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特許6997320複数の係合部を有するコンプライアントピン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】複数の係合部を有するコンプライアントピン
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/58 20110101AFI20220107BHJP
【FI】
H01R12/58
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020532724
(86)(22)【出願日】2018-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 IB2018059584
(87)【国際公開番号】W WO2019123063
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-06-12
(31)【優先権主張番号】15/844,816
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】ティーイー・コネクティビティ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】マイアー,ジョン マーク
(72)【発明者】
【氏名】モール,ハーレイ チェスター
(72)【発明者】
【氏名】マリオン,ロナルド ルイス
(72)【発明者】
【氏名】フライ,ジュニア.ダニエル ウイリアムズ
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-086179(JP,U)
【文献】米国特許第05106310(US,A)
【文献】特開2011-090797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の孔(12)に挿入するための電気コンタクト(16)であって、
前記電気コンタクト(16)は、
コンタクトアーム(26、28)間に延びる開口部(24)を有するコンプライアント部(10)を備え、
前記コンタクトアーム(26、28)のうちの第1のコンタクトアーム(26)が、前記コンプライアント部(10)の前記開口部(24)を狭める方向へ延びる複数の弾性係合部(40、42)と、前記開口部(24)から離れる方向へ前記弾性係合部(40、42)から延びる第1~第3の弾性コンタクト部(30、32、34)とを有し、
前記第2の弾性コンタクト部(32)は、前記電気コンタクト(16)の長手方向の軸(38)の方向において前記第1の弾性コンタクト部(30)と前記第3の弾性コンタクト部(34)との間に位置し、
前記第2の弾性コンタクト部(32)の前記軸(38)の方向における長さは、前記第1の弾性コンタクト部(30)および前記第3の弾性コンタクト部(34)のそれぞれの前記軸(38)の方向における長さよりも長く、
前記コンプライアント部(10)を前記基板の前記孔(12)に挿入すると、前記第1のコンタクトアーム(26)の前記弾性係合部(40、42)が前記コンタクトアーム(26、28)のうちの対向する第2のコンタクトアーム(28)に係合することにより、前記弾性係合部(40、42)の位置でそれぞれ、前記第1、第2のコンタクトアーム(26、28)が互いに実質的に固定された状態で、前記弾性コンタクト部(30、32、34)の各々が他の弾性コンタクト部(30、32、34)から独立して動き、
前記弾性係合部(40、42)および前記弾性コンタクト部(30、32、34)の各々は、変形し、独立した保持力を発生させ、前記保持力が組み合わさって、前記コンプライアント部(10)の総保持力を発生させる、
電気コンタクト。
【請求項2】
前記電気コンタクト(16)は、コネクタ係合部(20)と自由端部(22)とを有し、
前記コンプライアント部(10)は、前記コネクタ係合部(20)と前記自由端部(22)との間に延び、前記自由端部(22)の直径が前記基板の前記孔(12)の直径より小さい、
請求項1に記載の電気コンタクト(16)。
【請求項3】
前記弾性係合部(40、42)は、第1の弾性係合部(40)と第2の弾性係合部(42)とを含み、
前記第1のコンタクトアーム(26)の前記第1の弾性係合部(40)および前記第2の弾性係合部(42)は、前記コンタクトアーム(26、28)のうちの対向するコンタクトアーム(28)に係合する、
請求項2に記載の電気コンタクト(16)。
【請求項4】
前記弾性コンタクト部(30、32、34)は、前記第1の弾性係合部(40)と前記第2の弾性係合部(42)との間に延びる前記第2の弾性コンタクト部(32)を含み、
前記第1のコンタクトアーム(26)の前記第1の弾性係合部(40)および前記第2の弾性係合部(42)が前記コンタクトアーム(26、28)のうちの前記対向するコンタクトアーム(28)に係合すると、前記第2の弾性コンタクト部(32)は単純支持ばねとして作用する、
請求項3に記載の電気コンタクト(16)。
【請求項5】
前記弾性コンタクト部(30、32、34)は、前記電気コンタクト(16)の前記コネクタ係合部(20)と前記第1の弾性係合部(40)との間に延びる前記第1の弾性コンタクト部(30)を含み、
前記第1のコンタクトアーム(26)の前記第1の弾性係合部(40)が前記コンタクトアーム(26、28)のうちの前記第2のコンタクトアーム(28)に係合すると、前記第1の弾性コンタクト部(30)は第1の片持ちばねとして作用し、前記第1のコンタクトアーム(26)の前記第1の弾性係合部(40)が前記コンタクトアーム(26、28)のうちの前記第2のコンタクトアーム(28)に係合すると、前記第1の弾性コンタクト部(30)および前記第2の弾性コンタクト部(32)が独立して動作することにより、前記第2の弾性コンタクト部(32)および前記第1の弾性コンタクト部(30)が独立した前記保持力を発生させる、
