(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/24 20120101AFI20220107BHJP
G06Q 20/28 20120101ALI20220107BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20220107BHJP
G07G 1/14 20060101ALI20220107BHJP
G06Q 20/26 20120101ALI20220107BHJP
【FI】
G06Q20/24
G06Q20/28
G07G1/12 321P
G07G1/14
G06Q20/26
(21)【出願番号】P 2019045883
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2019-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】594103301
【氏名又は名称】三井住友カード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 真司
【審査官】安田 勇太
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-126916(JP,A)
【文献】特開2018-128714(JP,A)
【文献】特許第6175735(JP,B1)
【文献】特開2002-197392(JP,A)
【文献】特開2018-200596(JP,A)
【文献】特開2006-059193(JP,A)
【文献】特開2005-078258(JP,A)
【文献】特開2003-016371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
G07G 1/12
G07G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一元化された利用明細データの取得要求を第1のユーザ装置から受信し、前記取得要求に含まれるユーザ識別子に基づいて、互いに関連付けられている第1のカード識別子および第2のカード識別子を特定し、特定された前記第1のカード識別子に関連付けられる第1の入出金明細データおよび前記第2のカード識別子に関連付けられる第2の入出金明細データを取得し、取得された前記第1の入出金明細データおよび前記第2の入出金明細データに基づいて、前記第1のユーザ装置に送信するための、一元化された利用明細データを生成する第1の手段であって、前記第1の入出金明細データは、前記第1のカード識別子に関連付けられる第1の残高を含み、前記第2の入出金明細データは、前記第2のカード識別子に関連付けられる第2の残高を含む、第1の手段と、
加盟店端末から受信された決済データに含まれる決済カード番号に基づいて前記第2のカード識別子を特定し、特定された前記第2のカード識別子に関連付けられる1または複数の取引制限情報を取得し、取得された前記1または複数の取引制限情報のいずれかに取引制限を示す情報が設定されているという条件で、受信された前記決済データに含まれる取引情報と、前記取引制限を示す情報が設定されている前記1または複数の取引制限情報とに基づいて、受信された前記決済データに基づく取引が制限される取引に該当するかどうかを判定し、受信された前記決済データに基づく取引が制限される取引に該当するという条件で、前記加盟店端末に第1の決済不可通知文を送信する第2の手段と
を備えた、データ処理装置。
【請求項2】
前記第2のカード識別子に関連付けられる1または複数の取引制限情報は、前記第1のカード識別子に関連付けられるカード契約者によって設定される、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
特定された前記第2のカード識別子に関連付けられる第2の通知先情報を読み出し、
受信された前記決済データに含まれる情報のうち1または複数の情報と、カード決済不可の理由とを含む第2の決済不可通知文を生成し、
前記第2の通知先情報に従って、前記第2の決済不可通知文を対応する第2のユーザ装置に送信し、
特定された前記第2のカード識別子に関連付けられる前記第1のカード識別子に関連付けられる第1の通知先情報を読み出し、
前記第1の通知先情報に従って、前記第2の決済不可通知文を対応する第1のユーザ装置に送信する
ようにさらに構成された、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
特定された前記第2のカード識別子に関連付けられる第2の通知先情報を読み出し、
特定された前記第2のカード識別子に関連付けられる前記第1のカード識別子に関連付けられる第1の通知先情報を読み出し、
受信された前記決済データに含まれる情報のうち1または複数の情報を用いて利用通知文を生成し、前記第1の通知先情報および前記第2の通知先情報を使用して対応するそれぞれのユーザ装置に前記利用通知文を送信する
ようにさらに構成された、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記第1のカード識別子は、カード契約者に関連付けられ、前記第2のカード識別子は、カード利用者に関連付けられ、前記第1のカード識別子は、第1のカード番号および第2のカード番号に関連付けられ、前記第1のカード番号および前記第2のカード番号は、前記第2のカード識別子に関連付けられる第3のカード番号とは異なる、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
データ処理装置によって実行されるデータ処理方法であって、
