、患者上または患者内の手術部位にわたって分注されて、部位を洗浄し、身体物質を洗い流し得る。外科用流体を洗い流された身体物質と共に患者の外に引き出し、外科用流体が患者の開放腔内に蓄積することを防止するために、吸引デバイスが使用されてもよい。
【0036】
いくつかの例では、本開示に従った熱処理システムは、システムから引き出された外科用流体の量を監視する。システムに戻されない全ての引き出された外科用流体が患者に導入されると仮定することによって、システムは、処置中に患者に導入された外科用流体の量を示すことができる。いくつかの構成で、システムは、実質的にリアルタイムで更新され、システムから引き出された流体の体積を報告するディスプレイを含む。この情報は、処置を実施する臨床医を誘導するのに役立ち得る。例えば、処置中に患者に導入された流体の量を知った上で、臨床医は、吸引デバイスを使用して比例(例えば、等しい)量の流体が患者から引き出され、収集されたことを確認し得る。別の例として、臨床医は、消費された外科用流体の量に基づき患者が過剰に洗浄されていると判定し、さらなる洗浄を減速させるか、または停止し得る。
【0037】
本開示に従った熱処理システムは、安全かつ効率的な外科用流体温度調節を提供するための追加の、または異なる特徴を含むことができる。例えば、熱処理システムは、システムに挿入されたドレープ上でコード化された情報を読み取るように動作可能なリーダを含んでもよい。リーダは、光リーダ、RFIDリーダ、NFCリーダ、または同様の非接触リーダなどの非接触リーダを使用して実装されてもよい。リーダは、システムに挿入されたドレープ上でコード化されるか、またはドレープに埋め込まれた情報を読み取り得る。リーダがドレープ上のコード化された情報を検出しなかった場合、またはコード化された情報の信頼性が確認できない場合、システムは、熱処理デバイスの動作を禁止し得る。これは、ドレープが製造される材料がシステムの動作条件(例えば、温度条件)と適合しない場合、システムは動作を進めることはない。別の例として、リーダは、ドレープから読み取られた情報(例えば、及びすでに使用されたドレープを識別する記憶された情報との比較)に基づき、ドレープがすでに使用されているかを検出し、ドレープがすでに使用されている(したがって滅菌ではない可能性が高い)場合、システムが動作することを防止し得る。
【0038】
図1~3は、それぞれ、外科用流体を熱処理するための例示的なシステム10の斜視図、側面図、及び上面図である。例示された例では、システム10は、基部12とボウル14とを含む。ボウル14は、基部12によって支持され、その上方に垂直に上昇する。ボウル14は、外科用流体が分注され得るか、または他の処理されている物質が導入され得る開放収容容器を提供してもよい。外科用流体はいったんボウル14に追加されると、ボウル内で温度調節され得る。例えば、ボウル14は、熱流体の温度を上昇または低下させることができる熱処理デバイスに熱的に結合されてもよい。ボウル14はまた、流体がボウルから除去され、処置で使用されるまで、外科用流体を目標温度で維持することができる。
【0039】
以下により詳細に記載されるように、システム10は、ボウル14に追加される、かつ/またはボウル14から除去される流体の量を監視してもよい。システム10は、医療用ツールなどの非流体成分がボウル14に追加された、かつ/またはボウル14から除去されたときの指示を受信してもよいが、そうする必要はない。処置中、臨床医は、新鮮な外科用流体をボウル14に追加してもよく、またボウル内に1つ以上の医療用ツールを配置してもよい。新鮮な外科用流体または新鮮な物質という用語は、流体または物質が第1の時間にわたって(例えば、滅菌容器から)ボウル14に導入されていることを示し、ボウルから引き出され、ボウルに再導入して戻されている流体または他の物質ではない。医療用ツールは、ボウル14から取り出される前に制御された温度で保持され、患者に挿入される、外科用器具であってもよい。加えて、またはあるいは、医療用ツールは、aseptoゴム球注射器及び/または目盛付計量容器などの、外科用流体をボウル14から患者に送達するための設備であってもよい。
【0040】
システム10は、外科用流体がボウル14から除去されたときを決定し、医療用ツールがボウルから除去されたときを区別することができる。システム10はまた、新鮮な流体がボウル14に追加されたときを識別し、医療用ツールがボウル14に追加されたときと区別してもよい。システム10は次いで、ボウルに追加された流体の量及びボウル内の外科用流体の現在の体積に基づき、処置中にボウル14から除去された外科用流体の量を決定してもよい。システム10は、1つ以上の医療用ツールがボウルに追加されたとき、かつ/またはボウルから除去されたときをさらに決定して、ボウルから除去された外科用流体の量を決定してもよい。
【0041】
操作者がシステム10と相互作用して、異なる設定を制御することを可能にするために、システム10は、ユーザインターフェースを含んでもよい。図1~3の例では、システム10は、少なくとも1つのユーザインターフェース16を含む。ユーザインターフェース16は、臨床医が情報をシステム10に入力するユーザ入力と、臨床医がシステムから情報を受信するユーザ出力とを含むことができる。例えば、ユーザインターフェース16は、臨床医がシステム10の設定を調節するため、新鮮な流体がボウル14に追加されているという指示を提供するため、非外科用成分がシステム10から追加または除去されているという指示を提供するなどのために相互作用することができる、1つ以上の操作可能な入力を含んでもよい。操作可能なユーザ入力は、物理的に押し下げ可能なボタン(例えば、スイッチ)、臨床医が相互作用することができるタッチスクリーンの部分、または臨床医が情報をシステム10に伝達するために相互作用することができる他の特徴としてとして実装されてもよい。ユーザインターフェース16のユーザ出力は、システム10の動作に関するグラフィック及び/またはテキスト情報を提供するディスプレイであってもよい。
【0042】
ユーザインターフェース16は、ユーザがシステム10と相互作用するために物理的に接触するディスプレイと1つ以上のボタンとを含むように例示されるが、システムは、ユーザがシステムと通信するために相互作用し得る任意のタイプのインターフェースを含んでもよい。例えば、システム10は、音(例えば、ボウル14に注入されている流体)を検出するマイクロフォン、及び/またはユーザからの可聴コマンドを含んでもよい。別の例として、システム10は、ユーザアクション(例えば、ボウル14に注入されている流体、ボウルから除去されているツール)、及び/または非接触ユーザコマンド(例えば、光センサの正面に手もしくは流体ボトルを配置することなどのユーザジェスチャ)を検出する、光検出器を含んでもよい。光検出能力を有して実装されたとき、システムは、ボウル14及び/または周囲空間を監視し、画像認識技術を実施して、ユーザのシステムとの相互作用及び/またはコマンドを検出する、カメラを含んでもよい。別の例として、システムは、ボウル14の開口部上のレーザビームなどの光の経路が破壊されたときを検出して、物質がボウルに追加されたとき、及び/またはボウルから除去されたときを検出する、光エミッタを含んでもよい。この構成で、システムは、追加または除去されている成分の光反射特徴及び物質特性に基づき、外科用流体または医療用ツールがボウルから追加または除去されているかどうかを決定してもよい。システム10は、複数の異なるタイプのユーザインターフェース(例えば、物理的接触、可聴、光学)を含むことができ、それらのうちのいずれもユーザによって関与されて、システムから追加または除去されているものの内容物に関する情報をシステムが決定することを可能にすることができる。
【0043】
加えて、図1のシステム10は、ボウル14上に物理的に装着されたディスプレイを有するものとしてユーザインターフェースを示しているが、ディスプレイがシステムに物理的に取り付けられている必要はなく、かつ/またはシステムがディスプレイを有しなくてもよいことを理解されたい。例えば、システム10は、ボウル14から物理的に分離しているが、ボウルと直接的または間接的のいずれかで無線通信している、遠隔電子デバイス(例えば、コンピュータ、タブレット、スマートフォン、タッチスクリーンモニタ)を含んでもよい。ユーザは、遠隔電子デバイスと相互作用して、ボウル14を制御するためのパラメータ(例えば、流体が加熱される目標温度)を入力してもよく、かつ/またはボウルからデータ(例えば、ボウルに追加された、かつ/もしくはボウルから除去された流体の体積を示すデータ、ボウル内の物質の重量、ボウル内の物質に対する設定された温度及び/もしくは現在の温度)を受信してもよい。
【0044】
ユーザがボウル14と相互作用することができる遠隔ユーザインターフェース16を有することに加えて、またはその代わりに、ボウルは、その使用に関するデータをリモートコンピュータに転送するように構成されてもよい。例えば、ボウル14は、処置中にボウルが設定された目標温度、処置中にボウルに追加された流体の量、処置中にボウルから除去された流体の量、1つ以上の医療用ツールがボウルに追加された、かつ/またはボウルから除去された時間、処置全体を通した、かつ/または流体がボウルから除去されたときのボウル内の流体の実際の温度、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上に関するデータを転送してもよい。ボウル14は、取り外し可能な非一時的記憶媒体(例えば、フラッシュドライブ、CD)を通して、有線接続を通して、及び/または無線接続(例えば、携帯電話プロトコル、Bluetooth(商標)プロトコル、Wi-Fiプロトコル、もしくは他の無線周波数)を通して、データをリモートコンピュータに転送してもよい。いくつかの例では、ボウル14は、データをクラウドコンピューティングネットワークに転送する。転送されたデータは、医療処置中にシステム10が使用された患者に対応する患者識別を含んでもよく、またはそれに関連付けられてもよい。1つ以上のリモートコンピュータを使用して、単一の処置からのデータまたは複数の処置からの集合データが分析されて、例えば、共通の所有構造内の特定のデバイスまたは複数のデバイスに関する傾向及び利用の改善機会を識別し得る。
【0045】
システム10がディスプレイを含む用途において、システムは、単一のディスプレイまたは複数のディスプレイを有して構成され得る。図1~3中、システム10は、ユーザインターフェース16の一部を形成する第1のディスプレイと、第2のディスプレイ18とを有するものとして示される。第1のディスプレイがボウル14の片側の外部表面上に位置付けられている一方で、第2のディスプレイは、ボウルの実質的に反対側の外部表面上に位置付けられている。この配置は、ボウル14の異なる側で作業する臨床医がシステム10の動作に関する情報を見ることを可能にするのに有用であり得る。いくつかの例では、第2のディスプレイ18は、第1のユーザインターフェース16と同じ特徴及び機能(例えば、ユーザ入力(複数可)及び/またはユーザ出力(複数可))を含む、ユーザインターフェースの一部である。これは、臨床医がシステムのいずれかの側で作業するときに情報をシステム10に提示し、かつシステム10から情報を受信することを可能にすることができる。他の例では、第2のディスプレイ18は、ユーザ出力を提供するがユーザ入力制御は有しないディスプレイであってもよい。これらの用途において、臨床医は、ユーザインターフェース16上のユーザ入力(複数可)を通して情報またはコマンドを入力し得るが、両方のディスプレイ上で出力情報を見ることが可能である。ユーザインターフェース16及び/またはディスプレイ18として使用され得る例示的なユーザインターフェース及びディスプレイ構成は、図8A及び8Bに関して記載されている。
【0046】
加えて、ユーザインターフェース16の一部を形成する第1のディスプレイ及び第2のディスプレイ18が、ボウル14の最上縁部に対して下向きの角度で装着されているように示されているが、ディスプレイは、任意の所望の角度で装着され得る。例えば、ユーザインターフェース16の一部を形成する第1のディスプレイ及び第2のディスプレイ18は、ボウルに対して同じ角度または異なる角度で装着されてもよい。一例では、第2のディスプレイ18は、第1のディスプレイよりも鋭角で(例えば、ディスプレイが地面とより垂直になるように)システム上に装着され、ボウルからより遠くに位置付けられたユーザにより大きい可視性を提供する。さらに、ユーザインターフェース16の一部を形成する第1のディスプレイ及び第2のディスプレイ18は、ボウル14の対向する外部表面上に示されるが、ディスプレイのうちの一方または両方が、上述のようにボウルから離れ、ボウルに通信可能に連結されてもよい(例えば、ボウルと関連するがボウルに物理的に接続されていない情報を表示するために)。例えば、ユーザインターフェース16の一部を形成する第1のディスプレイ及び/または第2のディスプレイ18は、テレビまたはコンピュータモニタ(例えば、手術室内)を使用して、臨床医によって担持される携帯デバイス(例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ)上で、または別様にボウル14から物理的に離れて位置して、実装されてもよい。
【0047】
熱処理システム10は、ボウル14を含む。ボウル14は、外科用流体を受容及び保持する収容容器を提供する。一般的に、ボウル14は、任意の多角形(例えば、長方形、正方形、六角形)、もしくは弓状(例えば、円形、楕円形)の形状、または多角形及び弓状の形状の組み合わせさえ画定することができる。例示された例では、ボウル14は、一般的な楕円形状として示され、基部20と、基部から垂直に上向きに離れて延在する少なくとも1つの傾斜側壁22とを含む。基部20及び傾斜側壁22は、外科用流体を受容及び保持する開放頂面を有する境界が付けられた空洞を集合的に形成する。真直ぐな側壁の代わりに傾斜側壁(複数可)を有するボウル14を構成することは、外科用流体が、側壁(複数可)が基部と交差する角で蓄積することを防止するのに役立つ。とは言うものの、他の例では、ボウル14は、真直ぐな側壁を有して形成されてもよい。さらに、ボウル14は、ボウルに物質を追加し、ボウルから物質を引き出すための開放頂面を有するものとして例示されているが、ボウルは、他の構成においてその頂面上で閉鎖されてもよい。
【0048】
加えて、ボウル14は、医療用流体を保持するための単一の収容容器を有するものとして例示されているが、ボウルは、互いから分離された複数の収容容器を有して形成されてもよい。例えば、ボウル14は、1つ以上の収容容器の空洞を1つ以上の他の収容容器の空洞との流体連通から分離する内部パーティション(複数可)またはディバイダ(複数可)を有する、単一の空洞であってもよい。あるいは、ボウル14は、複数の空洞(例えば、各々が別々に成形または形成される)を有して構成されてもよく、複数の空洞の各々は、流体を受容及び保持するための別個の収容容器を提供する。使用中、各空洞は、同じ流体で充填されてもよく、または少なくとも1つの空洞が、少なくとも1つの他の空洞内に充填される流体とは異なる流体で充填されてもよい。加えて、いくつかの構成で、各空洞は、別個の熱処理デバイスが備えられ、異なる空洞の独立した温度調節を可能にしてもよい。これは、例えば、異なる空洞内の流体を異なる温度に加熱するのに、1つの空洞内の流体を加熱すると一方で、別の空洞内の流体を冷却してスラッシュを作るのに、または別様に温度制御の柔軟性を提供するのに有用であり得る。
【0049】
医療処置中の任意のタイプの外科用流体を含む、任意のタイプの物質が、処置中にボウル14に導入され、かつボウル14から除去されてもよい。医療処置中に使用され得る医療用流体の例示的なタイプとしては、水、生理食塩水などが挙げられる。外科用流体は、抗菌特性、抗凝固/凝固特性、麻酔特性などを付与する化合物などの薬剤を含んでも含まなくてもよい。ボウル14に導入され得る代替の物質としては、計量のために患者から抽出された医療用検体(例えば、ボウルが重量を測定するように構成されている実施形態における)、血液、血小板、または患者に導入される前の熱調節のための物質、または非医療関連物質(例えば、システム10が医療環境で使用されない用途における)が挙げられ得る。
