(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】液圧流体動力伝達装置および液圧流体動力を伝達する方法
(51)【国際特許分類】
F15B 11/17 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
F15B11/17
(21)【出願番号】P 2018562727
(86)(22)【出願日】2017-02-22
(86)【国際出願番号】 GB2017050456
(87)【国際公開番号】W WO2017144875
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2020-02-21
(32)【優先日】2016-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509066031
【氏名又は名称】アルテミス インテリジェント パワー リミティド
【氏名又は名称原語表記】ARTEMIS INTELLIGENT POWER LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン,ロス・マッケイ
(72)【発明者】
【氏名】イェム,リチャード・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン,カーン・ナサニエル・ジョージ
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-000102(JP,A)
【文献】特開2005-106282(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0152887(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B11/00-11/22;21/14
F03B13/00-13/26;17/00-17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧流体動力伝達装置であって、
複数のチャンバを有するアクチュエータ装置であって、前記複数のチャンバのそれぞれは、その内部の液圧流体を駆動するか又はそれによって駆動されるように構成されたそれぞれの流体駆動表面を有する、アクチュエータ装置と、
前記複数のチャンバの1つ又は複数の第1チャンバを複数の液圧流体ソース又はシンクの1つに選択的に接続するように構成された離散化圧力制御システムであって、前記複数の液圧流体ソース又はシンクの少なくとも2つは、異なる流体圧力を有する、離散化圧力制御システムと、
前記複数のチャンバの1つ又は複数の第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される液圧流体の圧力又は液圧流体のフローレートを制御するように構成された連続的圧力制御システムであって、前記第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される前記液圧流体の前記圧力又はフローレートは、それにより、それぞれ圧力又はフローレートの範囲内で可変である、連続的圧力制御システムと、
前記離散化及び連続的圧力制御システムを制御して、それにより、前記チャンバ内の液圧流体圧力によって影響される前記アクチュエータ装置の特性を調節するように構成されたコントローラと
を含
み、
前記コントローラは、前記アクチュエータ装置の前記特性に対する前記第2チャンバの寄与が、前記アクチュエータ装置の前記特性に対する前記第1チャンバの寄与と、受け取られた要求によって指示される前記アクチュエータ装置の前記特性の値との間の差を少なくとも部分的に補償するように前記離散化及び連続的圧力制御システムを制御するように構成され、
前記コントローラは、前記アクチュエータ装置の前記特性に関する前記受け取られた要求から離散化要求及び連続的要求を生成するように構成され、前記コントローラは、前記離散化要求に準拠するように前記離散化圧力制御システムを制御し、且つ前記連続的要求に準拠するように前記連続的圧力制御システムを制御するように構成され、
前記離散化要求は、前記アクチュエータ装置の前記特性に関する前記受け取られた要求をオフセットすることによって判定される、液圧流体動力伝達装置。
【請求項2】
液圧流体動力伝達装置であって、
複数のチャンバを有するアクチュエータ装置であって、前記複数のチャンバのそれぞれは、その内部の液圧流体を駆動するか又はそれによって駆動されるように構成されたそれぞれの流体駆動表面を有する、アクチュエータ装置と、
前記複数のチャンバの1つ又は複数の第1チャンバを複数の液圧流体ソース又はシンクの1つに選択的に接続するように構成された離散化圧力制御システムであって、前記複数の液圧流体ソース又はシンクの少なくとも2つは、異なる流体圧力を有する、離散化圧力制御システムと、
前記複数のチャンバの1つ又は複数の第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される液圧流体の圧力又は液圧流体のフローレートを制御するように構成された連続的圧力制御システムであって、前記第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される前記液圧流体の前記圧力又はフローレートは、それにより、それぞれ圧力又はフローレートの範囲内で可変である、連続的圧力制御システムと、
前記離散化及び連続的圧力制御システムを制御して、それにより、前記チャンバ内の液圧流体圧力によって影響される前記アクチュエータ装置の特性を調節するように構成されたコントローラと
を含
み、
前記コントローラは、前記離散化及び連続的圧力制御システムを制御して、それにより、前記複数のチャンバ内の液圧流体圧力によって影響される前記アクチュエータ装置の特性を調節して、前記アクチュエータ装置の前記特性に関する受け取られた要求又は前記受け取られた要求に準拠するように構成され、
前記コントローラは、前記アクチュエータ装置の前記特性に関する前記受け取られた要求から離散化要求及び連続的要求を生成するように構成され、前記コントローラは、前記離散化要求に準拠するように前記離散化圧力制御システムを制御し、且つ前記連続的要求に準拠するように前記連続的圧力制御システムを制御するように構成され、
前記離散化要求は、前記アクチュエータ装置の前記特性に関する前記受け取られた要求をオフセットすることによって判定される、液圧流体動力伝達装置。
【請求項3】
前記離散化要求は、前記第2チャンバの個々の第2チャンバから入手可能である負荷範囲の半分だけ、前記受け取られた要求をオフセットすることによって判定される、請求項
1または2に記載の液圧流体動力伝達装置。
【請求項4】
前記連続的圧力制御システムは、異なる動作モードでポンプ又はモーターとして動作するように動作可能な1つ又は複数の可変容量ポンプ/モーターを含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の液圧流体動力伝達装置。
【請求項5】
液圧流体動力伝達装置であって、
複数のチャンバを有するアクチュエータ装置であって、前記複数のチャンバのそれぞれは、その内部の液圧流体を駆動するか又はそれによって駆動されるように構成されたそれぞれの流体駆動表面を有する、アクチュエータ装置と、
前記複数のチャンバの1つ又は複数の第1チャンバを複数の液圧流体ソース又はシンクの1つに選択的に接続するように構成された離散化圧力制御システムであって、前記複数の液圧流体ソース又はシンクの少なくとも2つは、異なる流体圧力を有する、離散化圧力制御システムと、
前記複数のチャンバの1つ又は複数の第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される液圧流体の圧力又は液圧流体のフローレートを制御するように構成された連続的圧力制御システムであって、前記第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される前記液圧流体の前記圧力又はフローレートは、それにより、それぞれ圧力又はフローレートの範囲内で可変である、連続的圧力制御システムと、
前記離散化及び連続的圧力制御システムを制御して、それにより、前記チャンバ内の液圧流体圧力によって影響される前記アクチュエータ装置の特性を調節するように構成されたコントローラと
を含
み、
前記連続的圧力制御システムは、異なる動作モードでポンプ又はモーターとして動作するように動作可能な1つ又は複数の可変容量ポンプ/モーターを含み、
前記連続的圧力制御システムは、高圧液圧流体ソースと液圧流体を交換する別のユニットとの共通シャフト構成において可変容量ポンプ/モーターを含む、液圧流体動力伝達装置。
【請求項6】
共通シャフトは、原動機又はエネルギーシンクに結合され、前記コントローラは、前記共通シャフトと前記原動機又はエネルギーシンクとの間のスムージングされた正味の動力転送を提供するように正味のシャフトトルクを制御するように構成される、請求項
5に記載の液圧流体動力伝達装置。
【請求項7】
前記連続的圧力制御システムは、前記第2チャンバと複数の液圧流体ソース又はシンクのそれぞれの1つとの間の液圧流体のフローを調節するようにそれぞれ構成される1つ又は複数の可変フロー制御弁を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の液圧流体動力伝達装置。
【請求項8】
液圧流体動力伝達装置であって、
複数のチャンバを有するアクチュエータ装置であって、前記複数のチャンバのそれぞれは、その内部の液圧流体を駆動するか又はそれによって駆動されるように構成されたそれぞれの流体駆動表面を有する、アクチュエータ装置と、
前記複数のチャンバの1つ又は複数の第1チャンバを複数の液圧流体ソース又はシンクの1つに選択的に接続するように構成された離散化圧力制御システムであって、前記複数の液圧流体ソース又はシンクの少なくとも2つは、異なる流体圧力を有する、離散化圧力制御システムと、
前記複数のチャンバの1つ又は複数の第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される液圧流体の圧力又は液圧流体のフローレートを制御するように構成された連続的圧力制御システムであって、前記第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される前記液圧流体の前記圧力又はフローレートは、それにより、それぞれ圧力又はフローレートの範囲内で可変である、連続的圧力制御システムと、
前記離散化及び連続的圧力制御システムを制御して、それにより、前記チャンバ内の液圧流体圧力によって影響される前記アクチュエータ装置の特性を調節するように構成されたコントローラと
を含
み、
前記連続的圧力制御システムは、前記第2チャンバ内への又はそれから外への液圧流体の前記圧力又はフローレートを、前記第2チャンバの容積の変化に応答して制御するように構成される、液圧流体動力伝達装置。
【請求項9】
液圧流体動力伝達装置であって、
複数のチャンバを有するアクチュエータ装置であって、前記複数のチャンバのそれぞれは、その内部の液圧流体を駆動するか又はそれによって駆動されるように構成されたそれぞれの流体駆動表面を有する、アクチュエータ装置と、
