(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ピクセル構造駆動方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3208 20160101AFI20220107BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220107BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20220107BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220107BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220107BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G09G3/3208
G09F9/30 365
G09F9/302 C
G09G3/20 642K
H01L27/32
H05B33/14 A
(21)【出願番号】P 2019534756
(86)(22)【出願日】2018-03-13
(86)【国際出願番号】 CN2018078788
(87)【国際公開番号】W WO2018196496
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2019-06-24
(31)【優先権主張番号】201710296173.6
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516189213
【氏名又は名称】クンシャン ゴー-ビシオノクス オプト-エレクトロニクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Kunshan Go-Visionox Opto-Electronics Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building 4, No. 1, Longteng Road, Development Zone, Kunshan, Jiangsu 215300, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シンチュエン
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207068854(CN,U)
【文献】国際公開第2016/065849(WO,A1)
【文献】特開2016-218228(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0203800(US,A1)
【文献】特開平06-348834(JP,A)
【文献】特開昭63-008691(JP,A)
【文献】特開2008-054271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3208
G09F 9/30
G09F 9/302
G09G 3/20
H01L 27/32
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピクセル構造を駆動する方法であって、前記ピクセル構造は複数のピクセル行を有し、各前記ピクセル行は、連続配置された第1サブピクセルと、第2サブピクセルと、第3サブピクセルとを備え、隣接する2つの奇数番号ピクセル行における同色のサブピクセルの2つの発光領域が、互いに整列されており、隣接する2つの偶数番号ピクセル行における同色のサブピクセルの発光領域が、互いに整列されており、隣接する奇数番号ピクセル行と偶数番号ピクセル行の同色のサブピクセルの発光領域は、互い違いになっており、
前記ピクセル構造を駆動する前記方法は、
それぞれ4つの基本ピクセルユニットを備える複数の理論ピクセルユニットグループに画像を分割するステップであって、各前記基本ピクセルユニットは、隣接する3つのサブピクセルを備える、ステップ、および、前記理論ピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの色成分を決定するステップ、
それぞれ前記理論ピクセルユニットグループの1つと等価な複数のターゲットピクセルユニットグループへ前記ピクセル構造を分割するステップであって、各前記ターゲットピクセルユニットグループは、それぞれ3つのサブピクセルを備える
第1、第2、および第3ターゲットピクセルユニットを有する、ステップ、および、対応する前記理論ピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの色成分にしたがって前記ターゲットピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの色成分を決定するステップ、
を有し、
前記ターゲットピクセルユニットグループ内の少なくとも1つのサブピクセルの色成分は、対応する前記理論ピクセルユニットグループ内の同色の2つのサブピクセルの色成分の最大値または平均値に等しく、
前記第1ターゲットピクセルユニットと前記第2ターゲットピクセルユニットはそれぞれ、対応する前記理論ピクセルユニットグループ内の同色の2つの対応するサブピクセルの色成分の最大値または平均値に等しい色成分を有する、2つのサブピクセルを有し、
前記第3ターゲットピクセルユニットの中央位置におけるサブピクセルの色成分は、対応する前記理論ピクセルユニットグループ内の同色の2つのサブピクセルの色成分の最大値または平均値に等しい
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
各ターゲットピクセルユニットグループ内において、前記第1ターゲットピクセルユニットの前記3つのサブピクセルは三角形に配置されており、前記第2ターゲットピクセルユニットの前記3つのサブピクセルは三角形に配置されており、前記第3ターゲットピクセルユニットの前記3つのサブピクセルは矩形に配置されている
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第3ターゲットピクセルユニット内の各前記3つのサブピクセルの色成分は、対応する前記理論ピクセルユニットグループ内の同色の2つの対応するサブピクセルの色成分の最大値または平均値に等しい
ことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記対応する理論ピクセルユニットグループ内の同色の2つのサブピクセルの色成分の前記最大値または前記平均値に等しくなることは、OLEDディスプレイスクリーンの駆動ICによって実施される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記第1サブピクセルの形状とサイズと、前記第2サブピクセルの形状とサイズと、および前記第3サブピクセルの形状とサイズとは、同じであり、
前記第1サブピクセルと、前記第2サブピクセルと、および前記第3サブピクセルそれぞれは、長さ対幅比が1.5:1未満の矩形形状を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
