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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】コールドプレート
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20220107BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020002355
(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公開番号】P2021111684
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2020-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】松田 将宗
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真
(72)【発明者】
【氏名】益子 耕一
(72)【発明者】
【氏名】堀内 康洋
(72)【発明者】
【氏名】田原 裕一朗
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-225553(JP,A)
【文献】特開2015-126207(JP,A)
【文献】特開2019-071330(JP,A)
【文献】特開2019-114682(JP,A)
【文献】特開2016-225530(JP,A)
【文献】特開2010-278286(JP,A)
【文献】国際公開第2015/033724(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列された複数のフィンおよびピラーを有する第1プレートと、
前記複数のフィンおよび前記ピラーを覆い、前記第1プレートとの間に内部空間を形成する第2プレートと、を備え、
前記ピラーは前記第2プレートにロウ付けされ、
前記複数のフィンには、前記ピラーに隣接し、前記第2プレートとの間にスペースが設けられた第1フィンと、前記第1フィンよりも前記第2プレートに近接した第2フィンと、が含まれている、コールドプレート。
【請求項2】
前記第1プレートと前記第2プレートとが対向する上下方向における前記スペースの寸法L1と、前記ピラーと前記第1フィンとの間の寸法L2とが、L1≧L2を満足する、請求項1に記載のコールドプレート。
【請求項3】
前記第1プレートと前記第2プレートとが対向する上下方向および前記複数のフィンが並列された並列方向の双方に沿う断面において、前記第2フィン同士の間の流路断面積A1と、前記スペースの流路断面積A2とが、A1≧A2を満足する、請求項1または2に記載のコールドプレート。
【請求項4】
前記第1プレートには2つの前記ピラーが形成され、
前記内部空間は、前記複数のフィンが並列された並列方向において、2つの前記ピラー同士の間に位置する中央領域と、2つの前記ピラーの外側にそれぞれ位置する2つの外側領域と、に区画され、
前記第1フィンは少なくとも前記中央領域に位置している、請求項1から3のいずれか1項に記載のコールドプレート。
【請求項5】
前記第1フィンは前記2つの外側領域に位置していない、請求項4に記載のコールドプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コールドプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のフィンを有する第1プレート(ベースプレート)と、複数のフィンを覆い、第1プレートとの間に内部空間を形成する第2プレート(蓋)と、を備えたコールドプレートが開示されている。第1プレートと第2プレートとは、ロウ付けによって固定されている。コールドプレートは、フィン同士の間に冷媒を流動させることで、発熱体から受け取った熱をフィンから冷媒に受け渡し、発熱体を冷却するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-123881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷媒の圧力によって、第2プレートの頂壁が上方に向けて撓むように変形してしまう場合がある。そこで、第1プレートと第2プレートとをロウ付けする際、フィンの上面と第2プレートとをロウ付けにより固定し、カバーの強度を向上させるために、ロウ材を第2プレートとフィンとの間に設ける場合がある。このとき、溶融したロウ材が毛細管力等の影響でフィン同士の間に入り込むことで、フィンと冷媒との接触面積が低下したり、冷媒の流動が阻害されたりして、冷却性能が低下する場合があった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、ロウ材が冷媒の流路に入り込むことによる冷却性能の低下を抑制できるコールドプレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るコールドプレートは、並列された複数のフィンおよびピラーを有する第1プレートと、前記複数のフィンおよび前記ピラーを覆い、前記第1プレートとの間に内部空間を形成する第2プレートと、を備え、前記ピラーは前記第2プレートにロウ付けされ、前記複数のフィンには、前記ピラーに隣接し、前記第2プレートとの間にスペースが設けられた第1フィンと、前記第1フィンよりも前記第2プレートに近接した第2フィンと、が含まれている。
