(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】自動車の折り畳み式インテリアライニングパネル
(51)【国際特許分類】
B60R 5/04 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
B60R5/04 Z
(21)【出願番号】P 2019549570
(86)(22)【出願日】2018-03-11
(86)【国際出願番号】 FR2018050562
(87)【国際公開番号】W WO2018167409
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-02-15
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518354116
【氏名又は名称】トレーヴ プロダクツ,サービシーズ アンド イノベーション
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ブロム,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】プスムリ,ジニ
(72)【発明者】
【氏名】大葉 透
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-241196(JP,A)
【文献】特開平08-033538(JP,A)
【文献】特開2010-076571(JP,A)
【文献】特開平11-020850(JP,A)
【文献】特開平11-028123(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0265411(US,A1)
【文献】米国特許第05354589(US,A)
【文献】特開2010-144434(JP,A)
【文献】特開平09-279725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の折り畳み式インテリアライニングパネル(1)であって、
第1のフラップ(2)および第2のフラップ(3)を備え、
前記2つのフラップの一方が他方に対して実質的に360°回転できるように前記2つのフラップが2つのそれぞれの関節接合エッジ(4a、4b)に沿って、複数のストリップ(8、12)によって、互いに関節接合されているため、前記パネルが(i)前記2つのフラップが実質的に同一平面状に互いに連続した使用形態と、(ii)一方向または他方向へ180°折り畳むことに対応する2つの収納形態とを有することが可能であり、
前記2つのフラップはそれぞれ、前記エッジで同等の厚さ(26a、26b)の第1のエッジ面(21a)および第2のエッジ面(21b)を有し、
前記2つのフラップは、
ある距離だけ離して配置された少なくとも2つの第1のストリップ(8)と、
前記少なくとも2つの第1のストリップの間に配置された少なくとも1つの第2のストリップ(12)とによって互いに関節接合されており、
前記第1のストリップ(8)のそれぞれが、
前記エッジに対して垂直な方向における寸法が前記厚さに実質的に対応している中央部分(9a)と、
実質的に前記第1のエッジ面(21a)の厚さ(26a)全体にわたって延在する第1のプレート(31a)によって前記第1のエッジ面(21a)にしっかりと押し付けられている第1の端部分(27a)であって、前記中央部分との接合部が前記第1のプレートの上縁に位置している第1の端部分(27a)と、
実質的に前記第2のエッジ面(21b)の厚さ(26b)全体にわたって延在する第2のプレート(31b)によって前記第2のエッジ面(21b)にしっかりと押し付けられている第2の端部分(27b)であって、前記中央部分との接合部が前記第2のプレートの下縁に位置している第2の端部分(27b)とを有し、
前記第2のストリップ(12)が、
前記エッジに対して垂直な方向における寸法が前記厚さに実質的に対応している中央部分(9b)と、
実質的に前記第1のエッジ面(21a)の厚さ(26a)全体にわたって延在する第3のプレート(31c)によって前記第1のエッジ面(21a)にしっかりと押し付けられている第1の端部分(27c)であって、前記中央部分との接合部が前記第3のプレートの下縁に位置している第1の端部分(27c)と、
実質的に前記第2のエッジ面(21b)の厚さ(26b)全体にわたって延在する第4のプレート(31d)によって前記第2のエッジ面(21b)にしっかりと押し付けられている第2の端部分(27d)であって、前記中央部分との接合部が前記第4のプレートの上縁に位置している第2の端部分(27d)とを有していることを特徴とするパネル。
【請求項2】
