(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】加速度計
(51)【国際特許分類】
G01P 15/093 20060101AFI20220107BHJP
G01P 15/18 20130101ALI20220107BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20220107BHJP
G01C 21/10 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G01P15/093
G01P15/18
G01B11/00 H
G01C21/10
(21)【出願番号】P 2018562025
(86)(22)【出願日】2017-05-26
(86)【国際出願番号】 GB2017051513
(87)【国際公開番号】W WO2017203284
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-04-22
(32)【優先日】2016-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508355068
【氏名又は名称】シンテフ ティーティーオー エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダール、トビアス グルデン
(72)【発明者】
【氏名】ビャーケン、マグヌス クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】フォーグル、アンドレアス
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0145620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 15/093
G01P 15/18
G01B 11/00
G01C 21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学加速度計装置を有する移動体であって、
該光学加速度計装置は、
共通構造に取り付けられた複数の光学加速度計からなるアレイであって
、一つの所定の軸に沿って前記共通構造に加えられた加速度の結果として、
前記複数の光学加速度計の各々が被測定用錘の変位を示す一つの信号を出力する、
前記複数の光学加速度計の
前記アレイと、
前記信号を使用して前記加速度の推定値を決定するように構成されたプロセッサと、を
有し、
前記移動体は、該移動体の位置を決定するように構成されたカメラを有し、
前記移動体は、絶対位置の系列を確定するために前記カメラを使用し、かつ、前記絶対位置に対する前記移動体の位置を確定するために前記複数の光学加速度計の出力を使用すること
を特徴とする移動体。
【請求項2】
前記複数の光学加速度計が、前記被測定用錘の変位を検出するために、該被測定用錘によって動く反射面で反射される光線を出力する光源を有すること
を特徴とする、請求項1に記載
の移動体。
【請求項3】
前記
複数の光学加速度計の各々が、前記反射面で反射される前に前記光線の一部が通過する回折格子を有すること
を特徴とする、請求
項2に記載
の移動体。
【請求項4】
前記
複数の光学加速度計は、マイクロ電気機械システム技術を用いて製造されること
を特徴とする、請求項1、2、又は3に記載
の移動体。
【請求項5】
前記アレイが、5~100mmの最大直線寸法を有すること
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載
の移動体。
【請求項6】
前記
複数の光学加速度計が、1~10mmの最小間隔を有すること
を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載
の移動体。
【請求項7】
前記アレイが
、前記複数の光学加速度計を
2~20個含むこと
を特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載
の移動体。
【請求項8】
前記アレイは、直線、平面、球、四面体、立方体、直方体、八面体、十二面体、及び二十面体を含む組から選択した形状に合わせることができること
を特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載
の移動体。
【請求項9】
前記アレイが、三つの直交軸の各軸に対して感度を有する複数の光学加速度計を有すること
を特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載
の移動体。
【請求項10】
前記光学加速度計装置は、また、ジャイロスコープを有す
ること
を特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載
の移動体。
【請求項11】
前記光学加速度計装置は、角加速度に関する情報を出力すること
を特徴とする、請求
項1~10のいずれか一項に記載
の移動体。
【請求項12】
前記カメラが、立体カメラ又は3Dカメラであること
を特徴とする、請求
項1~11のいずれか一項に記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度計に関する。
【背景技術】
【0002】