【0050】
図1~3の構成では、ボウル14は、基部12によって指示され、その上方に垂直に上昇する。具体的には、ボウル14は、基部12から垂直に上向きに延在する細長い筐体24上に装着されている。基部12及び筐体24は、ボウル14を、臨床医がボウルと相互作用するのに便利である位置に上昇させることができる。いくつかの例では、筐体24は、外科用流体の容器を受容するように構成された1つ以上の受容空洞を含む。例えば、筐体24は、外科用流体容器が挿入され得る筐体の長さに沿って位置付けられた1つ以上のポケットを含んでもよい。ポケットは、予熱された外科用流体を提供するために加熱されてもされなくてもよい。いずれの場合においても、ポケットは、医療処置中の即座のアクセスのために外科用流体の容器(複数可)を格納し得る。処置中に追加の外科用流体が必要とされる場合、臨床医は、筐体24内のポケットから新鮮な外科用流体の容器を抜き出し、その外科用流体をボウル14に追加することができる。例えば、図9Aは、ボウル14を画定する筐体内に形成されたボトルポケット200を有する熱処理システムを示す。図9Bは、筐体の長さに沿って形成されたボトルポケット202を有する別の熱処理システムを示す。そのようなボトルポケット設計は、図1~3の熱処理システム10に使用され得る。
【0051】
いくつかの例では、ボウル14は、基部12、及び/またはシステム10が装着されている表面(例えば、床、カウンタ、卓上)に対して固定された高さである。他の例では、システム10は、基部12に対するボウル14の高さを調節するように動作可能である高さ調節機構を含む。これは、異なる身長の臨床医が快適な作業高さにボウル14を再配置することを可能にするのに有用であり得る。図4Aは、例示的な高さ調節機構を示す、図1に示されるA~A断面線に沿った図1のシステム10の断面図である。
【0052】
図4Aの例に示されるように、システム10は、ピストン26と調節レバー28(図1)とを有して実装される高さ調節機構を含む。ピストン26は、圧縮可能な流体(例えば、ガス、液体)、またはバネを含むチャンバ内に位置付けられた摺動シャフトを含んでもよい。摺動シャフトは、ボウル14を上昇させるために流体またはバネ圧によって動くことができ、操作者は、ボウル14を下向きに押し下げてボウルを降下させ、摺動シャフトを流体圧力またはバネに対して動かすことができる。調節レバー28は、ピストン26の位置、それに応じてボウル14の位置を制御することができる。例えば、調節レバー28は、ピストン26への流体の動きを制御する弁を開放及び閉鎖してもよく、かつ/または戻り止めを係止開口の中及び外に動かしてもよい。調節レバー28は、図1に示されるようにハンドコントロールとして位置付けられ得えるか、またはフットコントロールとして実装されてもよい。システム10が高さ調節機構を有する他の構成では、高さ調節機構は、2つの摺動シャフトの互いに対する位置を制御する回転係止カラーを使用して実装されてもよい。
【0053】
ボウル14を高さ調節機構を介して移動可能になるように装着することは、例えば、ボウルを使用している操作者の身長及びボウルが使用されている環境における空間制約に応じて、ボウルが異なる高さに動くことを可能にするのに有用であり得る。実際、ボウル14がピストン26の上方に装着されている用途において、ボウルは、別段の制約がない限り水平平面内で回転する可能性がある。そのような制約は、制限された回転範囲を有するピストン26の構成によってもたらされ得る。しかしながら、ボウル14が上昇した高さにあるとき、ボウル内に存在する流体は、重心をシフトさせる可能性があり、ボウルは、水平平面内で振動または揺動する傾向を不必要に有する可能性がある。そのような振動または揺動は、激しすぎる場合、ボウル14内に存在する流体をボウルの外にこぼれさせる可能性がある。ボウル14の意図しない回転の動きを制約するのに役立つために、システム10は、ボウルの回転を制約するのに役立つための1つ以上の回転防止特徴を含んでもよい。
【0054】
図4Bは、回転防止構成を有する高さ調節機構の例示的な構成を示す、システム10の斜視上面図である(例示目的でボウル14が取り外されて示される)。この例では、ピストン26は、基部12とボウル14との間の筐体24の中央管腔内に装着されている。加えて、高さ調節機構は、2つの回転防止ロッド25A、25Bを使用して実装されているように例示されている、少なくとも1つの回転防止ロッドを含む。回転防止ロッド25A、25Bは、ピストン26に平行に延在し、ピストンの異なる面上にある。回転防止ロッド25A、25Bは、筐体24の長さに沿って部分的に、いくつかの例では完全に延在することができ、ピストン26で上昇及び降下することができる。例えば、回転防止ロッド25A、25Bは、一端で(例えば、ボウル14に対して回転防止ロッド25A、25Bの上端において)固定的に接続されてもよく、固定された反対側の部材を通って移動してもよく、かつ/または回転防止ロッド25A、25Bの反対側の端部において伸縮式であってもよい。そのように構成された場合、回転防止ロッド25A、25Bは、ボウル14及びピストン26共に上昇及び降下し得、ボウル14に適用される回転モータに対抗し、ボウルの任意の回転の動きを低減または排除し得る。
【0055】
他の構成で、高さ調節機構は、舌部及び溝構成と連動されている、互いに対して移動可能な2つの構成要素を含んでもよい。例えば、筐体24及び/またはピストン26は、基部12に接続された第1の部材と、ボウル14に接続された第2の部材とを含んでもよく、2つ部材は、互いに対して摺動可能である。2つの部材間の摺動可能で連動している舌部及び溝接続を提供することは、ボウル14の回転を最小限に抑えるのに役立ち得る。
【0056】
筐体24内に位置付けられ、かつ/または基部12からボウル14に延在している様々な構成要素を収容するために、筐体24によって画定された管腔が、筐体内の構成要素が延在する1つ以上の開口部を含んでもよい。図4Bの例では、筐体24は、ピストン26が挿入される第1の管腔27、1つ以上の回転防止ロッド25A、25Bが挿入される1つ以上の第2の管腔29A、29B、及び配線が挿入され得る任意の第3の管腔31を画定する。第3の管腔31は、通信ケーブルがボウル14から筐体24の底部及び/または基部12に延在することを可能にする配線溝の形態であってもよい。
【0057】
例えば、以下でより詳細に考察されるように、システム10は、足で作動可能なペダル40を含んでもよい。足で作動可能なペダル40とボウル14(例えば、ボウル筐体内に装着されたコントローラ)との間で信号を送信及び/または受信するために、システム10は、足で作動可能なペダル40からボウルに延在する通信ケーブル(例えば、電気ケーブル、光ケーブル)を含んでもよい。ボウルがその最大上昇位置にあるとき、ケーブルは、足で作動可能なペダルからボウルに到達するのに十分な長さを有し得る。ケーブルは、ボウル14が上昇及び下降すると、コードが延長または格納することを可能にするためのコイル(例えば、コイル状電話コード)を有してもよい。別の例として、ケーブルは、ボウルが上昇及び下降のそれぞれを行うと、ケーブルを筐体から引き出させ、かつ筐体内へと格納させる、格納筐体の外に延在していてもよい。いずれの場合においても、管腔筐体ピストン26とは物理的に分離した配線管腔を有する筐体24を構成することは、ボウル14が上昇及び下降したときに、ケーブルがピストン26によって挟持される、ねじれる、または破壊されることを防止するのに有用であり得る。いくつかの例では、筐体24が分割される異なる管腔が、筐体24の長さ延在する。他の例では、筐体24が管腔を画定するための1つ以上のディバイダ板を含む一方で、1つ以上のディバイダ板の上方及び/または下方の空間は分割されていない。
【0058】
高さ調節機構の特定の構成とは無関係に、高さ調節機構は、24インチ~60インチの範囲の高さでボウルを位置付けるように設計されてもよい。例えば、高さ調節機構は、操作者が、36インチ~48インチの範囲内の高さを含む任意の所望の高さにボウル14の頂面を調節することを可能にし得る。高さ調節機構(例えば、使用される場合、ピストン)は、全移動範囲にわたって少なくとも5キログラム、例えば、7キログラムから15キログラムの重量を持ち上げるのに有効な力を提供してもよい。
【0059】
基部12は、例えば、医療処置室の床上、卓上、カウンタートップ上で、システム10を支持する。図1~3の構成では、基部12は、1つの位置から別の位置に移動可能であるように車輪33上に装着されている。車輪のうちの1つ以上が、基部12がいったん所望の位置に位置付けられると動くことを防止するように係止可能であってもよい。他の例では、基部12は、車輪33を含まない。さらに、基部12は、ボウル14から物理的に分離され、筐体24及びピストン26を介してボウル14に接続されているように例示されているが、他の例では、ボウル14及び基部12は、一緒に物理的に統合して一体構造を形成してもよい。したがって、基部12が、ボウル14から物理的に分離した構造である必要がないが、支持表面上に位置するボウル構造の一部分であってもよいことを理解されたい。したがって、基部12は、外向きに延在するスポークを有して構成される必要はないが、ボウル14の基部を形成する任意のタイプの支持構造であってもよい。いくつかの例では、システム10は、基部12を含まなくてもよい。
【0060】
ボウル14内に配置された外科用流体の温度を制御する熱処理デバイスを含むシステム10に電力供給するために、システムは、配電線/壁電源にプラグを差し込む電源コードを有してもよい。使用していないときの電源コードを管理するために、図1~3のシステム10は、コードラップ構造を含む。具体的には、図示されたシステムは、それに巻き付く電源コードを受容するように構成された一対の長手方向に離間したフック30を含む。他の構成で、システム10は、電源コードを電源コード保持チャンバ内に自動的に格納する、バネ荷重格納デバイスを含むことができる。システム10に壁電源の電力を供給するために電源コードを使用することに加えて、またはその代わりに、システムは、内部バッテリを含んでシステムの機能に電力供給してもよい。そのように構成された場合、再充電可能及び/または交換可能であってもなくてもよい1つ以上の内部バッテリが提供され得る。使用時、バッテリは、システム10に電力供給するための一次電源であってもよく、または代わりに、主電源(例えば、壁電源)が故障した場合にバックアップ電源として機能してもよい。
【0061】
システム10が世界全体を通して異なる地理的領域に展開され得るため、システムは、異なる電源で動作するための回路を含んでもよい。例えば、システムは、一部の国で110ボルトの電気で、かつ他の国では220ボルトの電気で動作し得る。システムが展開され得る現地国の壁コンセントから提供され得る任意の電圧で動作することができる汎用デバイスとしてシステム10を構成するために、システムは、適切な電気回路を含み得る。いくつかの例では、システム10は、壁コンセントから受信されたその電圧を、例えば、その中の熱処理デバイスを含むシステム10を操作するための適切な電圧まで上げる、または下げる変圧器を含む。他の例では、システム10は、デバイスが接続される壁コンセントからの電圧を検出し、デバイスの電気的動作を制御するための制御信号を提供する、電圧感知集積回路を含んでもよい。集積回路からの制御信号は、1つ以上の電気経路を開放または閉鎖させ得る。例えば、集積回路が高電圧(例えば、220V)を検出したとき、電気は、熱処理デバイスに並列電気経路で供給されてもよい。対照的に、集積回路がより低い電圧(例えば、110V)を検出したとき、電気は、熱処理デバイスに直列電気経路で供給されてもよい。したがって、システム10及びその中の熱処理デバイスは、変圧器を必要とすることなく、または変圧器を含むことなく、供給された任意の電圧で動作することができる。変圧器がないと、変圧器が含まれているときと比較して、システムの重量を大幅に低減することができる。
【0062】
使用中、臨床医は、医療処置中に続いて外科用流体を使用することに備えて、新鮮な滅菌した外科用流体をボウル14に分注してもよい。外科用流体は、ボウル14に直接分注され得るが、臨床医は、外科用流体をドレープ付きボウルに分注する前に滅菌ドレープをボウル14に挿入してもよい。滅菌ドレープは、外科用流体及び他の滅菌医療成分が接触することができる滅菌野を作る、使い捨てライナーであってもよい。ドレープは、滅菌野を非滅菌野から分離することができる。
【0063】
使用される場合、使い捨てドレープは、外科用流体に対して不浸透性であり、ボウル14の壁に適合するのに十分可撓性である物質から作製されてもよい。ドレープは、嵌合であっても、または非嵌合であってもよい。嵌合ドレープは、ドレープがボウル14の輪郭に形成される(例えば、ボウルのサイズ及び/または形状と一致する)ように構築され得る。非嵌合ドレープは、平坦またはプリーツ付きであってもよく、ボウル14上に配置されるのに十分な長さを有してもよい。いずれの場合においても、ドレープは、ボウルの壁に適合するようにボウル14内に配置されてもよい。いくつかの例では、ドレープはまた、ボウル14の両側の上方に延在し、例えば、筐体24に平行に垂れ下がる。加えて、いくつかの例では、ドレープは、1つ以上の他の収容容器空洞との流体連通から分離された1つ以上の収容容器空洞を作る、内部パーティション(複数可)またはディバイダ(複数可)を有してもよい。そのように構成された場合、ドレープは、ボウル14の単一の流体空洞を複数の流体空洞に変換することができる。
【0064】
ボウル14と共に使用される使い捨てドレープは、正常な使用中に破断及び穿刺に抵抗するのに十分であるが、ドレープを通る効率的な熱伝達を可能にするのに十分に薄くもある、厚さを有し得る。使い捨てドレープは、任意の好適な材料から作製され得るが、いくつかの例では、ドレープは、ポリマー材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン)から作製される。ドレープ(またはその一部分)は、操作者がドレープによって被覆された特徴を見ることを可能にするために透明または半透明であってもよい。
【0065】
1つの特定の用途において、システム10及びボウル14と共に使用される使い捨てドレープは、熱成形されたポリマードレープである。熱成形されたドレープは、プラスチックシートが柔軟になる温度にプラスチックシートを加熱し、次いで、プラスチックシートをボウル14の寸法(例えば、サイズ及び形状)を有する金型に適合させることによって形成され得る。冷却後、熱成形されたドレープは、金型の形状、それに応じてボウル14の形状を保持する。使用されたプラスチックシートの厚さに応じて、得られる熱成形されたドレープは、剛性または半剛性であってもよい。例えば、半剛性ドレープは、ボウル14のサイズ及び形状プロファイルを維持してもよいが、ドレープの屈曲及び曲げを可能にする柔軟性を有してもよい。熱成形されたドレープは、単純な可撓性プラスチックシートドレープよりも臨床医にとってより強力かつより頑丈に思われ得、したがって、穿刺に対する明らかな抵抗のため望ましくあり得る。
【0066】
上記で簡潔に述べられたように、システム10と共に使用されるドレープは、ドレープを識別する機械可読情報を含んでもよい。ドレープがボウル14上に配置されたとき、機械可読情報は、ドレープがシステムと共に使用するのに好適であるかを判定するために、システム10のリーダによって読み取られ得る。これは、適切な強度または熱抵抗特徴を有していないドレープなどの不適切なドレープが、システム10上で使用されることを防止することができる。例えば、ドレープは、ドレープがシステム10との使用に関して承認されているかを判定するために、光または電磁リーダによって読み取られ得る情報を含んでもよい。
【0067】
