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特許6997291スペクトル設定可能な調理器具を利用したマルチゾーン調理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】スペクトル設定可能な調理器具を利用したマルチゾーン調理
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/04 20210101AFI20220107BHJP
【FI】
F24C7/04 301Z
F24C7/04 A
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020506944
(86)(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 US2018046124
(87)【国際公開番号】W WO2019032906
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】15/673,296
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518079921
【氏名又は名称】ブラバ・ホーム・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シーユ
(72)【発明者】
【氏名】ユエ、ダン
(72)【発明者】
【氏名】メッツラー、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ジャノフ、マーク
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0186887(US,A1)
【文献】国際公開第2009/011111(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器具を操作する方法であって、
ユーザの指示、外部メッセージ、またはセンサ入力に基づいて、食品調理レシピを選択するステップと、
少なくとも2つの食品の部分を配置するために、調理チャンバ内の相対領域を識別するステップであって、識別された相対領域は、選択された前記食品調理レシピに関連付けられる、該ステップと、
前記識別された相対領域の上に前記少なくとも2つの食品の部分を配置する指示を含むか、または参照する情報を表示するステップと、
前記食品調理レシピにしたがって加熱シーケンスを決定するステップと、
加熱システムが、前記調理チャンバ内の前記識別された相対領域で、前記少なくとも2つの食品の部分に、異なる加熱特性下で、それぞれ指向性の熱を伝達するように、前記加熱シーケンスに基づいて前記調理器具の前記加熱システムを制御するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記異なる加熱特性は、異なる加熱強度、異なる加熱持続時間、異なる加熱サイクル、異なるターゲット材料、またはそれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記情報を前記表示するステップは、前記指示の紙のコピーへの参照を表示するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記加熱システムを前記制御するステップは、前記食品の第1の部分に指向性の熱を加えることと、前記食品の第2の部分に指向性の熱を加えることとを、順番に、交替するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記加熱システムを前記制御するステップは、前記異なる加熱特性下で前記食品の前記少なくとも2つの部分にそれぞれ同時に熱を伝達するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記表示するステップは、前記相対領域を表す記号的識別子を表示するステップを含み、
前記記号的識別子は、前記調理チャンバ内の少なくとも1つの調理台上に物理的に具体化されていることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記相対領域は、前記調理チャンバ内の調理台上の異なる領域にそれぞれ対応していることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記相対領域は、互いに直接隣接して接触していることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記相対領域は、前記調理チャンバ内の異なる調理台上にそれぞれ配置されていることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記異なる調理台は、異なる材料から構成されていることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記表示するステップは、前記調理チャンバ内の調理台の仮想表現を表現するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記表示するステップは、前記相対領域における前記少なくとも2つの食品の部分の配置をそれぞれ示すアニメーションを表現するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記調理器具のカメラを介して、前記調理チャンバの画像をキャプチャするステップと、
前記画像に基づいて、少なくとも2つの食品の部分の、前記相対領域への誤配置を決定するステップと、
前記誤配置の検出に応答して、食品調理レシピを再選択するステップ、前記加熱シーケンスを再生成するステップ、または、前記少なくとも2つの食品の部分を再配置する指示を表示するステップと、をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
調理器具を操作する方法であって、
ユーザの指示、外部メッセージ、またはセンサ入力に基づいて、食品調理レシピを選択するステップと、
選択された前記食品調理レシピに基づいて、少なくとも2つの食品の部分を配置するために調理チャンバ内の相対領域を識別するステップであって、前記相対領域は、前記調理チャンバ内に収容された異なる調理台に対応する、該ステップと、
前記少なくとも2つの食品の部分のそれぞれの識別子を、前記相対領域の表現の上に表示するステップと、
前記食品調理レシピにしたがって加熱シーケンスを決定するステップと、
加熱システムが、前記調理チャンバ内の識別された前記相対領域で、前記少なくとも2つの食品の部分に、異なる加熱特性下で、それぞれ指向性の熱を伝達するように、前記加熱シーケンスに基づいて、前記調理器具の前記加熱システムを制御するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記加熱システムを前記制御するステップは、第1の調理台上の第1領域に第1無線電磁波を放射するように第1加熱要素を制御し、第2の調理台上の第2領域に第2無線電磁波を放射するように第2加熱要素を制御するステップを含み、
前記加熱システムは、第1の無線電磁波が第1の加熱特性を有し、かつ、第2の無線電磁波が第2の加熱特性を有するように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記第2の調理台は、前記第2の無線電磁波を実質的に透過させる材料から構成されていることを特徴とする方法。
【請求項17】
調理器具であって、
調理チャンバと、
前記調理チャンバ内の、食品を保持するように適合されている調理台と、
加熱システムと、
制御システムであって、
ユーザの指示、外部メッセージ、またはセンサ入力に基づいて、食品調理レシピを選択し、
少なくとも2つの食品の部分を配置するために前記調理チャンバ内の相対領域を識別し、識別された前記相対領域は、選択された前記食品調理レシピに関連付けられ、
識別された前記相対領域の上に前記少なくとも2つの食品の部分を配置する指示を含むか、または参照する情報を表示し、
前記食品調理レシピにしたがって加熱シーケンスを決定し、
前記加熱システムが、前記調理チャンバ内の識別された前記相対領域で、前記少なくとも2つの食品の部分にそれぞれ異なる加熱特性下で指向性の熱を伝達するように、前記加熱シーケンスに基づいて前記加熱システムを制御するように構成された、該制御システムと、を含むことを特徴とする調理器具。
【請求項18】
請求項17に記載の調理器具であって、
表示装置をさらに備え、
前記制御システムは、前記表示装置に前記情報を表示するように構成されていることを特徴とする調理器具。
【請求項19】
請求項18に記載の調理器具であって、
前記表示装置は、タッチスクリーンであり、
前記制御システムは、前記調理台上の前記相対領域における前記少なくとも2つの部分の配置を確認するようにさらに構成され、前記加熱シーケンスは、前記加熱シーケンスの少なくとも1セグメントの間に、確認された前記相対領域で、前記少なくとも2つの食品の部分を加熱するように構成されていることを特徴とする調理器具。
