(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】転写法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20220107BHJP
C08F 4/00 20060101ALI20220107BHJP
C08F 20/14 20060101ALI20220107BHJP
C08F 12/08 20060101ALI20220107BHJP
B29C 33/38 20060101ALI20220107BHJP
B29C 59/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
C08F4/00
C08F20/14
C08F12/08
B29C33/38
B29C59/02 B
(21)【出願番号】P 2020533610
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 FR2018053396
(87)【国際公開番号】W WO2019122705
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-08-18
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ナヴァロ, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ニコレ, セリア
(72)【発明者】
【氏名】シュバリエ, ザビエル
(72)【発明者】
【氏名】デラシャ, フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】テイッセードル, ユベール
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-517763(JP,A)
【文献】特開2011-148117(JP,A)
【文献】特開2011-224945(JP,A)
【文献】特開2012-048772(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0080471(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0079351(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
C08F 4/00
C08F 20/14
C08F 12/08
B29C 33/38
B29C 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
・接着プライマー(表面活性プラズマ)によって事前に処理されたか、又は事前に処理されていないテンプレート上に、付着防止層を堆積させる工程、当該付着防止層は、分子が熱により、有機若しくは無機のレドックスにより、光化学的に、せん断により、プラズマにより、又はイオン化照射の影響のもとで活性化されるとフリーラジカルを発生させる少なくとも1つの共有結合を有するホモポリマー又はコポリマーを含有するものであり、当該ホモポリマー又はコポリマーは、5mN/mより大きい表面エネルギーを有し、25℃又は使用温度で1000MPaより大きい弾性率E’を有し、かつ500g/molより大きい重量平均分子量を有するものであり、
・熱により、有機若しくは無機のレドックスにより、光化学的に、せん断により、プラズマにより、又はイオン化照射の影響のもとでフリーラジカルを発生させる共有結合を活性化させて、テンプレート上に厚さが50nm未満の膜を形成する工程、
・事前に堆積されているかどうかにかかわらず、厚さが100nm~5mmの範囲の
インプリントとして用いるポリマー樹脂を、1GPaより大きいヤング率を有する
、膜が形成されたテンプレート上に堆積又は積層させる工程、
・インプリントとして用いる
ポリマー樹脂を重合又は冷却する工程、
・
冷却したポリマー樹脂をインプリント
として取り出す工程
により特徴付けられる、
インプリントを製造するための方法。
【請求項2】
フリーラジカルを発生させる共有結合が、90~270kJ/molの結合エネルギーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ホモポリマー又はコポリマーが、制御されたラジカル重合によって製造される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ホモポリマー又はコポリマーが、ニトロキシドを介したラジカル重合によって製造される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ニトロキシドが、以下の式:
[式中、ラジカルR
Lは、15.0342より大きいモル質量を有する]
に対応する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ニトロキシドが、N-(tert-ブチル)-1-ジエチルホスホノ-2,2-ジメチルプロピル ニトロキシドである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
