(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置及びペリスコープレンズモジュール
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20220107BHJP
G02B 7/00 20210101ALI20220107BHJP
G03B 17/17 20210101ALI20220107BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B7/00 F
G03B17/17
(21)【出願番号】P 2020543079
(86)(22)【出願日】2019-06-01
(86)【国際出願番号】 CN2019089729
(87)【国際公開番号】W WO2020243866
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2020-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】李 林珍
(72)【発明者】
【氏名】▲盧▼ ▲継▼亮
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 晋
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-011353(JP,A)
【文献】特開2019-003148(JP,A)
【文献】特開2002-228903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G02B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置であって、
キャリアと、弾性部材と、駆動部材と、支持部材と、前記支持部材に取り付けられて光線を受けるためのプリズムとを備え、
前記支持部材は、前記弾性部材を介して前記キャリアに回動可能に取り付けられ、前記駆動部材は、前記支持部材と前記キャリアとの間に接続されて、前記支持部材及び前記プリズムが前記キャリアに対して回転するように駆動し、前記弾性部材は、第1弾性フレームと第2弾性フレームとを備え、前記支持部材は、当接部を備え、前記第1弾性フレームは、第1挟持部を備え、前記第2弾性フレームは、第2挟持部を備え、前記第1挟持部と第2挟持部とは、前記当接部の2つの対向する側
を挟持
して、前記支持部材を前記当接部の周りに回転させ得
て、
前記キャリアは、側板と、一端が前記側板の一端に接続される底板とを備え、前記支持部材は、前記プリズムに接続される支持スタンドと、前記キャリアの側板と間隔を隔てて対向設置される支持板とを備え、前記支持スタンドは、前記支持板に接続される接続部を備え、前記当接部は、前記接続部に設けられ、前記第1弾性フレームと第2弾性フレームは、それぞれ前記接続部と前記キャリアの底板との間に設けられていることを特徴とするペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置。
【請求項2】
前記第1挟持部は、対向する両端を備え、前記第1弾性フレームは、第1挟持部の両端から折り曲げて延在する2つの第1延出部と、第1延出部の末端に接続される第1折曲部と、第1折曲部の末端から延在する第2延出部と、第2延出部の末端から折り曲げてなる第1取付部とをさらに備え、
前記第2挟持部は、対向する両端を備え、前記第2弾性フレームは、第2挟持部の両端から折り曲げて延在する2つの第3延出部と、第3延出部の末端に接続される第2折曲部と、第2折曲部の末端から延在する第4延出部と、第4延出部の末端から折り曲げてなる第2取付部をさらに備え、
前記キャリアの底板には、2つの係止溝が設けられ、前記第1取付部と第2取付部は、それぞれ対応する係止溝内に係止設置されていることを特徴とする請求項
1に記載のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置。
【請求項3】
前記当接部は、対向設置される天面及び底面を備え、前記底面は、前記キャリアの底板に向かい、前記天面は、前記キャリアの底板から離反し、前記当接部の天面及び底面は、いずれも前記接続部の前記当接部に近接する他の部位から突出することを特徴とする請求項
2に記載のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置。
【請求項4】
前記第1挟持部の一端から他端までの方向を第1挟持部の長さ方向と定義し、前記長さ方向に垂直であって前記接続部に平行である方向を第1挟持部の幅方向と定義し、前記第1挟持部の前記両端間に位置する中間位置には、幅が増加する突き当て部が設けられ、前記突き当て部の幅は、前記当接部の幅以下であり、または、