【請求項20】
請求項17に記載の調理器具であって、
前記加熱シーケンスに基づいて、前記加熱システムは、所定の時間セグメントで電磁波を放射するように前記制御システムによって構成され、前記電磁波は、前記食品の第2部分を実質的に加熱することなく、前記食品の第1部分を実質的に加熱することを特徴とする調理器具。
【請求項21】
請求項17に記載の調理器具であって、
前記加熱システムは、覆いと、前記覆い内のフィラメントとを含むことを特徴とする調理器具。
【請求項22】
請求項21に記載の調理器具であって、
前記覆いは、石英製の覆いであることを特徴とする調理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
この継続的特許出願は、2017年8月9日に出願され、「MULTIZONE COOKING UTILIZING A SPECTRAL-CONFIGURABLE COOKING INSTRUMENT」と題された米国特許出願第15/673,296号の優先権及び利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
様々な実施形態は、オーブンなどの調理器具に関する。
【背景技術】
【0003】
料理のアートは、賞に値する料理の体系的な作成を料理産業が助けることができないので、少なくとも部分的には「アート」であり続ける。フルコースの食事を作るために、料理人は、多くの場合、複数の調理器具を使用し、調理器具の加熱パターンを理解し、目的の食品の進行(例えば、調理/加熱に起因する変化)の料理人による観察に基づいて、調理プロセス全体で動的な決定を行う必要がある。このため、従来、一部の低価格の食事は電子レンジで調理できる(例えば、電子レンジで調理できる食事)か、または素早く作ることができる(例えば、即席麺類など)が、本当に複雑な食事(例えば、ステーキ、ケバブ、洗練されたデザートなど)は、従来の調理器具を自動的に使用して、体系的に作ることができない。産業界は、正確であり、迅速であり、不必要な人間の介入のない、複雑な食事を自動的かつ一貫して作ることができる、高度な処理能力を有する調理器具を未だ作成できていない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】様々な実施形態による、調理器具の斜視図の構造図である。
図2】様々な実施形態による、調理器具の物理的構成要素を示すブロック図である。
図3】様々な実施形態による、調理器具の機能的構成要素を示すブロック図である。
図4】様々な実施形態による、食品を調理するために調理器具を操作する方法を示すフローチャートである。
図5A】様々な実施形態による、調理器具の第1の実施例の正面断面図である。
図5B】様々な実施形態による、線A-A'に沿った図5Aの調理器具の上面断面図である。
図5C】様々な実施形態による、線B-B'に沿った図5Aの調理器具の上面断面図である。
図5D】様々な実施形態による、線C-C'に沿った図5Aの調理器具の上面断面図である。
図6】様々な実施形態による、調理器具を操作する方法を示すフローチャートである。
図7】様々な実施形態による、調理器具の第2の実施例の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図面は、例示のみを目的として本開示の様々な実施形態を示している。当業者は、以下の議論から、本明細書に示された構造及び方法の代替実施形態が、本明細書に記載された実施形態の原理から逸脱することなく採用され得ることを容易に認識するであろう。
【0006】
従来のオーブンは、一定時間にわたって単一の設定を利用して、そのチャンバ内で食品を調理する。このようなオーブンによる複雑な料理(例えば、複数の構成要素を有する)の調理は、すべての構成要素が全体として一緒にどれだけよく調理されるかによって制限を受けるか、または、構成要素のサブセットのみがオーブンで一度に調理される必要がある。その調理チャンバに複数の調理ゾーンを実装できる調理器具が開示されており、各調理ゾーンは、異なる加熱シーケンスを適用できる。
【0007】
加熱シーケンスは、開示された調理器具の、様々な実施形態の加熱システムを構成するための基礎となり得る。様々な実施形態では、調理器具は、各調理ゾーンについて加熱シーケンスを実施することができる。調理ゾーンの加熱シーケンスは、同時に適用され、完全または部分的にインターリーブされ、及び/または次々に連続的に適用され得る。例えば、加熱シーケンスは1以上のセグメントを含むことができ、各セグメントは異なる加熱システム設定下にある。これらのセグメントのサブセットは、加熱シーケンスとも呼ばれる。各加熱システムの設定は、加熱システム内の1以上の選択された加熱要素に適用することができる。各加熱システムの設定は、選択された1以上の加熱要素を構成するための1以上のパラメータを含む。いくつかの実施形態では、加熱シーケンスは、動的に展開するセグメントによって定義することができ、各セグメントは、センサ、及び/またはユーザフィードバックに基づいて動的に決定される。いくつかの実施形態では、加熱シーケンスは、各セグメントが静的な加熱システムの設定を有するセグメントの静的シーケンスによって定義され得る。いくつかの実施形態では、加熱シーケンスは、1以上の動的に展開するセグメントと1以上の静的セグメントとを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、調理器具は、調理器具の加熱システムを駆動するための食品調理レシピを選択する。選択は、ユーザ表示、外部メッセージ、センサ入力、またはそれらの任意の組み合わせに基づいて行うことができる。調理器具は、調理器具のタッチスクリーン、調理器具とネットワーク通信するデバイスからのメッセージ、または、ユーザの配置に基づいて光学ラベルまたは食品の種類を識別するカメラを介して、ユーザ指示を受信できる。
【0009】
調理器具は、調理チャンバの相対領域を識別することによって、少なくとも2つの食品の部分を配置できる。相対領域は、選択した食品調理レシピに関連付けられている。いくつかの実施形態では、調理器具は、選択された食品調理レシピに基づいて相対領域を識別する。いくつかの実施形態では、調理器具は、少なくとも2つの食品の部分を配置するための相対領域を識別した後、食品調理レシピを選択する。いくつかの場合には、少なくとも2つの食品の部分を配置し、少なくとも2つの食品の部分の種類及び量を識別した後に、食品調理レシピを選択することができる。すなわち、相対領域の識別及び食品調理レシピの選択の順序に関係なく、食品の部分の配置は、食品調理レシピと一致する必要がある。
【0010】
調理器具は、少なくとも2つの食品の部分を相対領域上に配置する指示に関連する情報を表示することができる。一実施例では、情報は、相対領域の表示の上にそれぞれの識別子を示す指示を直接表示することを含む。別の実施例では、情報は、そのような指示を取得するための場所(例えば、指示の紙のコピー)への参照を含む。
【0011】
調理器具は、食品調理レシピにしたがって加熱シーケンスを決定できる。加熱シーケンスは、加熱システムと、その1以上の加熱要素とを駆動するための基礎である。加熱シーケンスは、1以上の加熱要素と、1以上のセグメントとの選択によって定義することができ、各セグメントは、複数のパラメータ下で選択された加熱要素を構成する。例えば、調理器具は、加熱シーケンスに基づいて、加熱システムが調理チャンバ内の識別された相対領域で、少なくとも2つの食品の部分に、それぞれ異なる加熱特性の指向性の熱を伝達するように、加熱システムを制御できる。
【0012】
いくつかの実施形態では、調理器具は、食物の部分の誤配置を検出するように構成される(例えば、カメラ及び画像分析を利用する)。誤配置の検出に応答して、調理器具は、食品調理レシピを再選択し、加熱シーケンスを再生成し、または、食品の一部を再配置するようにユーザに指示することができる。
【0013】
図1は、様々な実施形態による、調理器具100の斜視図の構造図である。調理器具100は、ドア106を有するチャンバ102を備える。チャンバ102の内部には、少なくとも1つの調理台110が配置される。調理台110は、トレイ、ラック、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0014】