メチルメタクリレート、スチレン及び2-メチル-2-[N-tert-ブチル-N-(ジエトキシホスホリル-2,2-ジメチルプロピル)アミノオキシ]プロピオン酸の合成生成物により特徴付けられる、請求項1に記載の方法で使用されるコポリマー。
【請求項8】
スチレン及び2-メチル-2-(N-tert-ブチル-N-(ジエトキシホスホリル-2,2-ジメチルプロピル)アミノオキシ)プロピオン酸の合成生成物により特徴付けられる、請求項1に記載の方法で使用されるホモポリマー。
【請求項9】
2-メチル-2-(N-tert-ブチル-N-(ジエトキシホスホリル-2,2-ジメチルプロピル)アミノオキシ)プロピオン酸と、ヒドロキシエチルアクリレート及びスチレンとの合成生成物により特徴付けられる、請求項1に記載の方法で使用されるコポリマー。
【請求項10】
以下の分野:
リソグラフィー用のマクロインプリンティング、マイクロインプリンティング、ナノインプリンティング若しくはスタンピング、マイクロエレクトロニクス、フォトニクス、光電子工学用途(LED、光起電)、MEMS、NEMS、メモリ、マイクロ流体工学、バイオテクノロジー、生物医学、自浄式表面、反射防止性表面、ディスプレイ(スクリーン)、複製担体(インプリント作製)用の転写、オーディオ若しくはビデオ、例えばCD若しくはDVD、若しくはレコード盤、又はより大型の物体、例えばレジャー、スポーツ、車又は航空学の分野における技術的用途のための物体
における、請求項1に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着防止層の新規クラスを用いた転写法に関する。より具体的には、本発明は、ナノインプリントリソグラフィー法のための付着防止層の新規クラスを用いた転写法に関する。
【0002】
本発明はまた、本方法を用いて得られるインプリントに関する。
【背景技術】
【0003】
ナノインプリントリソグラフィーは、ナノメータースケールのモデルを製造するための方法である。ナノインプリントリソグラフィーは、単純で低コストのナノリソグラフィー法であり、処理量も高く、解像度も高い。ナノインプリントリソグラフィーでは、既存のパターンを重合性又は可融性調製物のテンプレート上に移すことによって、パターンが生成される。重合性調製物は通常、モノマー及び/又はポリマーの調製物であり、これをインプリント法の間に熱又は電磁照射によって硬化させる。可融性調製物の場合、融点で成形してから、冷却する。重合性(又は可融性)調製物と、テンプレート(型)との接着は、精密な取り外しが可能なように制御される。既知の技術(M. Keil et al., J. Vac. Sci. Technol. B 22(6), Nov/Dec 2004; H. Schulz et al, Proc. SPIE 3996, 244-249, 2000)ではこのような接着性を、付着防止機能を保証するフルオロ官能基と、この層をテンプレート上にグラフト可能な官能基(一般的にはシラン)とを含有するポリマーによって制御する。この付着防止層は絶対に、テンプレート上に残さなければならないからである。
【0004】
転写法は、以下の工程によって要約することができる:
【0005】
テンプレート1(
図1)は、ナノインプリンティングの場合、シリコン系材料から形成されている。その他の転写法のためには、テンプレートがその他の性質のもの、例えば無機物、金属、さらには有機物であり得る。
【0006】
付着防止層2(
図2)は、テンプレートには接着するが、インプリントには接着しない材料で形成されている。
【0007】
インプリント3(
図3)は、樹脂(重合性又は非重合性調製物)から形成されており、付着防止層で覆われたテンプレートの形状に適合することになる。
【0008】
プロセスが終了したら、インプリント3を1と2のアセンブリから取り出す(
図4)。
【0009】
適切であれば、接着プライマーを、テンプレート1と付着防止層2との間に加える。
【0010】
付着防止層は、少なくとも2つの特性を有する必要がある:
付着防止層は、接着プライマー(例えば酸素プラズマによる活性化)ありで、又は接着プライマー無しで、テンプレートに接着しなければならず、インプリントに接着してはならない。
【0011】
これらの2つの条件について折り合いをつけるのは難しく、精緻な化学が、これらの特性を両立させるために用いられる。ナノインプリントの場合、現在の解決法では複製に際して、電子工学の要求を満たすには欠陥が多すぎるインプリントにつながってしまう。
【0012】
具体的には、転写の品質を改善させるために、重合性調製物に提示された付着防止層の表面エネルギーをできるだけ低くしなければならないこと(すなわち、転写の欠陥を最小化すること)、また表面の汚染を回避することによって、転写された材料の寿命も改善しなければならないことが、文献には多く開示されている(Bharat Bhushan, Springer Science & Business Media, 2010年4月23日、p.291))。厚さが非常に薄くても(ナノインプリントリソグラフィー法の場合、数ナノメータ)、化学的に不活性であり、疎水性であり、テンプレートの良好な充填を可能にしなければならない(上記文献の同箇所)。このような教示は、米国特許出願第2013/0084352号、及び米国特許出願第2003/0080471号にも開示されている。これら2つの文献は、疎水性フルオロ化合物を使用することについて、明示的に言及している。