加速度計は、スマートフォンから航空機や船舶まで、動きを検知するための多種多様な用途がある。典型的な加速度計は、既知の被測定用錘の動きを通して加速度を測定する。質量の変位は、例えば、ひずみゲージによって測定することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Hesch, Joel A., et al., ”Camera-IMU-based localization: Observability analysis and consistency improvement”, The International Journal of Robotics Research(2013): 0278364913509675
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の加速度計の欠点の一つは、加速度計が出力する信号が相当な大きさの雑音を生じやすいことである。これによって、従来の加速度計の正確さが損なわれ、そのため、利用範囲が狭くなる。
【0005】
さらに最近では、加速度を測定するために光学加速度計が提案されている。この光学加速度計では、被測定用錘の動きは、レーザ等の光線の偏向によって検知される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の出願人は、光学加速度計の特定の特徴を利用して、光学加速度計のさらに有利な使用方法を開発することができることを見つけた。
【0007】
本発明の第1の態様からみると、本発明は光学加速度計装置を開示する。該光学加速度計装置は、共通の構造に取り付けられた複数の光学加速度計のアレイであって、前記光学加速度計の各々が、一つの所定の軸に沿って前記共通構造に加えられた加速の結果として、被測定用錘の変位を示す一つの信号を出力する複数の光学加速度計のアレイと、
前記信号を使用して前記加速度の推定値を決定するように構成されたプロセッサと、を有する。
【0008】
したがって、当業者には明らかなように、本発明によれば、個々の加速度計が一つの共通軸に沿って感応するように、複数の光学加速度計が一つのアレイに設けられている。出願人は、光学加速度計の固有雑音が本質的に低いことを利用してより高い精度を得るために、前記アレイによって、本明細書で後述するように組み合わせて詳細なデータを得ることができることがわかった。
【0009】
実施形態の一つの組では、加速度計は、被測定用錘の変位を検出するために、該被測定用錘によって動く反射面で反射される光線を出力する光源を有する。前記反射面は、前記被測定用錘自体におくことができる。あるいは、前記定質量が取り付けられた膜又は他の部材によって提供することができる。前記光源は、一つの光源を複数の加速度計で共通の光源にすることができるが、実施形態の一つの組では、個別の光源を、各加速度計に設けることができる。
【0010】
このような実施形態の組では、各加速度計は、前記反射面で反射される前に前記光線の一部が通過する回折格子を有することができる。前記反射面で反射される反射光は、前記回折格子から反射された光と干渉して、干渉縞を生成し、前記反射面、従って前記被測定用錘の動きをより正確に示す変化を生み出す。
【0011】
光学加速度計は、任意の所望の技術を用いて製造することができるが、実施形態の一つの組では、光学加速度計は、マイクロ電気機械システム(MEMS:Micro-Electrical Mechanical System)技術を用いて製造することができる。
【0012】
前記アレイの寸法は、特定の用途に応じて選択することができるが、実施形態の代表的な組では、5~50mmの最大直線寸法を有する。
【0013】
実施形態の一つの組では、前記アレイは、100mmの最大直線寸法を有する。
【0014】
実施形態の一つの組では、複数の前記光学加速度計は、1~10mmの最小間隔を有する。
【0015】
実施形態の一つの組では、前記アレイは、2~20個の光学加速度計を含むことができる。
【0016】
出願人は、光学加速度計装置が持つ固有の雑音、すなわち「自己」雑音は低く、しかも狭い範囲に広がるように、光学加速度計装置を製作できることを認識した。重大なことに、サイズと固有雑音の間に強い負の相関はない。逆に、他のタイプの加速度計では、加速度計の感度は、前記膜のサイズに依存している。この意味は、従来の加速度計が小さくなるにつれて、信号対雑音比が小さくなることを意味する。
【0017】
本願の出願人の考察では、光学加速度計装置の低い固有雑音特性及び小さいサイズは、密集して並べたアレイに複数の光学加速度計を設けることに利用できる。特に、固有雑音のノイズ・フロアが十分に低い場合(光学加速度計装置で達成できる程度に)、装置全体のサイズに悪影響を与えることなく、より正確な測定を行うことができることがわかった。
【0018】
前記アレイを密集して並べると、全体の物理的サイズを縮小できる。これは、たとえば、該アレイから得られるより高い性能を、幅広い分野のデバイスに実装できることを意味する。
【0019】
前記アレイは、任意の形状にすることができるが、実施形態の一つの組では、直線、平面、球、四面体、立方体、直方体、八面体、十二面体、及び二十面体を含む組から選択した形状に合わせられる。
【0020】
本発明によれば、一つの共通の感度軸を有する複数の光学加速度計が一つのアレイに設けられる。したがって、一つのアレイ全体は、単一の感度軸を有することができる。しかしながら、同様に、前記一つのアレイは、追加の複数の感度軸を有する複数の加速度計、好ましくは光学加速度計を有することができる。例えば、一つ又は二つの追加の感度軸を設けることができる。一組の実施形態では、前記一つのアレイは、三つの直交軸のそれぞれに沿って感度を有する複数の光学加速度計を有する。これは、三つの方向のそれぞれに複数の光学加速度計が向けられるように、適切に方向付けられた多数の単軸加速度計を用いて実現することができる。あるいは、複数の3軸加速度計(当技術分野においては公知である)を使用することができる。