【0007】
上記態様によれば、ピラーに隣接する第1フィンと第2プレートとの間にスペースが設けられていることで、ピラーと第2プレートとの間からはみ出したロウ材が、ピラーと第1フィンとの間や、その他のフィン同士の間に、毛細管力等の影響によって入り込むことを抑制できる。したがって、ロウ材が冷媒の流路に入り込むことによる冷却性能の低下を抑制することができる。
【0008】
ここで、前記第1プレートと前記第2プレートとが対向する上下方向における前記スペースの寸法L1と、前記ピラーと前記第1フィンとの間の寸法L2とが、L1≧L2を満足してもよい。
【0009】
また、前記第1プレートと前記第2プレートとが対向する上下方向および前記複数のフィンが並列された並列方向の双方に沿う断面において、前記第2フィン同士の間の流路断面積A1と、前記スペースの流路断面積A2とが、A1≧A2を満足してもよい。
【0010】
また、前記第1プレートには2つの前記ピラーが形成され、前記内部空間は、前記複数のフィンが並列された並列方向において、2つの前記ピラー同士の間に位置する中央領域と、2つの前記ピラーの外側にそれぞれ位置する2つの外側領域と、に区画され、前記第1フィンは少なくとも前記中央領域に位置してもよい。
【0011】
また、前記第1フィンは前記2つの外側領域に位置していなくてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記態様によれば、ロウ材が冷媒の流路に入り込むことによる冷却性能の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係るコールドプレートの分解斜視図である。
図2図1のコールドプレートを組み立てた状態におけるII-II断面矢視図である。
図3図2の拡大図である。
図4】本実施形態の変形例に係るコールドプレートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態のコールドプレートについて図面に基づいて説明する。
図1に示すように、コールドプレート1は、第1プレート10と、第2プレート20と、を備える。第1プレート10は、複数(2つ)のピラー13と、並列された複数のフィン14と、を有する。なお、ピラー13の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。第2プレート20は、フィン14およびピラー13を覆い、第1プレート10との間に内部空間Sを形成する。この内部空間Sに、ピラー13およびフィン14が配置されている。
【0015】
第2プレート20には、1つの流入口23および2つの流出口24が形成されている。このコールドプレート1では、冷媒が流入口23から流入し、内部空間Sを矢印F1、F2、F3に示す方向に流動して、各流出口24から流出する。第1プレート10に、例えばCPU等の発熱体を接触させると、この発熱体の熱を第1プレート10が奪い、フィン14を介して冷媒に伝えることで、発熱体を冷却することができる。冷媒としては、例えば水やアルコールの他、公知の化合物などを適宜用いることができる。
【0016】
(方向定義)
本実施形態では、XYZ直交座標系を設定して各構成の位置関係を説明する。Y方向は、複数のフィン14が延びる方向である。X方向は、複数のフィン14が並列されている方向である。Z方向は、第1プレート10および第2プレート20が対向する方向である。以下、Z方向を上下方向Zといい、Y方向を長手方向Yといい、X方向を並列方向Xという。上下方向Zにおける第1プレート10側(-Z側)を下方といい、第2プレート20側(+Z側)を上方という。長手方向Yにおける一方側(+Y側)を後方といい、他方側(-Y側)を前方という。並列方向Xにおける一方側(+X側)を右方といい、他方側(-X側)を左方という。
【0017】
第2プレート20の材質としては、銅などの金属を用いることができる。第2プレート20は下方に向けて開口する箱状に形成されており、頂壁21および周壁22を有している。頂壁21はXY平面内に延びる矩形の板状に形成されている。流入口23および2つの流出口24は、頂壁21を上下方向Zに貫通している。流入口23および2つの流出口24は、頂壁21の前端部に形成されている。2つの流出口24は、並列方向Xにおいて、流入口23を間に挟むように配置されている。周壁22は、頂壁21の外縁から下方に向けて延びている。
【0018】