前記複数のチャンバの1つ又は複数の第1チャンバを複数の液圧流体ソース又はシンクの1つに選択的に接続するように構成された離散化圧力制御システムであって、前記複数の液圧流体ソース又はシンクの少なくとも2つは、異なる流体圧力を有する、離散化圧力制御システムと、
前記複数のチャンバの1つ又は複数の第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される液圧流体の圧力又は液圧流体のフローレートを制御するように構成された連続的圧力制御システムであって、前記第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される前記液圧流体の前記圧力又はフローレートは、それにより、それぞれ圧力又はフローレートの範囲内で可変である、連続的圧力制御システムと、
前記離散化及び連続的圧力制御システムを制御して、それにより、前記チャンバ内の液圧流体圧力によって影響される前記アクチュエータ装置の特性を調節するように構成されたコントローラと
を含
み、
前記連続的圧力制御システムは、前記第2チャンバの容積及び流体容積の有効体積弾性係数を考慮して圧力の望ましい変化を引き起こすように、前記第2チャンバ内への又はそれから外への前記液圧流体のフローレート又は圧力を制御するように構成される、液圧流体動力伝達装置。
【請求項10】
液圧流体動力伝達装置であって、
複数のチャンバを有するアクチュエータ装置であって、前記複数のチャンバのそれぞれは、その内部の液圧流体を駆動するか又はそれによって駆動されるように構成されたそれぞれの流体駆動表面を有する、アクチュエータ装置と、
前記複数のチャンバの1つ又は複数の第1チャンバを複数の液圧流体ソース又はシンクの1つに選択的に接続するように構成された離散化圧力制御システムであって、前記複数の液圧流体ソース又はシンクの少なくとも2つは、異なる流体圧力を有する、離散化圧力制御システムと、
前記複数のチャンバの1つ又は複数の第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される液圧流体の圧力又は液圧流体のフローレートを制御するように構成された連続的圧力制御システムであって、前記第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される前記液圧流体の前記圧力又はフローレートは、それにより、それぞれ圧力又はフローレートの範囲内で可変である、連続的圧力制御システムと、
前記離散化及び連続的圧力制御システムを制御して、それにより、前記チャンバ内の液圧流体圧力によって影響される前記アクチュエータ装置の特性を調節するように構成されたコントローラと
を含
み、
前記コントローラは、前記第2チャンバの圧力の変化を1つ又は複数の前記第1チャンバ内の圧力の対応する変化と同期させるように構成される、液圧流体動力伝達装置。
【請求項11】
前記複数のチャンバの前記流体駆動表面は、前記複数のチャンバの前記それぞれの流体駆動表面に対して液圧流体によって作用される力が加法的又は減法的であるように互いに結合される、請求項1~
10のいずれか一項に記載の液圧流体動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧流体動力伝達装置及び液圧流体動力を伝達する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液圧アクチュエータによって印加される負荷は、2つの主要な方法:1つ若しくは複数のアクチュエータに対する連続的で滑らかな圧力制御、又は(滑らかに変化する関数ではなく)離散型の若しくは「量子化」された負荷ステップを生成するための、高圧と低圧との間での1つ又は複数のアクチュエータの総面積の切り替えで制御することができる。
【0003】
アクチュエータに印加される圧力を連続的に制御する簡単な且つ一般的に使用される手段は、比例制御弁を使用してアクチュエータチャンバ内の圧力を直接的に調節することによるものである。流体は、ポンピングによって高圧に昇圧され、且つアキュムレータ内に保存される。アクチュエータを駆動する必要がある場合、比例制御弁を使用してこの圧力の多くを減圧することにより、処方された負荷又は速度でアクチュエータを駆動するためにアクチュエータに印加される中間圧力が生成される。アクチュエータが動きに抵抗しなければならない場合、制御弁は、アクチュエータ内で生成される圧力を減圧して低圧リザーバに戻す。単純であり且つ大きい瞬間的動力を潜在的に許容する一方、当然のことながら、この方式は、非常に非効率的且つ浪費的であり、なぜなら、いずれのモードでも、過剰な圧力エネルギーを熱及び雑音として散逸させることによってのみ制御を実現することができるためである。
【0004】
別の一般的な方法は、閉じた液圧回路を使用することであり、この場合、(異なる動作モードでポンプ又はモーターとして機能するように動作可能である)単一の双方向液圧ポンプ-モーターを使用することにより、交互に、双方向アクチュエータの1つの側から流体を取得し、且つそれを他の側にポンピングする。この結果、負荷及び動きの連続的且つ高帯域幅の制御が許容されるが、瞬間的動力がポンプ-モーターのものに制限され、エネルギーの保存又はスムージングが不可能であり、且つ通常、(大部分の状況において)上述の純粋に散逸しているシステムより良好であるものの、ポンプ-モーター機械のフル瞬間動力定格と、継続的に稼働しなければならないという事実とに起因し部分負荷効率が乏しい。
【0005】
図1に示される第3の方法は、エネルギー保存を伴う真の連続的に可変である伝達装置を生成する共通シャフト上のポンプ-モーター10、12の対を使用する。1つのポンプ-モーター10は、双方向のトルクを共通シャフト14に提供するために、その変位の制御下において高圧エネルギーストア16と低圧リザーバ18との間で流体を交換する。この結果、他のポンプ-モーター12は、アクチュエータ20との間でフローを双方向に伝達するためにこのトルクを使用し得る。従って、アクチュエータ20とエネルギーストア16との間で動力を伝達することができる。原動機又は発電機22に結合された液圧ポンプ又はモーター21をエネルギーストア16と通信状態で提供することにより、システムの平均動力要件の総体的な動力ソース又はシンクを提供することができる。このシステムは、動力交換及び保存並びに格段に小さい原動機又は発電機定格を許容するが、回転機械の瞬間的動力及び部分負荷効率の制限を受ける。
【0006】
(後述する量子化されたシステムがそうであるように)瞬間的動力要件について原動機又は発電機を定格設定する必要性を回避するのみならず、このシステムは、量子化されたシステムの離散ステップを伴うことなくフロー、負荷、及び動力の連続的に可変な伝達を許容する。一方、費用及び効率が主要な懸念事項ではない(例えば、オフショア昇降装置におけるもの又は大型の土木装置におけるものなどの)可動型且つ産業用の用途では一般的であるものの、従来の流体動力変換システムは、高ピーク対平均動力及び流量比が、より広い経済的推進力が付与された場合に部分負荷における高資本コスト及び高損失が受け入れ不能となることを意味する、再生可能エネルギーの用途におけるその有用な適用を妨げる基本的な欠点を有するであろう。
【0007】
量子化された伝達装置は、通常、離散したアクチュエータ面積を能動的に加圧及び減圧するために、デジタル制御された高速動作弁を使用する。この結果、合計印加力を変化させるために、公称的に安定した圧力が滑らかな関数としてではなく、一連のステップとして印加される総面積が変化する。これは、「量子化」されたシステムと呼称され、且つ望ましい連続的システム又は機能を一連のステップによって近似するプロセスは、「量子化」と呼称される。液圧伝達装置では、このような方式は、アクチュエータとローカルエネルギーストアとの間の相対的に非常に効率的な動力伝達を伴う力の迅速な制御を提供する。エネルギーストア内の作動圧力は、第2伝達(生成/供給)システムを介して制御可能であり得る。
【0008】
連続的な制御に対する量子化された近似は、利用可能な離散負荷ステップからリアルタイムで選択することによって実現され得る。量子化された流体動力伝達装置は、負荷支承アクチュエータの個々のエリア(例えば、液圧シリンダピストンのいずれかの側又は回転式液圧アクチュエータのポート間)と回路の高圧又は低圧部分との間のフローを許容するために、デジタル制御された液圧弁を使用する。従って、それぞれのアクチュエータ面積によって印加される正味の力と、従って全体としての負荷とは、正確なタイミングにより、異なるチャンバ圧力を順番に組み合わせることによってリアルタイムで制御され得る。
【0009】
図2には、単純な固定変位回転式アクチュエータ30の場合について、量子化された伝達装置の一例が示される。この例では、アクチュエータ30の単一のアクチュエータチャンバが反対方向に動作し、アクチュエータチャンバは、電子制御された低圧及び高圧弁40、42のそれぞれの対36、38により、高圧エネルギーストア32又は低圧リザーバ34に選択的に接続される。アクチュエータと、それぞれのアクチュエータチャンバ内の圧力を制御するために接続される高圧又は低圧ギャラリとの間のフローを許容するように弁の開閉を切り替えることができる。アクチュエータ30の3つの可能な負荷状態:ゼロ及びいずれかの方向における1つのステップが存在し、負荷ステップの大きさは、相対的なアクチュエータ面積(例えば、アクチュエータのピストンの流体駆動表面の面積)と、印加されたステップ圧力との関数である。利用可能な負荷及び負荷ステップの数を増大させるために、更なるアクチュエータを並列状態で追加することができる。ステップの数が大きいほど、ステップ状の負荷プロファイルは、より近接した状態で連続的負荷制御関数を近似する(但し、コンポーネントの数が大きいほど、全体的な複雑さ及び費用も増大する)。
【0010】
量子化された伝達装置は、原動機又は発電機44に結合された液圧ポンプ又はモーター43に(例えば、エネルギーストア32を介して)液圧結合され得、それにより、システムに対する総体的な動力ソース又はシンクが提供される。
【0011】
任意の印加負荷の場合、吸収された動力は、何らの有限な変位及び非効率的な回転機械も通過することなくエネルギー保存システムとの間で伝達される。フローが通過しなければならないのは、切り替えられる入口及び出口弁並びに任意の配管接続のみである。これらは、非常にわずかな費用及び複雑さにおいて、事実上制限のないフロー可能性を受け入れるようにサイズ設定することができる。従って、量子化された伝達装置は、固定損失を有さず、且つ流体の最小限の制限を有するデジタル制御された弁の組を通してアクチュエータと動力パック(又は発電機)コンポーネントとの間のルートを提供する。この結果、第1アクチュエータ内の圧力を変化させるために従来の可変容量ポンプ/モーターを使用した設計と比較して、低い損失及び改善された効率が得られる。なぜなら、従来の可変容量ポンプ/モーターと関連する損失には、ブーストシステム内の漏洩、チャーニング、摩擦及び寄生損失が含まれ、離散作動ステップを加圧及び減圧するためにデジタル弁を使用する量子化された伝達装置にはこれらが存在しないからである。