この例に従ったいくつかの構成では、ドレープは、機械可読情報をコード化するタグを含む。タグは、ドレープの表面に接着されてもよく、またはドレープ内に埋め込まれてもよい(例えば、ポリマー材料の異なる層間に密封される)。タグは、コードまたは製造番号(例えば、ロットまたはユニット番号)、製造業者の名前、製造日などの、ドレープを識別する情報を含むことができる。いくつかの構成で、タグは、リーダと物理的に接触することなく、タグをシステム10のリーダに近接させることによって情報が読み取られ得る、非接触タグとして構成されている。これは、臨床医がタグのさらなる配置の必要なく、単にボウル14内にドレープを挿入することによって、タグを対応するリーダにごく近接して位置付けることを可能にするのに役立ち得る。非接触リーダとの使用に好適な任意のタイプのタグが使用され得るが、いくつかの例では、システム10と共に使用されるドレープは、無線周波数識別(RFID)タグまたは近距離無線通信(NFC)タグを含む。
【0068】
図5は、図1~3のシステム10と共に使用され得る例示的なドレープ35の図である。例示された例では、ドレープ35は、ボウル14に挿入され、ボウルのサイズ及び形状に適合する剛性または半剛性のボウル部分32を含む。ボウル部分32は、ボウル14の縁部の少なくとも一部分の周囲及び上に延在し、例えば、ドレープがボウルの周縁部上でスナップ留めまたは係止することを可能にする、周縁部34を有する。異なる例では、周縁部34は、ボウル14の縁部上で摩擦嵌合されてもよいか、またはボウルの縁部上もしくは中で係止する機械的係合特徴を含んでもよく、ドレープ35がボウル14から不注意に取り外されることを防止する。臨床医がシステム10を見て、システム10と相互作用することを可能にするために、ドレープ35は、ユーザインターフェース16及びディスプレイ18上に位置付けられるように構成された物理的切り欠きまたは透明窓37を含んでもよい。
【0069】
加えて、図5の例では、ドレープ35は、スカート36と、ドレープ35を識別する情報を含むタグ38とをさらに含む。スカート36は、周縁部34に接続され、ボウル14の縁部上から垂れ下がる。スカート36は、熱成形されたボウル部分32に接合された可撓性プラスチックなどの可撓性材料から形成されてもよい。タグ38は、機械可読情報(例えば、タグ38の一部であるコンピュータ可読メモリ上でコード化された)を含むことができる。タグ38は、ドレープがボウル14上に配置されたとき、タグがその情報をシステム10の対応するリーダによって読み取られるために十分近接しているように、ドレープ35上に位置付けられる。図5は、本開示に従ったドレープの1つの例示的な構成を示しているが、ドレープの他の構成が本明細書に記載されるように使用され得、本開示がこの点において限定されないことを理解されたい。
【0070】
図1~3のシステム10をさらに参照すると、例示的な熱処理デバイスは、足で作動可能なペダル40を含む。一般的に、医療処置は、様々な滅菌した及び非滅菌の医療関係者の補助で、手術室または他の医療施設において実施される。滅菌した関係者は、彼らが滅菌野を汚染することなくその滅菌野における物体と相互作用することを可能にする必要な予防策を取った関係者を指し、一方で、非滅菌の関係者は、それらの予防策を取っておらず、滅菌野を汚染する可能性がある関係者を指す。熱処理システム10は、医療処置中に滅菌野で滅菌外科用流体を処置するため、滅菌した関係者は、システムを操作するために一般的に必要とされる。
【0071】
足で作動可能なペダル40を有する熱処理システム10を構成することは、システムと相互作用するための代替機構を提供するのに有用であり得る。いくつかの例では、足で作動可能なペダル40は、システム10に情報を入力するために、ユーザインターフェース16に加えて、またはその代わりに、臨床医によって使用され得るユーザ入力として機能し得る。例えば、臨床医は、足で作動可能なペダル40を押して、新鮮な流体がボウル14に追加されていること、非外科用成分がシステム10から追加または除去されていることなどの指示を、システム10に提供し得る。システム10の構成に応じて、足で作動可能なペダル40は、上述のように、ユーザインターフェース16を使用しても実施され得る、システムに情報を伝達するための代替入力を提供し得る。他の構成で、足で作動可能なペダル40は、ユーザインターフェース16を通して提供することができない情報をシステム10に伝達するために使用されてもよい。
【0072】
ペダル40の作動(例えば、足でペダルを下向きに押すことまたはペダルを上向きに引くこと)は、臨床医が手を使用してユーザインターフェース16と相互作用する必要なく、情報をシステム10に伝達することができる(ユーザインターフェース16がユーザ入力からの物理的な接触を介して入力を受信するように構成された場合)。足で作動可能なペダル40を有するシステム10を構成することは、様々な理由のために有用であり得る。例えば、滅菌した関係者は、手が占領されているため、ユーザインターフェースに関与することが可能ではない場合がある。これらの状況において、滅菌した関係者は、足で作動可能なペダル40に関与してシステム10と相互作用し得る。別の例として、非滅菌の関係者は、システム10と相互作用すること、例えば、ボウル14に新鮮な外科用流体を追加することを任される場合がある。これらの非滅菌の関係者は、必ずしも滅菌プロトコルを受けているわけではないため、彼らは、ユーザインターフェース16を含む滅菌野における特徴と相互作用することを許可されない場合がある。しかしながら、足で作動可能なペダル40は、非滅菌野にあってもよいため(例えば、ドレープ35の外側)、非滅菌の関係者は、ペダルを使用してシステム10と相互作用し得る。例えば、ボウル14に新鮮な外科用流体を追加するとき、関係者は、1回目に足で作動可能なペダル40を押して、外科用流体がボウルに追加されることを示し得る。ボウル14に外科用流体を追加した後、関係者は、2回目に足で作動可能なペダル40を押して、外科用流体がボウルに追加されたことを示し得る。
【0073】
ペダル40が作動可能なものとして記載されているが、足で作動可能なペダルと見なされるために、ペダル全体が動くか、または作動する必要はない。例えば、ペダル40は、トランスデューサまたは他のスイッチを有してもよく、その一部分が、操作者が物理的にペダル40を押すことに応答して動く。操作者の足が接触するペダル40の外部部分は、動いても動かなくてもよい。いずれの場合においても、ペダル40は、操作者がペダル40を押すことに応答してシステム10のコントローラに制御信号を送信し得る。
【0074】
図6は、すでに記載された基部12と、ボウル14と、ユーザインターフェース16と、ディスプレイ18とを含む、熱処理システム10の例示的な構成の構成要素を示す機能ブロック図である。例示された例のシステム10はまた、コントローラ42と、体積測定デバイス44と、熱処理デバイス46と、温度センサ48と、非接触リーダ50とを含む。コントローラ42は、ユーザインターフェース16、ディスプレイ18、足で作動可能なペダル40、体積測定デバイス44、熱処理デバイス46、温度センサ48、及び非接触リーダ50に通信可能に接続されている。コントローラ42は、有線または無線接続を介して、ユーザインターフェース16、ディスプレイ18、足で作動可能なペダル40、体積測定デバイス44、熱処理デバイス46、温度センサ48、及び非接触リーダ50に通信信号を送信し、かつ/またはそれらから通信信号を受信することができ、図6の例では有線接続として示される。
【0075】
コントローラ42は、プロセッサ52とメモリ54とを含む。メモリ54は、コントローラ42を実行するためのソフトウェアを記憶し、また、例えば、体積測定デバイス44、温度センサ48、及び非接触リーダ50から、プロセッサ52によって生成または受信されたデータを記憶してもよい。プロセッサ52は、メモリ54に記憶されたソフトウェアを実行して、システム10の動作を管理する。
【0076】
図6のシステム10はまた、システムの様々な構成要素に動作電力を送達するための電源56を含む。電源56は、交換可能または再充電可能なバッテリであってもよい。加えて、またはあるいは、電源56は、外部電源から電力を受信する電源入口であってもよい。例えば、電源56は、システム10に電力を送達するために壁コンセントにプラグを差し込むコードに接続された電源入口であってもよい。外部電源から受信された電力は、システム10の含まれるバッテリを再充電してもよく、かつ/またはシステムの様々な構成要素に直接電力供給してもよい。
【0077】
システム10の様々な構成要素は、ボウル14を包囲及び画定する筐体またはシェル58内に収容されるものとして示されている。筐体またはシェル58は、ボウル14を形成する表面と筐体の外壁表面との間にシステム10の様々な構成要素を収容することができる。そのように構成された場合、図6に示されるシステム10の電気構成要素は、高さ調整機構がボウル14の垂直高さを調節したとき、筐体58と共に上昇及び下降してもよい。他の構成で、図6に示される電気構成要素のうちのいずれかまたは全てが、筐体24及び/または基部12に収容されてもよい。
【0078】
動作中、コントローラ42は、メモリ54に記憶された情報と、ユーザインターフェース16を介して操作者から受信された命令と関連付けられた命令を用いて、システム10を制御することができる。コントローラ42によって実行される命令は、例えば、熱処理デバイス46を制御して、ボウル14内の外科用流体を、ユーザインターフェース16を使用して操作者によって設定された目標温度に加熱または冷却してもよい。コントローラ42によって実行される命令は、例えば、体積測定デバイス44からのフィードバックに基づき、医療処置中にボウル14から除去された外科用流体の量を決定してもよく、ユーザインターフェース16及び/またはディスプレイ18を制御して、処置中に使用された流体の量のグラフィック及び/またはテキスト指示を表示してもよい。いくつかの例では、コントローラ42によって実行される命令は、例えば、非接触リーダ50からのフィードバックに基づき、ボウル14上に配置されたドレープ(例えば、図5からのドレープ35)がシステム10と使用されることを承認されているかを判定し、さらにユーザインターフェース16及び/またはディスプレイ18を制御して、ドレープが承認されているかどうかの指示を出力する。
【0079】
コントローラ42は、熱処理デバイス46と通信して、ボウル14内に配置された外科用物質の温度を制御する。熱処理デバイス46は、ボウル14に熱的に結合され、ボウル及びその中の任意の内容物の温度を調節するように動作可能である。熱処理デバイス46は、制御可能な温度出力を生成する任意のデバイスを使用して実装され得る。いくつかの例では、熱処理デバイス46は、ボウル14及びその中の任意の内容物を冷却して(例えば、周囲温度に対して)、ボウル内に配置された外科用流体から半凍結スラッシュを生成することができる。他の例では、熱処理デバイス46は、ボウル14及びその中に任意の内容物を加熱して(例えば、周囲温度に対して)、温められた外科用流体を生成することができる。
【0080】
熱処理デバイスが加温デバイスとして実装された場合、熱処理デバイスは、電気抵抗を介して熱を生成してもよい。電気抵抗によって生成された熱は、伝導、対流、及び/または放射線によってボウル14及びその中の任意の内容物の中に伝達され得る。例えば、電気抵抗を介して熱を生成する配線は、例えば、筐体58内のボウル14と熱的及び/または物理的に接触して位置付けられてもよい。熱処理デバイス46によって生成された熱は、伝導を介してボウル14及びその中に任意の内容物の中に伝達され得る。
【0081】
他の例では、本開示に従ったシステム10は、熱処理デバイス46を含まない。これらの構成で、システム10は、ボウル14内の内容物を熱的に調節することなく、ボウル14から除去された体積を追跡し、かつ/または重量測定を提供するように構成されてもよい。例えば、そのような構成のシステム10は、患者から抽出された組織試料などの様々な物体の重量を測定するために利用され得る重量測定デバイスを提供してもよい。システム10は、本明細書に記載される特徴及び機能を有するが、そのような構成において熱調節特徴及び機能を有さず構成されてもよい。
【0082】
一例として、熱処理デバイス46は、ボウル14と熱的に連通して位置付けられたフィルムヒータであってもよい。フィルムヒータは、薄膜ヒータまたは厚膜ヒータであってもよい。薄膜ヒータにおいて、抵抗材料の層は、基板(例えば、可撓性ポリマーシート)の表面上に真空蒸着されてもよく、その後、導電性金属の薄層が抵抗材料の頂部に蒸着される。得られるフィルム積層体の部分は、金属導体のパターンにエッチングされ得る。厚膜ヒータにおいて、結合剤、単体、及び金属酸化物の混合物であるペーストが、基板上に蒸着され(例えば、基板上にプリントされ)、次いで炉内で燃焼されてもよい。薄膜ヒータは、5ミリメートル未満、例えば、2ミリメートル未満、1ミリメートル未満、0.5ミリメートル未満、または0.25ミリメートル未満の厚さを有してもよい。
【0083】
熱処理デバイス46の特定の構成とは無関係に、熱処理デバイスは、熱エネルギーをボウル14及びその任意の内容物に/から伝達するために、筐体58の内側に位置付けられてもよい。例えば、熱処理デバイス46は、筐体58の内側に、かつボウル14の基部20及び/または側壁(複数可)22と接触して位置付けられ、これにより、熱エネルギーは、熱伝達デバイスの動作中に基部及び/または側壁を通る伝導を介して伝達される。ボウル14は、熱処理デバイス46からボウルの壁を通したボウル14の内側の外科用流体への熱エネルギーの効率的な伝導を促進するために、アルミニウムまたはステンレス鋼などの熱伝導性金属から製造され得る。
【0084】
熱処理デバイス46がフィルムヒータとして実装された場合、ボウル14内の任意の内容物の中に熱エネルギーを伝達するためにフィルムを位置付けるために、フィルムは、基部20及び/または側壁(複数可)22の少なくとも一部分に巻き付けられてもよい。例えば、フィルムヒータは、ボウル14の基部20を実質的に中心にしてもよく、基部の大部分(例えば、基部領域の50パーセント超)または実質的に全体を被覆してもよい。フィルムヒータは、ボウル14の側壁(複数可)22を少なくとも部分的に、いくつかの例では完全に包んでもよい。フィルムヒータによって被覆される基部20及び/または側壁(複数可)22の表面積の量は、例えば、ボウル14のサイズ及びフィルムヒータの加熱容量に応じて異なり得る。いくつかの例では、表面積の少なくとも50パーセントなど、ボウル14の累積外側表面積の少なくとも25パーセント(基部20及び側壁(複数可)22)がフィルムヒータで被覆されている。
【0085】
ボウル14及び/またはボウル内の内容物の温度を監視するために、図6の例のシステム10は、温度センサ48を含む。温度センサ48は、ボウル14の温度及び/またはその内容物の温度を感知することができる。様々な例では、温度センサ48は、熱電対、バイメタル機械温度センサ、電気抵抗温度センサ、光温度センサ、または任意の他の好適なタイプの温度センサであってもよい。温度センサ48は、感知された温度の大きさを表す信号を生成し、生成された信号をコントローラ42に通信することができる。コントローラ42は、周期的な間隔で、または連続的に、センサによって測定された温度を示す温度センサ48からの信号を受信してもよい。したがって、特定の時間に温度センサ48から測定情報を受信するコントローラ42の考察は、コントローラが他の時間に測定情報を受信することができないか、または受信しないということを示すよう意図されていない。
【0086】
いくつかの例では、温度センサ48は、ボウル14の外部表面上(例えば、外科用流体から基部20または側壁(複数可)22の反対側上)に位置付けられ、壁表面を通して流体の温度を測定するように構成されている。しかしながら、他の例では、ボウル14は、ボウルの壁表面を通して間接的によりもむしろ、ボウル内で直接流体の温度を測定するために、温度センサ48が延在するポートを含んでもよい。これは、例えば、温度測定がボウルの壁表面を通して間接的に行われる場合よりも、熱処理デバイス46をより正確に制御するために、ボウル14の内容物のより正確な温度測定を可能にし得る。
【0087】