請求項4に記載の電気コンタクト(16)。
【請求項6】
前記弾性コンタクト部(30、32)は、前記第2の弾性係合部(42)と前記電気コンタクト(16)の前記自由端部(22)との間に延びる前記第3の弾性コンタクト部(34)を含み、
前記第1のコンタクトアーム(26)の前記第2の弾性係合部(42)が前記コンタクトアーム(26、28)の前記第2のコンタクトアーム(28)に係合すると、前記第3の弾性コンタクト部(34)は第2の片持ちばねとして作用し、前記第1のコンタクトアーム(26)の前記第2の弾性係合部(42)が前記コンタクトアーム(26、28)のうちの前記第2のコンタクトアーム(28)に係合すると、前記第2の弾性コンタクト部(32)および前記第3の弾性コンタクト部(34)独立して動作することにより、前記第2の弾性コンタクト部(32)および前記第3の弾性コンタクト部(34)が独立した前記保持力を発生させる、
請求項5に記載の電気コンタクト(16)。
【請求項7】
前記第1の弾性係合部(40)および前記第2の弾性係合部(42)は弧状構成を有する、
請求項4に記載の電気コンタクト(16)。
【請求項8】
前記第2の弾性コンタクト部(32)は弧状構成を有する、
請求項3に記載の電気コンタクト(16)。
【請求項9】
前記開口部(24)は前記コネクタ係合部(20)から前記自由端部(22)へ延びる、
請求項6に記載の電気コンタクト(16)。
【請求項10】
前記第2のコンタクトアーム(28)は、前記コネクタ係合部(20)から前記自由端部(22)へ延び
前記第1のコンタクトアーム(26)および前記第2のコンタクトアーム(28)は、前記軸(38)に対して線対称に形成されている、
請求項6に記載の電気コンタクト(16)。
【請求項11】
前記第1の弾性コンタクト部(30)および前記第3の弾性コンタクト部(34)は異なる長さを有する、
請求項6に記載の電気コンタクト(16)。
【請求項12】
前記第1の弾性コンタクト部(30)および前記第3の弾性コンタクト部(34)は同じ長さを有する、
請求項6に記載の電気コンタクト(16)。
【請求項13】
前記開口部(24)から離れた方を向く前記コンタクトアーム(26、28)の外面が曲線構成を有する、
請求項1に記載の電気コンタクト(16)。
【請求項14】
基板の孔(12)に挿入された電気コンタクト(16)から保持力を発生させる方法であって、
前記電気コンタクト(16)は、コンタクトアーム(26、28)間に延びる開口部(24)を有するコンプライアント部(10)を備え、
前記コンタクトアーム(26、28)のうちの第1のコンタクトアーム(26)が、前記開口部(24)を狭める方向へ延びる複数の弾性係合部(40、42)と、前記開口部(24)から離れる方向へ前記弾性係合部(40、42)から延びる第1~第3の弾性コンタクト部(30、32、34)とを有し、
前記電気コンタクト(16)の長手方向の軸(38)の方向において前記第1の弾性コンタクト部(30)と前記第3の弾性コンタクト部(34)との間に位置する前記第2の弾性コンタクト部(32)の前記軸(38)の方向における長さは、前記第1の弾性コンタクト部(30)および前記第3の弾性コンタクト部(34)のそれぞれの前記軸(38)の方向における長さよりも長く、
前記方法は、
- 前記電気コンタクト(16)のコンプライアント部(10)を前記基板の前記孔(12)に挿入するステップと、
- 前記コンプライアント部(10)の第1のコンタクトアーム(26)と第2のコンタクトアーム(28)とを互いに向かって押すステップと、
- 前記第1のコンタクトアーム(26)の第1の係合部(40)を前記第2のコンタクトアーム(28)に係合させて、前記第1の係合部(40)のさらなる動きを防ぐステップと、
- 前記第1のコンタクトアーム(26)の第2の係合部(42)を前記第2のコンタクトアーム(28)に係合させて、前記第2の係合部(42)のさらなる動きを防ぐステップと、
- 前記コンプライアント部(10)の前記第1のコンタクトアーム(26)の前記第1の弾性コンタクト部(30)、前記第1のコンタクトアーム(26)の前記第2の弾性コンタクト部(32)、および前記第1のコンタクトアーム(26)の前記第3の弾性コンタクト部(34)を互いに独立して動かステップと、
- 前記第1のコンタクトアーム(26)の前記第1の係合部(40)、前記第1のコンタクトアーム(26)の前記第2の係合部(42)、前記第1のコンタクトアーム(26)の前記第1の弾性コンタクト部(30)、前記第1のコンタクトアーム(26)の前記第2の弾性コンタクト部(32)、および前記第1のコンタクトアーム(26)の前記第3の弾性コンタクト部(34)により発生した力を組み合わせることによって、前記コンプライアント部(10)の総保持力を発生させるステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コンタクト孔と無はんだ電気接続するためのコンプライアント部を有する電気コンタクトに関する。特に、本発明は、コンプライアント部が大きい保持力を発生させてコンプライアント部を電気コンタクト孔に維持することができる、係合部を有するコンプライアント部に関する。
【背景技術】
【0002】
