(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】二放射患者インターフェース
(51)【国際特許分類】
A61F 9/009 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
A61F9/009
(21)【出願番号】P 2019215190
(22)【出願日】2019-11-28
(62)【分割の表示】P 2018202879の分割
【原出願日】2014-01-31
【審査請求日】2020-01-06
(32)【優先日】2013-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】イルヤ ゴールドシュレガー
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー ドング
(72)【発明者】
【氏名】ティボール ジュハスツ
(72)【発明者】
【氏名】ウェスリー ラミス
(72)【発明者】
【氏名】フェレンク ラクシ
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0099077(US,A1)
【文献】特開平8-117266(JP,A)
【文献】特開平2-299653(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0319873(US,A1)
【文献】カナダ国特許出願公開第1033200(CA,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/00-08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用システムのための患者インターフェースであって、
前記眼科用システムの遠位端に前記患者インターフェースを取り付けるように構成される取付部分と、
眼に前記患者インターフェースをドッキングするように構成される接触部分と、
前記接触部分に結合された接触要素であって、
前記眼への前記患者インターフェースのドッキングの一部として、前記眼の角膜の表面に接触するように構成され、かつ
中央曲率半径Rcを有する中央部分及び周辺曲率半径Rpを有する周辺部分を有し、RcがRpより小さい、接触要素と、を備えた、眼科用システムのための患者インターフェースにおいて、
前記中央部分及び前記周辺部分が、6mm~9mmの範囲にある中央-直径Dcを有する縁において接合され、
前記中央-直径Dcは前記眼の周辺-角膜の直径より小さく、前記周辺-角膜の直径は10mm~12mmの範囲にある、患者インターフェース。
【請求項2】
Rcが、6.6mm~9.1mmの範囲にあり、Rpが、8.8mm~10.8mmの範囲にある、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項3】
Rcが、7.1mm~8.1mmの範囲にあり、Rpが、9.3mm~10.3mmの範囲にある、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記接触部分が、
前記中央部分と前記角膜との間の接触空間からの空気の圧出を補助するように構成される脱出構造を備える、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記接触要素の近位面に対応し、かつ
前記眼へのドッキング時に前記接触要素の5%超の半径方向の変形を防止するように構成される、剛性遠位レンズと、
外周に沿って前記接触要素を前記接触部分に固着し、かつ
前記眼へのドッキング時に前記接触要素の5%超の側方拡大を防止するように構成される、固着構造と、を備える、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記接触要素が、前記接触部分に挿入されるように構成され、かつ
前記接触部分が、前記接触要素の前記挿入を受容するように構成される、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
前記接触部分が、
前記接触要素の近位面の近位曲率半径の5%以内の遠位曲率半径を有する、遠位面を有する剛性遠位レンズであって、
その挿入時に前記接触要素との延長した接触を形成し、かつ
前記眼へのドッキング時に前記接触要素の5%超の半径方向の変形を防止するように構成される、剛性遠位レンズを備える、請求項6に記載の患者インターフェース。
【請求項8】
前記接触部分が
、
前記挿入した接触要素を前記接触部分にしっかりと固着し、かつ
前記眼へのドッキング時に前記接触要素の5%超の側方拡大を防止するように構成される
固着構造を備える、請求項6に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
遠位レンズ、固着構造、前記接触要素の材料、及び前記中央曲率半径Rcが、前記眼に前記患者インターフェースをドッキングする際、前記眼の角膜の曲率半径の変化が前記中央曲率半径の変化より大きい(△R(中央-角膜)>△Rc)ように選択される、請求項6に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記接触要素が、前記角膜の前記表面に潤滑膜を形成する接触材料を含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
前記接触要素の表面が、親水性材料を含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記接触要素が、70%を上回る含水量を有するヒドロゲルを含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
