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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】管機構および炉
(51)【国際特許分類】
   F16L 13/02 20060101AFI20220107BHJP
   C07C 11/04 20060101ALI20220107BHJP
   C07C 4/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
F16L13/02
C07C11/04
C07C4/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019533081
(86)(22)【出願日】2017-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2017083409
(87)【国際公開番号】W WO2018114866
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-10-19
(31)【優先権主張番号】16205354.0
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507226695
【氏名又は名称】サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハレランド, マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ノルディーン, ペータル
(72)【発明者】
【氏名】ブロームフェルト, トーマス
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02533885(US,A)
【文献】英国特許出願公告第00496293(GB,A)
【文献】特開平09-257167(JP,A)
【文献】国際公開第2014/142002(WO,A1)
【文献】米国特許第02014564(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 13/02
F16L 15/00
F16L 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属管(1)、第2の金属管(4)、第1のスリーブ部品(8)、および第2のスリーブ部品(10)を備える、管機構(30)であって、
前記第1の金属管(1)の第1の端部領域(3)が第1の外側ねじ切り部(2)を備え、前記第2の金属管(4)の第2の端部領域(6)が第2の外側ねじ切り部(5)を備え、
前記第1のスリーブ部品(8)が、金属で作られ、かつ第1の内側ねじ切り部(9)を備え、前記第2のスリーブ部品(10)が、金属で作られ、かつ第2の内側ねじ切り部(11)を備え、
前記第1の端部領域(3)が、第1の突合せ溶接継手を介して前記第2の端部領域(6)と継合されるように構成され、
前記第1のスリーブ部品(8)の第1の近位スリーブ端部(32)が、第2の突合せ溶接継手を介して前記第2のスリーブ部品(10)の第2の近位スリーブ端部(34)と継合されるように構成され、更に、
前記第1のスリーブ部品(8)が第1の外側表面(36)を備え、前記第1の外側表面(36)が、前記第1のスリーブ部品(8)の軸方向中心軸線(38)に対して第1の鋭角(α)で延在し、かつ、前記第1の近位スリーブ端部(32)にその幅広端部(42)を有する第1の円錐形スリーブ部分(40)を形成し、
前記第2のスリーブ部品(10)が第2の外側表面(44)を備え、前記第2の外側表面(44)が、前記第2のスリーブ部品(10)の軸方向中心軸線(46)に対して第2の鋭角(β)で延在し、かつ、前記第2の近位スリーブ端部(34)にその幅広端部(49)を有する第2の円錐形スリーブ部分(48)を形成し、
前記第1および第2の金属管(1、4)のそれぞれが、公称直径(Dnom)および公称断面積(Anom)を有し、前記第1のスリーブ部品(8)が、前記第1の近位スリーブ端部(32)に対向する第1の遠位スリーブ端部(33)を備え、前記第2のスリーブ部品(10)が、前記第2の近位スリーブ端部(34)に対向する第2の遠位スリーブ端部(35)を備え、
前記第1の内側ねじ切り部(9)が、前記第1の遠位スリーブ端部(33)の領域内の第1のねじ切り部端部(37)において終端し、前記第1のスリーブ部品(8)が、前記第1のねじ切り部端部(37)に第1のねじ切り部端部断面積A1を有し、
前記第2の内側ねじ切り部(11)が、前記第2の遠位スリーブ端部(35)の領域内の第2のねじ切り部端部(39)において終端し、前記第2のスリーブ部品(10)が、前記第2のねじ切り部端部(39)に第2のねじ切り部端部断面積(A2)を有し、
前記第1および第2の近位スリーブ端部(32、34)が前記第2の突合せ溶接継手(74)により前記第2の突合せ溶接継手(74)において継合される場合に、前記第2の突合せ溶接継手(74)を含む前記第1および第2のスリーブ部品(8、10)が、溶接平面断面積(Aweld)を有するように構成され、
第1の長さL1が、A1とAweldとの間に延び、第2の長さL2が、A2とAweldとの間に延び、
前記第1の鋭角(α)および前記第2の鋭角(β)が、
- Anomの1.3~2.3倍の範囲内であるAweld、
- Aweldの0.3~0.5倍の範囲内であるA1およびA2のそれぞれ、および、
- Dnomの0.8~1.5倍の範囲内であるL1およびL2のそれぞれ
によって形成される、ことを特徴とする、管機構(30)。
【請求項2】
前記第1の内側ねじ切り部(9)が、前記第1の円錐形スリーブ部分(40)の少なくとも一部分に沿って延在し、前記第2の内側ねじ切り部(11)が、前記第2の円錐形スリーブ部分(48)の少なくとも一部分に沿って延在する、請求項に記載の管機構(30)。
【請求項3】
前記第1のスリーブ部品(8)が、前記第1の近位スリーブ端部(32)に対向する前記第1のスリーブ部品(8)の第1の遠位スリーブ端部(33)に第1のリング状部分(50)を備え、前記第2のスリーブ部品(10)が、前記第2の近位スリーブ端部(34)に対向する前記第2のスリーブ部品(10)の第2の遠位スリーブ端部(35)に第2のリング状部分(52)を備える、請求項1または2に記載の管機構(30)。