電気コネクタアセンブリを回路基板に取り付けるために、無はんだ圧入電気コンタクトが一般に使用されている。そのような電気コンタクトの一例として、対のビームを形成するように成形されたコンプライアントコンタクトテールが挙げられ、これらのビームは、間にコンタクトボイドを有してそれぞれの端部で互いに接合する。このような電気コンタクトの一部を、針穴電気コンタクトとして特徴付けることができる。ビームは、取付け動作中に、回路基板の対応するめっき貫通孔の内壁に係合するように構成されている。コンタクトテールがめっき貫通孔に挿入されると、ビームおよびコンタクトボイドの構成により、ビームを内壁によって半径方向内方へたわまさせることができる。ビームの外面は、めっき貫通孔と摩擦係合(例えば、締まり嵌め)を形成する。
このようにして、剛性電気コンタクトを使用するときに生じ得るめっき貫通孔および/またはプリント回路基板の損傷の可能性を低くして、はんだを使用せずに、電気コンタクトとめっき貫通孔との電気接続を確立することができる。
【0003】
しかしながら、コンタクトおよびプリント貫通孔の大きさが小さくなると、保持力(引抜き抵抗)が、しばしば最小指定保持力よりも小さくなる。保持力が小さいことは、薄い板金を使用しなければならないことに大きく起因する。コンタクトの密度を高める必要に対応するためにコンタクトが小型になるにつれて、非常に小さい孔に嵌入する小型のコンタクトのための相当な保持力の必要性が増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、解決すべき課題は、コンタクトの大きさまたはコンタクトを挿入する開口部の大きさに関係なく十分な保持力をもたらす、コンプライアント部を有する電気コンタクトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、基板の孔に挿入するための電気コンタクトであって、コンタクトアーム間に延びる開口部を有するコンプライアント部を備える電気コンタクトを提供することによって解決される。コンタクトアームのうちの第1のコンタクトアームが、コンプライアント部の開口部内に延びる複数の弾性係合部と、開口部から離れる方向へ係合部から延びる弾性コンタクト部とを有する。コンプライアント部を基板の孔に挿入すると、第1のコンタクトアームの弾性係合部がコンタクトアームのうちの対向する第2のコンタクトアームに係合することにより、弾性コンタクト部の各々が弾性係合部から独立して、かつ他の弾性コンタクト部から独立して動く。弾性係合部および弾性コンタクト部の各々は、変形し、独立した保持力を発生させ、これらの保持力が組み合わさって、コンプライアント部の総保持力を発生させる。
【0006】
以下で、添付図面を参照しながら本発明について例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明によるコンプライアントピンの第1の例示的な実施形態の2次元正投影図であり、コンプライアントピンがプリント回路基板のめっき貫通孔に挿入される前の状態を示す図である。
図2】プリント回路基板に部分的に挿入された、図1のコンプライアントピンの断面図である。
図3】プリント回路基板に完全に挿入された、図1のコンプライアントピンの断面図である。
図4】本発明によるコンプライアントピンの第2の例示的な実施形態の2次元正投影図である。
図5】本発明によるコンプライアントピンの第3の例示的な実施形態の2次元正投影図である。
図6】本発明によるコンプライアントピンの第4の例示的な実施形態の2次元正投影図である。
図7】実施形態についての力対たわみのプロットを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図3に示すコンプライアント部10は、プリント回路基板14などの基板のめっき貫通孔12のような孔に取り付けられる、いくつかの異なる電気コンタクトまたはピン16のうちの1つに含まれ得る。コンプライアント部10は、めっき貫通孔12に押し込まれ、コンプライアント部10の弾性特性によりめっき貫通孔12内で保持される、電気コンタクトまたはピン16の一部である。コンプライアント部10を孔12に挿入するのに必要な力およびコンプライアント部10を孔から引き抜くのに必要な力は、コンプライアント部10の重要な特性である。コンプライアント部10の構成および動作は、コンプライアント部10を孔12に挿入するのに必要な力とコンプライアント部10を引き抜くのに必要な力との両方に寄与する。
【0009】
コンプライアント部10は、コネクタ係合部20と自由端部22との間に位置する第1のコンタクトアーム26および第2のコンタクトアーム28を備える。コネクタ係合部20および自由端部22は任意の形状であってよく、本発明に直接関連しないため、詳細に図示しない。図1に最もよく見られるように、自由端部22の直径は、基板14の孔12の直径より小さく、コンプライアント部10が孔12に挿入される前のコンプライアント部10の幅より小さい。
【0010】
ピン16およびコンプライアント部10は、ストック(stock、図示せず)の平坦部分を型打ちすることによって形成され、これにより、第1のコンタクトアーム26と第2のコンタクトアーム28との間に位置し、かつコネクタ係合部20と自由端部22との間に延びる開口部24を有するコンプライアント部10が得られる。コンプライアント部10は、コネクタ係合部20と自由端部22との間に延びる。
【0011】
図1図3に示す例示的な実施形態において、第2のコンタクトアーム28は第1のコンタクトアーム26の鏡像である。各コンタクトアーム26、28は、第1の弾性コンタクト部30、第2の弾性コンタクト部32、および第3の弾性コンタクト部34を有する。各コンタクトアーム26、28は、第1の係合部40および第2の係合部42も有する。
【0012】
