(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】手術器具のための電磁アクチュエータおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 33/16 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
H02K33/16 A
(21)【出願番号】P 2019554726
(86)(22)【出願日】2018-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2018057317
(87)【国際公開番号】W WO2018184859
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2020-04-22
(31)【優先権主張番号】102017107397.3
(32)【優先日】2017-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591228476
【氏名又は名称】オリンパス ビンテル ウント イーベーエー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】OLYMPUS WINTER & IBE GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴィータース マルティン
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/135814(WO,A2)
【文献】米国特許第03248499(US,A)
【文献】特開昭56-112870(JP,A)
【文献】国際公開第2013/054787(WO,A1)
【文献】米国特許第05896076(US,A)
【文献】特開2003-235234(JP,A)
【文献】国際公開第2008/105393(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
G02B 7/04
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の外側に配置された固定子と、前記管内で前記管の長手軸方向(L)に移動可能であるように前記管内に取り付けられた回転子とを備え、前記回転子は、常磁性材料および/または強磁性材料を少なくとも部分的に含み、電磁場の印加によって前記長手軸方向(L)に移動可能であり、前記固定子は、前記長手軸方向(L)に逆方向に分極された遠位の永久磁石および近位の永久磁石と、前記電磁場を発生するための少なくとも1つの電気コイルとを備える、手術器具のための電磁アクチュエータであって、前記永久磁石は、前記電気コイルの外側に配置され、
前記外側は、前記電気コイルにおける前記管とは反対を向いて
おり、
前記固定子の遠位端は、遠位の固定子磁極片によって形成され、前記長手軸方向(L)における反対側の近位端は、近位の固定子磁極片によって形成され、前記固定子は、前記長手軸方向(L)における前記永久磁石の間に配置された中央の固定子磁極片を備え、
前記中央の固定子磁極片は、前記長手軸方向(L)と直交する径方向(R)において、前記管に向いている前記電気コイルの内側から、前記管とは反対を向いている前記永久磁石の前記外側まで延在し、前記電気コイルは、遠位のコイルおよび近位のコイルを備え、前記2つのコイルは、前記中央の固定子磁極片の両側で前記長手軸方向(L)に延在し、前記遠位のコイルが、第1磁場であって、前記近位のコイルによって発生される第2磁場と同一の向きの第1磁場を発生するように互いに電気的に接続され、前記中央の固定子磁極片は、遠位中央の固定子部磁極片および近位中央の固定子部磁極片から形成されていることを特徴とする、電磁アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁アクチュエータであって、
前記遠位および前記近位の永久磁石は、前記電気コイルによって発生される前記磁場のための磁気帰還要素を形成することを特徴とする、電磁アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電磁アクチュエータであって、
前記管とは反対を向いている前記永久磁石の外側は、前記管とは反対を向いている前記固定子の外側の少なくとも1つの部分表面を形成していることを特徴とする、電磁アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の電磁アクチュエータであって、
前記遠位の固定子磁極片と、前記遠位のコイルと、前記遠位の永久磁石と、前記遠位中央の固定子部磁極片とは、予め組み立てられた遠位のアセンブリを形成し、前記近位中央の固定子部磁極片と、前記近位のコイルと、前記近位の永久磁石と、前記近位の固定子磁極片とは、予め組み立てられた近位のアセンブリを形成していることを特徴とする、電磁アクチュエータ。
【請求項5】
請求項4に記載の電磁アクチュエータであって、
前記遠位および/または前記近位のアセンブリの部品は、互いに接着されていることを特徴とする、電磁アクチュエータ。
【請求項6】