同じ行において隣接する前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルとの間の共通境界線は、列方向に沿った隣接行内の最も近い第3サブピクセルの中心線を延伸したものと一致する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記第1サブピクセル、前記第2サブピクセル、および前記第3サブピクセルそれぞれの発光領域形状の2つの隣接する辺は、弧形状を介して接続され、
および/または、
前記第1サブピクセル、前記第2サブピクセル、および前記第3サブピクセルそれぞれの発光領域形状の2つの隣接する辺は、1以上の直線セグメントによって接続されている ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記ピクセル構造は、RealRGB配置方式にしたがって複数のターゲットピクセルユニットグループへ分割され、幅方向における各前記--ターゲットピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの合計サイズは、前記幅方向における対応する前記理論ピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの合計サイズと等価であり、長さ方向における各前記ターゲットピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの合計サイズは、前記長さ方向における対応する前記理論ピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの合計サイズと等価である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ技術の分野に関する。具体的には、ピクセル構造を駆動する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)は、アクティブ発光デバイスである。従来のディスプレイ方式である液晶ディスプレイと比較すると、OLEDはバックライトを用いずに自己発光することができる。OLEDは、有機薄膜とガラス基板によって形成されている。有機材料は電流に応答して発光する。したがってOLEDディスプレイスクリーンは、電気エネルギーを顕著に節約することができ、LCDディスプレイスクリーンよりも明るくかつ薄くすることができる。またOLEDディスプレイスクリーンは、より広範な温度変化に耐えることができ、LCDディスプレイスクリーンと比較して広範な視野角を可能とする。したがってOLEDは、LCD後の次世代パネルディスプレイ技術となることが期待されており、最も好評なパネルディスプレイ技術の1つである。
【0003】
OLEDスクリーンのカラーパターニング技術は複数存在し、そのなかで比較的成熟しているのは、OLED蒸着技術である。これはOLEDスクリーンの大量生産において適用することに成功しているものである。従来のRGBストライプレイアウトがこの技術において蒸着のために用いられ、RGB併置方式により最良の画像効果を得ることができる。この併置方式において、3つのサブピクセル(R,G,B)が1ピクセル範囲内に存在する。各サブピクセルは矩形であり、独立した有機発光デバイスに対応する。有機発光デバイスは、高精細メタルマスク(FMM)を用いて、蒸着フィルム形成技術により、アレイ基板上の対応するピクセル位置上に形成される。FMMは蒸着マスクとして略記される。高PPI(ピクセル・パー・インチ)OLEDディスプレイスクリーンの製造は、FMMの精度と良好な機械的安定性およびピクセル配置に依拠する。
【0004】
図1は、従来技術におけるOLEDディスプレイスクリーンのピクセル配置の概略図である。このピクセル構造は通常、当該分野においてリアルRGBと呼ばれる。
図1に示すように、このOLEDディスプレイスクリーンはピクセル隣接配置を用い、各ピクセルユニットは、Rサブピクセル領域101、Gサブピクセル領域103、Bサブピクセル領域105を有する。Rサブピクセル領域101は、R発光領域102とR非発光領域を有する。Gサブピクセル領域103は、G発光領域104とG非発行領域を有する。Bサブピクセル領域105は、B発光領域106とB非発光領域を有する。
図1は、RGBサブピクセルが全て矩形であり、その発光領域が同じ領域にあり、RGBサブピクセルが直線配置されていることを示している。各サブピクセル領域の発光領域は、カソード、アノード、電界発光層(有機発光層とも呼ばれる)を有する。電界発光層は、カソードとアノードの間に配置され、所望の色を有する光を生成してディスプレイを実装するために用いられる。ディスプレイスクリーンを準備する間、蒸着プロセスを通常は3回実施して、対応する色を有するピクセル領域の発光領域において特定の色を有する電界発光層を形成する必要がある。
【0005】
図2に示すFMMは一般に、
図1に示すOLEDディスプレイスクリーンのピクセル構造の蒸着のために用いられる。FMMは、シールド領域107と複数の蒸着開口108を有し、同じカラム内の2つの隣接する蒸着開口108間のシールド領域はブリッジと呼ばれる。
図1の配置において同じ色を有するサブピクセルは長手方向に整列しているので、FMM上の対応する蒸着開口108は必然的に同様に整列されている。ただしこの配置は、FMM上の2つの垂直方向に隣接する蒸着開口108間のブリッジを生じさせ、これにより切断リスクが生じる。さらにFMM上の各蒸着開口108は、規定のピクセル位置に対応する必要がある。しかしFMM上の開口とサブピクセル領域との間の整列のための空間は、従来のピクセル配置方式を用いると狭くなり、これは色欠損、色混合、その他欠陥をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ピクセル構造を駆動する方法を提供し、これにより従来技術の課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するため、本発明はピクセル構造を駆動する方法を提供する。前記ピクセル構造は複数のピクセル行を有し、各前記ピクセル行は、連続配置された第1サブピクセルと、第2サブピクセルと、第3サブピクセルとを備え、隣接する2つの奇数番号ピクセル行における同色のサブピクセルの2つの発光領域が、互いに整列されており、隣接する2つの偶数番号ピクセル行における同色のサブピクセルの発光領域が、互いに整列されており、隣接する奇数番号ピクセル行と偶数番号ピクセル行の同色のサブピクセルの発光領域は、互い違いになっている。
【0008】
前記ピクセル構造を駆動する前記方法は:それぞれ4つの基本ピクセルユニットを備える複数の理論ピクセルユニットグループに画像を分割するステップであって、各前記基本ピクセルユニットは、隣接する3つのサブピクセルを備える、ステップ、および、前記理論ピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの色成分を決定するステップ;それぞれ前記理論ピクセルユニットグループの1つと等価な複数のターゲットピクセルユニットグループへ前記ピクセル構造を分割するステップであって、各前記ターゲットピクセルユニットグループは、それぞれ3つのサブピクセルを備える3つのターゲットピクセルユニットを有する、ステップ、および、対応する前記理論ピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの色成分にしたがって前記ターゲットピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの色成分を決定するステップ;を有し、前記ターゲットピクセルユニットグループ内の少なくとも1つのサブピクセルの色成分は、対応する前記理論ピクセルユニットグループ内の同色の2つのサブピクセルの色成分の最大値または平均値に等しい。