第1の弾性コンタクト部30は、第1のセグメント30aおよび第2のセグメント30bを含む。第1のセグメント30aは、コネクタ係合部20に連結し、電気コンタクト16の長手方向軸38から下方および斜め外方へ延びる。第2のセグメント30bは、弧状移行部30cによって第1のセグメント30aに連結する。第2のセグメント30bは、電気コンタクト16の長手方向軸38に向かって下方へ斜めに延びる。第1の係合部40は、弧状移行部30cから離間した第2のセグメント30bの端部に位置する。
【0013】
第2の弾性コンタクト部32は、第3のセグメント32aおよび第4のセグメント32bを含む。第3のセグメント32aは、第1の係合部40に連結し、電気コンタクト16の長手方向軸38から下方および斜め外方へ延びる。第4のセグメント32bは、弧状移行部32cによって第3のセグメント32aに連結する。第4のセグメント32bは、電気コンタクト16の長手方向軸38に向かって下方へ斜めに延びる。第2の係合部42は、弧状移行部32cから離間した第4のセグメント32bの端部に位置する。
【0014】
第3の弾性コンタクト部34は、第5のセグメント34aおよび第6のセグメント34bを含む。第5のセグメント34aは、第2の係合部42に連結し、電気コンタクト16の長手方向軸38から下方および斜め外方へ延びる。第6のセグメント34bは、弧状移行部34cによって第5のセグメント34aに連結する。第6のセグメント34bは、電気コンタクト16の長手方向軸38に向かって下方へ斜めに延びる。自由端部22は、弧状移行部34cから離間した第6のセグメント34bの端部に位置する。
【0015】
図1に示すように、第1の係合部40および第2の係合部42は、開口部24内に延び、または開口部24を狭める。第1の弾性コンタクト部30、第2の弾性コンタクト部32、および第3の弾性コンタクト部34は、第1の係合部40および第2の係合部42から外方へ延びて開口部24を広げる。
【0016】
例示的な本実施形態において、第1の弾性コンタクト部30は、第3の弾性コンタクト部34と等しいか、または同じ長さを有する。加えて、第2の弾性コンタクト部32は、第1の弾性コンタクト部30と概ね等しいか、または同じ長さを有する。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、他の構成を使用してもよい。
【0017】
コンタクトアーム26、28の外向き面は、左右に、すなわちコンタクト16の軸38に対して横方向に湾曲している。湾曲は、対称であっても非対称であってもよい。
【0018】
コンタクトアーム26、28の全体構成は、第1の係合部40および第2の係合部42によって分断された状態で、角度を有して曲がったコンプライアント部を画定するようになっている。
【0019】
図2および図3に、コンプライアント部10がめっき貫通孔12に挿入される様子が示される。図2を参照し、コンタクト16が下方に押されると、コンタクトアーム26、28が孔12に入り、第3の弾性コンタクト部34の第6のセグメント34bが孔12の壁に係合する。第6のセグメント34bが孔12の壁に係合すると、コンタクトアーム26、28の第6のセグメント34bおよび第3の弾性コンタクト部34が軸38に向かって内方へ弾性変形する。
【0020】
挿入を続けると、孔12の大きさおよびコンプライアント部10の幅により、コンタクトアーム26、28の第3の弾性コンタクト部34は、第1の弾性アーム26の第2の係合部42と第2の弾性アーム28の第2の係合部42とが係合することによって第2の係合部42がさらに内方へ動けなくなるまで、内方への変形を続ける。開口部12の大きさおよびコンプライアント部10の幅により、第1のアーム26および第2のアーム28の全体のたわみが変化することに留意されたい。
【0021】
第2の係合部42は、係合すると、実質的に固定点となるため、第3の弾性コンタクト部34のさらなる動きまたは変形が、弾性コンタクト部30および第2の弾性コンタクト部32のさらなる動きまたは変形から独立したものになる。
【0022】
挿入を続けると、第3の弾性コンタクト部34は、動きまたは弾性変形を続け、第3の弾性コンタクト部34が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。自由端部22への第3の弾性コンタクト部34の連結が固定され、第2の係合部42の係合によって第2の係合部42が固定されるという点で、力が増強される。
【0023】
挿入を続けると、第2の弾性コンタクト部32の第4のセグメント32bが孔12の壁に係合する。第4のセグメント32bが孔12の壁に係合すると、コンタクトアーム26、28の第4のセグメント32bおよび第2の弾性コンタクト部32が軸38に向かって内方へ弾性変形する。
【0024】
挿入を続けると、孔12の大きさおよびコンプライアント部10の幅により、コンタクトアーム26、28の第2の弾性コンタクト部32は、第1の弾性アーム26の第1の係合部40と第2の弾性アーム28の第1の係合部40とが係合することによって第1の係合部40がさらに内方へ動けなくなるまで、内方への変形を続ける。
【0025】
第1の係合部40は、係合すると、実質的に固定点となるため、第2の弾性コンタクト部32のさらなる動きまたは変形が、第1の弾性コンタクト部30のさらなる動きまたは変形から独立したものになる。
【0026】
挿入を続けると、第2の弾性コンタクト部32は、動きまたは弾性変形を続け、第2の弾性コンタクト部32が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。第2の係合部42の係合点に第2の弾性コンタクト部32が連結していることによって第2の係合部42が固定され、第1の係合部40の係合によって第1の係合部40が固定されるという点で、力が増強される。
【0027】