請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の電磁アクチュエータであって、
前記固定子磁極片のうちの少なくとも1つは、前記長手軸方向(L)と直交する径方向(R)において、前記管に向いている前記電気コイルの内側から前記管とは反対を向いている前記永久磁石の外側まで延在していることを特徴とする、電磁アクチュエータ。
【請求項7】
請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の電磁アクチュエータであって、
前記永久磁石は、前記電気コイルを囲む環状の磁石である、または、前記遠位および前記近位の永久磁石は、少なくとも1つの棒磁石から夫々形成され、前記遠位および前記近位の永久磁石は、複数の棒磁石から夫々形成され、前記遠位および/または前記近位の永久磁石を形成する前記棒磁石は、前記管の円周に沿って均一に間隔を空けて配置されていることを特徴とする、電磁アクチュエータ。
【請求項8】
請求項1~7のうちのいずれか1項に記載の電磁アクチュエータであって、
前記永久磁石のうちの少なくとも1つは、プラスチック母材に埋め込まれた硬磁性粒子を備えていることを特徴とする、電磁アクチュエータ。
【請求項9】
請求項8に記載の電磁アクチュエータであって、
前記永久磁石は、射出成形方法を用いて製造されていることを特徴とする、電磁アクチュエータ。
【請求項10】
請求項9に記載の電磁アクチュエータであって、
前記電気コイルの少なくとも1つのコイル線は、少なくとも1つの永久磁石内にモールドされていることを特徴とする、電磁アクチュエータ。
【請求項11】
手術器具であって、請求項1~10のうちのいずれか1項に記載の電磁アクチュエータを有する手術器具。
【請求項12】
請求項11に記載の手術器具であって、
前記手術器具は、内視鏡であることを特徴とする手術器具。
【請求項13】
手術器具のための電磁アクチュエータであって、管の外側に配置された固定子と、前記管内で前記管の長手軸方向(L)に移動可能であるように前記管内に取り付けられた回転子とを備え、前記回転子が、常磁性材料および/または強磁性材料を少なくとも部分的に含み、電磁場の印加によって前記長手軸方向(L)に移動可能であり、前記固定子が、前記長手軸方向(L)に逆方向に分極された遠位の永久磁石および近位の永久磁石と、前記電磁場を発生するための少なくとも1つの電気コイルとを備える電磁アクチュエータを製造する方法であって、前記永久磁石は、前記管とは反対を向いている前記電気コイルの外側に配置され、
遠位の固定子磁極片が、前記遠位の永久磁石より遠位に配置されて、前記固定子の遠位端を形成し、近位の固定子磁極片が、前記近位の永久磁石より近位に配置されて、前記長手軸方向(L)において反対側の近位端を形成し、中央の固定子磁極片が、前記長手軸方向(L)における前記永久磁石の間に配置され、
前記中央の固定子部磁極片が、前記長手軸方向(L)と直交する径方向(R)において、前記管に向いている前記電気コイルの内側から、前記管とは反対を向いている前記永久磁石の前記外側まで延在し、前記電気コイルが、遠位のコイルおよび近位のコイルを備え、前記遠位の固定子磁極片と、前記遠位のコイルと、前記遠位の永久磁石と、遠位中央の固定子部磁極片とが、一体に連結されて、予め組み立てられた遠位のアセンブリを形成し、近位中央の固定子部磁極片と、前記近位のコイルと、前記近位の永久磁石と、前記近位の固定子磁極片とが、一体に連結されて、予め組み立てられた近位のアセンブリを形成し、前記遠位および/または前記近位のアセンブリの部品が、互いに結合され、前記予め組み立てられた近位のアセンブリおよび前記予め組み立てられた遠位のアセンブリが、その後取り付けられ、第1磁場であって、前記近位のコイルによって発生される第2磁場と同一の向きの第1磁場を前記遠位のコイルが発生するように前記2つのコイルが互いに電気的に接続され、前記中央の固定子磁極片が、前記近位中央の固定子部磁極片および前記遠位中央の固定子部磁極片から形成されることを特徴とする、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記永久磁石は、前記管とは反対を向いている前記永久磁石の外側が、前記管とは反対を向いている前記固定子の外側の少なくとも1つの部分表面を形成するように配置されることを特徴とする、方法。
【請求項15】
請求項
13または14に記載の方法であって、
前記遠位および/または前記近位のアセンブリが、プラスチック母材に埋め込まれた硬磁性粒子を含む永久磁石で製造され、前記永久磁石が、射出成形方法を用いて製造され、前記プラスチック母材が、
前記遠位および/または前記近位のアセンブリの部品のための接着剤として同時に機能