【0021】
本発明の実施形態は、物体の動きを測定するために使用することができる。光学加速度計装置のアレイが取り付けられる共通構造は、自己完結型モジュールの一部を形成し、次に、該モジュールは物体に取り付けられる。あるいは、前記物体自体が共通の構造を有することもできる。例えば、複数の光学加速度計を仮想現実ヘッドセット又はドローン等の物体に取り付けることができる(一体化することを含む)。前記アレイが三つの直交軸を有する加速度計を含む場合、3次元の動きを測定することができる。しかしながら、一組の実施形態では、本発明による光学加速度計装置は、さらにジャイロスコープをも有する物体に取り付けられる。当該技術分野において公知のように、ジャイロスコープは角運動を測定することができ、かつ、多くの場合、乗り物、特に空中及び水上の乗り物の動きを検出するシステムの一部として使用される。そのような用途では、動き検出能力を向上させるために加速度計を設けることもできる。しかしながら、本願の出願人は、加速度計が、達成し得る総合的な精度に対する制限要因として作用する「弱いリンク」になることが多いことを認識している。一例としては、加速度計が、単に、装置が静止しているときの重力の方向を推定するために使用される多くの用途がある。これに対して、本発明によれば、光学加速度計のアレイによって提供される改善された精度は、この制限を取り除くことができ、その結果、ジャイロスコープの(一般的には優れた)精度を達成することができる。
【0022】
しかしながら、本願の出願人はまた、本発明による前記光学加速度計のアレイが、ジャイロスコープを使用する応用機器においてさらなる相乗効果を発揮することを認識した。具体的には、本願の出願人は、同一の感度軸を有する複数の加速度計の固定された空間的関係によって、空間的に離れた前記加速度計の出力の差を利用して回転に関する情報を決定することが可能になることを認識した。このような実施形態は、物体のサイズ及び形状の制約の範囲内で空間的分離を最大化することができるので、物体自体が前記共通の構造を提供する上述の実施形態のような実現に役立つ。しかしながら、光学加速度計の低い固有雑音は、それぞれの加速度計の間の間隔が狭くても、例えば、光学加速度計でなければ、通常は、有用な回転情報を取得するために必要とされる間隔よりも加速度計の間の間隔が狭くても、有用な回転データを得ることができることを意味する。
【0023】
したがって、本発明は、ジャイロスコープ信号を出力するジャイロスコープと、光学加速度計装置とを含む物体に拡張され、前記光学加速度計装置は、基板上に搭載された複数の光学加速度計のアレイとプロセッサとを含み、前記光学加速度計の各々は、前記基板の回転の結果として、それぞれの膜の変位を示す信号を出力し、前記プロセッサは、前記光学加速度計のアレイからの前記信号と前記ジャイロスコープ信号とを用いて前記回転に関する推定値を決定するように構成される。
【0024】
前記光学加速度計のアレイから得られた前記回転に関する情報は、従って、ジャイロスコープを単独で使用する場合と同等な程度まで回転の測定精度を高めるために使用することができる。これを実現する方法は多数ある。例えば、前記信号を単純に平均したり、加重平均を求めたりすることができる。
【0025】
角速度に関する情報を提供することに加えて、一組の実施形態において、光学加速度計装置は、角加速度に関する情報を得るために使用することができる。角加速度情報は、理論的には間隔を置いて配置された複数の加速度計から取得可能であるが、当該技術分野では、信号中の雑音から非常に大きな影響を受けるので実用化できないと考えられている。しかしながら、本願の出願人は、本願発明に基づいて提供される、低雑音光学加速度計のアレイを通して上記情報を導出し利用できることがわかった。
【0026】
一組の実施形態において、本発明に係る光学加速度計装置は、自身の位置を決定するように構成されたカメラを有する移動体に取り付けられる。本願の出願人は、適切な解像度、処理能力等を有するカメラ、特に立体カメラ、すなわち三次元(3D)カメラが物体の位置を効果的に決定することができる一方で、そのようなアプローチが相当な量の電力を使用し、ポータブル機器又はモバイル機器に適さなくなることを認識した。本願の出願人は、現在、VR(Virtual Reality)ヘッドトラッキングのための上述のような3Dカメラ(のみ)による手法を用い、それを市場に出すための多くの試みがあるが、この試みがまだ成功していないことを認識している。
【0027】
HTC Valve(登録商標)バーチャル・リアリティ・ヘッドセット等、既存の他の3Dカメラをベースとした追跡システムのもう一つの欠点は、システムを使用している部屋に設置された固定ビーコンに依拠していることである。これとは対照的に、出願人は、位置決定用のカメラと組み合わせて一つ又は複数の光学加速度計を使用すると、これらの欠点のいくつか又はすべてをなくすことができることがわかった。
【0028】
したがって、第2の態様から見たとき、本発明は、一つ又は複数の光学加速度計と、カメラと、プロセッサと、を有する移動体を開示し、前記一つ又は複数の光学加速度計は前記移動体に加わる加速力の結果として膜の変位を示す信号を出力し、前記プロセッサは、前記一つ又は複数の光学加速度計及び前記カメラを使用して前記移動体の位置の推定値を決定するように構成される。
【0029】
前記カメラは、好ましくは、立体カメラ又は3Dカメラである。前記移動体は、好ましくは複数の光学加速度計を有するアレイを含む。該アレイは、好ましくは、本発明の第1の態様及びその好ましい特徴に応じて構成される。
【0030】