【0012】
更に、量子化されたシステムは、デジタル弁及び流体接続(すべてのシステムに必要とされる接続)を通した流体抵抗のみによって制限される範囲にわたって動力及びフローを伝達し得る一方、1つ又は複数のアクチュエータと適合状態で配置されたすべての可変容量ポンプ/モーターの有限の定格は、総体的な第1作動システムの動力定格も制限するはずである。後者は、動力定格及び機器の費用、サイズ及び乏しい部分負荷効率の観点で格段に大きい制限である。
【0013】
所与の動力処理能力の場合、量子化された伝達装置を実装するために必要とされるデジタル制御マニホルドの費用は、可変容量ポンプ-モーターと比較して相対的に小さい。量子化されたシステムは、動力範囲にわたって相対的にフラットな効率を有し、(デジタル制御ソレノイドの相対的に小さい動力要件を除いて)ゼロの固定損失が存在し、フロー損失は、流体通過においてのみ存在し、且つ容積計測損失は、非常に小さいアクチュエータの動きにおいてのみ有意である。直接結合された可変容量ポンプ/モーター伝達装置は、小さい動力において過大な損失を有するであろう。所与の動力範囲を充足するように可変容量ポンプ/モーターをサイズ設定すると、可変容量ポンプ/モーターは、その動力範囲の下部に向かって非常に非効率的となる。従って、再生可能エネルギーの動力取り出しにおけるもの又はヒーブ補償システムにおけるものなど、ピーク対平均動力及びフローの大きい比率を伴う用途の場合、従来のシステムは適していない。
【0014】
量子化された方式の主要な欠点は、連続的に可変な負荷ではなく、離散負荷ステップを適用する点にある。遷移の周辺における制限循環(要求信号に影響するステップ負荷とのやり取り及びシステムの動的応答に起因して、量子化されたシステムが2つの状態間で交互に迅速に切り替わる不安定性)を回避するために、量子化プロセスではヒステリシスが必要とされ、従って実際的なステップサイズでは、量子化プロセスは、安定した動作を維持するために、理想的な負荷信号からの大きい位相シフトを導入しなければならない。この結果、全体として、負荷及び動き制御システムの性能は、連続的負荷制御によって可能であるものを十分に下回る程度に制限される。
【0015】
滑らかに変化するものが制御の観点で好ましい場合、液圧シリンダ内の圧力の切り替えは、ステップ状の負荷プロファイルをもたらす。負荷におけるこれらのステップは、力又は動きの制御ループで実現され得る利得に対して大きい制限をもたらし得る。多くの用途では、量子化されたシステムは、絶対的な動き制御の必要性、静的負荷を保持する必要性、及び/又は小さい慣性を有する要素の動きを滑らかに制御する要件に起因して実現可能でない。液圧アクチュエータ内で圧力を連続的に変化させることは、大部分の用途で必要とされるか又は魅力的な特徴である。これをデジタル量子化システムのみによって実現するための唯一の方法は、非常に多数の非常に小さいアクチュエータ負荷ステップを有することであるが、これは多くの用途で魅力的又は実際的ではないであろう。
【0016】
これまでの大部分の用途では、量子化された伝達装置に存在するステップ変化よりも、アクチュエータに印加される圧力を連続的に変化させることが優先的に使用される。但し、デジタル制御された量子化されたシステムは、機器の所与の費用及びサイズにおける動力伝達装置の効率並びに動力及びフロー容量で主要な利点を提供する。量子化された伝達装置は、連続的伝達装置よりも大きい効率を潜在的に提供するが、そのステップ状の出力に起因していくつかの用途では使用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、改善された液圧伝達装置が望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1態様は、液圧流体動力伝達装置であって、複数のチャンバを有するアクチュエータ装置であって、チャンバのそれぞれは、その内部の液圧流体を駆動するか又はそれによって駆動されるように構成されたそれぞれの流体駆動表面を有する、アクチュエータ装置と、前記複数のチャンバの1つ又は複数の第1チャンバを複数の液圧流体ソース又はシンクの1つに選択的に接続するように構成された(例えば、プログラミングされた)離散化圧力制御システムであって、複数の液圧流体ソース又はシンクの少なくとも2つは、異なる流体圧力を有する、離散化圧力制御システムと、前記複数のチャンバの1つ又は複数の第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される液圧流体の圧力又は液圧流体のフローレートを制御するように構成された(例えば、プログラミングされた)連続的圧力制御システムであって、第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される液圧流体の圧力又はフローレートは、それにより、それぞれ圧力又はフローレートの範囲内で可変である、連続的圧力制御システムとを含む液圧流体動力伝達装置を提供する。液圧流体動力伝達装置は、通常、離散化及び連続的圧力制御システムを制御して、それにより、前記チャンバ内の液圧流体圧力によって影響されるアクチュエータ装置の特性を調節するように構成されたコントローラを更に含む。
【0019】
通常、液圧ソース又はシンクの前記少なくとも2つは、異なる圧力を有し、それにより、それらの圧力間に離散ステップが存在する。
【0020】
1つ又は複数の第1チャンバが複数の液圧流体ソース又はシンクの1つに選択的に接続されることに伴い、液圧流体ソースから前記第1チャンバへの又は前記第1チャンバから液圧流体シンクへの液圧流体の直接的伝達が提供される。この液圧流体は、何らの有限変位又は非効率的な回転機械を介して流れる必要もなく、これは、瞬間的動力が事実上制限されておらず、且つエネルギー損失が連続的に可変な伝達装置の場合よりも格段に小さいことを意味する。
【0021】
第2チャンバ内に又はそれから外に流れる液圧流体の圧力又はフローレートがそれぞれ圧力又はフローレートの範囲内で制御され得ることに伴い、離散化圧力制御システムの離散ステップを伴うことなく液圧流体フロー、負荷、及び動力の連続的に可変な伝達を実現することができる。
【0022】
離散化及び連続的圧力制御システムの両方を提供することにより、第1チャンバの圧力における離散ステップがアクチュエータ装置の前記特性に伝播されることなく、離散化圧力制御システムの効率性の利益を実現することができる。この結果、本発明の第1態様による液圧流体伝達装置は、大きい瞬間的動力フローを効率的に処理するのに特に適したものとなる。
【0023】
通常、コントローラは、アクチュエータ装置の前記特性に対する第2チャンバ(及び通常、従って連続的圧力制御システム)の寄与が、アクチュエータ装置の前記特性に対する前記第1チャンバ(及び通常、従って離散化圧力制御システム)の寄与と、受け取られた要求によって指示されるアクチュエータ装置の前記特性の値との間の差を少なくとも部分的に(通常、連続的に)補償するように連続的圧力制御システムを制御するように(且つ通常、離散化圧力制御システムを制御するように)構成される。
【0024】
通常、前記受け取られた要求は、アクチュエータ装置の前記特性の滑らかに変化する関数である。通常、アクチュエータ装置の前記特性に対する前記第1チャンバ(及び通常、従って離散化圧力制御システム)の寄与は、1つ又は複数のステップを含む。受け取られた要求によって指示されるアクチュエータ装置の前記特性の値と、アクチュエータ装置の前記特性に対する前記第1チャンバ(及び従って離散化圧力制御システム)の寄与との間の差を補償することにより、アクチュエータ装置の前記特性に対する前記第1チャンバの寄与におけるステップを事実上スムージングし、それにより、アクチュエータ装置の前記特性を(通常、滑らかである)受け取られた要求に従ってより正確に調節し得る。
【0025】
通常、液圧伝達装置は、前記第2チャンバよりも多くの数の前記第1チャンバを含む。これは、1つの第2チャンバ当たり少なくとも2つ(又は少なくとも3つ)の第1チャンバが存在するということであり得る。
【0026】
第2チャンバよりも多くの数の第1チャンバを提供することにより、液圧流体動力伝達装置の効率が改善され、なぜなら、離散化流体伝達装置は、通常、連続的流体伝達装置よりも効率的に液圧流体を伝達するからである。
【0027】
これは、単一の第2チャンバが提供されるということであり得る。
これは、複数の第1チャンバ(通常、3つ以上の第1チャンバ、更に通常、4つ以上の第1チャンバ)が提供されるということであり得る。
【0028】
アクチュエータ装置の前記特性は、例えば、特定の性能特性(例えば、アクチュエータ装置に供給されるか若しくはそれによって供給される運動の速度若しくはトルク)、出力トルク、出力の力、回転の速度、運動の速度、電力出力、動力入力若しくは出力、線形若しくは回転変位、アクチュエータシャフトの運動に対する抵抗力、アクチュエータ装置への若しくはそれからの流体圧力若しくは流体フローレート、又はアクチュエータ装置に対して作用するか若しくはそれによって作用される力若しくは圧力のいずれかであり得る。
【0029】
アクチュエータ装置の前記特性は、通常、アクチュエータ装置の出力特性である。
受け取られた要求は、通常、アクチュエータ装置の前記特性に関する要求である。通常、受け取られた要求は、アクチュエータ装置の前記特性の必要とされる(例えば、ターゲットである)値を指示する受信信号である。例えば、これは、受け取られた要求が、アクチュエータ装置の性能特性(例えば、アクチュエータに供給されるか若しくはそれによって供給される運動の速度又はトルク)の必要とされるか若しくはターゲットである値を指示する受信信号、アクチュエータ装置の出力トルクの必要とされる(例えば、ターゲットである)値を指示する受信信号、アクチュエータ装置の出力の力の必要とされる(例えば、ターゲットである)値を指示する受信信号、アクチュエータ装置の回転の速度の必要とされる(例えば、ターゲットである)値を指示する受信信号、アクチュエータ装置の運動の速度の必要とされる(例えば、ターゲットである)値を指示する受信信号、アクチュエータ装置の電力出力の必要とされる(例えば、ターゲットである)値を指示する受信信号、アクチュエータ装置の動力入力若しくは出力の必要とされる(例えば、ターゲットである)値を指示する受信信号、アクチュエータ装置の線形若しくは回転変位の必要とされる(例えば、ターゲットである)値を指示する受信信号、アクチュエータ装置のアクチュエータシャフトの運動に対する抵抗力の必要とされる(例えば、ターゲットである)値を指示する受信信号、アクチュエータ装置への若しくはそれからの流体圧力若しくは流体フローレートの必要とされる(例えば、ターゲットである)値を指示する受信信号、又はアクチュエータ装置に対して作用するか若しくはそれによって作用される力若しくは圧力の必要とされる(例えば、ターゲットである)値を指示する受信信号であるということであり得る。
【0030】
これは、受け取られた要求がユーザーからの手動制御入力から導出されるということであり得る。代わりに、これは、受け取られた要求が、自動的にコンピュータによって導出される制御入力(例えば、水の波から電力を抽出するための装置の浮力体部材の運動に対する液圧ラムの望ましい抵抗力)であるということであり得る。