前記接触要素が、50~70%の範囲の含水量を有するヒドロゲルを含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項14】
前記接触要素が、30~50%の範囲の含水量を有するヒドロゲルを含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項15】
前記接触要素が、1.32~1.44の範囲の水和屈折率を有する、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項16】
前記接触部分が、
吸引システムに結合され、
前記吸引システムからの吸引を受容し、かつ
前記眼に前記患者インターフェースをドッキングするために、前記患者インターフェースと前記眼との間の接触空間に前記吸引システムの前記吸引を適用するように構成される、吸引リングを備える、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項17】
前記取付部分
と前記接触部分が
一体で製造されている、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項18】
前記取付部分が、前記接触部分から分離し、
前記取付部分が、前記接触部分が前記眼にドッキングされた後に、前記接触部分に結合されるように構成される、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項19】
前記接触要素が、前記中央部分と前記周辺部分との間に、中間曲率半径Riを有する中間部分を備え、Rc<Ri<Rpである、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項20】
Rcが、7~9mmの範囲にあり、Riが、8~12mmの範囲にあり、Rpが、10~14mmの範囲にある、請求項19に記載の患者インターフェース。
【請求項21】
Dcは、前記眼の中央-角膜の直径より大きい、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項22】
前記縁は、前記眼の前記周辺-角膜に接触するように構成される、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項23】
前記縁は、ドッキング時、前記眼の中央-角膜を伸ばすように構成される、請求項1に記載の患者インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、35U.S.C§119の下で、2013年2月1日に出願された米国特許出願第13/757,236号に対する優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
この特許文書は、眼前部の手技のために、眼科用システムを眼に取り付ける患者インターフェースに関する。より具体的には、この特許文書は、手技を行う眼の角膜の変形を低減する二放射患者インターフェースに関する。
【背景技術】
【0003】
この特許文書は、眼科用システムを眼に固定するための技法及びデバイスの例及び実施形態を説明する。眼科用システムは、白内障手技などの眼前部の手技を行うための眼科手術用レーザシステムであり得る。これらのデバイスは、多くの場合、患者インターフェースと呼ばれる。患者インターフェースは、眼科用システムと患者の眼を接続し、結合するように機能し、よって、それらの性能は、眼科手技の精度及び成功の重要な支配要因である。したがって、患者インターフェースの向上は、眼科手技の精度及び信頼性の向上をもたらすことができる。
【発明の概要】
【0004】
簡潔かつ一般的に、本発明の実施形態は、眼科外科手技の精度を妨げる要因の1つである角膜のしわを低減することができる。角膜のしわの原因には、眼上の患者インターフェースと光学系の対物レンズの重量によりかかる圧力、眼に対して患者インターフェースを固定するための吸引システムの負圧によって生成される圧縮力、患者インターフェースの曲率半径と眼の角膜の曲率半径との間の不一致、角膜の表面の複雑な形状、及び患者ごとに異なる角膜曲率半径が含まれる。
【0005】
角膜のしわを低減することによって眼科外科手技の精度を向上させるために、本発明の実施形態による眼科用システムのための患者インターフェースは、眼科用システムの遠位端に患者インターフェースを取り付けるように構成される取付部分と、眼に患者インターフェースをドッキングするように構成される接触部分と、接触部分に結合され、眼への患者インターフェースのドッキングの一部として眼の角膜の表面に接触するように構成され、かつ中央曲率半径Rcを有する中央部分及び周辺曲率半径Rpを有する周辺部分を有し、RcがRpより小さい、接触要素とを含み得る。
【0006】
眼に眼科手術用レーザシステムの患者インターフェースをドッキングする方法の実施形態は、眼の角膜の中央部分の曲率半径R(中央-角膜)、ならびに眼の角膜及び強膜の周辺部分の曲率半径特性R(周辺-角膜-強膜)を決定することと、中央曲率半径Rcを有する中央部分、及びRcよりも大きい周辺曲率半径Rpを有する周辺部分を有する接触要素を選択することであって、RcがR(中央-角膜)+1mm未満であり、RpがR(周辺-角膜-強膜)+1mm未満である、選択することと、選択された接触要素を有する眼科手術用レーザシステムの患者インターフェースを眼にドッキングすることとを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2A】一部の患者インターフェースにドッキングされている角膜のしわを示す図である。