一元化された利用明細データの取得要求を第1のユーザ装置から受信し、前記取得要求に含まれるユーザ識別子に基づいて、互いに関連付けられている第1のカード識別子および第2のカード識別子を特定し、特定された前記第1のカード識別子に関連付けられる第1の入出金明細データおよび前記第2のカード識別子に関連付けられる第2の入出金明細データを取得し、取得された前記第1の入出金明細データおよび前記第2の入出金明細データに基づいて、前記第1のユーザ装置に送信するための、一元化された利用明細データを生成する第1の処理方法であって、前記第1の入出金明細データは、前記第1のカード識別子に関連付けられる第1の残高を含み、前記第2の入出金明細データは、前記第2のカード識別子に関連付けられる第2の残高を含む、第1の処理方法と、
加盟店端末から受信された決済データに含まれる決済カード番号に基づいて前記第2のカード識別子を特定し、特定された前記第2のカード識別子に関連付けられる1または複数の取引制限情報を取得し、取得された前記1または複数の取引制限情報のいずれかに取引制限を示す情報が設定されているという条件で、受信された前記決済データに含まれる取引情報と、前記取引制限を示す情報が設定されている前記1または複数の取引制限情報とに基づいて、受信された前記決済データに基づく取引が制限される取引に該当するかどうかを判定し、受信された前記決済データに基づく取引が制限される取引に該当するという条件で、前記加盟店端末に第1の決済不可通知文を送信する第2の処理方法と
を備える、データ処理方法。
【請求項7】
前記第1のカード識別子は、カード契約者に関連付けられ、前記第2のカード識別子は、カード利用者に関連付けられ、前記第1のカード識別子は、第1のカード番号および第2のカード番号に関連付けられ、前記第1のカード番号および前記第2のカード番号は、前記第2のカード識別子に関連付けられる第3のカード番号とは異なる、請求項
6に記載のデータ処理方法。
【請求項8】
プロセッサによって実行されたとき、
請求項6または請求項7に記載の方法をデータ処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、データ処理方法およびプログラムに関する。より詳細に言えば、本発明は、複数のカードアカウントを関連付けることにより、複数人が行ったカード決済データを関連付ける家計管理サービスを提供するデータ処理装置、データ処理方法およびプログラムに関する。また、本発明は、カード決済データに基づく各種通知サービスを提供するデータ処理装置、データ処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な決済手段により、キャッシュレス決済が徐々に広まりつつある。しかしながら、個人ベースではキャッシュレス決済が広まりつつあるものの、一つのキャッシュレス決済手段を複数人で共同利用することは稀であり、ごく限られた場面での利用形態しか知られていなかった。親プリペイドカード・子プリペイドカードを連続して挿入及び入出場者数を入力することで子プリペイドカードからは精算せずに子プリペイドカードの分も含めた金額を親プリペイドカードから精算する機能を持った親子プリペイドカード対応自動改札機を用いた複数人数分精算システム(特許文献1)が知られていたものの、利用できる場面はやはり限られていた。
【0003】
また、子供や高齢者など世代によっては現金が決済手段の主流となっている。家族間でのお金の流れは、例えば、親が子供にお小遣いをあげるケースなど、現金が主流である。クレジットカード決済に対する個別商品・サービスの情報、および、支出費目を管理する家計簿作成システム(特許文献2)を利用しようとしたり、毎月計画的に使うお金について共通のお財布を設けて家計管理を行おうとしたりしても、家族の外出行動および支出行動がバラバラに行われることで、予算管理および支出管理が曖昧になり、お財布の一元管理が困難となることも多い。このため、共通のお財布を設けたとしても、無駄遣いが見えない、あと幾ら使っていいのか把握できない等の状況が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-135361号公報
【文献】特開2016-042236号公報(特許第5922197号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キャッシュレス決済が広まりつつあるとは言え、家族間のお金の流れ、および家族個々人の利用状況、残高等を把握することは困難であった。家庭内で各人に渡されて各人が管理するお小遣いや仕送りに関しては、現金の流れが中心であり、定期的に現金で渡す不便さがあり、現金が利用されても利用内容が分からないといったことから、家族のそれぞれのメンバーの収支状況を把握する家計管理は困難であった。
【0006】
お財布を共同利用するにしても、特許文献1のような複数人が利用可能なプリペイドカードでは、体系的に自分・配偶者・子供・親の幅広い年齢層をカバーしたお財布を実現できなかった。
【0007】
家族であっても、特段の事情がない限り、外出行動および支出行動は、別々になることが多い。このため、家族が安全であるか、異常な状況に陥っていないかなどの安否確認を取ることについても負担がある。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、複数のカードアカウントを関連付けることにより、複数人が行ったカード決済データを関連付ける家計管理サービスを提供するデータ処理装置、データ処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。また、本発明は、カード決済データに基づく各種通知サービスを提供するデータ処理装置、データ処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様であるデータ処理装置は、
一元化された利用明細データの取得要求を第1のユーザ装置から受信し、前記取得要求に含まれるユーザ識別子に基づいて、互いに関連付けられている第1のカード識別子および第2のカード識別子を特定し、特定された前記第1のカード識別子および前記第2のカード識別子に関連付けられる入出金明細データを取得し、取得された前記入出金明細データに基づいて、前記第1のユーザ装置に送信するための、一元化された利用明細データを生成する第1の手段と、