調理器具100は、加熱システム(図1ではラベル付けされていない)を含むことができる。加熱システムは、1以上の加熱要素114(例えば、集合的に「加熱要素114」とされる加熱要素114A、加熱要素114Bなど)を含むことができる。チャンバ102の裏側には、1以上の加熱要素114が設けられている。加熱要素114のそれぞれは、波長制御可能なフィラメントアセンブリを含み得る。波長制御可能なフィラメントアセンブリは、調理器具100のコンピューティングデバイス(図示せず)からのコマンドに応じて、放射スペクトルパワー分布(したがって、ピーク周波数及びピーク波長も)、放射電力、及び/または、放射信号パターンを独立して調整することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、チャンバ102は窓を有していない。すなわち、ドア106を備えたチャンバ102は、ドア106が閉じられると、透明(及び/または半透明)の部分なく完全に囲まれる。例えば、チャンバ102は、ドア106が閉じられたときに、金属エンクロージャ内に(例えば、チャンバ102の外側へ/からの断熱により)密閉することができる。チャンバ102の内部には、カメラ118を取り付けることができる。いくつかの実施形態では、カメラ118は、ドア106に取り付けられる。例えば、ドア106が閉じられると、カメラ118はチャンバ102の内部に向かって内側を向き、図示のようにドア106が開かれると、上向きになる。いくつかの実施形態では、カメラ118は、チャンバ102の天井(例えば、上部内面)に設置される。カメラ118は、チャンバ102の天井のドア106に、またはドア106に近接して(例えば、3インチ以内で)取り付けられて、簡単な洗浄、好都合なラベルのスキャン、プライバシー、熱損傷の回避などを可能にすることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、加熱要素114の各々は、チャンバ内の1以上の位置に、1以上の波長制御可能なフィラメントアセンブリを備えている。いくつかの実施形態では、1以上の波長制御可能フィラメントアセンブリの各々は、その放射スペクトルパワー分布(例えば、ピーク放射周波数)及び/またはその放射電力を、独立して調整することができる。例えば、波長制御可能なフィラメントアセンブリのピーク放射周波数は、広い帯域範囲(例えば、20テラヘルツ~300テラヘルツ)内で調整され得る。異なる周波数は、食品、チャンバ102内の調理台110または他のアイテム、及び/または調理器具100の部品を加熱するための異なる浸透深さ(penetration depth)に対応することができる。
【0017】
加熱要素114は、加熱フィラメント自体の熱慣性と比較して比較的迅速にオン/オフするリレーのような制御を有することで、高速スイッチングパルス幅変調(PWM)のような電子機器を使用することにより、様々な電力を有するように制御することができる。ピーク放射周波数の変化は、加熱要素に伝達される電力量と直接相関する可能性がある。より多くの電力は、より高いピーク放射周波数に相関する。場合によっては、調理器具100は、それぞれ、より小さい電力で、より多くの加熱要素を作動させることによって、ピーク放射周波数を低下させながら電力を一定に保つことができる。調理器具100は、フィラメントアセンブリのピーク放射周波数を独立して制御し、これらのフィラメントアセンブリを個別に駆動することによって、フィラメントアセンブリに電力を供給することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、個々の加熱要素について、最大電力を使用して最も高い放射周波数を達成することは、AC電源によって不適当に電力が消費され得るので(例えば、ヒューズがトリップするので)、困難である。いくつかの実施形態では、このことは、電力を低減した状態で個々の加熱要素を並行して駆動する代わりに、それぞれの個々の加熱要素を連続的に最大電力で駆動することによって解決する。中間のピーク放射周波数は、連続駆動と並行駆動との組み合わせによって実現可能である。
【0019】
いくつかの実施形態では、カメラ118は、動的過熱シーケンス(例えば、熱調整アルゴリズム)へのフィードバックとして熱画像をコンピューティングデバイスに提供する赤外線センサを含む。いくつかの実施形態では、調理器具100は、複数のカメラを備える。いくつかの実施形態では、カメラ118は、保護シェルを含む。いくつかの実施形態では、加熱要素114及びカメラ118は、カメラ118が加熱要素のいかなる対の間にも直接存在しないようにチャンバ102内に配置される。例えば、加熱要素114は、ドア106に対して垂直な2つの垂直壁に沿って配置することができる。加熱要素114は、垂直壁上で水平にドア106に対して水平に、かつドア106に対して垂直に延びる石英管(例えば、加熱フィラメントを含む)であり得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、ドア106にディスプレイ122が取り付けられている。いくつかの実施形態では、ディスプレイ122は、ドア106以外のチャンバ102の外向きの表面に取り付けられている(図示のように)。ディスプレイ122は、タッチスクリーンディスプレイであり得る。ディスプレイ122は、カメラ118とは反対側の、ドア106のチャンバ102の外部に取り付けることができる。ディスプレイ122は、カメラ118によってキャプチャされ、及び/またはカメラ118からストリーミングされた、チャンバ内部のリアルタイム画像またはリアルタイムビデオを表示するように構成することができる。
【0021】
図2は、様々な実施形態による、調理器具200(例えば、調理器具100)の物理的構成要素を示すブロック図である。調理器具200は、電源202、コンピューティングデバイス206、動作メモリ210、永続メモリ214、1以上の加熱要素(例えば、集合的に「加熱要素218」として、加熱要素218A、加熱要素218Bなど)を有する加熱システム216、冷却システム220、カメラ222(例えば、カメラ118)、ネットワークインターフェース226、ディスプレイ230(例えば、ディスプレイ122)、入力構成要素234、出力構成要素238、光源242、マイク244、1以上の環境センサ246、チャンバ温度計250、温度プローブ254、または、それらの任意の組み合わせを備える。加熱要素218は、加熱要素114であり得る。
【0022】
コンピューティングデバイス206は、例えば、制御回路であり得る。コンピューティングデバイス206は、調理器具200の制御システムとして機能する。制御回路は、特定用途向けの集積回路、または動作メモリ210及び/または永続メモリ214に格納された実行可能命令によって構成される汎用プロセッサを備えた回路であり得る。コンピューティングデバイス206は、調理器具200の物理的構成要素、及び/または機能的構成要素のすべて、または少なくともサブセットを制御することができる。
【0023】
電源202は、調理器具200の物理的構成要素を動作させるのに必要な電力を提供する。例えば、電源202は、交流(AC)電力を、物理的構成要素のための直流(DC)電力に変換することができる。いくつかの実施形態では、電源202は、加熱要素218に対して第1のパワートレインを実行し、他の構成要素に対して第2のパワートレインを実行することができる。いくつかの場合には、第1のパワートレインはACパワートレインであり、第2のパワートレインはDCパワートレインである。
【0024】
コンピューティングデバイス206は、加熱要素218のピーク波長、及び/またはスペクトルパワー分布(例えば、異なる波長にわたる)を制御することができる。コンピューティングデバイス206は、調理器具200の運転を容易にする(例えば、自動または半自動運転など)ために、様々な機能的構成要素(例えば、図3を参照)を実装することができる。例えば、永続メモリ214は、加熱要素218を駆動するための、加熱シーケンスを含む動作命令とスケジュールとのセットである1以上の調理レシピを格納することができる。動作メモリ210は、ランタイムメモリを提供して、コンピューティングデバイス206の機能的構成要素を動かすことができる。いくつかの実施形態では、永続メモリ214及び/または動作メモリ210は、カメラ222によってキャプチャされた画像ファイルまたはビデオファイルを格納することができる。
【0025】
加熱要素218は波長制御可能(例えば、そのスペクトルパワー分布を変更可能)であり得る。例えば、加熱要素218は、各々が1以上の加熱フィラメントを囲む石英管を含み得る。様々な実施形態では、チャンバの内部の代わりにチャンバ壁に面する石英管の側面は、耐熱コーティングでコーティングされている。しかしながら、加熱フィラメントの動作温度は非常に高くなり得るので、冷却システム220が、対流冷却を提供し、耐熱コーティングの融解または蒸発を防止する。
【0026】
加熱要素218は、それぞれ、フィラメントドライバ(例えば、集合的に「フィラメントドライバ224」として、それぞれフィラメントドライバ224A及びフィラメントドライバ224B)、フィラメントアセンブリ(例えば、集合的に「フィラメントアセンブリ228」として、それぞれフィラメントアセンブリ228A及びフィラメントアセンブリ228B)、及び格納容器(例えば、集合的に「格納容器232」として、それぞれ格納容器232A及び格納容器232B)を含み得る。例えば、各加熱要素は、格納容器に収容されるフィラメントアセンブリを含み得る。フィラメントアセンブリは、フィラメントドライバによって駆動される。次に、フィラメントドライバは、コンピューティングデバイス206によって制御することができる。例えば、コンピューティングデバイス206は、設定された量のDC電力をフィラメントドライバに提供するように、電源202に指示することができる。次に、コンピューティングデバイス206は、設定されたピーク波長または特定のスペクトルパワー分布で電磁波(すなわち、無線電磁エネルギーの形態)を生成すべく、フィラメントアセンブリを駆動するように、フィラメントドライバに指示することができる。