することを特徴とする、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記電気コイルの少なくとも1つのコイル線が、少なくとも1つの永久磁石内にモールドされることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、手術器具のための電磁アクチュエータであって、管の外側に配置された固定子と、管内で管の長手軸方向に移動可能に管内に取り付けられた回転子とを備え、回転子が、常磁性材料および/または強磁性材料を少なくとも部分的に含み、電磁場の印加によって長手軸方向に移動可能であり、固定子が、長手軸方向において逆方向に分極された遠位の永久磁石および近位の永久磁石と、電磁場を発生するための少なくとも1つの電気コイルとを備える、電磁アクチュエータに関する。本発明は、さらに、そのような電磁アクチュエータを有する手術器具に関する。最後に、本発明は、手術器具のための電磁アクチュエータであって、管の外側に配置された固定子と、管内で管の長手軸方向に移動可能であるように管内に取り付けられた回転子とを備え、回転子が、常磁性材料および/または強磁性材料を少なくとも部分的に含み、電磁場の印加によって長手軸方向に移動可能であり、固定子が、長手軸方向において逆方向に分極された遠位の永久磁石および近位の永久磁石と、電磁場を発生するための少なくとも1つの電気コイルとを備える、電磁アクチュエータの製造方法に関する。
【0002】
電磁アクチュエータには、多種の用途がある。電磁アクチュエータによって、例えば、スイッチが操作可能であり、あるいは、微小光学の設定または調整が可能である。手術器具、例えば内視鏡の場合、その小型設計のアクチュエータは、光学系の焦点または倍率を変えるために使用可能である。また、可変の視野方向を有する内視鏡の場合、電磁アクチュエータを用いて、さらに光学系の視野方向を設定または変更することが可能である。光学系の光学特性は、例えば、レンズ、プリズム、または開口部である光学部品をアクチュエータによって移動することにより変更され、この光学部品はアクチュエータの回転子内または回転子上に配置される。
【0003】
双安定および単安定電磁アクチュエータが知られている。双安定電磁アクチュエータの場合、回転子が設けられ、その回転子は2つの最端位置(終端位置)のうちの1つの永久磁場にて保持され、電磁場を切り替えることにより、これら2つの安定位置の一方から他方の安定位置へとそれぞれに移動可能である。単安定電磁アクチュエータの場合、回転子は、1つ以上の永久磁石によって発生される磁場によりその静止位置で安定して保持される。磁気コイルによって発生された電磁場を印加されることで、回転子は、前述の安定的な静止位置の外に移動される。双安定システムは、終端位置での2段階操作に特に適しており、終端位置は、電力無しで維持される。他方、単安定システムは、継続的調整に非常に適する。
【0004】
双安定電磁アクチュエータは、例えば、独国特許出願公開第10 2014 204 763 A1から公知である。この電磁アクチュエータの場合、コイルと、ヨークと、磁石とが固定子内で互いに隣り合って配置され、コイルおよびヨークは、逆方向に分極された2つの磁石間で長手軸方向に配置される。加えて、回転子のような、強磁性材料から作られる帰還要素が設けられる。回転子および固定子は、摺動管によって互いに離れている。固定子は摺動管の外径上に位置し、回転子は摺動管の内径内へと摺動官の内側を摺動する。
【0005】
これらの従来システムは、回転子が移動する長手軸方向に比較的大きな固定子を有しているので、その結果、全体サイズも比較的大きくなる。これは、そのような駆動部を配置する可能性を望ましくない方法で制限している。
【0006】
それゆえ、本発明の目的は、電磁アクチュエータ、電磁アクチュエータを有する手術器具、および電磁アクチュエータの製造方法であって、電磁アクチュエータがコンパクトな全体サイズを有する、電磁アクチュエータ、電磁アクチュエータを有する手術器具、および電磁アクチュエータの製造方法を示すことである。
【0007】
この目的は、手術器具のための電磁アクチュエータによって解決され、この電磁アクチュエータは、管の外側に配置された固定子と、管内で管の長手軸方向において移動可能であるように管内に取り付けられた回転子とを備え、回転子が、常磁性材料および/または強磁性材料を少なくとも部分的に含み、電磁場の印加によって長手軸方向に移動可能であり、固定子が、長手軸方向において逆方向に分極された遠位の永久磁石および近位の永久磁石と、電磁場を発生するための少なくとも1つの電気コイルとを備え、この電磁アクチュエータは、管とは反対を向いているコイルの外側に永久磁石が配置される点で、さらに展開されている。
【0008】
加えて、コイルの外側への永久磁石の配置に起因して、システムが長手軸方向に特に小型になる。そのような小型システムは、例えば、内視鏡、追加的な例として、可撓性、半可撓性、または硬性の軸を有する内視鏡などのような手術器具への配置に特に適している。
【0009】
有利な実施形態によれば、電磁アクチュエータは、遠位および近位の永久磁石が、電気コイルによって発生される磁場のための磁気帰還要素を形成する点で、さらに展開されている。有利には、磁気帰還は、そのような電磁アクチュエータの場合、永久磁石自体を介して、もたらされる。結果として、他の標準的な磁気帰還要素を節約することが可能である。電磁アクチュエータに必要な取り付けスペースは、結果として有利に小さくなる。
【0010】
さらなる有利な実施形態によれば、電磁アクチュエータは、管とは反対を向いている永久磁石の外側が、管とは反対を向いている固定子の外側の少なくとも1つの部分表面を形成する点で、さらに展開されている。換言すれば、この実施形態の電磁アクチュエータは、管とは反対を向いているアクチュエータの外側に従来配置される磁気帰還要素を備えていない。前述の構成は、電磁アクチュエータを特に小型な設計にすること、具体的には、そのシステムの直径を特に小さくすることが可能である。