【0031】
これは、受け取られた要求が、液圧伝達装置及びアクチュエータ装置を含む手動動作液圧機械の特定の性能特性(例えば、アクチュエータ装置に供給される運動の速度又はトルク)に関する要求であるということであり得る。
【0032】
複数の液圧ソース及びシンクは、1つ又は複数の液圧流体ソースと、1つ又は複数の液圧流体シンクとを含み得ることを理解されたい。複数の液圧ソース及びシンクは、2つ以上の液圧ソースを含み得る。複数の液圧ソース及びシンクは、2つ以上の液圧流体シンクを含み得る。
【0033】
通常、少なくとも1つの又はそれぞれの第2チャンバは、少なくとも1つの又はそれぞれの第1チャンバのもの以上である負荷範囲を有する。通常、それぞれの第2チャンバは、第2チャンバが、制御ヒステリシス、圧力降下及び他の実のシステム効果によって実際のシステム内のステップを補正するための十分な負荷容量を有することを保証するために、1つの又はそれぞれの前記第1チャンバよりも10~20%だけ大きい負荷範囲を有することができる。前記第2チャンバの負荷範囲は、要求を充足するための第2チャンバの最小寄与(例えば、最小加圧流体消費又は出力)から、要求を充足するための第2チャンバの最大寄与(例えば、最大加圧流体消費又は出力)までの範囲であることを理解されたい。
【0034】
通常、第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される液圧流体の圧力は、第1圧力と第2圧力との間における圧力の範囲内で可変である。これは、離散化圧力制御システムが、前記複数のチャンバの1つ又は複数の第1チャンバを複数の液圧流体ソース又はシンクの1つに選択的に接続するように構成される(例えば、プログラミングされる)ということであり得、この場合、複数の液圧流体ソース又はシンクは、前記第1圧力に等しい圧力を有する液圧流体シンクと、第2圧力に等しい圧力を有する液圧流体ソースとを含む。但し、当然のことながら、これは、離散化及び連続的圧力制御システムの圧力範囲が異なるということであり得る。例えば、第1及び第2圧力間の差は、前記液圧流体ソース及びシンク間の圧力差を上回ることができる。
【0035】
これは、離散化圧力制御システムが1つ又は複数の第1チャンバを複数の液圧流体ソース又はシンクの1つに選択的に接続して、それにより、離散圧力値間で前記第1チャンバ内の圧力を選択的に変更するように構成されるということであり得る(前記離散圧力値は、液圧流体ソース又はシンクの圧力によって決定される)。通常、離散化圧力制御システムは、時間との関係で離散的に(即ち時間に伴って非連続的に)離散圧力値間で前記第2チャンバ内の圧力を選択的に変更するように構成される。
【0036】
これは、連続的圧力制御システムが、時間との関係で連続的に前記複数のチャンバの1つ又は複数の第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される液圧流体の圧力又はフローレートを制御するように構成されるということであり得る。
【0037】
これは、連続的圧力制御システムが、連続的圧力制御システムの回転可能シャフト(例えば、可変容量ポンプ-モーター若しくは可変容量ポンプ-モーターの対の回転可能シャフト)の回転を(伝達装置から電力を取り出すために)電気に変換するように構成された発電機、及び/又は(例えば、アクチュエータ装置が負荷に対して仕事を実行することを許容するために)動力を伝達装置に提供するように構成された原動機(例えば、電気モーター若しくは内燃(例えば、ディーゼル式)機関などのエンジン)を含むということであり得る。
【0038】
これは、液圧伝達装置が、高圧液圧流体ストアから受け取られた加圧された液圧流体を回転可能シャフトの回転に変換するように構成された可変容量液圧モーターと、電気を生成するために回転可能シャフトの前記回転によって駆動される発電機とを更に含むということであり得る。通常、前記可変容量液圧モーター及び発電機は、連続的圧力制御システムとは別個である(即ち、その一部ではない)(但し、当然のことながら、モーターは、高圧液圧流体ストア及び/又は液圧流体リザーバと通信状態にあり得、これらにも連続的圧力制御システムが選択的に接続される)。
【0039】
これは、液圧伝達装置が、原動機(例えば、電気モーター又は内燃機関などのエンジン)と、原動機の回転可能シャフトの回転を(通常、アキュムレータなどの高圧液圧流体ストアに提供される)加圧された液圧流体に変換するように構成された可変容量液圧ポンプとを更に含むということであり得る。通常、前記原動機及び可変容量液圧ポンプは、連続的圧力制御システムとは別個である(即ち、その一部分ではない)(但し、当然のことながら、ポンプは、高圧液圧流体ストア及び/又は液圧流体リザーバと通信状態にあり得、これらにも連続的圧力制御システムが選択的に接続される)。
【0040】
前記複数のチャンバの1つ又は複数の第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される液圧流体のフローレートにより、本発明者らは、通常、前記1つ又は複数の第2チャンバ内に又はそれから外に流れる液体流体の容積/単位時間を意味する。但し、このフローレートは、(例えば)回転可能なクランクシャフト(これは、例えば、連続的圧力制御システムの1つ又は複数のポンプ-モーターの回転可能クランクシャフトであり、ポンプ-モーターは、異なる動作モードでモーター又はポンプとして機能するように動作可能である)の回転の1サイクル当たりの液圧流体フローの容積を制御することによって供給され得ることを理解されたい。
【0041】
アクチュエータ装置は、通常、1つ又は複数の結合されたアクチュエータを含むことを理解されたい。また、アクチュエータ装置は、液圧流体(又はいくつかの実施形態ではこれらの混合体)を駆動し得るか、又はそれによって駆動され得ることを理解されたい。
【0042】
通常、第2チャンバ内に入力されるか又はそれから出力される液圧流体の圧力又はフローレートは、それぞれ圧力の連続的な範囲又はフローレートの連続的な範囲内で可変である。
【0043】
通常、連続的圧力制御システムは、前記第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される液圧流体の圧力又はフローレートを連続的に制御するように構成される。これは、前記特性への第2チャンバの寄与が、受け取られた要求又はその受け取られた要求によって指示される前記特性の値と、前記特性に対する前記第1チャンバの寄与との間の差を少なくとも部分的に(通常、連続的に)補償するように、連続的圧力制御システムが、第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される液圧流体の圧力又はフローレートを連続的に変化させるように構成されるということであり得る。
【0044】
通常、第2チャンバは、第1チャンバのいずれもが第2チャンバでなく、且つ逆も真であるという意味で第1チャンバと異なる。1つ又は複数の第1チャンバは、1つ又は複数の第2チャンバと同一の構造であり得ることを理解されたい。
【0045】
通常、コントローラは、離散化及び連続的圧力制御システムを制御して、それにより、前記チャンバ内の液圧流体圧力によって影響されるアクチュエータ装置の特性を調節して、アクチュエータ装置の前記特性に関する受け取られた要求又はその受け取られた要求に準拠するように構成される。
【0046】
通常、コントローラは、アクチュエータ装置の前記特性に関する前記受け取られた要求から離散化要求及び連続的要求を生成するように構成され、コントローラは、離散化要求に準拠するように離散化圧力制御システムを制御し、且つ連続的要求に準拠するように連続的圧力制御システムを制御するように構成される。
【0047】
通常、離散化要求は、アクチュエータ装置の前記特性に関する受け取られた要求を(通常、一定の量だけ)オフセットする(即ち、これに対してオフセットを適用する)ことによって判定される。通常、離散化要求は、オフセットされた要求信号を判定するために、受け取られた要求をオフセットし(即ち、これに対してオフセットを適用し)、且つ次いでオフセットされた要求信号を量子化することによって判定され、この場合、量子化は、通常、第1チャンバの数(及びそれらが動作するように構成される方向)を考慮する。
【0048】
これは、液圧流体伝達装置が単一の第2チャンバを含むということであり得る。これは、第2チャンバがオフセット要求を判定するように動作するように(即ち、出力に寄与するように)構成されるものと反対の方向において、離散化要求が、受け取られた要求からオフセットされるということであり得る。
【0049】
通常、離散化要求は、前記第2チャンバの個々の第2チャンバから入手可能である負荷範囲の半分だけ、受け取られた要求をオフセットする(即ち、これに対してオフセットを適用する)ことによって判定される。
【0050】
(通常、個々の第2チャンバから入手可能である負荷範囲の半分だけ)受け取られた要求をオフセットする(即ち、これに対してオフセットを適用する)ことによって離散化要求を判定することにより、1つの方向にのみ動作する単一の第2チャンバは、要求に対する第1チャンバの寄与におけるステップを補正するようにされ得る。なぜなら、第2チャンバが連続的要求信号に準拠するための正しい意味において常に留まるように、オフセットが連続的要求信号をバイアスするからである。
【0051】
これは、第2チャンバの数が極小化されることを許容し(例えば、単一の第2チャンバを提供することができる)、その結果、伝達装置全体の効率の増大及びその費用の低減を支援する。
【0052】
代わりに、これは、複数の第2チャンバが提供され、前記第2チャンバの少なくとも2つは、互いに反対に機能するように動作可能であるということであり得る。この場合、受け取られた要求から離散化要求をオフセットする必要はない。但し、第2チャンバの数の増大に伴って全体としての伝達装置の効率が低減し得、及び費用も増大し得る。
【0053】
これは、2つ以上(又は3つ以上)の前記第1チャンバが並列状態で接続されるということであり得る。これは、2つ以上(又は3つ以上)の前記第1チャンバが直列状態で接続されるということであり得る。
【0054】
これは、2つ以上(又は3つ以上)の前記第2チャンバが並列状態で接続されるということであり得る。これは、2つ以上(又は3つ以上)の前記第2チャンバが直列状態で接続されるということであり得る。
【0055】
通常、液圧流体伝達装置は、それぞれの第1チャンバ内の圧力を計測するように構成された1つ又は複数の圧力センサを含み、前記圧力センサは、コントローラと(通常、電子的な)通信状態にある。通常、液圧流体伝達装置は、それぞれの第2チャンバ内の圧力を計測するように構成された1つ又は複数の圧力センサを含み、前記圧力センサは、コントローラと(通常、電子的な)通信状態にある。
【0056】
通常、液圧流体伝達装置は、それぞれの前記液圧流体ソース及び/又はそれぞれの前記液圧流体シンク内の圧力を計測するように構成された1つ又は複数の圧力センサを含み、前記圧力センサのそれぞれは、コントローラと(通常、電子的な)通信状態にある。
【0057】