加盟店端末から受信された決済データに含まれる決済カード番号に基づいて前記第2のカード識別子を特定し、特定された前記第2のカード識別子に関連付けられる1または複数の取引制限情報を取得し、取得された前記1または複数の取引制限情報のいずれかに取引制限を示す情報が設定されているという条件で、受信された前記決済データに含まれる取引情報と、前記取引制限を示す情報が設定されている前記1または複数の取引制限情報とに基づいて、受信された前記決済データに基づく取引が制限される取引に該当するかどうかを判定し、受信された前記決済データに基づく取引が制限される取引に該当するという条件で、前記加盟店端末に第1の決済不可通知文を送信する第2の手段と
を備える。
【0010】
本発明の別の一態様であるデータ処理装置によって実行されるデータ処理方法は、
一元化された利用明細データの取得要求を第1のユーザ装置から受信し、前記取得要求に含まれるユーザ識別子に基づいて、互いに関連付けられている第1のカード識別子および第2のカード識別子を特定し、特定された前記第1のカード識別子および前記第2のカード識別子に関連付けられる入出金明細データを取得し、取得された前記入出金明細データに基づいて、前記第1のユーザ装置に送信するための、一元化された利用明細データを生成する第1の処理方法と、
加盟店端末から受信された決済データに含まれる決済カード番号に基づいて前記第2のカード識別子を特定し、特定された前記第2のカード識別子に関連付けられる1または複数の取引制限情報を取得し、取得された前記1または複数の取引制限情報のいずれかに取引制限を示す情報が設定されているという条件で、受信された前記決済データに含まれる取引情報と、前記取引制限を示す情報が設定されている前記1または複数の取引制限情報とに基づいて、受信された前記決済データに基づく取引が制限される取引に該当するかどうかを判定し、受信された前記決済データに基づく取引が制限される取引に該当するという条件で、前記加盟店端末に第1の決済不可通知文を送信する第2の処理方法と
を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、個々人の残高を分別管理することができ、かつ複数のカードアカウントを関連付けることにより、複数人が行ったカード決済データを関連付けた一元化された利用明細データを提供する家計管理サービスを実現することができる。本発明によれば、制限したい取引を予め設定しておくことにより、そのような取引の発生を防ぐことができ、かつそのような取引が発生したことをカード契約者やカード利用者に通知することができる。また、本発明によれば、家族が別々に行動していたとしても、カード決済データに基づく通知サービスにより、自動的に安否確認を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書において開示される実施形態の詳細な理解は、添付図面に関連して例示される以下の説明から得ることができる。
【0013】
【
図1】一実施形態に係るデータ処理装置を含むシステム全体の構成図である。
【
図2】一実施形態に係るデータ処理装置のシステム構成図である。
【
図3】一実施形態に係るユーザマスタのデータ構造の一例を説明する図である。
【
図4】一実施形態に係る決済データのデータ構造の一例を説明する図である。
【
図5】一実施形態に係る入出金明細のデータ構造の一例を説明する図である。
【
図6】ユーザマスタのいくつかのデータ項目を設定し、登録するためのユーザインターフェースを例示する図である。
【
図7】データ処理装置によって実行される入出金明細データ生成処理を説明する図である。
【
図8】データ処理装置によって実行される利用明細データ一元化処理を説明する図である。
【
図9】データ処理装置によって実行されるカード利用通知処理を説明する図である。
【
図10】データ処理装置によって実行される制限取引該当通知処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(全体構成)
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。キャッシュレス決済の手段として、例えば、プリペイドカード(前払い式支払手段)、デビットカード(即時支払手段)およびクレジットカード(後払い支払手段)などが利用されているが、本明細書では、主に、プリペイドカード決済についての実施形態を説明する。本発明の要旨は、プリペイドカード決済に限定されることはなく、他の決済手段にも適用可能である。また、本明細書において「カード」とは、物理的に有形なカード状記録担体であってもよいし、ソフトウェアにより電子的に実現される形態であってもよく、限定されることはない。
【0015】
本明細書では、取引通貨の種類として、日本円が利用される場合を主に説明するが、本発明は、これ以外の通貨の種類にも適用可能であり、例えば、米ドルなどの従来の通貨、ビットコイン(登録商標)などの仮想通貨、任意の種類の電子マネーに対しても、本発明の要旨を適用可能である。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るデータ処理装置100を含むシステム全体の構成図である。データ処理装置100は、インターネットおよび専用線などの既知のネットワークを介して、1または複数の加盟店端末110および1または複数のユーザ装置120と相互に通信可能に接続されている。
図1において、加盟店端末110およびユーザ装置120は、1つずつしか示されていないが、これらは複数存在し得る。本明細書では、データ処理装置100を1つの装置として説明するが、データ処理装置100によって実行される様々な処理を複数の装置で分散して実行するように構成してもよい。
【0017】