【
図2B】一部の患者インターフェースにドッキングされている角膜のしわを示す図である。
【
図3】二放射接触要素を有する1部構成の患者インターフェースを示す図である。
【
図4】二放射接触要素を有する2部構成の患者インターフェースを示す図である。
【
図5】二放射接触要素を有する患者インターフェースを使用する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
いくつかのレーザによる眼の外科手技、例えば角膜屈折修正、ならびにレーザ支援レンズ光切断及び嚢切開は、手技中に眼科手術用レーザシステムに対して手技を行う眼を固定することにより便益を得る場合がある。いくつかの眼科手術用レーザシステムは、この課題を実行するために、いわゆる患者インターフェースを使用する。患者インターフェースの近位部は、手術用レーザシステムの遠位端、例えば、その対物レンズに取り付けることができる。患者インターフェースの遠位部は、接触レンズを含み得る。患者インターフェースは、眼にそれを押し付け、次に患者インターフェースと眼との間の空間に吸引を適用することにより、眼にドッキングすることができる。患者インターフェースが眼にドッキングされると、接触レンズは、眼の角膜に対して押し付けられる。患者インターフェースの圧力及び吸引は手術用レーザシステムに対して眼をしっかり維持し、接触レンズは眼に対して十分に制御された光学結合もたらす。これらの属性は両方とも、眼内の所定の標的位置にレーザビームを高い精度で指向し、焦点を合わせることを可能にする。
【0009】
いくつかの患者インターフェースは、圧平プレートとも呼ばれる平坦な接触レンズを使用する。他には、単一曲率半径の湾曲した接触レンズを含む。眼を覆う涙膜の滑りに起因する眼の滑り及び転動を防止するために、これらの接触レンズは、機械的な力により、及び真空システムによって周囲の吸引リングに吸引を適用することにより、眼の角膜に対して押し付けられる。
【0010】
湾曲接触レンズの単一曲率半径を使用することによって、眼科用システムのレーザビームのビーム特性を最適化するために明確に定義された、単純な光学要素、及び場合によっては手術用レーザを正確に指向するための基準面が提供される利点があるが、それらの使用は、以下を含む問題につながる可能性がある。
【0011】
(1)ドッキング中に接触レンズの下に気泡がしばしば閉じ込められる。この気泡形成を回避するために、典型的には、単一曲率半径の接触レンズの曲率半径が角膜よりも大きいように選択される。中央部分(中央-角膜)の典型的な角膜曲率半径は、7.2~8.0mmの範囲にあり、かなりの場合において7.6mmに近い。したがって、単一曲率半径の接触レンズの曲率半径は、多くの場合、これらの値よりも明らかに大きく、多くの場合、10~15mmの範囲にあるように選択される。10~15mmの範囲の曲率半径は、レーザビーム112の波面を最適化し、その収差を最小化するのに有用であり得る。
【0012】
しかしながら、接触レンズの曲率半径と角膜の曲率半径との大きな不一致は、眼へのドッキング時に接触レンズが平坦化し、よって、角膜の表面にしわが寄る問題につながる場合がある。これらのしわは、レーザビームを歪め、ビームの散乱の増加をもたらし、その力を、光切断閾値を下回って減少させ、白内障手術の重要な嚢切開の切断が不完全となる可能性がある。それに応じて、レーザビームの力がしわによる散乱の増加を克服するために増加される場合、より強い力は、特に角膜にしわが寄らない領域を通してビームを走査する場合、網膜などの眼の感光性組織を損傷する可能性がある。しわはまた、レーザビームの標的の精度を低下させる可能性がある。
【0013】
(2)眼の前面が単一半径の接触レンズよりも複雑であるという追加的理由のため、単一曲率半径の接触レンズを使用することにより、角膜にしわが寄る可能性がある。これは、7~8mmの範囲の曲率半径R(中央-角膜)、典型的には約7.6mmの曲率半径を有する中央-角膜を含む。中央-角膜の周囲には、曲率半径R(周辺-角膜)が8mmから最大11mmまで徐々に増加し得る周辺-角膜がある。周辺-角膜の周囲には、曲率半径R(強膜)が中央-角膜と著しく異なる、9~14mmの範囲、多くの場合9.5~12mmの範囲の強膜がある。単一曲率半径の接触レンズと、2つまたはさらには3つの明確に異なる半径を有する眼の前面とは一致せず、この不一致の程度は、患者インターフェースを眼にドッキングする際に、この不一致が角膜の実質的なしわをもたらし得るほどのものである。
【0014】
(3)接触レンズの曲率半径とその単一曲率半径構造の不一致は、角膜にしわを寄せるだけでなく、眼の内部レンズの支持系が非常に柔らかいために、内部変形を引き起こす可能性もある。したがって、単一曲率半径の不一致の接触レンズのドッキングは、典型的には、眼の水晶体を眼の光軸に対して移動させ、傾転させる。この変位及び傾転は、被膜房上の臨界嚢切開の切断及び水晶体内の白内障手術の切断パターンを含む典型的な白内障手術の切断部を偏心及び歪ませ、白内障手技の視覚的転帰の低下につながる可能性がある。
【0015】
これらの全ての理由から、単一曲率半径構造及び曲率半径の不一致を有しない、新しい種類の接触レンズを開発することにより、眼科手術用レーザシステムの性能を向上させることができる。本発明の実施形態は、ここに概説した問題及び課題に対する解決策を提供する。
【0016】