前記第2挟持部の一端から他端までの方向を第2挟持部の長さ方向と定義し、前記第2挟持部の長さ方向に垂直であって前記接続部に平行である方向を第2挟持部の幅方向と定義し、前記第2挟持部の前記両端間に位置する中間位置には、幅が増加する突き当て部が設けられ、前記第2挟持部の突き当て部の幅は、前記当接部の幅以下であることを特徴とする請求項
3に記載のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置。
【請求項5】
前記第2折曲部は、前記キャリアの底板に平行であり、前記第1延出部、第2延出部及び第4延出部は、それぞれ前記キャリアの底板に垂直であることを特徴とする請求項
2に記載のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置。
【請求項6】
前記駆動部材は、前記支持板と前記キャリアの側板との間に接続される複数の形状記憶合金線を備えることを特徴とする請求項
1に記載のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置。
【請求項7】
前記キャリアは、前記側板に設けられる複数のスナップフィットをさらに備え、前記支持板は、複数の前記形状記憶合金線により前記スナップフィットに取り付けられ、前記支持板の前記側板に向かう側には、前記スナップフィットと協働して各前記形状記憶合金線を固定するためのフックが複数設けられていることを特徴とする請求項
6に記載のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置。
【請求項8】
前記形状記憶合金線、スナップフィット及びフックの数は、いずれも4つであり、各前記形状記憶合金線は、両端が隣り合う2つの前記スナップフィットにそれぞれ接続され、中部が前記フックに接続されていることを特徴とする請求項
7に記載のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置。
【請求項9】
前記キャリアは、前記支持部材が前記キャリアから移出することを制限するための2つの第1ストッパ板をさらに備え、2つの前記第1ストッパ板は、それぞれ前記側板の他端と底板の他端とに接続され、前記支持スタンドは、プリズムを取り付けるための斜板と、前記斜板の両端にそれぞれ接続され、且ついずれも前記斜板とは夾角をなして設けられる第2ストッパ板とを備え、前記接続部は、一端が前記斜板の中部に接続され、他端が前記弾性部材を通って前記支持板に挿入接続され、2つの前記第2ストッパ板は、それぞれ2つの前記第1ストッパ板に対応することを特徴とする請求項
1に記載のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置。
【請求項10】
ペリスコープレンズモジュールであって、
フレームと、前記フレームの中部に取り付けられるレンズユニットと、前記フレームの一端に取り付けられ、レンズユニットの像側に位置する画像センサと、請求項1~
9のいずれか1項に記載のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置とを備え、
前記プリズム装置は、前記フレームの他端に取り付けられ、レンズユニットの物体側に位置して光線を受けることを特徴とするペリスコープレンズモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学結像の技術分野に関し、特に携帯電話等の携帯電子機器内に適用されるペリスコープレンズモジュール及びそのプリズム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、結像技術の発展及び結像機能を有する電子製品の勃興と伴い、光学レンズは、様々な電子製品に広く応用されている。結像品質を向上させるために、光学防振は、極めて重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、防振機能を有する新たなペリスコープレンズモジュール及びそのプリズム装置を提供することを目的とする。
【0004】
本発明は、レンズ内でプリズム角度を調節するときに低コストを有する、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決手段は、以下の通りである。
【0006】