【0009】
これに代えて、前記ピクセル構造を駆動する前記方法において、前記ターゲットピクセルユニットグループ内で、第1ターゲットピクセルユニットと第2ターゲットピクセルユニットは三角形であり、第3ターゲットピクセルユニットは矩形である。
【0010】
これに代えて、前記ピクセル構造を駆動する前記方法において、前記第1、第2、および第3ターゲットピクセルユニットはそれぞれ、対応する前記理論ピクセルユニットグループ内の同色の2つのサブピクセルの色成分の最大値または平均値に等しい色成分を有する、少なくとも1つのサブピクセルを有する。
【0011】
これに代えて、前記ピクセル構造を駆動する前記方法において、前記第1ターゲットピクセルユニットと前記第2ターゲットピクセルユニットはそれぞれ、対応する前記理論ピクセルユニットグループ内の同色の2つの対応するサブピクセルの色成分の最大値または平均値に等しい色成分を有する、2つのサブピクセルを有し、前記第3ターゲットピクセルユニットの中央位置におけるサブピクセルの色成分は、対応する前記理論ピクセルユニットグループ内の同色の2つのサブピクセルの色成分の最大値または平均値に等しい。
【0012】
これに代えて、前記ピクセル構造を駆動する前記方法において、前記第3ターゲットピクセルユニット内の各前記3つのサブピクセルの色成分は、対応する前記理論ピクセルユニットグループ内の同色の2つの対応するサブピクセルの色成分の最大値または平均値に等しい。
【0013】
これに代えて、前記ピクセル構造を駆動する前記方法において、前記第3ターゲットピクセルユニットの中央位置におけるサブピクセルの色成分は、対応する前記理論ピクセルユニットグループ内の同色の2つのサブピクセルの色成分の最大値または平均値に等しい。
【0014】
これに代えて、前記ピクセル構造を駆動する前記方法において、2つのサブピクセルの色成分の前記最大値または前記平均値は、OLEDディスプレイスクリーンの駆動ICによって決定される。
【0015】
これに代えて、前記ピクセル構造を駆動する前記方法において、前記第1サブピクセルの形状とサイズと、前記第2サブピクセルの形状とサイズと、および前記第3サブピクセルの形状とサイズとは、同じであり、前記第1サブピクセルと、前記第2サブピクセルと、および前記第3サブピクセルそれぞれは、長さ対幅比が1.5:1未満の矩形形状を有する。同じ行において隣接する前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルとの間の共通境界線は、列方向に沿った隣接行内の最も近い第3サブピクセルの中心線を延伸したものと一致する。前記第1サブピクセルと、前記第2サブピクセルと、および前記第3サブピクセルの2つの隣接する側部とは、1以上の弧および/または1以上の直線によって接続されている。
【0016】
これに代えて、前記ピクセル構造を駆動する前記方法において、前記ピクセル構造は、RealRGB配置方式にしたがって複数のターゲットピクセルユニットグループへ分割され、行方向における各前記ピクセルユニットグループのサイズは、前記行方向における対応する前記理論ピクセルユニットグループの1つのサイズと等価であり、列方向における各前記ターゲットピクセルユニットグループのサイズは、前記列方向における対応する前記理論ピクセルユニットグループの1つのサイズと等価である。
【0017】
従来技術と比較すると、本発明は、それぞれ理論ピクセルユニットグループと等価な複数のターゲットピクセルユニットグループへピクセル構造を分割し、前記ターゲットピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの色成分は、前記理論ピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの色成分にしたがって決定される。本発明は、従来技術における4ピクセルユニットを3ピクセルユニットへ圧縮して、ターゲットピクセルユニットグループ内の少なくとも1つのサブピクセルの色成分が、理論ピクセルユニットグループ内の2つのサブピクセルの色成分の最大値または平均値と等価となるようにする。したがって、ターゲットピクセルユニットグループ内の少なくとも1つのサブピクセルは、理論ピクセルユニットグループ内の2つのサブピクセルの機能を受け持ち、これによりピクセル構造を駆動する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】本発明の実施形態に係るピクセル構造の概略図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る別ピクセル構造の概略図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る別ピクセル構造の概略図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る別ピクセル構造の概略図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る別ピクセル構造の概略図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るゲートラインとデータラインに接続されたピクセル構造の概略図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る理論ピクセルユニットグループの概略等価図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る4つの理論ピクセルユニットグループの概略等価図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る色成分を有するピクセル構造の概略図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る色成分を有する別ピクセル構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
背景技術において説明したように、高PPI OLEDディスプレイスクリーンを製造することは、FMMの精度と良好な機械的安定性およびピクセル配置方式に依拠する。FMMはピクセル蒸着の主要要素である。したがって、FMMにおける歪み、ひび割れ、その他問題が生じないようにし、これにより欠陥が蒸着品質に対して影響するのを避けることが必要である。例えば蒸着膜の破損やずれである。ピクセルとサブピクセルの配置方式は、FMMが容易に歪みまたはひび割れるか否かにとって重要である。すなわち、ピクセルとサブピクセルの配置方式は、FMMの機械的特性を顕著に規定し、FMMの機械的特性は蒸着品質を顕著に規定する。
図2に示すFMMにおいて、蒸着開口は、特定の色を有するサブピクセルに対応する位置にセットされている。
図1のRealRGB配置方式において同色を有するサブピクセルは長手方向に整列されているので、FMM上の対応する蒸着開口108も必然的に同様に配置され、これにより蒸着プロセスにおけるマスク製造と実装の困難度が増している。