【0027】
カメラ222は、調理器具200の動作において様々な機能を果たす。例えば、カメラ222及びディスプレイ230は、調理器具200に窓がないにもかかわらず、チャンバの内側に仮想窓を協働して提供することができる。カメラ222は、食品パッケージの機械読み取り可能な光学ラベルを認識することによって、調理器具200を構成する食品パッケージラベルスキャナとして機能することができる。いくつかの実施形態では、カメラ222は、調理レシピを実行するときに、コンピューティングデバイス206が光学フィードバックを使用することを可能にする。いくつかの実施形態では、光源242は、カメラ222が調理器具の中の食品の画像を明確にキャプチャできるように、調理器具200の内部を照明する。
【0028】
ネットワークインターフェース226は、コンピューティングデバイス206が外部コンピューティングデバイスと通信することを可能にする。例えば、ネットワークインターフェース226は、Wi-FiまたはBluetooth(登録商標)を有効にすることができる。ユーザデバイスは、ネットワークインターフェース226を介して直接、または、ルータもしくは他のネットワークデバイスを介して間接的に、コンピューティングデバイス206に接続することができる。ネットワークインターフェース226は、コンピューティングデバイス206を、ルータまたはセルラーデバイスなどのインターネット接続を有する外部デバイスに接続することができる。次に、コンピューティングデバイス206は、インターネット接続を介してクラウドサービスにアクセスすることができる。いくつかの実施形態では、ネットワークインターフェース226は、インターネットへのセルラーアクセスを提供することができる。
【0029】
ディスプレイ230、入力構成要素234、及び出力構成要素238は、ユーザがコンピューティングデバイス206の機能的構成要素と直接関わることを可能にする。例えば、ディスプレイ230はカメラ222からの画像を表示することができる。ディスプレイ230は、コンピューティングデバイス206によって実装される制御インターフェースを提示することもできる。入力構成要素234は、ディスプレイ230で覆われたタッチパネルであり得る(例えば、集合的にタッチスクリーンディスプレイとして)。いくつかの実施形態では、入力構成要素234は、1以上の機械的装置(例えば、ボタン、ダイヤル、スイッチ、またはそれらの任意の組み合わせ)である。いくつかの実施形態では、出力構成要素238は、ディスプレイ230である。いくつかの実施形態では、出力構成要素238は、スピーカまたは1以上の外部ライトである。
【0030】
いくつかの実施形態では、調理器具200は、マイク244、及び/または1以上の環境センサ246を備えている。例えば、コンピューティングデバイス206は、熱調整アルゴリズム(例えば、動的加熱シーケンスの一部)にしたがって、リアルタイムで加熱要素218の制御を調節するための動的フィードバックとして、カメラ222からの画像と同様に、マイク244からの音声信号を利用することができる。一例では、コンピューティングデバイス206は、災警報器、煙警報器、ポップコーンが鳴る音、またはそれらの任意の組み合わせを示す音声信号を検出することができる。例えば、コンピューティングデバイス206は、アラームの検出に応じて、または一連のポップコーンノイズに続く無音/低ノイズの検出に応じて加熱要素218をオフにするなど、検出された音声信号にしたがって加熱システム216を調整できる。環境センサ246は、圧力センサ、湿度センサ、煙センサ、汚染物質センサ、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。コンピューティングデバイス206は、環境センサ246の出力を動的フィードバックとして利用し、加熱シーケンスの指示(例えば、熱調整アルゴリズム)にしたがって、リアルタイムで加熱要素218の制御を調整することもできる。
【0031】
いくつかの実施形態では、調理器具200は、チャンバ温度計250、及び/または温度プローブ254を含む。例えば、コンピューティングデバイス206は、チャンバ温度計250からの温度測定値を動的フィードバックとして利用し、熱調整アルゴリズムにしたがって、リアルタイムで加熱要素218の制御を調整することができる。温度プローブ254は、調理器具200によって調理されるべき食品に挿入されるように適合することができる。コンピューティングデバイス206は、温度プローブ254の出力を動的フィードバックとして利用し、熱調整アルゴリズムにしたがって、リアルタイムで加熱要素218の制御を調整することもできる。例えば、調理レシピの熱調整アルゴリズムは、調理レシピに応じて、所定時間、所定の温度で食品を加熱すべきであることを指示することができる。
【0032】
図3は、様々な実施形態による、調理器具300(例えば、調理器具100及び/または調理器具200)の機能的構成要素を示すブロック図である。例えば、機能的構成要素は、コンピューティングデバイス206、または1以上の専用の回路上で実行され得る。例えば、調理器具300は、少なくとも調理レシピライブラリ302(局所加熱レシピライブラリ)、レシピ実行エンジン306、遠隔制御インターフェース310、クラウドアクセスエンジン314、またはそれらの任意の組み合わせを実装することができる。調理レシピライブラリ302は、1以上の調理レシピを格納し、各調理レシピは、食品の1以上の部分についてそれぞれ1以上の加熱シーケンスを含む。レシピ実行エンジン306は、調理レシピ及びその加熱シーケンスからの実行可能な指示を解釈する。遠隔制御インターフェース310は、調理器具300の機能的構成要素が外部ユーザデバイス(図示せず)によって制御されることを可能にする。遠隔制御インターフェース310は、外部ユーザデバイスが、調理器具300の機能的構成要素を構成すること、または、外部ユーザデバイスから情報を要求することを可能にすることができる。例えば、遠隔制御インターフェース310は、ネットワークインターフェース226を介して外部ユーザデバイスと接続することができる。クラウドアクセスエンジン314は、調理器具300が、バックエンドサーバシステム(図示せず)と通信して調理器具300の機能的構成要素を構成すること、またはバックエンドサーバシステムから情報を要求することを可能にする。
【0033】
いくつかの実施例では、レシピ実行エンジン306は、加熱シーケンス(例えば、動的セグメント、静的セグメント、またはそれらの任意の組み合わせ)の実行を含む、調理レシピを実装するための指示セットをロード及び解釈することができる。例えば、レシピ実行エンジン306は、カメラ(例えば、カメラ222)からの画像を分析して、ドア(例えば、ドア106)が開いているかどうかを判定することができる。例えば、カメラからの画像は、調理器具300の内部に向かっているとき、特定の光源(例えば、光源242)の特定の色によって照らされてもよい。いくつかの実施例では、レシピ実行エンジン306は、カメラからの画像を分析して、機械読み取り可能な光学ラベルが画像内にあるかどうかを判定するように構成される。例えば、レシピ実行エンジン306は、機械読み取り可能な光学ラベルに基づいて、調理レシピライブラリ302から調理レシピを選択するように構成され得る。いくつかの実施例では、遠隔制御インターフェース310は、自動的に選択された調理レシピを確認するために、外部ユーザデバイスにメッセージを送信するように構成される。いくつかの実施形態では、レシピ実行エンジン306は、ローカルディスプレイ上に確認のために調理レシピを表示し、調理レシピが表示されると、ローカル入力構成要素の確認を受信するように構成される。調理レシピの選択に応答して、レシピ実行エンジン306は、加熱要素を制御することにより、調理レシピにしたがって加熱シーケンスを実行することができる。熱調整アルゴリズムは、入力変数(例えば、リアルタイムのセンサ入力、ユーザ入力、外部ユーザデバイスもしくはバックエンドサーバシステムが提供するパラメータ、またはそれらの任意の組み合わせ)の変化に応じて、リアルタイムで加熱要素218を動的に制御することができる(例えば、出力、スペクトル出力分布、及び/またはピーク波長を調整する)。
【0034】