図1は、画像誘導眼科手術用レーザシステム100を図示する。手術用レーザシステム100は、手術用レーザビーム112を生成することができる眼科用レーザ110を含み得る。手術用レーザビーム112は、1~1,000フェムト秒の範囲のパルス長を有するパルスビームであってよい。レーザビーム112は、眼科標的組織に光切断を引き起こすのに十分な力を有し得る。レーザビーム112は、ビームスプリッタBS1を介して光学系120に結合され得る。光学系120は、対物レンズ130を通して患者10の手技を行う眼20の標的領域の標的点にレーザビーム112を集束させ、指向することができる。走査ミラー及びアクチュエータを用いて、光学系120は、手術用切断パターンに沿って眼組織を切断するために、一連の標的点を通ってレーザビーム112を走査することもできる。
【0017】
手技を行う眼20は、眼20の不随意運動を防止するために、患者インターフェース200を有する手術用レーザシステム100に対して固定され、よって、外科手技の精度及び信頼性を増強させることができる。近位端で対物レンズ130に取り付けられた患者インターフェース(PI)200は、真空吸引システムを用いて眼20にドッキングすることができる。眼20にPI200をドッキングするために、対物レンズ130は、ガントリー132により眼20と整合され得る。
【0018】
外科手技は、手術用レーザシステム100内に様々な撮像システムを含むことによって支援され得る。ビデオ顕微鏡などのビデオ撮像システム140は、眼20を撮像し、それをビデオ画像ディスプレイ144上に表示する手術用レーザシステム100に含まれ得る。いくつかの実施形態では、ビデオ撮像システム140は、ビデオ画像を処理するためのビデオ画像プロセッサ146も含み得る。そのようなビデオ撮像システム140は、眼20の正面図を提供することができるが、典型的には、深度または眼20のz方向構造の限られた情報を提供する。
【0019】
深度、またはz方向の撮像を提供するために、手術用レーザシステム100は、深度撮像システム150を含み得る。深度撮像システム150は、光干渉断層(OCT)撮像システム、シャインプルーフ撮像システム、スリットランプシステム、または同等物を含み得る。深度撮像システム150は、ビームスプリッタBS2により光学系120に結合され、光学系120により標的物に指向される撮像ビーム152を放射することができる。撮像ビーム152は、眼20から反射され、眼が分析され、深度画像ディスプレイ154上に表示される深度撮像システム150に戻され得る。いくつかの実施形態では、深度画像プロセッサ156は、エッジを認識し、ノイズを低減するためなど、深度画像を処理するために含まれ得る。いくつかの手術用レーザシステム100では、ビデオ撮像システム140及び深度撮像システム150が結合され得る。
【0020】
最後に、手術用レーザシステム100は、患者インターフェース200のドッキングを誘導するために、ドッキング誘導システム160も含み得る。ドッキング誘導システム160は、対物レンズ130を眼20と整合するために、ガントリー132を移動することができる、ガントリーコントローラ162を含み得る。いくつかの実施形態では、固視光源164も、対物レンズ130を通して対照眼20cまたは眼20に固視光ビーム166を投影するために含まれ得る。固視光ビーム166は、対物レンズ130との整合をさらに向上させるために、患者の眼を回転させるように患者を指示するために調整され得る。誘導システム160の動作の一部は、コンピュータ制御することができ、ビデオ画像プロセッサ146及び深度画像プロセッサ156の出力に基づき得る。
【0021】
図2A~Bは、より詳細に眼20上の患者インターフェース200のドッキングを図示する。患者インターフェース(PI)200は、対物レンズ130、眼20にドッキングされた接触部分220、ならびに手術用レーザビーム112及び撮像ビームを眼20の角膜21内に光学的に結合する遠位レンズ230に、PI200を取り付けるための取付部分210を含み得る。接触部分220は、吸引ポート224を有する吸引スカートまたは吸引リング222を含み得る。この吸引ポート224は、接触空間226から空気を圧出する真空または負圧を適用するために真空または吸引システムに結合することができ、このようにして、遠位レンズ230を角膜21に押し付ける。
【0022】
理想的な動作では、レーザビーム112は、集束ビーム112fとして眼の水晶体22などの眼科外科手技の標的に到達し、正確な外科的切断を形成するために、光学系120、対物レンズ130、及び遠位レンズ230を通って伝搬する。しかしながら、
図2Bは、いくつかの状況下では、ドッキングの圧力が角膜21にしわを寄せる可能性があることを図示する。これらのしわは、標的での力が低下し、よって、外科的切断を行うことができない可能性がある散乱ビーム112sにレーザビーム112を散乱する可能性がある。また、散乱レーザビーム112sは、しわによって偏向または誤指向される場合がある。低下したビームの力及び誤指向は、先に論じたように、様々な負の影響を有し得る。
【0023】
図3は、ドッキングに関連する角膜のしわを低減するように構成される本発明の実施形態による、患者インターフェース(PI)300を図示する。患者インターフェース300は、眼科手術用レーザシステム100の遠位端、特にその対物レンズ130に患者インターフェース300を取り付けるように構成される取付部分310を含み得る。取付部分310は、例えば、差込式ロック、スナップオンロック、またはロッキングフランジを含み得る。これは、プラスチックまたは他の可撓性材料で作製され得る。
【0024】