【0013】
テンプレートへの接着もまた、一般的にはシラン官能基によってもたらされ、その一方で、重合性調製物に対する付着防止特性は、フルオロ官能基によってもたらされる(上記文献の同箇所)。
【0014】
WO 2012/140383は、本発明に記載されたプロセスと似た特徴を有する表面処理について言及しているが、この文献には、ナノインプリントの領域における適用(従来技術におけるナノインプリント法及び付着防止層とは両立しない)について、何ら言及していない。
【0015】
出願人は、付着防止層に関連して一般的に認められた特性とは異なる意外な発見をした。
【0016】
よって出願人は、重合性、又は非重合性の調製物に対して提示された本発明の方法の付着防止層の表面エネルギーをできるだけ低くする必要がないことを実証した。出願人により発見された、表面エネルギーが高い幾つかの材料は、機能を完全に満たすどころか、さらに良好にするからである。本発明の付着防止層は、先に説明したように、特にフルオロ官能基の使用により、疎水性である必要がないことも、出願人は実証した。出願人により発見された本発明の方法の新規な付着防止層は、接着プライマーを用いた支持体の製造を必ずしも必要としない。
【0017】
最後に、この新規な付着防止層により作製されたインプリントの品質は、インプリント上で作成された欠陥の量に示されるように、既知の付着防止層を使用した場合よりもずっと良好になる。さらに、出願人により発見された新規な付着防止層の製造は、より容易であり、またより経済的に生産できる。
【発明の概要】
【0018】
本発明は、転写のための新規方法で使用する付着防止層に関し、この付着防止層は、付着防止層が熱により、有機若しくは無機のレドックスにより、光化学的に、せん断により、プラズマにより、又はイオン化照射の影響のもとで活性化されるとフリーラジカルを発生させる少なくとも1つの共有結合を有するホモポリマー又はコポリマーを含有するものであり、当該ホモポリマー又はコポリマーは、5mN/mより大きい表面エネルギーを有し、25℃で1000MPaより大きい弾性率E’を有し、かつ500g/molより大きい重量平均分子量を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】1と2のアセンブリから取り出したインプリント3をを示す。
【
図5】システマチックな欠陥検査測定を2つのテンプレート上で、インプリント製造法全体にわたって行った結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の方法で付着防止層として使用されるホモポリマー又はコポリマーは、様々な経路で得られるが、その中でも、重縮合、開環重合、又はアニオン、カチオン若しくはラジカル重合を挙げることができ、後者については制御された形であっても、制御されていない形であってもよい。ラジカル重合又はテロメリゼーションによりコポリマーを製造する場合、これはあらゆる既知の技術によって制御することができ、それは例えば、NMP(ニトロキシドを介した重合)、RAFT(可逆的付加及び開裂連鎖移動)、ATRP(原子移動ラジカル重合)、INIFERTER(開始剤-移動-末端化)、RITP(逆ヨウ素移動重合)、又はITP(ヨウ素移動重合)である。
【0021】
金属を伴わない重合法が好ましいだろう。コポリマーは好ましくは、ラジカル重合によって、より具体的には制御されたラジカル重合によって、さらにより具体的にはニトロキシドを介した重合によって、製造される。
【0022】
本発明の文脈で使用されるホモポリマー又はコポリマーは、非晶質、結晶質、若しくは半結晶質、又は熱硬化性のものであり得る。
【0023】
本発明の文脈で使用されるホモポリマー又はコポリマーは、以下の一般式:
R1 A R2
に対応する。
【0024】
Aは、フリーラジカルを生成する共有結合であり、その結合エネルギーは、Kerr, Chem. Rev. 66, 465-500 (1966)により記載された方法に従って25℃で測定して、90~270kJ/molであり、好ましくは100~170kJ/molである。
【0025】
これは好ましくは、炭素-酸素結合、例えばアルコキシアミンに見られるような炭素-酸素結合である。
【0026】
より具体的には、安定なフリーラジカル(1)由来のアルコキシアミンが好ましい:
式中、ラジカルR
Lは、15.0342g/molより大きなモル質量を有する。ラジカルR
Lは、15.0342g/molより大きなモル質量を有する限りにおいて、ハロゲン原子、例えば塩素、臭素又はヨウ素、飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝鎖状、又は環状の炭化水素ベースの基、例えばアルキル若しくはフェニルのラジカル、又はエステル基-COOR、又はアルコキシ基-OR、又はホスホネート基-PO(OR)
2であり得る。一価のラジカルR