【0011】
加えて、有利には、固定子の遠位端は、遠位の固定子磁極片によって形成され、長手軸方向における反対側の近位端は、近位の固定子磁極片によって形成されることがもたらされる。固定子磁極片を用いることで電磁アクチュエータの効率が向上する。結果として、大きな保持力を有利にもたらすか、またはより低い制御電流を有利にデプロイすることが可能である。
【0012】
有利な実施形態では、電磁アクチュエータは、固定子が長手軸方向の永久磁石の間に配置される中央の固定子磁極片を備えるという点で異なる。中央の固定子磁極片の配置に起因して、磁気システムの効率がさらに向上する。具体的には、中央の固定子磁極片の使用は、双安定システムにとって有利である。中央の固定子磁極片では、逆方向に分極された永久磁石によって発生された磁束が、回転子の領域から永久磁石の方向に戻るように案内される。
【0013】
具体的には、中央の固定子磁極片は、外側の固定子磁極片、すなわち、遠位の固定子磁極片または近位の固定子磁極片よりも厚い。例えば、中央の固定子磁極片は、長手軸方向に測定された材料厚さが、同じ方向に測定された外側の磁極片の材料厚さの寸法の1.2から2倍である。加えて、具体的には、遠位の固定子磁極片および近位の固定子磁極片は、先と同様に長手軸方向の測定では同じ材料厚さを有することがもたらされる。
【0014】
さらなる有利な実施形態によれば、電磁アクチュエータは、中央の固定子磁極片が、管に向いているコイルの内側から管とは反対を向いている永久磁石の外側まで長手軸方向と直交する径方向に延在し、コイルが遠位のコイルおよび近位のコイルを備え、これら2つのコイルが中央の固定子磁極片の両側で長手軸方向に延在し、第1磁場であって、近位のコイルによって発生される第2磁場と同一の向きの第1磁場を遠位のコイルが発生するように、これら2つのコイルが互いに電気的に接続されているという点で、さらに展開されている。
【0015】
換言すれば、第1磁場および第2磁場は、同じ方向に向けられる。磁極片の寸法規定により、特に効率的なフローガイダンスが可能となり、この結果、電磁アクチュエータの効率がさらに向上される。
【0016】
加えて、中央の固定子磁極片が、近位中央の固定子部磁極片および遠位中央の固定子部磁極片から形成されることが有利かつ具体的にもたらされる。有利には、そのような構成により、遠位のアセンブリおよび近位のアセンブリの形成が可能になる。アセンブリの使用で電磁アクチュエータの製造が簡素化および迅速化する。
【0017】
さらなる有利な実施形態によれば、空隙が遠位中央の固定子部磁極片と近位中央の固定子部磁極片との間に設けられる。換言すれば、遠位および近位のアセンブリは互いに機械的に接続されない。2つのアセンブリの永久磁石は互いに反発するので、これら2つのアセンブリは、遠位および近位の停止部で、存在しているあらゆる部品のばらつきから自律的かつ独立的に整列する。
【0018】
代替的実施形態によれば、2つのアセンブリの機械的接続が所望される場合には、接着剤がアセンブリ間に用いられるが、接着剤は、硬化中に、いずれの体積収縮も示さないか、特に低い体積収縮を示すのみである。例えば、硬化中に失う体積が5%未満の接着剤が適している。
【0019】
有利な実施形態によれば、遠位の固定子磁極片と、遠位のコイルと、遠位の永久磁石と、遠位中央の固定子部磁極片とが、予め組み立てられた遠位のアセンブリを形成し、近位中央の固定子部磁極片と、近位のコイルと、近位の永久磁石と、近位の固定子磁極片とが、予め組み立てられた近位のアセンブリを形成し、遠位および/または近位のアセンブリの部品が、具体的には、互いに接着されているという点で、電磁アクチュエータはさらに展開される。
【0020】
加えて、遠位のアセンブリおよび近位のアセンブリが互いに同一の構成を有するということが具体的に提供される。電磁アクチュエータ内の永久磁石と反対の磁性配向を実現するために、近位のアセンブリまたは遠位のアセンブリのいずれかが取り付けられて、直立中いずれの場合にも、他方のアセンブリに対して180度回転されることが提供される。これに関連して、さらに着目すべきことは、これらアセンブリに設けられたこれらの磁気コイルは、これらの磁気コイルが同じ向きを有する磁場を発生するように適切に配線される。
【0021】
アセンブリを用いることで、電磁アクチュエータの製造が迅速化する。さらなる実施形態によれば、これらアセンブリが予め組み立てられた構造的要素であれば、特に有利である。
【0022】
さらなる有利な実施形態によれば、固定子磁極片のうちの少なくとも1つが、管に向いているコイルの内側から、管とは反対を向いている永久磁石の外側まで、長手軸方向と直交する径方向に延在することが提供される。具体的には、全ての固定子磁極片は、コイルの内側にあるが故に同じ寸法を規定する管の外側から、管とは反対を向いている永久磁石の外側まで径方向に延在することが提供される。この固定子磁極片の寸法により、特に効率的な磁場のフローガイダンスが可能となる。
【0023】