PI300は、眼20に患者インターフェース300をドッキングするように構成される接触部分320も含み得る。接触部分320は、吸引ポート324を有する吸引スカートまたは吸引リング322を含み得る。吸引ポートは、PI300と眼の角膜との間の接触空間に負圧または吸引を適用することができる真空または吸引システムに取り付け可能であってよい。この設計では、接触部分320は、PI300を眼に取り付けることができ、よって、手術用レーザシステム100に対して眼20を固定する。PI300はまた、制御様式で角膜内にレーザビーム112を光学的に結合することができる遠位レンズ330を含み得る。遠位レンズ330は、明確に定義された光学特性を有する剛性または硬質レンズであってよい。
【0025】
これらの要素に加えて、患者インターフェース300は、接触部分320に結合される接触要素340も含み得る。接触要素340は、眼への患者インターフェース300のドッキングの一部として角膜の表面に接触するように構成され得る。接触要素340の実施形態は、異なる曲率半径を有する2つの部分:中央曲率半径Rcを有する中央部分342、及び周辺曲率半径Rpを有する周辺部分344を有することができるという点で(RcはRpよりも小さい)既存の接触レンズと異なる構造を有することにより、角膜のしわを低減することができる。そのような設計は、様々な利点を有し得る。
【0026】
(1)構造の一致:1つではなく2つの半径を有する設計自由度が追加されたため、一般的に接触要素340の二放射構造は、単一曲率半径の接触要素よりも優れた眼の複雑な前面を写し、それに対応することができ、よって、単一曲率半径接触要素と比較してしわを低減する。
【0027】
(2)半径の一致:一般に二放射構造を有することの利点に加えて、特にいくつかの実施形態では、半径Rc及びRpは、中央-角膜曲率半径R(中央-角膜)及び強膜曲率半径R(強膜)に近くなるように選択することができ、よって、前述の半径不一致、平坦化、及びしわをさらに減少させる。いくつかの実施形態では、Rcは、6.6mm~9.1mmの範囲にあり得、Rpは、8.8mm~10.8mmの範囲にあり得る。他の実施形態では、Rcは、7.1mm~8.1mmの範囲にあり得、Rpは、9.3mm~10.3mmの範囲にあり得る。中央角膜曲率半径R(中央-角膜)は、典型的には、7~8mmの範囲にあり、多くの場合、7.6mmに近く、強膜の曲率半径R(強膜)は、典型的には、9~14mmの範囲にあり、多くの場合、9.5~12mmの範囲にあることをここに想起する。したがって、上に列記されるRc及びRpの範囲は、患者インターフェース300と中央-角膜21及び強膜24との間に密接な一致を提供することができる。これから、角膜の構造がより詳細にかつ確固として論じられるため、
図3に示されるように、ラベル21は、中央-角膜のみを指し、ラベル23は、周辺-角膜のみを指す。
【0028】
眼の前面の半径は、様々な患者群において幅広い分布を有することをここに留意しておく。非常に小さな割合の患者が上記の範囲外の半径を有すると特定されており、彼らは半径分布の裾を構成する。したがって、本明細書において、半径の範囲についての記述は、患者集団の大多数の代表的な範囲を指し、分布の最も遠い外れ値の数パーセントの裾を含まない場合がある。
【0029】
半径が中央角膜の半径及び強膜の半径とほぼ一致する二放射患者インターフェースは、既存の単一曲率半径の不一致患者インターフェースに対して利点を提供する。中央曲率半径Rcを中央角膜R(中央-角膜)の曲率半径にほぼ一致させることにより、接触要素340のドッキングが中央角膜に対して平坦化作用を及ぼさなくなるため、角膜のしわを効率的に減少させるか、または排除さえすることができる。また、周辺曲率半径RpをR(強膜)にほぼ一致させることにより、効率的な吸引、及び周辺部分344と角膜との間の接触表面に沿ってドッキング中に形成された気泡の除去が可能となる。気泡の除去は、接触面に潤滑剤を適用することによって、さらに緩和、及び補助され得る。
【0030】
眼の複雑な前面を考えると、いくつかの実施形態では、Rpは、単独で強膜R(強膜)の曲率半径に一致させなくてもよいが、むしろ周辺-角膜曲率半径R(周辺-角膜)及び強膜曲率半径R(強膜)の両方の特性として選択することができる。
【0031】
上記の論考では、Rc及びRpは曲率半径を表す。接触要素340の中央部分342は、側方中央-直径Dcも有する。この側方中央-直径Dcは、曲率半径とは異なり、対物レンズ130の光軸に沿ってそのZ軸を有するデカルト座標系において、曲率半径Rc及びRpはXZまたはYZ平面に定義される一方、側方中央-直径DcはXY平面に定義される。加えて、接触要素の周辺部分344は、周辺-直径Dpを有し得る。
【0032】
角膜の直径に対する直径Dc及びDpの関係を論じるために、中央-角膜21D(中央-角膜)の直径は6~9mmの範囲にあり、周辺-角膜D(周辺-角膜)の直径は10~12mmの範囲、多くの場合、約11mmであり得ることをここに想起する。D(周辺-角膜)は、周辺-角膜23が強膜24と接触する場所であり、よって、比較的明確に定義された量である。一方、角膜の曲率半径は、中央-角膜21のその値R(中央-角膜)から幾分徐々に周辺-角膜23のその値R(周辺-角膜)に向かって変動する。したがって、これらの部分間の遷移線は鋭くなくてよく、よって、D(中央-角膜)の値は、採用される特定の定義に依存し得る。
【0033】
これらの値を考慮して、接触要素340のいくつかの一致実施形態は、6~9mmの範囲、いくつかの場合では、8~9mmの範囲の中央-直径Dcを有し得る。実施形態はまた、10~14mmの周辺-直径Dpも有し得る。
【0034】
論考の完全性のために、ここで、R(中央-角膜)は、典型的には、平均値が約7.6mmである約7~8mmの範囲にあり、R(周辺-角膜)は8~11mmの範囲にあり、R(強膜)は9~14mmの範囲、多くの場合、9.5~12mmの範囲で複写しておく。