図10は、温度センサ48の例示的な配置を示すボウル14の上面図である。例示された例では、ボウル14は、ボウルの壁表面を通って延在する開口部49を画定する(例えば、例示された構成の基部20において実質的に中心にある)。温度センサ48は、開口部49を通って延在し、例えば、温度センサと周囲の壁表面との間のゴムガスケットまたは他のポリマー材料を用いて開口部内で密封されてもよい。温度センサ48は、温度センサとボウルの残りの部分との間に断熱材を位置付けることによって、ボウル14の残りの部分から熱的に隔離されてもよい。壁の温度がボウル内の流体の温度とは異なり得るため、例えば、フィルムヒータがボウル14の壁表面に巻き付けられている場合、この構成が有用であり得る。熱がボウルの壁に送達され、かつ/またはボウル内の流体がボウルと平衡しているとき、ボウルは、ボウル内の流体とは異なる温度であり得る。したがって、温度センサ48をボウル14内の開口部49を通して延在させ、それをボウルの残りの部分から熱的に隔離することは、温度測定がボウルの壁を通して行われる場合よりもボウル内の流体の実際の温度のより正確な測定を提供することができる。
【0088】
システム10の動作中、臨床医は、ユーザインターフェース16に関与して、ボウル14及びその中の内容物が熱処理デバイス46を使用して熱的に調節されるよう意図される目標温度を設定してもよい。例えば、ユーザインターフェース16は、臨床医が相互作用して目標温度を設定することができる温度制御を含むことができる。温度制御は、ノブ、スイッチ、タッチスクリーンの相互作用可能部分、または臨床医が目標温度を設定するためのコマンドを発行することができる他のユーザ相互作用特徴であってもよい。ユーザインターフェース16を介して操作者から目標または設定温度を受信することに応答して、コントローラ42は、異なるアクションを実行することができる。コントローラ42は、ユーザインターフェース16と関連するディスプレイ及び/またはディスプレイ18を制御して、操作者から受信された目標温度を表示してもよい。加えて、またはあるいは、コントローラ42は、温度センサ48からの温度信号が、測定された温度が目標温度に等しくなるまで、熱処理デバイス46を制御して、ボウル14及びその中の内容物の温度を調節することができる。
【0089】
いくつかの例では、熱処理デバイス46は、ボウル14内の外科用流体を、華氏95度(35℃)~華氏105度(40.6℃)などの華氏90度(32.2℃)~華氏120度(48.9℃)の範囲内の温度など、患者の正常な体温に近い温度に加熱してもよい。最初にボウルに導入された流体は、周囲温度(例えば、華氏60度(15.6℃)~華氏75度(23.9℃))、ボウル14が維持するよう意図された昇温、または周囲温度未満でさえあってもよい。コントローラ42は、ユーザが華氏100度(37.8℃)超または華氏110度(43.3℃)超など、閾値レベルを上回る温度に目標温度を設定しようとした場合、ユーザインターフェース16上のディスプレイを制御してもよい。いくつかのそのような用途では、コントローラ42は、ユーザがより高温を設定することを禁止してもよく、熱処理デバイス46を制御して、閾値を超える加熱を防止してもよい。他の構成では、コントローラ42は、ユーザがユーザインターフェース16を通して提供された高温警告を承認または受信し、閾値を超えて、例えば、最大温度まで目標温度を上昇させることを可能にしてもよい。最大温度は、熱処理デバイス46がボウル14内の流体を加熱することができる最大温度であってもよく、または安全上の理由からコントローラ42によって記憶されたより低い温度であってもよい。例えば、最大温度は、華氏120度(48.9℃)以下の温度などの華氏130度(54.4℃)以下の温度として設定されてもよい。
【0090】
いくつかの例では、コントローラがボウル14内に物質が存在しないと判定した場合、コントローラ42は、熱処理デバイス46の動作を防止または終了する。熱処理デバイス46を起動する前に、または熱処理デバイスを起動した後の適切な期間内に、外科用流体がボウル14に追加されない場合、コントローラ42は、デバイスの動作を防止または終了してもよい。例えば、熱処理デバイス46がボウル14を加熱するように構成されている場合、コントローラ42は、外科用流体がボウル内に存在しないとき、または不十分な量の外科用流体がボウル内に存在するとき、ヒータがボウルを乾式加熱することを防止することができる。これは、ボウル14及び/または熱処理デバイス46の損傷を防止するのに役立つことができる。
【0091】
いくつかの例では、コントローラ42は、体積測定デバイス44からのフィードバックに基づき、十分な量の物質(例えば、外科用流体)がボウル14に存在するかを判定する。コントローラ42は、体積測定デバイス44から受信された信号に基づき、ボウル14内に存在する物質の体積を決定することができる。コントローラ42は、決定された体積を、メモリ54に記憶された情報、例えば、熱処理デバイス46の動作を可能にするためにボウル14内に存在することが必要である物質の閾値量を示す情報と比較することができる。コントローラ42は、閾値量の物質がボウル14内に存在すると判定するまで、熱処理デバイス46が起動することを防止することができ、かつ/または例えば、閾値量の物質が、熱処理デバイスを起動させてからある特定の期間内にボウルに追加されていない場合、熱処理デバイス46の動作を終了することができる。
【0092】
他の例では、コントローラ42は、温度センサ48からのフィードバックに基づき、十分な量の物質(例えば、外科用流体)がボウル14に存在するかを間接的に判定する。ユーザインターフェース16を介して操作者から目標温度を受信すると、コントローラ42は、熱処理デバイス46を起動し、次いで、温度センサ48からのフィードバックに基づきボウル14の温度を監視してもよい。例えば、コントローラ42は、熱処理デバイス46が起動された時間からボウル14の温度を監視し、経時的なボウルの前記温度の変化を示す温度プロファイルを生成してもよい。コントローラ42は、熱処理デバイス46の動作中に生成された温度プロファイルをメモリ54に記憶された温度プロファイルと比較することができる。メモリ54に記憶された温度プロファイルは、適切な(例えば、閾値)量の物質がボウル内に存在するとき、経時的なボウルの温度の予測された変化を表してもよい。コントローラ42が、熱処理デバイス46の動作中に生成された温度プロファイルが閾値量を超えて(例えば、1パーセント以上、5パーセント以上、10パーセント以上)、メモリ54に記憶された温度プロファイルから逸脱すると判定した場合、コントローラ42は、熱処理デバイス46の動作を終了することができる。
【0093】
体積測定デバイス44が計量デバイスとして実装されている例などのいくつかの例では、コントローラ42は、ボウル14及びその中の任意の内容物の重量(例えば、計量デバイスを介した)、ならびに熱処理デバイス46の動作中に生成された温度プロファイル(例えば、温度センサ48によって測定されるような)の両方を監視して、ボウル内の内容物を決定する。例えば、ユーザインターフェース16を介して、熱調節を開始するという指示を受信すると、コントローラ42は、ボウル14及びその中の内容物の重量を検出し、熱処理デバイス46が起動されたときからのボウル14の温度を示すデータをさらに受信し、それによって、経時的なボウルの温度の変化を示す温度プロファイルを提供してもよい。コントローラ42がボウル14内で重量を検出するが、動作中に生成された温度プロファイルがメモリに記憶された温度プロファイルから逸脱すると判定した場合、コントローラは、確認されていないツールがボウル14内に存在すると判定し得る。それに応じて、コントローラ42は、ディスプレイを制御するか、またはツールを取り外すようにユーザに命令するための他のユーザ出力(例えば、可聴、視覚メッセージ)を提供することによって応答してもよい。コントローラ42は、例えば、ボウル14及びその中の内容物の重量変化を検出するコントローラ42によって確認されるように、ユーザがツールを取り外さない限り、熱調節の継続を禁止してもしなくてもよい。
【0094】
別の例として、コントローラ42がボウル14内で重量を検出するが、ユーザインターフェース16を介して、流体がボウル内にあることになっていたという指示を受信しなかった場合、コントローラは、動作中に生成された温度プロファイルを、流体の加熱プロファイルに対応するメモリに記憶された温度プロファイルとさらに比較してもよい。コントローラ42が、生成された温度プロファイルが記憶された温度プロファイルと実質的に一致すると判定した場合、コントローラは、ボウル14内で測定された初期重量が、ユーザインターフェース16を通して確認されなかった流体であると判定し得る。そのような状況では、コントローラ42は、流体重量/体積としてボウル14の内容物に対応する測定された重量を、コントローラと関連付けられたメモリに記憶してもよい。コントローラは、続いて、ボウルからの流体の後続の追加または除去を追跡するとき、この重量/体積を含んでもよく、例えば、操作者が、流体が初期にボウル14に追加されているときを指示しそこなった場合でさえ、ボウルから引き出された流体の総量が正確に追跡されることを確実にするのに役立つ。
【0095】
したがって、いくつかの構成で、コントローラ42は、ボウル14及びその内容物の重量、ならびに熱調節中に生成されたボウルの温度プロファイルを検出することができる。コントローラ42は、重量及び/または温度プロファイルをメモリに記憶された情報と比較して、ボウル内に空気しか存在しないか、ツールが存在するか、及び/またはボウル内に流体が存在するかなど、ボウル14内の内容物を決定することができる。コントローラ42は、ボウルの決定された内容物に基づきユーザ出力を提供することができる。
【0096】
測定された温度プロファイルに基づき熱処理デバイス46を制御することに加えて、またはその代わりに、コントローラ42は、体積測定デバイス44及び温度センサ48から受信された情報に基づき、熱処理デバイス46による加熱速度を制御してもよい。例えば、体積測定デバイス44が計量デバイスとして実装された場合、コントローラ42は、ボウル14及びその中の任意の内容物(例えば、外科用流体)に関する情報を受信することができる。コントローラ42は、温度センサ48から、ボウル14内の任意の成分の温度に関する情報をさらに受信することができる。コントローラ42は、受信された重量及び温度情報に基づき、熱処理デバイス46によって送達される加熱速度、したがって熱エネルギーの量を制御することができる。
【0097】
動作中、熱処理デバイス46は、ボウル内に比較的大量の流体が存在するときよりも、ボウル内に比較的少量の流体が存在するときに、ボウル14内の流体の温度を開始温度から目標温度までより急速に上昇させることができる。ボウル14内の流体が目標温度に達するときと、温度センサ48がその目標温度を測定するときとの間の熱平衡時間差が存在し得るため、熱処理デバイス46は、ボウル内の流体を過熱する傾向を有する可能性がある。すなわち、コントローラ42が、温度センサ48から目標温度が達成されたという信号を受信し、熱処理デバイス46を制御して流体に熱を送達することを停止することができる前に、ボウル14内の流体は、目標または設定温度を上回る温度まで加熱される可能性がある。この温度の過熱現象は、ボウル14内に比較的少量の流体が配置され、流体が比較的急速に加熱する場合に、より顕著であり得る。
【0098】
より正確な加熱のために、ボウル14内の流体が加熱される速度を制御するのに役立つために、コントローラ42は、ボウル内の流体の量に基づき、熱処理デバイス46が熱を送達する速度を調節してもよい。図11は、熱処理デバイス46によってボウル14及びその中の任意の内容物に送達される熱エネルギーの量を制御するために、システム10が従い得る例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【0099】
図11の例では、コントローラ42は、ユーザインターフェース16を介してユーザから目標温度情報を受信する(250)。上述のように、ユーザは、ユーザインターフェースとの物理的接触、可聴コマンド、またはユーザインターフェースによって検出される非接触コマンドなどの様々な異なる通信媒体を使用して、ユーザインターフェース16と相互作用してもよい。目標温度情報は、ボウル14内の流体が加熱される目標温度を指定してもよい。
【0100】
コントローラ42はまた、体積測定デバイス44からボウル14内の流体の量に関する情報を受信する(252)。例えば、体積測定デバイス44が計量デバイスとして実装された場合、コントローラ42は、ボウル14及びその中の任意の内容物に関する情報を受信してもよい。コントローラ42が、ボウル14内に流体が存在しないか、またはボウル内に不十分な量の流体が存在すると判定した場合、コントローラは、熱処理デバイス46を起動させなくてもよいが、代わりに、ユーザインターフェース16のディスプレイを制御して、ボウルに流体を追加するという命令をユーザに提供してもよい。いずれの場合においても、コントローラ42は、ボウル14内の流体の量に関する情報を分析し、その情報を使用して熱処理デバイス46を制御してもよい。
【0101】
メモリに記憶された情報を参照して、コントローラ42は、ボウル14内の流体の量が比較的小さいか、またはボウル内により大量の流体が存在するかを判定し、流体の量に基づき加熱速度をさらに決定してもよい(254)。例えば、コントローラ42は、ボウル14内の流体の量を示す重量測定情報を、コントローラと関連付けられたメモリに記憶された1つ以上の閾値重量と比較してもよい。コントローラ42が、ボウル内の流体の重量が閾値重量よりも大きいと判定した場合、コントローラは、熱処理デバイス46を制御して、第1の加熱速度でボウル及びその中の流体を加熱してもよい。対照的に、コントローラ42が、ボウル内の流体の重量が閾値未満であると判定した場合、コントローラは、熱処理デバイス46を制御して、第1の加熱速度未満の第2の加熱速度でボウル及びその中の任意の流体を加熱してもよい。より多くの熱エネルギーが、第2の加熱速度よりも第1の加熱速度中にボウル14に送達される。
【0102】
熱処理デバイス46によって送達される加熱速度を設定するために使用される閾値(複数可)は、例えば、デバイスがボウル14のサイズ内で供給することができる熱エネルギーの量に応じて変動し得る。いくつかの例では、閾値重量は、5kg未満の重量、例えば、2kg未満の重量または1000g未満の重量である。例えば、閾値は、500g以下であってもよい。加えて、またはあるいは、閾値は、ボウル14に追加され得る流体の最大量に基づき確立されてもよい。例えば、閾値は、ボウルに追加され得る流体の最大量の50%未満、例えば、最大量の30%未満である、ボウル14内の流体の量に対応してもよい。例えば、閾値は、ボウルに追加され得る流体の最大量の2%~30%、例えば、最大量の5%~20%の範囲のボウル14内の流体の量に対応する値であってもよい。これらの範囲の下端は、システム10がそのように構成された場合、熱処理デバイス46がそれ未満では起動しない流体の量に対応してもよい。ボウル14の最大体積が5リットルなどの10リットル未満である例では、閾値は、0.25リットル~1リットルの範囲内の値であってもよい。これは、流体が1リットル当たり1Kgの密度を有すると仮定された場合、250グラム~1キログラムの重量値に対応し得る。
【0103】
いくつかの例では、熱処理デバイス46によって送達される加熱速度は、熱処理デバイスに送達される電圧または電流を変化させることによって制御される。他の例では、熱処理デバイス46によって送達される加熱速度は、熱処理デバイスのデューティサイクルまたは動作周波数を変化させることによって制御される。例えば、第1の加熱速度は、第2の加熱速度中の動作デューティサイクルよりも大きい熱処理デバイスの動作デューティサイクルに対応し得る。例として、第1の加熱速度に対する熱処理デバイス46の動作デューティサイクルは、100%のデューティサイクルであってもよい。対照的に、第2の加熱速度に対する熱処理デバイス46の動作デューティサイクルは、25%~75%の範囲のデューティサイクルなど、より小さくてもよい。動作デューティサイクルは、オフに循環され、熱エネルギーをボウル14に送達していないこととは対照的に、熱処理デバイス46がアクティブであり、熱エネルギーをボウルに送達している所与の期間中の時間の割合と見なされ得る。熱処理デバイス46は、全出力で動作し、周期的にオン及びオフに循環してデューティサイクルを変化させてもよい。
【0104】