通常、前記液圧流体ソース又はシンクは、1つ又は複数の高圧液圧流体ソース又はシンクと、1つ又は複数の低圧液圧流体ソース又はシンクとを含み、高圧液圧流体ソース及びシンクは、低圧液圧流体ソース又はシンクよりも大きい液圧圧力を有する。
【0058】
通常、コントローラは、高圧液圧流体ソース又はシンクに選択的に接続された1つ又は複数の第1チャンバを識別することによって前記第1チャンバからの出力を判定し、(通常、前記チャンバ内の圧力センサから圧力計測信号を受け取ることによって)前記識別されたそれぞれの第1チャンバ内の圧力を計測し、且つ前記第1チャンバ内の判定された圧力及び前記アクチュエータ装置の前記特性に関する前記受け取られた要求から連続的要求を導出することにより、連続的要求を判定するように構成される。
【0059】
通常、連続的圧力制御システムは、前記1つ又は複数の前記第2チャンバに供給されるか又はそれから受け取られる液圧流体のフローレート又は圧力を判定するために、アクチュエータ装置の1つ又は複数の物理的特性を考慮するように構成される。例えば、前記物理的特性は、アクチュエータ装置の1つ又は複数のピストンの運動の速度、前記1つ又は複数の第2チャンバの容積、及び前記1つ又は複数のチャンバの容積の変化のレートの任意の1つ又は複数を含み得る。連続的圧力制御システムは、通常、前記1つ又は複数の前記第2チャンバに供給されるか又はそれから受け取られる液圧流体のフローレート又は圧力を判定するために、流体剛性などの第2チャンバ内の液圧作動流体の1つ又は複数の特性を考慮するように構成される。
【0060】
通常、連続的圧力制御システムは、前記1つ又は複数の第2チャンバ内の(例えば、前記第2チャンバ内の圧力を計測するように構成された1つ又は複数の圧力センサによる)計測された圧力と、連続的要求(通常、上述のように、アクチュエータ装置の1つ又は複数の物理的特性を考慮する)との間の誤差を低減するために、前記第2チャンバに供給されるか又はそれから受け取られる液圧流体のフローレート又は圧力を調節するように構成される。
【0061】
通常、連続的圧力制御システムは、異なる動作モードでポンプ又はモーターとして動作するように動作可能な1つ又は複数の可変容量ポンプ/モーターを含む。
【0062】
通常、連続的圧力制御システムは、高圧液圧流体ソースと液圧流体を交換する別のユニットとの共通シャフト構成において(異なる動作モードでポンプ又はモーターとして動作するように動作可能である)可変容量ポンプ/モーターを含む。通常、前記別のユニットは、(異なる動作モードでポンプ又はモーターとして動作するように動作可能である)第2可変容量ポンプ/モーターを含む。
【0063】
通常、1つ又は複数の可変容量ポンプ/モーターは、(通常、前記コントローラによる)能動的なコンピュータプログラミングされた制御下にある。
【0064】
任意選択により、可変容量ポンプ/モーターは、(合成整流式の)可変容量ポンプ/モーターであって、通常、それぞれ循環的に変化する容積の少なくとも1つの作動チャンバ(通常、循環的に変化する容積の複数の作動チャンバ)と、高圧マニホルドと、低圧マニホルドと、少なくとも1つの作動チャンバと低圧及び高圧マニホルドとの間の流体のフローを調節する複数の弁とを含む、(合成整流式の)可変容量ポンプ/モーターである。通常、その又はそれぞれの作動チャンバと関連する少なくとも1つの弁は、作動チャンバ容積のそれぞれの連続的なサイクル中にそれぞれの作動チャンバによって変位する作動流体の正味の容積を選択するように、作動チャンバ容積のサイクルに同調した関係において動作可能な電子制御弁である。
【0065】
通常、離散化圧力制御システムは、それぞれの前記第1チャンバと前記液圧シンク又はソースの1つとの間の流体のフローを調節する複数の電子制御可能弁を含む。それぞれの前記弁は、通常、液圧流体が前記第1チャンバと液圧流体ソース又はシンクとの間に流れ得る開放位置と、弁を通した液圧流体フローが存在していない閉鎖位置との間で動作可能である。
【0066】
これは、共通シャフトが原動機又はエネルギーシンクに結合され、コントローラが、共通シャフトと原動機又はエネルギーシンクとの間のスムージングされた正味の動力転送を提供するように正味のシャフトトルクを制御するように構成されるということであり得る。
【0067】
これは、連続的圧力制御システムが、前記第2チャンバと複数の液圧流体ソース又はシンクのそれぞれの1つとの間の液圧流体のフローを調節するようにそれぞれ構成される1つ又は複数の可変フロー制御弁を含むということであり得る。
【0068】
通常、連続的圧力制御システムは、前記第2チャンバ内への又はそれから外への液圧流体の圧力又はフローレートを、(例えば、そのチャンバの容積の変化に直接的にマッチングするように)そのチャンバの容積の変化(これは、通常、外部的に駆動される)に応答して制御するように構成される。
【0069】
通常、連続的圧力制御システムは、前記第2チャンバの容積を考慮して圧力の望ましい変化を引き起こすように、前記第2チャンバ内への又はそれから外への液圧流体のフローレート又は圧力を制御するように構成される。通常、連続的圧力制御システムは、流体容積の有効体積弾性係数を考慮して望ましい圧力の変化を引き起こすために、前記第2チャンバ内への又はそれから外への液圧流体のフローレート又は圧力を制御するように構成される。
【0070】
通常、コントローラは、前記第2チャンバの圧力の変化を1つ又は複数の前記第1チャンバ内の対応する圧力変化と同期させるように構成される。
【0071】
通常、前記チャンバの流体駆動表面は、チャンバのそれぞれの流体駆動表面に対して液圧流体によって作用される力が加法的又は減法的であるように互いに結合される。
【0072】
通常、離散化圧力制御システムは、前記第1チャンバを液圧流体ソースに選択的に接続するように構成された1つ若しくは複数の入口弁、及び/又は第1チャンバ若しくは前記第1チャンバを液圧流体シンクに選択的に接続するように構成された1つ若しくは複数の出口弁を含む。
【0073】
これは、1つ又は複数の入口弁が互いに並列状態で接続された入口弁の対を含むということであり得る。
【0074】
これは、1つ又は複数の出口弁が互いに並列状態で接続された出口弁の対を含むということであり得る。
【0075】
通常、それぞれの対内の弁の第1のものは、その対における弁の第2のものよりも大きい、それを通した液圧流体フローレートを許容する。
【0076】
通常、前記弁の第2のものは、液圧流体がそれを通して流れない閉鎖状態から、液圧流体が前記弁の第1のものよりも迅速に(通常、その弁の最大液圧流体フローレートで)それを通して流れる開放状態に遷移する。
【0077】
通常、コントローラは、1つ又は複数の第1チャンバ内の圧力を変更するために、弁の前記第1のものを開放する前に弁の前記第2のものを開放するように構成される。
【0078】
前記弁の対の第2のものは、液圧流体ソース及び液圧流体シンクに対する接続間における第1チャンバの遷移のタイミング及び遷移プロファイルを制御し、又はこの逆も真である。即ち、前記弁の対の第2のものは、相対的に低い及び高い圧力状態間における第1チャンバの遷移のタイミング及び遷移プロファイルを制御する。従って、前記遷移のタイミング及びプロファイルを制御(例えば、減速)することにより、前記第2チャンバ内の圧力変化が第1チャンバ内の圧力変化と同期することを許容し得る。
【0079】
本発明は、第2態様では、本発明の第1態様による液圧流体伝達装置を含む、再生可能エネルギーソースから電力を抽出するための装置に拡張される。この場合、再生可能エネルギーソースは、通常、アクチュエータ装置を駆動するように構成される。通常、アクチュエータ装置の前記特性は、再生可能エネルギーソースによって生成される運動に対するアクチュエータ装置の抵抗力に影響するアクチュエータ装置の特性である。例えば、前記特性は、アクチュエータ圧力であり得る。
【0080】
また、本発明は、第3態様では、本発明の第1態様による液圧流体伝達装置を含む、水の波から電力を抽出するための装置に拡張される。
【0081】
通常、装置は、浮力体部材間における相対的回転を許容する結合によって互いに接続された浮力体部材の1つ又は複数の対を含む。装置は、通常、前記アクチュエータ装置を含む動力抽出システムを含み、前記アクチュエータ装置は、アクチュエータが浮力体部材間の相対的回転に抵抗し、且つそれから動力を抽出するように、浮力体部材の前記対の第1浮力体部材に結合された第1端部と、浮力体部材の前記対の第2浮力体部材に結合された第2端部とをそれぞれ有する、1つ又は複数の結合されたアクチュエータを有する。
【0082】
本発明は、第4態様では、本発明の第1態様による液圧流体伝達装置を含むヒーブ補償ウインチに拡張される。
【0083】
この場合、液圧流体伝達装置は、通常、保存される液圧圧力及び/又は(電気モーターなどの)原動機からのシャフト動力をケーブルの巻取り及び巻出しの速度を変更させるケーブルに対する変化する負荷に変換するように構成される。この場合のアクチュエータ装置の前記特性は、通常、前記ケーブルに対する負荷又はケーブルの巻取り及び巻出しの速度である。
【0084】
本発明の第5態様は、液圧流体動力を伝達する方法を提供し、方法は、複数のチャンバを有するアクチュエータ装置を提供するステップであって、チャンバのそれぞれは、その内部の液圧流体を駆動するか又はそれによって駆動されるように構成されたそれぞれの流体駆動表面を有する、ステップと、前記1つ又は複数の第1チャンバを複数の液圧流体ソース又はシンクの1つに選択的に接続するステップであって、前記複数の液圧流体ソース又はシンクの少なくとも2つは、異なる流体圧力を有する、ステップと、それぞれ圧力又はフローレートの範囲内において、前記第2チャンバ内に又はそれから外に流れる液圧流体の圧力又はフローレートを変化させることにより、前記複数のチャンバの前記1つ又は複数の第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される液圧流体の圧力又はフローレートを制御して、それにより、前記チャンバ内の液圧流体圧力によって影響されるアクチュエータ装置の特性を調節するステップとを含む。
【0085】
方法は、アクチュエータ装置の前記特性に対する第2チャンバ(及び通常、従って連続的圧力制御システム)の寄与が、アクチュエータ装置の前記特性に対する前記第1チャンバの寄与と、受け取られた要求によって指示されたアクチュエータ装置の前記特性の値との間の差を少なくとも部分的に(通常、連続的に)補償するように、それぞれ圧力又はフローレートの範囲内において、前記第2チャンバ内に又はそれから外に流れる液圧流体の圧力又はフローレートを変化させることにより、前記1つ又は複数の第2チャンバに入力されるか又はそれから出力される液圧流体の圧力又はフローレートを制御するステップを更に含み得る。
【0086】
本発明の任意の態様との関係で上述した好適な且つ任意選択である特徴は、本発明のそれぞれの態様の好適な且つ任意選択の特徴である。
【0087】
以下では、添付の図を参照し、本発明の例示的な一実施形態について例示する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【
図1】共通シャフト上の可変容量ポンプ-モーターの対によって可能とされた連続的圧力制御を使用する液圧伝達装置の概略液圧回路図である。
【