位置推定値は、光学加速度計の出力(単数又は複数)及び前記カメラの出力からいくつかの方法で得ることができる。一組の実施形態において、前記カメラは、絶対位置、すなわち、環境内の他の物体又は特徴物に対する相対的な位置の系列-を確定するために使用され、かつ、前記光学加速度計の出力(単数又は複数)は、前記絶対位置に対する前記移動体の位置を確定するために使用される。このような実施形態に基づいて、出願人は、絶対位置追跡のために、ビーコン又は他の専用のインフラストラクチャを必要とせずに、カメラ、好ましくは3Dカメラを使用できることがわかった。その理由は、カメラを常時使用する必要はなく、カメラを使用してない間の位置に関する正確な情報を光学加速度計から得ることができるからである。これによって、許容量以上に電力消費を増加させることなく、移動体の環境を単に撮像することによって、上記のような絶対的な位置の決定に必要とされる処理能力の増強が可能になる。前記カメラは、周期的に、すなわち、決まった間隔で、絶対位置を確定するために使用することができる。あるいは、前記カメラは、条件に応じて、例えば、移動体の相対移動が閾値を超えたことを、光学加速度計が示す場合に、絶対位置を確定するために使用することができる。
【0031】
本発明の第1の態様の光学加速度計装置は、移動体の中又は上に設けることが有利である。多種多様な移動体が、本発明の第1の態様の移動体又は本発明の第2の態様の移動体に適する可能性がある。いくつかの非限定的な例には、遠隔操作型又は自律型の航空機(ドローン)、無人潜水機、ロボット、無人車、仮想現実ヘッドセットすなわち拡張現実ヘッドセット、及び、マウス、ペン、スタイラス等のコンピュータ入力機器が含まれる。
【0032】
本明細書において別の物に取り付けられた物品に言及している場合、これは単にそれらが一緒に動くように固定されていることを意味する。具体的な固定強度や固定方法は示していないが、これには、一体形成、恒久固定、取り外し可能な取り付け、等ができる物品が含まれる。取付けには、物品が物理的に接触しているという意味で直接的取付けであるか、又は一つ以上の中間物又は中間層が存在するという意味で間接的取付けである場合がある。
【0033】
本明細書で基板と呼ぶ場合、これは、単に、物品を(上述の意味で)取り付けるベース構造を意味し、何らかの特定の構造を意味するものではない。したがって、プリント回路基板やMEMSベース層は基板を表す場合があるが、必ずしも、このどちらかを示唆するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の特定の実施形態を、単なる例として、以下で説明する添付の図面を参照して説明する。
【
図2】本発明の光学加速度計の直方体アレイを含むモジュールの概略図である。
【
図3a】光学加速度計のアレイの別の形状を概略的に示す図である。
【
図3b】光学加速度計のアレイの別の形状を概略的に示す図である。
【
図5a】
図2のアレイを利用した移動体の一例を概略的に示す図である。
【
図5b】
図2のアレイを利用した移動体の一例を概略的に示す図である。
【
図5c】
図2のアレイを利用した移動体の一例を概略的に示す図である。
【
図5d】
図2のアレイを利用した移動体の一例を概略的に示す図である。
【
図6a】光学加速度計を使用した慣性測定用のSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)システムによる地図照合と、従来技術による加速度計を用いたSLAMシステムによる地図照合と、の比較を示す図である。
【
図6b】光学加速度計を使用した慣性測定用のSLAMシステムによる地図照合と、従来技術による加速度計を用いたSLAMシステムによる地図照合と、の比較を示す図である。
【
図7】位置追跡のためのカメラの使用方法を示す説明図である。
【
図8a】従来のVRヘッドセット装置と、本発明の実施形態との比較図である。
【
図8b】従来のVRヘッドセット装置と、本発明の実施形態との比較図である。
【
図9】本発明による位置追跡システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図10】従来の加速度計と本発明による加速度計との信号対雑音比とセンサの体積の関係の比較を示す図である。
【
図11】推定位置の予想誤差について、ジャイロスコープを有する本発明による光学加速度計アレイと、ジャイロスコープを有する従来のMEMS加速度計との比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、標準的なマイクロ電気機械システム(MEMS)技術を使用して製造された代表的な光学加速度計の主要機能部分を概略的に示す。この光学加速度計は、直立ハウジング4が上に取り付けられ、基板2を有する。ハウジング4は、任意の適切な機械的材料、例えば、シリコンで作られる。該ハウジング内には、電気接続は不要である。
【0036】
ハウジング4はその上端部で開口しており、被測定用錘6は、前記上端部近くでハウジング4の複数の壁に接続された多数のスプリング8によって、開口部の端部全体に吊り下げられている。被測定用錘6は、スプリングを使用する代わりに、膜、カンチレバー、折り畳みカンチレバー等によって吊り下げることができる。
【0037】
前記ハウジングの内部には、基板2に取り付けられた、レーザの形態の光源、例えば、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity-Surface Emitting Laser)10、及び光検出器12、13がある。基板2には、また、読み出し及び信号処理用の電子機器が搭載されている。
【0038】