Lは、ニトロキシドラジカルの窒素原子に対してβ位にあると言われている。式(1)における炭素原子及び窒素原子の残りの価数は、様々なラジカルに結合していてよく、それは例えば、水素原子であるか、又は1~10個の炭素原子を有する炭化水素ベースのラジカル、例えばアルキル、アリール、又はアリールアルキルのラジカルである。式(1)における炭素原子及び窒素原子については、二価のラジカルを介して一緒に結合されて環を形成することが排除されない。しかしながら、式(1)の炭素原子及び窒素原子の残りの価数は、一価のラジカルに結合されているのが好ましい。ラジカルR
Lは、30g/molよりも大きなモル質量を有するのが好ましい。ラジカルR
Lは例えば、40~450g/molのモル質量を有し得る。ラジカルR
Lは例えば、ホスホリル基を有するラジカルであってよく、このラジカルR
Lについては、式(2)で表すことが可能である:
式中、R
1及びR
2は、同一であっても異なっていてもよく、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、アラルキルオキシ、ペルフルオロアルキル、及びアラルキルのラジカルから選択することができ、1~20個の炭素原子を有することができる。R
1及び/又はR
2は、ハロゲン原子、例えば塩素、臭素、フッ素、又はヨウ素の原子であり得る。ラジカルR
Lは、例えばフェニルラジカル又はナフチルラジカルのために少なくとも1つの芳香族環を有することもでき、この環については置換されていてよく、例えば1~4個の炭素原子を含むアルキルラジカルによって置換されていてよい。
【0027】
より具体的には、以下の安定的なラジカルから誘導されるアルコキシアミンが好ましい:
・N-(tert-ブチル)-1-フェニル-2-メチルプロピル ニトロキシド、
・N-(tert-ブチル)-1-(2-ナフチル)-2-メチルプロピル ニトロキシド、
・N-(tert-ブチル)-1-ジエチルホスホノ-2,2-ジメチルプロピル ニトロキシド、
・N-(tert-ブチル)-1-ジベンジルホスホノ-2,2-ジメチルプロピル ニトロキシド、
・N-フェニル-1-ジエチルホスホノ-2,2-ジメチルプロピル ニトロキシド、
・N-フェニル-1-ジエチルホスホノ-1-メチルエチル ニトロキシド、
・N-(1-フェニル-2-メチルプロピル)-1-ジエチルホスホノ-1-メチルエチル ニトロキシド、
・4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ ニトロキシド、
・2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノキシ ニトロキシド。
【0028】
結合エネルギーは別にして、制御されたラジカル重合において使用されるアルコキシアミンにより、モノマー結合について良好な制御が可能にならなければならない。よってこれらのアルコキシアミンが、特定のモノマーについて良好な制御をすべて可能にするわけではない。例えば、TEMPOから誘導されたアルコキシアミンにより、モノマーの数を制限することのみが可能になり、同じことが2,2,5-トリメチル-4-フェニル-3-アザヘキサン-3-ニトロキシド(TIPNO)についても当てはまる。一方で、式(1)に対応するその他のニトロキシド系アルコキシアミン、特に式(2)に対応するニトロキシドから誘導されるもの、殊にN-tert-ブチル-1-ジエチルホスホノ-2,2-ジメチルプロピル ニトロキシドにより、これらのモノマーの制御されたラジカル重合を多数のモノマーに広げることができる。
【0029】
加えて、アルコキシアミン開環温度は、経済的要因にも影響を与える。工業的な困難性を最小限にするためには、低温を使用するのが好ましいだろう。よって、式(1)に対応するニトロキシドから誘導されるアルコキシアミン、特に式(2)に対応するニトロキシドから誘導されるもの、さらに殊にN-(tert-ブチル)-1-ジエチルホスホノ-2,2-ジメチルプロピル ニトロキシドから誘導されるものが、TEMPO又は2,2,5-トリメチル-4-フェニル-3-アザヘキサン-3-ニトロキシド(TIPNO)から誘導されるものに対しては好ましいだろう。
【0030】
R1は、ホモポリマー又はコポリマーであり、R2は、何らかの種類のフラグメント:ポリマー又はコポリマーであってもよく、ポリマー又はコポリマーのいずれでないこともあり得る。R2は好ましくは、制御された、又は制御されていないラジカル重合開始剤の分解から生じるフラグメントである。
【0031】
R1はより好ましくは、SECで測定して分子量が500g/molより大きい、ホモポリマー、又はランダム若しくはブロック、勾配若しくはくし形のコポリマーであり、R2は<1000g/molの重量を有する分子基である。
【0032】
勾配コポリマーは、少なくとも2つのモノマーのコポリマーを意味することが意図されており、一般的にはリビング重合又は偽リビング重合によって得られる。これらの重合法により、ポリマー鎖は同時に成長するため、どの瞬間でも同じ比率のコモノマーが組み込まれる。よってポリマー鎖におけるコモノマーの配分は、合成の間のコモノマーの相対的な濃度における変化次第である。勾配コポリマーの理論的な記述については、以下の文献を参照されたい:
T. Pakula & al., Macromol. Theory Simul. 5, 987-1006 (1996);
A. Aksimetiev & al. J. of Chem. Physics 111, no. 5;