加えて、永久磁石が、コイルを囲む環状の磁石であることが具体的に提供される。代替的実施形態によれば、遠位および近位の永久磁石が、少なくとも1つの棒磁石から夫々形成されることが提供される。
【0024】
棒磁石の使用により、電磁アクチュエータが占める取り付けスペースを、この方法で縮小できるので、特に有利である。回転子およびコイルは、一定断面で、且つ、それらを覆うように磁石を配置して実施可能である、つまり、径方向のさらなる外側に、円周の取り付けスペースはもはや必要でない。したがって、具体的には、電磁アクチュエータが内視鏡軸に挿入された場合でも使用可能となる取り付けスペースに、内視鏡のさらなる構造的要素を収容可能である。加えて、棒磁石は、その形状に起因して非常に薄い肉厚と成らざるを得ないリング磁石よりも機械的に著しくより安定している。それゆえ、棒磁石の取り扱いは、リング磁石の取り扱いよりも非常に容易であり、電磁アクチュエータの製造が簡素化かつ迅速化される。
【0025】
加えて、遠位および近位の永久磁石が、複数の棒磁石から夫々形成され、遠位および/または近位の永久磁石を形成する棒磁石が、管の円周に沿って均一な間隔で配置されることが具体的に提供される。複数の棒磁石の使用により、より大きな電磁流量を複数の磁石によって発生することが可能であるので、得られる磁力を増大できる。特に均一な磁場は、棒磁石の均一なスペースにより生じさせることが可能である。
【0026】
さらなる有利な実施形態によれば、電磁アクチュエータは、永久磁石のうちの少なくとも1つがプラスチック母材に埋め込まれた硬磁性粒子を含み、その永久磁石が、具体的には、射出成形方法で製造されるという点で、さらに展開される。例えば、NdFeB粒子(ネオジム、鉄、ボロン)、またはそれら材料の粒子の混合物、例えば、エポキシ樹脂接着剤に混ぜ込んだ材料の粒子が磁性粒子として適する。永久磁石を製造するために、固定子磁極片間の空洞が、例えば空いており、永久磁石によって占有されることになる。これは、電磁アクチュエータが予め組み立てられた遠位および近位のアセンブリを備える場合に特に有利である。アセンブリの製造中、磁性材料をこのように取り込むだけでなく、固定子磁極片の固定およびコイルの固定を準備する、または同じ工程で夫々行うことも可能である。加えて、磁性粒子が所望の磁性配向となるように、アセンブリ全体が、その後磁化されることが具体的に提供される。
【0027】
有利なさらなる展開によると、コイルの少なくとも1つのコイル線が少なくとも1つの永久磁石内にモールドされることが具体的に提供される。換言すれば、コイルの供給ケーブルは、永久磁石を通って案内される。したがって、そうでなければ必要となる磁気コイルの供給ケーブルの取り付けスペースを有利に節約可能である。
【0028】
加えて、回転子の長手軸方向の全長が、この方向の固定子の最大範囲より小さいことが具体的に提供される。固定子および回転子のそのような寸法により、双安定電磁アクチュエータを示すことができる。同様に、電磁アクチュエータが双安定である他の設計を見い出すことができる。これに関連して、例えば、永久磁石の設計およびサイズと、コイルの設計およびサイズとは重要である。さらなる実施形態によれば、回転子が長手軸方向の固定子よりもさらに大きな範囲を有することが提供される。単安定アクチュエータは、電磁アクチュエータをそのように設計することにより実現され得る。
【0029】
加えて、この目的は、手術器具、具体的には、内視鏡であって、前述の1つ以上の実施形態に係る電磁アクチュエータを有する、手術器具により解決される。
同一または類似の利点は、電磁アクチュエータに関して既に記載したように、手術器具に該当するので、繰り返しを省くこととする。
【0030】
加えて、この目的は、手術器具のための電磁アクチュエータであって、管の外側に配置された固定子と、管内で管の長手軸方向に移動可能であるように管内に取り付けられた回転子とを備え、回転子が、常磁性材料および/または強磁性材料を少なくとも部分的に含み、電磁場の印加によって長手軸方向に移動可能であり、固定子が、長手軸方向において逆方向に分極された遠位の永久磁石および近位の永久磁石と、電磁場を発生するための少なくとも1つの電気コイルとを備える電磁アクチュエータの製造方法であって、該方法が、管とは反対を向いているコイルの外側に永久磁石が配置されるという点でさらに展開された方法によって解決される。
【0031】
同一または類似の利点が、電磁アクチュエータに関して既に記載したように、電磁アクチュエータの製造方法にも該当する。
有利な実施形態によれば、管とは反対を向いている永久磁石の外側が、管とは反対を向いている固定子の外側の少なくとも1つの部分表面を形成するように永久磁石を配置することが提供される。換言すれば、磁気帰還要素がないこと、具体的には、固定子の外側に設けられる磁気帰還要素がないことが、電磁アクチュエータの製造方法において想定されている。
【0032】
加えて、遠位の固定子磁極片が、遠位の永久磁石より遠位に配置されて、固定子の遠位端を形成し、近位の固定子磁極片が、近位の永久磁石より近位に配置されて、長手軸方向において反対側の近位端を形成することが具体的に提供される。加えて、有利には、中央の固定子磁極片が、長手軸方向の永久磁石の間に配置されることが提供される。
【0033】