上記目的に達成するために、本発明はペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置を提供し、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置は、キャリアと、弾性部材と、駆動部材と、支持部材と、前記支持部材に取り付けられて光線を受けるためのプリズムとを備え、前記支持部材は、前記弾性部材を介して前記キャリアに回動可能に取り付けられ、前記駆動部材は、前記支持部材と前記キャリアとの間に接続されて、前記支持部材及び前記プリズムが前記キャリアに対して回転するように駆動し、前記弾性部材は、第1弾性フレームと第2弾性フレームとを備え、前記支持部材は、当接部を備え、前記第1弾性フレームは、第1挟持部を備え、前記第2弾性フレームは、第2挟持部を備え、前記第1挟持部と第2挟持部とは、前記当接部の2つの対向する側に挟持されて、前記支持部材を前記当接部の周りに回転させ得る。
【0007】
更なる改良として、前記キャリアは、側板と、一端が前記側板の一端に接続される底板とを備え、前記支持部材は、前記プリズムに接続される支持スタンドと、前記キャリアの側板と間隔を隔てて対向設置される支持板とを備え、前記支持スタンドは、前記支持板に接続される接続部を備え、前記当接部は、前記接続部に設けられ、前記第1弾性フレームと第2弾性フレームは、それぞれ前記接続部と前記キャリアの底板との間に設けられている。
【0008】
更なる改良として、前記第1挟持部は、対向する両端を備え、前記第1弾性フレームは、第1挟持部の両端から折り曲げて延在する2つの第1延出部と、第1延出部の末端に接続される第1折曲部と、第1折曲部の末端から延在する第2延出部と、第2延出部の末端から折り曲げてなる第1取付部とをさらに備え、
前記第2挟持部は、対向する両端を備え、前記第2弾性フレームは、第2挟持部の両端から折り曲げて延在する2つの第3延出部と、第3延出部の末端に接続される第2折曲部と、第2折曲部の末端から延在する第4延出部と、第4延出部の末端から折り曲げてなる第2取付部をさらに備え、
前記キャリアの底板には、2つの係止溝が設けられ、前記第1取付部と第2取付部は、それぞれ対応する係止溝内に係止設置されている。
【0009】
更なる改良として、前記当接部は、対向設置される天面及び底面を備え、前記底面は、前記キャリアの底板に向かい、前記天面は、前記キャリアの底板から離反し、前記当接部の天面及び底面は、いずれも前記接続部の前記当接部に近接する他の部位から突出する。
【0010】
更なる改良として、前記第1挟持部の一端から他端までの方向を第1挟持部の長さ方向と定義し、前記長さ方向に垂直であって前記接続部に平行である方向を第1挟持部の幅方向と定義し、前記第1挟持部の前記両端間に位置する中間位置には、幅が増加する突き当て部が設けられ、前記突き当て部の幅は、前記当接部の幅以下であり、または、
前記第2挟持部の一端から他端までの方向を第2挟持部の長さ方向と定義し、前記第2挟持部の長さ方向に垂直であって前記接続部に平行である方向を第2挟持部の幅方向と定義し、前記第2挟持部の前記両端間に位置する中間位置には、幅が増加する突き当て部が設けられ、前記第2挟持部の突き当て部の幅は、前記当接部の幅以下である。
【0011】
更なる改良として、前記第1折曲部と前記第2折曲部は、それぞれ前記キャリアの底板に平行であり、前記第1延出部、第2延出部及び第4延出部は、それぞれ前記キャリアの底板に垂直である。
【0012】
更なる改良として、前記駆動部材は、前記支持板と前記キャリアの側板との間に接続される複数の形状記憶合金線を備える。
【0013】
更なる改良として、前記キャリアは、前記側板に設けられる複数のスナップフィットをさらに備え、前記支持板は、複数の前記形状記憶合金線により前記スナップフィットに取り付けられ、前記支持板の前記側板に向かう側には、前記スナップフィットと協働して各前記形状記憶合金線を固定するためのフックが複数設けられている。
【0014】
更なる改良として、前記形状記憶合金線、スナップフィット及びフックの数は、いずれも4つであり、各前記形状記憶合金線は、両端が隣り合う2つの前記スナップフィットにそれぞれ接続され、中部が前記フックに接続されている。
【0015】
更なる改良として、前記キャリアは、前記支持部材が前記キャリアから移出することを制限するための2つの第1ストッパ板をさらに備え、2つの前記第1ストッパ板は、それぞれ前記側板の他端と底板の他端とに接続され、前記支持スタンドは、プリズムを取り付けるための斜板と、前記斜板の両端にそれぞれ接続され、且ついずれも前記斜板とは夾角をなして設けられる第2ストッパ板とを備え、前記接続部は、一端が前記斜板の中部に接続され、他端が前記弾性部材を通って前記支持板に挿入接続され、2つの前記第2ストッパ板は、それぞれ2つの前記第1ストッパ板に対応する。
【0016】