図2】アクチュエータチャンバの対のそれぞれを高圧エネルギーストア及び低圧リザーバに選択的に接続するように構成された電子制御弁の2つの対によって可能とされた量子化された圧力制御を使用する液圧伝達装置の概略液圧回路図である。
【
図3】トルク及び動力が回動点を中心として伝達されることを許容するように回動点を中心として動作する4つの液圧流体チャンバをそれぞれ有するアクチュエータの対を有するハイブリッド型の液圧伝達装置の概略液圧回路図であり、この場合、一方のアクチュエータのすべての4つのチャンバの圧力及び他方のアクチュエータの3つのチャンバの圧力は、離散化圧力制御システムによって制御され、且つ前記他方のアクチュエータの残りのアクチュエータ内の圧力は、連続的圧力制御システムによって制御される。
【
図4】
図3の連続的圧力制御システムによって充足されるべき要求を算出するためのアルゴリズムのブロック図である。
【
図5】
図4のアルゴリズムによって算出された要求を充足するために連続的圧力制御システムによって実装されるアルゴリズムのブロック図である。
【
図6】例示的な量子化及び連続的圧力制御システムからの様々な要求及び出力信号を示すグラフである。
【
図7】ヒーブ補償ウインチで使用される
図3の液圧伝達装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
図3は、トルク及び動力が回動点を中心として伝達されることを許容する、回動点を中心として動作する第1及び第2線形液圧アクチュエータ100、102を含むハイブリッド型の液圧流体伝達装置の概略液圧回路図であり、この場合、第1及び第2アクチュエータ100、102は、各々4つのアクチュエータチャンバ104、106、108、110及び141、142、143、144をそれぞれ有する。液圧アクチュエータ100、102は、水の波からエネルギーを抽出するための装置の液圧ラムであり、この場合、アクチュエータ100、102は、水体(例えば、海)内に提供された浮力体部材(図示せず)の相対的回転によって駆動され、相対的回転は、水体内の波によって生成され、浮力体部材は、浮力体部材間の相対的回転を許容し、及びシリンダ114内への且つそれから外へのシャフト112のアクチュエータ100、102のそれぞれの内部における運動を生成する結合によって互いに結合され、それにより、シャフト112上に提供された第1及び第2ピストン116、118は、シリンダ114内で往復運動して作業を実行する。アクチュエータ100、102のピストン116、118は、各々、それぞれのチャンバ(第1アクチュエータ100との関係における)104~110及び(第2アクチュエータ102との関係における)141-144内の液圧流体を駆動するか又はそれによって駆動されるように構成された対向するそれぞれの流体駆動表面を有する。それぞれのアクチュエータ100、102のピストン116、118が互いに直列状態で動作するように、それぞれのアクチュエータ100、102のピストン116、118間にディバイダ120が提供される。チャンバ104、106は、第1アクチュエータ100の第1ピストン116のそれぞれの側に提供される一方、チャンバ108、110は、第1アクチュエータ100の第2ピストン118のそれぞれの側に提供される。チャンバ141、142は、第2アクチュエータ102の第1ピストン116のそれぞれの側に提供される一方、チャンバ143、144は、第2アクチュエータ102の第2ピストン118のそれぞれの側に提供される。チャンバ104~110、141~144内の圧力は、液圧ラムによって抽出されるエネルギーを極大化するために、それぞれのアクチュエータ100、102のシリンダ114内のピストン116、118の運動の抵抗力を制御するように制御される。
【0090】
第1アクチュエータ100の3つのチャンバ104、106、及び108、並びに第2アクチュエータ102のすべての4つのチャンバ141~144(以下では第1チャンバと呼称する)は、それぞれのチャンバ104~108、141~144とアキュムレータ120及びリザーバ122との間に結合されるそれぞれの液圧流体ライン及び電子制御弁のそれぞれのバンク124により、高圧液圧流体アキュムレータ120及び低圧液圧流体リザーバ122に選択的に接続される。従って、バンク124は、離散化圧力制御システムとして動作する。電子制御弁のバンク124のそれぞれは同一であり、従って、簡潔性を目的として、以下では、第1アクチュエータ100のチャンバ104とアキュムレータ120及びリザーバ122との間に結合されるバンク124についてのみ説明する。
【0091】
バンク124は、並列状態で構成され、且つチャンバ104をアキュムレータ120に選択的に接続するように構成された第1及び第2電子制御高圧弁126、128を含む。高圧弁126、128のそれぞれは、液圧流体がそれを通してチャンバ104とアキュムレータ120との間に流れ得る開放状態と、液圧流体がそれを通してチャンバ104とアキュムレータ120との間に流れることができない閉鎖状態とを有する。第1高圧弁126は、開放状態にある場合、第2高圧弁128よりも大きい、それを通した流体フロー面積を有する。
図3では、これは、第2高圧弁128と直列状態にある液圧インピーダンスによって示される。第2高圧弁128は、(例えば、第1高圧弁126のものよりも小さい断面積を有する弁部材を有することによって)第1高圧弁126よりも迅速にその開放及び閉鎖状態間で遷移する能力を有するが、第2高圧弁128を通した(開放時の)最大流体フローレートは、第1高圧弁126を通した(開放時の)最大流体フローレートを下回る。
【0092】
バンク124は、並列状態で構成され、且つチャンバ104をリザーバ122に選択的に接続するように構成された第1及び第2電子制御低圧弁130、132を更に含む。第1低圧弁130は、その開放状態にある場合、第2低圧弁132よりも大きい、それを通した流体フロー面積を有する。
図3では、これは、第2高圧弁132と直列状態にある液圧インピーダンスによって示される。第2低圧弁132は、(例えば、第1低圧弁130のものよりも小さい断面積を有する弁部材を有することによって)第1低圧弁130よりも迅速にその開放及び閉鎖状態間で遷移する能力を有するが、第2低圧弁132を通した(開放時の)最大流体フローレートは、第1低圧弁130を通した(開放時の)最大流体フローレートを下回る。
【0093】
バンク124は、キャビテーションを防止するために、例えば、チャンバ104の容積が(シャフト112及びピストン116の運動によって)増大する際、チャンバ104内の圧力を少なくとも低圧リザーバ(これは、大気圧超に昇圧され得る)内の圧力に維持するために、チャンバ104を低圧リザーバ122に選択的に接続するように動作可能な大断面フロー面積低圧逆止弁134を更に含む。逆止弁134は、チャンバ104内の圧力がリザーバ122の圧力未満に低下した際に開放するように構成される。
【0094】
バンク124の弁は、アキュムレータ120に接続された際の高圧状態とリザーバ122に接続された際の低圧状態との間において、チャンバ104のタイミング及び遷移プロファイル(即ち、圧力が時間に伴って変化する方式)を制御する。更に詳細には、第2低圧又は高圧弁128、132は、圧力遷移を徐々に開始するために最初に開放する。圧力遷移が進行する際、第1及び第2低圧又は高圧弁の組合せを通したフルレートの液圧流体フローを許容し、それにより、圧力遷移を完了させるために、第1低圧又は高圧弁128、132が開放される。この結果、システムに対して衝撃をもたらし得る極めて迅速で大きい圧力遷移の発生が防止される。加えて、遷移のタイミングプロファイルは、通常、チャンバ110内の圧力変化が第1チャンバ104~108、141~144の1つ又は複数の内部の圧力変化と同期することを許容し、且つ全体システムの性能及び精度を最適化するように制御される。通常、実際に、低圧及び高圧状態間のチャンバ104の遷移のタイミングプロファイルは、チャンバ104の制御レイテンシーがチャンバ110の制御レイテンシーを上回ることを保証する。
【0095】
バンク124の弁は、通常、弁と電子的通信状態で提供されたコントローラ140によって制御される電子制御ソレノイド弁である。コントローラ140は、ソレノイドをターンオン及びオフすることにより、弁を選択的に開放及び閉鎖するように動作し、弁は、スプリングなどの(通常、受動的な)付勢メカニズムによって開放又は閉鎖位置に対して付勢される。従って、低圧及び高圧弁のバンク124は、第1チャンバ104~108、141~144をアキュムレータ120及びリザーバ122に選択的に接続するように構成されたコントローラ140の制御下にある離散化制御システムの一部分である。コントローラは、通常、コンピュータプログラムコードを実行するように構成された1つ又は複数のコンピュータプロセッサを含む。これは、コントローラ140が複数のプロセッサにわたって分散されるということであり得る。
【0096】
発明の背景で説明したように、この離散化制御方法の単独での使用は、望ましくないステップ状の出力をもたらす。
【0097】
チャンバ110(以下では第2チャンバと呼称される)は、共通シャフト151によって第2可変容量液圧ポンプ-モーター152に結合された第1可変容量液圧ポンプ-モーター150を含む連続的圧力制御システムに接続され、この場合、可変容量液圧ポンプ-モーター150、152は、それぞれ異なる動作モードでポンプ又はモーターとして機能するように動作可能である。また、可変容量液圧ポンプ-モーター150、152は、(発電機154を駆動するように動作可能である)共通シャフト151を介して発電機154に結合される。チャンバ110と連続的圧力制御システムとの間の接続は、液圧ライン160によるものであり、且つチャンバ110は、コントローラ140によって制御され、且つそれと電子的通信状態にある電子制御弁162により、低圧リザーバ122にも選択的に接続される。弁162は、チャンバ110内の圧力が(キャビテーションを防止するために)リザーバ122内の圧力未満に降下した場合、ポンプ-モーター150、152からチャンバ110内への又はそれから外へのフローを不可能にするために、受動的に又はコントローラ140のコマンドに基づいて能動的に開放する。
【0098】
第2チャンバ110内の圧力要件に応じて、第1及び第2可変容量液圧ポンプ-モーター150、152の1つは、(チャンバ110から又はアキュムレータ120から受け取られた)高圧流体をシャフト151上のトルクに変換し、且つ低圧流体をリザーバ122に出力するようにモータリングモードで動作する。第1及び第2可変容量液圧ポンプ-モーター150、152の他方は、シャフトのトルクをアキュムレータ120又はチャンバ110に提供される加圧流体に変換するようにポンピングモードで動作する。液圧ポンプ-モーター150、152の変位は、(通常、連続的である)範囲にわたって可変の圧力を有する第2チャンバ110からの液圧流体を消費するか、又はそれに液圧流体を提供するようにそれぞれの場合に変化され得る。
【0099】
