(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】歯科用歯面清掃機器用モーター
(51)【国際特許分類】
A61C 17/26 20060101AFI20220107BHJP
A46B 13/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A61C17/26 Z
A46B13/02
(21)【出願番号】P 2019030088
(22)【出願日】2019-02-22
【審査請求日】2020-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】591090714
【氏名又は名称】世田谷精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067758
【氏名又は名称】西島 綾雄
(72)【発明者】
【氏名】小口 勉
(72)【発明者】
【氏名】内田 隆博
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特公昭54-035037(JP,B2)
【文献】米国特許第03292459(US,A)
【文献】特開2011-244842(JP,A)
【文献】特開平08-049504(JP,A)
【文献】米国特許第03386702(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C17/22-17/40
A46B13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドピース型本体の先端に歯磨き用ツール10を取り付け、本体に内蔵したエアータービン14の駆動力によって歯磨き用ツール10の磨きヘッド44を回転するようにした歯科用歯面清掃機器用モーターであって、
本体に内歯歯車34を設け、該内歯歯車34に、遊星スピンドル28に回転自在に軸支した遊星歯車32を噛み合わせ、エアータービン14の回転出力軸22に固定した歯車36を遊星歯車32に噛み合わせて、エアータービン14の回転出力軸22と遊星スピンドル28との間に減速機構24を構成し、前記遊星スピンドル28に管状のチャック30を脱着可能に連結し、該チャック30に前記歯磨き用ツール10の入力軸20を結合するようにし
、前記管状チャック30の後端部のネジ部30aを、前記遊星スピンドル28のネジ穴28aにねじ込み、前記管状チャック30の後部を前記遊星スピンドル28の前部にねじ構造により連結したことを特徴とする歯科用歯面清掃機器用モーター。
【請求項2】
ハンドピース型本体の先端に歯磨き用ツール10を取り付け、本体に内蔵したエアータービン60の駆動力によって歯磨き用ツール10の磨きヘッド44を回転するようにした歯科用歯面清掃機器用モーターであって、本体に内歯歯車34を設け、該内歯歯車34に、遊星スピンドル66に回転自在に軸支した遊星歯車32を噛み合わせ、エアータービン60の回転出力軸63に固定した歯車36を遊星歯車32に噛み合わせて、エアータービン60の回転出力軸63と遊星スピンドル66との間に減速機構62を構成し、本体にスピンドル72を回転自在に支承し、該スピンドル72の一方向に管状チャック74の後部をねじ構造により脱着可能に連結し、該スピンドル72の他方をカップリング70,68を介して遊星スピンドル66の前部に連結したことを特徴とする歯科用歯面清掃機器用モーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアータービンを用いた回転型の歯科用歯面清掃機器用モーターに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドピース型の回転型の歯科用歯磨き器が従来知られている(特許文献1,2参照)。 この種の歯磨き器は、電機モーターや、エアーモーターを駆動源とし、駆動源の回転出力を減速機構と回転伝達機構を通じてハンドピース本体の先端に取り付けた歯磨き用ツールの入力軸に伝え、歯磨き用ツールの磨きヘッドを回転駆動している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-194619
【文献】特表2010-504775
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の歯科用歯磨き器は、ハンドピース本体の先端側に内蔵した細長管状のチャックに歯磨き用のツールの入力軸を指し込み、入力軸をチャックに把持させて使用される。
歯磨き用ツールの磨きヘッドには、プロフィーペーストを塗るため、チャック内にペーストが付着しやすい。そのため、チャックが正常に機能しなくなってしまうことがある。 チャックの交換を行う場合、チャックが、本体内の回転伝達機構の遊星スピンドルに一体的に形成されていると、回転伝達機構全体を取り換える必要がありコスト高となるという問題点がある。
本発明は、上記問題点を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、ハンドピース型本体の先端に歯磨き用ツール10を取り付け、本体に内蔵したエアータービン14,60の駆動力によって歯磨き用ツール10の磨きヘッド44を回転するようにした歯科用歯面清掃機器用モーターであって、本体にエアータービン14,60の出力軸の回転を減速するための遊星歯車を備えた遊星スピンドル28,66を設け、該遊星スピンドル28,66に管状のチャック30,74を脱着可能に連結し、該チャック30,74に前記歯磨き用ツール10の入力軸20を結合するようにしたことを特徴とする。
また本発明は、前記管状チャック30の後部を前記遊星スピンドル28の前部にねじ構造により連結したことを特徴とする。