データ処理装置100は、複数のカードアカウントを関連付けることにより、複数人が行ったカード決済のデータを関連付けた一元化された利用明細データを提供する家計管理サービスを提供する。本明細書で説明するように、1つのカードアカウントは、1つのカードID304によって識別され、1つのカード残高に対応付けられる。データ処理装置100は、加盟店端末110から決済データを受信し、関連するカードアカウントのカード決済の明細データを一括してユーザ装置120に提供する。例えば、カード契約者が、自分のカード以外に、配偶者、子、親のそれぞれのカードを契約した場合、それぞれのカードで行ったカード決済の明細データが一元化されてカード契約者に提供される。なお、自分、配偶者、子、親のそれぞれのカードは、カード番号が異なるカードである。
【0018】
データ処理装置100は、カード決済のデータに基づく各種通知サービスを提供する。データ処理装置100は、受信した決済データに基づいて、カード契約者の通知先および/またはカード利用者(例えば、子、親)の通知先にカード決済の発生および決済内容を通知する。また、データ処理装置100は、カード契約者および/またはカード利用者によって、予め制限された取引に合致する取引が行われようとしている場合、取引不可通知を加盟店端末110に送信するとともに、カード契約者および/またはカード利用者の通知先にも送信する。
【0019】
加盟店端末110は、イシュアー(前払式支払手段発行者)が発行するカードでの決済処理が可能な、加盟店の店頭に設置されているカード決済端末機であってもよいし、あるいは加盟店が運用している電子商取引のためのシステムであってもよい。加盟店端末110は、POS端末に組み込まれていてもよい。加盟店端末110は、カード決済時に決済データ(例えば、オーソリゼーションデータ)をデータ処理装置100に送信し、その結果(例えば、取引可、取引不可)を受信する。
【0020】
ユーザ装置120は、データ処理装置100から提供される画面を閲覧するためのアプリケーションプログラムを有し、当該アプリケーションプログラムを介して、データ処理装置100との間でデータの送受信を行うことができる。ユーザ装置120は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォンやタブレット端末などの通信機能を備えたコンピュータとすることができるが、特定の装置に限定されることはない。ユーザ装置120は、データ処理装置100によって提供されるカード残高情報およびカード利用明細情報を取得し、画面上に表示することができる。ユーザ装置120は、アプリケーションプログラムを介したデータ登録のため、データ処理装置100に各種設定情報を送信することができる。なお、本明細書では、説明の便宜上、カード契約者によって使用されるユーザ装置120を第1のユーザ装置と呼び、カード利用者によって使用されるユーザ装置を第2のユーザ装置と呼ぶこともある。
【0021】
アプリケーションプログラムは、関連するカードアカウントの残高間での資金移動を実行する機能を提供することができる。これにより、例えば、カード契約者が、子供に対してお小遣いを渡す際も現金ではなく、残高を増減させることによって行うことができるようになる。また、アプリケーションプログラムは、残高間での資金移動を所定の指定日ごとに実行する機能、残高が所定の金額を下回った際に動的に資金移動する機能を提供することもできる。さらに、アプリケーションプログラムは、残高にチャージする際、従来の手法、例えば、クレジットカードによるチャージ、銀行口座からのチャージ、ポイントからのチャージなどを実行するように構成されることができる。
【0022】
(システム構成)
図2は、本発明の一実施形態に係るデータ処理装置100のシステム構成図である。
図2に示すように、データ処理装置100は、一般的なコンピュータと同様に、バス210などによって相互に接続された制御部201、主記憶部202、補助記憶部203、インターフェース(IF)部204および出力部205を備える。また、データ処理装置100は、ファイル/データベースなどの形式として、ユーザマスタ206、決済データ207、および入出金明細208を備える。
【0023】
制御部201は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、データ処理装置100内の各構成要素の制御やデータの演算を行い、また、補助記憶部203に格納されている各種プログラムを主記憶部202に読み出して実行することができる。主記憶部202は、メインメモリとも呼ばれ、受信した各種データ、コンピュータ実行可能な命令および当該命令による演算処理後のデータなどを記憶することができる。補助記憶部203は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存する際に使用される。
【0024】
図2の実施形態は、制御部201、主記憶部202および補助記憶部203を同一のコンピュータ内に設ける実施形態について説明するが、他の実施形態として、データ処理装置100は、制御部201、主記憶部202および補助記憶部203を複数個使用することにより、複数のコンピュータによる並列分散処理を実現するように構成することもできる。また、他の実施形態として、データ処理装置100用の複数のサーバを設置し、複数サーバが一つの補助記憶部203を共有する実施形態にすることも可能である。
【0025】
IF部204は、他のシステムや装置との間でデータを送受信する際のインターフェースの役割を果たし、また、システムオペレータから各種コマンドや入力データ(各種マスタ、テーブルなど)を受け付けるインターフェースを提供することができる。出力部205は、処理されたデータを表示する表示画面や当該データを印刷するための印刷手段などを提供することができる。
【0026】