【請求項4】
前記第1および第2のリング状部分(50、52)のそれぞれが、前記第1および第2の外側ねじ切り部(2、5)のそれぞれの外径よりも大きい内径を有し、前記第1および第2のリング状部分(50、52)のそれぞれが、平らな内側表面(54)を有する、請求項に記載の管機構(30)。
【請求項5】
前記第1の端部領域(3)が、少なくとも前記第1の外側ねじ切り部(2)の軸方向長さにわたって延在する第1の据え込み鍛造管部分(56)を備え、前記第2の端部領域(6)が、少なくとも前記第2の外側ねじ切り部(5)の軸方向長さにわたって延在する第2の据え込み鍛造管部分(58)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の管機構(30)。
【請求項6】
前記第1および第2の外側ねじ切り部(2、5)のそれぞれの内径における前記第1および第2の端部領域(3、6)の断面積が、前記第1および第2の据え込み鍛造管部分(56、58)の外側の前記第1および第2の金属管(1、4)のそれぞれの断面積の少なくとも105%、または少なくとも110%である、請求項に記載の管機構(30)。
【請求項7】
前記第1の据え込み鍛造管部分(56)が、前記第1の金属管(1)の軸方向中心軸線(62)に対して2~10度の範囲内の鋭角(γ)で延在する外側表面(61)を有する第1の円錐形管部分(60)を備え、前記第2の据え込み鍛造管部分(58)が、前記第2の金属管(4)の軸方向中心軸線(66)に対して2~10度の範囲内の鋭角(δ)で延在する外側表面(63)を有する第2の円錐形管部分(64)を備える、請求項またはに記載の管機構(30)。
【請求項8】
前記第1および第2の円錐形管部分(60、64)のそれぞれから前記第1および第2の据え込み鍛造管部分(56、58)に隣接する前記第1および第2の金属管(1、4)のそれぞれの部分への移行部が、少なくとも5mmの半径(R)を有する、請求項に記載の管機構(30)。
【請求項9】
前記第1および第2の金属管(1、4)のそれぞれが、肉厚Wを有し、前記第1の外側ねじ切り部(2)が、前記第1の端部領域(3)において前記第1の金属管(1)の端部(68)から第1の距離D1のところで終端し、前記第1の距離D1が、少なくとも前記肉厚Wに一致し、前記第2の外側ねじ切り部(5)が、前記第2の端部領域(6)において前記第2の金属管(4)の端部(70)から第2の距離D2のところで終端し、前記第2の距離D2が、少なくとも前記肉厚Wに一致する、請求項1からのいずれか一項に記載の管機構(30)。
【請求項10】
前記第1および第2の端部領域(3、6)において前記第1および第2の金属管(1、4)を継合する第1の突合せ溶接継手(72)と、前記第1および第2のスリーブ部品(8、10)を継合する第2の突合せ溶接継手(74)とを備える、請求項1からのいずれか一項に記載の管機構(30)。
【請求項11】
前記第1および第2の突合せ溶接継手(72、74)の領域において前記第1および第2のスリーブ部品(8、10)と前記第1および第2の金属管(1、4)の間に環状空間(13)が形成される、請求項10に記載の管機構(30)。
【請求項12】
前記環状空間(13)内に配置されたセラミック保護部材(14)を備える、請求項11に記載の管機構(30)。
【請求項13】
チャンバ(15)と、熱を生成するためのバーナ機構(16)と、炉を通してガスおよび/または蒸気を導くための請求項1から12のいずれか一項に記載の管機構(30)とを備える、炉(40)。
【請求項14】
前記管機構(30)を通して導かれた炭化水素の分解によりエチレンを生産するように構成されている、請求項13に記載の炉(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管機構に関する。本発明は、管機構を備える炉にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
工業用炉においてプロセスを実行するために使用される、例えばコイル、直線状、または部分的に曲がった管などの内部管機構は、溶接により互いに継合された別々の管長さまたはセクションで構成され得る。別々の管セクション間の継手の確実な気密封止機能性を得るために、管を接続する手段として、ねじ+カップリングの代わりに溶接部が好ましい場合が多い。溶接によって継合されている管および使用された溶接フィラー合金が同一のまたはほぼ同一の合金で構成されている限り、1つの管セクションから他の管セクションへの溶接部を越えた経時的な合金要素の拡散は、非常に限定される(ほぼゼロ)であろう。しかし、第1の金属合金を含む第1の金属管と第2の金属合金を含む第2の管とが継合される用途が存在する場合もあり、この場合、合金要素の拡散が生じる可能性があり、また、溶接部において、または溶接部に直接隣接する管セクション領域のどちらかにおいて、少なくとも1つの脆性相(brittle phase)が形成される可能性がある。これは、その箇所を、同一のまたはほぼ同一の化学組成の合金間の溶接部よりも機械的に脆弱にする。したがって、そのような溶接部および/または隣接する領域は、時間とともに管機構における弱点になる可能性があり、また、場合により、その使用中に担持するように設計された機械的荷重を受け入れることができない可能性がある。
【0003】
スチームクラッカ炉におけるそのような位置の一例は、前記管機構によって導かれた炭化水素の分解によりエチレンが生産される蒸気分解炉の出口セクションである。炉内の高温において、管に使用される合金は、それらの弾性特性を少なくとも部分的に失う可能性があり、また、少なくとも部分的に塑性変形しやすくなる可能性があり、そのことが、管間の継手にさらなる要求を加える。
【0004】