遠隔制御インターフェース310を使用して、ユーザと関係することができる。例えば、ユーザデバイス(例えば、コンピュータまたはモバイルデバイス)は、ネットワークインターフェース226を介してリモートコントロールインターフェースに接続することができる。この接続を介して、ユーザは、調理器具300をリアルタイムで構成することができる。一例では、ユーザは、ユーザデバイス上で実行されるユーザデバイス側のアプリケーションを介して調理レシピを選択することができる。ユーザデバイス側アプリケーションは、選択された調理レシピを調理器具300に実行させるために、遠隔制御インターフェース310と通信することができる。クラウドアクセスエンジン314によって、調理レシピの実行を容易にするか、または調理レシピライブラリ302内の調理レシピを更新するために、調理器具300はクラウドサービスにアクセスすることができる。
【0035】
調理器具(例えば、調理器具100、調理器具200、及び/または調理器具300)に関連付けられている構成要素(物理的または機能的)は、デバイス、モジュール、回路、ファームウェア、ソフトウェア、またはその他の機能的命令として実装することができる。例えば、機能構成要素は、専用回路の形態で、すなわち、1以上の適切にプログラムされたプロセッサ、単一のボードチップ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、ネットワーク対応コンピューティングデバイス、仮想マシン、クラウドコンピューティング環境、またはそれらの任意の組み合わせの形態で、実装することができる。例えば、説明した機能的構成要素は、プロセッサまたは他の集積回路チップによって実行することができる有形の記憶メモリ上の命令として実装することができる。有形の記憶メモリは、揮発性メモリまたは不揮発性メモリであってもよい。いくつかの実施形態では、揮発性メモリは、一時的な信号でないという意味において「一時的でない」と見なされ得る。図示されているメモリ空間及びストレージは、揮発性または不揮発性メモリを含む有形のストレージメモリによっても実装することができる。
【0036】
各構成要素は、他の構成要素とは別個に、独立して動作する。構成要素の一部、またはすべてが、同一のホストデバイスまたは別のデバイスで実行されてもよい。個別のデバイスを1以上の通信チャネル(例えば、無線または有線チャネル)を介して結合させて、動作を調整することができる。構成要素の一部、またはすべてが、1つの構成要素として組み合わされてもよい。単一の構成要素はサブ構成要素に分割されてもよく、各サブ構成要素は、単一の構成要素の個別の方法ステップ、または複数の方法ステップを実行する。
【0037】
いくつかの実施形態では、構成要素の少なくともいくつかは、メモリ空間へのアクセスを共有している。例えば、1つの構成要素が、別の構成要素によってアクセスされたデータ、または別の構成要素によって変換されたデータにアクセスしてもよい。構成要素は、物理接続または仮想接続を直接的または間接的に共有し、1つの構成要素によってアクセスまたは変更されたデータを別の構成要素でアクセスできるようにする場合、互いに「結合」されていると見なされ得る。いくつかの実施形態では、構成要素の少なくともいくつかは、遠隔でアップグレードまたは修正することができる(例えば、機能構成要素の一部を実装する実行可能命令を再構成することによって)。本明細書に記載のシステム、エンジン、またはデバイスは、様々な用途のための、追加の、より少ない、または異なる構成要素を含み得る。
【0038】
図4は、様々な実施形態による、食品を調理するために、調理器具(例えば、調理器具100、調理器具200、及び/または調理器具300)操作する方法400を示すフローチャートである。方法400は、コンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス206)によって制御することができる。
【0039】
ステップ402において、コンピューティングデバイスは、調理レシピを選択することができる(例えば、コンピューティングデバイス及び/または調理器具のローカルメモリ(例えば、動作メモリ210及び/または永続メモリ214)、ネットワークインターフェース(例えば、ネットワークインターフェース226)を介してアクセス可能なクラウドサービスによって実装された外部調理レシピライブラリ、または、コンピューティングデバイスに接続された別の外部ソースのメモリに格納されたローカル調理レシピライブラリから)。任意選択で、ステップ404において、コンピューティングデバイスは、調理器具の中、または、中に入れられようとしている食品の食品プロファイルを識別することができる。例えば、コンピューティングデバイスは、カメラを使用して食品のプロファイルを識別することができる(例えば、食品の画像認識の実行、または、食品の外側パッケージにはり付けられたデジタルラベルのスキャン)。食品プロファイルは、食品のサイズ、食品の重量、食品の形状、食品の現在の温度、またはそれらの任意の組み合わせを識別することができる。
【0040】
ステップ406において、コンピューティングデバイスは、調理レシピ及び/または食品プロファイルに基づいて、食品を調理するための加熱システムを制御するための過熱シーケンスを生成及び/または構成することができる。加熱シーケンスは、熱調整アルゴリズムによって定義された1以上の動的セグメントを含むことができる。熱調整アルゴリズムは、経時的に変化し得る入力変数に基づいて、調理器具の1以上の加熱要素の駆動パラメータを調整する方法を指定することができる。入力変数には、経過時間(例えば、加熱要素が最初に駆動されたとき、及び/または加熱プロセスが最初に開始されたときからの)、調理器具内の温度(例えば、調理チャンバの中または調理台の上の温度センサによって検出される)、ユーザ入力(例えば、コンピューティングデバイス、または調理器具のコントロールパネルに接続された外部デバイスを介する)、食品内の温度(例えば、食品に挿入され、かつコンピューティングデバイスに通信可能に結合された温度プローブによって伝えられる)、リアルタイムまたは非同時性の食品の画像分析、調理器具の内部または外部のマイクからのリアルタイムまたは非同時性のオーディオ信号分析、リアルタイムまたは非同時性の環境センサ出力分析、ネットワーク経由で受信した他のデータ、調理器具の構成要素によって生成された他のデータ、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。コンピューティングデバイスは、ステップ408において、入力変数をリアルタイムで更新し、ステップ410において、加熱シーケンス及び/または加熱調整アルゴリズムにしたがって、加熱システムの加熱要素に対する駆動パラメータを再調整することができる。
【0041】
加熱シーケンスによって行われる調整の一部には、熱強度、スペクトルパワー分布及び/またはピーク波長(例えば、調理チャンバ内の様々な食品または材料を対象とするための)、熱持続時間、加熱用のターゲットゾーンもしくは調理台、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。コンピューティングデバイスは、調理器具の(同一の調理台または異なる調理台の)異なるゾーンに異なる加熱パターンを適用するように、加熱要素を構成することができる。各「ゾーン」は、調理台上の領域、または調理台に載っている食品の一部で表すことができる。コンピューティングデバイスは、様々な量の電力、及び/または放射スペクトルパワー分布を様々な加熱要素に供給することによって、調理台上の異なるゾーンに異なる加熱パターンを同時にまたは連続して適用するように、加熱要素を構成することができる。コンピューティングデバイスは、様々なピーク波長で加熱システムの加熱要素を駆動することによって、調理台上の異なるゾーンに異なる加熱パターンを適用するように加熱要素を構成することができる。調理器具は、調理台と加熱要素の少なくとも1つとの間に穿孔金属シートを含むことができる。コンピューティングデバイスは、穿孔金属シートを使用し、加熱要素の少なくとも1つによって放射された波の部分を空間的に遮断することによって、調理台上の異なるゾーンに異なる加熱パターンを適用するように加熱要素を構成することができる。
【0042】
ステップ412において、コンピューティングデバイスは、少なくとも加熱シーケンスの指示に基づいて、加熱プロセスをいつ終了するか(例えば、調理器具が加熱要素への電力の供給をいつ停止するか)計算することができる。いくつかの実施形態では、加熱調整アルゴリズムは、加熱プロセス(例えば、高速モード)の終了の実質的に直後に食品が調理器具から取り出されると予想されるかどうかを考慮する。例えば、加熱プロセス(例えば、低ストレスモード)の終了後、所定時間、食品が調理器具内に残ることをユーザが示す場合、加熱調整アルゴリズムは予想終了時間を短縮することができる。
【0043】