【0020】
先行研究に基づき、本発明はOLEDディスプレイスクリーンのピクセル構造を提供する。このピクセル構造は、それぞれ複数のサブピクセルを有する複数のピクセル行(または列)を有する。サブピクセルは、第1サブピクセル、第2サブピクセル、第3サブピクセルを含み、連続して繰り返し配置されている。第1サブピクセル、第2サブピクセル、および第3サブピクセルの発光領域は全て、長さ対幅比が1.5:1未満の矩形である。2つの隣接する奇数番号行(または列)における同色のサブピクセルの発光領域は、互いに対向して整列されている。2つの隣接する奇数番号行(または列)における同色のサブピクセルの発光領域も、互いに対向して整列されている。また、隣接する奇数番号と偶数番号行(または列)の同色のサブピクセルの発光領域は、互い違いになっている。各サブピクセルの長さ対幅比(長いほうの側部長の、短い側部長に対する比)は、1.5:1未満にセットされており(すなわち、各サブピクセルの形状は正方形または略正方形)、これにより開口をできる限り大きくしている。同様に、各サブピクセルの形状が正方形または略正方形となるように、4つのピクセルユニット(12個のサブピクセルを含む)は、3つのピクセルユニット(9個のサブピクセルを含む)へ変換されている。また、隣接する奇数番号と偶数番号行の同色のサブピクセルの発光領域は互い違いになっているので、蒸着マスク上の蒸着開口も互い違いになっており、これにより蒸着マスクの強度を増し、歪み、ひび割れ、その他蒸着マスクの問題を回避している。これにより、蒸着膜の破損やずれなどの蒸着品質に対して欠陥が影響することを抑制し、蒸着プロセスのマスク製造と実装の困難性を緩和している。さらに、第1サブピクセル、第2サブピクセル、第3サブピクセルは全て、形状とサイズが同じであり、蒸着マスク上の蒸着開口は均等間隔を有し、これによりさらに蒸着マスクの強度を増している。
【0021】
したがって本発明はさらに、ピクセル構造を駆動する方法を提供する。本方法は以下を有する:それぞれ4つの基本ピクセルユニットを有する複数の理論ピクセルユニットグループ(または基本ピクセルグループと呼ばれる)へ、表示すべき画像を分割するステップであって、各基本ピクセルユニットは隣接する3つのサブピクセルを有する、ステップ、および、各理論ピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの色成分を決定するステップ;それぞれ理論ピクセルユニットグループと等価な複数のターゲットピクセルユニットグループへ、前記ピクセル構造を分割するステップ。各ターゲットピクセルユニットグループは、3つのターゲットピクセルユニットを有する。各ターゲットピクセルユニットは3つのサブピクセルを有する。ターゲットピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの色成分は、理論ピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの色成分にしたがって決定される。ターゲットピクセルユニットグループ内の少なくとも1つのサブピクセルの色成分は、理論ピクセルユニットグループ内の対応する色を有する2つのサブピクセルの色成分の最大値または平均値に等しい。このように、4つのピクセルユニットは3つのピクセルユニットに圧縮され、これによりピクセル構造を分割する。
【0022】
図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。本発明の利点と特徴は、以下の説明と特許請求範囲によってより明らかになるであろう。
【0023】
図3は、本発明の実施形態に係るOLEDディスプレイスクリーンのピクセル配置を示す概略図である。X方向は各ピクセル行の延伸方向を表し、行方向と呼ばれる(すなわち水平方向)。Y方向はX方向に対して垂直な方向を表し、列方向と呼ばれる(すなわち垂直方向)。行方向におけるサブピクセルの発光領域のサイズが、列方向におけるサイズよりも小さい場合、列方向はサブピクセルの長さ方向と呼ばれ、行方向はサブピクセルの幅方向と呼ばれる。“サブピクセルの長さ”は、列方向におけるサブピクセルの発光領域のサイズを表し、“サブピクセルの幅”は、行方向におけるサブピクセルの発光領域のサイズを表す。行方向におけるサブピクセルの発光領域のサイズが列方向のサイズよりも大きい場合、行方向はサブピクセルの長さ方向と呼ばれ、列方向はサブピクセルの幅方向と呼ばれる。“サブピクセルの長さ”は、行方向におけるサブピクセルの発光領域のサイズを表し、“サブピクセルの幅”は、列方向におけるサブピクセルの発光領域のサイズを表す。“サブピクセルの長さ対幅比”は、長さ方向におけるサブピクセルの発光領域の最大サイズの、幅方向における最大サイズに対する比率を表す。
【0024】
簡易化のため、図面においてOLEDディスプレイスクリーン部分のみを示すが、実製品におけるピクセルユニットの個数はそれに限られるものではなく、実際のディスプレイ要件に基づき変更することができる。本発明における用語“第1行”、“第2行”、“第1列”、“第2列”、・・・などは、提示した図面を基準として本発明を説明するために用いるものであり、実製品における行列を表すものではない。
【0025】
図3に示すように、OLEDディスプレイスクリーンのピクセル構造300は、複数のピクセル行を有し、ピクセル構造内のサブピクセルは隣接配置されている。各ピクセル行は、連続して繰り返し配置された第1サブピクセル301、第2サブピクセル303、第3サブピクセル305を有する。2つの隣接する奇数番号行内の同色のサブピクセルの発光領域は、互いに対向して整列されており、2つの隣接する奇数番号行内の同色のサブピクセルの発光領域も、互いに対向して整列されている。ただし、隣接する奇数番号と偶数番号行内の同色のサブピクセルの発光領域は、互い違いになっている。換言すると、全ての奇数番号行内のサブピクセルは同様に配置され、全ての偶数番号行内のサブピクセルも同様に配置されている。ただし、奇数番号と偶数番号行内の同色のサブピクセルの発光領域は、互いに入れ違いになっている。
【0026】
この実施形態において、第1サブピクセル301、第2サブピクセル303、第3サブピクセル305の発光領域は、全て形状とサイズが同じである。同じ行において隣接する第1サブピクセル301と第2サブピクセル303との間の境界線は、列方向に沿った隣接行における最も近い第3サブピクセル305の発光領域の中心線を延伸したものと一致する。これにより、RGBサブピクセルは均等に分散することができ、望ましいディスプレイ効果を実現できる。具体的には、列方向に沿った第3サブピクセル305の延伸中心線305’(延伸中心線305’は列方向に沿って延伸し、延伸中心線305’は第3サブピクセル305を2つの部分に均等分割している)は、第1サブピクセル301と第2サブピクセル303との間の共通境界線と一致している。換言すると、この配置において、隣接する奇数番号と偶数番号行内の同色のサブピクセル(例えば第1サブピクセル301)は、1.5サブピクセル分の距離で互い違いになっている。すなわち、2つの隣接行内の最も近い同色の2つのサブピクセルの発光領域の中心点は、行方向において1.5サブピクセルサイズの距離だけ離隔している。同じ行内の最も近い同色の2つのサブピクセルの中心点は、行方向において3サブピクセルサイズの距離だけ離隔している。ピクセルユニットの第1サブピクセル301と第2サブピクセル303は片側を共有し、これは第1サブピクセル301と第2サブピクセル303との間の共通境界線であることが分かる。ただし本明細書における“境界”または“境界線”は、実製品の“境界”または“境界線”に限定されず、2つのサブピクセル間の仮想“境界”または“境界線”を指す場合もある。最適配置効果は、隣接する第1サブピクセル301と第2サブピクセル303との間の境界線が列方向に沿って隣接する行内の最も近い第3サブピクセル305の延伸中心線と一致する場合において得られるが、隣接する奇数番号と偶数番号行内における同色のサブピクセルが互い違いになる距離は、1.5サブピクセルに限らない。例えば1.4~1.6サブピクセルも許容可能である。