ユーザマスタ206は、カード契約者およびカード利用者の情報を格納するマスタファイルであり、データ処理装置100によって実行される利用明細データ一元化処理、カード利用通知処理、および制限取引該当通知処理についての情報を含む。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態に係るユーザマスタ206のデータ構造の一例を説明する図である。ユーザマスタ206は、ユーザID301、認証情報302、ユーザ情報303、カードID304、第1のカード番号305、第2のカード番号306、関連カードID307、通知先情報308、海外制限区分309、国内制限区分310、対面制限区分311、非対面制限区分312、取引額閾値313、および期間取引額閾値314を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことが可能である。
【0028】
ユーザID301は、アプリケーションプログラムを介してデータ処理装置100にアクセスするためのユーザ識別子であり、カード契約者およびカード利用者のそれぞれを識別するユーザ識別子である。認証情報302は、データ処理装置100によって行われる認証処理において使用される認証情報である。認証情報302は、パスワード、生体情報など周知の認証情報であってよい。ユーザ情報303は、カード利用者の氏名、住所などの属性情報を示す。カード契約者およびカード利用者のそれぞれは、アプリケーションプログラムを介して、各自のカードに関連付けられる残高情報およびカード利用明細を照会することができる。また、カード契約者は、カード利用者のそれぞれの残高情報およびカード利用明細情報を照会することもでき、また、カード契約者およびカード利用者のそれぞれのカード利用明細情報を一括して照会することができる。
【0029】
カードID304は、残高管理および利用明細管理を行う単位であるカードアカウントを識別する識別子である。第1のカード番号305および第2のカード番号306は、カードID304に関連付けられる、それぞれのカード番号を示す。第1のカード番号305および第2のカード番号306のそれぞれは、対応するそれぞれのカードに関連付けられている。関連カードID307は、カードID304に関連付けられるカードIDを示す。換言すれば、カードID304が親カードIDであるとすると、関連カードID307に格納されているカードIDは子カードIDである。関連カードID307は、複数のカードIDを示してもよい。
【0030】
なお、本発明の他の実施形態では、逆に、関連カードID307に、親カードのカードID304を含むようにしてもよい。かかる場合、親カードのデータの関連カードID307はNull値を示し、子カードのデータの関連カードID307は、親カードのカードID304を示すこととなる。
【0031】
上述したように、本実施形態では、1つのカードID304に対して複数のカード番号(第1のカード番号305および第2のカード番号306)が関連付けられているので、1つの残高を複数人(例えば、カード契約者と配偶者)で共同利用することができる。また、カード利用者(例えば、カード契約者の家族(子供、親など))は、別個のカード残高(異なるカードアカウントの残高)を利用することも可能であるが、家族などのカード利用者が保有するカードは、関連カードID307によってカード契約者のカードに関連付けられている。このように、複数のカードアカウント(カードID)が関連付けられているので、データ処理装置100は、カード契約者およびカード利用者が保有する複数のカードの利用明細データを一元化することが可能となる。
【0032】
通知先情報308は、カード決済が行われたこと、1回の決済額または所定期間の決済額が所定の閾値を超えたこと、および行ったカード決済が取引制限に該当したことを通知するための通知先の情報(例えば、カード契約者やカード利用者のメールアドレスなど)を示す。通知先情報308は、1または複数の通知先を格納することができる。例えば、カード契約者と配偶者のそれぞれに通知が届くように構成されることが可能である。
【0033】
海外制限区分309、国内制限区分310、対面制限区分311、および非対面制限区分312は、カード契約者および/またはカード利用者が設定可能な取引制限を示す区分である。すなわち、カード契約者および/またはカード利用者は、任意のカードアカウントに対して特定の取引を制限することができ、例えば、海外の加盟店でのカード決済を不可としたい、インターネット等を介した電子商取引でのカード決済を不可としたい、などの制限を設定することができる。
【0034】
海外制限区分309は、海外の加盟店でのカード決済を制限するかどうかを示し、国内制限区分310は、国内の加盟店でのカード決済を制限するかどうかを示す。対面制限区分311は、対面取引でのカード決済を制限するかどうかを示し、非対面制限区分312は、非対面取引(例えば、電子商取引)でのカード決済を制限するかどうかを示す。当業者には周知なように、加盟店端末110から送信される決済データには取引内容を示す情報が含まれている。この情報には、取引が対面取引であるか、非対面取引であるかの区分、取引が国内の取引であるか、海外の取引であるかを示す区分などが含まれている。
【0035】
取引額閾値313は、1回の取引における取引上限額(第1の閾値)を示す。期間取引額閾値314は、所定の期間における取引累計上限額(第2の閾値)を示す。これらの情報により、データ処理装置100は、第1の閾値や第2の閾値を超える取引が行われた場合、通知先情報308の情報に基づいて対応するユーザ装置120に通知を行うことができる。本発明の他の実施形態では、データ処理装置100は、第1の閾値や第2の閾値を超える取引が行われようとしている場合、その取引の成立を拒むことができ、取引不可の通知を加盟店端末110に送信することができる。
【0036】
図6は、ユーザマスタ206のいくつかのデータ項目を設定し、登録するためのユーザインターフェース600を例示する図である。以下、
図6を参照しながら、カード契約者が、カード利用者(例えば、子、親など)のユーザマスタ206のいくつかのデータ項目を設定し、ユーザマスタ206に登録する処理を説明する。説明の前提として、カード契約者は、イシュアーに対して複数枚のカード発行の申込をし、既に、家族用の複数枚のカードが発行されているものとする。