組み立てられていない状態の複数の前記プレート(31a、31b、31c、31d)は、複数の前記ストリップ(8、12)から分離されており、複数の前記プレートが複数の前記ストリップの複数の端部分(27a、27b、27c、27d)を覆っていることを特徴とする、請求項1に記載のパネル。
【請求項3】
複数の前記プレート(31a、31b、31c、31d)は、関連するエッジ面(21a、21b)上に、固定要素(32)を通すための開口部(33)を備えていることを特徴とする、請求項2に記載のパネル。
【請求項4】
第1のプレート(31a)が第3のプレート(31c)と一体化しており、かつ/または、第2のプレート(31b)が第4のプレート(31d)と一体化していることを特徴とする、請求項2または3に記載のパネル。
【請求項5】
複数の前記プレート(31a、31b、31c、31d)は、複数の前記ストリップ(8、12)の複数の端部分(27a、27b、27c、27d)をオーバーモールドするプラスチック材料で作られた末端部の形をとっていることを特徴とする、請求項1に記載のパネル。
【請求項6】
前記2つの第1のストリップ(8)が、実質的に複数の前記エッジ(4a、4b)の横方向の端部に置かれていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のパネル。
【請求項7】
複数の前記フラップ(2、3)は、複数の前記プレート(31a、31b、31c、31d)と複数の前記ストリップ(8、12)の前記端部分(27a、27b、27c、27d)とを受けるための複数のハウジング(20)を備えているため、複数の前記プレートと複数の前記端部分は、複数の前記フラップのエッジ面(21a、21b)に対する突起を形成しないことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のパネル。
【請求項8】
複数の前記ストリップ(8、12)は弾力性を有し、前記パネル(1)の形態にかかわらず不変にピンと張った状態に保たれることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のパネル。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、自動車の折り畳み式インテリアライニングパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特徴を有する自動車の折り畳み式インテリアライニングパネルを製造することが知られている。
【0003】
-上記パネルは、第1のフラップおよび第2のフラップを備えており、上記2つのフラップの一方が他方に対して実質的に360°回転できるように上記2つのフラップが2つのそれぞれの関節接合エッジに沿って、複数のストリップによって、互いに関節接合されているため、上記パネルが(i)上記2つのフラップが実質的に同一平面状に互いに連続した使用形態と、(ii)一方向または他方向へ180°折り畳むことに対応する2つの収納形態とを有することが可能であり、
-上記2つのフラップはそれぞれ、上記エッジに同等の厚さの第1のエッジ面および第2のエッジ面を有している。
【0004】
上記折り畳み式パネルは、とりわけ、荷室の荷物または床を覆うことを意図して作られている。
【0005】
例えば、荷室の床を覆うためのパネルの場合、フラップの一方の面が、例えば、カーペット状の織物で覆われ、他方の面が、とりわけプラスチック材料のシートの性質を有する洗えるカバーで覆われることがあるという事実によって、2通りの収納形態を有することが、要求される。
【0006】
したがって、折り畳み式パネルが収納形態にあるとき、該折り畳み式パネルは、洗える表面を有することによって、荷室の壁に対して位置させられ得る。このことは、汚れた荷物が上記荷室に積載されている場合に、有用となり得る。
【0007】
上記関節接合に適用されるストリップは、通常、それらの端部分で、上記フラップの上面と下面との縁に、取り付けられる。
【0008】
その結果、審美的理由のために上記ストリップを上記フラップに接合するための領域を隠すため、また、上記パネルが上記荷室の裏打ち用である場合に上記荷室に積まれたものに引っ掛かりやすい凹凸を上記領域が形成しないようにするため、パネルの製造が複雑になる。
【0009】
本発明の目的は、上記欠点を克服することである。
【0010】
この目的のために、本発明は、以下の特徴を有する自動車の折り畳み式インテリアライニングパネルを提案する。
【0011】