図11をさらに参照して、コントローラ42は、熱処理デバイス46を制御して、ボウル内に存在する流体の量に適切であると判定された加熱速度で、ボウル14及びその中の流体を加熱するように構成されている(256)。コントローラ42は、温度センサ48からボウル14内の流体の測定温度に関する温度測定情報を受信することができる(258)。コントローラ42は、温度センサ48を介して測定された流体の温度が目標温度に達するまで、ボウル内に存在する流体の量に適切であると判定された速度で、ボウル14内の流体に熱を伝達し続けることができる。目標温度に達すると、コントローラ42は、熱処理デバイス46を制御して、ボウル及びその中の流体に熱を伝達することを停止することができる。
【0105】
ボウル内に存在すると判定された流体の量に基づきボウル14に送達される熱の量を制御することは、流体の過熱を防止するのに有用であり得る。いくつかの例では、コントローラ42は、熱処理デバイス46を制御して、温度センサ48からの温度測定情報が、ボウル内の流体が目標温度に近づいていることを示すと、ボウルに加えられる加熱速度を調整するように構成されている。コントローラ42は、ボウルに送達された初期の加熱速度がどのようなものであろうと関係なく、ボウル14に供給される加熱速度を減少させることによって(例えば、漸進的に、段階的変化)、加熱速度を調整してもよい。例えば、コントローラ42が、ボウル14内の流体が目標温度から華氏5度または華氏10度など、目標温度からある特定の度の範囲内のあると判定したとき、コントローラは、流体がある特定の度の範囲に達する前に送達された熱の量と比較して、ボウルに送達される熱の量を低減してもよい。これは、流体が目標温度に近づくにつれて加熱速度を減速させ、過熱を防止するのに役立つことができる。
【0106】
図6のシステム10はまた、体積測定デバイス44を含む。体積測定デバイス44は、直接的または間接的のいずれかでボウル14内に存在する物質(例えば、外科用流体)の体積を測定するように構成されている。体積測定デバイス44は、ボウル内に存在する外科用流体の量に関する体積情報を生成し、その情報をコントローラ42に通信することができる。この情報は、処置中にボウル14から追加及び除去される流体の量を監視し、それに応じて、処置中に消費された外科用の体積を決定するために、コントローラ42によって使用され得る。コントローラ42は、周期的な間隔で、または連続的に、センサによって測定された体積を示す体積測定デバイス44からの信号を受信してもよい。特定の時間に体積測定デバイス44から測定情報を受信するコントローラ42の考察は、コントローラが他の時間に測定情報を受信することができないということを示すよう意図されていない。
【0107】
体積測定デバイス44は、体積が決定され得るボウル14内の流体の量を測定する任意のデバイスを使用して実装され得る。異なる用途において、体積測定デバイス44は、ボウル14及びその中の内容物の質量を測定することによって体積を間接的に測定するロードセル、ボウル内の外科用流体のレベルに基づき上昇及び下降する浮き、ボウル内の体積レベルを検出する光もしくは電気抵抗センサ、またはさらに他のタイプのセンサを使用して実装されてもよい。例えば、ボウル14は、流体がボウルから放出される分注出口を有して構成されてもよい。流体は、配管ラインを介して患者に直接、または次いで流体を患者に運ぶために使用される流体容器(例えば、目盛り付き)に放出されてもよい。分注出口を通過する流体の体積を測定する流量計が提供され得る。別の例として、ボウル14は、流体がボウルに追加されるとその体積を測定する流量計を有して構成されてもよい。ボウルに追加される流体の量は、使用される流体の量を決定するために、ボウル内に残っている流体の量によって数学的に低減され得る。構成とは無関係に、体積測定デバイス44は、電気信号を生成してもよく、その大きさは、ボウル14内に存在し、かつ/またはボウルからの放出される物質の体積に比例している。この信号は、ボウル14内に存在する物質の体積が信号に基づきコントローラ42によって決定され得るという点で、体積情報を含むことができる。
【0108】
体積測定デバイス44が計量デバイスとして実装されている用途において、コントローラ42は、ボウル14内に配置された任意のドレープの重量を減算してボウルの内容物を決定してもよい。例えば、コントローラ42は、ボウル14及び/またはその中に配置されたドレープの風袋重量によって測定された重量を低減してもよく、それは、起動時に測定され得るか、またはコントローラ42と関連するメモリに記憶され得る。別の例として、ボウル14上に配置されたドレープの重量は、ドレープと関連する非接触タグ上に記憶されてもよい。非接触リーダ50は、ドレープがボウル上に配置されているとき、タグからドレープ重量を読み取ってもよく、コントローラ42は、続いてドレープ重量を使用して、測定された重量を減少させることができる。
【0109】
体積測定デバイス44は、ボウル14内に存在する外科用流体の体積を検出するのに好適な位置で、ボウル14の周囲に位置付けられ得る。体積測定デバイス44が位置付けられる特定の位置は、ボウル内に存在する流体の体積を測定するために使用されるデバイスのタイプに応じて異なり得る。例えば、ボウル14内に存在する流体の体積に基づき上昇及び下降する浮きの場合、浮きは、ボウル14内に位置付けられ、浮きの相対位置を検出及び送信する筐体58内のトランスデューサに接続され得る。別の例として、ボウル14及びその内容物の重量を測定するロードセルの場合、ロードセルは、ボウル14の下に位置付けられて(例えば、基部20と接触して)、ボウル及びその内容物の重量を測定してもよい。
【0110】
体積測定デバイス44が計量デバイスとして実装されているとき、計量デバイスは、物体の重量または質量を決定することが可能な任意のタイプの計量スケールを含んでもよい。例えば、計量デバイスは、1つ以上のロードセル、歪みゲージ、バネばかり、分析はかり、圧力式はかり、空気圧式はかり、または物体の重量もしくは質量を測定することが可能な任意の他のデバイスもしくは装置を使用して実装されてもよい。いくつかの例では、計量デバイスは、ボウル及びその内容物の重量を測定するために、ボウル14下に位置付けられた1つ以上のロードビームを備える。例えば、2つ以上のロードセルを有するマルチロードビーム計量デバイスは、ブリッジロードセルとして機能し得る。そのような計量デバイスは、ボウル14及びその中の内容物の重量を得て、アナログ歪み信号を回路基板に提供し得、回路基板は、これらの測定値を条件付け、単一の質量値に変換する。
【0111】
体積測定デバイス44は、ボウル14に対して様々な位置に位置付けられ得るが、図12は、体積測定デバイス44が重量測定デバイスとして実装されている場合の構成要素の例示的な配置を示す。具体的には、図12は、構成要素の例示的な配置を示す図1示されるA-A断面線に沿ったボウル14の分解断面図である。例示された例では、システム10は、ボウル14と、重量測定デバイス44と、熱処理デバイス46とを含む。重量測定デバイス44は、少なくとも1つのロードセルを有して実装されるものとして例示され、ロードセルは、断面図中、ロードセル45A、45Bに関して示される。熱処理デバイス46は、ボウル14の基部20及び側壁22に少なくとも部分的に巻き付けられた薄膜ヒータとして例示される。筐体58は、ボウルの少なくとも1つの側壁22を基部58Bから上向きに囲う、少なくとも1つの側壁58Aを含むものとして示される。
【0112】
加えて、システム10は、第1の面62及び第1の面と反対側の第2の面64を画定する、装着板60を含む。装着板60は、ボウル14に取り付けられ、空気間隙66がボウル内の装着板の間に形成されている。例えば、空気間隙66は、装着板60の第1の面62内のボウル20の底部表面の間に画定されてもよい。重量測定デバイス44は、装着板60の第2の面64上に位置付けられている。したがって、この構成で、装着板は、ボウル14と重量測定デバイス44との間に挿入され、ボウルと重量測定デバイスとの間に空気間隙66がある。
【0113】
ボウル14と重量測定デバイス44との間に空気間隙66を有するシステム10を構成することは、重量測定デバイスを熱処理デバイス46及び/またはボウル14の加熱された内容物から熱的に隔離するのに役立つのに有用であり得る。異なる例では、空気間隙66は、物質を完全に欠いていてもよく、または断熱材で充填されてもよい。いずれの場合においても、ボウル14を重量測定デバイス44から分離することは、較正された異なる動作温度にある重量測定デバイスによって引き起こされる誤った重量測定を低減または排除するのに役立ち得る。これは、例えば、加熱速度などの重量測定値に基づき決定されたデバイス及び制御設定を使用して行われる重量測定の精度を改善するのに役立ち得る。
【0114】
いくつかの例では、空気間隙66は、例えば、熱処理デバイス46が動作しているとき、かつ/またはボウル14が加熱された内容物を含んでいるとき、重量測定デバイス44の温度が周囲温度を上回って上昇する程度を制限するようにサイズ決定されている。例えば、空気間隙66は、ボウル内の任意の内容物が華氏90度(32.2℃)~華氏120度(48.9℃)の範囲の温度に加熱されたときに、重量測定デバイス44が周囲温度よりも摂氏5度超高い温度に達することを防止するのに効果的なサイズを有してもよい。いくつかの例では、空気間隙66は、2cm未満など、5cm未満であってもよい。一例として、空気間隙66は、0.1cm~10cmの範囲であってもよい。
【0115】
装着板60は、多くの異なる位置においてボウル14に取り付けられてもよい。一例では、装着板60は、上に延在し、側壁22がボウル14の頂部において湾曲するところに形成されたリップの下に固定して取り付けられてもよい。別の例として、装着板60は、図12に示されるように、ボウル14の基部20の下に固定して取り付けられてもよい。装着板60が基部20の下に取り付けられたとき、システム10は、基部20の底部の装着板の第1の表面62の間に位置する1つ以上のスペーサ68を含んでもよい。スペーサ68の長さは、空気間隙66のサイズを決定付けてもよい。例えば、スペーサは、基部20の底部及び取り付けられた頂端と、装着板60の頂面または第1の表面62に取り付けられた底端とを有してもよい。
【0116】
重量測定デバイス44がボウル14の内容物の重量の変化を検出することを可能にするために、ボウルは、重量測定デバイスに対して浮遊してもよく、または動いてもよい。例えば、ボウル14及びスペーサ68を通してそれに取り付けられた装着板60(そのように構成された場合)は、ボウル内の重量の量が変化すると、重量測定デバイス44に対して上向き及び下向きに動くように構成されてもよい。装着板60の第2の表面64は、ボウル内の重量の量に応じて様々な程度の力で、ロードセル45A、45Bを押すことができる。
【0117】
ユーザがボウル14を筐体またはシェル58から不注意に引っ張り出すことを防止するために、ボウル(及び取り付けられたときの装着板60)が移動することができる移動範囲は、制限されてもよい。筐体58は、ボウル14及び/または装着板60が移動の上限に達したときにそれが接触する内部突出部、戻り止め、または狭小部を有してもよい。別の例として、1つ以上の固定ロッド70が、筐体58に取り付けられ、装着板60を通って延在してもよい。固定ロッド70は、装着板60の第1の表面62の上方の固定ロッド70の頂端において突出部または拡張部を有してもよい。したがって、ボウル14及び装着板60は、装着板の頂部が固定ロッドの拡張部と接触するまで、固定ロッド70に沿って垂直に上向きに並進してもよい。ボウル14及び装着板60は、装着板の底部がロードセル45A、45Bの頂面と接触するまで、固定ロッド70に沿って垂直に下向きにさらに並進してもよい。このようにして、ボウル14は、制限された移動範囲にわたって筐体58内で浮遊していることができる。
【0118】
ボウル14が移動範囲にわたって上向き及び下向きに動くことを可能にするために、ボウルの頂面は、頂面が筐体から外に出ることなく動くことができるように、筐体58に移動可能に接続されてもよい。例示された構成では、ボウル14の側壁22は、略水平に延在し、略垂直に配向された側壁の残りの部分から移行する、リップ72で終端する。筐体58は、リップ72の終端部にわたって延在するフランジ部分74を含む。筐体フランジ74は、ボウル14が上向き及び下向きに動くと、上向き及び下向きに曲がって、リップ72への適合を維持するように構成されてもよい。他の構成で、リップ72は、筐体58に固定して連結されてもよく、またはボウル14は、リップを含まない場合さえある。
【0119】
重量測定デバイス44が1つ以上のロードセル45A、45Bを使用して実装されている場合、ロードセルは、基部20及び/または装着板60の下で互いから離間した位置に位置付けられてもよい。一例として、システム10は、ボウルにわたって実質的に均一に重量を測定するために、ボウル14の下に矩形パターンで配置された4つのロードセルを含んでもよい。ロードセルの数及び位置決めは、例えば、ボウル14のサイズ及び形状に基づき異なり得る。異なる例では、重量測定デバイス44は、ボウル14の内容物の実際の重量の100g以内、それらの実際の重量の50g以内、それらの実際の重量の10g以内、それらの実際の重量の5g以内、それらの実際の重量の1g以内、それらの実際の重量の0.5g以内、またはそれらの実際の重量の0.1gなど、それらの実際の重量の250g以内の、ボウル14の内容物の重量を測定する精度を有する。
【0120】
動作中、ボウル14内の体積ならびにボウルの内容物の重量は、流体がボウルから追加及び除去されると、ならびに医療用ハードウェアがボウルから追加及び除去されるとき、上昇及び下降し得る。コントローラ42が、非流体成分を追加または除去されるときと比較して、流体がボウル14から追加または除去されるときを区別することを可能にするために、コントローラは、ボウルから追加または除去されている物質のタイプを通知されてもよい。例えば、コントローラ42は、システム10の1つ以上のユーザインターフェースとの臨床医の相互作用を介して、ボウル14から追加及び/または除去されている物質のタイプを通知されてもよい。
【0121】
いくつかの例では、ユーザインターフェース16は、医療用ツールまたはハードウェアなどの非流体成分がボウルから追加または除去されているとき、コントローラ42に選択的に指示するための臨床医によるユーザ入力を受信する。ユーザ入力は、物理的に移動可能なボタン(例えば、スイッチ、スライド、ノブ)、選択可能なコンピュータアイコン、タッチスクリーンの一部分、または本明細書で考察されるユーザ入力のタイプであってもよい。動作中、臨床医は、ユーザ入力と相互作用し(例えば、ボタンを押し)、それによって、非流体成分がボウル14から追加または除去されるという第1の指示を、コントローラ42に提供してもよい。続いて非流体成分をボウル14に追加した後、または非流体成分をボウルから除去した後、臨床医は、再びユーザ入力と相互作用し(例えば、ボタンを押し)、それによって、臨床医が非流体成分をボウル14に追加すること、または非流体成分をボウルから除去することを完了したという第2の指示を、コントローラ42に提供してもよい。あるいは、コントローラ42は、少なくとも10秒、少なくとも30秒、または少なくとも1分など、第1の指示を受信してから閾値量の時間が経過した後に、臨床医が非流体成分をボウル14に追加すること、または非流体成分をボウルから除去することを完了したことを、ユーザからの入力なしで(例えば、ユーザがユーザインターフェース16と相互作用することなく)自動的に判定してもよい。この代替構成で、臨床医は、非流体成分をボウル14に追加した後、または非流体成分をボウルから除去した後の第2の時間、ユーザ入力と相互作用してもよいが、そうする必要はない。
【0122】