さらなる有利な実施形態によれば、方法は、中央の固定子部磁極片が、管に向いているコイルの内側から、管とは反対を向いている永久磁石の外側まで、長手軸方向と直交する径方向に延在し、コイルが、遠位のコイルおよび近位のコイルを備え、遠位の固定子磁極片と、遠位のコイルと、遠位の永久磁石と、遠位中央の固定子部磁極片とが結合されて予め組み立てられた遠位のアセンブリを形成し、近位中央の固定子部磁極片と、近位のコイルと、近位の永久磁石と、近位の固定子磁極片とが結合されて予め組み立てられた近位のアセンブリを形成し、遠位および/または近位のアセンブリの部品が、具体的には、互いに接着され、予め組み立てられた近位のアセンブリおよび予め組み立てられた遠位のアセンブリが、その後取り付けられ、遠位のコイルが、第1磁場であって、近位のコイルによって発生される第2磁場と同一の向きである第1磁場を発生するように2つのコイルが互いに電気的に接続され、中央の固定子磁極片が、近位中央の固定子部磁極片および遠位中央の固定子部磁極片から形成されるという点で、さらに展開される。
【0034】
2つのアセンブリの使用により、更に迅速且つ、より効率的な取り付けが可能になる。同時に、近位の停止部での/近位の停止部への近位の固定子磁極片の整列/調整と、遠位の停止部での/遠位の停止部への遠位の固定子磁極片の整列/調整も、より容易且つ大幅に正確になる。停止部での固定子磁極片の整列は、特に電磁アクチュエータの正確な機能のために重要である。理想的には、固定子磁極片の遠位側が回転子の遠位端にある、つまり、遠位の停止部にある。同様のことは、近位の固定子磁極片の整列と近位の停止部の整列にも該当する。従来、遠位および近位の固定子磁極片は、回転子の停止部で互いに独立して整列されている。近位の磁極片は近位の停止部で整列される。遠位の固定子磁極片は、部品のばらつきの枠組み内で可能な程度まで、固定子の部品によって整列される。この工程において、部品の製造ばらつきが合算される。これは、遠位の部品の位置決めにおいて、これに応じた負の効果を与える。当然ながら、同様のことは近位の部品の位置決めにも該当する。
【0035】
2つの別々のアセンブリの使用中、これらアセンブリは、互いに逆方向に分極された永久磁石を有し、近位および遠位の固定子磁極片は、摺動管と互いに独立して、または停止部で夫々、整列が可能である。最終取り付け前に完成アセンブリとして製造されるユニットは、永久磁石が互いに反発するように互いの反対側に取り付けられる。2つのアセンブリが共に押し付けられるとき、反発力がアセンブリに作用する。この結果、対応する停止部に到達するまで、遠位のアセンブリは遠位の停止部の方向に移動し、近位のアセンブリは近位の停止部の方向に移動する。結果として、2つのアセンブリは、所望の位置に整列される。
【0036】
さらなる有利な実施形態によれば、アセンブリ間、つまり、遠位のアセンブリの近位中央の固定子部磁極片と近位のアセンブリの遠位中央の固定子部磁極片との間に空隙が設けられるように取り付けが行われる。それゆえ、遠位および近位のアセンブリは接着されず、機械的に互いに接続される。接着剤の均質特性は、硬化中の体積収縮である、つまり、未硬化状態より硬化状態の体積が小さくなる。そして、この収縮の影響により、互いに緩んだ2つのアセンブリの整列が損なわれる。結果として、2つのアセンブリ間の接着を行わないことは、特に有利である。
【0037】
加えて、2つのアセンブリを接続するために、硬化工程において体積収縮が特に小さい接着剤を用いることが具体的に提供される。例えば、硬化中に5%未満の体積を失う接着剤が知られている。そのような接着剤は、例えば、2つのアセンブリを接続するのに適している。
【0038】
さらなる有利な実施形態によれば、第1および/または第2のアセンブリが、プラスチック母材に埋め込まれた硬磁性粒子を含む永久磁石で製造され、この永久磁石が、射出成形方法を用いて製造され、プラスチック母材が、第1および/または第2のアセンブリの部品のための接着剤として同時に機能することが提供される。有利には、1つの作業工程で、永久磁石が製造され、アセンブリの部品が互いに接続される。
【0039】
永久磁石を製造するためにプラスチック母材に埋め込まれた硬磁性粒子を用いることは、コイルの少なくとも1つのコイル線が少なくとも1つの永久磁石内にモールドされるので、さらに有利である。したがって、コイルの接続ケーブルを案内して通過させるための取り付けスペースを節約することができる。
【0040】
本発明のさらなる特徴は、請求項、および添付された図面とともに、本発明に係る実施形態の説明から明らかになるであろう。本発明に係る実施形態は、個別の特徴または複数の特徴の組合せを実現し得る。
【0041】
本発明の概念を限定することなく、本発明を図面を参照しながら例示的な実施形態を用いて以下に説明するが、本明細書中でより詳細に説明されていない本発明に関する全詳細については、明示的に図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】例示的な手術器具としての内視鏡を概略的に簡略化した斜視図で示す。
【
図2】非通電状態の電磁アクチュエータであって、電磁アクチュエータの回転子が終端位置にある、非通電状態の電磁アクチュエータを概略的に簡略化した縦断面図で示す。