図5Aは、様々な実施形態による、調理器具500(例えば、調理器具100、調理器具200、及び/または調理器具300)の第1の例の正面断面図である。調理器具500は、チャンバ502と、チャンバ502の1以上の位置に、1以上のフィラメントアセンブリ506(例えば、集合的に「フィラメントアセンブリ506」として、フィラメントアセンブリ506A、フィラメントアセンブリ506B、フィラメントアセンブリ506C、フィラメントアセンブリ506D、フィラメントアセンブリ506E、フィラメントアセンブリ506Fなど)を有する加熱システム(図5Aではラベル付けされていない)とを含む。フィラメントアセンブリ506は、それぞれ調理器具500の加熱要素の一部であり得る。フィラメントアセンブリ506の各々は、フィラメントアセンブリ506を囲む格納容器508を含み得る。格納容器508は、反射器511として機能するように反射材料でコーティングすることができる。このようにして、反射器511がごみによって汚されることを防止する。格納容器508は石英製であり得る。反射材料は、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素などの金または白色のセラミックであり得る。フィラメントアセンブリ506は、タングステンハロゲンアセンブリであり得る。反射材料は、調理台516とは反対側を向くフィラメントアセンブリ506の各々、または格納容器508の外面の一部にコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、反射器511は、フィラメントアセンブリ506及び格納容器508のそれぞれとは別個の構成要素である。例えば、反射器511のそれぞれは、調理チャンバの中心から離れてフィラメントアセンブリ506のそれぞれに隣接して配置することができる。いくつかの実施形態では、反射器511は、通常の動作(例えば、華氏約450度以上)中に、対応する反射器511とフィラメントアセンブリ506の各々との間でごみが燃え尽きるように、フィラメントアセンブリ506のそれぞれの十分近くに配置される。いくつかの実施形態では、フィラメントアセンブリ506の少なくとも1つは、反射器511とガラスカバーとの間に設けられる。いくつかの実施形態では、ガラスカバーは、フィラメントアセンブリ506の少なくとも1つと反射器511との間に設けられる。
【0044】
コンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス206)は、フィラメントアセンブリ506の放射スペクトルパワー分布(例えば、1つ以上のピーク放射波長を含む)を個別に、サブセットで、または全体として制御するように構成され得る。例えば、コンピューティングデバイスは、センサ入力(例えば、ラベルをスキャンするカメラ)および/またはユーザ入力に基づいて、食物(例えば、チャンバ502内)に関連する食物プロファイルを識別するように構成され得る。次いで、コンピューティングデバイスは、食物プロファイルに関連する1つまたは複数の励起可能な波長を決定することができます。例えば、励起可能波長は、食品プロファイルに関連付けられた食品材料の共振周波数に対応できます。コンピューティングデバイスは、フィラメントアセンブリ506の1つまたは複数(例えば、単一のアセンブリ)を駆動して、少なくとも1つの励起可能波長に対応するピーク放射波長で放射し、食物を加熱することができる。コンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス206)は、フィラメントアセンブリ506の放射スペクトルパワー分布(例えば、1以上のピーク放射波長を含む)を、個別に、サブセットで、または全体として、制御するように構成され得る。例えば、コンピューティングデバイスは、センサ入力(例えば、ラベルをスキャンするカメラ)またはユーザ入力に基づいて、食品(例えば、チャンバ502内の)に関連する食品プロファイルを識別するように構成され得る。その後、コンピューティングデバイスは、食品プロファイルに関連する1以上の励起可能な波長を決定することができる。例えば、励起可能な波長は、食品プロファイルに関連付けられた食品材料の共振周波数に対応することができる。コンピューティングデバイスは、1以上の(例えば、単一のアセンブリからすべてのアセンブリまでの)フィラメントアセンブリ506を駆動して、励起可能波長の少なくとも1つに対応するピーク放射波長で放射することにより、食品を加熱することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、チャンバ502は、金属で完全に囲まれている。いくつかの実施形態では、チャンバ502は、ドアを有する。いくつかの実施形態では、チャンバ502は、1以上の透明窓(例えば、ガラス窓)を有する。いくつかの実施形態では、1以上の穿孔金属シート512(例えば、集合的に「穿孔金属シート512」とされる穿孔金属シート512A及び/または穿孔金属シート512B)が、チャンバ502内に配置される。いくつかの実施形態では、チャンバ502内には、単一の穿孔金属シートのみが設けられている(例えば、トレイの上方または調理台516の下方)。いくつかの実施形態では、(図示のように)2つの穿孔金属シートが設けられている。穿孔金属シート512のそれぞれは、取り外し可能パネルまたは固定パネルであり得る。穿孔金属シート512により、その表面に平行な水平面に沿った加熱集中を制御することができる。穿孔アルミニウム箔などの穿孔金属シートを使用して、フィラメントアセンブリ506により発生した強い放射熱から特定の食品を保護することができる。例えば、ステーキと野菜とを並べて調理する場合、穿孔金属シートは、野菜が加熱され過ぎることを防ぎ、ステーキがフィラメントアセンブリ506から最大の電力を受け取ることができるようにする。フィラメントアセンブリ506からのより長い波長の放射は、より短い波長と比較して、より均等に穿孔を通ることができる。したがって、例えば、穿孔によって直接放射加熱の90%が遮蔽されるように設計されていても、調理器具は波長を変えることで加熱の空間的集中を独立して調整することができる。これにより、直接放射加熱に加えて、並列調理の制御が可能になる。
【0046】
いくつかの実施形態では、フィラメントアセンブリ506は、指向性電磁波を放射するように適合されている。放射された波の指向性は、反射器511の形状、及び/または位置、格納容器508の構造、形状、及び/または位置、フィラメント510の構造、及び/または形状、またはそれらの任意の組み合わせによって可能になり得る。いくつかの実施形態では、穿孔金属シート512は、放射された波の空間的集中をさらに制限する。いくつかの実施形態では、フィラメントアセンブリ506の少なくともいくつかは、一方向の電磁波を放射するように適合されている。
【0047】
いくつかの実施形態では、チャンバ502は、チャンバ502内に調理台516(例えば、調理台110)を有する。いくつかの実施形態では、調理台516は、1以上の穿孔金属シート512の少なくとも1つを含むか、その一部である。コンピューティングデバイスは、フィラメントアセンブリ506を駆動して、調理台516の励起波長に対応するピーク放射波長を含むスペクトルパワー分布で放射するように構成することができる。調理台516の励起可能波長にピーク放射波長を含めるように調整することによって、コンピューティングデバイスは、チャンバ502内の空気または食品を直接加熱することなく調理台516を加熱することができる。
【0048】
調理台516はガラスまたは金属製であり得る。調理台516は、可視光が、調理台516の2つの対向する表面を実質的に通過することを可能にする、例えばガラスまたはガラス様材料を介した、光学的に透明な領域を含むことができる。例えば、加熱の前に、調理器具500のユーザは、トレイの上に食品を配置し、調理台516の下に指示書を配置することができる。ユーザは、指示書にしたがって、特定の食品を所望の場所に直接重ねることができる。いくつかの実施形態では、調理台516は、上部カメラ(カメラ522)が調理台516上に載っている食品の底面図をキャプチャすることを可能にする反射部518を含むことができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、調理器具500は、気流ベースの冷却システム520を含むことができる(例えば、集合的に「冷却システム520」として、冷却ユニット520A、冷却ユニット520B、冷却ユニット520C、冷却ユニット520D、冷却ユニット520E、及び冷却ユニット520Fを含む)。気流ベースの冷却システム520は、格納容器508の反射器部分に直接風を吹きつけて反射器511を冷却(例えば、反射コーティングの蒸発防止)し、反射器511の性能を向上させることができる。気流を制御することにより、衝突対流加熱(impingement convection heating)を提供することができる。気流ベースの冷却システム520は、蒸気を濾過する空気路を有することができ、これにより、調理器具500のドアが開かれたときに熱い空気が逃げることを防止することができる。空気路はまた、調理器具500のカメラ(図示せず)の上を通って、カメラのレンズの結露を防止するように構成することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、フィラメントアセンブリ506から離れてファンを設置することができる。