第1プレート10の材質としては、銅などの金属を用いることができる。第1プレート10は、XY平面内に延びる矩形の板状の本体部11と、ピラー13と、フィン14と、を有している。本体部11には、上面から下方に向けて窪む矩形の溝12が形成されている。ピラー13およびフィン14は、本体部11から上方に向けて突出しており、上方から見て、矩形の溝12の内側に配置されている。ピラー13の並列方向Xにおける幅はフィン14よりも大きい。このように、ピラー13の幅を大きくすることで、ピラー13を第2プレート20にロウ付けする際の接合強度を高めることができる。
【0019】
2つのピラー13は、長手方向Yに延びており、並列方向Xにおいて間隔を空けて配置されている。本実施形態では、ピラー13同士の間の領域を中央領域P1といい、並列方向Xにおいて各ピラー13の外側に位置する領域を外側領域P2という。つまり、第1プレート10および第2プレート20が形成する内部空間Sは、2つのピラー13によって、中央領域P1と、2つの外側領域P2と、に区画されている。中央領域P1は、2つのピラー13と、頂壁21と、第1プレート10の本体部11と、によって囲まれている。各外側領域P2は、1つのピラー13と、周壁22と、頂壁21と、本体部11と、によって囲まれている。中央領域P1および2つの外側領域P2には、それぞれ、複数のフィン14が配置されている。
【0020】
各ピラー13の前端部は溝12まで延びている。一方、各ピラー13の後端部は溝12まで延びておらず、内部空間Sの後端部はピラー13によって区切られていない。このため、流入口23から流入し、矢印F1に沿って中央領域P1を後方に流動した冷媒は、矢印F2に示すように、内部空間Sの後端部において左方および右方に分岐して流動する。分岐した冷媒は、各外側領域P2内を前方に向けて流動し、矢印F3に示すように、各流出口24から流出する。このように、中央領域P1は冷媒の往路となり、各外側領域P2は冷媒の復路となる。
【0021】
各フィン14の前端部および後端部は、溝12まで延びていない。流入口23および流出口24は、長手方向Yにおける頂壁21の前端部であって、フィン14が配置されていない部分に形成されている。
【0022】
周壁22の下端部は、溝12内に、ロウ付けなどによって固定されている。これにより、流入口23および流出口24が形成された部分を除き、内部空間Sは密閉されている。また、ピラー13は頂壁21にロウ付けされている。これにより、第2プレート20の頂壁21が上方に向けて撓むように変形してしまうことが抑制され、ピラー13の上面と頂壁21の下面との間の隙間を通して、冷媒が中央領域P1から外側領域P2へ、あるいは外側領域P2から中央領域P1へと流動してしまうことが抑制される。したがって、フィン14同士の間を冷媒がより確実に流動するようになり、発熱体の冷却効率が高められる。
【0023】
次に、ピラー13と頂壁21とのロウ付け部の詳細について、図2図3を用いて説明する。
【0024】
本実施形態では、図2に示すように、複数のフィン14のうち、ピラー13に隣接した一部のフィン14と、第2プレート20の頂壁21と、の間にスペースGが設けられている。以下の説明では、ピラー13に隣接し、かつ頂壁21との間にスペースGが設けられたフィン14を、特に「第1フィン14a」という。また、第1フィン14a以外のフィン14を、「第2フィン14b」という。
【0025】
本実施形態では、2つのピラー13から見て並列方向Xにおける内側(すなわち中央領域P1)に、それぞれ3つずつ第1フィン14aが配置されている。また、各外側領域P2には第1フィン14aが設けられていない。なお、第1フィン14aの数は適宜変更可能である。
【0026】
第1フィン14aは、第2フィン14bおよびピラー13よりも上下方向Zにおける寸法が小さくなっている。すなわち、第1フィン14aの上端は、第2フィン14bおよびピラー13の各上端よりも下方に位置している。これにより、第1フィン14aと第2プレート20との間にはスペースGが設けられており、第2フィン14bは第1フィン14aよりも第2プレート20に近接している。図2では、第2フィン14bが第2プレート20に接しているが、必ずしも第2フィン14bが第2プレート20に接していなくてもよい。
【0027】
設計上は、図2に示す通り、ピラー13の上面13aと、第2プレート20の頂壁21における下面21aと、が隙間なく当接する。しかしながら、実際には、頂壁21の下面21aとピラー13の上面13aとの間には、製造上の寸法誤差や表面粗さ等によって微細な隙間があり、この微細な隙間にロウ材30が充填されている。これにより、ピラー13と頂壁21とがロウ付けされている。また、ロウ材30は、ピラー13から見て、並列方向Xにおける外側(すなわち外側領域P2。図1参照)に位置する第2フィン14bとピラー13との間および第2フィン14b同士の間にも位置している。さらに、ロウ材30の一部はスペースG内においてフィレット31を形成している。フィレット31は、ピラー13の上面13aの並列方向Xにおける内側の端部から、スペースG内にはみ出すように形成されている。
【0028】