また本発明は、前記管状チャック74の後部を前記本体に回転自在に支承したスピンドル72の一方向にねじ構造により連結し、該スピンドル72の他方をカップリング70,68を介して前記遊星スピンドル66の前部に連結したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、チャックと遊星スピンドルを別体に構成したので、チャックが故障したとき、チャックのみの交換が可能であり、本体内の回転伝達機構の修理を安価に行うことができ、本器の保守に掛かるコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】本体の先端に歯磨き用ツールを取り付けた状態の一部断面説明図である。
【
図5】本発明の他の実施形態を示す全体断面図である。
【
図9】本体の先端に歯磨き用ツールを取り付けた状態の一部断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明に係る歯科用歯面清掃機器用モーターの構成を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図1は、歯科用歯面清掃機器用モーターの全体構造を示している。ハンドピース型の歯科用歯面清掃機器用モーター2の本体部分は、互いに結合されたスリーブ4,6,8,9から構成され、スリーブ6の前方端に歯磨き用ツール10の管部が脱着可能に嵌合保持されている。
スリーブ4には、エアーモーター用のエアー供給ホースとエアー排出ホースを備えたホースコネクター12が連結し、スリーブ4の内部にはエアータービン14がベアリング16,18を介して回転自在に保持されている。
【0009】
エアータービン14と管状チャック30に挿入保持された歯磨き用ツール10の入力軸20との間には、エアータービン14の回転出力軸22と、減速機構24と、回転伝達機構26が配置されている。回転伝達機構26は、遊星スピンドル28と細長状の管状チャック30とから構成されている。遊星スピンドル28の鍔部には遊星歯車32が回転自在に軸支され、該遊星歯車32は、内側のスリーブ8に設けられた内歯歯車34と、回転出力軸22に固定された歯車36と噛み合い、減速機構24を構成している。
【0010】
遊星スピンドル28は、内側スリーブ8の内径部にベアリングを介して回転自在に保持されている。
チャック30は、内側スリーブ8,9の内径部に挿入配置され、後端部のネジ部30aが左ねじ構造により、遊星スピンドル28のネジ穴28aにねじ込まれ、管状チャック30の後端部と遊星スピンドル28とが結合している。遊星スピンドル28には、ベアリング用の予圧スプリング42が挿着されている。
【0011】
上記した構成において、エアーモーターを構成するエアータービン14が駆動されると回転出力軸22が回転し、この回転は、減速機構24を介してチャック30に伝達され、チャック30に結合する歯磨きツール10の入力軸20が回転する。
【0012】
ツール10の入力軸20の回転は、ツール10に内蔵された方向変換機構(図示省略)を介して磨きヘッド44に伝達され、磨きヘッド44が回転する。磨きヘッド44には、歯垢や歯石落とし用のプロフィーペーストが塗られ、磨きヘッド44により、患者の歯垢や歯石が取り除かれる。チャック30が故障したとき、その交換や修理は、本体を分解し、管状チャック30を遊星スピンドル28から外すことにより行うことができる。
【0013】
次に、本発明の他の実施形態を
図5乃至
図8を参照して詳細に説明する。
歯科用歯面清掃機器用モーター50の本体部分は、スリーブ52,54,56,57から構成され、スリーブ52側にインサートガイド部52aが形成されている。スリーブ52には、ホースコネクター58が連結し、スリーブ52の内部には、エアータービン60が回転自在に保持されている。
【0014】
エアータービン60の出力軸63と、スリーブ56の先端との間には、減速機構62と、回転伝達機構64が配置されている。回転伝達機構64は、遊星スピンドル66と、カップリング68,70と、スピンドル72と、細長状の管状チャック74とから構成されている。減速機構62は、第1の実施形態と同一の構造を備えている。
【0015】
管状チャック74は、スリーブ56の内径部にベアリング76を介して配置され、スピンドル72とねじ構造74a,72aを介して連結している(
図8参照)。
スピンドル72は、ベアリング78を介して、スリーブ54の内径部に回転自在に保持され、カップリング70,68を介して、遊星スピンドル66に連結している。チャック74とスピンドル72の外周面にはそれぞれ予圧スプリング80,82が挿着されている。
【0016】
上記した構成において、エアータービン60が回転すると、出力軸63が回転し、この回転は、減速機構62を介して遊星スピンドル66に伝達される。
この遊星スピンドル66の回転は、カップリング68,70を介して管状チャック74に伝達される。
管状チャック74の修理や交換は、本体を分解して、管状チャック74をスピンドル72から外すことにより行うことができる。
図9は、本実施形態の歯科用歯面清掃機器用モーター50に歯磨きツール10を結合した状態を示し、ツール10のヘッド44は、歯科用歯面清掃機器用モーター50により回転駆動される。
【符号の説明】
【0017】
2 歯科用歯面清掃機器用モーター
4 スリーブ
6 スリーブ
8 スリーブ
9 スリーブ
10 プロフィーヘッド(歯磨き用ツール)
12 ホースコネクター
14 エアータービン
16 ベアリング
18 ベアリング
20 入力軸
22 回転タービン出力軸
24 減速機構
26 回転伝達機構
28 遊星スピンドル
30 管状チャック
30a ネジ部
32 遊星歯車
34 内歯歯車
36 歯車
38 ベアリング
40 ベアリング
42 スプリング
44 磨きヘッド(カップ)
50 歯科用歯面清掃機器用モーター
52 スリーブ
54 スリーブ
56 スリーブ
57 スリーブ
58 ホースコネクター
60 エアータービン
62 減速機構
63 出力軸
64 回転伝達機構
66 遊星スピンドル
68 カップリング
70 カップリング
72 スピンドル
74 管状チャック
76 ベアリング
78 ベアリング
80 スプリング
82 スプリング