【0037】
カード契約者は、ユーザ装置120を介してデータ処理装置100にアクセスする。アクセスする際、ユーザID301および認証情報302に基づく認証処理が行われてよい。データ処理装置100は、所定のメニューが選択されたことを示す信号をユーザ装置120から受信すると、ユーザインターフェース600をユーザ装置120のディスプレイに表示させる。
【0038】
ユーザインターフェース600は、終了ボタン601、ユーザアイコン602、カード番号603、通知先情報604、制限対象取引605、および登録ボタン606を含むことができるが、他の情報を設定するためのアイコンや入力欄が含まれていてもよい。
【0039】
終了ボタン601は、ユーザインターフェース600の表示を終了させるボタンである。ユーザアイコン602は、各種情報の設定を行いたいユーザを選択するためのアイコンである。
図6の実施例では、カード契約者の共有者(例えば、配偶者)、1または複数の子供、1または複数の親を選択できるようになっているが、表示されるアイコンの名称および数は、家族形態によって変更されてもよい。
【0040】
カード番号603は、ユーザアイコン602で選択した共有者、カード利用者に関連付けられるカード番号を入力する入力欄であり、イシュアーから発行されたカード番号をどの家族に割り当てたかを入力する欄である。例えば、ユーザアイコン602で共有者を選択した後、共有者が使用するカード番号をカード番号603に入力して登録すると、共有者のカード番号は、カード契約者と同一のカードアカウント(同一のカードID304)に関連付けられて登録されることとなる。また、ユーザアイコン602でカード利用者(アイコン名称は「1」「2」)を選択した後、カード利用者が使用するカード番号をカード番号603に入力して登録すると、カード利用者のカード番号は、カード契約者とは異なるカードアカウント(異なるカードID304)に関連付けられて登録されるとともに、異なるカードID304は、カード契約者のカードアカウント(カードID304)の関連カードID307に登録されることとなる。
【0041】
通知先情報604は、カード決済が行われたこと、1回の決済額または所定期間の決済額が所定の閾値を超えたこと、および取引制限に該当したことを通知するための通知先情報を入力する入力欄である。カード利用者の情報を登録する際、カード契約者の通知先情報を登録すれば、カード利用者がカード決済を行った時などの通知は、カード契約者に対して行われることとなる。制限対象取引605は、ユーザアイコン602で選択した共有者、カード利用者のカード取引のうち、利用を制限したいカード取引を選択する選択欄である。登録ボタン606は、ユーザインターフェース600において入力した情報をユーザマスタ206に登録するボタンである。
図6の実施形態では、カード契約者が、共有者およびカード利用者のユーザマスタ206のいくつかのデータ項目を設定する例を説明したが、カード契約者が、ユーザインターフェース600を介して、自分自身のユーザマスタ206のいくつかのデータ項目を設定することも可能である。
【0042】
図2に戻って説明すると、決済データ207は、加盟店端末110から受信した決済データを格納する。
図4は、本発明の一実施形態に係る決済データ207のデータ構造の一例を説明する図である。決済データ207は、取引ID401、決済カード番号402、取引日403、加盟店情報404、および取引金額405を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことが可能である。
【0043】
取引ID401は、カード決済の取引を識別するための識別子である。決済カード番号402は、カード決済に利用されたカードのカード番号を示す。取引日403は、カード決済が行われた年月日を示す。取引日403は、取引時間を示すように構成されてもよい。加盟店情報404は、加盟店ID、加盟店名称、業種などの情報を示す。取引金額405は、カード決済の取引金額(決済金額)を示す。取引金額405は、通貨の種類を示してもよい。
【0044】
加盟店端末110は、予め、その加盟店の加盟店ID、加盟店名称、業種などの情報を保持している。加盟店においてカード決済が行われると、加盟店端末110は、カード決済時に取引ID401を生成し、保持していた情報とともにカード番号、取引日、取引金額の情報を含む決済データをデータ処理装置100に送信する。データ処理装置100は、受信した決済データを決済データ207に格納する。
【0045】
再び、
図2に戻って説明すると、入出金明細208は、カードの入出金明細および残高情報を格納する。
図5は、本発明の一実施形態に係る入出金明細208のデータ構造の一例を説明する図である。入出金明細208は、カードID304、決済カード番号402、取引日403、取引内容501、入出金区分502、通貨区分503、取引金額405、および残高504を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことが可能である。
【0046】
カードID304、決済カード番号402、取引日403、および取引金額405は、上記で説明した通りであるため、詳細な説明を省略する。取引内容501は、取引が行われた内容、例えば、加盟店の名称、業種などを示す。入出金区分502は、行われた取引が入金取引(チャージ)または出金取引のいずれであるのかを示す。通貨区分503は、行われた取引の取引通貨の種類(例えば、日本円、米ドルなどの従来の通貨、ビットコインなどの仮想通貨、任意の種類の電子マネー)を示す。残高504は、入金取引後または出金取引後の残高情報を示す。
【0047】
(処理フロー:入出金明細データ生成処理)
図7は、データ処理装置100によって実行される入出金明細データ生成処理を説明する図である。本処理フローを参照しながら、加盟店端末110から受信された決済データに基づいて、入出金明細データが生成され、入出金明細208に格納される処理を説明する。なお、本処理フローでは、オーソリゼーション処理の結果、残高不足になっていないことを前提に説明する。