【0035】
直径の説明に戻ると、
図3は、いくつかの実施形態では、接触要素340の中央-直径Dcは、一般的に、複雑な眼の前面を追跡することができるが、D(中央-角膜)またはD(周辺-角膜)のいずれかと正確に整合または一致しない場合があることを図示する。むしろ、中央-直径Dcは、これらの値の間に入り得る。次に説明するように、この特徴を有する実施形態は、(1)構造の一致、及び(2)半径一致以外の追加の利点を有し得る。
【0036】
(3)側方延伸:
図3に示されるように、いくつかの実施形態では、縁346は、中央半径Rcが周辺半径Rpと異なるため、中央部分342及び周辺部分344が接合される中央-直径Dcに形成され得る。D(中央-角膜)<Dc<D(周辺-角膜)である実施形態では、ドッキング時、縁346は、周辺-角膜23上に位置する。中央部分の曲率半径Rcは、周辺-角膜の曲率半径R(周辺-角膜)の曲率半径と等しくないため、縁346の接触要素340は、周辺-角膜23と円滑に一致しない場合があるが、むしろドッキングが始まると、それに押圧されるか、またはそれを押し込む。ドッキングが進むと、このくさび形の縁346は、周辺-角膜23、よって中央-角膜21を側方に延伸し、ある意味で、ドッキング圧によって形成が開始した可能性があるしわを「伸ばす」。これは、中央-直径Dcを有する縁346が中央-角膜21の直径よりも大きく(D(中央-角膜)<Dc)、周辺-角膜の直径D(周辺-角膜)より小さい(Dc<D(周辺-角膜))場合に特に有効である、接触要素340の二放射設計のさらなる利点である。上述のように、大半の眼において、D(中央-角膜)は6~9mmの範囲内にあり、D(周辺-角膜)は10~12mmの範囲内にあり、よって、上記の不等は、広く6~12mmの範囲内にあるDcに変換できる。いくつかの実施形態では、Dcは、8~10mmの範囲内にあってよい。
【0037】
この延伸または伸ばす機能性は、接触要素340が患者の中央-角膜R(中央-角膜)の曲率半径よりも僅かに小さい中央曲率半径Rcを有する患者のために選択される場合、特に有効であり得る。
【0038】
上記の考察をまとめると、本明細書に記載される二放射接触要素の実施形態は、(1)構造の一致、(2)半径の一致、及び(3)角膜の側方延伸のうちの1つ以上を提供することができ、これらの作用の全てが角膜のしわを低減することができるため、二放射接触要素340は、一致しない単一曲率半径設計が角膜を平坦化し、しわを寄せる既存の接触レンズよりも優れた性能を提供することができる。
【0039】
接触要素340のいくつかの実施形態は、さらに先を行き、眼の前面の三部構造を一致させることができる。いくつかの実施形態では、接触要素340は、中央-角膜21と整合する7~9mmの範囲の中央曲率半径Rcを有する中央部分、周辺-角膜23と整合する8~12mmの範囲の中間曲率半径Riを有する中間部分分、及び強膜と整合する10~14mmの範囲の周辺曲率半径Rpを有する周辺部分を有し得る。いくつかの実施形態では、これら3つの半径は、Rc<Ri<Rpのように関係する。眼の前面の構造と一致し、その3つの半径を近似するそのような接触要素は、角膜のしわをさらに限定することができる。そのような患者インターフェース及び接触要素は「三放射」と呼ばれる場合がある。
【0040】
加えて、上記(3)に論じられるように、そのような三放射接触要素の3つの領域を分離する直径のうちの1つまたは両方は、D(中央-角膜)及びD(周辺-角膜)と整合されず、それは、有利に側方延伸作用の強化につながり得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、接触部分320は、接触要素340と角膜との間の接触空間からの空気の圧出を補助する脱出構造を含み得る。この脱出構造は、短いアーク部分に沿った縁346の放射チャネルまたは丸み付けなどの様々な形態を取ることができる。
【0042】
接触要素340の二放射構造はさらなる態様を有する:ドッキング中、二放射構造は、患者インターフェース300のセンタリングを補助することができる。二放射接触要素340が、偏心位置の角膜と最初に接触する場合、縁346及び二放射接触表面は、角膜がより中央位置に達するまで、眼を側方に移動させることができる側方力を及ぼすことができる。この自動センタリングはまた、潤滑液が接触面に適用される場合、効果が高められる。
【0043】
いくつかの実施形態では、遠位レンズ330は、剛性であるか、または減少した柔軟性を有し得る。遠位レンズ330は、接触要素340の近位面に対応し、眼へのドッキング時に接触要素340の5%超の半径方向の変形(△Rc/Rc<5%)を防止することができる。いくつかの実施形態では、これは、接触要素340の近位面の曲率半径にほぼ一致する遠位面曲率半径を有する遠位レンズ330を採用することによって達成される。
【0044】
いくつかの実施形態では、接触部分320は、外周に沿って接触要素340を接触部分320に固着するための固着構造350を含み得る。固着構造350は、眼へのドッキング時に接触要素340の5%超の半径方向の変形を防止するように構成され得る。この機能性を達成するために、固着構造350は、固着溝、支持リム、挿入構造、インターロック構造、スライドイン構造、ポップイン構造、またはロックイン構造を含み得る。
【0045】