GB496293は、高圧蒸気用のパイプにおける継手を開示している。パイプの壁の当接する端部表面間の溶接周方向継手が、外付けのスリーブまたはカラーによって補強され、これらのスリーブまたはカラーは、相対的な軸方向運動を防止するようにパイプの外側長手方向表面に固着され、かつ、それらの隣接する端部において溶接される。パイプ間の溶接継手は、パイプに溶接され得るライナの上に作られ得る。スリーブは、のこ歯ねじ(buttress screw thread)によりパイプ上に固着され得る。ねじ山または溝により接続されると、一方または両方のスリーブの隣接する端部は、良好な熱伝導接続部をパイプ間に提供するように、パイプに溶接され得る。スリーブは、互いに直接溶接されてもよく、または、間置された部材を通じて互いに溶接されてもよい。パイプは、そのような条件下で高いクリープ抵抗を有するが延性が低い0.5パーセントのモリブデンを含む鋼のものであってよく、また、スリーブおよび溶接部は、クリープ条件下で高い延性を有しかつ華氏750~1000度(おおよそ摂氏400~535度)の範囲にわたる任意の動作温度において合金鋼と同じ総熱膨張を事実上有する、軟鋼のものであってよい。軟鋼溶接金属の層が、溶接部に影響を与える前にパイプの端部に貼り付けられ得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、2つの管が継合可能である、改善された管機構を提供することである。
【0006】
本発明の態様によれば、この目的は、第1の金属管、第2の金属管、第1のスリーブ部品、および第2のスリーブ部品を備える管機構によって達成される。第1の金属管の第1の端部領域が、第1の外側ねじ切り部(threading)を備え、第2の金属管の第2の端部領域が、第2の外側ねじ切り部を備える。第1のスリーブ部品は、金属で作られ、かつ、第1の内側ねじ切り部を備え、第2のスリーブ部品は、金属で作られ、かつ、第2の内側ねじ切り部を備える。第1の端部領域は、第1の突合せ溶接継手を介して第2の端部領域と継合されるように構成される。第1のスリーブ部品の第1の近位スリーブ端部が、第2の突合せ溶接継手を介して第2のスリーブ部品の第2の近位スリーブ端部と継合されるように構成される。第1のスリーブ部品は、第1の外側表面を備え、この第1の外側表面は、第1のスリーブ部品の軸方向中心軸線に対して第1の鋭角で延在し、かつ、第1の近位スリーブ端部にその幅広端部を含む第1の円錐形スリーブ部分を形成し、第2のスリーブ部品は、第2の外側表面を備え、この第2の外側表面は、第2のスリーブ部品の軸方向中心軸線に対して第2の鋭角で延在し、かつ、第2のスリーブ端部にその幅広端部を含む第2の円錐形スリーブ部分を形成する。
【0007】
第1および第2のスリーブ部品は、鋭角で延在して円錐形スリーブ部分を形成する外側表面を備えるので、第1および第2の金属管が第1の突合せ溶接継手によって継合されかつ第1および第2のスリーブ部品が第2の突合せ溶接継手によって継合されたときに、また、第1および第2の金属管が第1および第2のスリーブ部品の軸方向中心軸線のうちの一方と実質的に平行に延在する成分を含む力を受けたときに、係合した第1の内側および外側のねじ切り部ならびに係合した第2の内側および外側のねじ切り部を介した第1および第2の金属管にわたる荷重の漸進的な分配のための状態が提供される。したがって、第1の突合せ溶接継手を荷重から少なくとも部分的に解放する状態が提供される。その結果、上述の目的が達成される。
【0008】
管機構は、第1および第2の金属管、ならびに第1および第2のスリーブ部品の、4つの別々の部品の組立体を備える。管機構の使用に際して、第1および第2の金属管は、第1の突合せ溶接継手によって継合され、第1および第2のスリーブ部品は、第2の突合せ溶接継手によって継合される。管機構は、様々な用途で使用され得る。例えば、管機構は、炉の一部を形成し得る。したがって、管機構は、使用に際して高温にさらされ得る。
【0009】
実施形態によれば、第1のスリーブ部品は、第1のスリーブ端部に対向する第1のスリーブ部品の第1の遠位スリーブ端部に第1のリング状部分を備えることができ、第2のスリーブ部品は、第2のスリーブ端部に対向する第2のスリーブ部品の第2の遠位スリーブ端部に第2のリング状部分を備えることができる。このようにして、第1および第2のリング状部分のそれぞれは、第1のスリーブ部品および第2のスリーブ部品それぞれの補強部(enforcement)を形成する。リング状部分は、第2の突合せ溶接継手が配置される箇所に対向するスリーブ部品の端部においてスリーブ部品を補強する。したがって、スリーブ部品の径方向の膨張が軽減される。したがって、内側および外側のねじ切り部を介した荷重分配が維持され得る。
【0010】
実施形態によれば、管機構は、摂氏750度を超える高温使用のために配置され得る。このようにして、本明細書において論じられる態様および/または実施形態による管機構は、高温使用によってもたらされる管機構の断裂を防止するかまたは少なくとも遅らせるために利用され得る。
【0011】
本発明のさらなる目的は、炉の動作寿命を延長することである。
【0012】
本発明の態様によれば、この目的は、チャンバ、熱を生成するためのバーナ機構、ならびに炉を通してガスおよび/または蒸気を導くための本明細書において論じられる態様および/または実施形態のうちのいずれか1つによる管機構を備える炉によって達成される。
【0013】
管機構は、本明細書において論じられる態様および/または実施形態のいずれか1つによる特徴に起因して、高温使用のために考案されているため、炉は、炉が管機構の交換を含む修復を必要とする前に、より長く作動され得る。
【0014】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の特許請求の範囲および以下の詳細な説明を検討すれば明らかになるであろう。
【0015】
本発明の具体的な特徴および利点を含む、本発明の様々な態様および/または実施形態は、以下の詳細な説明および添付図面において論じられる例示の実施形態から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態による管機構の図である。
図2a-2e】図1の管機構の断面図である。
図3a-3c】図1の管機構の部分断面図である。
図4】実施形態による炉の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の態様および/または実施形態をより詳細に説明する。全体にわたり、同様の番号は同様の要素を意味する。よく知られた機能または構造は、簡潔さおよび/または明瞭さのために必ずしも詳細には説明されない。
【0018】
本開示は、2つの金属管の間の突合せ溶接継手の荷重担持機能を補うかまたは置き換える目的のために外側スリーブが使用される全ての用途に適用可能であるが、本開示は、とりわけ、例えばエチレンの生産などのために炭化水素を分解するための炉において管が使用される用途について説明する。本開示はそのような用途に制限されないことが、理解されるべきである。