【0027】
第1サブピクセル301、第2サブピクセル303、または第3サブピクセル305の色は、赤緑青のいずれでもよい。サブピクセル301、303、305の色は互いに異なる。例えば
図3において、第1サブピクセル301は緑(G)サブピクセルであり、第2サブピクセル303は青(B)サブピクセルであり、第3サブピクセル305は赤(R)サブピクセルである。各奇数番号行において、複数のサブピクセルは、色シーケンスGBRGBR・・・にしたがって繰り返し配置されている。各偶数番号行において、複数のサブピクセルは、色シーケンスRGBRGB・・・にしたがって繰り返し配置されている。サブピクセル301、303、305の色が互いに異なる場合、第1サブピクセル301は青サブピクセルまたは赤サブピクセルであり、第2サブピクセル303は緑サブピクセルまたは赤サブピクセルであり、第3サブピクセル305は緑サブピクセルまたは青サブピクセルである。
【0028】
第1サブピクセル301、第2サブピクセル303、第3サブピクセル305はそれぞれ、発光領域(ディスプレイ領域)と非発光領域(非ディスプレイ領域)を有する。各サブピクセルの発光領域は、カソード、アノード、電界発光層(有機発光層とも呼ばれる)を有する。電界発光層は、カソードとアノードの間に配置され、所望色を有する光を生成してディスプレイを実装するために用いられる。この実施形態において、第1サブピクセル301はG発光領域302を有し、第2サブピクセル303はB発光領域304を有し、第3サブピクセル305はR発光領域306を有する。蒸着プロセスは通常、特定の色(例えば赤、緑、青)を有する電界発光層を形成するためには、対応する色を有するピクセル領域の発光領域において、3回実施することが必要である。
【0029】
図4は、
図3に示すピクセル構造に対して適用されるFMMの概略図である。
図4に示すように、FMM400は、複数の蒸着開口408を有する。蒸着開口408は、
図3における同色(例えば緑)を有するサブピクセルに対応する。隣接する奇数番号と偶数番号行内の同色を有するサブピクセルは、長手方向に沿った同じ線上に配置されておらず、互い違いになっている(揃っていない)。したがって、サブピクセルを形成するために用いる蒸着マスク(FMM)上の蒸着開口も、互い違いになっている。互い違い配置により、2つの隣接行内の最も近い2つの蒸着開口408間の距離が増していることが、
図4から見て取れる。これによりFMMの強度を増し、歪み、ひび割れ、その他FMMの問題を回避し、例えば蒸着膜の破損やずれなどの蒸着品質に対して欠陥が影響することを緩和できる。
【0030】
引き続き
図3を参照する。この実施形態において、第1サブピクセル301、第2サブピクセル303、第3サブピクセル305の発光領域は全て四角形であり、各サブピクセルの発光領域の長さ対幅比(長いほうの側部長の短い側部長に対する比)は1.5:1未満である。すなわち、L2が長い側であればL2:L1<1.5:1であり、L1が長い側であればL1:L2<1.5:1である。各サブピクセルの長さ対幅比は1.5:1未満にセットされ、これにより開口をできる限り大きくしている。同様に、サブピクセルの形状が矩形または略矩形となるようにするため、RealRGB配置方式における4つのピクセルユニットは、この実施形態において3つのピクセルユニットへ変換されている。すなわち、
図3に示す3×3ピクセルアレイにおいて、行方向におけるサイズはRealRGB配置方式における2つのピクセルユニット(2ピクセル)のサイズと等価であり、列方向におけるサイズはRealRGB配置方式における2つのピクセルユニットのサイズと等価である。換言すると、この実施形態における9個のサブピクセルは、従来技術における12個のサブピクセルと等価である。第1サブピクセル301、第2サブピクセル303、第3サブピクセル305の発光領域は、全て正方形であることが望ましい。すなわち、各サブピクセルの発光領域の長さ対幅比(L2:L1)は1:1である。同様に、
図4の蒸着開口408も正方形である。本願発明者は研究により、サブピクセルの発光領域の長さ対幅比が1:1に近いほど、FMM上の蒸着開口の長さ対幅比も1:1に近づくことを発見した。これにより、FMMは歪みやひび割れが生じにくくなり、FMMの強度をより高めることができる。
【0031】
ただし、第1サブピクセル301、第2サブピクセル303、第3サブピクセル305の発光領域の形状は正方形に限定されるものではなく、長さ対幅比が1.5:1未満の矩形であってもよいことを付言しておく。
図5に示すように、第1サブピクセル301、第2サブピクセル303、第3サブピクセル305のL2は、これらのL1よりも大きい。各矩形サブピクセルの長さ対幅比(L2:L2)は、1.1:1、1.2:1、1.3:1、または1.4:1であってもよい。この比が1.5:1未満である限り、望ましい効果が得られる。
【0032】
また実際の生産において、製品の実際の形状(およびサイズ)と設計した形状(およびサイズ)との間である程度の逸脱があっても許容されることが、理解できる。一般に、製品の実際の形状(およびサイズ)が設計した形状(およびサイズ)に基づく許容逸脱範囲内に収まる限り、使用要件は満たされる。例えば、第1サブピクセル301、第2サブピクセル303、第3サブピクセル305の発光領域も正方形類似または矩形類似の形状(例えば矩形または正方形に近い台形)であってもよく、例えば二等辺台形、非二等辺台形、等脚台形、逆台形、左90度回転した台形、または右90度回転した台形であってもよい。望ましい状況としては、台形は二等辺台形であり、二等辺台形の上辺と底辺との間の差分が底辺長さの10%未満であり、台形の2脚と上辺との間の角度がともに90°超かつ100°未満であり、二等辺台形の2脚と底辺との間の角度がともに80°超かつ90°未満である。第1サブピクセル301、第2サブピクセル303、第3サブピクセル305の発光領域の形状は、概ね四角形(許容逸脱範囲内)であり、望ましい配置効果を得ることができる。第1サブピクセル301、第2サブピクセル303、第3サブピクセル305の発光領域の形状が等脚台形または逆台形であれば、台形の上辺と底辺の長さの平均値と高さのうちの最大値は、台形の長さ方向サイズとみなし、台形の上辺と底辺の長さの平均値と高さのうちの最小値は、台形の幅方向サイズとみなすことが、理解できる。この場合、台形の長さ方向サイズの幅方向サイズに対する比は1.5未満である。
【0033】
一方で上述のように、第1サブピクセル301、第2サブピクセル303、第3サブピクセル305の発光領域の形状が全て正方形である場合は最適効果を得ることができるが、実際の生産において理想角度を有する完全正方形が得られるとは考えにくい。したがって、何らかの適当な変形は許容される。例えば2つの隣接する辺3021と3022は、