挿入を続けると、第1の弾性コンタクト部30の第2のセグメント30bが孔12の壁に係合する。第2のセグメント30bが孔12の壁に係合すると、コンタクトアーム26、28の第2のセグメント30bおよび第1の弾性コンタクト部30が軸38に向かって内方へ弾性変形する。
【0028】
挿入を続けると、第1の弾性コンタクト部30は、動きまたは弾性変形を続け、第1の弾性コンタクト部30が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。第1の係合部40の係合点に第1の弾性コンタクト部30が連結していることによって第1の係合部40が固定され、第1の係合部40の係合によって第1の係合部40が固定され、コネクタ係合部20への第1の弾性コンタクト部30の連結が固定されるという点で、力が増強される。
【0029】
コンプライアント部10を挿入する開口部または孔の大きさに応じて、第1の弾性コンタクト部30、第2の弾性コンタクト部32、および/または第3の弾性コンタクト部34の一部が、めっき貫通孔と電気的に係合する。
【0030】
第1の係合部40および第2の係合部42を使用することにより、コンプライアント部10は、開口部12に最初に挿入されるときに従来の針穴コンプライアント部として動作することができるため、コンプライアント部10が最初に挿入されるときの挿入力を小さくすることができる。しかしながら、係合部40、42が係合すると、弾性コンタクト部30、32、34は独立したばね部材として作用するため、図7の曲線702で表されるように、公知のコンプライアントピンによって発生させることのできる保持力よりも著しく大きい保持力をもたらす。
【0031】
第1の弾性コンタクト部30、第2の弾性コンタクト部32、および第3の弾性コンタクト部34が固定点の周りで内方へ動く、または圧縮されて湾曲の少ない経路を形成するにつれて、コンプライアント部10の全長が増加し得る。
【0032】
図4に、第2の例示的なコンプライアント部410が示される。図1に示す実施形態と同様に、各コンタクトアーム426、428は、第1の弾性コンタクト部430、第2の弾性コンタクト部432、および第3の弾性コンタクト部434を有する。各コンタクトアーム426、428は、第1の係合部440および第2の係合部442も有する。
【0033】
本実施形態において、第2の弾性コンタクト部432の大きさは、第1の弾性コンタクト部430および第3の弾性コンタクト部434の大きさより大きい。これにより、第2の弾性コンタクト部432に関連する力を、第1の弾性コンタクト部430および第3の弾性コンタクト部434に関連する力とは異ならせることができ、第2の弾性コンタクト部432に関連する力とは異ならせることができる。しかしながら、コンプライアント部410の挿入および動作は、図1図3に関して説明したものと同様である。
【0034】
第1の係合部440および第2の係合部442を使用することにより、コンプライアント部410は、開口部に最初に挿入されるときに従来の針穴コンプライアント部として動作することができるため、コンプライアント部410が最初に挿入されるときの挿入力を小さくすることができる。しかしながら、係合部440、442が係合すると、弾性コンタクト部430、432、434は独立したばね部材として作用するため、図7の曲線704で表されるように、公知のコンプライアントピンによって発生させることのできる保持力よりも著しく大きい保持力をもたらす。
【0035】
図5に、第3の例示的なコンプライアント部510が示される。コンプライアント部510は、コネクタ係合部520と自由端部522との間に位置する第1のコンタクトアーム526および第2のコンタクトアーム528を備える。コネクタ係合部520および自由端部522は任意の形状であってよく、本発明に直接関連しないため、詳細に図示しない。
【0036】
ピン516およびコンプライアント部510は、ストック(図示せず)の平坦部分を型打ちすることによって形成され、これにより、第1のコンタクトアーム526と第2のコンタクトアーム528との間に位置し、かつコネクタ係合部520と自由端部522との間に延びる開口部524を有するコンプライアント部510が得られる。コンプライアント部510は、コネクタ係合部520と自由端部522との間に延びる。
【0037】
第2のコンタクトアーム528は、第1のコンタクトアーム526の鏡像である。各コンタクトアーム526、528は、第1の弾性コンタクト部530、第2の弾性コンタクト部532、および第3の弾性コンタクト部534を有する。各コンタクトアーム526、528は、第1の係合部540および第2の係合部542も有する。
【0038】
第1の弾性コンタクト部530は、第1のセグメント530aを含む。第1のセグメント530aは、コネクタ係合部520に連結し、電気コンタクト516の長手方向軸538に基本的に平行に下方へ延びる。第1の係合部540は、第1のセグメント530aの端部に位置する。
【0039】
第2の弾性コンタクト部532は、第2のセグメント532aを含む。第2のセグメント532aは、第1の係合部540に連結し、電気コンタクト516の長手方向軸538から弧状構成で下方および外方へ延びる。第2の係合部542は、第2の係合部542から離間した第2のセグメント532aの端部に位置する。
【0040】
第3の弾性コンタクト部534は、第3のセグメント534aを含む。第3のセグメント534aは、第2の係合部542に連結し、電気コンタクト516の長手方向軸538に向かって下方および斜め内方へ延びる。自由端部522は、第1の係合部540から離間した第3のセグメント534aの端部に位置する。
【0041】
第1の係合部540および第2の係合部542は、開口部524内に延び、または開口部524を狭める。コンタクトアーム526、528の全体構成は、第1の弾性コンタクト部530によって分断された状態で、角度を有して曲がったコンプライアント部を画定するようになっている。