コントローラ42は、体積測定デバイス44からボウル内に存在する外科用流体の体積に関する体積情報を受信することができる。いくつかの例では、システムは、ユーザが体積単位及び重量単位で報告している出力を切り替えるために相互作用することができる、ユーザ関与特徴(例えば、ボタン)を有する。体積測定デバイス44が計量デバイスである場合、体積情報は、重量情報の形態であってもよい。いずれの場合においても、コントローラ42は、体積測定デバイス44から受信された体積情報に基づき、ボウル14内に存在する外科用流体の体積を決定することができる。コントローラ42は、メモリ54に決定された体積を記憶してもよい。臨床医が非流体成分をボウル14に追加するか、または非流体成分をボウル14から除去する予定であるという第1の指示を、ユーザインターフェースを介して受信することに応答して、コントローラ42は、ボウル14内に存在する外科用流体の体積の変化を示す体積測定デバイス44からの体積情報を受信してもよい。体積変化は、ボウル内に存在する流体の量の実際の変化ではなく、臨床医が非流体成分をボウル14に追加するか、または非流体成分をボウルから除去することによって引き起こされ得る。したがって、コントローラ42は、第1の指示の受信と、臨床医が非流体成分をボウルに/から追加または除去することを完了したことを示す第2の指示の受信との間の、ボウル14内に存在すると判定された外科用流体の体積の変化を無視してもよい。コントローラ42は、第1の指示を受信する前に、メモリ54に記憶され、ボウル14内に存在すると判定された外科用流体の体積を参照し、記憶された体積を、非流体成分がボウル14に追加されたか、またはボウル14から除去された後にボウル14内に存在する実際の体積として設定することによって、体積の変化を無視してもよい。
【0123】
システム10及びコントローラ42は、非流体成分がボウル14から追加または除去されたときを示すユーザ入力を受信するように構成され得るが、システムは、この機能を実装することなく、ボウルから除去された流体の体積をそれでもなお正確に追跡し得る。これらの用途において、ユーザは、ボウル14内またはボウルの外のいずれかで処置中に使用される任意の非流体成分から(例えば、流体の追加前に)始めるように命令されてもよい。非流体成分が初期にボウルに追加される場合、コントローラ42は、非流体成分の重量を決定し(重量測定デバイスを有して構成されたとき)、続いてボウルから除去された流体の体積を決定したときに、非流体成分の風袋重量を量るか、または別様に非流体成分の重量を減少させてもよい。ユーザは、ボウルから除去された流体の体積の正確な測定値を得るために、ボウル内に初期に存在する非流体成分がボウルに戻される必要があることを命令されてもよい(そうでなければ、システムは、非流体成分の不足している重量を除去された流体の結果であると考える可能性がある)。あるいは、ユーザは初期に、ボウル内に非流体成分がない状態で開始してもよい。次いで、ユーザは、ボウルから除去された流体の体積の正確な測定値を得るために、非流体成分がボウルから除去される必要があることを命令されてもよい(そうでなければ、システムは、非流体成分を、システムから実際に除去された追加の流体の結果であると考える可能性がある)。正確な読み取り値を得るために、体積読み取り値がボウル14の「中」または「外」のいずれかの非流体成分で取られる必要があることをユーザに命令することは、システム10との動作及びユーザ相互作用を単純化し得る。
【0124】
医療用ハードウェアがボウル14から追加または除去されているときを示すために、ユーザ入力を有することに加えて、またはその代わりに、システム10は、新鮮な外科用流体がボウル14に追加されるときをコントローラ42に示すために、ユーザからのユーザ入力を受信するように構成されることを含んでもよい。ユーザ入力は、物理的に移動可能なボタン(例えば、スイッチ、スライド、ノブ)、選択可能なコンピュータアイコン、タッチスクリーンの一部分、または本明細書で考察される他のユーザ相互作用であってもよい。加えて、またはあるいは、ユーザ入力は、足で作動可能なペダル40であってもよい。例えば、システム10は、複数のユーザインターフェースを有して構成されてもよく、それらのうちのいずれかが、新鮮な外科用流体がボウル14に追加されるときをコントローラ42に示すために使用され得る。システム10は、臨床医(例えば、滅菌野の関係者)が、外科用流体がボウル14に追加されるときをコントローラ42に示すために相互作用することができるユーザインターフェース16の一部である、1つのユーザ入力を含んでもよい。システム10はまた、臨床医(例えば、滅菌野の関係者または非滅菌野の関係者)が、外科用流体がボウル14に追加されるときをコントローラ42に示すために相互作用することができる、足で作動可能なペダル40の形態の別のユーザ入力を含んでもよい。
【0125】
動作中、臨床医は、新鮮な外科用流体がボウル14に追加されるときの指示を提供するいずれかのユーザ入力と相互作用してもよい(例えば、ユーザインターフェース16上のユーザ入力を操作するか、またはフットペダル40を作動することによって)。臨床医が初期にユーザ入力/インターフェースのうちの1つと相互作用したとき、コントローラ42は、新鮮な外科用流体がボウル14に追加されるという第1の指示を受信してもよい。続いて外科用流体をボウル14に追加した後、臨床医は、ユーザ入力/インターフェースと再び相互作用し(例えば、ユーザインターフェース16上のユーザ入力を操作するか、またはフットペダル40を作動することによって)、それによって、臨床医が外科用流体をボウル14に追加することを完了したという第2の指示を、コントローラ42に提供してもよい。あるいは、コントローラ42は、少なくとも10秒、少なくとも30秒、または少なくとも1分など、第1の指示を受信してから閾値量の時間が経過した後に、臨床医が新鮮な外科用流体をボウル14に追加することを完了したことを自動的に判定してもよい(例えば、ユーザがユーザ入力またはインターフェースと相互作用することなく)。
【0126】
いくつかの例では、システム10は、例えば、ユーザがユニットの電源をオンにする前にボウル14内に外科用流体を配置した可能性があるかを判定するために、電源がオンにされると体積測定デバイス44から信号を受信するように構成されている。コントローラ42が、電源がオンにされた後にある体積の物質がボウル14内に存在することを示すデータを受信した場合、コントローラは、様々な応答アクションを取ってもよい。コントローラ42は、ユーザインターフェース16のディスプレイを制御して、検出された体積がボウルに追加された流体であるかをユーザに尋ねるプロンプトを発行してもよい。加えて、またはあるいは、コントローラは、検出された体積がボウル内の新鮮な流体であることを自動的に判定してもよい(例えば、ユーザがユーザ入力/インターフェースと相互作用することなく)。例えば、コントローラ42は、ディスプレイを制御して、検出された体積がボウルに追加された外科用流体であるかをユーザに尋ねてもよく、かつユーザが閾値量の時間後に応答しない場合、コントローラは、測定された体積を新鮮な流体として自動的に指定し、その測定された体積をメモリに記憶してもよい。時間の閾値量は、少なくとも10秒、少なくとも30秒、または少なくとも1分など、上述の時間の量であってもよい。体積測定デバイス44が重量測定デバイスとして実装されている場合、コントローラ42は、予測された風袋重量(例えば、ボウル及び/またはボウル上で垂らしてかけられることが予測されるドレープ35の重量)を上回るボウル14内の重量を検出することによって、起動時にボウル14内に存在している可能性がある流体の体積を検出してもよい。
【0127】
コントローラ42は、ボウル14への新鮮な外科用流体の追加の前、中、及び後に、体積測定デバイス44からボウル内に存在する外科用流体の体積に関する体積情報を受信することができる。コントローラ42は、測定デバイス44から受信された体積情報に基づき、ボウル14内に存在する外科用流体の体積を決定することができる。コントローラ42は、メモリ54に決定された体積を記憶してもよい。臨床医が新鮮な外科用流体をボウル14に追加する予定であるという第1の指示を受信することに応答して、コントローラ42は、ボウル14内に存在する外科用流体の体積の増加を示す体積測定デバイス44からの体積情報を受信してもよい。体積変化は、臨床医が新鮮な外科用流体をボウル14に追加することによって引き起こされ得る。臨床医が外科用流体をボウル14に追加することを完了したという第2の指示を受信した後、コントローラ42は、ボウル14内に存在する外科用流体の体積を示す体積測定デバイス44からの更新された体積情報を受信してもよい。更新された体積情報は、臨床医が新鮮な外科用流体をボウルに追加したことに起因する体積の増加を含む。このようにして、コントローラ42は、ボウル14内の体積の増加が、臨床医が新鮮な流体をボウルに追加したことに起因するときと、増加が、臨床医がボウルから前に取り出された未使用の外科用流体を戻したことと関連するときとを区別することができる。
【0128】
動作中、コントローラ42は、非流体成分をボウル14に戻すこと、及び/またはボウルから取り出された流体をボウルに戻すことによって、通常予測されるよりも大きい体積の大幅な増加を検出し得る。例えば、新鮮な外科用流体は、多くの場合、500gまたは1000gである容器内で供給される。仮にユーザが流体の新鮮な容器をボウル14に追加するが、新鮮な流体が追加されることを示すユーザ入力をシステムに最初に提供することを怠った場合、コントローラ42は、そのような大きい重量及び/または体積の増加がボウルに追加された新鮮な流体であると自動的に(例えば、ユーザがユーザ入力/インターフェースと相互作用することなく)指定するようにプログラムされてもよい。例えば、コントローラ42は、閾値よりも大きい体積及び/または重量の大きい増加を、非流体成分またはボウルに戻されている予測された流体よりもむしろ、追加された新鮮な流体と自動的に指定してもよい。閾値は、450mL(もしくは450g)を超える体積、または500mL(もしくは500g)以上の体積など、400mL(または400g)を超える体積であってもよい。他の閾値が使用されてもよい。そのように構成された場合、コントローラ42は、ディスプレイを制御して、検出された大きい体積がボウルに追加された外科用流体であるかをユーザに尋ねてもよく、かつユーザが閾値量の時間後に応答しない場合、コントローラは、大きい体積の変化を新鮮な流体として自動的に指定し、その体積の増加をメモリに記憶してもよい。
【0129】
医療処置中、コントローラ42は、体積測定デバイス44から、ボウル14内に存在する外科用流体の現在の体積を示す体積情報を、周期的または連続的に受信することができる。例えば、コントローラ42は、例えば、ボウル14内に初期に配置された外科用流体の体積を示す初期の体積測定情報を、医療処置の開始時に体積測定デバイス44から受信してもよい。医療処置中の1つ以上の測定時間において(例えば、連続的に)、コントローラ42は、測定時にボウル14内に存在する外科用流体の現在の体積を示す更新された体積情報を、体積測定デバイス44から受信することができる。コントローラ42は、測定時間のボウル14内に存在する外科用流体の体積を、ボウルに追加された新鮮な外科用流体の総体積と比較することができる(ボウル14に配置された外科用流体の初期体積及び続いてボウルに追加された任意の新鮮な外科用流体)。ボウル14に追加された新鮮な外科用流体の総体積は、コントローラ42によって監視され、メモリ54に記憶され得る。測定時間の外科用流体の現在の体積と測定時間の時点においてボウルに追加された新鮮な外科用流体の総体積との間の差を決定することによって、コントローラ42は、測定時間の時点において医療処置中に使用された外科用流体の体積を決定することができる。
【0130】
いくつかの例では、コントローラ42は、ユーザインターフェース16と関連するディスプレイ及び/またはディスプレイ18を制御して、処置中に使用された外科用流体の量を表示する。異なる例では、コントローラ42は、ディスプレイを制御して、測定時間の時点において医療処置中に使用された外科用流体の重量及び/または体積を表示してもよい。コントローラ42は、例えば、流体が臨床医によってボウル14から除去されるときにディスプレイを連続的に更新して、処置中に使用された外科用流体の量を示すリアルタイムな情報を臨床医に提供してもよい。
【0131】
上記のように、図6の例のコントローラ42は、非接触リーダ50に通信可能に連結されている。非接触リーダ50は、ボウル14上に配置されたドレープ上に存在する非接触タグ上に記憶された情報を読み取るように構成されている。非接触タグは、非接触リーダ50と物理的に接触して配置され得るが、リーダは、リーダに物理的に接触することなく、タグをリーダにごく近接して配置することによってタグから情報を読み取ることが可能であってもよい。一例では、非接触リーダ50は、近距離無線通信(NFC)リーダとして実装されている。別の例では、非接触リーダ50は、周波数識別(RFID)タグまたは光リーダである。
【0132】
非接触リーダ50の特定の構成とは無関係に、リーダは、ボウル14上に配置されたドレープ上に存在する機械可読タグ上に記憶された識別情報を読み取ることができる。識別情報は、数字コード、製造業者名もしくはブランド、または機械可読タグが取り付けられるドレープの供給元及び/もしくはタイプを識別する他の情報の形態であってもよい。コントローラ42は、非接触リーダ50を制御して、ボウル14上に配置された装置上に存在する機械可読タグから識別情報を読み取ることができる。コントローラ42は、識別情報をメモリ54に記憶された認証情報と比較することができる。認証情報は、ボウル14上に配置されたドレープがボウルとの使用に関して承認されているかを判定するのに好適な、対応する数字コードまたは他の情報を提供してもよい。コントローラ42が、ドレープ上の機械可読タグから読み取られた識別情報がメモリに記憶された認証情報と一致すると判定した場合、コントローラは、システム10が続行することを可能にすることができる。例えば、コントローラ42は、熱処理デバイス46がボウル14の温度を調節すること、及び/または体積測定デバイス44がボウル内に存在する外科用流体の体積を測定することを可能にしてもよい。
【0133】
対照的に、コントローラ42が、ドレープ上の機械可読タグから読み取られた識別情報がメモリに記憶された認証情報と一致しないと判定した場合、コントローラは、システム10の動作を禁止してもよい。例えば、コントローラ42は、熱処理デバイス46がボウル14の温度を調節すること、及び/または体積測定デバイス44がボウル内に存在する外科用流体の体積を測定することを禁止してもよい。いくつかの追加の例では、非接触リーダ50が、例えば、ドレープがボウル14上に配置されていないこと、または機械可読タグのないドレープがボウル上に配置されていることを示す機械可読タグを識別しなかった場合、コントローラ42は、システム10の動作を同様に禁止してもよい。
【0134】
いくつかの例では、コントローラ42は、ボウル14上に配置されたドレープが承認されたタグを有することを検出した後、タイマを開始してもよく、かつ/または開始時間が(例えば、書き込み機能を有する非接触リーダ50を使用して)タグ38に書き込まれてもよい。閾値量の時間がタイマ及び/またはタグ上に書き込まれた開始時間に基づき経過した後、コントローラ42は、タグ及び対応するドレープの有効期限が切れたと判定してもよい。時間の閾値量は、4時間~18時間または6時間~14時間など、1時間~24時間の範囲であってもよい。コントローラ42は、ユーザインターフェース16を制御して、タグ及びドレープの有効期限が切れる前に時間警告を提供してもよい(例えば、有効期限切れの1時間、30分、15分前)。タグ及び対応するドレープの有効期限が切れたと判定された場合、コントローラ42は、熱処理デバイス46を制御してボウル14の加熱を停止してもよい。そのような構成は、ボウル14を被覆するドレープが新しいドレープと周期的に交換されて、滅菌性を促進することを確実にするのに役立ち得、ドレープの完全性を確実にするのに役立ち得る。
【0135】
図7は、医療処置中に熱処理デバイスから除去された外科用流体の量を監視するために使用され得る例示的な技術のフローチャートである。図7の例示的な技術は、図1~3及び6に関して記載される熱処理システム10に関して記載されているが、その技術は、本明細書に記載される他の構成を有するシステムによって実施され得る。図7の例では、臨床医がシステム10上のユーザ入力に関与して、ユーザが流体をボウル14に追加する予定であることを示す(100)。臨床医は、ユーザインターフェース16と相互作用することによって、または足で作動可能なペダル40を作動することによって、ユーザ入力に関与してもよい。ユーザ入力に関与することに応答して、コントローラ42は、ユーザが外科用流体をボウルに追加する予定であることを示す第1の指示を受信する(102)。コントローラ42は、システム10上のディスプレイを制御して、ユーザに外科用流体をボウル14に追加するように伝える命令またはプロンプトを提供してもよい。