【
図3】通電状態の電磁アクチュエータであって、電磁アクチュエータの回転子が反対側の終端位置にある、通電状態の電磁アクチュエータを同様の概略的に簡略化した縦断面図で示す。
【
図4】さらなる電磁アクチュエータを概略的に簡略化した斜視図で示す。
【
図5】電磁アクチュエータを、概略的に簡略化した断面斜視図であって、アクチュエータの内部の図を露出している断面斜視図で示す。
【
図6】さらなる電磁アクチュエータであって、内視鏡管内に取り付けられた状態で近位および遠位のアセンブリから構成された、さらなる電磁アクチュエータを概略的に簡略化した、内視鏡管を通した縦断面図で示す。
【
図7】内視鏡管内に取り付けられた前述の電磁アクチュエータを概略的に簡略化した断面斜視図で示す。
【
図8】電磁アクチュエータの予め組み立てられたアセンブリを概略的に簡略化した斜視図で示す。
【
図9】前述のアセンブリを概略的に簡略化した断面の斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図面では、同一または同様の要素、および/または部分には、各ケースにて再度紹介されないように同一の参照符号を各ケースに付す。
図1は、例示的な手術器具としての内視鏡2を概略的に簡略化した斜視図で示す。内視鏡2は内視鏡軸4を備え、内視鏡軸4には光学系が配置されており、光学系によって、内視鏡軸4の遠位端6の前にある手術領域または観察領域が、例えば画像センサ上に映される。ハンドル8は、内視鏡2の近位端に位置する。
図1には図示されていない、内視鏡軸4内に配置される光学系は、電磁アクチュエータを備える。
【0044】
図2は、その電磁アクチュエータ10を概略的に簡略化された縦断面図で示す。電磁アクチュエータ10は、非通電状態で図示されており、その状態では、電磁アクチュエータ10の回転子12は近位端位置にある。回転子12は、管14内で長手軸方向Lに移動可能に受容されている。電磁アクチュエータ10の固定子16は、管14の外側に配置される。回転子12は、常磁性材料および/または強磁性材料を少なくとも部分的に含む。電磁場を回転子12に印加している間、回転子12は、管14内で長手軸方向Lに移動可能である。
【0045】
固定子16は、遠位の永久磁石18および近位の永久磁石20を備える。一例として、これらの磁石18、20は、環状の磁石である。磁石18、20は、長手軸方向Lに分極される、すなわち、それらの南北方向は長手軸方向Lに少なくとも略平行である。遠位の永久磁石18および近位の永久磁石20は、これら永久磁石が逆方向に分極されるように電磁アクチュエータ10に配置される。加えて、電磁場を発生する働きをする少なくとも1つの電気コイル22は、図示された例示的な実施形態では、遠位のコイル24および近位のコイル26から構成される。永久磁石18、20は、管14とは反対を向いているコイル22の外側28に配置される。
【0046】
この配置により、遠位の永久磁石18および近位の永久磁石20は、電気コイル22によって生じる磁場のための磁気帰還要素として働く。永久磁石18、20は、管14とは反対を向いている固定子16の外側30の少なくとも1つの部分表面を形成する。
【0047】
図2に図示される電磁アクチュエータは、(鎖線にて図示された)その中央長手軸Mに関して回転対称に構成される。それゆえ、明示した参照符号は図の上部にのみ記載したが、下半分の対応する部品にも同様に適用する。
【0048】
固定子16は、長手軸方向Lにおいて、遠位の固定子磁極片32をその遠位端に、近位の固定子磁極片34をその反対側の近位端に備える。加えて、固定子16は、長手軸方向Lにおける永久磁石18、20の間に配置された中央の固定子磁極片36を備える。
【0049】
中央の固定子磁極片36と、遠位の固定子磁極片32と、近位の固定子磁極片34とは、長手軸方向Lと直交する径方向Rにおいて、管14に向いているコイル22の内側38から、管14とは反対を向いている永久磁石18、20の外側40まで延在する。
【0050】
同様に、
図3は、
図2から分かる電磁アクチュエータ10を概略的に簡略化された縦断面図で示す。コイル22、すなわち、遠位のコイル24および近位のコイル26は、図示された例示的な実施形態では通電されている。遠位のコイル24および近位のコイル26は、それぞれのコイル24、26によって発生される第1磁場と、第2磁場とが同じ向きになるように電気的に接続される。これは、遠位のコイル24および近位のコイル26の同一通電の結果である。電流が流れる方向は、概略的に描いたコイル24、26の導体に示される。図面の平面の外を向いている電流方向は点で示され、図面の平面に向かう電流方向は×印によって示される。第1磁場および第2磁場が集まってコイル22の電磁場46を生じさせる。
【0051】
コイル22の電磁場46は、遠位の永久磁石18の第1静磁場42と近位の永久磁石20の第2静磁場44とを重畳させる。固定子16の遠位端で、コイル22の電磁場46と、遠位の永久磁石18の第1静磁場42とが強め合いつつ重畳される一方、固定子16の反対側の近位端では、コイル22の磁場46と、近位の永久磁石20の第2静磁場44とが打ち消し合いつつ重畳されるか、またはそれぞれ減衰される。回転子12が
図2に図示された位置にある場合、回転子12を