透明基板14が、レーザ・ダイオード10と被測定用錘6との間で、ハウジング4に搭載されている。前記透明基板の上側中央部分16には、回折素子18が載っている。これは、例えば、前記透明基板の頂部に回折パターンとして蒸着された反射用金属片によって実現することができる。
【0039】
使用時に加速力が上記構造全体に加えられると、被測定用錘6は、スプリング8の復元力に抗して動き、このため、被測定用錘6と回折素子18との間の距離が変化する。
【0040】
レーザ10からの光は、透明基板14を通過する。レーザ10からの光の一部は回折素子18の前記パターンを通過し、一部の光は前記パターンを構成する複数の線によって反射される。前記通過する光は、被測定用錘6の背面から反射し、回折素子18を通って戻って来る。これら二つの経路を進んだ光の相対位相は、前記回折素子の異なる回折次数に割り当てられる光の割合を決定する(各回折次数は特定の方向と対応する)。本発明の好ましい実施形態では、回折素子18は回折フレネルレンズの形態をしている。従って、回折パターン18の複数の線は、ゼロ次回析次数に対応する中央焦点領域を与える標準的なフレネルの式に従って寸法決めされ、かつ、線間の間隔が決められる。第1の光検出器12は、0次光を受光するように配置されている。第2の光検出器13は、回折フレネルレンズが集束した1次回折による光を受光するように配置されている。回折素子16と被測定用錘6との間の間隔が、ダイオード10からのレーザ光の波長の半分又はその整数倍であるとき、回折素子16によって反射されたすべての光は実際的には0次回折に向けられる。この場合、第2の検出器13は回折素子の1次の位置(回折フレネルレンズの一点に集束される)にあるので、ほとんど光を受光しない。
【0041】
光路長は、もちろん、回折素子16と被測定用錘6との間の距離に依存する。0次回折光を測定する第1の光検出器12と、第2の光検出器13(これらの位置は固定されている)によって記録される光の強度は、上述の間隔の変化につれて変化するが、位相がずれている。
図1は、一つだけの光学加速度計を示しているが、同じ基板上に複数の光学加速度計を設けることもできる。
【0042】
図2は、本発明を具体化した光学加速度計装置又はモジュール20を示す。装置20は、外側ハウジング24(説明のために透明に示している)が取り付けられたフレーム22を有する。多数の光学加速度計26がフレーム22のそれぞれの角に取り付けられている。フレーム22は、立方体であるが、
図3a及び3bに示すように、四面体、八面体等の他の形状を使用することができ、光学加速度計26をその形状の頂点に配置することができる。別の実施例は、例えば長さ10センチの正方形のフレームを持ち、その角に置かれた加速度計を有する。これにより、測定範囲の広い基準線が得られ、したがって高い精度が得られる。
【0043】
光学加速度計26は、
図1を参照して上述したように単軸光学加速度計とすることができる。代替的には、光学加速度計26は、
図1に示す光学加速度計が三つ、互いに直交する角度で配置された、3軸光学加速度計とすることができる。フレーム22は、また、さらに別の接続部30を介して光学加速度計26及び制御ユニット28との電気的接続を行う。
図4に示すように、制御ユニット28は、プロセッサ31a、メモリ31b、電源31c、及び通信モジュール31dを含む。
【0044】
図2の拡大部分に示すように、個々の光学加速度計26は、プレート32内の適切な凹部に受支(例えば、接着)される。光学加速度計26の電気ピン34はプレート32の対応するソケット36に嵌合する。
【0045】
従って、モジュール20全体では、任意の決められた方向(単方向光学加速度計が使用される場合は単一方向、又は、3軸光学加速度計が使用される場合は3方向のそれぞれに)感度を有する、8つの空間的に分離しておかれた光学加速度計からなるアレイが設けられる。以下で例示されるように、複数の光学加速度計からなる上記のアレイは、より正確な位置決めを可能にし、かつ、信頼性のある角速度及び加速度の推定を可能にする。
【0046】
図示の実施形態は、独立したユニットとして複数の光学加速度計26を表わしているが、他の実施形態では、電力を節約するために二つ以上の光学加速度計が一つのレーザを共有する場合があることも想定される。中央光源から出たレーザ光は、例えば光ファイバを使用して分配するようにすることができる。
【0047】
最も簡単な実現形態では、複数の光学加速度計26からの複数の信号は、制御ユニット28内のプロセッサによって組み合わせ、平均値を求めることによって、関心のある方向における線形加速度のより正確な推定値を生成することができる(以前に説明したように、この方向は一つ又複数にすることができる)。前記より正確な推定値は、N個の光学加速度計の出力を平均化するための単純な関係式から得られる。
単一の光学加速度計の要素は式1で示される分散Vを有する。
【0048】
【0049】
分散は、光学加速度計の雑音の大きさを示す。N個の光学加速度計の出力が平均化されると、平均値の分散Vavgは、
【0050】
【0051】
これはもちろんVより小さい。
【0052】
実際には、所与の体積の中に嵌合させることができる、所定のサイズの光学加速度計素子の数は前記体積に比例するが、各構成素子のサイズに反比例する。したがって、光学加速度センサ素子のアレイからの測定値の分散は、個々のセンサ素子のサイズに比例する。
【0053】
上述のように、線形加速度のより正確な測定値を得るために光加速度計26を用いるだけでなく、空間的に分離された、共通の感度軸を有する複数の光学加速度計は、角速度及び加速度を決定するために利用することができる。これは、反復回帰処理を使用して実現できるが、この反復回帰処理は、上記問題を解決するためのいくつかの戦略の一つである。
【0054】