遠位レンズ330が接触要素340の半径方向の変形を制限することができ、固着構造350がその側方拡大を制限することができるいくつかの実施形態では、接触要素340は、低い圧縮率を有する軟質材料で作製され得る。例としては、高い含水量を有する接触要素340であり得る。そのような接触要素340は、接触面を十分に潤滑することができ、ドッキング時の角膜表面に対応するように僅かにその形状を局所的に調整することができ、両因子は角膜のしわを低減する。同時に、遠位レンズ330及び固着構造350は、実質的な半径方向または側方の変形を可能にしないため、そのような接触要素340は、依然としてその全体的な形状及び半径を維持し、よって、既知の十分に制御されたレーザビーム112の光路を提供し、収差及び歪みを最小限に抑える。
【0046】
上記の実施形態では、接触要素340は、接触部分320の一部、よって、患者インターフェース300の一部であるように製造され得る。他の実施形態では、接触要素340は、別個の要素として提供され得、例えば、乾燥を防ぐために水溶液を充填した袋中で水和される。そのような接触要素340は、外科医または他の有資格者による眼科手術の準備段階中に接触部分320内に挿入されるように構成され得る。そのような実施形態では、接触部分320は、接触要素340の挿入を受容するように構成され得る。
【0047】
接触部分320は、固着溝、支持リム、挿入構造、インターロック構造、スライドイン構造、ポップイン構造、またはロックイン構造であり得る固着構造350の実施形態を有することにより、接触要素340の挿入に対応することができる。これらの実施形態のいずれにおいて、固着構造350は、挿入された接触要素を接触部分にしっかり固着し、眼へのドッキング時に接触要素の5%超の側方拡大または膨らみを防止するように構成され得る。
【0048】
さらに、いくつかの実施形態では、接触部分320は、接触要素340の近位面の近位曲率半径の5%以内の遠位曲率半径を有する遠位面を有する、剛性の遠位レンズ330の実施形態を含み得る。これらの実施形態では、遠位レンズ330は、その挿入時に接触要素340との延長した接触を形成することができ、眼のドッキング時に接触要素の5%超の半径方向の変形を防止することができる。上述のように、接触要素340は可撓性であるが、低い圧縮率を有し、その例は、高い含水量を有する材料であり得る。
【0049】
遠位レンズ330及び固着構造350の埋め込まれた外形の幾何学形状のため、またその低圧縮率のため、接触要素340は、一旦、接触部分320内に挿入されると、屈曲、変形、延伸、圧縮、及び膨らみが大部分防止され、したがって、眼にドッキングされる際、高度にその形状を維持する。
【0050】
これらの実施形態では、接触要素340は中央角膜及び強膜の構造及び半径と広く一致し得るが、これらの半径の正確な値は患者ごとに異なるため、小さな不一致が残存し得る。したがって、患者インターフェース300を眼にドッキングする際、中央-角膜21及び接触要素340は、これらの残存する小さな不一致に対応するために、依然としてわずかに変形する必要があり得る。今概説したように、いくつかの実施形態では、遠位レンズ330、固着構造350、及び中央曲率半径Rcは、主として、接触要素340の変形、延伸、及び屈曲を防止するように選択され得る。さらに、接触要素340の材料は、接触要素340の圧縮率を低くし、よって、接触要素340の圧縮も防止するように選択され得る。接触要素340のそのような設計では、中央-角膜21は、ドッキング時に接触要素340よりもかなり大幅に変形し得る。数値的には、中央-角膜の曲率半径R(中央-角膜)の変化は、接触要素340の中央曲率半径Rcの変化よりも大きくてよい:△R(中央-角膜)>△Rc。他の実施形態では、中央角膜の変形は、ドッキング時に接触要素340の変形よりも実質的に大きくてよい。これらの実施形態のドッキングは、△R(中央-角膜)>3△Rc、△R(中央-角膜)>5△Rc、及びいくつかの実施形態では、△R(中央-角膜)>10△Rcを特徴とし得る。
【0051】
接触要素340の材料の選択は、上述の属性を確保する役割を果たし得る。いくつかの実施形態では、接触要素340は、角膜の表面に潤滑膜を形成する接触材料を含み得る。潤滑は、親水性材料を含む接触要素340の表面で有効にされ得る。親水性材料は効率的に潤滑するだけでなく、さもなければドッキング中に問題を提示する可能性がある接触要素340の曇りを減少させることができる。
【0052】
接触要素340の接触材料の実施形態は、ヒドロゲルであってよい。典型的には、ヒドロゲルは、フルオロシリコーン及び親水性モノマーの混合物を含み得る。ヒドロゲルの様々な実施形態は、広範囲に変化する含水量を有し、異なる潤滑特性及び光学特性ならびに異なる圧縮性を有し得る。いくつかの分類では、ヒドロゲルは、その含水量(屈折計により、または重量により)が10~50%の範囲にある場合、いくつかの場合では、30~50%の範囲にある場合、低含水量、含水量が50~70%の範囲にある場合、中程度の水含量、そして水含量が70%を上回る場合、高含水量と称される。含水量は、水溶液、例としては、生理食塩水中で接触要素340を水和することによって達せられ、維持され得る。
【0053】
水和されると、接触要素340は、1.32~1.44の範囲の水和屈折率を有し得、角膜の屈折率と密接して一致する、約1.37をもたらす。
【0054】
含水量が高いほど、接触要素340は、中央-角膜21との接触面をさらに潤滑し、さらにしわの原因を減少させる。
【0055】
図3は、接触部分320が、吸引ポート324を通して吸引システムに結合される、吸引システムから吸引を受容する、及び患者インターフェース300を眼にしっかりとドッキングするために、患者インターフェース300と眼20との間の接触空間に吸引システムの吸引を適用するための吸引リングまたは吸引スカート322を含み得る。
【0056】