本発明は、さらにペリスコープレンズモジュールを提供し、ペリスコープレンズモジュールは、フレームと、前記フレームの中部に取り付けられるレンズユニットと、前記フレームの一端に取り付けられ、レンズユニットの像側に位置する画像センサと、上記のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置とを備え、前記プリズム装置は、前記フレームの他端に取り付けられ、レンズユニットの物体側に位置して光線を受ける。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有益な効果は以下の通りである。本発明では、第1弾性フレームと第2弾性フレームとが前記支持部材の当接部の両側に挟持されることで、前記支持部材とキャリアとを回動可能に接続し、支持部材は、駆動部材に駆動されると、プリズムを駆動してキャリアに対して回動させ得、プリズム角度の自動的な補正を図り、当該プリズム装置が適用されるペリスコープレンズモジュールの結像角度はより広く、その結像効果はより良くなる。プリズム装置は、従来の電磁式駆動の代わりに、形状記憶合金線を用いることで、電磁干渉を回避するとともに、プリズム装置の重量及び製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示すペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置の爆発概略図である。
【
図7】本発明に係る形状記憶合金線がキャリアに取り付けられる斜視図である。
【
図9】本発明に係るペリスコープレンズモジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、図面及び実施形態を組み合わせて本発明をさらに説明する。
なお、本発明の実施例において、全ての方向指示(例えば、上、下、内、外、頂部、底部など)は、ある特定の姿勢(図に示されているように)での各部材間の相対的な位置関係を説明するためにのみ使用され、当該姿勢が変わると、当該方向指示もそれに応じて変わる。
【0020】
なお、要素が別の要素に「固定」又は「設置」されていると呼ばれる場合、、当該要素は、別の要素に直接あり、又は同時に仲介要素が存在し得る。要素が別の要素に「接続」されていると呼ばれる場合、当該要素は、別の要素に直接接続され、又は同時に仲介要素が存在し得る。
【0021】
図1~9を参照すると、本発明の実施例は、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置1を提供し、上記プリズム装置1は、キャリア10、弾性部材20、支持部材30、駆動部材40及び支持部材30に取り付けられて光線を受けるためのプリズム50とを備え、支持部材30は、弾性部材20を介してキャリア10に可動に取り付けられ、駆動部材40は、キャリア10と支持部材30との間に接続されて、支持部材30がキャリア10内でX軸方向周りに回動し、又はY軸方向周りに回動するように駆動し、よって、プリズム50は、駆動部材40による駆動作用でプリズムの角度を自動的に補正することができ、結像品質を向上させる。本発明では、キャリア10の幅方向をX軸方向と定義し、キャリア10の高さ方向をY軸方向と定義し、キャリア10の長さ方向をZ軸方向と定義し、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、2つずつ互いに垂直である。
【0022】
図2及び
図3を参照すると、具体的に、キャリア10は、側板11、底板12及び2つの第1ストッパ板13を備え、底板12の一端は、側板11の一端に垂直に接続され、2つの第1ストッパ板13は、それぞれ側板11の他端と底板12の他端に垂直に接続され、側板11の支持部材30に向かう一方の側面に複数のスナップフィット14が設けられ、前記スナップフィット14は、側板11に直接一体成型されてもよく、いずれかの従来の実装方式で側板11に実装されてもよく、本実施例におけるスナップフィット14は、側板11に取り付けられ、このようにすると、キャリア10の構成を簡略化し、キャリア10の製造コストを低下させることができる。駆動部材40は、複数の形状記憶合金線を備え、支持部材30は、形状記憶合金線40を介してスナップフィット14に取り付けられ、2つの第1ストッパ板13は、支持部材30がキャリア10から移出することを制限し、底板12に弾性部材20に対応する表面には、係止溝121が設けられることで、弾性部材20を粗位置決めさせて、弾性部材20とキャリア10との実装の効率及び精確性を向上させる。
【0023】
図1、
図2及び