【0042】
コンタクトアーム526、528の外向き面は、左右に、すなわちコンタクト516の軸538に対して横方向に湾曲している。湾曲は、対称であっても非対称であってもよい。
【0043】
コンプライアント部510をめっき貫通孔512に挿入する間、コンタクト516は下方へ押され、コンタクトアーム526、528は孔に入り、第3の弾性コンタクト部534の第3のセグメント534aは孔の壁に係合する。第3のセグメント534aが孔の壁に係合すると、コンタクトアーム526、528の第3のセグメント534aおよび第3の弾性コンタクト部534が軸538に向かって内方へ弾性変形する。
【0044】
挿入を続けると、孔の大きさおよびコンプライアント部510の幅により、コンタクトアーム526、528の第3の弾性コンタクト部534は、第1の弾性アーム526の第2の係合部542と第2の弾性アーム528の第2の係合部542とが係合することによって第2の係合部542がさらに内方へ動けなくなるまで、内方への変形を続ける。開口部の大きさおよびコンプライアント部510の幅により、第1のアーム526および第2のアーム528の全体のたわみが変化することに留意されたい。
【0045】
第2の係合部542は、係合すると、実質的に固定点となるため、第3の弾性コンタクト部534のさらなる動きまたは変形が、第1の弾性コンタクト部530および第2の弾性コンタクト部532のさらなる動きまたは変形から独立したものになる。
【0046】
挿入を続けると、第3の弾性コンタクト部534は、動きまたは弾性変形を続け、第3の弾性コンタクト部534が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。自由端部522への第3の弾性コンタクト部534の連結が固定され、第2の係合部542の係合によって第2の係合部542が固定されるという点で、力が増強される。
【0047】
挿入を続けると、第2の弾性コンタクト部532の第2のセグメント532aが孔の壁に係合する。第2のセグメント532aが孔の壁に係合すると、コンタクトアーム526、528の第2のセグメント532aおよび第2の弾性コンタクト部532が軸538に向かって内方へ弾性変形する。
【0048】
挿入を続けると、孔の大きさおよびコンプライアント部510の幅により、コンタクトアーム526、528の第2の弾性コンタクト部532は、第1の弾性アーム526の第1の係合部540と第2の弾性アーム528の第1の係合部540とが係合することによって第1の係合部540がさらに内方へ動けなくなるまで、内方への変形を続ける。
【0049】
第1の係合部540は、係合すると、実質的に固定点となるため、第2の弾性コンタクト部532のさらなる動きまたは変形が、第1の弾性コンタクト部530のさらなる動きまたは変形から独立したものになる。
【0050】
挿入を続けると、第2の弾性コンタクト部532は、動きまたは弾性変形を続け、第2の弾性コンタクト部532が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。第2の係合部542の係合点に第2の弾性コンタクト部532が連結していることによって第2の係合部542が固定され、第1の係合部540の係合によって第1の係合部540が固定されるという点で、力が増強される。
【0051】
挿入を続けると、第1の弾性コンタクト部530の第1のセグメント530aが孔の壁に係合する。第1のセグメント530aが孔の壁に係合すると、コンタクトアーム526、528の第1のセグメント530aおよび第1の弾性コンタクト部530が軸538に向かって内方へ弾性変形する。
【0052】
挿入を続けると、第1の弾性コンタクト部530は、動きまたは弾性変形を続け、第1の弾性コンタクト部530が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。第1の係合部540の係合点に第1の弾性コンタクト部530が連結していることによって第1の係合部540が固定され、第1の係合部540の係合によって第1の係合部540が固定され、コネクタ係合部520への第1の弾性コンタクト部530の連結が固定されるという点で、力が増強される。
【0053】
コンプライアント部510を挿入する開口部または孔の大きさに応じて、第1の弾性コンタクト部530、第2の弾性コンタクト部532、および/または第3の弾性コンタクト部534の一部が、めっき貫通孔と電気的に係合する。
【0054】
第1の係合部540および第2の係合部542を使用することにより、コンプライアント部510は、開口部に最初に挿入されるときに従来の針穴コンプライアント部として動作することができるため、コンプライアント部510が最初に挿入されるときの挿入力を小さくすることができる。しかしながら、係合部540、542が係合すると、弾性コンタクト部530、532、534は独立したばね部材として作用するため、公知のコンプライアントピンによって発生させることのできる保持力よりも著しく大きい保持力をもたらす。
【0055】
第2の弾性コンタクト部532および第3の弾性コンタクト部534が固定点の周りで内方へ動く、または圧縮されて湾曲の少ない経路を形成するにつれて、コンプライアント部510の全長が増加し得る。
【0056】
図6に、第4の例示的なコンプライアント部610が示される。コンプライアント部610は、コネクタ係合部620と自由端部622との間に位置する第1のコンタクトアーム626および第2のコンタクトアーム628を備える。コネクタ係合部620および自由端部622は任意の形状であってよく、本発明に直接関連しないため、詳細に図示しない。
【0057】