図3は、患者インターフェース300のいくつかの実施形態において、取付部分310及び接触部分320が患者インターフェース300の統合部分であってよいことも図示する。それらは、製造プロセス中にしっかりと統合され、時折、同じ単一プラスチック材料からも形成され得る。
【0057】
図4は、いくつかの他の実施形態において、取付部分310が接触部分320から分離することができることを示す。そのような実施形態では、自由に可動な接触部分320は、最初に、容易に眼20にドッキングされ得る。眼20が接触部分320によって捕捉されると、接触部分320は、調整が困難である眼科用レーザシステム100に取り付けられるため移動が困難である取付部分310を操作し、眼20をそれと整合するために使用され得る。整合が達成されたら、接触部分320は取付部分310に結合され得る。
【0058】
図5は、患者インターフェースを眼にドッキングする方法400を図示する。方法400は、以下のステップを含み得る。ステップ410は、角膜の中央部分の曲率半径であるR(中央-角膜)、ならびに手技を行う眼の角膜及び強膜の周辺部分の曲率半径特性であるR(周辺-角膜-強膜)を決定することを含み得る。例えば、R(周辺-角膜-強膜)は、眼のR(周辺-角膜)とR(強膜)との間の値であってよい。ステップ420は、中央曲率半径Rcを有する中央部分、及びRcよりも大きい周辺曲率半径Rpを有する周辺部分を有する接触要素を選択することを含み得る。ステップ420に関して、接触要素は、R(中央-角膜)+1.0mm未満のRc、及びR(周辺-角膜-強膜)+1.0mm未満のRpを有するように選択され得る。最後に、ステップ440は、選択された接触要素を有する眼科手術用レーザシステムの患者インターフェースを眼にドッキングすることを含み得る。選択420のいくつかの実施形態では、接触要素は、R(中央-角膜)+0.75mm未満のRc、及びR(周辺-角膜-強膜)+0.75mm未満のRpを有するように選択され得る。選択420におけるまた他の実施形態では、接触要素は、R(中央-角膜)+0.5mm未満のRc、及びR(周辺-角膜-強膜)+0.5mm未満のRpを有するように選択され得る。
【0059】
方法400のステップでは、要素は、
図1~4の実施形態の類似する要素に関連し得る。具体的には、患者インターフェースは患者インターフェース300であってよく、手技を行う眼は眼20であってよく、接触要素は接触要素340であってよく、眼科手術用システムは眼科手術用システム100であってよい。
【0060】
前述のように、上記の特性を有する接触要素は、眼の前面の二放射構造と一致し得る。記載した範囲内の半径Rc及びRpにより、それらは、中央-角膜及び強膜の両方に密接な一致をもたらすことができる。また、先に記載されるように、中央及び周辺部分は、角膜上の延伸または伸ばし作用を有し得る縁で接触し得、しわをさらに減少させる。この延伸または伸ばし作用は、選択420がR(中央-角膜)未満の中央曲率半径Rcを有する接触要素を選択することを含む場合、特に有効であり得る。
【0061】
方法400は、接触要素が患者インターフェースとは別個に提供される実施形態では、ドッキング前に選択された接触要素を患者インターフェース内に挿入することをさらに含み得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、製造者は、手術をする外科医に患者インターフェース及び接触要素一式を提供することができる。外科医がR(中央-角膜)及びR(周辺-角膜-強膜)を決定した後、外科医は、決定された半径R(中央-角膜)及びR(周辺-角膜-強膜)を考慮して、中央曲率半径Rc及び周辺曲率半径Rpが最も好適である接触要素を選択することができ、よって、外科的目標を最高に達成することが見込まれる。
【0062】
他の実施形態では、接触要素は、既に取り付けられているか、または製造中に患者インターフェース内に挿入することができる。これらの実施形態では、選択420は、選択された接触要素を有する患者インターフェース一式から患者インターフェースを選択することを含み得る。
【0063】
方法400のいくつかの実施形態では、決定410は、眼の前方部分の深度画像を生成することと、深度画像からR(中央-角膜)及びR(周辺-角膜-強膜)を決定することとを含み得る。深度画像は、光干渉断層(OCT)システム、シャインプルーフ撮像システム、またはスリットランプシステムによって生成することができる。
【0064】
この文書は多くの詳細を含むが、これらは、本発明の、または特許請求され得るものの範囲を限定するものではなく、むしろ本発明の特定の実施形態に固有の特徴を説明するものとして解釈されるべきである。個別の実施形態の文脈において、この文書に記載される特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせで実施することができる。逆に、単一の実施形態の文脈において説明される様々な特徴はまた、複数の実施形態において個別に、または任意の好適なサブコンビネーションで実施することができる。さらに、特徴は、ある特定の実施形態において機能するように上述され、さらには最初にそのようなものとして特許請求されるが、特許請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は、いくつかの場合において、組み合わせから削除することができ、特許請求される組み合わせは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形を対象とし得る。また、記載される実現例ならびに他の実現例の変形及び拡張は、記載されるものに基づいて行うことができる。