図3のように直角に交差していなくともよい。これに代えて、これら辺が接続して、湾曲交差部(すなわち、2つの隣接する辺3021と3022が曲線部3023によって接続されている)を形成してもよい。すなわち
図6に示すように、正方形の角度は全て弧形状である。別例として、2つの隣接する辺3021と3022は、直線部3024によって接続し、これにより四角形を八角形にしてもよい。この八角形は
図7に示すように、全体形状は四角形であり、長さ対幅比は1.5:1未満である。これに代えて、2つの隣接する辺3021と3022は、2つの直線部によって接続し、これにより四角形を十二角形にしてもよい。まとめると、第1サブピクセル301、第2サブピクセル303、第3サブピクセル305の発光領域が全体として四角形であり、その長さ対幅比が1.5:1未満である限り、本発明の目的を実現できる。
【0034】
また実際の設計と生産において必要となるように、
図3に示すピクセル構造は、左右へ90度または180度回転してもよい。例えば
図3に示す構造を左90度回転し、
図8に示すピクセル構造を得る。
図8に示すように、このピクセル構造は複数のピクセル列を有する。各ピクセル列は、連続して繰り返し配置された第1サブピクセル301、第2サブピクセル303、第3サブピクセル305を有する。2つの隣接する奇数番号列内の同色のサブピクセルの発光領域は、互いに対向して整列されており、2つの隣接する偶数番号列内の同色のサブピクセルの発光領域は、互いに対向して整列されている。ただし、隣接する偶数番号と奇数番号列内の同色のサブピクセルの発光領域は、互い違いになっている。換言すると、全ての奇数番号列内のサブピクセルは同様に配置されており、全ての偶数番号列内のサブピクセルは同様に配置されている。ただし、隣接する奇数番号と偶数番号列内の同色のサブピクセルの発光領域は、水平線上に配置されておらず、互い違いになっている(整列されていない)。
図8の行方向と列方向は、
図3の行方向と列方向を入れ替えることにより得られる。ただし、各サブピクセルの発光領域の長さ対幅比は1.5:1未満であり、1:1であることが望ましい。FMM上の各蒸着開口の長さ対幅比が1:1に近づくほど、FMMの歪みまたはひび割れは生じにくくなり、FMMの強度が増す。
【0035】
この実施形態の別側面として、上記いずれかのピクセル構造を用いることができるOLEDディスプレイスクリーンを提供する。例えば
図3に示すピクセル構造300を用いることにより、ピクセル構造300内の各ピクセル行はゲートラインに接続され、各ピクセル列はデータラインに接続される。
図9に示すように、複数ピクセル行がそれぞれゲートラインG1、G2、G3、・・・に接続され、複数ピクセル列がそれぞれデータラインS1、S2、S3、・・・に接続されている。さらに、ピクセル構造300における奇数番号と偶数番号列内の同色のサブピクセルの発光領域は互い違いになっており、データラインは曲げることができる。
【0036】
引き続き
図9を参照する。OLEDディスプレイスクリーンのピクセル構造は、複数のターゲットピクセルユニットグループP0を有する。各ターゲットピクセルユニットグループP0は、RealRGBピクセル構造における理論ピクセルユニットグループと等価である。すなわち、ターゲットピクセルユニットグループのサイズと理論ピクセルユニットグループのサイズは行方向において等しく、ターゲットピクセルユニットグループのサイズと理論ピクセルユニットグループのサイズは列方向において等しい。各ターゲットピクセルユニットグループP0は、3つのターゲットピクセルユニットP1、P2、P3を有し、各ターゲットピクセルユニットは3つのサブピクセルを有する。3つのターゲットピクセルユニットのなかで、第1ピクセルユニットP1と第2ピクセルユニットP2は同じ直線上に並んで配置され、第3ピクセルユニットP3は別の直線上に配置されている。第1ピクセルユニットP1内のサブピクセルと第2ピクセルユニットP2内のサブピクセルは三角形状に分散しており、第3ピクセルユニットP3内のサブピクセルは線状に分散している。すなわち、ピクセルユニットP1とP2はともに三角形であり、ピクセルユニットP3は矩形である。
【0037】
各ターゲットピクセルユニットグループP0は、9個のサブピクセルを有する。したがって各ターゲットピクセルユニットグループP0は、3つのゲートラインと3つのデータラインに接続されている。
図10を参照する。従来のRealRGBピクセル構造において、各理論ピクセルユニットグループは4つの基本ピクセルユニットを有し、各基本ピクセルユニットは3つのサブピクセルを有する。すなわち、各理論ピクセルユニットグループは、12個のサブピクセルを有し、2つのゲートラインと6個のデータラインに接続されている。これに対して、この実施形態のピクセル構造において接続されているゲートラインの数はRealRGBピクセル構造において接続されている数よりも多いが(この実施形態において各ピクセルユニットグループに接続されているゲートラインの数は、RealRGBピクセル構造におけるものの1.5倍である)、この実施形態において接続されているデータラインの数はRealRGBピクセル構造において接続されているものよりも少ない(この実施形態において各ピクセルユニットグループに接続されているデータラインの数は、RealRGBピクセル構造におけるものの50%である)。したがって、ディスプレイスクリーンに接続されている信号ラインの数は少なくなっている。
【0038】
上記ピクセル構造において、この実施形態はさらに、以下のステップを有する駆動方法を提供する:
それぞれ4つのアレイ状に分散した基本ピクセルユニットを有する複数の理論ピクセルユニットグループへ、表示すべき画像を分割するステップであって、各前記基本ピクセルユニットは、隣接配置された3つのサブピクセルを有する、ステップ、および、各前記理論ピクセルユニットグループ内の各前記サブピクセルの色成分を決定するステップ;
それぞれ前記理論ピクセルユニットグループと等価な複数のターゲットピクセルユニットグループへ前記ピクセル構造を分割するステップであって、各前記ターゲットピクセルユニットグループは、3つのターゲットピクセルユニットを有し、各前記ターゲットピクセルユニットは3つのサブピクセルを有する、ステップ、および、前記理論ピクセルユニットグループ内の各前記サブピクセルの色成分にしたがって、前記ターゲットピクセルユニットグループ内の各前記サブピクセルによって実際に生成される色成分を決定するステップ、
を有し、
前記ターゲットピクセルユニットグループ内の少なくとも1つのサブピクセルの色成分は、対応する前記理論ピクセルユニットグループ内の同色の2つのサブピクセルの色成分の最大値または平均値に等しい。
【0039】
図10と
図11を参照して、の実施形態の駆動方法を詳細に説明する。
【0040】
画像表示前、表示すべき画像はまず、RealRGBピクセル構造にしたがって、複数の理論ピクセルユニットグループへ分割され、次にピクセル構造は複数のターゲットピクセルユニットグループへ分割される。各ターゲットピクセルユニットグループは、理論ピクセルユニットグループと等価である。
【0041】
図10は、本発明の実施形態に係る理論ピクセルユニットグループの概略等価図である。
図10(a)は、RealRGBピクセル構造における理論ピクセルユニットグループの概略図である。
図10(b)は、この実施形態におけるターゲットピクセルユニットグループの概略図である。