-上記パネルは、第1のフラップおよび第2のフラップを備えており、前記2つのフラップの一方が他方に対して実質的に360°回転できるように前記2つのフラップが2つのそれぞれの関節接合エッジに沿って、複数のストリップによって、互いに関節接合されているため、前記パネルが(i)前記2つのフラップが実質的に同一平面状に互いに連続した使用形態と、(ii)一方向または他方向へ180°折り畳むことに対応する2つの収納形態とを有することが可能であり、
-前記2つのフラップはそれぞれ、前記エッジで同等の厚さの第1のエッジ面および第2のエッジ面を有し、
前記2つのフラップは、
ある距離だけ離して配置された少なくとも2つの第1のストリップと、
前記少なくとも2つの第1のストリップの間に配置された少なくとも1つの第2のストリップとによって互いに関節接合されており、
-前記第1のストリップのそれぞれが、
--前記エッジに対して垂直な方向における寸法が前記厚さに実質的に対応している中央部分と、
--実質的に前記第1のエッジ面の厚さ全体にわたって延在する第1のプレートによって前記第1のエッジ面にしっかりと押し付けられている第1の端部分であって、前記中央部分との接合部が前記第1のプレートの上縁に位置している第1の端部分と、
--実質的に前記第2のエッジ面の厚さ全体にわたって延在する第2のプレートによって前記第2のエッジ面にしっかりと押し付けられている第2の端部分であって、前記中央部分との接合部が前記第2のプレートの下縁に位置している第2の端部分とを有し、
-前記第2のストリップが、
--前記エッジに対して垂直な方向における寸法が前記厚さに実質的に対応している中央部分と、
--実質的に前記第1のエッジ面の厚さ全体にわたって延在する第3のプレートによって前記第1のエッジ面にしっかりと押し付けられている第1の端部分であって、前記中央部分との接合部が前記第3のプレートの下縁に位置している第1の端部分と、
--実質的に前記第2のエッジ面の厚さ全体にわたって延在する第4のプレートによって前記第2のエッジ面にしっかりと押し付けられている第2の端部分であって、前記中央部分との接合部が前記第4のプレートの上縁に位置している第2の端部分とを有している。
【0012】
提案された上記構成では、ストリップを接合するための領域を隠すことは無意味である。なぜなら、それらは上記フラップのエッジ面に位置するからである。このことは、パネルの審美性を改善するのに役立ち、また、上記パネルが上記荷室の裏打ち用である場合に上記荷室に積まれたものに引っ掛かりやすい凹凸の存在を避けるのにも役立つ。
【0013】
本発明のさらなる特定の特徴および利点は、添付の図面を参照してなされる以下の説明において明らかになるのであろう。
【0014】
図1aおよび
図1bは、第1の実施形態に係るパネルであって、説明の必要上、ストリップが伸張して示された使用形態(
図1a)および収納形態(
図1b)のパネルの概略斜視図である。
【0015】
図2aおよび
図2bは、
図1のパネルの平面P1に沿って見た、説明の必要上、ストリップが伸張して示された使用形態(
図2a)および収納形態(
図2b)のパネルの断面模式図である。
【0016】
図3aおよび
図3bは、
図1のパネルの平面P2に沿って見た、説明の必要上、ストリップが伸張して示された、使用形態(
図3a)および収納形態(
図3b)のパネルの断面模式図である。
【0017】
図4は、第2の実施形態に係るパネルに関する、
図2bと同様の図である。
【0018】
図面を参照して、以下の特徴を有する自動車の折り畳み式インテリアライニングパネル1について説明する。
【0019】
-前記パネル1は、第1のフラップ2および第2のフラップ3を備え、前記2つのフラップの一方が他方に対して実質的に360°回転できるように前記2つのフラップが2つのそれぞれの関節接合エッジ4a、4bに沿って、複数のストリップ8、12によって、互いに関節接合されているため、前記パネルが(i)前記2つのフラップが実質的に同一平面状に互いに連続した使用形態と、(ii)一方向または他方向へ180°折り畳むことに対応する2つの収納形態とを有することが可能であり、
-前記2つのフラップはそれぞれ、前記エッジで同等の厚さ26a、26bの第1のエッジ面21aおよび第2のエッジ面21bを有し、
前記2つのフラップは、
ある距離だけ離して配置された少なくとも2つの第1のストリップ8と、
前記少なくとも2つの第1のストリップの間に配置された少なくとも1つ(図示する第1の実施形態においては2つ)の第2のストリップ12とによって互いに関節接合されており、
-前記第1のストリップ8のそれぞれが、
--前記エッジに対して垂直な方向における寸法が前記厚さに実質的に対応している中央部分9aと、
--実質的に前記第1のエッジ面21aの厚さ26a全体にわたって延在する第1のプレート31aによって前記第1のエッジ面21aにしっかりと押し付けられている第1の端部分27aであって、前記中央部分との接合部が前記第1のプレートの上縁に位置している第1の端部分27aと、
--実質的に前記第2のエッジ面21bの厚さ26b全体にわたって延在する第2のプレート31bによって前記第2のエッジ面21bにしっかりと押し付けられている第2の端部分27bであって、前記中央部分との接合部が前記第2のプレートの下縁に位置している第2の端部分27bとを有し、
-前記第2のストリップ12が、
--前記エッジに対して垂直な方向における寸法が 前記厚さに実質的に対応している中央部分9bと、
--実質的に前記第1のエッジ面21aの厚さ26a全体にわたって延在する第3のプレート31cによって前記第1のエッジ面21aにしっかりと押し付けられている第1の端部分27cであって、前記中央部分 との接合部が前記第3のプレートの下縁に位置している第1の端部分27cと、
--実質的に前記第2のエッジ面21bの厚さ26b全体にわたって延在する第4のプレート31dによって前記第2のエッジ面21bにしっかりと押し付けられている第2の端部分27dであって、前記中央部分との接合部が前記第4のプレートの上縁に位置している第2の端部分27dとを有している。
【0020】
図示する第1の実施形態によれば、組み立てられていない状態の複数の前記プレート31a、31b、31c、31dは、複数の前記ストリップ8、12から分離されており、複数の前記プレートが複数の前記ストリップの複数の端部分27a、27b、27c、27dを覆っている。
【0021】
図示する第1の実施形態によれば、複数の前記プレート31a、31b、31c、31dは、関連するエッジ面21a、21b上に、固定要素32(とりわけ、ネジまたはリベットの形の固定要素)を通すための開口部33を備えている。
【0022】
前記フラップ2、3が多孔質材料を基にしている場合、例えばハニカム構造体を基にしている場合、あるいは、押出ブロー成形から得られる場合、固定要素32を受けるために、上記フラップに堅固に接続されたプレート(図示せず)を設けてもよい。
【0023】
図示する第1の実施形態によれば、第1のプレート31aが第3のプレート31cと一体化しており、かつ/または、第2のプレート31bが第4のプレート31dと一体化している。
【0024】
図示する第2の実施例によれば、複数の前記プレート31a、31b、31c、31dは、複数の前記ストリップ8、12の複数の端部分27a、27b、27c、27dをオーバーモールドするプラスチック材料で作られた末端部の形をとっている。
【0025】
図示する第1の実施形態によれば、前記2つの第1のストリップ8が、実質的に複数の前記エッジ4a、4bの横方向の端部に置かれている。このような構成が当然、全ての実施形態に適用され得ることは分かっている。
【0026】
図示する実施形態によれば、複数の前記フラップ2、3は、複数の前記プレート31a、31b、31c、31dと複数の前記ストリップ8、12の前記端部分27a、27b、27c、27dとを受けるための複数のハウジング20を備えているため、複数の前記プレートと複数の前記端部分は、前記対応する複数のフラップ2、3のエッジ面21a、21bに対する突起を形成しない。
【0027】
一実施形態によれば、複数の前記ストリップ8、12は弾力性を有し、前記パネル1の形態にかかわらず不変にピンと張った状態に保たれる。
【0028】
このような構成は、とりわけパネル1がカバーしているときの形態である場合に、関節接合エッジ4a、4bの完全密着配置を保証し得る。
【0029】
もちろん、代替的に、複数の上記ストリップ8、12は非弾性に提供されてもよい。
【0030】
図示する実施形態によれば、プレート31a、31b、31c、31dは実質的に長方形である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1a】第1の実施形態に係るパネルであって、説明の必要上、ストリップが伸張して示された、使用形態のパネルの概略斜視図である。
【
図1b】第1の実施形態に係るパネルであって、収納形態のパネルの概略斜視図である。
【
図2a】
図1のパネルの平面P1に沿って見た、説明の必要上、ストリップが伸張して示された、使用形態のパネルの断面模式図である。
【
図2b】
図1のパネルの平面P1に沿って見た、収納形態のパネルの断面模式図である。
【
図3a】
図1のパネルの平面P2に沿って見た、説明の必要上、ストリップが伸張して示された、使用形態のパネルの断面模式図である。
【
図3b】
図1のパネルの平面P2に沿って見た、収納形態のパネルの断面模式図である。
【
図4】第2の実施形態に係るパネルに関する、
図2bと同様の図である。