M. Janco J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem. (2000), 38(15), 2767-2778;
M. Zaremski & al, Macromolecules (2000), 33(12), 4365-4372;
K. Matyjaszewski & al. J. Phys. Org. Chem. (2000), 13(12), 775-786;
Gray Polym. Prepr. (Am. Chem. Soc., Div. Polym. Chem.) (2001), 42(2), 337-338;
K. Matyjaszewski Chem. Rev. (Washington, D. C.) (2001), 101(9), 2921-2990。
【0033】
R1のために使用可能なモノマーについては、以下のように言及することができる:
【0034】
重縮合によるポリマー及びコポリマーの前駆体については、ポリアミド又はコポリアミド、ポリエステル又はコポリエステル、ポリエステルアミド又はコポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトンを製造するために使用されるモノマーを単独で、又は混合物で。
【0035】
アニオン性若しくはカチオン性重合による、又は開環重合によるポリマー及びコポリマーの前駆体については、ビニル、ビニル芳香族、ビニリデン、ジエン、オレフィン、アリル又は(メタ)アクリルのモノマー、ラクトン、カーボネート、ラクタム、ラクチド、又はグリコリド、オキサゾリン、エポキシド、シクロシロキサンを、単独で又は混合物で。
【0036】
ラジカル重合によるポリマー及びコポリマーの前駆体については、少なくとも1つのビニル、ビニリデン、ジエン、オレフィン、アリル、又は(メタ)アクリルモノマー。このモノマーはより具体的には、ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン若しくは置換されたスチレン、特にα-メチルスチレン、モノフルオロ、ジフルオロ、トリフルオロ、テトラフルオロ、又はペンタフルオロスチレン、アクリルモノマー、例えばアクリル酸若しくはその塩、アルキルアクリレート、シクロアルキル若しくはアリールアクリレート、例えばメチル、エチル、ブチル、エチルヘキシル若しくはフェニルアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、例えば2-ヒドロキシエチルアクリレート、エーテルアルキルアクリレート、例えば2-メトキシエチルアクリレート、アルコキシ若しくはアリールオキシポリアルキレングリコールアクリレート、例えばメトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアクリレート、又はこれらの混合物、アミノアルキルアクリレート、例えば2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート(DMAEA)、フルオロアクリレート、シリルアクリレート、リン系アクリレート、例えばアルキレングリコールホスフェートアクリレート、グリシジル若しくはジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、メタクリル酸モノマー、例えばメタクリル酸若しくはその塩、アルキル、シクロアルキル、アルケニル若しくはアリールメタクリレート、例えばメチルメタクリレート(MMA)、ラウリル、シクロヘキシル、アリル、フェニル若しくはナフチルメタクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、例えば2-ヒドロキシエチルメタクリレート若しくは2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、エーテルアルキルメタクリレート、例えば2-エトキシエチルメタクリレート、アルコキシ若しくはアリールオキシ-ポリアルキレングリコールメタクリレート、例えばメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール-プロピレングリコールメタクリレート、又はこれらの混合物、アミノアルキルメタクリレート、例えば2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)、フルオロメタクリレート、例えば2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、シリルメタクリレート、例えば3-メタクリロイルプロピルトリメチルシラン、リン系メタクリレート、例えばアルキレングリコールホスフェートメタクリレート、ヒドロキシエチルイミダゾリドンメタクリレート、ヒドロキシエチルイミダゾリジノンメタクリレート、2-(2-オキソー1-イミダゾリジニル)エチルメタクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド若しくは置換されたアクリルアミド、4-アクリロイルモルホリン、N-メチロールアクリルアミド、メタクリルアミド若しくは置換されたメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、グリシジルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、イタコン酸、マレイン酸若しくはこれらの塩、無水マレイン酸、アルキル若しくはアルコキシ若しくはアリールオキシ-ポリアルキレングリコールマレエート若しくはヘミマレエート、ビニルピリジン、ビニルピロリジノン、(アルコキシ)ポリ(アルキレングリコール)ビニルエーテル若しくはジビニルエーテル、例えばメトキシポリ(エチレングリコール)ビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、オレフィンモノマー、そのうち特に言及しておくのは、エチレン、ブテン、ヘキセン及び1-オクテン、ジエンモノマー(ブタジエン、イソプレン、及びフルオロオレフィンモノマー含む)、並びにビニリデンモノマー(そのうち特に言及しておくのは、フッ化ビニリデン)を、単独で、又は上記モノマー少なくとも2種の混合物で。
【0037】
R1がホモポリマー、コポリマー、オリゴマー又はコオリゴマーのラジカルであるとともに、R2がニトロキシ基であるのが好ましい。
【0038】
R2は好ましくは、N-(tert-ブチル)-1-ジエチルホスホノ-2,2-ジメチルプロピル ニトロキシドである。
【0039】
R1は好ましくは、ランダムコポリマー又はホモポリマーであり、本発明による方法に従って50nm未満、好ましくは20nm未満、さらにより好ましくは10nm未満、より好適には5nm未満のホモポリマー又はコポリマーの堆積を得るためには、当該ポリマーの数平均分子量は、ポリスチレン標準でSECにより測定して、500~200,000g/molであり、より好ましくは、1000~20,000g/molであり、さらに好ましくは、5000~10,000g/molである。R1の分散度(重量平均分子量の、数平均分子量に対する比率)は、5未満、特に2未満、好ましくは1.5未満である。
【0040】
R1は好ましくは、モノマーから形成されており、中でもスチレン、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、メチルアクリレート、エチルアクリレート、フルオロアクリレート、フルオロメタクリレート、及びモノフルオロ、ジフルオロ、トリフルオロ、テトラフルオロ若しくはペンタフルオロスチレンを挙げることができる。スチレンはコポリマー中に40~100%の範囲、さらに好ましくは60~100%の範囲のモル量で存在するのが好ましい。
【0041】
本発明の第一の好ましい形態によれば、本発明のランダムコポリマーは、2-メチル-2-[N-tert-ブチル-N-(ジエトキシホスホリル-2,2-ジメチルプロピル)アミノオキシ]プロピオン酸及びスチレンにより製造する。
【0042】
本発明の第二の好ましい形態によれば、ランダムコポリマーをまず、1つのモノマー単位が添加されるように、2-メチル-2-[N-tert-ブチル-N-(ジエトキシホスホリル-2,2-ジメチルプロピル)アミノオキシ]プロピオン酸と、グリシジルメタクリレート(GMA)又は2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)から、好ましくはグリシジルアクリレート(GA)又は2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)から選択される官能性モノマーと反応させ、それからこの反応生成物を、1つ又は複数の非官能性モノマー(例えば、アルキル(メタ)アクリレート又はスチレンモノマー、好ましくはスチレン単独)の開始剤として使用する。よって、本発明の好ましい形態では、本発明のコポリマーは、2-メチル-2-[N-tert-ブチル-N-(ジエトキシホスホリル-2,2-ジメチルプロピル)アミノオキシ]プロピオン酸と、ヒドロキシエチルアクリレート及びスチレンとの合成生成物である。
【0043】
転写法における付着防止層として使用するホモポリマー又はコポリマーの表面エネルギーに関しては、懸滴法(pendant drop method)によりOWRK数的処理を用いて測定して、5mN/mより大きく、好ましくは25mN/mより大きく、好ましくは40mN/mより大きい。
【0044】
転写法における付着防止層として使用するホモポリマー又はコポリマーの弾性率E’に関しては、DMA(動的機械分析)により測定して、25℃又は使用温度で1000MPaより大きい。
【0045】
非晶質ポリマーの場合、ホモポリマー又はコポリマーのTgを考慮することのみが可能であり、TgはDMAで測定して、25℃又は使用温度より高い必要がある。
【0046】
さらに、付着防止コポリマー又はホモポリマーと、インプリントを形成する堆積させる樹脂とのフローリー・ハギンズのchiパラメータは、正(positive)でなければならない。
【0047】
本発明の対象である付着防止層を用いた転写法に関しては、以下の工程により特徴づけられる:
・接着プライマー(例えば表面活性プラズマ)によって事前に処理されたか、又は事前に処理されていないテンプレート上に、付着防止層を堆積させる工程、当該付着防止層は、分子が熱により、有機若しくは無機のレドックスにより、光化学的に、せん断により、プラズマにより、又はイオン化照射の影響のもとで活性化されるとフリーラジカルを発生させる少なくとも1つの共有結合を有するホモポリマー又はコポリマーを含有するものであり、当該ホモポリマー又はコポリマーは、5mN/mより大きい表面エネルギーを有し、かつ25℃又は使用温度で1000MPaより大きい弾性率E’を有するものであり、
・熱により、有機若しくは無機のレドックスにより、光化学的に、せん断により、プラズマにより、又はイオン化照射の影響のもとでフリーラジカルを発生させる共有結合を活性化させて、テンプレート上に厚さが50nm未満、好ましくは20nm未満、より好ましくは10nm未満、特に5nm未満の膜を形成する工程、
・事前に堆積されているかどうかにかかわらず、厚さが100nm~5mmの範囲のポリマー樹脂を、1GPaより大きいヤング率を有する担体上に堆積又は積層させる工程、
・インプリントとして用いる樹脂を重合又は冷却する工程、
・インプリントを取り出す工程。
【0048】
本発明の対象である付着防止層は、あらゆる種類の転写法(インプリント作製)で使用でき、例えば以下のようなプロセスで使用できる:リソグラフィー用のマクロインプリンティング、マイクロインプリンティング、ナノインプリンティング若しくはスタンピング、マイクロエレクトロニクス、フォトニクス、光電子工学用途(LED、光起電)、MEMS、NEMS、メモリ、マイクロ流体工学、バイオテクノロジー、生物医学、自浄式表面、反射防止性表面、ディスプレイ(スクリーン)、複製担体用の転写、オーディオ若しくはビデオ、例えばCD若しくはDVD、若しくはレコード盤、又はより大型の物体、例えばレジャー、スポーツ、車又は航空学の分野における技術的用途のための物体。
【0049】
本発明の対象である付着防止層は、ナノインプリントリソグラフィー法に適用するのが好ましい。
【0050】
転写法の種類に応じて、テンプレートの性質は、半導体、金属、セラミック、有機ガラス(スピンオングラス型、及びスピンオンカーボン型の材料含む)であり得る。
【0051】
実施例1
この実施例では、本発明による付着防止層(以下、「本発明によるASL2」と呼ぶ)を製造する:
【0052】
・Arkemaから市販のアルコキシアミンであるBlocBuilder(登録商標)MAから、ヒドロキシ官能化されたアルコキシアミン(AM-OH、開始剤)を製造
以下のものを1lの丸底フラスコに入れ、窒素でパージする:
・BlocBuilder(登録商標)MA(1モル等量) 226.17g
・2-ヒドロキシエチルアクリレート(1モル等量) 68.9g
・イソプロパノール 548g。
【0053】
反応混合物を4時間、還流させ(80℃)、それからイソプロパノールを真空下で、蒸発により除去する。ヒドロキシ官能化されたアルコキシアミン(AM-OH開始剤)297gが、非常に粘稠な黄色い油の形態で得られる。
【0054】
・官能化されたポリスチレンの製造
トルエン260.89g、並びにスチレン600g及びAM-OH開始剤20.89gを、ステンレス鋼製の反応器(機械式撹拌機及びジャケットを備えるもの)に入れる。
【0055】
反応混合物を攪拌し、周囲温度で30分間、窒素バブリングによって脱気する。
【0056】
その後、反応媒体の設定温度を115℃にする(材料温度は108℃)。この温度を重合の間中ずっと、モノマーの転化率が50%に達するまで、115℃に保つ。試料を規則的な時間間隔で採取し、重量分析(乾燥抽出物測定)により重合動力学を決定する。
【0057】
転化率が50%に達したら、反応媒体を60℃に冷却し、溶媒及び残りのモノマーを真空下で、蒸発により除去する。蒸発後、約25質量%のポリマー溶液が生成される量で、反応媒体にメチルエチルケトンを加える。
【0058】
それからこのポリマー溶液を、非溶媒(へプタン)が入ったビーカーに滴加して、ポリマーを析出させる。溶媒と非溶媒(メチルエチルケトン/へプタン)との質量比は、1/10(v/v)である。析出したポリマーは、濾過して真空下で40℃にて48時間乾燥させた後に、白色粉末の形で回収される。
【0059】
ポリマーの特性は、サイズ排除クロマトグラフィーにより決定する。ポリマーは、BHTで安定化させたTHFに、1リットルあたり1gで溶解させる。較正は、単分散性ポリスチレン標準を用いて行う:
・数平均モル質量(Mn):9300g/mol
・重量平均モル質量(Mw):11,100g/mol
・分散性(Mw/Mn):1.19。
【0060】
それから付着防止層の溶液を、ポリマー3.1gをプロピレングリコールメチルエチルアセテート100gに入れることによって製造し、Entegris製フィルタ(多孔性50nm)で濾過後に回収する。
【0061】
それから、固形分を重量分析により決定し、必要であれば溶媒を加えて、3.0%に調整する。
【0062】
実施例2
この実施例では、完全組込型UVナノインプリントリソグラフィープラットフォーム(HERCULES、EVG製の設備)を用いて、直径200mmまでのシリコンウェハのための転写法について、付着防止層を評価する。この設備は、生産量が高い製造のために設計されている。ナノインプリントモジュールは、SmartNIL(登録商標)技術に基づいている。
【0063】