【0136】
図7の技術において、臨床医は、外科用流体をボウル14に追加する(104)。コントローラ42は、臨床医が外科用流体をボウルに追加すると、体積の増加を示す体積測定デバイス44からの体積情報を受信する(106)。体積測定デバイス44が計量デバイスである場合、コントローラ42は、ボウル14及びその中の任意の内容物に関する重量情報を受信してもよい。臨床医が外科用流体をボウル14に追加することを完了すると、臨床医は、システム10上のユーザ入力に再び関与して、ユーザが外科用流体をボウル14に追加し終えたことを示す(108)。臨床医は、ユーザインターフェース16と相互作用することによって、または足で作動可能なペダル40を作動することによって、ユーザ入力に再び関与してもよい。ユーザ入力に関与することに応答して、コントローラ42は、ユーザが外科用流体をボウルに追加することを完了したことを示す第2の指示を受信する(110)。
【0137】
図7の技術は、コントローラ42が、臨床医がユーザインターフェースに関与して、流体がボウルに追加されることを示すときと、臨床医がユーザインターフェースに関与して、流体がボウルに追加されることを完了したことを示すときとの間で、ボウル14に追加された外科用流体の体積を決定することをさらに伴う(112)。例えば、体積測定デバイス44が計量デバイスである場合、コントローラ42は、第1の指示を受信する前のボウル14とその中の任意の内容物(例えば、外科用流体がある場合またはない場合の医療用ツール)と、第2の指示を受信した後のボウル及び外科用流体を含むその中の内容物の重量との間の重量の差を決定してもよい。コントローラ42は、メモリ54に記憶された外科用流体の密度によって重量変化を乗算することによって、ボウル14に追加された流体の体積を決定してもよい。
【0138】
システム10の動作中、臨床医は、図7の技術でボウル14から外科用流体を除去する(114)。コントローラ42は、臨床医が流体を除去すると、ボウル14内に存在する体積の変化を示す体積測定デバイス44からの体積測定情報を受信する(116)。例えば、体積測定デバイス44が測定時間に体積情報を生成したとき、コントローラ42は、その体積測定情報を受信し、測定時間におけるボウル内の外科用流体の体積を決定することができる。体積測定デバイス44が計量デバイスである場合、コントローラ42は、ボウル14及びその内容物に関する重量情報を受信することができる。コントローラ42は、例えば、重量の差を決定し、メモリ54に記憶された外科用流体の密度によって重量変化を乗算することによって、ボウル14内の流体の総体積の変化を決定することができる。いくつかの例では、コントローラ42は、システム10上のディスプレイをさらに制御して、処置中に消費された流体の体積を示す。
【0139】
加えて、図7の技術において、臨床医は、システム10上のユーザ入力に関与して、ユーザが医療用ハードウェア(例えば、医療用ツール)をボウル14に追加するか、または医療用ハードウェアをボウルから除去する予定であることを示す(118)。臨床医は、ユーザインターフェース16と相互作用することによってユーザ入力に関与してもよい。ユーザ入力に関与することに応答して、コントローラ42は、ユーザが医療用ハードウェアをボウル14に追加するか、または医療用ハードウェアをボウルから除去する予定であることを示す第1の指示を受信する(120)。臨床医は、続いて、医療用ハードウェアをボウルに追加するか、または医療用ハードウェアをボウルから除去する(122)。
【0140】
臨床医が医療用ハードウェアをボウル14に追加すること、または医療用ハードウェアをボウルから除去することを完了すると、臨床医は、ユーザインターフェース16上のユーザ入力に再び関与して、ユーザが医療用ハードウェアを追加または除去し終えたことを示す(124)。ユーザ入力に関与することに応答して、コントローラ42は、ユーザが医療用ハードウェアをボウル14に追加するか、または医療用ハードウェアをボウルから除去することを完了したことを示す第2の指示を受信する(126)。その後、コントローラ42は、臨床医がユーザインターフェースに関与して、医療用ハードウェアがボウルから追加または除去されることを示したときと、臨床医がユーザインターフェースに関与して、ハードウェアの変更が完了したことを示したときとの間の、ボウル14内の外科用流体の測定された体積の変化を決定することができる(128)。例えば、体積測定デバイス44が計量デバイスである場合、コントローラ42は、第1の指示を受信する前のボウル14とその内容物と、第2の指示を受信した後のボウル及びその内容物の重量との間の重量の差を決定してもよい。重量の変化は、ボウルからの医療用流体の任意の追加または除去の代わりに、ボウル14からの医療用ハードウェアの追加または除去に起因し得る。
【0141】
図7の技術において、コントローラ42は、臨床医がユーザインターフェースに関与して、医療用ハードウェアがボウルから追加または除去されることを示したときと、臨床医がユーザインターフェースに関与して、ハードウェアの変更が完了したことを示したときとの間の、測定された体積の変化を無視する(130)。コントローラ42は、第1の指示を受信する前に、ボウル14内に存在すると決定された(かつ例えば、メモリ54に記憶された)外科用流体の体積を参照し、記憶された体積を、医療用ハードウェアがボウル14から追加または除去された後にボウル内に存在する実際の体積として設定することによって、体積の変化を無視してもよい。したがって、コントローラ42は、医療用ハードウェアをボウル14に追加したか、または医療用ハードウェアをボウルから除去したときに、処置中に消費され、ディスプレイ上で報告された外科用流体の体積が変化しないことに対して、システム10のディスプレイを制御することができる。
【0142】
図8Aは、システム10内のユーザインターフェース16として使用され得る例示的なユーザインターフェース150である。ユーザインターフェース150は、システム10をオン及びオフにするための電源ボタン152と、第1のユーザ入力154と、第2のユーザ入力156と、温度制御158と、ディスプレイ160とを含む。第1のユーザ入力154及び第2のユーザ入力156は両方、押し下げ可能なボタンの形態で例示されるが、他のユーザ入力構成が本明細書に記載されるように使用され得る。温度制御158は、臨床医が、目標温度を上昇及び低下させることを含む、ボウル14内の外科用流体が加熱される目標温度を設定することを可能にする。加えて、ユーザインターフェース150は、ボウル14内の外科用流体が目標温度にあるときを示す温度指示光155を含む(例えば、オン/オフにすることによって、または色を変化させることによって)。ユーザインターフェース150はまた、ユーザが、様々なプログラミングオプション及び選好が選択され得るサービス/オプションメニューにディスプレイ160を切り替えることを可能にする、サービスボタン153を含む。
【0143】
第1のユーザ入力154は、医療用ツールなどの非流体成分がボウル14から追加または除去されることを示すために、臨床医によって操作可能(例えば、押し下げ可能)である。1回目に第1のユーザ入力154を押すことは、医療用ツールがボウル14から追加または除去されることをシステム10に通知する。2回目に第1のユーザ入力154を押すことは、臨床医が医療用ツールをボウル14に追加すること、または医療用ツールをボウルから除去することを完了したことをシステム10に通知する(臨床医が実際にツールを追加または除去するかどうかにかかわらず)。
【0144】
第2のユーザ入力156は、新鮮な外科用流体がボウル14に追加されることを示すために、臨床医によって操作可能(例えば、押し下げ可能)である。1回目に第2のユーザ入力156を押すことは、外科用流体がボウル14に追加されることをシステム10に通知する。2回目に第2のユーザ入力156を押すことは、臨床医が外科用流体をボウル14に追加することを完了したことをシステム10に通知する(臨床医が実際に流体を追加するかどうかにかかわらず)。臨床医は、第2のユーザ入力156の代わりに足で作動可能なペダル40に関与して、外科用流体がボウル14に追加されること、及び/またはボウルに追加されたことをシステムに通知してもよい。
【0145】
ディスプレイ160は、システム10によって入力または生成された情報を表示することができる。例えば、図8A中、ディスプレイ160は、温度制御158を介してシステム10に入力された目標温度162、ならびに温度センサ48(図6)によって測定されたボウル14内の外科用流体の実際の温度164を表示する。ディスプレイ160はまた、処置中にボウル14に追加された外科用流体の総(累積)体積166、及び処置中に外科用ボウルから使用された(除去された)外科用流体の体積168を表示する。したがって、ボウル14に追加された外科用流体の総体積166と、使用された外科用流体の体積168との間の差は、ボウル内に残っている外科用流体の体積である。他の構成で、ディスプレイ160は、ボウル14に追加され、かつ/またはボウルから除去された外科用流体の量を、重量で、グラフチャートなどの異なる形式で表示することができる。
【0146】
図8Bは、システム10内でディスプレイ18として使用され得る例示的なディスプレイ170である。示されるように、ディスプレイ170は、ユーザインターフェース150上のディスプレイ160と同じ情報を表示するように構成され得る。しかしながら、上述のように、ディスプレイ170は、ユーザインターフェース150とは異なるボウル14の側面上に位置付けられて、ボウルの異なる側面で作業する臨床医がシステムによって入力または生成された情報を見ることを可能にしてもよい。
【0147】
本開示に記載される技術は、少なくとも部分的にハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。例えば、記載される技術の様々な態様は、1つ以上のマイクロプロセッサを含む1つ以上のプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または任意の他の同等の集積もしくは個別論理回路、ならびにそのような構成要素の任意の組み合わせ内で実装されてもよい。「プロセッサ」という用語は、一般に、上記の論理回路のうちのいずれかを単独で、もしくは他の論理回路と組み合わせて、または任意の他の同等の回路を指し得る。ハードウェアを備える制御ユニットもまた、本開示の技術のうちの1つ以上を実施し得る。
【0148】
そのようなハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアは、本開示に記載される様々な動作及び機能を支持するために、同じデバイス内または別々のデバイス内で実装されてもよい。加えて、記載されるユニット、モジュール、または構成要素のいずれも、一緒に、または別個であるが相互運用可能な論理デバイスとして別々に実装されてもよい。モジュールまたはユニットとして異なる特徴を描写することは、異なる機能的態様を強調することを意図し、そのようなモジュールまたはユニットが別個のハードウェアまたはソフトウェア構成要素によって実現されなければならないことを必ずしも暗示するわけではない。むしろ、1つ以上のモジュールまたはユニットと関連する機能は、別個のハードウェアもしくはソフトウェア構成要素によって実施されてもよく、または共通もしくは別個のハードウェアもしくはソフトウェア構成要素内に統合されてもよい。
【0149】
本開示に記載される技術はまた、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体などの非一時的コンピュータ可読媒体内で具現化またはコード化されてもよい。コンピュータ可読記憶媒体内に埋め込まれた、またはコード化された命令は、プログラム可能なプロセッサまたは他のプロセッサに、例えば、命令が実行されるときに方法を実施させてもよい。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電子的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、ハードディスク、CD-ROM、フロッピーディスク、カセット、磁気媒体、光媒体、または他のコンピュータ可読媒体を含む、揮発性及び/または不揮発性メモリの形態を含んでもよい。
【0150】
様々な実施例が記載されている。これら及び他の実施例は、以下の特許請求の範囲内にある。以下、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
外科用流体を熱処理するためのシステムであって、前記システムは、
外科用流体を受容及び保持するように構成されたボウル(basin)と、
前記ボウルに熱的に結合され、前記ボウル内の前記外科用流体の温度を調節するように構成された熱処理デバイスと、
前記ボウル内の外科用流体の体積に関する体積情報を得るように位置付けられた体積測定デバイスと、
処置中に前記ボウル内の前記外科用流体の体積に関する体積測定情報を前記体積測定デバイスから受信し、前記処置中に前記ボウルから除去された前記外科用流体の体積を決定するように構成されたコントローラと、を備える、システム。
[2]
前記コントローラは、前記ボウル内の前記外科用流体の体積の増加を示す体積測定情報を前記体積測定デバイスから受信し、ユーザからの入力なしに、前記外科用流体の体積の増加が前記ボウルに追加された新鮮な外科用流体であることを決定するように構成されている、項目1及び3~31のいずれか1項に記載のシステム。
[3]
ユーザインターフェースをさらに含み、
前記コントローラは、前記ユーザインターフェースを介して、前記処置中に外科用流体が前記ボウルに追加されるという少なくとも1つの指示を受信することと、
前記受信された体積測定情報及び前記受信された少なくとも1つの指示に基づいて、前記処置中に前記ボウルから除去された前記外科用流体の体積を決定することと、を行うように構成されている、項目1、2及び4~31のいずれか1項に記載のシステム。
[4]
前記少なくとも1つの指示は、ユーザが新鮮な外科用流体を前記ボウルに追加しようとしているという指示であり、前記コントローラは、ユーザからの入力なしに、前記ユーザがいつ前記新鮮な外科用流体を前記ボウルに追加し終えるかを決定するように構成されている、項目1~3及び5~31のいずれか1項に記載のシステム。
[5]
前記コントローラは、少なくとも、
前記ユーザインターフェースを介して、前記ユーザが前記外科用流体を前記ボウルに追加する予定であるという第1の指示を受信することと、
前記ユーザインターフェースを介して受信された前記第1の指示に続いて、前記体積測定デバイスから、前記ボウルに入れられた前記外科用流体の体積に関する体積測定情報を受信することと、
タイマの期限切れ時にまたは前記ユーザインターフェースを介してのいずれかで、前記ユーザが前記外科用流体を前記ボウルに追加し終えたことを示す第2の指示を受信することと、
前記第1の指示の受信と前記第2の指示の受信との間に前記ボウルに追加された前記外科用流体の体積を決定することと、
前記処置中の測定時間に体積測定情報を前記体積測定デバイスから受信し、その情報から、前記測定時間における前記ボウル内の前記外科用流体の体積を確立することと、
前記ボウルに追加された前記外科用流体の体積と前記測定時間における前記外科用流体の体積との間の差を決定することと、によって、前記処置中に使用された前記外科用流体の体積を決定するように構成されている、項目1~4及び6~31のいずれか1項に記載のシステム。
[6]
前記ユーザインターフェースは、ボタン及び足で作動可能なペダルのうちの少なくとも一方を含み、前記ユーザインターフェースを介して前記第1の指示を受信することは、前記ユーザが1回目に前記ボタンまたは足で作動可能なペダルを押すことを含み、前記ユーザインターフェースを介して前記第2の指示を受信することは、前記ユーザが2回目に前記ボタンまたは足で作動可能なペダルを押すことを含む、項目1~5及び7~31のいずれか1項に記載のシステム。