【0042】
図10(a)に示すように、理論ピクセルユニットグループは4つの基本ピクセルユニットP1’、P2’、P3’、P4’を有し、各基本ピクセルユニットは隣接配置された3つのサブピクセルを有する。3つのサブピクセルは、Rサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルを含む。基本ピクセルユニットP1’とP2’内のサブピクセルおよび基本ピクセルユニットP3’とP4’内のサブピクセルは、それぞれ異なる2つの行に配置されている。基本ピクセルユニットP1’は、ゲートラインG1’、データラインS1’、S2’、S3’の制御下にある。基本ピクセルユニットP2’は、ゲートラインG1’、データラインS4’、S5’、S6’の制御下にある。基本ピクセルユニットP3’は、ゲートラインG2’、データラインS1’、S2’、S3’の制御下にある。基本ピクセルユニットP4’は、ゲートラインG2’、データラインS4’、S5’、S6’の制御下にある。4つの基本ピクセルユニットP1’、P2’、P3’、P4’は、全て矩形であることが分かる。
【0043】
図10(b)に示すように、ターゲットピクセルユニットグループは、3つのターゲットピクセルユニットP1、P2、P3を有する。各ターゲットピクセルユニットは、隣接する3つのサブピクセルを有する。3つのサブピクセルは、Rサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルを有する。ターゲットピクセルユニットP1は、ゲートラインG1、G2とデータラインS1、S2の制御下にある。ターゲットピクセルユニットP2は、ゲートラインG1、G2とデータラインS2、S3の制御下にある。ターゲットピクセルユニットP3は、ゲートラインG3とデータラインS1、S2、S3の制御下にある。ターゲットピクセルユニットP1とP2はともに三角形であり、ターゲットピクセルユニットP3は矩形であることが分かる。
【0044】
理論ピクセルユニットグループ内の各サブピクセルの色成分が決定されると、色成分はターゲットピクセルユニットへマッピングされる。具体的には
図10において、ターゲットピクセルユニットP1は、基本ピクセルユニットP1’の色成分を有する。ターゲットピクセルユニットP2は、基本ピクセルユニットP2’の色成分を有する。ターゲットピクセルユニットP3は、基本ピクセルユニットP3’とP4’の色成分を有する。具体的には、ターゲットピクセルユニットP3内の少なくとも1つのサブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP3’とP4’内の対応する色を有する2つのサブピクセルの色成分の最大値または平均値に等しい。
【0045】
図11(a)は、RealRGBピクセル構造における4つの理論ピクセルユニットグループの概略図である。
図11(b)は、この実施形態のピクセル構造における4つのターゲットピクセルユニットグループの概略図である。
【0046】
図11(a)に示すように、理論ピクセルユニットグループの第1行第1列内の基本ピクセルユニットP1’において、赤サブピクセルはR11と表記され、緑サブピクセルはG11と表記され、青サブピクセルはB11と表記されている。第1行第2列内の基本ピクセルユニットP2’において、赤サブピクセルはR12と表記され、緑サブピクセルはG12と表記され、青サブピクセルはB12と表記されている。第2行第1列内の基本ピクセルユニットP3’において、赤サブピクセルはR21と表記され、緑サブピクセルはG21と表記され、青サブピクセルはB21と表記されている。第2行第2列内の基本ピクセルユニットP4’において、赤サブピクセルはR22と表記され、緑サブピクセルはG22と表記され、青サブピクセルはB22と表記されている。残りも同様に表記することができる。
【0047】
実際のディスプレイにおいて、ターゲットピクセルユニットP1は、基本ピクセルユニットP1’と等価である。したがって、ターゲットピクセルユニットP1内の赤サブピクセルは、基本ピクセルユニットP1’内の赤サブピクセルR11の色成分を有し、ターゲットピクセルユニットP1内の緑サブピクセルは、基本ピクセルユニットP1’内の緑サブピクセルG11の色成分を有し、ターゲットピクセルユニットP1内の青サブピクセルは、基本ピクセルユニットP1’内の青サブピクセルB11の色成分を有する。また、ターゲットピクセルユニットP2は基本ピクセルユニットP2’と等価である。したがって、ターゲットピクセルユニットP2内の赤サブピクセルは、基本ピクセルユニットP2’内の赤サブピクセルR12の色成分を有し、ターゲットピクセルユニットP2内の緑サブピクセルは、基本ピクセルユニットP2’内の緑サブピクセルG12の色成分を有し、ターゲットピクセルユニットP2内の青サブピクセルは、基本ピクセルユニットP2’内の青サブピクセルB12の色成分を有する。
【0048】
ターゲットピクセルユニットグループ内の3つのピクセルユニットは、理論ピクセルユニットグループ内の4つのピクセルユニットの色成分を有する必要があるので、ターゲットピクセルユニットP3は、基本ピクセルユニットP3’およびP4’と等価である。1態様において、基本ピクセルユニットP3’とP4’内の対応する色を有する2つのサブピクセルの色成分の最大値は比較により決定され、ターゲットピクセルユニットP3内の対応する色を有するサブピクセルの色成分は、この最大値と等価である。例えばターゲットピクセルユニットP3内の赤サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP3’、P4’内の2つの赤サブピクセルR21およびR22の最大値と等価であり;ターゲットピクセルユニットP3内の緑サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP3’、P4’内の2つの赤サブピクセルG21およびG22の最大値と等価であり;ターゲットピクセルユニットP3内の青サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP3’、P4’内の2つの青サブピクセルB21およびB22の最大値と等価である。別態様において、基本ピクセルユニットP3’、P4’内の対応する色を有する2つのサブピクセルの色成分の平均値を取得し、ターゲットピクセルユニットP3内の対応する色を有するサブピクセルの色成分は、この平均値と等価である。
【0049】
以上の駆動手順は、ディスプレイスクリーンの駆動ICによって制御することができる。駆動ICを用いることにより、2つのサブピクセルのデータ電圧の大きさを比較して、2つのサブピクセルの色成分の値を決定し、これにより、理論ピクセルユニットグループ内の対応する色を有する2つのサブピクセルの色成分の最大値にしたがって、表示すべきターゲットピクセルユニット内のサブピクセルを制御する。これに代えて同様に、駆動ICを用いて、2つのサブピクセルの色成分の平均値を計算し、これにより、理論ピクセルユニットグループ内の対応する色を有する2つのサブピクセルの色成分の平均値にしたがって、表示すべきターゲットピクセルユニット内のサブピクセルを制御する。
【0050】
さらに、