付着防止層(ASL)の2つの溶液、すなわち、市販の層であるASL1-EVGと、ナノインプリントリソグラフィー法のための本発明による付着防止層の新規クラスからの層(実施例1で製造したもの)とを、比較・評価する。
【0064】
ASL1-EVGの層を、遠心分離により直径200mmのシリコンテンプレート上にコーティングし、それから市販の溶媒(純粋なヒドロフルオロエーテル(HFE))で清浄化する。続いてテンプレートを、ホットプレート上で数分間、120℃で加熱する。ARKEMA製の付着防止溶液ASLを、遠心分離により堆積させる。それからシリコンテンプレートを200℃で75秒間アニールし、均一な薄層における化学的グラフトを確実にする。続いて、グラフトされてない鎖を、溶媒(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)ですすぐことにより排除する。
【0065】
表面エネルギーの同定は一般的に、付着防止層を評価するために使用される。液体との表面張力が、当該層の接着作用を予測するために有用であり得るからである。事前に堆積させた不動の液滴のイメージを用いて、液滴の輪郭と表面(基準線)との間の交差点(三相の接触点)で接触角を測定した。水(H2O)、ジヨードメタン(CH2I2)、及びエチレングリコール(C2H6O2)の進行接触角を測定した。表面エネルギーは、測定された接触角から、OWRK法を用いて算出した。その結果が、表1に示してある。標準的な方法で処理したテンプレート(ASL1-EVG)では、表面エネルギーが非常に低い(13mN/m)のに対して、本発明による付着防止層(本発明によるASL2)では、かなり高い表面エネルギー(44mN/m)が得られた。低い表面エネルギーは一般的に、付着防止処理にとって好ましい。接着作用は一般的にこの値と相関関係にあるからである。しかしながら、インプリント作製を可能にする材料の特性について、この同定では考慮されていない。実際に接着は、2つの表面が接触したときに、物理化学的な現象を伴う。接着の原因は、多くの関連要因(静電力、機械的な固着、酸・塩基相互作用、相互拡散、共有結合の形成、濡れ性など)によるため、完全には解明されない。
【0066】
そこで、インプリント材料を考慮に入れてASLを評価するために追加の同定を行った。ASLを評価するために使用したインプリント材料は、EVGにより開発されたアクリル系材料(参照:EVG-AS1)である。UV硬化性のこの材料は、非常に高い解像度でテンプレートのナノ構造を再現することができる一方で、インプリントの間、ナノ構造を傷つけずに若干変形するのに十分な可撓性を保持している。接着性を同定するのに使用した手法は、シリコンウェハの接着接合技術のために一般的に使用される「ダブルカンチレバービーム(double cantilever beam:DCB)法」に基づく。
【0067】
接着エネルギーの測定結果が、表1に示してある。ASL1-EVGについて接着エネルギー(G)は、600mJ/cm2より大きいと評価され、一方で本発明によるASL2については、低い接着エネルギー(G<200mJ/cm2)が決定される。これらの結果は、低い表面エネルギーは低い接着作用と関連しているという一般的な認識を見直すきっかけをもたらす。加えて、インプリント材料は当初、付着防止層で処理された表面にわたって液状で分配されており、主表面を完全に濡らすインプリント材料の能力は、それ自体の表面エネルギーと直接結びついている。よって、本発明による付着防止層によって得られる比較的高い表面エネルギーは、インプリント材料がテンプレート内へと流入するのを促進させるために好ましいものである。
【0068】
付着防止層の性能についての比較・評価を完全なものにするために、ASL1-EVGの付着防止層と、本発明によるASL2の付着防止層とでそれぞれ処理した200mmの専用ウェハを用いて、インプリントを作製した。テンプレートの設計は、400×400μmの線(インプリント方向に対して垂直、及び水平に向けられている)のネットワーク、接触部及びピラー(密度は0.1~0.3の範囲)から成る。最も重要な寸法は、各種ネットワークについて250nm~数マイクロメータの間に、500nmの深さにわたり分配されている。マトリックスは、10×10mm
2のマトリックスにわたって分配されている。このマトリックスは240回、直径200mmのテンプレートにわたって繰り返される。ASLの性能は、Applied Materials製の専用装置(COMPLUS 4T - Darkfield Wafer inspection system)で行った欠陥測定により評価した。この検査は、ダークフィールド照明法で行う。定式は、ノイズの影響を低減させつつ欠陥のシグナルを最適化するように最適化した。最適化された定式では、100nmの感度が達成された。システマチックな欠陥検査測定を2つのテンプレート上で、インプリント製造法全体にわたって行った。その結果が、
図5に示してある。表面欠陥は、両方の付着防止処理についてテンプレートを付着防止処理する工程によって大きく影響されないことが観察された。しかしながら、本発明の付着防止層(本発明によるASL-2)があることにより、インプリント製造後の欠陥は、標準的な方法(ASL1ーEVG)に比べてずっと低い(およそ10分の1)ことが観察された。
【0069】