以下の剛体の運動方程式が適用される。
【0055】
【0056】
ここで、
fibnは、3軸光学素子の加速度であり、
fibは、ajに対する共通点の加速度であり、
Rの項は、向きの変化を示し、
αは角加速度であり、
rはfibnをを持つ前記3軸光学素子とfibを持つ前記共通点との間のベクトル距離であり、
ωは角速度である。
【0057】
項fibnは、光学加速度計によって直接測定されるので既知である。項fibは、中心点の周りのすべての加速度計の信号の平均値をとることによって導出することができる。項r及びRは各センサ素子の取り付け位置に依存する定数である。これらは両方とも較正によって決定でき、取り付けの概略寸法がわかっているので、概略値がわかる。しかしながら、熱による反り、接着の位置、及び他の望ましくない影響によって、取付け位置は設計位置に正確には合致しない位置になってしまう。
【0058】
計算が必要な未知の変数は、αとωである。式3では、ωが非線形であり、αが線形である。式4は、線形回帰式を示す。
【0059】
【0060】
ここで、
A = [<ωV>x] [<r>x] + [(<ωV>x <r>)x] であり、
Nは光学加速度計の個数であり、
式[<a>x]はベクトル<a>の交代行列を意味し、a3×1x b3×1=[<a>x]3x3bの形になる。
【0061】
この式は、例えば、ガウス・ニュートン法を用いて解くことができる。これは
図5aを参照して以降で説明する。
【0062】
図5aは、従来通りの四つのロータ42を有する遠隔操作航空機又はドローン40を示している。該ドローンはまた、前述の光学加速度計モジュール20、及び従来からあるジャイロスコープ44を搭載している。光学加速度計モジュール20は、前記ドローンのオンボード・コントローラへの有線接続を有するか、又は、このモジュール20を組み込むためにドローン40を再設計することが必要な部分を最小限にするために、例えばブルートゥース(登録商標)を使用して前記コントローラと無線通信することができる。
【0063】
ジャイロスコープ44及び光学加速度計モジュール20は、ドローン40の制御を改善するための方向情報及び位置情報を提供するために協調作動することができる。この協調作動は、例えば、ジャイロスコープ44からの出力を使用して上述の算術逐次近似アルゴリズムの初期値を与えることによって、又は、単に光学加速度計モジュール20及びジャイロスコープ44によってそれぞれ提供される角速度推定値の平均値を求めることによって達成できる。
【0064】
光学加速度計モジュール20を組み込むことによって得られる精度の向上は、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)からの信号を受信できない可能性がある屋内環境において、ドローン40の操縦をより良好にすることを可能にする。
【0065】
図5bは、本発明を実施可能な別の実施形態を概略的に示す。この実施形態は、光学加速度計モジュール20を搭載する地上自律ロボット46である。光学加速度計モジュール20に加えて、ロボット46が三次元撮像を可能にするための一対の立体視カメラ48を有する。
図7を参照して以下に説明するように、これによって、光学加速度計モジュール20及び3Dカメラ装置48を用いたより改善された位置決めハイブリッド・アプローチが可能性になる。
【0066】
図5cは、光学加速度計モジュール20を搭載した水中乗り物50を示す。これは、遠隔操作可能な水中乗り物又は自律型の水中乗り物として構成することができる。
【0067】
図5dは、一つ又は複数の光学加速度計モジュール20を含む「無人」自動車52を示す。この光学加速度計モジュール20により、自動車52は運動パラメータと位置をより正確に決定できる。これは、乗り物が、GPS信号を確実には受信できないトンネル、又は建物が密集した環境にあるときに非常に有用である。
【0068】
本発明に係る光学アレイ加速度計を使用することによって改善することができる、慣性航法とカメラとを結合する既存の方法のさらなる詳細は、非特許文献1に開示されている。
【0069】
出願人は、VSLAM(Visual Simultaneous Localization And Mapping)、VINS(Visual Inertial Navigation System)、及びVIO(Visual Inertial Odometry)は、すべて、本発明による一つ又は複数の光学加速度計と結合して使用することによって改良することができると考える。その理由は、これらの技術すべてで、慣性データに雑音がない場合に改善できるからである。SLAMシステムと関連する、本発明の特別な利点を以下に論じる。
【0070】
SLAMシステムでは、動作推定及び制御論理は、内側ループと外側ループという二つの部分に分割される。前記内側ループは、乗り物の動きを測定する役割を果たし、安定性と正確な動作制御にとって重要である。特にドローンのような機動性のある乗り物に対しては、前記内側ループは非常に高速なフレーム・レートで実行されなければならず、従って、典型的には慣性センサに基づいている。前記外側ループは、環境地図を作成し、その地図内での乗り物の位置を決定する役割を果たす。前記外側ループはカメラやLIDAR(LIght Detection And Ranging)デバイス等の外受容センサを必要とし、非常に大きな計算コストがかかるため、前記内側ループよりもはるかに低いフレーム・レートで動作する。
【0071】
前記外側ループの実行サイクルの間、乗り物は、ナビゲーション用の慣性センサの精度に無条件に依存する。したがって、どのようなSLAMシステムも、その性能は慣性測定の品質に直接影響を受ける。これは、より信頼性の高い慣性測定によって、外側ループを実行しなければならない頻度が減るからである。本発明による光学加速度計装置を使用することによる慣性測定の改善の利点のいくつかは以下の通りである。