図4を参照すると、支持部材30は、プリズム50を支持するための支持スタンド31と、キャリア10と間隔を隔てて設けられる支持板32とを備え、本実施例では、支持板32は、キャリア10の側板11に平行に設けられ、且つ支持板32には、支持スタンド31が係止挿入されて実装される取付溝321が設けられ、支持スタンド31は、支持板32に接続される接続部311と、プリズム50を取り付けるための斜板312と、斜板312の両端にそれぞれ接続され、且ついずれも斜板312とは夾角をなして設けられる第2ストッパ板313とを備え、接続部311の一端は、斜板312の中部に接続され、接続部311の他端は、弾性部材20を通って支持板32における取付溝321に挿入接続され、接続部311と弾性部材20との接続箇所に当接部314が形成、好ましい実施形態として、当接部314の厚さを接続部311の他の部位の厚さよりも大きくすることでその強度を向上させ、具体的に、当接部314の天面及び底面は、接続部311の他の部位の天面及び底面よりも高い。2つの第2ストッパ板313は、それぞれ2つの第1ストッパ板13に対応して、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置1が落下する際に支持スタンド31がキャリア10から投げ出されることを防止する。
【0024】
図5を参照すると、好ましい実施形態として、支持板32の側板11に向かう側には、各スナップフィット14と協働して各形状記憶合金線40を固定するための複数のフック322が設けられ、本実施例では、形状記憶合金線40、スナップフィット14及びフック322の数は、いずれも4つであり、各形状記憶合金線40の両端は、隣り合う2つスナップフィット14にそれぞれ固定接続され、各形状記憶合金線40の中部は、各フック322に接続され、このように、それぞれの形状記憶合金線40は、V字状をなし、4つのフック322は、それぞれ四辺形の4つの辺に設けられ、それぞれのフック322の断面は、「L」形状をなし、形状記憶合金線40が揺れることによって脱落することを回避する。
【0025】
図2及び
図6を参照すると、本実施例では、弾性部材20は、第1弾性フレーム21と第2弾性フレーム22とを備え、好ましくは、第1弾性フレーム21及び第2弾性フレーム22は、いずれも単一の弾性材を折り曲げることで形成され、第1弾性フレーム21及び第2弾性フレーム22は、囲んで支持スタンド31の接続部311を固定するための挟持構造23を形成する。
【0026】
好ましい実施形態として、第1弾性フレーム21は、第1挟持部211、第1挟持部211の両端から折り曲げて延在する2つの第1延出部212、第1延出部212の末端に接続される第1折曲部213、第1折曲部213末端から延在する第2延出部214、及び第2延出部214の末端から折り曲げてなる第1取付部215を備える。好ましくは、第1折曲部213は、U字状構造であり、U字状構造の両端は、それぞれ第1延出部212と第2延出部214とに接続され、第1延出部212及び第2延出部214は、平行設置され、且つキャリア10の底板12に垂直であり、第1取付部215は、底板12に平行であり、係止溝121内に係止設置されている。第1折曲部213は、L字状構成又は他の形状であってもよい。
【0027】
第2弾性フレーム22は、類似する構成を有し、第2挟持部221、第2挟持部221の両端から折り曲げて延在する2つの第3延出部222、第3延出部222の末端に接続される第2折曲部223、第2折曲部223の末端から延在する第4延出部224、及び第4延出部224の末端から折り曲げてなる第2取付部225を備える。好ましくは、第2折曲部223はU字状構造であり、U字状構造の両端は、それぞれ第3延出部222と第4延出部224とに接続され、第3延出部は、L字状であることが好ましく、第2折曲部223は、キャリア10の底板12に平行であり、第3延出部222及び第4延出部224は、第2折曲部223の所在する平面に垂直であり、第4延出部224は、キャリア10の底板12に垂直であり、第2取付部225は、底板12に平行であり、係止溝121内内に係止設置されている。第1弾性フレーム21の第1挟持部211及び第2弾性フレーム22の第2挟持部221は、それぞれ接続部311の当接部314の両側に挟持され、共同して挟持構造23を構成する。
【0028】
前記第1挟持部211の一端から他端までの方向を第1挟持部211の長さ方向と定義し、前記長さ方向に垂直であって、前記接続部311に平行な方向を第1挟持部211の幅方向と定義し、前記第1挟持部211の前記両端間に位置する中間位置には、幅が増加する突き当て部216が設けられ、前記第2挟持部221の一端から他端までの方向を第2挟持部221の長さ方向と定義し、前記第2挟持部221の長さ方向に垂直であって、前記接続部311に平行な方向を第2挟持部221の幅方向と定義し、前記第2挟持部221の前記両端間に位置する中間位置には、幅が増加する突き当て部216が設けられている。第1挟持部211及び第2挟持部221の長さ方向と幅方向は、それぞれ当接部314の長さ方向と幅方向に一致し、第1挟持部211及び第2挟持部221の突き当て部216は、それぞれ当接部314の天面と底面に当接する。好ましくは、前記突き当て部216の幅は、概ね前記当接部314の幅と等しい。突き当て部216の幅は、第1挟持部211及び第2挟持部223の他の部位の幅よりも大きく、当接部314の幅に一致する。このように設定すると、支持スタンド31と弾性部材20との実装精度及び強度を向上させることができる。無論、、前記突き当て部216の幅は、前記当接部314の幅よりもわずかに小さくてもよい。