図3に図示された位置にずらす力が回転子12と管14との間の隙間に作用する。
【0052】
図4は、さらなる電磁アクチュエータ10を概略的に簡略化された斜視図で示す。遠位の永久磁石18および近位の永久磁石20は、図示された例示的な実施形態では棒磁石または磁気ブロックとして実施される。遠位の永久磁石18および近位の永久磁石20の双方は、複数の単体磁石から構成される。例えば、遠位の永久磁石は、参照符号18および18’が付された部品を備え、近位の永久磁石は、参照符号20および20’が付された部品を備える。前述の部品は、例えば、管14の円周に沿って均一に間隔を空けて配置される。図示された棒磁石の代替として、環状の永久磁石を、コイル22の外側28の円周に完全に沿って延在するように設けることも可能である。
【0053】
図5は、
図4から分かる電磁アクチュエータ10を、概略的に簡略化した断面図であって、アクチュエータの内部の図を露出している断面図で示す。光学系の、例えば一例として図示されたレンズ62またはプリズムなどのような光学素子は、例えば回転子12内に受容される。例えば、光学系の焦点は、電磁アクチュエータ10を用いて変更可能である。同様に、そのような光学系のレンズまたはレンズ群は、例えば、ズームレンズとするために電磁アクチュエータ10を用いて調整されることが考えられる。
【0054】
中央の固定子磁極片36は、さらなる例示的な実施形態によると、近位中央の固定子部磁極片50および遠位中央の固定子部磁極片48から形成される。
図6は、これが実現された、対応する電磁アクチュエータ10を示す。電磁アクチュエータ10は取り付け状態で図示され、内視鏡軸4の遠位端6に位置する。
【0055】
電磁アクチュエータ10は、近位のアセンブリ54と、遠位のアセンブリ52とを備える。遠位の固定子磁極片32と、遠位のコイル24と、遠位の永久磁石18と、遠位中央の固定子部磁極片48とは、遠位のアセンブリ52を形成する。近位中央の固定子部磁極片50と、近位のコイル26と、近位の永久磁石20と、近位の固定子磁極片34とは、近位のアセンブリ54を形成する。アセンブリ52、54は、例えば、予め組み立てられた部品である。換言すれば、これらは、内視鏡軸4内で一体化される前に共に結合されて、図示された配置を形成する。遠位および/または近位のアセンブリ52、54の部品は、例えば、追加的に、互いに接着される。
【0056】
永久磁石18、20は互いに逆方向に分極されるので、第1および第2のアセンブリ52、54は互いに反発する。この反発力が、遠位のアセンブリ52を、図示された例示的な実施形態の内視鏡軸4のカラーである遠位の停止部56に対して押し付ける。近位のアセンブリ54は、近位の停止部58に対して押し付けられる。空隙60が、例えば、遠位中央の固定子部磁極片48と近位中央の固定子部磁極片50との間に残る。
【0057】
図7は、
図6から分かると共に内視鏡軸4に取り付けられた電磁アクチュエータ10を、概略的に簡略化された断面斜視図で示す。
図8は、予め組み立てられたアセンブリ52、54、単なる一例として、近位の予め組み立てられたアセンブリ54を、概略的に簡略化された斜視図で示す。
【0058】
図9は、前述のアセンブリ54を概略的に簡略化された断面の斜視図で示す。
図6~9の図示された例示的な実施形態では、永久磁石18、20は、単なる一例として、環状の磁石である。これら永久磁石はコイル22を完全に囲んでいる。例えば、永久磁石18、20は、プラスチック母材に硬磁性粒子を埋め込むことによって製造される。具体的には、射出成形方法がこれに適している。有利には、この方法では、アセンブリ52、54の部品を互いに接続することが可能であると同時に、アセンブリ52、54の対応する永久磁石18、20を製造することが可能である。
【0059】
内部コイル22に通じるために、これに関して、さらなる例示的な実施形態によれば、内部コイル22の接続ワイヤのうちの少なくとも1つは、プラスチック母材を基礎に製造された永久磁石18、20を通って導出されることが想定される。
【0060】
図面のみから読み取れる特徴を含む、明示された全ての特徴、および他の特徴と組み合わせて開示された個々の特徴は、個々に、および組み合わせて本発明に不可欠なものと見なされる。本発明に係る実施形態は、個々の特徴または複数の特徴の組合せによって実施されてもよい。本発明の範囲内において、「具体的には」、または「好ましくは」と修飾された特徴は、任意選択的な特徴であると理解されるべきである。
[参照符号一覧]
2…内視鏡、4…内視鏡軸、6…遠位端、8…ハンドル、10…電磁アクチュエータ、12…回転子、14…管、16…固定子、18、18‘…遠位の永久磁石、20、20‘…近位の永久磁石、22…コイル、24…遠位のコイル、26…近位のコイル、28…コイルの外側、30…固定子の外側、32…遠位の固定子磁極片、34…近位の固定子磁極片、36…中央の固定子磁極片、38…コイルの内側、40…永久磁石の外側、42…第1静磁場、44…第2静磁場、46…電磁場、48…遠位中央の固定子部磁極片、50…近位中央の固定子部磁極片、52…遠位のアセンブリ、54…近位のアセンブリ、56…遠位の停止部、58…近位の停止部、60…空隙、62…レンズ、L…長手軸方向、M…中央長手軸、R…径方向