【0048】
S701にて、加盟店端末110から決済データを受信すると、データ処理装置100は、受信した決済データを決済データ207に格納する。
【0049】
S702にて、データ処理装置100は、ユーザマスタ206にアクセスし、受信した決済データに含まれている決済カード番号402に基づいて対応するカードID304を特定する。より詳細に言えば、データ処理装置100は、決済カード番号402によって示されるカード番号が第1のカード番号305または第2のカード番号306に格納されているカードID304を識別する。
【0050】
S703にて、データ処理装置100は、入出金明細208にアクセスし、受信した決済データに含まれている通貨の種類および特定されたカードID304に関連付けられる直近の入出金明細データを取得する。例えば、受信した決済データが日本円での取引を示している場合には、特定されたカードID304に関連付けられる日本円の入出金明細データのうち、直近の入出金明細データが取得される。
【0051】
S704にて、データ処理装置100は、受信した決済データがプリペイドカードからの出金処理に相当すると判定し、受信した決済データに含まれる情報に基づいて、決済カード番号402、取引日403、取引内容501、入出金区分502、通貨区分503、取引金額405の情報を特定する。データ処理装置100は、S703にて取得した入出金明細データの残高504の値と、特定した取引金額405の値とに基づいて新たな残高504の値を算出する。データ処理装置100は、特定したこれらの情報、算出した残高504の値、およびS702にて特定したカードID304に基づいて入出金明細データを生成し、入出金明細208に格納する。
【0052】
本処理フローでは、カード決済によって残高が減少する例を説明したが、チャージによる残高が増加する処理についても同様の処理フローが適用可能である。チャージは、加盟店端末110から行うこともできるが、当業者には周知なように、クレジットカードからのチャージ、銀行口座からのチャージ、チャージ装置からのチャージ、保有ポイントを変換してチャージ、など従来の手段により行うことができる。チャージの場合、S704にて、データ処理装置100は、入金処理に相当すると判定し、入出金明細データを生成し、入出金明細208に格納する。
【0053】
(処理フロー:利用明細データ一元化処理)
図8は、データ処理装置100によって実行される利用明細データ一元化処理を説明する図である。本処理フローを参照しながら、カード契約者によって操作されるユーザ装置120からの要求に応答して、複数のカードID304に関連付けられる入出金明細データを一元化してユーザ装置120に提供する処理を説明する。
【0054】
S801にて、データ処理装置100は、ユーザ装置120(第1のユーザ装置)から一元化された利用明細データの取得要求を受信する。データ処理装置100は、ユーザマスタ206にアクセスし、取得要求に含まれるユーザID301に基づいて、カードID304(第1のカードID)と、関連カードID307によって示される、1または複数のカードID304(第2のカードID)を特定する。本実施形態では、第1のカードIDは、カード契約者に関連付けられ、第2のカードIDは、カード利用者(例えば、子、親)に関連付けられる。
図3を参照しながら説明したように、カードID304(第1のカードID)は、第1のカード番号305および第2のカード番号306に関連付けられる。このため、第1のカードIDによって示されるカードアカウントの残高は、複数人(例えば、カード契約者および配偶者)によって共有され得る。
【0055】
S802にて、データ処理装置100は、入出金明細208にアクセスし、特定された第1のカードIDおよび第2のカードIDに関連付けられる入出金明細データを取得する。
【0056】
S803にて、データ処理装置100は、S802にて取得した入出金明細データを、例えば、カードID304および決済カード番号402ごとにまとめて、一元化した利用明細データを生成する。
【0057】
S804にて、データ処理装置100は、生成した一元化済みの利用明細データをユーザ装置120に送信する。
【0058】
これにより、カード契約者は、互いに関連する複数のカードID304に紐付けられた利用明細データをまとめて参照することができるようになり、カード利用者(例えば、子、親)の利用状況を把握することができるようになる。
【0059】
(処理フロー:カード利用通知処理)
図9は、データ処理装置100によって実行されるカード利用通知処理を説明する図である。本処理フローを参照しながら、カード利用者(例えば、子、親)によってカード決済が行われた際のカード利用者およびカード契約者に対する通知処理を説明する。
【0060】
S901にて、加盟店端末110から決済データを受信すると、データ処理装置100は、ユーザマスタ206にアクセスし、受信した決済データに含まれる決済カード番号402に基づいてカードID304を特定する。データ処理装置100は、入出金明細208にアクセスし、特定したカードID304に基づいて、当該カードID304に関連付けられる直近の入出金明細データの残高504の値を取得し、受信した決済データに基づく決済処理が可能かどうか(残高不足が発生するかどうか)を判定する。この判定処理は、オーソリゼーションとも言われる。
【0061】
S902にて、データ処理装置100は、オーソリゼーション処理が成功裏に完了した後(つまり、残高の範囲内の決済であることが確認された後)、特定したカードID304に関連付けられる通知先情報308に格納されている通知先情報(第2の通知先情報)を読み出す。データ処理装置100は、ユーザマスタ206にさらにアクセスし、特定したカードID304が関連カードID307に含まれている他のカードID304(すなわち、カード契約者のカードID304)を読み出す。データ処理装置100は、読み出された他のカードID304に関連付けられる通知先情報308に格納されている通知先情報(第1の通知先情報)を読み出す。本実施形態では、第1の通知先情報はカード契約者に関連付けられ、第2の通知先情報はカード利用者に関連付けられている。