【0019】
図1は、実施形態による管機構30を示す。管機構30は、第1の金属管1、第2の金属管4、第1のスリーブ部品8、および第2のスリーブ部品10を備える。第1の金属管1の第1の端部領域3が、第1の外側ねじ切り部2を備え、第2の金属管4の第2の端部領域6が、第2の外側ねじ切り部5を備える。第1のスリーブ部品8は金属で作られ、第2のスリーブ部品10は金属で作られる。第1および第2のスリーブ部品8、10は、内側ねじ切り部を備える。したがって、第1および第2のスリーブ部品8、10は、それぞれの第1および第2の外側ねじ切り部2、5に沿って互いに向かってねじ込まれ得る。
【0020】
第1の金属管1の第1の端部領域3は、第1の突合せ溶接継手を介して第2の金属管4の第2の端部領域6と継合されるように構成される。第1のスリーブ部品8の第1の近位スリーブ端部32が、第2の突合せ溶接継手を介して第2のスリーブ部品10の第2の近位スリーブ端部34に継合されるように構成されるが、これは図2cに関連して以下を参照されたい。したがって、管機構30は、第1および第2のスリーブ部品8、10が第2の突合せ溶接継手を介して継合されたときに第1の突合せ溶接継手を荷重から少なくとも部分的に解放するためのスリーブを形成するのとともに、第1および第2の金属管1、4を含む1つの導管を形成するように構成され、この導管を通して高温ガスを導くことができる。
【0021】
図2aは、図1の管機構30の断面図を示す。図2aでは、その内側ねじ切り部9を含む第1のスリーブ部品8は、第1の外側ねじ切り部2上に位置決めされて第2のスリーブ部品10に当接しており、その第2の内側ねじ切り部11を含む第2のスリーブ部品10は、第2の外側ねじ切り部5上の対応する位置に位置決めされている。第1のスリーブ部品8の第1の近位スリーブ端部32は、第2のスリーブ部品10の第2の近位スリーブ端部34に隣接して位置決めされて第2の突合せ溶接継手を介して第2の近位スリーブ端部34に継合されるように構成されている。
【0022】
図2bは、図2aの断面図の一部分を示す。第1のスリーブ部品8は、第1のスリーブ部品8の軸方向中心軸線38に対して第1の鋭角αで延在する第1の外側表面36を備える。第1の外側表面36は、第1の近位スリーブ端部32にその幅広端部42を含む第1の円錐形スリーブ部分40を形成する。第2のスリーブ部品10は、第2のスリーブ部品10の軸方向中心軸線46に対して第2の鋭角βで延在する第2の外側表面44を備える。第2の外側表面44は、第2の近位スリーブ端部34にその幅広端部49を含む第2の円錐形スリーブ部分48を形成する。
【0023】
管機構30は、第1および第2の金属管1、4が継合されたとき、ならびに第1および第2のスリーブ部品8、10が継合されたときに、第1および第2の金属管1、4にわたる漸進的な荷重分配のための状態を提供する。したがって、管機構30は、販売および/または流通され得る部品の組立体を形成する。あるいは、管機構30の様々な部品は、別々に販売および/または流通されてもよい。管機構30は、例えば炉内に取り付けられて、新たな炉の新たな管機構30を形成するか、または既存の炉の古い管機構に取って代わることができる。例えば、第2の金属管4は、炉の管接続部、例えば炉の入口または出口に、突合せ溶接されてもよい。その後、第1の金属管1は、第1の突合せ溶接継手を介して第2の金属管4と継合されてもよく、第1および第2のスリーブ部品8、10は、第2の突合せ溶接継手を介して継合されてもよい。したがって、例えば炉内に取り付けられた場合、管機構30はまた、第1および第2の突合せ溶接継手を備える。
【0024】
図2cは、図1の管機構30の断面図を示し、第1および第2の金属管1、4は互いに溶接されており、第1および第2のスリーブ部品8、10は互いに溶接されている。したがって、いくつかの実施形態によれば、管機構30は、第1および第2の端部領域3、6において第1および第2の金属管1、4を継合する第1の突合せ溶接継手72、ならびに第1および第2のスリーブ部品8、10を継合する第2の突合せ溶接継手74を備え得る。このようにして、第1および第2のスリーブ部品8、10は、第1および第2の金属管1、4の第1および第2の端部領域3、6ならびに第1の突合せ溶接継手72を包囲する、1つのスリーブを形成する。したがって、第1および第2のスリーブ部品8、10によって形成された1つのスリーブは、第1および第2の金属管1、4が軸方向中心軸線38、46に沿った方向に実質的に延在する力成分を有する力を受けたときに、第1の突合せ溶接継手72を荷重から解放することができる。
【0025】
第1の突合せ溶接継手72によって継合される第1および第2の金属管1、4の対向端部は、第1の突合せ溶接継手72が、中心軸線38、46から径方向外方に向けられたそのより幅広の端部によりU字状またはV字状の断面を有するように、傾斜される。
【0026】
第2の突合せ溶接継手74によって継合される第1および第2の金属スリーブ部品8、10の第1および第2の近位スリーブ端部32、34は、第2の突合せ溶接継手74が、中心軸線38、46から外方に向けられたそのより幅広の端部によりU字状またはV字状の断面を有するように、傾斜される。
【0027】
第1のスリーブ部品8は第1の円錐形スリーブ部分40を備え、また、第2のスリーブ部品10は第2の円錐形スリーブ部分48を備えるので、第1および第2のスリーブ部品8、10は、引張荷重が加えられたときに、軸方向中心軸線38、46に沿った第1および第2のスリーブ部品8、10それぞれの延長部に沿って別々に伸長する。より具体的には、円錐形スリーブ部分40、48の直径が小さいほど、スリーブ部品8、10の関連部分がより多く伸長することになる。したがって、円錐形スリーブ部分40、48の端部がより大径になると、引張荷重下に置かれたときに、より小径の端部よりも小さい程度で伸長することになる。したがって、荷重は、第1および第2のスリーブ部が円錐形スリーブ部分を欠いている場合よりも、第1および第2の内側および外側のねじ切り部2、5、9、11のより多数のねじ山にわたって第1および第2の金属管1、4から伝達される。したがって、荷重を担持するそれぞれのねじ山が、全体荷重のうちのより小さい部分を担持して、第1および第2の内側および外側のねじ切り部2、5、9、11を保全する。このようにして、第1および第2の内側および外側のねじ切り部2、5、9、11は、円錐形スリーブ部分を欠いた第1および第2のスリーブ部品を備える管機構よりも長持ちし得る。