【0072】
1)外部ループ(処理量が大きい計算)の更新頻度に対する要件の軽度化による計算コストの節約。これは、より小さく、より軽く、そしてより電力効率の高いハードウェアに結び付く。
【0073】
2)より正確な慣性航法による、外部ループ実行サイクルと外部ループ実行サイクルとの間の、乗り物の運動の改善。これにより、乗り物はより速く動き、同じ処理速度でよりダイナミックな操縦を実行することができる。
【0074】
3)外側ループの実行時間に関する要件の軽度化による、環境地図の拡大と詳細化、及び位置特定の正確化。
【0075】
4)慣性センサの精度と信頼性の向上による、外受容センサの信号の欠落や変化の特徴が少ない期間に対する確実性の向上。乗り物の動きは、外受容センサからの入力がない期間が長期にわたっても、正確に再構成することができる。
【0076】
5)低雑音の慣性測定値を求めるためのフィルタリング要件の削減による、速度と加速度の制御性能の向上、ひいては、乗り物制御システムの起動性と性能の向上。
【0077】
6)より安定し正確な慣性測定値による、特徴点の相対位置の予測の改良、さらに、特徴照合アルゴリズムの簡単化、及び、自己相似性のある特徴又は構造を含む景色に対する処理能力の改善。
【0078】
慣性測定の改善による計算コスト節約の利点は、
図6a及び6bから理解することができる。
図6aは、LIDARシステム及び本発明による光学加速度計モジュールを有する慣性測定ユニットを有するドローン600を示す。前記LIDARシステムは定期的にドローンの周囲の地図を取得するが、計算コストが高いため、地図の取得は頻繁には行えない。一つの地図の取得と次の地図の取得との間、前記慣性測定システムを使用してドローンの軌道、したがってその新しい位置を決定するので、取得された各々の地図の特徴は、以前に取得した地図の上の類似した位置の特徴と照合される。
【0079】
ドローンは、最初、第1の位置602にあり、ここで、LIDARシステムはドローンの周囲の第1の地
図604を取得する。第2の地
図606が取得される時までに、ドローン600は、第2位置608まで移動する。
【0080】
第1位置602と第2位置608との間で、前記慣性測定ユニットは経路610を計算する。経路610は、光学加速度計モジュールが正確なので、実際の軌道の非常に正確な推定になる。結果的に、新しい地
図606が前の地
図604上に重ね合わされるとき、特徴物は、相互に精緻に照合される。したがって、二つの前記地図の特徴物の照合は簡単である。
【0081】
図6bも、また、第1のドローン606について図示した動きと同じ動きをする第2のドローン600’を示す。ドローン600’は、地
図604、606に対応する第3及び第4の地
図604’、606’を取得する。しかしながら、第2のドローン600’は、従来技術による従来型のMEMS加速度計を備えた慣性測定ユニットを有する。
【0082】
第2のドローン600’が第1の位置602から第2の位置608に移動するとき、従来の慣性測定ユニットによって推定された軌道612は、第1のドローン606の前記慣性測定ユニットによって計算された軌道610よりも、正確さがはるかに劣っている(比較し易さを考慮して、両方の軌跡を
図6a及び6bの両方に示している)。その結果、第4の地
図606’が第3の地
図604’に重ね合わされるとき、ドローンの位置の決定が不正確になるため、二つの地図の特徴物の間の対応付けが不正確になり、このため、特徴物の照合は困難又は不可能にさえなる。地図更新の時間間隔が長いほど、推定される軌跡と実際の軌跡との間の差が大きくなり、地図の照合がより困難になる。したがって、従来の慣性測定ユニットを使用する場合、地図を頻繁に更新する必要がある。
【0083】
しかし、本発明による光学加速度計を用いるSLAMシステムでは、軌道の決定がより正確になされるので、地図の更新頻度は少なくてよく、計算リソースを節約することができる。
【0084】
本発明に従って、3Dカメラを使用した撮像と一つ又は複数の光学加速度計を使用する慣性位置決めとの、組み合わせ方の簡単な例を、
図7を参照して説明する。まず、環境内のランドマークの位置を、3Dカメラを使用して確定する。
図7に示す例では、樹木、及び山(
図7の上部には示されていない)までの距離を、自動車等の移動物に取り付けた3Dカメラを用いて第1の画像Aを撮像することにより確定する。前記移動物が距離Dだけ移動すると、別の画像Bが撮像される。前記樹木と山は、視差効果の結果として、二つの画像A-B間で互いに相対的に移動している。
【0085】
前記自動車の慣性運動もまた、前記光学加速度計から得られる加速度及び角速度を用いて確定される。前記ランドマークが動いていないと仮定すると、撮像した画像内の物体の動きは、前記車の動きに関するさらに別の情報を与える。上記二つの情報は、動きの推定を改善するために平均値をとられる。
【0086】
前記カルマン・フレームワークでは、下記のようなN個のランドマークが状態に追加される。
【0087】
【0088】
各ランドマークに対するプロセス・モデルは、次式で与えられる。
【0089】
【0090】
すなわち、各ランドマークは前記世界フレーム内で静止している。
【0091】