フィラメントアセンブリのスペクトルパワー分布(1以上のピーク波長を含む)が、覆い及び/または格納容器508を加熱するように構成されているとき、ファンは、チャンバ502内の空気を攪拌して、格納容器508に隣接する加熱された空気が、食品を調理するためにチャンバ502の他の部分に移動することを確実にすることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、調理器具500は、パン屑トレイを欠いている。任意選択で、調理器具500は、耐熱性シート(冷却システム520)(例えば、石英または他の材料)を使用してフィラメントアセンブリ506を覆い、調理器具チャンバの底部につまずかせるフィラメントアセンブリ506が備えられないようにすることができる。耐熱シートは、フィラメントアセンブリ506の動作波長において透明であり、フィラメントアセンブリ506からの放射を、多くの損失なしに貫通させることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、調理器具500内のコンピューティングデバイスは、調理レシピの指示にしたがってフィラメントアセンブリ506を駆動することができる。例えば、コンピューティングデバイスは、ピーク波長でフィラメントアセンブリ506の少なくとも1つを駆動することができる。ピーク波長は、調理台516、格納容器508(例えば、フィラメントアセンブリの覆い)、特定の種類の食用材料、水分子、またはそれらの任意の組み合わせの材料の励起可能波長に対応することができる。対象物質の励起可能な波長に対応する特定のピーク波長を一致させることによって、コンピューティングデバイスは、特定の材料を加熱の対象にすることができる。例えば、コンピューティングデバイスは、調理台516の少なくとも1つをピーク波長(例えば、ガラス製の調理台516の場合3μm以上)で駆動することができ、調理台516は、調理台516の少なくとも1つから放射される波を実質的に透過させない。コンピューティングデバイスは、ピーク波長(例えば、ガラス製の調理台516の場合3μm~4μm)で、調理台516の少なくとも1つを駆動することができ、調理台516は、調理チャンバ内のいかなる有機食品も加熱することなく調理台516の少なくとも1つから放射される波によって加熱される。
【0053】
図5Bは、様々な実施形態による、線A-A'に沿った図5Aの調理器具500の上面断面図である。図5Bは、穿孔金属シート512A、及び調理台516を露出する穿孔金属シート512A内のキャビティを示すことができる。例えば、穿孔金属シート512は、矩形キャビティ524Aと、調理台516を下方に露出する楕円キャビティ524Bとを含む。
【0054】
図5Cは、様々な実施形態による、線B-B'に沿った図5Aの調理器具500の上面断面図である。図5Cは、調理台516を示すことができる。調理台516が透明または半透明である実施形態では、反射部518は、上面断面図から見ることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、調理台516は、調理対象ゾーン(例えば、集合的に「調理対象ゾーン528」として、ゾーン528A、ゾーン528B、ゾーン528C、及びゾーン528D)に仮想的に分割することができる。すなわち、食品調理レシピ及び加熱シーケンスは、これらの調理対象ゾーン528を参照することができる。調理対象ゾーン528のそれぞれは、物理的に可視である境界線(例えば、集合的に「可視境界線530」として、ゾーンA境界線530A、ゾーンB境界線530B、ゾーンC境界線530C、及びゾーンD境界線530D)によって分割することができる。可視境界線530は、異なるサイズ及び形状(例えば、全体、または矩形)であり得る。いくつかの実施形態では、可視境界線530は、耐熱塗料によってマークすることができる。いくつかの実施形態では、可視周辺部(可視境界線530)は、調理台516の構造的溝付縁部または傾斜縁部によって画定することができる。いくつかの実施形態では、可視周辺部(可視境界線530)のそれぞれは、階段状の(例えば、高くなっている、または、低くなっている)対応する調理対象ゾーンによって画定することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、調理対象ゾーン528は、可視ラベル(例えば、集合的に「可視ラベル534」として、ゾーンAラベル534A、ゾーンBラベル534B、ゾーンCラベル534C、及びゾーンDラベル534D)を含むことができる。可視ラベル534は、調理器具500によって(例えば、調理レシピに関連付けられた指示に関連する表示情報を介して)指示される食品の一部を配置する場所をユーザが知るための明確な基準を有利に提供できる。
【0057】
図5Dは、様々な実施形態による、線C-C'に沿った図5Aの調理器具500の上面断面図である。図5Dは、フィラメントアセンブリ506の例示的なレイアウトを示すことができる。
【0058】
図7は、様々な実施形態による、調理器具700(例えば、調理器具100、調理器具200、及び/または調理器具300)の第2の実施例の正面断面図である。調理器具700は、追加の調理台を除いて、調理器具500と実質的に同様である。調理器具700は、チャンバ502と同様のチャンバ702と、フィラメントアセンブリ506A-506Fと同様のフィラメントアセンブリ706A-706Fと、穿孔金属シート512A-512Bと同様の第1の穿孔金属シート712A及び第2の穿孔金属シート712Bと、冷却ユニット520A-520Fと同様の冷却ユニット720A-720Fと、カメラ522と同様のカメラ722とを含む。調理器具700は、調理台716A及び調理台716Bを含む。
【0059】
調理器具700は、調理台716Aと調理台716Bとの両方に、調理対象ゾーンを仮想的に実装することができる。いくつかの実施形態では、調理器具700は、フィラメントアセンブリ706A-706Cを駆動することにより、調理台716Aを通過して調理台716Bを直接加熱する電磁波を放射することができる。これは、調理台716Aを透過し、かつ調理台716Bを透過しないスペクトルパワー分布でフィラメントアセンブリ706A-706Cを駆動することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、調理器具700は、フィラメントアセンブリ706D-706Fを駆動することにより、調理台716Bを通過して調理台716Aを直接加熱する電磁波を放射することができる。これは、調理台716Bを透過し、かつ調理台716Aを透過しないスペクトルパワー分布でフィラメントアセンブリ706D-706Fを駆動することによって達成することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、調理器具700は、フィラメントアセンブリ706A-706Cを駆動することにより、調理台Aを通過する電磁波を放射し、調理台716B上の対象調理ゾーン内の食品の部分を加熱することができる。これは、調理台716Aを透過し、食品の一部を透過しないスペクトルパワー分布でフィラメントアセンブリ706A-706Cを駆動することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、調理器具700は、フィラメントアセンブリ706D-706Fを駆動することにより、調理台716Bを通過する電磁波を放射し、調理台716A上の対象調理ゾーン内の食品の部分を直接加熱することができる。これは、調理台716Bを透過し、食品の一部を透過しないスペクトルパワー分布でフィラメントアセンブリ706D-706Fを駆動することによって達成することができる。
【0061】
図6は、様々な実施形態による、調理器具(例えば、調理器具100、調理器具200、及び/または調理器具500)を操作する方法600を示すフローチャートである。方法600は、調理器具の制御システム(例えば、コンピューティングデバイス206)によって実行され得る。ステップ602で、調理器具は、調理器具の加熱システム(例えば、加熱システム216)を駆動するための食品調理レシピを選択する。選択は、ユーザの指示、外部メッセージ、センサ入力、またはそれらの任意の組み合わせに基づいて行うことができる。調理器具は、調理器具の双方向ディスプレイ(例えば、ディスプレイ122及び/またはディスプレイ230)を介してユーザの指示を受け取ることができる。双方向ディスプレイは、タッチスクリーンまたは入力用のボタン/ダイヤルを備えたディスプレイであり得る。調理器具は、調理器具とネットワーク通信し、かつ調理器具とは別の、外部デバイスからの無線または有線のメッセージを介してユーザの指示を受け取ることができる。調理器具は、ユーザの配置に基づいて光学ラベルまたは食品の種類を識別するカメラを介して、ユーザの指示を受け取ることができる。
【0062】