【0028】
実施形態によれば、管機構30は、摂氏750度を超える高温使用のために配置され得る。例えば、管機構30は、炉内でそのような高温にさらされ得る。いくつかの実施形態によれば、管機構30は、摂氏900~1100の範囲内の温度にさらされ得る。この温度範囲内では、炭化水素の分解によりエチレンを生産する炉が動作し得る。さらに、そのような炉は、定期的な炭素除去処理サイクルにさらされ得る。そのような炭素除去サイクル中、最高で摂氏1200度に達する温度で蒸気が使用され得る。したがって、いくつかの実施形態では、管機構30は、最高で摂氏1200度までの温度にさらされ得る。さらに、管機構30は、炉が停止されたときに、例えば摂氏20度の周囲温度まで冷却される。
【0029】
低温では、例えば鉄金属などの金属は、弾性特性を有する。上述の高温では、金属は、それらの弾性特性を少なくとも部分的に失って、少なくとも部分的に塑性的に変形しやすくなり、すなわち、荷重から解放された後でそれらの元の形状を取り戻さなくなる。
【0030】
したがって、上記で論じられた第1および第2の内側および外側のねじ切り部2、5、9、11のより多数のねじ山にわたる荷重の分配は、管機構30の高温使用において特に有益になる。すなわち、2つのねじ付き部品間の螺合に依存する低温での金属の弾性は上記で論じられたような高温では利用できないことが、本発明者によって認識されている。ねじ接続は、低温時に高レベルの荷重に耐えることが可能とされ得る。高温においては、同じ高レベルの荷重は、ねじ接続部のねじ山を次々に塑性変形させる可能性がある。最終的には、ねじ接続部が断裂することになる。本発明者によって認識されたように、円錐形スリーブ部分40、48の提供、および結果として生じるより多数のねじ山にわたる荷重の分配は、個々のねじ山にかかる荷重を十分に低く保って、ねじ切り部2、5、9、11の断裂を防ぐかまたは少なくとも断裂までの時間を大幅に延長し得る。
【0031】
第1および第2の金属管1、4のそれぞれは、公称直径(Dnom)を有する。つまり、公称直径(Dnom)は、第1および第2の外側ねじ切り部2、5ならびに金属管1、4の据え込み鍛造部分から少し離れた位置でのそれぞれの金属管1、4の直径であるが、これは図2cに関連して以下を参照されたい。第1および第2の金属管1、4のそれぞれは、公称断面積(Anom)を有する。つまり、公称断面積(Anom)は、第1および第2の外側ねじ切り部2、5ならびに金属管1、4の据え込み鍛造部分から少し離れた位置でのそれぞれの金属管1、4の物品の断面積である。公称断面積の他に、以下で論じられる金属管1、4ならびに/または第1および第2のスリーブ部品8、10の他の断面積は、第1および第2のスリーブ部品8、10ならびに第1および第2の金属管1、4のそれぞれの軸方向中心軸線38、46、62、66に対して垂直に広がる。第1のスリーブ部品8は、第1の近位スリーブ端部32に対向する第1の遠位スリーブ端部33を備え、第2のスリーブ部品10は、第2の近位スリーブ端部34に対向する第2の遠位スリーブ端部35を備える。第1の内側ねじ切り部9は、第1の遠位スリーブ端部33の領域内の第1のねじ切り部端部37おいて終端し、第1のスリーブ部品8は、第1のねじ切り部端部37に第1のねじ切り部端部断面積A1を有する。第2の内側ねじ切り部11は、第2の遠位スリーブ端部35の領域内の第2のねじ切り部端部39において終端し、第2のスリーブ部品10は、第2のねじ切り部端部39に第2のねじ切り部端部断面積A2を有する。第1および第2のねじ切り部端部断面積A1、A2は、図2dに示されており、また、図2c内の破線A1、A2で示された平面において第1および第2のスリーブ部品8、10の周りでそれぞれ円周方向に広がる。適切には、第1および第2のねじ切り部端部断面積A1、A2は、第1および第2のねじ切り部端部断面積A1、A2において第1および第2の内側ねじ切り部9、11の底部直径と第1および第2のスリーブ部品8、10の外径との間で測定される。第2の突合せ溶接継手74において、第1および第2の近位スリーブ端部32、34が第2の突合せ溶接継手74によって継合される場合、第2の突合せ溶接継手を含む第1および第2の円錐形スリーブ部品8、10は、溶接平面断面積(welding plane cross sectional area)(Aweld)を有するように構成される。溶接平面断面積(Aweld)は、図2eに示されており、また、図2c内の破線Aweldで示された平面において第2の突合せ溶接継手74の周りで円周方向に広がる。第1の長さL1が、A1とAweldとの間に延び、第2の長さL2が、A2とAweldとの間に伸びる。
【0032】
実施形態によれば、第1の鋭角(α)および第2の鋭角(β)は、
- Anomの1.3~2.3倍の範囲内であるAweld、
- Aweldの0.3~0.5倍の範囲内であるA1およびA2のそれぞれ、ならびに、
- Dnomの0.8~1.5倍の範囲内であるL1およびL2のそれぞれ
によって形成され得る。このようにして、第1および第2の円錐形スリーブ部分40、48は、軸方向中心軸線38、46と平行に第1および第2の内側および外側のねじ切り部2、5、9、11の長さに沿った適切な荷重の分配を実現するように構成され得る。具体的には、管機構30の軸方向中心軸線38、46、62、66が例えば図4に示されるように実質的に垂直に延在するように管機構30が配置された場合に、第1および第2の金属管1、4にかかる荷重は、第1および第2のスリーブ部品8、10へと、好適な態様で第1および第2の内側および外側のねじ切り部2、5、9、11にわたって分配され、その結果、第1の突合せ溶接継手72は、荷重の少なくとも一部から解放される。
【0033】
公称断面積(Anom)の1.3~2.3倍の範囲内である溶接平面断面積(Aweld)は、あるいは、
Aweld=(1.8+/-0.5)×Anom
として表され得る。
Aweldの0.3~0.5倍の範囲内であるA1およびA2のそれぞれは、あるいは、
A1=(0.4+/-0.1)×Aweld、および、
A2=(0.4+/-0.1)×Aweld
として表され得る。
Dnomの0.8~1.5倍の範囲内であるL1およびL2のそれぞれは、あるいは、