ピン616およびコンプライアント部610は、ストック(図示せず)の平坦部分を型打ちすることによって形成され、これにより、第1のコンタクトアーム626と第2のコンタクトアーム628との間に位置し、かつコネクタ係合部620と自由端部622との間に延びる開口部624を有するコンプライアント部610が得られる。コンプライアント部610は、コネクタ係合部620と自由端部622との間に延びる。
【0058】
第2のコンタクトアーム628は、第1のコンタクトアーム626の鏡像である。各コンタクトアーム626、628は、第1の弾性コンタクト部630、第2の弾性コンタクト部632、および第3の弾性コンタクト部634を有する。各コンタクトアーム626、628は、第1の係合部640および第2の係合部642も有する。
【0059】
第1の弾性コンタクト部630は、第1のセグメント630aを含む。第1のセグメント630aは、コネクタ係合部620に連結し、電気コンタクト616の長手方向軸638から弧状構成で下方および外方へ延びる。第1の係合部640は、第1のセグメント630aの端部に位置する。
【0060】
第2の弾性コンタクト部632は、第2のセグメント632aを含む。第2のセグメント632aは、第1の係合部640に連結し、電気コンタクト616の長手方向軸638から弧状構成で下方へ延びる。第2の係合部642は、第2の係合部642から離間した第2のセグメント632aの端部に位置する。
【0061】
第3の弾性コンタクト部634は、第3のセグメント634aを含む。第3のセグメント634aは、第2の係合部642に連結し、電気コンタクト616の長手方向軸638に向かって弧状構成で下方および内方へ延びる。自由端部622は、第1の係合部640から離間した第3のセグメント634aの端部に位置する。
【0062】
第1の係合部640および第2の係合部642は、開口部624内に延び、または開口部624を狭める。第1の係合部640と第2の係合部642との間に補強部641を設けて、第2の弾性コンタクト部632にさらなる強度を与えてもよい。コンタクトアーム626、628の全体構成は、角度を有して曲がったコンプライアント部を画定するようになっている。
【0063】
コンタクトアーム626、628の外向き面は、左右に、すなわちコンタクト616の軸638に対して横方向に湾曲している。湾曲は、対称であっても非対称であってもよい。
【0064】
コンプライアント部610をめっき貫通孔612に挿入する間、コンタクト616は下方へ押され、コンタクトアーム626、628は孔に入り、第3の弾性コンタクト部634の第3のセグメント634aは孔の壁に係合する。第3のセグメント634aが孔の壁に係合すると、コンタクトアーム626、628の第3のセグメント634aおよび第3の弾性コンタクト部634が軸638に向かって内方へ弾性変形する。
【0065】
挿入を続けると、孔の大きさおよびコンプライアント部610の幅により、コンタクトアーム626、628の第3の弾性コンタクト部634は、第1の弾性アーム626の第2の係合部642と第2の弾性アーム628の第2の係合部642とが係合することによって第2の係合部642がさらに内方へ動けなくなるまで、内方への変形を続ける。開口部の大きさおよびコンプライアント部610の幅により、第1のアーム626および第2のアーム628の全体のたわみが変化することに留意されたい。
【0066】
第2の係合部642は、係合すると、実質的に固定点となるため、第3の弾性コンタクト部634のさらなる動きまたは変形が、弾性コンタクト部630および第2の弾性コンタクト部632のさらなる動きまたは変形から独立したものになる。
【0067】
挿入を続けると、第3の弾性コンタクト部634は、動きまたは弾性変形を続け、第3の弾性コンタクト部634が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。自由端部622への第3の弾性コンタクト部634の連結が固定され、第2の係合部642の係合によって第2の係合部642が固定されるという点で、力が増強される。
【0068】
挿入を続けると、第2の弾性コンタクト部632の第2のセグメント632aが孔の壁に係合する。第2のセグメント632aが孔の壁に係合すると、コンタクトアーム626、628の第2のセグメント632aおよび第2の弾性コンタクト部632が軸638に向かって内方へ弾性変形する。
【0069】
挿入を続けると、孔の大きさおよびコンプライアント部610の幅により、コンタクトアーム626、628の第2の弾性コンタクト部632は、第1の弾性アーム626の第1の係合部640と第2の弾性アーム628の第1の係合部640とが係合することによって第1の係合部640がさらに内方へ動けなくなるまで、内方への変形を続ける。
【0070】
第1の係合部640は、係合すると、実質的に固定点となるため、第2の弾性コンタクト部632のさらなる動きまたは変形が、第1の弾性コンタクト部630のさらなる動きまたは変形から独立したものになる。
【0071】
挿入を続けると、第2の弾性コンタクト部632は、動きまたは弾性変形を続け、第2の弾性コンタクト部632が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。第2の係合部642の係合点に第2の弾性コンタクト部632が連結していることによって第2の係合部642が固定され、第1の係合部640の係合によって第1の係合部640が固定されるという点で、力が増強される。
【0072】
挿入を続けると、第1の弾性コンタクト部630の第1のセグメント630aが孔の壁に係合する。第1のセグメント630aが孔の壁に係合すると、コンタクトアーム626、628の第1のセグメント630aおよび第1の弾性コンタクト部630が軸638に向かって内方へ弾性変形する。