[7]
前記ユーザインターフェースは、第1のユーザ入力を含み、非流体成分を前記ボウルに追加することまたは前記非流体成分を前記ボウルから除去することを選択的に行うように前記ユーザによって操作可能な第2のユーザ入力をさらに含む、項目1~6及び8~31のいずれか1項に記載のシステム。
[8]
前記コントローラは、前記第2のユーザ入力を介して入力された、前記処置中に前記非流体成分が前記ボウルに追加されるまたは前記ボウルから除去されるという少なくとも1つの指示を受信し、前記受信された体積測定情報及び前記第2のユーザ入力を介して前記受信された少なくとも1つの指示に基づいて、前記処置中に使用された前記外科用流体の体積を決定するようにさらに構成されている、項目1~7及び9~31のいずれか1項に記載のシステム。
[9]
前記コントローラは、少なくとも、
前記ボウル内の前記外科用流体の体積に関する体積測定情報を前記体積測定デバイスから受信することと、
前記第2のユーザ入力を介して、前記ユーザが前記非流体成分を前記ボウルに追加するまたは除去する予定であるという第1の指示を受信することと、
前記第2のユーザ入力を介して、前記ユーザが前記非流体成分を前記ボウルに追加または除去し終えたという第2の指示を受信することと、
前記第2の指示を受信することに続いて、前記非流体成分を追加または除去した後の前記ボウル内の前記外科用流体の体積に関する体積測定情報を前記体積測定デバイスから受信することと、
前記第1の指示の受信と前記第2の指示の受信との間に前記体積測定デバイスによって測定された前記外科用流体の体積の変化を無視することと、によって、前記処置中に使用された前記外科用流体の体積を決定するように構成されている、項目1~8及び10~31のいずれか1項に記載のシステム。
[10]
前記第2のユーザ入力は、ボタン及び足で作動可能なペダルのうちの少なくとも一方を含み、前記第2のユーザ入力を介して前記第1の指示を受信することは、前記ユーザが1回目に前記第2のユーザ入力を押すことを含み、前記第2のユーザ入力を介して前記第2の指示を受信することは、前記ユーザが2回目に前記ユーザ入力を押すことを含む、項目1~9及び11~31のいずれか1項に記載のシステム。
[11]
前記体積測定デバイスは、流量計、前記ボウル内の前記外科用流体の体積に基づき位置が変化する浮き、ならびに前記ボウル及びその中の任意の内容物の重量を測定するように構成された計量デバイスのうちの1つを含む、項目1~10及び12~31のいずれか1項に記載のシステム。
[12]
前記体積測定デバイスは、前記計量デバイスであり、前記計量デバイスは、前記ボウルの下に位置付けられた1つ以上のロードセルを含む、項目1~11及び13~31のいずれか1項に記載のシステム。
[13]
前記熱処理デバイスはヒータを含む、項目1~12及び14~31のいずれか1項に記載のシステム。
[14]
前記ヒータは、前記ボウルの周りに巻き付けられたフィルムヒータを含む、項目1~13及び15~31のいずれか1項に記載のシステム。
[15]
前記ユーザインターフェースは、前記ボウル内の前記外科用流体の目標温度を調節する指示を前記ユーザから受信するように構成された温度制御をさらに含む、項目1~14及び16~31のいずれか1項に記載のシステム。
[16]
前記ボウル及びその中の任意の外科用流体の前記温度を測定するように構成された温度センサをさらに含む、項目1~15及び17~31のいずれか1項に記載のシステム。
[17]
前記コントローラは、
温度測定情報を前記温度センサから受信することと、
前記受信された温度測定情報をメモリに記憶された温度プロファイルと比較することと、
前記受信された温度測定情報が、前記メモリに記憶された前記温度プロファイルから閾値量よりも大きく逸脱している場合、前記熱処理デバイスの動作を終了することと、を行うようにさらに構成されている、項目1~16及び18~31のいずれか1項に記載のシステム。
[18]
外科用ドレープの機械可読タグ上に含まれる情報を読み取るように構成された非接触リーダをさらに含む、項目1~17及び19~31のいずれか1項に記載のシステム。
[19]
前記コントローラは、
前記機械可読タグから読み取った識別情報をメモリに記憶された認証情報と比較することと、
前記識別情報が前記認証情報と一致しない場合、前記熱処理デバイスの動作を禁止することと、を行うように構成されている、項目1~18及び20~31のいずれか1項に記載のシステム。
[20]
前記非接触リーダは、無線周波数識別(RFID)リーダまたは近距離無線通信(NFC)リーダのうちの少なくとも一方を含む、項目1~19及び21~31のいずれか1項に記載のシステム。
[21]
前記ボウルに位置付けられ、前記ボウルに実質的に適合する外科用ドレープをさらに含み、前記外科用ドレープが、滅菌野を非滅菌野から隔離する滅菌バリアを形成する、項目1~20及び22~31のいずれか1項に記載のシステム。
[22]
基部をさらに含み、前記ボウルは、前記基部によって支持される、項目1~21及び23~31のいずれか1項に記載のシステム。
[23]
前記基部は、車輪上に装着されている、項目1~22及び24~31のいずれか1項に記載のシステム。
[24]
前記ボウルは、前記基部の垂直上方にある、項目1~23及び25~31のいずれか1項に記載のシステム。
[25]
前記基部に対する前記ボウルの高さを調節するように動作可能な高さ調節機構をさらに含む、項目1~24及び26~31のいずれか1項に記載のシステム。
[26]
前記高さ調節機構は、ピストン、及び前記ピストンの位置を制御するように動作可能な調節レバーを含む、項目1~25及び27~31のいずれか1項に記載のシステム。
[27]
周りに巻き付けられる電源コードを受容するように構成された一対の長手方向に離間したフックをさらに含む、項目1~26及び28~31のいずれか1項に記載のシステム。
[28]
前記ボウルは、基部、及び前記基部から離れて垂直に上向きに延在する傾斜側壁を含み、前記基部及び傾斜側壁は、前記外科用流体を受容及び保持する開放頂面を有する境界が付けられた空洞を集合的に形成する、項目1~27及び29~31のいずれか1項に記載のシステム。
[29]
前記ユーザインターフェースは、前記ボウルの外面に装着されている、項目1~28、30、及び31のいずれか1項に記載のシステム。
[30]
前記ユーザインターフェースは、前記ボウルの片側に装着された第1のディスプレイを含み、前記ボウルの反対側に装着された第2のディスプレイをさらに含む、項目1~29及び31のいずれか1項に記載のシステム。
[31]
前記ユーザインターフェースは、ユーザによって物理的、可聴的、または光学的に関与されるように構成されている、項目1~30のいずれか1項に記載のシステム。
[32]
物質を熱処理するためのデバイス上のユーザインターフェースに関与して、それにより、物質が前記デバイスに追加されることを前記デバイスに通知することと、
前記物質を前記デバイスのボウルに追加することと、
前記デバイスの前記ユーザインターフェースに関与して、それにより、前記物質が前記デバイスに追加されたことを前記デバイスに通知することと、
物質を前記ボウルから除去することと、
前記デバイスによって、前記ボウルから除去された物質の体積を表示することと、を含む、方法。
[33]
前記デバイスの前記ユーザインターフェースに関与して、それにより、非流体成分が前記ボウルに追加されるまたは前記ボウルから除去されることを前記デバイスに通知することと、
前記非流体成分を前記ボウルに追加するまたは前記非流体成分を前記ボウルから除去することと、
前記デバイスの前記ユーザインターフェースに関与して、それにより、前記非流体成分が前記ボウルに追加されたまたは前記ボウルから除去されたことを前記デバイスに通知することと、をさらに含む、項目32及び34~45のいずれか1項に記載の方法。
[34]
前記ボウル内の前記物質の温度を調節することをさらに含む、項目32、33、及び35~45のいずれか1項に記載の方法。
[35]
前記温度の調節は、前記ボウル内の前記物質を加熱することを含む、項目32~34及び36~45のいずれか1項に記載の方法。
[36]
前記デバイス上の温度制御に関与して、それにより、前記物質が調節される目標温度を調節することをさらに含む、項目32~35及び37~45のいずれか1項に記載の方法。
[37]
前記物質の一部分を前記ボウルから除去し、前記物質を、医療処置を受けている患者の中に導入することをさらに含む、項目32~36及び38~45のいずれか1項に記載の方法。
[38]
前記デバイスによって、前記医療処置中に前記ボウルから除去された前記物質の量を表示することをさらに含む、項目32~37及び39~45のいずれか1項に記載の方法。
[39]
前記物質の量を表示することは、前記物質の体積を表示することを含む、項目32~38及び40~45のいずれか1項に記載の方法。
[40]
ボタンに関与して、前記物質の体積を表示することから、前記物質の重量を表示することへと切り替えることをさらに含む、項目32~39及び41~45のいずれか1項に記載の方法。
[41]
前記第1の操作可能なユーザ入力に関与すること及び前記第2の操作可能なユーザ入力に関与することは、タッチスクリーンディスプレイを押すこと、前記デバイスの筐体上のボタンを押すこと、及び前記デバイス上のフットペダルを作動することのうちの少なくとも1つを含む、項目32~40及び42~45のいずれか1項に記載の方法。
[42]
ドレープを前記ボウルの中に挿入することをさらに含む、項目32~41及び43~45のいずれか1項に記載の方法。
[43]
前記ドレープを挿入することは、前記ドレープによって担持される機械可読タグを前記デバイスの非接触リーダにかざして位置付けることを含む、項目32~42、44、及び45のいずれか1項に記載の方法。
[44]
前記機械可読タグは、無線周波数識別(RFID)タグ及び近距離無線通信(NFC)タグのうちの一方を含む、項目32~43及び45のいずれか1項に記載の方法。
[45]
前記デバイスの高さ調節機構を起動し、それにより、前記ボウルの高さを調節することをさらに含む、項目32~44のいずれか1項に記載の方法。
[46]
外科用流体を加熱するためのシステムであって、前記システムは、
車輪上に装着されている基部と、
前記基部によって支持され、その垂直上方にあるボウルであって、外科用流体を受容及び保持するように構成されている、ボウルと、
前記ボウルに熱的に結合され、前記ボウル内の前記外科用流体の温度を上昇させるように構成されたヒータと、
前記ボウル及びその中の任意の内容物の重量に関する重量情報を得るように位置付けられた計量デバイスと、
外科用流体が前記ボウルに追加されるというユーザ指示を受信するように構成されたユーザインターフェースと、
前記重量測定デバイスから、処置の過程中の前記ボウル内の前記外科用流体の重量に関する重量測定情報を受信し、前記ユーザインターフェースを介して、前記処置中に外科用流体が前記ボウルに追加されるという少なくとも1つの指示を受信し、かつ前記受信された重量測定情報及び前記受信された少なくとも1つの指示に基づき、前記ボウルから除去された外科用流体の体積を決定するように構成された、コントローラと、を備える、システム。
[47]
前記コントローラは、少なくとも、
前記ユーザインターフェースを介して、前記ユーザが前記外科用流体を前記ボウルに追加する予定であるという第1の指示を受信することと、
前記ユーザインターフェースを介して受信された前記第1の指示に続いて、前記重量測定デバイスから、前記ボウルに入れられた前記外科用流体の重量に関する重量測定情報を受信することと、
タイマの期限切れ時にまたは前記ユーザインターフェースを介してのいずれかで、前記ユーザが前記外科用流体を前記ボウルに追加し終えたことを示す第2の指示を受信することと、
前記第1の指示の受信と前記第2の指示の受信との間に前記外科用ボウルに追加された前記外科用流体の重量を決定することと、
前記処置中の測定時間に重量測定情報を前記重量測定デバイスから受信し、その情報から、前記測定時間における前記ボウル内の前記外科用流体の重量を確立することと、
前記ボウルに追加された前記外科用流体の重量と前記測定時間における前記外科用流体の重量との間の差を決定することと、
前記外科用流体の前記決定された重量差及び密度に基づいて、除去された前記外科用流体の体積を決定することと、によって、前記処置中に使用された前記外科用流体の体積を決定するように構成されている、項目46及び48~57のいずれか1項に記載のシステム。
[48]
前記ユーザ入力は、第1のユーザ入力を含み、医療ツールを前記ボウルに追加することまたは前記医療ツールを前記ボウルから除去することを選択的に行うようにユーザによって関与可能な第2のユーザ入力をさらに含む、項目46、47、及び49~57のいずれか1項に記載のシステム。
[49]
前記第1のユーザ入力及び前記第2のユーザ入力は各々、タッチスクリーンディスプレイの接触エリア、筐体上のボタン、及びフットペダルのうちの少なくとも1つを含む、項目46~48及び50~57のいずれか1項に記載のシステム。
[50]
前記コントローラは、少なくとも、
前記ボウル及びその中の任意の内容物の重量に関する重量測定情報を前記重量測定デバイスから受信することと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記ユーザが医療ツールを前記ボウルに追加するまたは前記医療ツールを前記ボウルから除去する予定であるという第1の指示を受信することと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記ユーザが医療ツールを前記ボウルに追加し終えたまたは前記医療ツールを前記ボウルから除去し終えたという第2の指示を受信することと、
前記第2の指示を受信することに続いて、前記ボウル及びその中の任意の内容物の重量に関する重量測定情報を前記重量測定デバイスから受信することと、
前記第2の指示を受信した後に受信された前記重量測定情報を調節して、前記医療ツールを前記ボウルに追加するまたは前記医療ツールを前記ボウルから除去することによって引き起こされた重量変化を打ち消すことと、によって、前記処置中に使用された前記外科用流体の体積を決定するように構成されている、項目46~49及び51~57のいずれか1項に記載のシステム。
[51]
前記コントローラは、少なくとも、外科用流体をその中に含む前記ボウルの初期重量と、医療流体をその中に含む前記ボウルの測定時間における前記重量との間の差を決定することと、前記決定された重量差及び前記コントローラと関連付けられたメモリに記憶された前記外科用流体の密度に基づいて、使用された前記外科用流体の体積を決定することと、によって、前記処置中に使用された前記外科用流体の体積を決定するようにさらに構成されている、項目46~50及び52~57のいずれか1項に記載のシステム。
[52]
前記ヒータは、前記ボウルと熱的に連通して位置付けられたフィルムヒータを含む、項目46~51及び53~57のいずれか1項に記載のシステム。
[53]
外科用ドレープの機械可読タグ上に含まれる情報を読み取るように構成された非接触リーダをさらに含む、項目46~52及び54~57のいずれか1項に記載のシステム。
[54]
前記非接触リーダは、無線周波数識別(RFID)リーダまたは近距離無線通信(NFC)リーダのうちの少なくとも一方を含む、項目46~53及び55~57のいずれか1項に記載のシステム。
[55]
前記ボウルに位置付けられ、前記ボウルに実質的に適合する外科用ドレープをさらに含み、前記外科用ドレープが、滅菌野を非滅菌野から隔離する滅菌バリアを形成し、前記ドレープがRFIDタグ及びNFCタグのうちの一方を含む、項目46~54、56、及び57のいずれか1項に記載のシステム。
[56]
前記基部に対する前記ボウルの高さを調節するように動作可能な高さ調節機構をさらに含む、項目46~55及び57のいずれか1項に記載のシステム。
[57]
前記ユーザインターフェースは、前記ボウルの片側に装着された第1のディスプレイを含み、前記ボウルの反対側に装着された第2のディスプレイをさらに含む、項目46~57のいずれか1項に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12