L1=(1+0.5/-0.2)×Dnom、および、
L2=(1+0.5/-0.2)×Dnom
として表され得る。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、Aweld、A1、A2、L1、およびL2のうちの少なくとも1つは、あるいは、
Aweld=(1.8+/-0.3)×Anom、
A1=(0.4+/-0.05)×Aweld、
A2=(0.4+/-0.05)×Aweld、
L1=(1+/-0.1)×Dnom、および、
L2=(1+/-0.1)×Dnom
とされ得る。
より狭い区間内でAweld、A1、A2、L1、およびL2のうちの少なくとも1つを提供することにより、軸方向中心軸線38、46と平行な第1および第2の内側および外側のねじ切り部2、5、9、11の長さに沿った荷重の分配のために、上記で論じられたより広い区間内よりも正確に寸法決めされた第1および第2のスリーブ部品8、10を提供することができる。
【0035】
実施形態によれば、第1の内側ねじ切り部9は、第1の円錐形スリーブ部分40の少なくとも一部分に沿って延在してもよく、第2の内側ねじ切り部11は、第2の円錐形スリーブ部分48の少なくとも一部分に沿って延在してもよい。このようにして、第1および第2の円錐形スリーブ部分40、48のそれぞれは、第1および第2の内側ねじ切り部9、11にわたって、したがって第1および第2の外側ねじ切り部2、5にわたって荷重を分配するために、荷重下で伸長され得る。第1および第2の内側ねじ切り部9、11は、それぞれの第1および第2の円錐形スリーブ部分40、48に沿ってそれぞれの中心軸線38、46に平行に延在し得る。単に例として述べられた第1および第2の内側および外側のねじ切り部2、5、9、11の長さは、第1および第2の金属管1、4のうちの一方の直径のおおよそ0.8~1.5倍とされ得る。
【0036】
管機構30のいくつかの実施形態は、上記で論じられた高温での温度サイクルにさらされ得る。例えば、炭化水素の分解によりエチレンを生産するための炉では、例えば摂氏900~1100度での分解温度と、例えばおおよそ摂氏1200度の炭素除去温度と、炉の臨時停止時の例えば20度の周囲温度との間での温度サイクルである。そのような温度サイクルは、とりわけ、スリーブ部品の径方向の膨張を生じさせる可能性があり、それによりスリーブ部品の漏斗状または円錐状の端部分が形成されて、スリーブ部品の内側ねじ切り部と第1および第2の金属管の外側ねじ切り部との間の係合が弱められる。
【0037】
実施形態によれば、第1のスリーブ部品8は、第1の近位スリーブ端部32に対向する第1のスリーブ部品8の第1の遠位スリーブ端部33に第1のリング状部分50を備えることができ、第2のスリーブ部品10は、第2の近位スリーブ端部34に対向する第2のスリーブ部品10の第2の遠位スリーブ端部35に第2のリング状部分52を備えることができる。このようにして、第1および第2のリング状部分50、52のそれぞれは、第1のスリーブ部品8および第2のスリーブ部品10の補強部をそれぞれ形成する。リング状部分50、52は、第2の突合せ溶接継手74が配置される箇所に対向するスリーブ8、10の端部においてスリーブ部品8、10を補強する。さらに、第1および第2のリング状部分50、52の提供は、管機構30が温度サイクルにさらされるときに、スリーブ部品8、10の漏斗状または円錐状の第1および第2の遠位端部分の形成を防止するかまたは少なくとも遅らせることができる。
【0038】
実施形態によれば、第1および第2のリング状部分50、52のそれぞれは、第1および第2の外側ねじ切り部2、5のそれぞれの外径do1よりも大きい内径di1を有することができ、また、第1および第2のリング状部分50、52のそれぞれは、平らな内側表面54を有することができる。このようにして、第1および第2のリング状部分50、52は、第1および第2の外側ねじ切り部2、5からそれぞれ離れることができる。したがって、第1および第2の外側ねじ切り部2、5上での第1および第2のスリーブ部品8、10の妨げられない回転が可能とされる。
【0039】
さらに、第1および第2のスリーブ部品8、10が第1および第2の金属管1、4上に位置決めされて第2の突合せ溶接継手74によって継合されるときに、第1および第2のリング状部分50、52のそれぞれは、第1および第2の外側ねじ切り部2、5の一部分、または第1および第2の外側ねじ切り部2、5に隣接する第1および第2の金属管1、4の外側表面を覆う。したがって、例えば炉において、第1および第2の金属管1、4は、第1および第2の金属管1、4のこれらの敏感な領域における直接熱放射から保護される。
【0040】
実施形態によれば、第1および第2の外側ねじ切り部2、5のそれぞれは、ISO5855に準拠したねじ切り部とされ得る。このようにして、第1および第2の外側ねじ切り部2、5の基部において第1および第2の金属管1、4に生じる応力集中が減少する。ISO5855に準拠したねじ切り部はまた、航空宇宙用メートルねじ(aerospace metric thread)、またはMJねじと呼ばれ得る。
【0041】
実施形態によれば、第1および第2の金属管1、4の上述の端部領域3、6のそれぞれは、それに関連する第1および第2の金属管1、4の隣接部よりも大きい外径および大きい肉厚を備え得る。
【0042】
各外側ねじ切り部2、5の底部は、それぞれの第1および第2の金属管1、4の前記隣接部の直径よりも大きい直径を有する円を囲み得る。したがって、第1の金属スリーブ部品8の内径di2は、第1の金属管1の前記隣接部の外径do2よりも大きくてよく、また、第2の金属スリーブ部品10の内径は、第2の金属管4の前記隣接部の直径よりも大きくてよい。第1の金属管1の前記端部領域3の外径do1は、第2の金属管4の前記端部領域6の外径に一致する。
【0043】
図3aは、図2bのものに類似した断面の一部分を示す。
【0044】
実施形態によれば、第1の端部領域3は、少なくとも第1の外側ねじ切り部2の軸方向長さにわたって延在する第1の据え込み鍛造管部分56を備えることができ、第2の端部領域6は、少なくとも第2の外側ねじ切り部5の軸方向長さにわたって延在する第2の据え込み鍛造管部分58を備えることができる。このようにして、端部領域3、6は、第1および第2の金属管1、4の隣接部よりも大きい外径および大きい肉厚をそれぞれ備えることができる。