図11(b)に示すように、列方向における2つの隣接するターゲットピクセルユニットグループは同じ構造を有し、行方向における2つの隣接するターゲットピクセルユニットグループは180度回転すると同じ構造を有する。すなわち、ターゲットピクセルユニットグループ内の2つの三角形ピクセルユニット(例えばP1とP2)は上側に配置され、矩形ピクセルユニット(例えばP3)は下側に配置されている。これに対して、行方向における別の隣接するターゲットピクセルユニットグループにおいて、2つの三角形ピクセルユニットは下側に配置され、矩形ピクセルユニットは上側に配置されている。このように、2つの隣接するターゲットピクセルユニットグループにおいて、2つの基本ピクセルユニットと等価である必要があるターゲットピクセルユニットのサブピクセルは、異なる行に分散している。
【0051】
本発明は、ピクセルユニットの構造を変更することができる。この実施形態の別駆動方法を、
図12と
図13を参照して以下詳細に説明する。
【0052】
図13に示すように、ターゲットピクセルユニットグループにおいて、中間行のサブピクセルと中間列のサブピクセルは、2つの基本ピクセルユニット内の対応する色を有するサブピクセルの色成分を有する必要があり、2つの基本ピクセルユニット内の対応する色を有するサブピクセルの色成分の最大値または平均値を出力する。
【0053】
具体的には、ターゲットピクセルユニットP1内の緑サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP1’内の緑サブピクセルG11の色成分と等価であり;ターゲットピクセルユニットP1内の赤サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP1’とP2’内の2つの赤サブピクセルR11とR12の色成分の最大値または平均値と等価であり;ターゲットピクセルユニットP1内の青サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP1’とP3’内の2つの青サブピクセルB11とB12の色成分の最大値または平均値と等価である。ターゲットピクセルユニットP2内の赤サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP3’内の赤サブピクセルR21の色成分と等価であり;ターゲットピクセルユニットP2内の緑サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP3’とP4’内の2つの緑サブピクセルG21とG22の色成分の最大値または平均値と等価であり;ターゲットピクセルユニットP2内の青サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP3’とP4’内の2つの青サブピクセルB21とB22の色成分の最大値または平均値と等価である。ターゲットピクセルユニットP3内の赤サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP4’内の赤サブピクセルR22の色成分と等価である。ターゲットピクセルユニットP3内の緑サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP2’内の緑サブピクセルG12の色成分と等価である。ターゲットピクセルユニットP3内の青サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP1’とP4’内の2つの青サブピクセルB11とB22の色成分の最大値または平均値と等価である。このように、各ターゲットピクセルユニットグループのターゲットピクセルユニット内において、2つの基本ピクセルユニットのサブピクセルの色成分を有する必要があるサブピクセルは、全体的に交差パターン状に分散している。
【0054】
この実施形態の別駆動方法を、
図14と
図15を参照して以下詳細に説明する。
【0055】
図14と
図15の各ターゲットピクセルユニットグループにおいて、矩形ピクセルユニット内のみにおける1つのサブピクセルが、2つの基本ピクセルユニット内の対応する色を有するサブピクセルの色成分を有する必要があり、このサブピクセルの色成分は、2つの基本ピクセルユニット内の対応する色を有するサブピクセルの色成分の最大値または平均値と等価である。
【0056】
具体的には、ターゲットピクセルユニットP1内において、緑サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP1’内の緑サブピクセルG11の色成分と等価である。赤サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP1’内の赤サブピクセルR11の色成分と等価である。青サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP1’内の青サブピクセルB11の色成分と等価である。ターゲットピクセルユニットP2内において、赤サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP2’内の赤サブピクセルR12の色成分と等価である。緑サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP2’内の緑サブピクセルG12の色成分と等価である。青サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP2’内の青サブピクセルB12の色成分と等価である。
【0057】
ターゲットピクセルユニットP3内において、赤サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP4’内の赤サブピクセル(例えばR22)の色成分と等価である。緑サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP3’内の緑サブピクセル(例えばG21)の色成分と等価である。青サブピクセルの色成分は、基本ピクセルユニットP3’とP4’内の青サブピクセルB21とB22の色成分の最大値または平均値と等価である。
【0058】
上記ピクセル構造に基づき、本発明は、ピクセル構造に合致するピクセル駆動方法を提供する。本方法において、従来のRealRGBピクセル構造を圧縮して、理論ピクセルユニットグループ内の4つのピクセルユニットを、ターゲットピクセルユニットグループ内の3つのピクセルユニットと等価にし(圧縮率は75%に達する)、これにより、ターゲットピクセルユニットグループ内の少なくとも1つのサブピクセルの色成分は、理論ピクセルユニットグループ内の2つのサブピクセルの色成分の最大値または平均値と等価となる。したがって、ターゲットピクセルユニットグループ内の少なくとも1つのサブピクセルは、理論ピクセルユニットグループ内の2つのサブピクセルの機能を実施する。このピクセル駆動方法は、特に高PPI(PPIが300以上)ピクセル構造に対して適用することができる。実験結果によれば、ディスプレイスクリーンの高PPIにより、ピクセル構造とその駆動方法のより良い効果が得られた。
【0059】
本明細書の実施形態を順次記載し、各実施形態は他実施形態とは異なる部分を強調し、実施形態の同一または類似部分は互いに参照することによって得られることを付言しておく。
【0060】
上記実施形態は本発明を詳細に説明した。ただし、以上は本発明の望ましい実施形態を記載したに過ぎず、本発明を限定する意図ではないことを理解されたい。開示する内容にしたがって当業者がなす任意の置き換えや変形は、全て本発明の特許請求範囲の保護範囲に含まれる。