ロウ材30としては、銀または銀ロウなどの金属を用いることができる。銀ロウとは、銀に銅、亜鉛などを添加した合金である。ロウ材30としては、第1プレート10および第2プレート20の構成材料の融点よりも低い融点を有する金属が好適である。例えば、第1プレート10および第2プレート20の材質が銅(融点:約1085℃)であり、ロウ材30の材質が銀ロウ(融点:600~900℃)であってもよい。
【0029】
ロウ付けの方法としては、例えばピラー13と頂壁21との間に、ロウ材30によって形成されたシートを挟み、第2プレート20を加熱してもよい。あるいは、ロウ材30を含むペーストをピラー13の上面13aに塗布したり、メッキによってロウ材30の層を頂壁21の下面21aに形成したりした後、第2プレート20を加熱してもよい。第2プレート20の加熱方法として、コールドプレート1の全体を炉に入れてもよい。この場合、ピラー13と頂壁21とをロウ付けしつつ、周壁22と第1プレート10とをロウ付けすることも可能である。
【0030】
ここで、ピラー13と頂壁21との間に挟まれたロウ材30が加熱されて溶融すると、毛細管力や重力の影響によって、ピラー13とフィン14との間や、フィン14同士の間に、ロウ材30が入り込んでしまう場合がある。このように、本来は冷媒の流路となる部分にロウ材30が入り込むと、当該部分における冷媒の流動が阻害されたり、冷媒とフィン14との接触面積が低下したりすることで、コールドプレート1の冷却性能が低下することが考えられる。特に、本実施形態のコールドプレート1では、中央領域P1のほうが外側領域P2よりも狭いため、中央領域P1における冷媒の圧力や流速が外側領域P2よりも大きくなる。このため、中央領域P1における冷媒の流動の阻害や、中央領域P1における冷媒とフィン14との接触面積の低下が、冷却性能に大きな影響を与えやすい。そこで本実施形態では、中央領域P1に第1フィン14aおよびスペースGを設けて、中央領域P1における冷媒の流路にロウ材30が入り込みにくい構造を採用している。
【0031】
なお、図2に示すように、コールドプレート1は、並列方向Xにおいて対称な形状となっている。以下、2つのピラー13を代表させて、左方(-X側)のピラー13の周辺の構造を、図2の拡大図である図3を用いて説明する。すなわち、以下の説明は、右方(+X側)のピラー13の周辺の構造にも該当する。
【0032】
加熱によりロウ付けする際に、ピラー13と第2プレート20とによって挟まれたロウ材30が、スペースGに向けてはみ出すことで、スペースGにはロウ材30のフィレット31が形成される。このフィレット31が、第1フィン14aの上面に接触すると、第1フィン14aの表面を伝って、ピラー13と第1フィン14aとの間や第1フィン14a同士の間にロウ材30が進入する場合がある。したがって、フィレット31が第1フィン14aの上面に接触しにくいように、第1フィン14aと第2プレート20の頂壁21との間隔(スペースGの上下方向Zにおける寸法)L1はなるべく大きくすることが好ましい。
【0033】
一方、寸法L1が大きいほど、スペースGの流路断面積A2も大きくなる。スペースGの流路断面積A2が、第2フィン14b同士の間の流路断面積A1よりも大きいと、冷媒がスペースG内を流動しやすくなる。その結果、冷媒のうち第2フィン14b同士の間を流動する割合が低下し、コールドプレート1の冷却効率が低下する。
【0034】
上記事情を考慮すると、上記寸法L1を、ピラー13に隣接する流路(第1フィン14aとピラー13との間の隙間)の幅L2以上とすることで、ピラー13と第1フィン14aとの間や第1フィン14a同士の間の毛細管力よりも、第2プレート20の頂壁21と第1フィン14aとの間の毛細管力が小さくなるため、フィレット31が第1フィン14aに接触することを抑制できる。すなわち、L1≧L2であることが好ましい。
また、スペースGの流路断面積A2を第2フィン14b同士の間の流路断面積A1以下とすることで、第2フィン14b同士の間にも冷媒をより確実に流動させることができる。すなわち、A2≦A1であることが好ましい。
【0035】
L1≧L2かつA2≦A1を満足する好適な寸法例を以下に示す。
寸法L1:0.2mm
寸法L2:0.2mm
第2フィン14bおよびピラー13の上下方向Zにおける寸法:2.0mm
第2フィン14b同士の間の流路断面積A1:0.4mm
フィン14の並列方向Xにおける幅:0.2mm
スペースGの流路断面積A2:0.28mm
なお、上記寸法例は一例に過ぎず、適宜変更可能である。
【0036】
以上説明したように、本実施形態のコールドプレート1は、並列された複数のフィン14およびピラー13を有する第1プレートと、複数のフィン14およびピラー13を覆い、第1プレート10との間に内部空間Sを形成する第2プレート20と、を備え、ピラー13は第2プレート20にロウ付けされている。そして、複数のフィン14には、ピラー13に隣接し、第2プレート20との間にスペースGが設けられた第1フィン14aと、第1フィン14aよりも第2プレート20に近接した第2フィン14bと、が含まれている。
【0037】