【0073】
挿入を続けると、第1の弾性コンタクト部630は、動きまたは弾性変形を続け、第1の弾性コンタクト部630が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。第1の係合部640の係合点に第1の弾性コンタクト部630が連結していることによって第1の係合部640が固定され、第1の係合部640の係合によって第1の係合部640が固定され、コネクタ係合部620への第1の弾性コンタクト部630の連結が固定されるという点で、力が増強される。
【0074】
コンプライアント部610を挿入する開口部または孔の大きさに応じて、第1の弾性コンタクト部630、第2の弾性コンタクト部632、および/または第3の弾性コンタクト部634の一部が、めっき貫通孔と電気的に係合する。
【0075】
第1の係合部640および第2の係合部642を使用することにより、コンプライアント部610は、開口部に最初に挿入されるときに従来の針穴コンプライアント部として動作することができるため、コンプライアント部610が最初に挿入されるときの挿入力を小さくすることができる。しかしながら、係合部640、642が係合すると、弾性コンタクト部630、632、634は独立したばね部材として作用するため、図7の曲線706で表されるように、公知のコンプライアントピンによって発生させることのできる保持力よりも著しく大きい保持力をもたらす。
【0076】
第2の弾性コンタクト部632および第3の弾性コンタクト部634が固定点の周りで内方へ動く、または圧縮されて湾曲の少ない経路を形成するにつれて、コンプライアント部610の全長が増加し得る。
【0077】
図7は、各実施形態についての代表的な力対変位のプロットを示す。これらのプロットは、コンプライアント部の構成により十分な回復可能なエネルギーが得られるため、各実施形態についての保持力が強いままであることを示し、これにより、本発明のコンプライアント部を、振動などが存在する厳しい環境、例えば、自動車の適用において使用することができる。曲線702は、図1に示す例示的な実施形態についての力対変位のプロットの代表例である。曲線704は、図4に示す例示的な実施形態についての力対変位のプロットの代表例である。曲線706は、図6に示す例示的な実施形態についての力対変位のプロットの代表例である。特定の実施形態が示されているが、他の実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく、異なる力対変位のプロットを有していてもよい。
【0078】
本発明による、基板の開口部に挿入された電気コンタクトから保持力を発生させる方法は、電気コンタクトのコンプライアント部を基板の開口部に挿入するステップと、コンプライアント部の第1のコンタクトアームと第2のコンタクトアームとを互いに向かって押すステップと、第1のコンタクトアームの第1の係合部を第2のコンタクトアームに係合させて、第1の係合部のさらなる動きを防ぐステップと、第1のコンタクトアームの第2の係合部を第2のコンタクトアームに係合させて、第2の係合部のさらなる動きを防ぐステップと、コンプライアント部の第1のコンタクトアームの第1の弾性コンタクト部、第1のコンタクトアームの第2の弾性コンタクト部、および第1のコンタクトアームの第3の弾性コンタクト部を動かして、互いに独立して、かつ第1のコンタクトアームの第1の係合部および第1のコンタクトアームの第2の係合部から独立して動くようにするステップと、第1のコンタクトアームの第1の係合部、第1のコンタクトアームの第2の係合部、第1のコンタクトアームの第1の弾性コンタクト部、第1のコンタクトアームの第2の弾性コンタクト部、および第1のコンタクトアームの第3の弾性コンタクト部により発生した力を組み合わせることによって、コンプライアント部の総保持力を発生させるステップとを含む。
【0079】
方法は、第2のコンタクトアームの第1の係合部を第1のコンタクトアームの第1の係合部に係合させて、第1の係合部のさらなる動きを防ぐステップと、第2のコンタクトアームの第2の係合部を第1のコンタクトアームの第2の係合部に係合させて、第2の係合部のさらなる動きを防ぐステップと、コンプライアント部の第2のコンタクトアームの第1の弾性コンタクト部、第2のコンタクトアームの第2の弾性コンタクト部、および第2のコンタクトアームの第3の弾性コンタクト部を動かして、互いに独立して、かつ第2のコンタクトアームの第1の係合部および第2のコンタクトアームの第2の係合部から独立して動くようにするステップと、第1のコンタクトアームの第1の係合部、第1のコンタクトアームの第2の係合部、第1のコンタクトアームの第1の弾性コンタクト部、第1のコンタクトアームの第2の弾性コンタクト部、第1のコンタクトアームの第3の弾性コンタクト部、第2のコンタクトアームの第1の係合部、第2のコンタクトアームの第2の係合部、第2のコンタクトアームの第1の弾性コンタクト部、第2のコンタクトアームの第2の弾性コンタクト部、および第2のコンタクトアームの第3の弾性コンタクト部により発生した力を組み合わせることによって、コンプライアント部の総保持力を発生させるステップとをさらに含む。
【0080】
本明細書に記載のコンプライアント部を、材料ストック厚さが0.40mm以下である0.50mm×0.40mmの大きさのピンを含む、あらゆる大きさおよびあらゆる材料のピンと共に使用することができる。加えて、弾性コンタクトアームが公知のコンプライアント部より長いため、本発明のコンプライアント部によって、コンプライアント部が孔に挿入されるときに生じる破損の可能性が最小限になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7