ステップ604で、調理器具は、少なくとも2つの食品の部分を配置するために、調理チャンバ内の相対領域(例えば、調理対象ゾーン528)を識別することができる。相対領域は、選択した食品調理レシピに関連付けられている。ステップ604は、ステップ602の前または後のいずれかに行うことができる。いくつかの実施形態では、調理器具は、選択された食品調理レシピに基づいて相対領域を識別する。いくつかの実施形態では、調理器具は、少なくとも2つの食品の部分を配置するための相対領域を識別した後、食品調理レシピを選択する。すなわち、相対領域の識別及び食品調理レシピの選択の順序に関係なく、食品の部分の配置は、食品調理レシピと一致する必要がある。いくつかの実施形態では、相対領域は、調理チャンバ内に収容された異なる調理台に対応している。
【0063】
少なくとも2つの食品の部分は、少なくとも2つの異なる種類の食品であり得る。少なくとも2つの異なる種類の食品は、異なる熱伝達特性、比熱、及び/または共振周波数を有することができる。
【0064】
ステップ606で、調理器具は、相対領域上に少なくとも2つの食品の部分を配置する指示に関連する情報を表示することができる。調理器具は、内部表示デバイス(例えば、ディスプレイ122及び/またはディスプレイ230)、または外部表示デバイス(例えば、調理器具とネットワーク通信するモバイル通信デバイス)に表示することができる。一実施例では、情報は、相対領域の表現上への、それぞれの識別子を示す指示の直接表示を含む。別の実施例では、情報は、そのような指示を取得する場所へ(例えば、指示の紙のコピーへ)の参照を含む。そのような情報の表示には、調理チャンバの仮想表現の表現が含まれる。そのような情報の表示には、調理チャンバ内の調理台の仮想表現の表現が含まれる。そのような情報の表示には、相対領域における少なくとも2つの食品の部分の配置をそれぞれ示すアニメーションの表現が含まれる。
【0065】
相対領域の表示は、調理チャンバ内の少なくとも1つの調理台(例えば、調理台110及び/または調理台516)上に物理的に具現化される記号的識別子を含むことができる。調理台は取り外し可能な調理台であり得る。いくつかの実施形態では、相対領域は、調理チャンバ内の調理台上の異なる領域にそれぞれ対応することができる。これらの異なる領域は、互いに直接隣接して接触していてもよく、または、少なくとも別の領域/ゾーンを間に挟んで互いに離間していてもよい。いくつかの実施形態では、相対領域は、調理チャンバ内の異なる調理台上にそれぞれ配置される。いくつかの実施形態では、異なる調理台は異なる材料から構成され、加熱システムの少なくとも一部の特定の放射スペクトル構成(例えば、放射スペクトルパワー分布)下で、加熱システムから放射される波は、調理台の別の部分を通過することなく、調理台の少なくとも1つを通過することができる。
【0066】
ステップ608で、調理器具は、食品調理レシピにしたがって加熱シーケンスを決定することができる。加熱シーケンスは、調理器具の加熱システムを駆動するための基礎である。いくつかの実施形態では、加熱シーケンスは、センサ入力に基づいて動的に決定される。例えば、食品調理レシピは、食品の最初の部分に一定量の褐変を付けるよう指示してもよい。したがって、調理器具は、カメラまたは光検出器を利用して、画像の連続ストリームまたは光の読み取り値を取得し、食品の第1部分の褐変レベルを決定することができる。褐変レベルに基づいて、調理器具は加熱シーケンスを動的に調整することができる。別の実施例では、食物調理レシピは、食品の第2部分を煮ることを指示してもよい。したがって、調理器具は、カメラを利用して画像の連続ストリームを取得し、食品の第2部分が煮えているかどうかを判断することができる。判断に基づいて、調理器具は加熱シーケンスを動的に調整することができる。
【0067】
ステップ610で、調理器具は、加熱シーケンスに基づいて、加熱システムが、調理チャンバ内の識別された相対領域で、少なくとも2つの食品の部分に異なる加熱特性で指向性の熱をそれぞれ伝達するように、加熱システムを制御する。いくつかの加熱シーケンスでは、調理器具は、食品の第1部分に指向性の熱を加えることと、食品の第2部分に指向性の熱を加えることとを、順番に、周期的に交替することによって加熱システムを制御する。いくつかの加熱シーケンスでは、調理器具は、異なる加熱特性下で、少なくとも2つの食品の部分に、それぞれ同時に熱を伝達することによって加熱システムを制御する。すなわち、調理器具は、対応する相対領域内の少なくとも2つの食品の部分を同時に調理することができる。いくつかの実施形態では、調理器具は、対応する相対領域内の少なくとも2つの食品の部分で、調理を同時に終了することができる。
【0068】
熱の指向性伝達は、直接的または間接的に行うことができる。一実施例では、加熱システムは、食品の対象部分の共鳴周波数に対応する放射スペクトルを構成し、そのような放射を食品の対象部分に導くことによって、指向性の熱を直接伝達させることができる。別の実施例では、加熱システムは、特定の調理台、または、食品の対象部分が置かれている特定の調理台の特定の部分を加熱することによって、指向性の熱を伝達させることができる。加熱システムは、特定の調理台の共振周波数に対応するように放射スペクトルを構成することによって、特定の調理台を選択することができる。加熱システムは、加熱システム内の加熱要素の空間的指向性を活用することによって、特定の調理台の特定の部分を選択することができる。
【0069】
いくつかの実施例では、加熱システムを制御するステップは、第1の調理台の上の第1の領域に向かって第1の無線電磁波(例えば、電磁エネルギー)を放射する第1の加熱要素と、第2の調理台の上の第2の領域に向かって第2の無線電磁波を放射する第2の加熱要素とを制御するステップを含む。調理器具は、第1の無線電磁波が第1の加熱特性を有し、かつ、第2の無線電磁波が第2の加熱特性を有するように、第1の加熱要素及び第2の加熱要素を駆動することができる。いくつかの実施形態では、第2の調理台は、第2の無線電磁波を実質的に透過させる材料から構成され得る。このように、第2の調理台の下の加熱システムの加熱要素から第2の無線電磁波が放射されても、第2の無線電磁波は、第2の調理台を通過して、第2の調理台の上の食品の第2の部分(例えば、第2の領域)を直接加熱することができる。
【0070】
異なる加熱特性は、異なる加熱強度、異なる加熱持続時間、異なる加熱サイクル、異なる対象材料、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。加熱サイクルは、加熱シーケンス中に周期的に変化する加熱特性のパターンである。いくつかの実施形態では、加熱システムからの放射スペクトルパワー分布を変えることによって、対象の加熱材料が変わる。
【0071】
いくつかの実施形態では、ステップ612で、調理器具は、カメラ(例えば、カメラ118及び/またはカメラ222)を介して、調理チャンバの画像をキャプチャする。これらの実施形態では、ステップ614で、調理器具は、画像に基づいて、少なくとも2つの食品の部分の、相対領域への配置を確認する。調理器具は、食品の部分の誤配置を検出することができる(例えば、カメラ及び画像分析を利用する)。誤配置の検出に応答して、ステップ616で、調理器具は、食品調理レシピを再選択するか、加熱シーケンスを再生成するか、または、食品の部分を再配置するようにユーザに指示することができる。
【0072】
プロセスまたは方法は所与の順序で提示されるが、代替実施形態では、複数のステップを含むルーチンを実行するか、複数のブロックを有するシステムを異なる順序で採用してもよく、一部のプロセスまたはブロックは、代替物またはサブコンビネーションを提供するために、削除、移動、追加、細分化、結合、及び/または変更されてもよい。これらのプロセスまたはブロックはそれぞれ、様々な方法で実装され得る。さらに、プロセスまたはブロックは、時系列で実行されているように示されている場合があるが、これらのプロセスまたはブロックは、代わりに並列で実行されてもよく、異なる時間に実行されてもよい。プロセスまたはステップが値または計算に「基づいている」場合、プロセスまたはステップは、少なくともその値またはその計算に基づいていると解釈される必要がある。
【0073】
本開示のいくつかの実施形態は、上記のものに加えて、またはその代わりに、他の態様、要素、特徴、及びステップを有する。可能性のあるこれらの追加及び置換は、本明細書の残りの部分で説明されている。「様々な実施形態」または「いくつかの実施形態」への本明細書における言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。代替実施形態(例えば、「他の実施形態」として参照される)は、他の実施形態と相互に排他的ではない。さらに、いくつかの実施形態に示され、かつ他の実施形態に示されなくてもよい、様々な特徴が説明されている。同様に、いくつかの実施形態の要件であり得るが、他の実施形態ではあり得ない、様々な要件が説明されている。
【0074】
本開示のいくつかの実施形態は、上記のものに加えて、またはその代わりに、他の態様、要素、特徴、及びステップを有する。可能性のあるこれらの追加及び置換は、本明細書の残りの部分で説明されている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7