【0062】
S903にて、データ処理装置100は、S901にて受信した決済データに含まれる情報(例えば、決済カード番号402、取引日403、加盟店情報404、取引金額405)のうち1または複数の情報を用いて利用通知文を生成し、第1の通知先情報および第2の通知先情報を使用して対応するそれぞれのユーザ装置120(第1のユーザ装置、第2のユーザ装置)に利用通知文を送信する。
【0063】
この処理により、子や親がカード決済をした場合であっても、カード契約者に対してカードが利用されたことが通知され、カード契約者が子や親のカード利用を知ることができるようになる(安否確認)。また、カード利用者が自らのカード決済情報を受信することにより、取引内容を把握できるようになり、第三者の不正利用を把握しやすくなる。
【0064】
(処理フロー:制限取引該当通知処理)
図10は、データ処理装置100によって実行される制限取引該当通知処理を説明する図である。本処理フローを参照しながら、実行されようとしているカード決済が制限取引に該当するかどうかを判定し、該当する場合にはカード決済ができない旨の通知を加盟店端末110に通知するとともに、ユーザ装置120にも通知する処理を説明する。なお、この処理は、オーソリゼーション処理を実行する前に行ってもよいし、実行した後に行ってもよく、特に限定されることはない。オーソリゼーションの実行後にこの処理を行う場合、残高の更新は行われない。
【0065】
S1001にて、加盟店端末110から決済データを受信すると、データ処理装置100は、ユーザマスタ206にアクセスし、受信した決済データに含まれる決済カード番号402に基づいてカードID304を特定する。本実施形態では、カード利用者がカード決済を行った場合を説明するので、特定されたカードID304は、カード利用者に関連付けられている。
【0066】
S1002にて、データ処理装置100は、特定されたカードID304に関連付けられている海外制限区分309、国内制限区分310、対面制限区分311、および非対面制限区分312の情報のうち1または複数の情報をユーザマスタ206から取得する。
【0067】
S1003にて、データ処理装置100は、取得した海外制限区分309、国内制限区分310、対面制限区分311、および非対面制限区分312のそれぞれについて、取引制限を示す情報が設定されているかどうかを判定する。いずれかの区分に取引制限を示す情報が設定されている場合、ステップS1004に処理が進み、一方、設定されていない場合、本処理フローは終了する。
【0068】
S1004にて、データ処理装置100は、受信した決済データに含まれる取引情報(取引が対面取引であるか、非対面取引であるかの区分、取引が国内または海外の取引であるかを示す区分、など)と、S1002にて取得した、取引制限を示す情報が設定されている区分309~312の情報とに基づいて、受信した決済データに基づく取引が制限される取引に該当するかどうかを判定する。該当する場合、S1005に処理が進み、該当しない場合、本処理フローは終了する。
【0069】
S1005にて、データ処理装置100は、加盟店端末110に対してカード決済不可の通知を送信する。また、データ処理装置100は、ユーザマスタ206にアクセスし、S1001にて特定されたカードID304に関連付けられる通知先情報308(第2の通知先情報)を読み出す。データ処理装置100は、受信した決済データに含まれる情報(例えば、決済カード番号402、取引日403、加盟店情報404、取引金額405)のうち1または複数の情報と、カード決済不可の理由とを含む決済不可通知文を生成し、読み出した通知先情報308(第2の通知先情報)を使用して対応するユーザ装置120(第2のユーザ装置)に決済不可通知文を送信する。これにより、カード利用者は、決済不可となった取引の内容およびその理由(どの制限区分に該当したか)を知ることができるようになる。
【0070】
データ処理装置100は、ユーザマスタ206にさらにアクセスし、S1001にて特定されたカードID304が関連カードID307に含まれている他のカードID304(すなわち、カード契約者のカードID304)を読み出す。データ処理装置100は、読み出された他のカードID304に関連付けられる通知先情報308に格納されている通知先情報(第1の通知先情報)を読み出す。データ処理装置100は、S1005にて生成された決済不可通知文を、第1の通知先情報を使用して対応するユーザ装置120(第1のユーザ装置)に送信することができる。これにより、カード利用者だけでなく、カード契約者に対しても決済不可となった取引の内容およびその理由(どの制限区分に該当したか)が通知されることとなる。
【0071】
この処理により、予め設定されている取引制限に該当するカード決済が発生した場合、取引を成立させないだけでなく、加盟店だけでなく、カード契約者およびカード利用者に対しても決済不可通知を行うことができるようになる。
【0072】
以上、例示的な実施形態を参照しながら本発明の原理を説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく、構成および細部において変更する様々な実施形態を実現可能であることを当業者は理解するだろう。すなわち、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。
【符号の説明】
【0073】
100 データ処理装置
110 加盟店端末
120 ユーザ装置
201 制御部
202 主記憶部
203 補助記憶部
204 インターフェース(IF)部
205 出力部
206 ユーザマスタ
207 決済データ
208 入出金明細
210 バス