図8aは、仮想現実ヘッドセット54の動きを決定するための既知の構成を概略的に示す。当業者には明らかであるが、このようなヘッドセットの動きの正確な決定は、ユーザができるだけ自然な体験をするために重要である。既知の構成では、ヘッドセット54は、同じ部屋60内に位置する静止ビーコン58から発せられる光パルスを検出する多数の光検出器を有する。ビーコン58から発せられる光パルスを受信するタイミングの相対的な差を利用して、ヘッドセット54は、部屋60内の自身の位置及び向きを決定することができる。しかしながら、既知の構成の重大な欠点は、ビーコン58とヘッドセット54との間に基準線が必要とされることである。これは、ユーザが、ビーコンが事前に設置されていない隣の部屋62に移動することができないことを意味する。
【0092】
しかしながら、
図8bに示される本発明の実施形態によれば、光学加速度計モジュール20及び3Dカメラ64の両方が仮想現実ヘッドセット66に設けられている。以下で説明するように、ヘッドセット66の周囲環境にあるランドマーク68の3D画像と、
図8aを参照して以前に説明したものとは異なる光学加速度計モジュール20を使用した正確な相対位置決めとの組み合わせによって、前記ヘッドセットは、予め設置されたビーコンを必要とせずに、部屋60、62の間を移動するときに、正確に位置を追跡することができる。
【0093】
図9は、ヘッドセット66によって使用することができるハイブリッド位置決めアルゴリズムの概略を説説するフローチャートである。最初のステップ70において、3Dカメラ64は基準画像を取り込む。既知の画像認識技術を使用して前記画像内のランドマーク68を識別し、前記ランドマークに対するヘッドセット68の相対位置を計算することができる。この相対位置は、ステップ72で部屋60内の基準絶対位置を確定するために使用される。次に、ステップ74において、ヘッドセット66の動きを、光学加速度計モジュール20を用いて追跡する。これによって、三次元の加速度情報が得られ、これを積算して前記基準位置に対する前記ヘッドセットの三次元における積算された動きを決定することができる。
【0094】
ステップ76では、前記画像が取り込まれてから閾値時間が経過したか否かをみるための確認が行われる。もし閾値時間が経過していなければ、相対追跡が続行される(ステップ74)。しかしながら、前記閾値時間が経過している場合、ステップ78において、カメラ64を用いてもう一つ別の3D画像が撮像される。次に、内蔵プロセッサが、新たに取り込まれた画像を前記基準画像と比較し(ステップ80)、ヘッドセット66が前記基準位置からどれだけ動いたかを決定する(ステップ82)。これを使用して、新しい絶対位置を設定し(ステップ82)、この新しい絶対位置から相対追跡を継続することができる(ステップ74)。
【0095】
上記アルゴリズムを使用することにより、3Dカメラ66は、周期的に画像を取り込むことだけが必要であることがわかる。したがって、上記のような画像を撮像し処理するために必要とされる大きな電力量の使用は、頻度が比較的小さくなる。電力必要量がはるかに低い光学加速度計モジュール20は、ヘッドセットが、移動している場所の正確なモデルを維持するために、カメラ66による撮像と撮像の間に使用されるだけである。これは、電力消費を、禁止されている程度まで増加させることなく、かつ、事前にビーコンを設ける必要をなくする。それはまた、例えば、ユーザが、位置決め情報を失うことなく別の部屋62に移動することを可能にする。
【0096】
図10は、既知の加速度計と本発明による加速度計の信号対雑音比に対するセンサの体積の比較用のグラフである84と86とを示す。この図から、既知のセンサのグラフ84については、センサの体積と達成可能な典型的な信号対雑音比との間には、近似的に対数関係があることが分かる。センサの体積とコストの間には一般的に正の相関もある。しかしながら、本発明に従って使用される光学加速度計は、ずっと急勾配のグラフ86を示し、ゆるやかなサイズの増加に対してはるかに高い信号対雑音比を達成することができ、かつ、「損益」点が約1.1mm
3であることを示す。これにより、本発明の少なくとも好ましい実施形態に従って、多数の光学加速度計を一つのアレイに設けることに大きな妥当性があり、実際の製品に組み込むために大きすぎることはないことがわかる。これらのグラフ84とグラフ86は、既存のセンサの測定及び本明細書に記載された種類の光学加速度計を用いた実験を通して確認されており、したがって、現在入手可能な製品と比較して、大きな技術的及び経済的利点を発揮する可能性を実証している。
【0097】
図11は、2秒間に移動した経路の推定位置における推定誤差(センサ測定雑音による)について、(i)MEMSジャイロスコープを備えた四つの光学加速度計のアレイと、(ii)MEMSジャイロスコープを備えた単一の従来のMEMS加速度計との間の比較を示す。
図11は、ジャイロスコープを備えた光学加速度計のアレイによる推定経路90と、従来のMEMS加速度計及びジャイロスコープによる推定経路92と、合わせて、実際の経路88をグラフにすることによって説明している。
【0098】
従来のMEMS加速度計とジャイロスコープに関する信号対雑音比(SNR)は以下である。
【0099】
【0100】
光学加速度計アレイとジャイロスコープに関する有効なSNRは、以下のとおりである。
【0101】
【0102】
これらの図は、民生用電子機器での低コストの慣性測定解法に対応し、二つの測定解法の物理的なサイズは、類似しており、例えば、4平方ミリメートル以下である。ジャイロスコープは2種類のセンサで同一である。
【0103】
非線形最小二乗問題を解いて、前記光学加速度計のアレイから最も確度の高い加速度/ジャイロスコープ信号を抽出する。
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
なお、本明細書に記載した原理には多くの可能な変形及び応用があり、上述の例は、その中のごく少数のものであることは、当業者には明らかである。