このように、ピラー13に隣接する第1フィン14aと第2プレート20との間にスペースGが設けられていることで、ピラー13と第2プレート20との間からはみ出したロウ材30が、ピラー13と第1フィン14aとの間や、その他のフィン14同士の間に、毛細管力等の影響によって入り込むことを抑制できる。したがって、ロウ材30が冷媒の流路に入り込むことによる冷却性能の低下を抑制することができる。
【0038】
また、上下方向ZにおけるスペースGの寸法L1と、ピラー13と第1フィン14aとの間の寸法L2とが、L1≧L2を満足することで、溶融したロウ材30のフィレット31が第1フィン14aに接触することを抑制できる。したがって、ロウ材30が第1フィン14aを伝って、ピラー13と第1フィン14aとの間や第1フィン14a同士の間に進入することを、より確実に抑制できる。
【0039】
また、上下方向Zおよび並列方向Xの双方に沿う断面において、第2フィン14b同士の間の流路断面積A1と、スペースGの流路断面積A2とが、A1≧A2を満足することで、冷媒のうちスペースGを流動する割合を小さくすることができる。これにより、第2フィン14b同士の間を流動する冷媒の割合を確保し、コールドプレート1の冷却性能を維持することができる。
【0040】
また、本実施形態では、第1プレート10には2つのピラー13が形成されており、内部空間Sは、並列方向Xにおいて、2つのピラー13同士の間に位置する中央領域P1と、2つのピラー13の外側にそれぞれ位置する2つの外側領域P2と、に区画されている。この構成では、中央領域P1における冷媒の圧力および流速が、外側領域P2よりも大きくなり、流路(ピラー13とフィン14との間、およびフィン14同士の間)にロウ材30が進入したときにコールドプレート1の冷却性能に影響をおよぼしやすい。そこで、少なくとも中央領域P1に第1フィン14aおよびスペースGを配置することで、中央領域P1の流路にロウ材30が進入することを抑制し、冷却性能の低下をより確実に抑制できる。
【0041】
さらに、第1フィン14aを中央領域P1に配置し、外側領域P2に配置しないことで、ピラー13と第2プレート20との間からはみ出したロウ材30を、外側領域P2側に敢えて誘導することができる。これにより、中央領域P1の流路にロウ材30が進入することをより確実に抑制することが可能となる。
【0042】
なお、図3に示す通り、本実施形態では設計上は第2フィン14bが頂壁21に接するが、実際には、第2フィン14bの上面と頂壁21の下面21aとの間にも微細な隙間が生じる。このため、当該微細な隙間を通って、外側領域P2(図3ではピラー13の-X側)のピラー13から離れた第2フィン14b同士の間にもロウ材30が進入する場合がある。この結果、図3に示すように、外側領域P2における流路がロウ材30で埋まることがある。しかしながら、先述の通り外側領域P2における冷媒の圧力および流速は小さいため、外側領域P2における流路がロウ材30で埋まっても、中央領域P1における流路がロウ材30で埋まることと比較して、冷却性能に与える影響は小さい。
【0043】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0044】
例えば、前記実施形態では、第1フィン14aの上下方向Zにおける寸法を第2フィン14bより小さくすることで、スペースGを形成した。しかしながら、例えば図4に示すように、第2プレート20に溝21bを形成することでスペースGを形成してもよい。図4では、溝21bは、第2プレート20の頂壁21における下面21aから、上方に向けて窪んでいる。そして、溝21bは並列方向Xにおいてピラー13と隣接する位置に形成されている。第1フィン14aおよび第2フィン14bの上下方向Zにおける長さは同等である。この場合、フィン14のうち、溝21bと並列方向Xにおける位置が一致した第1フィン14aと、第2プレート20と、の間にスペースGが設けられる。すなわち、溝21bによりスペースGが形成されるため、スペースGの流路断面積A2は溝21bの流路断面積であり、スペースGの上下方向Zにおける寸法L1は溝21bの深さである。このような構成でも、前記実施形態と同様の作用効果が得られる。また、第2プレート20に溝21bを形成する場合も、前記実施形態と同様に、第1フィン14aは、第2フィン14bおよびピラー13よりも上下方向Zにおける寸法が小さくなっているほうが好ましい。すなわち、第1フィン14aの上端は、第2フィン14bおよびピラー13の各上端よりも下方に位置しているほうが好ましい。
【0045】
また、前記実施形態では、第1フィン14aおよびスペースGを中央領域P1に設け、外側領域P2に設けなかった。しかしながら、例えば流路がロウ材で埋まることによる冷却性能の低下の度合いが、中央領域P1と外側領域P2とで同等である場合に、外側領域P2に第1フィン14aおよびスペースGを設けることも可能である。
【0046】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…コールドプレート 10…第1プレート 13…ピラー 14…フィン 14a…第1フィン 14b…第2フィン G…スペース P1…中央領域 P2…外側領域 X…並列方向 Y…長手方向 Z…上下方向
図1
図2
図3
図4