【0045】
据え込み鍛造は、金属管の長さを圧縮することにより金属管の直径を大きくする作業である。
【0046】
実施形態によれば、第1および第2の外側ねじ切り部2、5のそれぞれの内径di3における第1および第2の端部領域3、6の断面積は、第1および第2の据え込み鍛造管部分56、58の外側の第1および第2の金属管1、4のそれぞれの断面積の少なくとも105%、または少なくとも110%である。このようにして、第1および第2の金属管1、4の頑丈な第1および第2の端部領域3、6が提供され得る。
【0047】
図3bは、第1のスリーブ部品8および第1の金属管1の断面の部分拡大図を示す。図3bの鏡像が、第2のスリーブ部品10および第2の金属管4の同じ部分に対応する。以下では、図3aおよび3bが参照される。
【0048】
実施形態によれば、第1の据え込み鍛造管部分56は、第1の金属管1の軸方向中心軸線62に対して2~10度の範囲内の鋭角γで延在する外側表面61を有する第1の円錐形管部分60を備えることができ、第2の据え込み鍛造管部分58は、第2の金属管4の軸方向中心軸線66に対して2~10度の範囲内の鋭角δで延在する外側表面63を有する第2の円錐形管部分64を備えることができる。このようにして、第1および第2の円錐形管部分60、64のそれぞれは、金属製の第1および第2の管1、4の第1および第2の据え込み鍛造管部分56、58とそこに隣接するそれぞれの部分との間に漸進的な移行部を提供する。そのような漸進的な移行部は、第1および第2の金属管1、4の据え込み鍛造管部分56、58とそこに隣接する部分との間の領域において応力集中を減少させることができる。
【0049】
実施形態によれば、第1および第2の円錐形管部分60、64のそれぞれから第1および第2の据え込み鍛造管部分56、58に隣接する第1および第2の金属管1、4のそれぞれの部分への移行部は、少なくとも5mmの半径Rを有し得る。このようにして、第1および第2の金属管1、4の据え込み鍛造管部分とそこに隣接する部分との間の移行部における応力集中が減少され得る。
【0050】
図3cは、第1および第2のスリーブ部品8、10ならびに第1および第2の金属管1、4の断面の部分拡大図を示す。以下では、図3aおよび図3cが参照される。
【0051】
実施形態によれば、第1および第2の金属管1、4のそれぞれは、肉厚Wを有する。第1の外側ねじ切り部2は、第1の端部領域3において第1の金属管1の端部68から第1の距離D1のところで終端し得る。第1の距離D1は、少なくとも肉厚Wに一致し得る。第2の外側ねじ切り部5は、第2の端部領域6において第2の金属管4の端部70から第2の距離D2のところで終端し得る。第2の距離D2は、少なくとも肉厚Wに一致し得る。このようにして、第1および第2の外側ねじ切り部2、5は、第1および第2の外側ねじ切り部2、5が第1および第2の金属管1、4のそれぞれの端部68、70まで延在する場合よりも、第1の突合せ溶接継手72の溶接中に溶接スパッタにさらされることが少なくなる可能性がある。第1および第2の外側ねじ切り部2、5における溶接スパッタは、面倒な溶接スパッタの除去を必要とし得る。さもなければ、第1および第2のスリーブ部品8、10は、第2の突合せ溶接継手74を溶接するために第1および第2の外側ねじ切り部2、5上にねじ込まれてそれらの端部と接触することができない可能性がある。
【0052】
実施形態によれば、第1および第2の突合せ溶接継手72、74の領域において第1および第2のスリーブ部品8、10と第1および第2の金属管1、4との間に環状空間13が形成され得る。このようにして、第1および第2の金属スリーブ部品8、10を接続する第2の突合せ溶接継手74は、第1および第2の金属管1、4と接触して相互作用するのを防止され、かつ、第1および第2の金属管1、4を接続する第1の突合せ溶接継手72と接触して相互作用するのを防止される。
【0053】
図2cに戻り参照すると、実施形態によれば、環状空間13内にセラミック保護部材14が配置され得る。このようにして、セラミック保護部材14は、第1および第2の金属スリーブ部品8、10を接続する第2の突合せ溶接継手74が第1および第2の金属管1、4ならびに第1および第2の金属管1、4を接続する第1の突合せ溶接継手72と接触して相互作用するのを防止することができる。保護部材14は、第1の突合せ溶接継手72の上に位置決め可能である2つの半円形部分を含み得る。例として述べると、セラミック保護部材14は、例えば酸化アルミニウムまたは酸化チタンなどの繊維状セラミック材料を含み得る。
【0054】
図1図3cを参照すると、実施形態によれば、第1の金属管1は、第1の金属合金を含むことができ、第2の金属管4は、第2の金属合金を含むことができ、第1の金属合金および第2の金属合金は、異なる合金組成のものであってもよい。
【0055】
したがって、第1および第2の金属合金が異なる合金組成を有ししたがって異なる材料化学的性質を有する結果として、少なくとも1つの脆性相が、第1の突合せ溶接継手72に生じる。そこに含まれる合金化要素は、溶接時に相互作用して前記脆性相を形成し、したがって、第1の突合せ溶接継手72をそれぞれの金属管1、4よりも機械的に弱くする。ここで、第1の金属合金は、FeCrAl合金であってもよく、第2の金属合金は、FeCrNi合金であってもよい。したがって、上述の脆性相は、ニッケルアルミナイドを含み得る。本明細書において提示された例示的な実施形態では、第1の金属合金は、重量%で0.08までのC、0.7までのSi、10~25のCr、1~10のAl、1.5~5のMo、0.4までのMn、残りのFe、および通常生じる不純物を含む。
【0056】
実施形態によれば、第1のスリーブ部品8および第2のスリーブ部品10は、同じ合金組成を有し得る。
【0057】
第1および第2のスリーブ8、10は、同じ化学組成または少なくとも類似の化学組成を有する鋼で作られ得る。本明細書において提示された例示的な実施形態では、第1および第2のスリーブ8、10の金属合金は、重量%で0.08までのC、0.7までのSi,10~25のCr、1~10のAl、1.5~5のMo、0.4までのMn、残りのFe、および通常生じる不純物を含む、上述の第1の金属合金であり得る。
【0058】