連続的圧力制御システムが、チャンバ110からの高圧流体を消費することが必要とされる場合、第1可変容量液圧ポンプ-モーター150は、モータリングモードで機能し、それによりチャンバ110からの高圧流体をシャフト151上のトルクに変換することを理解されたい。第2可変容量液圧ポンプ-モーターは、ポンピングモードで動作し、それによりシャフト151からのトルクをアキュムレータに提供される高圧流体に変換する。加えて、シャフト151上のトルクの一部分は、発電機154によって電気に変換される。これは、動力の生成に必要とされる回転機械の数の低減を支援し、それにより動力生成の効率の改善を支援する。また、ポンプ-モーター150、152は、シャフトの起動及び速度制御のための効率的な手段を提供する。消費される高圧流体の量は、液圧ポンプ-モーターの変位を調節することによって制御することができる。
【0100】
連続的圧力制御システムがチャンバ110に高圧流体を提供することが必要とされる場合、第2可変容量液圧ポンプ-モーター152は、モータリングモードで機能し、それによりアキュムレータ120からの高圧液圧流体をシャフト151上のトルクに変換する。この場合、第1可変容量液圧ポンプ-モーター150は、ポンピングモードで機能し、それによりシャフト151上のトルクをチャンバ110に提供される加圧液圧流体に変換する。提供される高圧流体の量は、液圧ポンプ-モーター150、152の変位を調節することによって制御することができる。
【0101】
実際に、第2チャンバ110内の圧力は、アクチュエータシャフト112の動きの結果としてチャンバ110が提供又は吸収する「幾何学的フロー」にマッチングするために必要とされるフローをわずかに下回るか又は上回るものを必要とするポンプ-モーター150、152によって制御される。「幾何学的フロー」は、アクチュエータシャフト112の動きの結果としてのチャンバ110の容積の増大又は減少を考慮して、チャンバ110内で一定の圧力を維持するために必要とされるフローである。ポンプ-モーター150、152が、チャンバ110からのフローを吸収し、且つ生成される「幾何学的フロー」をわずかに下回るフローを吸収する場合、チャンバ110内の圧力は上昇する。逆に、ポンプ-モーター150、152が、幾何学的フローをわずかに上回るものを吸収する場合、第2チャンバ110内の圧力は降下する。アクチュエータ100がポンプ-モーター150、152からのフローを吸収する逆の場合、ポンプ-モーター150、152が、必要とされる「幾何学的フロー」よりも大きいフローをチャンバ110に提供する場合、チャンバ110内の圧力は、上昇する。ポンプ-モーター150、152が、幾何学的フローを下回るものを提供する場合、チャンバ110内の圧力は降下する。アクチュエータが静止する場合、当然のことながら、「幾何学的フロー」は存在せず、従って、ポンプ-モーター150、152は、チャンバ110を加圧するためのわずかなフローを供給する必要があるのみである。ポンプ-モーター150、152がチャンバ110に対する連続的圧力制御と、これによる連続的負荷制御とを供給し得るのは、このメカニズムを通した結果である。
【0102】
一例では、可変容量ポンプ-モーター150、152は、(合成整流式の)1つ又は複数の可変容量ポンプ/モーターであって、それぞれ循環的に変化する容積の少なくとも1つの作動チャンバ(通常、循環的に変化する容積の複数の作動チャンバである)と、高圧マニホルドと、低圧マニホルドと、少なくとも1つの作動チャンバと低圧及び高圧マニホルドとの間の流体のフローを調節する複数の弁とを含む、(合成整流式の)1つ又は複数の可変容量ポンプ/モーターを含み、その又はそれぞれの作動チャンバと関連する少なくとも1つの弁は、作動チャンバ容積のそれぞれの連続的なサイクル中にそれぞれの作動チャンバによって変位する作動流体の正味容積を選択するために、作動チャンバ容積のサイクルに対して同調した関係において動作可能な電子制御弁である。連続的圧力制御システムによって消費又は提供される加圧流体の量は、(ポンプ-モーターのそれぞれの弁の開放及び閉鎖を制御することによって)作動チャンバ容積のそれぞれのサイクルでポンプ-モーター150、152の作動チャンバを起動又は停止することにより、コントローラ140によって変化され得る。
【0103】
浮力体部材の相対的回転によって生成されるシャフト112の運動に対するアクチュエータ100の望ましい抵抗力は、(受け取られた要求として機能する)コンピュータによって導出された負荷要求信号の形態でコントローラ140に提供される。第1チャンバ104~108、141~144、及び第2チャンバ110は、負荷要求を充足するように機能する。後述するように、負荷要求を充足するための第2チャンバ110(及び連続的圧力制御システム)の寄与は、受け取られた要求と、負荷要求を充足するための第1チャンバ104~108、141~144(及び従って離散化圧力制御システム)の寄与との間の差を少なくとも部分的に(好ましくは、十分に)補償するように選択することが可能であり、それにより、第1チャンバ104~108、141~144(及び従って離散化圧力制御システム)の寄与によってもたらされる抵抗力プロファイルにおけるステップが大幅に低減(好ましくは除去)される。
【0104】
図6に示されるように、コントローラによって受け取られる要求180は、滑らかな曲線である。コントローラ140は、要求信号180から離散化負荷要求220(これも
図6に示される)を生成するように構成され、離散化要求220は、第1チャンバ104~108、141~144が充足する必要がある要求の一部分である。コントローラ140は、第1チャンバ108、141~144が主負荷及び動力フローを提供するように、第1チャンバ104、141~144が可能な限り離散化要求220を充足するように構成される。第1チャンバ104~108、141~144によって供給される負荷と、受け取られた要求180との間の差又は誤差は、第2チャンバ110が供給するべき連続的要求222を形成する。
【0105】
この例では、(単一の)第2チャンバ110は、1つの方向に(
図3の図では左に)のみ力を提供するように動作可能である。1つの方向にのみ機能する単一の第2チャンバ110は、第2チャンバ110がオフセット要求181を生成するために能動的な力を提供するように構成されるものと反対の方向において、第2チャンバ110の負荷範囲の(通常)半分だけ、受け取られた要求180をオフセットし(即ち、これに対してオフセットを適用し)(第2チャンバの負荷範囲は、要求を充足するための第2チャンバ110の最小寄与から、要求を充足するための第2チャンバ110の最大寄与までの範囲である)、且つ次いでオフセット要求181を量子化して離散化要求220を生成することにより、離散化要求220を生成することによって離散化システムにおけるステップを補正するようにされ得る。この結果、補正信号は、第2チャンバ110の補正のための正しい意味において常に留まるようにバイアスされる。更に明らかにするために、
図6にこの方式及び効果が明瞭に示される。受け取られた要求信号180は、連続的要求222の最大及び最小範囲から観察され得る第2チャンバの範囲の半分だけ下方にオフセットされる。これは、(この例では)連続的要求222が本質的に正の状態に且つ第2チャンバ110によって適用され得る負荷範囲内に留まっていることを意味する。
【0106】
アクチュエータ100が回転式アクチュエータである代替実施形態では、アクチュエータチャンバ内への且つそれから外への流体フローの方向は、上述の方式に対する代替形態として必要に応じて逆転され得る。
【0107】
1つの方向に力を提供するように動作可能な少なくとも1つの第2チャンバ110(即ち、それに関連して、連続的に制御された圧力を有する液圧流体がそれに対して提供されるか又はそれから消費される、少なくとも1つのチャンバ)が提供され、且つ反対方向に力を提供するように動作可能な少なくとも1つの第2チャンバ110が提供される場合、連続的に圧力制御されたチャンバは、いずれの方向でも、離散的に圧力制御されたチャンバ104~108、141~144間の誤差を補償するように機能し得ることから、受け取られた要求から離散化要求をオフセットすることが不要となることを理解されたい。
【0108】
図3に示される回動軸を中心とした(アクチュエータ100、102間の双頭矢印の端部間における)浮力体部材の相対的な時計回りの動きが存在する場合、第1アクチュエータ100は後退し(
図3の図では、第1アクチュエータ100のシャフト112が右に移動する)、且つ第2アクチュエータは伸長する(
図3の図では、第2アクチュエータ102のシャフト112が左に移動する)。この場合、第1アクチュエータ100の第1チャンバ104、108の容積は増大し、且つ第1アクチュエータ100の第1チャンバ106及び第2チャンバ110の容積は減少する。第2アクチュエータ102の第1チャンバ141、143の容積は増大し、且つ第2アクチュエータ102の第1チャンバ142、144の容積は減少する。浮力体部材の相対的な反時計回りの動きが存在する場合、当然のことながら、この反対も真である。いずれの場合でも、第1及び第2アクチュエータ100、102のシャフト112が運動するのに伴い、コントローラ140は、離散化要求220を充足するために、(それぞれ第1チャンバをリザーバ122又はアキュムレータ120に選択的に接続することにより)低圧又は高圧としてそれぞれの第1チャンバ104~108、141~144の圧力を選択するように、それぞれの第1チャンバ104~108、141、144と関連する弁ブロック124内の高圧及び低圧弁の状態を制御する。第1チャンバ104~108、141~144のそれぞれの内部の圧力は、浮力体部材の相対的回転によって生成されるアクチュエータ100、102のシャフト112の運動に抵抗するか又はそれを支援するように制御することができるが、全体的な目的は、相対的回転がアキュムレータ120への正味のフローをもたらす(且つ動力がシステムから抽出されることを可能にする)ことであることを理解されたい。
【0109】
また、第2チャンバ110内の圧力は、ポンプ-モーター150、152からチャンバ110内に流れる作動流体の圧力及び/又は容積を制御することにより制御される。但し、上述のように、第1チャンバ104~108、141~144内の圧力は、アキュムレータ120の圧力又はリザーバ122の圧力に制限される一方、第2チャンバ110内の圧力は、ポンプ-モーター150、152により、連続的な値の範囲内で制御可能である。この特性を使用することにより、第1チャンバ104~108、141~144の離散化圧力制御システムの利益(例えば、改善された効率)の多くを保持しつつ、第1チャンバ104~108、141~144によって提供される出力におけるステップをスムージングし、それにより出力の品質を全体として改善することができる。
【0110】
第1チャンバ104~108、141~144によって提供される出力におけるステップをスムージングするための連続的要求222を算出するために、コントローラ140は、第1チャンバ104~108、141~144内の圧力センサから圧力計測信号を受け取り、且つチャンバ104~108、141~144のいずれが要求に寄与するかを識別し、且つ受け取られた圧力計測及び前記識別から連続的要求222を導出するように構成される。
図4に示されるように、連続的要求222は、通常、第1アクチュエータ100のピストン118の関連する流体駆動表面の面積を考慮して、受け取られた負荷要求からチャンバ104~108、141~144の計測された(ステップ状の)寄与を減算することにより導出される。