【0029】
図2、
図5及び
図7を参照すると、4つの形状記憶合金線40は、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置1内において支持板32と側板11との間に均等に配置され、好ましくは、4つのスナップフィット14は、それぞれ四辺形の4つの角に位置し、4つのフック322は、この四辺形の中心に近接する箇所に位置する。このように、4つの形状記憶合金線40は、キャリア10に対してプリズム50を間接駆動し、Y軸方向の推力を生じ、プリズム50をX軸周りに回転させ、4つの形状記憶合金線40は、キャリア10に対してプリズム50を駆動し、X軸方向の推力を生じ、プリズム50をY軸周りに回転させる。
【0030】
具体的に、4つの形状記憶合金線40は、それぞれ第1形状記憶合金線41、第2形状記憶合金線42、第3形状記憶合金線43及び第4形状記憶合金線44と定義することができ、ここで、第1形状記憶合金線41及び第3形状記憶合金線43は、Y軸方向においてそれぞれ側板11の上下両側に設けられ、且つ第1形状記憶合金線41は、第3形状記憶合金線43の上方に位置し、第2形状記憶合金線42及び第4形状記憶合金線44は、X軸方向においてそれぞれ側板11の左右両側に設けられ、
図7に示される向きのように、第2形状記憶合金線42は、右側に位置し、第4形状記憶合金線44は、左側に位置する。
【0031】
具体的な操作の時、
図1に示すように、第1形状記憶合金線41が通電されて発熱して短くなると、支持部材30の支持板32は、斜め上方への引っ張り力を受けてこの力を支持スタンド31の接続部311に伝達することにより、支持スタンド31は、接続部311の、弾性部材20の挟持構造23内に挟持される当接部314を支点とし、X軸周りに反時計回りに回転し、これによって、プリズム50がキャリア10に対してX軸周りに反時計回りに回転するようにする。第3形状記憶合金線43が通電され、発熱して短くなると、プリズム50は、キャリア10に対してX軸周りに時計回りに回転し、第2形状記憶合金線42が通電され、発熱して短くなると、プリズム50は、キャリア10に対してY軸周りに1方向に回転することができ、第4形状記憶合金線44が通電され、発熱して短くなると、プリズム50は、キャリア10に対してY軸周りに他の逆方向に回転することができる。本願の形状記憶合金線40は、SMA線と呼ばれてもよく、プログラムにより、記憶効果を生じさせて駆動力を発生させるように指令が出されるが、ここでは詳述しない。
【0032】
図8を参照すると、本発明は、ペリスコープレンズモジュールをさらに提供し、当該ペリスコープレンズモジュールは、フレーム60、レンズユニット70、画像センサ80及びプリズム装置1を備え、レンズユニット70は、フレーム60の中部に取り付けられ、画像センサ80は、フレーム60の一端に取り付けられるとともに、レンズユニット70の像側に位置し、プリズム装置1は、フレーム60の他端に取り付けられるとともに、レンズユニット70の物体側に位置して光線を受け、光線は、プリズム装置1で反射されてからレンズユニット70の軸線方向において直線に沿って画像センサ80に到達して結像が行われ、Y軸方向から入射する光線は、プリズム装置1で反射されてからZ軸に沿ってレンズユニット70内に入り、Z軸に沿ってレンズユニット70内に入る光線は、最終的に画像センサ80に処理されて結像される。ペリスコープレンズモジュールは、撮像機能を有する電子機器に適用可能であり、好ましくは、撮像機能を有するこの電子機器は、携帯電話又はカメラである。
【0033】
以上は本発明の実施形態に過ぎず、当業者であれば本発明の思想を逸脱することなく改良を加えることができるが、これらは全て本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1 プリズム装置
10 キャリア
11 側板
12 底板
121 係止溝
13 第1ストッパ板
14 スナップフィット
20 弾性部材
21 第1弾性フレーム
211 第1挟持部
212 第1延出部
213 第1折曲部
214 第2延出部
215 第1取付部
216 突き当て部
22 第2弾性フレーム
221 第2挟持部
222 第3延出部
223 第2折曲部
224 第4延出部
225 第2取付部
23 挟持構造
30 支持部材
31 支持スタンド
311 接続部
312 斜板
313 第2ストッパ板
314 当接部
32 支持板
321 取付溝
322 フック
40 駆動部材
41 第1形状記憶合金線
42 第2形状記憶合金線
43 第3形状記憶合金線
44 第4形状記憶合金線
50 プリズム
60 フレーム
70 レンズユニット
80 プリズム系