第2の金属スリーブ部品10の第2の内側ねじ切り部11は、アルミナ層(図面では見えず)を含み得る。第1の金属合金で作られたねじ切り部の表面上に酸化鉄を有するリスクは、この場合は第2の金属管4である対向する部品が上述の第2の金属合金で作られておりまた第2のスリーブ部品10が第1の金属合金で形成されている場合、さらに大きい。そのような場合、少なくとも第2の金属スリーブ部品10の第2の内側ねじ切り部11は、酸化前処理を受けるべきであり、その結果として内側ねじ切り部11上にアルミナ層が得られる。本明細書において提示された例示的な実施形態では、第1のスリーブ部品8の第1の内側ねじ切り部9もまた、保護アルミナ層を含み得る。第1の金属管1の第1の外側ねじ切り部2もまた、保護アルミナ層を含み得る。
【0059】
管機構30は、第1および第2の金属管1、4を接続する第1の突合せ溶接継手72によって画定された第1および第2の金属管1、4の間の気密接続を提示し、一方で、第1および第2の金属スリーブ部品8、10によって形成されたスリーブが、管機構30の荷重担持部を形成し、それにより、第1および第2の金属管1、4を接続する第1の突合せ溶接継手72によって受け入れられる必要がある機械的荷重が減少する。いくつかの例示的な実施形態によれば、第2の突合せ溶接継手74によって接続された第1および第2の金属スリーブ部品8、10によって形成された荷重担持部は、管機構30が受ける機械的荷重を、第1の突合せ溶接継手72によって担持され得るのよりも多く担持するように設計され得る。
【0060】
第1および第2の突合せ溶接継手72、74を溶接するための突合せ溶接プロセスは、充填材料として上述の第1の金属合金を使用する、場合により手動のTIG(タングステン不活性ガス)溶接プロセスを含むことが推奨される。しかし、他の適切な合金も、充填材料として使用され得る。充填材料は、ストリップまたはワイヤの形態とされ得る。
【0061】
第1および第2の金属管1、4の前記端部領域3、6に前記外側ねじ切り部2、5を設ける前に、金属管1、4は、対応する金属管1、4の隣接部よりも大きい外径および大きい肉厚をそれらの端部領域3、6に与える処理にさらされてもよい。上記で論じたように、この処理は、据え込み、または据え込み鍛造とも呼ばれる鍛造ステップを含み得る。
【0062】
突合せ溶接により第1および第2の金属スリーブ部品8、10の対向する端部を継合する前に、セラミック保護部材14は、第1および第2の金属スリーブ部品8、10の第2の突合せ溶接継手74が第1および第2の金属管1、4ならびに第1の突合せ溶接継手72と接触して相互作用するのを防止する位置において、第1および第2のスリーブ部品8、10と第1および第2の金属管1、4との間に位置決めされ得る。
【0063】
上述のように、第2の金属スリーブ部品10の第2の内側ねじ切り部11は、第2のスリーブ部品10が第2の金属管4上に位置決めされる前、および第2の金属管4が第1の金属管1と継合される前に、酸化前処理にさらされ得る。酸化前処理は、おおよそ8時間にわたっておおよそ1100℃の温度まで第2の金属スリーブ部品10を加熱することを含み得る。
【0064】
本明細書において提示された例示的な実施形態では、第1の金属スリーブ部品8の第1の内側ねじ切り部9、および第1の金属管1の第1の外側ねじ切り部2もまた、対応する熱処理により、アルミナ層が与えられ得る。
【0065】
上記で論じられた高温条件のうちのいくつかの高温条件下では、2つの金属管間の接続部は、最終的には、突合せ溶接継手において、または、例えばねじ付きの領域もしくはねじ付きの領域に接続する領域内などの突合せ溶接継手付近の領域において、断裂する可能性がある。管機構30の態様および/または実施形態に関連して上記で論じられた対策および/または特徴は、個々にまたは様々な組み合わせで、互いに突合せ溶接されかつ単純なねじ切り部を介して第1および第2の突合せ溶接された金属管に接続された2つの単純な円筒形のスリーブ部品を含む管機構と比較して、管機構30の動作寿命を延長する。
【0066】
図4は、実施形態による炉40を示す。炉40は、チャンバ15、熱を生成するためのバーナ機構16、ならびに、炉40を通してガスおよび/または蒸気を導くための本明細書において論じられる態様および/または実施形態のうちのいずれか1つによる管機構30を備える。
【0067】
実施形態によれば、炉40は、管機構30を通して導かれた炭化水素の分解によりエチレンを生産するように構成され得る。
【0068】
バーナ機構16は、熱を生成するために設けられる。上文に画定されたような2つの管機構30が、炉40を通して高温のガスおよび/または蒸気を導くために設けられる。炉40のチャンバ15の内側では、管機構30が(ここでは突合せ溶接部20、21によって)接続される配管19が、配管19によって形成される。上述の第1の金属合金が前記配管19の材料として使用されることが、提案される。チャンバ15の出口17および入口18の領域では、チャンバ15の内側に、上記で定義された管機構30が設けられる。一方の管機構30の第2の金属管4は、出口17を介してチャンバ15の外に延在することができ、もう一方の管機構30の第2の金属管4は、入口18を介してチャンバ15の外に延在することができる。あるいは、上述のように、第2の金属管4のうちの一方が、出口17の管に突合せ溶接されてもよく、第2の金属管4のうちのもう一方が、入口18の管に突合せ溶接されてもよい。後者の場合では、上述の第2の金属合金が、出口17および入口18の管における材料として使用される。さらなる代替形態によれば、第1の金属管1は、入口18における管機構30と出口17における管機構30との間全体にわたって延在して管19に置き換わり、突合せ溶接部20、21を省くことができる。
【0069】
前述は様々な例示の実施形態の説明に役立つものであること、および、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ定義されることが、理解されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲によって定められた本発明の範囲から逸脱することなく、例示の実施形態が修正され得ること、および、本明細書において説明された実施形態以外の実施形態を作り出すために例示の実施形態の様々な特徴が組み合わせられ得ることを、理解するであろう。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3a
図3b
図3c
図4