【0111】
図5は、連続的要求を充足するために、連続的圧力制御システム(及び従って第2チャンバ110内の圧力)を制御するようにコントローラ140によって実装される例示的なアルゴリズムのブロック図である。アルゴリズムは、第2チャンバ110内の計測された圧力194(これは、通常、第2チャンバ110内の圧力を計測するように構成された圧力センサによって計測され、この場合、圧力センサ110は、コントローラ140と電子的通信状態にある)も別の入力として受け取る差分演算子192への入力として連続的圧力要求222を受け取っており、この場合、差分演算子192は、差分信号196を提供するために、連続的圧力要求222から計測された圧力194を減算するように構成される。このフィードバックループは、連続的圧力要求222を充足するために、第2チャンバ110の圧力における小さい誤差を補正するように微細な制御を提供する。
【0112】
差分信号196は、(この例では)比例積分(PI)制御ブロック198に入力され、次いで比例積分制御ブロックが制御信号199を加算演算子200に提供する。また、加算演算子200には、第2チャンバ110への又はそれからの必要とされるフローを判定するために、アルゴリズムがアクチュエータシャフト112の動き(例えば、第2チャンバ110の容積204の変化のレート)の計測(例えば、速度、加速度の計測)及び第2チャンバ110の容積のコンプライアンスの知識(即ち、チャンバ110の容積206及び液圧作動流体の剛性208)を考慮することを可能にする入力202も提供される。例えば、アクチュエータシャフト112の動きの計測を使用することにより、アルゴリズムは、アクチュエータシャフト112の動きを考慮して、チャンバ110における一定の圧力を維持するために必要とされるフローレートを判定することができる。第2チャンバ110の容積のコンプライアンスの知識を使用することにより、アルゴリズムは、所与の圧力変化を実現するために必要とされる作動圧力における流体容積の変化を判定することができる。
図5に示されるように、第2チャンバ110の容積のコンプライアンスの知識は、時間との関係において連続的圧力要求を微分し、且つ微分された連続的圧力要求を流体剛性によって除算されたチャンバ110の容積によって乗算することにより、考慮することができる。次いで、これは、アクチュエータ容積の変化のレートと共に加算演算子200に対して入力202を提供するために考慮される。
【0113】
加算演算子200の出力は、フロー要求に可能な限り近接した状態で第2チャンバ110への又はそれからの液圧流体のフローレートを供給するフロー要求信号としてポンプ-モーター150、152に供給される。第2チャンバ110内に又はそれから外に流れる液圧流体のフローレートは、通常、単位時間当たりの第2チャンバ内に又はそれから外に流れる液圧流体の容積を意味するが、これは、回転可能なシャフト151の回転の1サイクル当たりのポンプ-モーター150、152への又はそれからの液圧流体フローの容積を制御することにより、供給され得ることを理解されたい。供給されるフローレートは、(第1アクチュエータ100のアクチュエータシャフト112の外部誘発された動き232によって決定される)チャンバ110の容積230と共に第2チャンバ110内の圧力を決定する。
【0114】
一代替実施形態では、チャンバ110内の圧力は、ポンプ-モーター150、152に連続的圧力要求信号を提供することにより制御することが可能であり、従って、この場合、ポンプ-モーター150、152は、圧力要求信号を充足するために、且つ(例えば、作動チャンバを起動又は停止することによって)変位を制御するために、チャンバ110内への又はそれから外への液圧流体の必要とされるフローレートを判定するように動作可能であることを理解されたい。
【0115】
この開放及び閉鎖ループ制御の組合せは、第2チャンバ110が、第1チャンバ104~108、141~144による全体要求に対する寄与と、全体要求自体との間の差を正確に補正し、それにより第1チャンバ104~108、141~144からの寄与におけるステップの効果を低減(好ましくは除去)することを可能にする。
【0116】
上述のように、
図6は、離散化負荷要求220及び連続的要求222(これは、第1チャンバ104~108、141~144によって供給される負荷と、全体要求180との間の誤差である)を示す。また、
図6には、要求が飽和に起因して充足され得ない(即ち、要求がアクチュエータ100の能力を超過する)部分224a以外の全体要求180に忠実に準拠する(且つ従ってその上部にオーバーレイされる)、チャンバ104~110、141~144によって提供される全体出力224も示される。
【0117】
再度
図3を参照すると、ポンプ-モーター150、152間にシステム圧力逃し弁169が接続される。更なるシステム圧力逃し弁171がリザーバ122とアキュムレータ120との間に提供される。加圧された流体をアキュムレータ120から受け取り、且つアキュムレータ120からの受け取られた加圧流体を、電気エネルギーを生成するために発電機172を駆動するシャフト174上のトルクに変換するように構成された可変容量モーター173を介して、更なる発電機172がアキュムレータ120に接続される。
【0118】
通常、バンク124内の弁は、第2チャンバ110との組合せで最良の全体応答を提供するように選択及びチューニングされる。例えば、バンク124内の弁は、第1チャンバ104~108、141~144内で作用する圧力の変化のピークレートが第2チャンバ110によってマッチングされ得るように選択され得る。この結果、第2チャンバ110の寄与は、負荷に対して第1チャンバ104~108、141~144によってもたらされるステップ変化を補償することができる。
【0119】
コントローラ140は、当然のことながら、全体出力が滑らか且つ制御された状態に留まることを保証するために、且つ(例えば)過負荷又は突然の停止を防止するために制約を含むことができる。いくつかの用途では、コントローラ140は、要求信号180が全体として液圧伝達装置の能力を超過することを回避するように制約を適用することができる。コントローラ140は、第2チャンバ110の負荷範囲内に位置するように合計負荷の変化のレートを制限し得、この負荷範囲は、そのフロー範囲制限及びその容積のコンプライアンスの関数である。コントローラ140は、同様に、第2チャンバ110の負荷範囲内に位置するように、第1チャンバ104~108、141~144内で作用する圧力の変化のピークレートを制約するように構成することもできる。
【0120】
フロー及び動力の大部分が第1チャンバ104~108、141~144(及び従って別個の圧力制御システム)によって処理されるという事実と、第2チャンバ110を通した大きい瞬間的動力が(原動機又は発電機を通してではなく)2つのポンプ-モーター150、152間で直接的に交換されるという事実とに起因して、本明細書に開示される液圧伝達装置は、非常に高いシステム効率を維持しつつ、大きい瞬間的動力フローを処理するのに特に適したものとなる。
【0121】
本明細書に記述される本発明の範囲内において、更なる変更形態又は変形形態がなされ得る。
【0122】
例えば、水の波からエネルギーを抽出するための装置は、正味のフローをアキュムレータ120に提供する(且つ発電機154、172によってシステムからエネルギーを抽出する)ことを目的とするが、本明細書に記述される液圧伝達装置は、アキュムレータ120からの正味のフローを生成するアクチュエータシステム(即ち、負荷に対して作業を実行するように液圧伝達装置からの液圧流体によって駆動されるアクチュエータシステム)に対しても等しく適用可能である。この場合、発電機154は、通常、動力をシステムに追加するようにディーゼルエンジン又は電気モーターなどの原動機によって置換される。加えて又は代わりに、発電機172及び可変容量液圧モーター173も、この場合にも動力をシステムに追加するように(ディーゼルエンジン又は電気モーターなどの)原動機及び可変容量液圧ポンプによって置換され得る。実際に、本明細書に記述される液圧伝達装置は、一般に、すべての4つの象限にわたる大きい動力フローが必要とされる任意のシステムに適用可能である(「4つの象限」は、いずれかの方向における動きの際にいずれかの方向に負荷を適用し得るシステムを意味する)。
【0123】
図7は、複数のチャンバ(図示せず)と、負荷要求に従って高圧流体ストア304及び低圧液圧流体リザーバ306へのアクチュエータの前記複数の第1チャンバの複数のうちのそれぞれの接続を選択的に制御するように構成された液圧伝達装置302とを含むアクチュエータ300を含むヒーブ補償ウインチのブロック図である。また、液圧伝達装置302は、連続的な圧力の範囲内において、前記複数のチャンバの第2チャンバ内の圧力を制御するように構成される。上述の原理に従って、液圧伝達装置は、受け取られた要求に対する第1チャンバの寄与間の差を少なくとも部分的に補償するように第2チャンバ内の圧力を制御するように構成される。この場合、要求は、通常、ウインチによるケーブルの巻取り及び巻出しの速度を変化させるケーブル上における変化する負荷である。ウインチは、アクチュエータに対する動力の正味のフローが存在する用途の一例であることを理解されたい。従って、発電機154は、通常、動力をシステムに追加するようにディーゼルエンジン又は電気モーターなどの原動機によって置換され、且つ/又は発電機172及び可変容量液圧モーター173も、この場合にも動力をシステムに追加するように(ディーゼルエンジン又は電気モーターなどの)原動機及び可変容量液圧ポンプによって置換される。
【0124】
図3には、7つの第1チャンバ104~108、141~144及び単一の第2チャンバ110が示されるが、任意の数の第1チャンバ及び第2チャンバが提供され得ることを理解されたい。設計の最良の選択肢は、特定の用途要件に依存する。通常、少なくとも2つの第1チャンバ及び1つの第2チャンバが提供される。
【0125】
図3には、チャンバ141~144がチャンバ104~108と並列状態にあるものとして示されるが、これらは、代わりに直列状態で接続され得ることを理解されたい。
【0126】
いくつかの用途では、
図3の連続的圧力制御システムのポンプ-モーター150、152の対の代わりに単一のポンプ-モーター150を使用することが可能である。
【0127】
いくつかの実施形態では、可変容量ポンプ-モーター150、152は、可変フロー制御弁によって置換され得、これらの可変フロー制御弁のそれぞれは、第2チャンバ110とアキュムレータ120又はリザーバ122との間の液圧流体のフローを調節するように構成される。
【0128】
以上では、線形アクチュエータ100について記述しているが、液圧伝達装置は、加えて又は代わりに、直接的に又はギアシステムを通して回転出力を生成するために、又は実際に例えばラック及びピニオンシステムを使用して線形出力を生成するために、線形アクチュエータ100と同様の方式により、その圧力が別個に制御される1つ又は複数のチャンバと、その圧力が連続的な圧力の範囲にわたって制御される1つ又は複数のチャンバとを含む1つ又は複数の回転式アクチュエータを含み得る。